以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<1.第1の実施の形態>
<1.1.サポートウェアの構成>
図1および図2は、サポートウェア1の構成の一例を示す斜視図である。ここで、サポートウェア1は、作業者の手首付近を把持することによって、上向き作業における作業者の肉体的負担を軽減するための器具である。図1および図2に示すように、サポートウェア1は、主として、背当部11と、腰ベルト12と、支柱13と、一対の肩掛ベルト15と、接続パイプ17と、トルク調整ユニット20と、把持部60と、を有している。
背当部11は、装着時に、サポートウェア1の使用者(以下、単に、「使用者」と称する)の背中と当接するクッション体である。腰ベルト12は、サポートウェア1の装着時に使用者の腰回りを囲繞する固定ベルトである。使用者は、自身の腰回りのサイズに合わせて腰ベルト12を調整することにより、サポートウェア1の自重の一部を、自身の腰付近で支えることができる。
支柱13は、背当部11および腰ベルト12を接続する柱状体である。支柱13の上部は下部に対して相対的に昇降可能とされている。これにより、各使用者の体格にサポートウェア1を適合させることができる。
一対の肩掛ベルト15は、装着時に、使用者の両肩でサポートウェア1の自重の一部を支えるためのベルト体である。図1および図2に示すように、各肩掛ベルト15は、背当部11の背面と、腰ベルト12の内周面と、のそれぞれに結合されている。
接続パイプ17は、支柱13に対してトルク調整ユニット20を取り付けるための接続部材である。接続パイプ17は、支柱13およびトルク調整ユニット20のそれぞれに対して回動自在に設けられている。
トルク調整ユニット20は、単一回動軸30b(第2回動軸)を中心に働くトルク(ねじりモーメント)を調整する。なお、トルク調整ユニット20の詳細なハードウェア構成については、後述する。
把持部60は、単一回動部51(第2回動部)の先端に設けられている。使用者が自身の腕(本実施の形態の場合には、左腕)を把持部60に嵌め込むと、使用者の腕は、把持部60に把持される。
これにより、使用者の腕は、トルク調整ユニット20からの付勢力を受けることができる。すなわち、トルク調整ユニット20から付与される付勢力によって、使用者は、腕上げ状態を、無理なく維持できる。
<1.2.トルク調整ユニットの構成>
図3は、トルク調整ユニット20の構成の一例を示す正面図である。図4および図5のそれぞれは、トルク調整ユニット20の構成の一例を示す左側面図である。図1から図3に示すように、トルク調整ユニット20は、主として、調整部30と、付勢部50と、を備える。
付勢部50は、単一回動軸30bを中心に回動可能とされている。図1から図5に示すように、付勢部50は、主として、単一回動部51と、付勢力供給部53と、移動体55と、を有している。
単一回動部51は、単一回動軸30bに対して回動可能に設けられている。また、図3に示すように、単一回動部51は、仮想線VLに沿って設けられるとともに、単一回動部51の一端は、単一回動軸30bにより軸支えされている。
付勢力供給部53は、例えば、圧縮バネにより構成された弾性体である。図3に示すように、付勢力供給部53の一端53a側は、単一回動部51に固定されている。また、付勢力供給部53の長さは、ツマミ51aを回すことにより調整することができる。これにより、使用者の体格(より具体的には、使用者の腕の重量)に応じた付勢力が付勢力供給部53から付与されるように、調整できる。
移動体55は、例えば、一対のローラにより構成された回転体である。図3に示すように、移動体55は、付勢力供給部53の他端53b側に固定されるとともに、仮想線VLに沿って進退可能とされている。
これにより、付勢力供給部53からの付勢力を受けると、移動体55は、仮想線VLに沿って進退する。また、移動体55に含まれる各ローラは、付勢力供給部53からの付勢力によって、調整部30の外周31aに押し付けられる。ここで、「仮想線VL」とは、単一回動軸30bを通って付勢部50に向かう仮想的な線を言うものとする。
調整部30は、付勢部50の自由端(例えば、仮想線VLと移動体55との交点のうち、単一回動軸30b側のもの:図5の矢印を参照)から単一回動軸30bまでの距離を変化させることによって、付勢部50から付与される付勢力を調整する。
図3および図4に示すように、単一回動軸30bは、調整部30に設けられている。また、調整部30の外周31aには、移動体55を移動させるためのガイド部31bが形成されている。これにより、移動体55に含まれる各ローラは、対応するガイド部31bに押し付けられつつ、該ガイド部31bにより案内される。
<1.3.トルク調整ユニットの動作>
図6から図8のそれぞれは、トルク調整ユニット20の動作を説明するための左側面図である。ここでは、図4から図8を参照しつつ、トルク調整ユニット20を用いたトルクの調整機能を説明する。
ここで、上述のように、付勢力供給部53は弾性体であり、付勢力供給部53には調整距離AD11〜AD14(図5参照)に応じた弾性エネルギーが蓄積される。すなわち、付勢部50から単一回動部51に付与される付勢力は、付勢力供給部53に蓄積された弾性エネルギーに基づいたものとなる。
また、以下の説明において、
(1)「基準平面Pr」は、単一回動軸30bを含む平面のうちの1つを、
(2)「傾斜角」は、基準平面Prに対する仮想線VLの角度を、
(3)「基準角度」は、仮想線VLが基準平面Pr上に位置するときの傾斜角を、
(4)「調整距離AD11〜AD14」のそれぞれは、付勢部50の自由端から単一回動軸30bまでの距離を、
それぞれ言うものとする。
まず初めに、図4から図6に示すように、傾斜角が、角度A11(第1角度)と、基準角度と、の間(ここで、「間(あいだ)」という用語は、両端を含む概念であるものとする:以下同じ)となる場合には、調整部30は、各調整距離AD11、AD12(換言すると、付勢力供給部53の一端53aから他端53bまでの距離)が同程度となるように、設定する。
これにより、傾斜角が、角度A11(第1角度)と、基準角度と、の間となる場合、単一回動軸30bを中心に働くトルクのうちの付勢力供給部53に起因するものは、無視できる程度まで小さくなる。すなわち、トルク調整ユニット20がサポートウェア1に採用される場合において、傾斜角がこの範囲となるとき、使用者は、把持部60に自身の腕を嵌め込ませた状態であっても、付勢部50からの付勢力を受けることなく、自身の腕を単一回動軸30b周りに回動させることができる。
