次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。本実施形態では、本発明に係る満充電容量算出装置を、車両に搭載された組電池を制御する組電池制御システムに適用した例を示す。
まず、図1を参照して組電池制御システムの構成について説明する。
図1に示す組電池制御システム1は、車両に搭載された組電池B1を制御するシステムである。ここで、組電池B1は、5つの電池セルC10〜C14を直列接続して構成されている。組電池B1の正極端及び負極端は、システムメインリレーR10、R11を介して車両に搭載された車載装置に接続されている。組電池制御システム1は、電圧センサ10と、電流センサ11と、均等化回路12と、電圧センサ130〜134と、満充電容量算出装置14とを備えている。
電圧センサ10は、組電池B1の電圧を検出するセンサである。システムメインリレーR10、R11がオフ状態の場合における電圧センサ10の検出結果が、組電池B1のOCVになる。ここで、組電池B1のOCVとは、組電池B1の開放電圧のことである。電圧センサ10の一端は組電池B1の正極端に、他端は組電池B1の負極端にそれぞれ接続されている。また、出力端は、満充電容量算出装置14に接続されている。
電流センサ11は、組電池B1に流れる電流を検出するセンサである。電流センサ11は、組電池B1の正極端とシステムメインリレーR10の間に接続されている。電流センサ11の出力端は、満充電容量算出装置14に接続されている。
均等化回路12は、組電池B1を制御するために、最も電圧が低い電池セルと他の電池セルの電圧差が全て所定電圧以下になるように他の電池セルを放電させ、電池セルC10〜C14の電圧を均等化する回路である。均等化回路12は、スイッチ120〜124と、抵抗125〜129とを備えている。
スイッチ120〜124は、抵抗125〜129を介して電池セルC10〜C14を放電させるための素子である。抵抗125〜129は、電池セルC10〜C14の放電時に流れる電流を規制するための素子である。スイッチ120〜124と抵抗125〜129は、それぞれ直列接続されている。スイッチ120〜124の一端は電池セルC10〜C14の正極端に、抵抗125〜129の一端は電池セルC10〜C14の負極端にそれぞれ接続されている。
電圧センサ130〜134は、電池セルC10〜C14の電圧を検出するセンサである。電圧センサ130〜134の一端は電池セルC10〜C14の正極端に、他端は電池セルC10〜C14の負極端にそれぞれ接続されている。電圧センサ130〜134の出力端は、満充電容量算出装置14にそれぞれ接続されている。
組電池制御システム1内の図示されていない他の装置が、電圧センサ130〜134の検出結果に基づいてスイッチ120〜124をオン状態にし、抵抗125〜129を介して放電させることで、電池セルC10〜C14の電圧を均等化することができる。
満充電容量算出装置14は、組電池B1の制御に用いられる組電池B1の満充電容量を算出する装置である。具体的には、組電池B1の最小満充電容量及び平均満充電容量を算出する装置である。満充電容量算出装置14は、SOC算出部140と、積算電流量算出部141と、充放電時間算出部142と、満充電容量算出判定部143と、満充電容量算出部144と、満充電容量補正部145と、満充電容量記憶部146と備えている。
SOC算出部140は、電圧センサ10の検出した組電池B1のOCVに基づいて組電池B1のSOCを算出するブロックである。具体的には、予め設定されている組電池B1のOCVとSOCの関係に基づいて、組電池B1のOCVから組電池B1のSOCを算出するブロックである。また、SOC算出部140は、ある状態の組電池B1のSOCと別の状態の組電池B1のSOCから、それらの差分である差分SOCを算出するブロックでもある。ここで、組電池B1のSOCとは、組電池B1の残存容量のことであり、満充電容量に対する割合で表される。
SOC算出部140は、予め設定されている組電池B1のOCVとSOCの関係に基づいて、電圧センサ10の検出した充放電期間の開始前の組電池B1の充放電前OCVから組電池B1の充放電前SOCを算出する。具体的には、前回の充放電期間が終了してから緩和時間α以上の時間が経過した後の組電池B1の充放電前OCVに基づいて組電池B1の充放電前SOCを算出する。また、予め設定されている組電池B1のOCVとSOCの関係に基づいて、電圧センサ10の検出した、充放電期間が終了してから緩和時間αが経過した後の組電池B1の充放電後OCVから組電池B1の充放電後SOCを算出する。さらに、予め設定されている組電池B1のOCVとSOCの関係に基づいて、電圧センサ10の検出した、充放電期間が終了してから緩和時間αが経過した後、最も電圧が低い電池セルと他の電池セルの電圧差が全て所定電圧β以下になるように他の電池セルを放電させる均等化を行った後の組電池B1の均等化後OCVから組電池B1の均等化後SOCを算出する。