本明細書に組み込まれるとともに本明細書の一部をなす添付図面は、本発明の実施形態を示し、また、上記発明の概要及び下記実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。
図1〜図3を参照すると、本発明の1つの実施形態に係る接着剤吐出装置10が、必要な場合に同じ最大流量を提供しつつも、従来の設計と比較してかなり少量の接着剤材料を高い塗布温度に保持するように最適化されている。より詳細には、接着剤吐出装置10は、サイクロン式セパレーターユニット14を含むことができる溶融部分組立体12と、液面センサ18を備える受入空間16と、加熱器ユニット20と、液だめ22とを備える。これらの部材のそれぞれは、以下で更に詳細に記載する。これらの部材の組合せにより、高い塗布温度に保持される溶融した接着剤材料の滞留量が、従来の設計に比較した場合およそ80%少ない状態で、最大流量が可能になる。
図1〜図3に示されている接着剤吐出装置10は、Jeterによる米国特許出願第13/659291号(「Mountable Device For Dispensing Heated Adhesive」と題する)に記載されているように、壁面に沿って取り付けられる。この米国特許出願は、本願の出願人によって共有され、またその開示内容は、本明細書に引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。一方で、本発明の接着剤吐出装置10は、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の方法で取付け及び向き付けることができることが理解される。
図1及び図2を参照すると、接着剤吐出装置10は、溶融部分組立体12及び制御部分組立体24を備え、溶融部分組立体12及び制御部分組立体24は双方とも、共通の取付け板26に沿って取り付けられる。取付け板26は、図示のように略垂直の向きで支持壁又は支持構造体に連結されるように構成されている。溶融部分組立体12は、取付け板26の第1の終端部26aに近接して取り付けられ、一方で、制御部分組立体24は、取付け板26の第2の終端部26bに近接して取り付けられる。これに関して、溶融部分組立体12は、制御部分組立体24を溶融部分組立体12の高い動作温度(176.7℃まで)から隔離することができるように、制御部分組立体24から隔てられている。
また、接着剤吐出装置10は、それぞれ溶融部分組立体12及び制御部分組立体24に対する選択的アクセスを提供するように構成されている、第1の部分組立体カバー28及び第2の部分組立体カバー30を備える。図1の閉位置に示されているように、第1の部分組立体カバー28は、第1の終端部26aに近接して取付け板26に連結され、溶融部分組立体12を周囲環境から少なくとも部分的に隔離するように操作可能である。第2の部分組立体カバー30は、第2の終端部26bに近接して取付け板26に連結され、制御部分組立体24を溶融部分組立体12から、また周囲環境からも隔離するように操作可能である。第1の部分組立体カバー28及び第2の部分組立体カバー30が閉じられる場合、部分組立体カバー28、30間、またひいては溶融部分組立体12及び制御部分組立体24間に、熱すき間32が形成される。この熱すき間32は、制御部分組立体24を、溶融部分組立体12における高い動作温度から隔離することを更に確実にする。
第1の部分組立体カバー28及び第2の部分組立体カバー30のそれぞれは、図2に示されているように、ヒンジ部材34において取付け板26に枢動可能に連結されている。同様に図2に示されているように、第1の部分組立体カバー28は、通気孔36を有する。通気孔36は、第1の部分組立体カバー28内に保持されている溶融部分組立体12の構成部品の過熱を回避するのに用いることができる。しかし、第1の部分組立体カバー28が閉じられている場合、これらの通気孔36のいずれも熱すき間32に向く位置にない。第2の部分組立体カバー30も、同様に熱すき間32に面しない通気孔(図示せず)を有することができる。図示の実施形態では、取付け板26も通気孔36を有し、これらの通気孔36は、溶融部分組立体12の周囲及び制御部分組立体24の周囲に配置されている。第1の部分組立体カバー28及び第2の部分組立体カバー30が図2に示されているように開かれている場合、作業者は、構成部品が修理を要する場合等に、溶融部分組立体12及び制御部分組立体24のそれらの構成部品に対するアクセスを有する。いくつかの実施形態において、溶融部分組立体12は、取付け板26に結合されるリフトオフ(抜差し)ヒンジ(図示せず)において枢動可能に取り付けることもでき、それにより、溶融部分組立体12をひとまとめに枢動させて、取付け板26から離し、溶融部分組立体12の構成部品の背面に対するアクセスを提供する(例えば、受入空間16にある液面センサ18の接続部へのアクセスを提供する)こともできる。このように溶融部分組立体12を枢動可能に連結することは、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態において変更することができる。
引き続き図1及び図2を参照すると、第1の部分組立体カバー28は、閉位置では、サイクロン式セパレーターユニット14の頂端部を除き溶融部分組立体12全体を実質的に包囲する。この頂端部(図1及び図2では隠れている)は、第1の部分組立体カバー28が閉じられている場合、保護キャップ40によって保護される。保護キャップ40は、サイクロン式セパレーターユニット14を形成する通常は金属の材料を、接着剤吐出装置10に関して作業している場合のある作業者から隔離する。同様に、第2の部分組立体カバー30は、外部制御ボックス42を除き制御部分組立体24全体を実質的に包囲する。外部制御ボックス42は、接着剤吐出装置10の動作中、種々の目的に用いられるいくつかの部材を備えることができる。例えば、例示的な実施形態における制御ボックス42は、サイレン44と、以下に記載されるポンプ内の空気圧の調整に用いられるねじ45と、この空気圧を測定する圧力計46とを備える。溶融部分組立体12及び制御部分組立体24の他の構成部品は全て、接着剤吐出装置10の動作中、作業者との直接の接触から隔離される。
制御部分組立体24は、図1及び図2において更に詳細に示されている。このために、制御部分組立体24は、制御インターフェース50に動作可能に接続されているコントローラー48(例えば、1つ又は複数の集積回路)を備える。コントローラー48は、溶融部分組立体12の構成部品と通信し、それらの構成部品の作動を制御するように動作可能である。例えば、コントローラーは、液面センサ18から信号を受信し、必要な場合により多くの接着剤ペレットを充填システム52(図2及び図4に概略的に示されている)からサイクロン式セパレーターユニット14を介して駆動して供給することができる。制御インターフェース50は、第2の部分組立体カバー30に搭載され、コントローラー48に動作可能に接続されている。それにより、接着剤吐出装置10の作業者は、コントローラー48から情報を受け取るか、又は制御インターフェース50において入力データをコントローラー48に提供することができる。制御インターフェース50は、図示の実施形態では表示スクリーンとして示されているが、タッチスクリーンディスプレイ、キーパッド、キーボード、及び他の既知の入/出力装置を制御インターフェース50に組み込むことができることが理解される。制御部分組立体24は、前述した制御ボックス42も含み、この制御ボックス42は、作業者とコントローラー48との間の更なる入/出力機能を提供するように、コントローラー48に動作可能に接続されている。制御部分組立体24は、タイマー53を備えることもできる(図5では概略的に示されている)。タイマー53は、コントローラー48に接続されて、液面センサ18の温度推定及び液面センサ18からの充填液面高さ読取り値の補償に用いられる、種々の時間変数を測定する。このことは、以下で図12〜図15を参照して詳細に記載される。
溶融部分組立体12は、図2〜図5を参照して更に詳細に示される。上記で簡潔に記載したように、溶融部分組立体12は、充填システム52から接着剤材料のペレットを受け取って、これらのペレットを高い塗布温度で溶融及び加熱して溶融した接着剤にし、溶融した接着剤を出口から吐出して下流のガン又はモジュール(図示せず)に送出するように構成されている、複数の構成部品を備える。図2に示されているように、サイクロン式セパレーターユニット14は、この例示的な実施形態では、受入空間16を画定するホッパー16上に取り付けられ、加熱器ユニット20及び受入空間16によって液だめ22から隔てられている。そのため、サイクロン式セパレーターユニット14から溶融用加熱器ユニット20にかけて、次に加熱器ユニット20から液だめ22内へ、概して重力によって駆動される接着剤の流れが起こる。また、溶融部分組立体12は、液だめ22の下方に位置するマニホールド54と、取付け板26及び第1の部分組立体カバー28によって画定されるスペース内で他の構成部品と並んで配置されるポンプ56とを含む。マニホールド54は、液だめ22と、ポンプ56と、溶融部分組立体12の底部に位置する1つ又は複数の出口60との間に延在する種々の導管58を含む。ポンプ56は、必要な場合に溶融した接着剤の液だめ22から出口60を通した移動を引き起こすように動作する。出口60は、第1の部分組立体カバー28の底部にある切抜き部62を通って延び、溶融した接着剤を下流のガン又はモジュール(図示せず)に送出するように加熱ホース又は他の移送用部材に連結することができる。
サイクロン式セパレーターユニット14は、加圧空気流によって駆動された接着剤ペレットを、入口ホース(図示せず)を通して受け取る。この入口ホースは、添付の図に概略的に示されている充填システム52等の接着剤ペレット源(図示せず)に接続されている。サイクロン式セパレーターユニット14は、頂端部74と、受入空間16に連通している底端部76とを有する略円筒形の管72を含む。頂端部74に近接して管72に位置する側壁開口78は、入口ホースの自由端に連結されるように構成されている接線方向の入口管80に接続される。頂端部74は、排気管84に接続されている頂部開口82を有する。排気管84は、頂端部74に近接して略円筒形の管72内のスペースに部分的に延びる。排気管84内かつ頂端部74の上方にエアフィルター86が位置し、サイクロン式セパレーターユニット14から排出される空気流を濾過することができる。その結果、サイクロン式セパレーターユニット14は、急速に進む空気ストリームによって駆動された接着剤ペレットを、接線方向の入口管80を通して受け取り、次に、空気流及びペレットが略円筒形の管72の壁に沿って螺旋状に下方に回転することで、空気流及びペレットを減速する。ペレット及び空気は受入空間16内に堆積し、空気は略円筒形の管72の中央を通って戻り、排気管84及びエアフィルター86を通して排出される。特定の構成部品及びサイクロン式セパレーターユニット14の動作の例示的な一実施形態が、「Adhesive Dispensing Device Having Optimized Cyclonic Separator Unit」と題する、Chau他による同時係属中の米国特許出願第13/799788号に更に詳細に記載されている。この米国特許出願の開示内容は、本明細書に引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。接着剤吐出装置10のいくつかの実施形態において、サイクロン式セパレーターユニット14を溶融部分組立体12から省略することができることが理解される。
