JP6627483B2 - 色変化距離を用いる組織構造分類方法及びその分類を使った材料物性推算方法 - Google Patents

色変化距離を用いる組織構造分類方法及びその分類を使った材料物性推算方法 Download PDF

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Description

本発明は、色変化距離を用いる組織構造分類方法及びその分類を使った材料物性推算方法に関する。
鉱物をはじめ、金属、液晶、高分子材料、炭素材料など、光学的異方性を有する材料は光学顕微鏡の一種である偏光顕微鏡を用いてクロスニコル下で観察することで、鮮やかな色を呈した画像を取得することができる。この色の違いはその材料の結晶特性を反映しており、鉱物種の同定や、材料の均質性や歪の有無の判定など様々な情報が得られることから偏光顕微鏡観察は光学的異方性を有する材料には必要不可欠である。
例えば、高分子材料である偏光フィルムの結晶性が相対的に高い部分と相対的に低い部分の判定や(例えば、特許文献1を参照)、液晶構造の温度に対する変化の評価に(例えば、特許文献2を参照)利用されている。このように偏光顕微鏡は、微細体を拡大するだけでなく、微細体を構成する物質の光学的性質を調べるための機能を備えた顕微鏡であり、物質の偏光特性を明度又は色の違い又は、変化として捕らえることができ、物質の結晶配向の状態の観察を可能とするものである。
また上記材料のうち炭素材料についても偏光顕微鏡が利用されている。炭素材料は、炭素原子のみから構成される材料にあるにも関わらず非常に多様な結晶構造を持つため、これに起因して幅広い物性を有する。したがって、電極、シリコン単結晶用るつぼ、電気ブラシなど産業上重要な素材として様々な用途に用いられている。炭素材料は、その材料中に含まれる炭素六角網面の配向状態により光学的異方性や光学的等方性を有しており、炭素材料として重要である機械的強度、低熱膨張性、高熱伝導性、電気伝導度等のバルク物性は、その光学的異方性領域の存在比、形、分布によって変化することが経験的に知られている。そのため、炭素六角網面の配向状態を制御すれば,用途に応じた材料を設計することが可能となる。
図1及び図2は、偏光フィルターであるポラライザーとアナライザーが、クロスニコル下で鋭敏色板が挿入された偏光顕微鏡において、炭素六角網面の配向状態と観察される色との関係を示す図である。図1に示すように、炭素六角網面が一方向に配列している場合、すなわち、光学的異方性領域では、炭素六角網面とポラライザー又はアナライザーの角度によって色が変化する。一方、図2に示すように、炭素六角網面がランダムに配列している場合、すなわち、光学的等方性領域では、炭素六角網面、ポラライザー又はアナライザーの角度によらず一定の色を示す。このように、角度による偏光顕微鏡から観察できる光学的性質の違いは、炭素材料の構造が異なることを示す。
偏光顕微鏡から観察できる光学的性質の違いは、炭素材料の物性に影響を及ぼすことから、炭素材料の物性を推測するのに有用な手段となる。しかし、顕微鏡による観察という人間の目視での判別は、人による認識の差や周囲の色の影響により、正確な判別が困難である。
そこで、炭素材料の組織の配向を定量的に評価するため、偏光顕微鏡により撮影された画像を処理することにより、炭素材料の組織構造を定量化する試みがなされている。例えば、コークスの画像解析方法としては、主に鉄鉱石の還元剤のコークスに関して、偏光顕微鏡の偏光板を回転させることによる反射率の差を用いて異方性を評価する方法が報告されている(例えば、特許文献3乃至5を参照)。
また、シリコン単結晶用るつぼや、電極の骨材として用いられるタールを原料としたコークスについて、細線化処理、エロージョンやダイレーション処理、フーリエ変換処理等を用いた、解析手法についても報告されている。(例えば、特許文献6及び非特許文献1を参照)。
しかしながら、従来の方法では、空孔領域、光学的異方性領域及び光学的等方性領域がより複雑な構造を有する炭素材料(例えば、ピッチコークスや石油コークス等の骨材用コークス)については、次の理由から、物性の把握が困難であった。すなわち、バルクとしての炭素材料の物性を把握するために炭素材料の多様な構造を把握する必要があり、各種多数画像の統計的解析が必要となる。一方、画像から定量的な情報を得るためには、得たい情報に応じて閾値の設定が必要であるが、その閾値は任意の値ではなく、各々の画像によって設定が必要なため、統計的解析に必要な多量の画像データを統一的に処理することは困難であった。また、偏光顕微鏡で観察される画像についてはカラー画像であるが、従来の方法による解析に用いる画像についてはグレースケール画像であるため、情報が欠けた状況での解析となる。そのため、複雑な炭素材料の構造を定量的に評価することが困難であり物性の把握が困難であった。したがって、状況に応じた閾値の設定やカラー情報を元にした解析など複雑な構造に対しても適応可能な解析方法の開発が要求されている。
また、偏光顕微鏡は目視による観察を目的として機器が設計されているため、偏光顕微鏡に取り付けているデジタルカメラは観察者が見やすいように観察対象や光源の違いによってシャッター速度やゲイン等を自動的に調整した画像として得られる。一方この自動調整機能が画像解析に必要な一定撮影条件での画像取得を困難にして、その結果同一処理条件による解析、数値化を困難にしている。また、人間にとっては見やすい画像でも画像情報を確認すると明度値頻度分布の一部が飽和しているなど画像解析には適さない撮影条件となる場合もある。例えば炭素材料の空孔領域を算出するために任意の閾値を設定したとしても、撮影条件が異なれば一定の値の閾値では空孔領域がうまく抽出できない。
人間はこれらを観察する際には撮影条件が異なっていても画像から読み取った情報から自然と画像に適した閾値、例えば暗い画像なら明度の低い値を閾値に設定するなどしている。これに対して画像解析では同様の画像ごとに閾値設定を行うか、これらの撮影条件に依存しない解析方法の開発が求められている。
これに対して、本発明者らは、先に光源の条件や試料の種類が異なった場合にも、試料の組織構造を正確に分類することができる試料の組織構造分類方法を提案した。(例えば、特許文献7を参照)。本手法は、偏光顕微鏡によって得られる多数画像それぞれの明度分布や色相分布から適切、且つ任意性のない閾値を設定するため、光源の条件や試料の種類が異なった場合にも、試料の組織構造を正確に分類することができる。しかしながら、光学フィルター有り無しでの撮影や、異なる機種のデジタルカメラでの撮影など撮影条件が大きく異なる場合での適応は困難な点を内包するものであった。また、光学的異方性領域のうち結晶方位軸がポラライザーもしくはアナライザーに平行に向いている領域である消光位、即ち図1に示すマゼンタ色を呈する光学的異方性領域の抽出も困難な点を内包するものであった。
特開2014−145985号公報 特開2008−268095号公報 特開平1−150839号公報 特開平1−150841号公報 特開平3−96837号公報 特開平2−213752号公報 特開2014−160053号広報
Carbon 1996, 34, 375−385, Light Metals 1991, 575−579
従って、本発明の課題は、前記の問題点に鑑み、撮影条件の影響を非常に軽減し、さらに消光位の光学的異方性領域の抽出も可能な、組織構造の分類方法とその分類を使った材料物性推算方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、クロスニコル下の偏光顕微鏡で画像撮影する際に、撮影対象を回転させることにより得られる異角度・同一視野の画像から得られる、各画素の色変化距離(色相・明度2次元座標の移動距離)という概念を導入することにより、人間の目で見た感覚と同じ領域の部分を機械的に数値化することができることを見出して、本発明を完成させるに至った。これは従来の色味による分類、つまり色相分布上で“何色か”ではなく“色相、明度の変化”のみに着目することにより撮影条件の束縛から脱した優れた方法である。
本発明の第1は撮影対象物を任意角度回転させて撮影することにより得た同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を、回転による位置ずれを補正した後の画像(以下、「位置ずれ補正回転画像」という)同士の同一位置の各画素について、その画素の色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素の回転による色相明度2次元座標上の移動距離である色変化距離を用いて、光学的異方性領域とそれ以外の領域に分類することを特徴とする材料の組織構造分類方法である。本発明の第2は、本発明の第1で得られた結果に基づいて、観察した材料、またはその試料から製造された材料の物理的物性を推算することを特徴とする材料の推算方法である。これらは以下の(1)乃至(4)の手法から構成されている。
(1)色変化距離により光学的異方性領域と光学的等方性領域に分類する手法
(2)明度頻度分布より組織領域と組織外領域に分類する手法
(3)(1)と(2)を組み合わせることにより4つの領域に分類する手法
(4)(3)により分類された領域から材料物性推算に必要な定量化データを取得し、得られたデータから材料物性を推算する手法
詳細に述べると手法(1)では、撮影対象物を任意角度回転させて撮影することにより得た同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を、回転による位置ずれを補正した後、画像同士の同一位置の各画素について、その画素の色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素の回転による色相明度2次元座標上の移動距離である色変化距離を得る。そして得られた色変化距離を用いて、光学的異方性領域とそれ以外の領域に分類することを特徴とする。
手法(2)では、まず、撮影対象物を任意角度回転させて撮影することにより得た同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を、回転による位置ずれを補正する。次に各画像中の全画素について、明度の頻度分布を作成する。作成した明度の頻度分布に極小値が存在する場合は極小値となる頻度の明度値を、極小値が存在しない場合は任意の明度区間の最小頻度の明度値を、それぞれ閾値とする。当該閾値以下の明度値である画素を当該画像の組織外領域として分類し、任意角度回転させて撮影した同一視野の複数画像において、どの角
度の画像でも組織外領域とされた領域以外を組織領域として分類することを特徴とする。
さらに、手法(3)では、手法(1)(2)を組み合わせることにより光学的異方性領域且つ組織領域、光学的異方性以外の領域且つ組織領域、光学的異方性領域且つ組織外領域、光学的異方性以外の領域且つ組織外領域の計4領域に分類することを特徴とする。
