JP6640640B2 - 金型およびそれを用いる繊維強化樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

金型およびそれを用いる繊維強化樹脂成形品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂系材料の成形に好適な金型およびそれを用いた繊維強化樹脂成形品の製造方法に関する。
近年、機械分野において、マトリクス樹脂と、炭素繊維などの強化繊維を含む、いわゆる繊維強化樹脂材が注目されている。これら繊維強化樹脂材はマトリクス樹脂内で繊維が分散されているため、引張弾性率や引張強度、耐衝撃性などに優れており、自動車等の構造部材などへの使用が検討されている。中でも、マトリクス樹脂が熱可塑性樹脂である繊維強化樹脂材、つまり繊維強化熱可塑性樹脂材は、マトリクス樹脂が熱硬化性樹脂の繊維強化樹脂材と比較して、成形サイクルが短いなどの点で量産性に優れるため、数多くの分野で検討されている。
繊維強化樹脂材を、射出成形、圧縮成形等の様々な成形方法にて成形することにより、大小を問わず様々な構造部材を高い生産性で生産することができる。成形方法のうち、圧縮成形は、繊維長が長めの強化繊維を含む繊維強化樹脂成形品を効率よく生産することに適しており、特に、コールドプレス成形は、際立って成形サイクルが短く、強化繊維とマトリクスとしての熱可塑性樹脂とを含み、意匠性に優れる複雑な3次元形状を有する成形品を効率的に生産するのに好適である。
例えば、特許文献1には、繊維強化樹脂材における強化繊維が面内方向に2次元配向して等方性を有し、かつ強化繊維が特定範囲の強化繊維束を含んだものである繊維強化樹脂材を圧縮成形することにより、薄肉、軽量、高剛性で意匠性に優れ、複雑な3次元形状を有する成形品を高い生産性にて生産する方法が開示されている。
一方、工業的に物品を大量生産するにおいて、様々な要因により突発的に品質変動が起きることは珍しくなく、例えば、樹脂系材料の成形品の生産においては、材料分解物の装置内への残留や蓄積が成形品外観へ影響を与えることが挙げられる。
特許文献2では、繊維強化樹脂材を金型キャビティ内に配置して行うコールドプレス成形において良外観の成形体を得る手段として、例えば樹脂のガラス転移温度以上に設定した金型温度をコールドプレス中にガラス転移温度付近まで下げる手段が提案されている。この手段によって、成形品表面の外観はより平滑になり、加えて寸法も良くなるが、金型温度を成形サイクルに合わせて上下させるためには金型冷却と金型加熱を迅速に行うための大掛かりな設備が必要となり、かつ成形サイクルがコールドプレス成形にしては長くなるため、産業上の観点からはやや魅力に劣る。
特許文献3では、繊維強化樹脂材を金型キャビティ内に配置するコールドプレス成形おいて、上型と下型とを型閉めした後に真空引きし成形する方法が提案されている。しかしながら、この方法では金型キャビティ全体を真空引きする必要があり、真空引きが終了しないと成形できないことから成形サイクルが極めて長くなり、産業上好ましくない。さらにガス流路の口が繊維強化樹脂材を配置しない金型表面に設置されているため、繊維強化樹脂材と金型が接する部分で閉じ込められる空気やガスを十分に排出することができなくなるため、複雑形状の成形品の製造に充分に対応しているとは言い難い。
特許文献4では、射出成形においてはガス抜きコアピンをガス逃げに連通させる方法が提案されている。しかし、この手法はガス腐食によりガスベントの口が広がるときにガス抜きコアピンの交換で済ますという射出成形金型のメンテナンス性の向上を対象にしたものであり、射出成形の装置の特徴に依拠した発明であってコールドプレス成形へは適用し難い。
特許文献5では、特定粘度のポリフェニレンサルファイド樹脂に強化繊維を配合し、金型のガス流路の口に発生するバリの長さを抑制する方法が提案されている。しかし、この手法は特定の組成の樹脂組成物の使用により、通常の射出成形でバリの発生を抑制するものであり、コールドプレス成形へ適用することは考えられておらず、更に、射出圧力を制限する旨が記載されていることから、複雑形状の成形品の成形性の点で大きな制限がある。
以上より、コールドプレス成形で良外観な繊維強化樹脂成形品を得る方法には看過できない課題が残されている。
米国特許公開第2013/0344282号公報 特開2013−103481号公報 特開2002−361665号公報 特開2011−235622号公報 特開2004−161947号公報
本発明者らは、繊維強化樹脂材をコールドプレス成形して得られる幾つもの繊維強化樹脂成形品の外観を入念に観察し、用途によっては外観を悪化させる形状として問題になる部分を有する繊維強化樹脂成形品が時折あることに気がついた。それらの部分の代表的なものは、表面に泡が弾けたような不規則形状の部分や、コーナー部付近に不均一に盛り上がった凹凸の不規則形状の部分である。これら不規則形状による外観不良を解消させる方法のひとつは、金型内の空気や成形中に成形材料から発生するガスを排出することができるガス流路を有する金型を用いて成形を行うことであるが、当該方法では成形時にガス流路の口から繊維強化樹脂材が流入し、長いバリが発生し、より顕著な外観不良が起きうることを本発明者らは見出した。更に本発明者らは、樹脂系材料、特に繊維強化樹脂材のコールドプレス成形について以下のとおり考察した。
コールドプレス成形においては、金型キャビティ内に配置した繊維強化樹脂材の表面と金型表面との間には不均一な空間が生じる。この不均一な空間には空気や熱可塑性樹脂から発生するガスが存在する。型締および加圧によりこれらのガスは圧縮され、金型の隙間から金型外へ排出されるか、繊維強化樹脂成形品に溶け込むかの挙動をとるが、コールドプレス成形の場合は繊維強化樹脂を内包した略閉空間が形成されるため、ガスは繊維強化樹脂成形品に多量に溶け込んでしまう。成形サイクルが終わると成形品取り出しのため金型の上型と下型が開くが、そのタイミングで繊維強化樹脂成形品に溶け込んだガスが圧抜きにより体積膨張し、繊維強化樹脂成形品の表面近傍のガスは表面の樹脂層を突き破り泡が弾けたような外観不良を起こし、繊維強化樹脂成形品の中心付近のガスはガス流路の口を作り、表面に凹凸を生じさせるようになる。これらの不良を解決する手段として、コールドプレス成形時の繊維強化樹脂材の温度や金型温度を下げ、ガスの体積膨張による繊維強化樹脂材の変形を起こさないようにすることが考えられるが、繊維強化樹脂材の温度や金型温度を下げることは繊維強化樹脂材の成形性を低下させるため、薄肉・複雑形状の繊維強化樹脂成形品の製造には対応できない手段であると言える。
繊維強化樹脂材を内包した気密空間からガスを排出する手段としては、射出成形でよく用いられるように、繊維強化樹脂材が金型キャビティ内を流動するときの流動末端部にガス流路を設置する方法がある。しかしながら、コールドプレス成形の場合、流動末端部だけでなく、繊維強化樹脂材が金型キャビティに強く押し付けられて冷却が進んだ部分や、流速が落ちるコーナー部も流動末端になりうるため、流動末端が多くなり、ガス流路を効果的に設置された金型を設計および作成することが困難である。また、ガス流路の口を金型キャビティに設置すると、コールドプレス成形において、可塑状態となった繊維強化樹脂材がガス流路へ流入してバリとなり、そのバリが長めのもので、成形品の外観を著しく悪化させたり、バリが折れて異物となり成形品の品質低下の原因となったりすることがある。
上記のような考察を経て、本発明者らは、前記のような従来技術では、コールドプレス成形に関する諸課題は解決され難いと考え、鋭意検討を進め、特定の構成の金型によってそれら課題が解決されることを想到し本発明を完成させた。すなわち、本発明の目的は、外観性に優れる繊維強化樹脂成形品が得られる金型および、当該金型による繊維強化樹脂成形品の製造方法を提供することである。ここでいう外観性に優れるとは、成形品の外観に関し、所定の領域で泡が弾けたような外観不良やコーナー部付近に不均一に盛り上がった凹凸が少なく、バリが短いことを意味する。
本発明者は、外観に優れる繊維強化樹脂成形品を得るには、特定のガス流路が設けられた金型を用い、かつ、好ましくは低せん断速度領域で粘度が高くなる繊維強化樹脂材を成形材料として用いて成形を行えばよいと着想し、鋭意検討し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下を要旨とする。
上型と下型とを有する金型であって、コールドプレス成形に用いられ、
上型および下型のうちの少なくともいずれかの動作により、成形材料を内包可能な略閉空間が形成される構造を有し、
上型と下型との型締めにより形成される成形キャビティは、基準面と、基準面に45°以上のコーナー角を形成して連なる立ち面を少なくとも1つ有し、