受入空間16は、略矩形箱状の筐体、すなわちホッパー16を画定し、ホッパー16は、加熱器ユニット20に連通する開口した底部90と、サイクロン式セパレーターユニット14の略円筒形の管72の底端部76を受けるように構成されている入口孔94を有する閉鎖した頂壁92とを有する。受入空間16は、液面センサ18も備え、液面センサ18は、受入空間16の外周側壁98のうちの1つに沿って取り付けられる板部材96の形態の静電容量式液面センサである。板部材96は、1つの駆動電極100を有し、受入空間16の上記側壁98又は別の側壁98の一部が、液面センサ18の第2の(接地)電極として機能する。例えば、いくつかの実施形態において、板部材96が接地電極を有することもできる。液面センサ18は、板部材96によって、駆動電極100と接地との間で誘電体容量レベルが変わる(例えば、受入空間16内の空所又は空気が、受入空間16内の接着剤材料とは異なる誘電体容量を規定する)場所を検出することで、受入空間16内の接着剤材料の量すなわち液面高さを判定する。「ホッパー」という用語が接着剤吐出装置10の実施形態の記載中に所々用いられているが、充填システム52から加熱器ユニット20内に固体接着剤材料を送り込むのに、代替的な構造部/受入空間を設けることができることが理解される。
板部材96は、必要な場合、板部材96へのより迅速な熱伝導を提供し、蓄積したペレットすなわち接着剤材料を溶かしきるために、受入空間16を少なくとも部分的に画定する側壁98の実質的に全体に亘って取り付けることができる。例えば、液面センサ18が、駆動電極100の表面積と受入空間16を画定する側壁の表面積との比を、約0.7対1に規定するように、板部材96を、受入空間16を少なくとも部分的に画定する側壁に亘って取り付けることができる。これに関して、駆動電極100の表面積は、受入空間16を画定する側壁98の表面積の約70%である。さらに、板部材96によって検知される表面積が大きいことで、より正確かつ信頼性のある液面高さ検知が提供され、これにより、必要な場合、より正確かつタイムリーに接着剤材料を溶融部分組立体12に送出することが可能になる。このために、受入空間16の寸法に対して大きい寸法の駆動電極100により提供されるより広い検知窓により、受入空間16内の様々な充填状態を検知することによってより正確な制御も可能になる。これにより、受入空間16内の現在の充填状態に応じて様々な制御動作がとられる。また、より広い検知窓は、接着剤吐出装置10からの高出力時間中に急速に変わる可能性がある充填液面高さの変化に対して、より敏感である。したがって、接着剤吐出装置10の動作中、受入空間16内の接着剤材料の1つ又は複数の所望量(例えば、30%〜60%の充填)を維持することができる。そのため、受入空間16を画定する側壁98の表面積に対して駆動電極100の表面積を最大化することにより、検知窓をより広くすることが有利である。液面センサ18及び受入空間16の特定の構成部品及び動作は、以下で図6〜図8を参照して更に詳細に記載される。
加熱器ユニット20は、受入空間16に近接して受入空間16の下方に配置され、加熱器ユニット20が、下方に流れる接着剤材料を受入空間16の開口した底部90を通して受け取るようになっている。加熱器ユニット20は、受入空間16と液だめ22との間に、周壁108と、周壁108によって画定されている空間を横切って延在する複数の仕切り110とを含む。図3、図5、及び図6に最も明確に示されているように、仕切り110のそれぞれは、受入空間16の開口した底部90に面する上流端部112に向かって狭窄し、液だめ22に面する下流端部114に向かって拡大する、略三角形断面を画定する。仕切り110は、受入空間16と液だめ22との間の空間を、接着剤材料が液だめ22に流れることを可能にするように構成されている複数の開口116に分割する。開口116は、仕切り110の下流端部114に近接して、接着剤材料のほとんどを仕切り110のうちの1つに強制的に接触させるように十分小さい。仕切り110は、例示的な実施形態ではアルミニウムによって周壁108とともに鋳込まれるが、他の実施形態では、加熱器ユニット20を形成するのに、異なる熱伝導性材料及び異なる製造方法又は機械加工方法を用いることができることが理解される。
これに関して、例示的な実施形態の加熱器ユニット20は、加熱器格子の形態である。複数の開口116は、加熱器ユニット20の他の実施形態において、本発明の範囲から逸脱することなく、限定はしないが周壁108から延びるフィン状構造体を含む、格子状の仕切りとは異なる構造体によって画定することができることが理解される。これに関して、接着剤吐出装置10を通して接着剤を流すための1つ又は複数の開口116を加熱器ユニット20に設けることが要求されるだけであるので、「加熱器ユニット」20は、本発明の他の実施形態において、接着剤を加熱する非格子状構造体を含むことさえできる。1つの代替形態において、仕切り110は、周壁108から内方に延びるフィンに置換することができる。これは、より大型の溶融装置において用いられる、より大型の加熱器格子の場合に一般的である。本発明に一致する実施形態において、加熱器ユニット20は、受入空間16とは別個に形成して、受入空間16に連結してもよいし、受入空間16と単一の構成部品として一体形成してもよいことが理解される。
加熱器ユニット20は、接着剤吐出装置10を流れる接着剤材料の加熱及び溶融を最適化するように設計されている。このために、周壁108は、図5及び図6に示されているような中空通路118を有する。中空通路118は、抵抗加熱器、管状加熱器、加熱カートリッジ、又は加熱器ユニット20に挿入若しくは鋳込むことができる別の均等な加熱素子等の加熱素子120を収納するように構成されている。加熱素子120は、コントローラー48から信号を受信し、加熱器ユニット20に熱エネルギーを印加する。熱エネルギーは、周壁108及び仕切り110を通して伝導され、加熱器ユニット20によって画定される表面積全体を伝って接着剤材料に熱エネルギーを移動させる。例えば、例示的な実施形態の加熱器ユニット20は、加熱器ユニット20の温度を検出する温度センサ122を含む。温度センサ122は、周壁108における温度を検知するように配置され、接着剤温度を間接的に検知することもできるが、接着剤温度は、加熱器ユニット20の温度変化に僅差で遅れをとる傾向があることが理解される。他の例示していない実施形態において、温度センサ122は、接着剤の中に延びる探り針等の異なるタイプのセンサを含むことができる。このために、温度センサ122は、加熱素子120の制御に用いる単位温度での定期的なフィードバックを提供する。また、熱エネルギーは、液だめ22及び受入空間16を通して伝導され、このことは、液だめ22内の溶融した接着剤の温度維持を助けるとともに、受入空間16内(液面センサ18の板部材96上等)に不慮に付着した一切の接着剤材料を溶かしきることを助ける。また、加熱器ユニット20及び仕切り110の設計は、受入空間16及び液だめ22内の接着剤材料(停止中に固化する可能性がある)並びに加熱器ユニット20内の接着剤材料に熱エネルギーをより迅速に与えることにより、接着剤吐出装置10の停止状態又は待機状態に続く始動プロセスを向上させる。例示的な実施形態では、加熱器ユニット20は、溶融部分組立体12全体を、約7分の暖機運転時間で、待機状態から動作温度に至らせるように動作可能である。それにより、冗長な暖機運転サイクルに起因する遅延が実質的に低減する。
図5及び図6に示されている加熱器ユニット20の例示的な実施形態では、仕切り110及び開口116は、加熱器ユニット20の形成方法及び吐出される選択された接着剤材料に基づき、いくつかの寸法を規定する。これに関して、例示的な実施形態で用いられる加熱素子120は、9.525ミリメートルの最小曲半径を規定し、隣り合う仕切り110の中心間の空間SPは、19.05ミリメートルであるように選択され、加熱素子120が各隣り合う仕切り110間に曲がることを可能にする。鋳込みプロセスは、仕切り110の角度付けのための最小抜き勾配を規定し、この最小抜き勾配に近似する抜き勾配が加熱器ユニット20の仕切り110に選択される。このために、仕切り110の抜き勾配DAPは、例示的な実施形態では約5度である。仕切り110間の開口116は、約3.969ミリメートルの開口長LOを規定し、この開口長LOは、加熱器ユニット20に、高い処理量で動作する場合に許容可能な圧力降下及び十分な接着剤体積流量を提供するように構成されている総流れ開口を集合的に提供するように選択される。抜き勾配DAP及び開口長LOは、仕切り110のそれぞれの高さの程度を決定する。例えば、例示的な実施形態の仕切り110は、約63.61ミリメートルの高さHPを規定する。本発明に一致する他の実施形態において、使用される接着剤の粘度が変更され、そのため加熱器ユニット20により大きな全体貫通開口を必要とする場合等に、開口長LO及び他の寸法を変更することができることが理解される。加熱器ユニット20の部材の寸法は、加熱器ユニット20の有効表面積SAHGを調整し、それにより、使用される接着剤ペレットの寸法及び形状に関わらず接着剤の溶融速度を変更するように、この例示的な実施形態から更に変更することもできる。
液だめ22は、加熱器ユニット20に近接して加熱器ユニット20の下方に配置され、液だめ22が、下方に流れる接着剤材料を加熱器ユニット20に画定される開口116を通して受け取るようになっている。液だめ22は、開口した頂端部128と開口した底端部130との間に延在する周壁126を含む。液だめ22は、必要に応じて、いくつかの実施形態において、周壁126から内方に突出している仕切り又はフィン(図では仮想線で示されている)を含むことができる。開口した頂端部128は、仕切り110の下流端部114に近接して加熱器ユニット20と連通している。開口した底端部130は、マニホールド54によって境界を定められ、それにより、溶融した接着剤材料をマニホールド54の導管58へ輸送する。加熱器ユニット20と同様に、液だめ22は、加熱器ユニット20からの熱を周壁126を伝って伝導して、液だめ22内の溶融した接着剤の温度を維持するように、アルミニウムによって製造することもできる。さらに、加熱素子131の形態の液だめ加熱装置を周壁126に設けて、液だめ22内の溶融した接着剤を高い塗布温度で更に加熱又は維持することができる。このために、加熱素子131は、抵抗加熱器、管状加熱器、加熱カートリッジ、又は液だめ22内に挿入若しくは鋳込むことができる別の均等な加熱素子を含むことができる。一方で、本発明の範囲に一致する他の実施形態において、他の熱伝導性材料及び他の製造方法を用いることができる。本発明に一致する実施形態において、加熱器ユニット20は、液だめ22とは別個に形成して、液だめ22に連結してもよいし、液だめ22と単一の構成部品として一体形成してもよいことが理解される。