さらに、手法(4)では、手法(3)で分類された領域から面積や分布などの量化値を算出して、観察した材料、またはその材料から製造された成形体の物理的物性を推算することを特徴とする。
本発明によれば、画像処理によって試料の組織構造を分類する際に、撮影対象を回転させることによる色の変化をとらえるため、また、一意的な閾値を用いているため、光源の条件や試料の種類が異なった場合にも、その影響を受けることなく試料の組織構造を分類することができる。さらに、消光位部分の光学的異方性領域の抽出を含めた正確な組織構造の分類ができる。さらに正確な組織構造分類により得られる定量化データを用いることで試料の物理的物性を精度よく推算することができる。
ポラライザーとアナライザーがクロスニコル下で鋭敏色板が挿入された偏光顕微鏡において、炭素六角網面が一方向に配列している場合の炭素六角網面の配向状態と観察される色との関係を示す図である。 ポラライザーとアナライザーがクロスニコル下で鋭敏色板が挿入された偏光顕微鏡において、炭素六角網面がランダムに配列している場合の炭素六角網面の配向状態と観察される色との関係を示す図である。 試料の偏光顕微鏡画像の一部を拡大し、グレースケール画像に変換した画像を示す図であり、典型的な球晶構造の画像である。 試料の偏光顕微鏡画像の一部を拡大し、グレースケール画像に変換した画像を示す図であり、典型的な針状構造の画像である。 本発明に係る色変化距離を用いる組織構造分類方法を説明するための図。撮影対象を回転させることにより得られる異角度・同一視野の画像から得られる、一画素の色変化の軌跡であり、図4の円形内のある一画素の色変化の軌跡である。各データの添え字は撮影対象の顕微鏡ステージ回転角度。 図4で示した偏光顕微鏡画像の位置ずれ補正回転画像から、従来法である特許文献7の手法で分類された領域Aを白色、領域ANotを黒色で表した2値化画像を示す図である。 本発明に係る色変化距離を用いる組織構造分類方法を説明するための図。撮影対象を回転させることにより得られる異角度・同一視野の画像から得られる、一画素の色変化の軌跡であり、図3の円形内のある一画素の色変化の軌跡である。各データの添え字は撮影対象の顕微鏡ステージ回転角度。 本発明に係る色変化距離を用いる組織構造分類方法を説明するための図。撮影対象を回転せずに同一視野画像を2枚取得しその画像同士の同一位置の各画素の色変化距離の頻度分布と積算割合 図3で示した偏光顕微鏡画像の位置ずれ補正回転画像から、実施例1の方法で分類された領域Aを白色、領域ANotを黒色で表した2値化画像を示す図である。 図4で示した偏光顕微鏡画像の位置ずれ補正回転画像から、実施例1の方法で分類された領域Aを白色、領域ANotを黒色で表した2値化画像を示す図である。 図9で示した領域Aから、実施例1の方法で領域Cと領域Dを分類した画像で、領域ANotを黒色、領域Cを灰色、領域Dを白色で表した画像を示す図である。 図10で示した領域Aから、実施例1の方法で領域Cと領域Dを分類した画像で、領域ANotを黒、領域Cを灰色、領域Dを白色で表した画像を示す図である。 図3で示した偏光顕微鏡画像の位置ずれ補正回転画像から、比較例1の方法で分類された領域Aを白色、領域ANotを黒色で表した2値化画像を示す図である。 図4で示した偏光顕微鏡画像の位置ずれ補正回転画像から、比較例1の方法で分類された領域Aを白色、領域ANotを黒色で表した2値化画像を示す図である。 図13で示した領域Aから、比較例1の方法で領域Cと領域Dを分類した画像で、領域ANotを黒色、領域Cを灰色、領域Dを白色で表した画像を示す図である。 図14で示した領域Aから、比較例1の方法で領域Cと領域Dを分類した画像で、領域ANotを黒、領域Cを灰色、領域Dを白色で表した画像を示す図である。 実施例1の分類方法によって算出した領域Cの割合Fを用いたコークスの熱膨張係数(CTE)推算モデル 実施例4の分類方法によって算出した領域Cの割合Fと色公転周期Kを用いたコークスの熱膨張係数(CTE)推算モデル 実施例5の分類方法によって算出した領域Cの割合Fを用いたコークスの熱膨張係数(CTE)推算モデル 実施例6の分類方法によって算出した領域Cの割合Fと円形度、長短比から算出した定量化値Mを用いたコークスの熱膨張係数(CTE)推算モデル 実施例7の分類方法によって算出した領域Cの割合Fとジニ係数から算出した定量化値Oを用いたコークスの熱膨張係数(CTE)推算モデル 実施例8の分類方法によって算出した領域Cの割合Fと二乗平均平方根から算出した定量化値RMSを用いたコークスの熱膨張係数(CTE)推算モデル 実施例9の分類方法によって算出した領域Cの割合Fと色公転周期Kを用いたコークスの熱膨張係数(CTE)推算モデル 実施例10の分類方法によって算出した領域Cの割合Fと色公転周期Kを用いたコークスの熱膨張係数(CTE)推算モデル
以下、本発明を適用した実施の形態(本実施の形態)の一例について、以下の順序で詳細に説明する。
1.色変化距離を用いる組織構造分類方法
2.材料物性推算方法
3.プログラム
(1.色変化距離を用いる組織構造分類方法)
<試料の説明>
組織構造分類方法の対象となる試料としては、特に限定されず、偏光顕微鏡で光学的異方性が観察できる材料なら何でもよく、具体的には、炭素材料、鉱物、高分子材料などが挙げられる。
以下、試料として炭素材料を例に挙げて、本実施の形態に係る色変化距離を用いる組織構造分類方法について、具体的に説明する。
炭素材料は、観察対象面が鏡面状に加工できるものであれば、材質については特に限定されるものではない。例えば、炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、炭素化物前駆体等が挙げられる。炭素化物前駆体としては、ピッチ、タール及び有機高分子化合物等が挙げられる。ピッチ、タールとしては、例えば、含浸ピッチ、コールタールピッチ、石炭液化油等の石炭系重質油、アスファルテン等の直留系重質油、エチレンヘビーエンドタール等の分解系重質油等の石油系重質油等が挙げられる。特に、具体的には、ピッチコークスや石油コークス等の骨材用コークスについて、炭素材料の組織構造を正確に分類することができる。
炭素材料の観察対象面を鏡面状に加工する方法としては、特に限定されないが、例えば、機械研磨の方法が好ましい。機械研磨に用いる装置としては、特に限定されず、公知の装置を用いることができる。
観察対象面が鏡面状とは、例えば、算術平均粗さRaが1.0μm以下、特に好ましくは算術平均粗さRaが0.5μm以下の状態をいう。
<用いる顕微鏡装置の説明>
本法で用いる顕微鏡はポラライザー、アナライザーそして鋭敏色板が備えられた偏光顕微鏡で透過型、反射型どちらでもよく撮影対象によって適切な型を選択すればよい。本法での解析対象である偏光顕微鏡画像は、例えばCCDカメラ等の画像記録装置により撮影して得られるデジタル画像データである。偏光顕微鏡画像は、各画素についてRGBデータを有するものであれば、特に限定されるものではない。また、偏光顕微鏡画像は、RGBデータを有していないものであっても、画像変換によってRGBデータが得られるものであればよい。
偏光顕微鏡画像は、例えば、次のような方法で得ることができる。まず、ポラライザー、アナライザーがクロスニコルの状態で挿入され、さらに鋭敏色板も挿入された反射型偏光顕微鏡のステージに、研磨試料を設置する。続いて、反射型偏光顕微鏡に取り付けたCCDカメラにより、カラー偏光顕微鏡像のデジタル画像を取得する。図3、図4に示す画像は、ピッチコークスの試料について、このカラー偏光顕微鏡像のデジタル画像の一部を拡大して、グレースケール画像に変換したものであり、それぞれピッチコークスの典型的な構造である球晶構造、針状構造である。
カメラの画素は、特に限定されず、通常50〜500万画素であり、100〜300万画素とすることが好ましい。画素は、高い程、高解像度となり解析精度が向上するが、高すぎると解析に時間がかかってしまう。一方、画素が低い程、解析にかかる時間が短くなるが、低解像度となり解析精度が低下してしまう。そのため、解析精度と解析時間の兼ね合いから、100〜300万画素とすることが好ましい。
<撮影方法の説明>
撮影対象物を任意角度回転させて同一視野の複数の偏光顕微鏡像を撮影する方法は、特には限定されないが、通常は顕微鏡回転ステージに電動制御可能なユニットを搭載させることが好ましく、その繰り返し位置決め精度は好ましくは0.100度以下、より好ましくは0.050度以下、さらに好ましくは0.030度以下である。また、撮影対象物を任意角度回転させて撮影する方法においてより好ましい方法は、偏光顕微鏡画像撮影用の画像記録装置を顕微鏡回転ステージと連動させ、顕微鏡回転ステージと同一方向・同一角度に回転させて撮影する方法であり、画像記録装置の回転繰り返し位置決め精度は好ましくは0.100度以下、より好ましくは0.050度以下、さらに好ましくは0.030度以下である。このように、光顕微鏡画像撮影用の画像記録装置と顕微鏡回転ステージと連動させることにより、解析に供することのできる画像の面積を大きくとることが可能となる。
また、回転画像は0度〜180度まで取得するがその刻みは、特には限定されず、最低でも90度刻みが必要で、好ましくは45度刻み以下、より好ましくは30度刻み以下、さらに好ましくは15度刻み以下である。回転刻みは細かいほど組織構造分類の解析精度が向上するが、細かすぎると撮影時間・解析時間が長くなってしまう。一方、回転刻みが粗いほど撮影時間・解析時間が短くなるが解析精度が低下してしまう。そのため、解析精度と撮影・解析時間の兼ね合いから、10度刻み以上15度刻み以下とすることが好ましい。さらに、1度から90度まで取りうる刻みの値であるが、90の約数とすることが望ましい。これは後に詳述する分類方法において、任意の回転角とその角度から90度回転
させた回転角での色距離を解析に用いるためで、回転画像の回転角が相対的に90度異なる画像が存在する方が、解析精度が高いためである。
<画像データの説明>
本実施の形態に係る色変化距離を用いる組織構造分類方法に用いる明度は、例えば0から255までの256階調のRGBデータについて、RGBのそれぞれの階調データをR、G、Bとすると、(R+G+B)/3によって得られる値である。また、解析対象の画像領域の画素すべてに対して上記計算式により求められる階調データを取得し、階調の小さい値から大きい値に並べ、その個数、もしくは解析対象とした画素すべてに対する個数割合を表したものが明度頻度分布である。
色相は、例えば次のようにして得られる値である。色相をHueとし、0から255までの256階調のRGBデータにおいてR、G、B各値の最大値と最小値の差をΔとすると、色相Hueは以下の式で得られる。
1.Hue=0 (Δ=0の場合)
2.Hue=60×(G−B)/Δ (R、G、Bの内Rが最大の場合)
