JP6648040B2 - がん治療のための併用療法としてのエリブリン及びポリ(adpリボース)ポリメラーゼ(parp)阻害剤の使用 - Google Patents

がん治療のための併用療法としてのエリブリン及びポリ(adpリボース)ポリメラーゼ(parp)阻害剤の使用 Download PDF

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Description

発明の背景
がんは、多種多様な疾患を説明するのに用いられる用語であり、かかる疾患の各々は、特定のタイプの細胞の無制御な成長によって特徴づけられる。それは、かかる細胞を含む組織において始まり、がんが、診断時に別の組織にまで広がっていなかった場合は、例えば、手術、放射線又は他のタイプの局所的な治療によって治療することができる。しかしながら、がんがその原発組織から転移したという根拠がある場合は、種々の治療アプローチが一般的に実施される。実際のところ、転移の程度を確定的に決定することができないため、転移に関するなんらかの根拠が検出されると、体系的な治療アプローチが通常行われる。これらのアプローチには、例えば、細胞(例えばがん細胞)を急速に分裂させる成長を妨げる化学療法薬の投与を含めることができる。他のアプローチは、対象者のがん性細胞に対する免疫反応を誘発又は高める免疫療法の使用に関する。
ハリコンドリンBは、構造的に複雑な大環状の化合物であり、海綿であるクロイソカイメンから最初に単離され、その後アキシネラ種、ファケリアカルテリ(Phakellia carteri)及びリソデンドリクス(Lissodendoryx)種で見つかった。ハリコンドリンBの全合成は、1992年に公開された(Aicher et al., J. Am. Chem. Soc. 114:3162-3164, 1992)。ハリコンドリンBは、チューブリン重合、チューブリンアセンブリ、ベータS-チューブリン架橋、チューブリンに対するGTP及びビンブラスチンの結合並びにチューブリン依存的GTP加水分解をインビトロで阻害することを示した。この分子は、インビトロ及びインビボで、抗がん特性を有することも示した。抗がん活性を有するハリコンドリンB類縁物質は、米国特許第6,214,865号B1に記載されている。
エリブリンは、ハリコンドリンBの合成類縁物質である。エリブリンは、ER-086526としても知られており、CAS番号253128-41-5及び米国NCI表示番号NSC-707389も割り当てられいる。エリブリンのメシル酸塩(エリブリンメシル酸塩。商品名ハラヴェン(登録商標)として販売されている。別名E7389)は、補助療法又は再発後療法(adjuvant or metastatic setting)のいずれかにおいてアントラサイクリン及びタキサンを含む転移性疾患の治療に関する少なくとも2つの化学療法計画を以前に受けた乳がん患者の治療に関して、2010年11月にFDAの承認を受けている。
エリブリンメシル酸塩の化学名は、11,15:18,21:24,28-トリエポキシ-7,9-エタノ-12,15-メタノ-9H,15H-フロ[3,2-i]フロ[2',3':5,6]ピラノ[4,3-b][1,4]ジオキサシクロペンタコシン-5(4H)-オン,2-[(2S)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル]ヘキサコサヒドロ-3-メトキシ-26-メチル-20,27-ビス(メチレン)-,(2R,3R,3aS,7R,8aS,9S,10aR,11S,12R,13aR,13bS,15S,18S,21S,24S,26R,28R,29aS)-メタンスルホネート(塩)であり、以下のように表すことができる。
ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)ファミリータンパク質のメンバーは、DNA修復及びプログラム細胞死に主に関係している多くの細胞プロセスに関与する。PARP阻害剤は、がんを含む多くの指標に関して、開発中である。E7449は、PARP阻害剤(米国特許第8,236,802号の化合物37を参照)であり、以下のように表すことができる。
発明の開示
本発明は、エリブリンメシル酸塩、PARP阻害剤(例えば、E7449)、及び、任意にプラチナに基づく抗悪性腫瘍薬(例えば、カルボプラチン)の併用が抗腫瘍効果を(例えば、相乗的に)向上させることを示すという観察に部分的に基づいている。従って、本発明は、エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)及び1又は複数のPARP阻害剤(例えば、E7449又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、酒石酸塩))の併用、任意に、プラチナに基づく抗悪性腫瘍薬(例えば、カルボプラチン)を併用したがん(例えば、相同組換え(HR)欠損がん;下記参照)を予防し、治療する方法を特徴とする。
「エリブリン」という用語が本願明細書において用いられる場合、文脈において別途明示されない限り、エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩(例えばエリブリンメシル酸塩)を示すものとみなすべきである。同様に、「PARP阻害剤」(又は、特定のPARP阻害剤の名前(例えばE7449))という用語が本願明細書において用いられる場合、文脈において別途明示されない限り、PARP阻害剤又は適用可能なその医薬的に許容可能な塩(例えば、L-酒石酸塩)、水和物、溶媒和物若しくは非晶質固体を示すものとみなすべきである。
第一態様において、本発明は、がんを患っている又は発症するリスクのある対象(例えば、ヒト患者)(例えば、がんの治療において又はがんからの治療後回復期においてがんと診断された対象)を治療する方法を提供する。上記方法には、対象に(i)エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)又はその医薬的に許容可能な塩及び(ii)ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤又はその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物若しくは非晶質固体を投与するステップが含まれる。
各種実施形態において、がんは、相同組換え(HR)-欠損である。例えば、HR欠損がんは、BRCA1、BRCA2、PTEN、ATM、MRE11、PALB2、RAD54、RAD54B、RAD50、RAD51、RAD51B、RAD51C、RAD51D、DMC1、XRCC2、SRCC3、RAD52、BRIP1、NBS1、WRN、BLM、Ku70、Ku80、ATR chk1、chk2、FANCA、FANCB、FANCC、FANCD1、FANCD2、FANCE、FANCF、FANCG、RAD1、RAD9、FEN-1、Mus81、Eme1、DDS1、BARD、XRCC1、ADPRT(PARP-1)、ADPRTL2(PARP-2)、CTPS、RPA、RPA1、RPA2、RPA3、XPD、ERCC1、XPF及び/又はMMS19欠損であってもよい。
いくつかの実施形態において、がんは、原発腫瘍、転移腫瘍又は固形腫瘍である。
ある種の実施形態において、がんは、乳がん(例えば、エストロゲンレセプター陽性若しくは陰性、プロゲステロンレセプター陽性若しくは陰性、HER-2陽性若しくは陰性、三種陰性乳がん又はBRCA1及び/若しくはBRCA2陽性若しくは陰性)、肺がん(例えば、非小細胞肺がん及び小細胞肺がん)、卵巣がん、子宮体がん、前立腺がん、咽頭がん、食道がん、グリア芽細胞腫、副腎がん、B細胞悪性腫瘍、胆道がん、膀胱がん、骨がん、脳がん、子宮頸がん、絨毛膜癌腫、結腸がん、大腸がん、結合組織がん、消化器系のがん、胆嚢がん、胃がん、頭と首のがん、肝細胞癌腫、上皮内新生物、腎臓がん、肝がん、リンパ腫、皮膚がん(例えば、メラノーマ及び基底細胞癌腫)、神経芽腫、中皮腫、神経膠腫、口腔がん、小児がん、膵臓がん、膵性内分泌腫瘍、下垂体線腫、胸腺腫、腎細胞癌腫、呼吸器系がん、唾液腺がん、肉腫(例えば、ユーイング肉腫、線維肉腫及び横紋筋肉腫)、小腸がん、精巣がん、甲状腺がん、尿管がん、泌尿器系がん、及び血液がん(例えば、急性顆粒球性白血病及び多発性骨髄腫)からなる群より選択される。
各種実施形態において、エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩は、例えば、約1〜約20分又は約2〜約5分間、約0.1mg/m2〜約20mg/m2の範囲の量又は約0.7mg/m2、1.1mg/m2又は1.4mg/m2の量で、静脈内注入によって投与される。上記投与は、例えば、21日サイクルの1日目及び8日目に一日一回行なうことができる。
いくつかの実施形態において、PARP阻害剤は、E7449、オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、ベリパリブ及びBMN 673並びにその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物又は非晶質固体からなる群より選択される。特定の例において、PARP阻害剤は、E7449又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、L-酒石酸塩)であり、任意に、例えば、約100mg〜約1000mgの範囲の量又は約200、400、600若しくは800 mgの量で経口的に投与することができる。上記投与は、例えば、21日サイクルの間に一日一回行なうことができる。
ある種の実施形態では、上記方法は、21日サイクルの間に一日一回任意に投与することができるプラチナに基づく抗悪性腫瘍薬(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチン又はリポラチン(lipolatin))を投与するステップを更に有する。
各種実施形態において、本発明の方法による治療は、(i) がん細胞の数を減少させる;(ii) 腫瘍体積を減少させる;(iii) 腫瘍退縮率を増加させる;(iv) がん細胞の末梢器官への浸潤を低下させる若しくは遅らせる;(v) 腫瘍転移を低下させる若しくは遅らせる;(vi) 腫瘍成長を低下させる若しくは阻害させる;(vii) がんの発生若しくは再発を予防する若しくは遅らせる及び/若しくは無疾患若しくは無腫瘍生存期間を延長する;(viii) 全生存期間を延ばす;(ix) 治療の頻度を減少させる;並びに/又は(x) がんと関連する1又は複数の症状を緩和させることである。
別の態様においては、本発明は、対象(例えば、ヒト患者)の腫瘍(例えば、HR欠損細胞を含む腫瘍;上記参照)のサイズを減少させる方法も提供する。上記方法には、対象に(i)エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)、及び(ii) PARP阻害剤又はその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物又は非晶質固体(例えば、E7449又はその医薬的に許容可能な塩(例えばL-酒石酸塩;上記参照)を投与するステップが含まれる任意に、これらの方法は、プラチナに基づく抗悪性腫瘍薬(上記参照)を投与するステップを更に有する。
上述の方法及び実施形態のいずれかにおいて、対象に投与されるエリブリン又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)の量及び/又はPARP阻害剤又はその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物又は非晶質固体(例えば、E7449のL-酒石酸塩)の量は、個々の効果の合計よりも大きい相乗効果を提供する。
プラチナに基づく抗悪性腫瘍薬を投与するステップを有する方法において、対象に投与されるエリブリン又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)の量、PARP阻害剤又はその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物又は非晶質固体(例えば、E7449のL-酒石酸塩)の量及び/又はプラチナに基づく抗悪性腫瘍薬の量は、個々の効果の合計よりも大きい相乗効果を提供する。
上述の方法及び実施形態のいずれかにおいて、エリブリン若しくはその医薬的に許容可能な塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)又はPARP阻害剤若しくはその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物若しくは非晶質固体(例えば、E7449のL-酒石酸塩)は、共投与してもよい。
上述の方法及び実施形態のいずれかにおいて、エリブリン若しくはその医薬的に許容可能な塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)又はPARP阻害剤若しくはその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物若しくは非晶質固体(例えば、E7449のL-酒石酸塩)は、順次投与してもよい。
上述の共投与及び順次投与方法は、エリブリン若しくはその医薬的に許容可能な塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)又はPARP阻害剤若しくはその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物若しくは非晶質固体(例えば、E7449のL-酒石酸塩)の一方又は両方と共にプラチナに基づく抗悪性腫瘍薬を共投与するステップを任意に更に有してもよく、又は、エリブリン若しくはその医薬的に許容可能な塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)又はPARP阻害剤若しくはその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物若しくは非晶質固体(例えば、E7449のL-酒石酸塩)に対してプラチナに基づく抗悪性腫瘍薬を順次投与するステップを更に有してもよい。
別の態様においては、本発明は、がんを治療する又は腫瘍サイズを減少させる(例えば、本願明細書において上記及び他でリスト化したがん及び腫瘍タイプを参照)ためのキットを提供する。上記キットは、(i)エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)、及び(ii) PARP阻害剤又はその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物若しくは非晶質固体(例えば、E7449又はその医薬的に許容可能な塩(例えばL-酒石酸塩)を含んでいてもよい。任意に、上記キットは、また、プラチナに基づく抗悪性腫瘍薬(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチン及び/又はリポラチン)を含んでいてもよい。
