JP6649485B2 - 光治療装置 - Google Patents

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Description

本発明は光照射療法に用いる光治療装置に関するものである。
新生児黄疸、乾癬、ニキビ等の疾患治療や、痛みの緩和、美容理容等、多様な目的で光照射が利用されている。具体的には、新生児黄疸治療には緑色光および青白色光が、乾癬治療には紫外光が、ニキビ治療には青色光、赤色光、および黄色光が用いられている。このように、用途によって種々の光源が用いられている。
例えば、エキシマーランプやアーク灯等の光源の場合には、固定された光源に対して、一定の距離を置いて患部を配置し、治療光を照射する。しかし、このようなランプ型の光源を用いる場合には、照射面積が大き過ぎて患部以外にも治療光が当たるため、正常部位に対する種々の副作用が懸念される。したがって、正常部位への治療光の照射を防ぐ何らかの遮蔽対策が必要であり、治療に時間と手間がかかることとなる。
例えば、顔の一部にできた疾患を治療する場合、正常部位である目を保護するアイマスク(目隠し)が必要であり、さらに、顔の正常部位を保護するために、顔の患部のみを露出するようにしたマスクも必要となる。また、患者は治療のために身体を拘束された状態で、数十分の間ほぼ不動の姿勢を保つ必要があり、治療のためとはいえ、好ましい経験ではない。
また、患部が、例えば、腕や足のように湾曲した表面を有する場合には、表側、裏側、横側等部位によっては、ランプ型の照射装置では、患者に無理な姿勢を強いることになりかねない。また、湾曲部を有する患部のランプに対する角度や距離によって、患部の位置毎に照射強度が異なるので、患部全体に対して均一な治療光の照射を行うのが難しい場合がある。さらに、このようなランプ型の光源を用いた装置は、電源や冷却装置等の付属装置も多く、大型であるため、設置するためには大きなスペースを要するとともにその価格も高額である。
以上のような背景により、患部を直接覆って、光照射を行うことができる幾つかの技術が提案されている。例えば、特許文献1には、光源となるLEDをフィルム基板上に多数配置した光学パッドを患部に巻きつけて光照射する柔軟性のある光治療装置が開示されている。また、特許文献2には、光源となるLEDをフィルム基板上に配置し、患部とLEDとの間に光透過物質を挟み、これによりLEDが発する光を患部に伝えることができる光治療装置が開示されている。
国際公開公報「WO2001014012A1(2001年3月1日公開)」 国際公開公報「WO2012023086A1(2012年2月23日公開)」
しかしながら、上述した従来技術においては、患部に直接接触せずに治療を施すことができないといった問題がある。
すなわち、特許文献1、2の構成では、治療に際して、光学パッドあるいは光透過物質が直接患部に接触する。そのため、患部が潰瘍となっていたり、患部が隆起していたりすると、患者が痛みを感じたり、患部が圧迫されたりする。
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、患部を直接覆って、光照射を行う光治療装置において、治療対象部である患部に直接接触することなく治療を施すことができる光治療装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る光治療装置は、治療のための光を照射する光照射モジュールと、前記光照射モジュールの光出射側に配設され、身体の表面と接触して前記光照射モジュールと前記身体の表面における治療対象部との距離を一定に保つスペーサと、を備え、前記スペーサにおける前記身体の表面と接触する面に、前記治療対象部と当該スペーサとの接触を回避するための開口部が形成されており、前記スペーサは、前記光を透過する光透過性を有し、前記開口部の周囲のスペーサ表面には遮光材が配置されており、前記開口部は、前記身体の表面と接触する面に形成された凹部であることを特徴としている。本発明の一態様に係る光治療装置は、治療のための光を照射する光照射モジュールと、前記光照射モジュールの光出射側に配設され、身体の表面と接触して前記光照射モジュールと前記身体の表面における治療対象部との距離を一定に保つスペーサと、を備え、前記スペーサにおける前記身体の表面と接触する面に、前記治療対象部と当該スペーサとの接触を回避するための開口部が形成されており、前記スペーサは、前記光を透過する光透過性を有し、前記開口部は、前記身体の表面と接触する面に形成された凹部であり、前記スペーサは、格子状に形成され、前記開口部が、格子部分を切断することで形成されることを特徴としている。本発明の一態様に係る光治療装置は、治療のための光を照射する光照射モジュールと、前記光照射モジュールの光出射側に配設され、身体の表面と接触して前記光照射モジュールと前記身体の表面における治療対象部との距離を一定に保つスペーサと、を備え、前記スペーサにおける前記身体の表面と接触する面に、前記治療対象部と当該スペーサとの接触を回避するための開口部が形成されており、前記スペーサは、前記光を透過する光透過性を有し、前記開口部は、前記身体の表面と接触する面に形成された凹部であり、前記開口部の内面に凹凸形状を有することを特徴としている。本発明の一態様に係る光治療装置は、治療のための光を照射する光照射モジュールと、前記光照射モジュールの光出射側に配設され、身体の表面と接触して前記光照射モジュールと前記身体の表面における治療対象部との距離を一定に保つスペーサと、を備え、前記スペーサにおける前記身体の表面と接触する面に、前記治療対象部と当該スペーサとの接触を回避するための開口部が形成されており、前記開口部の周囲のスペーサ表面には遮光材が配置されており、前記スペーサは、前記光を透過する光透過性を有し、前記光照射モジュールは、可撓性を有するフィルム基板と該フィルム基板に搭載された複数の発光素子とを備え、前記複数の発光素子は、前記開口部に対応する部分の外側にも配置されていることを特徴としている。本発明の一態様に係る光治療装置は、治療のための光を照射する光照射モジュールと、前記光照射モジュールの光出射側に配設され、身体の表面と接触して前記光照射モジュールと前記身体の表面における治療対象部との距離を一定に保つスペーサと、を備え、前記スペーサにおける前記身体の表面と接触する面に、前記治療対象部と当該スペーサとの接触を回避するための開口部が形成されており、前記スペーサは、前記光を透過する光透過性を有し、前記光照射モジュールは、可撓性を有するフィルム基板と該フィルム基板に搭載された複数の発光素子とを備え、前記複数の発光素子は、前記開口部に対応する部分の外側にも配置されており、前記スペーサは、格子状に形成され、前記開口部が、格子部分を切断することで形成されることを特徴としている。本発明の一態様に係る光治療装置は、治療のための光を照射する光照射モジュールと、前記光照射モジュールの光出射側に配設され、身体の表面と接触して前記光照射モジュールと前記身体の表面における治療対象部との距離を一定に保つスペーサと、を備え、前記スペーサにおける前記身体の表面と接触する面に、前記治療対象部と当該スペーサとの接触を回避するための開口部が形成されており、前記スペーサは、前記光を透過する光透過性を有し、前記光照射モジュールは、可撓性を有するフィルム基板と該フィルム基板に搭載された複数の発光素子とを備え、前記複数の発光素子は、前記開口部に対応する部分の外側にも配置されており、前記開口部の内面に凹凸形状を有することを特徴としている。本発明の一態様に係る光治療装置は、治療のための光を照射する光照射モジュールと、前記光照射モジュールの光出射側に配設され、身体の表面と接触して前記光照射モジュールと前記身体の表面における治療対象部との距離を一定に保つスペーサと、を備え、前記スペーサにおける前記身体の表面と接触する面に、前記治療対象部と当該スペーサとの接触を回避するための開口部が形成されており、前記スペーサは、格子状に形成され、前記開口部が、格子部分を切断することで形成されることを特徴としている。本発明の一態様に係る光治療装置は、治療のための光を照射する光照射モジュールと、前記光照射モジュールの光出射側に配設され、身体の表面と接触して前記光照射モジュールと前記身体の表面における治療対象部との距離を一定に保つスペーサと、を備え、前記スペーサにおける前記身体の表面と接触する面に、前記治療対象部と当該スペーサとの接触を回避するための開口部が形成されており、前記スペーサは、前記光を透過する光透過性を有し、当該光治療装置は、前記光を遮蔽する光遮蔽部をさらに備え、前記光遮蔽部は、前記光照射モジュールおよび前記スペーサを、前記開口部あるいは前記開口部とその縁を除いて覆っており、前記光遮蔽部は、少なくとも前記スペーサと接する面は、前記光を反射する材質で構成されていることを特徴としている。