3.Hue=60×(2+(B−R)/Δ) (R、G、Bの内Gが最大の場合)
4.Hue=60×(4+(R−G)/Δ) (R、G、Bの内Bが最大の場合
また、2.乃至4.の場合においてHueが負の値であればHueに360を加えた値をHueとする。
以上の計算式を用いることで、0から359までの360階調で表現される色相データが得られる。また、解析対象の画像領域の画素すべてに対して上記計算式により求められる色相データを取得し、階調の小さい値から大きい値に並べ、その個数、もしくは解析対象とした画素すべてに対する個数割合を表したものが色相頻度分布である。
撮影対象物を任意角度回転させて同一視野の複数の偏光顕微鏡像を撮影する条件は画像を撮影する際にRGBの各明度の頻度分布の最大値が255に達すると、組織の色情報が一部失われてしまい試料の組織構造分類が上手くできないことを考慮して、RGBの各明度の頻度分布の最大値が255に達しない条件で撮影することが好ましい。
また、上述した説明では、明度は、0から255までの256階調のRGBデータについて、(R+G+B)/3によって得られる値としたが、この例に限定されるものではない。例えば、R、G、Bのうち最大値を明度とすることも可能である。また上述した説明では、取得画像のRGBデータが256階調であったため明度の階調も256階調としたが、その階調を任意の値に設定してもよい。この場合の好ましい明度極小値の範囲は、明度の階調が256の場合の好ましい明度極小値の範囲と等比で変化する。
<分類する領域の説明>
本実施の形態に係る色変化距離を用いる組織構造分類方法は、位置ずれ補正回転画像同士の同一位置の各画素について、明度もしくは色相と明度の2次元指標を用いることで以下に説明するA、ANot、C、D及びEの領域に分類する。
撮影対象物を任意角度回転させて撮影した画像はすべて同一サイズの画像である。これらの画像を回転による位置ずれを補正することで、同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像の四隅が一部重ならない領域が存在する。この領域を除き回転画像すべてが重なる領域が全体領域E(以下、「領域E」という)である。炭素材料の場合、一般的に炭素材料中に存在する空隙や炭素材料同士の粒界が存在しそこには炭素組織は存在しない。領域Eのうち炭素組織が存在する領域が組織領域A(以下、「領域A」という)、空隙や粒界など炭素組織が存在しない領域が組織外領域ANot(以下、「領域ANot」という)と分類する。領域Aと領域ANotの分類は後述の(1−1.領域Aと領域ANotとを分類するステップ)にて詳述する。
領域Aは、さらに領域Cと領域Dに後述の色相と明度の2次元指標によって分類できる。領域Cは一般的に光学的異方性領域と認識できる領域であり、領域Dは一般的に光学的等方性領域と認識できる領域である。領域Cは、図1に示すように、炭素六角網面が一方向に配列し、炭素六角網面、ポラライザー又はアナライザーの角度によって色が変化する領域に相当する。領域Dは、図2に示すように、炭素六角網面がランダムに配列している場合に、炭素六角網面、ポラライザー又はアナライザーの角度によらず一定の色を示す領域に相当する。
本実施の形態に係る色変化距離を用いる組織構造分類方法は、対象となる炭素材料の偏光顕微鏡の位置ずれ補正回転画像から領域Aと領域ANotとを分類するステップと、領域Aから領域Cと領域Dとを分類するステップを有する。
(1−1.領域Aと領域ANotとを分類するステップ)
領域Aと領域ANotの分類であるが、炭素材料の場合、反射型偏光顕微鏡で観察すると、炭素材料中に存在する空隙や炭素材料同士の粒界部分である組織外領域は炭素組織の存在する組織領域にくらべ明度が低い。したがって特許文献7に記載の様に明度頻度分布から領域Aと領域ANotを分類することが可能である。本発明においては位置ずれ補正回転画像一枚ずつの画像について特許文献7に記載の方法を用いることで、それぞれ領域A(特許文献7では組織領域Bと表現)と領域ANot(特許文献7では空孔領域Aと表現)とを分類する。さらにそれらを重ね合わせることにより、本発明における組織領域である領域Aと本発明における組織外領域である領域ANotを分類できる。本手法は、重ね合わせをすることにより特許文献7よりも正確に組織領域と組織外領域とを分類可能である。その例は以下の様な場合である。
図4に示した領域の偏光顕微鏡画像から組織領域と組織外領域を分類する場合、0度〜180度すべての位置ずれ補正回転画像に対し、特許文献7に記載の方法で明度頻度分布を取得し、明度20から80の間で頻度が極小値もしくは最小値となる値をそれぞれ算出する。得られた複数の値から中央値を算出し、その値を、当該位置ずれ補正回転画像の領域Aと領域ANotの明度閾値とする。図4に示した領域については、その閾値は45となる。次に、図4の円形で示す領域のある一画素について、位置ずれ補正回転画像の0度〜180度それぞれの角度における、色相、明度の値を図5に示すように色相明度2次元座標上にプロットする。すると、図4の円形で示す領域の画素は図5に示すように色相明度2次元座標上で楕円の軌跡を描き、撮影対象物の回転角度によっては領域Aと領域ANotの明度閾値以下に存在する場合が存在する。ここで、撮影角度120度の位置ずれ補正回転画像単独の領域Aと領域ANotの明度閾値は全ての位置ずれ補正回転画像から算出される領域Aと領域ANotの明度閾値と同じ45である。したがって、特許文献7の手法では、図4の円形で示す領域は、ある撮影角度では領域Aと、ある撮影角度では領域ANotと分類されてしまう。撮影角度120度の位置ずれ補正回転画像について特許文献7の手法で明度頻度分布を取得し、明度20から80の間で頻度が極小値となる値を明度閾値(明度45)とする。以上の閾値により分類された領域Aを白色、領域ANotを黒色で2値化した場合、図6に示すように組織領域はほとんど存在しない結果となり、図4では明らかに炭素材料の存在する領域、つまり領域Aと分類されるべき領域が領域ANotと分類されている。これは光学的異方性領域の炭素六角網面がポラライザーもしくはアナライザーと並行となり消光位となったためである。このような消光位となる場合、明度が著しく小さくなるため、組織領域であっても領域Aと領域ANotの明度閾値以下の領域が存在する。この消光位による不適切な領域Aと領域ANotの分類を避けるためには撮影対象物の回転により一度でも領域Aと領域ANotの明度閾値を超える領域に存在する画素は領域Aに分類し、それ以外の場合、つまり、撮影対象物の回転によらず常に領域Aと領域ANotの明度閾値以下に存在する画素を領域ANotに分類する。
以上より、本発明の分類方法によれば、撮影対象物の撮影角度によっては本来組織領域
であるはずの領域が組織外領域と判定される可能性のある特許文献7に記載の方法に比べ、本手法はより正確に組織領域と組織外領域を分類することができる。
また、上述した説明では、反射型偏光顕微鏡を用いる例を説明したが、この例に限定されるものではない。例えば、観察対象となる試料が薄片状に加工でき、透過法で観察できるものであれば透過式の顕微鏡を用いてもよい。この場合、炭素材料中に存在する空隙や炭素材料同士の粒界部分である領域ANotは領域Aにくらべ明度が高いため明度頻度分布上での領域Aと領域ANotの領域が逆転する。
(1−2.領域Aから領域Cと領域Dとを分類するステップ)
領域Cと領域Dの分類であるが、図5や図7に示すように位置ずれ補正回転画像の領域Aに該当する画素の色相明度2次元座標上での色変化を確認すると、大きな軌跡を描く画素とそうでない画素が存在する。前者は炭素六角網面が一方向に配列し、複屈折性の高い構造、つまり光学的異方性を有する構造に起因するものであるため、領域Cに分類できる。後者は炭素六角網面がランダムに配列し、複屈折性の低い構造、つまり光学的等方性を有する構造に起因するものであるため、領域Dに分類できる。この領域C、Dを判断する方法には例えば以下の甲乙丙丁戊の5つの方法がある。
(手法甲:色変化距離の大小判断)
画素の色相明度2次元座標上での色変化の大小を判断する方法としては以下の2種類の方法がある。一つ目は位置ずれ補正回転画像の画像同士の同一位置の各画素について、0度から180度における、ある撮影角度とその角度から90ずれた角度間の色変化距離を算出しその平均値の1/2の値をT1とし、軌跡の半径として評価する方法である。二つ目は位置ずれ補正回転画像の画像同士の同一位置の各画素について、0度から180度における色変化の軌跡の距離を算出しその値をT4とし、軌跡の長さとして評価する方法である。T1、もしくは、T4がある閾値より大きい場合はその画素は色が変化しているとして領域Cと分類し、ある閾値以下の場合は領域Dと分類する。このような処理を位置ずれ補正回転画像の画像同士の同一位置の領域Aと分類された各画素について行うことにより、領域Aを領域C、領域Dに分類できる。
T1を評価する場合の閾値の設定であるが、0度と180度での色変化距離をT2として、T1がT2より大きな値をとる画素を領域Cと分類し、T1がT2以下の値をとる画素を領域Dと分類することが可能である。0度と180度での色変化距離を閾値として用いる理由は以下の通りである。原理的には、0度と180度の位置ずれ補正回転画像の画像同士の同一位置の各画素の色相、明度の値は等しくなり色変化距離T2は0となるはずである。しかし実際には、図5や図7の0度の座標と180度の色相、明度はずれている。これはステージやカメラの回転といった機械的動きによる誤差が含まれ、位置ずれ補正の処理によっても、それは完全に解消されないために生じるものである。したがって位置ずれ補正回転画像が含有しうる誤差として“0度と180度での色変化距離T2を半径とする色変化は色が変化したとはみなさない”として、色変化を判定する閾値として利用できる。T4を評価する場合、誤差半径T2から算出される誤差軌跡2π×T2を閾値とし、T4が2π×T2より大きな値をとる画素を領域Cと分類し、T4が2π×T2以下となる画素を領域Dと分類することもできる。
もう一つの閾値設定方法として撮影対象を回転せずに同一視野画像を2枚以上取得し閾値を算出することができる。図8は撮影対象を回転せずに同一視野画像を2枚取得しその画像同士の同一位置の各画素の色変化距離の頻度分布と積算割合を算出したデータである。前述とは異なり回転をせずに同一視野を撮影しているため、回転による誤差も排除され、理論的には全ての画素について色変化距離は0となるはずである。しかしながら実際にはCCDカメラの熱揺らぎの影響など顕微鏡本来の誤差により、色変化距離が0ではない
画素が存在する。この誤差を考慮して閾値を算出できる。この閾値をT3とすると、以下の方法で閾値T3を設定することができる。
