JP6229320B2 - 試料の組織構造分類方法 - Google Patents

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Description

本発明は、試料の組織構造分類方法に関する。
炭素材料は、現在、幅広い分野で用いられており,産業上重要な素材である。これは、炭素材料は、多様性があり,様々な構造や性質を持つことに起因している。特に、炭素材料として重要である機械的強度、低熱膨張性、高熱伝導性、電気伝導度等のバルク物性は、材料中に含まれる炭素六角網面の配向領域の存在比、形、分布によって変化することが経験的に知られている。そのため、炭素六角網面の配向領域を制御すれば,用途に応じた材料を設計することが可能となる。
材料中に含まれる炭素六角網面の配向領域の観察には、光学的顕微鏡の1つである偏光顕微鏡が用いられている。偏光顕微鏡は,微細体を拡大するだけでなく、微細体を構成する物質の光学的性質を調べるための機能を備えた顕微鏡であり、物質の偏光特性を輝度又は色の変化として捕らえることができ、物質の配向状態の観察を可能とするものである。
図1及び図2は、ポラライザーとアナライザーが、クロスニコル下で鋭敏色板が挿入された偏光顕微鏡において、炭素六角網面の配向状態と観察される色との関係を示す図である。図1に示すように、炭素六角網面が一方向に配列している場合、すなわち、光学的異方性領域では、炭素六角網面、ポラライザー又はアナライザーの角度によって色が変化する。一方、図2に示すように、炭素六角網面がランダムに配列している場合、すなわち、光学的等方性領域では、炭素六角網面、ポラライザー又はアナライザーの角度によらず一定の色を示す。このように、偏光顕微鏡から観察できる光学的性質の違いは、炭素材料の構造が異なることを示す。
偏光顕微鏡から観察できる光学的性質の違いは、炭素材料の物性に影響を及ぼすことから、炭素材料の物性を推測するのに有用な手段となる。しかし、顕微鏡による観察という人間の目視での判別は、人による認識の差や周囲の色の影響により、正確な判別が困難である。
そこで、炭素材料の組織の配向を定量的に評価するため、偏光顕微鏡により撮影された画像を処理することにより、炭素材料の組織構造を定量化する試みがされている。例えば、コークスの画像解析方法としては、主に鉄鉱石の還元剤のコークスに関して、偏光顕微鏡の偏光板を回転させることによる反射率の差を用いて異方性を評価する方法が報告されている(例えば、特許文献1乃至3を参照)。
また、シリコン単結晶用るつぼや、電極の骨材として用いられるタールを原料としたコークスについて、細線化処理、エロージョンやダイレーション処理、フーリエ変換処理等を用いた、解析手法についても報告されている。(例えば、特許文献4及び非特許文献1を参照)。
特開平1−150839号公報 特開平1−150841号公報 特開平3−96837号公報 特開平2−213752号公報
Carbon 1996, 34, 375−385, Light Metals 1991, 575−579
しかしながら、従来の方法では、空孔領域、光学的異方性領域及び光学的等方性領域がより複雑な構造を有する炭素材料(例えば、ピッチコークスや石油コークス等の骨材用コークス)については、次の理由から、物性の把握が困難であった。すなわち、各種多数画像の統計的解析が必要となり、反射率を利用した簡易的な手法や画像解析に必要な閾値を任意に設定しなければならない。また、偏光顕微鏡で観察される画像についてはカラー画像であるが、解析に用いる画像についてはグレースケール画像であるため、情報が欠けた状況での解析となる。そのため、複雑な炭素材料の構造を定量的に評価することが困難であり物性の把握が困難であった。したがって、より詳細な解析方法が要求されている。
また、偏光顕微鏡によって得られる画像は、偏光を色彩で表現するカラー画像であるが、従来の方法では、カラーの部分を数値化していない。これは、目視による観察を目的として機器が設計されているため、顕微鏡画像は、観測者が見やすいように、シャッター速度や光量等を自動的に調整した画像として得られるものの、この画像を撮影する際の条件変化が画像処理による数値化を難しくしているためである。例えば、炭素材料の空孔領域を算出するために任意の閾値を設定したとしても、撮影条件が異なれば、設定した閾値が適用できない場合が生じてしまう。
そこで、本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、光源の条件や試料の種類が異なった場合にも、試料の組織構造を正確に分類することができる試料の組織構造分類方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、所定のアルゴリズムにより画像から得られる数値を閾値とすることによって、人間の目で見た感覚と同じ領域の部分を機械的に数値化することができることを見出して、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る試料の組織構造分類方法は、試料の偏光顕微鏡画像から得られる、明度の軸と、色相の軸と、明度及び色相の頻度の軸とを有する3次元頻度分布から明度の頻度分布を取得し、明度の頻度分布の極小値を閾値として閾値以下の領域A1と、0から359までの360階調の色相の頻度分布において色相20以上219以下の領域A2とを合わせた領域を空孔領域Aとし、空孔領域A以外の領域を試料の組織領域Bとする。
本発明に係る熱膨張係数の推算方法は、上記試料の組織構造分類方法で算出された光学的異方性割合Fを用いて、上記試料の電極作製時の電極の熱膨張係数を推算する。