以下a)〜c)を同時に満たすガス流路があることを特徴とする金型(溶融状態の樹脂材料が、ゲートを通じて下型の型面上に分配供給されるものを除く)
a)ガス流路は、上型キャビティ面または下型キャビティ面から、上型または下型を貫通して、上型または下型の非キャビティ面に通じており、上型および下型のうちの少なくともいずれかの動作により、略閉空間が形成された際に、ガス流路が、略閉空間から成形型外部に通じている構造となる。
b)上型キャビティ面または下型キャビティ面におけるガス流路の口は、成形材料が配置される金型表面に設けられ、少なくともその一部の幅が1〜100μmである。
c)上型キャビティ面または下型キャビティ面において、基準面と立ち面との境界部から、ガス流路の口までの沿面距離が100mm以下である。
本発明には、以下の発明も包含される。
重量平均繊維長が1mm〜100mmの強化繊維と、マトリクス樹脂としての熱可塑性樹脂とを含み、動的粘弾性測定における周波数10rad/secの粘度に対する周波数1rad/secの粘度の比が2以上である繊維強化樹脂材を可塑状態にしたものを、成形材料として用いて、
上記の金型において、上型および下型のうちの少なくともいずれかの動作により、成形材料を内包した略閉空間を形成せしめ、
更に、上型と下型とを型締めしてコールドプレス成形する操作を含む、
基準面と、基準面に45°以上のコーナー角を形成して連なる立ち面を少なくとも1つ有する形状の繊維強化樹脂成形品の製造方法。
本発明の金型を用いて、マトリクス樹脂が熱可塑性樹脂である繊維強化樹脂材をコールドプレス成形することにより、コールドプレス成形本来の高い生産性を損なうことなく、極めて優れた外観性を有する繊維強化樹脂成形品を製造することができる。
実施例1〜7、比較例1〜5で使用した金型の組図である。この金型は、長手方向に垂直の断面、つまり横断面がダブルハット形の成形キャビティを有し、当該キャビティに対応する形状の成形品を得る為のものである。 実施例1、実施例3〜6および比較例1で使用した金型の上型の上面図(図2(a))および断面図(図2(b))である。上型におけるガス流路の位置、形状が本図により示されている。金型の成形キャビティにおいて、基準面に対するコーナー角は85°である。 実施例2および実施例7で使用した金型の上型の上面図である。上型におけるガス流路の位置、形状が本図により示されている 比較例2で使用した金型の上型の上面図である。上型におけるガス流路の位置、形状が本図により示されている。 実施例1〜7および比較例1〜3で使用した金型の下型の上面図(図5(a))および断面図(図5(b))である。 実施例8〜9、比較例5で使用した金型の組図である。この金型は、X方向、Y方向の長さが等しく、横断面が(シングル)ハット形の成形キャビティを有し、当該成形キャビティに対応する形状の成形品を得る為のものである。 実施例8で使用した金型の上型の上面図(図7(a))および断面図(図7(b))である。上型におけるガス流路の位置が本図により示されている。金型の成形キャビティにおいて、基準面に対するコーナー角は70°である。 実施例9で使用した金型の上型の上面図である。上型におけるガス流路の位置、形状が本図により示されている。 実施例10で使用した金型の上型の上面図である。上型におけるガス流路の位置が本図により示されている。 実施例4〜6で使用した排気システムの概要を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態について順次説明する。本発明に関して、簡便の為、「繊維強化熱可塑性樹脂」を「繊維強化樹脂」、「繊維強化樹脂成形品」を「成形品」と略称している場合がある。便宜上、質量を重量と表記している場合がある。図面における各箇所の寸法の数値は特に記載が無い限りmm単位の値である。
(金型)
本発明の金型は上型と下型とを有する金型であって、上型および下型のうちの少なくともいずれかの動作(以下、金型動作と略することがある)により、繊維強化樹脂材を内包可能な略閉空間が形成される構造を有し、
上型と下型との型締めにより形成される成形キャビティは、基準面と、基準面に45°以上のコーナー角を形成して連なる立ち面を少なくとも1つ有し、
以下a)〜c)を同時に満たすガス流路があることを特徴とする。
a)ガス流路は、上型キャビティ面または下型キャビティ面から、上型または下型を貫通して、上型または下型の非キャビティ面に通じており、上型および下型のうちの少なくともいずれかの動作により、略閉空間が形成された際に、ガス流路が、略閉空間から金型外部に通じている構造となる。
b)上型キャビティ面または下型キャビティ面におけるガス流路の口は、少なくともその一部の幅が1〜100μmである。
c)上型キャビティ面または下型キャビティ面において、基準面と立ち面との境界部から、ガス流路の口までの沿面距離が100mm以下である。
本発明の金型は樹脂系成形材料の圧縮成形、特に、熱可塑性樹脂系成形材料のコールドプレス成形に好適である。圧縮成形による成形品の製造に本発明の金型を用いる際、上型および下型のうちの少なくともいずれかの動作としては、上型を下型に向けて動かす、下型を上型に向けて動かす、上型と下型の双方を互いに向かって動かす等の動作が挙げられる。
本発明における略閉空間とは、金型動作によって起こる、例えば、
・金型動作開始から上型と下型との型締めの前に、上型または下型のどちらか一方に設置されたシャーが対面するもう一方に接触して封止部となる、
・上型または下型に設置されたシリコン、PTFE、ウレタンまたはポリイミドからなるパッキンが対面するもう一方に接触して封止部となる、
・金型に設置した繊維強化樹脂材を耐熱樹脂製フィルムや耐熱樹脂製バックで覆い上型と接触することで封止部となる、
・金型のシャー構造の外側にバネを内蔵した嵌合構造を設置し嵌合部が合わさることで封止部となる、
などの作用にて形成される空間であって、成形材料が金型に配置されている場合ならば、金型を開放する操作無しには、成形材料を当該空間から取り出し難い空間である。
本発明の金型における略閉空間は、気密構造でなくても良いが、ガス流路の口に設けられた開閉式の蓋や、ガス流路中に設けられた弁の動作などによりガス流路を封鎖するなどして気密構造としてもよい。
本発明の金型は、上型と下型との型締め完了の前に略閉空間が形成される構造を有するものであると好ましい。これは、当該構造により、樹脂系成形材料が完全に金型面に押し付けられる前に円滑に樹脂系材料周辺の排気を行うことができ好ましいからである。
本発明の金型は上型と下型との型締めにより形成される成形キャビティを有し、成形キャビティは基準面と、基準面に45°以上のコーナー角を形成して連なる立ち面を少なくとも1つ有する。ここでいう基準面とはコーナー角を形成して連なる立ち面と対をなす面を指す。基準面は、成形キャビティにおいて、金型を用いた成形によって得られる成形品の底面や天面に対応する箇所であると、金型が作成し易いものとなり好ましい。
コールドプレス成形の場合、コーナー角の部分(基準面と立ち面部との境界部)はそれに連なる面に比べて流速が落ち流動末端となる場合があり、その傾向はコーナー角が45°以上になると顕著になる。コーナー角が45°未満である場合、コーナー角の部分(基準面と立ち面部との境界部)を超えた流動が起きやすくなるため流動末端とはなり難く、成形品の外観上の問題が起き難くなる。ここでいうコーナー角とは、例えば、ハット形状、コルゲート形状、波形状もしくはディンプル形状等におけるコーナー部分の角度の角度である。コーナー角の上限は特に制限されないが、あえて設けるなら、成形のし易さや、得られる成形品の用途の程度などからコーナー角は150°以下であると好ましく、120°以下であるとより好ましく、90°以下であると更に好ましい。
本発明の金型に関して、立ち面とは、成形キャビティにおいて、基準面に45°以上のコーナー角を形成して連なる面のことを言い、基準面1つについても少なくとも1つの立ち面がある。立ち面は、成形キャビティにおいて、金型を用いた成形によって得られる成形品の側面、壁面に対応する箇所であると、金型が作成し易いものとなり好ましい。
コーナー角は、図2(b)の上型断面図や図6(b)の下型断面図にて示されるとおり、成形キャビティを構成する上型キャビティや下型キャビティにおいて、基準面と立ち面とが成す角部である。コーナー角の角度の数値は、金型を横断面で見て、キャビティの基準面の表面の主要部を含むように引いた線をxy座標系のx軸とし、基準面と立ち面との境界部をx軸とy軸とが交わる原点とし、原点から金型外側へのx軸の方向を0度方向、原点からキャビティ中央へのx軸の方向を180度方向とする定義に基づいて表わされる。
成形キャビティが直方体形状などの場合、基準面と立ち面とが成す角部の頂点を、基準面と立ち面との境界部と見做すことができ、角部が丸みを帯びている成形キャビティの場合は、前記の金型を横断面におけるxy座標系の定義に基づき、キャビティの立ち面の表面を含むように引いた線がx軸と交わる点をコーナー角の頂点および、ガス流路との沿面距離の端となる境界部とすることができる。