本発明の一態様によれば、治療対象部である患部に直接接触することなく治療を施すことができる光治療装置を提供することができるという効果を奏する。
実施形態1に係る光治療装置の身体装着時の状態を示す鳥瞰図である。 上記光治療装置の身体装着時の状態を示す概略断面図である。 上記光治療装置の身体装着時の状態を示す平面図である。 上記光治療装置の装置本体の断面図である。 上記光照射モジュールの平面図である。 図5に示す光照射モジュールの裏面における平面図である。 (a)は、実施形態2に係る光治療装置のスペーサの平面図であり、(b)は、(a)に示すスペーサの断面図である。 図7に示すスペーサにスペーサ開口部を設けた状態を示す平面図である。 実施形態3に係る光治療装置の光照射モジュールの平面図である。 図9に示す光照射モジュールの裏面における平面図である。 実施形態4に係る光治療装置のスペーサの平面図である。 実施形態4に係る光治療装置の装置本体の断面図である。 実施形態5に係る光治療装置の装置本体の断面図である。 実施形態6に係る光治療装置の装置本体の断面図である。 図14に示す光治療装置の変形例の装置本体の断面図である。 実施形態7に係る光治療装置の装置本体の断面図である。 図16に示す光治療装置の変形例の装置本体の断面図である。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各実施形態に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付記し、適宜その説明を省略する。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1について、図1〜6を参照して説明する。なお、比較的小面積の皮膚疾患に対して、光照射モジュールによる光照射治療を、患部に対して非接触で実施する場合を例に挙げ、本発明の実施形態を説明する。図1は、実施形態1に係る光治療装置100の身体装着時の状態を示す鳥瞰図である。より詳しくは、光治療装置100を身体に装着し、手、足、顔等の身体1に生じた患部2(治療対象部)を治療する際の状態を示す鳥瞰図である。図2は、光治療装置100の身体装着時の状態を示す概略断面図である。より詳しくは、図1のA−A’の部分の断面図に電源部20の機能ブロックを加えたものである。
(光治療装置の構成)
本実施形態に係る光治療装置100は、図1および図2に示すように、スペーサ3、光照射モジュール4、遮光材5(光遮蔽部)、本体固定材6、保冷材7、保冷材固定材8、電源部20、および信号線23を備えている。
光照射モジュール4は、電源部20から電流が供給されることで治療のための光を照射するものである。光照射モジュール4は、信号線23を介して電源部20と接続されており、電源部20より所定の電流を供給されると光を照射する。
スペーサ3は、光照射モジュール4における光出射側、つまり、患部2と対向する側に配設されており、患部2を有する身体1の表面と接触して光照射モジュール4と患部2との距離を一定に保つものである。そして、スペーサ3には、患部2とスペーサ3との接触を回避するためのスペーサ開口部(開口部)31が形成されている。換言すると、スペーサ3が身体1の表面に接触した状態で患部2が入り込むスペーサ開口部31が形成されている。スペーサ開口部31は、スペーサ3における患部2側の面の中央付近に形成されている。なお、図2では、スペーサ3は、遮光材5を介して身体1の表面と間接的に接触しているが、このような間接的な接触も上記接触に含まれる。スペーサ3の役割は、光照射モジュール4と患部2との間の距離、および光照射モジュール4と患部2の周辺の身体1の表面との間の距離を一定に保つことである。これにより、光照射モジュール4の発光時に発生する熱が、患部2または患部2の周辺の身体1の表面に伝わることを防ぎ、光照射強度の分布を均一化することができる。なお、スペーサ3の下面が、身体1の表面と直接接触するか、または、間接接触するかは、どちらでも構わない。
スペーサ開口部31が設けられることで、患部2はスペーサ3および光照射モジュール4と直接接触することがない。患部2とスペーサ開口部31とが対向するように配置されることで、患部2が空気層を挟んで光照射モジュール4と対向し、光照射モジュール4からの光照射を受けることができる。
遮光材5は、光照射モジュール4からの光を遮蔽するもので、積層されたスペーサ3および光照射モジュール4を、光照射モジュール4の背面側から覆う。遮光材5でスペーサ3および光照射モジュール4を覆うことにより、光照射モジュール4が出射した光が、スペーサ開口部31が形成されている、身体1に向かう側の面以外から外部に漏れることを防ぐことができる。光照射モジュール4が治療時に発する光は強力であるため、患者や医療従事者は特別な保護具を装着してこれを防ぐが、光りが外部に漏れにくくなるので、このような特別な保護具の装着が必要なくなる。
また、遮光材5は、スペーサ3における患部2側の面において、スペーサ開口部31あるいはスペーサ開口部31とその縁を除いて覆う。これにより、光照射モジュール4からの光が照射されることによる、患部2の周辺の皮膚の正常な部位への不要な光照射を低減し、皮膚の正常な部位への副作用を低減することができる。なお、患部2に直接接触せずに光治療を実施する上では、遮光材5は必須ではない。例えば、遮光材5を用いずに、本体固定材6および/または保冷材固定材8に遮光性を持たせることによっても、外部への治療光の漏洩を防止することができるからである。また、患部2の周辺の正常部位への副作用を防止することに関しても、身体1の表面に、遮光材5とは別の遮光材を配置することによって、外部への治療光の漏洩を防止することができる。
本体固定材6は、積層された光照射モジュール4とスペーサ3とが遮光材5にて覆われてなる装置本体9を身体1に固定させるものである。
保冷材7は、光照射モジュール4を冷却するものである。保冷材7は、本体固定材6にて身体1に固定された装置本体9の背面を覆うように配設され、保冷材固定材8が、このように配設された保冷材7を身体1に固定させる。
後述する図3においては、本体固定材6および保冷材固定材8として、それぞれ皮膚に粘着させるタイプのものを例示する。ただし、本体固定材6を保冷材固定材8に粘着させ、本体固定材6が粘着させた保冷材固定材8を皮膚に粘着させることで、光治療装置100を皮膚に固定させてもよい。これにより、皮膚に対して粘着する部分の面積を最小限にすることができる。また、この場合、予め本体固定材6を保冷材固定材8に粘着させておくので、本体固定材6を皮膚に粘着させる作業を行う必要がない。そのため、光治療装置100を身体1に装着させるときの手間を低減させることができる。また、本体固定材6を省いて、装置本体9の上に直接、保冷材7を載せた状態で、保冷材固定材8によって、装置本体9および保冷材7を身体1に固定することもできる。光照射モジュール4の発熱が少なく、保冷材7が不要である場合では、保冷材固定材8を省略することができる。
電源部20は、光照射モジュール4に電流を供給する。また、電源部20は、電源制御部21および電流供給部22を備えている。電源制御部21は、光照射モジュール4に供給する電流を制御し、電流供給部22は、光照射モジュール4に電流を供給する。また、電源部20と光照射モジュール4とは、信号線23により接続されている。
光治療装置100について、図3〜図6に基づき、以下に詳しく説明する。図3は光治療装置100の身体装着時の状態を示す平面図である。図4は、光治療装置100の装置本体9の断面図である。図5は、光照射モジュール4の平面図である。但し、図5においては、後述する配線保護膜47の記載を省略している。
光照射モジュール4としては、例えば、柔軟性のある樹脂表面に、所定の波長を発する発光素子であるLED(Light Emitting Diode)を実装し、点灯できるようにしたフィルム基板を含むことを想定している。また、通常、治療のための光と組合せて、特定の薬材が患部2に塗布されているか、事前に服用されている場合が多い。患部2に対して、均一に光照射するために、LEDと患部2とは適切な距離に保つことを想定している。しかし、薬材や治療に使用する光波長、フィルム基板の具体的な内容、等は、本実施形態に影響を与えないため、ここでは詳述しない。
(光照射モジュールの構成の詳細)
光照射モジュール4は、図4および図5に示すように、フィルム基板44を備える。フィルム基板44は、スペーサ3側の面である発光面(光出射面)に、アノード配線41A、カソード配線41C、チップ間配線41I、アノード縦配線41AV、カソード縦配線41CV、アノード端子41AT、およびカソード端子41CTが設けられ、それらの上に光源となるLEDチップ43がアレイ状に配置されている。