これに対して、図5、図7、および図8に示すように、傾斜角が、基準角度と、基準平面Prを挟んで角度A11と反対側に位置する角度A13(第2角度)と、の間(この角度範囲に角度A12も含まれる)となる場合には、調整部30は、基準角度から角度A13に向かうに従い、調整距離AD13、AD14が小さくなるように、設定する。すなわち、基準角度、および角度A12、A13のそれぞれに対応する各調整距離の大小関係は、「AD12」>「AD13」>「AD14」のようになる(図5参照)。
これにより、傾斜角が、基準角度と、角度A13との間となる場合(図7および図8参照)、単一回動部51には、紙面上における反時計回りのトルクが働く。そのため、傾斜角がこの範囲となる場合において、使用者が腕上げ状態となるとき、把持部60に嵌め込まされた使用者の腕は、付勢部50からの付勢力を受ける。すなわち、トルク調整ユニット20から付与される付勢力によって、使用者は、腕上げ状態を無理なく維持できる。
このように、本実施の形態では、移動体55が、調整部30の外周31a(より具体的には、ガイド部31b)に沿って移動(回転)させられることにより、調整距離AD11〜AD14(図5参照)が調整されると、付勢力供給部53に蓄積される弾性エネルギーが変動する。これにより、この弾性エネルギーの変動に応じて付勢部50から単一回動部51に付与される付勢力が調整される。
<1.4.第1の実施の形態におけるトルク調整ユニットの利点>
以上のように、第1の実施の形態のトルク調整ユニット20は、調整部30および付勢部50を用いるだけで、単一回動部51に付与される付勢力を調整できる。そのため、簡便な構成より単一回動軸30bを中心に働くトルクを調整することができる。
<2.第2の実施の形態>
<2.1.トルク調整ユニットの構成>
図9および図10のそれぞれは、トルク調整ユニット120の構成の一例を示す斜視図である。図11および図12のそれぞれは、トルク調整ユニット120の構成の一例を示す左側面図である。図9および図10に示すように、トルク調整ユニット120は、主として、第1回動部125と、調整部130と、付勢部150と、を備える。
ここで、トルク調整ユニット120は、第1回動軸130aを中心に働くトルクを調整するための器具であり、トルク調整ユニット20と同様な機能を有する。そのため、トルク調整ユニット20をトルク調整ユニット120に置換したサポートウェアも、図1のサポートウェア1と同様の機能を有する。
なお、図示の都合上、図11では、可動部132が二点鎖線で図示されるとともに、図12では、可動部132が省略されている。
付勢部150は、第2回動軸130bを中心に回動可能とされるとともに、第1回動部125の回動動作と連動させられている。図9から図11に示すように、付勢部150は、主として、第2回動部151と、付勢力供給部153と、移動体155と、を有している。
第2回動部151は、図11に示すように、第2回動軸130bに対して回動可能に設けられている。また、図11に示すように、第2回動部151は、仮想線VLに沿って設けられる。また、図9に示すように、第2回動部151の一端は、第2回動軸130bにより軸支えされている。
付勢力供給部153は、例えば、圧縮バネにより構成された弾性体である。図10に示すように、付勢力供給部153の一端153a側は、第2回動部151に固定されている。また、付勢力供給部153の長さは、ツマミ151aを回すことにより調整することができる。これにより、使用者の体格に応じた付勢力が付勢力供給部153から付与されるように、調整できる。
移動体155は、例えば、図9および図10に示すように、一対のローラにより構成された回転体である。図11に示すように、移動体155は、付勢力供給部153の他端153b側に固定されるとともに、仮想線VLに沿って進退可能とされている。これにより、付勢力供給部153からの付勢力を受けると、移動体155は、仮想線VLに沿って進退する。
また、図9および図10に示すように、移動体155に含まれる各ローラは、付勢力供給部153からの付勢力によって、調整部130(より具体的には、基部131)の外周131aに押し付けられる。さらに、各ローラには、移動体155から突出する突起部155aが、形成されている。ここで、「仮想線VL」とは、第2回動軸130bを通って付勢部150に向かう仮想的な線を言うものとする。
調整部130は、付勢部150の自由端(例えば、仮想線VLと移動体155との交点のうち、第2回動軸130b側のもの:図12の矢印を参照)から第2回動軸130bまでの距離を変化させることによって、付勢部150から第1回動部125に付与される付勢力を調整する。図9および図10に示すように、調整部130は、主として、基部131と、可動部132と、を有する。
基部131は、サポートウェア1の接続パイプ17(図1および図2参照)と接続可能とされている。また、図9および図11に示すように、第1および第2回動軸130a、130bのそれぞれは、基部131に設けられている。ここで、第1および第2回動軸130a、130bは、互いに平行となるように配置されている。
さらに、基部131の外周131aには、移動体155を移動させるためのガイド部131bが形成されている。これにより、移動体155に含まれる各ローラは、対応するガイド部131bに押し付けられつつ、該ガイド部131bにより案内される。
可動部132は、第1回動軸130aに対して回動可能に設けられている。また、図9および図10に示すように、基部131および移動体155のそれぞれは、可動部132に挟まれるように配置されている。
また、可動部132の側壁には、長孔135が形成されるとともに、移動体155の各突起部155aは、対応する長孔135に挿入可能とされている。すなわち、移動体155の各突起部155aは、対応する長孔135によってガイド可能とされている。これにより、付勢部150は、第1回動部125の回動動作に連動して、第2回動軸130bを中心に回動する。
第1回動部125は、把持部60の取付部として用いられる。図9および図10に示すように、第1回動部125は、可動部132に固定されている。これにより、第1回動部125は、第1回動軸130aを中心に回動可能とされている。
