JP6627483B2 - 色変化距離を用いる組織構造分類方法及びその分類を使った材料物性推算方法 - Google Patents
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Description
そこで、炭素材料の組織の配向を定量的に評価するため、偏光顕微鏡により撮影された画像を処理することにより、炭素材料の組織構造を定量化する試みがなされている。例えば、コークスの画像解析方法としては、主に鉄鉱石の還元剤のコークスに関して、偏光顕微鏡の偏光板を回転させることによる反射率の差を用いて異方性を評価する方法が報告されている(例えば、特許文献3乃至5を参照)。
人間はこれらを観察する際には撮影条件が異なっていても画像から読み取った情報から自然と画像に適した閾値、例えば暗い画像なら明度の低い値を閾値に設定するなどしている。これに対して画像解析では同様の画像ごとに閾値設定を行うか、これらの撮影条件に依存しない解析方法の開発が求められている。
(1)色変化距離により光学的異方性領域と光学的等方性領域に分類する手法
(2)明度頻度分布より組織領域と組織外領域に分類する手法
(3)(1)と(2)を組み合わせることにより4つの領域に分類する手法
(4)(3)により分類された領域から材料物性推算に必要な定量化データを取得し、得られたデータから材料物性を推算する手法
度の画像でも組織外領域とされた領域以外を組織領域として分類することを特徴とする。
さらに、手法(4)では、手法(3)で分類された領域から面積や分布などの量化値を算出して、観察した材料、またはその材料から製造された成形体の物理的物性を推算することを特徴とする。
1.色変化距離を用いる組織構造分類方法
2.材料物性推算方法
3.プログラム
<試料の説明>
組織構造分類方法の対象となる試料としては、特に限定されず、偏光顕微鏡で光学的異方性が観察できる材料なら何でもよく、具体的には、炭素材料、鉱物、高分子材料などが挙げられる。
以下、試料として炭素材料を例に挙げて、本実施の形態に係る色変化距離を用いる組織構造分類方法について、具体的に説明する。
観察対象面が鏡面状とは、例えば、算術平均粗さRaが1.0μm以下、特に好ましくは算術平均粗さRaが0.5μm以下の状態をいう。
本法で用いる顕微鏡はポラライザー、アナライザーそして鋭敏色板が備えられた偏光顕微鏡で透過型、反射型どちらでもよく撮影対象によって適切な型を選択すればよい。本法での解析対象である偏光顕微鏡画像は、例えばCCDカメラ等の画像記録装置により撮影して得られるデジタル画像データである。偏光顕微鏡画像は、各画素についてRGBデータを有するものであれば、特に限定されるものではない。また、偏光顕微鏡画像は、RGBデータを有していないものであっても、画像変換によってRGBデータが得られるものであればよい。
撮影対象物を任意角度回転させて同一視野の複数の偏光顕微鏡像を撮影する方法は、特には限定されないが、通常は顕微鏡回転ステージに電動制御可能なユニットを搭載させることが好ましく、その繰り返し位置決め精度は好ましくは0.100度以下、より好ましくは0.050度以下、さらに好ましくは0.030度以下である。また、撮影対象物を任意角度回転させて撮影する方法においてより好ましい方法は、偏光顕微鏡画像撮影用の画像記録装置を顕微鏡回転ステージと連動させ、顕微鏡回転ステージと同一方向・同一角度に回転させて撮影する方法であり、画像記録装置の回転繰り返し位置決め精度は好ましくは0.100度以下、より好ましくは0.050度以下、さらに好ましくは0.030度以下である。このように、光顕微鏡画像撮影用の画像記録装置と顕微鏡回転ステージと連動させることにより、解析に供することのできる画像の面積を大きくとることが可能となる。
させた回転角での色距離を解析に用いるためで、回転画像の回転角が相対的に90度異なる画像が存在する方が、解析精度が高いためである。
本実施の形態に係る色変化距離を用いる組織構造分類方法に用いる明度は、例えば0から255までの256階調のRGBデータについて、RGBのそれぞれの階調データをR、G、Bとすると、(R+G+B)/3によって得られる値である。また、解析対象の画像領域の画素すべてに対して上記計算式により求められる階調データを取得し、階調の小さい値から大きい値に並べ、その個数、もしくは解析対象とした画素すべてに対する個数割合を表したものが明度頻度分布である。
色相は、例えば次のようにして得られる値である。色相をHueとし、0から255までの256階調のRGBデータにおいてR、G、B各値の最大値と最小値の差をΔとすると、色相Hueは以下の式で得られる。
2.Hue=60×(G−B)/Δ (R、G、Bの内Rが最大の場合)
3.Hue=60×(2+(B−R)/Δ) (R、G、Bの内Gが最大の場合)
4.Hue=60×(4+(R−G)/Δ) (R、G、Bの内Bが最大の場合
また、2.乃至4.の場合においてHueが負の値であればHueに360を加えた値をHueとする。
以上の計算式を用いることで、0から359までの360階調で表現される色相データが得られる。また、解析対象の画像領域の画素すべてに対して上記計算式により求められる色相データを取得し、階調の小さい値から大きい値に並べ、その個数、もしくは解析対象とした画素すべてに対する個数割合を表したものが色相頻度分布である。
本実施の形態に係る色変化距離を用いる組織構造分類方法は、位置ずれ補正回転画像同士の同一位置の各画素について、明度もしくは色相と明度の2次元指標を用いることで以下に説明するA、ANot、C、D及びEの領域に分類する。