本発明によれば、画像処理によって試料の組織構造を分類する際に、任意性のない閾値を用いているため、光源の条件や試料の種類が異なった場合にも、試料の組織構造を正確に分類することができる。
ポラライザーとアナライザーがクロスニコル下で鋭敏色板が挿入された偏光顕微鏡において、炭素六角網面が一方向に配列している場合の炭素六角網面の配向状態と観察される色との関係を示す図である。 ポラライザーとアナライザーがクロスニコル下で鋭敏色板が挿入された偏光顕微鏡において、炭素六角網面がランダムに配列している場合の炭素六角網面の配向状態と観察される色との関係を示す図である。 本発明に係る試料の組織構造分類方法を説明するための図である。 試料の偏光顕微鏡画像の一部を拡大し、グレースケール画像に変換した画像を示す図である。 明度及び色相の3次元頻度分布を示す図である。 明度の頻度分布を示す図である。 色相の頻度分布を示す図である。 試料の偏光顕微鏡画像について、空孔領域Aを黒、空孔領域A以外の試料の組織領域Bを白で表した2値化画像の一部を拡大した図である。 試料の偏光顕微鏡画像について、色相220から色相の頻度分布の最大値−16以下の領域C1を白黒の右斜線の縞模様で表し、それ以外の領域を白で表した画像を示す図である。 色相の頻度分布の最大値+16以上色相359以下の領域C2及び色相0以上19以下の領域C3を白黒の左斜線の縞模様で表し、それ以外の領域を白で表した画像を示す図である。 図8〜図10を重ね合わせた画像を示す図である。 実施例2における熱膨張係数と光学的異方性割合との相関を示すグラフである。 比較例1における熱膨張係数と光学的異方性割合との相関を示すグラフである。 比較例2における熱膨張係数と光学的異方性割合との相関を示すグラフである。 比較例3における熱膨張係数と光学的異方性割合との相関を示すグラフである。 比較例4における熱膨張係数と光学的異方性割合との相関を示すグラフである。
以下、本発明を適用した実施の形態(本実施の形態)の一例について、以下の順序で詳細に説明する。
1.試料の組織構造分類方法
2.熱膨張係数の推算方法
3.プログラム
(1.試料の組織構造分類方法)
本実施の形態に係る試料の組織構造分類方法は、後に詳述するように、明度と色相の2次元の指標を用いて、試料の偏光顕微鏡画像の全体領域Eから空孔領域Aと組織領域Bとを抽出する。試料の組織領域Bは、光学的異方性領域Cと光学的等方性領域Dとで構成されている。光学的異方性領域Cは、図1に示すように、炭素六角網面が一方向に配列し、炭素六角網面、ポラライザー又はアナライザーの角度によって色が変化する領域である。光学的等方性領域Dは、図2に示すように、炭素六角網面がランダムに配列している場合に、炭素六角網面、ポラライザー又はアナライザーの角度によらず一定の色を示す領域である。
本実施の形態に係る試料の組織構造分類方法は、明度の頻度分布及び色相の頻度分布の形状から、任意の閾値ではなく特徴的な値(例えば、頻度分布の極小値)を閾値とすることによって、光源の条件や試料の種類が異なった場合にも、試料の組織構造を正確に分類することができる。
ここで、一般的な閾値は、任意の値を設定するものである。しかし、偏光顕微鏡のよう
な観察機器については、その観察条件が常に一定ではない。そのため、偏光顕微鏡から得られる試料の偏光顕微鏡画像について、ある任意の閾値を用いて空孔領域Aと組織領域Bとに2値化した場合には、実際に人間が認識する空孔領域Aと著しく異なった結果が得られることがある。これは、偏光顕微鏡の光源状態や、試料の種類が撮影毎に異なり、結果として、得られる明度の頻度分布及び色相の頻度分布の形状が異なるためである。
本発明者らは、同種の試料であれば、偏光顕微鏡画像から得られる明度の頻度分布及び色相の頻度分布の分布形状が、分布の絶対値が異なるものの、分布の形状については同様となることを見出した。また、本発明者らは、画像処理によって試料の組織構造を分類する際に、任意性のない閾値を用いることによって、光源の条件や試料の種類が異なった場合にも、試料の組織構造を正確に分類することができることを見出した。
本実施の形態に係る試料の組織構造分類方法の対象となる試料としては、特に限定されず、例えば、空孔領域Aと、光学的異方性領域C及び光学的等方性領域Dの少なくとも一方とを有するものが好ましく、具体的には、炭素材料、鉱物、高分子材料などが挙げられる。
以下、試料として炭素材料を例に挙げて、本実施の形態に係る試料の組織構造分類方法について、具体的に説明する。
本実施の形態に係る試料の組織構造分類方法は、対象となる炭素材料の偏光顕微鏡画像から空孔領域Aを抽出する空孔領域抽出ステップと、炭素材料から組織領域Bを抽出する組織領域抽出ステップとを有する。
図3は、本実施の形態に係る試料の組織構造分類方法を説明するための図である。図3において、横軸が色相、縦軸が明度を示す。また、図3において、Aは空孔領域、Bは組織領域、Cは光学的異方性領域、Dは光学的等方性領域、Eは炭素材料の偏光顕微鏡画像の全体の領域を示す。
(1−1.空孔領域抽出ステップ)
(1−1−1.3次元頻度分布の取得)
空孔領域抽出ステップにおいては、まず、例えば図4に示すような炭素材料の偏光顕微鏡画像から、図5に示すような3次元頻度分布を取得する。