本発明の金型に関して、成形キャビティとは、上型と下型との型締めが完了し、上型と下型とで形成される空間を言い、目的とする成形品形状に対応する形状を有する。成形キャビティの容積は、目的とする成形品の体積にほぼ等しい。上型において成形キャビティの形成に寄与する面を上型キャビティ面といい、下型キャビティ面も同様に定義される。金型の非キャビティ面とは上型や下型においてキャビティ面以外の面をいい、金型の外側の面も含む。
(ガス流路)
本発明の金型では、ガス流路が、上型キャビティ面または下型キャビティ面から、上型または下型を貫通して、上型または下型の非キャビティ面に通じており、上型および下型のうちの少なくともいずれかの動作により、略閉空間が形成された際に、ガス流路が、略閉空間から金型外部に通じている構造となる。ガス流路が通じている上型または下型の非キャビティ面は金型の外表面の一部であると金型の構造が簡素となって良いが、可能であれば、金型の外表面の一部ではないところが非キャビティ面である構造の金型でもよい。
ガス流路の形状としては上型または下型をトンネル状の空間が貫通しているものを例示することができ、直線状でも曲がっていてもよく、太さが異なる部位があっても良く、分岐していてもよい。ガス流路の横断面の形状は特段制限されず、略円形、略半円形、略楕円形、略多角形、不定形などでよく、ガス流路の部位によって横断面形状が異なっていてもよい。
本発明の金型の上型キャビティ面または下型キャビティ面におけるガス流路の開口部、つまり口はガス流路が金型の成形キャビティ表面に通じたものであり、コールドプレス成形などの圧縮成形時に金型内に留まる空気やガスを金型の外へ排出するのに好適であり、更には金型外部から略閉空間や成形キャビティへガスを送り込むことにも利用できる。
ガス流路の口の形状は、ガス流路の特定の部位の横断面形状と同じ形状でも良いが、欧断面形状とは口径や形状が異なるスリット状、円状、ポーラス状などであってもよく、これらを単独に用いても複数組み合わせて用いても差し支えない。ガス流路の口としてスリット状のものを金型表面に設けるには、具体的には、ガス流路の口を設けたい部分を入れ子にする、金型表面にマシニングや放電加工、もしくはケミカルエッチング等でスリット状の模様を形成することが挙げられる。スリット状のスリット本数は1本でも複数本でも良く、スリット同士が交差しても差し支えない。円状のガス流路の口を金型表面に設けるには、具体的には、エジェクターピン等の金型表面に露出する円柱状のピンを金型に設置することが挙げられる。ポーラス状のガス流路の口を金型表面に設けるには、具体的には、焼結金属等の多孔質金属をガス流路の口を設けたい部分に入れ子として設置することが挙げられる。
上型キャビティ面または下型キャビティ面におけるガス流路の口は、強化繊維材などの成形材料を配置する金型表面に設けられるものである。その為、本発明の金型を用いて成形材料を成形すると、強化繊維基材と金型が接する部分で閉じ込められる空気やガスを十分に排出することができ、優れた外観の成形品を得ることができる。また、ガス流路の口は金型の下型と上型のどちらか一方もしくは両方に設置されるが、ガス流路の口の設置による外観改善効果や、金型構造上の制約を鑑み、適宜選択される。
本発明の金型において、ガス流路の体積は、金型を用いた成形により得られる成形品体積、つまり成形キャビティ容積の5倍以下が好ましく、4倍以下が更に好ましく、3倍以下が特に好ましい。ガス流路の体積が製品体積(成形キャビティ容積)の5倍以下であると、充分な排気速度を維持でき、ガス流路による成形品外観改善の効果が出やすくなる。ガス流路の口を金型の外へ接続するガス流路の幅はガス流路の口の幅より2倍以上大きいことが好ましく、3倍以上大きいことが更に好ましく、5倍以上大きいことが特に好ましい。
本発明の金型の上型キャビティ面または下型キャビティ面におけるガス流路の口の幅は、その少なくとも一部の幅が1〜100μmであり、3〜80μmが好ましく、特に5〜70μmが好ましい。ガス流路の口の幅が1μm未満であると金型内から金型外への空気やガスの排気効果が薄れ外観向上効果が得られなくなり、100μmを超えるとガス流路の口に入り込む強化繊維基材が多くなるため所謂バリが目立つようになり、外観を著しく悪化させるため好ましくない。ガス流路の口の幅が上型または下型のキャビティ面において面方向に長い溝状の形状であると好ましく、溝状の形状の幅はほぼ等しいものであるとの好ましい。
本発明の金型において、上型キャビティ面または下型キャビティ面におけるガス流路の口と基準面と立ち面との境界部との沿面距離は100mm以下である。この沿面距離は、ガス排気による外観向上効果を高めるため80mm以下であると更に好ましく、特に好ましくは50mm以下である。ガス流路の口と基準面と立ち面との境界部との沿面距離が100mmを超えるとガス排気効果が薄れ外観向上効果が得られなくなる。
(補助溝)
本発明の金型において、ガス流路の口は、金型を用いた成形により得られる成形品の外観の向上効果を更に高める目的で、補助溝を有していても良い。補助溝はコストアップや金型構造上の制約となるガス流路の口を必要最低限に抑えるための手段である。
補助溝の形状は特に限定されず、ガス流路の口が溝状形状のものであれば、それからより細かい溝が分岐するように設けられても良く、口が円形であれば口から放射状に伸びるように設けられても良い。補助溝はブラスト処理、放電処理、ケミカルエッチング処理等の公知の手段を用いて金型のキャビティ面のガス流路口に設けることが可能である。補助溝の深さは10〜500μmが好ましく、より好ましくは20〜400μm、特に好ましくは30〜300μmである。補助溝の深さが10μmを下回ると、補助溝による外観の向上効果が得られなくなり、補助溝の深さが500μmを超えると、補助溝に入り込む強化繊維基材が多くなるためバリが目立つようになり、外観を著しく悪化させるため好ましくない。
(繊維強化樹脂成形品の製造方法)
本発明の金型は、樹脂系材料を成形することによる樹脂系成形品の製造に好適である。特に、本発明の金型は、後に示されるような繊維強化樹脂材を圧縮成形、特にコールドプレス成形することにより繊維強化樹脂成形品の製造方法に好適である。
本発明には、重量平均繊維長が1mm〜100mmの強化繊維と、マトリクス樹脂としての熱可塑性樹脂とを含み、動的粘弾性測定における周波数10rad/secの粘度に対する周波数1rad/secの粘度の比が2以上である繊維強化樹脂材を可塑状態にしたものを、成形材料として用いて、
上記の金型において、上型および下型のうちの少なくともいずれかの動作により、成形材料を内包した略閉空間を形成せしめ、
更に上型と下型とを型締めしてコールドプレス成形する操作を含む、
基準面と、基準面に45°以上のコーナー角を形成して連なる立ち面を少なくとも1つ有する形状の繊維強化樹脂成形品の製造方法の発明も包含される。
コールドプレス成形などの圧縮成形では、繊維強化樹脂材中の強化繊維の折損が起こりにくく、生産性、成形材料の等方性が維持されやすい点で好ましく、成形直前に加熱されて可塑状態にある繊維強化樹脂材を、当該繊維強化樹脂材の可塑化温度未満に調節された金型に配置し型締めする操作を含む製造方法により成形品を得る成形方法である。繊維強化樹脂材を加熱する方法としては、熱風加熱機、赤外線加熱機などが用いられる。
コールドプレス成形について具体的に例示すると以下のとおりである:繊維強化樹脂材をそのマトリクスである熱可塑性樹脂の軟化温度+30℃以上の可塑化温度に加熱して可塑状態にした後、上型と下型との対で構成され、前記熱可塑性樹脂の軟化温度以下の温度に調整された金型内に配置して型締めして加圧し、冷却され固化した成形品を型開きして取り出す。
コールドプレス成形において、繊維強化樹脂材を加熱して可塑状態にする温度(加熱温度)は、加熱による熱分解を抑制しつつ薄肉・複雑形状に対応するための成形性を確保するため、一定範囲にあることが好ましい。具体的には、繊維強化樹脂材の熱分解速度が0.03〜0.2重量%/秒の範囲が好ましく、0.05〜0.15重量%/秒の範囲であることが特に好ましい。加熱温度が当該範囲内であると、マトリクス樹脂が充分に溶融・可塑化されて薄肉・複雑形状の成形がしやすく、かつ、熱可塑性樹脂の分解があまり進まず好ましい。熱分解速度は熱重量示差熱分析(TG−DTA)にて測定できる。測定サンプルは予め絶乾状態にし、水分の悪影響を避けるように測定する。