撮影対象物を任意角度回転させて撮影した画像はすべて同一サイズの画像である。これらの画像を回転による位置ずれを補正することで、同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像の四隅が一部重ならない領域が存在する。この領域を除き回転画像すべてが重なる領域が全体領域E(以下、「領域E」という)である。炭素材料の場合、一般的に炭素材料中に存在する空隙や炭素材料同士の粒界が存在しそこには炭素組織は存在しない。領域Eのうち炭素組織が存在する領域が組織領域A(以下、「領域A」という)、空隙や粒界など炭素組織が存在しない領域が組織外領域ANot(以下、「領域ANot」という)と分類する。領域Aと領域ANotの分類は後述の(1−1.領域Aと領域ANotとを分類するステップ)にて詳述する。
本実施の形態に係る色変化距離を用いる組織構造分類方法は、対象となる炭素材料の偏光顕微鏡の位置ずれ補正回転画像から領域Aと領域ANotとを分類するステップと、領域Aから領域Cと領域Dとを分類するステップを有する。
領域Aと領域ANotの分類であるが、炭素材料の場合、反射型偏光顕微鏡で観察すると、炭素材料中に存在する空隙や炭素材料同士の粒界部分である組織外領域は炭素組織の存在する組織領域にくらべ明度が低い。したがって特許文献7に記載の様に明度頻度分布から領域Aと領域ANotを分類することが可能である。本発明においては位置ずれ補正回転画像一枚ずつの画像について特許文献7に記載の方法を用いることで、それぞれ領域A(特許文献7では組織領域Bと表現)と領域ANot(特許文献7では空孔領域Aと表現)とを分類する。さらにそれらを重ね合わせることにより、本発明における組織領域である領域Aと本発明における組織外領域である領域ANotを分類できる。本手法は、重ね合わせをすることにより特許文献7よりも正確に組織領域と組織外領域とを分類可能である。その例は以下の様な場合である。
以上より、本発明の分類方法によれば、撮影対象物の撮影角度によっては本来組織領域
であるはずの領域が組織外領域と判定される可能性のある特許文献7に記載の方法に比べ、本手法はより正確に組織領域と組織外領域を分類することができる。
領域Cと領域Dの分類であるが、図5や図7に示すように位置ずれ補正回転画像の領域Aに該当する画素の色相明度2次元座標上での色変化を確認すると、大きな軌跡を描く画素とそうでない画素が存在する。前者は炭素六角網面が一方向に配列し、複屈折性の高い構造、つまり光学的異方性を有する構造に起因するものであるため、領域Cに分類できる。後者は炭素六角網面がランダムに配列し、複屈折性の低い構造、つまり光学的等方性を有する構造に起因するものであるため、領域Dに分類できる。この領域C、Dを判断する方法には例えば以下の甲乙丙丁戊の5つの方法がある。
画素の色相明度2次元座標上での色変化の大小を判断する方法としては以下の2種類の方法がある。一つ目は位置ずれ補正回転画像の画像同士の同一位置の各画素について、0度から180度における、ある撮影角度とその角度から90ずれた角度間の色変化距離を算出しその平均値の1/2の値をT1とし、軌跡の半径として評価する方法である。二つ目は位置ずれ補正回転画像の画像同士の同一位置の各画素について、0度から180度における色変化の軌跡の距離を算出しその値をT4とし、軌跡の長さとして評価する方法である。T1、もしくは、T4がある閾値より大きい場合はその画素は色が変化しているとして領域Cと分類し、ある閾値以下の場合は領域Dと分類する。このような処理を位置ずれ補正回転画像の画像同士の同一位置の領域Aと分類された各画素について行うことにより、領域Aを領域C、領域Dに分類できる。
画素が存在する。この誤差を考慮して閾値を算出できる。この閾値をT3とすると、以下の方法で閾値T3を設定することができる。
このように画素のT1もしくはT4の大小を比較して領域Cと領域Dに分類する閾値はT2とT3があるが、T2、T3両方またはいずれかの値を用いて領域Cと領域Dに分類することが可能である。
上述の手法甲により得られるT1、T4を別の方法で評価して領域Cに分類することが可能である。
まず、T1の評価であるが、T2、もしくはT3の何れか小さい値からT1の間の任意の値を閾値αとすると、T1が閾値αより大きな値をとる画素を領域Cとして分類することが可能である。
光学的異方性領域の中でも相対的に結晶性の高い領域は複屈折も相対的に大きいため、色変化距離も相対的に大きくなる。従って閾値T2、T3によって分類された領域Cの中でも、α、βによって、領域Cの中でも相対的に結晶性の高い領域と相対的に結晶性の低い領域が分類できる。これら閾値α、βは撮影対象の試料の種類や解析目的に応じて自由に設定でき、かつ、さらに閾値を設定して、複数に分類することも可能である。また、画素一つ一つに対して個別にα、βを設定するのではなく、画像全体で同じ値のα、βを設定することも可能である。例えば、上述の方法で領域Cに分類された全画素の色変化距離T1(T4)のヒストグラムを作成し、そのヒストグラムのT1(T4)最大値からの頻度積算割合が、例えば50%となるところの色変化距離がα(β)となるように設定することも可能である。
T1、T4を用いてT5を以下の数式で定義することで色変化の軌跡の歪みを評価し、組織構造を分類する方法がある。
T5=T4/(2π×T1)
色変化の軌跡がなめらかな円の場合、T5の値は1に近い値となり軌跡が歪になればな
るほどT5の値は1から外れた値となる。したがってT5がγ≦T5≦δの範囲内に収まる画素を領域Cと分類し、それ以外の画素を領域Dと分類できる。これら閾値γ、δは撮影対象の試料の種類や解析目的に応じて自由に設定でき、かつ、さらに閾値を設定して、複数に分類することも可能である。これら閾値γ、δの設定方法であるが、抽出したい領域や撮影角度によって設定する閾値は異なるため、通常は分類前の偏光顕微鏡画像と比較しながら閾値γ、δの設定値を変えて、目的の領域が分類できる閾値γ、δを特定して設定する。例えば、撮影角度0度から180度まで15度ずつ撮影する場合に、手法甲により分類される領域Cと同様の領域を分類する場合は、好ましくはγの範囲は0から1.00が、δの範囲は1.25から1.91であり、更に好ましくはγの範囲は0.63から0.96が、δの範囲は1.25から1.60である。