本発明は、がんを治療する又は腫瘍サイズを減少させる(例えば、本願明細書において上記及び他でリスト化したがん及び腫瘍タイプを参照)ための、又は、この目的のために医薬品を作成するための、(i)エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)、及び(ii) PARP阻害剤又はその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物若しくは非晶質固体(例えば、E7449若しくはその医薬的に許容可能な塩(例えばL-酒石酸塩)、又は、他のPARP阻害剤(例えば、本願明細書に記載されているもののうちの一又は複数))の使用を更に含む。任意に、これらの使用は、本願明細書に記載されている、1又は複数のプラチナに基づく抗悪性腫瘍薬(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチン及び/又はリポであるラテン)の使用も含むこともできる。
本発明の他の特徴及び効果は、以下の詳細な説明、図面及び請求項から明白となるであろう。
図1は、SCIDマウスにおけるMDA-MB-436ヒト乳がん異種移植片に対するE7449及びE7389(エリブリンメシル酸塩)単独並びに併用の抗腫瘍効果を示しているグラフである。明示された治療グループの平均腫瘍体積は、播種後の時間の関数として示されている。
図2は、SCIDマウスにおけるMDA-MB-436ヒト乳がん異種移植片に対するE7449及びE7389の単独並びに併用を用いて治療されたマウスの相対的体重を示しているグラフである。明示された治療グループの相対的体重は、播種後の時間の関数として示されている。
図3は、SCIDマウスにおけるMDA-MB-436ヒト乳がん異種移植片に対するE7449及びカルボプラチンの単独並びに併用の抗腫瘍効果を示しているグラフである。明示された治療グループの平均腫瘍体積は、播種後の時間の関数として示されている。
図4は、SCIDマウスにおけるMDA-MB-436ヒト乳がん異種移植片に対するE7449及びカルボプラチンの単独並びに併用を用いて治療されたマウスの相対的体重を示しているグラフである。明示された治療グループの相対的体重は、播種後の時間の関数として示されている。
図5は、SCIDマウスにおけるMDA-MB-436ヒト乳がん異種移植片に対するE7449、E7389及びカルボプラチンの単独並びに併用の抗腫瘍効果を示しているグラフである。明示された治療グループの平均腫瘍体積は、播種後の時間の関数として示されている。
図6は、SCIDマウスにおけるMDA-MB-436ヒト乳がん異種移植片に対するE7449、E7389及びカルボプラチンの単独並びに併用を用いて治療されたマウスの相対的体重を示しているグラフである。明示された治療グループの相対的体重は、播種後の時間の関数として示されている。
図7は、無胸腺マウスにおけるMDA-MB-468ヒト乳がん異種移植片に対するE7449及びE7389の単独並びに併用の抗腫瘍効果を示しているグラフである。明示された治療グループの平均腫瘍体積は、播種後の時間の関数として示されている。
図8は、無胸腺マウスにおけるMDA-MB-468ヒト乳がん異種移植片に対するE7449及びE7389の単独並びに併用を用いて治療されたマウスの相対的体重を示しているグラフである。明示された治療グループの相対的体重は、播種後の時間の関数として示されている。
図9は、無胸腺マウスにおけるMDA-MB-231ヒト乳がん異種移植片に対するE7449及びE7389の単独並びに併用の抗腫瘍効果を示しているグラフである。明示された治療グループの平均腫瘍体積は、播種後の時間の関数として示されている。
図10は、無胸腺マウスにおけるMDA-MB-231ヒト乳がん異種移植片に対するE7449及びE7389の単独並びに併用を用いて治療されたマウスの相対的体重を示しているグラフである。明示された治療グループの相対的体重は、播種後の時間の関数として示されている。
図11は、無胸腺マウスにおけるMDA-MB-231ヒト乳がん異種移植片に対するE7449及びカルボプラチンの単独並びに併用の抗腫瘍効果を示しているグラフである。明示された治療グループの平均腫瘍体積は、播種後の時間の関数として示されている。
図12は、無胸腺マウスにおけるMDA-MB-231ヒト乳がん異種移植片に対するE7449及びカルボプラチンの単独並びに併用を用いて治療されたマウスの相対的体重を示しているグラフである。明示された治療グループの相対的体重は、播種後の時間の関数として示されている。
図13は、無胸腺マウスにおけるHCC1806ヒト乳がん異種移植片に対するE7449及びE7389の単独並びに併用の抗腫瘍効果を示しているグラフである。明示された治療グループの平均腫瘍体積は、播種後の時間の関数として示されている。
図14は、無胸腺マウスにおけるHCC1806ヒト乳がん異種移植片に対するE7449及びE7389の単独並びに併用を用いて治療されたマウスの相対的体重を示しているグラフである。明示された治療グループの相対的体重は、播種後の時間の関数として示されている。
図15は、三種陰性乳がん腫瘍溶解物におけるポリ(ADPリボース)(PAR)レベルに関する薬力学的(PD)バイオマーカー分析を示している一組のグラフである。
図16は、三種陰性乳がん腫瘍溶解物における合計Aktレベルに関するPDバイオマーカー分析を示している一組のグラフである。
図17は、無胸腺マウスにおける患者由来異種移植片(PDx)に対するE7449及びE7389の単独並びに併用の抗腫瘍効果を示している一組のグラフである。明示された治療グループの平均腫瘍体積は、播種後の時間の関数として示されている。
発明の詳細な説明
本発明は、エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)及び1又は複数のPARP阻害剤(例えば、E7449又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、L-酒石酸塩))、任意に、プラチナに基づく抗悪性腫瘍薬(例えば、カルボプラチン)を併用しての投与を有する、がんの治療のための方法を提供する。後ほど詳細に説明する通り、本発明によって治療することができるがんとして、例えば、相同組換え(HR)-欠損がんが挙げられる。
エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)、PARP阻害剤(例えば、E7449又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、L-酒石酸塩)、任意に、プラチナに基づく抗悪性腫瘍薬(例えば、カルボプラチン)を併用しての投与によるがんの治療は、本発明の方法によれば、(i) がん細胞の数を減少させることができる;(ii) 腫瘍体積を減少させることができる;(iii) 腫瘍退縮率を増加させることができる;(iv) がん細胞の末梢器官への浸潤を低下させる若しくは遅らせることができる;(v) 腫瘍転移を低下させる若しくは遅らせることができる;(vi) 腫瘍成長を低下させる若しくは阻害させることができる;(vii) がんの発生若しくは再発を予防する若しくは遅らせることができる及び/若しくは無疾患若しくは無腫瘍生存期間を延長することができる;(viii) 全生存期間を延ばすことができる;(ix) 治療の頻度を減少させることができる;並びに/又は(x) がんと関連する1又は複数の症状を緩和させることができる。熟練者であれば、がんが治っておらず完全に除去されていない場合であっても、がんの治療は、患者の健康向上になり得ると理解するだろう。
医薬組成物、投薬量及び方法エリブリンの合成
方法は、例えば、米国特許第6,214,865号、米国特許第7,982,060号、米国特許第8,350,067号及び米国特許第8,093,410号に記載されており、それぞれは本願明細書に引用したものとする。上述した通り、エリブリンメシル酸塩は、商業的に利用可能であり、ハラヴェン(登録商標)として販売されている。E7449及びその合成に関する方法は、例えば、米国特許第8,236,802号に記載されており、それは、本願明細書に引用したものとする。更に以下で述べるように、E7449に加えてPARP阻害剤も、本発明に用いられ、この阻害剤は商業的に利用可能であり、従来技術として知られている方法を使用して合成することもできる。プラチナに基づく抗腫瘍薬(例えば、カルボプラチン)は、公知技術であり商業的に利用可能である(以下参照)。
上述した通り、本発明において、エリブリン及び/又はPARP阻害剤を塩の形態で任意に用いることができる。使用する塩に関しては無機酸塩であれ有機酸塩であれ特に限定するものではない。例えば、上記塩は、メシル酸塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)、塩酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、スーパーリン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩(salicic acid salt)、酒石酸塩、L-酒石酸塩、パントテン酸塩、アスコルビン酸塩、琥珀酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩及びパモン酸塩(パモエート)等より選択することができる。更に、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、ナトリウム、亜鉛又はジエタノールアミンの塩を使用することができる。
エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)、PARP阻害剤(例えば、E7449又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、L-酒石酸塩)及びプラチナに基づく抗腫瘍薬(カルボプラチン)を含む医薬組成物は、従来技術において知られている標準的な方法(例えば、上記特許文献を参照)を使用して作成することができる。一般的に、本発明において用いられるこれらの薬は、別々の医薬組成物中に含まれているが、それらは、任意に、単一の組成物中に含めることができる。エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)及びプラチナに基づく抗腫瘍薬(例えば、カルボプラチン)は、静脈内投与のために液体状態にて一般的に提供又は再構成される一方で、PARP阻害剤(例えば、E7449又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、L-酒石酸塩))は、多くの例において、経口的投与のためにカプセル形態にて一般的に提供される。
本発明において使用する医薬組成物は、例えば、生理的に許容可能な希釈液、キャリア、賦形剤又は安定剤において、所望の純度にある活性成分を混合又は溶解することによって作成することができる(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (20th edition), ed. A. Gennaro, 2000, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, PAを参照)。許容可能な希釈液としては、水及び生理食塩水が挙げられ、任意に、リン酸塩、クエン酸塩又は他の有機酸等の緩衝液;ブチルオキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン又はイムノグロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン、アミノ酸(例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリジン)等の親水性ポリマー;グルコース、マンノース又はデキストリンを含む単糖類、二糖又は他の糖質;EDTA等のキレート化剤;マンニトール又はソルビトール等の糖アルコール;ナトリウム等の塩形成対イオン;及び/又はツイーンTM、プルロニックTM又はPEG等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
経口投薬形態のための組成物(例えば、PARP阻害剤(例えばE7449又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、L-酒石酸塩))を作成する際に、任意の通常の医薬媒体(例えば、水、グリコール、オイル、アルコール、香料、防腐剤、染色薬剤)を使用することができる。加えて、キャリア(例えばデンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈液、造粒剤、潤滑油、結合剤、崩壊剤等)を、経口固体調製品(例えば粉末、カプセル及びタブレット)の場合に用いることができる。
任意に、本発明の調製物は、医薬的に許容可能な防腐剤を含んでいてもよいいくつかの実施形態において、保存濃度は、0.1から2.0%(一般的にv/v)の範囲にわたる。好適な防腐剤には、製薬技術において公知のもの(例えばベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、メチルパラベン及びプロピルパラベン)が含まれる。更に、エリブリン及び/又はPARP阻害剤調製物は、任意に、例えば、ほぼ生理的濃度の塩化ナトリウム等の医薬的に許容可能な塩を含んでいてもよい。従って、一例として、エリブリンは、0.9%塩化ナトリウム注射液(USP)にて調製される。
上記(及びその他の場所で述べる)調製物は、薬の非経口投与のために用いることができる。従って、上記薬は、静脈内、腫瘍内、腫瘍周囲、動脈内、皮内、膀胱内、眼、筋肉内、皮内、腹腔内、肺、皮下及び経皮ルートを含むルートによって投与することができる。例えば、経粘膜、経真皮、吸入、腟内、直腸及び経口投与ルートを含む他の方法も用いることもできる。
投与される、エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)、PARP阻害剤(例えば、E7449又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、L-酒石酸塩))及びプラチナに基づく抗腫瘍薬(例えば、カルボプラチン)の組成物の投薬量は、年齢、性別及び患者の体重、症状の重症度並びに標的疾患のタイプ、輸送方法の選択、更に他の要素に応じて、著しく異ならせることができる。更に、エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)、PARP阻害剤(例えば、E7449又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、L-酒石酸塩))及び、任意に、プラチナに基づく抗腫瘍薬(例えば、カルボプラチン)の組成物は、患者に、実質的に同時又は順次に及び任意の順番で投与することができる。
エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)の1日の投薬量は、例えば、0.001mg/m2〜約100mg/m2の範囲(例えば、約0.1mg/m2〜約50mg/m2の範囲又は約0.7mg/m2〜約1.5mg/m2の範囲)、又は、これらの範囲内の任意の単一の量(例えば、1.4mg/m2又は1.1mg/m2)とすることができる。エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)は、一日一回、週一回、月一回又は年一回の単回用量として投与することができ、或いは、一日につき、一週間につき、一ヶ月につき又は一年につき複数回用量で投与することができる。例えば、1つの投与プロトコールとして、エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)は、21日サイクルでの1日目及び8日目に一回投与することができる。より詳しくいえば、エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)の推奨用量は、1.4mg/m2であって、21日サイクルでの1日目及び8日目に2〜5分間にわたって静脈内に投与される。軽度の肝障害(チャイルドピューA)を患っている患者におけるエリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)の推奨用量は、1.1mg/m2であって、21日サイクルでの1日目及び8日目に2〜5分間にわたって静脈内に投与される一方で、中程度の肝障害(チャイルドピューB)を患っている患者におけるエリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)の推奨用量は、0.7mg/m2であって、21日サイクルでの1日目及び8日目に2〜5分間にわたって静脈内に投与される。更に、中程度の腎臓機能障害(30-50mL/分のクレアチニンクリアランス)を患っている患者におけるエリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)の推奨用量は、1.1mg/m2であって、21日サイクルでの1日目及び8日目に2〜5分間にわたって静脈内に投与される。本発明の方法によれば、これら又は他の低用量のエリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)を、併用での治療に任意に用いることができる。特定の例において、本願明細書に記載されている通り、エリブリンを他の薬剤と併用して投与する場合、用量は、21日サイクルでの1日目及び8日目に2〜5分間にわたって静脈内に投与される1.4mg/m2から21日サイクルでの1日目及び8日目に2〜5分間にわたって静脈内に投与される1.1mg/m2又は0.7mg/m2に減少させることができる。
PARP阻害剤は、当業者によって適切に決定される投与計画を使用して投与することができる。E7449(又は、その医薬的に許容可能な塩(例えば、L-酒石酸塩))は、例えば、単回又は複数回用量で、約10mg/日〜約1000mg/日の範囲内(例えば、10、50、100、200、400、600、又は800mg/日)にて経口投与することができる。一実施形態として、E7449は、約20mg/日〜約400mg/日の範囲内にて経口投与することができる。E7449(又は、その医薬的に許容可能な塩(例えば、L-酒石酸塩))は、一日一回、週一回、月一回又は年一回の単回用量として投与することができ、或いは、一日につき、一週間につき、一ヶ月につき又は一年につきE7449(又は、その医薬的に許容可能な塩(例えば、L-酒石酸塩))を複数回用量で投与することができる。様々な例において、E7449(又は、その医薬的に許容可能な塩(例えば、L-酒石酸塩))は、投与する第二及びその後の用量が第一及び先行用量に対して減少又は増加するように段階的に減少又は増加する用量で投与することができる。
上述した通り、E7449以外のPARP阻害剤も本発明において用いることができる。したがって、例えば、本発明は、可逆的ニコチンアミド-ミメティック低分子PARP阻害剤(例えばオラパリブ(AstraZeneca)、ニラパリブ(Tesaro)、ルカパリブ(Clovis Oncology)、ベリパリブ(AbbVie)及びBMN 673(BioMarin))の使用を含む。これらの薬の投与のための標準的な方法は、従来技術において知られており、本発明での使用に適用してもよい。併用療法の観点にて、当業者によって適切に決定されるように、これらの薬の標準的な量を用いてもよくその量を減らしてもよい。
本発明において用いることができるプラチナに基づく抗腫瘍薬(プラチン)としては、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチン及びリポラチンが挙げられる。これらの薬に関する用量及び投与計画は、公知技術であり、本発明での使用に適用させることができる。各種実施形態において、プラチナに基づく抗腫瘍薬の量は、エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)及びPARP阻害剤(例えば、E7449(又は、その医薬的に許容可能な塩(例えば、L-酒石酸塩))の共投与の観点から、標準的な用量と比較して減らしてもよい。カルボプラチンの場合、例えば、カルバート達のJ. Clin. Oncol. 7:1748-1756, 1989を参考にすることができる。それには、例えば、糸球体濾過率に基づく用量決定に関する周知のアプローチが説明されている。特異的な例として、プラチナに基づく抗腫瘍薬(例えば、カルボプラチン)は、AUC 4/5/6 IV Q3週の量にて投与することができる。
化学療法薬を投与するのに用いる多くの投与計画は、当業者によって適切に決定されるように、例えば、1つの薬(又は、複数の薬)の投与コースに続いて、この治療を、治療による任意の有害副作用から患者が回復する期間(例えば、1-4週間)の後に反復することを伴う。
本発明に含まれる治療計画の非制限的な特定の例として、エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)は、21日サイクルでの1日目及び8日目に0.5-3時間(例えば、2-5分間)、静脈内注入によって0.01-5mg/m2(例えば、0.7又は1.1mg/m2)の量にて投与される一方で、PARP阻害剤(例えばE7449(又は、その医薬的に許容可能な塩(例えば、L-酒石酸塩)))は、この21日サイクルの間、毎日、100mg〜1000mg(例えば、200、400、600、又は800mg)の量にて経口投与される。任意に、プラチナに基づく抗腫瘍薬(例えば、カルボプラチン)は、この21日サイクルの間、一回投与される。この投与は、サイクルの1日目に行ってもよく、当業者によって適切に決定される任意の日(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20及び/又は21日目)に行ってもよい。この治療コースは、当業者が許容でき且つ有効であると判断することによって繰り返すことができる。
一実施形態として、E7449は、21日サイクルにおいて連続して一日一回(例えば、10、50、100、200、又は400mg/日)、各サイクルの1日目だけ静脈内注入を経て投与されるカルボプラチン及びエリブリンメシル酸塩の両方を併用して、患者に経口的に投与される。技術者は、対象が、対象における疾患進行をモニターしている間に1又は複数回の21日サイクルの治療を受けることを理解している。一実施形態として、対象は、かかる21日サイクルを1、2、3、4、5又は6回受ける。
他の例において、以下の投薬スケジュールを用いることができる:(i) 用量レベル1:カルボプラチンAUC 4 IV q 21日;エリブリン1.1mg/m2 IV 21日サイクルの1日目、8日目;E7449 200mg po qd x 21日;(ii) 用量レベル2:カルボプラチンAUC 4 IV q 21日;エリブリン1.1mg/m2 IV 21日サイクルの1日目、8日目;E7449 400mg po qd x 21日;(iii) 用量レベル3:カルボプラチンAUC 4 IV q 21日;エリブリン1.1mg/m2 IV、21日サイクルの1日目、8日目;E7449 600mg po qd x 21日;(iv) 用量レベル4:カルボプラチンAUC 5 IV q 21日;エリブリン1.1mg/m2 IV 21日サイクルの1日目、8日目;E7449 600mg po qd x 21日;(v) 用量レベル5:カルボプラチンAUC 6 IV q 21日;エリブリン1.1mg/m2 IV 21日サイクルの1日目、8日目;E7449 600mg po qd x 21日。
エリブリン、PARP阻害剤(例えば、E7449(又は、その医薬的に許容可能な塩(例えば、L-酒石酸塩))及び、任意に、プラチナに基づく抗腫瘍薬(例えば、カルボプラチン)に加えて、本発明の方法は、1又は複数の追加の治療薬剤の投与を含むこともできる。これらの薬剤の中で、免疫調節性薬剤(例えば、抗体又はワクチン)、化学療法/抗腫瘍薬剤、抗菌薬剤、制吐薬剤及び抗炎症薬剤が適切である。あるいは、エリブリン、PARP阻害剤(例えば、E7449(又は、その医薬的に許容可能な塩(例えば、L-酒石酸塩)))及び、任意にプラチナに基づく抗腫瘍薬(例えば、カルボプラチン)を、唯一の治療(例えば、唯一の抗がん)薬剤として、治療計画において用いることができる。
本発明の方法は、対象(例えば、ヒト患者)のがんを治療する(例えば、進行を遅延させることを含む)若しくは予防する及び/又は腫瘍サイズを減少させるために用いることができる。上記対象は、がんの治療において、又は、がんからの治療後回復期において、がんであると、がんが発症するリスクがあると診断され得る。更に、上記方法は、転移及び/又は再発を治療又は予防するために用いることができる。上記治療は、化学療法単独であってもよい。但し、腫瘍のサイズを取り除く又は減少させる外科的手順、放射線治療、免疫療法及び/又は除去療法を併用する治療も想定される。
本発明の方法は、非制限的な例として、相同組換えを実行する能力が低下したがん細胞によって特徴づけられるがん相同組換え(HR)-欠損がんを含むがんを治療するために用いることができる。HR欠損がんは、例えば、変異に起因して、HRの役割を果たす遺伝子の発現の欠損によって引き起こされる場合がある。HRにおいて機能し得る遺伝子としては、例えば、BRCA1、BRCA2、PTEN、ATM、MRE11、PALB2、RAD54、RAD54B、RAD50、RAD51、RAD51B、RAD51C、RAD51D、DMC1、XRCC2、SRCC3、RAD52、BRIP1、NBS1、WRN、BLM、Ku70、Ku80、ATR chk1、chk2、FANCA、FANCB、FANCC、FANCD1、FANCD2、FANCE、FANCF、FANCG、RAD1、RAD9、FEN-1、Mus81、Eme1、DDS1、BARD、XRCC1、ADPRT(PARP-1)、ADPRTL2(PARP-2)、CTPS、RPA、RPA1、RPA2、RPA3、XPD、ERCC1、XPF及びMMS19が挙げられる。本発明の方法に従って治療し得るがんのタイプの非制限的な特定の例としては、HR欠損であるとして任意に特徴づけることができる以下のものが挙げられる:乳がん(例えば、エストロゲンレセプター陽性若しくは陰性、プロゲステロンレセプター陽性若しくは陰性、HER-2陽性若しくは陰性、三種陰性乳がん又はBRCA1及び/若しくはBRCA2陽性若しくは陰性)、肺がん(例えば、非小細胞肺がん及び小細胞肺がん)、卵巣がん、子宮体がん、前立腺がん、咽頭がん、食道がん、グリア芽細胞腫、副腎がん、B細胞悪性腫瘍、胆道がん、膀胱がん、骨がん、脳がん、子宮頸がん、絨毛膜癌腫、結腸がん、大腸がん、結合組織がん、消化器系のがん、胆嚢がん、胃がん、頭と首のがん、肝細胞癌腫、上皮内新生物、腎臓がん、肝がん、リンパ腫、皮膚がん(例えば、メラノーマ及び基底細胞癌腫)、神経芽腫、中皮腫、神経膠腫、口腔がん、小児がん、膵臓がん、膵性内分泌腫瘍、下垂体線腫、胸腺腫、腎細胞癌腫、呼吸器系がん、唾液腺がん、肉腫(例えば、ユーイング肉腫、線維肉腫及び横紋筋肉腫)、小腸がん、精巣がん、甲状腺がん、尿管がん、泌尿器系がん、及び血液がん(例えば、急性顆粒球性白血病及び多発性骨髄腫)。
キット
本発明は、エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)を含む容器、PARP阻害剤(例えば、E7449(又は、その医薬的に許容可能な塩(例えば、L-酒石酸塩))を含む容器及び/又はプラチナに基づく抗腫瘍剤(例えば、カルボプラチン)を含む容器を備えるキットも提供する。キット中の薬は、がん治療を必要とする患者のがんを治療するのに十分な量(例えば、単回投与又は複数回投与に充分な量;上記参照)にて提供することができる。したがって、上記キットは、有効量の単回用量エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)、PARP阻害剤(例えば、E7449(又は、その医薬的に許容可能な塩(例えば、L-酒石酸塩))及び/又はプラチナに基づく抗腫瘍薬(例えば、カルボプラチン)医薬組成物をそれぞれ含む複数の容器を備えることができる。任意に、医薬組成物を投与するために必要な機器又はデバイスは、キットに含めることもできる。更に、上記キットは、上記薬を用いて、がんを患っている患者を治療するための追加の要素(例えば指示書又は投与計画書)を含んでいてもよい。
本発明を、以下の実施例にて例示する。これは、決して、本発明を限定することを目的とするものではない。
実施例1
SCIDマウスにおける皮下ヒト乳がんMDA-MB-436異種移植片の成長に対するエリブリンメシル酸塩及び/又はカルボプラチンとの併用でのE7449の効果
要約
