JP6651316B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、超音波診断装置に関する。
従来、超音波診断装置は、ドプラ(Doppler)効果に基づくドプラ法により、超音波の反射波から血流情報の生成及び表示を行う機能を備える。近年、血流を高速、高分解能、高フレームレートに映像化することにより、通常のドプラ法と比較して、動きの遅い組織に由来するクラッタ成分を大幅に抑制した血流情報を得る技術が提案されている。
特開2014−042823号公報 特開2014−158698号公報
本発明が解決しようとする課題は、所望の流速値の範囲で血流情報を表示することができる超音波診断装置を提供することである。
実施形態の超音波診断装置は、収集部と、第1受付部と、第2受付部と、調整部とを備える。収集部は、複数のフレームの同一位置のそれぞれにおける反射波データのデータ列に対してフレーム方向でフィルタ処理を行って、設定される関心領域における血流情報を収集する。第1受付部は、前記血流情報の表示において、表示される流速値の範囲を変更する第1指示を受け付ける。第2受付部は、前記関心領域に関わる設定を変更する第2指示を受け付ける。調整部は、前記第1指示を受け付けた場合には当該第1指示に応じて前記流速値の範囲を変更し、且つ、前記第1指示に応じて前記流速値の範囲が変更された後に前記第2指示を受け付けた場合には前記流速値の範囲を維持する調整を行う。
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。 図2は、第1の実施形態に係るドプラモード用の超音波走査の一例を示す図である。 図3は、従来技術について説明するための図である。 図4は、第1の実施形態に係る調整機能の処理を説明するための図である。 図5は、第1の実施形態に係る調整機能の処理を説明するための図である。 図6は、第1の実施形態に係る調整機能の処理を説明するための図である。 図7は、第1の実施形態に係る調整機能の処理を説明するための図である。 図8は、第1の実施形態に係る調整機能の処理を説明するための図である。 図9は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の処理手順を示すフローチャートである。 図10は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の適用例を示す図である。
以下、図面を参照して、実施形態に係る超音波診断装置を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波プローブ101と、入力装置102と、ディスプレイ103と、装置本体100とを有する。超音波プローブ101、入力装置102、及びディスプレイ103は、装置本体100と通信可能に接続される。なお、被検体Pは、超音波診断装置1の構成に含まれない。
超音波プローブ101は、超音波の送受信を行う。例えば、超音波プローブ101は、複数の圧電振動子を有する。これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体100が有する送受信回路110から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ101が有する複数の圧電振動子は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ101は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ101は、装置本体100と着脱自在に接続される。
超音波プローブ101から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ101が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
なお、第1の実施形態に係る超音波プローブ101は、被検体Pを2次元で走査する1Dアレイプローブであっても、被検体Pを3次元で走査するメカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブであっても適用可能である。
入力装置102は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等の装置に対応する。入力装置102は、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体100に対して受け付けた各種設定要求を転送する。
ディスプレイ103は、超音波診断装置1の操作者が入力装置102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像データ等を表示したりする。
装置本体100は、超音波プローブ101が受信した反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する装置である。図1に示す装置本体100により生成される超音波画像データは、2次元の反射波信号に基づいて生成される2次元の超音波画像データであっても、3次元の反射波信号に基づいて生成される3次元の超音波画像データであってもよい。
装置本体100は、図1に例示するように、送受信回路110と、Bモード処理回路120と、ドプラ処理回路130と、画像生成回路140と、画像メモリ150と、内部記憶回路160と、処理回路170とを備える。送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、画像生成回路140、画像メモリ150、内部記憶回路160、及び処理回路170は、互いに通信可能に接続される。
送受信回路110は、後述する処理回路170の指示に基づいて、超音波プローブ101が行う超音波送受信を制御する。送受信回路110は、パルス発生器、送信遅延回路、パルサ等を有し、超音波プローブ101に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定の繰り返し周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)で送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延回路は、超音波プローブ101から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ101に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
なお、送受信回路110は、後述する処理回路170の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
また、送受信回路110は、アンプ回路、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延回路、加算器、直交検波回路等を有し、超音波プローブ101が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。アンプ回路は、反射波信号をチャンネル毎に増幅してゲイン補正処理を行う。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換する。受信遅延回路は、デジタルデータに受信指向性を決定するのに必要な受信遅延時間を与える。加算器は、受信遅延回路により受信遅延時間が与えられた反射波信号の加算処理を行う。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
そして、直交検波回路は、加算器の出力信号をベースバンド帯域の同相信号(I信号、I:In-phase)と直交信号(Q信号、Q:Quadrature-phase)とに変換する。そして、直交検波回路は、I信号及びQ信号(以下、IQ信号と記載する)を反射波データとして、バッファ111に格納する。なお、直交検波回路は、加算器の出力信号を、RF(Radio Frequency)信号に変換した上で、バッファ111に格納してもよい。IQ信号や、RF信号は、位相情報が含まれる信号(受信信号)となる。以下では、送受信回路110が出力する反射波データを、受信信号と記載する場合がある。