色変化の軌跡の動きを評価することで組織構造を分類することも可能である。軌跡の動きは、色相明度2次元指標上で撮影角度の回転に従い一定の回転方向に動く画素が存在する場合と、撮影角度によっては軌跡がそれまでと逆方向に動く場合がある。この動きを判定する方法は種々可能であるが、例えば、まず画素の色変化の軌跡の重心点を求める。この重心点から、各撮影角度の座標位置までの線分の動きが撮影角度0度から15度、15度から30度と、15度ずつ165度から180度まで撮影角度の回転に従い、画素の軌跡も一定の回転方向に動くか否かを評価する。逆方向に動いた回数を評価することで撮影角度の回転に従い一定の回転方向に動く画素を分類でき、逆方向に動いた回数が一定回数以下、例えば逆方向に動いた回数が2回以下の画素を領域Cと分類し、逆方向に動いた回数が一定回数より大きい画素を領域Dと分類できる。この回数は撮影対象の試料の種類や解析目的に応じて自由に設定でき、かつ、さらに閾値を設定して、複数に分類することも可能である。
色変化の軌跡の交点から色変化の軌跡の歪みを評価することも可能である。色変化の軌跡には、なめらかな楕円形状を描くものもあれば、扁平な形状、ジグザグな形状を描くものもある。それらの評価方法としては、まず画素の色変化の軌跡をそれぞれ線分でつなぎ撮影角度0度から180度までの線分を得る。この線分に交点が存在するかしないか、存在する場合はいくつあるかを評価することで、軌跡の歪さを評価し、交点が一定数以下の画素を領域Cと分類し、一定数より大きい画素を領域Dと分類できる。この数は撮影対象の試料の種類や解析目的に応じて自由に設定でき、かつ、さらに閾値を設定して、複数に分類することも可能である。
上述した手法甲乙丙丁戊を用いて分類した領域から組織構造の定量化値を算出でき、こ
の算出値を用いることによって、炭素材料のバルク物性を推算することができる。以下、一例として、炭素材料について組織構造分類方法から組織構造の定量化値を算出する方法とバルク物性を推算する方法について説明する。
例えば、前述の光学的異方性領域の数値化であるが、光学的異方性領域の割合をFとすると領域Aと領域Cを用いてF=C/Aにより面積率として数値化できる。ここでA、Cはそれぞれ領域A、Cのピクセル数または、面積を用いる。
また、2値化画像に対して二次元フーリエ変換処理を行うことで得られるパワースペクトルや、同じく2値化画像に対してウェーブレットのフィルタバンク解析により得られる評価値や、解析対象の輪郭を抽出し、フラクタル解析の一種であるボックスカウント法により得られるフラクタル次元を算出することでも、解析対象の形状を定量化できる。
度Ri=4πSi/Li 2によって部分領域の評価が可能である。また領域Ciの面積重心から領域Ciの輪郭までの距離を全周囲算出し、その最大値Ri_maxと最小値Ri_minとすると長短比Ri_max/min=Ri_max/Ri_minによって部分領域の評価が可能である。さらに、円形度、長短比を用いて、画像全体としての部分領域の定量化が可能である。その方法は特には限定されないが、例えば以下の方法がある。全ての部分領域の円形度や長短比の平均値を算出してその画像の部分領域の代表値とする方法。評価したい構造のみが抽出できるような円形度、長短比の値を探索し、その値を閾値とし評価したい部分構造のみを抽出し、その全面積を算出する方法。このような手法を用いることで画像全体に対する部分領域の定量化値が得られる。
iの面積を表す。nはナンバリング数の最大値で領域Ciの総数を表す。Cは領域C1〜Cnの面積の総和、Aは領域Aの面積を表す。jは累乗数を表し、1の場合が単純な領域Cの粒の面積の平均値であり、2の場合は二乗平均平方根であり、3の場合は三乗平均立方根であり、xの場合はx乗平均x乗根となる。前記累乗数の値は大きくすればするほど面積が大きい領域Ciの寄与を高めることができ、偏在性を強調できる。一方で、大きくし過ぎると、領域Ciに面積の大きな外れ値が1点だけある場合にこの外れ値の影響を大きく受けて、適切に偏在性を表現できないおそれがある。したがって、この累乗数jの値は、通常は5であり、好ましくは3、より好ましくは2である。
また、上記ジニ係数、累乗平均累乗根で示した例では、部分領域の面積に対してであったが、これに限定されるものではなく、例えば部分領域の円形度Riや長短比Ri_max/minに対してもジニ係数、累乗平均累乗根を用いた数値化が可能である。
mm2程度の撮影視野であれば、通常50点以上であり、バルク物性推算の精度を向上させる観点から、100点以上であることが好ましい。また、上記説明では領域Cの数値化について述べたが、これに限定されるものではなく数値化対象を領域ANotや、領域Dとすることで同じく組織構造の定量化データが取得可能である。
以上、上述した例のように組織構造の分類データから様々な手法を用いて組織構造の定量化が可能で各々推算したい物性に応じて最適な説明変数、回帰分析法を適宜設定することができる。
本実施の形態において説明した色変化距離を用いる組織構造分類方法及びその分類を使った材料物性推算方法の一連の処理は、ハードウェア又はソフトウェア、又はこれらを複合した構成によって実行することができる。ソフトウェアによる処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることができる。
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他に、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送したり、LAN、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送したりでき、コ
ンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
