JP6650940B2 - 検出器での化学的同定を容易にするプロセス及びシステム - Google Patents

検出器での化学的同定を容易にするプロセス及びシステム Download PDF

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Description

本発明は、イオン移動度分光分析装置(スペクトロメータ)によって検出され得る標的化学物質の同定を容易にするプロセスに関する。より具体的には、本発明は、ペンタクロロエタン・ドープト(ドープした)・ネガティブモード・イオン移動度分光分析計を用いて分析されるサンプルにおける標的化学物質の同定を容易にするため、イソフルランを使用するステップを含むプロセスに関する。
イオン移動度分光分析法(IMS:Ion mobility spectrometry)は、電場(電界)内の緩衝ガスに対するイオンの相互作用の結果としてのサイズ対電荷比により気相イオンを分離できる分析技術である。IMSは、イオン化した化学物質がイオン化装置(イオナイザー)と検出器とを分離するドリフトチャンバを横断通過するのに要する時間に基づいて化学物質を同定することができる。IMS検出器の出力は、ピーク高さ対イオン飛行時間(「ドリフト時間」)の「移動度スペクトル」としてグラフ的に可視表示することができる。
電界の影響の下にあるドリフトチャンバ内の緩衝ガスにおけるイオンの移動速度は、代表的には、イオンの物理的特性の他に、電界強度、緩衝ガスの性質、温度及び圧力によって影響される。IMSの背景における特定イオンの定性的測定は、イオン速度及び電界強度に由来するイオン移動度定数(Κ)である。一般的に、イオン移動度定数は、標準圧力及び温度に補正された測定移動度定数の対応する減少した移動度定数(Κ)として修正及び報告される。減少した移動度値、とりわけIMSから取得可能なスペクトルデータを化学物質同定目的に使用することができる。
イオン移動度分光分析装置は、多くの用途、最も顕著には化学兵器、爆発物、及び違法薬物の検出に利用されてきておりこれは、その高い感度、携帯性、簡便な操作性、迅速応答時間に起因するものであり、このことにより、軍隊、警察及び警備担当者にとって極めて有益なデバイスになっていた。イオン移動度分光分析装置は、さらに、医療診断デバイスの一部として、並びに空中浮遊汚染物の連続的モニタリングを含めて生物学的物質の検出に使用されてきた。
ドーパント(不純物)をIMSに関連して使用し、標的化学物質検出用にIMS検出器の感度及び/又は選択性を改善することができる。とくに、ドーパントは、反応領域で生成されるイオンの組成に作用して、IMS検出器のサンプルイオン化領域におけるイオン・分子の化学的性質に影響を与えることが知られており、またイオンのドリフトに作用して条件を変更することが知られている。有効なドーパントは、概して検出するための標的化学物質の選択的イオン化に至る十分な電子親和性を有するとともに、潜在的干渉をブロックする化合物であると考えられる。
代表的には、ドーパントは、先ず比較的安定した組成のイオンを形成するとともに、搬送ガス内のより低い電子親和力を有する他の種がイオン化反応に関与するのを防止し、これにより干渉を減少する。一方、標的化学物質の電子親和力はドーパント分子よりも高いので、形成されるイオンはサンプルの化学物質と反応してその後に検出される分子イオンを生成する。ドーパントの添加によれば、さらに、生成イオンのスペクトルピーク位置をシフトさせることができる。このことは、特定ドーパントがない状態で生成イオンピークがピークの重なり合うスペクトル領域に位置するとき、ドーパントの存在により生成イオンピークを引き離して同定を容易にするという利点がある。
IMSは、同時にではないが、負又は正の電界勾配をそれぞれ印加するか否かに基づいて、ネガティブモード又はポジティブモードのいずれか一方で動作することができる。歴史的に見て、イオン移動度分光分析装置内で正イオンを形成する、ひいてはポジティブモードで検出される検体の検出は、主に麻薬検出に関連してするものであるとともに、爆発物検出は、しばしばネガティブモードで行われる。それでも、ネガティブモードで動作するIMS検出器は、幅広い有用性があり、また工業化学物質及び化学兵器の検出にも使用されてきた。ポジティブモードIMS用の一般的ドーパントとしてはアセトン及びアンモニアがあるとともに、ネガティブモード用の一般的ドーパントとしては塩化物及びハロゲン化炭化水素、例えば、ヘキサクロロエタン(HCE; CAS#67-72-1)及びペンタクロロエタン(PCE; CAS#76-01-1)がある。
IMS検出器は、検出器内部温度を制御するよう加熱することができる。代案として、IMS検出器は支配的な環境因子に基づいて温度が変動するよう、非加熱式とすることができる。概して、温度が一般的により高くなる加熱式IMS検出器において、搬送ガス内における水分(湿気)の存在は、検出器の反応領域内での優占的化学物質に対しては大した効果は持たない。これは非加熱式IMS検出器とは対照的であり、非加熱式IMS検出器では搬送ガス内の水分が検出器の反応領域内の優占的化学物質に対して有意な効果を有することができる。例えば、水分レベルは、イオン化に続いて形成される反応イオンのタイプ及び割合を決定することができる。したがって、非加熱式IMS検出器はより高い携帯性を示し、また現場で容易に使用できるが、それらの耐用寿命の大部分は、その有用性に大きな影響を与え得るレベルの水分に対する被曝に費やされる。当然のことながら、水分は多くのソースから検出器内に導入され得るが、主に吸気系統の主要入口経路から導入される、又はサンプリングをしないとき吸気系統の入口薄膜を経る拡散によって導入される。さらに、水分は、例えば、若干湿気のある僅かなガス流によって意図的に導入することもできる。