炭素材料は、観察対象面が鏡面状になっているものであれば、材質については特に限定されるものではない。例えば、炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、炭素化物前駆体等が挙げられる。炭素化物前駆体としては、ピッチ、タール及び有機高分子化合物等が挙げられる。ピッチ、タールとしては、例えば、含浸ピッチ、コールタールピッチ、石炭液化油等の石炭系重質油、アスファルテン等の直留系重質油、エチレンヘビーエンドタール等の分解系重質油等の石油系重質油等が挙げられる。特に、本実施の形態に係る試料の組織構造分類方法においては、空孔領域A、光学的異方性領域C及び光学的等方性領域Dがより複雑な構造である炭素材料、具体的には、ピッチコークスや石油コークス等の骨材用コークスについても、炭素材料の組織構造を正確に分類することができる。
炭素材料の観察対象面を鏡面状にする方法としては、特に限定されないが、例えば、機械研磨の方法が好ましい。機械研磨に用いる装置としては、特に限定されず、公知の装置を用いることができる。
観察対象面が鏡面状とは、例えば、算術平均粗さRaが1.0μm以下、特に好ましくは算術平均粗さRaが0.5μm以下の状態をいう。
偏光顕微鏡画像は、例えばCCDカメラ等の画像記録装置により撮影して得られるデジタル画像データである。偏光顕微鏡画像は、各画素についてRGBデータを有するもので
あれば、特に限定されるものではない。また、偏光顕微鏡画像は、RGBデータを有していないものであっても、画像変換によってRGBデータが得られるものであればよい。
偏光顕微鏡画像は、例えば、次のような方法で得ることができる。まず、ポラライザー、アナライザーがクロスニコルの状態で挿入され、さらに鋭敏色板も挿入された反射型偏光顕微鏡のステージに、研磨試料を設置する。続いて、反射型偏光顕微鏡に取り付けたCCDカメラにより、ピッチコークスのカラー偏光顕微鏡像のデジタル画像を取得する。図4に示す画像は、このカラー偏光顕微鏡像のデジタル画像の一部を拡大して、グレースケール画像に変換したものである。
カメラの画素は、特に限定されず、通常50〜500万画素であり、100〜300万画素とすることが好ましい。画素は、高い程、高解像度となり解析精度が向上するが、高すぎると解析に時間がかかってしまう。一方、画素が低い程、解析にかかる時間が短くなるが、低解像度となり解析精度が低下してしまう。そのため、解析精度と解析時間の兼ね合いから、100〜300万画素とすることが好ましい。
3次元頻度分布は、例えば図5に示すように、明度の軸と、色相の軸と、明度及び色相の頻度の軸とを有し、明度及び色相の頻度分布が3次元で表現されたものである。すなわち、3次元頻度分布は、炭素材料の偏光顕微鏡画像の各ピクセルを、色の3属性のうち明度と色相とを用いて分類し、分類した偏光顕微鏡画像の各ピクセルについて、明度を第1の軸とし、色相を第2の軸として得られる明度及び色相の頻度分布を3次元で表現したものである。3次元頻度分布は、表計算のソフトウェア(例えば、Origin 8J)を用いて得
ることができる。
明度は、例えば0から255までの256階調のRGBデータについて、(R+G+B)/3によって得られる値である。
色相は、例えば次のようにして得られる値である。まず、0から255までの256階調のRGBデータのうち最大値をMAXとし最小値をMINとする。ここでMAX=MINの場合色相をHとするとH=0となる。MAX=MIN以外の場合、Cr=(MAX−R)/(MAX−MIN)、Cg=(MAX−G)/(MAX−MIN)、Cb=(MAX−B)/(MAX−MIN)とそれぞれ定義すると、MAXがRの値の場合はH=60×(Cb−Cg)、MAXがGの値の場合はH=60×(2+Cr−Cb)、MAXがBの値の場合はH=60×(4+Cg−Cr)とする。また、すべての場合においてHが負の値であればHに360を加えた値をHとする。
(1−1−2.空孔領域Aの抽出)
(領域A1の抽出)
空孔領域抽出ステップにおいては、炭素材料の偏光顕微鏡画像から得られた3次元頻度分布から、図6に示すような明度の頻度分布を取得する。空孔領域抽出ステップにおいては、取得した明度の頻度分布の極小値を閾値として、この閾値以下の領域A1を抽出する。
本発明者らは、明度の頻度分布に関して、空孔領域の存在する炭素材料の試料であれば、頻度分布の絶対値については異なるものの、頻度分布の形状については同様となることを見出した。そのため、例えば図6に示すように、明度の頻度分布においては、極小値が存在することとなる。また、本発明者らは、この極小値以下の領域A1は、図4に示す空孔領域Aにほぼ一致することを見出した。そのため、明度の頻度分布の極小値を閾値として、この閾値以下の領域A1を空孔領域Aの一部とする。
また、明度の頻度分布の極小値は、例えば、0から255までの256階調の明度において、20以上80以下の間に存在することが好ましく、さらに好ましくは30以上80
以下であり、さらに好ましくは70以下である。このように、明度の頻度分布の極小値が、0から255までの256階調の明度において20から80の間に存在することにより、光源の条件や炭素材料の種類が異なった場合にも、炭素材料の組織構造をより正確に分類することができる。
この極小値を算出する方法は、特には限定されないが、例えば以下の方法により算出できる。まず、極小値存在範囲内において基準となる明度を定め、その前後の明度頻度値と基準となる明度頻度値を比べ最低値となる明度を新たな基準とする。同様に新たに基準となった明度頻度値と、その前後の明度頻度値と比較し、順々に新たな明度基準値を定義する。最終的に明度基準値の頻度がその前後の明度頻度値どちらに対しても低い場合、その明度が極小値となる。また、その際に複数の極小値が算出されることを回避するため平滑化処理により明度頻度分布を滑らかにするほうが望ましい。平滑化する方法は、特に限定されないが、例えば以下の方法を用いる事が出来る。まず基準となる明度を定め、その前後n階調の明度頻度値と、基準となる明度頻度値の平均明度頻度値を基準となる明度の新