<2.2.トルク調整ユニットの動作>
図13および図14のそれぞれは、トルク調整ユニット120の動作を説明するための左側面図である。ここでは、図11から図14を参照しつつ、トルク調整ユニット120を用いたトルクの調整機能を説明する。
ここで、上述のように、付勢力供給部153は弾性体であり、付勢力供給部153には調整距離AD21〜AD23(図12参照)に応じた弾性エネルギーが蓄積される。すなわち、付勢部150から第1回動部125に付与される付勢力は、付勢力供給部153に蓄積された弾性エネルギーに基づいたものとなる。
また、以下の説明において、
(1)「基準平面Pr」は、第2回動軸130bを含む平面のうちの1つを、
(2)「傾斜角」は、基準平面Prに対する仮想線VLの角度を、
(3)「基準角度」は、仮想線VLが基準平面Pr上に位置するときの傾斜角を、
(4)「調整距離AD21〜AD23」のそれぞれは、付勢部150の自由端から第2回動軸130bまでの距離を、
それぞれ言うものとする。
まず初めに、図11から図13に示すように、傾斜角が、角度A21(第1角度)と、基準角度と、の間となる場合には、調整部130は、各調整距離AD21、AD22(換言すると、付勢力供給部153の一端153aから他端153bまでの距離)が同程度となるように、設定する。
これにより、傾斜角が、角度A21(第1角度)と、基準角度と、の間となる場合、第1回動軸130aを中心に働くトルクのうちの付勢力供給部153に起因するものは、無視できる程度まで小さくなる。すなわち、トルク調整ユニット120がトルク調整ユニット20と置換してサポートウェア1に採用される場合において、傾斜角がこの範囲となるとき、使用者は、把持部60に自身の腕を嵌め込ませた状態であっても、付勢部150からの付勢力を受けることなく、自身の腕を第2回動軸130b周りに回動させることができる。
これに対して、図12から図14に示すように、傾斜角が、基準角度と、基準平面Prを挟んで角度A21と反対側に位置する角度A22(第2角度)と、の間となる場合には、調整部130は、基準角度から角度A22に向かうに従い、調整距離AD22、AD23が小さくなるように、設定する。すなわち、基準角度、および角度A22のそれぞれに対応する各調整距離の大小関係は、「AD22」>「AD23」のようになる(図12参照)。
これにより、傾斜角が、基準角度と、角度A22と、の間となる場合(図13および図14参照)、第1回動部125には、紙面上における反時計回りのトルクが働く。そのため、傾斜角がこの範囲となる場合において、使用者が腕上げ状態となるとき、把持部60に嵌め込まされた使用者の腕は、付勢部150からの付勢力を受ける。すなわち、トルク調整ユニット120から付与される付勢力によって、使用者は、腕上げ状態を無理なく維持できる。
このように、本実施の形態では、移動体155が、調整部130の外周131a(より具体的には、ガイド部131b)に沿って移動(回転)させられ、調整距離AD21〜AD23(図12参照)が調整されると、付勢力供給部153に蓄積される弾性エネルギーが変動する。これにより、この弾性エネルギーの変動に応じて付勢部150から第1回動部125に付与される付勢力が調整される。
<2.3.第1および第2の実施の形態におけるトルク調整ユニットの比較>
ここで、第1の実施の形態のトルク調整ユニット20と、トルク調整ユニット120と、を比較すると、
(a)第1および第2回動軸130a、130bの機能は、第1の実施の形態の単一回動軸30bにより実現され、
(b)第1および第2回動部125、151の機能は、第1の実施の形態の単一回動部51により実現される。
すなわち、トルク調整ユニット120において、
(A)第2回動軸130bに第1回動軸130aの機能をも分担させるとともに、
(B)第2回動部151に第1回動部125の機能をも分担させたもの、
が、第1の実施の形態のトルク調整ユニット20と同様なものとなる。
<2.4.第2の実施の形態におけるトルク調整ユニットの利点>
以上のように、第2の実施の形態のトルク調整ユニット120は、調整部130および付勢部150を用いるだけで、第1回動部125に付与される付勢力を調整できる。そのため、簡便な構成より第1回動軸130aを中心に働くトルクを調整することができる。
<3.第3の実施の形態>
<3.1.トルク調整ユニットの構成>
図15および図16のそれぞれは、トルク調整ユニット220の構成の一例を示す斜視図である。また、図17および図18のそれぞれは、トルク調整ユニット220の構成の一例を示す左側面図である。図15および図16に示すように、トルク調整ユニット220は、主として、第1回動部225と、調整部230と、付勢部250と、を備える。
ここで、トルク調整ユニット220は、第1回動軸230aを中心に働くトルクを調整するための器具であり、トルク調整ユニット20と同様な機能を有する。そのため、トルク調整ユニット20をトルク調整ユニット220に置換したサポートウェアも、図1のサポートウェア1と同様の機能を有する。
なお、図示の都合上、図17では、基部231が二点鎖線で図示されている。また、図18では、基部231が省略されるとともに、各傾斜角における可動部232を、第2回動軸230b基準(すなわち、第2回動軸230b上の特定位置を原点とする座標系)で、図17、および図19から図21を再描画したものである。
付勢部250は、第2回動軸230bを中心に回動可能とされるとともに、第1回動部225と連動させられている。図15から図17に示すように、付勢部250は、主として、第2回動部251と、付勢力供給部253と、移動体255と、を有している。
第2回動部251は、図17に示すように、第2回動軸230bに対して回動可能に設けられている。また、図17に示すように、第2回動部251は、仮想線VLに沿って設けられている。また、図16に示すように、第2回動部251の一端は、第2回動軸230bにより軸支えされている。
付勢力供給部253は、例えば、圧縮バネにより構成された弾性体である。図17に示すように、付勢力供給部253の一端253a側は、第2回動部251に固定されている。また、付勢力供給部253の長さは、ツマミ251aを回すことにより調整することができる。これにより、使用者の体格に応じた付勢力が付勢力供給部253から付与されるように、調整できる。