以下の実施例において、領域A、ANot、C、D及びEは前記<分類する領域の説明>で詳述した通りであり、それぞれの面積データはピクセル数を用いた。また、回帰分析は統計分析ソフトRを用いた。
アクリル樹脂に包埋された炭素材料(粒状ピッチコークス、三菱化学社製)を試料として用い、機械研磨により、ピッチコークスの観察対象面が鏡面状になった研磨試料を得た。本実施例では、テグラミン−20(ストルアス社製)自動研磨/琢磨機を用いた。研磨工程は全4工程を実施した。第1工程では、耐水研磨紙:SiCフォイル#180(ストルアス社製)、潤滑剤:水を用いて面出しを行った。第2工程では、研磨板:MD−Largo、研磨剤:DP−9μm、潤滑剤:DP−ルーブリカント(緑)(いずれもストルアス社製)を用い研磨を行い、第3工程では、研磨板:MD−DAC、研磨剤:DP−3μm、潤滑剤:DP−ルーブリカント(緑)(いずれもストルアス社製)を用いて研磨を行った。仕上げの第4工程では、琢磨板:MD−Chem、研磨剤:OP−S 0.04μm(いずれもストルアス社製)を用いた。全行程終了後、試料に付着した研磨屑や研磨剤を取り除き、研磨面を確認し、傷や汚れがないことを確認し観察対象面が鏡面状の試料を得た。
K−TC202USB−AT)を取り付け、試料用回転ステージと同期させた。ハロゲンランプ(LV−HL50W)の光源に、色温度変換フィルター(NCB11)を挿入し、白色光とし、さらにホワイトバランスを行い、撮影時にRGBが飽和しない条件となるよう、CCDカメラのゲイン、シャッター速度とした。そして試料用自動回転ステージとカメラ用自動回転ステージを0度〜180度まで15度刻みに同一方向に回転させ、同一視野のカラー偏光顕微鏡像のデジタル回転画像を取得した。取得したデジタル画像の一部を拡大し、グレースケール画像に変換した画像を図3に示す。
て色相30以上219以下の範囲内もしくは明度35以下の範囲にあるかを判定し、上記範囲内であれば領域ANotそれ以外を領域Aと分類した。同様の判定を領域Eすべての画素に行い、領域Aを白、領域ANotを黒で示した図3、図4の2値化画像をそれぞれ図9、図10に示す。
特許文献7に記載の方法で0度〜180度の撮影対象画像の明度頻度分布を取得し、明度20から80の間で頻度が極小値となる値を算出し、領域A(特許文献7では組織領域Bと表現)と領域ANot(特許文献7では空孔領域Aと表現)の明度閾値を13枚の回転画像それぞれ独立に算出した。図3の撮影視野の撮影回転角15度と105度の画像について、領域Aを白、領域ANotを黒で示した2値化画像を図13に、図4の撮影視野の撮影回転角30度と120度の画像について、領域Aを白、領域ANotを黒で示した2値化画像を図14にそれぞれ示す。さらに、図13、図14の領域Aについて、特許文献7に記載の方法で色相頻度分布を取得し、色相220以上、色相の頻度分布の最大値−16以下の領域(画素)、色相の頻度分布の最大値+16以上、色相359以下の領域(画素)、色相0以上19以下の領域(画素)を算出し、領域Cに分類した。図13、図14の組織領域のうち、上記方法により領域Cと分類された領域を灰色で示した画像をそれぞれ図15、図16に示す。
30度回転画像の画像全体の色相分布が特許文献7に記載の方法で想定されている分布形状と大きく異なるため正確な分類ができなかったためである。
以上、実施例1で示したように本発明に係る色変化距離を用いる組織構造分類方法は、比較例1に示した従来法に比べ組織構造の違いによらず、正確な組織構造の分類が可能である。
実施例1の撮影条件で30点の異なる視野を撮影し位置ずれ補正回転画像から、実施例1の分類方法で領域Aと領域Cを分類し、前記(2.材料物性推算方法)で説明した方法で領域Cの割合F=C/Aを求めた。また、色温度変換フィルターを光源から取り除いた以外は実施例1と同様の撮影条件にて、上記と同一の撮影視野30点を撮影し、同様に領域Cの割合Fを求めた。上記2種類の撮影条件にて得られた30視野の領域Cの割合Fの統計データを表−1に示す。
実施例2で取得した2種類の撮影条件下での偏光顕微鏡画像それぞれ30点視野、計60視野の撮影角度0度の画像について、従来法である特許文献7の手法で領域Aと領域Cを分類し、領域Cの割合Fを求めた。
上記2種類の撮影条件にて得られた30視野の領域Cの割合Fの統計データを表−2に示す。
によって、色相の頻度分布が変化しても、実施例1で示したように、色変化を用いる手法は、相対的な変化をとらえているため、光源の色温度の違いなどの光源の影響を受けにくいためである。
以上、実施例2で示したように本発明に係る色変化距離を用いる組織構造分類方法は、比較例2に示した従来法に比べ撮影条件の影響をより受けにくく、正確な組織構造の分類が可能である。
熱膨張係数が異なる30個の試料(粒状ピッチコークス、三菱化学社製)について、1試料あたり、800〜4400点の視野を実施例1の撮影条件で撮影し位置ずれ補正回転画像から、実施例1の分類方法で領域Aと領域Cを分類し、領域Cの割合Fを求めた。続いて、1試料毎に、得られた領域Cの割合Fを平均し、30個の試料、それぞれの領域Cの割合Fの平均値Faを算出した。そして30個の試料の熱膨張係数(CTE)の実測値を目的変数に、上記方法により算出した30個の試料それぞれの領域Cの割合Fの平均値Faを説明変数として最小二乗法による単回帰分析を行った。得られた回帰式より算出されるCTE推算値を横軸に、実測値のCTEを縦軸にとった相関グラフを図17に示す。
実施例3の30個の試料、各々の撮影視野に対して実施例1で分類された領域Cについて、前記(2.材料物性推算方法)で説明した方法で色重心の軌跡長を求め、軌跡長を256で除して色公転周期Kを算出した。続いて、30個の試料に対して、1試料毎に、色公転周期Kを平均し、30個の試料、それぞれの色公転周期Kの平均値Kaを算出した。そして実施例3の30個の試料の熱膨張係数(CTE)の実測値を目的変数に、実施例3で算出した30個の試料それぞれの領域Cの割合Fの平均値Faと、上記方法で算出した実施例3の30個の試料それぞれの色公転周期Kの平均値Kaを説明変数として部分最小二乗法による重回帰分析を行った。得られた回帰式より算出されるCTE推算値を横軸に、実測値のCTEを縦軸にとった相関グラフを図18に示す。
