JP6627481B2 - 表示体、および、表示体の観察方法 - Google Patents

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本発明は、外部に情報を表示する表示体、および、表示体の観察方法に関する。
文字や図柄などのマイクロパターンと、マイクロパターンに重なるマイクロレンズアレイとを備える表示体が知られている。この表示体では、マイクロレンズの並ぶピッチと、マイクロパターンの並ぶピッチとがわずかに異なるため、マイクロレンズと対向する方向から表示体が視認されると、マイクロレンズを通して拡大表示されたマイクロパターンの位置が、観察者の左目と右目との間でわずかに異なる。こうした両眼での視差によってマイクロパターンを立体像として視認させる効果がモアレ効果であり、表示体は、モアレ効果によって、マイクロパターンを拡大像、かつ、立体像として表示する。
こうした表示体では、マイクロレンズを通ってマイクロパターンに入射した光が、マイクロパターンにおいて反射し、反射光が、マイクロレンズを通って表示体の外部に射出される。そして、表示体の外部に射出された光が観察者の目に入ることによって、観察者によってマイクロパターンの拡大像が視認される(例えば、特許文献1参照)。
特許第5527969号公報
ところで、物体の観察者は、一般に、物体において反射した光によってその物体を認識するため、表示体の観察者は、マイクロパターンにおける反射光によって形成された拡大像に気付きやすい。それゆえに、表示体には、拡大像をより効果的に表示できることが求められている。
本発明は、パターンの拡大された像をより効果的に表示することのできる表示体、および、表示体の観察方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための表示体は、各々が光の透過によってパターンを形成する複数のパターン要素と、互いに隣り合う前記パターン要素の間を埋める反射抑制部とから構成されるパターン層と、各々が別々の前記パターン要素に焦点を有した複数のレンズであって、前記複数のレンズは、前記各パターンを拡大して1つの像を形成する前記複数のレンズと、を備える。前記パターン要素に対して前記レンズの位置する側が表側であり、前記パターン要素に対して前記レンズの位置する側とは反対側が裏側である。前記パターン層の表面は、前記各パターン要素の表面である第1凹凸面と、前記反射抑制部の表面である第2凹凸面とから構成されている。前記第2凹凸面における凹凸の周期は、前記反射抑制部に対して、前記表側から入射する光の反射と、前記裏側から入射する光の反射とを抑える大きさを有し、前記反射抑制部は、前記表側から入射する光と、前記裏側から入射する光とを吸収する特性を有している。前記表側と前記裏側とのうち、一方が入射側であり、前記入射側以外が非入射側である。前記パターン要素は、誘電体である凹凸構造部と、前記凹凸構造部における表面の少なくとも一部を覆う金属層とから構成され、前記入射側からの光の一部を吸収し、かつ、前記入射側からの光とは異なる色を有した光を前記非入射側へ射出し、前記裏側からの光によって前記パターンを形成する。
上記構成によれば、反射抑制部とパターン要素とが表側からの光を吸収するため、表示体は、明度の低い1つの像を表側に形成する。これに対して、反射抑制部は裏側から入射した光を吸収する一方で、パターン要素は、裏側から入射した光とは異なる色を有した光によってパターンを形成するため、表示体は、明度の低い像とパターンの拡大された像とを表側に向けて形成する。このように、表示体は、裏側から入射した光によってのみ拡大された像を形成するため、表示体は、より効果的に拡大された像を表示することができる。
上記表示体において、前記各レンズは、前記レンズと前記パターン要素とが重なる方向に沿って延びる光軸を有するとともに、前記光軸の径方向に沿う屈折率の分布を有し、前記パターン層と対向する面とは反対側の面として平坦面を有するラジアル型の屈折率分布型レンズであってもよい。
上記構成によれば、パターン要素とレンズとを透過した光であって、拡大された像の形成に寄与する光の射出される面が平坦面である。そのため、レンズが光を射出する面として曲面を有する構成と比べて、透過光がレンズから射出されるときに散乱されにくい。それゆえに、表示体は、より鮮明な像を表示することができる。
上記表示体において、光透過性を有し、前記各レンズのうち、前記パターン層と対向する面とは反対側の面を覆う反射抑制層をさらに備えてもよい。
上記構成によれば、反射抑制層を有しない構成と比べて、パターン層とレンズとを透過した光に対して、レンズのうち透過光を射出する面において反射した光が混ざりにくくなる。そのため、表示体の表示する拡大された像がより鮮明になる。
上記表示体において、光透過性を有し、前記パターン層の表面を覆って前記パターン層の表面における凹凸を埋める保護層をさらに備えてもよい。
上記構成によれば、レンズがパターン層に直に接しないため、レンズと対向するパターン層の表面を構成する凹凸の形状が変わりにくくなる。