E7389(エリブリンメシル酸塩)及び/又はカルボプラチンとの併用でのE7449の効果を、SCIDマウスにおける皮下ヒト乳がんMDA-MB-436異種移植片に対して検討した。3つの別々の調査を実行した。第一調査において、治療グループは、単回薬剤としてE7449(60mg/kg)及びE7389(0.4又は1.6mg/kg)を受けて、2つのグループは、併用で治療した。E7449を、28日間、60mg/kgで一日一回経口投与し、E7389を、0.4又は1.6mg/kgで四日に一回、4回、静脈内投与した。第二調査において、治療グループは、単回薬剤としてE7449(60mg/kg)及びカルボプラチン(15又は60mg/kg)を受けて、2グループは、併用で治療した。E7449を、28日間、60mg/kgで一日一回経口投与し、カルボプラチンを、薬治療の1日目に一回、15又は60mg/kgで静脈内投与した。第三調査において、治療グループは、単回薬剤としてE7449(60mg/kg)、E7389(0.2mg/kg)及びカルボプラチン(7.5mg/kg)を受けて、3つのグループは、2つの薬の併用(E7449 + E7389、E7449 +カルボプラチン及びE7389 +カルボプラチン)で治療し、1つのグループは、3つの薬の併用で治療した。このモデルにおいて、単回薬剤としてのE7449(60mg/kg)に関して抗腫瘍活性が観察された。用量依存的抗腫瘍活性が、E7389を単独で用いた治療後に観察された:適度な抗腫瘍効果が0.4mg/kgで観察された一方で、腫瘍退縮が1.6mg/kgの用量での治療後に観察された。E7449及びE7389(0.4mg/kg)の併用は、E7449又はE7389単独に対して、抗腫瘍効果が統計的に有意に増加した。腫瘍退縮が1.6mg/kgのE7389で治療されたマウスにおいて観察されたため、E7449併用の効果は、この用量では評価しなかった。用量依存的抗腫瘍活性が、15及び60mg/kgのカルボプラチン単独での以下の治療で観察された。15又は60mg/kgのE7449及びカルボプラチン併用は、E7449又はカルボプラチン単独に対して抗腫瘍効果が増加した。E7449 + E7389 +カルボプラチンの3種併用を用いたMDA-MB-436異種移植片の治療は、単回薬剤及び2つの薬の併用治療(E7449 + E7389又はE7449 +カルボプラチン併用に対しては統計的有意差がない)よりも抗腫瘍活性が大きくなった。単回薬剤及び併用での全ての薬治療は、如何なる死亡も有意な体重減少なく、十分に許容されるものであった。
対象
この調査の目的は、SCIDマウスにおける皮下移植MDA-MB-436ヒト乳がん細胞の成長に対するE7389及び/又はカルボプラチンを用いたE7449治療の併用活性を調査することとした。
材料及び方法
E7449のためのビヒクルは、0.5%メチルセルロースとした。E7449粉末を、乳鉢及び乳棒を使用して挽いた。ビヒクルを、段階的に加えて化合物と混合し、6mg/mLの原液を作成した。溶液をアリコートに分けて、最大で7日間4℃で保存した。
エリブリンメシル酸塩(E7389)のためのビヒクルは、生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)とした。E7389原液(0.5mg/mL)をビヒクルで希釈して、0.02、0.04及び0.16mg/mLの濃度にした。E7389は、各治療日毎に、新しく調製した。
カルボプラチンのためのビヒクルは、生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)とした。カルボプラチン粉末(50mg)を8.33mLの生理食塩水に溶解して、6mg/mLの原液を作成した。原液をビヒクルで希釈して1.5mg/mLの濃度にした。0.75mg/mLの原液のために、6mgのカルボプラチンを8mLの生理食塩水に溶解した。カルボプラチンは、各治療日毎に、新しく調製した。
使用する細胞は、ヒト乳がん細胞MDA-MB-436(ATCC(登録商標) HTB-130TM;アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC);マナッサス、VA)とした。
使用するマウスは、5-6週齢の雌のC.B.17 SCIDマウスチャールズリバー(ウィルミントン、MA)(E7449+エリブリン及びE7449 +カルボプラチンの調査用)、タコニック(ハドソン、NY)(3種併用調査用)とした。
抗腫瘍活性の測定値
MDA-MB-436ヒト三種陰性乳がん細胞は、BRCA1変異体及びPTENヌルである。上記細胞を、5%CO2加湿インキュベーターにおいて37℃で、10%ウシ胎児血清を補充したRPMI-1640成長培地にて単層培養で維持した。播種の日に、細胞をトリプシン処理によって収集し、洗浄して氷冷PBSに再懸濁した。雌の免疫不全SCIDマウスに、MDA-MB-436細胞(5x106)とマトリゲルTMを1:1の比率(それぞれ50μL)で有する0.1mL容量のリン酸緩衝食塩水を、26-ゲージニードルを用いて右腋窩領域付近に皮下播種した。およそ6週齢の合計125匹のマウスに、MDA-MB-436細胞を移植した。
SCIDマウスにおけるMDA-MB-436ヒト乳がん異種移植片に対する抗腫瘍活性に関して、E7449、カルボプラチン及びE7389を単回薬剤及び併用にて評価した。3つ別々の調査を実行した。第一実験は、ビヒクルコントロール群、E7449単回薬剤グループ、E7389単回薬剤で治療した2つのグループ及び2つ併用した薬で治療したグループからなっている(表1)。30匹のマウスにMDA-MB-436細胞を播種して、移植後の58日目に、腫瘍体積を測定し、腫瘍体積(平均300mm3)に基づく6つの治療グループにマウスをランダムに分けた。ランダム分けの後、薬治療を開始した。治療の第一日目、合計28匹のマウスについて、グループAからDは、5匹のマウスで構成し、グループE及びFは、4匹のマウスで構成した。E7449を0.5%メチルセルロースに調製し、体重に基づいて60mg/kg、10g当たり0.1mLで一日一回、28日間(58日目から開始)、経口投与した。E7389を生理食塩水に調製し、四日に一回、4回(58、62、66及び70日目)、単回薬剤又はE7449との併用で、体重に基づいて0.4又は1.6mg/kg、10g当たり0.1mLの投与量で静脈内投与した。コントロール群は、経口ビヒクル(水に0.5%のメチルセルロース)を用いて毎日、そして、静脈内ビヒクル(生理食塩水)を用いて四日に一回、4回、治療した。E7449又はビヒクルは、最初に投与され、E7389は、全ての動物へ投薬が完了したときに、併用を受ける動物に投与した。
第二実験は、ビヒクルコントロールグループ、E7449単回薬剤グループ、単回薬剤カルボプラチンで治療した2つのグループ、そして、2つ併用した薬で治療したグループからなっている(表2)。35匹のマウスにMDA-MB-436細胞を播種して、移植後の57日目に、腫瘍体積を測定し、腫瘍体積(平均250mm3)に基づく6つの治療グループにマウスをランダムに分けた。ランダム分けの後、薬治療を開始した。治療の第一日目、合計32匹のマウスについて、グループAからDは、5匹のマウスで構成し、グループE及びFは、6匹のマウスで構成した。0.5%のメチルセルロースに調製されたE7449を、体重に基づいて60mg/kg、10g当たり0.1mLで毎日、28日間(57日目から開始)、経口投与した。カルボプラチンを生理食塩水に調製し、治療の1日目(57日目)、単回薬剤又はE7449との併用で、体重に基づいて15又は60mg/kg、10g当たり0.1mLの投与量で静脈内投与した。コントロール群は、経口ビヒクル(水に0.5%のメチルセルロース)を用いて毎日、そして、静脈内ビヒクル(生理食塩水)を用いて57日目に一回治療した。E7449又はビヒクルは、最初に投与され、カルボプラチンは、全ての動物へ投薬が完了したときに、併用を受ける動物に投与した。
第三実験は、ビヒクルコントロールグループ、単回薬剤E7449、E7389又はカルボプラチンで治療した3つのグループ、E7449 + E7389、E7449 +カルボプラチン及びE7389 + カルボプラチンの2種類併用で治療した3つのグループ、そして、3つの薬の併用で治療した1つのグループからなっている(表3)。60匹のマウスにMDA-MB-436細胞を播種して、移植後の41日目に、腫瘍体積を測定し、腫瘍体積(平均250mm3)に基づく8つの治療グループにマウスをランダムに分けた。ランダム分けの後、薬治療を開始した。治療の第一日目(41日目)、合計48匹のマウスについて、各グループは、6匹のマウスで構成した。0.5%のメチルセルロースに調製されたE7449を、体重に基づいて60mg/kg、10g当たり0.1mLで毎日、28日間(41日目から開始)、経口投与した。E7389を生理食塩水に調製し、四日に一回、4回(41、45、49、及び53日目)、0.2mg/kgの投与量で静脈内投与した。カルボプラチンを生理食塩水に調製し、治療の1日目(41日目)、体重に基づいて7.5mg/kg、10g当たり0.1mLの投与量で静脈内投与した。コントロール群は、経口ビヒクル(水に0.5%のメチルセルロース)を用いて毎日、そして、静脈内ビヒクル(生理食塩水)を用いて四日に一回、4回、治療した。E7449又はビヒクルは、最初に投与し、E7389は、全ての動物へ投薬が完了したときに、併用を受ける動物に投与し、最後にカルボプラチンを投与した。
マウスの一般的な健康状態をモニターして、死亡率を毎日記録した。腫瘍体積は、式(l x w2)/2 = mm3を用いて、ノギス(ミツトヨ、オーロラ、IL)測定(mm)によって決定した。なお、l及びwは、各測定で集められたより長い直交寸法とより短い直交寸法を指す。腫瘍寸法及び体重は、治療の1日目に着手して、1週当たり二回記録した。相対的体重は、以下の通りに算出した:相対的体重=(測定日の体重/治療の1日目の体重)。得られたデータは、各測定でのグループ平均腫瘍体積及び各測定でのグループ平均体重からなる。各実験グループに関する、腫瘍体積の平均±SEM及び相対的体重の平均±SEMを算出した。
薬治療は、E7449 + E7389、E7449 +カルボプラチン及び3種併用調査において、それぞれ、腫瘍移植後の58、57又は41日目に開始し、28日間続けた。最も長い軸での腫瘍測定値が≧2cmに達した動物、又は、腫瘍が潰瘍化された動物は、調査終了前に安楽死させた。この調査は、108、105及び84日目(それぞれ、E7389、カルボプラチン及び3種併用)に終了した。
統計解析
ビヒクルグループ対全ての薬治療グループの統計解析は、全3つの調査に対するダネット多重比較テストに従って腫瘍体積の一方向性分散分析(ANOVA)によって実行した。統計解析は、全ての調査(E7449 + E7389併用の81日目、E7449 +カルボプラチン併用調査の93日目及び3種併用調査の61日目)に対して実行した。P < 0.05の値は、両側仮説で統計的に有意であるとみなした。対応のないt-検定分析は、第一調査の81日目のE7449 + E7389併用での治療後対単回薬剤での治療後の腫瘍体積の比較及び第二調査の93日目のE7449 +カルボプラチン併用での治療後対単回薬剤での治療後の比較も行った。3種併用調査において、対応のないt-検定分析も実行して、3つのグループの2つの薬の併用(E7449 + E7389、E7449 +カルボプラチン及びE7389 +カルボプラチン)(グループE、G及びH)での治療後対3種併用(グループF)での治療後の61日目の腫瘍体積を比較した。全ての統計解析は、GraphPad Prism 6ソフトウェア(レークフォレスト、CA)を使用して実行した。
結果
図1は、SCIDマウスにおけるMDA-MB-436ヒト乳がん異種移植片に対する単回薬剤及び併用でのE7449及びE7389の効果を示している。単回薬剤として60mg/kgのE7449の投与は、適度且つ統計的に有意な腫瘍成長阻害となった。用量依存的抗腫瘍活性が、単回薬剤としてE7389を用いて観察された。適度な抗腫瘍効果が、0.4mg/kgでの治療で観察された一方で、1.6mg/kgで投薬したE7389は、腫瘍退縮という結果になった。0.4mg/kgでのE7449とE7389の併用は、腫瘍退縮という結果となり、E7449又はE7389単独での治療に対して腫瘍進行を有意に遅延させた(図1)。腫瘍退縮が単回薬剤として1.6mg/kgのE7389で治療されたマウスにおいて観察されたため、E7449併用の効果は、この用量では評価しなかった。単回薬剤又は併用での薬の投与は、体重に対して有意な影響を及ぼさなかった(図2)。
データは、平均±SEMを表す。最終的な腫瘍体積測定値は、ビヒクル、E7449単剤及びE7389(0.4mg/kg)単回薬剤治療マウス(グループA、C及びE)に関して、81、90及び87日目のものを記録した。マウスは、大きい腫瘍か潰瘍化した腫瘍のために安楽死させた。85日目に薬治療を止めて108日目に調査を終了した。有意な抗腫瘍活性が、81日目のビヒクルに対して全ての薬治療グループに観察された(*P < 0.05)(ダネット多重比較テストに従う一方向ANOVA)。腫瘍成長は、E7449又はE7389治療単独(グループF対C及びE)に対して、E7449 + E7389(0.4mg/kg)の併用で著しく減少した(#P<0.05、81日目での対応のないt-検定)。
最終的な体重測定値は、ビヒクル、E7449単剤及びE7389(0.4mg/kg)単回薬剤治療マウス(グループA、C及びE)に関して、81、90及び87日目のものを記録した。マウスは、大きい腫瘍か潰瘍化した腫瘍のために安楽死させた。85日目に薬治療を止めて108日目に調査を終了した。有意な体重減少は、調査コースを通じて、薬治療グループのいずれにおいても観察されなかった。
図3は、SCIDマウスにおけるMDA-MB-436ヒト乳がん異種移植片に対する単回薬剤及び併用でのE7449及びカルボプラチンの効果を示している。単回薬剤として60mg/kgのE7449の投与は、適度且つ統計的に有意な腫瘍成長阻害となった。用量依存的抗腫瘍活性が、単回薬剤としてカルボプラチン(15及び60mg/kg)を用いて観察された。E7449(60mg/kg)といずれかの用量でのカルボプラチンでの併用は、カルボプラチン又はE7449単独に対して、抗腫瘍活性を高めた(図3)。単回薬剤としていずれかの薬での投与又は両方の薬での併用投与は、体重に有意な影響を及ぼさなかった(図4)。
データは、平均±SEMを表す。最終的な腫瘍体積測定値は、ビヒクルに関して、及び、単回薬剤E7449治療(グループA及びB)に関して、98日目のものを記録した。マウスは、大きい腫瘍か潰瘍化した腫瘍のために安楽死させた。84日目に薬治療を止めて105日目に調査を終了した。統計的に有意な腫瘍成長の阻害が、93日目のビヒクルに対して全ての薬治療グループに観察された(*P < 0.05)(ダネット多重比較テストに従う一方向ANOVA)。15又は60mg/kg(グループF及びE)でのE7449 +カルボプラチンの併用治療は、E7449又はカルボプラチン(15又は60mg/kg)(グループB、D及びC)の単回薬剤治療に対して、抗腫瘍活性が有意に増加した(#P<0.05、93日目での対応のないt-検定)。
データは、平均±SEMを表す。データは、平均±SEMを表す。最終的な体重測定値は、ビヒクルに関して、及び、単回薬剤E7449治療(グループA及びB)に関して、98日目のものを記録した。マウスは、大きい腫瘍か潰瘍化した腫瘍のために安楽死させた。84日目に薬治療を止めて105日目に調査を終了した。有意な体重減少は、調査コースを通じて、薬治療グループのいずれにおいても観察されなかった。
図5は、SCIDマウスにおけるMDA-MB-436ヒト乳がん異種移植片に対する、単回薬剤としてのE7449、E7389及びカルボプラチン、2種併用(E7449 + E7389、E7449 +カルボプラチン及びE7389 +カルボプラチン)並びに3種併用の効果を示している。単回薬剤として60mg/kgのE7449又は7.5mg/kgのカルボプラチンの投与は、統計的に有意な腫瘍成長阻害となった。単回薬剤として0.2mg/kgのE7389での治療は、腫瘍成長を著しく阻害しなかった。有意な抗腫瘍活性は、単回薬剤及び全ての2種併用としてのE7449及びカルボプラチンによって観察された。3種併用は、最も有効であり、腫瘍退縮及び腫瘍の再成長遅延となった(E7389 +カルボプラチン2種併用に対してだけ統計的に有意)(図5)。単回薬剤又は併用での薬の投与は、体重に対して有意な影響を及ぼさなかった(図6)。