例えば、同一視野画像を4枚撮影した場合、それぞれ「画像1」乃至「画像4」とし、これら画像同士の同一位置の画素座標を(x、y)とした場合、画像1と画像2の同一位置の画素(x、y)の色変化距離を画像1−2(x、y)と定義する。この色変化距離の値は同一視野画像を4枚撮影した場合は同一位置(x、y)の画素について画像1−2(x、y)、画像1−3(x、y)、画像1−4(x、y)、画像2−3(x、y)、画像2−4(x、y)、画像3−4(x、y)の計6点の色変化距離が算出される。この6点の平均値をT3と設定し閾値とすることができる。これを各画素すべてに適応することで全画素について個別にT3が設定できる。そしてT1を評価する場合はT1がT3より大きな値をとる画素を領域Cと分類し、T1がT3以下の値をとる画素を領域Dと分類することが可能である。T4を評価する場合T4が2π×T3より大きな値をとる画素を領域Cと分類し、T4が2π×T3以下の値をとる画素を領域Dと分類することが可能である。
その他の方法として、画像全体で同じ値のT3を設定することもできる。図8に示す頻度分布から、色変化距離の全頻度に占める色変化距離0からの積算割合がある一定の割合以下、例えば99%以下となる色変化距離を閾値とすることで各画素ではなく、画像全体の閾値としてT3を設定することもできる。
このように画素のT1もしくはT4の大小を比較して領域Cと領域Dに分類する閾値はT2とT3があるが、T2、T3両方またはいずれかの値を用いて領域Cと領域Dに分類することが可能である。
(手法乙:高色変化距離の評価)
上述の手法甲により得られるT1、T4を別の方法で評価して領域Cに分類することが可能である。
まず、T1の評価であるが、T2、もしくはT3の何れか小さい値からT1の間の任意の値を閾値αとすると、T1が閾値αより大きな値をとる画素を領域Cとして分類することが可能である。
次に、T4の評価であるが、2π×T2、もしくは2π×T3のいずれか小さい値からT4の間の任意の値を閾値βとすると、T4がβより大きな値をとる画素を領域Cとして分類することが可能である。ここで、T1乃至T4は前記手法甲で得られる値である。
光学的異方性領域の中でも相対的に結晶性の高い領域は複屈折も相対的に大きいため、色変化距離も相対的に大きくなる。従って閾値T2、T3によって分類された領域Cの中でも、α、βによって、領域Cの中でも相対的に結晶性の高い領域と相対的に結晶性の低い領域が分類できる。これら閾値α、βは撮影対象の試料の種類や解析目的に応じて自由に設定でき、かつ、さらに閾値を設定して、複数に分類することも可能である。また、画素一つ一つに対して個別にα、βを設定するのではなく、画像全体で同じ値のα、βを設定することも可能である。例えば、上述の方法で領域Cに分類された全画素の色変化距離T1(T4)のヒストグラムを作成し、そのヒストグラムのT1(T4)最大値からの頻度積算割合が、例えば50%となるところの色変化距離がα(β)となるように設定することも可能である。
(手法丙:色変化の軌跡の歪みの評価−軌跡の長さ評価)
T1、T4を用いてT5を以下の数式で定義することで色変化の軌跡の歪みを評価し、組織構造を分類する方法がある。
T5=T4/(2π×T1)
色変化の軌跡がなめらかな円の場合、T5の値は1に近い値となり軌跡が歪になればな
るほどT5の値は1から外れた値となる。したがってT5がγ≦T5≦δの範囲内に収まる画素を領域Cと分類し、それ以外の画素を領域Dと分類できる。これら閾値γ、δは撮影対象の試料の種類や解析目的に応じて自由に設定でき、かつ、さらに閾値を設定して、複数に分類することも可能である。これら閾値γ、δの設定方法であるが、抽出したい領域や撮影角度によって設定する閾値は異なるため、通常は分類前の偏光顕微鏡画像と比較しながら閾値γ、δの設定値を変えて、目的の領域が分類できる閾値γ、δを特定して設定する。例えば、撮影角度0度から180度まで15度ずつ撮影する場合に、手法甲により分類される領域Cと同様の領域を分類する場合は、好ましくはγの範囲は0から1.00が、δの範囲は1.25から1.91であり、更に好ましくはγの範囲は0.63から0.96が、δの範囲は1.25から1.60である。
(手法丁:色変化の軌跡の動きの評価)
色変化の軌跡の動きを評価することで組織構造を分類することも可能である。軌跡の動きは、色相明度2次元指標上で撮影角度の回転に従い一定の回転方向に動く画素が存在する場合と、撮影角度によっては軌跡がそれまでと逆方向に動く場合がある。この動きを判定する方法は種々可能であるが、例えば、まず画素の色変化の軌跡の重心点を求める。この重心点から、各撮影角度の座標位置までの線分の動きが撮影角度0度から15度、15度から30度と、15度ずつ165度から180度まで撮影角度の回転に従い、画素の軌跡も一定の回転方向に動くか否かを評価する。逆方向に動いた回数を評価することで撮影角度の回転に従い一定の回転方向に動く画素を分類でき、逆方向に動いた回数が一定回数以下、例えば逆方向に動いた回数が2回以下の画素を領域Cと分類し、逆方向に動いた回数が一定回数より大きい画素を領域Dと分類できる。この回数は撮影対象の試料の種類や解析目的に応じて自由に設定でき、かつ、さらに閾値を設定して、複数に分類することも可能である。
(手法戊:色変化の軌跡の歪みの評価−軌跡の交点評価)
色変化の軌跡の交点から色変化の軌跡の歪みを評価することも可能である。色変化の軌跡には、なめらかな楕円形状を描くものもあれば、扁平な形状、ジグザグな形状を描くものもある。それらの評価方法としては、まず画素の色変化の軌跡をそれぞれ線分でつなぎ撮影角度0度から180度までの線分を得る。この線分に交点が存在するかしないか、存在する場合はいくつあるかを評価することで、軌跡の歪さを評価し、交点が一定数以下の画素を領域Cと分類し、一定数より大きい画素を領域Dと分類できる。この数は撮影対象の試料の種類や解析目的に応じて自由に設定でき、かつ、さらに閾値を設定して、複数に分類することも可能である。
上述した手法甲乙丙丁戊の5つの分類方法は、それぞれ単独で用いても良くこれらを組み合わせても良い。また、手法甲により分類した領域から手法丙により分類した領域でない部分を除くなども可能である。
以上、説明したように本実施の形態に係る色変化距離を用いる組織構造分類方法は、位置ずれ補正回転画像から得られる色変化距離を組織構造分類の指標とする。これにより画像処理によって炭素材料の組織構造を分類する際に、任意性のない閾値を用いているため、光源の条件や炭素材料の種類が異なった場合にも、炭素材料の組織構造を正確に分類することができる。また、上述した組織構造分類方法は、色相と明度の2次元指標を用いて説明したがこれに限定されるものではなく、色相、明度、彩度から選ばれる任意の2次元指標を用いても良く、色相、明度、彩度の3次元指標を用いた色立体での色変化距離を用いても良い。
(2.材料物性推算方法)
上述した手法甲乙丙丁戊を用いて分類した領域から組織構造の定量化値を算出でき、こ
の算出値を用いることによって、炭素材料のバルク物性を推算することができる。以下、一例として、炭素材料について組織構造分類方法から組織構造の定量化値を算出する方法とバルク物性を推算する方法について説明する。
炭素材料のバルク物性は、炭素材料中の光学的異方性領域の割合や配向性の違い分布、光学的等方性領域や組織外領域の割合、分布などによって左右されることが経験的に知られている。従ってこれら領域の割合、配向性、分布の数値化が必要である。
例えば、前述の光学的異方性領域の数値化であるが、光学的異方性領域の割合をFとすると領域Aと領域Cを用いてF=C/Aにより面積率として数値化できる。ここでA、Cはそれぞれ領域A、Cのピクセル数または、面積を用いる。
次に光学的異方性領域の配向性の数値化であるが、取得した位置ずれ補正回転画像の各画像中の領域Cの全画素の明度平均値及び色相平均値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、色相明度次元座標上での重心である色重心を求める。そして各画像の回転による色重心の軌跡長を求め、色公転周期Kを算出する。ここでKは軌跡長そのもの、もしくは任意の値で規格化した値でも問題ない。
また、本実施の形態に係る色変化距離を用いる組織構造分類方法を用いて分類、抽出した領域をそれ以外の領域と2値化画像として出力しそれを解析することで更なる情報を得ることができる。例えば領域Cとそれ以外の領域の2値化画像、又は領域Dとそれ以外領域の2値化画像に対してモルフォロジー解析の一種であるパターンスペクトル法を用いることにより、解析対象について特定の形状の存在量が評価可能となる。このパターンスペクトル法についてであるが、図形や関数を対象とし,基本となる形状(構造要素)やスケールを定めたとき,その構造要素が原図形のどの程度の部分を表現しているかを,形状やスケールの分布として表したものを指し(小畑秀文,“モルフォロジー”,コロナ社,pp.136−148,1996)、例えば、さまざまな粒子サイズを有する2値化画像に対して半径の異なる円を構造要素として選択することで画像データから粒度分布が取得できる。炭素材料の場合、前述の様に光学的異方性領域の形状が、針状構造か球晶構造かの評価が重要である。この様な構造を評価する場合、小笠原らの手法(“モルフォロジカルパターンスペクトルによるテクスチャ解析”画像符号化・映像メディア処理シンポジウム、Vol17,pp.61−62,2012)の様に円形構造要素に加え線を構造要素として取り入れることで、円の半径を変数とした1次元構造要素に加え、線の長さと角度を変数とした2次元構造要素へと拡張することで、炭素材料の光学的異方性領域の針状構造、球晶構造の定量的評価が可能となる。
また、2値化画像に対して二次元フーリエ変換処理を行うことで得られるパワースペクトルや、同じく2値化画像に対してウェーブレットのフィルタバンク解析により得られる評価値や、解析対象の輪郭を抽出し、フラクタル解析の一種であるボックスカウント法により得られるフラクタル次元を算出することでも、解析対象の形状を定量化できる。
さらに、抽出した領域を全てまとめてではなく抽出した部分領域毎に個別に解析、評価し、得られた評価値を統計的に解析することにより抽出した部分領域毎の情報から画像全体についての組織構造の情報を得る事ができる。その方法は特には限定されないが、例えば、以下の方法による手法が挙げられる。組織構造分類法により得られる組織構造のうち評価したい領域について、例えば、領域Cについて領域C以外の領域に囲まれた領域Cの一部分を一つ一つナンバリングするなど区別し、区別された部分領域をそれぞれ領域C、領域C、領域C、・・・領域Cとすると領域C=領域C+領域C+領域C+・・・+領域Cとなり、領域Cはn個の部分領域から構成されていると認識できる。この様に抽出した領域を部分領域に区別し、部分領域一つ一つの形状や面積を評価することで組織構造の定量化が可能となる。例えば、i=1〜nにナンバリングされた領域Cの部分領域を領域C、その面積をS、その輪郭の長さをLとすると、領域Cの円形