上記のコールドプレス成形において、加圧条件としてはプレス圧が0.1〜20MPaであると好ましく、0.2〜15MPaであるとより好ましく、さらに0.5〜10MPaであるとより一層好ましい。プレス圧が0.1MPa以上であると、繊維強化樹脂材を十分に押し切れるので、スプリングバックなどが発生しにくく素材強度の低下が起き難い。また圧力が20MPa以下であると、例えば繊維強化樹脂材が大きい場合でも、きわめて大きい特殊なプレス機ではなくより一般的なプレス機でプレス成形が可能な場合が多く、経済的に好ましい。
加圧中の金型内の温度、つまり型締め時の金型温度としては、熱可塑性樹脂材のガラス転移温度より10℃以上高いことが好ましい。この場合、金型キャビティの表面形状を繊維強化樹脂成形品により均一転写できるようになる。特に繊維強化樹脂材の重量平均繊維長が1〜100mmである場合、強化繊維が長く金型キャビティの表面形状の転写を阻害するため、加圧中の金型内の温度は熱可塑性樹脂材のガラス転移温度より20℃高いことが更に好ましい。加圧後の金型内の温度の上限温度としては、熱可塑性樹脂材のガラス転移温度種類によるが、溶融した熱可塑性樹脂材が冷却されて固化し、繊維強化樹脂成形品が形作られるために、熱可塑性樹脂材のマトリクスである熱可塑性樹脂の軟化温度より20℃以下の温度であることが好ましい。本発明について樹脂の軟化温度とは、結晶性熱可塑性樹脂については結晶溶解温度、いわゆる融点であり、非晶性熱可塑性樹脂についてはガラス転移点温度である。加圧中の金型内温度と加圧後の金型内温度は、所望の繊維強化樹脂成形品が形成されるのであれば同一でも異なってもよく、異なっている場合には、公知の技術、例えばヒートアンドクール成形技術や金型急速加熱冷却技術を用いても良く、金型の加熱や冷却の手法やレベルは特に制限されることはない。
(繊維強化樹脂成形品)
本発明の製造方法により得られる繊維強化樹脂成形品は、基準面と、基準面に45°以上のコーナー角を形成して連なる立ち面を少なくとも1つ有する形状のものである。当該形状は、前記の本発明の金型の成形キャビティの形状に起因するものであり、基準面、コーナー角、立ち面の好ましい形状や寸法は、金型の成形キャビティの基準面などについて述べたとおりである。
繊維強化樹脂成形品は、成形において、他の強化繊維、樹脂や添加剤を添加しない限り、成形材料である繊維強化樹脂材と同じ組成となることは言うまでもない。強化繊維が後述のような特定の態様である繊維強化樹脂材を成形に用いると、繊維強化樹脂材における強化繊維の配向状態や構成単繊維数、繊維長などがそのまま維持された成形品が得られる。
(排気)
本発明の繊維強化樹脂成形品の製造方法は、金型のガス流路に排気装置が接続されており、金型に成形材料を内包した略閉空間が形成される前後のタイミングに、成形キャビティの容積(dm)に対する排気速度(dm/min)の比が10(min−1)以上となる条件にて、上型と下型との間の空間、略閉空間、または成形キャビティから排気を行うものであると好ましい。ここで、「上型と下型との間の空間」とは、略閉空間を形成する為の上型および下型のうちの少なくともいずれかの動作の開始後、かつ、略閉空間が形成される前の、上型と下型との間の空間を言い、準略閉空間ということもできる。
成形キャビティからの排気は、成形キャビティの容積(つまりは製品体積)に対する該排気速度の比(以下、排気速度比と略することがある)が10(min−1)以上であると十分な排気速度が得られ、成形品の外観改善効果が十分なものとなり好ましく、排気速度比は50(min−1)以上であると更に好ましく、特に好ましくは100(min−1)以上である。排気速度比の上限は、特に限定されないが、あえて設けるなら50000(min−1)以下であると好ましく、10000(min−1)以下であるとより好ましく、5000(min−1)以下であると更に好ましく、2000以下であると特に好ましい。
金型のガス流路への排気装置の接続は、上型または下型の非キャビティ面におけるガス流路口について行うことができるが、特に限定されず、円滑に排気を行える他の接続方法があれば、それらを採用して良い。
金型ガス流路に排気装置を接続する場合の接続径や接続長さ、および、該金型のタッチ面積やタッチ力、ならびにタッチ箇所の材質は、製品体積に対する該排気速度の比が本発明の範囲であれば適宜選択できる。本発明の排気に用いられる排気装置は、製品体積に対する該排気速度の比が本発明の範囲であれば特に限定するものではないが、代表的なものは真空ポンプであり、例えば、油回転ポンプ、エジェクターポンプ、揺動ピストン型真空ポンプ、回転翼型ドライ真空ポンプ、クロール型ドライ真空ポンプ、油拡散ポンプ、メカニカルブースターポンプ等が挙げられ、これらを単独でも複数組み合わせて使用しても良く、排気速度を更に高める目的でこれらポンプにて真空にした真空タンクをガス流路との間に接続しても構わない。ここでいう真空ポンプは減圧ポンプの意味であり、特に高い真空度の達成が可能なポンプに限定されない。
(排気のタイミング)
本発明の繊維強化樹脂成形品の製造方法は、排気のタイミングが、上型と下型がタッチしてから等、金型に成形材料を内包した略閉空間が形成されてから、0.1秒以内であることが好ましく、0.05秒以内であることがより好ましく、0.01秒以内であることがガス排気による外観向上効果を高めるため、特に好ましい。排気のタイミングが上記のとおり0.1秒以内であると金型に触れている繊維強化樹脂材の表面温度があまり低下せず、繊維強化樹脂材の内部に閉じ込められた空気やガスを排気することが容易になり、成形品の外観改善効果が十分になる。
(繊維強化樹脂材)
本発明で使用する成形材料としての繊維強化樹脂材は、強化繊維とマトリクス樹脂である熱可塑性樹脂とを含む。
繊維強化樹脂材におけるマトリクス樹脂である熱可塑性樹脂の存在量は、熱可塑性樹脂の種類や強化繊維の種類等に応じて適宜決定することができるものであり、特に限定されるものでは無いが、通常、強化繊維100重量部に対して3重量部〜1000重量部の範囲内が好ましい。繊維強化樹脂材における強化繊維100重量部あたりの熱可塑性樹脂の存在量としてより好ましくは30重量部〜200重量部、更に好ましくは30重量部〜150重量部である。マトリクス樹脂が強化繊維100重量部に対し3重量部以上であると含浸が十分に進みドライの強化繊維が少なくなる傾向にあり好ましい。また1000重量部以下であると強化繊維の量が充分で構造材料として適切になることが多く好ましい。本発明の繊維強化樹脂成形品や繊維強化樹脂材において、強化繊維100重量部当たりの熱可塑性樹脂の存在量が異なる部位がある場合、繊維強化樹脂成形品など全体で上記の重量部範囲に該当するものであると好ましい。なお、本発明に関して重量との表記を便宜上用いているが、正確にいうと質量である。
繊維強化樹脂材における強化繊維の配向状態としては、例えば、強化繊維の長軸方向が一方向に配向した一方向配向や、上記長軸方向が繊維強化樹脂材の面内方向においてランダムに配向した2次元ランダム配向を挙げることができる。
本発明における強化繊維の配向状態は、上記一方向配向又は2次元ランダム配向のいずれであってもよい。また、上記一方向配向と2次元ランダム配向の中間の無規則配向(強化繊維の長軸方向が完全に一方向に配向しておらず、かつ完全にランダムでない配向状態)であってもよい。さらに、強化繊維の繊維長によっては、強化繊維の長軸方向が繊維強化樹脂材の面内方向に対して角度を有するように配向していてもよく、繊維が綿状に絡み合うように配向していてもよく、さらには繊維が平織や綾織などの二方向織物、多軸織物、不織布、マット、ニット、組紐、強化繊維を抄紙した紙等のように配向していてもよい。
本発明における強化繊維マットとは、強化繊維が堆積し、または絡みあうなどしてマット状になったものをいう。強化繊維マットとしては、強化繊維の長軸方向が繊維強化樹脂成形品の面内方向においてランダムに配向した2次元ランダム強化繊維マットや、強化繊維が綿状に絡み合うなどして、強化繊維の長軸方向がXYZの各方向においてランダムに配向している3次元ランダム強化繊維マットが例示される。
本発明における等方性基材とは繊維強化樹脂材の態様の1つであり、強化繊維マットに、熱可塑性樹脂が含まれるものをいう。本発明における等方性基材において、強化繊維マットに熱可塑性樹脂が含まれる態様としては、例えば、強化繊維マット内に粉末状、繊維状、または塊状の熱可塑性樹脂が含まれる態様や強化繊維マットに熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂層が搭載または積層された態様を挙げることができる。
本発明に用いられる繊維強化樹脂材においては、1枚の繊維強化樹脂材中に、異なる配向状態の強化繊維が含まれていてもよい。
繊維強化樹脂材中に異なる配向状態の強化繊維が含まれる態様としては、例えば、(i)繊維強化樹脂材の面内方向に配向状態が異なる強化繊維が配置されている態様、(ii)繊維強化樹脂材の厚み方向に配向状態が異なる強化繊維が配置されている態様を挙げることができる。また、繊維強化樹脂材が複数の層からなる積層構造を有する場合には、(iii)各層に含まれる強化繊維の配向状態が異なる態様を挙げることができる。さらに、上記(i)〜(iii)の各態様を複合した態様も挙げることができる。