移動体255は、例えば、一対のブロックにより構成された摺動体である。図17に示すように、移動体255は、付勢力供給部253の他端253b側に固定されるとともに、仮想線VLに沿って進退可能とされている。これにより、付勢力供給部253からの付勢力を受けると、移動体255は、仮想線VLに沿って進退する。
また、図17に示すように、移動体255に含まれる各ブロックは、対応する軸心255bにより軸支えされるとともに、付勢力供給部253からの付勢力によって調整部230(より具体的には、可動部232)の外周232aに押し付けられている。これにより、各ブロックが、軸心255bを中心に回動することによって、各ブロックの接触面は、外周232aの表面と良好に接触することができる。さらに、各ブロックには、移動体255から突出する突起部255aが、形成されている。ここで、「仮想線VL」とは、第2回動軸230bを通って付勢部250に向かう仮想的な線を言うものとする。
調整部230は、付勢部250の自由端(例えば、仮想線VLと突起部255aとの交点のうち、第2回動軸230b側のもの:図18の矢印を参照)から第2回動軸230bまでの距離を変化させることによって、付勢部250から第1回動部225に付与される付勢力を調整する。図15から図17に示すように、調整部230は、主として、基部231と、可動部232と、搬送部233と、を有する。
基部231は、サポートウェア1の接続パイプ17(図1および図2参照)と接続可能とされている。図15および図16に示すように、第1回動軸230aは、基部231に設けられている。また、図15および図16に示すように、可動部232、搬送部233、および移動体255のそれぞれは、基部231に挟まれるように配置されている。
また、基部231の側壁には、長孔235が形成されるとともに、移動体255の各突起部255aは、対応する長孔235に挿入可能とされている。すなわち、移動体255の各突起部255aは、対応する長孔235によってガイド可能とされている。これにより、付勢部250は、第1回動部225の回動動作に連動して、第2回動軸230bを中心に回動する。
可動部232は、第1回動軸230aに対して回動可能に設けられている。また、図15および図16に示すように、第2回動軸230bは、可動部232に設けられている。ここで、第1および第2回動軸230a、230bは、互いに平行となるように配置されている。
さらに、図17に示すように、可動部232の外周232aには、移動体255を移動させるためのガイド部232bが形成されている。これにより、移動体255に含まれる各ブロックは、対応するガイド部232bに押し付けられつつ、該ガイド部232bにより案内される。
搬送部233は、基部231に設けられた第3回動軸230cに対して回動可能に設けられている。図17に示すように、搬送部233は、ガイド部232bの延長上に配置可能とされている。
すなわち、搬送部233は、バネ233aにより付勢されており、例えば、移動体255がガイド部232b上に位置するときには、搬送部233は、ガイド部232bと接続される。その結果、ガイド部232b上であって移動体255が接触する第1面と、搬送部233上であって移動体255が接触する第2面と、は滑らかに接続する。
ここで、本実施の形態では、第1回動軸230aの軸心と、第3回動軸230cの軸心と、が一致するように、各回動軸230a、230cが可動部232に設けられているが、これに限定されるものでない。例えば、第1回動軸230aの軸心と、第3回動軸230cの軸心と、が一致していない(例えば、両回動軸230a、230cが互いに平行な場合)であっても良い。
第1回動部225は、第2の実施の形態の第1回動部125と同様に、把持部60の取付部として用いられる。図15および図16に示すように、第1回動部225は、可動部232に固定されている。これにより、第1回動部225は、第1回動軸230aを中心に回動可能とされている。
<3.2.トルク調整ユニットの動作>
図19から図21のそれぞれは、トルク調整ユニット220の動作を説明するための左側面図である。ここでは、図17から図21を参照しつつ、トルク調整ユニット220を用いたトルクの調整機能を説明する。
ここで、上述のように、付勢力供給部253は弾性体であり、付勢力供給部253には調整距離AD31〜AD34(図18参照)に応じた弾性エネルギーが蓄積される。すなわち、付勢部250から第1回動部225に付与される付勢力は、付勢力供給部253に蓄積された弾性エネルギーに基づいたものとなる。
また、以下の説明において、
(1)「基準平面Pr」は、第2回動軸230bを含む平面のうちの1つを、
(2)「傾斜角」は、基準平面Prに対する仮想線VLの角度を、
(3)「基準角度」は、仮想線VLが基準平面Pr上に位置するときの傾斜角を、
(4)「調整距離AD31〜AD34」のそれぞれは、付勢部250の自由端から第2回動軸230bまでの距離を、
それぞれ言うものとする。
まず初めに、図17から図20に示すように、傾斜角が、角度A31(第1角度)と、基準角度と、の間(この角度範囲に角度A32も含まれる)となり、移動体255がガイド部232bを摺動する場合には、調整部230は、各調整距離AD31、AD32、AD33(換言すると、付勢力供給部153の一端153aから他端153bまでの距離)が同程度となるように、設定する。
これにより、傾斜角が、角度A31(第1角度)と、基準角度と、の間となる場合、第1回動軸230aを中心に働くトルクのうちの付勢力供給部253に起因するものは、無視できる程度まで小さくなる。すなわち、トルク調整ユニット220がトルク調整ユニット20と置換してサポートウェア1に採用される場合において、傾斜角がこの範囲となるとき、使用者は、把持部60に自身の腕を嵌め込ませた状態であっても、付勢部250からの付勢力を受けることなく、自身の腕を第2回動軸230b周りに回動させることができる。
これに対して、図18、図20、および図21に示すように、傾斜角が、基準角度と、基準平面Prを挟んで角度A31と反対側に位置する角度A33(第2角度)と、の間となり、移動体255が搬送部233により運搬される場合には、調整部230は、基準角度から角度A33に向かうに従い、調整距離AD33、AD34が小さくなるように、設定する。すなわち、基準角度、および角度A33のそれぞれに対応する各調整距離の大小関係は、「AD33」>「AD34」のようになる(図18参照)。