たな明度頻度値と定義する。同様の処理をすべての明度に対して行うことにより平滑化された明度頻度分布が得られる。この際、平滑化の度合いとなるnの範囲であるが、1以上
10以下が好ましく、さらに好ましくは2以上5以下が好ましい。領域A1を算出する方法は、特に限定されず、例えば、ピクセル数や画像の面積で算出することができる。
なお、領域A1の抽出においては、画像を撮影する際にRGBの各明度の頻度分布の最大値が255に達すると、光学的異方性領域C及び光学的等方性領域Dを抽出する処理が上手くできないことを考慮して、RGBの各明度の頻度分布の最大値が255に達しない条件で撮影することが好ましい。このような条件で撮影すると、結果的に明度の頻度分布の極小値を20から80の範囲に存在させることができる。
(領域A2の抽出)
続いて、空孔領域抽出ステップにおいては、0から359までの360階調の色相の頻度分布において色相20から219までの領域A2を抽出する。色相の頻度分布とは、例えば図7に示すように、画像の各画素について色相を算出して得られる頻度分布である。本発明者らは、色相の頻度分布に関して、炭素材料の試料であれば、上述した明度の頻度分布と同様に、頻度分布の絶対値については異なるものの、頻度分布の形状については同様となることを見出した。また、本発明者らは、色相20から219までの領域A2の各色相は、3次元頻度分布においてその発生頻度が極めて低く(0.001%未満)、炭素材料の観察表面へのごみの付着や対物レンズの光が樹脂で満たされている空孔内部で乱反射することによる発光など炭素材料の組織領域とは無関係な領域と関係があり、本来抽出したい炭素組織とは関係ないことを見出した。そのため、0から359までの360階調の色相の頻度分布において色相20から219までの領域A2を空孔領域Aの一部とする。
上述したように、空孔領域抽出ステップにおいては、例えば図3に示すように、抽出した領域A1及び領域A2の両方、又は領域A1及びA2のいずれかに含まれる画像領域を空孔領域Aとする。これにより、光源の条件や炭素材料の種類が異なった場合にも、炭素材料の空孔領域Aを正確に抽出することができる。
(1−2.組織領域抽出ステップ)
組織領域抽出ステップにおいては、空孔領域抽出ステップにおいて抽出された空孔領域A以外の領域を炭素材料の組織領域Bとする。例えば、図3に示すように、炭素材料の偏光顕微鏡画像の全体の領域Eから空孔領域Aを除いた領域、すなわち、光学的異方性領域Cと光学的等方性領域Dとを合わせた領域が、炭素材料の組織領域Bである。
(光学的異方性領域Cの抽出)
組織領域抽出ステップにおいては、空孔領域抽出ステップにおいて得られた空孔領域A以外の炭素材料の偏光顕微鏡画像全体の領域Eについて、図7に示すような色相の頻度分布を取得する。
本発明者らは、色相の頻度分布に関して、炭素材料の試料であれば、上述したように、頻度分布の絶対値については異なるものの、頻度分布の形状については同様となることを見出した。また、本発明者らは、例えば0から359までの360階調の色相の頻度分布において、色相220以上、色相の頻度分布の最大値−16以下の領域C1が図1に示す青色に観察される領域とほぼ一致することをと、色相の頻度分布の最大値+16以上、色相359以下の領域C2と、色相0以上19以下の領域C3とで構成される領域が図1に示す黄色に観察される領域とほぼ一致することを見出した。これらC1、C22つを合わせた領域を光学的異方性領域Cとする。
色相の頻度分布の最大値は、色相220以上359以下の範囲に存在することが好ましい。色相の頻度分布の最大値の下限値は、280以上、特に290以上であることがより好ましい。また、色相の頻度分布の最大値の上限値は、通常359以下であり、320以下であることが好ましく、特に310以下であることがより好ましい。このような色相の頻度分布の最大値とすることによって、色相の変化に依存しないで光学的異方性領域Cを正確に抽出することができる。
光学的異方性領域Cは、図1に示すように青色と黄色の二色に観察され、図3に示すように色相−明度グラフ上では二つの領域に分布している。一方、光学的等方性領域Dは、図2に示すようにマゼンタの一色に観察され、図3に示すように色相−明度グラフ上では一つの領域のみに分布している。さらに、光学的異方性領域Cの内、炭素六角網面がポラライザーに垂直又は平行に分布している状態で観察した場合には、図1に示す光学的等方性領域Dと同様にマゼンタに観察される。以上より、光学的異方性領域Cと光学的等方性領域Dとが混在する炭素材料においては、マゼンタ領域である色相300前後の頻度が理論的に最大となる。
領域C1は、色相の頻度分布において、色相220以上、色相の頻度分布の最大値−16以下の領域であることが好ましい。
領域C2は、色相の頻度分布において、色相の頻度分布の最大値+16以上、色相359以下の領域であることが好ましい。
領域C3は、色相の頻度分布において、色相0以上19以下の領域であることが好ましい。
(光学的異方性領域Dの抽出)
また、組織領域抽出ステップにおいては、上述したように炭素材料の組織領域Bから光学的異方性領域Cを抽出することによって、図3に示すように、炭素材料の組織領域B中の光学的異方性領域C以外の領域、すなわち、光学的等方性領域Dを抽出することができる。
(光学的異方性領域Cの割合Fについて)