データは、平均±SEMを表す。最終的な腫瘍体積測定値は、ビヒクル及び単回薬剤E7389で治療したマウス(グループA及びC)に関する61日目のものと、単回薬剤E7449及びE7449 + E7389治療マウス(グループBとE)に関する68日目のものを記録した。マウスは、大きい腫瘍か潰瘍化した腫瘍のために安楽死させた。68日目に薬治療を止めて84日目に調査を終了した。0.2mg/kgのE7389の投与は、腫瘍成長を阻害しなかった。統計的に有意な腫瘍成長の阻害が、61日目のビヒクルに対して全ての他の薬治療グループに観察された(*P < 0.05)(ダネット多重比較テストに従う一方向ANOVA)。3種併用の投与は、全ての他の治療グループに対して、腫瘍成長阻害が増加した(E7389 +カルボプラチン2種併用に対してだけ統計的に有意;#P<0.05、61日目、(対応のないt-検定))。
データは、平均±SEMを表す。最終的な体重測定値は、ビヒクル及び単回薬剤E7389で治療したマウス(グループA及びC)に関する61日目のものと、単回薬剤E7449及びE7449 + E7389治療マウス(グループBとE)に関する68日目のものを記録した。マウスは、大きい腫瘍か潰瘍化した腫瘍のために安楽死させた。68日目に薬治療を止めて84日目に調査を終了した。有意な体重減少は、調査コースを通じて、薬治療グループのいずれにおいても観察されなかった。
結論
E7449は、SCIDマウスにおけるBRCA1変異体及びPTENヌルMDA-MB-436ヒト三種陰性乳がん異物移植モデルにおいて、単回薬剤として60mg/kgでの投薬の28日後、有意な抗腫瘍活性を示した。用量依存的抗腫瘍活性が、E7389単独での治療後に観察された。適度な抗腫瘍効果が0.4mg/kgで観察された一方で、腫瘍退縮が、1.6mg/kg用量での治療後に観察された。E7449及びE7389(0.4mg/kg)の併用は、E7449又はE7389単独に対して、抗腫瘍効果が統計的に有意に増加した。腫瘍退縮が1.6mg/kgのE7389で治療されたマウスにおいて観察されたため、E7449併用の効果は、この用量では評価しなかった。15及び60mg/kg(QDx1)の投薬量レベルにおける単回薬剤カルボプラチンでの治療は、用量依存的抗がん活性であった。E7449での併用は、このモデルにおいて、E7449又はカルボプラチン単独に対して、15又は60mg/kgにてカルボプラチンの抗腫瘍効果を高めた。E7449 + E7389 +カルボプラチンの3種併用を用いたMDA-MB-436異種移植片の治療は、単回薬剤及び2つの薬の併用治療(E7449 + E7389又はE7449 +カルボプラチン併用に対して統計的有意差がない)よりも抗腫瘍活性が大きくなった。体重減少によって示される有意な毒性は、単回薬剤、併用での薬治療のいずれにおいても観察されなかった。
実施例2
無胸腺マウスにおける皮下ヒト乳がんMDA-MB-468異種移植片の成長に対するエリブリンメシル酸塩との併用でのE7449の効果
要約
E7389(エリブリンメシル酸塩)との併用でのE7449の効果を、無胸腺マウスにおける皮下ヒト乳がんMDA-MB-468異物移植モデルにおいて検討した。治療グループは、単回薬剤としてE7449(100mg/kg)及びE7389(0.1又は0.4mg/kg)を受けており、2つのグループは、薬併用で治療された。E7449を、28日間、100mg/kgで一日一回経口投与し、E7389を、0.1又は0.4mg/kgで四日に一回、4回、静脈内投与した。単回薬剤としてのE7449は、このモデルにおいて、有意な抗腫瘍活性を欠いていた。用量依存的腫瘍退縮が、0.1及び0.4mg/kg用量のE7389単独での治療後に観察された。0.4mg/kgのE7389で治療された全てのマウスは、調査終了時に腫瘍がなかった。E7389に対する0.1mg/kgのE7449の追加は、腫瘍進行に対して統計的に有意な時間遅延となった。0.4mg/kgのE7389で治療したマウスは、調査終了時に腫瘍がなかったため、E7449併用の効果は、この用量において評価することができなかった。併用治療は、十分に許容されたものであり、0.4mg/kgでのE7389治療によって観察された最大平均体重減少(7%)は、E7449の追加によって悪化しなかった。全てのマウスは、薬治療完了後に、体重が回復した。
対象
この調査の目的は、無胸腺マウスにおける皮下移植MDA-MB-468ヒト乳がん細胞の成長に対するE7449及びE7389を用いた治療の併用活性を調査することとした。
材料及び方法
E7449のためのビヒクルは、0.5%メチルセルロースとした。E7449粉末を、乳鉢及び乳棒を使用して挽いた。ビヒクルを、段階的に加えて化合物と混合し、10mg/mLの原液を作成した。原液をアリコートに分けて、最大で7日間4℃で保存した。
E7389のためのビヒクルは、生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)とした。E7389原液(0.5mg/mL)をビヒクルで希釈して、0.04及び0.01mg/mLの濃度にした。E7389は、各治療日毎に、新しく調製した。
使用する細胞は、ヒト乳がん細胞MDA-MB-468(ATCC(登録商標) HTB-132TM;アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC))とした。
使用するマウスは、6週齢の雌のCrTac:NCr-Foxn1nu(タコニック、ハドソン、NY)とした。
抗腫瘍活性の測定値
MDA-MB-468ヒト三種陰性乳がん細胞は、PTENヌル並びにBRCA1及び2の野生株である。上記細胞を、5%CO2加湿インキュベーターにおいて37℃で、10%ウシ胎児血清を補充したRPMI-1640成長培地にて単層培養で維持した。播種の日に、細胞をトリプシン処理によって収集し、洗浄して氷冷PBSに再懸濁した。雌の免疫不全無胸腺マウスに、MDA-MB-468細胞(5x106)とマトリゲルを1:1の比率(それぞれ50μL)で有する0.1mL容量のリン酸緩衝食塩水を、26-ゲージニードルを用いて右腋窩領域付近に皮下播種した。およそ8週齢の合計60マウスに、MDA-MB-468細胞を移植した。
無胸腺マウスにおけるMDA-MB-468ヒト乳がん異種移植片に対する抗腫瘍活性に関して、E7449及びE7389を単回薬剤及び併用にて評価した。実験は、ビヒクルコントロールグループ、E7449単回薬剤グループ、E7389単回薬剤で治療した2つのグループ及び2つ併用した薬で治療したグループからなっている(表4)。60匹のマウスにMDA-MB-468細胞を播種した。移植後の7日目に、腫瘍体積を測定し、腫瘍体積(平均180mm3)に基づく6つの治療グループにマウスをランダムに分けた。ランダム分けの後、薬治療を開始した。治療の第一日目、合計36匹のマウスについて、各グループは、6匹のマウスで構成した。E7449を0.5%メチルセルロースに調製し、体重に基づいて100mg/kg、10g当たり0.1mLで毎日経口投与した。E7449は、単回薬剤又は併用で一日一回、28日間(7日目から開始)、投与した。E7389を生理食塩水に調製し、四日に一回、3回(7、11及び15日目)、単回薬剤又はE7449との併用で、体重に基づいて0.1又は0.4mg/kg、10g当たり0.1mLの投薬量で静脈内投与した。コントロール群は、経口ビヒクル(水に0.5%のメチルセルロース)を用いて毎日、そして、静脈内ビヒクル(生理食塩水)を用いて四日に一回、3回、治療した。E7449又はビヒクルは、最初に投与され、E7389は、全ての動物へ投薬が完了したときに、併用を受ける動物に投与した。
マウスの一般的な健康状態をモニターして、死亡率を毎日記録した。腫瘍体積は、式(l x w2)/2 = mm3を用いて、ノギス(ミツトヨ、オーロラ、IL)測定(mm)によって決定した。なお、l及びwは、各測定で集められたより長い直交寸法とより短い直交寸法を指す。腫瘍寸法及び体重は、治療の1日目に着手して、1週当たり二回記録した。相対的体重は、以下の通りに算出した:相対的体重=(測定日の体重/治療の1日目の体重)。得られたデータは、各測定でのグループ平均腫瘍体積及び各測定でのグループ平均体重からなる。各実験グループに関する、腫瘍体積の平均±SEM及び相対的体重の平均±SEMを算出した。
薬治療は、腫瘍移植後の7日目に開始し、28日間続けた。最も長い軸での腫瘍測定値が≧2cmに達した動物、又は、腫瘍が潰瘍化された動物は、調査終了前に安楽死させた。この調査は、52日目に終了した。統計解析を35及び52日目に実行した。
統計解析
ビヒクルグループ(A)対薬治療グループ(B、C、D、E及びF)の統計解析は、ダネット多重比較テストに従って腫瘍体積の一方向性分散分析(ANOVA)によって実行した。分析は、調査35日目のビヒクルエンドポイントで実行した。P < 0.05の値は、両側仮説で統計的に有意であるとみなした。対応のないt-検定分析も実行して、腫瘍体積に関して、E7389(0.1mg/kg)単独又はE7449との併用(グループD及びF)での治療後の52日目での腫瘍再成長を比較した。全ての統計解析は、GraphPad Prism 6ソフトウェア(レークフォレスト、CA)を使用して実行した。
結果
図7は、無胸腺マウスにおけるMDA-MB-468ヒト乳がん異種移植片に対する単回薬剤及び併用でのE7449及びE7389の効果を示している。単回薬剤として100mg/kgのE7449の投与は、腫瘍成長を著しく阻害しなかった。腫瘍退縮は、単回薬剤として両方の投薬量(0.1及び0.4mg/kg)のE7389によって観察された。治療後の腫瘍再成長は、用量依存的であった;0.1mg/kgで治療したマウスの腫瘍は、最終的なE7389投薬から数日以内に再成長し始めた一方で、0.4mg/kgで治療したマウスは、調査終了の日(52日目)までに観察される触知可能な腫瘍がないという腫瘍なしとなった。0.1mg/kgでのE7449とE7389との併用治療は、E7389単独での治療に対して、腫瘍進行への時間を有意に遅延させた(図7)。0.4mg/kgでのE7449とE7389との併用の効果は、この投薬量における単回薬剤E7389での治療では腫瘍のないマウスになったため、決定することができない。0.4mg/kgでのE7389の投与は、17日目に7%の最大平均体重減少になった(図8)。毒性は、E7449との併用によって悪化しなかった。全てのマウスは、薬治療完了後に体重が回復した。
データは、平均±SEMを表す。最終的な腫瘍体積測定値は、ビヒクル治療マウス及び単回薬剤E7449治療マウス(グループA及びB)に関して、35日目のものを記録した。その後、マウスは、潰瘍化した腫瘍のために安楽死させた。35日目に薬治療を止めて52日目に調査を終了した。抗腫瘍活性は、単独E7449には観察されなかった。統計的に有意な腫瘍成長の阻害が、35日目のビヒクルに対して全ての他の薬治療グループに観察された(*P < 0.05)(ダネット多重比較テストに従う一方向ANOVA)。腫瘍進行は、E7389単独に対して、E7389(0.1mg/kg) + E7449併用治療グループ(グループDに対してグループF)において有意に減少した:#P=0.012、52日目、(対応のないt-検定)。
データは、平均±SEMを示す。最終的な体重測定値は、ビヒクル治療マウス及び単回薬剤E7449治療マウス(グループA及びB)に関して、35日目のものを記録した。その後、マウスは、潰瘍化した腫瘍のために安楽死させた。35日目に薬治療を止めて52日目に調査を終了した。7%の最大平均体重減少が、17日目に、0.4mg/kgのE7389治療グループ(C)において観察された。体重減少は、E7389へのE7449の追加によって悪化しなかった(グループE及びF)。体重減少からの回復は、薬治療完了時に全てのマウスにおいて観察された。
結論
E7449は、無胸腺マウスにおけるBRCA野生株及びPTENヌルMDA-MB-468ヒト三種陰性乳がん異種移植片モデルにおいて、単回薬剤として100mg/kgでの投薬の28日後、有意な抗腫瘍活性を示さなかった。0.1及び0.4mg/kg(Q4Dx3)の投薬量レベルにおける単回薬剤E7389は、統計的に有意且つ用量依存的抗がん活性を示し、腫瘍のないマウスが高用量で得られた。E7449とE7389の併用は、E7389(0.1mg/kg)単独での治療に対して、腫瘍進行を遅延させた。併用効果は、高用量で評価不可能であった。理由は、単独E7389治療後、マウスに腫瘍がなかったためである。体重減少によって示される毒性悪化は、併用薬治療では観察されなかった。
実施例3
無胸腺マウスにおける皮下ヒト乳がんMDA-MB-231異種移植片の成長に対するエリブリンメシル酸塩又はカルボプラチンとの併用でのE7449の効果
要約
E7389(エリブリンメシル酸塩)又はカルボプラチンとの併用でのE7449の効果を、無胸腺マウスにおける皮下ヒト乳がんMDA-MB-231異物移植モデルにおいて検討した。2つの別々の調査を実行した。第一調査において、治療グループは、単回薬剤としてE7449(100mg/kg)及びE7389(0.05又は0.1mg/kg)を受けて、2つのグループは、E7449及びE7389の併用で治療した。E7449を、28日間、100mg/kgで一日一回経口投与し、E7389を、0.05又は0.1mg/kgで四日に一回、4回、静脈内投与した。第二調査において、治療グループは、単回薬剤としてE7449(60又は100mg/kg)及びカルボプラチン(15又は60mg/kg)を受けて、3グループは、両薬剤の併用で治療した。E7449を、28日間、60又は100mg/kgで一日一回経口投与し、カルボプラチンを、薬治療の1日目に一回、15又は60mg/kgで静脈内投与した。単回薬剤としてのE7449は、このモデルにおいて、有意な抗腫瘍活性を欠いていた。用量依存的抗腫瘍活性が、0.05及び0.1mg/kgの用量でE7389を単独で用いた治療後に観察された。E7449での併用は、E7389の抗腫瘍活性を増加させなかった。適度な抗腫瘍活性が、15及び60mg/kg用量でのカルボプラチンを単独で用いた治療後に観察された。E7449(60又は100mg/kg)での併用は、カルボプラチンの抗腫瘍活性を増加させなかった。全ての薬治療は、如何なる死亡も有意な体重減少なく、十分に許容されるものであった。
対象
この調査の目的は、無胸腺マウスにおける皮下移植MDA-MB-231ヒト乳がん細胞の成長に対するE7389又はカルボプラチンを用いたE7449治療の併用活性を調査することとした。
材料及び方法
E7449のためのビヒクルは、0.5%メチルセルロースとした。E7449粉末を、乳鉢及び乳棒を使用して挽いた。ビヒクルを、段階的に加えて化合物と混合し、10mg/mLの原液を作成した。原液をビヒクルで希釈して、6mg/mLの濃度にした。溶液をアリコートに分けて、最大で7日間4℃で保存した。