具体的には、図5に示すように、フィルム基板44は四角形状であり、フィルム基板44の1辺に沿ってアノード端子41ATおよびカソード端子41CTが並んで設けられている。ただし、フィルム基板44は、例えば、矩形、円形、楕円形、角を丸めた矩形等のような形状であってもよい。
アノード端子41ATからは、カソード端子41CTとは反対方向に向かい上記1辺に沿ってアノード配線41Aが延伸し、上記1辺と隣り合う辺に沿って延伸するアノード縦配線41AVに接続されている。さらに、アノード縦配線41AVからは、上記1辺と平行な方向に、等間隔にアノード配線41Aが配置され、この配線にLEDチップ43が等間隔に接続されている。
カソード配線41Cも、アノード配線41Aと同様に、カソード端子41CTから、アノード端子41ATとは反対方向に向かって上記1辺に沿って延伸し、上記1辺と隣り合う辺に沿って延伸するカソード縦配線41CVに接続されている。さらに、カソード縦配線41CVからは、上記1辺と平行な方向に、等間隔にカソード配線41Cが配置され、この配線にLEDチップ43が等間隔に接続されている。
アノード配線41Aに接続されているLEDチップ43と、カソード配線41Cに接続されているLEDチップ43とは向かい合うように配置されており、その間には、チップ間配線41Iが配線されている。また、隣り合うチップ間配線41I間には、ダミーパターン45が配置されている。
LEDチップ43は配線上に設置され、ボンディングワイヤ42によって、各配線と接続されている。LEDチップ43は治療目的によって、紫外、青紫、青、緑、赤、赤外等、種々の発光素子を選択できる。なお、図5では、ワイヤーボンド接続の例を記載したが、LEDチップ43と各配線との接続はフリップチップ接続でもよい。また、LEDチップ43が上下電極構造を有する場合、一方の端子(通常負極)は導電性ペーストによって配線に接続され、他方の端子はワイヤーボンドで接続される。発光素子としてLEDチップ43を用いた光照射モジュール4は、可撓性に優れる。
なお、発光素子としては、LEDチップ43そのものではなく、パッケージにLEDチップを収納したLEDデバイスを用いることもできる。LEDデバイスを用いた光照射モジュール4は、機械的強度を増すことができる。
アノード配線41Aおよびカソード配線41Cは、アノード端子41ATおよびカソード端子41CTにおいて、アノード外部接続部46Aおよびカソード外部接続部46Cと接続され、信号線23を介して、電源部20に接続されている。アノード外部接続部46Aおよびカソード外部接続部46Cは、例えば、リード線とすることができる。
配線保護膜47は、各配線、LEDチップ43、およびそれらの接続部を覆い、保護する。配線保護膜47はシリコーン樹脂の様な透明、もしくは透光性を有し、防湿性の高い樹脂材料が好ましい。
また、フィルム基板44は可撓性の絶縁材料であればよい。例えば、フィルム基板はポリイミドフィルム、配線は銅箔をエッチング加工し、銀を電界メッキで付着させたものとすることができる。各配線の材料は抵抗が低く、表面の反射率が高いことが好ましい。また、フィルム基板44は厚さ25μm程度のポリイミドフィルムであってもよい。
フィルム基板44が、ポリイミドフィルムのように光吸収性が高い材料にて構成される場合には、図5に示すように、ダミーパターン45を配置するなどして、フィルム基板44の表面のできる限り広い面積を反射率が高い配線材によって覆う構成が好ましい。一方、フィルム基板44が、白色顔料を混練した樹脂材料のように、反射率が高い材料にて構成される場合には、図5に示すようなダミーパターン45は必ずしも設ける必要はなく、電圧降下が問題にならない範囲で各配線を細くすることができる。また、配線材の表面に金メッキが施された構成であってもよい。金メッキは、赤色光から赤外光の範囲に対して高い反射率を有するため、このような光を用いる光治療装置には好適である。また、金メッキを施した配線材は、長期的に安定で耐久性に優れるため、湿度等の保存条件を緩めることが可能になる。以上のように、フィルム基板44に関しては、治療光を効率的に患部2へ照射するために、少なくともフィルム基板44の表面は治療光に対して、全反射率が高いことが好ましい。
光照射モジュール4は一定の強度を有し、スペーサ開口部31における光照射モジュール4の変形を抑制することが望ましい。光照射モジュール4は身体の表面に沿って変形する可撓性を有しつつ、スペーサ開口部31における光照射モジュール4の局所的な沈みを防ぐ強度が必要である。スペーサ開口部31に向かって、光照射モジュール4、遮光材5、本体固定材6、保冷材7、および保冷材固定材8が沈むことでそれらが変形すると、スペーサ開口部31の中心では、スペーサ開口部31の周辺部と比べて、光照射強度が過剰に強くなる恐れがある。それらの変形が大きくなると、光照射モジュール4のLEDチップ43と患部2との距離が小さくなり、LEDチップ43に対向する患部2が局所的に強い光照射を受けることになる。これを防ぐために、光照射モジュール4の強度を強くする必要がある。光照射モジュール4の強度を強くする方法は、フィルム基板44の膜厚を厚くすることである。フィルム基板44の膜厚は、例えば、20μm以上が好ましく、更に30μm以上がより好ましい。
また、光照射モジュール4の強度を強くする別の方法として、図6に示すように、フィルム基板44の裏面(スペーサ3側とは反対側の面)に、裏面補強材48を設ける。材料としては、数μmから25μm程度の厚さの銅箔やステンレス箔等の金属箔が好ましい。裏面補強材48は、図6に示すようなメッシュ状である必要はなく、可撓性と強度を両立させるために、フィッシュボーン形状や、単純な矩形形状でもあってもよい。これにより、光照射モジュール4の強度を強くすることができるため、スペーサ開口部31における光照射モジュール4の局所的な沈みを防ぎ、スペーサ開口部31の中心において、スペーサ3の周辺部と比べて、光照射強度が過剰に強くなることを防ぐことができる。
また、光照射モジュール4は、温度が光照射モジュール4の上限以上に上昇したとき、光照射モジュール4に流れる電流を止めて、発光を停止するインターロック機能を実現する温度センサを有していることが好ましい。さらに、光照射モジュール4が患部2から脱落するといった異常時に、光照射モジュール4は、光照射モジュール4に流れる電流を遮断し、発光を停止する電流遮断器等の安全装置を有していることが好ましい。また、光照射モジュール4は、光強度センサを有していてもよい。光強度センサは、光照射モジュール4が発する光の光強度をモニターすることにより、光照射モジュール4の光の照射量が所定量を超えた時点で、光照射モジュール4の光照射を停止する。
(スペーサ)
スペーサ3は、光照射モジュール4における光出射側に配設されており、身体1の表面と光照射モジュール4との間の距離を一定に保つ。本実施形態の構成では、スペーサ開口部31を通って光が患部2に照射されるので、スペーサ3は必ずしも光透過性である必要はない。ただし、スペーサ開口部31に対応する部分以外に配置されたLEDチップ43から照射された光を有効に利用するためには、光透過性であることが好ましい。また、スペーサ3と光照射モジュール4とが接する面は、互いに密着することが好ましい。スペーサ3と光照射モジュール4との間に空気層があると、光照射モジュール4とスペーサ3との界面にて光の反射が生じるので、光の損失が生じる。
スペーサ3は、光照射モジュール4から発せられた光を均一化する機能を有している。また、光照射モジュール4が発する熱が、皮膚に直接伝わらないようにする断熱材の役割も果たす。
スペーサ開口部31内においては、スペーサ3の厚みの分、患部2と光照射モジュール4とが離間されるので、光照射モジュール4の発する熱が、患部2に直接伝わらないようにする機能を果たす。スペーサ3により光照射モジュール4からの熱が患部2や、患部2の周囲の皮膚に直接伝わることを防ぐため、光照射モジュール4の温度上昇をある程度許容できるようになり、大掛かりな冷却装置が不要となる。さらに、光治療装置100では、比較的短時間で治療が終わるため、冷却水の循環装置等を設置する必要がなく、治療中患者が拘束されることがない。
スペーサ3は可撓性のある透明な素材で構成された、一定厚さの板状の形状であることが好ましい。例えば、スペーサ3は、スチレンエラストマー、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の樹脂素材であることが好ましい。光照射モジュール4においては、LEDチップ43をアレイ状に配置しているため、患部2とスペーサ3との間を一定距離に保ち、患部2が均一に光照射を受けるようにする必要がある。また、スペーサ3は、保冷材7を用いる際に、患部2が冷たさを感じることを防止する上での断熱材の役割も有する。