炭素材料における光学的異方性領域Cの割合は、空孔領域をAとし、組織領域をBとし、偏光顕微鏡画像の全体領域をEとし、光学的異方性領域Cの割合をFとすると、F=C/(E−A)、すなわち、F=(C/B)で求められる。
本発明者らは、上述した試料の組織構造分類方法によって求められた光学的異方性領域の割合Fが、炭素材料の物性、例えば、熱膨張係数(CTE)と大きく相関があることを見出した。具体的には、炭素材料の熱膨張係数は、光学的異方性領域の割合Fに比例して小さくなる。したがって、上述した試料の組織構造分類方法によって求められた光学的異
方性領域の割合Fを用いることによって、炭素材料の物性を正確に推算することができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る試料の組織構造分類方法は、炭素材料の偏光顕微鏡画像から得られる3次元頻度分布から明度の頻度分布を取得し、明度の頻度分布の極小値以下の領域A1と、0から359までの360階調の色相の頻度分布において色相20以上219以下の領域A2とを合わせた領域を空孔領域Aとし、空孔領域A以外の領域を炭素材料の組織領域Bとする。これにより、画像処理によって炭素材料の組織構造を分類する際に、任意性のない閾値を用いているため、光源の条件や炭素材料の種類が異なった場合にも、炭素材料の組織構造を正確に分類することができる。本分類により光学的等方性領域や光学的異方性領域など各々の組織構造の存在割合の算出が可能となり、また、光学的異方性領域については青色の領域と黄色の領域の存在比を算出することにより光学的異方性領域の配向性の評価が、即ち光学的異方性領域がモザイク状にランダムに分布しているのか、針状に一方向に揃って分布しているのかの評価が可能となる。更に上述した組織構造分類法は各々の組織構造の存在割合の変化の算出や、光学的等方性領域や光学的異方性領域などの領域を抽出し、再構築した2値化画像ついて、さらなる画像解析処理を行うことが可能である。それによって画像全体における評価したい領域、例えば光学的異方性領域のについてその形状や分布状態、周期性などその存在割合に加え様々な定量的評価が可能となる。その方法は特には限定されないが、例えば、以下の方法による評価が挙げられる。
評価対象の領域について、その偏光顕微鏡画像を、顕微鏡ステージの角度を0度から180度まで任意の角度に回転させ取得する。各々の回転画像について上述した組織構造分類法により得られる光学的異方性領域Cの割合Fを求め、回転角度によるFの値の変化量から光学的異方性領域Cが球状を形成し分布しているのか、一方向に筋状の流れを形成し分布しているのかを評価できる。この回転角度によるFの値の変化量を算出する方法は、特には限定されず、例えば、各々の回転画像の光学的異方性領域Cの割合Fの最大値、最小値をそれぞれF(max)、F(min)とすると、F(max)/(F(max)−F(min))により算出することができる。
また、評価したい領域についてそれ以外の領域との2値化画像、例えば光学的異方性領域Cとそれ以外の領域で2値化した画像に対して二次元フーリエ変換処理を行うことで得られるパワースペクトルや、同じく2値化画像に対してウェーブレットのフィルタバンク解析により得られる評価値や、光学的異方性領域Cの輪郭を抽出し、フラクタル解析の一種であるボックスカウント法により得られるフラクタル次元により、評価したい領域、例えば光学的異方性領域Cの形状を定量化できる。
さらに、上述した光学的等方性領域や光学的異方性領域などの領域を抽出し、再構築した2値化画像ついて、抽出領域全体ではなく抽出領域一つ一つを個別に解析、評価し、得られた評価値を統計的に解析することにより抽出領域一つ一つの情報から画像全体についての組織構造の情報を得る事ができる。その方法は特には限定されないが、例えば、以下の方法による手法が挙げられる。組織構造分類法により得られる組織構造のうち評価したい領域について、例えば、光学的異方性領域Cについてその輪郭を抽出し光学的異方性領域一つ一つをナンバリングするなどすることで区別し、各々のナンバリングされた光学的異方性領域について、その形状を定量化することで組織構造の定量化が可能となる。例えば、ナンバリングされた各々の光学的異方性領域の面積をS、その輪郭の長さをLとすると、円形度4πS/L^2による評価や、面積Sの重心から光学的異方性領域の輪郭までの距離を全周囲算出し、その最大値と最小値の比による評価によりナンバリングされた光学的異方性領域一つ一つについての評価が可能となる。さらに、ナンバリングされた光学的異方性領域一つ一つについて、モルフォロジー解析の一種であるパターンマッチング法
を用いることにより、ある特定の形状が存在量の評価が可能となる。そして上述した手法により得られた、ナンバリングされた光学的異方性領域一つ一つの評価値の統計処理により炭素材料の組織構造の定量化が可能となる。
(1−3.試料の組織構造分類方法の他の実施の形態)
また、上述した説明では、明度の階調は、0から255までの256階調のRGBデータについて、(R+G+B)/3によって得られる値としたが、この例に限定されるものではない。例えば、上述した説明では、取得画像のRGBデータが256階調であったため明度の階調も256階調としたが、その階調を任意の値に設定してもよい。この場合の好ましい明度極小値の範囲は、明度の階調が256の場合の好ましい明度極小値の範囲と等比で変化する。
また、上述した説明では、領域A2は、0から359までの360階調の色相の頻度分布において色相20から219までの領域として説明したが、この例に限定されるものではない。