HCEは、加熱式IMS検出器での使用に好適なネガティブモード・ドーパントである。HCEは、しかし、非加熱式IMS検出器では、温度変化に応答して生ずる高い水蒸気圧及びHCE結晶構造変化に起因して、ドーパントとして不向きである。PCEは、このような問題を克服することが分かっており、また非加熱式IMS検出器での使用に好適なネガティブモード・ドーパントとして浮かび上がってきている。
しかし、PCEをネガティブモードIMS検出器のドーパントとして使用することの問題点、すなわち、反応領域でO 及び自由電子が相互作用して、Cl及びCl.OOHという2つの明確に異なる反応イオン種を生成することになるという問題点が分かってきた。これらPCEに関連するイオン種は、2つの明確に異なる反応イオンピーク(RIPs)として検出され、またIMSスペクトルにおいて観測され得る。したがって、分析されたサンプルがPCEに関連するCl及びCl.OOH双方のイオンと反応することができる標的化学物質を含むとき、2つの対応する生成イオンピーク(RIPs)をIMSスペクトルでも検出及び観測され得る。
概して、ドーパントに由来する2つの反応イオン種の形成は、1つの反応種よりも好ましくなく、これは、前者がRIPs及びPIPsの検出及び同定に悪影響を与えるおそれがあるイオンピーク感度の問題に関連するからである。例えば、単独の反応イオンが形成されるだけである場合、その後に標的化学物質が単独反応イオンとの反応で生ずるPIPの大きさは通常大きく、これにより検出及びそれに続く分析を容易にする。しかし、例えば、IMS検出器のコロナ放電がドーパントに由来する2つの反応イオン種の形成に共有される場合、双方の反応イオンとの反応から形成されるPIPsの大きさは、多くのケースでかなり小さく、このことは、検出及びその後の分析を潜在的により困難なものにするおそれがある。このことは、干渉化合物の結果としてIMSスペクトルにおける有意なレベルの「ノイズ」がある場合一層ひどくなる。したがって、偽陽性/偽陰性のリスクが高まる。
さらに、IMSセル内の水分もCl及びCl.OOH反応イオン種に関連するRIPsの分解能に重要な役割を果たし、IMSセルが乾燥していればいるほどよりよい分解能となる。水分の分解能に対する効果は、よく知られている現象であるクラスタリング(集合化)の結果であって、これによりIMS検出器内における天然の分子、例えば、水、空気、二酸化炭素、及び揮発性有機化合物がドリフトチャンバを通過するイオンに関連する。イオンの周りのクラスタリングはイオン移動度に影響する。したがって、クラスタリングに対してより影響を受け易いイオンはドリフトチャンバ内での移動度が減少し、ドリフト時間をより長くする。
十分に乾燥したIMS検出器において、2つのPCE関連のイオン種であるCl及びCl.OOHの移動度は十分異なり、これにより検出の際に2つの分解されたRIPsが現れる。しかし、ドリフト領域で水分レベルがより高いとき、また環境条件に基づいて、2つのイオン種は、IMSスペクトルにおいて完全に分解されない。これは、2つのPCE関連反応イオンの水分子に対するクラスタリングが相違する結果であり、このことは、それぞれのドリフト時間に異なる程度に影響を及ぼす。一般的に、Clイオンは水分子に対してCl.OOHイオンよりもかなり多量にクラスタリングし、これによりドリフトチャンバを経るClイオンの移動度がより大きいCl.OOHイオンに類似するレベルまで減少し、幾つかのケースでIMSスペクトルにおける重なり合った単独RIPになる。
PCEをドーパントとして有効に使用できるようにするためには、2つのPCE関連のCl及びCl.OOHイオン種それぞれの形成を測定及び/又は制御できるようにし、PCE関連のイオン種のうち一方又は双方と反応できる標的化学物質に対するIMS応答性を予測し、特性PIPsを生ずるようにするのが極めて重要である。このことは、とくに、非加熱式IMS検出器がその耐用寿命の80%を検出器内の優占的化学的性質及びドリフトチャンバを通過するドリフト時間に有意な影響を与えるのに十分な水分レベルである条件の下で動作することが予想され得るときに言える。IMS応答性を予測する能力は、標的化学物質の同定を大いに支援する。例えば、時間帯(ウィンドウ)位置(イオンピークを可視化できるドリフト時間の範囲に相当する)を調整して、予想されたドリフト時間及び標的化学物質のPIPの大きさを考慮して適切であるドリフト時間範囲にわたってPIPを可視化することは可能である。このことは、偽陽性/陰性を減らし、またIMSスペクトルデータにおける信頼性を向上する点で特に有益である。
さらに、PCEをドープしたIMS検出器を動作させて、2つのPCE関連イオン種のうち一方の形成を、他方の形成よりも有利に助ける条件を調整する能力は、とくに有益である。このことは、PCE関連イオン種のうち一方を他方よりもほとんど排他的に形成することを可能にすることができ、これにより形成される対応PIPの大きさがより大きく、したがって、検出及びその後の分析を容易にし、またひいて、上述した2つのドーパント関連反応イオンを形成する不利な点を克服することができる。当然のことながら、標的化学物質がPCE関連イオン種のうち一方とのみ反応する場合、これらイオンの比を測定し、また必要ならば特定反応イオンの生成を他方の反応イオンよりも利するようIMS検出器の動作条件を調整できることは特に有利である。