実施例3の30個の試料、各々の撮影視野に対して実施例1で分類された領域Cについて、T1の平均値を算出し、その平均値以上となる領域Cの画素を領域Caとして分類し各々の視野に対して領域Caの割合Fa=Ca/Aを求めた。続いて、1試料毎に得られた領域Caの割合Caを平均し、30個の試料、それぞれの領域Caの割合Faの平均値Faaを算出した。そして実施例3の30個の試料の熱膨張係数(CTE)の実測値を目的変数に、上記方法により算出した実施例3の30個の試料それぞれの領域Caの割合Faの平均値Faaを説明変数として最小二乗法による単回帰分析を行った。得られた回帰式より算出されるCTE推算値を横軸に、実測値のCTEを縦軸にとった相関グラフを図19に示す。
実施例3の30個の試料、各々の撮影視野に対して実施例5で分類された領域Caについて、前記(2.材料物性推算方法)で説明した方法で領域Ca一つ一つを区別した。そして各々の区別された領域Caの部分領域のうち円形度Riが0.030以上または長短比R
i_max/minが160以上となる部分領域を領域Caから分類し針状領域とし、領域
Caに対する針状領域の割合M=Ca/Cを算出した。続いて、1試料毎に得られたMを平均し、30個の試料、それぞれの針状領域の割合Mの平均値Maを算出した。そして実施例3の30個の試料の熱膨張係数(CTE)の実測値を目的変数に、実施例5で算出した30個の試料それぞれの領域Caの割合Faの平均値Faaと上記手法で算出した30個の試料それぞれの針状領域の割合Mの平均値Maを説明変数として部分最小二乗法による重回帰分析を行った。得られた回帰式より算出されるCTE推算値を横軸に、実測値の
CTEを縦軸にとった相関グラフを図20に示す。
実施例3の30個の試料、各々の撮影視野に対して実施例1で分類された領域Cについて、全画素のT1の頻度分布を取得し、全頻度のうちT1の高い方から80%までの画素を領域Cbとして分類し領域Cbの割合Fb=Cb/Aを求めた。また、分類された領域Cbについて、前記(2.材料物性推算方法)で説明した方法で領域Cb一つ一つを区別し得られた各々の領域Cbの部分領域の面積データを昇順に並び替え、領域Cbの部分領域の数の累積比率を横軸に、領域Cbの部分領域の面積の累積比率を縦軸にとることで描かれるローレンツ曲線を取得した。このローレンツ曲線から得られる面積と45度線から得られる面積の比からジニ係数Oを算出した。続いて、1試料毎に得られた領域Cbの割合Fbを平均し、30個の試料、それぞれの領域Cbの割合Fbの平均値Fbaを算出し、同様に1試料毎に得られたOを平均し、30個の試料、それぞれのOの平均値Oaを算出した。そして30個の試料の熱膨張係数(CTE)の実測値を目的変数に、上記方法により算出した30個の試料それぞれの領域Cbの割合Fbの平均値FbaとOの平均値Oaを説明変数として部分最小二乗法による重回帰分析を行った。得られた回帰式より算出されるCTE推算値を横軸に、実測値のCTEを縦軸にとった相関グラフを図21に示す。
実施例3の30個の試料、各々の撮影視野に対して実施例7で分類、区別された領域Cbの部分領域一つ一つに対して、その総数をnとしi=1、2、3,・・・n個とそれぞれナンバリングし、Siをナンバリングされた領域Cbの部分領域の面積とした。そして
、前記(2.材料物性推算方法)で説明した累乗平均累乗根の累乗数を2とした以下の数式で定義される二乗平均平方根RMSを各々の視野に対して算出した。ここで、AとEはそれぞれ領域A、領域Eの面積である。
実施例3の30個の試料、各々の撮影視野に対して実施例1で領域Aと分類された位置ずれ補正回転画像同士の同一位置の各画素について、前記(手法甲:色変化距離の大小判断)で説明した方法でT4を算出し、0度と180度での色変化距離をT2として、T4が2π×T2より大きな値をとる画素を領域Cと分類した。また、本実施例ではT3は画像全体閾値とし、その値は11とした。
なくとも一方の条件を満たす画素を領域Ccと分類し、領域Ccの割合Fc=Cc/Aを求めた。そして1試料毎に得られた領域Ccの割合Fcを平均し、30個の試料、それぞれの領域Ccの割合Fcの平均値Fcaを算出した。続いて30個の試料、各々の撮影視野の領域Ccについて実施例4の方法で色公転周期Kを求め1試料毎に、色公転周期Kを平均し、30個の試料、それぞれの色公転周期Kの平均値Kaを算出した。そして30個の試料の熱膨張係数(CTE)の実測値を目的変数に、上記方法により算出した30個の試料それぞれの領域Ccの割合Fcの平均値Fca、色公転周期Kの平均値Kaを説明変数として部分最小二乗法による重回帰分析を行った。得られた回帰式より算出されるCTE推算値を横軸に、実測値のCTEを縦軸にとった相関グラフを図23に示す。
実施例3の30個の試料、各々の撮影視野に対して実施例1で領域Cと分類された位置ずれ補正回転画像同士の同一位置の各画素について実施例1の手法で算出されたT1と、実施例9で算出されたT4を用いて、以下の数式でT5を算出した。
T5=T4/(2π×T1)
そして、領域Cのうち0.95≦T5≦1.27の範囲内の値となる画素を領域Cdと分類し、領域Cdの割合Fd=Cd/Aを求めた。1試料毎に得られた領域Cdの割合Fdを平均し、30個の試料、それぞれの領域Cdの割合Fdの平均値Fdaを算出した。続いて、各々の撮影視野の領域Cdについて実施例4の方法で色公転周期Kを求め1試料毎に、色公転周期Kを平均し、30個の試料、それぞれの色公転周期Kの平均値Kaを算出した。そして30個の試料の熱膨張係数(CTE)の実測値を目的変数に、上記方法により算出した30個の試料それぞれの領域Cdの割合Fdの平均値Fda、色公転周期Kの平均値Kaを説明変数として部分最小二乗法による重回帰分析を行った。得られた回帰式より算出されるCTE推算値を横軸に、実測値のCTEを縦軸にとった相関グラフを図24に示す。