例えば、図7に示す色相の頻度分布において、色相最大値を頂点として発生頻度割合が減少していき初めて発生頻度割が0.001%未満となる値をA2の範囲の閾値とすると、色相20と色相220となる。すなわち、領域A2は、色相の頻度分布において、色相最大値を頂点として発生頻度割合が減少していき初めて発生頻度割が0.001%未満となる領域として表してもよい。
また、上述した説明では、反射型偏光顕微鏡を用いる例を説明したが、この例に限定されるものではない。例えば、観察対象となる試料が薄片状に加工でき、透過法で観察できるものであれば透過式の顕微鏡を用いてもよい。
(2.熱膨張係数の推算方法)
上述した試料の組織構造分類方法によって求められた光学的異方性領域の割合Fを用いることによって、炭素材料の物性を推算することができる。以下、一例として、熱膨張係数を推算する方法について説明する。
例えば、熱膨張係数の異なる複数の炭素材料について、1つの炭素材料について複数の偏光顕微鏡画像を取得する。続いて、複数の偏光顕微鏡画像について、上述した方法と同様にして、光学的異方性割合を算出する。続いて、複数の偏光顕微鏡画像についての光学的異方性割合の平均値を算出し、この平均値を光学的異方性割合Fとする。
1つの炭素材料について取得する偏光顕微鏡画像の数は、特に限定されないが、通常50点以上、100点以上が、推算される熱膨張係数の精度を向上させる観点から好ましい。
本実施の形態に係る熱膨張係数の推算方法では、上述した試料の組織構造分類方法によって求められた光学的異方性割合Fを用いることによって、炭素材料を用いた黒鉛電極作製時の電極の熱膨張係数を推算することができる。このように、光学的異方性割合Fを用いることによって、炭素材料を用いた黒鉛電極作製時の電極の熱膨張係数を推算することができるため、炭素材料を用いた製品の生産性が安定化して、歩留まりを向上させることができる。また、新規炭素材料の設計に活かすことができる。
(3.プログラムについて)
本実施の形態において説明した試料の組織構造分類方法の一連の処理は、ハードウェア又はソフトウェア、又はこれらを複合した構成によって実行することができる。ソフトウェアによる処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが
できる。
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROMに予め記録しておくことができる。また、プログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、MOディスク、DVD、磁気ディスク、半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体に、一時的又は永続的に格納(記録)しておくことができる。
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他に、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送したり、LAN、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送し、コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
また、本明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるだけではなく、処理を実行する装置の処理能力や必要に応じて並列的に又は個別に実行されてもよい。また、本明細書において、システムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものに限定されるものではない。
以下、実施例を用いて本発明の具体的態様を説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。
以下の実施例においては、炭素材料における光学的異方性領域の割合Fは、偏光顕微鏡画像の全体領域をEとし、光学的異方性領域の割合をFとし、空孔領域をAとしたときに、F=C/(E−A)で求めた。
(実施例1)
アクリル樹脂に包埋された炭素材料(粒状ピッチコークス、三菱化学社製)を試料として用い、機械研磨により、ピッチコークスの観察対象面が鏡面状になった研磨試料を得た。
次に、ポラライザー、アナライザーがクロスニコルの状態で挿入され、さらに鋭敏色板も挿入された反射型偏光顕微鏡(Nikon ECLIPSE LV 100POL)のステージに、研磨試料の観察面と反射型偏光顕微鏡ステージとが平行になるように設置した。反射型偏光顕微鏡に取り付けた200万画素のCCD(Charge Coupled Device)カ
メラ(Nikon DIGITAL SIGHT DS−2Mv)により、ピッチコークスのカラー偏光顕微鏡像のデジタル画像を取得した。取得したデジタル画像の一部を拡大し、グレースケール画像に変換した画像を図4に示す。
得られたデジタル画像のRGBデータを色相値と明度値に変換し、図5に示すような色相と明度の3次元頻度分布を得た。図5に示す3次元頻度分布から、図6に示す明度の頻度分布を取得し、明度20から80の間で頻度が最小である値(49)を閾値として、明度の値がその閾値以下の領域(ピクセル)A1を算出した。次に、図5に示す3次元頻度分布の色相軸において、20から219までに含まれる領域(ピクセル)A2を算出した。これらの領域A1及び領域A2の両方又はいずれかに含まれる領域を、炭素材料の偏光顕微鏡画像における空孔領域Aとした。空孔領域Aを黒、空孔領域A以外の炭素材料の組織領域Bを白で表した2値化画像を作製し、一部を拡大した画像を図8に示す。