度R=4πS/L によって部分領域の評価が可能である。また領域Cの面積重心から領域Cの輪郭までの距離を全周囲算出し、その最大値Ri_maxと最小値Ri_minとすると長短比Ri_max/min=Ri_max/Ri_minによって部分領域の評価が可能である。さらに、円形度、長短比を用いて、画像全体としての部分領域の定量化が可能である。その方法は特には限定されないが、例えば以下の方法がある。全ての部分領域の円形度や長短比の平均値を算出してその画像の部分領域の代表値とする方法。評価したい構造のみが抽出できるような円形度、長短比の値を探索し、その値を閾値とし評価したい部分構造のみを抽出し、その全面積を算出する方法。このような手法を用いることで画像全体に対する部分領域の定量化値が得られる。
さらに、ナンバリングされた領域Cの面積Sの大小分布を定量化することも可能である。例えば、領域Cの各面積データを昇順に並び替え、領域Cの数の累積比率を横軸に、領域Cの面積の累積比率を縦軸にとることで描かれるローレンツ曲線を取得する。このローレンツ曲線から得られる面積と45度線から得られる面積の比により富の偏在性などを測る指標であるジニ係数を取得する。このジニ係数は0〜1の値を取り、0に近ければ領域Cの面積にばらつきが大きく、1に近ければ領域Cの面積のばらつきが小さい事を意味するため、この値を用いることで領域Cの面積の偏在性を定量化できる。しかしながら、面積の小さな領域Cが大多数を占める組織では、ジニ係数が0.8〜0.9に集中してしまい偏在性を上手く表現できない場合がある。この場合の対処法としては、一つは偏在性の評価に不要な非常に面積の小さい領域Cを無視してジニ係数を算出すれば良い。その他の方法としては累乗平均累乗根による評価を用いればよい。累乗平均累乗根RSRは以下の数式で示される。
ここでiは領域Cの部分領域のナンバリング数を表し、Sはナンバリングされ領域C
の面積を表す。nはナンバリング数の最大値で領域Cの総数を表す。Cは領域C〜Cの面積の総和、Aは領域Aの面積を表す。jは累乗数を表し、1の場合が単純な領域Cの粒の面積の平均値であり、2の場合は二乗平均平方根であり、3の場合は三乗平均立方根であり、xの場合はx乗平均x乗根となる。前記累乗数の値は大きくすればするほど面積が大きい領域Cの寄与を高めることができ、偏在性を強調できる。一方で、大きくし過ぎると、領域Cに面積の大きな外れ値が1点だけある場合にこの外れ値の影響を大きく受けて、適切に偏在性を表現できないおそれがある。したがって、この累乗数jの値は、通常は5であり、好ましくは3、より好ましくは2である。
この数式では、全体領域Eに対する領域Aの割合であるA/Eで規格化している。その理由であるが、領域Cの部分領域のC面積ではなく、領域Cに対する割合を用いて累乗平均累乗根を算出しているためである。この場合、規格化定数であるA/Eが無いと、同一の組織構造であっても、その面積が2倍になると累乗平均累乗根の値は1/2倍、その面積が3倍になると累乗平均累乗根の値は1/3倍と反比例の関係となり、まったく異なる値となる。このような面積の影響を排除するためにA/Eで規格化している。
また、上記ジニ係数、累乗平均累乗根で示した例では、部分領域の面積に対してであったが、これに限定されるものではなく、例えば部分領域の円形度Rや長短比Ri_max/minに対してもジニ係数、累乗平均累乗根を用いた数値化が可能である。
1つの炭素材料について取得する撮影対象視野の数は、特に限定されないが、0.37
mm程度の撮影視野であれば、通常50点以上であり、バルク物性推算の精度を向上させる観点から、100点以上であることが好ましい。また、上記説明では領域Cの数値化について述べたが、これに限定されるものではなく数値化対象を領域ANotや、領域Dとすることで同じく組織構造の定量化データが取得可能である。
炭素材料の実測されたバルク物性、例えば熱膨張係数、硬さ、電気抵抗、ヤング率など様々な物理的性質を目的変数とし、上記手法による数値化した値を説明変数として回帰分析することで、炭素材料のバルク物性と、その組織構造の定量化値との間の定量的な回帰モデルが取得できる。この回帰モデルを用いることで、バルク物性が未知の炭素材料についてもその組織構造の定量化値を上述した方法で求めることにより、バルク物性の推算が可能になる。
また、物性推算の回帰分析に用いる説明変数についても1つの炭素材料から取得される複数の撮影対象視野から求められる組織構造の定量化値の平均値だけではなく、分散、標準偏差、最大値、最小値等様々な値を用いることが可能で、物性推算の回帰分析方法についても、単回帰分析や重回帰分析、主成分回帰分析、PLS(部分最小二乗法)回帰分析に代表される多変量解析など公知の手法を用いることができる。
以上、上述した例のように組織構造の分類データから様々な手法を用いて組織構造の定量化が可能で各々推算したい物性に応じて最適な説明変数、回帰分析法を適宜設定することができる。
本実施の形態に係る材料物性推算方法では、上述した試料の組織構造分類方法によって求められた組織構造の定量化値から材料のバルク物性が推算可能である。通常、バルク物性を把握するためには、炭素材料をバインダーピッチと混練し成形、焼成工程を経て作製された黒鉛電極の物性を実測することが必要であるが、本組織構造分類方法から算出される組織構造の定量化値を用いることによって、電極を作製することなくバルク物性を推算することができるため、迅速なバルク物性の把握が可能となり、炭素材料の生産性が安定化して、歩留まりを向上させることができる。また、組織構造とバルク物性と相関も明らかになることから本手法を新規炭素材料の開発に活かすことができる。バルク物性の推算であるが、例えば、領域Cの割合Fと色公転周期Kを用いることによって、炭素材料の熱膨張係数を算出することができる。熱膨張係数が既知の炭素材料の実測したCTEを目的変数に、本発明で求められるF、Kを説明変数として回帰計算によって相関式を得る。この相関式を用いることで、CTEが未知の炭素材料についても、F、Kを求めることによってCTEが推算できる。
(3.プログラムについて)
本実施の形態において説明した色変化距離を用いる組織構造分類方法及びその分類を使った材料物性推算方法の一連の処理は、ハードウェア又はソフトウェア、又はこれらを複合した構成によって実行することができる。ソフトウェアによる処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることができる。
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROMに予め記録しておくことができる。また、プログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、MOディスク、DVD、磁気ディスク、半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体に、一時的又は永続的に格納(記録)しておくことができる。
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他に、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送したり、LAN、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送したりでき、コ
ンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
また、本明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるだけではなく、処理を実行する装置の処理能力や必要に応じて並列的に又は個別に実行されてもよい。また、本明細書において、システムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものに限定されるものではない。
以下、実施例を用いて本発明の具体的態様を説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において、領域A、ANot、C、D及びEは前記<分類する領域の説明>で詳述した通りであり、それぞれの面積データはピクセル数を用いた。また、回帰分析は統計分析ソフトRを用いた。
(実施例1)
アクリル樹脂に包埋された炭素材料(粒状ピッチコークス、三菱化学社製)を試料として用い、機械研磨により、ピッチコークスの観察対象面が鏡面状になった研磨試料を得た。本実施例では、テグラミン−20(ストルアス社製)自動研磨/琢磨機を用いた。研磨工程は全4工程を実施した。第1工程では、耐水研磨紙:SiCフォイル#180(ストルアス社製)、潤滑剤:水を用いて面出しを行った。第2工程では、研磨板:MD−Largo、研磨剤:DP−9μm、潤滑剤:DP−ルーブリカント(緑)(いずれもストルアス社製)を用い研磨を行い、第3工程では、研磨板:MD−DAC、研磨剤:DP−3μm、潤滑剤:DP−ルーブリカント(緑)(いずれもストルアス社製)を用いて研磨を行った。仕上げの第4工程では、琢磨板:MD−Chem、研磨剤:OP−S 0.04μm(いずれもストルアス社製)を用いた。全行程終了後、試料に付着した研磨屑や研磨剤を取り除き、研磨面を確認し、傷や汚れがないことを確認し観察対象面が鏡面状の試料を得た。
次に、ポラライザー、アナライザーがクロスニコルの状態で挿入され、さらに鋭敏色板も挿入された反射型偏光顕微鏡のステージに、研磨試料の観察面と反射型偏光顕微鏡ステージとが平行になるように設置した。さらに、自動XYステージ、オートフォーカス用Z軸ステージ、分離型オートフォーカスのヘッド、試料用自動回転ステージをステージ部に搭載し、画像撮影部にカメラ用自動回転ステージを搭載し、そのステージに200万画素のCCD(Charge Coupled Device)カメラ(シグマ光機(株)S
K−TC202USB−AT)を取り付け、試料用回転ステージと同期させた。ハロゲンランプ(LV−HL50W)の光源に、色温度変換フィルター(NCB11)を挿入し、白色光とし、さらにホワイトバランスを行い、撮影時にRGBが飽和しない条件となるよう、CCDカメラのゲイン、シャッター速度とした。そして試料用自動回転ステージとカメラ用自動回転ステージを0度〜180度まで15度刻みに同一方向に回転させ、同一視野のカラー偏光顕微鏡像のデジタル回転画像を取得した。取得したデジタル画像の一部を拡大し、グレースケール画像に変換した画像を図3に示す。