Claims (19)
- 撮影対象物を任意角度回転させて同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮影し、
前記同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を回転による位置ずれを補正し、
前記補正された同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について
各画素の色相及び明度の値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素
の回転による色相明度2次元座標上の移動距離である色変化距離を算出し、
算出された色変化距離を用いて各画素について光学的異方性領域とそれ以外の領域に分
類することを特徴とする材料の組織構造分類方法。 - 前記色変化距離を算出し、算出された色変化距離を用いて光学的異方性領域とそれ以外
の領域に分類する材料の組織構造分類方法において、
任意の撮影角度間隔で0度から180度まで同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮
影し、各撮影角度の偏光顕微鏡回転画像の各画素と前記撮影角度から90度ずれた撮影角
度の偏光顕微鏡回転画像の画素間の色変化距離を算出し、算出された色変化距離の平均値
の1/2の値をT1とし、
撮影角度0度と180度との間の色変化距離をT2として、
T1がT2より大きな値をとる画素を光学異方性領域に分類する方法を用いることを特
徴とする請求項1に記載の材料の組織構造分類方法。 - αを0からT1の範囲をとる値としたとき、T1がT2+αより大きな値をとる画素を
光学的異方性領域に分類することを特徴とする請求項2に記載の材料の組織構造分類方法
。 - 前記色変化距離を算出し、算出された色変化距離を用いて光学的異方性領域とそれ以外
の領域に分類する材料の組織構造分類方法において、
任意の撮影角度間隔で0度から180度まで同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮
影し、各撮影角度の偏光顕微鏡回転画像の各画素と前記撮影角度から90度ずれた撮影角
度の偏光顕微鏡回転画像の画素間の色変化距離を算出し、算出された色変化距離の平均値
の1/2の値をT1とし、
撮影対象を回転せずに同一視野の偏光顕微鏡回転画像を2枚以上取得し、前記偏光顕微
鏡回転画像各々の同一位置の各画素について各画素の色相及び明度の値を色相及び明度を
軸とした2次元座標上にプロットし、各画素の色相明度2次元座標上の距離である色変化
距離を算出し、算出された色変化距離の平均値をT3として、
T1がT3より大きな値をとる画素を光学的異方性領域に分類する方法を用いることを
特徴とする請求項1に記載の材料の組織構造分類方法。 - αを0からT1の範囲をとる値としたとき、T1がT3+αより大きな値をとる画素を
光学的異方性領域に分類することを特徴とする請求項4に記載の材料の組織構造分類方法
。 - 前記色変化距離を算出し、算出された色変化距離を用いて光学的異方性領域とそれ以外
の領域に分類する材料の組織構造分類方法において、
任意の撮影角度間隔で0度から180度まで同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮
影し、前記偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について各画素の色相及び明度の
値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素の色相明度2次元座標上
の色変化の軌跡の距離を算出し、算出された色変化の軌跡の距離をT4とし、
T4が2π×T2より大きな値をとる画素を光学異方性領域に分類する方法を用いるこ
とを特徴とする請求項2又は3に記載の材料の組織構造分類方法。 - βを0からT4/2πの範囲を取る値としたとき、T4が2π×(T2+β) より大
きな値をとる画素を光学的異方性領域に分類することを特徴とする請求項6に記載の材料
の組織構造分類方法。 - 前記色変化距離を算出し、算出された色変化距離を用いて光学的異方性領域とそれ以外
の領域に分類する材料の組織構造分類方法において、
任意の撮影角度間隔で0度から180度まで同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮
影し、前記偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について各画素の色相及び明度の
値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素の色相明度2次元座標上
の色変化の軌跡の距離を算出し、算出された色変化の軌跡の距離をT4とし、
T4が2π×T3より大きな値をとる画素を光学的異方性領域に分類する方法を用いる
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の材料の組織構造分類方法。 - βを0からT4/2πの範囲を取る値としたとき、T4が2π×(T3+β)より大き
な値をとる画素を光学的異方性領域に分類することを特徴とする請求項8に記載の材料の
組織構造分類方法。 - 任意の撮影角度間隔で0度から180度まで同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮
影し、各撮影角度の偏光顕微鏡回転画像の各画素と前記撮影角度から90度ずれた撮影角