なお、繊維強化樹脂材内における強化繊維の配向態様は、例えば、繊維強化樹脂材の任意の方向、及びこれと直行する方向を基準とする引張試験を行い、引張弾性率を測定した後、測定した引張弾性率の値のうち大きいものを小さいもので割った比(Eδ)を測定することで確認できる。弾性率の比が1に近いほど、強化繊維が等方的に配向していると評価できる。直交する2方向の弾性率の値のうち大きいものを小さいもので割った比が2を超えないときに等方性であるとされ、この比が1.5未満であると等方性が優れているとされ、この比が1.3を超えないときは特に等方性に優れていると評価される。
繊維強化樹脂材における強化繊維の目付量は、特に限定されるものではないが、通常、下限値は25g/m〜10000g/m以下とされる。繊維強化樹脂材をプレス成形して繊維強化樹脂成形品を製造する際、特に強化繊維や成形材料の追加がされなければ、繊維強化樹脂材における強化繊維の目付量を、得られる繊維強化樹脂成形品における強化繊維の目付量とみなすことができる。
本発明に用いられる繊維強化樹脂材の厚みは特に限定されるものではないが、通常、0.01mm〜100mmの範囲内が好ましく、0.01mm〜5mmの範囲内が好ましく、1mm〜5mmの範囲内がより好ましい。
なお、本発明に用いられる繊維強化樹脂材が複数の層が積層された構成を有する場合、上記厚みは各層の厚みを指すのではなく、各層の厚みを合計した繊維強化樹脂材全体の厚みを指すものとする。
本発明に用いられる繊維強化樹脂材は、単一の層からなる単層構造を有するものであってもよく、又は複数層が積層された積層構造を有するものであってもよい。
繊維強化樹脂材が上記積層構造を有する態様としては、同一の組成を有する複数の層が積層された態様であってもよく、又は互いに異なる組成を有する複数の層が積層された態様であってもよい。
また、繊維強化樹脂材が上記積層構造を有する態様としては、相互に強化繊維の配向状態が異なる層が積層された態様であってもよい。このような態様としては、例えば、強化繊維が一方向配向している層と、2次元ランダム配向している層を積層する態様を挙げることができる。
3層以上が積層される場合には、任意のコア層と、当該コア層の表裏面上に積層されたスキン層とからなるサンドイッチ構造としてもよい。
(繊維強化樹脂材の動的粘弾性)
本発明の繊維強化樹脂成形品の製造方法に用いられる繊維強化樹脂材は、その動的粘弾性測定における周波数10rad/secの粘度に対する周波数1rad/secの粘度の比(本発明に関し、単に粘度比と称されることがある)が2以上であることが肝要である。該粘度比が2以上であると、繊維強化樹脂成形品に発生するバリを抑制することができ、外観に優れた繊維強化樹脂成形品を得ることができる。該粘度比は好ましくは2.5以上であり、更に好ましくは3以上である。該粘度比の上限は特に限定されないが、敢えて設定するなら該粘度比は100以下であると好ましく、50以下であるとより好ましく10以下であると更に好ましく、5以下であると特に好ましい。該粘度比は、同じ単位で表された、周波数10rad/secの粘度および周波数1rad/secの粘度から求められることは言うまでもない。
本発明に用いられる繊維強化樹脂材の粘度は、所望形状の繊維強化樹脂成形品を得るため適宜調整されるものであり、本発明の粘度比を満足すれば特に定めるものではないが、10rad/secのとき10〜10Pa・secの範囲であり、かつ1rad/secのとき10〜10Pa・secの範囲であることが望ましい。この範囲内であれば一般的な加圧性能の圧縮成形機で容易に圧縮成形を行い良品質の成形品を得ることができる。
(強化繊維)
本発明の繊維強化樹脂成形品や繊維強化樹脂材に含まれる強化繊維として好ましいものは炭素繊維であるが、マトリクス樹脂の種類や繊維強化樹脂材の用途等に応じて、炭素繊維以外の無機繊維又は有機繊維のいずれも用いることができる。
上記炭素繊維以外の無機繊維としては、例えば、活性炭繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、タングステンカーバイド繊維、シリコンカーバイド繊維(炭化ケイ素繊維)、セラミックス繊維、アルミナ繊維、天然繊維、玄武岩などの鉱物繊維、ボロン繊維、窒化ホウ素繊維、炭化ホウ素繊維、及び金属繊維等を挙げることができる。
上記金属繊維としては、例えば、アルミニウム繊維、銅繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維を挙げることができる。
上記ガラス繊維としては、Eガラス、Cガラス、Sガラス、Dガラス、Tガラス、石英ガラス繊維、ホウケイ酸ガラス繊維等からなるものを挙げることができる。
上記有機繊維としては、例えば、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリアリレート等の樹脂材料からなる繊維を挙げることができる。
本発明の繊維強化樹脂成形品や繊維強化樹脂材に含まれる強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、玄武岩繊維からなる群より選ばれる1つ以上の強化繊維であり、それらが後記の重量平均繊維長範囲にあるものであると更に好ましい。
本発明においては、2種類以上の強化繊維を併用してもよい。この場合、複数種の無機繊維を併用してもよく、複数種の有機繊維を併用してもよく、無機繊維と有機繊維とを併用してもよい。
複数種の無機繊維を併用する態様としては、例えば、炭素繊維と金属繊維とを併用する態様、炭素繊維とガラス繊維を併用する態様等を挙げることができる。一方、複数種の有機繊維を併用する態様としては、例えば、アラミド繊維と他の有機材料からなる繊維とを併用する態様等を挙げることができる。さらに、無機繊維と有機繊維を併用する態様としては、例えば、炭素繊維とアラミド繊維とを併用する態様を挙げることができる。
本発明においては、上記強化繊維として炭素繊維を用いる。炭素繊維は、軽量でありながら強度に優れた繊維強化樹脂材を得ることができるからである。
上記炭素繊維としては、一般的にポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、石油・石炭ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、リグニン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、気相成長系炭素繊維などが知られているが、本発明においてはこれらのいずれの炭素繊維であっても好適に用いることができる。
中でも、本発明においては引張強度に優れる点でポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維を用いることが好ましい。強化繊維としてPAN系炭素繊維を用いる場合、その引張弾性率は100GPa〜600GPaの範囲内であることが好ましく、200GPa〜500GPaの範囲内であることがより好ましく、230GPa〜450GPaの範囲内であることがさらに好ましい。また、引張強度は2000MPa〜10000MPaの範囲内であることが好ましく、3000MPa〜8000MPaの範囲内であることがより好ましい。
本発明に用いられる強化繊維は、マトリクス樹脂との密着性を向上させるため、表面にサイジング剤が付着しているものであってもよい。サイジング剤が付着している強化繊維を用いる場合、当該サイジング剤の種類は、強化繊維及びマトリクス樹脂の種類に応じて適宜選択することができるものであり、特に限定されるものではない。
強化繊維とマトリクス樹脂との密着強度は、ストランド引張せん断試験における強度が5MPa以上であることが望ましい。この強度は、マトリクス樹脂の選択に加え、例えば強化繊維が炭素繊維である場合、炭素繊維の表面酸素濃度比(O/C)を変更する方法や、炭素繊維にサイジング剤を付与して、炭素繊維とマトリクス樹脂との密着強度を高める方法などで改善することができる。
本発明は強化繊維の少なくとも一部が単繊維状の形状を成している時、その効果を顕著に見る事ができる。その一方、繊維強化樹脂材の流動性を確保するため、強化繊維の一部の形状が単繊維の束状物である事が好ましい。強化繊維は単繊維状でも単繊維束状でも構わないが、この両者を有している時、本発明の効果をより得ることができる。なお、単繊維束とは、数本以上の強化単繊維が束状に存在している事を意味する。単繊維束を形成する強化単繊維の本数として、好ましくは280本以上であり、より好ましくは600本以上である。