上記課題を解決するための表示体の観察方法であって、前記表示体が、上記表示体であり、前記パターン層に対して前記裏側から光を照射することと、前記パターン層と前記レンズとを透過した光を前記表側から観察することと、を含む。
上記構成によれば、パターン層に対して裏側から光を照射したときに、パターンの拡大された像を観察することができる。
本発明によれば、パターンの拡大された像をより効果的に表示することができる。また、表示体の観察方法によれば、より効果的に表現された像を観察することができる。
表示体を具体化した1つの実施形態における表示体を構成する要素を分解した斜視構造を示す分解斜視図。 表示体の一部断面構造を示す部分断面図。 表示体が備えるレンズの一例における断面構造を示す断面図。 表示体が備えるレンズの一例における断面構造を示す断面図。 パターン要素の一部斜視構造であって一部が破断された図。 反射抑制部の一部斜視構造であって一部が破断された図。 表示体の作用を説明するための作用図。 表示体の作用を説明するための作用図。 変形例における表示体の一部断面構造を示す部分断面図。 変形例における表示体の一部断面構造を示す部分断面図。 変形例における表示体の作用を説明するための作用図。 変形例における表示体の作用を説明するための作用図。
図1から図8を参照して、本発明の表示体を具体化した1つの実施形態を説明する。以下では、表示体の構成、および、表示体の作用を順番に説明する。
[表示体の構成]
図1から図6を参照して、表示体の構成を説明する。以下では、表示体の全体構成を説明した後に、表示体が備えるレンズの構成、パターン要素の構成、反射抑制部の構成、および、パターン要素および反射抑制部の形成材料を順番に説明する。なお、図1では、パターン要素と反射抑制部とを区別しやすくするために、反射抑制部にドットを付している。
図1が示すように、表示体10は、複数のパターン要素11と、互いに隣り合うパターン要素11の間を埋める反射抑制部12を含むパターン層13と、複数のレンズ14とを備えている。複数のレンズ14は、各パターンを拡大して1つの像を形成する。
各パターン要素11は、光の透過によってパターンを形成し、各レンズ14は、別々のパターン要素11に焦点を有している。表示体10において、パターン要素11に対してレンズ14の位置する側が表側であり、パターン要素11に対してレンズ14の位置する側とは反対側が裏側である。
パターン層13の表面13sは、各パターン要素11の表面である第1凹凸面S1と、反射抑制部12の表面である第2凹凸面S2とから構成されている。第2凹凸面S2における凹凸の周期は、反射抑制部12に対して、表側から入射する光の反射と、裏側から入射する光の反射とを抑える大きさを有している。反射抑制部12は、表側から入射する光と、裏側から入射する光とを吸収する特性を有する。
表側と裏側とのうち、一方が入射側であり、入射側以外が非入射側である。パターン要素11は、誘電体である凹凸構造部と、凹凸構造部における表面の少なくとも一部を覆う金属層とから構成されている。パターン要素11は、入射側からの光の一部を吸収し、かつ、入射側からの光とは異なる色を有した光を非入射側へ射出する。パターン要素11は、裏側からの光によって、パターンを形成する。
表示体10において、反射抑制部12とパターン要素11とが表側からの光を吸収するため、表示体10は、明度の低い1つの像を表側に形成する。これに対して、反射抑制部12は裏側から入射した光を吸収する一方で、パターン要素11は、裏側から入射した光とは異なる色を有した光によってパターンを形成するため、表示体10は、明度の低い像とパターンの拡大された像とを表側に向けて形成する。このように、表示体10は、裏側から入射した光によってのみ拡大された像を形成するため、表示体10は、より効果的に拡大された像を表示することができる。
複数のレンズ14は、1つの層状を有した支持部15とともにレンズアレイ層16を構成している。レンズアレイ層16において、パターン層13と対向する面が裏面16rであり、裏面16rとは反対側の面であって、各レンズ14の表面を含む面が表面16sである。
パターン層13の表面13sは、パターン層13が備える面のうち、レンズアレイ層16の裏面16rと対向する面であり、表面13sとは反対側の面がパターン層13における裏面13rである。
パターン層13のうち、各パターン要素11は、表側から入射する光、すなわち、レンズアレイ層16を通ってパターン要素11に入射する光によって、金属層に表面プラズモンを励起し、表側から入射する光の一部を吸収する。これにより、パターン要素11は、表面13sから入射した光とは異なる色を有した光、例えば、所定の有彩色を有した光を裏側へ射出する。
また、各パターン要素11は、裏側から入射する光、すなわち、パターン層13の裏面13rから入射した光によって、金属層に表面プラズモンを励起し、裏側から入射する光の一部を吸収する。これにより、パターン要素11は、裏面13rから入射した光とは異なる色を有した光、例えば、所定の有彩色を有した光を表側へ射出する。
パターン要素11は、表側へ射出した透過光によってパターンを形成する。パターン要素11は、表面13sと対向する平面視において、アスタリスクを表現する形状を有している。各パターン要素11は、1つのパターンを形成し、パターンは所定の色を有したアスタリスクを表現する像である。