光照射の均一化および断熱効果はスペーサ3の厚さが厚い程効果が高い。一般的な人体の湾曲を考慮すると、スペーサ3の厚さは2mm程度から10mm程度の厚さが適しており、3mmから7mm程度の厚さが最も適している。指回り、鼻の先端部等は、板状のスペーサ3では難しく、別の形態を取ることが好ましい。
光照射モジュール4の外形が、スペーサ3の外形とほぼ同じ大きさであるとする。このとき、スペーサ3の外側の縁(四角形の縁)とスペーサ開口部31の縁(円形の縁)とが最も近い部分の幅が、スペーサ開口部の最大寸法Lの半分であるL/2よりも小さいと、光照射モジュール4がスペーサ開口部31の部分において変形しやすくなる。これを防ぐために、スペーサ開口部の最大寸法Lに対して、上記の最も近い部分の幅は、少なくともL/2を有することが好ましい。したがって、スペーサ開口部の最大寸法Lは、同方向のスペーサの寸法の半分以下であることが好ましい。ここで、スペーサ31の外形寸法および光照射モジュール4の外形寸法は20mmから100mmが好ましく、さらに、30mmから60mmがより好ましい。
スペーサ3の形状は四角形でなくてもよく、例えば、矩形、円形、楕円形、角を丸めた矩形等のような形状であってもよい。また、患部2の形状に合わせて、スペーサ3の形状を選択することできる。スペーサ3および光照射モジュール4は、お互いに重ねられて用いられるため、スペーサ3および光照射モジュール4の形状はほぼ等しいことが好ましい。特に遮光材5によって、スペーサ3および光照射モジュール4を覆うため、スペーサ3および光照射モジュール4を重ねたとき、光照射モジュール4がスペーサ3より、はみ出さないことが好ましい。つまり、光照射モジュール4の外形は、スペーサ3の外形より小さいことが好ましい。
なお、図4においては、スペーサ開口部31の断面形状として、光照射モジュール4の表面に対して垂直な矩形形状のものを例示しているが、必ずしも矩形である必要はなく、台形型や逆台形型でもよく、また、ドーム型や逆鍋底型等の曲面形状でもよい。
(遮光材)
遮光材5は、光照射モジュール4からの光が不要な部位に照射されたり、外部に漏れたりすることを防止するものである。遮光材5は、図4に示すように、スペーサ3および光照射モジュール4を覆うよう設けられる。具体的には、遮光材5は、光治療装置100を患者が装着している状態において、スペーサ3および光照射モジュール4の周囲における、スペーサ開口部31以外の部分、あるいはスペーサ開口部31とその縁を除く部分を覆っている。これにより、光照射モジュール4が患部2に照射した光が患部2以外に漏れる光を遮蔽する。言い換えると、遮光材5は、光照射モジュール4と本体固定材6との間に配置され、光照射モジュール4を、スペーサ開口部31(あるいはスペーサ開口部31とその縁)を除いて完全に覆うことで、外部への光の漏洩は殆ど無視できるレベルに落とすことができる。このとき、遮光材5はスペーサ開口部31を覆わないため、患部2への光照射を妨げない。
遮光材5は、光照射モジュール4による光を反射できるように、スペーサ3を覆う部分では反射率が高いことが望ましい。言い換えると、遮光材5は、光を反射する材質で構成されている。これにより、遮光材5による反射によって、少しでも光を患部2に到達させられるため、患部2への照射効率を上げることができる。遮光材5は外部に光が漏れることを防止できれば、少なくともスペーサ3の底面の外縁部を覆えばよい。ただし、皮膚の正常部への光照射を防ぐためには、スペーサ3の底面全面を覆うことが好ましい。また、フィルム基板44が光を透過しない場合、または、フィルム基板44が光を透過しても裏面補強材48が光を透過しない場合を考える。この場合、これらフィルム基板44および裏面補強材48が、光遮蔽部として機能するので、光照射モジュール4の裏面(スペーサ3側とは反対側の面)全体を、遮光材5が覆う必要はない。
遮光材5は、25μmから200μmの厚さのアルミニュウム箔が最も好ましいが、薄いアルミニュウム箔(25μm程度の厚さ)に、樹脂フィルムを重ねた複合材でもよい。また、遮光材5は、銅箔や樹脂フィルムに銀薄膜や金薄膜を形成した複合材であってもよく、アルミニュウム箔の表面に金薄膜を設けた金属箔であってもよい。光の種類によって反射率が高い金属材料が異なるため、遮光材5にどのような反射材を用いるかは、光の波長帯によって変更する必要がある。
遮光材5は必ずしも単一の部材で構成する必要はない。例えば、スペーサ3、並びに光照射モジュール4の端部、および光照射モジュール4の裏面(スペーサ3側とは反対側の面)の外縁部は、上記のような反射率の高いアルミニュウム箔等で構成してもよい。また、光照射モジュール4の裏面(スペーサ3側とは反対側の面)には樹脂フィルムを配置してもよい。さらに、遮光材5における、信号線23が貫通する部分には、光の漏れを防止するための部材として、吸光性の脂材等を配置することが好ましい。
(本体固定材)
本体固定材6は、スペーサ3、光照射モジュール4、および遮光材5が1つになった装置本体9を、患部2を覆う位置に固定するものである。具体的には、図1および図2に示すように、本体固定材6は、面状に装置本体9全体を覆う、身体1の患部2の有る部位に固定するものである。
本体固定材6としては、例えば、図3に示すように、身体1に本体固定材6を固定するための本体固定材/皮膚粘着部11を有している構成が好ましい。これにより、本体固定材6を患部2の周辺の皮膚に粘着固定することができ、ひいては装置本体9をしっかりと身体1に固定することができる。
ただし、本体固定材6として、複数のサージカルテープ片によって、装置本体9を皮膚に固定してもよい。また、本体固定材6としては、保冷材7が光照射モジュール4を冷却することができるように、できる限り薄いものが好ましい。
本体固定材6は、布、皮革、不織布、樹脂フィルム、ゴム、合成皮革、人工皮革、金属箔、および紙等、または、これらの複合材で構成された柔軟性を有するシートやテープであればよい。また、本体固定材6には伸縮性を有するものを用いる。これにより、光照射モジュール4を皮膚に密着させるように、身体1に対して加圧することができる。
また、本体固定材6は、少なくとも遮光材5(つまり装置本体9)を完全に覆う大きさを有することが好ましい。しかし、装置本体9を身体1に固定させることが目的であるため、光治療装置100を身体1に装着したとき、装置本体9の一部が外部に露出してもよい。例えば、サージカルテープを十字状にして、サージカルテープを装置本体9および身体1に貼り付け、装置本体9を身体1に固定してもよい。本体固定材6は、患部2への装着前では、平坦なシート状をしていることが好ましい。
本体固定材6における身体1への装着については、まず、スペーサ開口部31と患部2との位置が合うように、スペーサ3および光照射モジュール4の周囲を覆う遮光材5を身体1に押し付ける。つまり、遮光材5で覆われた装置本体9を身体1に押し付ける。遮光材5、つまり遮光材5で覆われた装置本体9の上を本体固定材6で覆う。このとき、本体固定材6を両端から引っ張り、さらに、遮光材5、つまり遮光材5で覆われた装置本体9に対し身体1に向かって所定の圧力を印加した状態で、本体固定材/皮膚粘着部11により本体固定材6を身体1に固定する。これにより、本体固定材6は、スペーサ3および光照射モジュール4の周囲を覆う遮光材5、つまり遮光材5で覆われた装置本体9における身体1に対する位置を固定することができる。
(保冷材)
保冷材7は、光照射モジュール4を冷却するものである。光照射モジュール4の発熱が大きく、所定の治療時間内に、温度が42℃以上になる可能性がある場合には、冷却が必要となる。予め冷却した(例えば、0℃から15℃程度)保冷材7を、光照射モジュール4の背面に配置して冷却することで、光照射モジュール4の温度上昇を抑えることができる。光治療装置100では、比較的短時間で治療を実施するため、長時間の治療では必要となる水を循環する様な大掛かりな冷却装置が不要となる。保冷材7と身体1との間には、本体固定材6、遮光材5、光照射モジュール4、およびスペーサ3が存在するため、身体1に直接、保冷材7が接触することはなく、患者が非常に冷たいと感じることはない。
保冷材7は、汎用的に用いられているポリアクリル酸ナトリウムと水からなるゲル材を用いることがコスト面から好ましい。保冷材7は、単純に水を袋詰めにした物でも利用できる。例えば、通常の冷蔵庫等で水を10℃以下に冷却することで保冷材7として用いることができる。0℃以下の水でも保冷材7として用いることが可能である。
また、保冷材7として、水と尿素・硝酸アンモニュウム等からなる瞬間保冷材を用いることもできる。これは水と尿素・硝酸アンモニュウムを別の部屋に封入し、外部から叩くことで、両者の間の壁を壊し、混合による吸熱反応により冷却するものであり、1分程度で15℃以下へ温度を下げることができる。
(保冷材固定材)
