JP6638356B2 - ハイブリッド車両の制御方法及び制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、登坂路発進の際、駆動輪のタイヤスリップ状態が検出されると、モータ使用スリップ走行モード(「MWSCモード」)の選択を許可しないハイブリッド車両の制御方法及び制御装置に関する。
従来、登坂路発進の際、駆動輪のタイヤスリップ状態が検出されると、第1クラッチを解放すると共に第2クラッチをスリップ締結し、第2クラッチを介して伝達される駆動力で走行するMWSCモードの選択を禁止する。そして、MWSCモードの選択を禁止した際、第2クラッチ温度が閾値温度以上になる、或いは、車体速度が所定速度以上になると、MWSCモードの選択禁止を解除するハイブリッド車両の制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−86782号公報
しかしながら、従来装置にあっては、MWSCモードの選択禁止の解除条件を、第2クラッチ温度条件と車体速度条件によって与えている。このため、MWSCモードの選択を禁止した際、第2クラッチ温度が上昇してゆき閾値温度以上になるまで待ってMWSCモードの選択禁止が解除される。或いは、MWSCモードの選択を禁止した際、車体速度が上昇してゆき所定速度以上になるまで待ってMWSCモードの選択禁止が解除される。したがって、登坂路発進の際、登坂路の路面摩擦係数が、単位時間当たりの発熱量が大きな高μ路である場合、MWSCモードの禁止を解除するタイミングが遅れてしまい、第2クラッチの発熱による温度上昇を許してしまう、という問題がある。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、高μ登坂路での発進の際、タイヤスリップ検出に基づきモータ使用スリップ走行モードの選択が許可されないとき、第2摩擦締結要素の発熱を防止するハイブリッド車両の制御方法及び制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、エンジンとモータの間に介装され、エンジンとモータとを断接する第1摩擦締結要素と、モータと駆動輪の間に介装され、モータと駆動輪とを断接する第2摩擦締結要素と、を備える。
走行モードとして、第1摩擦締結要素を締結すると共に第2摩擦締結要素をスリップ締結するエンジン使用スリップ走行モードと、第1摩擦締結要素を解放すると共に第2摩擦締結要素をスリップ締結し、モータ回転数制御により所定のスリップ量を維持しながら走行するモータ使用スリップ走行モードを有する。
このハイブリッド車両の制御方法において、モータ使用スリップ走行モードの選択による登坂路発進の際、駆動輪のタイヤスリップ状態が検出されると、モータ使用スリップ走行モードからエンジン使用スリップ走行モードへモード遷移する。エンジン使用スリップ走行モードの選択中に登坂路の路面摩擦係数を判定し、路面摩擦係数がタイヤグリップ性を有する高μ路であると判定されると、エンジン使用スリップ走行モードからモータ使用スリップ走行モードへモード遷移する。
よって、モータ使用スリップ走行モードの選択による登坂路発進の際、駆動輪のタイヤスリップ状態が検出されると、モータ使用スリップ走行モードからエンジン使用スリップ走行モードへモード遷移される。そして、エンジン使用スリップ走行モードの選択中に登坂路の路面摩擦係数が判定され、高μ路であると判定されると、エンジン使用スリップ走行モードからモータ使用スリップ走行モードへモード遷移される。
即ち、タイヤスリップ状態の検出は、登坂路の路面摩擦係数が、タイヤが滑りやすい低μ路のときに検出されるだけではなく、例えば、駆動輪の片輪側タイヤが空転すると、高μ路であってもタイヤスリップ状態であると検出される点に着目した。そこで、タイヤスリップ状態の検出に基づきモータ使用スリップ走行モードからエンジン使用スリップ走行モードへモード遷移されると、登坂路の路面摩擦係数が低μ路であるか高μ路であるかの切り分け判定をする。高μ路であると判定されると、エンジン使用スリップ走行モードからモータ使用スリップ走行モードへモード遷移される。つまり、第2摩擦締結要素温度や車体速にかかわらず、スリップ量の維持により単位時間当たりの発熱量を抑えるモータ使用スリップ走行モードの選択を許可する。
この結果、高μ登坂路での発進の際、タイヤスリップ検出に基づきモータ使用スリップ走行モードの選択が許可されないとき、第2摩擦締結要素の発熱を防止することができる。
実施例1の制御装置及び制御方法が適用されたFRハイブリッド車両のパワートレインを示すパワートレイン構成図である。 実施例1の制御装置及び制御方法が適用されたFRハイブリッド車両の制御システムを示す制御システム構成図である。 実施例1の制御装置及び制御方法が適用された統合コントローラを示す演算ブロック図である。 目標駆動トルク演算部での目標定常トルクとMGアシストトルクの演算に用いられるマップ図であり、(a)は目標定常トルクマップを示し、(b)はMGアシストトルクマップを示す。 モードマップ選択部での「通常モードマップ」と「MWSC対応モードマップ」の選択ロジックを表す概略図である。 モードマップのうち「通常モードマップ」の一例を示すマップ図である。 モードマップのうち「MWSC対応モードマップ」の一例を示すマップ図である。 「MWSC対応モードマップ」の選択時に「MWSCモード」の選択が許可されないときの「MWSC対応モードマップ」を示すマップ図である。 実施例1の統合コントローラにて実行されるモード選択制御処理の流れを示すフローチャートである。 通常時の「WSCモード」におけるエンジン回転数・モータジェネレータ回転数・出力軸回転数×1速ギヤ比の特性を示すタイムチャートである。 スリップ時の「WSCモード」におけるエンジン回転数・モータジェネレータ回転数・出力軸回転数×1速ギヤ比の特性を示すタイムチャートである。 通常時の「MWSCモード」におけるエンジン回転数・モータジェネレータ回転数・出力軸回転数×1速ギヤ比の特性を示すタイムチャートである。 スリップ時の「MWSCモード」におけるエンジン回転数・モータジェネレータ回転数・出力軸回転数×1速ギヤ比の特性を示すタイムチャートである。 「MWSCモード」の選択許可条件に高μ路判定条件が含まれない比較例において高μ登坂路を発進する際に「MWSCモード」→「WSCモード」へとモード遷移するときのブレーキ・アクセル・タイヤスリップフラグ・エンジン回転・モータ回転・CL1実トルク・CL1指令トルク・CL2締結トルク・CL2プレート温度の各特性を示すタイムチャートである。 「MWSCモード」の選択許可条件に高μ路判定条件が含まれる実施例1において高μ登坂路を発進する際に「MWSCモード」→「WSCモード」→「MWSCモード」へとモード遷移するときのブレーキ・アクセル・タイヤスリップフラグ・エンジン回転・モータ回転・CL1実トルク・CL1指令トルク・CL2締結トルク・CL2プレート温度の各特性を示すタイムチャートである。 低μ路の急勾配登坂路を発進する際に駆動輪がタイヤスリップ状態と検出される場合の一例を示す説明図である。 高μ路の急勾配登坂路を発進する際に駆動輪がタイヤスリップ状態と検出される場合の具体例(フル転舵状態)を示す説明図である。 高μ登坂路発進時にタイヤスリップ状態の検出に基づいて「WSCモード」が選択された後に「MWSCモード」へ移行するタイミングが異なる場合の第2クラッチ温度特性を示す比較特性図である。
以下、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
実施例1における制御方法及び制御装置は、1モータ・2クラッチ形式によるFRハイブリッド車両に適用したものである。以下、実施例1のFRハイブリッド車両の制御方法及び制御装置の構成を、「パワートレイン構成」、「制御システム構成」、「モード選択制御処理構成」に分けて説明する。