なお、パターンはアスタリスクなどの記号の像に限らず、文字、数字、および、絵柄や模様などの図形の像であってもよいし、記号、文字、数字、および、図形のうちの2つ以上の組み合わせの像であってもよい。
表示体10の厚さ方向と平行な方向がZ方向であり、Z方向と直交する1つの方向がX方向であり、X方向と直交する方向がY方向である。パターン層13の裏面13rは、XY平面に沿う平坦面である。
パターン要素11は、X方向に沿って所定の周期であるパターン周期P1で並び、パターン要素11は、XY平面に沿う1つの平面上において六方格子状に並んでいる。これに対して、レンズ14は、X方向に沿って所定の周期であって、パターン周期P1とは異なる周期であるレンズ周期P2で、XY平面に沿う1つの平面上において六方格子状に並んでいる。
パターン周期P1とレンズ周期P2とは異なる値であるものの、パターン周期P1とレンズ周期P2との各々は、Z方向において、1つのパターン要素11に対して1つのレンズ14が重なる値である。このように、パターン周期P1とレンズ周期P2との差が微差であるため、複数のレンズ14は、モアレ効果によって、各パターン要素11の形成するパターンの拡大像における一部が集合した1つの拡大された像を形成することができる。表示体10は、1つの拡大された像を表示するように構成されていてもよいし、複数の拡大された像を表示するように構成されていてもよい。
なお、パターン要素11とレンズ14との各々は、互いに同じ規則で並んでいれば、四方格子状、および、三方格子状に並んでいてもよいし、フィボナッチ数列などの所定の数列に倣って並んでいてもよい。
また、パターン周期P1とレンズ周期P2とがわずかな差を有する構成に限らず、レンズアレイ層16の表面16sと対向する平面視において、複数のレンズ14が並ぶ方向と、複数のパターン要素11が並ぶ方向とが微小な角度で交差する構成によっても、モアレ効果を発現させることができる。
[レンズの構成]
図2から図4を参照して、レンズ14の構成を説明する。なお、図2では、1つのレンズと、Z方向においてレンズに重なるパターン要素の位置とを分かりやすくする便宜上から、パターン要素にドットを付している。また、図4では、レンズにおける屈折率の分布を示すために、レンズに対してドットを付している。なお、レンズのうち、屈折率が高い部分ほど、高い濃度を有したドットを付している。
図2が示すように、レンズアレイ層16は、パターン層13の表面13sとレンズアレイ層16の裏面16rとが接した状態で、パターン層13に重なっている。各レンズ14は、レンズアレイ層16の裏面16rから離れる方向に突き出た凸レンズであり、各レンズ14は、パターン層13のうち、互いに異なるパターン要素11に焦点を有している。
例えば、各レンズ14の形状は、レンズアレイ層16の裏面16rの近傍、すなわち、パターン層13の表面13sのうち、パターン要素11における第1凹凸面S1の近傍に焦点を有するように構成されている。そして、各レンズ14の形状は、観察者の視線の方向を含む平面と、XY平面との形成する角度として90°、すなわち、表示体10を正面視したときの角度を含む所定の角度の範囲にて、パターン要素11における第1凹凸面S1の近傍に焦点を有するように構成されている。
なお、各レンズ14の形状は、表示体10を斜視したとき、すなわち、観察者の視線の方向を含む平面とXY平面との形成する角度が、90°とは異なる所定の角度であるときにのみ、パターン要素11における第1凹凸面S1の近傍に焦点を有するように構成されていてもよい。
各レンズ14は、非球面レンズであるが、球面レンズであってもよい。各レンズ14が非球面レンズであれば、表示体10は、ぼやけやにじみの抑えられたより品質の高い像を形成することができる。各レンズ14が球面レンズであれば、レンズアレイ層16の加工性が高まる。
図3が示すように、各レンズ14Aは上述した凸レンズに限らず、凸型フレネルレンズであってもよい。レンズアレイ層16Aの備える各レンズ14Aが凸型フレネルレンズであっても、各レンズ14Aがレンズ周期P2で並んでいれば、モアレ効果によってパターンの拡大された像を形成することができる。
図4が示すように、各レンズ14Bは、屈折率分布型レンズであってもよい。各レンズ14Bは、レンズ14Bとパターン要素11とが重なる方向に沿って延びる光軸Aを有するとともに、光軸Aの径方向に沿う屈折率の分布を有している。レンズ14Bにおいて、パターン層13と対向する面とは反対側の面が平坦面であり、各レンズ14Bは、ラジアル型の屈折率分布型レンズである。
レンズ14Bの屈折率は、径方向における光軸からの距離が大きくなるに従って小さくなる。レンズアレイ層16Bは、複数のレンズ14Bのみから構成され、レンズアレイ層16Bの表面16sおよび裏面16rの両方が平坦面である。
こうしたレンズアレイ層16Bを備える表示体10では、パターン要素11とレンズ14Bとを透過した光であって、拡大された像の形成に寄与する光の射出される面が平坦面である。そのため、レンズが光を射出する面として曲面を有する構成と比べて、光がレンズ14Bから射出されるときに散乱されにくい。それゆえに、表示体10は、より鮮明な像を表示することができる。