SOC算出部140は、組電池B1の充放電前SOCと充放電後SOCの差分である充放電後差分SOCを算出する。また、組電池B1の充放電前SOCと均等化後SOCの差分である均等化後差分SOCを算出する。ここで、充放電期間とは、図示されていない車両の始動スイッチがオンし、それに伴ってシステムメインリレーR10、R11がオン状態になってから、始動スイッチがオフしてシステムメインリレーR10、R11がオフ状態になるまでの期間のことである。つまり、車両が始動状態であり、システムメインリレーR10、R11を介して組電池B1と車載装置の間で電力のやり取りがされている期間のことである。システムメインリレーR10、R11がオン状態になってからオフ状態になるまでの期間のことである。なお、システムメインリレーR10、R11がオン状態から一度オフ状態になって再度オンになった場合、始動スイッチがオフにならない限りは、システムメインリレーR10、R11の1回目のオン状態と2回目のオン状態は合わせて一つの充放電期間となる。また、緩和時間αは、充放電に伴って発生する電池セルC10〜C14の分極の影響が緩和されるのに充分な時間に設定されている。所定電圧βは、組電池B1の均等化後OCVに基づいて算出される満充電容量の誤差が許容される範囲内となるような電圧に設定されている。
積算電流量算出部141は、電流センサ11の検出した組電池B1に流れる電流を積算して、充放電期間における組電池B1の積算電流量を算出するブロックである。
充放電時間算出部142は、充放電期間の時間を算出するブロックである。
満充電容量算出判定部143は、組電池B1の平均満充電容量及び最小満充電容量を算出するか否かを判定するブロックである。具体的には、SOC算出部140の算出した組電池B1の充放電後差分SOC及び均等化後差分SOCが所定値γより大きいか否か、充放電時間算出部142の算出した充放電時間が所定時間δより小さいか否か、電圧センサ10及び電流センサ11がともに正常であるか否かを判定するブロックである。満充電容量算出判定部143は、組電池B1の充放電後差分SOC及び均等化後差分SOCが所定値γ以下である場合、充放電時間が所定時間δ以上である場合、電圧センサ10及び電流センサ11の少なくとも1つが異常である場合のうち、少なくとも1つである場合、満充電容量算出部144による平均満充電容量、最小満充電容量の算出、及び、満充電容量補正部145による補正された平均満充電容量、最小満充電容量の算出を停止させる。ここで、所定値γは、差分SOCに基づいて算出される満充電容量の誤差が許容される範囲内となるような値に設定されている。所定時間δは、オフセット誤差を有する電流センサ11の検出結果に基づいて算出される満充電容量の誤差が許容される範囲内となるような時間に設定されている。
満充電容量算出部144は、組電池B1の平均満充電容量及び最小満充電容量を算出するブロックである。本発明の平均満充電容量算出部及び最小満充電容量算出部に相当するブロックである。満充電容量算出部144は、SOC算出部140の算出した組電池B1の充放電前SOCと、SOC算出部140の算出した組電池B1の充放電後SOCと、積算電流量算出部141の算出した積算電流量とに基づいて組電池B1の平均満充電容量を算出する。具体的には、SOC算出部140の算出した充放電後差分SOCと、積算電流量算出部141の算出した積算電流量とに基づいて組電池B1の平均満充電容量を算出するブロックである。より具体的には、以下に示す式(1)に基づいて平均満充電容量を算出する。
平均満充電容量=(積算電流量/充放電後差分SOC)×100・・・(1)
また、満充電容量算出部144は、SOC算出部140の算出した組電池B1の充放電前SOCと、SOC算出部140の算出した組電池B1の均等化後SOCと、積算電流量算出部141の算出した積算電流量とに基づいて組電池B1の最小満充電容量を算出する。具体的には、SOC算出部140の算出した均等化後差分SOCと、積算電流量算出部141の算出した積算電流量とに基づいて組電池B1の最小満充電容量を算出する。より具体的には、以下に示す式(2)に基づいて最小満充電容量を算出する。
最小満充電容量=(積算電流量/均等化後差分SOC)×100・・・(2)
満充電容量補正部145は、算出した組電池B1の平均満充電容量及び最小満充電容量を補正するブロックである。本発明の平均満充電容量補正部及び最小満充電容量補正部に相当するブロックである。満充電容量補正部145は、後述する満充電容量記憶部146に記憶されている前回算出した補正された平均満充電容量と、満充電容量算出部144が今回算出した平均満充電容量から所定計算式に基づいて、補正された平均満充電容量を算出する。具体的には、予め設定されているなまし定数k1(0.1≦k1≦0.99)と、なまし定数k1を用いた以下に示す式(3)に基づいて補正された平均満充電容量を算出する。