本発明に関する繊維強化樹脂成形品や繊維強化樹脂材に含まれる強化繊維の重量平均繊維長は1〜100mmである。この範囲にある時、繊維強化樹脂材の動的粘弾性は繊維支配となり、低せん断領域で粘度上昇するようになりバリが発生しにくくなるため、成形品の外観が良好となる。重量平均繊維長として好ましくは5mm〜100mmであり、より一層好ましくは10mm〜100mmである。
本発明に用いられる強化繊維としては、上記のとおり強度や寸法の等方性に優れる重量平均繊維長100mm以下の不連続繊維だけでなく、目的に応じて連続繊維を用いてもよい。
本発明においては繊維長が互いに異なる強化繊維を併用してもよい。換言すると、本発明に用いられる強化繊維は、平均繊維長に単一のピークを有するものであってもよく、あるいは複数のピークを有するものであってもよい。
強化繊維の平均繊維長は、例えば、繊維強化樹脂材から無作為に抽出した100本の繊維の繊維長を、ノギス等を用いて1mm単位まで測定し、下記式(m)および式(f)に基づいて求めることができる。繊維強化樹脂材からの強化繊維の抽出法は、例えば、繊維強化樹脂材に500℃×1時間程度の加熱処理を施し、炉内にて樹脂を除去することによって行うことができる。
個数平均繊維長Ln=ΣLi/j (m)
(ここで、Liは強化繊維の繊維長、jは強化繊維の本数である)
重量平均繊維長Lw=(ΣLi)/(ΣLi) (f)
なお、ロータリーカッターで切断した場合など、繊維長が一定長の場合は数平均繊維長を重量平均繊維長とみなせる。
本発明において個数平均繊維長、重量平均繊維長のいずれを採用しても構わないが、繊維強化樹脂材の物性をより正確に反映できるのは、重量平均繊維長である事が多い。
本発明に用いられる強化繊維の単繊維径は、強化繊維の種類に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。
強化繊維として炭素繊維が用られる場合、平均単繊維径は、通常、3μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、4μm〜12μmの範囲内であることがより好ましく、5μm〜8μmの範囲内であることがさらに好ましい。
一方、例えば強化繊維としてガラス繊維を用いる場合、平均単繊維径は、通常、3μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
ここで、上記平均単繊維径は、その名のとおり強化繊維の単繊維の直径を指すものであるが、強化繊維が単繊維の束状物である場合は、平均単繊維径を平均繊維径と略称することもある。
強化繊維の平均単繊維径は、例えば、JIS R7607(2000)に記載された方法によって測定することができる。
本発明に用いられる強化繊維は、その種類の関わらず単繊維状であってもよく、複数の単繊維が束状になったものであってもよい。
本発明に用いられる強化繊維は、単繊維状のもののみであってもよく、単繊維束状のもののみであってもよく、両者が混在していてもよい。ここで示す単繊維束とは2本以上の単繊維が集束剤や静電気力等により近接している事を示す。単繊維束状の強化繊維を用いる場合、各単繊維束を構成する単繊維の数は、各単繊維束においてほぼ均一であってもよく、あるいは異なっていてもよいが、強化繊維が単繊維数の異なる強化繊維単繊維束の混合物である繊維強化樹脂材は、成形性に優れ、前記の本発明の金型による繊維強化樹脂成形品の製造方法に極めて好適である。
本発明に用いられる強化繊維が単繊維束状である場合、各単繊維束を構成する単繊維の数は特に限定されるものではないが、通常、数本〜10万本の範囲内とされる。
一般的に、炭素繊維は、数千本〜数万本の単繊維が集合した単繊維束状となっている。強化繊維として炭素繊維などを用いる場合に、単繊維束状のまま使用すると、単繊維束の交絡部が局部的に厚くなり薄肉の繊維強化樹脂材を得ることが困難になる場合がある。このため、単繊維束状の強化繊維を用いる場合は、単繊維束を拡幅したり、又は開繊したりして使用するのが通常である。
単繊維束状の強化繊維を拡幅したり、又は開繊したりしたものを用いるなどにより、本発明に関する繊維強化樹脂材や繊維強化樹脂成形品における強化繊維は、下記式(1)
臨界単繊維数=600/D (1)
(ここでDは強化繊維の平均単繊維径(μm)である)
で定義する臨界単繊維数以上の本数の単繊維で構成される強化繊維(A)について、強化繊維全量に対する割合が20Vol%以上となる量であることが好ましく、30Vol%以上となる量であることがより好ましく、更に好ましくは40Vol%以上であり、特に好ましくは50Vol%以上となる量である。強化繊維(A)以外の強化繊維として、単繊維の状態または臨界単繊維数未満の本数の単繊維で構成される単繊維束、以下、強化繊維(B)と称する場合がある、が存在してもよい。本発明の強化繊維は、特定の単繊維数以上で構成される強化繊維(A)の厚みを低減させ、かつ強化繊維単位重量(g)当たりの強化繊維(A)の束数を特定の範囲とすることで繊維強化樹脂材の厚み斑を小さくできるため、成形することで薄肉でも機械物性に優れた繊維強化樹脂成形品を得ることが可能である。なお、本発明に関して、上記の臨界単繊維数を臨界単糸数、平均単繊維径を平均繊維径、強化繊維(A)を強化繊維束(A)と称することもある。
強化繊維全量に対する強化繊維(A)の量の割合が20Vol%以上であれば、本発明の繊維強化樹脂材を成形した際に、強化繊維体積含有率の高い繊維強化複合材料を得ることができ好ましい。一方、強化繊維(A)の量の割合の上限は99Vol%であることが好ましい。繊維全量に対する強化繊維(A)の量の割合が99Vol%以下であれば、繊維の目隙が大きくならず、機械強度に優れる複合材料を得ることができる。強化繊維全量に対する強化繊維(A)の量の割合はより好ましくは50Vol%以上99Vol%未満である。強化繊維全量に対する強化繊維(A)の量の割合の上限は、95Vol%以下がより好ましく、90Vol%以下が更に好ましい。
前記のとおり、強化繊維(A)は強化単繊維の束状物であるので、便宜上、強化繊維束(A)と称されることもある。同様に、強化繊維(A)の平均単繊維数が平均繊維数と略称されることがある。
(熱可塑性樹脂)
本発明の繊維強化樹脂成形品や繊維強化樹脂材においては、マトリクス樹脂として熱可塑性樹脂が含まれている。また、本発明においてはマトリクス樹脂として、熱可塑性樹脂を主成分とする範囲において、熱硬化性樹脂を併用してもよい。
上記熱可塑性樹脂は特に限定されるものではなく、繊維強化樹脂成形品の用途等に応じて所望の軟化温度を有するものを適宜選択して用いることができる。
上記熱可塑性樹脂としては、通常、軟化温度が180℃〜350℃の範囲内のものが用いられるが、これに限定されるものではない。本発明について熱可塑性樹脂の軟化温度とは、結晶性熱可塑性樹脂については結晶溶解温度、いわゆる融点であり、非晶性熱可塑性樹脂についてはガラス転移温度である。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、熱可塑性ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂(ポリオキシメチレン樹脂)、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、フッ素系樹脂、熱可塑性ポリベンゾイミダゾール樹脂等からなる群より選ばれる1種類以上のものを挙げることができる。
上記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等からなる群より選ばれる1種類以上のものを挙げることができる。
上記ポリスチレン樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)等からなる群より選ばれる1種類以上のものを挙げることができる。
上記ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド6樹脂(ナイロン6)、ポリアミド11樹脂(ナイロン11)、ポリアミド12樹脂(ナイロン12)、ポリアミド46樹脂(ナイロン46)、ポリアミド66樹脂(ナイロン66)、ポリアミド610樹脂(ナイロン610)等からなる群より選ばれる1種類以上のものを挙げることができる。
上記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ボリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、液晶ポリエステル等を挙げることができる。
上記(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレートを挙げることができる。
上記変性ポリフェニレンエーテル樹脂としては、例えば、変性ポリフェニレンエーテル等を挙げることができる。