E7389のためのビヒクルは、生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)とした。E7389原液(0.5mg/mL)をビヒクルで希釈して、0.01及び0.005mg/mLの濃度にした。E7389は、各治療日毎に、新しく調製した。
カルボプラチンのためのビヒクルは、生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)とした。カルボプラチン粉末(50mg)を8.33mLの生理食塩水に溶解して6mg/mLの原液を作成した。この原液をビヒクルで希釈して1.5mg/mLの濃度にした。カルボプラチンは、各治療日毎に、新しく調製した。
使用する細胞は、ヒト乳がん細胞MDA-MB-231(ATCC(登録商標) HTB-26TM;アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC);マナッサス、VA)とした。
使用するマウスは、6週齢の雌のCrTac:NCr-Foxn1nu(タコニック、ハドソン、NY)とした。
抗腫瘍活性の測定値
MDA-MB-468ヒト三種陰性乳がん細胞は、PTEN並びにBRCA1及び2の野生株である。上記細胞を、5%CO2加湿インキュベーターにおいて37℃で、10%ウシ胎児血清を補充したRPMI-1640成長培地にて単層培養で維持した。播種の日に、細胞をトリプシン処理によって収集し、洗浄して氷冷PBSに再懸濁した。雌の免疫不全無胸腺マウスに、MDA-MB-231細胞(5x106)とマトリゲルを1:1の比率(それぞれ50μL)で有する0.1mL容量のリン酸緩衝食塩水を、26-ゲージニードルを用いて右腋窩領域付近に皮下播種した。およそ6週齢の合計94マウスに、MDA-MB-231細胞を移植した。
無胸腺マウスにおけるMDA-MB-231ヒト乳がん異種移植片に対する抗腫瘍活性に関して、E7449、カルボプラチン及びE7389を単回薬剤及び併用にて評価した。第一実験は、ビヒクルコントロールグループ、E7449単回薬剤グループ、E7389単回薬剤で治療した2つのグループ及び2つ併用した薬で治療したグループからなっている(表5)。39匹のマウスにMDA-MB-231細胞を播種し、移植後の21日目に、腫瘍体積を測定し、腫瘍体積(平均300mm3)に基づく6つの治療グループにマウスをランダムに分けた。ランダム分けの後、薬治療を開始した。治療の第一日目、合計30匹のマウスについて、各グループは、5匹のマウスで構成した。E7449を0.5%メチルセルロースに調製し、体重に基づいて100mg/kg、10g当たり0.1mLで一日一回、28日間経口投与した。E7389を生理食塩水に調製し、四日に一回、4回(21、25、29及び33日目)、単回薬剤又はE7449との併用で、体重に基づいて0.05又は0.1mg/kg、10g当たり0.1mLの投薬量で静脈内投与した。コントロール群は、経口ビヒクル(水に0.5%のメチルセルロース)を用いて毎日、そして、静脈内ビヒクル(生理食塩水)を用いて四日に一回、4回、治療した。E7449又はビヒクルは、最初に投与され、E7389は、全ての動物へ投薬が完了したときに、併用を受ける動物に投与した。
第二実験は、ビヒクルコントロールグループ、2つの単回薬剤E7449治療グループ、2つの単回薬剤カルボプラチン治療グループ及び3種併用薬治療グループからなっている(表6)。55匹のマウスにMDA-MB-231細胞を播種して、移植後の18日目に、腫瘍体積を測定し、腫瘍体積(平均300mm3)に基づく8つの治療グループにマウスをランダムに分けた。ランダム分けの後、薬治療を開始した。治療の第一日目、合計40匹のマウスについて、各グループは、5匹のマウスで構成した。0.5%のメチルセルロースに調製されたE7449を、体重に基づいて60又は10mg/kg、10g当たり0.1mLで毎日、28日間、経口投与した。カルボプラチンを生理食塩水に調製し、治療の1日目(18日目)、単回薬剤又はE7449との併用で、体重に基づいて15又は60mg/kg、10g当たり0.1mLの投薬量で静脈内投与した。コントロール群は、経口ビヒクル(水に0.5%のメチルセルロース)を用いて毎日、そして、静脈内ビヒクル(生理食塩水)を用いて18日目に一回治療した。E7449又はビヒクルは、最初に投与され、カルボプラチンは、全ての動物へ投薬が完了したときに、併用を受ける動物に投与した。
マウスの一般的な健康状態をモニターして、死亡率を毎日記録した。腫瘍体積は、式(l x w2)/2 = mm3を用いて、ノギス(ミツトヨ、オーロラ、IL)測定(mm)によって決定した。なお、l及びwは、各測定で集められたより長い直交寸法とより短い直交寸法を指す。腫瘍寸法及び体重は、治療の1日目に着手して、1週当たり二回記録した。相対的体重は、以下の通りに算出した:相対的体重=(測定日の体重/治療の1日目の体重)。得られたデータは、各測定でのグループ平均腫瘍体積及び各測定でのグループ平均体重からなる。各実験グループに関する、腫瘍体積の平均±SEM及び相対的体重の平均±SEMを算出した。
薬治療は、E7389及びカルボプラチン併用調査において、それぞれ、腫瘍移植後の21又は18日目に開始し、28日間続けた。最も長い軸での腫瘍測定値が≧2cmに達した動物、又は、腫瘍が潰瘍化された動物は、調査終了前に安楽死させた。この調査は、53及び50日目(それぞれ、E7389及びカルボプラチン併用)に終了した。統計解析は、両調査(E7389併用調査の42日目及びカルボプラチン併用調査の39日目)のビヒクルエンドポイントで実行した。
統計解析
ビヒクルグループ対全ての薬治療グループの統計解析は、ダネット多重比較テストに従って腫瘍体積の一方向性分散分析(ANOVA)によって実行した。解析は、両調査(E7389調査の42日目及びカルボプラチン併用調査の39日目)のビヒクルエンドポイントで実行した。P < 0.05の値は、両側仮説で統計的に有意であるとみなした。全ての統計解析は、GraphPad Prism 6ソフトウェア(レークフォレスト、CA)を使用して実行した。
結果
図9は、無胸腺マウスにおけるMDA-MB-231ヒト乳がん異種移植片に対する単回薬剤及び併用でのE7449及びE7389の効果を示している。100mg/kgの単回薬剤E7449の投与は、腫瘍成長を著しく阻害しなかった。用量依存的抗腫瘍活性が、単回薬剤としてE7389を用いて観察され、0.1mg/kg用量だけで統計的に有意な効果が観察された。いずれかの用量でのE7389との併用におけるE7449は、E7389の抗腫瘍活性に影響を及ぼさなかった(図9)。単回薬剤としての薬の投与又は併用での両薬の投与は、体重に有意な影響を及ぼさなかった(図10)。
データは、平均±SEMを表す。最終的な腫瘍体積測定値は、ビヒクル及びE7449単独を受けているグループ(グループA及びB)のマウスに関して、42及び49日目のものを記録した:マウスは、大きい腫瘍か潰瘍化した腫瘍のために安楽死させた。48日目に薬治療を止めて53日目に調査を終了した。抗腫瘍活性は、E7449単独に観察されなかった。統計的に有意な腫瘍成長の阻害が、61日目のビヒクルに対して、単回薬剤及び併用として0.1mg/kgの用量のE7389に観察された(グループC及びE)(*P < 0.05)(ダネット多重比較テストに従う一方向ANOVA)。E7449と併用した際のE7389の抗腫瘍活性に差異が観察されなかった。
データは、平均±SEMを示す。最終的な体重測定値は、ビヒクル及びE7449単独で治療したマウスに関して、42及び49日目のものを記録した:マウスは、大きい腫瘍か潰瘍化した腫瘍のために安楽死させた。48日目に薬治療を止めて53日目に調査を終了した。有意な体重減少は、調査コースを通じて、薬治療グループのいずれにおいても観察されなかった。
図11は、無胸腺マウスにおけるMDA-MB-231ヒト乳がん異種移植片に対する単回薬剤及び併用でのE7449及びカルボプラチンの効果を示している。60又は100mg/kgの単回薬剤E7449の投与は、腫瘍成長を著しく阻害しなかった。適度な抗腫瘍活性が、両方の投薬量(15及び60mg/kg)の単回薬剤としてカルボプラチンを用いて観察された。いずれかの用量でのカルボプラチンへE7449(60又は100mg/kg)の追加は、カルボプラチンの抗腫瘍活性に影響しなかった(図11)。単回薬剤としての薬の投与又は併用での両方の薬の投与が、体重に有意な影響を及ぼさなかった(図12)。
データは、平均±SEMを表す。最終的な腫瘍体積測定値は、39日目にビヒクルで治療したマウス、及び、46日目にE7449(60及び100mg/kg)単独で治療したマウス(グループB及びC)について記録した;マウスは、大きい腫瘍か潰瘍化した腫瘍のために安楽死させた。45日目に薬治療を止めて50日目に調査を終了した。抗腫瘍活性は、E7449単独には観察されなかった。統計的に有意な腫瘍成長の阻害が、39日目のビヒクルに対して、全ての他の治療グループに観察された:*P < 0.05)(ダネット多重比較テストに従う一方向ANOVA)。E7449と併用した際のカルボプラチンの抗腫瘍活性に差異が観察されなかった。
データは、平均±SEMを示す。最終的な体重測定値は、39日目にビヒクルで治療したマウス、及び、46日目にE7449(60及び100mg/kg)単独で治療したマウス(グループB及びC)について記録した;マウスは、大きい腫瘍か潰瘍化した腫瘍のために安楽死させた。45日目に薬治療を止めて50日目に調査を終了した。有意な体重減少は、調査コースを通じて、薬治療グループのいずれにおいても観察されなかった。
結論
E7449は、無胸腺マウスにおけるBRCA及びPTEN野生株MDA-MB-231ヒト三種陰性乳がん異種移植片モデルにおいて、単回薬剤として60又は100mg/kgでの投薬の28日後、抗腫瘍活性を示さなかった。0.1mg/kg(Q4Dx4)の投薬量レベルにおける単回薬剤E7389は、統計的に有意な抗がん活性を示した。E7449との併用は、MDA-MB-231モデルにおける、E7389の抗腫瘍効果を向上させなかった。15及び60mg/kg(QDx1)の投薬量レベルにおける単回薬剤カルボプラチンは、適度であるが、統計的に有意な抗がん活性を示した。E7449との併用は、このモデルにおいて、カルボプラチンの抗腫瘍効果を向上させなかった。体重減少によって示される有意な毒性は、いずれの薬治療にも観察されなかった。
実施例4
無胸腺マウスにおける皮下ヒト乳がんHCC1806異種移植片の成長に対するエリブリンメシル酸塩との併用でのE7449の効果
要約
E7389(エリブリンメシル酸塩)との併用でのE7449の効果を、無胸腺マウスにおける皮下ヒト乳がんHCC1806異物移植において検討した。治療グループは、単回薬剤としてE7449(100mg/kg)及びE7389(0.1又は0.4mg/kg)を受けて、2つのグループは、薬併用で治療した。E7449を、28日間、100mg/kgで一日一回経口投与し、E7389を、0.1又は0.4mg/kgで四日に一回、4回、静脈内投与した。単回薬剤としてのE7449は、このモデルにおいて、抗腫瘍活性を欠いていた。有意且つ用量依存的腫瘍成長阻害が、0.1及び0.4mg/kg用量でのE7389単独に観察された。E7449及びE7389の併用は、E7389の抗腫瘍活性を増加させなかった。併用治療は、如何なる死亡も有意な体重減少もなく、十分に許容されるものであった。
対象
この調査の目的は、無胸腺マウスにおける皮下移植HCC1806ヒト乳がん細胞の成長に対するE7449及びE7389を用いた治療の併用活性を調査することとした。
材料及び方法
E7449のためのビヒクルは、0.5%メチルセルロースとした。E7449粉末を、乳鉢及び乳棒を使用して挽いた。ビヒクルを、段階的に加えて化合物と混合し、10mg/mLの原液を作成した。原液をアリコートに分けて、最大で7日間4℃で保存した。
E7389のためのビヒクルは、生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)とした。E7389原液(0.5mg/mL)をビヒクルで希釈して、0.04及び0.01mg/mLの濃度にした。E7389は、各治療日毎に、新しく調製した。
使用する細胞は、ヒト乳がん細胞HCC1806(ATCC(登録商標) CRL-2335TM);アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC))とした。
使用するマウスは、6週齢の雌のCrl:NU-Foxn1nu、チャールスリバー研究所(ウィルミントン、MA)とした。
抗腫瘍活性の測定値
HCC1806ヒト三種陰性乳がん細胞、PTEN及びBRCAの野生株を、5%CO2加湿インキュベーターにおいて37℃で、10%ウシ胎児血清を補充したRPMI-1640成長培地にて単層培養で維持した。播種の日に、細胞をトリプシン処理によって収集し、洗浄して氷冷PBSに再懸濁した。雌の免疫不全無胸腺マウスに、0.1mL容量中のHCC1806細胞(2.5x106)を、26-ゲージニードルを用いて右腋窩領域付近に皮下播種した。およそ6週齢の合計60マウスに、細胞を移植した。
無胸腺マウスにおけるHCC1806ヒト乳がん異種移植片に対する抗腫瘍活性に関して、E7449及びE7389を単回薬剤及び併用にて評価した。実験は、ビヒクル治療コントロールグループ、E7449単回薬剤治療グループ、E7389単回薬剤で治療した2つのグループ及び2つ併用した薬で治療したグループからなっている(表7)。治療の第一日目、合計48匹のマウスについて、各グループは、8匹のマウスで構成した。60匹のマウスにHCC1806細胞を播種した。移植後の5日目に、腫瘍体積を測定し、腫瘍体積(平均150mm3)に基づく6つの治療グループにマウスをランダムに分けた。ランダム分けの後、薬治療を開始した(5日目)。E7449を0.5%メチルセルロースに調製し、体重に基づいて100mg/kg、10g当たり0.1mLで毎日経口投与した。E7449は、単回薬剤又はE7389との併用で一日一回、28日間(5日目から開始)、投与した。E7389を生理食塩水に調製し、四日に一回、4回(5、9、13及び17日目)、単回薬剤又はE7449との併用で、体重に基づいて0.1又は0.4mg/kg、10g当たり0.1mLの投薬量で静脈内投与した。コントロール群は、経口ビヒクル(水に0.5%のメチルセルロース)を用いて毎日、そして、静脈内ビヒクル(生理食塩水)を用いて四日に一回、4回、治療した。E7449又はビヒクルは、最初に投与され、E7389は、全ての動物へ投薬が完了したときに、併用を受ける動物に投与した。
マウスの一般的な健康状態をモニターして、死亡率を毎日記録した。腫瘍体積は、式(l x w2)/2 = mm3を用いて、ノギス(ミツトヨ、オーロラ、IL)測定(mm)によって決定した。なお、l及びwは、各測定で集められたより長い直交寸法とより短い直交寸法を指す。腫瘍寸法は、薬治療の開始時から着手して、1週当たり二回記録した。体重は、治療の1日目に着手して、1週当たり二回記録した。相対的体重は、以下の通りに算出した:相対的体重=(測定日の体重/治療の1日目の体重)。得られたデータは、各測定でのグループ平均腫瘍体積及びグループ平均体重からなる。各実験グループに関する、腫瘍体積の平均±SEM及び相対的体重の平均±SEMを算出した。