補正された平均満充電容量=満充電容量記憶部146に記憶されている前回算出した補正された平均満充電容量×(1−k1)+満充電容量算出部144が今回算出した平均満充電容量×k1・・・(3)
また、満充電容量補正部145は、満充電容量記憶部146に記憶されている前回算出した補正された最小満充電容量と、満充電容量算出部144が今回算出した最小満充電容量から所定計算式に基づいて、補正された最小満充電容量を算出する。具体的には、予め設定されているなまし定数k2(0.1≦k2≦0.99)と、なまし定数k2を用いた以下に示す式(4)に基づいて補正された最小満充電容量を算出する。
補正された最小満充電容量=満充電容量記憶部146に記憶されている前回算出した補正された最小満充電容量×(1−k2)+満充電容量算出部144が今回算出した最小満充電容量×k2・・・(4)
満充電容量記憶部146は、組電池B1の平均満充電容量及び最小満充電容量を記憶するブロックである。具体的には、満充電容量補正部145によって補正された平均満充電容量及び最小満充電容量を、新たな平均満充電容量及び最小満充電容量として更新し記憶するブロックである。
次に、図1〜図4を参照して本実施形態の組電池制御システムを構成する満充電容量算出部装置の動作について説明する。
図1に示すSOC算出部140は、図2に示すように、ステップS100において、組電池制御システム1内の図示されていない他の装置から入力される情報に基づいて、始動スイッチがオン状態であるか否かを判定する。ステップS100において、始動スイッチがオン状態でないと判定した場合、SOC算出部140は、始動スイッチがオン状態になるまで同様の判定を繰り返す。一方、ステップS100において、始動スイッチがオン状態であると判定した場合、SOC算出部140は、ステップS101において、組電池制御システム1内の図示されていない他の装置から入力される情報に基づいて、前回始動スイッチがオフしてから緩和時間α以上の時間が経過しているか否かを判定する。後述するように、始動スイッチがオフ状態になると、それに伴ってシステムメインリレーR10、R11もオフ状態になり、充放電期間が終了する。つまり、SOC算出部140は、前回の充放電期間が終了してから緩和時間α以上の時間が経過しているかを判定する。
ステップS101において、前回の充放電期間が終了してから緩和時間α以上の時間が経過していないと判定した場合、電池セルC10〜C14の分極の影響が充分に緩和されていないと判断し、満充電容量を算出するための処理を終了する。つまり、後述する、満充電容量算出部144による組電池B1の平均満充電容量及び最小満充電容量の算出を停止する。さらに、満充電容量補正部145による補正された平均満充電容量及び補正された最小満充電容量の算出を停止する。
一方、ステップS101において、前回の充放電期間が終了してから緩和時間α以上の時間が経過していると判定した場合、電池セルC10〜C14の分極の影響が充分に緩和されていると判断し、SOC算出部140は、ステップS102において、電圧センサ10の検出した組電池B1の充放電前OCVを取得する。そして、ステップS103において、予め設定されている組電池B1のOCVとSOCの関係に基づいて、取得した組電池B1の充放電前OCVから組電池B1の充放電前SOCを算出する。
その後、積算電流量算出部141及び充放電時間算出部142は、ステップS104において、組電池制御システム1内の図示されていない他の装置から入力される情報に基づいて、システムメインリレーR10、R11がオン状態であるか否かを判定する。システムメインリレーR10、R11は、始動スイッチがオン状態になった後にオン状態になる。ステップS104において、システムメインリレーR10、R11がオン状態でないと判定した場合、充放電期間が開始していないと判断し、積算電流量算出部141及び充放電時間算出部142は、システムメインリレーR10、R11がオン状態になるまで同様の判定を繰り返す。一方、ステップS104において、システムメインリレーR10、R11がオン状態であると判定した場合、充放電期間が開始していると判断し、積算電流量算出部141は、ステップS105において、電流センサ11の検出した組電池B1に流れる電流を積算する。充放電時間算出部142は、ステップS105において、充放電期間の時間を算出するため時間を計測する。その後、積算電流量算出部141及び充放電時間算出部142は、ステップS106において、組電池制御システム1内の図示されていない他の装置から入力される情報に基づいて、始動スイッチがオフ状態であるか否かを判定する。システムメインリレーR10、R11は、始動スイッチがオフ状態になると即座にオフ状態になる。ステップS106において、始動スイッチがオフ状態でないと判定した場合、充放電期間が終了していないと判断し、積算電流量算出部141及び充放電時間算出部142は、始動スイッチがオフ状態になるまでステップ105の処理を繰り返す。