これにより、傾斜角が、基準角度と、角度A33と、の間となる場合(図20および図21参照)、第1回動部225には、紙面上における反時計回りのトルクが働く。そのため、傾斜角がこの範囲となる場合において、使用者が腕上げ状態となるとき、把持部60に嵌め込まされた使用者の腕は、付勢部250からの付勢力を受ける。すなわち、トルク調整ユニット220から付与される付勢力によって、使用者は、腕上げ状態を無理なく維持できる。
このように、本実施の形態では、移動体255が、調整部230の外周232a(より具体的には、ガイド部232b)に沿って移動(摺動)させられる、または搬送部233により運搬させることにより、調整距離AD31〜AD34(図18参照)が調整されると、付勢力供給部253に蓄積される弾性エネルギーが変動する。これにより、この弾性エネルギーの変動に応じて付勢部250から第1回動部225に付与される付勢力が調整される。
<3.3.第3の実施の形態におけるトルク調整ユニットの利点>
以上のように、第3の実施の形態のトルク調整ユニット220は、調整部230および付勢部250を用いるだけで、第1回動部225に付与される付勢力を調整できる。そのため、簡便な構成より第1回動軸230aを中心に働くトルクを調整することができる。
また、第3の実施の形態のトルク調整ユニット220において、
(1)第1回動軸230aを中心に働くトルクのうちの付勢力供給部253に起因するものが無視できる程度まで小さくなる場合には、移動体255はガイド部232bを摺動するとともに、
(2)付勢力供給部253から付勢力が付与される場合には、移動体255はガイド部232bを摺動させられることなく、搬送部233により運搬される。
すなわち、本実施の形態において、付勢部250から付勢力が付与される場合には、搬送部233の回動動作に起因した運搬動作により移動体255を移動させることができる。そのため、第1回動部225の回動時における調整部230(より具体的には、可動部232のガイド部232b)の摩耗量を抑制することができる。
<4.第4の実施の形態>
<4.1.トルク調整ユニットの構成>
図22は、トルク調整ユニット320の構成の一例を示す斜視図である。図23および図24のそれぞれは、トルク調整ユニット320の構成の一例を示す左側面図である。図22および図23に示すように、トルク調整ユニット320は、主として、第1回動部325と、調整部330と、付勢部350と、を備える。
ここで、トルク調整ユニット320は、第1回動軸330aを中心に働くトルクを調整するための器具であり、トルク調整ユニット20と同様な機能を有する。そのため、トルク調整ユニット20をトルク調整ユニット320に置換したサポートウェアも、図1のサポートウェア1と同様の機能を有する。
なお、図示の都合上、図23では、可動部332が二点鎖線で図示されるとともに、図24では、可動部332が省略されている。
付勢部350は、第2回動軸330bを中心に回動可能とされるとともに、第1回動部325の回動動作と連動させられている。図23に示すように、付勢部350は、主として、第2回動部351と、付勢力供給部353と、移動体355と、を有している。
第2回動部351は、図23に示すように、第2回動軸330bに対して回動可能に設けられている。また、図23に示すように、第2回動部351は、仮想線VLに沿って設けられる。さらに、図22に示すように、第2回動部351の一端は、第2回動軸330bにより軸支えされている。
付勢力供給部353は、例えば、圧縮バネにより構成された弾性体である。図23に示すように、付勢力供給部353の一端353a側は、第2回動部351に固定されている。また、付勢力供給部353の長さは、ツマミ351aを回すことにより調整することができる。これにより、使用者の体格に応じた付勢力が付勢力供給部353から付与されるように、調整できる。
移動体355は、付勢力供給部353の他端353b側に固定されるとともに、仮想線VLに沿って進退可能とされている。これにより、付勢力供給部353からの付勢力を受けると、移動体355は、仮想線VLに沿って進退する。
また、移動体355には、一対の突起部355aが設けられている。図23に示すように、各突起部355aは、対応する軸心355bにより軸支えされている。ここで、「仮想線VL」とは、第2回動軸330bを通って付勢部350に向かう仮想的な線を言うものとする。
調整部330は、付勢部350の自由端(例えば、移動体355における特定部材と仮想線VLとの交点:図24の矢印を参照)から第2回動軸330bまでの距離を変化させることによって、付勢部350から第1回動部325に付与される付勢力を調整する。図22および図23に示すように、調整部330は、主として、基部331と、可動部332と、移動体355と、固定機構357と、を有する。
基部331は、サポートウェア1の接続パイプ17(図1および図2参照)と接続可能とされている。また、図23に示すように、第1および第2回動軸330a、330bのそれぞれは、基部331に設けられている。ここで、第1および第2回動軸330a、330bは、互いに平行となるように配置されている。
さらに、図23に示すように、基部331の外周331aには、第1回動部325の回動動作と連動して移動体355が進退するときに、この移動体355と接触可能な角部331cが、形成されている。
可動部332は、第1回動軸330aに対して回動可能に設けられている。また、図22および図23に示すように、基部331および移動体355のそれぞれは、可動部332に挟まれるように配置されている。
さらに、可動部332の内壁面(内側)には、略C字状の溝335が形成されており、移動体355の各突起部355aは、対応する溝335に嵌合可能とされている。これにより、第1回動部325の回動動作と連動して移動体355が進退するときに、各突起部355aは、対応する溝335に嵌め合わされた状態で、この溝335を案内される。
そのため、付勢部350の自由端(さらに具体的には、移動体355)の位置は、可動部332に回動動作と連動して移動する。すなわち、溝335は、可動部332に対する付勢部350の自由端(さらに具体的には、移動体355)の位置を規制する規制部として機能する。