代案として、PCEをドープしたIMS検出器が動作する条件は、2つの反応イオン種が所望比となるよう調整することができる。このことは、2つのPIPを大きさの特性比、又は少なくともPCEをドープしたIMS検出器の特別な動作条件セットの下で検出及び分析を容易にするのに十分大きな個別の大きさを有するよう形成することができる。このことは、分析し得る2つの時間帯位置を効果的に設けることによって、標的化学物質同定を容易にする代替的手段を提示し得る。
本発明は、イソフルラン(CAS番号:26675-46-7)としても知られている、1-クロロ-2,2,2-トリフルオロエチル・ジフルオロメチル・エーテルが、ネガティブモードのPCEドープIMS検出器において、PCE関連イオン種であるCl及びCl.OOHの比を決定する手段として有効であるという、驚くべき発見に関連する。
本発明の第1態様において、ネガティブモードで動作するペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置で形成されるCl対Cl.OOH反応イオン種の比を決定するプロセスを提供し、このプロセスは、
i) イソフルランを含む又は実質的にイソフルランから成るサンプルをペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置に導入するステップと、
ii) ペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析計に存在するCl及びCl.OOH反応イオン種との反応で形成された2つのイソフルラン単量体イオンの検出に関連するデータを収集するステップと、
iii) 収集データの評価に基づいて、ペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置内で形成されたCl対Cl.OOH反応イオン種の比を決定するステップと、
を含む。
本発明の実施形態を以下に単なる例として添付図面につき説明する。
本発明のプロセスを示すフローチャートである。 本発明により使用するイオン移動度分光分析装置を示す。 異なるPCE濃度でのPCE関連RIPsにおける大きさ及びドリフト時間、並びに異なるPCE濃度でPCEをドープしたイオン移動度分光分析装置にイソフルランを導入するときのそれぞれに対応するIMS応答性を示す一連のIMSスペクトルである。 「ウェット」条件(例えば、搬送ガスにおける水分レベルが10ppmを超えている)の下で動作するPCEをドープしたイオン移動度分光分析装置で得られる単独RIPを有するIMSスペクトルを示す。「ウェット」条件の下で動作するPCEをドープした同一イオン移動度分光分析装置で得られるイソフルランのIMS応答性も得られ、ここにおいて、単に1つのRIPしか観測されないにも関わらず、2つのイソフルラン単量体のイオンピークが識別できることが明らかである。
図1に示す実施例において、プロセスの第1ステップ101は、イソフルランを含む又は実質的にイソフルランから成るサンプルを、PCEドープト(PCEをドープした)IMS検出器内で形成されるPCE関連反応イオンCl及びCl.OOHでイオン化する。下記の化学構造式であるイソフルランは、頻繁に獣医用の麻酔に使用される麻酔薬としての用途が知られており、一般的には(R)及び(S)の光学異性体のラセミ混合物の形態で存在する。
イソフルランの特別な利点は、PCE関連反応イオンCl及びCl.OOHの双方に対して有意の選択優先傾向がなく反応し、明確に異なるイソフルラン単量体イオンを生成する点にある。したがって、イソフルランを含む又は実質的にイソフルランから成るサンプルを、PCEドープトIMS検出器内に導入し、サンプルは、PCEドープトIMS検出器における反応領域において、このPCEドープトIMS検出器内に存在するPCE関連Cl及びCl.OOH反応イオン種との相互作用の際にイオン化される。イオン化の際に、イソフルランは負の単量体イオンを形成する。本明細書における負のイソフルラン単量体イオンに対する言及は、[CF3CH(Cl)OCF2H-Cl]及び[CF3CH(Cl)OCF2H-Cl.OOH]付加物に対応する。形成される2つの負の単量体イオンの割合は、検出器内の優占的イオンの化学的性質に左右され、この化学的性質は、例えばPCEドープトIMS検出器の作動条件を調整することによって変更することができる。
図1に示すプロセスの実施例において、検出器によるイオン化の結果として形成される負のイソフルラン単量体イオンを検出するステップ102がある。一般的にネガティブモードで動作するイオン移動度分光分析装置は、イオン化装置(イオナイザー)と検出器との間におけるドリフトチャンバであって、これに沿いイオンがイオン化装置から検出器に向かって移動できる、該ドリフトチャンバと、イオンのイオン化装置からドリフトチャンバまでの通過を制御するゲートと、ドリフトチャンバ内で負の均一電界勾配を生じてイオンをイオン化装置から検出器に向けて搬送するよう構成した複数個の電極と、を備える。検出器は、分析ユニットにリンクすることができる。幾つかの実施形態において、分析ユニットはコンピュータシステムを有する。このコンピュータシステムは、コンピュータプログラム製品を含むことができ、また持続的コンピュータ可読媒体に記録することができ、またこれら持続的コンピュータ可読媒体はプロセッサをプログラムして本明細書に記載のプロセスのうち任意な1つ又はそれ以上を実施するよう動作可能であり得る。