始動スイッチがオフ状態になると、それに伴ってシステムメインリレーR10、R11もオフ状態になる。ステップS106において、始動スイッチがオフ状態であると判定した場合、充放電期間が終了したと判断し、積算電流量算出部141は、ステップS107において、充放電期間中における組電池B1の積算電流量の算出を完了する。充放電時間算出部142は、ステップS107において、充放電期間の時間の算出を完了する。
SOC算出部140は、ステップS108において、組電池制御システム1の他のブロックから入力される情報に基づいて、始動スイッチがオフしてから緩和時間αが経過したか否かを判定する。ステップS108において、始動スイッチがオフしてから緩和時間αが経過していないと判定した場合、電池セルC10〜C14の分極の影響が充分に緩和されていないと判断し、SOC算出部140は、緩和時間αが経過するまで同様の判定を繰り返す。一方、ステップS108において、始動スイッチがオフしてから緩和時間αが経過していると判定した場合、電池セルC10〜C14の分極の影響が充分に緩和されていると判断し、SOC算出部140は、ステップS109において、電圧センサ10の検出した組電池B1の充放電後OCVを取得する。そして、ステップS110において、予め設定されている組電池B1のOCVとSOCの関係に基づいて、取得した組電池B1の充放電後OCVから組電池B1の充放電後SOCを算出する。さらに、ステップS111において、組電池B1の充放電後差分SOCを算出する。
その後、図1に示す満充電容量算出判定部143は、図3に示すように、ステップS112において、平均満充電容量を算出するか否かを判定する。具体的には、組電池B1の充放電後差分SOCが所定値γより大きいか否か、充放電時間が所定時間δより小さいか否か、電圧センサ10及び電流センサ11がともに正常であるか否かを判定する。
ステップS112において、組電池B1の充放電後差分SOCが所定値γより大きく、充放電時間が所定時間δより小さく、電圧センサ10及び電流センサ11がともに正常であると判定した場合、満充電容量算出判定部143は、平均満充電容量の算出を許可する。
満充電容量算出部144は、ステップS113において、SOC算出部140の算出した充放電前SOCと、SOC算出部140の算出した充放電後SOCと、積算電流量算出部141の算出した積算電流量とに基づいて組電池B1の平均満充電容量を算出する。具体的には、SOC算出部140の算出した充放電後差分SOCと、積算電流量算出部141の算出した積算電流量とに基づいて組電池B1の平均満充電容量を算出する。より具体的には、式(1)に基づいて組電池B1の平均満充電容量を算出する。
その後、満充電容量補正部145は、ステップS114において、算出した組電池B1の平均満充電容量を補正する。具体的には、満充電容量記憶部146に記憶されている前回算出した補正された平均満充電容量と、満充電容量算出部144が今回算出した平均満充電容量から所定計算式に基づいて、補正された平均満充電容量を算出する。より具体的には、式(3)に基づいて補正された新たな平均満充電容量を算出する。そして、満充電容量補正部145は、ステップS115において、補正された平均満充電容量を新たな平均満充電容量として更新し、満充電容量記憶部146に記憶させる。
一方、ステップS112において、組電池B1の充放電後差分SOCが所定値γ以下であると判定した場合、充放電後差分SOCに含まれる誤差の影響が大きくなって平均満充電容量の精度が低下してしまうと判断し、ステップS113〜ステップS115は実施されない。また、充放電時間が所定時間δ以上であると判定した場合、電流センサ11のオフセット誤差の影響が大きくなって積算電流量の精度が低下し、それに伴って平均満充電容量の精度も低下してしまうと判断し、ステップS113〜ステップS115は実施されない。さらに、電圧センサ10及び電流センサ11の少なくとも1つが異常であると判定した場合、OCVや積算電流量の信頼性が低いため、ステップS113〜ステップS115は実施されない。つまり、組電池B1の充放電後差分SOCが所定値γ以下である場合、充放電時間が所定時間δ以上である場合、電圧センサ10及び電流センサ11の少なくとも1つが異常である場合のうち、少なくとも1つである場合、満充電容量算出部144による平均満充電容量の算出、及び、満充電容量補正部145による補正された平均満充電容量の算出を停止する。
その後、組電池制御システム1内の図示されていない他の装置が、電圧センサ130〜134の検出した電池セルC10〜C14の電圧に基づいて均等化回路12を制御し、電池セルC10〜C14の電圧を均等化する。具体的には、最も電圧が低い電池セルと他の電池セルの電圧差が全て所定電圧β以下になるようにスイッチ120〜124を制御する。
SOC算出部140は、ステップS116において、均等化が終了したか否かを判定する。具体的には、電圧センサ130〜134の検出結果に基づいて、最も電圧が低い電池セルと他の電池セルの電圧差が全て所定電圧β以下になっているか否かを判定する。ステップS116において、最も電圧が低い電池セルと他の電池セルの電圧差のうち、少なくとも1つが所定電圧β以下になっていないと判定した場合、SOC算出部140は、電圧差が全て所定電圧β以下になるまで同様の判定を繰り返す。