液だめ22は、液だめ22内の接着剤材料の温度等の動作データをコントローラー48に提供するように構成されている1つ又は複数のセンサを備えることができる。例えば、例示的な実施形態の液だめ22は、液だめ22の温度を検出する温度センサ132を備える。温度センサ132は、周壁126における温度を検知するように配置され、接着剤温度を間接的に検知することもできるが、接着剤温度は、液だめ22の温度変化に僅差で遅れをとる傾向があることが理解される。他の例示していない実施形態において、温度センサ132は、接着剤の中に延びる探り針等の異なるタイプのセンサを含むことができる。この検出温度は、コントローラー48に通信して、液だめ内の加熱素子131によって出力される熱エネルギー、又は更に加熱器ユニット20の加熱素子120によって出力される熱エネルギーを制御するのに用いることができる。複数の更なるセンサを、溶融部分組立体12の種々の部材内に位置させ、コントローラー48と通信して接着剤吐出装置10の正確な動作を監視することができることが理解される。一方で、静電容量式液面センサ18によって可能になる受入空間16内の接着剤液面高さの非常に正確な測定に鑑みて、加熱器ユニット20の下方で用いられる一般に高価な液面センサはこの例示的な実施形態では必要ない。図4に示されているように、液だめ22と、加熱器ユニット20と、受入空間16と、サイクロン式セパレーターユニット14とは、これらの部材の外周部を接続する複数のねじ切り締結具134によって、ともに連結される。一方で、他の実施形態において、代替の締結具、又はこれらの部材をともに連結する(又は一体形成する)代替の方法を用いることができることが理解される。
上記で簡潔に記載したように、マニホールド54は、液だめ22の開口した底端部130に近接して開口した底端部130の下方に位置し、液だめ22からポンプ56へ、そして出口60への流体連通を提供する。このために、マニホールド54は、アルミニウム製ブロックから、溶融部分組立体12のこれらの種々の部材間に延在する複数の導管58(そのうちの1つを図3に示す)を有するように機械加工される。マニホールド54は、いくつかの実施形態において、ポンプ56と導管58内の溶融した接着剤の温度を維持する補助加熱素子とを出入りする接着剤材料の流れを制御する弁等の更なる部材(図示せず)を更に含むことができることが理解される。本発明に一致する実施形態において、マニホールド54の全体又は一部を、液だめ22とは別個に形成して、液だめ22に連結してもよいし、液だめ22と単一の構成部品として一体形成してもよいことが理解される。
ポンプ56は、溶融部分組立体12の前述した部材に隣接して並んで配置されている既知の複動式空圧ピストンポンプである。より具体的には、ポンプ56は、空気室140と、流体室142と、空気室140と流体室142との間に配置されているシールカートリッジの1つ又は複数のシール144とを備える。ポンプロッド146が、流体室142から、空気室140内に位置するピストン148まで延びている。加圧空気がピストン148の上側及び下側に交互に送出され、それにより、流体室142内でポンプロッド146を動かすことで、溶融接着剤を液だめ22から流体室142に引き込むとともに流体室142内の溶融接着剤を出口60に放出させる。加圧空気は、入口ホース150を通して送出することができ、また、図2に最も明確に示されているスプール弁151(その外側ハウジングのみが図示されている)によって制御することができる。流体室142は、いかなる接着剤も送出するために、液だめ22に戻る方向に逆止弁を備えることもでき、接着剤はこの逆止弁がなければ流体室142から漏れて液だめ22に戻る。ポンプ56は、ディスペンサー分野において十分に理解されているように、出口60を通して所望の流量の接着剤材料を送出するようにコントローラー48によって制御することができる。より詳細には、ポンプ56は、ピストン148及びポンプロッド146の端部制限位置近くでこれらの部材の運動方向の変更を機械的に駆動するのに使用される変更装置(シフター)153(図3に部分的に示す)を収容している、制御セクション152を含むことができる。ポンプ56及び制御セクション152の特定の構成部品及び動作の1つの例示的な実施形態が、「Adhesive Dispensing System and Method Including A Pump With Integrated Diagnostics」と題する、Estelleによる同時係属中の米国特許出願第13/799656号に更に詳細に記載されている。この米国特許出願の開示内容は、本明細書に引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。接着剤吐出装置10の更なる診断は、コントローラー48によって下流のガン又はモジュールの作動信号を監視することによって可能にすることができる。これに関する例示的なプロセスが、「Dispensing Systems and Methods for Monitoring Actuation Signals for Diagnostics」と題する、Beal他による同時係属中の米国特許出願第13/799694号に更に詳細に記載されている。この米国特許出願の開示内容は、本明細書に引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
動作の際、加熱器ユニット20は、加熱素子120によって高温に至り、熱エネルギーが受入空間16及び液だめ22へと伝導されてこれらの部材及び内部に収容されている接着剤材料を所望の高い塗布温度に至らせる。液だめ22は、上述したように、液だめ22に位置する加熱素子131によって高温に至ることもできる。コントローラー48は、スマート溶融モードを行って、接着剤の炭化及び劣化の低減を更に向上させるように加熱素子120、131を動作させることができることが理解される。そのようなスマート溶融モードでのコントローラー48の特定の構成部品及び動作の1つの例示的な実施形態は、「Adhesive Dispensing System and Method Using Smart Melt Heater Control」と題する、Bondeson他による同時係属中の米国特許出願第13/799737号に更に詳細に記載されており、この米国特許出願の開示内容は、本明細書に引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。コントローラー48は、高い塗布温度に達すると、溶融部分組立体12が溶融接着剤を送出する準備が完了していることを示す信号を温度センサ132から受信する。次に、ポンプ56が、出口60に接続されている下流のガン又はモジュール(図示せず)による要求に応じて、溶融接着剤材料を液だめ22の開口した底端部130から移動させるように動作する。ポンプ56が接着剤材料を移動させる際、重力により、残りの接着剤材料の少なくとも一部が受入空間16と加熱器ユニット20における開口116とから下方に移動して液だめ22に入る。受入空間16内の接着剤ペレット160(すなわち溶融接着剤材料)の液面高さの低下が液面センサ18によって検知され、より多くの接着剤ペレット160が溶融部分組立体12に送出されるべきであることを示す信号がコントローラー48に送信される。コントローラー48は次に、接着剤吐出装置10に補充するために、充填システム52からサイクロン式セパレーターユニット14を通した受入空間16への接着剤ペレット160の送出を駆動する信号を送信する。このプロセスは、接着剤吐出装置10がアクティブ動作中である限り続く。
接着剤吐出装置10の溶融部分組立体12は、従来の吐出装置に比べて低減量の接着剤材料を高い塗布温度に保持するように最適化されていることが有利である。このために、溶融部分組立体12における最適化された特徴の組合せにより、最大80%少ない接着剤材料が溶融部分組立体12内に保持された状態で従来設計と同じ最大の接着剤処理量が可能になる。特徴のこの組合せは、静電容量式液面センサ18及びより小さい寸法である受入空間16によって可能となる、接着剤充填システム(例えば、サイクロン式セパレーターユニット14及び受入空間16)の向上した確実性と、仕切り110を含む加熱器ユニット20の設計と、より小さい寸法である液だめ22の設計と、必要なだけ迅速に接着剤材料を溶融部分組立体12に補充するためにコントローラー48によって実行されるスマート溶融モードとを含む。組み合さったこれらの特徴により、溶融部分組立体12内に保持される接着剤材料(溶融接着剤及び接着剤ペレット160の双方)の抑えられた総量は、約2×10−3立方メートルであり、この量は、約10×10−3立方メートルの接着剤材料が高い塗布温度に保持されることが必須である従来の吐出装置及び溶融装置よりも著しく少ない。したがって、著しく少ない接着剤材料が高い塗布温度に保持され、それにより、接着剤材料が長時間に亘って高温に留まることによって劣化又は炭化するほど長く溶融部分組立体12内に残留する可能性が減る。さらに、滞留接着剤材料がより少量であることにより、溶融部分組立体12が、暖機運転中に著しくより多くの接着剤材料を加熱する必要がある従来の設計よりもはるかに迅速に、暖機運転サイクル中に高い塗布温度に至ることが可能になる。