次に、炭素材料の偏光顕微鏡画像において、空孔領域A以外の画像領域の色相の頻度分布を取得し、色相220以上、色相の頻度分布の最大値−16以下の領域(ピクセル)C1を算出した。この領域C1を白黒の右斜線の縞模様で表し、それ以外の領域を白で表した画像を図9に示す。
次に、色相の頻度分布の最大値+16以上、色相359以下の領域(ピクセル)C2と
、色相0以上19以下の領域(ピクセル)C3を算出した。これらの領域C2及び領域C3を白黒の左斜線の縞模様で表し、それ以外の領域を白で表した画像を図10に示す。また、図9及び図10に示す光学的異方性領域C1〜C3の画像と、図8に示す空孔領域の画像とを重ね合わせた画像を図11に示す。
図4及び図8から分かるように、図4に示す画像で確認される黒色の空孔領域Aが、図8に示す2値化画像において精度よく抽出されていることを確認することができた。また、反射型偏光顕微鏡のCCDカメラから得られたピッチコークスのカラー偏光顕微鏡像のデジタル画像において青色又は黄色で示される光学的異方性領域Cと、このデジタル画像にマゼンタで示される光学的等方性領域Dとが、図11においてそれぞれ精度良く抽出されることを確認することができた。
(実施例2)
熱膨張係数が異なる12個の試料(粒状ピッチコークス、三菱化学社製)について、1試料あたり、50点のカラー偏光顕微鏡画像のデジタル画像を取得し、実施例1と同様の手順で、炭素材料の偏光顕微鏡画像の全体領域Eから空孔領域Aと組織領域B(光学的異方性領域C及び光学的等方性領域D)を抽出した。続いて、光学的異方性割合Fを算出し、50点の光学的異方性割合Fの平均値を各サンプルについての光学的異方性割合Fとした。実施例2における熱膨張係数と光学的異方性割合Fとの相関図を図12に示す。
(比較例1)
明度の閾値を30、色相の閾値を300と設定したこと以外は、実施例2と同様の手順で熱膨張係数と光学的異方性割合Fとの相関図を得た。
すなわち、比較例1では、熱膨張係数が異なる12個の試料(粒状ピッチコークス、三菱化学社製)について、1試料あたり、50点のカラー偏光顕微鏡画像のデジタル画像を取得し、得られたデジタル画像のRGBデータを色相値と明度値に変換し、図5に示すような色相と明度の3次元頻度分布を得た。図5に示す3次元頻度分布から、図6に示す明度の頻度分布を取得し、明度30を閾値として設定して、明度の値がその閾値以下の領域(ピクセル)A1を算出した。次に、図5に示す3次元頻度分布の色相軸において、20から219までに含まれる領域(ピクセル)A2を算出した。次に、炭素材料の偏光顕微鏡画像において、空孔領域A以外の画像領域の色相の頻度分布を取得し、色相220以上、色相(300−16)以下の領域(ピクセル)C1を算出した。次に、色相(300+16)以上、色相359以下の領域(ピクセル)C2と、色相0以上19以下の領域(ピクセル)C3を算出した。続いて、光学的異方性割合Fを算出し、50点の光学的異方性割合Fの平均値を各サンプルについての光学的異方性割合Fとした。比較例1における熱膨張係数と光学的異方性割合Fとの相関図を図13に示す。
(比較例2)
明度の閾値を45、色相の閾値を300と設定したこと以外は、実施例2と同様の手順で熱膨張係数と光学的異方性割合Fとの相関図を得た。比較例2における熱膨張係数と光学的異方性割合Fとの相関図を図14に示す。
(比較例3)
明度の閾値を60、色相の閾値を300と設定したこと以外は、実施例2と同様の手順で熱膨張係数と光学的異方性割合Fとの相関図を得た。比較例3における熱膨張係数と光学的異方性割合Fとの相関図を図15に示す。
(比較例4)
明度の閾値を45、色相の閾値を290と設定したこと以外は、実施例2と同様の手順で熱膨張係数と光学的異方性割合Fとの相関図を得た。比較例4における熱膨張係数と光学的異方性割合Fとの相関図を図16に示す。
実施例2においては、図12に示すように、決定係数Rが0.9を超える精度の高い相関が得られた。一方、比較例1〜4においては、実施例2と比較して、決定係数Rが低い結果となった。
これは、比較例1〜4においては、明度や色相の閾値を任意の値に設定したため、撮影条件の影響を受けて、不適切な空孔領域Aや光学的異方性領域Cが抽出されてしまったためと考えられる。一方、実施例2においては、比較例1〜4のように任意の閾値ではなく、特徴的な値(明度の頻度分布の極小値や色相の頻度分布の最大値)を閾値としたため、撮影条件の違いによる明度の頻度分布や色相の頻度分布の、分布の変化による影響を受けることなく、空孔領域Aや光学的異方性領域Cを正確に抽出できたと考えられる。

Claims (12)

  1. ポラライザーとアナライザーがクロスニコルの状態で鋭敏色板を挿入した偏光顕微鏡を用い、試料の偏光顕微鏡画像から得られる、明度の軸と、色相の軸と、該明度及び色相の頻度の軸とを有する3次元頻度分布から、下記で定義される明度の頻度分布を取得し、該明度の頻度分布の極小値を閾値として該閾値以下の領域A1と、下記で定義される、0から359までの360階調の色相の頻度分布において色相20以上219以下の領域A2とを合わせた領域を空孔領域Aとし、該空孔領域A以外の領域を上記試料の組織領域Bとし、かつ
    上記明度の頻度分布の極小値が、0から255までの256階調の明度において、明度20以上80以下に存在することを特徴とする試料の組織構造分類方法。
    (明度の定義)