保冷材固定材8は、保冷材7を本体固定材6の上に固定するためのものである。保冷材固定材8については、本体固定材6と同様の部材を使用してもよい。本体固定材6は、保冷材7が光照射モジュール4を冷却することができるようにすることを考慮しなければならなかったが、保冷材固定材8にはそのような考慮をする必要がないため、伸縮性の包帯や伸縮性のメッシュ等であってもよい。なお、図3では、保冷材固定材8は、本体固定材6を完全に覆っている。しかし、保冷材7を装置本体9に固定させることが目的であるため、光治療装置100を身体1に装着したとき、保冷材7および/または本体固定材6の一部が、保冷材固定材8から露出してもよい。
本実施形態では、保冷材固定材8は、図3に示すように、保冷材固定材/皮膚粘着部12を有しており、保冷材固定材/皮膚粘着部12を用いて身体1へ貼着させるようになっている。
(電源部および信号線)
光治療装置100は、光照射モジュール4に対して電流を供給する電源部20を有している。電源部20は、電源制御部21および電流供給部22を備えている。電源制御部21は、光照射モジュール4への電流の供給および停止を電流供給部22に指示する。電流供給部22は、光照射モジュール4に電流を供給する電流源である。
電流供給部22は、光照射モジュール4へ所定の電流を供給することで、所定の時間の間、光照射モジュール4に光を照射させる。電源制御部21は、電流供給部22が供給する電流の電流量、その電流のON/OFF、光照射モジュール4の照射時間について制御する。例えば、青紫発光ダイオード(ピーク波長:405nm)64個を5mmピッチで8行8列に並べた、図5に示す光照射モジュール4に400mAの電流を供給する場合、駆動電圧は約7Vが必要となる。各LEDチップ43には12.5mAの電流が流れ、中心付近では37.5mW/cmの光照射強度が得られる。治療に必要なエネルギードーズが25J/cmの場合、約11分で照射を完了できる。照射時間は長くとも1時間以下を想定しており、通常、数分から20分程度で、治療を完了する。したがって、必ずしもAC電源から電力を得る必要はなく、乾電池や蓄電池を電源として用いてもよい。
電源部20は、目的とする治療によって、必要な電流量、時間を予め設定する機能と、実際の治療の際に、照射を開始し、所定時間経過後に、照射を停止する機能を有する。また、電源部20は、光照射モジュール4の温度上昇や、光照射モジュール4の脱落等の異常時に、光照射モジュールの電流を停止するインターロック機能を有することが好ましい。
ここで、光治療装置100として実施例1,2を作成し、変形等の有無を確認した結果について説明する。実施例1と実施例2とでは、光照射モジュール4におけるフィルム基板44の厚さと、フィルム基板44の表面に形成された各配線パターンの銅箔の厚さが異なり、また、裏面補強材48の有無が異なる。
実施例1の光治療装置100は、フィルム基板44の厚さが25μm、配線パターンを構成する銅箔の厚さが20μmであり、裏面補強材48を備えている。一方、実施例2の光治療装置100は、フィルム基板44の厚さが12.5μm、配線パターンを構成する銅箔の厚さが10μmであり、裏面補強材48を備えていない。
実施例2の光治療装置100は、実施例1の光治療装置100に比べて、フィルム基板44の厚さおよび銅箔の厚さが薄く、かつ裏面補強材48を備えていないため、可撓性が高い。しかしながら、本体固定材6、保冷材7、および保冷材固定材8を設置した際に、スペーサ開口部31のサイズによっては、スペーサ開口部31の部分での変形が見られた。具体的には、スペーサ開口部31の直径が10mmの場合、問題はなかったが、20mmの場合、スペーサ開口部31の中心で約1mm下方への弛みが見られた。また、スペーサ開口部31の直径が30mmの場合には、約2.5mm下方への弛みが見られた。
これより、スペーサ開口部31の直径が大きい場合には、フィルム基板44の厚さおよび配線パターンを構成する銅箔の厚さを厚くし、かつ、裏面補強材48を備えさせることが好ましいことがわかる。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、図7および図8を参照して説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。図7の(a)は、実施形態2に係る光治療装置100aのスペーサ3aの平面図であり、図7の(b)は、図7の(a)に示すスペーサ3aの断面図である。
本実施形態に係る光治療装置100aは、光治療装置100と比べて、スペーサ3がスペーサ3aと異なること、スペーサ3aに変更したことに伴って遮光材5を遮光材5aに変更したこと以外は、光治療装置100と同じである(図1参照)。
スペーサ3aは、図7の(a)および(b)に示すように、格子状に形成されている。また、スペーサ3aは、図8に示すように、格子状の仕切りの部分(格子部分)を切断することで、患部2の大きさや形状に合わせて、スペーサ開口部31aを形成する。スペーサ3aが格子状に形成されていることで、スペーサ開口部31aを容易に形成することができる。
つまり、格子状の仕切りの部分が細いため、ハサミやニッパ等の工具によって切断することが容易である。このため、スペーサ開口部31aの大きさは、患部2の大きさに合わせたものにすることができる。よって、スペーサ開口部31aの大きさは、必要最小限に小さくすることができる。よって、スペーサ開口部31aの大きさを小さくすることができるため、スペーサ開口部31aにおける光照射モジュール4の変形を抑制することができる。
遮光材5aの底面は予め大きめに開口しておいてもよいが、スペーサ開口部31aの形状に合わせて、遮光材5aに開口部を設けることが好ましい。すなわち、スペーサ3aの底面全面に遮光材5aの一部を設けておき、スペーサ3aにスペーサ開口部31aを設けるときに、同時に遮光材5aにも開口部を設けることが好ましい。以上により、スペーサ開口部31の大きさを最小限にすることができるため、光照射を受ける皮膚の正常部の面積を最小限に縮小することができる。また、スペーサ開口部31の大きさを最小限にすることができるため、スペーサ開口部31aにおける光照射モジュール4の変形を抑制することができる。なお、スペーサ3aは、図7の(b)に示すように、格子状の構造が1層である必要はなく、多層になっていてもよい。具体的には、どの面においても、格子状に見えるような構造であってもよい。
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、図9および図10を参照して説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。図9は、実施形態3に係る光治療装置100bの光照射モジュール4Aの平面図である。図10は、図9に示す光照射モジュール4Aの裏面における平面図である。
本実施形態に係る光治療装置100bは、光照射モジュール4Aに変更されていること以外は、光治療装置100と同じである(図1参照)。
光照射モジュール4Aは、図9に示すように、フィルム基板54の表面(スペーサ3側の面)に、複数のアノード配線51A、複数のカソード配線51C、複数のチップ間配線41I、アノード端子41AT、カソード端子41CT、ダミーパターン45、複数のLEDチップ43、複数のボンディングワイヤ42、配線保護膜47(図示せず)、アノード外部接続部46A、およびカソード外部接続部46Cを有している。
光照射モジュール4との相違点は、図10に示すように、光照射モジュール4Aがフィルム基板54の裏面(スペーサ3側とは反対側の面)に、裏側アノード配線57(第2配線)、裏側カソード配線58(第2配線)、アノード配線の貫通配線59、およびカソード配線の貫通配線60を有している点である。アノード配線の貫通配線59は、アノード配線の表面配線と裏面配線とを接続し、カソード配線の貫通配線60は、カソード配線の表面配線と裏面配線とを接続する。光照射モジュール4Aでは、裏側アノード配線57および裏側カソード配線58が、裏面補強材の役割を担っている。また、アノード配線の貫通配線59は、アノード配線51Aと裏側アノード配線57とを接続しており、カソード配線の貫通配線60は、カソード配線51Cと裏側カソード配線58とを接続している。
光照射モジュール4Aでは、アノード縦配線41AVおよびカソード縦配線41CVを設けなくてもよいので、フィルム基板54を小さくすることができる。これにより、顔面や腕等のように、比較的面積が小さい部位や、起伏が大きい部位の治療、子どもの皮膚の治療を容易に行うことができる。