図5に示されている例示的な実施形態では、受入空間16はホッパー容積VHを規定することができ、液だめ22は液だめ容積VRを規定することができる。加熱器ユニット20は、加熱器ユニット20内の接着剤材料に接触することによって熱エネルギーを能動的に加える、仕切り110及び周壁108における加熱器格子総表面積SAHGを規定する。本発明の接着剤吐出装置10において、受入空間16の容積及び液だめ22の容積を合算した容積(VH+VR)と加熱器格子総表面積SAHGとの関係比は、大量の接着剤を必要とする時間中に必要な最大接着剤流量を依然として可能にしつつも、できる限り最小限に抑えられる。例えば、例示的な実施形態におけるホッパー容積VHは、約8.8490×10−4立方メートルであり、例示的な実施形態における液だめ容積VRは約5.7355×10−4立方メートルであり、例示的な実施形態における加熱器格子総表面積SAHGは約8.38708×10−2平方メートルである。したがって、例示的な実施形態における合算容積と加熱器格子総表面積との関係比は、(8.8490×10−4+5.7355×10−4)/8.38708×10−2、すなわち6.4516×10−4平方メートルの表面積に対しておよそ1.1225×10−5立方メートルの容積である。これに比べ、従来の接着剤吐出装置における合算容積と加熱器格子総表面積とのこの関係比は通常、それらの従来設計の溶融部分組立体内のより多い滞留量(及びおそらくは同様に従来の加熱器ユニットのより小さい表面積)に起因して、6.4516×10−4平方メートルの表面積に対して約4.9161×10−5立方メートルの容積〜6.4516×10−4平方メートルの表面積に対して約5.7355×10−4立方メートルの容積である。この関係比を最適化するか又は最小限に抑えることによって、溶融部分組立体12内で高い塗布温度に保持される接着剤材料の総量も最小限に抑えられ、上述した利点をもたらす。さらに、受入空間16内の固体接着剤材料の溶融速度が増し、そのため、溶融接着剤材料の滞留量がより少ないにも関わらず、最大接着剤流量を依然として達成することができる。
例示的な実施形態の溶融部分組立体12はまた、接着剤吐出装置10において使用される接着剤ペレット160の特定の寸法及び形状に関して最適化される。これに関して、3ミリメートル径〜5ミリメートル径の丸い形状の接着剤ペレット160が、例示的な実施形態の溶融部分組立体12とともに使用される。しかしながら、断面寸法が最大12ミリメートル寸法のピロー状、スラット状、チクレット状及び他の形状のペレットを含むがそれらに限定されない、他の形状及び寸法の接着剤ペレット160を他の実施形態において用いることができることが理解される。例示的な実施形態では、小径寸法の接着剤ペレット160により、管寸法(例えば、入口ホースの寸法)と、接着剤ペレット160が接着剤源から溶融部分組立体12へと上昇及び移動するのに必要とされる空気流速度とが低減することが可能になる。このより低速の空気は、接着剤ペレット160を受入空間16内で使用するために空気流から引き離すようにサイクロン式セパレーターユニット14において緩速することがより容易である。ピロー状等の他の形状に比して丸い形状の接着剤ペレット160が好ましいが、その理由は、丸い形状は、接着剤ペレット160の幾何学的形状に基づく連鎖又は架橋を回避するからである。さらに、受入空間16内に積み重なった丸い接着剤ペレット160は他の形状のペレットよりも取り込む空気が少ない傾向があり、これにより、液面センサ18が、受入空間16の接着剤ペレット160がある部分と、受入空間16の接着剤ペレット160がない部分との間の誘電体容量の差を正確に検知する可能性がより高くなる。したがって、溶融部分組立体12の特徴の最適化は、接着剤吐出装置10とともに使用するのに最適化した接着剤ペレット160を選択することによって更に利する。
したがって、溶融部分組立体12は全体として、従来の接着剤吐出装置に比べて最適化されている。より詳細には、溶融部分組立体12は、大量の接着剤を必要とする時間中に最大接着剤流量を達成することを依然として可能にしつつも、接着剤吐出装置10内で滞留され高い塗布温度に保持する必要がある接着剤材料の量を最小限に抑える。受入空間16及び液だめ22の容積がより小さいことにより、冷間始動からのより迅速な暖機運転が可能になるとともに、いかなる接着剤材料も、長すぎる時間に亘って高い塗布温度に保持されることによって劣化又は炭化する可能性が低減する。溶融部分組立体12内で待機する接着剤材料の量がより少ないにも関わらず、受入空間16内の接着剤液面高さの正確な監視により、受入空間16及び液だめ22が、ポンプ56及び出口60に送出する溶融接着剤材料を決して切らすことがないように、コントローラー48が更なる接着剤材料を迅速に要求することが可能になる。
図7A〜図8Dを参照すると、別の例示的な実施形態の溶融部分組立体12a(以下、前述の実施形態からの区別を助けるように「メルター12a」と称する)が詳細に示されている。この実施形態のメルター12aは、図1〜図6の前述の実施形態と同じ部材のうちの多くを備え、これらの部材は、前述の実施形態と変わっていない場合は以下で更に記載することなく同一の参照符号で示される。メルター12a自体を含めた、変更されたいくつかの部材には、変更された構成部品を強調するように「a」を後に付けた同様の参照符号が付与されている。これらの変更された更なる構成部品は以下で詳細に記載する。
始めに図7Aの右側及び図7Bの一部を参照すると、メルター12aのポンプ56aは、図1の実施形態の壁に取り付けられる状況において示された既知のピストンポンプ56とは変更されている。このために、この実施形態のポンプ56aは、加熱ハウジング252に少なくとも部分的に挿入されるように構成されているカートリッジ式ポンプ本体250を備える。この実施形態の加熱ハウジング252は、前述の実施形態の別個の流体室124及びマニホールド54に置き換わる組合せ型の流体室及びマニホールドによって画定され、それにより、メルター12a内に設ける必要がある総構造量を単純化する。しかし、本発明の範囲に一致する他の実施形態において、加熱ハウジング252は、マニホールド54と熱連通及び/又は流体連通している別個の部材として設けることもできることが理解される。したがって、加熱ハウジング252は、ポンプ本体250を少なくとも部分的に囲み、メルター12aの始動状態及び通常動作中に熱エネルギーをポンプ本体250及びポンプ56a内の接着剤に送達するように配置される。結果として、ポンプ56a内の接着剤が、従来の設計よりも迅速に加熱ハウジング252によって所望の塗布温度に加熱されるので、メルター12a及び関連する接着剤吐出装置の、始動状態又は停止状態からの始動時間が短縮される。
この実施形態のカートリッジ式ポンプ本体250は、流体室142を含むように上記で詳細に記載した前述のポンプ56の油圧セクションに有効に置き換わる。一方で、ポンプ56aの他の部材の多くは、前述の実施形態と同じままである。例えば、この実施形態のポンプ56aは、ここでもピストン作動式の空圧ポンプである。そのため、ポンプ56aは引き続き、空気室140によって画定される作動セクション254と、作動セクション254とポンプ本体250との間に延在する制御セクション152とを有する。作動セクション254は、空気室140内に封入されるとともに、スプール弁151を通して送出される加圧空気によって往復運動するように構成されているピストン148(図8Aに部分的に示す)を含む。上述したように、制御セクション152は、リミットスイッチが係合すると位置を切り換えるようにスプール弁151を作動させることによって、ピストン148における空気流方向を変える機械的変更装置とすることができる変更装置153を含むが、変更装置153は、他の実施形態では、様々なタイプのセンサによって制御される電子変更装置を含む等、変更することができることも理解される。変更装置153とともに用いられる特定の構造に関係なく、ポンプ56aは、上述したのと同様にして動作して、液だめ22aから溶融した接着剤を引き出して、この接着剤を、メルター12aに接続される吐出装置(図示せず)につながる加熱ハウジング252(例えば、マニホールド)の出口256を通して圧送する。この圧送動作は、図8B及び図8Cのポンプ56aの最下部の断面図を参照して下記で更に詳細に記載される。
引き続き図7A及び図7Bを参照すると、この実施形態のメルター12aの更なる特徴部が示されている。加熱ハウジング252は、メルター12aの変更された液だめ22aに直接当接し、したがって液だめ22aから伝導される熱エネルギーを受け取る。この実施形態の液だめ22aは引き続き、接着剤を液だめ22a内で溶融状態かつ所望の塗布温度に維持する熱エネルギーを生成するように動作する加熱素子131を備える。また、液だめ22aは、この熱エネルギーを加熱素子131から加熱ハウジング252に伝導し、熱エネルギーをポンプ56a内の接着剤に印加することもできるようになっている。ポンプ56aは、ポンプ本体250が加熱ハウジング252によって少なくとも部分的に囲まれている。加熱ハウジング252は、図示のように加熱ハウジング252を通って液だめ22a内に延びる複数のねじ切り締結具258によって、液だめ22aと当接関係に維持される。一方で、加熱ハウジング252及び液だめ22aは、代替的には、まさに前述の実施形態のマニホールド及び液だめのように、単一部品として一体形成してもよいことが理解される。まさに図7A及び図7Bに示されている当接関係のように、そのような代替的な実施形態における加熱ハウジング252及びマニホールド22aの一体構成すなわち単一構成により、熱エネルギーをマニホールド22aから加熱ハウジング252に伝導し、ポンプ56a内の接着剤を加熱することが可能になる。
ポンプ56a及び液だめ22a内の接着剤に印加される熱エネルギーが、通常動作及び始動状態中に所望である液面高さになっていることを確実にするために、この実施形態では、加熱素子131の動作の制御に用いる温度センサ260を、液だめ22a内ではなく加熱ハウジング252内に位置させる。この温度センサ260は、前述の実施形態に関して記載したマニホールド温度センサ132と同様に機能する。このために、温度センサ260は、加熱素子131が加熱ハウジング252及びマニホールド22aを或る特定の温度に維持するのを助けるフィードバックを提供することができ(当然ながら、加熱ハウジング252は動作中、通常はマニホールド22aよりも僅かに低温である)、また、加熱器ユニット20と連動する加熱素子120にフィードバックを提供することもできる。その結果、加熱素子131は引き続き、加熱ハウジング252に伝導されてポンプ本体250内の接着剤材料を昇温させることができる十分な熱エネルギーを生成する。
温度センサ260を用いて加熱素子131を制御することに加えて、メルター12aが熱エネルギーを浪費しないように、マニホールド22aから加熱ハウジング252への熱エネルギー伝導を促進することが望ましい。これに関して、この実施形態のメルター12aは、マニホールド22aの後側に沿って、略U字形状の取付けフック264も備える。取付けフック264は、アルミニウムによって形成され、枠杆(図示せず)を比較的緩い連結状態で受けるような寸法である。枠杆と取付けフック264とのこの比較的緩い連結は、メルター12aが、壁取付けハウジング内に収容されているか、移動スタンド上に配置されているか、又は何らかの他の既知の構造体に取り付けられているかに関係なく、枠杆が依然として堅牢で信頼性のある支持を提供してメルター12aを適所に保持することを可能にしながら、これらの部材間の表面積すなわち接触量を最小にするように設計される。結果として、取付けフック264は、マニホールド22aから枠杆に熱エネルギーがほとんど伝導しないことを可能にする。これは、マニホールド22aから放出される場合、熱エネルギーは、加熱ハウジング252に向かってのみ移動する傾向があることを意味する。したがって、取付けフック264の使用により、加熱素子131からの熱エネルギーが実質的にマニホールド22a及び加熱ハウジング252内に抑制されるので、メルター12aの動作効率が向上する。この効率は、以下で図8Dを参照して更に記載されるように、メルター12aの構成部品のうちのいくつかの周囲に断熱用外側ハウジング266を設けることによって向上させることもできる。