度の偏光顕微鏡回転画像の画素間の色変化距離を算出し、算出された色変化距離の平均値
の1/2の値をT1とし、
任意の撮影角度間隔で0度から180度まで同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮
影し、前記偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について各画素の色相及び明度の
値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素の色相明度2次元座標上
の色変化の軌跡の距離を算出し、算出された色変化の軌跡の距離をT4としたとき、
以下の数式で表されるT5がγ≦T5≦δの範囲内に収まる画素を光学的異方性領域に
分類することを特徴とする請求項1に記載の材料の組織構造分類方法。
T5=T4/(2π×T1)
(但し、上記において、γの値は0から1の範囲であり、δの値は1から2の範囲である
) - 撮影対象物を任意角度回転させて同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮影し、
前記同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を回転による位置ずれを補正し、
前記補正された同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について
各画素の色相及び明度の値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素
の回転による色相明度2次元座標上の色変化の軌跡を算出し、
次いで前記色変化の軌跡から重心点を算出し、
前記重心点から各撮影角度における座標位置までの線分の動きが撮影角度に伴い一定方
向とは逆方向になる回数が1回以下となる画素を光学異方性領域に分類することを特徴と
する材料の組織構造分類方法。 - ある画素の前記色変化の軌跡を構成するプロットされた各点について、ある撮影角度に
おいてプロットされた点と前記撮影角度と隣接する撮影角度においてプロットされた点と
を撮影角度0度から180度まで線分でつなぎ、得られた線分により交点が形成されない
とき、当該画素を光学異方性領域に分類することを特徴とする請求項11に記載の材料の
組織構造分類方法。 - 撮影対象物を任意角度回転させて同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮影し、
前記同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を回転による位置ずれを補正し、
前記補正された同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について
各画素の色相及び明度の値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素
の回転による色相明度2次元座標上の移動距離である色変化距離を算出し、
算出された色変化距離を用いて各画素について光学的異方性領域とそれ以外の領域に分
類することにより、前記偏光顕微鏡回転画像内の光学的異方性領域の画素数を算出し、
且つ、前記同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像内の全画素について明度の頻度分布を
算出し、
前記明度の頻度分布に極小値が存在する場合は極小値を閾値とし、
前記明度の頻度分布に極小値が存在しない場合は任意の明度区間の最低値を閾値として
、
前記閾値以下の明度値である画素を前記偏光顕微鏡回転画像における撮影対象物の組織
外領域とし、前記同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像全てにおいて撮影対象物の組織外
領域とされた領域以外を組織領域として分類することにより、前記偏光顕微鏡回転画像内
の組織領域の画素数を算出し、
前記光学的異方性領域の画素数を前記組織領域の画素数で除して得られた定量化値を用
いて、観察した材料又は前記材料から製造された試料の物理的物性を推算することを特徴
とする材料の推算方法。 - 撮影対象物を任意角度回転させて同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮影し、
前記同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を回転による位置ずれを補正し、
前記補正された同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について
各画素の色相及び明度の値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素
の回転による色相明度2次元座標上の移動距離である色変化距離を算出し、
算出された色変化距離を用いて各画素について光学的異方性領域とそれ以外の領域に分
類することにより、前記偏光顕微鏡回転画像内の光学的異方性領域の画素を特定し、
各偏光顕微鏡回転画像内の光学的異方性領域の全画素の明度平均値及び色相平均値を色
相及び明度を軸とした色相明度2次元座標上にプロットし、各偏光顕微鏡回転画像の回転
による色相明度2次元座標上の軌跡長である色公転周期を用いて、観察した材料又は前記
材料から製造された試料の物理的物性を推算することを特徴とする材料の推算方法。 - 撮影対象物を任意角度回転させて同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮影し、
前記同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を回転による位置ずれを補正し、