図1に示すプロセスは、PCE関連Cl及びCl.OOH反応イオンによるイオン化の結果として形成される負のイソフルラン単量体の検出に関するデータ収集ステップ103を有する。本発明によるプロセスの一部として得られるデータは、大きさ(振幅)を含み、及び好適には、イオン化後に形成される負のイソフルラン単量体イオンがドリフトチャンバを通過するドリフト時間をも含むことができる。イオン移動度分光分析装置の検出器を分析ユニットにリンクさせる場合、分析ユニットは、PCE関連Cl及びCl.OOH反応イオンによるイオン化の結果として形成される負のイソフルラン単量体の検出に関するデータを収集するよう構成することができる。
図1に示すプロセスの実施例は、IMSにおけるCl及びCl.OOH反応イオンの比を決定するステップ104を有する。換言すれば、PCE関連Cl及びCl.OOH反応イオンの生成を支配する優占的化学性質を評価することができる。幾つかの実施形態において、プロセスのこの部分は、2つのイソフルラン単量体イオンピークの大きさの比を評価するステップを含み、2つのイソフルラン単量体イオンピークの大きさは、イオン化のために存在するCl及びCl.OOH反応イオンの量の関数である。PCEドープトイオン移動度検出器を用いてイソフルラン単量体生成イオンの比が決定されている場合、決定した比は、これに引き続き別個の質量分光分析装置(MS)分析により検証することができる。
他の態様において、本発明は、ネガティブモードで動作するペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置で形成されるCl対Cl.OOH反応イオン種の比を決定するシステムに関し、このシステムは、ペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置と、イソフルランを含む又はイソフルランから成るサンプルと、分析ユニットとを備え、この分析ユニットは、
i) イソフルランサンプル導入に引き続いてペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置に存在するCl及びCl.OOH反応イオン種によるイオン化後に形成された2つのイソフルラン単量体イオンの検出に関連するデータを収集し、また
ii) 収集データの評価に基づいて、ペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置で形成されたCl対Cl.OOH反応イオン種の比を決定する
ように構成されたものとする。
図2は、ゲート206によってドリフトチャンバ204から分離されたイオン化チャンバ202を有するイオン移動度分光分析装置200を示す。ゲート206は、イオン化チャンバ202からドリフトチャンバ204へのイオン通過を制御することができる。図2において、イオン化源210は、イオン化チャンバ202内の材料をイオン化するよう配置する。図2に示す実施例において、ドリフトチャンバ204は、イオン化チャンバ202と検出器218との間に存在して、イオンがドリフトチャンバ204を横断移動することによって検出器218に到達することができる。ドリフトチャンバ204は、ドリフトチャンバ内に電界を印加して、イオンをイオン化チャンバ202からドリフトチャンバ204に沿って検出器218に向かって移動させるようにする一連の電極220を有することができる。イオン移動度分光分析装置200は、検出器218まで移動するイオン経路とは実質的に反対方向の搬送ガスのフローを生ずるよう構成することができる。例えば、搬送ガスは検出器218に隣接する位置からゲート206に向かって流れることができる。
検出器218は、イオンがゲート206から通過してドリフトチャンバ204に沿って検出器218まで達する時間に基づいて検出されたイオンを特徴付けるのに使用することができる。検出器218の実施例は、イオンが検出器218に到達したことを示す信号を供給するよう構成する。例えば、検出器は、イオンが中和されるとき電流を発生するファラデープレートを有することができる。
電極220は、イオンを検出器218に向かって案内するよう配列することができ、例えば、電極220は、イオンを検出器218に集中させるようドリフトチャンバ204の周りに配列し得るリングを有することができる。図2の実施例は複数個の電極220を有するが、幾つかの実施例においては単に2個の電極のみ使用することができ、又は単独の電極を検出器218と組み合わせて使用し、イオンを検出器218に向けて案内する電界を印加することができる。他の電極構成も可能であり、例えば、限定はしないが、他の幾何学的形状の電極、並びに連続コーティングのような電気的抵抗性及び/又は導電性を有する(例えば、抵抗性導電体)コーティングを有する電極がある。
図1には示さないが、本発明のプロセスは、さらに、ペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置を用いて分析すべきサンプル内の標的化学物質の検出を容易にするため、決定したCl対Cl.OOH反応イオン種の比に基づいてペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置における少なくとも1つの検出パラメータを調整するステップを含むことができる。標的化学物質は、例えば、シクロトリメチレントリニトロアミン(RDX)、ニトログリセリン(NG)、若しくは2,4,6-トリニトロトルエン(TNT)のような爆発物、化学兵器又は工業用化学物質とすることができる。