固定機構357は、付勢力供給部353の長さが一定となるように移動体355の位置を固定するロック機構である。なお、固定機構357により移動体355の位置をロックまたはアンロックする動作については、後述する。
第1回動部325は、第2の実施の形態の第1回動部125、および第3の実施の形態の第1回動部225と同様に、把持部60の取付部として用いられる。図22および図23に示すように、第1回動部325は、可動部332に固定されている。これにより、第1回動部325は、第1回動軸330aを中心に回動可能とされている。
<4.2.トルク調整ユニットの動作>
図25から図28のそれぞれは、トルク調整ユニット320の動作を説明するための左側面図である。ここでは、図23から図28を参照しつつ、トルク調整ユニット320を用いたトルクの調整機能を説明する。
ここで、上述のように、付勢力供給部353は弾性体であり、付勢力供給部353には調整距離AD41〜AD45(図24参照)に応じた弾性エネルギーが蓄積される。すなわち、付勢部350から第1回動部325に付与される付勢力は、付勢力供給部353に蓄積された弾性エネルギーに基づいたものとなる。
また、以下の説明において、
(1)「基準平面Pr」は、第2回動軸330bを含む平面のうちの1つを、
(2)「傾斜角」は、基準平面Prに対する仮想線VLの角度を、
(3)「基準角度」は、仮想線VLが基準平面Pr上に位置するときの傾斜角を、
(4)「調整距離AD41〜AD45」のそれぞれは、付勢部350の自由端から第2回動軸330bまでの距離を、
それぞれ言うものとする。
まず初めに、図24、および図26から図28に示すように、傾斜角が、基準角度と、角度A44(第2角度)と、の間(この角度範囲に角度A43も含まれる)となる場合には、調整部330の規制部(溝335がこの機能を発揮)は、可動部332に対する移動体355の位置を規制する。より具体的には、本実施の形態では、溝335の右端付近(図26参照)で、移動体355の位置が可動部332に対して固定される。
そして、移動体355の位置が可動部332に対して固定された状態で、第1回動部325が回動させられると、調整部330は、基準角度から角度A44に向かうに従い、調整距離AD43、AD44、AD45が小さくなるように、設定する。すなわち、基準角度、および角度A43、A44のそれぞれに対応する各調整距離の大小関係は、「AD43」>「AD44」>「AD45」のようになる(図24参照)。
これにより、傾斜角が、基準角度と、角度A44と、の間となる場合(図26から図28参照)、第1回動部325には、紙面上における反時計回りのトルクが働く。そのため、傾斜角がこの角度範囲となる場合において、使用者が腕上げ状態となるとき、把持部60に嵌め込まされた使用者の腕は、付勢部350からの付勢力を受ける。すなわち、トルク調整ユニット320から付与される付勢力によって、使用者は、腕上げ状態を無理なく維持できる。
これに対して、図23から図25に示すように、傾斜角が、角度A41(第4角度)および角度A42(第5角度)の間となる(いずれも、基準平面Prを挟んで角度A44(第2角度)と反対側に位置する)場合には、固定機構357は、仮想線VLにおける移動体355の位置を固定する。すなわち、仮想線VL上における移動体355の位置は、この角度範囲において同程度となる。
これにより、第1回動軸330aを中心に働くトルクのうちの付勢力供給部353に起因するものは、無視できる程度まで小さくなる。すなわち、トルク調整ユニット320がトルク調整ユニット20と置換してサポートウェア1に採用される場合において、傾斜角がこの範囲となるとき、使用者は、把持部60に自身の腕を嵌め込ませた状態であっても、付勢部350からの付勢力を受けることなく、自身の腕を第2回動軸330b周りに回動させることができる。
ここで、固定機構357による固定状態の能動化動作(すなわち、解除状態から固定状態に遷移させる動作)、および、この固定状態の解除動作は、次のように実行される。
まず、固定状態の能動化動作について、例えば、固定機構357が解除状態の場合において(図26参照)、第1回動部325が、第1回動軸330aを中心に、紙面上における時計回りに回動させられて、固定機構357の筒体357aと、基部331の角部331cと、が接触すると(図25参照)、固定機構357は、この筒体357aの押下げ動作に起因して、仮想線VL上における移動体355の位置を固定する。この場合、圧縮バネ357bには、筒体357aの押下げ動作に起因した弾性エネルギーが蓄積される。
そして、傾斜角が、角度A42と、角度A41と、の間となる場合、筒体357aは外周331aにより押下げられた状態となり、固定機構357は仮想線VL上における移動体355の位置を固定し続ける。
すなわち、固定機構357により移動体355の位置が固定されている場合、付勢力供給部353からの付勢力は固定機構357にのみ付与され、基部331の外周331aには、圧縮バネ357bからの付勢力を受ける。
次に、固定状態の解除動作について、移動体355が固定された状態で、傾斜角が角度A42から基準角度となるように、第1回動部325が反時計回りに回動させられると、筒体357aは圧縮バネ357bの付勢力により第2回動軸330b側に押上げられる。これにより、固定機構357による移動体355の固定状態が解除され、移動体355は仮想線VLに沿って進退可能な状態となる。
したがって、傾斜角が、角度A42(第5角度)と、基準角度と、の間となる場合、トルク調整ユニット320は、以下のように動作する。すなわち、第1回動部325が第1回動軸330aを中心に、紙面上における反時計回りに回動させられると、移動体355の固定状態が解除されるとともに、移動体355の位置が溝335(規制部)により規制される。この場合、溝335は、調整距離AD42、AD43が同程度となるように、仮想線VL上における移動体355の位置を規制する。
これにより、傾斜角が、角度A42と、基準角度と、の間となる場合、傾斜角が、角度A41(第4角度)および角度A42(第5角度)の間となる場合と同様に、第1回動軸330aを中心に働くトルクのうちの付勢力供給部353に起因するものは、無視できる程度まで小さくなる。