一方、ステップS116において、最も電圧が低い電池セルと他の電池セルの電圧差が全て所定電圧β以下になっていると判定した場合、SOC算出部140は、ステップS117において、電圧センサ10の検出した組電池B1の均等化後OCVを取得する。そして、ステップS118において、予め設定されている組電池B1のOCVとSOCの関係に基づいて、取得した組電池B1の均等化後OCVから組電池B1の均等化後SOCを算出する。さらに、ステップS119において、組電池B1の均等化後差分SOCを算出する。
その後、満充電容量算出判定部143は、ステップS120において、最小満充電容量を算出するか否かを判定する。具体的には、組電池B1の均等化後差分SOCが所定値γより大きいか否か、充放電時間が所定時間δより小さいか否か、電圧センサ10及び電流センサ11がともに正常であるか否かを判定する。
ステップS120において、組電池B1の均等化後差分SOCが所定値γより大きく、充放電時間が所定時間δより小さく、電圧センサ10及び電流センサ11がともに正常であると判定した場合、満充電容量算出判定部143は、最小満充電容量の算出を許可する。
満充電容量算出部144は、ステップS121において、SOC算出部140の算出した充放電前SOCと、SOC算出部140の算出した均等化後SOCと、積算電流量算出部141の算出した積算電流量とに基づいて組電池B1の最小満充電容量を算出する。具体的には、SOC算出部140の算出した均等化後差分SOCと、積算電流量算出部141の算出した積算電流量とに基づいて組電池B1の最小満充電容量を算出する。より具体的には、式(2)に基づいて最小満充電容量を算出する。
その後、満充電容量補正部145は、ステップS122において、算出した組電池B1の最小満充電容量を補正する。具体的には、満充電容量記憶部146に記憶されている前回算出した補正された最小満充電容量と、満充電容量算出部144が今回算出した最小満充電容量から所定計算式に基づいて、補正された最小満充電容量を算出する。より具体的には、式(4)に基づいて補正された新たな最小満充電容量を算出する。そして、満充電容量補正部145は、ステップS123において、補正された最小満充電容量を新たな最小満充電容量として更新し、満充電容量記憶部146に記憶させる。
一方、ステップS120において、組電池B1の均等化後差分SOCが所定値γ以下であると判定した場合、均等化後差分SOCに含まれる誤差の影響が大きくなって最小満充電容量の精度が低下してしまうと判断し、ステップS121〜ステップS123は実施されない。また、充放電時間が所定時間δ以上であると判定した場合、電流センサ11のオフセット誤差の影響が大きくなって積算電流量の精度が低下し、それに伴って最小満充電容量の精度も低下してしまうと判断し、ステップS121〜ステップS123は実施されない。さらに、電圧センサ10及び電流センサ11の少なくとも1つが異常であると判定した場合、OCVや積算電流量の信頼性が低いため、ステップS121〜ステップS123は実施されない。つまり、組電池B1の均等化後差分SOCが所定値γ以下である場合、充放電時間が所定時間δ以上である場合、電圧センサ10及び電流センサ11の少なくとも1つが異常である場合のうち、少なくとも1つである場合、満充電容量算出部144による最小満充電容量の算出、及び、満充電容量補正部145による補正された最小満充電容量の算出を停止する。
図4に示すように、前回始動スイッチがオフした時刻t0から所定時間経過した時刻t1で始動スイッチがオン状態になる。つまり、前回の充放電期間が終了した時刻t0から所定時間経過した時刻t1で始動スイッチがオン状態になる。時刻t0から時刻t1までの時間が緩和時間α以上である場合、電池セルC10〜C14の分極の影響が充分に緩和されたと判断し、SOC算出部140は、時刻t2で、組電池B1の充放電前OCVを取得し、組電池B1の充放電前SOCを算出する。しかし、時刻t0から時刻t1までの時間が緩和時間αに達していない場合は、電池セルC10〜C14の分極の影響が充分に緩和されていないと判断し、組電池B1の平均満充電容量及び最小満充電容量の算出を停止する。
その後、時刻t3でシステムメインリレーR10、R11がオン状態になり、充放電期間が開始する。充放電期間が開始すると、積算電流量算出141は、組電池B1に流れる電流を積算する。充放電時間算出部142は、充放電期間の時間を算出するため時間を計測する。充放電期間が開始し、例えば、組電池B1から車載装置に電力が供給され、組電池B1が充電されることなく放電し続けると、電池セルC10〜C14の電圧が低下する。内部状態のバラツキにより、電池セルC10〜C14の電圧の低下速度もそれぞれ異なる。その後、時刻t4で始動スイッチがオフ状態になり、それに伴ってシステムメインリレーR10、R11もオフ状態になって充放電期間が終了する。積算電流量算出部141は、時刻t4で充放電期間中における組電池B1の積算電流量の算出を完了する。充放電時間算出部142は、時刻t4で充放電期間の時間の算出を完了する。