引き続き図7Bを参照すると、制御セクション152から下方に延びるポンプ本体250は、略円筒形の細長い本体部270と、加熱ハウジング252の頂面274に当接するように構成されている上側シール部272とを有する。同様に、加熱ハウジング252は、頂面274から下方に延在する細長い穴276を有する。細長い穴276も略円筒形状を有して形成され、これにより、ポンプ本体250及び加熱ハウジング252が非円筒形状を有する場合よりも、これらの部材を所望の公差に製造することがより容易になる。細長い穴276は、細長い本体部270が細長い穴276内に完全に収納された場合、ポンプ本体250の上側シール部272の一部を受けるような寸法である段付き上側穴部278を有する。その結果、ポンプ本体250を細長い穴276に対してひとまとめに容易に挿入又は脱離することができるので、ポンプ本体250は「カートリッジ式」ポンプと定義される。このように分離しているところが、図7Bの部分分解図によって概略的に示されている。
加熱ハウジング252に対するポンプ本体250及びポンプ56aのこの特定の回転的な位置合わせは、全ての実施形態において重要ではない場合があるが、この実施形態のポンプ本体250は、ポンプ56aの保持と、所望の回転向きにおける加熱ハウジング252に対する位置合わせに用いる位置合わせ形状部を有する。このために、ポンプ本体250は、細長い本体部270の側部に、上側シール部272の下方に或る距離を置いて切り込まれる切欠き部280を有する。加熱ハウジング252は、細長い穴276に対して略横断方向であり、かつ細長い穴276と部分的に重なる係止穴282を有する。そのため、切欠き部280は、係止穴282と位置合わせされるように構成され、係止穴282及び切欠き部280を通して単一のロック用締結具284を加熱ハウジング252に挿入することができるようになっている。締結具284は、明確さのために図7Bでは加熱ハウジング252から分解して示されているが、締結具284の正確な配置は、図8Cの設置位置においておそらくより良く示されている。これは以下で更に詳細に記載される。結果として、ポンプ本体250は、図示のこの単一の締結具284を用いることにより、加熱ハウジング252内の適所に位置合わせ及び保持することができる。この構成は、ポンプ56aをメルター12aの残りの部分に組付け及び固定するプロセスを単純化する。
図7A及び図8Aに示されているメルター12aでは、サイクロン式セパレーターユニット14aも変更されている。これに関して、略円筒形の管72a上の適所に溶接されていた種々の構造体が、略円筒形の管72aから脱離され、取外し可能なサイクロンキャップ73aに形成されている。より詳細には、排気管84a及び接線方向の入口管80aは、取外し可能なサイクロンキャップ73aと一体形成されるか又はサイクロンキャップ73aに接続されている。サイクロンキャップ73aは、略円筒形の管72aの直径よりも僅かに小さい内径を規定し、サイクロンキャップ73aは、略円筒形の管72aに少なくとも部分的に挿入することができるようになっている。略円筒形の管72aは、サイクロンキャップ73aが略円筒形の管72aに挿入される場合、サイクロンキャップ73aの外周に形成される対応する保持リップ89aに係合するように構成されている、1つ又は複数の保持クリップ87aを含む。結果として、サイクロンキャップ73aは、略円筒形の管72a及び受入空間16を必要な場合に容易に検査することができるように、選択的に取り外すことができる。サイクロンキャップ73aを設けることにより、略円筒形の管72a上の適所に部材を溶接することがもはや必要ないため、サイクロン式セパレーターユニット14aの製造も単純化される。全ての他の点において、サイクロン式セパレーターユニット14aは、上述した前述の実施形態と同様に動作する。
受入空間16及び加熱器ユニット20は、前述したものと同一であるが、液だめ22aがまた、この実施形態のメルター12aでは僅かに変更されている。完全に開口した箱状流路が加熱器ユニット20とポンプ56aとの間に形成される代わりに、この実施形態の液だめ22aは、周壁126aから内方に突出し、加熱素子131によって加熱することができるマニホールド22aにおける表面積を増加する複数のフィン135a(図7B及び図8Aでは最も容易に見て取れる)を含む。当然ながら、加熱素子131は、上述したように加熱ハウジング252及びポンプ本体250に熱エネルギーを提供するのに用いることもできる。周壁126aは、内方にテーパー状になり、加熱器ユニット20の底部からポンプ56aにつながっているボウル状流路を形成する。したがって、液だめ22aはまた更に、メルター12a内に保持されている接着剤の量を最小化し、これは上述の理由から有利である。少なくともこれらの理由から、この代替的な実施形態のメルター12aは引き続き、前述の実施形態の利点を達成する。
図8B〜図8Dを参照すると、メルター12aの更なる特徴部、詳細にはこの実施形態のポンプ56a及び加熱ハウジング252の更なる特徴部が示されている。ポンプ56aは、ポンプ本体250内に配置される遠位端部290まで延在するポンプロッド146を備える。遠位端部290は、チェックボール292及び弁座294を含み、ポンプ本体250内で遠位端部290の下方に形成されている液体室296から上方への流れを可能にし、それにより、ポンプロッド146の周囲と、ポンプ本体250の細長い本体部270と上側シール部272との間に画定されるポンプ出口298に向かう流れを可能にする。このために、チェックボール292は、液体室296の下流の地点から液体室296への接着剤の逆流を防止する。したがって、ポンプロッド146が下方に動く場合、液体室296内の接着剤は、弁座294を通ってポンプロッド146の遠位端部290上方の空間に移動する。ポンプロッド146が上方に動く場合、チェックボール292は、弁座294に接して閉鎖し、遠位端部290上方の空間内の接着剤が、この上方への動きによりポンプ本体250からポンプ出口298を介して押し出される。
ポンプ本体250は、第2の弁座302と、第2の弁座302と対応する第2のチェックボール304とを保持する遠位端部300も備える。第2のチェックボール304は、液体室296に入る接着剤の上方への流れを可能にし、ポンプ本体250から加熱ハウジング252及び/又は液だめ22aに戻る接着剤の逆流を防止する。したがって、ポンプロッド146が下方に動く場合、第2のチェックボール304は、第2の弁座302に当接して閉鎖し、ポンプロッド146の動きによって、液だめ22aと連通する加熱ハウジング252の入口通路306に戻る接着剤の流れが駆動されるのを回避する。ポンプロッド146が上方に動く場合、第2のチェックボール304は開放し、遠位端部290の上方への動きによって液体室296に引き込まれる接着剤の流れと、これに対応する液体室296からポンプ出口298を通した接着剤の移動とを可能にする。したがって、作動セクション254においてピストン148に作用する加圧空気が引き起こすポンプロッド146の往復運動は、液だめ22a及び加熱ハウジング252から出口256へ、そして吐出装置(図示せず)への接着剤の流れをもたらす。ポンプロッド146をポンプ本体250に対して動かす際に、他の弁装置を用いて、流体室296を出入りする流れを制御することができることが理解される。
加熱ハウジング252の出口256は、図8Cに最も明確に示されている一連の出口通路308a、308b、308cを介してポンプ出口298に流体接続されている。これらの出口通路308a、308b、308c内の接着剤は、熱エネルギーが液だめ22aにより加熱ハウジング252に伝導される結果として所望の温度に加熱されたままである。したがって、ポンプ56a内の接着剤及びポンプ56aの下流の接着剤を、始動状態中に迅速に加熱して動作温度に戻すことができる。出口通路308a、308b、308cは、出口256のそれぞれへの接着剤の流れをもたらすように構成されているが、これらの出口256を使用しない場合、出口256のうちのいくつかを栓310によって塞ぐことができることが理解される。また、出口通路308a、308b、308c、及び加熱ハウジング252の出口256の特定の構成は、本発明の範囲から逸脱することなく構成変更することができることが理解される。
最初に記載した実施形態と同様に、ポンプ56aは、ポンプロッド146の動作及び運動時に、接着剤が加熱ハウジング252から漏れるのを防止するシール部材を備える。このために、上側シール部272は、接着剤がポンプロッド146によってポンプ本体250から移送されるのを防止するとともに、ポンプ本体250と加熱ハウジング252の頂面274との間で漏れるのを防止するように構成されている複数のシール144を含む。これらのシール144は、図示の実施形態ではOリングとして示されているが、他のタイプの同様の静的シール又は動的シールをこれらの目的に用いることができる。ポンプ本体250の上側シール部272に、1つ又は複数のにじみ出し通路312を設けることもでき、それにより、シール144によってポンプロッド146から除去された接着剤が「にじみ出る」、すなわちポンプ出口298及び/又は出口通路308a、308b、308cに逆流することが可能になる。したがって、メルター12aの動作中に、ポンプ本体250及び加熱ハウジング252からの接着剤の流れが取り損なわれることがない。
加熱ハウジング252は、液だめ22aからの熱エネルギーを、加熱ハウジング252全体を通して、加熱ハウジング252内に収容されている接着剤に容易に送達することができるように、アルミニウム等の熱伝導性材料によって形成される。しかし、加熱ハウジング252への熱エネルギー伝導は、液だめ22aとの当接によって示されているように、まず加熱ハウジング252の底部を伝って起こる。そのため、加熱ハウジング252の底部から頂面274にかけて、数度の僅かな温度勾配がある場合がある。このような温度勾配は、接着剤温度が溶融及び吐出される接着剤の所望の温度範囲内に留まるので、許容可能である。加熱ハウジング252における温度均一性を向上させるために、メルター12aのいくつかの構成部品を、図8Dに示されているように任意選択の断熱用外側ハウジング266に収容することができる。図8Dに示されている例では、加熱器ユニット20と、液だめ22aと、ポンプ本体250を囲む加熱ハウジング252とが全て、断熱用外側ハウジング266内に位置する。これらの加熱される部材から作業者を保護することに加えて、熱エネルギーがメルター12aのこれらの部材内に留まる傾向があり、したがって加熱ハウジング252等の物品における更なる温度均一性を達成することができる。当然ながら、断熱用外側ハウジング266は、本発明の他の実施形態において、いくつかの選択された部材のみを収容するように変更してもよいし、完全に省略してもよい。