[パワートレイン構成]
図1は、実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両のパワートレインを示すパワートレイン構成図である。以下、図1に基づきパワートレイン構成を説明する。
実施例1のFRハイブリッド車両のパワートレインは、図1に示すように、エンジン1と、モータジェネレータ2(モータ)と、自動変速機3と、第1クラッチ4(第1摩擦締結要素)と、第2クラッチ5(第2摩擦締結要素)と、ディファレンシャルギア6と、タイヤ7,7(駆動輪)と、を備えている。即ち、エンジン1とモータジェネレータ2と第1クラッチ4と第2クラッチ5を備えた1モータ・2クラッチ形式によるパワートレイン構成である。
前記エンジン1(略称「Eng」)は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、その出力軸とモータジェネレータ2(略称「MG」)の入力軸とが、第1クラッチ4(略称「CL1」)を介して連結される。
前記第1クラッチ4は、エンジン1とモータジェネレータ2の間に介装され、エンジン1とモータジェネレータ2とを断接する摩擦締結要素であり、締結油圧を制御することによって伝達トルク容量が可変する。この第1クラッチ4としては、例えば、ダイアフラムスプリングによる付勢力を保ち、ピストンを有する油圧アクチュエータを用いたストローク制御により完全締結〜スリップ締結〜完全解放までが制御されるノーマルクローズの乾式単板クラッチが用いられる。
前記モータジェネレータ2は、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータであり、その出力軸と自動変速機3(略称「AT」)の入力軸とが連結される。このモータジェネレータ2は、駆動源であると共に、エンジン1の始動時に第1クラッチ4をスリップ締結させてエンジンクランキングを行うスタータモータ機能も兼用する。
前記第2クラッチ5(略称「CL2」)は、モータジェネレータ2とタイヤ7,7の間に介装され、モータジェネレータ2とタイヤ7,7とを断接する摩擦締結要素であり、締結油圧を制御することによって伝達トルク容量が可変する。この第2クラッチ5としては、例えば、比例ソレノイドで油流量及び油圧を連続的に制御できるノーマルオープンの湿式多板クラッチや湿式多板ブレーキが用いられる。
前記自動変速機3は、有段の変速段を車速やアクセル開度等に応じて自動的に切り替える有段変速機であり、その出力軸にディファレンシャルギア6を介してタイヤ7,7が連結される。なお、実施例1では、第2クラッチ5として、自動変速機3とは独立の専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機3の各変速段にて締結される複数の摩擦要素のうち、所定の条件に適合する摩擦要素(クラッチやブレーキ)を選択している。
前記自動変速機3の入力軸には、この入力軸により駆動される機械式オイルポンプ8が設けられている。そして、車両停止時等で機械式オイルポンプ8からの吐出圧が不足するとき、油圧低下を抑えるために電動モータにより駆動される電動サブオイルポンプ9がモータハウジング等に設けられている。
さらに、このパワートレインには、エンジン1の回転数を検出するエンジン回転センサ10と、モータジェネレータ2の回転数を検出するMG回転センサ11と、自動変速機3の入力軸回転数を検出するAT入力回転センサ12と、自動変速機3の出力軸回転数を検出するAT出力回転センサ13と、が設けられる。
このFRハイブリッド車両は、駆動形態の違いによる走行モードとして、電気自動車モード(以下、「EVモード」という。)と、ハイブリッド車モード(以下、「HEVモード」という。)と、エンジン使用スリップ走行モード(以下、「WSCモード」という。)と、モータ使用スリップ走行モード(以下、「MWSCモード」という。)と、を有する。
前記「EVモード」は、第1クラッチ4を解放状態とし、モータジェネレータ2の駆動力のみで走行するモードであり、モータ走行モード・回生走行モードを有する。この「EVモード」は、要求駆動力が低く、バッテリSOCが確保されているときに選択される。
前記「HEVモード」は、第1クラッチ4を締結状態として走行するモードであり、モータアシスト走行モード・エンジン発電走行モード・エンジン走行モードを有し、いずれかのモードにより走行する。なお、モータアシスト走行モードは、エンジン1とモータジェネレータ2の2つを駆動源として走行する。エンジン発電走行モードは、エンジン1を駆動源として走行すると同時に、エンジン1の動力を利用してモータジェネレータ2を発電機として動作させる。エンジン走行モードは、エンジン1の駆動力のみで走行する。この「HEVモード」は、要求駆動力が高いとき、あるいは、バッテリSOCが不足するようなときに選択される。
前記「WSCモード」は、第1クラッチ4を締結状態とし、モータジェネレータ2のモータ回転数制御により第2クラッチ5をスリップ締結させて走行するモードである。このとき、第2クラッチ5を経過するクラッチ伝達トルクが、車両状態や運転者操作に応じて決まる要求駆動トルクになるようにクラッチトルク容量をコントロールしながら走行する。この「WSCモード」は、「HEVモード」の選択状態での停車時・発進時・減速時等のように、エンジン回転数がアイドル回転数を下回るような走行領域において選択される。また、「WSCモード」では、特にバッテリSOCが低いときやエンジン水温が低いときであってもクリープ走行が達成可能である。
前記「MWSCモード」は、エンジン1を作動させたまま第1クラッチ4を解放し、第2クラッチ5をスリップ締結させて走行するモードである。この「MWSCモード」では、モータジェネレータ2のモータ回転数制御により、第2クラッチ5のスリップ量を所定の目標スリップ量に維持する。「MWSCモード」は、路面勾配が所定値以上の登坂路等で、運転者がアクセルペダルを調整し車両停止状態を維持するアクセルヒルホールド(ストール停車状態)が行われるような場合や登坂路を極低速で走行する登坂路発進時等において選択される。その理由は、エンジン1の回転数をアイドル回転数以下にすることができない停車〜発進領域において、「WSCモード」を選択すると、第2クラッチ5のスリップ量が過多の状態が継続されるおそれがあることによる。この「MWSCモード」では、モータジェネレータ2のみを駆動源として走行し、モータジェネレータ2の目標回転数をエンジン1のアイドル回転数よりも低い回転数に設定する。このとき、エンジン1は、アイドル回転数を目標回転数とするフィードバッグ制御に切り替える。
[制御システム構成]
図2は制御システム構成を示し、図3は統合コントローラ30の演算ブロックを示し、図4(a)は目標定常トルクマップを示し、図4(b)はMGアシストトルクマップを示す。図5はモードマップ選択部の選択ロジックを示し、図6は「通常モードマップ」を示し、図7は「MWSC対応モードマップ」を示し、図8は「MWSCモード」の選択が許可されないときの「MWSC対応モードマップ」を示す。以下、図2〜図8に基づいて制御システム構成を説明する。
実施例1の制御システムは、図2に示すように、統合コントローラ30と、エンジンコントローラ31と、モータコントローラ32と、サブポンプコントローラ33と、インバータ34と、バッテリ35と、CL1用ソレノイドバルブ14と、CL2用ソレノイドバルブ15と、アクセル開度センサ16と、Gセンサ17と、車輪速センサ18と、CL2温度センサ19と、電圧センサ20と、電流センサ21と、を備えている。