    0から255までの256階調のRGBデータについて、(R+G+B)/3によって得られる値である。
    (色相の定義)
    0から255までの256階調のRGBデータのうち最大値をMAXとし最小値をMINとする。
    Cr=(MAX−R)/(MAX−MIN)、Cg=(MAX−G)/(MAX−MIN)、Cb=(MAX−B)/(MAX−MIN)とそれぞれ定義した際に色相Hは以下の式で示される。
    1.MAX=MINの場合
    H=0
    2.MAX=MIN以外の場合
    i)MAXがRの値の場合
    H=60×(Cb−Cg)
    ii)MAXがGの値の場合
    H=60×(2+Cr−Cb)
    iii)MAXがBの値の場合
    H=60×(4+Cg−Cr)
    また、すべての場合においてHが負の値であればHに360を加えた値をHとする。
  2. 上記試料の組織領域Bについて、上記色相の頻度分布を取得し、該色相の頻度分布において色相220以上、該色相の頻度分布の最大値−16以下の領域C1と、該色相の頻度分布の最大値+16以上、色相359以下の領域C2と、色相0以上19以下の領域C3
    とを上記試料の光学的異方性領域Cとし、
    上記組織領域Bのうち上記光学的異方性領域C以外の領域を光学的等方性領域Dとすることを特徴とする請求項1に記載の試料の組織構造分類方法。
  3. ポラライザーとアナライザーがクロスニコルの状態で鋭敏色板を挿入した偏光顕微鏡を用い、試料の偏光顕微鏡画像から得られる、明度の軸と、色相の軸と、該明度及び色相の頻度の軸とを有する3次元頻度分布から、下記で定義される明度の頻度分布を取得し、該明度の頻度分布の極小値を閾値として該閾値以下の領域A1と、下記で定義される、0から359までの360階調の色相の頻度分布において色相20以上219以下の領域A2とを合わせた領域を空孔領域Aとし、該空孔領域A以外の領域を上記試料の組織領域Bとし、かつ
    上記試料の組織領域Bについて、上記色相の頻度分布を取得し、該色相の頻度分布において色相220以上、該色相の頻度分布の最大値−16以下の領域C1と、該色相の頻度分布の最大値+16以上、色相359以下の領域C2と、色相0以上19以下の領域C3とを上記試料の光学的異方性領域Cとし、
    上記組織領域Bのうち上記光学的異方性領域C以外の領域を光学的等方性領域Dとすることを特徴とする試料の組織構造分類方法。
    (明度の定義)
    0から255までの256階調のRGBデータについて、(R+G+B)/3によって得られる値である。
    (色相の定義)
    0から255までの256階調のRGBデータのうち最大値をMAXとし最小値をMINとする。
    Cr=(MAX−R)/(MAX−MIN)、Cg=(MAX−G)/(MAX−MIN)、Cb=(MAX−B)/(MAX−MIN)とそれぞれ定義した際に色相Hは以下の式で示される。
    1.MAX=MINの場合
    H=0
    2.MAX=MIN以外の場合
    i)MAXがRの値の場合
    H=60×(Cb−Cg)
    ii)MAXがGの値の場合
    H=60×(2+Cr−Cb)
    iii)MAXがBの値の場合
    H=60×(4+Cg−Cr)
    また、すべての場合においてHが負の値であればHに360を加えた値をHとする。
  4. 上記光学的異方性領域Cの輪郭部を抽出することによって区別される光学的異方性領域Cの一つ一つに対して、それぞれ光学的異方性領域の面積Sとその輪郭の長さLから算出される円形度4πS/L^2を算出することを特徴とする請求項2又は3に記載の試料の組織構造分類方法。
  5. 上記光学的異方性領域Cの一つ一つに対して、それぞれの面積重心を算出し、上記面積重心から上記光学的異方性領域の輪郭までの距離の最大値と最小値の比を算出することを特徴とする請求項乃至のうちいずれか1項に記載の組織構造分類方法。
  6. 上記試料は、上記空孔領域Aと、光学的異方性領域C及び光学的等方性領域Dの少なくとも一方とを有することを特徴とする請求項1乃至のうちいずれか1項に記載の試料の組織構造分類方法。
  7. 上記試料は、炭素材料であることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の試料の組織構造分類方法。
  8. 上記光学的異方性領域Cの画素数を上記組織領域Bの画素数で除することにより、上記試料における上記光学的異方性領域Cの割合Fを算出することを特徴とする請求項2乃至7のうちいずれか1項に記載の試料の組織構造分類方法。
  9. 顕微鏡ステージの角度を0度から180度まで任意の角度に回転させて取得した試料の評価対象の領域の複数の偏光顕微鏡回転画像に対して、それぞれ上記光学的異方性領域Cの割合Fを算出し、回転角度による変化量を算出することを特徴とする請求項に記載の試料の組織構造分類方法。
  10. 請求項8又は9に記載の試料の組織構造分類方法で算出された上記光学的異方性領域Cの割合Fを用いて、上記試料の電極作製時の電極の熱膨張係数を推算することを特徴とする熱膨張係数の推算方法。
  11. 上記試料は、電極作製時の熱膨張係数が10×10−7〜60×10−7/℃の範囲であることを特徴とする請求項10に記載の熱膨張係数の推算方法。
  12. 請求項1乃至11に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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