レンズ14Bが屈折率分布型レンズであっても、各レンズ14Bがレンズ周期P2で並んでいれば、モアレ効果によってパターンの拡大された像を形成することはできる。
レンズアレイ層16,16A,16Bの形成材料は、可視光に対する透過性を有した材料であればよく、無機材料であってもよいし、有機材料であってもよい。可視光を透過する無機材料は、例えば、ガラス、石英、酸化チタン、および、フッ化マグネシウムなどである。可視光を透過する有機材料は、例えば、ウレタン変性アクリル樹脂、および、エポキシ変性アクリル樹脂などのアクリル樹脂や、エポキシ樹脂などの各種合成樹脂である。
なお、レンズは、凸レンズおよび凸型フレネルレンズ、すなわち凸型のレンズに限らず、凹レンズおよび凹型フレネルレンズ、すなわち凹型のレンズであってもよいし、レンズは、凸型のレンズと凹型のレンズとの組み合わせであってもよい。また、レンズがラジアル型の屈折率分布型レンズであるときには、レンズの屈折率は、径方向における光軸からの距離が大きくなるに従って大きくなってもよい。
[パターン要素の構成]
図5を参照して、パターン要素の構成をより詳しく説明する。
図5が示すように、パターン要素11は、凹凸構造部21と、凹凸構造部21の一部を覆う金属層22とから構成されている。パターン要素11は、凹凸構造部21と金属層22との界面23を含むプラズモン構造体を含んでいる。プラズモン構造体は、パターン層13の表面13sに入射した入射光を界面23で受けて金属層22に表面プラズモンを励起し、これにより、入射光に含まれる特定の波長の光を吸収して、入射光を入射光とは異なる色の透過光に変える。
また、プラズモン構造体は、パターン層13の裏面13rに入射した入射光を界面23で受けて金属層22に表面プラズモンを励起し、これにより、入射光に含まれる特定の波長の光を吸収して、入射光を入射光とは異なる色の透過光に変える。
凹凸構造部21は、1つの面である表面31sと、表面31sとは反対側の面である裏面31rとを有した板状部31と、板状部31の表面31sから突き出た複数の凸部32とを備えている。各凸部32のうち、表面31sから離れた面が頂面32aであり、表面31sに繋がる面が側面32bである。
複数の頂面32aは、XY平面の1つである仮想平面Sに含まれ、表面31sと仮想平面Sとは互いにほぼ平行である。表面31sと仮想平面Sとの間の距離D、言い換えれば、凸部32の高さは、30nm以上500nm以下であることが好ましい。
なお、各凸部32は、四角柱形状を有しているが、三角柱形状や五角柱形状などの四角柱形状以外の多角柱形状を有してもよいし、円柱形状や楕円柱形状を有してもよいし、円錐形状や多角錐形状などの錐体形状を有してもよい。各凸部32が多角柱形状を有するときには、凸部32における角部の各々が曲率を有してもよい。
各凸部32の側面32bは段差面であってもよい。凸部32が、頂面32aから表面31sに向けて、X方向あるいはY方向に沿う凸部32の幅が段差ごとに大きくなる形状を有しているときには、側面32bのうち、仮想平面Sとほぼ平行な面の各々に金属層22が位置してもよい。
金属層22は、板状部31の表面31sのうち、凸部32に覆われていない部分のすべてと、各凸部32の頂面32aとに位置している。パターン要素11のうち、各凸部32の側面32b、および、金属層22の表面22sが、パターン要素11の第1凹凸面S1、すなわち、パターン層13の表面13sの一部である。また、板状部31の裏面31rは、パターン層13の裏面13rの一部である。
なお、金属層22は、板状部31の表面31sのみに位置してもよいし、各頂面32aのみに位置してもよい。あるいは、金属層22は、表面31sの一部に位置してもよいし、複数の頂面32aにおける一部の頂面32aのみに位置してもよい。またあるいは、金属層22は、凹凸構造部21の表面の全体を覆っていてもよい。
金属層22の厚さMは、例えば、20nm以上100nm以下であり、40nm以上60nm以下であることが好ましい。
複数の凸部32は、X方向に沿って等しい間隔を空けて並び、かつ、Y方向に沿って等しい間隔を空けて並んでいる。すなわち、複数の凸部32は、板状部31の表面31sにおいて四方格子状に並んでいる。X方向において互いに隣り合う2つの凸部32の間の距離は凸部周期P3である。また、Y方向において互いに隣り合う2つの凸部32の間の距離も凸部周期P3である。凸部周期P3は、可視光領域よりも小さく、100nm以上600nm以下であることが好ましく、100nm以上400nm以下であることがより好ましい。
凸部32の高さは、上述したように30nm以上500nm以下であることが好ましい。凸部32の高さが30nm以上であれば、表面プラズモンが、入射光のうち特定の波長の光を吸収して、入射光とは異なる色の透過光に変える作用が発現しやすい。一方で、凸部32の高さが500nm以下であれば、凸部32の高さがより大きい構成と比べて、凸部32の形成が容易である。