前記統合コントローラ30は、パワートレイン系の動作点を統合制御する。この統合コントローラ30では、アクセル開度APOと車速VSP(自動変速機の出力軸回転数に比例)とバッテリ充電状態SOC(バッテリ出力電圧及び出力電流から換算)と、に応じて、運転者が望む駆動力を実現できる走行モードを設定する。そして、エンジンコントローラ31に目標エンジントルクを指令し、モータコントローラ32に目標MGトルクもしくは目標MG回転数を指令し、サブポンプコントローラ33に所定の駆動信号を指令し、CL1用ソレノイドバルブ14及びCL2用ソレノイドバルブ15に所定の駆動信号を指令する。
前記エンジンコントローラ31は、エンジン1を制御する。モータコントローラ32は、モータジェネレータ2を制御する。サブポンプコントローラ33は、電動サブオイルポンプ9を駆動する電動モータを制御する。インバータ34は、モータジェネレータ2及び電動モータを駆動する。バッテリ35は、電気エネルギーを蓄える。
前記CL1用ソレノイドバルブ14は、第1クラッチ4の油圧を制御する。CL2用ソレノイドバルブ15は、第2クラッチ5の油圧を制御する。アクセル開度センサ16は、アクセル開度(APO)を検出する。Gセンサ17は、車両に作用する前後加速度を検出する。車輪速センサ18は、4輪の各車輪速を検出する。CL2温度センサ19は、第2クラッチ5の温度を検出する。電圧センサ20は、バッテリ35からの出力電圧を検出する。電流センサ21は、バッテリ35からの出力電流を検出する。
前記統合コントローラ30は、図3に示すように、目標駆動トルク演算部100と、モード選択部200と、目標発電出力演算部300と、動作点指令部400と、変速制御部500と、を備えている。
前記目標駆動トルク演算部100は、図4(a)に示す目標定常トルクマップと、図4(b)に
示すMGアシストトルクマップを用いて、アクセル開度APOと車速VSPから、目標定常トルクとMGアシストトルクを算出する。
前記モード選択部200は、路面勾配推定部201と、モードマップ選択部202を有し、選択されたモードマップ(図6、図7)を用いて、アクセル開度APOと車速VSPから、走行モードを演算する。路面勾配推定部201は、Gセンサ17の検出値と、車輪速センサ18の車輪速加速度平均値等から演算した実加速度との偏差から路面勾配を推定する。モードマップ選択部202は、路面勾配推定部201により推定された路面勾配に基づいて、所定のモードマップを選択する。モードマップとしては、「通常モードマップ(図6)」と、「MWSC対応モードマップ(図7)」と、を有する。
前記モードマップ選択部202は、図5に示すように、「通常モードマップ(図6)」が選択されている状態から推定勾配が所定値g2以上になると、「MWSC対応モードマップ」に選択を切り替える。一方、「MWSC対応モードマップ(図7)」が選択されている状態から推定勾配が所定値g1(<g2)未満になると、「通常モードマップ」に選択を切り替える。即ち、推定勾配に対してヒステリシスを設け、マップ切替時の制御ハンチングを防止する。
「通常モードマップ」は、図6に示すように、EV領域に存在する運転点(APO,VSP)が横切ると「HEVモード」へと切り替えるEV⇒HEV切替線と、HEV領域に存在する運転点(APO,VSP)が横切ると「EVモード」へと切り替えるHEV⇒EV切替線と、が設定されている。加えて、運転点(APO,VSP)が横切ると「HEVモード」と「WSCモード」を切り替えるHEV⇔WSC切替線が設定されている。
ここで、EV⇒HEV切替線とHEV⇒EV切替線は、EV領域とHEV領域を分ける線としてヒステリシス量を持たせて設定されている。但し、「EVモード」の選択中、バッテリSOCが所定値以下になると、強制的に「HEVモード」を目標走行モードとする。
また、HEV⇔WSC切替線は、自動変速機3が1速段のときに、エンジン1がアイドル回転数を維持する第1設定車速VSP1に沿って設定されている。但し、所定アクセル開度APO1以上の領域では、大きな駆動力を要求されることから、第1設定車速VSP1よりも高い第2設定車速VSP1’領域までWSC領域が設定されている。
即ち、アクセル開度APOが大きいときの要求を、アイドル回転数付近のエンジン回転数に対応したエンジントルクとモータトルクで達成するのは困難な場合がある。ここで、エンジントルクは、エンジン回転数が上昇すればより多くのトルクを出力できる。このことから、エンジン回転数を引上げてより大きなトルクを出力させれば、例え第1設定車速VSP1よりも高い車速まで「WSCモード」であっても、短時間で「WSCモード」から「HEVモード」に移行することができる。この場合が図6に示す第2設定車速VSP1’まで広げられたWSC領域である。
「MWSC対応モードマップ」は、図7に示すように、EV領域が設定されていない点において「通常モードマップ」とは異なる。このMWSCモードマップには、運転点(APO,VSP)が横切ると「HEVモード」と「WSCモード」を切り替えるHEV⇔WSC切替線と、運転点(APO,VSP)が横切ると「WSCモード」と「MWSCモード」を切り替えるWSC⇔MWSC切替線と、が設定されている。
ここで、WSC領域は、「通常モードマップ」と同じHEV⇔WSC切替線を境として設定されている。MWSC領域は、WSC領域内に設定されており、第1設定車速VSP1よりも低い第3設定車速VSP2と、所定アクセル開度APO1よりも高いアクセル開度APO2とで囲まれた領域となっている。なお、図7の「MWSC対応モードマップ」が選択されているとき、走行モードとして、「MWSCモード」の選択が不許可にされると、図8に示すように、MWSC領域が無くなり、HEV⇔WSC切替線のみが設定されたものになる。
前記目標発電出力演算部300は、図外の走行中発電要求出力マップを用いて、バッテリSOCから目標発電出力を演算する。また、現在の動作点から最適燃費線までエンジントルクを上げるために必要な出力を演算し、前記目標発電出力と比較して少ない出力を要求出力として、エンジン出力に加算する。
前記動作点指令部400では、アクセル開度APOと目標定常トルク,MGアシストトルクと目標走行モードと車速VSPと目標発電出力とを入力する。そして、これらの入力情報を動作点到達目標として、過渡的な目標エンジントルクと目標MGトルクと目標CL2トルク容量と目標ATシフトとCL1ソレノイド電流指令を演算する。
前記変速制御部500は、目標CL2トルク容量と目標ATシフトとから、これらを達成するように自動変速機3内のソレノイドバルブを駆動制御する。変速制御で用いられる図外の変速線マップを用い、車速VSPとアクセル開度APOから現在の変速段から次変速段を何にするか判定し、変速要求があれば変速クラッチを制御して変速させる。
[モード選択制御処理構成]
図9は、実施例1の統合コントローラ30にて実行されるモード選択制御処理の流れを示す。以下、モード選択制御処理構成をあらわす図9の各ステップについて説明する。なお、このモード選択制御処理は、図7に示す「MWSC対応モードマップ」が選択されている所定勾配以上の登坂路における停車時や発進時や走行中に開始される。
ステップS1では、タイヤ7,7(駆動輪)のタイヤスリップ状態が検出されたか否かを判断する。YES(タイヤスリップ検出)の場合にはステップS2へ移行し、NO(タイヤスリップ非検出)の場合にはステップS11へ移行する。
ここで、タイヤスリップ状態が検出されたか否かの判断は、例えば、車輪速センサ18によって検出された後輪側のタイヤ7,7における駆動輪速平均値と、前輪側の図外のタイヤにおける従動輪速平均値(車体速)との速度差ΔVに基づいて判断する。この速度差ΔVが所定値以上になったときには、車体速よりも駆動輪速平均値が上回ったとして、タイヤスリップ状態であると判断する。なお、タイヤスリップ状態の検出は、タイヤスリップ情報を用いる車載の他のコントローラ(例えば、トラクションコントローラ等)からのタイヤスリップフラグを入力し、タイヤスリップフラグが立っているとき(タイヤスリップフラグ=1)、タイヤスリップ状態であると判断するようにしても良い。
ステップS2では、ステップS1でのタイヤスリップ検出であるとの判断に続き、走行モードとして「MWSCモード」の選択を許可しない、つまり、「MWSCモード」の選択不許可とし、ステップS3へ進む。