これに対して、第1回動部325が第1回動軸330aを中心に、紙面上における時計回りに回動させられて、傾斜角が、基準角度から角度A42に変化すると、固定機構357の筒体357aは基部331の角部331cと接触し、この筒体357aが、移動体355から見て第2回動軸330bと逆の方向に押下げられる(図25参照)。これにより、移動体355の固定状態が能動化される。
このように、本実施の形態では、固定機構357および溝335により発揮される機能によって、調整距離AD41〜AD45(図24参照)が調整され、付勢力供給部353に蓄積される弾性エネルギーが変動する。これにより、この弾性エネルギーの変動に応じて付勢部350から第1回動部325に付与される付勢力が調整される。
また、本実施の形態において、傾斜角が角度A41および角度A42の間となる場合、基部331の外周331aは、圧縮バネ357bからの付勢力のみを受ける。すなわち、基部331の外周331aは、付勢力供給部353よりもバネ定数の小さな圧縮バネ357bからの影響のみを受ける。そのため、第1回動部325の回動時における基部331の摩耗量を抑制することができる。
<4.3.第4の実施の形態におけるトルク調整ユニットの利点>
以上のように、第4の実施の形態のトルク調整ユニット320は、第2の実施の形態のトルク調整ユニット120、および第3の実施の形態のトルク調整ユニット220と同様に、調整部330および付勢部350を用いるだけで、第1回動部325に付与される付勢力を調整できる。そのため、簡便な構成よって、第1回動軸330aを中心に働くトルクを調整することができる。
<5.第5の実施の形態>
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。第1および第5の実施の形態のトルク調整ユニット20、420は、把持部60を取り付ける単一回動部の軸心と、付勢力供給部の軸心と、が単一回動軸により実現される点で共通する。そこで、以下では、トルク調整ユニット20、420の相違点を中心に説明する。
なお、トルク調整ユニット20、420で同様な構成要素には、同一符号が付されており、この同一符号が付された構成要素は、第1の実施の形態で説明済みである。そのため、本実施の形態では説明を省略する。
<5.1.トルク調整ユニットの構成>
図29および図30のそれぞれは、トルク調整ユニット420の構成の一例を示す斜視図である。図31は、トルク調整ユニット420の構成の一例を示す左側面図である。ここで、トルク調整ユニット420は、第1の実施の形態のトルク調整ユニット20と同様に、単一回動軸430b(第2回動軸)を中心に働くトルクを調整するための器具であり、トルク調整ユニット20と同様な機能を有する。そのため、トルク調整ユニット20をトルク調整ユニット420に置換したサポートウェアも、図1のサポートウェア1と同様の機能を有する。
図29から図31に示すように、トルク調整ユニット420は、主として、調整部430と、付勢部450と、を備える。なお、図示の都合上、図31では、単一回動部451が二点鎖線で図示されている。
付勢部450は、単一回動軸430bを中心に回動可能とされている。図29から図31に示すように、付勢部450は、主として、単一回動部451と、付勢力供給部453と、移動体455と、を有している。
単一回動部451は、単一回動軸430bに対して回動可能に設けられている。また、図31に示すように、単一回動部451は、仮想線VLに沿って設けられるとともに、単一回動部451の一端は、単一回動軸430bにより軸支えされている。
付勢力供給部453は、例えば、圧縮バネにより構成された弾性体である。付勢力供給部453の長さは、ツマミ451aを回すことにより調整することができる。これにより、使用者の体格に応じた付勢力が付勢力供給部453から付与されるように、調整できる。
図31に示すように、付勢力供給部453の一端453a側は、単一回動部451に固定されている。また、付勢力供給部453は、単一回動部451の部分451bにより覆われている。すなわち、この部分451bは、付勢力供給部453を外部環境から保護するための保護部として機能する。
移動体455は、いわゆるローラにより構成された回転体である。図29から図31に示すように、移動体455は、付勢力供給部453の他端453b側に固定されるとともに、仮想線VLに沿って進退可能とされている。
これにより、付勢力供給部453からの付勢力を受けると、移動体455は、仮想線VLに沿って進退する。また、移動体455に含まれるローラは、付勢力供給部453からの付勢力によって、調整部430の外周431aに押し付けられる。ここで、「仮想線VL」とは、単一回動軸430bを通って付勢部450に向かう仮想的な線を言うものとする。
調整部430は、付勢部450の自由端(例えば、仮想線VLと移動体455との交点のうち、単一回動軸430b側のもの:図31の矢印を参照)から単一回動軸430bまでの距離を変化させることによって、付勢部450から付与される付勢力を調整する。
図29から図31に示すように、単一回動軸430bは、調整部430に設けられている。また、調整部430の外周431aには、移動体455を移動させるためのガイド部431bが形成されている。これにより、移動体455に含まれるローラは、ガイド部431bに押し付けられつつ、該ガイド部431bにより案内される。
ここで、上述のように、付勢力供給部453は弾性体であり、付勢力供給部453には調整距離AD51(付勢部450の自由端から単一回動軸430bまでの距離:図31参照)に応じた弾性エネルギーが蓄積される。すなわち、付勢部450から単一回動部451に付与される付勢力は、付勢力供給部453に蓄積された弾性エネルギーに基づいたものとなる。
<5.2.第5の実施の形態におけるトルク調整ユニットの利点>
以上のように、第5の実施の形態のトルク調整ユニット420は、第1の実施の形態のトルク調整ユニット20と同様に、調整部430および付勢部450を用いるだけで、単一回動部451に付与される付勢力を調整できる。そのため、簡便な構成より単一回動軸430bを中心に働くトルクを調整することができる。
例えば、単一回動部451の他端453b側の位置が、図31の紙面において基準平面Prより上側に位置する場合において、単一回動部451が紙面上における反時計回りに回動させられると、調整部430は、単一回動部451の他端453b側が基準平面Prから離隔するに従い、調整距離AD51が小さくなるように、設定する。