得られた同一視野のデジタル回転画像の領域Eについて、特許文献7に記載の方法で0度〜180度すべての位置ずれ補正回転画像の明度頻度分布を取得し、明度20から80の間で頻度が極小値もしくは最小値となる値を算出した。得られた13個の値から中央値を算出しその値を、当該位置ずれ補正回転画像の領域Aと領域ANotの明度閾値とした。その結果、明度閾値は図3の画像では明度32となり図4の画像では明度45となった。上記位置ずれ補正回転画像の画像同士の同一位置の画素について、その画素の色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、位置ずれ補正回転画像のすべての画像におい
て色相30以上219以下の範囲内もしくは明度35以下の範囲にあるかを判定し、上記範囲内であれば領域ANotそれ以外を領域Aと分類した。同様の判定を領域Eすべての画素に行い、領域Aを白、領域ANotを黒で示した図3、図4の2値化画像をそれぞれ図9、図10に示す。
次に、上記で領域Aと分類された位置ずれ補正回転画像同士の同一位置の各画素について、前記(手法甲:色変化距離の大小判断)で説明した様に0度画像と90度回転画像の色変化距離、15度回転画像と105度回転画像の色変化距離、30度回転画像と120度回転画像の色変化距離、以下同様に75度回転画像と165度回転画像の色変化距離、計6つの色変化距離を算出しその平均値の1/2の値をT1とし、0度と180度での色変化距離をT2として、T1がT2より大きな値となる画素を領域Cと分類し、T1がT2以下の値となる画素を領域Dと分類した。また、本実施例ではT3は画像全体閾値とし、その値は11とした。図9、図10の領域Aのうち、上記方法により領域Cと分類された領域を灰色で示した画像をそれぞれ図11、図12に示す。
(比較例1)
特許文献7に記載の方法で0度〜180度の撮影対象画像の明度頻度分布を取得し、明度20から80の間で頻度が極小値となる値を算出し、領域A(特許文献7では組織領域Bと表現)と領域ANot(特許文献7では空孔領域Aと表現)の明度閾値を13枚の回転画像それぞれ独立に算出した。図3の撮影視野の撮影回転角15度と105度の画像について、領域Aを白、領域ANotを黒で示した2値化画像を図13に、図4の撮影視野の撮影回転角30度と120度の画像について、領域Aを白、領域ANotを黒で示した2値化画像を図14にそれぞれ示す。さらに、図13、図14の領域Aについて、特許文献7に記載の方法で色相頻度分布を取得し、色相220以上、色相の頻度分布の最大値−16以下の領域(画素)、色相の頻度分布の最大値+16以上、色相359以下の領域(画素)、色相0以上19以下の領域(画素)を算出し、領域Cに分類した。図13、図14の組織領域のうち、上記方法により領域Cと分類された領域を灰色で示した画像をそれぞれ図15、図16に示す。
図3の撮影視野について実施例1の方法で領域Aと領域ANotを分類した図9と、比較例1の方法で組織領域と組織外領域を分類した図13を比較すると、両者とも大きな違いは確認されず、分類方法や撮影回転角度の影響を受けにくいことがわかる。一方、図4の撮影視野について実施例1の方法で領域Aと領域ANotを分類した図10と、比較例1の方法で領域Aと領域ANotを分類した図14を比較すると、図14の120度回転画像の分類結果は残り2つの分類結果と大きく異なることがわかる。これは、図4のような針状構造の発達した組織は領域Cが一方向に揃っており、図7に示したように撮影角度によっては領域Aと領域ANotの明度閾値以下に、領域Cが存在する場合がある。したがって比較例1の領域Aと領域ANotの分類方法では、針状構造など特定の組織の場合、撮影角度によっては適切な分類が困難となる。一方、実施例1の分類方法では、撮影角度によらず常に領域Aと領域ANotの明度閾値以下となる画素を領域ANotと判定するために、組織構造の違いや撮影時のステージの角度によらず適切な分類が可能である。
図3の撮影視野について実施例1の方法で領域Cと領域Dを分類した図11と、比較例1の方法で領域Aと領域ANotを分類した図15を比較すると、実施例1に比べ比較例1の分類方法では領域Cと分類される領域が少ない。これは、比較例1では、図1で、マゼンタ色で示された様に領域Cが消光位となっているため本来は領域Cであるにも関わらず領域Dと分類されたためである。さらに、図4の撮影視野について、実施例1での分類結果である図12と比較例1での分類結果である図16を比較すると、実施例1では針状構造全体が領域Cとして分類されている。一方、比較例1では領域Aと領域ANotを正しく分類できた30度回転画像についても針状構造は領域Dと分類されている。これは、
30度回転画像の画像全体の色相分布が特許文献7に記載の方法で想定されている分布形状と大きく異なるため正確な分類ができなかったためである。
以上、実施例1で示したように本発明に係る色変化距離を用いる組織構造分類方法は、比較例1に示した従来法に比べ組織構造の違いによらず、正確な組織構造の分類が可能である。
(実施例2)
実施例1の撮影条件で30点の異なる視野を撮影し位置ずれ補正回転画像から、実施例1の分類方法で領域Aと領域Cを分類し、前記(2.材料物性推算方法)で説明した方法で領域Cの割合F=C/Aを求めた。また、色温度変換フィルターを光源から取り除いた以外は実施例1と同様の撮影条件にて、上記と同一の撮影視野30点を撮影し、同様に領域Cの割合Fを求めた。上記2種類の撮影条件にて得られた30視野の領域Cの割合Fの統計データを表−1に示す。
(比較例2)
実施例2で取得した2種類の撮影条件下での偏光顕微鏡画像それぞれ30点視野、計60視野の撮影角度0度の画像について、従来法である特許文献7の手法で領域Aと領域Cを分類し、領域Cの割合Fを求めた。
上記2種類の撮影条件にて得られた30視野の領域Cの割合Fの統計データを表−2に示す。
表−1と表−2を比較すると、実施例2の場合は、光源の色温度が異なる条件においても、領域Cの割合Fの値はほぼ同じであるのに対し、比較例2の場合は、光源の色温度が異なると領域Cの割合Fの値も大きく異なることがわかる。これは、光源の色温度の違い
によって、色相の頻度分布が変化しても、実施例1で示したように、色変化を用いる手法は、相対的な変化をとらえているため、光源の色温度の違いなどの光源の影響を受けにくいためである。
以上、実施例2で示したように本発明に係る色変化距離を用いる組織構造分類方法は、比較例2に示した従来法に比べ撮影条件の影響をより受けにくく、正確な組織構造の分類が可能である。
(実施例3)
熱膨張係数が異なる30個の試料(粒状ピッチコークス、三菱化学社製)について、1試料あたり、800〜4400点の視野を実施例1の撮影条件で撮影し位置ずれ補正回転画像から、実施例1の分類方法で領域Aと領域Cを分類し、領域Cの割合Fを求めた。続いて、1試料毎に、得られた領域Cの割合Fを平均し、30個の試料、それぞれの領域Cの割合Fの平均値Faを算出した。そして30個の試料の熱膨張係数(CTE)の実測値を目的変数に、上記方法により算出した30個の試料それぞれの領域Cの割合Fの平均値Faを説明変数として最小二乗法による単回帰分析を行った。得られた回帰式より算出されるCTE推算値を横軸に、実測値のCTEを縦軸にとった相関グラフを図17に示す。
(実施例4)
実施例3の30個の試料、各々の撮影視野に対して実施例1で分類された領域Cについて、前記(2.材料物性推算方法)で説明した方法で色重心の軌跡長を求め、軌跡長を256で除して色公転周期Kを算出した。続いて、30個の試料に対して、1試料毎に、色公転周期Kを平均し、30個の試料、それぞれの色公転周期Kの平均値Kaを算出した。そして実施例3の30個の試料の熱膨張係数(CTE)の実測値を目的変数に、実施例3で算出した30個の試料それぞれの領域Cの割合Fの平均値Faと、上記方法で算出した実施例3の30個の試料それぞれの色公転周期Kの平均値Kaを説明変数として部分最小二乗法による重回帰分析を行った。得られた回帰式より算出されるCTE推算値を横軸に、実測値のCTEを縦軸にとった相関グラフを図18に示す。
(実施例5)
実施例3の30個の試料、各々の撮影視野に対して実施例1で分類された領域Cについて、T1の平均値を算出し、その平均値以上となる領域Cの画素を領域Cとして分類し各々の視野に対して領域Cの割合F=C/Aを求めた。続いて、1試料毎に得られた領域Cの割合Cを平均し、30個の試料、それぞれの領域Cの割合Fの平均値Faを算出した。そして実施例3の30個の試料の熱膨張係数(CTE)の実測値を目的変数に、上記方法により算出した実施例3の30個の試料それぞれの領域Cの割合Fの平均値Faを説明変数として最小二乗法による単回帰分析を行った。得られた回帰式より算出されるCTE推算値を横軸に、実測値のCTEを縦軸にとった相関グラフを図19に示す。
(実施例6)
実施例3の30個の試料、各々の撮影視野に対して実施例5で分類された領域Cについて、前記(2.材料物性推算方法)で説明した方法で領域C一つ一つを区別した。そして各々の区別された領域Cの部分領域のうち円形度Rが0.030以上または長短比R
i_max/minが160以上となる部分領域を領域Cから分類し針状領域とし、領域
に対する針状領域の割合M=C/Cを算出した。続いて、1試料毎に得られたMを平均し、30個の試料、それぞれの針状領域の割合Mの平均値Maを算出した。そして実施例3の30個の試料の熱膨張係数(CTE)の実測値を目的変数に、実施例5で算出した30個の試料それぞれの領域Cの割合Fの平均値Faと上記手法で算出した30個の試料それぞれの針状領域の割合Mの平均値Maを説明変数として部分最小二乗法による重回帰分析を行った。得られた回帰式より算出されるCTE推算値を横軸に、実測値の
CTEを縦軸にとった相関グラフを図20に示す。
(実施例7)
実施例3の30個の試料、各々の撮影視野に対して実施例1で分類された領域Cについて、全画素のT1の頻度分布を取得し、全頻度のうちT1の高い方から80%までの画素を領域Cとして分類し領域Cの割合F=C/Aを求めた。また、分類された領域Cについて、前記(2.材料物性推算方法)で説明した方法で領域C一つ一つを区別し得られた各々の領域Cの部分領域の面積データを昇順に並び替え、領域Cの部分領域の数の累積比率を横軸に、領域Cの部分領域の面積の累積比率を縦軸にとることで描かれるローレンツ曲線を取得した。このローレンツ曲線から得られる面積と45度線から得られる面積の比からジニ係数Oを算出した。続いて、1試料毎に得られた領域Cの割合Fを平均し、30個の試料、それぞれの領域Cの割合Fの平均値Faを算出し、同様に1試料毎に得られたOを平均し、30個の試料、それぞれのOの平均値Oaを算出した。そして30個の試料の熱膨張係数(CTE)の実測値を目的変数に、上記方法により算出した30個の試料それぞれの領域Cの割合Fの平均値FaとOの平均値Oaを説明変数として部分最小二乗法による重回帰分析を行った。得られた回帰式より算出されるCTE推算値を横軸に、実測値のCTEを縦軸にとった相関グラフを図21に示す。
(実施例8)
実施例3の30個の試料、各々の撮影視野に対して実施例7で分類、区別された領域Cの部分領域一つ一つに対して、その総数をnとしi=1、2、3,・・・n個とそれぞれナンバリングし、Siをナンバリングされた領域Cの部分領域の面積とした。そして