なお、複数の凸部32は、三方格子状や六方格子状に並んでいてもよい。複数の凸部32が三方格子状あるいは六方格子状に並んでいる構成では、複数の凸部32が四方格子状に並んでいる構成と比べて、互いに隣り合う凸部32の間の距離に含まれる数値の数が相互に異なる。そのため、パターン要素11において、複数の凸部32の並ぶ状態を変えることによって、界面23にて形成される表面プラズモンの状態を変えることができる。
また、複数の凸部32が六方格子状に並んでいるときには、1つの凸部32と、1つの凸部32の周りに位置する6つの凸部32の各々との間の距離は互いに等しい。すなわち、各凸部32と、各凸部32の周りに位置する6つの凸部32とは、等しい凸部周期P3で並んでいる。このように、複数の凸部32が六方格子状に並ぶとき、全ての凸部32が等しい間隔を空けて並ぶため、界面23に形成される表面プラズモンの状態が、互いにほぼ等しくなる。それゆえに、複数の凸部32が四方格子状に並ぶ構成と比べて、各パターン要素11の透過光が有する色の調節が行いやすくなる。
凸部周期P3に対するX方向あるいはY方向に沿う凸部32の長さの割合が、フィルファクタである。パターン要素11において、凹凸構造部21の形成材料が同一であり、かつ、凸部周期P3が同一である前提では、フィルファクタが変わることにより、プラズモン構造体の射出する光の色が変わる。
パターン要素11は、上述したように、パターン要素11に入射した光のうち、特定の波長を有した光を吸収し、かつ、特定の波長を有した光を透過する。これにより、パターン要素11は、光の入射側に対して、光が反射することを抑えるため、パターン要素11は、光の入射側に対して明度の低い像、例えば、黒色あるいは暗灰色を有した像を表示するとともに、光の非入射側には、特定の波長を有した光によって形成される像を表示する。そして、光の入射側がパターン層13に対する裏側であり、かつ、非入射側がパターン層13に対する表側であるときに、パターン要素11は、レンズ14による拡大の対象であるパターンとなる像を表側に形成する。
[反射抑制部の構成]
図6を参照して、反射抑制部の構成をより詳しく説明する。
図6が示すように、反射抑制部12は、凹凸構造部41と、凹凸構造部41の全体を覆う金属層42とから構成されている。金属層42の表面が、反射抑制部12の第2凹凸面S2であり、金属層42は、反射抑制部12に表側から入射した光、および、裏側から入射した光を吸収する特性を有している。
凹凸構造部41は、板状部51を有し、板状部51の1つの面が表面51sであり、表面51sとは反対側の面が裏面51rである。板状部51の裏面51rは、パターン層13の裏面13rの一部である。凹凸構造部41は、板状部51の表面51sから突き出た複数の凸部52と、板状部51の表面51sから裏面51rに向けて窪む複数の凹部53とを有している。
複数の凸部52の各々は、半楕円体形状であって、Z方向に沿う長さがX方向に沿う長さよりも大きい形状を有している。複数の凹部53の各々は、曲面によって区画され、板状部51の厚さ方向に沿う断面において、凹部53を区画する面は、半楕円弧状を有している。なお、凸部52は、四角柱形状や、四角柱形状以外の多角柱形状を有してもよいし、凹部53を区画する面は、円筒面や多角筒面であってもよい。
板状部51の表面51sにおいて、凸部52と凹部53とは、X方向に沿って交互に並び、かつ、Y方向に沿って交互に並んでいる。X方向において互いに隣り合う2つの凸部52では、頂部の間の距離が一定であり、頂部の間の距離が凹凸周期P4である。すなわち、X方向に沿って並ぶ1つの凸部52と1つの凹部53とが、凹凸周期P4で並んでいる。凹凸周期P4は可視光領域よりも小さく、200nm以上600nm以下であることが好ましく、200nm以上400nm以下であることがより好ましい。
第2凹凸面S2における凹凸の周期は、凹凸周期P4で並ぶ凸部52と凹部53とを覆う金属層42の表面における凹凸の周期であるため、第2凹凸面S2における凹凸の周期は、凹凸周期P4にほぼ等しい値である。なお、第2凹凸面S2の凹凸の周期は、凹凸構造部41を金属層42が覆っている分だけ、凹凸周期P4よりも小さくはなる。
複数の凸部52は、X方向に対して略45°で交差する方向に沿って等しい間隔を空けて並び、かつ、複数の凹部53は、凸部52が並ぶ方向と同じ方向に沿って等しい間隔を空けて並んでいる。すなわち、交互に並ぶ凸部52および凹部53は、四方格子状に並んでいる。なお、交互に並ぶ凸部52および凹部53は、三方格子状または六方格子状に並んでいてもよい。このように、凸部52および凹部53が規則的に並ぶ構成によれば、互いに等しい形状を有した凸部52および凹部53を等しい間隔で形成するため、凹凸構造部41の加工性が高まる。
また、凸部52および凹部53は、互いに隣り合う凸部52と凹部53との間の間隔における平均値が可視光領域よりも小さければ、板状部51の表面51sにおいて不規則に、言い換えれば非周期的に並んでいてもよい。凸部52と凹部53とが不規則に並ぶ構成であれば、凹凸構造部41における周期的な凹凸構造によって回折光が生じることが抑えられる。
凹凸周期P4は、可視光領域よりも小さいため、反射抑制部12は、金属層42の表面である第2凹凸面S2に表側から入射した光の一部を透過する。すなわち、反射抑制部12は、反射抑制部12に入射した光の反射率を低下させる。