メルター12bのまた別の代替的な実施形態の一部が図8Eに示されている。このメルター12bは、加熱ハウジング350を除き、図7A〜図8Dの実施形態に関して論じたものと大部分が同じ構造である。この実施形態では、加熱ハウジング350は、直前の実施形態の液だめ22a又は最初に記載した実施形態の液だめ22及びマニホールド54に当接するように配置されている、別個の加熱ブロック352である。加熱ブロック352は、前述の実施形態のようにマニホールドに組み込まれないが、液だめ22、22aにおいて発生した熱エネルギーは、依然として加熱ブロック352に伝導され、ポンプ56a内の接着剤を昇温させることができる。さらに、加熱ブロック352は、ポンプ56a内の接着剤の昇温及び温度維持を更に援助する、別個の加熱素子を含むことができる。細長い穴276を用いたポンプ本体250のカートリッジ式の組付けを含めた全ての他の点において、加熱ブロック352は、前述の実施形態の加熱ハウジング252と同様に動作する。加熱ブロック352は、この実施形態では一般的な箱形の外形を有して示されているが、この一般的な構成は、本発明の範囲に一致する他の実施形態において変更することができる(流出口を含むことによって等)ことが理解される。
図8Eに示されているように、1つ又は複数の異なるタイプの加熱器により、加熱ブロック352に更なる加熱素子を設けることができる。例えば、加熱ブロック352は、加熱ブロック352内に位置するとともに細長い穴276を部分的に囲む、加熱器カートリッジ354又は鋳込み加熱器を含む。結果として、ポンプ56aが加熱ブロック352に挿入される場合、熱エネルギーが生成されてポンプ本体250に即時供給される。代替的に又は加えて、加熱ブロック352は、加熱ブロック352の外面に沿って等、加熱ブロック352の外側に位置する板状面加熱素子356を含む。この面加熱素子356は、加熱ブロック352の側部に熱エネルギーを伝導し、加熱ブロック352全体を通してポンプ本体250に熱エネルギーを印加する。加熱ブロック352を備える他の実施形態において、他の既知のタイプの加熱素子及びこれらの加熱素子の他の構成を用いることができることが理解される。前述の実施形態と同様に、必要に応じて液だめ22、22aから伝導される熱エネルギー及びこれらの他の部材(加熱器カートリッジ354、面加熱素子356)からの熱エネルギーは、接着剤の所望の塗布温度におけるメルター12bの迅速な始動及び一貫した動作を可能にする。したがって、この実施形態のメルター12bは、前述したメルター12、12aと同じ利益を達成する。
図6、図9、及び図10は、静電容量式液面センサ18の更なる特徴部を示している。液面センサ18は板部材96を含む。板部材96は、電気的障壁213によって内側部分212から電気的に隔てられている外側部分210を含む前面208を有する。本発明の例示的な実施形態によれば、液面センサ18は、受入空間16内の高温に耐えることが可能な材料によって製造されるプリント回路基板である。そのような材料の1つの例は銅であるが、本発明の範囲に一致する他の実施形態では他の材料を使用することができる。さらに、この例示的な実施形態の液面センサ18は、複数の側壁98を有する受入空間16内の充填液面高さを測定する。しかしながら、液面センサ18は、矩形タンク又は円筒形タンク等の、少なくとも1つのタンク壁を有する任意のタンクとともに使用することができることが理解される。
液面センサ18を受入空間16内に取り付けるために、外側部分210は、板部材96に圧入される複数の締結具マウント214を有する。複数の締結具マウント214は、液面センサ18の外側部分210の周囲に対称的に固定される。締結具マウント214のそれぞれは、前面208から後面217にかけて板部材96を貫通する取付け孔216を更に有する。液面センサ18を受入空間16内に取り付けるとともに、受入空間16の周側壁98のうちの1つに隣接して位置付けるために、複数のセンサ締結具218が取付け孔216内に締結される。例えば、取付け孔216及びセンサ締結具218は、センサ締結具218が取付け孔216内の適所にねじ込まれるようにねじを切ることができる。
さらに、合成ゴム及びフルオロポリマーエラストマー(例えばViton(商標))によって作製されるガスケット等のガスケット220が、液面センサ18の後面217と側壁98との間に挟み込まれ、液面センサ18を側壁98に対してシールする。したがって、板部材96は、側壁98に対して実質的に面一に配置されるとともに、ガスケット220を用いて側壁98に対してシールされるような寸法である。ガスケット220は、いかなる接着剤材料も後面217に沿って溜まらないようにする。本明細書において前述し図6に示したように、接着剤ペレット160を前面208から溶かし落とすことによって液面センサ18における接着剤ペレット160の蓄積を最小限に抑えるために、回路基板の板部材96の上記配置及び寸法が、受入空間16内での板部材96の効率的な加熱を可能にする。より具体的には、加熱器ユニット20から受入空間16の周側壁98を通して伝導される熱が、大きな液面センサ18へと容易に伝導されて、受入空間16内の接着剤の液面高さを上回って板部材96上に付着したいかなる接着剤ペレット160すなわち接着剤材料も迅速に溶かしきる(溶かしきらなければ、それらの場所において検知される誘電体容量に影響を及ぼす)。結果として、受入空間16内の実際の充填液面高さを上回って堆積したいかなる接着剤ペレット160すなわち接着剤材料も迅速に溶けきって、受入空間16内の実際の充填液面高さの読取りに影響を及ぼすことが回避される。
大きな液面センサ18は、液面センサ18が取り付けられる側壁98の表面積の大部分又はその表面積の40%よりも多くと係合するような寸法である。より詳細には、大きな液面センサ18は、液面センサが取り付けられる側壁98の表面積の70%よりも多く又はその表面積のほとんど全体と係合する。例示的な実施形態では、例えば、板部材96の駆動電極100は、約4.8387×10−3平方メートルの表面積SAPEを規定することができ、受入空間16の側壁98は、約6.9032×10−3平方メートルの側壁表面積SAHを規定することができ、そのため、液面センサ18は約0.7対1の表面積比を規定する。この表面積比は、受入空間16内に位置付けられる液面センサ18に対する、より広い検知窓を提供する。換言すれば、液面センサ18は、受入空間16の側壁の表面積のかなりの割合に亘って、接着剤の充填液面高さの変化を示す誘電体容量の変化を検出することが可能である。このより広い検知窓は、接着剤の局所蓄積及び他の局所影響がセンサ出力全体に実質的に影響を及ぼさないため、充填液面高さ変化に対してより確実に応答する。さらに、液面センサ18の読取り感度が増し、そのため、受入空間16内の誘電体容量を読み取るとともにアナログ信号を生成する際に、より良好な信号対ノイズ比が達成される。したがって、側壁98の表面積に対する駆動電極100の表面積を最大にすることによって、より広い検知窓をつくり出すことが有利である。さらに、より大きな検知窓は、従来のホッパーにおいて用いられる、より小さな探り針状のセンサよりも良好な検知性能を提供する。
さらに、このより広い検知窓により、液面センサ18を使用して更なる制御を行うことが可能になる。これに関して、例示的な実施形態における液面センサ18は、受入空間16内の充填液面高さがより多くの接着剤材料を受入空間に送出することを促す程度に低い場合(例えば40%)に第1の制御信号を生成することを可能にするとともに、受入空間16内の充填液面高さが受入空間の十分な充填を示す場合(例えば90%)に第2の制御信号を生成することを可能にするように構成することができる。このように、液面センサ18は、閾値充填液面高さに達するごとに一定量の接着剤材料を受入空間16に送るだけでなく、補充プロセスが開始する際のその時点での処理量率に関係なく、受入空間16の十分な補給を保証する複数の制御信号の生成をもたらすことができる。本発明に一致する他の実施形態では様々な充填液面高さについて更なる信号を生成することができ、これらの更なる信号を用いて、例えば、処理量率をより良好に検出し、それにより、接着剤材料を必要とする際に接着剤材料を受入空間16に先行して供給することができる。その場合、接着剤吐出装置10は、略オンデマンド又は従量式に適切な量の接着剤材料をより容易に供給及び溶融することができる。これらの複数の制御信号は、液面センサ18のより広い検知窓によって効果的に可能となる。
本明細書において詳細に記載されている液面センサ18は、様々な寸法及び断面形状を有する他のタイプの受入空間16とともに用いることができることが理解される。例えば、別の接着剤吐出装置に関して受入空間16の寸法が増加している場合、液面センサ18もまた、(駆動電極100及び側壁98の)同様の表面積比と、同様のより広い検知窓とを維持するために大型化することができる。しかしながら、液面センサ18は、駆動電極100の寸法が上記で詳細に記載した複数の制御信号を供給するのに十分な程度のままである限り、著しく寸法変更することなく用いることもできる。このために、液面センサ18は、受入空間16の寸法に関係なく、0.4対1を超える表面積比を維持することが好ましい。駆動電極100が受入空間16の側壁98の40%未満を覆う実施形態においてさえ、駆動電極100の寸法(例えば、駆動電極100の高さ)は依然として、受入空間16内の様々な充填液面高さにおける複数の制御信号を供給するのに十分である。そのような状況において、液面センサ18は、より良好な応答性、より正確な読取り、接着剤蓄積等の局所事象の受け難さ、及び複数の制御信号の生成を含む、上述した利点を提供する。
液面センサ18の内側部分212は給電電極又は駆動電極100として動作し、外側部分210及び後面217はいずれも接地電極222として電気的に接続される。このように、駆動電極100及び接地電極222は同じ板部材96上に形成されている。さらに、接地電極222は受入空間16の側壁98と電気的に接続する。駆動電極100及び接地電極222は、液面センサ18の静電容量端子を規定し、このとき、空気及び接着剤ペレット160は、駆動電極100と接地電極222との間に配置される誘電体として作用する。概して、駆動電極100と接地電極222との間で検知される、誘電体の誘電体容量は、駆動電極100と接地電極222との間の距離が最小である場所で検知される。この最小距離は、電気的障壁213を横切って規定することができるか、又は、駆動電極100と、受入空間16の、接地電極222と電気的に接続する最も近い側壁98との間の空間によって規定することができる。このように、駆動電極100と接地電極222との間の誘電体を介した実際の距離は、受入空間16の幾何学形状に依存する。