ここで、タイヤスリップ検出と判定された際、運転点(APO,VSP)が「MWSCモード」を選択する位置に存在するときは、「MWSCモード」の選択が不許可であるため、解放していた第1クラッチ4を締結し、「MWSCモード」から「WSCモード」へ移行する。
ステップS3では、ステップS2での「MWSCモード」の選択不許可、或いは、ステップS8,S9でのNOとの判断、或いは、ステップS10での高μ路判定カウント値=0にする処理に続き、CL2温度センサ19により検出された第2クラッチ5の温度が閾値温度以上になったか否かを判断し、YES(第2クラッチ温度≧閾値温度)の場合にはステップS11へ進み、NO(第2クラッチ温度<閾値温度)の場合にはステップS4へ進む。
ここで、「閾値温度」は、第2クラッチ5の過熱保護制御が開始される過熱温度閾値よりも低温であるが、この閾値温度以上のままにしておくとクラッチ高温劣化に至ることが懸念される温度値に設定される。なお、第2クラッチ5の過熱保護制御は、第2クラッチ5の温度が過熱温度閾値になると開始され、クラッチ入力トルクを低減する制御(エンジントルクの低減等)や、クラッチ滑りを低減する制御(クラッチ解放、クラッチ完全締結)が行われる。即ち、第2クラッチ5の過熱保護制御が開始されると、エンジントルク制御やMGトルク制御やモード遷移制御等による走行性能よりもクラッチ過熱保護が優先される。このため、第2クラッチ5の過熱保護制御が開始されるシーンを、できる限り回避する必要がある。
ステップS4では、ステップS3での第2クラッチ温度<閾値温度であるとの判断に続き、車体速度(車速VSP)が所定速度以上であるか否かを判断する。YES(車体速度≧所定速度)の場合はステップS11へ進み、NO(車体速度<所定速度)の場合はステップS5へ進む。
ここで、「所定速度」は、急勾配登坂路での徐行車速よりも高い車速であり、例えば、駆動輪のタイヤ7,7が走行路面に対して十分にグリップして駆動力を伝達し、車両が加速走行状態に入ったと判定できる車速値に設定される。
ステップS5では、ステップS4での車体速度<所定速度であるとの判断に続き、駆動輪のタイヤ7,7が路面に対しグリップしているか否かを判断する。YES(タイヤグリップ状態)の場合はステップS6へ進み、NO(タイヤスリップ状態)の場合はステップS9へ進む。
ここで、タイヤ7,7が路面に対しグリップしているか否かの判断は、ステップS1と同様に、駆動輪速平均値と従動輪速平均値(車体速)との速度差ΔVに基づいて判断し、速度差ΔVが所定値未満であるときは、タイヤグリップ状態であると判断する。なお、タイヤグリップ状態の判断は、タイヤスリップ情報を用いる車載の他のコントローラ(例えば、トラクションコントローラ等)からのタイヤスリップフラグを入力し、タイヤスリップフラグが立っていないとき(タイヤスリップフラグ=0)、タイヤグリップ状態であると判断するようにしても良い。
ステップS6では、ステップS5でのタイヤグリップ状態であるとの判断に続き、目標駆動トルクが高μ路判定トルク閾値以上であるか否かを判断する。YES(目標駆動トルク≧高μ路判定トルク閾値)の場合はステップS7へ進み、NO(目標駆動トルク<高μ路判定トルク閾値)の場合はステップS9へ進む。
ここで、「目標駆動トルク」は、目標駆動トルク演算部100で演算された値を用いる。「高μ路判定トルク閾値」は、登坂路が高μ路であるときに登坂路からの走行負荷抵抗に対抗して走行するのに必要な駆動トルク値(例えば、70Nm程度)に設定される。
ステップS7では、ステップS6での目標駆動トルク≧高μ路判定トルク閾値であるとの判断に続き、ステップS5及びステップS6の条件が成立する制御周期毎に高μ路判定カウント値を加算し、ステップS8へ進む。
ここで、「高μ路判定カウント値」は、初期設定値が0(ゼロ)で、ステップS5及びステップS6の条件が連続して成立するときに加算されて値が増加する。
ステップS8では、ステップS7での高μ路判定カウント値の加算に続き、高μ路判定カウント値が高μ路判定カウント閾値以上であるか否かを判断する。YES(高μ路判定カウント値≧高μ路判定カウント閾値)の場合はステップS11へ進み、NO(高μ路判定カウント値<高μ路判定カウント閾値)の場合はステップS3へ戻る。
ここで、「高μ路判定カウント閾値」は、低μ路ではなく高μ路であることを判断する継続時間条件として設定された値(例えば、時間換算すると200msec程度)である。つまり、低μ路であるがステップS5でのタイヤグリップ条件とステップS6での駆動トルク条件が一瞬成立することにより、高μ路であると誤判定することを防止するために設けられた継続時間条件である。
ステップS9では、ステップS5でのタイヤスリップ状態であるとの判断、或いは、ステップS6での目標駆動トルク<高μ路判定トルク閾値であるとの判断に続き、高μ路判定カウント値が、高μ路判定カウント値≠0であるか否かを判断する。YES(高μ路判定カウント値≠0)の場合はステップS10へ進み、NO(高μ路判定カウント値=0)の場合はステップS3へ戻る。
ステップS10では、ステップS9での高μ路判定カウント値≠0との判断に続き、高μ路判定カウント値を、初期値である高μ路判定カウント値=0にリセットし、ステップS3へ戻る。
ステップS11では、ステップS1でのタイヤスリップ非検出との判断、或いは、ステップS8での高μ路判定カウント値≧高μ路判定カウント閾値であるとの判断、或いは、ステップS3での第2クラッチ温度≧閾値温度であるとの判断、或いは、ステップS4での車体速度≧所定速度であるとの判断に続き、「MWSCモード」の選択を許可し、エンドへ進む。
ここで、ステップS1においてタイヤスリップが非検出であると判断されたときは、図7の「MWSC対応モードマップ」の選択をそのまま維持する。又、「MWSCモード」の選択不許可になった後、ステップS3,S4,S8において「MWSCモード」の選択許可条件が成立したときであって、運転点(APO,VSP)が「MWSCモード」を選択する位置に存在するときは、第1クラッチ4を解放し、「WSCモード」から「MWSCモード」へ移行する。
次に、作用を説明する。
実施例1のFRハイブリッド車両の制御装置及び制御方法における作用を、「モード選択制御処理作用」、「WSCモードとMWSCモード」、「モード選択制御の対比作用」、「高μ登坂路発進時におけるCL2温度上昇抑制作用」、「モード選択制御での特徴作用」に分けて説明する。
[モード選択制御処理作用]
実施例1の統合コントローラ30にて実行されるモード選択制御処理作用を、図9に基づいて説明する。
まず、図7に示す「MWSC対応モードマップ」が選択されている所定勾配以上の登坂路において、タイヤスリップ非検出であると判断されたときは、図9に示すフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS11→エンドへと進む。即ち、図7に示す「MWSC対応モードマップ」の選択がそのまま維持され、「MWSC対応モードマップ」を用い、運転点(APO,VSP)の変化に応じて「MWSCモード」と「WSCモード」と「HEVモード」の選択や各モード間でのモード遷移が行われる。
次に、登坂路発進の際にタイヤスリップ検出と判定されたときは、図9に示すフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2へ進む。ステップS2では、走行モードとして「MWSCモード」の選択を許可しない、つまり、「MWSCモード」の選択不許可とされる。そして、タイヤスリップ検出と判定された際、運転点(APO,VSP)が「MWSCモード」を選択する位置に存在するときは、解放していた第1クラッチ4が締結され、「MWSCモード」から「WSCモード」へ移行される。