これにより、単一回動部451の他端453b側の位置が、図31の紙面において基準平面Prより上側に位置する場合には、単一回動部451には、紙面上における反時計回りのトルクが働く。
そのため、単一回動部451の他端453b側の位置がこの範囲となる場合において、使用者が腕上げ状態となるとき、把持部60に嵌め込まされた使用者の腕は、付勢部450からの付勢力を受ける。すなわち、トルク調整ユニット420から付与される付勢力によって、使用者は、腕上げ状態を無理なく維持できる。
これに対して、単一回動部451の他端453b側の位置が、図31の紙面において基準平面Pr上、または、基準平面Prより下側に位置する場合には、調整部430は、調整距離AD51が同程度となるように、設定する。
これにより、単一回動部451の他端453b側の位置がこの範囲となるとき、単一回動軸430bを中心に働くトルクのうちの付勢力供給部453に起因するものは、無視できる程度まで小さくなる。
そのため、トルク調整ユニット420がサポートウェア1に採用される場合において、単一回動部451の他端453b側の位置がこの範囲となるとき、使用者は、把持部60に自身の腕を嵌め込ませた状態であっても、付勢部450からの付勢力を受けることなく、自身の腕を単一回動軸430b周りに回動させることができる。
<6.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
(1)第1から第5の実施の形態において、サポートウェア1は左腕のみをサポートするものとして説明したが、これに限定されるものでない。例えば、サポートウェア1は、右腕のみをサポートするものであっても良いし、左右の両腕をサポートするものであっても良い。
(2)また、第1から第5の実施の形態において、単一回動部51、451、および第1回動部125、225、325の回動動作を停止させるための停止部が採用されても良い。
例えば、第1の実施の形態の場合には、図5の紙面において基準平面Prよりも下方の位置(すなわち、傾斜角が基準角度と角度A11との間に位置する角度(第3角度))となる場合に、単一回動部51の回動動作を停止させる。
これにより、単一回動部51、451、および第1回動部125、225、325が、それぞれ付勢力供給部53、453、153、253、353からの付勢力によって、不用意に回動することを未然に防止できる。
(3)また、第1、第2、第5の実施の形態では、対応する移動体55、155、455にローラ(回転体)が採用されていたが、これに限定されるものでない。例えば、回転体に代えて摺動体が採用されても良い。
(4)また、第3の実施の形態では、移動体255にブロック(摺動体)が採用されていたが、これに限定されるものでない。例えば、摺動体に代えて回転体が採用されても良い。
(5)また、本発明の第4の実施の形態において、固定機構357には、基準角度付近で解除動作が実行可能となるような圧縮バネ357bが、採用されているが、これに限定されるものでない。
例えば、圧縮バネ357bとしては、基準平面Prから角度A44(第2角度)側に離隔する傾斜角のうちの適切な角度(第6角度)で、固定機構357の解除動作が実行できるものであっても良い。
(6)また、第1から第5の実施の形態において、付勢力供給部53、153、253、353、453は、圧縮バネにより構成されているものとして説明したが、これに限定されるものでない。例えば、各付勢力供給部は、引張バネにより構成されても良い。
(7)また、第1から第5の実施の形態において、付勢力供給部53、153、253、353、453は、弾性体により構成されているものとして説明したが、これに限定されるものでない。付勢力供給部53、153、253、353、453は、ガススプリングにより構成されても良い。以下は、トルク調整ユニット420の付勢力供給部453をガススプリングに置換した場合の他の一例である。
図32は、トルク調整ユニット520の構成の一例を示す左側面図である。トルク調整ユニット420、520は、対応する付勢部450、550の構成が異なる点を除いては、同様な構成を有する。そこで、以下では、この相違点を中心に説明する。
なお、トルク調整ユニット420、520で同様な構成要素には、同一符号が付されており、この同一符号が付された構成要素は、第5の実施の形態で説明済みであるため、ここでは説明を省略する。
トルク調整ユニット520は、付勢力供給部553としてガススプリングを有している。図32に示すように、付勢力供給部553の一端453a側(シリンダ553c)は、単一回動部451に固定されている。
また、付勢力供給部553のシリンダ553cおよびロッド553dは、単一回動部451の部分451bにより覆われている。すなわち、この部分451bは、付勢力供給部553を外部環境から保護するための保護部として機能する。さらに、付勢力供給部553の他端453b側(ロッド553d)には、移動体455が固定されている。これにより、付勢力供給部553からの付勢力を受けると、移動体455は、仮想線VL(単一回動軸430bを通って付勢部550に向かう仮想的な線)に沿って進退する。
また、調整部430は、調整距離AD61(付勢部550の自由端から単一回動軸430bまでの距離)に応じたガススプリングの反力に基づいて、付勢部550から単一回動部451に付与される付勢力を調整する。これにより、移動体455に含まれるローラは、ガイド部431bに押し付けられつつ、該ガイド部431bにより案内される。
(8)また、第5の実施の形態において、付勢力供給部453は、保護部により覆われているものとして説明したが、これに限定されるものでない。例えば、第1からの第4の実施の形態の付勢力供給部53、153、253、353についても、保護部により覆われる構成が採用されても良い。
(9)また、第1から第5の実施の形態において、対応するトルク調整ユニット20、120、220、320、420の適用対象はサポートウェア1であるものとして説明したが、これに限定されるものでない。適用対象としては、基準平面Prを挟んでトルクの調整手法を異なったものにする必要のあるものであれば十分である。
(10)さらに、第1から第5の実施の形態において、サポートウェア1の把持対象は腕(上腕、肘、前腕、および手首等)であるものとして説明したが、これに限定されるものでない。例えば、足(大腿、膝、下腿、および足首等)を把持対象としても良い。