上記熱可塑性ポリイミド樹脂としては、例えば、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等を挙げることができる。
上記ポリスルホン樹脂としては、例えば、変性ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等からなる群より選ばれる1種類以上のものを挙げることができる。
上記ポリエーテルケトン樹脂としては、例えば、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂からなる群より選ばれる1種類以上のものを挙げることができる。
上記フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等を挙げることができる。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂は1種類のみであってもよく、2種類以上であってもよい。2種類以上の熱可塑性樹脂を併用する態様としては、例えば、相互に軟化温度が異なる熱可塑性樹脂を併用する態様や、相互に平均分子量が異なる熱可塑性樹脂を併用する態様等を挙げることができるが、この限りではない。
(繊維強化樹脂材の製造方法)
本発明に用いられる繊維強化樹脂材は、公知の方法を用いて製造することができる。
マトリクス樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合は、例えば、1.強化繊維をカットする工程、2.カットされた強化繊維を開繊させる工程、3.開繊させた強化繊維と繊維状又は粒子状のマトリクス樹脂を混合し等方性基材とした後、これを加熱圧縮して熱可塑性樹脂の含浸をすすめ繊維強化樹脂材を得る工程により製造することができるが、この限りではない。
なお、等方性基材(2次元ランダム配向マットとも呼ばれる)や繊維強化樹脂材およびそれらの製造法については、米国特許第8946342号公報、米国特許公開第2015/0258762号公報、米国特許公開公報第2015−0152231号に詳しく記載されている。
例えば、複数の強化繊維からなるストランドを、必要に応じ強化繊維長方向に沿って連続的にスリットして幅0.05mm〜5mmの複数の細幅ストランドにした後、平均繊維長3mm〜100mmに連続的にカットし、カットした強化繊維に気体を吹付けてより小さい単繊維数の強化繊維へと開繊させた状態で、通気性コンベヤーネット等の上に層状に堆積させることによりマットを得ることができる。この際、粒体状もしくは短繊維状の熱可塑性樹脂を強化繊維とともに通気性コンベヤーネット上に堆積させるか、マット状の強化繊維層に溶融した熱可塑性樹脂を膜状に供給し浸透させることにより熱可塑性樹脂を包含する等方性基材を製造する方法により製造することもできる。
なお、強化繊維(A)中の単繊維数を制御するために、上述した好適な等方性基材の製造法において、カット工程に供する強化繊維の大きさ、例えば単繊維束としての強化繊維の幅や幅当りの単繊維数を調整することでコントロールすることができる。具体的には拡幅するなどして強化繊維の幅を広げてカット工程に供すること、カット工程の前にスリット工程を設ける方法が挙げられる。また強化繊維をカットと同時に、スリットしてもよい。
上述のような等方性基材を使用した繊維強化樹脂材は、その面内において、強化繊維が特定の方向に配向しておらず、無作為な方向に分散して配置されている。すなわち、この様な繊維強化樹脂材は面内等方性の材料である。互いに直交する2方向の引張弾性率の比を求めることで、繊維強化樹脂材の等方性を定量的に評価できる。
また、本発明の繊維強化樹脂成形品や、繊維強化樹脂材中には、本発明の目的を損なわない範囲で、有機繊維または無機繊維の各種繊維状または非繊維状のフィラー、難燃剤、耐UV剤、安定剤、離型剤、カーボンブラック、顔料、染料、軟化剤、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を含んでいてもよい。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。なお、本実施例における各値は、以下の方法に従って求めた。各実施例および比較例における、繊維強化樹脂材、金型、得られた成形品について表1〜2に示す。
1)繊維強化樹脂材の強化繊維体積割合(Vf)
繊維強化樹脂材を500℃×1時間、炉内にてマトリクス樹脂を燃焼除去し、処理前後の試料の質量を秤量することによって強化繊維分とマトリクス樹脂の質量を算出した。次に、各成分の比重を用いて強化繊維とマトリクス樹脂の体積を算出し、下記式(u)に従って繊維強化樹脂材の強化繊維体積割合(Vf)を百分率にて算出した。
Vf(%)=100×強化繊維体積/(強化繊維体積+熱可塑性樹脂体積) (u)
2)繊維強化樹脂材の臨界単繊維数、強化繊維全量のうちの強化繊維(A)の量の割合、および強化繊維長
米国特許第8946342号公報に記載の方法に準じて実施した。
3)繊維強化樹脂材の粘弾性特性の測定、粘度比の算出
下の装置
・装置:TAインスツルメンツ社製ARES−G2
・温度:235℃
・固定治具:25mmφパラレルプレート
・測定モード:周波数掃引
・ギャップ:1.5mm
・周波数:0.1〜100rad/sec
・歪み:5%
4)繊維強化樹脂材の熱分解速度
絶乾処理した繊維強化樹脂材を用い、空気雰囲気下の昇温速度5℃/minでTG−DTA測定を行い、各温度での熱分解速度を算出した。
5)金型
表1および表2に示すとおりのガス流路の口タイプ、ガス流路の口幅、沿面距離、成形キャビティ形状(成形品形状)および成形キャビティ容積(成形品体積)となる金型を用いた。なお、実施例1、実施例3〜6および比較例1〜3のガス流路の口の配置や形状を示したものを図1、実施例2および実施例7のガス流路の口の配置や形状を示したものを図2、実施例8のガス流路の口の配置や形状を示したものを図3、実施例9のガス流路の口の配置や形状を示したものを図4、実施例10のガス流路の口の配置や形状を示したものを図5に示す。
6)排気
表1および表2に示す排気速度、成形キャビティ容積に対する該排気速度の比および排気タイミングとなるよう、排気装置として真空ポンプを含む排気システムを用いて、真空ポンプを金型のガス流路に接続して実施例4〜7にて排気操作を行った。当該実施例似て用いて排気システムの概要を示したものを図6に示す。実施例4〜7以外の実施例および比較例は排気システムを用いない大気開放である。
7)金型温度
成形に用いた金型温調機の加圧中の返媒温度を記載した。
8)繊維強化樹脂成形品のバリ高さ
本発明の繊維強化樹脂成形品のバリ高さは、キーエンス製キーエンス製ビデオマイクロスコープ(VHX−1000)を用いて測定倍率600倍にて深度合成測定し、最もバリ高さが高い数値を繊維強化樹脂成形品のバリ高さとした。
9)繊維強化樹脂成形品の悪化外観面積%
繊維強化樹脂成形品の表面を目視で観察し、該成形品表面に存在する泡が弾けたような外観不良部のすべてとコーナー部付近に不均一に盛り上がった凹凸部のすべてを各々囲うようにホワイトペンで記載し、悪化外観を囲う図形を該成形品表面に描いた。描いた図形の最も長い最長対角線を測定し、その対角線に直交する直交対角線を測定し、最長対角線と直交対角線の積を悪化外観面積とし、すべての図形の面積を積算し、ガス流路の口が存在しコーナー角45°以上のコーナー部で囲まれた面積とのパーセンテージを繊維強化樹脂成形品の悪化外観面積%とした。
10)繊維強化樹脂成形品の成形性
フルショットした場合を○(良好)、ショートショットした場合を×(不良)として判定した。
(繊維強化樹脂材の製造)
[製造例1]
強化繊維として、東邦テナックス社製のPAN系炭素繊維“テナックス”(登録商標)STS40−24KS(平均単繊維径7μm、単繊維数24000本)をナイロン系サイジング剤処理したものを使用し、マトリクス樹脂として、ユニチカ社製のナイロン6樹脂A1030を用いて、米国特許公開公報第2015−0152231号に記載された方法に準拠し、炭素繊維目付1441g/m、ナイロン6樹脂目付1704g/mである、面内等方的に重量平均繊維長が30mmの炭素繊維が2次元ランダム配向した等方性基材を作成した。 得られた等方性基材を、上部に凹部を有する金型を用いて260℃に加熱したプレス装置にて、2.0MPaにて5分間加熱し、厚さ2.3mmの強化繊維体積割合(Vf)=35%、粘度比3で、強化繊維が2次元ランダム配向した繊維強化樹脂材を得た。
繊維強化樹脂材に含まれる強化繊維の重量平均繊維長は30mmであり、臨界単繊維数は86本であり、強化繊維全量のうち、臨界単繊維数以上の本数の炭素単繊維からなる強化繊維(A)の割合は85vol%であった。繊維強化樹脂材中の、強化繊維(A)以外の強化繊維として、臨界単繊維数未満の本数の炭素単繊維からなる束、および単繊維状の炭素繊維も存在した。強化繊維(A)、臨界単繊維数未満の本数の炭素単繊維からなる束のいずれも、単繊維数が異なる炭素繊維の混合物であった。