薬治療は、5日目(腫瘍移植の5日後)に、ランダム化後に開始し、28日間続けた。最も長い軸での腫瘍測定値が≧2cmに達した動物は、調査終了前に安楽死させた。この調査は、38日目に終了した。統計解析を20日目に実行した。
統計解析
ビヒクルグループ(A)対全ての薬治療グループ(B、C、D、E及びF)の統計解析は、ダネット多重比較テストに従って腫瘍体積の一方向性分散分析(ANOVA)によって実行した。分析は、調査20日目(ビヒクルエンドポイント)に実行した。P < 0.05の値は、両側仮説で統計的に有意であるとみなした。全ての統計解析は、GraphPad Prism 6ソフトウェア(レークフォレスト、CA)を使用して実行した。
結果
図13は、無胸腺マウスにおけるHCC1806ヒト乳がん異種移植片に対する単回薬剤及び併用でのE7449及びE7389の効果を示している。100mg/kgのE7449単回薬剤の投与は、腫瘍成長に影響を及ぼさなかった。用量依存的抗腫瘍活性が、E7389治療にて観察され、0.1mg/kgでは、腫瘍成長阻害となり、0.4mg/kgでは、腫瘍退縮を引き起こした。いずれかの用量でのE7389との併用におけるE7449は、E7389の抗腫瘍活性に影響を及ぼさなかった(図13)。単回薬剤としての薬の投与又は併用での両薬の投与は、体重に有意な影響を及ぼさなかった(図14)。
データは、平均±SEMを表す。ビヒクル及びE7449単独グループ(A及びB)のマウスは、大きな腫瘍のため、20日目に安楽死させた。最終的な腫瘍測定値は、E7389(0.1mg/kg)単独を受けているグループBのマウスと、併用のマウス(グループD及びF)に関して、それぞれ、32及び27日目のものを記録した。その後、マウスは、潰瘍化した腫瘍のために安楽死させた。32日目に薬治療を止めて38日目に調査を終了した。抗腫瘍活性は、E7449単独に観察されなかった。統計的に有意な腫瘍成長の阻害が、20日目のビヒクルに対して、全ての他の治療グループに観察された:(*P < 0.0001)(ダネット多重比較テストに従う一方向ANOVA)。E7449と併用した際のE7389の抗腫瘍活性に差異が観察されなかった。
データは、平均±SEMを示す。ビヒクル及びE7449単独グループ(A及びB)のマウスは、大きな腫瘍のため、20日目に安楽死させた。最終的な体重測定値は、E7389(0.1mg/kg)単独と、併用(グループD及びF)に関して、それぞれ、32及び27日目のものを記録した。その後、マウスは、潰瘍化した腫瘍のために安楽死させた。32日目に薬治療を止めて38日目に調査を終了した。有意な体重減少は、調査コースを通じて、薬治療グループのいずれにおいても観察されなかった。
結論
E7449は、無胸腺マウスにおけるBRCA及びPTEN野生株HCC1806ヒト三種陰性乳がん異種移植片モデルにおいて、単回薬剤として100mg/kgでの投薬の28日後、抗腫瘍活性を示さなかった。0.1及び0.4mg/kg(Q4Dx4)の投薬量レベルにおける単回薬剤E7389は、統計的に有意且つ用量依存的な抗がん活性を示した。E7449との併用は、HCC1806モデルにおける、E7389の抗腫瘍効果を向上させなかった。体重減少によって示される有意な毒性は、いずれの薬治療にも観察されなかった。
実施例5
腫瘍溶解物におけるポリ(ADPリボース)(PAR)レベルに関する薬力学的(PD)バイオマーカー分析
図15は、三種陰性乳がん(MDA-MB-436、MDA-MB-468、MDA-MB-231及びHCC1806)の4つの異種移植片モデルの腫瘍溶解物におけるPARレベルに対する、単回薬剤及び併用でのE7449及びE7389の効果を示している。有意な差異は、4つの腫瘍溶解物の基礎PARレベルにおいて観察された。E7449治療は、6時間で完全にPARP阻害となった。したがって、PARが、この時点で全4つの腫瘍溶解物において検出されなかった。PARレベルは、全てのモデルにおいて、24時間で元へ戻った。E7389単独治療は、PARP活性を阻害しなかった。E7449及びE7389併用治療は、全てのモデルにおいて、PAR阻害が維持された。PARレベルは、併用治療の48時間時点で、様々な程度に元へ戻った。HCC1806(PTEN及びBRCAの野生株)腫瘍溶解物において、E7389単独治療は、24及び48時間で、PARを増加させた。腫瘍溶解物のPAR分析から、E7449単独に対してE7449及びE7389併用腫瘍治療において、PARレベルの回復遅延が明らかになった。
実施例6
腫瘍溶解物における合計Aktレベルの薬力学的(PD)バイオマーカー分析
図16は、三種陰性乳がん(MDA-MB-436、MDA-MB-468、MDA-MB-231及びHCC1806)の4つの異種移植片モデルの腫瘍溶解物におけるAktレベルに対する、単回薬剤及び併用でのE7449及びE7389の効果を示している。PI3K経路における複数種のタンパク質を、腫瘍溶解物の逆相タンパク質マイクロアレイ(RPMA)によって評価した。Aktレベルは、単回薬剤及び併用治療後、MDA-MB-231(PTEN並びにBRCA1及び2の野生株)を除く全てのモデルにおいて減少した。この効果は、PI3K、Erk又はSrcの合計に変化が観察されなかったため、Akt特異的である。リン酸化されたAkt(S473及びT308)は、MDA-MB-468腫瘍において、48時間でE7389及び併用治療によって減少した。E7449治療後、リン酸化されたAkt(S473及びT308)を及びリン酸化されたErk(T202/Y204)の増加は、HCC1806腫瘍における初期の時点で観察された。いずれの腫瘍モデルにおいても、有意な治療効果が、リン酸化されたSrc(Y527)レベルに観察されなかった。要約すると、PI3K経路タンパク質に対する最も有意な効果は合計Aktの減少であった。そして、それは感受性があり耐性がある腫瘍モデルにおいて観察された。
実施例7
患者由来の三種陰性乳がん異種移植片(PDx)の成長に対するE7389との併用におけるE7449の効果
図17は、三種陰性乳がん(BR1458、BR1282及びBR1474)のPDxモデルにおける、単回薬剤及び併用でのE7449及びE7389の効果を示す。BR1458は、投与された用量では、単回薬剤又は併用治療に耐性であるように見えた。BR1282において、0.1mg/kgでの、E7449又はE7389の単回薬剤及び併用治療投与は、腫瘍成長に影響を及ぼさなかった。0.3mg/kgでのE7389治療及び0.3mg/kgでのE7389及びE7449併用は、同程度に腫瘍成長を阻害したが、腫瘍の進行に対する統計的に有意な時間遅延は、E7389単独に対して、併用で治療されたマウスにおいて観察された。BR1474において、0.3mg/kgでのE7389治療及び0.1mg/kg及び0.3mg/kgでのE7389の併用治療は、抗腫瘍活性を高めた。全3つのPDxモデルは、免疫組織化学(IHC)によってPTENネガティブであると決定された。さらに、次世代配列決定(NGS)分析は、BR1458及びBR1282のBRCA WT状態を明らかにした一方で、有害なBRCA1変異が、BR1474において検出された。BRCA状態は、併用治療に対する感度に影響を与えるように見えた。3つのPDxモデルにおいて、BR1474は、単回薬剤としてのE7449及併用としてのE7449及びE7389に最も影響を受けた。
他の実施形態
本発明がその特定の実施形態と関連付けて記載している一方で、更なる変更形態が可能であり、本願は、本発明の原理に一般的に従う本発明の任意のバリエーション、使用又は適応をカバーし、これには、本発明に関係し且つ本願明細書に記載の必須の特徴に適用し得る技術の範囲内で公知又は慣習的な実務内に入る本開示由来のかかる発展が含まれることを意図していることが理解されよう。
本明細書に記載の全ての刊行物及び特許出願は、それぞれ独立した刊行物又は特許出願がそれらの全部を引用して具体的且つ個々に明示しているように本願明細書で引用されている。
本願明細書での単数形(例えば、「a」及び「the」)の使用は、文脈において明示の反対がない限り、対応する複数形の適用を除外しない。同様に、複数語の使用は、対応する単数形の適用を除外しない。
本発明は、以下の項番に更に記載されている。
1. がんを患っている又は発症するリスクのある対象を治療する方法であって、前記対象に(i)エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩及び(ii) ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤又はその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物若しくは非晶質固体を投与するステップを有する、方法 。
2. 前記がんは、相同組換え(HR)-欠損である、項番1に記載の方法。
3. 前記HR欠損がんは、BRCA1、BRCA2、PTEN、ATM、MRE11、PALB2、RAD54、RAD54B、RAD50、RAD51、RAD51B、RAD51C、RAD51D、DMC1、XRCC2、SRCC3、RAD52、BRIP1、NBS1、WRN、BLM、Ku70、Ku80、ATR chk1、chk2、FANCA、FANCB、FANCC、FANCD1、FANCD2、FANCE、FANCF、FANCG、RAD1、RAD9、FEN-1、Mus81、Eme1、DDS1、BARD、XRCC1、ADPRT(PARP-1)、ADPRTL2(PARP-2)、CTPS、RPA、RPA1、RPA2、RPA3、XPD、ERCC1、XPF又はMMS19欠損である、項番2に記載の方法。
4. 前記対象は、ヒト患者である、項番1から3のいずれかに記載の方法。
5. 前記対象は、がんの治療において、又は、がんからの治療後回復期において、がんであると診断される、項番1から4のいずれかに記載の方法。
6. 前記がんは、原発腫瘍である、項番1から5のいずれかに記載の方法。
7. 前記がんは、転移がんである、項番1から5のいずれかに記載の方法。
8. 前記がんは、固形腫瘍である、項番1から5のいずれかに記載の方法。
9. 前記がんは、乳がん(例えば、エストロゲンレセプター陽性若しくは陰性、プロゲステロンレセプター陽性若しくは陰性、HER-2陽性若しくは陰性、三種陰性乳がん又はBRCA1及び/若しくはBRCA2陽性若しくは陰性)、肺がん(例えば、非小細胞肺がん及び小細胞肺がん)、卵巣がん、子宮体がん、前立腺がん、咽頭がん、食道がん、グリア芽細胞腫、副腎がん、B細胞悪性腫瘍、胆道がん、膀胱がん、骨がん、脳がん、子宮頸がん、絨毛膜癌腫、結腸がん、大腸がん、結合組織がん、消化器系のがん、胆嚢がん、胃がん、頭と首のがん、肝細胞癌腫、上皮内新生物、腎臓がん、肝がん、リンパ腫、皮膚がん(例えば、メラノーマ及び基底細胞癌腫)、神経芽腫、中皮腫、神経膠腫、口腔がん、小児がん、膵臓がん、膵性内分泌腫瘍、下垂体線腫、胸腺腫、腎細胞癌腫、呼吸器系がん、唾液腺がん、肉腫(例えば、ユーイング肉腫、線維肉腫及び横紋筋肉腫)、小腸がん、精巣がん、甲状腺がん、尿管がん、泌尿器系がん、及び血液がん(例えば、急性顆粒球性白血病及び多発性骨髄腫)からなる群より選択される、項番1から8のいずれかに記載の方法。
10. 前記がんは、乳がん及び肺がんから選択される、項番9に記載の方法。
11. 前記エリブリンの医薬的に許容可能な塩は、エリブリンメシル酸塩である、項番1から10のいずれかに記載の方法。
12. 前記エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩は、静脈内注入によって投与される、項番1から11のいずれかに記載の方法。
13. 前記静脈内注入は、約1〜約20分又は約2〜約5分間である、項番12に記載の方法。
14. 前記エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩は、約0.1mg/m2〜約20mg/m2の範囲の量で、又は、約0.7mg/m2、1.1mg/m2若しくは1.4mg/m2の量で投与される、項番1から13のいずれかに記載の方法。
15. 前記エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩は、21日サイクルの1日目及び8日目に一日一回投与される、項番1から14のいずれかに記載の方法。
16. 前記PARP阻害剤は、E7449、オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、ベリパリブ及びBMN 673並びにその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物又は非晶質固体からなる群より選択される、項番1から15のいずれかに記載の方法。
17. 前記PARP阻害剤は、E7449又はその医薬的に許容可能な塩である、項番16に記載の方法。
18. 前記E7449の医薬的に許容可能な塩は、L-酒石酸塩である、項番17に記載の方法。
19. 前記E7449又はその医薬的に許容可能な塩は、経口的に投与される、項番16から18のいずれかに記載の方法。
20. 前記E7449又はその医薬的に許容可能な塩は、約100mg〜約1000mgの範囲の量で、又は、約200、400、600若しくは800 mgの量で投与される、項番16から19のいずれかに記載の方法。
21. 前記PARP阻害剤又はその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物若しくは非晶質固体は、21日サイクルの間、一日一回投与される、項番1から20のいずれかに記載の方法。
22. プラチナに基づく抗腫瘍薬を投与するステップを更に有する、項番1から21のいずれかに方法。
23. 前記プラチナに基づく抗腫瘍薬は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチン及びリポラチンからなる群より選択される、項番22に記載の方法。
24. 前記プラチナに基づく抗腫瘍薬は、21日サイクルの間、一回投与される、項番22又は23に記載の方法。
25. 前記治療は、(i) がん細胞の数を減少させる;(ii) 腫瘍体積を減少させる;(iii) 腫瘍退縮率を増加させる;(iv) がん細胞の末梢器官への浸潤を低下させる若しくは遅らせる;(v) 腫瘍転移を低下させる若しくは遅らせる;(vi) 腫瘍成長を低下させる若しくは阻害させる;(vii) がんの発生若しくは再発を予防する若しくは遅らせる及び/若しくは無疾患若しくは無腫瘍生存期間を延長する;(viii) 全生存期間を延ばす;(ix) 治療の頻度を減少させる;並びに/又は(x) がんと関連する1又は複数の症状を緩和させることである、項番1から24のいずれかに方法。
26. 対象の腫瘍サイズを減少させる方法であって、前記対象に(i)エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩、及び(ii) PARP阻害剤又はその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物若しくは非晶質固体を投与するステップを有する、方法。