充放電期間が終了すると、分極の影響が徐々に緩和され、電池セルC10〜C14の電圧が変動する。SOC算出部140は、時刻t4から緩和時間α経過後の時刻t5で、組電池B1の充放電後OCVを取得し、組電池B1の充放電後SOCを算出するとともに、組電池B1の充放電後差分SOCを算出する。
時刻t5において、電池セルC10〜C14のうち、電池セルC13の電圧が最も低い。最も電圧が低い電池セルC13と他の電池セルC10〜C12、C14の電圧差が全て所定電圧β以下になるように、時刻t5から均等化が開始される。最も電圧が低い電池セルC13と他の電池セルC10〜C12、C14の電圧差が全て所定電圧β以下になった時刻t6で、均等化が終了する。
SOC算出部140は、均等化終了後の時刻t7で、組電池B1の均等化後OCVを取得し、組電池B1の均等化後SOCを算出するとともに、組電池B1の均等化後差分SOCを算出する。
満充電容量算出判定部143は、時刻t5の後、平均満充電容量を算出するか否かを判定する。組電池B1の充放電後差分SOCが所定値γより大きく、充放電時間が所定時間δより小さく、電圧センサ10及び電流センサ11がともに正常であると判定した場合、満充電容量算出判定部143は、平均満充電容量の算出を許可する。満充電容量算出部144は、SOC算出部140の算出した充放電後差分SOCと、積算電流量算出部141の算出した積算電流量とに基づいて組電池B1の平均満充電容量を算出する。具体的には、式(1)に基づいて組電池B1の平均満充電容量を算出する。満充電容量補正部145は、満充電容量記憶部146に記憶されている前回算出した補正された平均満充電容量と、満充電容量算出部144が今回算出した平均満充電容量から所定計算式に基づいて、補正された平均満充電容量を算出する。具体的には、式(3)に基づいて補正された新たな平均満充電容量を算出する。そして、補正された平均満充電容量を新たな平均満充電容量として更新し、満充電容量記憶部146に記憶させる。
一方、組電池B1の充放電後差分SOCが所定値γ以下である場合、充放電時間が所定時間δ以上である場合、電圧センサ10及び電流センサ11の少なくとも1つが異常である場合のうち、少なくとも1つである場合、満充電容量算出部144による平均満充電容量の算出、及び、満充電容量補正部145による補正された平均満充電容量の算出を停止する。
満充電容量算出判定部143は、時刻t7の後、最小満充電容量を算出するか否かを判定する。組電池B1の均等化後差分SOCが所定値γより大きく、充放電時間が所定時間δより小さく、電圧センサ10及び電流センサ11がともに正常であると判定した場合、満充電容量算出判定部143は、最小満充電容量の算出を許可する。満充電容量算出部144は、SOC算出部140の算出した均等化後差分SOCと、積算電流量算出部141の算出した積算電流量とに基づいて組電池B1の最小満充電容量を算出する。具体的には、式(2)に基づいて最小満充電容量を算出する。満充電容量補正部145は、満充電容量記憶部146に記憶されている前回算出した補正された最小満充電容量と、満充電容量算出部144が今回算出した最小満充電容量から所定計算式に基づいて、補正された最小満充電容量を算出する。具体的には、式(4)に基づいて補正された新たな最小満充電容量を算出する。そして、補正された最小満充電容量を新たな最小満充電容量として更新し、満充電容量記憶部146に記憶させる。
一方、組電池B1の均等化後差分SOCが所定値γ以下である場合、充放電時間が所定時間δ以上である場合、電圧センサ10及び電流センサ11の少なくとも1つが異常である場合のうち、少なくとも1つである場合、満充電容量算出部144による最小満充電容量の算出、及び、満充電容量補正部145による補正された最小満充電容量の算出を停止する。
次に、本実施形態の満充電容量算出装置の効果について説明する。
本実施形態によれば、満充電容量算出装置14は、組電池B1のOCVに基づいて組電池B1のSOCを算出するSOC算出部140と、組電池B1の充放電期間に組電池B1に流れる電流の積算値である積算電流量を算出する積算電流量算出部141と、組電池B1の充放電前OCVに基づいてSOC算出部140が算出した組電池B1の充放電前SOCと、組電池B1の均等化後OCVに基づいてSOC算出部140が算出した組電池B1の均等化後SOCと、積算電流量算出部141が算出した積算電流量とに基づいて最小満充電容量を算出する満充電容量算出部144と、を有している。