[製造例2]
米国特許公開第2015/0191583号の記載に基づき、以下のとおり繊維強化樹脂材を得た。
含浸助剤として、p−ヒドロキシ安息香酸2−ヘキシルデシルエステル(花王株式会社製のエキセパールHD−PB)を用い、これを不揮発分12重量%にエマルジョン化した溶液内に、炭素繊維としてPAN系炭素繊維ストランド(東邦テナックス社製STS40 24K相当、単繊維直径7.0μm、単繊維本数 24000本、引張強度4000MPa)を通過させた後、炭素繊維に過剰に付着した溶液を、ニップロールにて取り除いた。更に、この含浸助剤が付着した炭素繊維を180℃に加熱された熱風乾燥炉内を2分間かけて通過させることにより乾燥させ、易含浸炭素繊維を得た。この易含浸炭素繊維を200℃に加熱した直径60mmの2本の金属製ロールに沿わせ、再度の加熱処理を行い、炭素繊維に、含浸助剤がより均一に付着した易含浸炭素繊維とした。この易含浸炭素繊維の含浸助剤に含有量は6重量%(炭素繊維100重量部あたり6.4重量部)であった。
次に、上記で得られた易含浸炭素繊維を、出口径3mmの電線被覆用クロスヘッドダイを用いて、ユニチカ社製のナイロン6樹脂A1030で被覆し、これを長さ6mmに切断し、炭素繊維含有率が30質量%(炭素繊維100質量部あたり、ナイロン6が221質量部)、直径3.2mm、長さ6mmの、射出成形に適した芯鞘型ペレットである成形用材料を得た。この成形用材料を、日本製鋼所製110ton電動射出成形機(J110AD)を用い、シリンダー温度C1/C2/C3/C4/N=280℃/290℃/290℃/290℃/280℃(C1〜C4はキャビティ、Nはノズル)にて成形サイクル35秒で射出成形し、成形品製造用の200×200mm×厚み2.3mmで強化繊維体積割合(Vf)が21.4%、粘度比1.2の繊維強化樹脂材を得た。
[実施例1]
繊維強化樹脂材は製造例1のものを、金型は図1のものを用い(ガス流路容積は0.2dm)、加熱温度は300℃、金型温度は150℃であり、製品体積に対し80体積%となる繊維強化樹脂材を金型内に配置し、前記の製造方法の手順にて繊維強化樹脂成形品を製造した。加熱温度300℃であり、300℃空気雰囲気下での熱分解速度は0.09重量%/secである。その他詳細は前記および表1記載のとおりである。繊維強化樹脂材における強化繊維の目付、重量平均繊維長、強化繊維(A)量の割合、2次元ランダム配向性などの強化繊維の状態は、成形品においてもほぼ維持されていた。
また、キーエンス製ビデオマイクロスコープ(VHK−1000)を用い、測定倍率600倍で測定して得られたバリ高さの結果、ならびに目視観察および測定によって得られた悪化外観面積%は表1に示す。
得られた成形品の外観は良好であり、かつバリ高さが抑制された優れた繊維強化樹脂成形が得られた。
[比較例1]
繊維強化樹脂材として製造例2を用いたこと以外は、実施例1と同様に成形品の製造およびその評価を行った。加熱温度300℃であり、300℃空気雰囲気下での熱分解速度は0.15重量%/secであった。繊維強化樹脂材における強化繊維の目付、重量平均繊維長、強化繊維(A)量の割合、2次元ランダム配向性などの強化繊維の状態は、成形品においてもほぼ維持されており、得られたバリ高さと悪化外観面積%の結果は表1に示す。
得られた成形品のバリ長さが非常に長いため、悪化外観面積%は小さいものの外観判定は不合格であった。
[実施例2〜11、比較例2〜5]
実施例2〜11および比較例2〜5として、表1〜2や以下に記載のとおり一部条件を変更したほかは実施例1と同様に成形品の製造および評価を行った。繊維強化樹脂材における強化繊維の目付、重量平均繊維長、強化繊維(A)量の割合、2次元ランダム配向性などの強化繊維の状態は、成形品においてもほぼ維持されており、得られた成形品のバリ高さと悪化外観面積%の結果は表1〜2に示す。
実施例2は、ガス流路の口が補助溝を有している態様であり、バリ高さと悪化外観面積%が実施例1より小さく、優れた外観を有している。
実施例3は、実施例1よりガス流路の口の幅が狭い金型を用いて、繊維強化樹脂成形品の製造を行った態様であり、得られた成形品は、やや悪化外観面積%が実施例1より大きいものの50%以下の保っており、バリ高さが大幅に低減したため、実施例1と遜色ない外観を有している。
実施例4〜6は、実施例3において、排気システムをガス流路に接続した態様であり、得られた成形品は、実施例3に比べて悪化外観面積%が低くなり、実施例1より優れた外観を有している。
実施例7は、実施例4のガス流路の口に補助溝がある態様であり、得られた成形品は、実施例4に比べて悪化外観面積%が低くなり、実施例1より極めて優れた外観を有している。
比較例2は、ガス流路の口の幅が、本発明の発明特定事項である数値範囲を超える大きいものである態様であり、得られた成形品は、バリ高さが大きく、外観判定は不合格である。
比較例3は、ガス流路の口の沿面距離が、本発明の発明特定事項である数値範囲より小さいものである態様であり、得られた成形品は、悪化外観面積%が大きく、外観判定は不合格である。
比較例4は、ガス流路が無い金型を用いた他は実施例1と同様に操作を行った態様であり、得られた成形品は、バリはないが悪化面積%が大きく、外観判定は不合格である。
実施例8は、ガス流路の口の幅が40μmである市販のエジェクターピン(直径5mm)を用いた態様であり、得られた成形品は、優れた外観を有している。
実施例9は、実施例8のエジェクターピンが、更に補助溝を有している態様であり、得られた成形品は、実施例8より優れた外観を有している。
実施例10は、実施例8のエジェクターピンの先に多孔質金属を取り付け、幅が20μmであるガス流路の口としたものであり、得られた成形品は、優れた外観を有している。
実施例11は加熱温度を260℃とした他は実施例1と同様に成形品を製造した態様である。260℃空気雰囲気下での熱分解速度は0.02重量%/秒であった。実施例11で得られた成形品は実施例1のものに比べバリ高さと悪化外観面積%が小さく、優れた外観を有しているが、ショートショットとなり、成形性に劣る結果であった。
比較例5は加熱温度を260℃とした他は比較例4と同様に成形品を製造した態様である。比較例5はガス流路が無いため、得られた成形品は、悪化外観面積%が高く、外観判定は不合格である。またショートショットとなり、成形性にも劣る。
Figure 0006640640
Figure 0006640640
本発明の金型やそれを用いた繊維強化樹脂成形品の製造方法は、自動車の構造部材等の提供に極めて有用である。
1.上型
2.下型
3.シャー
4.略閉空間
5.ガス流路の口
6.ガス流路
7.補助溝
8.基準面に対するコーナー角
9.ガス流路の口となるエジェクターピン
10.ガス流路の口となる多孔質金属
11.電磁弁
12.デジタル真空計
13.真空タンク
14.真空ポンプ
15.コントローラー
16.基準面
17.立ち面

Claims (3)

  1. 上型と下型とを有する金型であって、コールドプレス成形に用いられ、
    上型および下型のうちの少なくともいずれかの動作により、成形材料を内包可能な略閉空間が形成される構造を有し、
    上型と下型との型締めにより形成される成形キャビティは、基準面と、基準面に45°以上のコーナー角を形成して連なる立ち面を少なくとも1つ有し、
    以下a)〜c)を同時に満たすガス流路があることを特徴とする金型(溶融状態の樹脂材料が、ゲートを通じて下型の型面上に分配供給されるものを除く)
    a)ガス流路は、上型キャビティ面または下型キャビティ面から、上型または下型を貫通して、上型または下型の非キャビティ面に通じており、上型および下型のうちの少なくともいずれかの動作により、略閉空間が形成された際に、ガス流路が、略閉空間から金型外部に通じている構造となる。
    b)上型キャビティ面または下型キャビティ面におけるガス流路の口は、成形材料が配置される金型表面に設けられ、少なくともその一部の幅が1〜100μmである。
    c)上型キャビティ面または下型キャビティ面において、基準面と立ち面との境界部から、ガス流路の口までの沿面距離が100mm以下である。
  2. 上型および下型のうちの少なくともいずれかの動作による、上型と下型とによる型締め完了より前に、成形材料を内包可能な略閉空間が形成される構造を有する請求項1に記載の金型。
  3. 上型キャビティ面または下型キャビティ面におけるガス流路の口が、深さ10〜500μmの補助溝を有する請求項1または2に記載の金型。
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