27. 前記腫瘍は、HR欠損がん細胞を含む、項番26に記載の方法。
28. 前記PARP阻害剤は、E7449又はその医薬的に許容可能な塩である、項番26又は27に記載の方法。
29. 前記E7449の医薬的に許容可能な塩は、L-酒石酸塩である、項番28に記載の方法。
30. 前記エリブリンの医薬的に許容可能な塩は、エリブリンメシル酸塩である、項番26から29のいずれかに記載の方法。
31. プラチナに基づく抗腫瘍薬を投与するステップを更に有する、項番26から30のいずれかに記載の方法。
32. 前記対象に投与される、前記エリブリン若しくはその医薬的に許容可能な塩の量及び/又は前記PARP阻害剤若しくはその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物若しくは非晶質固体の量は、個々の効果の合計よりも大きい相乗効果を提供する、項番1から31のいずれかに記載の方法。
33. 前記対象に投与される、前記エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩の量、前記PARP阻害剤若しくはその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物若しくは非晶質固体の量及び/又は前記プラチナに基づく抗腫瘍薬の量は、個々の効果の合計よりも大きい相乗効果を提供する、項番22から31のいずれかに記載の方法。
34. 前記エリブリン若しくはその医薬的に許容可能な塩又は前記PARP阻害剤又はその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物若しくは非晶質固体は、共投与される、項番1から33のいずれかに記載の方法。
35. 前記エリブリン若しくはその医薬的に許容可能な塩又は前記PARP阻害剤又はその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物若しくは非晶質固体は、順次投与される、項番1から33のいずれかに記載の方法。
36. 前記エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩又は前記PARP阻害剤又はその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物又は非晶質固体の一方又は両方と共にプラチナに基づく抗悪性腫瘍薬を共投与するステップを更に有する、又は、前記エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩又は前記PARP阻害剤又はその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物又は非晶質固体に対してプラチナに基づく抗悪性腫瘍薬を順次投与するステップを更に有する、項番34又は35に記載の方法。
37. がんを治療する又は腫瘍サイズを減少させるのに用いられるキットであって、(i)エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩、及び(ii) PARP阻害剤又はその医薬的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物若しくは非晶質固体を備える、キット。
38. 前記PARP阻害剤は、E7449又はその医薬的に許容可能な塩である、項番37に記載のキット。
39. 前記E7449の医薬的に許容可能な塩は、L-酒石酸塩である、項番38に記載のキット。
40. 前記エリブリンの医薬的に許容可能な塩は、エリブリンメシル酸塩である、項番37から39のいずれかに記載のキット。
41. 前記キットは、プラチナに基づく抗腫瘍薬を更に備える、項番37から40のいずれかに記載のキット。
42. 前記プラチナに基づく抗腫瘍薬は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチン及びリポラチンからなる群より選択される、項番41のいずれかに記載のキット。
他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内である。

Claims (33)

  1. がんを患っている又は発症するリスクのある対象の治療用の医薬組成物であって、
    前記がんは、相同組換え(HR)-欠損がんであり、
    前記HR欠損がんは、BRCA1又はPTEN欠損がんである、
    (i)エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩を含有する、前記エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩とE7449又はその医薬的に許容可能な塩との併用療法において用いられる、医薬組成物、
    又は、
    (ii) E7449又はその医薬的に許容可能な塩を含有する、前記E7449又はその医薬的に許容可能な塩と前記エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩との併用療法において用いられる、医薬組成物。
  2. 前記対象は、ヒト患者である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記対象は、がんの治療中において、又は、がんからの治療後回復期において、がんであると診断されている、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 前記がんは、原発腫瘍である、請求項1に記載の医薬組成物。
  5. 前記がんは、転移がんである、請求項1に記載の医薬組成物。
  6. 前記がんは、固形腫瘍である、請求項1に記載の医薬組成物。
  7. 前記がんは、乳がん(例えば、エストロゲンレセプター陽性若しくは陰性、プロゲステロンレセプター陽性若しくは陰性、HER-2陽性若しくは陰性、三種陰性乳がん又はBRCA1及び/若しくはBRCA2陽性若しくは陰性)、肺がん(例えば、非小細胞肺がん及び小細胞肺がん)、卵巣がん、子宮体がん、前立腺がん、咽頭がん、食道がん、グリア芽細胞腫、副腎がん、B細胞悪性腫瘍、胆道がん、膀胱がん、骨がん、脳がん、子宮頸がん、絨毛膜癌腫、結腸がん、大腸がん、結合組織がん、消化器系のがん、胆嚢がん、胃がん、頭と首のがん、肝細胞癌腫、上皮内新生物、腎臓がん、肝がん、リンパ腫、皮膚がん(例えば、メラノーマ及び基底細胞癌腫)、神経芽腫、中皮腫、神経膠腫、口腔がん、小児がん、膵臓がん、膵性内分泌腫瘍、下垂体線腫、胸腺腫、腎細胞癌腫、呼吸器系がん、唾液腺がん、肉腫(例えば、ユーイング肉腫、線維肉腫及び横紋筋肉腫)、小腸がん、精巣がん、甲状腺がん、尿管がん、泌尿器系がん、及び血液がん(例えば、急性顆粒球性白血病及び多発性骨髄腫)からなる群より選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
  8. 前記がんは、乳がん及び肺がんから選択される、請求項に記載の医薬組成物。
  9. 前記エリブリンの医薬的に許容可能な塩は、エリブリンメシル酸塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
  10. 前記エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物は、静脈内注入による投与に用いられる、請求項1に記載の医薬組成物。
  11. 前記静脈内注入は、約1〜約20分又は約2〜約5分間ある、請求項10に記載の医薬組成物。
  12. 前記エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物は、約0.1mg/m2〜約20mg/m2の前記エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩の範囲の量での、又は、約0.7mg/m2、1.1mg/m2若しくは1.4mg/m2の前記エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩の量での投与に用いられる、請求項1に記載の医薬組成物。
  13. 前記エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物は、21日サイクルの1日目及び8日目に一日一回投与として用いられる、請求項1に記載の医薬組成物。
  14. 前記E7449の医薬的に許容可能な塩は、L-酒石酸塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
  15. 前記E7449又はその医薬的に許容可能な塩は、経口的に投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
  16. 前記E7449又はその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物は、約100mg〜約1000mgの前記E7449又はその医薬的に許容可能な塩の範囲の量での、又は、約200、400、600若しくは800 mgの前記E7449又はその医薬的に許容可能な塩の量での投与に用いられる、請求項1に記載の医薬組成物。
  17. 前記E7449又はその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物は、21日サイクルの間、一日一回投与として用いられる、請求項1に記載の医薬組成物。
  18. プラチナに基づく抗腫瘍薬を含有する医薬組成物が、前記併用療法において更に用いられる、請求項1に記載の医薬組成物。
  19. 前記プラチナに基づく抗腫瘍薬は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチン及びリポラチンからなる群より選択される、請求項18に記載の医薬組成物。
  20. 前記プラチナに基づく抗腫瘍薬を含有する医薬組成物は、21日サイクルの間、一回投与として用いられる、請求項18に記載の医薬組成物。
  21. 前記治療は、(i)がん細胞の数を減少させる;(ii)腫瘍体積を減少させる;(iii)腫瘍退縮率を増加させる;(iv)がん細胞の末梢器官への浸潤を低下させる若しくは遅らせる;(v)腫瘍転移を低下させる若しくは遅らせる;(vi)腫瘍成長を低下させる若しくは阻害させる;(vii)がんの発生若しくは再発を予防する若しくは遅らせる及び/若しくは無疾患若しくは無腫瘍生存期間を延長する;(viii)全生存期間を延ばす;(ix)治療の頻度を減少させる;並びに/又は(x)がんと関連する1又は複数の症状を緩和させることである、請求項1に記載の医薬組成物。
  22. 対象の腫瘍サイズを減少させるための医薬組成物であって、
    前記腫瘍は、HR欠損がん細胞を含有し、
    前記HR欠損がんは、BRCA1又はPTEN欠損がんである、
    (i)エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩を含有する、前記エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩とE7449又はその医薬的に許容可能な塩との併用療法において用いられる、医薬組成物、
    又は、
    (ii)E7449又はその医薬的に許容可能な塩を含有する、前記E7449又はその医薬的に許容可能な塩と前記エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩との併用療法において用いられる、医薬組成物。
  23. 前記E7449の医薬的に許容可能な塩は、L-酒石酸塩である、請求項22に記載の医薬組成物。
  24. 前記エリブリンの医薬的に許容可能な塩は、エリブリンメシル酸塩である、請求項22に記載の医薬組成物。
  25. プラチナに基づく抗腫瘍薬を含有する医薬組成物が、前記併用療法において更に用いられる、請求項22に記載の医薬組成物。
  26. 前記エリブリン若しくはその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物又は前記E7449又はその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物は、共投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
  27. 前記エリブリン若しくはその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物又は前記E7449若しくはその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物は、順次投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
  28. プラチナに基づく抗悪性腫瘍薬を含有する医薬組成物が、前記エリブリン若しくはその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物又は前記E7449若しくはその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物の一方又は両方との共投与に用いられる、又は、
    プラチナに基づく抗悪性腫瘍薬を含有する医薬組成物が、前記エリブリン若しくはその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物又は前記E7449若しくはその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物に対する順次での投与に用いられる、請求項26に記載の医薬組成物。
  29. がんを治療する又は腫瘍サイズを減少させるためのキットであって、
    前記がんは、HR欠損がんであり、
    前記腫瘍は、HR欠損がん細胞を含有し、
    前記HR欠損がんは、BRCA1又はPTEN欠損がんであり、
    (i)エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩、及び(ii) E7449又はその医薬的に許容可能な塩を備える、キット。
  30. 前記E7449の医薬的に許容可能な塩は、L-酒石酸塩である、請求項29に記載のキット。
  31. 前記エリブリンの医薬的に許容可能な塩は、エリブリンメシル酸塩である、請求項29に記載のキット。
  32. 前記キットは、プラチナに基づく抗腫瘍薬を更に備える、請求項29に記載のキット。
  33. 前記プラチナに基づく抗腫瘍薬は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチン及びリポラチンからなる群より選択される、請求項32に記載のキット。
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