幾つかの実施形態において、調整すべき少なくとも1つの検出パラメータとしては、ペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置における生成イオンドリフト時間の検出パラメータである。したがって、検出時間帯位置(すなわち、イオンピークを可視化できるドリフト時間範囲)を調整して、PCE関連Cl及びCl.OOH反応イオンの反応から形成されたPIPの可視化を改善できるようにすることができる。例えば、一方のイオンがIMS検出器の特別な動作条件の下に大きな割合で存在することがCl対Cl.OOH反応イオン種の比から決定される場合、時間帯位置は、優占的イオンとの反応から形成されたPIPの検出に従って調整することができる。代案として、例えば、形成されているCl対Cl.OOH反応イオン種の割合が類似している場合、双方のPCE関連反応イオンとの反応により形成された2つのPIPの検出用に時間帯位置を固定にすることができる。双方のケースにおいて、スペクトルデータからの標的化学物質の同定を支援する。分析ユニットがプロセスのこれら実施形態を実施する手段として実現される場合、分析ユニットは、Cl対Cl.OOH反応イオン種の比を決定し、また生成イオンのドリフト時間検出パラメータ(すなわち、検出時間帯位置)のようなIMS検出器における少なくとも1つの検出パラメータを調整するよう、構成することができる。
図1には示さないが、例示的プロセスは、さらに、イオン移動度分光分析装置の少なくとも1つの動作条件を調整して、決定したCl対Cl.OOH反応イオン種の比に基づいてペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置におけるCl又はCl.OOH反応イオン種のうち一方の形成を利するようにするステップを含むことができる。調整すべき少なくとも1つの動作条件としては、例えば、a)イオン移動度分光分析装置の反応領域におけるPCEドーパントの濃度、b)全搬送ガス量、c)搬送ガス流量(流速)、d)イオン移動度分光分析装置内へのPCEドーパントの注入位置及び/又は方向、若しくはe)イオン移動度分光分析装置における水分レベル、又はそれらの組合せから選択することができる。当業者には当然理解できるとおり、若干湿気があるガスの僅かなフローをイオン移動度分光分析装置内に注入し、これによりイオン移動度分光分析装置が動作する総湿度を調整できる。しかし、湿度が上昇すると分解能に悪影響を及ぼすので、調整すべき動作条件は上述したa)〜d)から選択するのが好ましい。
IMS検出器の動作条件を調整することによってPCE関連反応イオンの形成を制御できることは、そのときの環境条件の観点から、並びに分析すべきサンプルにおける標的化学物質の性質に基づいて、IMS検出器の優占的化学的性質を仕立てることができるため、とくに有利である。当然のことながら、標的化学物質がPCE関連反応イオンのうち一方とのみ反応する場合、その特別な反応イオンを他方の反応イオンよりも生成を利するようIMS検出器の動作条件を調整できる点で特に有利である。
IMS検出器の反応領域におけるPCEドーパントの濃度は、IMS検出器内での優占的な化学的性質に対する効果を有する。とくに、少なくとも幾つかの場合、PCEドーパントの濃度は、Cl又はCl.OOH反応イオン種のうちどちらか一方の形成が他方よりも優先されるか否かを決定する。PCE濃度は、PCE関連Cl及びCl.OOHのRIPsの大きさ比に影響する。このことを図3に示す。PCEドーパント濃度の変化は、形成されるPCE関連Cl及びCl.OOHイオン種の相対的割合に影響する。このことは、図3の頂部における2つのIMSスペクトルを比較するとはっきりと分かる。同様に、図3の底部におけるスペクトルの対応するそれぞれのイソフルラン応答性も、イソフルラン単量体イオンピークの大きさ比における対応の変化を示す。
したがって、検出器内における優占的な化学的性質を変更できる程度までのPCEドーパント濃度は、IMSスペクトルで観測されるPCE関連RIPsの大きさ比に影響する。図3に示すように、このことは、イソフルランの対応するそれぞれのIMS応答性に反映され得るものであり、この場合、水分レベル、搬送ガス量及び流量、並びにPCE注入の方向のような他の条件は一定であるものとする。
当業者には、総搬送ガス量、搬送ガス流量(流速)、又はイオン移動度分光分析装置内へのPCEドーパント注入の場所及び/若しくは方向を調整することはイオン移動度分光分析装置の反応領域内でのドーパント分布を取扱い操作する上での既知の方法である。したがって、イオン移動度分光分析装置の若干の最適領域は、これら動作条件のうち任意なものを調整することによって狙うことができ、これによりイオン化領域における反応の性質を変更することができる。したがって、イオン移動度分光分析装置内の優占的な化学的性質は、動作条件を調整することによって容易に変更することができる。このようにして、当業者であれば、2つのPCE関連反応イオンのうち一方の形成を他方よりも利するように動作条件を調整することができる。
驚くべきことに、IMS検出器内の水分レベルによっては、イソフルラン単量体イオンピークの分解能は影響を受けないことが分かった。イオン移動度分光分析装置のドリフト領域に存在する水分子に対して異なるクラスタリングを示すCl及びCl.OOH反応イオンとは違って、対応のイソフルラン単量体イオンである、[CF3CH(Cl)OCF2H-Cl]及び[CF3CH(Cl)OCF2H-Cl.OOH]は、同程度のクラスタリングを示す。したがって、イオン移動度分光分析装置のドリフト領域における水分レベル及びクラスタリングの程度には無関係に、より可動性のある[CF3CH(Cl)OCF2H-Cl]は可動性の少ない[CF3CH(Cl)OCF2H-Cl.OOH]よりもドリフト時間が短い。