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4について、図11および図12を参照して説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。図11は、実施形態4に係る光治療装置100cのスペーサ3bの平面図である。図12は、実施形態4に係る光治療装置100cの装置本体の断面図である。
本実施形態に係る光治療装置100cは、図11に示すように、スペーサ3がスペーサ3bに変更されていること以外は、光治療装置100と同じである(図1参照)。光治療装置100のスペーサ3では、スペーサ開口部31がスペーサ3の表面(光照射モジュール4側の面)から裏面(患部2側の面)まで貫通していた。これに対し、本実施形態のスペーサ3bでは、スペーサ開口部31bは、図11および図12に示すように、患部2側だけに形成され、表面(光照射モジュール4側の面)には達していない凹部よりなる。
このような構成とすることで、スペーサ開口部31bに残る部分が補強構造として作用し、裏面補強材48を備えることなく、スペーサ開口部31bにおける光照射モジュール4の変形を抑制して防止できる。スペーサ開口部の深さDは、スペーサ3bの厚さが5mmの場合、1mmから4mm程度が適当である(スペーサ3bの厚さの20%から80%)。また、患部2が皮膚の表面から盛り上がっている場合には、スペーサ開口部の深さDを大きく取る必要がある。
なお、スペーサ開口部31bの平面形状は、図11に示すように、角を丸めた四角形をしているが、完全な四角形、円形、楕円形であってもよい。また、スペーサ開口部31bの形状は、患部2の形状に合わせて選択されてもよい。図12に示すスペーサ開口部31bの断面形状は、逆さにした鍋型(角部が曲面)になっているが、矩形形状であってもよく、より傾斜が緩やかな形状(逆中華鍋型)であってもよい。スペーサ開口部31bの断面形状は、スペーサ開口部31bに対面する患部2上における、光照射強度の分布に影響する。このため、光照射モジュール4上のLEDチップ43の配置と合わせて、光照射強度の分布の不均一性を低減するように、スペーサ開口部31bの断面形状は、最適化されることが好ましい。
スペーサ3bの患部2側の面と接する遮光材5は、図12に示すように、スペーサ開口部31bの縁まで覆っていないが、スペーサ開口部31bの縁まで覆ってもよい。遮光材5をスペーサ開口部31bの縁まで覆う場合は、スペーサ開口部31b以外への光照射を防止し、より多くの光を反射することで、スペーサ開口部31bに照射される光を増やすことができる。
スペーサ3bの製造方法に関しては、例えば、金型を用いてモールド成形することで製造できる。また、金型を用いずに、光照射モジュール4側となる単純な板状部と、身体1と接触する側となる貫通開口部を有する板状部とに分けて別々に作製し、それらを後から貼り合わせてもよい。
以上により、光治療装置100cでは、スペーサ開口部31bは患部2側に設けられており、光照射モジュール4側の面には達していないため、裏面補強材48を設けなくても、光照射モジュール4が局所的な沈みを引き起こすことがなくなる。よって、裏面補強材48を設ける必要がなくなるため、裏面補強材48を設けるときにかかる費用を削減することができる。
〔実施形態5〕
本発明の実施形態5について、図13を参照して説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。図13は、実施形態5に係る光治療装置100dの装置本体の断面図である。
本実施形態に係る光治療装置100dは、装置本体9に代えて装置本体49を備えること以外は、実施形態1と同じである(図1参照)。図4に示した、装置本体9の光照射モジュール4においては、LEDチップ43がスペーサ開口部31の外側にまで配置されていた。これに対し、本実施形態では、装置本体49の光照射モジュール4bにおいてLEDチップ43は、スペーサ開口部31の内側だけに配置されている。なお、図13には記載していないが、スペーサ開口部31の外側に、配線41CT,41AT、41CV、41AV,41C、41A、45や配線保護膜47等を補強のために設ける構成としてもよい。
そして、本実施形態では、スペーサ3cが、光吸収材から構成されており、これにより、遮光材5を備えない構成となっている。
さらに、スペーサ開口部31の内壁には、光反射材13が配置されている。光反射材13は、スペーサ開口部31の内側に存在するLEDチップ43から発する光を、スペーサ開口部31の内側へと反射するものである。スペーサ開口部31の内壁を光反射材13にて覆うことで、スペーサ開口部31内での光照射強度分布を均一化することができる。
さらに、このような構成においては、スペーサ開口部31の断面形状は、光照射モジュール4bの表面に対して垂直な矩形形状であることが好ましい。また、光反射材13が光照射モジュール4bと接する位置と、最外周に配置されたLEDチップ43との距離を、LEDチップ43の配置ピッチの約半分とすることが好ましい。
これらは何れも、スペーサ開口部31の内壁に入射する光を、スペーサ開口部31の外縁部へと効率的に反射させるためである。なお、光反射材13は必須ではないが、光照射効率を上げるためには、あることが好ましい。
本実施形態の変形例として、スペーサ開口部31内に露出する光照射モジュール4bの表面を透明樹脂層で埋める構成も可能である。これによれば、実施形態4と同様に、スペーサ開口部31内の透明樹脂部分が補強構造として作用する。また、裏面補強材48を備えることなく、スペーサ開口部31における光照射モジュール4bの変形を抑制、防止することが可能となるなど、光照射モジュール4bの選択肢を広げることができる。
〔実施形態6〕
本発明の実施形態6について、図14および図15を参照して説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。図14は、実施形態6に係る光治療装置100eの装置本体の断面図である。
本実施形態に係る光治療装置100eは、図14に示すように、光照射モジュール4が光照射モジュール4cに変更され、装置本体9が装置本体9aとなっていること以外は、光治療装置100と同じである(図4参照)。
図4に示す光治療装置100の光照射モジュール4では、LEDチップ43が発する光が患部2に照射され、その光が治療光となる。これに対し、本実施形態の光照射モジュール4cは、波長変換層14を有している。波長変換層14は、LEDチップ43が発する光の一部を長波長に変換することができる。
例えば、波長410nm程度の青紫色光を発するLEDチップ43と、緑色発光蛍光体であるβ型SiALONを透明樹脂層に混練した波長変換層14とを組み合わせる。これにより、青紫色光と緑色光との混合光を生成することができる。
青紫色光と緑色光との比率は、波長変換層14に含まれる蛍光体の含有量によって決まるため、青紫色光をわずかしか含まない混合光を発する光治療装置100eを実現することもできる。LEDチップ43としては、紫外光、近紫外光、および青色光等の短波長光を発する窒化物半導体LEDが適している。波長変換層14に含まれる蛍光体としては、青緑色、緑色、黄色、赤色、および近赤外等の必要とする波長帯に応じて、種々の材料および組成を選択することができる。例えば、黄色蛍光体ではYAG(Yttrium Aluminum Garnet)蛍光体を利用することができ、赤色蛍光体では窒化物蛍光体(CaAlSiN等)、またはフッ化物蛍光体(KSF(KSiF:Mn)等)等を利用することができる。また、波長変換層14には、蛍光体に限らず量子ドット材料のような材料を用いてもよい。なお、図14では、配線保護膜47におけるスペーサ3側に、波長変換層14を配置したが、配線保護膜47に蛍光体または量子ドット材料を混ぜることで、配線保護膜47に波長変換機能を持たせることもできる。これにより、波長変換層14を省略することができる。
本実施形態の変形例として、図15に示すように、図13に示す光治療装置100dにおいて光照射モジュール4bを光照射モジュール4dに変更する構成も可能である。図15は、図14に示す光治療装置100eの変形例の装置本体49aの断面図である。光照射モジュール4dは、波長変換層14を備えており、波長変換層14は、配線保護膜47におけるスペーサ開口部31側に配置されている。光照射モジュール4c、4dのように、光照射モジュールは治療光を一定範囲の面状に光を発する光源であればよい。
〔実施形態7〕
本発明の実施形態7について、図16および図17を参照して説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。図16は、実施形態7に係る光治療装置100fの装置本体の断面図である。