ここで、バッファ111は、送受信回路110が生成した反射波データ(IQ信号)を一時的に記憶するバッファである。具体的には、バッファ111は、数フレーム分のIQ信号、又は、数ボリューム分のIQ信号を記憶する。例えば、バッファ111は、FIFO(First-In/First-Out)メモリであり、所定フレーム分のIQ信号を記憶する。そして、例えば、バッファ111は、新たに1フレーム分のIQ信号が送受信回路110にて生成された場合、生成時間が最も古い1フレーム分のIQ信号を破棄して、新たに生成された1フレーム分のI/Q信号を記憶する。なお、バッファ111は、送受信回路110、Bモード処理回路120、及びドプラ処理回路130とそれぞれ通信可能に接続される。
なお、送受信回路110は、1回の超音波ビームの送信により得られる各圧電振動子の反射波信号から複数の受信フォーカスの反射波データを生成することができる。すなわち、送受信回路110は、並列同時受信処理を行うことが可能な回路である。なお、第1の実施形態は、送受信回路110が並列同時受信処理を実行できない場合であっても適用可能である。
Bモード処理回路120及びドプラ処理回路130は、送受信回路110が反射波信号から生成した反射波データに対して、各種の信号処理を行う信号処理部である。Bモード処理回路120は、バッファ111から読み出した反射波データ(IQ信号)に対して、対数増幅、包絡線検波処理、対数圧縮などを行って、多点の信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
なお、Bモード処理回路120は、フィルタ処理により、検波周波数を変化させることで、映像化する周波数帯域を変えることができる。このBモード処理回路120のフィルタ処理機能を用いることにより、コントラストハーモニックイメージング(CHI:Contrast Harmonic Imaging)や、ティッシュハーモニックイメージング(THI:Tissue Harmonic Imaging)等のハーモニックイメージングを実行可能である。
また、このBモード処理回路120のフィルタ処理機能を用いることにより、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、ティッシュハーモニックイメージング(THI:Tissue Harmonic Imaging)を実行可能である。
また、CHIやTHIのハーモニックイメージングを行う際、Bモード処理回路120は、上述したフィルタ処理を用いた方法とは異なる方法により、ハーモニック成分を抽出することができる。ハーモニックイメージングでは、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)法や位相変調(PM:Phase Modulation)法、AM法及びPM法を組み合わせたAMPM法と呼ばれる映像法が行われる。AM法、PM法及びAMPM法では、同一の走査線に対して振幅や位相が異なる超音波送信を複数回行う。これにより、送受信回路110は、各走査線で複数の反射波データ(受信信号)を生成し出力する。そして、Bモード処理回路120は、各走査線の複数の反射波データ(受信信号)を、変調法に応じた加減算処理することで、ハーモニック成分を抽出する。そして、Bモード処理回路120は、ハーモニック成分の反射波データ(受信信号)に対して包絡線検波処理等を行って、Bモードデータを生成する。
ドプラ処理回路130は、バッファ111から読み出した反射波データを周波数解析することで、走査範囲内にある移動体のドプラ効果に基づく運動情報を抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。具体的には、ドプラ処理回路130は、移動体の運動情報として、平均速度、平均分散値、平均パワー値等を、複数のサンプル点それぞれで推定したドプラデータを生成する。ここで、移動体とは、例えば、血流や、心壁等の組織、造影剤である。本実施形態に係るドプラ処理回路130は、血流の運動情報(血流情報)として、血流の平均速度、血流の平均分散値、血流の平均パワー値等を、複数のサンプル点それぞれで推定したドプラデータを生成する。
上記のドプラ処理回路130の機能を用いて、本実施形態に係る超音波診断装置1は、カラーフローマッピング法(CFM:Color Flow Mapping)とも呼ばれるカラードプラ法を実行可能である。CFM法では、超音波の送受信が複数の走査線上で複数回行われる。そして、CFM法では、同一位置のデータ列に対してMTI(Moving Target Indicator)フィルタを掛けることで、静止している組織、或いは、動きの遅い組織に由来する信号(クラッタ信号)を抑制して、血流に由来する信号を抽出する。そして、CFM法では、この血流信号から血流の速度、血流の分散、血流のパワー等の血流情報を推定する。後述する画像生成回路140は、推定結果の分布を、例えば、2次元でカラー表示した超音波画像データ(カラードプラ画像データ)を生成する。そして、ディスプレイ103は、カラードプラ画像データを表示する。なお、ドプラ処理回路130は、血流情報を収集する収集部の一例である。収集部としてのドプラ処理回路130は、複数のフレームの同一位置のそれぞれにおける反射波データのデータ列に対してフレーム方向でフィルタ処理を行って、血流情報を収集する。
MTIフィルタとしては、通常、バタワース型のIIR(Infinite Impulse Response)フィルタや、多項式回帰フィルタ(Polynomial Regression Filter)等、係数が固定されたフィルタが用いられる。一方、本実施形態に係るドプラ処理回路130は、MTIフィルタとして、入力信号に応じて係数を変化させる適応型のMTIフィルタを用いる。具体的には、本実施形態に係るドプラ処理回路130は、適応型のMTIフィルタとして、「Eigenvector Regression Filter」と呼ばれているフィルタを用いる。以下、固有ベクトルを用いた適応型MTIフィルタである「Eigenvector Regression Filter」を、「固有ベクトル型MTIフィルタ」と記載する。
固有ベクトル型MTIフィルタは、相関行列から固有ベクトルを計算し、計算した固有ベクトルから、クラッタ成分抑制処理に用いる係数を計算する。この方法は、主成分分析や、カルーネン・レーベル変換(Karhunen-Loeve transform)、固有空間法で使われている手法を応用したものである。
固有ベクトル型MTIフィルタを用いる第1の実施形態に係るドプラ処理回路130は、同一位置(同一サンプル点)の連続した反射波データのデータ列から、走査範囲の相関行列を計算する。例えば、ドプラ処理回路130は、相関行列の固有値及び当該固有値に対応する固有ベクトルを計算する。そして、ドプラ処理回路130は、例えば、各固有値の大きさに基づいて各固有ベクトルを並べた行列のランクを低減した行列を、クラッタ成分を抑制するフィルタ行列として計算する。ここで、ドプラ処理回路130は、例えば、予め設定された値、或いは、操作者が指定した値により、低減される主成分の数、すなわち、ランクカット数の値を決定する。しかし、心臓や血管等、拍動により移動速度が時間により変化する組織が走査範囲内に含まれる場合、ランクカット数の値は、固有値の大きさから適応的に決定されることが好適である。すなわち、ドプラ処理回路130は、相関行列の固有値の大きさに応じて、低減する主成分の数を変更する。本実施形態では、ドプラ処理回路130は、固有値の大きさに応じて、低減するランク数を変更する。
ドプラ処理回路130は、フィルタ行列を用いて、同一位置(同一サンプル点)の連続した反射波データのデータ列から、クラッタ成分が抑制され、血流に由来する血流信号が抽出されたデータ列を出力する。ドプラ処理回路130は、出力したデータを用いた自己相関演算等の演算を行って、血流情報を推定し、推定した血流情報をドプラデータとして出力する。
画像生成回路140は、Bモード処理回路120及びドプラ処理回路130が生成したデータから超音波画像データを生成する。画像生成回路140は、Bモード処理回路120が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度で表した2次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成回路140は、ドプラ処理回路130が生成した2次元のドプラデータから血流情報が映像化された2次元ドプラ画像データを生成する。2次元ドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。画像生成回路140は、ドプラ画像データとして、血流情報がカラーで表示されるカラードプラ画像データを生成したり、1つの血流情報がグレースケールで表示されるドプラ画像データを生成したりする。