組電池B1を構成する電池セルC10〜C14は、最も電圧が低い電池と他の電池セルの電圧差が全て所定電圧以下になるように均等化されている。OCVとSOCは、所定の関係を有している。そのため、各々の電池セルC10〜C14の充放電前SOCは、最も満充電容量が小さい電池セルの充放電前SOCとほぼ同一になる。充放電期間が終了してから緩和時間αが経過した後、電池セルC10〜C14は、最も電圧が低い電池セルと他の電池セルの電圧差が全て所定電圧以下になるように均等化される。そのため、組電池B1の均等化後SOCは、最も満充電容量が小さい電池セルの均等化後SOCとほぼ同一になる。満充電容量は、ある状態におけるSOCと、別の状態におけるSOCと、その間の積算電流量とに基づいて算出することができる。そのため、組電池B1の充放電前SOCと、組電池B1の均等化後SOCと、充放電期間中の積算電流量とから組電池B1の最小満充電容量を算出することができる。つまり、各々の電池セルC10〜C14の満充電容量を算出することなく組電池B1の満充電容量を算出することができる。
本実施形態によれば、SOC算出部140は、前回の充放電期間が終了してから緩和時間α以上の時間が経過した後の組電池B1の充放電前OCVに基づいて組電池B1の充放電前SOCを算出する。そのため、分極の影響が充分に緩和された組電池B1の充放電前OCVに基づいて組電池B1の充放電前SOCを算出することができる。従って、組電池B1の充放電前SOCの誤差を抑えることができる。
本実施形態によれば、満充電容量算出部144は、組電池B1の均等化後差分SOCが所定値γ以下である場合、充放電時間が所定時間δ以上である場合、電圧センサ10及び電流センサ11の少なくとも1つが異常である場合のうち、少なくとも1つである場合、最小満充電容量の算出を停止する。
最小満充電容量は、式(2)に基づいて算出される。組電池B1の均等化後差分SOCが所定値γ以下である場合、均等化後差分SOCに含まれ誤差の影響が大きくなって最小満充電容量の精度が低下してしまう。そのため、組電池B1の均等化後差分SOCが所定値γ以下である場合に、最小満充電容量の算出を停止することで、最小満充電容量の精度低下を抑えることができる。また、充放電時間が所定時間δ以上である場合、電流センサ11のオフセット誤差の影響が大きくなって積算電流量の精度が低下し、それに伴って最小満充電容量の精度も低下してしまう。そのため、充放電時間が所定時間δ以上である場合に、最小満充電容量の算出を停止することで、積算電流量の精度低下に伴う最小満充電容量の精度低下を抑えることができる。さらに、電圧センサ10及び電流センサ11の少なくとも1つが異常である場合、OCVや積算電流量の信頼性が低下し、それに伴って最小満充電容量の信頼性も低下してしまう。そのため、電圧センサ10及び電流センサ11の少なくとも1つが異常である場合に、最小満充電容量の算出を停止することで、最小満充電容量の信頼性低下を抑えることができる。
本実施形態によれば、満充電容量算出装置14は、満充電容量記憶部146に記憶されている前回算出した補正された最小満充電容量と最小満充電容量算出部が今回算出した最小満充電容量から、所定計算式に基づいて補正された最小満充電容量を算出する満充電容量補正部145を有している。
最小満充電容量は、誤差を有している。前回算出した最小満充電容量と今回算出した最小満充電容量で含まれる誤差が大きく変動する可能性がある。しかし、満充電容量補正部145が、満充電容量記憶部146に記憶されている前回算出した補正された最小満充電容量と最小満充電容量算出部が今回算出した最小満充電容量から、所定計算式に基づいて補正された最小満充電容量を算出する。そのため、最小満充電容量に含まれる誤差による影響を抑えることができる。
本実施形態によれば、満充電容量補正部145は、組電池B1の均等化後差分SOCが所定値γ以下である場合、充放電時間が所定時間δ以上である場合、電圧センサ及び電流センサの少なくとも1つが異常である場合のうち、少なくとも1つである場合、補正された最小満充電容量の算出を停止する。
前述したように、組電池B1の均等化後差分SOCが所定値γ以下である場合、充放電時間が所定時間δ以上である場合、電圧センサ及び電流センサの少なくとも1つが異常である場合のうち、少なくとも1つである場合、最小満充電容量の精度や信頼性が低下してしまう。そのため、組電池B1の均等化後差分SOCが所定値γ以下である場合、充放電時間が所定時間δ以上である場合、電圧センサ及び電流センサの少なくとも1つが異常である場合のうち、少なくとも1つである場合に、補正された最小満充電容量の算出を停止することで、補正された最小満充電容量の精度低下や信頼性低下を抑えることができる。
本実施形態によれば、満充電容量算出部144は、組電池B1の充放電前SOCと、組電池B1の充放電後OCVに基づいてSOC算出部140が算出した組電池B1の充電放電後SOCと、積算電流量とに基づいて平均満充電容量を算出する。