「WSCモード」への移行後、高μ登坂路での発進であることで、タイヤ7,7が路面に接地することによりタイヤスリップが収束すると、タイヤグリップ条件と駆動トルク条件が共に成立する。よって、図9に示すフローチャートにおいて、ステップS2からステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8へと進む。そして、ステップS8での高μ路判定条件が不成立の間は、ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8へと進む流れが繰り返される。つまり、タイヤグリップ条件と駆動トルク条件が共に成立する状況が継続すると、ステップS7にて、制御周期毎に高μ路判定カウント値が加算される。この高μ路判定カウント値の加算により、ステップS8での高μ路判定カウント値≧高μ路判定カウント閾値が成立すると、ステップS8からステップS11へ進み、ステップS11では、「MWSCモード」の選択が許可される。そして、ステップS8での「MWSCモード」の選択許可条件が成立した際、運転点(APO,VSP)が「MWSCモード」を選択する位置に存在するときは、第1クラッチ4が解放され、「WSCモード」から「MWSCモード」へ移行される。
なお、ステップS8での高μ路判定カウント値≧高μ路判定カウント閾値が成立する前に、タイヤグリップ条件と駆動トルク条件のうち、少なくとも一方の条件が不成立になると、ステップS5(又はステップS6)からステップS9→ステップS10へと進む。そして、高μ路判定カウント値がリセット(高μ路判定カウント値=0)され、改めて、タイヤグリップ条件と駆動トルク条件が判断される。
「WSCモード」への移行後、低μ登坂路での発進であることで、タイヤスリップが継続しているときは、図9に示すフローチャートにおいて、ステップS2からステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS9へと進む。そして、ステップS3での第2クラッチ温度条件とステップS4での車体速度条件が不成立の間は、ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS9へと進む流れが繰り返される。そして、ステップS3での第2クラッチ温度条件が車体速度条件より先に成立すると、ステップS3からステップS11へ進み、ステップS11では、「MWSCモード」の選択が許可される。又、ステップS4での車体速度条件が第2クラッチ温度条件より先に成立すると、ステップS4からステップS11へ進み、ステップS11では、「MWSCモード」の選択が許可される。そして、ステップS3又はステップS4での条件が成立した際、運転点(APO,VSP)が「MWSCモード」を選択する位置に存在するときは、第1クラッチ4が解放され、「WSCモード」から「MWSCモード」へ移行される。
[WSCモードとMWSCモード]
以下、モード選択制御処理作用において、登坂路発進領域で選択される走行モードである「WSCモード」と「MWSCモード」の詳細について説明する。
まず、「WSCモード」の詳細について説明する。
図10Aは通常時の「WSCモード」におけるエンジン回転数・モータジェネレータ回転数・出力軸回転数×1速ギヤ比の特性を示し、図10Bはスリップ時の「WSCモード」におけるエンジン回転数・モータジェネレータ回転数・出力軸回転数×1速ギヤ比の特性を示す。
「WSCモード」とは、エンジン1が作動している状態に特徴があり、要求駆動力変化に対する応答性が高い。具体的には、第1クラッチ4を完全締結し、第2クラッチ5を要求駆動力に応じた伝達トルク容量としてスリップ制御し、エンジン1及びモータジェネレータ2の駆動力を用いて走行する。
ここで、実施例1に示すようなFRハイブリッド車両では、トルクコンバータのように回転数差を吸収する要素が存在しない。そのため、図10Aに示すように、エンジン1からの出力回転数(Eng回転数)とモータジェネレータ2からの出力回転数(MG回転数)は一致する。一方、自動変速機3の出力軸に変速ギヤ比(ここでは1速ギヤ比)を積算した値(=駆動輪回転数相当値)は、第2クラッチ5における伝達トルク容量に応じて変化する。
このとき、エンジン1には自立回転を維持するためのアイドリング回転数による下限値が存在する。即ち、Eng回転数及びMG回転数は、上記下限値以下に設定することができない。そのため、この下限値に相当する車速よりも低車速領域とするためには、第2クラッチ5のスリップ量ΔCL2が大きくなる。
そして、このような「WSCモード」中に駆動輪がタイヤスリップしたとする。このとき、図10Bに示すように、自動変速機3の出力軸に変速ギヤ比(ここでは1速ギヤ比)を積算した値(=駆動輪回転数相当値)は、タイヤスリップにより急上昇する。これに対し、タイヤスリップ時に、第2クラッチ5のスリップ量ΔCL2が大きくなっているため、駆動輪回転数が急上昇してもモータジェネレータ2と駆動輪が直結することはない。つまり、第2クラッチ5のスリップ締結状態を保つことができる。
このように、第2クラッチ5のスリップ締結状態を維持するため、第2クラッチ5の締結力のみで駆動力を制御でき、第2クラッチ5における伝達トルク容量を維持することができる。これにより、駆動輪はタイヤスリップ状態からタイヤグリップ状態に復帰でき、車両挙動の乱れを防止することができる。
次に、「MWSCモード」の詳細について説明する。
図11Aは通常時の「MWSCモード」におけるエンジン回転数・モータジェネレータ回転数・出力軸回転数×1速ギヤ比の特性を示し、図11Bはスリップ時の「MWSCモード」におけるエンジン回転数・モータジェネレータ回転数・出力軸回転数×1速ギヤ比の特性を示す。
路面勾配が急な登坂路において、例えば、ブレーキペダル操作を行うことなく車両を停止状態又は微速発進状態に維持しようとすると、平坦路と比べて大きな駆動力が要求される。即ち、第2クラッチ5における伝達トルク容量は、平坦路の場合よりも大きくなる。このとき「WSCモード」であると、第2クラッチ5は強い締結力でのスリップ締結状態を継続することになり、発熱量が過剰になってクラッチ耐久性の低下を招くことが考えられる。又、車速の上昇も緩やかになることから、「HEVモード」への移行までに時間がかかり、さらに第2クラッチ5が発熱するおそれがある。
そこで、このような場合には、エンジン1を作動させたまま第1クラッチ4を解放し、第2クラッチ5の伝達トルク容量を運転者の要求駆動力に制御しつつ、モータジェネレータ2の回転数を、第2クラッチ5の出力回転数よりも所定回転数高い回転数に制御する「MWSCモード」を設定する。
言い換えると、この「MWSCモード」では、エンジン1とモータジェネレータ2が切り離されているため、それぞれ異なる回転数に設定することができる。そのため、モータジェネレータ2の回転数を、エンジン1の回転数(=アイドル回転数)よりも低い回転数としつつ第2クラッチ5のスリップ制御を行う(図11A参照)。
この場合、エンジン1が作動状態であるために、モータジェネレータ2にエンジンクランキング分の余剰トルクを残しておく必要がなく、モータジェネレータ2の駆動トルク上限値を引上げることができる。また、第2クラッチ5のスリップ量ΔCL2が小さくなり、第2クラッチ5の発熱量を抑えてクラッチ耐久性を向上することができる。
しかしながら、図11Bに示すように、このような「MWSCモード」中に駆動輪がタイヤスリップし、自動変速機3の出力軸に変速ギヤ比(ここでは1速ギヤ比)を積算した値(=駆動輪回転数相当値)が急上昇したとする。すると、タイヤスリップ時の第2クラッチ5のスリップ量ΔCL2が小さいため、第2クラッチ5における入出力差回転がなくなり、モータジェネレータ2と駆動輪が直結状態になってしまう(図11BにおけるA部)。
しかも、第2クラッチ5のスリップ締結を維持するために、モータジェネレータ2がモータ回転数制御を行っているので、駆動系負荷にしたがって変動するモータトルクがそのまま駆動輪に伝わって車両挙動が不安定になってしまう。