、前記(2.材料物性推算方法)で説明した累乗平均累乗根の累乗数を2とした以下の数式で定義される二乗平均平方根RMSを各々の視野に対して算出した。ここで、AとEはそれぞれ領域A、領域Eの面積である。
続いて、1試料毎に得られたRMSを平均し、30個の試料、それぞれのRMSの平均値RMSaを算出した。そして30個の試料の熱膨張係数(CTE)の実測値を目的変数に、実施例7により算出した30個の試料それぞれの領域Cの割合Fの平均値Faと上記方法により算出したRMSの平均値RMSaを説明変数として部分最小二乗法による重回帰分析を行った。得られた回帰式より算出されるCTE推算値を横軸に、実測値のCTEを縦軸にとった相関グラフを図22に示す。
(実施例9)
実施例3の30個の試料、各々の撮影視野に対して実施例1で領域Aと分類された位置ずれ補正回転画像同士の同一位置の各画素について、前記(手法甲:色変化距離の大小判断)で説明した方法でT4を算出し、0度と180度での色変化距離をT2として、T4が2π×T2より大きな値をとる画素を領域Cと分類した。また、本実施例ではT3は画像全体閾値とし、その値は11とした。
さらに領域Cの各画素のうち、前記(手法丁:色変化の軌跡の動きの評価)で説明した画素の色変化の軌跡が逆方向に動いた回数が2回以下、又は、前記(手法戊:色変化の軌跡の歪みの評価−軌跡の交点評価)で説明した画素の色変化の線分の交点が無い場合の少
なくとも一方の条件を満たす画素を領域Cと分類し、領域Cの割合F=C/Aを求めた。そして1試料毎に得られた領域Cの割合Fを平均し、30個の試料、それぞれの領域Cの割合Fの平均値Faを算出した。続いて30個の試料、各々の撮影視野の領域Cについて実施例4の方法で色公転周期Kを求め1試料毎に、色公転周期Kを平均し、30個の試料、それぞれの色公転周期Kの平均値Kaを算出した。そして30個の試料の熱膨張係数(CTE)の実測値を目的変数に、上記方法により算出した30個の試料それぞれの領域Cの割合Fの平均値Fa、色公転周期Kの平均値Kaを説明変数として部分最小二乗法による重回帰分析を行った。得られた回帰式より算出されるCTE推算値を横軸に、実測値のCTEを縦軸にとった相関グラフを図23に示す。
(実施例10)
実施例3の30個の試料、各々の撮影視野に対して実施例1で領域Cと分類された位置ずれ補正回転画像同士の同一位置の各画素について実施例1の手法で算出されたT1と、実施例9で算出されたT4を用いて、以下の数式でT5を算出した。
T5=T4/(2π×T1)
そして、領域Cのうち0.95≦T5≦1.27の範囲内の値となる画素を領域Cと分類し、領域Cの割合F=C/Aを求めた。1試料毎に得られた領域Cの割合Fを平均し、30個の試料、それぞれの領域Cの割合Fの平均値Faを算出した。続いて、各々の撮影視野の領域Cについて実施例4の方法で色公転周期Kを求め1試料毎に、色公転周期Kを平均し、30個の試料、それぞれの色公転周期Kの平均値Kaを算出した。そして30個の試料の熱膨張係数(CTE)の実測値を目的変数に、上記方法により算出した30個の試料それぞれの領域Cの割合Fの平均値Fa、色公転周期Kの平均値Kaを説明変数として部分最小二乗法による重回帰分析を行った。得られた回帰式より算出されるCTE推算値を横軸に、実測値のCTEを縦軸にとった相関グラフを図24に示す。
以上、実施例3乃至10に示したように位置ずれ補正回転画像同士の同一位置の各画素について、その画素の色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素の回転による色相明度2次元座標上の移動距離である色変化距離を用いて分類される領域Cの定量化データや領域Cの形状や分布の定量化データを用いることで撮影対象材料の物理的物性を高精度に推算することが可能である。

Claims (19)

  1. 撮影対象物を任意角度回転させて同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮影し、
    前記同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を回転による位置ずれを補正し、
    前記補正された同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について
    各画素の色相及び明度の値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素
    の回転による色相明度2次元座標上の移動距離である色変化距離を算出し、
    算出された色変化距離を用いて各画素について光学的異方性領域とそれ以外の領域に分
    類することを特徴とする材料の組織構造分類方法。
  2. 前記色変化距離を算出し、算出された色変化距離を用いて光学的異方性領域とそれ以外
    の領域に分類する材料の組織構造分類方法において、
    任意の撮影角度間隔で0度から180度まで同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮
    影し、各撮影角度の偏光顕微鏡回転画像の各画素と前記撮影角度から90度ずれた撮影角
    度の偏光顕微鏡回転画像の画素間の色変化距離を算出し、算出された色変化距離の平均値
    の1/2の値をT1とし、
    撮影角度0度と180度との間の色変化距離をT2として、
    T1がT2より大きな値をとる画素を光学異方性領域に分類する方法を用いることを特
    徴とする請求項1に記載の材料の組織構造分類方法。
  3. αを0からT1の範囲をとる値としたとき、T1がT2+αより大きな値をとる画素を
    光学的異方性領域に分類することを特徴とする請求項2に記載の材料の組織構造分類方法
  4. 前記色変化距離を算出し、算出された色変化距離を用いて光学的異方性領域とそれ以外
    の領域に分類する材料の組織構造分類方法において、
    任意の撮影角度間隔で0度から180度まで同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮
    影し、各撮影角度の偏光顕微鏡回転画像の各画素と前記撮影角度から90度ずれた撮影角
    度の偏光顕微鏡回転画像の画素間の色変化距離を算出し、算出された色変化距離の平均値
    の1/2の値をT1とし、
    撮影対象を回転せずに同一視野の偏光顕微鏡回転画像を2枚以上取得し、前記偏光顕微
    鏡回転画像各々の同一位置の各画素について各画素の色相及び明度の値を色相及び明度を
    軸とした2次元座標上にプロットし、各画素の色相明度2次元座標上の距離である色変化
    距離を算出し、算出された色変化距離の平均値をT3として、
    T1がT3より大きな値をとる画素を光学的異方性領域に分類する方法を用いることを
    特徴とする請求項1に記載の材料の組織構造分類方法。
  5. αを0からT1の範囲をとる値としたとき、T1がT3+αより大きな値をとる画素を
    光学的異方性領域に分類することを特徴とする請求項4に記載の材料の組織構造分類方法
  6. 前記色変化距離を算出し、算出された色変化距離を用いて光学的異方性領域とそれ以外
    の領域に分類する材料の組織構造分類方法において、
    任意の撮影角度間隔で0度から180度まで同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮
    影し、前記偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について各画素の色相及び明度の
    値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素の色相明度2次元座標上
    の色変化の軌跡の距離を算出し、算出された色変化の軌跡の距離をT4とし、
    T4が2π×T2より大きな値をとる画素を光学異方性領域に分類する方法を用いるこ
    とを特徴とする請求項2又は3に記載の材料の組織構造分類方法。
  7. βを0からT4/2πの範囲を取る値としたとき、T4が2π×(T2+β) より大
    きな値をとる画素を光学的異方性領域に分類することを特徴とする請求項6に記載の材料
    の組織構造分類方法。
  8. 前記色変化距離を算出し、算出された色変化距離を用いて光学的異方性領域とそれ以外
    の領域に分類する材料の組織構造分類方法において、
    任意の撮影角度間隔で0度から180度まで同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮
    影し、前記偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について各画素の色相及び明度の
    値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素の色相明度2次元座標上
    の色変化の軌跡の距離を算出し、算出された色変化の軌跡の距離をT4とし、
    T4が2π×T3より大きな値をとる画素を光学的異方性領域に分類する方法を用いる
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の材料の組織構造分類方法。
  9. βを0からT4/2πの範囲を取る値としたとき、T4が2π×(T3+β)より大き
    な値をとる画素を光学的異方性領域に分類することを特徴とする請求項8に記載の材料の
    組織構造分類方法。
  10. 任意の撮影角度間隔で0度から180度まで同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮
    影し、各撮影角度の偏光顕微鏡回転画像の各画素と前記撮影角度から90度ずれた撮影角
    度の偏光顕微鏡回転画像の画素間の色変化距離を算出し、算出された色変化距離の平均値
    の1/2の値をT1とし、
    任意の撮影角度間隔で0度から180度まで同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮
    影し、前記偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について各画素の色相及び明度の
    値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素の色相明度2次元座標上
    の色変化の軌跡の距離を算出し、算出された色変化の軌跡の距離をT4としたとき、
    以下の数式で表されるT5がγ≦T5≦δの範囲内に収まる画素を光学的異方性領域に