反射抑制部12に表側から可視光が入射するとき、可視光が入射した部分の屈折率が可視光に対して連続的に変化する。そのため、物体と空気との間に通常は生じるインピーダンスのずれが、反射抑制部12と空気との界面では生じず、これにより、反射抑制部12の第2凹凸面S2において、可視光の反射が抑えられる。結果として、反射抑制部12に入射した光の反射率が低下する。そして、第2凹凸面S2を透過した光は、金属層22に入射し、入射した光のほとんどが金属層22によって吸収される。
また、反射抑制部12では、パターン層13の表面13sに入射した光の一部が空気と金属層42との界面にて反射し、反射されなかった一部の光が金属層42によって吸収される。空気と金属層42との界面で反射した光は、再度金属層42に入射し、再度その光の一部が金属層42によって吸収される。こうした多重の金属層42での吸収により、表側への光の反射と、裏側への光の透過とが抑えられる。
そのため、パターン層13の表面13sに表側から光が入射するとき、反射抑制部12は、黒色あるいは暗灰色を有した像を表側に表示する。
また、パターン層13の裏面13rに裏側から光が入射したときにも、反射抑制部12では、裏側から入射した光の一部であって、凹凸構造部41と金属層42との界面において反射した光が、再度金属層42に入射し、入射した光の一部が吸収されることが繰り返される。これにより、裏側から入射した光のうち、金属層42に透過した光の一部は金属層42によって吸収される。
そのため、パターン層13の裏側から光が入射するときにも、反射抑制部12は、黒色あるいは暗灰色を有した像を裏側に表示する。
なお、凹凸構造部41は、板状部51と複数の凸部52とのみ、または、板状部51と複数の凹部53とのみを備える構成であってもよい。こうした構成であっても、複数の凸部52または複数の凹部53が上述した配列の状態、および、周期を満たすように並んでいれば、複数の凸部52と複数の凹部53とを有した構成と同等の効果を得ることができる。
金属層42は、凹凸構造部41の全体を覆っている。金属層42の厚さは、反射抑制部12において光の吸収を生じさせる上で、20nm以上100nm以下であることが好ましい。
なお、金属層42は、凹凸構造部41の表面の一部、すなわち、凸部52の表面の全て、凹部53を区画する面の全て、および、板状部51の表面51sのうち、凸部52によって覆われず、かつ、凹部53が形成されていない部分の一部にのみ位置してもよい。こうした構成では、金属層42の表面と、凹凸構造部41のうち、金属層42によって覆われていない部分の表面とが、反射抑制部12の第2凹凸面S2である。ただし、金属層42が光を吸収する効率を高める上では、凹凸構造部41の全体が金属層42によって覆われていることが好ましい。
[パターン要素および反射抑制部の形成材料]
パターン要素11が備える凹凸構造部21と、反射抑制部12の凹凸構造部41とは形成材料が同じである一体物であることが好ましい。また、パターン要素11における金属層22の形成材料と、反射抑制部12における金属層42の形成材料とは、同じ材料であることが好ましい。
パターン要素11の凹凸構造部21と、反射抑制部12の凹凸構造部41とが形成材料が同じである一体物であれば、これらの凹凸構造部21,41を同時に形成することができる。また、パターン要素11における金属層22の形成材料と、反射抑制部12における金属層42の形成材料とが同じ材料であれば、これらの金属層22,42を同時に形成することができる。
凹凸構造部21,41の形成材料は、例えば石英である。凹凸構造部21,41の形成材料は、石英以外の可視光を透過する無機材料、例えば、酸化チタンやフッ化マグネシウムであってもよいし、可視光を透過する有機材料、例えば、ウレタン変性アクリル樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂などのアクリル樹脂、および、エポキシ樹脂などの各種合成樹脂であってもよい。
凹凸構造部21,41の形成材料が無機材料であるとき、凹凸構造部21,41は、例えば、各材料で形成された基体に対して化学的なエッチング処理や物理的なエッチング処理などが行われることによって形成される。また、凹凸構造部21,41の形成材料が合成樹脂であるとき、凹凸構造部21,41は、例えば、硬化前の樹脂に対して原版の形状が転写されることによって形成される。
金属層22,42の形成材料は、例えばアルミニウムである。金属層22,42の形成材料は、金、銀、および、窒化チタンなどであってもよく、紫外線領域から可視光領域までにわたって複素誘電率の実部が負の値である材料であることが好ましい。金属層22,42の形成材料がこうした特徴を有すれば、パターン要素11において表面プラズモンの励起によって透過された光は、可視光領域に含まれる。そのため、観察者は、表示体10の射出する透過光を視認することができる。
金属層22,42は、例えば、真空蒸着法およびスパッタ法などの物理蒸着法によって形成される。金属層22,42が真空蒸着法で形成されるとき、金属層22,42の表面には、微小な凹凸が形成される。ただし、真空蒸着法によって形成される微小な凹凸は、パターン要素11において励起される表面プラズモンの状態に影響しない程度の大きさである。そのため、金属層22,42は、真空蒸着法で形成される程度の凹凸、すなわち、表面荒れを有してもよい。