従って、「MWSCモード」の選択中に駆動輪がタイヤスリップしたときは、モータジェネレータ2と駆動輪が直結状態になってしまうことを防止するために、「MWSCモード」の選択を不許可にする必要がある。さらに、低速域での登坂路での発進の際、第2クラッチ5のスリップ締結状態を維持して回転差を吸収するため、「MWSCモード」から「WSCモード」へ移行する必要がある。
[モード選択制御の対比作用]
タイヤスリップ状態の検出に基づいて「MWSCモード」の選択が不許可になったとき、「MWSCモード」の選択許可条件に高μ路判定条件が含まれないものを比較例とする。この比較例でのモード選択制御作用を、図12に基づいて説明する。
エンジン1を作動させたまま第1クラッチ4を解放する「MWSCモード」が選択されている高μ登坂路での停車中、時刻t1にてブレーキ解放操作を行い、時刻t2にてアクセル踏み込み操作を行って発進する。発進後、時刻t3にてタイヤスリップ状態が検出されると、「MWSCモード」の選択が不許可になる。なお、アクセル踏み込み操作にしたがって、時刻t2からCL2締結トルクが上昇する。
そして、時刻t3からモータ回転数をエンジン回転数に達するまで上昇させて回転同期状態にすると共に、CL1指令トルクを上昇させることで、時刻t4にて第1クラッチ4が締結され、走行モードが、「MWSCモード」から「WSCモード」へと移行する。
時刻t4にて「WSCモード」が選択されると、高μ登坂路での発進であることで時刻t5にてタイヤスリップ状態が非検出となっても、「MWSCモード」の選択許可条件に高μ路判定条件が含まれないため、時刻t5以降も「WSCモード」の選択が維持される。
従って、比較例の場合には、時刻t4以降、「WSCモード」が維持されるため、図12のCL2プレート温度特性に示すように、CL2プレート温度の上昇が、第2クラッチ温度条件や車体速度条件が成立するまで続いてしまう。
次に、タイヤスリップ状態の検出に基づいて「MWSCモード」の選択が不許可になったとき、「MWSCモード」の選択許可条件に高μ路判定条件が含まれる実施例1でのモード選択制御作用を、図13に基づいて説明する。
エンジン1を作動させたまま第1クラッチ4を解放されている「MWSCモード」が選択されている高μ登坂路での停車中、時刻t1にてブレーキ解放操作を行い、時刻t2にてアクセル踏み込み操作を行って発進する。発進後、時刻t3にてタイヤスリップ状態が検出されると、「MWSCモード」の選択が不許可になる。なお、アクセル踏み込み操作にしたがって、時刻t2からCL2締結トルクが上昇する。
そして、時刻t3からモータ回転数をエンジン回転数に達するまで上昇させて回転同期状態にすると共に、CL1指令トルクを上昇させることで、時刻t4にて第1クラッチ4が締結され、走行モードが「MWSCモード」から「WSCモード」へと移行する。
時刻t4にて「WSCモード」が選択されると、高μ登坂路での発進であることで時刻t5にてタイヤスリップ状態が非検出(タイヤグリップ)になると、「MWSCモード」の選択許可条件に含まれる高μ路判定条件が成立するか否かが判断される。そして、時刻t5以降においてタイヤグリップ条件と目標駆動トルク条件が共に成立している状態が維持されていることが判断されると、時刻t6において高μ路であると判定され、時刻t6にてCL1指令トルクを解放トルクまで下げられる。そして、CL1実トルクが解放トルクまで低下する時刻t7になると、モータ回転数の低下が開始され、走行モードが「WSCモード」から「MWSCモード」へと移行する。
従って、実施例1の場合には、高μ路判定により時刻t7以降は「MWSCモード」に復帰するため、図13のCL2プレート温度特性に示すように、時刻t7以降、CL2プレート温度の上昇が抑えられる(図12の矢印Bに示す枠内特性)。
このように、実施例1では、「MWSCモード」の選択許可条件に高μ路判定条件を含むため、高μ登坂路を発進する際、「MWSCモード」→「WSCモード」→「MWSCモード」へとモード遷移し、CL2プレート温度の上昇を抑制することができる。
[高μ登坂路発進時におけるCL2温度上昇抑制作用]
一般的に、図14に示すように、氷雪路等による低μ路Cでの登坂路発進時には、タイヤ7,7がタイヤスリップ状態となる。この場合、低μ路Cでの登坂路発進時であることで、高μ路判定条件が成立しない。このため、第2クラッチ温度条件や車体速度条件が成立するまで「WSCモード」の選択が維持されることになる。
しかし、「WSCモード」の選択が維持されたとしても、低μ路Cでのタイヤスリップ状態であることで、図10Bに示すように、第2クラッチ5のスリップ量ΔCL2が小さく抑えられ、かつ、第2クラッチ5の伝達トルクも小さく抑えられる。この結果、スリップ量と伝達トルクに比例する単位時間当たりのクラッチ発熱量が小さくなり、第2クラッチ5の温度上昇が抑えられる。
これに対し、図15に示すように、駐車スペースDと公道Eを結ぶ連結路が大きく曲がっていて、急勾配の高μ登坂路Fを抜けて公道Eに出る場合、高μ路であるにもかかわらず、タイヤ7,7がタイヤスリップ状態となる。
即ち、車両が図15の矢印Gに示す位置でフル転舵状態にすると、前輪側のタイヤのうち右前輪タイヤが先に高μ登坂路Fに乗り上げるために車体が傾き、後輪側のタイヤ7,7のうち旋回内輪側のタイヤ7(点線)が浮き上がり、タイヤ空転が発生する。このタイヤ7,7のうち片輪にタイヤ空転が発生すると、駆動輪速平均値が高くなり、タイヤスリップ状態であると検出される。
この場合、運転点(APO,VSP)が、図8に示すように、登坂路面による負荷抵抗線Kより少し上のL点にあると、タイヤスリップ状態の検出に基づき「MWSCモード」から「WSCモード」へ移行すると、「WSCモード」の選択がそのまま維持される。よって、高μ登坂路Fであることでタイヤスリップ状態が短時間にて収束した後、図10Aに示すように、第2クラッチ5のスリップ量ΔCL2が大きくなり、かつ、第2クラッチ5の伝達トルクも大きくなる。このため、スリップ量と伝達トルクに比例する単位時間当たりのクラッチ発熱量が大きくなり、第2クラッチ5の温度が急勾配にて上昇する。
しかし、高μ登坂路発進時にタイヤスリップ状態の検出に基づいて「MWSCモード」の選択が不許可になったとしても、高μ登坂路Fであることで高μ路判定条件が成立し、「WSCモード」から「MWSCモード」に応答良く復帰する。このため、「MWSCモード」に移行すると、図11Aに示すように、第2クラッチ5のスリップ量ΔCL2が小さくなる。このため、スリップ量と伝達トルクに比例する単位時間当たりのクラッチ発熱量が小さくなり、第2クラッチ5の温度の上昇勾配が緩やかになる。
図16は、高μ登坂路発進時にタイヤスリップ状態の検出に基づいて「WSCモード」が選択された後に「MWSCモード」へ移行するタイミングが異なる場合の第2クラッチ温度特性を示す。1点鎖線特性Hは、第2クラッチ温度条件の成立(第2クラッチ温度≧閾値温度)まで待って「MWSCモード」へ移行する場合の第2クラッチ温度特性であり、実線特性Iは、高μ路判定条件の成立(高μ路判定カウント値≧高μ路判定カウント閾値)により「MWSCモード」へ移行する場合の第2クラッチ温度特性である。
図16の時刻t0にて高μ登坂路発進時にタイヤスリップ状態の検出に基づいて「WSCモード」が選択されると、高μ路判定条件の成立により「MWSCモード」へ移行する場合は、時刻t1にて「MWSCモード」へ移行する。よって、「WSCモード」の選択後、早期タイミングにて温度上昇勾配が緩やかになる「MWSCモード」へ移行することになる。