    分類することを特徴とする請求項1に記載の材料の組織構造分類方法。
    T5=T4/(2π×T1)
    (但し、上記において、γの値は0から1の範囲であり、δの値は1から2の範囲である
  11. 撮影対象物を任意角度回転させて同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮影し、
    前記同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を回転による位置ずれを補正し、
    前記補正された同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について
    各画素の色相及び明度の値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素
    の回転による色相明度2次元座標上の色変化の軌跡を算出し、
    次いで前記色変化の軌跡から重心点を算出し、
    前記重心点から各撮影角度における座標位置までの線分の動きが撮影角度に伴い一定方
    向とは逆方向になる回数が1回以下となる画素を光学異方性領域に分類することを特徴と
    する材料の組織構造分類方法。
  12. ある画素の前記色変化の軌跡を構成するプロットされた各点について、ある撮影角度に
    おいてプロットされた点と前記撮影角度と隣接する撮影角度においてプロットされた点と
    を撮影角度0度から180度まで線分でつなぎ、得られた線分により交点が形成されない
    とき、当該画素を光学異方性領域に分類することを特徴とする請求項11に記載の材料の
    組織構造分類方法。
  13. 撮影対象物を任意角度回転させて同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮影し、
    前記同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を回転による位置ずれを補正し、
    前記補正された同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について
    各画素の色相及び明度の値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素
    の回転による色相明度2次元座標上の移動距離である色変化距離を算出し、
    算出された色変化距離を用いて各画素について光学的異方性領域とそれ以外の領域に分
    類することにより、前記偏光顕微鏡回転画像内の光学的異方性領域の画素数を算出し、
    且つ、前記同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像内の全画素について明度の頻度分布を
    算出し、
    前記明度の頻度分布に極小値が存在する場合は極小値を閾値とし、
    前記明度の頻度分布に極小値が存在しない場合は任意の明度区間の最低値を閾値として

    前記閾値以下の明度値である画素を前記偏光顕微鏡回転画像における撮影対象物の組織
    外領域とし、前記同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像全てにおいて撮影対象物の組織外
    領域とされた領域以外を組織領域として分類することにより、前記偏光顕微鏡回転画像内
    の組織領域の画素数を算出し、
    前記光学的異方性領域の画素数を前記組織領域の画素数で除して得られた定量化値を用
    いて、観察した材料又は前記材料から製造された試料の物理的物性を推算することを特徴
    とする材料の推算方法。
  14. 撮影対象物を任意角度回転させて同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮影し、
    前記同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を回転による位置ずれを補正し、
    前記補正された同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について
    各画素の色相及び明度の値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素
    の回転による色相明度2次元座標上の移動距離である色変化距離を算出し、
    算出された色変化距離を用いて各画素について光学的異方性領域とそれ以外の領域に分
    類することにより、前記偏光顕微鏡回転画像内の光学的異方性領域の画素を特定し、
    各偏光顕微鏡回転画像内の光学的異方性領域の全画素の明度平均値及び色相平均値を色
    相及び明度を軸とした色相明度2次元座標上にプロットし、各偏光顕微鏡回転画像の回転
    による色相明度2次元座標上の軌跡長である色公転周期を用いて、観察した材料又は前記
    材料から製造された試料の物理的物性を推算することを特徴とする材料の推算方法。
  15. 撮影対象物を任意角度回転させて同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮影し、
    前記同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を回転による位置ずれを補正し、
    前記補正された同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について
    各画素の色相及び明度の値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素
    の回転による色相明度2次元座標上の移動距離である色変化距離を算出し、
    算出された色変化距離を用いて各画素について光学的異方性領域とそれ以外の領域に分
    類し、
    且つ光学的異方性領域以外の領域に囲まれた光学的異方性領域を特定し、
    前記光学的異方性領域以外の領域に囲まれた光学的異方性領域の面積重心を算出し、
    前記面積重心から前記光学的異方性領域以外の領域に囲まれた光学的異方性領域の輪郭
    までの距離を全周囲算出し、
    前記面積重心から前記光学的異方性領域以外の領域に囲まれた光学的異方性領域の輪郭
    までの距離の最大値と最小値の比を用いて、観察した材料又は前記材料から製造された試
    料の物理的物性を推算することを特徴とする材料の推算方法。
  16. 撮影対象物を任意角度回転させて同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮影し、
    前記同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を回転による位置ずれを補正し、
    前記補正された同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について
    各画素の色相及び明度の値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素
    の回転による色相明度2次元座標上の移動距離である色変化距離を算出し、
    算出された色変化距離を用いて各画素について光学的異方性領域とそれ以外の領域に分
    類し、
    且つ光学的異方性領域以外の領域に囲まれた光学的異方性領域を特定し、
    前記光学的異方性領域以外の領域に囲まれた光学的異方性領域の面積をSとし、周囲長
    をLとしたとき、以下数式で定義される円形度Rを用いて、観察した材料又は前記材料か
    ら製造された試料の物理的物性を推算することを特徴とする材料の推算方法。
    R=4πS/L2
  17. 撮影対象物を任意角度回転させて同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮影し、
    前記同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を回転による位置ずれを補正し、
    前記補正された同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について
    各画素の色相及び明度の値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素
    の回転による色相明度2次元座標上の移動距離である色変化距離を算出し、
    算出された色変化距離を用いて各画素について光学的異方性領域とそれ以外の領域に分
    類し、
    且つ光学的異方性領域以外の領域に囲まれた光学的異方性領域を特定し、
    前記光学的異方性領域以外の領域に囲まれた光学的異方性領域の数と光学的異方性領域
    以外の領域に囲まれた各光学的異方性領域の面積を用いて面積累積比及び数累積比を算出
    し、
    次いで前記面積累積比及び数累積比を用いて算出される面積のジニ係数を用いて、観察
    した材料又は前記材料から製造された試料の物理的物性を推算することを特徴とする材料
    の推算方法。
  18. 撮影対象物を任意角度回転させて同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮影し、
    前記同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を回転による位置ずれを補正し、
    前記補正された同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について
    各画素の色相及び明度の値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素
    の回転による色相明度2次元座標上の移動距離である色変化距離を算出し、
    算出された色変化距離を用いて各画素について光学的異方性領域とそれ以外の領域に分
    類し、
    且つ光学的異方性領域以外の領域に囲まれた光学的異方性領域を特定し、
    光学的異方性領域以外の領域に囲まれた各光学的異方性領域の面積の二乗平均平方根を
    用いて、観察した材料又は前記材料から製造された試料の物理的物性を推算することを特
    徴とする材料の推算方法。
  19. 推算する試料の物理的物性が、撮影対象物を原料に製造される炭素製品の熱膨張係数で
    あることを特徴とする請求項13及至18に記載の材料物性の推算方法。
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