ここで、画像生成回路140は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成回路140は、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行うことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成回路140は、スキャンコンバート以外に、種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行う。また、画像生成回路140は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成回路140が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。画像生成回路140は、スキャンコンバート処理前の2次元超音波画像データから、表示用の2次元超音波画像データを生成する。
更に、画像生成回路140は、Bモード処理回路120が生成した3次元のBモードデータに対して座標変換を行うことで、3次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成回路140は、ドプラ処理回路130が生成した3次元のドプラデータに対して座標変換を行うことで、3次元ドプラ画像データを生成する。
更に、画像生成回路140は、ボリュームデータをディスプレイ103にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対してレンダリング処理を行う。画像生成回路140が行うレンダリング処理としては、例えば、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を行ってボリュームデータからMPR画像データを生成する処理がある。また、画像生成回路140が行うレンダリング処理としては、例えば、3次元の情報を反映した2次元画像データを生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理がある。
画像メモリ150は、画像生成回路140が生成した表示用の画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ150は、Bモード処理回路120やドプラ処理回路130が生成したデータを記憶することも可能である。画像メモリ150が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成回路140を経由して表示用の超音波画像データとなる。また、画像メモリ150は、送受信回路110が出力した反射波データを記憶することも可能である。
内部記憶回路160は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行うための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、内部記憶回路160は、必要に応じて、画像メモリ150が記憶する画像データの保管等にも使用される。また、内部記憶回路160が記憶するデータは、図示しないインターフェースを経由して、外部装置へ転送することができる。また、内部記憶回路160は、外部装置から図示しないインターフェースを経由して転送されたデータを記憶することも可能である。
処理回路170は、超音波診断装置1の処理全体を制御する。具体的には、処理回路170は、入力装置102を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶回路160から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130及び画像生成回路140の処理を制御する。また、処理回路170は、画像メモリ150や内部記憶回路160が記憶する表示用の超音波画像データをディスプレイ103にて表示するように制御する。
例えば、処理回路170は、送受信回路110を介して超音波プローブ101を制御することで、超音波走査の制御を行う。通常、CFM法では、血流像データであるカラードプラ画像データとともに、組織像データであるBモード画像データを表示する。かかる表示を行うため、処理回路170は、第1走査範囲内の血流情報を取得する第1超音波走査を超音波プローブ101に実行させる。第1超音波走査は、例えば、ドプラモードでカラードプラ画像データを収集するための超音波走査である。また、処理回路170は、第1超音波走査とともに、第2走査範囲内の組織形状の情報を取得する第2超音波走査を超音波プローブ101に実行させる。第2超音波走査は、例えば、BモードでBモード画像データを収集するための超音波走査である。
また、処理回路170は、第1受付機能171と、第2受付機能172と、調整機能173とを実行する。ここで、処理回路170の構成要素である第1受付機能171、第2受付機能172、及び調整機能173が実行する各処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で内部記憶回路160に記録されている。処理回路170は、各プログラムを内部記憶回路160から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。すなわち、第1受付機能171は、処理回路170が第1受付機能171に対応するプログラムを内部記憶回路160から読み出し実行することで、実現される機能である。また、第2受付機能172は、処理回路170が第2受付機能172に対応するプログラムを内部記憶回路160から読み出し実行することで、実現される機能である。また、調整機能173は、処理回路170が調整機能173に対応するプログラムを内部記憶回路160から読み出し実行することで、実現される機能である。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路170は、図1の処理回路170内に示された各機能を有することとなる。第1受付機能171、第2受付機能172、及び調整機能173が実行する各処理機能については、後述する。
また、上記の実施形態においては、単一の処理回路170にて、上述した各処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、内部記憶回路160にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
ここで、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、血流を高速、高分解能、高フレームレートに映像化することにより、通常のドプラ法と比較してクラッタ成分を大幅に抑制した血流情報を得るドプラモード用の超音波走査を実行する。具体的には、第1の実施形態で行なわれる第1超音波走査は、複数の走査線で形成される走査範囲での超音波送受信により、同一位置の反射波データを複数フレームにわたって収集可能な走査形態を繰り返すことで、実行される。より具体的には、第1の実施形態で行なわれる第1超音波走査は、複数の走査線で形成される走査範囲での超音波送受信を各走査線で1回とする走査形態を繰り返すことで、実行される。かかる走査形態は、通常のBモードで行なわれる第2超音波走査と同じ走査形態であり、フレームレートを向上させるためにCFM法で行なわれている走査形態と同じ走査形態である。
図2は、第1の実施形態に係るドプラモード用の超音波走査の一例を示す図である。図2に示す例では、超音波診断装置1の処理回路170は、第2超音波走査として第2走査範囲を分割した複数の分割範囲それぞれの超音波走査を、第1超音波走査の間に時分割で超音波プローブ101に実行させる。換言すると、処理回路170は、第1超音波走査の間に第2超音波走査の一部分を行い、数フレーム分の第1超音波走査を行う期間で、1フレーム分の第2超音波走査を完結させる。かかる走査形態により、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、第1超音波走査と第2超音波走査とで超音波送受信条件を独立に設定可能となる。例えば、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、第2超音波走査をTHI法に基づく条件で実行させることができる。すなわち、第2超音波走査は、上述したフィルタ処理によりTHIを行うための超音波送受信条件で実行することができる。また、第2超音波走査は、上述したAM法、PM法、AMPM法、又は差音成分を用いた方法等、1本の走査線に対して複数レートの超音波送信を行う映像化法に基づくTHIを行うための超音波送受信条件で実行することができる。