前記補正された同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について
各画素の色相及び明度の値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素
の回転による色相明度2次元座標上の移動距離である色変化距離を算出し、
算出された色変化距離を用いて各画素について光学的異方性領域とそれ以外の領域に分
類し、
且つ光学的異方性領域以外の領域に囲まれた光学的異方性領域を特定し、
前記光学的異方性領域以外の領域に囲まれた光学的異方性領域の面積重心を算出し、
前記面積重心から前記光学的異方性領域以外の領域に囲まれた光学的異方性領域の輪郭
までの距離を全周囲算出し、
前記面積重心から前記光学的異方性領域以外の領域に囲まれた光学的異方性領域の輪郭
までの距離の最大値と最小値の比を用いて、観察した材料又は前記材料から製造された試
料の物理的物性を推算することを特徴とする材料の推算方法。 - 撮影対象物を任意角度回転させて同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮影し、
前記同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を回転による位置ずれを補正し、
前記補正された同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について
各画素の色相及び明度の値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素
の回転による色相明度2次元座標上の移動距離である色変化距離を算出し、
算出された色変化距離を用いて各画素について光学的異方性領域とそれ以外の領域に分
類し、
且つ光学的異方性領域以外の領域に囲まれた光学的異方性領域を特定し、
前記光学的異方性領域以外の領域に囲まれた光学的異方性領域の面積をSとし、周囲長
をLとしたとき、以下数式で定義される円形度Rを用いて、観察した材料又は前記材料か
ら製造された試料の物理的物性を推算することを特徴とする材料の推算方法。
R=4πS/L2 - 撮影対象物を任意角度回転させて同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮影し、
前記同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を回転による位置ずれを補正し、
前記補正された同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について
各画素の色相及び明度の値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素
の回転による色相明度2次元座標上の移動距離である色変化距離を算出し、
算出された色変化距離を用いて各画素について光学的異方性領域とそれ以外の領域に分
類し、
且つ光学的異方性領域以外の領域に囲まれた光学的異方性領域を特定し、
前記光学的異方性領域以外の領域に囲まれた光学的異方性領域の数と光学的異方性領域
以外の領域に囲まれた各光学的異方性領域の面積を用いて面積累積比及び数累積比を算出
し、
次いで前記面積累積比及び数累積比を用いて算出される面積のジニ係数を用いて、観察
した材料又は前記材料から製造された試料の物理的物性を推算することを特徴とする材料
の推算方法。 - 撮影対象物を任意角度回転させて同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を撮影し、
前記同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像を回転による位置ずれを補正し、
前記補正された同一視野の複数の偏光顕微鏡回転画像各々の同一位置の各画素について
各画素の色相及び明度の値を色相及び明度を軸とした2次元座標上にプロットし、各画素
の回転による色相明度2次元座標上の移動距離である色変化距離を算出し、
算出された色変化距離を用いて各画素について光学的異方性領域とそれ以外の領域に分
類し、
且つ光学的異方性領域以外の領域に囲まれた光学的異方性領域を特定し、
光学的異方性領域以外の領域に囲まれた各光学的異方性領域の面積の二乗平均平方根を
用いて、観察した材料又は前記材料から製造された試料の物理的物性を推算することを特
徴とする材料の推算方法。 - 推算する試料の物理的物性が、撮影対象物を原料に製造される炭素製品の熱膨張係数で
あることを特徴とする請求項13及至18に記載の材料物性の推算方法。
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JP2015246489A JP6627483B2 (ja) | 2015-12-17 | 2015-12-17 | 色変化距離を用いる組織構造分類方法及びその分類を使った材料物性推算方法 |
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JP2015246489A JP6627483B2 (ja) | 2015-12-17 | 2015-12-17 | 色変化距離を用いる組織構造分類方法及びその分類を使った材料物性推算方法 |
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JP2017111046A JP2017111046A (ja) | 2017-06-22 |
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- 2015-12-17 JP JP2015246489A patent/JP6627483B2/ja active Active
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