この距離は、駆動電極100と接地電極222との間の最小距離ではなく最大にして、駆動電極100と接地電極222との間の誘電体量を増加させることもできる。静電容量端子間の誘電体量を増加させることにより、液面センサ18の精度全体が向上する。このように、液面センサ18は、別の実施形態では、この最小距離を決定するのに受入空間16の幾何学形状に依存するのではなく、駆動電極100と受入空間16の所定の場所との間の誘電体容量を測定するように液面センサ18を方向付けるようになっている電気駆動遮蔽体224を備える。この代替的な実施形態では、外側部分210は、駆動遮蔽体224として作用するように動作可能に給電される。したがって、駆動遮蔽体224は、駆動電極100が、駆動電極100と、受入空間16の、駆動電極100の正反対に位置する側壁98(すなわち、受入空間16の、駆動電極100に正対する部分)との間に位置する誘電体容量を強制的に検知するように、駆動電極100を周方向に囲む電界を生成する。これによって、駆動電極100と接地電極222との間の距離を増加させて液面センサ18の精度を向上させることができる。液面センサ18の例示的な実施形態では、駆動遮蔽体224は、受入空間16内の接着剤材料の液面高さを示す読取り値の精度及び応答性を向上させるように設けられる。
液面センサ18はまた、駆動電極100及び接地電極222がそれぞれ電気的に接続されるSMAコネクタ226を備える。代替的な実施形態では、駆動遮蔽体224もSMAコネクタ226に電気的に接続される。SMAコネクタ226は、板部材96に固定されており、後面217からガスケット220を通って側壁98のコネクタ穴228に延びる。図6に示されているように、SMAコネクタ226は、接着剤ペレット160の液面高さが受入空間16内で変化するにつれて変化する誘電体容量を検知するようにSMAコネクタ226をコントローラー48に動作可能に接続するために、SMAコネクタ226に外部アクセスを提供するように側壁98を通って延びる。上述したように、その場合、この検知された充填液面高さ変化によって生成される制御信号を用いて、サイクロン式セパレーターユニット14を通して(又は上述した他の方法によって)より多くの接着剤材料の送出を駆動して、それにより、受入空間16内に所望液面高さの接着剤材料を維持する。
代替的な一実施形態の液面センサ318が、図11の受入空間16内に取り付けられて示されている。この実施形態では、液面センサ318及び対応する駆動電極400は寸法が縮小して、駆動電極400と受入空間16の底部との間により大きな間隔が提供されている。前述したように、受入空間16の底部は、加熱器ユニット20が画定している仕切り110の頂部にすぐ近接して位置付けられている。接着剤の液面高さが仕切り110の頂部を下回ることは非常に望ましくなく、その理由は、これらの仕切り110の覆われていない部分の温度が急速に増加することにより、受入空間16に加えられた新たな接着剤の炭化又は劣化につながる可能性があるからである。したがって、ホッパーの空状態が駆動電極400によって検知されるのが、加熱器ユニット20の露出を回避するには遅すぎるという可能性を低減するように、駆動電極400の底部が受入空間16内のより高いところに位置付けられ、それにより、ホッパーの空状態又は信号がより早期に(例えば、受入空間が30%しか充填されていないとき等)に提供される。この実施形態では、駆動電極400は、約3.2258×10−3平方メートルの表面積SAPEを規定することができ、受入空間16の側壁98は、約6.9032×10−3平方メートルの表面積SAHを規定することができ、そのため、液面センサ18は、約0.468対1の表面積比を規定する。駆動電極400のこの表面積比又は寸法は依然として、より広い検知窓を提供するのに十分であり、本発明の範囲に一致する他の実施形態では特定の比又は寸法を変更することができることが理解される。
図12〜図15を参照すると、前述の実施形態の液面センサ18、318を動作させるのに用いられる有利な制御サブルーチンが詳細に示されている。これに関して、液面センサ18が行う誘電体容量の測定は、液面センサ18における温度変化によって既知のように影響を受ける。液面センサ18は、液面センサ18の温度が下がると受入空間16が実際よりも少なく満たされていると読み取り、このことは、充填システム52を用いて多すぎる補充量が駆動される場合に、過充填状態につながる可能性がある。結果として、これらの問題を解消するために、誘電体容量測定が行われる場合に液面センサ18の温度がわかっているものと仮定した場合、液面センサ18の既知の温度調整曲線に従って測定値を調整することができる。
この温度を推定する1つの方法は、対応する温度センサ122によって提供される、加熱器ユニット20における温度読取り値を用いることであるが、「格子温度」は、図14に示されているとともに以下で更に詳細に記載するように、液面センサ18における温度に密接には追従しない。この温度を得る別の方法は、液面センサ18に更なる温度センサを設けることである。しかしながら、設計のコスト及び複雑性を最小限に抑えるために、有利な制御サブルーチンでは、コントローラー48及びタイマー53を用いて、液面センサ18における温度変化を推定するとともにそれに従って充填液面高さ測定値を調整する。このプロセスはソフトウェアで完全に行われるため、吐出装置10を製造又は維持する更なるコストがかからず、得られる動作は、温度変化を補償しないシステムに比して向上している。
始めに図12を参照すると、低温加圧空気及び未溶融接着剤が受入空間16に送出される結果として周期的に生じる温度変化に基づき、液面センサ18から測定された誘電体容量を補償する一連の動作500が行われる。コントローラー48が、加熱器ユニット20が達成するように設定されるユニット設定点温度と液面センサ18の変動する温度の調整曲線とをメモリから索出する(ブロック502)ことによって開始する。これらの要素は既知であり、コントローラー48のメモリに予めプログラムされている。コントローラー48はまた、液面センサ18の推定温度に適用してよい最大オフセットを計算する(ブロック504)。この最大オフセットは、ユニット設定点温度の関数であり、加熱器ユニット20及び吐出装置10の通常動作中に液面センサ18が下がる最低温度を示す。例えば、最大オフセットは、以下の式:
(0.35)×(ユニット設定点温度)−華氏37.5度
によって計算することができる。代替的な実施形態では設定値又は異なる式を用いることができるが、この式が、最大温度降下がユニット設定点温度の関数であることを正確に反映すると考えられる。
吐出装置10がこの時点において定常状態にある(例えば、液面センサ18における温度に適用されるオフセットがゼロである)ものと仮定した場合、液面センサ18は、上記で詳細に述べたように受入空間16内の空気及び接着剤の誘電体容量を測定する(ブロック506)。コントローラー48は、充填システム52が接着剤を受入空間16に供給するように駆動されているかどうかを判定する(ブロック508)。供給が駆動されていない場合、制御サブルーチンが接着剤の充填液面高さを判定するように未調整の測定静電容量を液面センサ18からコントローラー48に報告する(ブロック510)。これに関して、オフセットがゼロに等しく、また、液面センサ18が定常状態の条件で動作している場合、温度変化を補償する必要はない。その場合、制御サブルーチンはステップ506に戻って再び誘電体容量を測定し、それにより、受入空間16内の充填液面高さのいかなる変化に関してもコントローラー48を更新する。
制御サブルーチンは、充填システム52が受入空間16を補充するように作動していると判定された場合は常に、上記ステップの代わりに、華氏40度に等しい「オフセット」変数及びゼロに等しい「時間」変数を設定する(ブロック512)ことに移る。コントローラー48は、この直近の補充が行われたときから、タイマー53を作動させて時間変数を追跡し始める。次に、上記ステップと同様に、液面センサ18が、受入空間16内の空気及び接着剤の誘電体容量を測定する(ブロック514)。次に、コントローラー48が、誘電体容量のこの測定値の現時点のオフセットを計算する(ブロック516)。このプロセスは以下で図13を参照して更に詳細に記載される。現時点のオフセットは、液面センサ18からの静電容量読取り値を調整するように任意の所与の時間において適用されるユニット設定点温度からの推定温度変化量である。この現時点のオフセットが計算されると、コントローラー48は、現時点のオフセットがゼロに等しい場合を判定し(ブロック518)、この判定が、液面センサ18が定常状態温度まで戻るべきであることを示す。現時点のオフセットがゼロに等しい場合、制御サブルーチンはステップ510に戻り、未調整の測定静電容量をコントローラー48に報告し、そのため、接着剤の充填液面高さをこの測定静電容量から求めることができる。このために、現時点のオフセットがゼロに達するときはいつでも、充填システム52がもう一度作動するまで、未調整の測定静電容量を用いるプロセスが再び開始し、それにより、より多くの低温の空気及び接着剤が受入空間16の中にもたらされる。
ステップ518において現時点のオフセットが非ゼロ値である場合、このことは、液面センサ18が定常状態温度に戻っていない可能性が高いことを示唆する。結果として、制御サブルーチンは、充填システム52がより多くの接着剤を受入空間16に供給するように再び作動しているかどうかを判定する(ブロック520)ことによって続行する。そのような補充が行われていない場合、制御サブルーチンは、現時点のオフセットである液面センサ18の温度変化を補償することによって測定静電容量を調整する(ブロック522)。この調整は、上述したように液面センサ18ごとに予め定められている、液面センサ18の既知の温度調整曲線を用いて行われる。例示的な一実施形態では、この調整は、以下の式:
静電容量(ファラッド)=−1.04939E−17×(センサ温度)^2+
9.32678E−15×(センサ温度)+1.176989E−10
を用いて行うことができる。この調整済みの測定静電容量は次に、受入空間16内の接着剤の充填液面高さを判定する際に用いるようにコントローラー48に報告される(ブロック524)。したがって、接着剤の充填液面高さは、液面センサ18における温度のより正確な推定値が用いられることから、より正確に求められる。この調整を用いることにより得られる差は、以下で図15のグラフを参照して記載する。次に、制御サブルーチンはブロック514に戻って誘電体容量を再び測定し、コントローラー48のために充填液面高さを更新する。