これに対し、図16の時刻t0にて高μ登坂路発進時にタイヤスリップ状態の検出に基づいて「WSCモード」が選択されると、第2クラッチ温度条件の成立まで待って「MWSCモード」へ移行する場合は、時刻t2にて「MWSCモード」へ移行する。よって、「WSCモード」の選択後、温度上昇勾配が緩やかになる「MWSCモード」へ移行するタイミングが遅れることになる。即ち、実施例1の高μ路判定条件を加えたモード選択制御では、高μ登坂路発進時、「WSCモード」から「MWSCモード」へ移行するタイミングが、時刻t2から時刻t1までの時間Tだけ早期化される。
この結果、図16の1点鎖線特性Hによる第2クラッチ温度特性に対し、実線特性Iによる第2クラッチ温度特性は、矢印Jで示すクラッチ温度差だけ低温側にシフトした特性を示し、第2クラッチ5の温度上昇を抑制することができる。
特に、第2クラッチ温度条件の成立まで待って「MWSCモード」へ移行する1点鎖線特性Hの場合は、第2クラッチ温度が過熱温度閾値に到達する時刻t3までに「HEVモード」へ移行しないと、時刻t3にて第2クラッチ5の過熱保護制御が開始されることになる。しかし、高μ路判定条件の成立により「MWSCモード」へ移行する実線特性Iの場合は、時刻t3に到達するまでに「HEVモード」へ移行しなくても、第2クラッチ温度が過熱温度閾値から離れた低温域にある。このため、高μ路判定条件を加えたモード選択制御の場合には、第2クラッチ5の過熱保護制御が開始されるのを回避することができる。
[モード選択制御での特徴作用]
実施例1では、タイヤスリップ状態の検出に基づき「MWSCモード」の選択を許可しないとき、登坂路の路面摩擦係数が判定され、高μ路であると判定されると、「MWSCモード」の選択を許可する。
即ち、タイヤスリップ状態の検出は、登坂路の路面摩擦係数が、タイヤが滑りやすい低μ路のときに検出されるだけではなく、例えば、駆動輪の片輪浮き上がりによりタイヤが空転すると、高μ路であってもタイヤスリップ状態であると検出される点に着目した。そこで、タイヤスリップ状態の検出に基づき「MWSCモード」の選択を許可しないとき、登坂路の路面摩擦係数が低μ路であるか高μ路であるかの切り分け判定をする。高μ路であると判定されると、そのときの第2クラッチ温度や車体速にかかわらず、小さなスリップ量ΔCL2を維持することにより単位時間当たりの発熱量を抑える「MWSCモード」の選択を許可する。この結果、高μ登坂路での発進の際、タイヤスリップ検出に基づき「MWSCモード」の選択が許可されないとき、第2クラッチ5の発熱が防止される。
実施例1では、タイヤ7,7がタイヤグリップ状態で、かつ、目標駆動トルクが高μ路判定トルク閾値以上である状態が所定時間以上継続すると、高μ路であると判定する。
即ち、低μ路の場合は、駆動トルクが低くてもタイヤスリップ状態になりやすく、駆動トルクが高いとタイヤスリップ状態に陥る。この点に着目し、タイヤグリップ条件と駆動トルク条件が共に成立することで、“低μ路ではない”ことを検知すれば、その裏返しとして高μ路であると検知することになる。
従って、高μ路センサを用いることなく、タイヤグリップ情報と駆動トルク情報を用い、精度良く高μ路判定が行われる。
実施例1では、車両の運転点(APO,VSP)が「WSCモード」と「MWSCモード」とが重なり合う領域内に存在するとき、「MWSCモード」の選択中にタイヤスリップ状態であると検出されると、「WSCモード」へモード遷移する。そして、「WSCモード」の選択中に高μ路であると判定されると、「MWSCモード」へモード遷移する。
即ち、高μ登坂路を微速(停止を含む)で発進すると、車両の運転点(APO,VSP)が「WSCモード」と「MWSCモード」とが重なり合う領域内に存在したままとなる。このとき、「MWSCモード」の選択中、タイヤスリップ状態の検出に基づき「WSCモード」へモード遷移すると、第2クラッチ5のスリップ量ΔCL2が拡大し、第2クラッチ5のスリップ締結状態が確保される。「WSCモード」の選択中、高μ路判定に基づき「MWSCモード」へモード遷移すると、第2クラッチ5のスリップ量ΔCL2が抑えられ、第2クラッチ5の温度上昇が抑制される。
従って、高μ登坂路を微速発進する際、タイヤスリップ状態になったときの第2クラッチ5のスリップ締結状態確保と、高μ路であると判定されたときの第2クラッチ5の温度上昇抑制と、の両立が図られる。
次に、効果を説明する。
実施例1のFRハイブリッド車両の制御装置及び制御方法にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) エンジン1とモータ(モータジェネレータ2)の間に介装され、エンジン1とモータとを断接する第1摩擦締結要素(第1クラッチ4)と、
モータ(モータジェネレータ2)と駆動輪(タイヤ7,7)の間に介装され、モータと駆動輪とを断接する第2摩擦締結要素(第2クラッチ5)と、を備え、
登坂路発進の際、駆動輪(タイヤ7,7)のタイヤスリップ状態が検出されると、第1摩擦締結要素(第1クラッチ4)を解放すると共に第2摩擦締結要素(第2クラッチ5)をスリップ締結し、モータ回転数制御により所定のスリップ量を維持しながら走行するモータ使用スリップ走行モード(「MWSCモード」)の選択を許可しないハイブリッド車両(FRハイブリッド車両)の制御方法において、
モータ使用スリップ走行モード(「MWSCモード」)の選択を許可しないとき、登坂路の路面摩擦係数を判定し、路面摩擦係数がタイヤグリップ性を有する高μ路であると判定されると、モータ使用スリップ走行モード(「MWSCモード」)の選択を許可する(図9)。
このため、高μ登坂路での発進の際、タイヤスリップ検出に基づきモータ使用スリップ走行モード(「MWSCモード」)の選択が許可されないとき、第2摩擦締結要素(第2クラッチ5)の発熱を防止するハイブリッド車両(FRハイブリッド車両)の制御方法を提供することができる。
(2) 駆動輪(タイヤ7,7)がタイヤグリップ状態で、かつ、目標駆動トルクが閾値(高μ路判定トルク閾値)以上である状態が所定時間以上継続すると、高μ路であると判定する(図9のS5〜S8)。
このため、(1)の効果に加え、高μ路センサを用いることなく、タイヤグリップ情報と駆動トルク情報を用い、精度良く高μ路判定を行うことができる。
(3) 走行モードとして、第1摩擦締結要素(第1クラッチ4)を締結すると共に第2摩擦締結要素(第2クラッチ5)をスリップ締結するエンジン使用スリップ走行モード(「WSCモード」)を有し、
車両の運転点(APO,VSP)がエンジン使用スリップ走行モード(「WSCモード」)とモータ使用スリップ走行モード(「MWSCモード」)とが重なり合う領域内に存在するとき、モータ使用スリップ走行モード(「MWSCモード」)の選択中にタイヤスリップ状態であると検出されると、エンジン使用スリップ走行モード(「WSCモード」)へモード遷移し(図9のS2)、エンジン使用スリップ走行モード(「WSCモード」)の選択中に高μ路であると判定されると、モータ使用スリップ走行モード(「MWSCモード」)へモード遷移する(図9のS11)。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、高μ登坂路を微速発進する際、タイヤスリップ状態になったときの第2摩擦締結要素(第2クラッチ5)のスリップ締結状態確保と、高μ路であると判定されたときの第2摩擦締結要素(第2クラッチ5)の温度上昇抑制と、の両立を図ることができる。
(4) エンジン1とモータ(モータジェネレータ2)の間に介装され、エンジン1とモータとを断接する第1摩擦締結要素(第1クラッチ4)と、
モータ(モータジェネレータ2)と駆動輪(タイヤ7,7)の間に介装され、モータと駆動輪とを断接する第2摩擦締結要素(第2クラッチ5)と、
登坂路発進の際、駆動輪(タイヤ7,7)のタイヤスリップ状態が検出されると、第1摩擦締結要素(第1クラッチ4)を解放すると共に第2摩擦締結要素(第2クラッチ5)をスリップ締結し、モータ回転数制御により所定のスリップ量を維持しながら走行するモータ使用スリップ走行モード(「MWSCモード」)の選択を許可しない制御を行うモード選択コントローラ(統合コントローラ30)と、