このことを図4に示す。「ウェット」IMSシステム(例えば、搬送ガスにおける水蒸気量が10ppm以上)において、Cl及びCl.OOH反応イオンに対するRIPsは、完全には分離せず、単独RIPとしてのみ現れる。したがって、RIPの下でイオン種比を正確に決定することは不可能である。これとは対照的に、イソフルランのIMS応答性において、明確に異なるイソフルラン単量体ピークは識別可能であり、これにより単量体イオンピークの大きさ比は依然として決定できる。したがって、とくに、図4に示すように、Cl及びCl.OOHイオン種に対応する反応イオンピークが完全に分離されないとき、PCEドープトIMSにおいてCl及びCl.OOH反応イオンの比を決定するためにイソフルランを使用することは有益である。このことは、2つのPCE関連RIPが別個に識別可能であるときでも言えるが、ピークが少なくとも部分的にしか分離しないピークの重なり合いはある。少なくとも部分的にしか分離しないでいるピークに言及する場合、これは、IMSスペクトルにおいて複数個のピークのオーバーラップ(重なり合い)があり、そのオーバーラップは、少なくともオーバーラップしたピークの下での面積が、一方のイオン検出を他方のイオン検出よりも完全に帰することができない程度のものである場合を意味することを意図する。
したがって、イソフルラン単量体イオンピークの大きさ比を使用して、イオン移動度分光分析装置の反応領域におけるCl及びCl.OOH反応イオンの比を正確に決定することができ、これはすなわち、単量体量の多さが、存在するCl及びCl.OOH反応イオンの量の関数になっているからである。イオン移動度分光分析装置の反応領域で形成されたCl及びCl.OOH反応イオンの割合(すなわち、Cl及びCl.OOH反応イオンの比)を理解することは、優占的な化学的性質の完全な認識を与え、またイオン移動度分光分析装置の特別な動作条件の下においてCl及びCl.OOH反応イオン双方と反応できる標的化学物質に対するIMS応答性をよりよく予測することを可能にする。
例えば、Cl及びCl.OOH反応イオンの比をIMS検出器の特別な動作条件(温度及び圧力を含む)で決定した後、特別な標的化学物質の生成イオンのドリフト時間に関して予測を行うことができる。このことは、例えば、先ず特別な生成イオンの選択に基づき、この選択に引き続いて検出を最適化することができる。例えば、PCE関連反応イオンのうち一方がより高い割合で存在することを決定する場合、そのイオンとの反応により形成された対応の生成イオンは、検出に好ましいと選択され得る。このステップ後に、それらの動作条件の下でのその特別な標的化学物質の生成イオンに関する予め計算したドリフト時間に基づいて、又は標的化学物質の生成イオンの既知の減少した移動度値に基づいて、ドリフト時間の適切な範囲を可視化するため時間帯位置決めを調整することができる。随意的に、適切な時間帯選択は、例えば、内部機器標準を有するIMS検出器の較正(キャリブレーション)ステップ後に調整することができる。
さらに、Cl及びCl.OOH反応イオンの比を正確に決定する能力によれば、所望どおりにCl及びCl.OOH反応イオンの割合を変化させるよう、動作条件の調整を可能にする。このことは、PIPs可視化が、動作条件を調整することでCl及びCl.OOH反応イオンの割合を変化させ、またこれにより観測されるPIPsの大きさ比を変化させることにより、IMSスペクトルにおけるノイズに対するPIPs可視化を改善できるという利点になり得る。さらに、動作条件を調整して、イオン移動度分光分析装置の反応領域における優占的なイオンの化学的性質の結果として生ずる変化を知得することによって、多数回分析を使用することができ、また結果として生ずるPIPの大きさ比の変化を評価して標的化学物質の存在をより容易に同定できるようになる。このことは、偽陽性/陰性の可能性を一層減少することができる。
当業者には理解されると思われるが、本明細書でCl対Cl.OOH反応イオン種の比に言及する場合、この比はイオン個数比である。
本発明プロセスは、非加熱式及び加熱式のイオン移動度分光分析装置に使用するのに適している。しかし、本発明プロセスは、外気温度で動作する非加熱式イオン移動度分光分析装置での使用に特に適している。イオン移動度分光分析装置の用途を考慮すると、しばしば外気温度は、例えば、-10℃〜40℃を含む-30℃〜50℃にもわたる極めて幅広い温度であり得る。この温度範囲は、標的化学物質のPIPsのピーク位置決め(ドリフト時間)に有意な作用を及ぼす。加熱式イオン移動度分光分析装置におけるように温度を固定することによって、変動する温度の結果としてのピーク位置決めの変化は大幅に減少される。それにもかかわらず、イソフルランは揮発性を有し、この揮発性によりイソフルランは、幅広い温度範囲にわたり動作するイオン移動度分光分析装置での使用に適したものになる点でも特に有利である。
本明細書に記載のPCEドープトイオン移動度分光分析装置は、例えば、分子篩のような乾燥剤を有して、ドリフトチャンバ内の搬送ガスを乾燥させることができる。さらに、当業者には理解できるように、こすり洗い機を採用して揮発性有機材料による汚染を減少することができる。これらコンポーネントは、ドリフトチャンバ内の汚染及び/又はドリフトチャンバ内のイオン周りに対する天然分子のクラスタリングレベルを減少することができる。
当然のことながら、PCEドープトイオン移動度分光分析装置におけるイオン化源は、イオン化用の任意の適当なソースから選択することができる。例えば、63Niフォイル電気スプレーによるイオン化源、コロナ溶射及びコロナ放電によるイオン化源、マトリクス支援レーザー脱着イオン化源、又は光イオン化源のような、放射能源を使用することができる。