ブロック520において、充填システム52が受入空間16に補充するように再び作動しているが現時点のオフセットがゼロに等しくない場合、オフセット変数をもう一度増加させねばならない。制御サブルーチンは、現時点のオフセットがゼロであった場合にブロック512においてなされたようにオフセットを華氏40度だけ増加させるのではなく、代わりに、現時点のオフセットに更なる華氏30度を加えたものに等しいオフセット変数を設定する(ブロック526)が、このオフセット変数は、ブロック504において計算された最大オフセットよりも大きく設定することはできない。またブロック526において、新たな補充が行われたことから、経時変数がゼロにリセットされ、タイマー53が新たに始動する。次に、制御サブルーチンがブロック514に戻って液面センサ18において誘電体容量を再び測定することによって、プロセスを再び開始する。これらの種々の状態中に用いられるオフセットの変化(華氏40度及び華氏30度)が以下の試験結果を用いて求められており、この変化は、補充事象中の液面センサ18の温度降下量に十分に略近似するものである。このために、図示の例示的な実施形態では、試験結果によれば、液面センサ18が定常状態の温度条件で動作している場合、温度降下が華氏約40度であるのに対し、液面センサ18がより低温であるとともに前回の温度降下から依然として回復中である場合、補充に起因する更なる温度降下は、更に華氏約30度であることが示されている。したがって、接着剤供給が頻繁に起こる場合、上述した最大オフセットまでオフセットを累積させることが可能である。液面センサ18の他の実施形態において、異なる閾値オフセット値を提供することができることが理解される。要するに、図12に示されている制御サブルーチンにより、充填システム52から受入空間16への低温の接着剤及び空気の最近の供給によって冷却が引き起こされる可能性が高いことに鑑みて適切である場合、液面センサ18における測定静電容量を調整することが可能になる。この調整は、吐出装置10における更なる機器を用いることなく行われることが有利である。
ここで図13を参照すると、現時点のオフセットを経時に基づき計算するプロセスが一連の動作516として示されている。この一連の動作は、オフセット変数及び時間変数をコントローラー48(及び該当する場合はタイマー53)により索出する(ブロック540)ことによって開始する。例示的な実施形態の充填システム52を作動させる場合、補充プロセスを以下の2つの事態、すなわち、接着剤が受入空間16内で満杯閾値に達していると液面センサ18が判定した場合又は最大補充閾値時間が超過している場合のうちの一方の事態において停止させることができる。この最大補充閾値時間は、例示的な実施形態では10秒であるように設定されるが、異なる形状又は寸法である受入空間16を含む他の実施形態の吐出装置10について、変更することができる。このように、コントローラー48は、オフセット変数及び時間変数を索出した後、このことが、受入空間16が直近の供給作動において最大許容量の低温の空気及び接着剤を受け取ったことを示す際に、直近の充填システム作動が10秒タイマーによって停止しているかどうかを判定する(ブロック542)。
コントローラー48は、充填システム作動が10秒タイマーによって停止していないと判定した場合、第1の所定の傾き値(例示的な実施形態では一秒あたり華氏0.12度である)に等しい減衰傾き変数を設定する(ブロック544)。充填システムの直近の作動がタイマーによって停止している場合、コントローラー48は、充填システム52が作動する頻度を制限するために、20秒等の時間に亘って更なる充填システム作動を抑制するように通知される(ブロック546)。コントローラー48は次に、第1の所定の傾き値よりも高い第2の所定の傾き値(例示的な実施形態では一秒あたり華氏0.2度)に等しい減衰傾き変数を設定する(ブロック548)。受入空間16及び液面センサ18が接着剤により十分に覆われない可能性が高いことから、補充動作が時間切れになる場合に、このより高い減衰傾き値が用いられ、したがって、受入空間16への接着剤及び空気の供給に起因する温度損失をより迅速に回復する可能性がより高くなる。
どの傾き値が減衰傾きに割り当てられるかに関わらず、コントローラー48は次に進んで、減衰傾き、及び、充填システム52の直近の作動以降の経過時間の関数として現時点のオフセットを計算する(ブロック550)。例示的な実施形態では、この関数は以下の式:
(現時点のオフセット)=オフセット−(減衰傾き)×(時間)
によって規定される一次関数である。この現時点のオフセットが計算されると、コントローラー48は計算値が負であるかどうかを判定し(ブロック552)、負である場合、経過時間は液面センサ18が定常状態の温度に戻るのに十分であるとみなされるため、現時点のオフセットをゼロに設定する(ブロック554)。現時点のオフセットが負でない場合、又は現時点のオフセットをブロック554においてゼロに設定した後、コントローラー48は、図12に示されている一連の動作500において上述したように測定静電容量の調整に用いることができるように、計算された現時点のオフセットを受信する。
これらの一連の動作の作用及び利点は、図14及び図15のグラフに更に明確に示されている。図14は、約200秒の時間に亘る接着剤吐出装置10の種々の部材の温度についての試験結果を示す。約0秒〜約100秒まで示されている初期の充填及び再加熱時間の後、加熱器ユニット20の温度(傾向線600によって示されている)と液面センサ18の実際の温度(傾向線602によって示されている)との差は、図示のように著しい差である。これは、加熱器ユニット20における温度センサ122からの温度を用いることが液面センサ18の温度を推定する良好な方法ではない理由を説明する。図12及び図13において上述した補償方法を用いた場合の同じ時間に亘る液面センサ18の推定温度又は算出温度が、傾向線604で示されている。図14に示されているように、この傾向線604は、加熱器ユニット20すなわち「格子」の温度よりもはるかに密接に実際のセンサ温度の傾向線602に沿っている。ソフトウェア/コントローラー48からの推定温度又は補償温度は、液面センサ18の実際の温度よりも僅かに低いが、このことは、より低い温度を用いる結果、充填液面高さが実際に補充閾値に達する前に受入空間16が僅かに補充されることから、許容可能である。このことは、充填液面高さが補充閾値を下回った後で補充するよりも良好な結果となるが、この理由は、充填液面高さが補充閾値を下回った後で補充するような構成は、加熱器ユニット20を露出することにつながる可能性があり得るからである。したがって、液面センサ18において別個の温度センサを使用せずとも、動作中の液面センサ18からの誘電体容量読取り値を正確に調整するように動作中の液面センサ18の温度を十分に推定することができる。
上述した補償方法の結果が、図15のグラフにおいてより明確に示されており、このグラフは、図14に示されている試験時間中の、補償を伴っていない場合及び補償を伴った場合の双方での、静電容量測定値の比較である。参考として、試験結果による静電容量測定値に加え、満杯状態(傾向線610)、補充閾値(傾向線612)、及び空状態(傾向線614)を示す静電容量レベルが示されている。グラフの時間0秒近くに示されているように、受入機構16は実質的に空の状態で試験を開始している。したがって、傾向線612によって示されている補充閾値を上回る接着剤充填液面高さを得るには、充填システム52による数回の補充サイクルを要する。時間約50秒後から、充填システム52がより多くの接着剤を受入空間16に供給するように作動すると、吐出装置10からの接着剤の実質的に一定の圧送の結果、検知された充填液面高さに定常減退が生じた後で一増分が続き、また次に充填液面高さの別の定常減退が生じるといったように続く。上記の図12及び図13に示された一連の動作を用いて補償された静電容量測定値が傾向線618によって示されており、一方、未調整の静電容量測定値が傾向線616によって示されている。図15に示されているように、未調整の静電容量測定値は補充閾値をかろうじて上回っているが、実際の充填液面高さは補充閾値を大幅に超えることが、補償された静電容量測定値からわかる。したがって、未調整の静電容量値をこの試験において用いれば、吐出装置10は、補充が必要でない場合に受入空間16を過剰な頻度で補充する傾向がより高くなり、それによって、過充填に至り、また、例えばサイクロン式セパレーターユニット14の将来の動作の妨げとなる可能性がある乱れ状態に至る。したがって、上述の制御サブルーチン又は一連の動作によって行われる補償は、液面センサ18における温度変化に起因する不正確な読取り値を補正し、受入空間16において更なるセンサ又は他の機器を必要とすることなく問題が回避される。
したがって、受入空間16及び液面センサ18は、受入空間16によって保持される接着剤材料液面高さの高応答かつ正確な読取りをもたらすように最適化される。したがって、接着剤吐出装置10が高流量で動作しているのか又は低流量で動作しているのかに関わらず、コントローラー48には、接着剤材料の液面高さを受入空間16及び液だめ22内で所望液面高さに維持するのに十分な情報が(より広い検知窓の結果として生成されるとともに可能になる複数の制御信号によって)供給される。このために、溶融部分組立体12は、接着剤材料を切らすこと又は多すぎる接着剤材料を充填することが防止される。さらに、受入空間16の側壁98の大部分に沿った板部材96の寸法及び配置により、受入空間16内の接着剤材料の実際の液面高さを上回って液面センサ18上に付着したいかなる接着剤ペレット160すなわち残渣も、迅速に溶かしきることが可能になる。したがって、液面センサ18によって画定されているより広い検知窓は、局所事象又は局所影響を受け難いとともに受入空間16内の充填液面高さ変化に対する感度及び応答性がより高い。このように、液面センサ18は、受入空間16内の材料液面高さを検出する際の応答時間及び精度が向上することが有利である。
本発明をいくつかの実施形態の記載によって説明し、そのような実施形態をかなり詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲の範囲をそのような詳細に制限するか又はいかようにも限定することは意図されていない。更なる利点及び変更点は当業者には容易に明らかとなる。例えば、受入空間16と併せて記載されている液面センサ18は、溶融部分組立体12又は他のタイプの材料移動システムの他の部材とともに用いることができる。したがって、本発明の最も広い態様における本発明は、図示及び記載した特定の詳細に限定されない。本明細書において開示された種々の特徴は、特定の用途に対して必要な又は所望された任意の組合せで用いることができる。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく本明細書において記載された詳細から逸脱することができる。