本実施形態に係る光治療装置100fは、図16に示すように、スペーサ3bがスペーサ3dに変更されていること以外は、光治療装置100cと同じである(図12参照)。光治療装置100cのスペーサ3bでは、スペーサ開口部31bの内面が平坦であったが、スペーサ3dでは、スペーサ開口部31bの内面が凹凸形状になっている。これは、治療光をより効率よく、スペーサ開口部31bへ取り出すためである。スペーサ開口部31bの内面とは、スペーサ開口部31bの底面および内側面である。
スペーサ開口部31bの内面が平坦であるとき、スペーサ3bの内部から空気層へ光が出射される過程を考える。この過程において、スペーサ3bの内部から空気層への光の入射角が、空気層とスペーサ3bの材料の屈折率とで決まる臨界角より大きくなると、全反射が生じる。これにより、スペーサ3bからの光の取り出し効率が低下し、電力効率も低下する。上記空気層は、スペーサ開口部31bにある層である。
図16では、スペーサ3dの凹凸形状がランダムな形状になっているが、規則的なパターンでもよい。凸部分の底部の径は1μm〜数十μm程度が好ましく、凸部分の高さも1μm〜数十μm程度であることが好ましい。スペーサ3dの凹凸形状は円形、楕円形、三角形、六角形、または八角形等の形状が好ましく、スペーサ3dの凹凸の断面形状は、半円形、半楕円形、角錐形、または円錐形等が好ましい。
スペーサ3dを金型で成形加工する際、スペーサ開口部31bの内面に対応する金型の表面を凹凸形状にすることで、図16に示すような凹凸形状を形成することができる。スペーサ3dに、おおよそ5μm〜20μm程度の凸部分の底部の径および高さの凹凸形状を形成することで、光の出力を5%〜10%向上することができた。これにより、光の出力が向上するので、光照射時間を短縮することができ、治療時間を短縮することができる。
なお、図16では、凹凸形状を、スペーサ開口部31bの内面全面に設けたが、製造上の制約を考慮して、スペーサ開口部31bの底面(光治療装置100fの底面に対して平行な面)だけに凹凸形状を設けても、ほぼ同程度の効果が得られる。上記内面全面には、光治療装置100fの底面に対して平行な面および垂直な面を含む。
このように、スペーサ3dの凹凸形状のように、スペーサ開口部31bの内面に、凹凸形状を設けることで、光の取り出し効率を向上させ、治療時間を短縮することができる。
本実施形態の変形例として、図17に示すように、図13に示す光治療装置100dにおいて装置本体49の配線保護膜47の表面を、凹凸形状にした構成も可能である。図17は、図16に示す光治療装置100fの変形例の装置本体49bの断面図である。図13に示す光治療装置100dでは、スペーサ3cが光を放出する面(光治療装置100dの底面と平行な面)を有していないため、配線保護膜47aは、表面に凹凸面50を有している。なお、凹凸面50は、配線保護膜とは別の透明材料からなってもよい。凹凸面50の凹凸形状は規則的なパターンであり、最小ユニットは、1辺の長さが5μmの正三角形であり、各凸部は、ほぼ円錐の形状を有する。最小ユニットとは、具体的には、凹凸面50をその面側から見たとき、凹凸面50の、互いに最も近接した凸部分の頂点を結ぶ線に囲まれてできる正三角形である。各凸部の円錐の底面の直径は4μm、各凸部の円錐の高さも4μmである。配線保護膜47aの凹凸面50のように、スペーサ開口部31の底面(光治療装置100fの底面に対して平行な面)に、凹凸形状を設けることで、光の取り出し効率を向上させ、治療時間を短縮することができる。
なお、スペーサ3dまたは配線保護膜47aに凹凸形状を設けることで、治療時間の短縮等の効果が得られる場合は、患部2とスペーサ開口部31の内面との間に空気層がある場合だけである。上記の効果は、患部2との直接接触が好ましくない病状を対象とする光治療装置における特有の効果である。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る光治療装置100,100a,100b,100c、100fは、治療のための光を照射する光照射モジュール4,4A、光照射モジュール4,4Aの光出射側に配設され、身体1の表面と接触して前記光照射モジュール4,4Aと前記身体1の表面における治療対象部(患部2)との距離を一定に保つスペーサ3,3a,3b,3dと、を備え、前記スペーサ3,3a,3bにおける前記身体1の表面と接触する面に、前記治療対象部と当該スペーサ3,3a,3bとの接触を回避するための開口部(スペーサ開口部31、31a、31b)が形成されている。
上記構成によれば、光治療装置は、スペーサに開口部を形成することで、治療対象部と、スペーサとが直接接触しないようにすることができ、治療対象部への負担を減らすことができる。
本発明の態様2に係る光治療装置100a,100b,100cは、さらに、前記スペーサ3bは、前記光を透過する光透過性を有し、前記開口部(スペーサ開口部31b)は、前記身体1の表面と接触する面に形成された凹部である構成である。
上記構成によれば、開口部において、光照射モジュール4が変形することを防止することができる。また、スペーサ3bが光照射モジュール4から出射された光を均一にする機能を有する場合は、治療対象部へ照射される光を均一にできるという効果もある。
本発明の態様3に係る光治療装置100,100a,100b,100cは、さらに、前記光照射モジュール4,4Aは、前記開口部(スペーサ開口部31,31a)による変形を防止するための補強構造を有する構成である。
上記構成によれば、光照射モジュール4,4Aの強度を強くすることができるため、開口部における光照射モジュール4,4Aの局所的な沈みを防ぎ、開口部の中心において、スペーサの周辺部と比べて、光照射強度が過剰に強くなることを防ぐことができる。
本発明の態様4に係る光治療装置100aは、さらに、前記スペーサ3aは、格子状に形成され、前記開口部(スペーサ開口部31a)が、格子部分を切断することで形成される構成である。
上記構成によれば、格子状の仕切りの部分が細いため、ハサミやニッパ等の工具によって切断することが容易になり、開口部の大きさを最小限にすることができるため、光照射を受ける皮膚の正常部の面積を最小限に縮小することができる。また、開口部の大きさを最小限にすることができるため、開口部における光照射モジュールの変形を抑制することができる。
本発明の態様5に係る光治療装置100,100a,100b,100cは、さらに、前記スペーサ3,3a,3bは、前記光を透過する光透過性を有し、当該光治療装置は、前記光を遮蔽する光遮蔽部(遮光材5)を備え、前記光遮蔽部は、前記光照射モジュール4,4Aおよび前記スペーサ3,3a,3bを、前記開口部(スペーサ開口部31,31a,31b)あるいは前記開口部とその縁を除いて覆う構成である。
上記構成によれば、光遮蔽部を設けることで、光照射モジュール4,4Aからの光が照射されることによる、治療対象部の周辺の皮膚の正常な部位への不要な光照射を低減し、皮膚の正常な部位への副作用を低減することができる。また、光照射モジュール4,4Aが治療時に発する強力な光を、光治療装置100,100a,100b,100cから外部へ漏洩することを防ぐため、患者や医療従事者が特別な保護具を装着する必要がなくなる。可能であり、皮膚の正常な部位への不要な光照射を低減し、皮膚の正常な部位への副作用を低減することが可能となる。
本発明の態様6に係る光治療装置100,100a,100b,100cは、さらに、前記スペーサ3,3a,3bは、前記光を透過する光透過性を有し、前記光照射モジュールは、可撓性を有するフィルム基板44と該フィルム基板44に搭載された複数の発光素子(LEDチップ43)とを備え、前記複数の発光素子は、前記開口部(スペーサ開口部31,31a,31b)に対応する部分の外側にも配置されている構成である。
上記構成によれば、開口部の外の光もスペーサを介して開口部内に達するので、開口部の中央部よりも光強度が低下しやすい開口部の端部における光強度を上げて、開口部内部における光照射強度の均一化を図ることができる。
本発明の態様7に係る光治療装置100,100a,100b,100cは、さらに、前記光遮蔽部(遮光材5)は、少なくとも前記スペーサと接する面は、前記光を反射する材質で構成されている。
上記構成によれば、光遮蔽部による反射によって、少しでも光を対象部に到達させられるため、対象部への照射効率を上げることができる。
本発明の態様8に係る光治療装置100fは、さらに、前記開口部(スペーサ開口部31,31b)の内面に凹凸形状を有する構成である。
上記構成によれば、開口部の内面に凹凸形状を有することで、光の取り出し効率を向上させ、治療時間を短縮することができる。
本発明の態様9に係る光治療装置100fは、さらに、前記開口部(スペーサ開口部31b)は、前記スペーサ3dに形成された凹部である構成である。
1 身体
2 患部(治療対象部)
3・3a・3b・3c・3d スペーサ
4・4b・4c・4d 光照射モジュール
5・5a 遮光材(光遮蔽部)
6 本体固定材(固定部材)
7 保冷材
8 保冷材固定材