本発明のPCEドープトイオン移動度分光分析装置における検出器は、単にファラデーカップとして機能するプレートとすることができる。しかし、当然のことながら、本発明によれば他の検出器、例えば、質量分析装置を代替的又は付加的に使用することができる。
PCEドープトイオン移動度分光分析装置は、PCEドーパント及び/又はイソフルランサンプルをイオン移動度分光分析装置に供給する蒸気発生器を有することができるが、当業者には分かっている任意の適当な手段を使用することができる。幾つかの用途において、蒸気発生器を高速にオン・オフの切り換えをして、イオン移動度分光分析装置のスイッチオフになるときの蒸気漏洩を防止できるようにすることが重要である。例えば、蒸気発生器の高速にオン・オフ切り換えによれば、異なるレベルのドーパントのような異なるドーピング条件間での高速切り換えを可能にする。さらに、このような高速切り換えによれば、装置がスイッチオフになるときの装置における非ドープ領域への漏洩がないように確実にすることによって、イオン移動度分光分析装置の異なる領域をドープすることもできる。
本発明の実施形態において、ドーパント及び/又はイソフルランサンプルはオンデマンド型蒸気発生器によって検出装置に導入することができ、このオンデマンド型蒸気発生器は、検量体サンプルを含み、流路に接続し、蒸気をインピーダ経由で蒸気を検出装置に分配するための出口に供給するようにした蒸気源を備える。インピーダは、蒸気を蒸気源から出口に拡散するのを阻害するよう配列した第1蒸気透過通路を有することができる。第1蒸気透過通路は、蒸気を例えば吸収によって取り込むことができる材料を含むことができる。吸収は、表面への蒸気吸収、化学吸収、化学的作用又は分子作用による蒸気取込み、及び多孔質材料内への少なくとも一時的な捕獲のうち少なくとも1つで行う。蒸気透過通路は、圧力差(例えば、単なる濃度差に対向するようポンプ送り又は強制的なフロー)によって蒸気源から出口に拡散バリア経由で蒸気が駆動され得るよう構成される。
蒸気発生器は、さらに、シンクとして作用するよう第1蒸気透過通路に接続した少なくとも1個の追加蒸気透過通路を有することができる。このシンクは、蒸気拡散を出口から反らすよう蒸気を取り込み得る材料を有することができる。幾つかの実施形態において、第1蒸気透過通路及びシンクは、出口と蒸気源との間の圧力差に応答して、蒸気フローを第1蒸気透過通路から出口に駆動することへの抵抗が蒸気フローをシンクに駆動することへの抵抗よりも小さくなるよう配列する。幾つかの実施形態において、流路は、蒸気源を第1蒸気透過通路に接続する分岐、及びシンクを含む閉じた分岐を有する。幾つかの実施形態において、シンクは少なくとも1個の第2蒸気透過通路を有し、蒸気源は蒸気チャンバを有し、インピーダは吸収アセンブリを有する。本発明に関連して使用するのが好ましい好適なオンデマンド蒸気発生器は国際公開第2014/045067号に記載されている。
他の態様において、本発明は、標的化学物質同定用にネガティブモードで動作するペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置の少なくとも1つの検出パラメータを最適化するために、イソフルランを使用する方法に関連する。好適には、最適化すべき検出パラメータはドリフト時間パラメータ(すなわち、時間帯位置)である。このような使用方法は、上述したように、標的化学物質のIMS応答性を予測するよう、ペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置内で形成されたCl対Cl.OOH反応イオンの比を決定するステップを含む。したがって、イソフルランを含む又はイソフルランから成るサンプルをペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置に導入することができ、Cl及びCl.OOH反応イオン種との反応で形成された2つのイソフルラン単量体イオンの検出に関連するデータを取得し、また評価することができる。好適には、データは、ペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置から取得したスペクトルデータにおける2つのイソフルラン単量体イオンピークに関するピーク大きさの比を含むものとする。
上述した本発明の実施形態は、任意な他の両立し得る実施形態を組み合わせて本発明の他の実施形態を形成することができる。

Claims (17)

  1. ネガティブモードで動作するペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置で形成されるCl−対Cl−.OOH反応イオン種の比を決定するプロセスであって、
    i) イソフルランを含む又はソフルランから成るサンプルを前記ペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置に導入するステップと、
    ii) 前記ペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置に存在するCl−及びCl−.OOH反応イオン種との反応で形成された2つのイソフルラン単量体イオンの検出に関連するデータを収集するステップと、
    iii) 収集データの評価に基づいて、ペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置内で形成されたCl−対Cl−.OOH反応イオン種の比を決定するステップと、を含む、プロセス。