図2を用いて、上記の処理の一例について説明する。例えば、処理回路170は、操作者からの指示や、初期設定された情報等に基づいて、第2走査範囲を4つの分割範囲(第1分割範囲〜第4分割範囲)に分割する。なお、図2に示す「B」は、Bモード用の送受信条件を用いて超音波走査(第2超音波走査)が行われている範囲を示している。また、図2に示す「D」は、カラードプラモード用の送受信条件を用いて超音波走査(第1超音波走査)が行われている範囲を示している。例えば、図2に示す「D」は、上記の高フレームレート法で行われる超音波走査が行われている範囲となる。すなわち、図2に例示する第1超音波走査は、一般的なカラードプラ法のように、超音波を同一方向に複数回送信して、複数回反射波を受信するのではなく、各走査線で超音波送受信を1回行っている。処理回路170は、第1超音波走査として、第1走査範囲を形成する複数の走査線それぞれで1回ずつ超音波送受信を行い、複数フレーム分の反射波を用いて血流情報を取得する方法(高フレームレート法)に基づく超音波走査を実行させる。
まず、処理回路170は、第2超音波走査として第1分割範囲の超音波走査を実行させ(図2の(1)を参照)、第1走査範囲(1フレーム分)の第1超音波走査を実行させる(図2の(2)を参照)。そして、処理回路170は、第2超音波走査として第2分割範囲の超音波走査を実行させ(図2の(3)を参照)、第1走査範囲(1フレーム分)の第1超音波走査を実行させる(図2の(4)を参照)。そして、処理回路170は、第2超音波走査として第3分割範囲の超音波走査を実行させ(図2の(5)を参照)、第1走査範囲(1フレーム分)の第1超音波走査を実行させる(図2の(6)を参照)。そして、処理回路170は、第2超音波走査として第4分割範囲の超音波走査を実行させ(図2の(7)を参照)、第1走査範囲(1フレーム分)の第1超音波走査を実行させる(図2の(8)を参照)。このように、処理回路170は、複数の分割範囲それぞれの第2超音波走査を、第1超音波走査の間に時分割で実行させる。なお、図2の(9)〜(16)の超音波走査は、(1)〜(8)の超音波走査の繰り返しに対応するので、説明を省略する。
ここで、処理回路170は、第1超音波走査が行われる間隔を等間隔とする。すなわち、第1走査範囲の「ある走査線」上の「点X」は、図2の(2)、(4)、(6)、(8)、(10)、(12)、(14)、及び(16)の第1超音波走査で1回ずつ走査されるが、その走査間隔は、一定の時間「T」となるように制御される。具体的には、処理回路170は、第2超音波走査で行われる各分割走査に要する時間を同一として、第1超音波走査が行われる間隔を等間隔とする。例えば、処理回路170は、図2の(1)、(3)、(5)、(7)、(9)、(11)、(13)、及び(15)で行われる第2超音波走査の分割走査に要する時間が同じ時間となるように制御する。処理回路170は、第2走査範囲を分割した各分割範囲の大きさや、走査線数、走査線密度及び深度等を同一とする。
図2に示す例では、組織像データは、第2走査範囲全体に対応する第1分割範囲「B」〜第4分割範囲「B」の第2超音波走査が行われるごとに生成される。例えば、図2の(7)までの第2超音波走査が行われると、(1)の第1分割範囲「B」、(3)の第2分割範囲「B」、(5)の第3分割範囲「B」、及び(7)の第4分割範囲「B」の情報に基づいて、第2走査範囲全体の組織像データが生成される。また、図2の(9)までの第2超音波走査が行われると、(9)の第1分割範囲「B」、(3)の第2分割範囲「B」、(5)の第3分割範囲「B」、及び(7)の第4分割範囲「B」の情報に基づいて、第2走査範囲全体の組織像データが生成される。また、図2の(11)までの第2超音波走査が行われると、(9)の第1分割範囲「B」、(11)の第2分割範囲「B」、(5)の第3分割範囲「B」、及び(7)の第4分割範囲「B」の情報に基づいて、第2走査範囲全体の組織像データが生成される。このように、処理回路170は、各分割範囲「B」の第2超音波走査が行われるごとに、各分割範囲「B」の組織像データを更新する。なお、1本の走査線に対して複数レートの超音波送信を行う映像化法に基づくTHIを行う場合は、1フレーム分の受信信号を得るための超音波送信回数が増えるため、通常のBモード撮影や、フィルタ処理によりTHIを行う場合と比較して、第2走査範囲の分割数を増やす必要がある。例えば、PM法を行う場合、第2走査範囲は、4分割から8分割に変更される。
また、移動体情報の画像(血流画像等)は、複数のフレームの同じ位置のそれぞれにおける反射波データのデータ列に対するフィルタ処理(例えば、固有ベクトル型MTIフィルタを用いたフィルタ処理)により生成される。ここで、1つの移動体情報を出力するために用いられるデータ列のデータ長は、任意に設定(変更)可能である。更に、前の時相の移動体情報を出力するために用いられるデータ列と、次の時相の移動体情報を出力するために用いられるデータ列とを重複させることが可能であり、この重複数も任意に設定(変更)可能である。
例えば、図2において、データ列のデータ長が「4」に設定され、表示されるフレーム間におけるデータ列の重複数が「2」に設定される場合について説明する。かかる場合、例えば、図2の(8)までの第1超音波走査が行われると、(2)の位置X1、(4)の位置X2、(6)の位置X3、及び(8)の位置X4のデータ列に対してフィルタ処理を行うことで、第1フレームの位置Xの移動体情報が生成される。そして、走査範囲内の各位置について移動体情報を生成することで、第1フレームの移動体情報が生成される。また、図2の(12)までの第1超音波走査が行われると、(6)の位置X3、(8)の位置X4、(10)の位置X5、及び(12)の位置X6のデータ列に対してフィルタ処理を行うことで、第2フレームの位置Xの移動体情報が生成される。そして、走査範囲内の各位置について移動体情報を生成することで、第2フレームの移動体情報が生成される。また、図2の(16)までの第1超音波走査が行われると、(10)の位置X5、(12)の位置X6、(14)の位置X7、及び(16)の位置X8のデータ列に対してフィルタ処理を行うことで、第3フレームの位置Xの移動体情報が生成される。そして、走査範囲内の各位置について移動体情報を生成することで、第3フレームの移動体情報が生成される。このように、処理回路170は、第1超音波走査が重複数「2」に対応する回数行われるごとに、データ長「4」のデータ列に対してフィルタ処理を行って、各フレームの移動体情報を生成する。
このように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、血流を高分解能、高フレームレートに映像化することにより、通常のドプラ法と比較してクラッタ成分を大幅に抑制した血流画像を得る高フレームレート法に基づく超音波走査を実行する。すなわち、超音波診断装置1は、走査範囲を形成する各走査線で1回ずつ超音波送受信を行う第1超音波走査の間に、各分割範囲の第2超音波走査を時分割で実行することにより、血流画像及び組織像を高分解能かつ高フレームレートで生成する。また、超音波診断装置1は、複数フレームの同じ位置のデータ列に対して固有ベクトル型MTIフィルタを用いたフィルタ処理を行うことにより、クラッタ成分を大幅に抑制した血流画像を生成する。
しかしながら、上記のドプラモード用の超音波走査では、例えば、所望の流速値の範囲(以下、「流速レンジ」とも表記する)で血流情報を表示することができない場合があった。具体的には、ドプラモード用の超音波走査において、所望の流速値の範囲の血流画像が得られたとしても、関心領域(Region Of Interest:ROI)の大きさや深さ方向の位置等、他のパラメータの調整によって流速値の範囲が変更されてしまう結果、所望の流速値の範囲で血流情報を表示することができない場合があった。