を備えるハイブリッド車両(FRハイブリッド車両)の制御装置において、
モード選択コントローラ(統合コントローラ30)は、モータ使用スリップ走行モード(「MWSCモード」)の選択を許可しないとき、登坂路の路面摩擦係数を判定し、路面摩擦係数がタイヤグリップ性を有する高μ路であると判定されると、モータ使用スリップ走行モード(「MWSCモード」)の選択を許可する制御処理を実行する(図9)。
このため、高μ登坂路での発進の際、タイヤスリップ検出に基づきモータ使用スリップ走行モード(「MWSCモード」)の選択が許可されないとき、第2摩擦締結要素(第2クラッチ5)の発熱を防止するハイブリッド車両(FRハイブリッド車両)の制御装置を提供することができる。
以上、本発明のハイブリッド車両の制御装置及び制御方法を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、高μ登坂路での発進の際、図15に示すように、フル転舵での急勾配登坂路において左右駆動輪の片輪が浮き上がり、タイヤ空転が発生することでタイヤ7,7のタイヤスリップ状態が検出される例を示した。しかしながら、タイヤスリップ状態が検出される例としては、これに限らず、例えば、高μ登坂路での発進の際、左右駆動輪の片輪だけが窪地や水たまり等に入ってタイヤ空転が発生することでタイヤスリップ状態が検出されるような例であっても良い。
実施例1では、タイヤ7,7がタイヤグリップ状態で、かつ、目標駆動トルクが高μ路判定トルク閾値以上である状態が所定時間以上継続すると、高μ路であると判定する例を示した。しかしながら、高μ路判定は、例えば、タイヤに組み込まれる路面μセンサから得られる路面μ情報を用いても良いし、外気温センサや路面凹凸センサや雨滴センサ等からのセンサ情報を組み合わせて高μ路であると判定しても良い。
実施例1では、車両の運転点(APO,VSP)が「WSCモード」と「MWSCモード」とが重なり合う領域内に存在するとき、「MWSCモード」の選択中においてタイヤスリップ状態が検出されると「WSCモード」へとモード遷移する。「WSCモード」の選択中において高μ路であると判定されると「MWSCモード」へとモード遷移する例を示した。しかしながら、「MWSCモード」の選択中であって、タイヤスリップ状態が検出される前に運転点(APO,VSP)が高アクセル開度側や高車速側に移動すると、「WSCモード」や「HEVモード」へとモード遷移しても良い。又、「WSCモード」の選択中であって、高μ路であると判定される前に運転点(APO,VSP)が高車速側に移動すると、「HEVモード」へモード遷移しても良い。
実施例1では、第2クラッチ5を、有段式の自動変速機3に内蔵した摩擦要素の中から選択する例を示した。しかし、自動変速機とは別に第2クラッチを設けるようにしても良く、例えば、モータジェネレータと変速機入力軸との間に自動変速機とは別に第2クラッチを設ける例や、変速機出力軸と駆動輪であるタイヤの間に自動変速機とは別に第2クラッチを設ける例も含まれる。
実施例1では、変速機として、有段式の自動変速機3を用いる例を示した。しかしながら、変速機としては、第2クラッチの内蔵設定や外部設定が可能であれば、無段変速機を用いることもできる。
実施例1では、本願発明の制御装置及び制御方法を、後輪駆動によるFRハイブリッド車両に対し適用した例を示したが、前輪駆動によるFFハイブリッド車両に対しても適用することができる。要するに、エンジンとモータとの間の第1クラッチと、モータと駆動輪との間の第2クラッチを備え、走行モードとして、「MWSCモード」を有するハイブリッド車両であれば適用できる。
1 エンジン
2 モータジェネレータ(モータ)
3 自動変速機
4 第1クラッチ(第1摩擦締結要素)
5 第2クラッチ(第2摩擦締結要素)
7,7 タイヤ(駆動輪)
18 車輪速センサ
19 CL2温度センサ
30 統合コントローラ(モード選択コントローラ)

Claims (5)

  1. エンジンとモータの間に介装され、前記エンジンと前記モータとを断接する第1摩擦締結要素と、
    前記モータと駆動輪の間に介装され、前記モータと前記駆動輪とを断接する第2摩擦締結要素と、を備え、
    走行モードとして、前記第1摩擦締結要素を締結すると共に前記第2摩擦締結要素をスリップ締結するエンジン使用スリップ走行モードと、前記第1摩擦締結要素を解放すると共に前記第2摩擦締結要素をスリップ締結し、モータ回転数制御により所定のスリップ量を維持しながら走行するモータ使用スリップ走行モードを有するハイブリッド車両の制御方法において、
    前記モータ使用スリップ走行モードの選択による登坂路発進の際、前記駆動輪のタイヤスリップ状態が検出されると、前記モータ使用スリップ走行モードから前記エンジン使用スリップ走行モードへモード遷移し、
    前記エンジン使用スリップ走行モードの選択中に登坂路の路面摩擦係数を判定し、
    前記路面摩擦係数がタイヤグリップ性を有する高μ路であると判定されると、前記エンジン使用スリップ走行モードから前記モータ使用スリップ走行モードへモード遷移する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御方法。
  2. 請求項1に記載されたハイブリッド車両の制御方法において、
    前記モータ回転数制御により所定のスリップ量を維持しながら走行する前記モータ使用スリップ走行モードは、前記モータの目標回転数を前記エンジンのアイドル回転数よりも低い回転数に設定する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御方法。
  3. 請求項1又は2に記載されたハイブリッド車両の制御方法において、
    前記駆動輪がタイヤグリップ状態で、かつ、目標駆動トルクが閾値以上である状態が所定時間以上継続すると、高μ路であると判定する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御方法。
  4. 請求項1から3までの何れか一項に記載されたハイブリッド車両の制御方法において、
    登坂路発進の際、車両の運転点が前記エンジン使用スリップ走行モードと前記モータ使用スリップ走行モードとが重なり合う領域内に存在す
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御方法。
  5. エンジンとモータの間に介装され、前記エンジンと前記モータとを断接する第1摩擦締結要素と、
    前記モータと駆動輪の間に介装され、前記モータと前記駆動輪とを断接する第2摩擦締結要素と、
    前記第1摩擦締結要素を締結すると共に前記第2摩擦締結要素をスリップ締結するエンジン使用スリップ走行モードと、前記第1摩擦締結要素を解放すると共に前記第2摩擦締結要素をスリップ締結し、モータ回転数制御により所定のスリップ量を維持しながら走行するモータ使用スリップ走行モードを選択するモード選択コントローラと、
    を備えるハイブリッド車両の制御装置において、
    前記モード選択コントローラは、
    前記モータ使用スリップ走行モードの選択による登坂路発進の際、前記駆動輪のタイヤスリップ状態が検出されると、前記モータ使用スリップ走行モードから前記エンジン使用スリップ走行モードへモード遷移し、
    前記エンジン使用スリップ走行モードの選択中に登坂路の路面摩擦係数を判定し、
    前記路面摩擦係数がタイヤグリップ性を有する高μ路であると判定されると、前記エンジン使用スリップ走行モードから前記モータ使用スリップ走行モードへモード遷移する制御処理を実行する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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