なお、パターン要素11の凹凸構造部21と、反射抑制部12の凹凸構造部41とは、上述した材料から選択された互いに異なる材料から形成されてもよい。また、パターン要素11の金属層22と、反射抑制部12の金属層42とは、上述した材料から選択された互いに異なる材料から形成されてもよい。
[表示体の作用]
図7および図8を参照して、表示体10の作用を表示体10の観察方法とともに説明する。以下では、表示体10が、真正品であるか否かの判定の対象である被認証体に付された状態で観察される例を説明する。
図7が示すように、表示体10は、被認証体60であって、例えばIDカードなどの各種カードに付されている。被認証体60は、表示体10が付される基材であって、表示体10に対して光を到達させることが可能な光透過性を有する基材を備えている。あるいは、基材のうち、少なくとも表示体10の付される部分が、光透過性を有していればよい。表示体10は、パターン層13の裏面13rが被認証体60と対向する状態で、被認証体60に付されている。なお、表示体10は、表示体10に対して光が直に入射する状態で、例えば、基材に形成された孔内に取り付けられることで、被認証体60に付されてもよい。
表示体10に対して、表側であって、かつ、レンズアレイ層16に対してパターン層13が位置する側とは反対側が、観察者OBによる観察側である。観察者OBは、観察側において、例えば、表示体10を正面視する方向から表示体10を観察している。
観察者OBが表示体10に対して表側から入射した光を観察するとき、表示体10に向けて光を照射する光源LSは、表示体10の観察側に位置し、表示体10に向けて照射光ILとして白色光を照射する。これにより、光源LSは、パターン層13の表面13sに対して、レンズアレイ層16を通して照射光ILを照射する。
このとき、パターン層13における反射抑制部12は、照射光ILのうち、反射抑制部12に入射した光の反射を抑制し、かつ、吸収するため、黒色または暗灰色を有した像を表側に表示する。また、パターン要素11もまた、照射光ILのうち、パターン要素11に入射した光を吸収し、黒色または暗灰色を有した像を表側に表示する。つまり、パターン層13にて反射された反射光RLはほとんど生じない。これにより、観察者OBは、レンズアレイ層16を通して、1つの黒色または暗灰色を有した像17を観察することができる。
これに対して、図8が示すように、観察者OBが表示体10に対して裏側から入射した光を観察するとき、光源LSは、表示体10に対して、表示体10の観察側とは反対側に位置し、被認証体60を通して表示体10に向けて照射光ILを照射する。これにより、光源LSは、被認証体60を通してパターン層13の裏面13rに照射光ILを照射する。
このとき、パターン層13における反射抑制部12は、照射光ILのうち、反射抑制部12に入射した光の反射を抑制し、かつ、吸収するため、黒色または暗灰色を有した像18aを表側に表示する。一方で、パターン要素11は、パターン層13の裏面13rから入射した光によって表面プラズモンを励起して、照射光ILとは異なる色を有した透過光TLを表側に射出する。これにより、パターン要素11は、透過光TLによってパターンを形成し、複数のレンズ14は、各パターンを拡大して、1つの像18bを形成する。このように、表示体10は、背景となる像18aと、アスタリスクを表現する像18bとから構成される像18を形成することができる。
このように、パターン層13に対して裏側から光を照射することと、パターン層13とレンズ14とを透過した光を表側から観察することとを含む観察方法によれば、観察者OBは、パターンの拡大された像18bと、背景となる像18aとを観察することができる。
なお、表示体10の観察は、観察者OBに限らず、表示体10が形成する像を検出することのできる機器によって行われてもよい。
以上説明したように、表示体の1つの実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)反射抑制部12とパターン要素11とが表側からの光を吸収するため、表示体10は、明度の低い1つの像を表側に形成する。これに対して、反射抑制部12は裏側から入射した光を吸収する一方で、パターン要素は、裏側から入射した光とは異なる色を有した光によってパターンを形成するため、表示体10は、明度の低い像18aとパターンの拡大された像18bとを表側に向けて形成する。このように、表示体10は、裏側から入射した光によってのみ拡大された像18bを形成するため、表示体10は、より効果的に拡大された像18bを表示することができる。
(2)レンズ14Bが屈折率分布型レンズであれば、パターン要素11とレンズ14Bとを透過した光であって、拡大された像18bの形成に寄与する光の射出される面が平坦面である。そのため、レンズが曲面を有する構成と比べて、透過光がレンズ14Bから射出されるときに散乱されにくい。それゆえに、表示体10は、より鮮明な像18bを表示することができる。