例えば、医師(操作者)は、低流速の血流画像を観察した際に、ある部分の血流の様子をより詳細に観察したいと考える場合がある。このような場合、血流画像の表示範囲であるROIを狭めることにより、クラッタ成分が更に低減され、より詳細な観察が可能となることが期待される。これは、上記の固有ベクトル型MTIフィルタでは、クラッタの除去に用いる相関行列を走査範囲ごとに求めているためである。つまり、ROIを狭めることにより、狭めたROIに対する相関行列が計算されるため、クラッタ除去精度の向上が期待される。このため、血流の様子をより詳細に観察したい場合には、医師は、ROIの範囲を狭める(絞る)ことで、より詳細な観察を試みる。しかしながら、ROIの範囲等のパラメータは流速値の範囲と関連しているため、これらのパラメータ変更に伴って流速値の範囲が変更されてしまう結果、所望の流速値の範囲で血流情報を表示することができない場合があった。
図3は、従来技術について説明するための図である。図3では、組織像10上で血流画像を表示するROI11の大きさが、操作者の指示により変更される場合について説明する。すなわち、図3の上段には、大きさが変更される前のROI11の血流画像を例示し、下段には、大きさが変更された後のROI13の血流画像を例示する。なお、ROI11には、血流が検出された位置に対して、その流速値に対応する画素値が割り当てられている。ROI11において検出された流速値の範囲は、スケール12によって示されている。つまり、図3の上段のスケール12は、1.5[cm/s]を上限とする範囲の血流がROI11に表示されることを示し、図3の下段のスケール12は、3.3[cm/s]を上限とする範囲の血流がROI13に表示されることを示す。
図3の上段に示す例では、1.5[cm/s]を上限とする低流速の血流の様子が、ROI11の方位方向に沿って精度良く捉えられ、表示されている。そして、ROIを狭める指示を操作者から受け付けると、図3の下段に示すように、ROI11が狭められてROI13となり、このROI13内の血流が表示される。
ここで、ROI11からROI13に方位方向の長さが狭められると、1フレーム分の走査にかかる時間が短くなるため、各フレームの走査間隔である時間「T」が短くなる(図2参照)。このため、第1超音波走査の繰り返し周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)が上昇してしまい、最大検出流速である流速レンジの上限が3.3[cm/s]に上昇してしまう。このように、流速レンジの上限が上昇する結果、ROI11で検出されていた低流速の血流画像が、ROI13では得られなくなってしまう。なお、流速レンジの上昇によって血流画像が得られなくなるのは、低流速の血流に割り当てられる画素値の幅が狭まるからである。具体的には、上限1.5[cm/s]の流速レンジによって血流画像に割り当てられていた画素値が、上限3.3[cm/s]の流速レンジでは暗い画素値の方へシフトしてしまうからである。
このように、一旦、所望の流速値の範囲の血流画像が得られたとしても、各種のパラメータが変更されることにより、所望の流速値の範囲で血流情報を表示することができなくなってしまう場合があった。
そこで、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、所望の流速値の範囲で血流情報を表示するために、以下の各処理機能を実行する。すなわち、超音波診断装置1は、流速値の範囲を変更する指示を受け付けるとともに、受け付けた流速値の範囲を、他のパラメータの変更に依らず一定に維持する調整を行う。
図1の説明に戻る。第1の実施形態に係る処理回路170は、第1受付機能171と、第2受付機能172と、調整機能173とを実行する。
第1受付機能171は、血流情報の表示において、表示される流速値の範囲を変更する第1指示を受け付ける。例えば、第1受付機能171は、入力装置102の操作に応じて、流速値の範囲(流速レンジ)の上限値を変更可能なUI(User Interface)を提供する。なお、第1受付機能171は、第1受付部の一例である。
一例として、入力装置102として、超音波診断装置1の操作パネル上のつまみを用いる場合を説明する。この場合、第1受付機能171には、つまみの回転方向と上限値の増減とが対応付けられ、つまみの回転量と上限値の変化量とが対応付けられている。ここで、上限値を増加させる方向に操作者がつまみを回転させると、第1受付機能171は、つまみの回転量に応じて上限値を増加させる。また、上限値を減少させる方向に操作者がつまみを回転させると、第1受付機能171は、つまみの回転量に応じて上限値を減少させる。なお、第1受付機能171によって提供されるUIは、上記の例に限定されるものではなく、操作者の指示によってパラメータを変更するための如何なる技術が適用されてもよい。例えば、第1受付機能171は、つまみに限らず、ボタンの操作によって流速値の範囲の上限値を変更してもよい。
第2受付機能172は、血流情報を収集するための条件(走査条件)に含まれるパラメータを変更する第2指示を受け付ける。例えば、第2受付機能172は、入力装置102の操作に応じて、ROIの大きさ、ROIの位置、ROI内の走査線(ラスタ)の数(密度)、超音波の送信周波数等、任意のパラメータを変更可能なUIを提供する。なお、第2受付機能172は、第2受付部の一例である。また、第2受付機能172の機能は、流速値の範囲の上限値を変更する指示を受け付ける点を除き、第1受付機能171の機能と同様であるので、説明を省略する。
調整機能173は、第1受付機能171が第1指示を受け付けた場合に、第1指示に応じて流速値の範囲を変更し、変更した流速値の範囲を、第2受付機能172が流速値の範囲に係るパラメータを変更する第2指示を受け付けた場合にも維持する調整を行う。例えば、調整機能173は、第2指示として、流速値の範囲が上がるような変更の指示を受け付けた場合にも、第1指示によって変更した流速値の範囲を維持する調整を行う。なお、調整機能173は、調整部の一例である。
例えば、調整機能173は、第1指示によって変更された後の流速値の範囲以外の走査条件に基づく走査線ごとの第1送受信時間(以下、適宜「T1」とも表記する)と、第1指示によって変更された後の流速値の範囲に基づく走査線ごとの第2送受信時間(以下、適宜「T2」とも表記する)とを比較し、比較結果に応じて調整を行う。第1送受信時間(T1)及び第2送受信時間(T2)は、例えば、処理回路170によって算出され、処理回路170の内部メモリに個別に保存されている。
ここで、第1送受信時間(T1)は、例えば、ROI内の各走査線で行われる超音波送受信にかかる送受信時間であり、第1指示によって変更された後の流速レンジ以外の走査条件によって決まる。例えば、上述した第1超音波走査を実行する場合、処理回路170は、超音波走査に関する各種のパラメータを算出する。また、処理回路170は、各種のパラメータを変更する第2指示に応じてパラメータを変更するとともに、変更されたパラメータに関連する他のパラメータを変更する。例えば、処理回路170は、第1超音波走査が開始される際に、装置内部で予め規定される条件や、操作者から受け付けたROIの大きさ等の条件に基づいて、超音波走査に関する各種のパラメータを算出する。また、処理回路170は、例えば、ROIを方位方向で狭める第2指示を操作者から受け付けると、受け付けた第2指示に応じて、ROIを方位方向で狭めるとともに、ROIの走査線密度を維持するために、ROI内の走査線の数を減少させる。このように、処理回路170は、組織像(Bモード画像)の深さ、ドプラモード用のROIの大きさ、ROIの位置、ROI内の走査線(ラスタ)の数、超音波の送信周波数等、各種のパラメータを決定する。第1送受信時間(T1)は、これらのパラメータとともに、処理回路170によって決定され、内部メモリにおいて保存・更新される。
また、第2送受信時間(T2)は、第1指示によって変更された後の流速レンジによって決まる送受信時間である。例えば、処理回路170は、第1指示によって流速レンジの上限が増加されると、PRFが上昇するため、第2送受信時間(T2)を短くする(短いT2を算出する)。一方、処理回路170は、第1指示によって流速レンジの上限が減少されると、PRFが低下するため、第2送受信時間(T2)を長くする(長いT2を算出する)。このように、第2送受信時間(T2)は、処理回路170によって決定され、第1送受信時間(T1)とは別に、内部メモリにおいて保存・更新される。
調整機能173は、第1送受信時間(T1)及び第2送受信時間(T2)を内部メモリからそれぞれ取得する。そして、調整機能173は、第1送受信時間(T1)及び第2送受信時間(T2)を比較する。調整機能173は、第2送受信時間(T2)が第1送受信時間(T1)より大きい場合に、走査条件に含まれる他のパラメータを維持し、第2送受信時間(T2)が第1送受信時間(T1)より小さい場合に、走査条件に含まれるパラメータである走査線の数を減少させる。以下、図4から図8を用いて、調整機能173の処理を説明する。