9・49・49a・49b 装置本体
11 本体固定材/皮膚粘着部
12 保冷材固定材/皮膚粘着部
13 光反射材
14 波長変換層
20 電源部
21 電源制御部
22 電流供給部
23 信号線
31・31a・31b スペーサ開口部(開口部)
41A・51A アノード配線(第1配線)
41AT アノード端子
41AV アノード縦配線
41C・51C カソード配線(第1配線)
41CT カソード端子
41CV カソード縦配線
41I チップ間配線
42 ボンディングワイヤ
43 LEDチップ
44・54 フィルム基板
45 ダミーパターン
46A アノード外部接続部
46C カソード外部接続部
47・47a 配線保護膜
48 裏面補強材(補強部材)
57 裏側アノード配線(第2配線)
58 裏側カソード配線(第2配線)
59 アノード配線の貫通配線
60 カソード配線の貫通配線
100・100a・100b・100c・100d・100e・100f 光治療装置

Claims (16)

  1. 治療のための光を照射する光照射モジュールと、
    前記光照射モジュールの光出射側に配設され、身体の表面と接触して前記光照射モジュールと前記身体の表面における治療対象部との距離を一定に保つスペーサと、を備え、
    前記スペーサにおける前記身体の表面と接触する面に、前記治療対象部と当該スペーサとの接触を回避するための開口部が形成されており、
    前記スペーサは、前記光を透過する光透過性を有し、
    前記開口部の周囲のスペーサ表面には遮光材が配置されており、
    前記開口部は、前記身体の表面と接触する面に形成された凹部であることを特徴とする光治療装置。
  2. 前記光照射モジュールは、前記開口部による変形を防止するための補強構造を、前記光照射モジュールの光出射側とは反対側に、有することを特徴とする請求項1に記載の光治療装置。
  3. 治療のための光を照射する光照射モジュールと、
    前記光照射モジュールの光出射側に配設され、身体の表面と接触して前記光照射モジュールと前記身体の表面における治療対象部との距離を一定に保つスペーサと、を備え、
    前記スペーサにおける前記身体の表面と接触する面に、前記治療対象部と当該スペーサとの接触を回避するための開口部が形成されており、
    前記スペーサは、前記光を透過する光透過性を有し、
    前記開口部は、前記身体の表面と接触する面に形成された凹部であり、
    前記スペーサは、格子状に形成され、
    前記開口部が、格子部分を切断することで形成されることを特徴とする光治療装置。
  4. 当該光治療装置は、前記光を遮蔽する光遮蔽部をさらに備え、
    前記光遮蔽部は、前記光照射モジュールおよび前記スペーサを、前記開口部あるいは前記開口部とその縁を除いて覆うことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の光治療装置。
  5. 前記光照射モジュールは、可撓性を有するフィルム基板と該フィルム基板に搭載された複数の発光素子とを備え、
    前記複数の発光素子は、前記開口部に対応する部分の外側にも配置されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の光治療装置。
  6. 前記光遮蔽部は、少なくとも前記スペーサと接する面は、前記光を反射する材質で構成されていることを特徴とする請求項4に記載の光治療装置。
  7. 治療のための光を照射する光照射モジュールと、
    前記光照射モジュールの光出射側に配設され、身体の表面と接触して前記光照射モジュールと前記身体の表面における治療対象部との距離を一定に保つスペーサと、を備え、
    前記スペーサにおける前記身体の表面と接触する面に、前記治療対象部と当該スペーサとの接触を回避するための開口部が形成されており、
    前記スペーサは、前記光を透過する光透過性を有し、
    前記開口部は、前記身体の表面と接触する面に形成された凹部であり、
    前記開口部の内面に凹凸形状を有することを特徴とする光治療装置。
  8. 治療のための光を照射する光照射モジュールと、
    前記光照射モジュールの光出射側に配設され、身体の表面と接触して前記光照射モジュールと前記身体の表面における治療対象部との距離を一定に保つスペーサと、を備え、
    前記スペーサにおける前記身体の表面と接触する面に、前記治療対象部と当該スペーサとの接触を回避するための開口部が形成されており、前記開口部の周囲のスペーサ表面には遮光材が配置されており、
    前記スペーサは、前記光を透過する光透過性を有し、
    前記光照射モジュールは、可撓性を有するフィルム基板と該フィルム基板に搭載された複数の発光素子とを備え、
    前記複数の発光素子は、前記開口部に対応する部分の外側にも配置されていることを特徴とする光治療装置。
  9. 前記光照射モジュールは、前記開口部による変形を防止するための補強構造を、前記光照射モジュールの光出射側とは反対側に、有することを特徴とする請求項8に記載の光治療装置。
  10. 治療のための光を照射する光照射モジュールと、
    前記光照射モジュールの光出射側に配設され、身体の表面と接触して前記光照射モジュールと前記身体の表面における治療対象部との距離を一定に保つスペーサと、を備え、
    前記スペーサにおける前記身体の表面と接触する面に、前記治療対象部と当該スペーサとの接触を回避するための開口部が形成されており、
    前記スペーサは、前記光を透過する光透過性を有し、
    前記光照射モジュールは、可撓性を有するフィルム基板と該フィルム基板に搭載された複数の発光素子とを備え、
    前記複数の発光素子は、前記開口部に対応する部分の外側にも配置されており、
    前記スペーサは、格子状に形成され、
    前記開口部が、格子部分を切断することで形成されることを特徴とする光治療装置。
  11. 当該光治療装置は、前記光を遮蔽する光遮蔽部をさらに備え、
    前記光遮蔽部は、前記光照射モジュールおよび前記スペーサを、前記開口部あるいは前記開口部とその縁を除いて覆うことを特徴とする請求項8から10の何れか1項に記載の光治療装置。
  12. 前記光遮蔽部は、少なくとも前記スペーサと接する面は、前記光を反射する材質で構成されていることを特徴とする請求項11に記載の光治療装置。
  13. 治療のための光を照射する光照射モジュールと、
    前記光照射モジュールの光出射側に配設され、身体の表面と接触して前記光照射モジュールと前記身体の表面における治療対象部との距離を一定に保つスペーサと、を備え、
    前記スペーサにおける前記身体の表面と接触する面に、前記治療対象部と当該スペーサとの接触を回避するための開口部が形成されており、
    前記スペーサは、前記光を透過する光透過性を有し、
    前記光照射モジュールは、可撓性を有するフィルム基板と該フィルム基板に搭載された複数の発光素子とを備え、
    前記複数の発光素子は、前記開口部に対応する部分の外側にも配置されており、
    前記開口部の内面に凹凸形状を有することを特徴とする光治療装置。
  14. 前記開口部は、前記スペーサに形成された凹部であることを特徴とする請求項13に記載の光治療装置。
  15. 治療のための光を照射する光照射モジュールと、
    前記光照射モジュールの光出射側に配設され、身体の表面と接触して前記光照射モジュールと前記身体の表面における治療対象部との距離を一定に保つスペーサと、を備え、
    前記スペーサにおける前記身体の表面と接触する面に、前記治療対象部と当該スペーサとの接触を回避するための開口部が形成されており、
    前記スペーサは、格子状に形成され、
    前記開口部が、格子部分を切断することで形成されることを特徴とする光治療装置。
  16. 治療のための光を照射する光照射モジュールと、
    前記光照射モジュールの光出射側に配設され、身体の表面と接触して前記光照射モジュールと前記身体の表面における治療対象部との距離を一定に保つスペーサと、を備え、
    前記スペーサにおける前記身体の表面と接触する面に、前記治療対象部と当該スペーサとの接触を回避するための開口部が形成されており、
    前記スペーサは、前記光を透過する光透過性を有し、
    前記光を遮蔽する光遮蔽部をさらに備え、
    前記光遮蔽部は、前記光照射モジュールおよび前記スペーサを、前記開口部あるいは前記開口部とその縁を除いて覆っており、
    前記光遮蔽部は、少なくとも前記スペーサと接する面は、前記光を反射する材質で構成されていることを特徴とする光治療装置。
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