  2. 請求項1記載のプロセスにおいて、収集したデータは、前記ペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置から取得したスペクトルデータにおける2つのイソフルラン単量体イオンピークのピーク大きさ比を含んでいる、プロセス。
  3. 請求項1又は2記載のプロセスにおいて、Cl−及びCl−.OOH反応イオンに対応する反応イオンピークは、前記ペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置から取得したスペクトルデータで少なくとも部分的にしか分離されていない、プロセス。
  4. 請求項3記載のプロセスにおいて、搬送ガスにおける水蒸気の量は10ppm以上である、プロセス。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、さらに、前記ペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置を用いて分析すべきサンプルにおける標的化学物質の検出を容易にするよう、前記決定したCl−対Cl−.OOH反応イオン種の比に基づいて、前記ペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置の少なくとも1つの検出パラメータを調整するステップを含む、プロセス。
  6. 請求項5記載のプロセスにおいて、前記標的化学物質は、爆発物、化学兵器、又は工業用化学物質から選択される、プロセス。
  7. 請求項6記載のプロセスにおいて、前記標的化学物質は、シクロトリメチレントリニトロアミン(RDX)、ニトログリセリン(NG)、及び2,4,6-トリニトロトルエン(TNT)よりなるグループから選択される爆発物であるものとする、プロセス。
  8. 請求項5〜7のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記少なくとも1つの調整すべき検出パラメータは、前記ペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置における生成イオンのドリフト時間検出パラメータとする、プロセス。
  9. 請求項1〜8のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、さらに、前記決定したCl−対Cl−.OOH反応イオン種の比に基づいて、前記ペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置におけるCl−又はCl−.OOH反応イオン種のうち一方の形成に利するよう、イオン移動度分光分析装置の少なくとも1つの動作条件を調整するステップを含む、プロセス。
  10. 請求項9記載のプロセスにおいて、前記調整すべき少なくとも1つの動作条件は、a)イオン移動度分光分析装置の反応領域におけるPCEドーパントの濃度、b)全搬送ガス量、c)搬送ガス流量(流速)、d)イオン移動度分光分析装置内へのPCEドーパントの注入位置及び/又は方向、若しくはe)イオン移動度分光分析装置における水分レベル、又はそれらの組合せから選択する、プロセス。
  11. 請求項1〜10のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記サンプルはソフルランから成るものとする、プロセス。
  12. 請求項1〜11のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、記サンプルを、オンデマンド蒸気発生器によってイオン移動度分光分析装置に導入する、プロセス。
  13. ネガティブモードで動作するペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置で形成されるCl−対Cl−.OOH反応イオン種の比を決定するシステムであって、前記システムは、
    ペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置と、
    イソフルランを含む又はイソフルランから成るサンプルと、
    分析ユニットと、
    を備え、前記分析ユニットは、
    i) イソフルランサンプル導入に引き続いてペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置に存在するCl−及びCl−.OOH反応イオン種によるイオン化後に形成された2つのイソフルラン単量体イオンの検出に関連するデータを収集し、また
    ii) 収集データの評価に基づいて、ペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置で形成されたCl−対Cl−.OOH反応イオン種の比を決定する
    ように構成されたものとする、システム。
  14. 請求項13記載のシステムにおいて、さらに、ドーパント及び/又はイソフルランを含む又はイソフルランから成る前記サンプルをイオン移動度分光分析装置内に導入するオンデマンド蒸気発生器を備える、システム。
  15. 請求項13又は14記載のシステムにおいて、前記分析ユニットはコンピュータシステムを有する、システム。
  16. 請求項13〜15のうちいずれか一項記載のシステムにおいて、前記サンプルはソフルランから成る、システム。
  17. 標的化学物質を同定するよう、ネガティブモードで動作するペンタクロロエタン・ドープト・イオン移動度分光分析装置の少なくとも1つの動作パラメータを最適化するためにイソフルランを使用する、方法。
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