図4から図8は、第1の実施形態に係る調整機能173の処理を説明するための図である。図4から図8には、ROI11の超音波走査にかかる各種のパラメータを例示する。なお、図4及び図5には、第2送受信時間(T2)が第1送受信時間(T1)より大きい場合の処理を例示し、図6から図8には、第2送受信時間(T2)が第1送受信時間(T1)より小さい場合の処理を例示する。
図4では、流速レンジの上限を下げる指示が行われた場合を説明する。図4の上段に示すように、流速レンジの上限を下げる指示が行われる前には、超音波プローブ101は、ROI11内の各走査線に対して第1送受信時間(T1)で超音波の送受信を行っている。そして、第1受付機能171が流速レンジの上限を下げる指示を受け付けると、図4の下段に示すように、PRFが低下するため、第1送受信時間(T1)よりも長い第2送受信時間(T2)が処理回路170によって算出される。この場合、調整機能173は、走査条件に含まれるパラメータのうち、送受信時間を第2送受信時間(T2)に設定し、他のパラメータを維持する(変更しない)。そして、調整機能173は、第2送受信時間(T2)を設定した走査条件を送受信回路110、Bモード処理回路120、及びドプラ処理回路130へ送り、その走査条件による超音波走査を実行させる。つまり、調整機能173は、各走査線における超音波送受信を、第2送受信時間(T2)で実行させる。
このように、第2送受信時間(T2)が第1送受信時間(T1)より大きい場合、調整機能173は、他のパラメータを維持し、第2送受信時間(T2)による超音波送受信を実行させる。なお、この場合、他のパラメータを変更する指示によって第1送受信時間(T1)が長くなったとしても、第2送受信時間(T2)より大きい値にならなければ、調整機能173は、変更後の流速レンジを維持することができる。
図5では、ROIを狭める指示が行われた場合を説明する。なお、ここでは、当該指示が行われる前に、操作者によって流速レンジが変更され、第2送受信時間(T2)による超音波送受信が行われている場合を説明する。
図5の上段に示すように、ROIを狭める指示が行われる前には、超音波プローブ101は、ROI11内の各走査線に対して第2送受信時間(T2)で超音波の送受信を行っている。そして、第2受付機能172がROIを狭める指示を受け付けると、図5の下段に示すように、走査線の数が減少することによってPRFが低下するため、第1送受信時間(T1)よりも長い第2送受信時間(T2)が処理回路170によって算出される。この場合、調整機能173は、走査条件に含まれるパラメータのうち、送受信時間を第2送受信時間(T2)に設定し、他のパラメータを維持する(変更しない)。そして、調整機能173は、第2送受信時間(T2)を設定した走査条件を送受信回路110、Bモード処理回路120、及びドプラ処理回路130へ送り、その走査条件による超音波走査を実行させる。つまり、調整機能173は、各走査線における超音波送受信を、第2送受信時間(T2)で実行させる。
このように、調整機能173は、走査線の数が減少する場合には、より長い第2送受信時間(T2)を算出する。これにより、調整機能173は、各フレームの走査間隔が短くなるのを防ぎ、変更後の流速レンジを維持することができる。
図6では、流速レンジの上限を上げる指示が行われた場合を説明する。図6の上段に示すように、流速レンジの上限を上げる指示が行われる前には、超音波プローブ101は、ROI11内の各走査線に対して第1送受信時間(T1)で超音波の送受信を行っている。そして、第1受付機能171が流速レンジの上限を上げる指示を受け付けると、PRFは上昇する。ここで、走査線の数を維持しようとすると、超音波の送受信時間を維持できず、第1送受信時間(T1)よりも短い第2送受信時間(T2)が処理回路170によって算出される(図6の中段)。そこで、この場合、調整機能173は、図6の下段に示すように、走査条件に含まれる走査線の密度を減らすことで、第2送受信時間(T2)を維持する(第1送受信時間(T1)と同程度に保つ)。図示の例では、調整機能173は、走査線の数を12本から8本に減らしている。そして、調整機能173は、走査線の密度を減らした走査条件を送受信回路110、Bモード処理回路120、及びドプラ処理回路130へ送り、その走査条件による超音波走査を実行させる。
ここで、変更後の走査線の数を算出する処理を具体的に説明する。調整機能173は、まず、走査線の数を維持すると仮定した場合の不足分の送受信時間を、下記の式(1)によって算出する。なお、式(1)において、ΔTは不足分の送受信時間を表し、T1は第1送受信時間を表し、T2は第2送受信時間を表す。また、Rnum1は、流速レンジの上限を上げる指示を受け付ける前の走査線の数を表す。
ΔT=T1×Rnum1−T2×Rnum1 ・・・ (1)
続いて、調整機能173は、不足分の送受信時間(ΔT)が何本の走査線に対応するかを、下記の式(2)によって算出する。なお、式(2)において、Rnum2は、不足分の送受信時間(ΔT)で送受信可能な走査線の数を表す。
Rnum2=ΔT/T1 ・・・ (2)
そして、調整機能173は、流速レンジ変更後の走査線の数を、下記の式(3)によって算出する。なお、式(3)において、Rnum3は、流速レンジ変更後の走査線の数を表す。
Rnum3=Rnum1−Rnum2 ・・・ (3)
このように、調整機能173は、第2送受信時間(T2)が第1送受信時間(T1)より小さくなる場合には、走査線の数(密度)を減らすことにより、第2送受信時間(T2)を維持する。具体的には、調整機能173は、ROIの方位方向の長さを維持しつつ、走査線の数を減少させる。
なお、上記のように、走査線の数を減らす処理を行う場合には、調整機能173は、警告を報知させてもよい。例えば、調整機能173は、走査条件に含まれる走査線の数を減らした場合に、「画質が劣化している可能性があります」等のメッセージをディスプレイ103に表示させる。なお、調整機能173は、走査線の数を減らした場合に、常に警告を報知するのではなく、例えば、一定数の減少を許容した上で、警告を報知してもよい。つまり、調整機能173は、走査線の数(若しくは密度)の閾値を記憶しており、走査条件に含まれる走査線の数が閾値以下となった場合に、警告を報知することとしてもよい。
図7では、ROIを深さ方向へ移動させる指示が行われた場合を説明する。なお、ここでは、当該指示が行われる前に、操作者によって流速レンジが変更され、第2送受信時間(T2)による超音波送受信が行われている場合を説明する。
図7の上段に示すように、ROIを深さ方向へ移動させる指示が行われる前には、超音波プローブ101は、ROI11内の各走査線に対して第2送受信時間(T2)で超音波の送受信を行っている。そして、第2受付機能172がROIを深さ方向へ移動させる指示を受け付けると、図7の中段に示すように、ROI14の深さ方向への移動に伴って、第2送受信時間(T2)よりも長い第1送受信時間(T1)が処理回路170によって算出される。そこで、この場合、調整機能173は、図7の下段に示すように、走査条件に含まれる走査線の数(密度)を減らすことで、第2送受信時間(T2)を第1送受信時間(T1)と同程度に延長させる。図示の例では、調整機能173は、走査線の数を12本から8本に減らしている。そして、調整機能173は、走査線の密度を減らした走査条件を送受信回路110、Bモード処理回路120、及びドプラ処理回路130へ送り、その走査条件による超音波走査を実行させる。
このように、調整機能173は、第2送受信時間(T2)が第1送受信時間(T1)より小さくなる場合には、走査線の数(密度)を減らすことにより、第2送受信時間(T2)を第1送受信時間(T1)と同程度に維持する。具体的には、調整機能173は、ROIの方位方向の長さを維持しつつ、走査線の数を減少させる。これによれば、調整機能173は、例えば、ROIの大きさとフレームレートを維持しつつ、所望の流速レンジに調整することができる。
図8では、ROIを深さ方向へ移動させる指示が行われた場合を説明する。なお、図8は、図7の変形例に対応する。