最小満充電容量は、均等化後SOCに基づいて算出されるため、均等化後に算出される。均等化に必要な時間は、各々の電池セルC10〜C14の状態によって変化する。均等化にかかる時間が長くなると、最小満充電容量の算出までの時間が長くなる。均等化が完了して最小満充電容量が算出される前に始動スイッチがオンされて組電池B1が使用されるような場合、また、このような状況が何度も続いた場合、ずっと最小満充電容量は算出されず、更新もされない。その結果、最小満充電容量に基づいて制御を行うような場合、制御に悪影響を与える可能性がある。しかし、平均満充電容量は、組電池B1の充放電後SOCに基づいて算出される。そのため、平均満充電容量は、最小満充電容量より早く算出される。しかも、平均満充電容量は最小満充電容量より大きいが、大幅に異なる可能性は低い。従って、平均満充電容量を算出することで、長期にわたって最小満充電容量が算出されていない場合、最小満充電容量の代わりに平均満充電容量を用いることできるようになる。その結果、最小満充電容量の算出遅れに伴う悪影響を抑えることができる。
本実施形態によれば、満充電容量算出部144は、組電池B1の充放電後差分SOCが所定値γ以下である場合、充放電時間が所定時間δ以上である場合、電圧センサ10及び電流センサ11の少なくとも1つが異常である場合のうち、少なくとも1つである場合、平均満充電容量の算出を停止する。
平均満充電容量は、式(1)に基づいて算出される。組電池B1の充放電後差分SOCが所定値γ以下である場合、充放電後差分SOCに含まれる誤差の影響が大きくなって平均満充電容量の精度が低下してしまう。そのため、組電池B1の充放電後差分SOCが所定値γ以下である場合に、平均満充電容量の算出を停止することで、平均満充電容量の精度低下を抑えることができる。また、充放電時間が所定時間δ以上である場合、電流センサ11のオフセット誤差の影響が大きくなって積算電流量の精度が低下し、それに伴って平均満充電容量の精度も低下してしまう。そのため、充放電時間が所定時間δ以上である場合に、平均満充電容量の算出を停止することで、積算電流量の精度低下に伴う平均満充電容量の精度低下を抑えることができる。さらに、電圧センサ10及び電流センサ11の少なくとも1つが異常である場合、OCVや積算電流量の信頼性が低下し、それに伴って平均満充電容量の信頼性も低下してしまう。そのため、電圧センサ10及び電流センサ11の少なくとも1つが異常である場合に、平均満充電容量の算出を停止することで、平均満充電容量の信頼性低下を抑えることができる。
本実施形態によれば、満充電容量補正部145は、満充電容量記憶部146に記憶されている前回算出した補正された平均満充電容量と平均満充電容量算出部が今回算出した平均満充電容量から、所定計算式に基づいて補正された平均満充電容量を算出する。
平均満充電容量は、誤差を有している。前回算出した平均満充電容量と今回算出した平均満充電容量で含まれる誤差が大きく変動する可能性がある。しかし、満充電容量補正部145が、満充電容量記憶部146に記憶されている前回算出した補正された平均満充電容量と平均満充電容量算出部が今回算出した平均満充電容量から、所定計算式に基づいて補正された平均満充電容量を算出する。そのため、平均満充電容量に含まれる誤差による影響を抑えることができる。
本実施形態によれば、満充電容量補正部145は、組電池B1の充放電後差分SOCが所定値γ以下である場合、充放電時間が所定時間δ以上である場合、電圧センサ及び電流センサの少なくとも1つが異常である場合のうち、少なくとも1つである場合、補正された平均満充電容量の算出を停止する。
前述したように、組電池B1の充放電後差分SOCが所定値γ以下である場合、充放電時間が所定時間δ以上である場合、電圧センサ10及び電流センサ11の少なくとも1つが異常である場合のうち、少なくとも1つである場合、平均満充電容量の精度や信頼性が低下してしまう。そのため、組電池B1の充放電後差分SOCが所定値γ以下である場合、充放電時間が所定時間δ以上である場合、電圧センサ10及び電流センサ11の少なくとも1つが異常である場合のうち、少なくとも1つである場合に、補正された平均満充電容量の算出を停止することで、補正された平均満充電容量の精度低下や信頼性低下を抑えることができる。
なお、本実施形態では、組電池B1が直列接続された5つの電池セルC10〜C14で構成されている例を挙げているが、これに限られるものではない。組電池は、直列接続された複数の電池セルで構成されていればよい。
本実施形態では、満充電容量算出部144に、補正された平均満充電容量を算出するためのなまし定数k1と、補正された最小満充電容量を算出するためのなまし定数k2が別々に設定されている例を挙げているが、これに限られるものではない。なまし定数k1、k2は、同一の値であってもよいし、別々の値であってもよい。また、状況に応じて値を可変させてもよい。
本実施形態では、満充電容量補正部145が、式(3)及び式(4)に基づいて補正された平均満充電容量及び補正された最小満充電容量を算出する例を挙げているが、これに限られるものではない。別の所定計算式に基づいて算出するようにしてもよい。