図8の上段に示すように、ROIを深さ方向へ移動させる指示が行われる前には、超音波プローブ101は、ROI11内の各走査線に対して第2送受信時間(T2)で超音波の送受信を行っている。そして、第2受付機能172がROIを深さ方向へ移動させる指示を受け付けると、図8の中段に示すように、ROI14の深さ方向への移動に伴って、第2送受信時間(T2)よりも長い第1送受信時間(T1)が処理回路170によって算出される。そこで、この場合、調整機能173は、図8の下段に示すように、走査条件に含まれるROI15の方位方向を狭めることで、走査線の数を減らし、第2送受信時間(T2)を第1送受信時間(T1)と同程度に延長させる。図示の例では、調整機能173は、走査線の数を12本から8本に減らしている。そして、調整機能173は、ROIを狭めた走査条件を送受信回路110、Bモード処理回路120、及びドプラ処理回路130へ送り、その走査条件による超音波走査を実行させる。
このように、調整機能173は、第2送受信時間(T2)が第1送受信時間(T1)より小さくなる場合には、ROIの方位方向を狭めつつ走査線の数を減らすことにより、第2送受信時間(T2)を第1送受信時間(T1)と同程度に維持する。これによれば、調整機能173は、ROIの方位方向を狭めることで、画質(ラスタ密度)を維持しつつ、所望の流速レンジに調整することができる。すなわち、ROIを深さ方向へ移動させる指示はROIを目標に近づかせる行為と考えられるため、ROIが多少狭まっても弊害は少なく、むしろ画質を劣化させないというメリットがある。
図9は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の処理手順を示すフローチャートである。図9に示す処理手順は、例えば、ドプラモード用の超音波走査を開始する旨の開始指示を操作者から受け付けた場合に開始される。
ステップS101において、処理回路170は、ドプラモード用の超音波走査を開始する旨の開始指示を受け付けたか否かを判定する。ここで、ドプラモード用の超音波走査を開始する旨の開始指示を受け付けると、処理回路170は、ステップS102以降の処理を開始する。なお、ステップS101が否定される場合には、ステップS102以降の処理は開始されず、処理回路170の各処理機能は待機状態である。
ステップS101が肯定されると、ステップS102において、処理回路170は、ドプラモード用の超音波走査を実行する。例えば、処理回路170は、送受信回路110、Bモード処理回路120、及びドプラ処理回路130等を制御することで、超音波走査の制御を行う。
ステップS103において、処理回路170は、画像を表示する。例えば、処理回路170は、ドプラモード用の超音波走査によって収集した反射波データに基づき、画像生成回路140によって生成された画像をディスプレイ103に表示する。具体的には、処理回路170は、組織像を表示するとともに、組織像10上の指定された領域(ROI)に血流画像を重畳表示する。
ステップS104において、第1受付機能171は、流速レンジの変更を受け付けたか否かを判定する。ここで、流速レンジの変更を受け付けると、第1受付機能171は、ステップS105以降の処理を実行する。なお、ステップS104が否定される場合には、ステップS111の処理へ移行する。
ステップS104が肯定されると、ステップS105において、調整機能173は、第1送受信時間(T1)を処理回路170の内部メモリから取得する。この第1送受信時間(T1)は、例えば、ROI内の各走査線で行われる超音波送受信にかかる送受信時間であり、第1指示によって変更された後の流速レンジ以外の走査条件によって決まる。
ステップS106において、調整機能173は、第2送受信時間(T2)を処理回路170の内部メモリから取得する。この第2送受信時間(T2)は、例えば、第1指示によって変更された後の流速レンジによって算出される。
ステップS107において、調整機能173は、第1送受信時間(T1)及び第2送受信時間(T2)を比較し、第2送受信時間(T2)が第1送受信時間(T1)より大きいか否かを判定する。ここで、第2送受信時間(T2)が第1送受信時間(T1)より大きい場合には、調整機能173は、ステップS108の処理を実行する。一方、第2送受信時間(T2)が第1送受信時間(T1)より小さい場合には、調整機能173は、ステップS109の処理を実行する。
ステップS107が肯定されると、ステップS108において、調整機能173は、走査条件に第2送受信時間(T2)を設定する。具体的には、調整機能173は、走査条件に含まれるパラメータのうち、送受信時間を第2送受信時間(T2)に設定し、他のパラメータを維持する。これにより、調整機能173は、第2送受信時間(T2)を設定した走査条件による超音波走査を、送受信回路110、Bモード処理回路120、及びドプラ処理回路130に実行させる。
ステップS107が否定されると、ステップS109において、調整機能173は、走査線の数を減らして、第2送受信時間(T2)を第1送受信時間(T1)に近づけるように維持する。そして、調整機能173は、走査条件の走査線の数を変更する。これにより、調整機能173は、走査線の数を変更した走査条件による超音波走査を、送受信回路110、Bモード処理回路120、及びドプラ処理回路130に実行させる。
ステップS110において、調整機能173は、流速レンジを変更する。例えば、調整機能173は、第1受付機能171が受け付けた第1指示に応じて、流速レンジの上限を変更する。
ステップS111において、第2受付機能172は、流速レンジ以外の他のパラメータの変更を受け付けたか否かを判定する。ここで、他のパラメータの変更を受け付けると、処理回路170は、ステップS105以降の処理を実行する。なお、ステップS111が否定される場合には、ステップS112の処理へ移行する。
ステップS111が否定されると、ステップS112において、処理回路170は、ドプラモード用の超音波走査を終了する旨の終了指示を受け付けたか否かを判定する。ここで、ドプラモード用の超音波走査を終了する旨の終了指示を受け付けると、処理回路170は、図9の処理手順を終了する。なお、ステップS112が否定される場合には、ステップS102の処理へ移行する。
上述してきたように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、流速値の範囲を変更する指示を受け付けるとともに、受け付けた流速値の範囲を、他のパラメータの変更に依らず一定に維持する調整を行う。このため、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、所望の流速値の範囲で血流情報を表示することができる。
また、例えば、超音波診断装置1は、第1送受信時間と第2送受信時間とを比較し、比較結果に応じて調整を行う。これによれば、超音波診断装置1は、所望の流速値の範囲で血流情報を表示するために必要な送受信時間の不足分を検知するので、この不足分に応じた調整を行うことが可能となる。
図10は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の適用例を示す図である。図10では、組織像10上で血流画像を表示するROI11の大きさが、操作者の指示により変更される場合について説明する。すなわち、図10の上段には、大きさが変更される前のROI11の血流画像を例示し、下段には、大きさが変更された後のROI13の血流画像を例示する。なお、ROI11,13には、血流が検出された位置に対して、その流速値に対応する画素値が割り当てられている。ROI11,13において検出された流速値の範囲(以下、「流速レンジ」とも表記する)は、スケール12によって示されている。なお、図10では、流速レンジを変更する指示が行われた結果、流速レンジの上限が1.5[cm/s]に変更された後の処理を説明する。
図10の上段に示す例では、1.5[cm/s]を上限とする低流速の血流の様子が、ROI11の方位方向に沿って精度良く捉えられ、表示されている。そして、ROIを狭める指示を操作者から受け付けると、図10の下段に示すように、ROI11が狭められてROI13となり、このROI13内の血流が検出され、表示される。
ここで、ROI11からROI13に方位方向の長さが狭められると、第1の実施形態に係る超音波診断装置1において、調整機能173は、走査線の数の減少に応じて、より長い第2送受信時間(T2)を算出する。これにより、超音波診断装置1は、各フレームの走査間隔が短くなるのを防ぎ、変更後の流速レンジの上昇を抑えて維持することができる。したがって、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、図10の下段に示すように、低流速の血流がROI11と同程度に描出されるROI13を提供することができる。これによれば、例えば、超音波診断装置1は、医師が低流速の血流を診断に用いる場合に、医師が所望する流速の血流画像を提供することが可能となる。
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
(流速レンジを上げる指示を不可とする場合(禁止処理))
例えば、上記の第1の実施形態では、流速レンジを上げる指示にも下げる指示にも対応可能な場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、流速レンジを上げる指示を不可としてもよい。
この場合、超音波診断装置1において、調整機能173は、次のように処理を実行する。例えば、調整機能173は、第1受付機能171が受け付けた第1指示が流速値の範囲の上限を上げる指示であれば、警告を報知させ、第1指示が流速値の範囲の上限を下げる指示であれば、流速値の範囲の上限を下げ、上限を下げた流速値の範囲を、第2受付機能172が流速値の範囲に係るパラメータを変更する第2指示を受け付けた場合にも維持する調整を行う。
すなわち、調整機能173は、第1受付機能171が流速レンジの上限を下げる指示を受け付けた場合には、上述した処理によって第2送受信時間(T2)を長くする。そして、これ以降、流速値の範囲を変更する指示以外の如何なる指示を受け付けたとしても、長くした第2送受信時間(T2)を維持する。一方、調整機能173は、第1受付機能171が流速レンジの上限を上げる指示を受け付けた場合には、流速レンジを上げず、警告を報知する。これにより、超音波診断装置1は、所望の流速値まで下げることを可能にしつつも、画質が低下する可能性を排除することができる。
更に、超音波診断装置1は、流速レンジを上げる指示にも下げる指示にも対応可能な動作モードと、流速レンジを上げる指示のみを不可とする動作モードとを備えておき、これらの動作モードをUIにて選択可能にしてもよい。
更に、超音波診断装置1は、流速レンジを上げる指示にも下げる指示にも対応可能な場合(動作モード)において、流速レンジを上げる指示によって分解能を下げざるを得ない場合に、その指示を不可(禁止処理)としてもよい。例えば、装置内部で予め規定される条件や、操作者から受け付けた各種の条件により、「T1<T2」となる状況では、流速レンジを上げたとしても分解能(走査線の数)を下げる必要が無い。つまり、「T1<T2」が維持される範囲内においては、第1受付機能171が流速レンジを上げる指示を受け付けると、調整機能173は、指示に応じて流速レンジを上げる。一方、流速レンジを上げた結果、「T1>T2」となる状況では、分解能(走査線の数)を下げざるを得ない。つまり、「T1>T2」が維持できない範囲内であれば、第1受付機能171が流速レンジを上げる指示を受け付けても、調整機能173は、流速レンジを上げない(禁止処理)。このように、超音波診断装置1は、分解能を犠牲にしない範囲内では流速レンジを上げる指示にも下げる指示に対応しつつ、分解能を犠牲にせざるを得ない指示については禁止する。このため、超音波診断装置1は、分解能を犠牲にすることなく、流速レンジの上げ下げに適宜対応することができる。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上記の実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、或いは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、上記の実施形態で説明した超音波イメージング方法は、予め用意された超音波イメージングプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この超音波イメージング方法は、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この超音波イメージング方法は、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、所望の流速値の範囲で血流情報を表示することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 超音波診断装置
100 装置本体
130 ドプラ処理回路
170 処理回路
171 第1受付機能
172 第2受付機能
173 調整機能

Claims (9)

  1. 複数のフレームの同一位置のそれぞれにおける反射波データのデータ列に対してフレーム方向でフィルタ処理を行って、設定される関心領域における血流情報を収集する収集部と、
    前記血流情報の表示において、表示される流速値の範囲を変更する第1指示を受け付ける第1受付部と、
    前記関心領域に関わる設定を変更する第2指示を受け付ける第2受付部と、
    前記第1指示を受け付けた場合には当該第1指示に応じて前記流速値の範囲を変更し、且つ、前記第1指示に応じて前記流速値の範囲が変更された後に前記第2指示を受け付けた場合には前記流速値の範囲を維持する調整を行う調整部と
    を備える、超音波診断装置。
  2. 前記調整部は、前記第2指示として、前記流速値の範囲が上がるような変更の指示を受け付けた場合にも、前記第1指示によって変更した流速値の範囲を維持する調整を行う、
    請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 前記調整部は、前記第1指示によって変更された後の流速値の範囲以外の条件に基づいて決定された走査線ごとの第1送受信時間と、前記第1指示によって変更された後の流速値の範囲に基づいて決定された走査線ごとの第2送受信時間とを比較し、比較結果に応じて前記調整を行う、
    請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
  4. 前記調整部は、
    前記第2送受信時間が前記第1送受信時間より大きい場合に、前記条件に含まれるパラメータのうち送受信時間とは異なる他のパラメータを維持し、
    前記第2送受信時間が前記第1送受信時間より小さい場合に、前記条件に含まれるパラメータである走査線の数を減少させ、
    前記収集部は、前記調整部によって調整された条件で、前記血流情報を収集する、
    請求項3に記載の超音波診断装置。
  5. 前記調整部は、前記第2送受信時間が前記第1送受信時間より小さい場合に、前記血流情報を収集する領域の方位方向の長さを維持しつつ、前記走査線の数を減少させる、
    請求項4に記載の超音波診断装置。
  6. 前記調整部は、前記第2送受信時間が前記第1送受信時間より小さい場合に、前記血流情報を収集する領域の方位方向の長さを短くしつつ、前記走査線の数を減少させる、
    請求項4に記載の超音波診断装置。
  7. 前記調整部は、前記第2送受信時間が前記第1送受信時間より小さい場合に、前記走査線の数を減少させ、減少させた前記走査線の数が所定数以下になると、警告を報知させる、
    請求項4〜6のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
  8. 複数のフレームの同一位置のそれぞれにおける反射波データのデータ列に対してフレーム方向でフィルタ処理を行って、血流情報を収集する収集部と、
    前記血流情報の表示において、表示される流速値の範囲を変更する第1指示を受け付ける第1受付部と、
    前記血流情報を収集するための条件に含まれるパラメータを変更する第2指示を受け付ける第2受付部と、
    受け付けた前記第1指示が前記流速値の範囲の上限を上げる指示であれば、警告を報知させ、前記第1指示が前記流速値の範囲の上限を下げる指示であれば、前記流速値の範囲の上限を下げ、上限を下げた流速値の範囲を、前記流速値の範囲に係るパラメータを変更する前記第2指示を受け付けた場合にも維持する調整を行う調整部と
    を備える、超音波診断装置。
  9. 前記収集部は、設定される関心領域における前記血流情報を収集し、
    前記第2受付部は、前記関心領域に関わる設定を変更する指示を前記第2指示として受け付け、
    前記調整部は、前記第2受付部が前記第2指示を受け付けた場合には前記流速値の範囲を維持する、
    請求項8に記載の超音波診断装置。
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