(3)表示体10の観察方法によれば、パターン層13に対して裏側から光が照射されたときに、パターンの拡大された像18bを観察することができる。
なお、上述した実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・表示体10の観察時に表示体10に照射する光は、パターン要素11における表面プラズモンの励起が可能な光を含み、かつ、反射抑制部12によって反射が抑制される光を含んでいれば、白色光以外の光であってもよい。
・図9が示すように、表示体70は、光透過性を有し、パターン層13の表面13sを覆って、パターン層13の表面13sにおける凹凸を埋める保護層71であって、パターン層13とレンズアレイ層16との間に位置する保護層71を備えてもよい。
保護層71によれば、レンズアレイ層16がパターン層13に直に接しないため、レンズアレイ層16と対向する表面13sに形成された凹凸の形状が変わりにくくなる。また、保護層71のうち、パターン要素11と重なる部分によれば、パターン要素11における表面プラズモンが励起される共鳴波長の選択性、すなわち、選択波長幅、および、光吸収量の少なくとも一方を変えることができる。なお、表示体70が保護層71を備える構成であっても、反射抑制部12と、保護層71のうち、反射抑制部12を覆う部分との界面においてインピーダンスのずれが生じないために、反射抑制部12によって光の反射が抑えられる。
保護層71の形成材料は、例えば、光透過性を有する樹脂、および、光透過性を有する誘電体材料であればよい。保護層71の形成材料が樹脂であるとき、形成材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート、および、ポリスチレンなどである。
保護層71の形成材料が誘電体材料であるとき、形成材料は、例えば、Sb、Fe、TiO、CdS、CeO、ZnS、PbCl、CdO、WO、SiO、Si、In、PbO、Ta、ZnO、ZrO、MgO、Si、MgF、CeF、CaF、AlF、Al、および、GaOなどである。
なお、保護層71の形成材料が樹脂であるときには、樹脂に対して色素が添加されてもよい。これにより、色素の吸収波長に応じて、パターン要素11における表面プラズモンが励起される共鳴波長の選択性、すなわち、選択波長幅、および、光吸収量の少なくとも一方を変えることができる。また、保護層71に含まれる色素を1つの色素から他の色素に変えることにより、色素間での吸収波長の違いによって、パターン要素11における表面プラズモンが励起される共鳴波長の選択性、すなわち、選択波長幅、および、光吸収量の少なくとも一方を変えることができる。
こうした構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(4)レンズアレイ層16がパターン層13に直に接しないため、レンズアレイ層16と対向する表面13sに形成された凹凸の形状が変わりにくくなる。
(5)パターン要素11における表面プラズモンが励起される共鳴波長の選択性、すなわち、選択波長幅、および、光吸収量の少なくとも一方を変えることができる。
・図10が示すように、表示体80は、光透過性を有し、各レンズ14に対してパターン層13と対向する面とは反対側の面を覆う反射抑制層81を備えてもよい。反射抑制層81は、レンズアレイ層16に対してパターン層13とは反対側に位置し、レンズアレイ層16の表面16sを覆っている。
反射抑制層81は、単層構造を有してもよいし、多層構造を有してもよい。反射抑制層81が単層構造であるときには、反射抑制層81の形成材料は、レンズアレイ層16の形成材料よりも低い屈折率を有した材料であればよい。反射抑制層81が多層構造を有するときには、反射抑制層81は、例えば、屈折率が相対的に高い高屈折率層と、屈折率が相対的に低い2つの低屈折率層とを有し、2つの低屈折率層が高屈折率層を挟む構成であればよい。
こうした構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(6)レンズ14を通して射出された透過光に対して、レンズアレイ層16の表面16sにおいて反射した光が混ざりにくくなる。そのため、表示体80の表示する拡大された像がより鮮明になる。
・レンズアレイ層16を構成するレンズは、シリンドリカルレンズなどの他のレンズであってもよい。こうした構成であっても、複数のレンズが、複数のパターンの各々を拡大して、各パターンの拡大された像における一部が集合した1つの像を形成することが可能であれば、上述した(1)と同等の効果を得ることはできる。
・1つのパターン要素11には、第1の色を有した光を透過するプラズモン構造体を含む第1部分と、第1の色とは異なる第2の色を有した光を透過するプラズモン構造体を含む第2部分とが含まれてもよい。すなわち、パターン要素11の形成するパターンには、第1の色を有する部分と、第1の色とは異なる第2の色を有した部分とが含まれてもよい。
こうした構成によれば、1つのパターンが互いに異なる色を有した部分を含むため、パターンの有する色が1つである構成と比べて、表示体10の表示する像がより複雑になる。
なお、透過光の色は、金属層22に形成される表面プラズモンの状態によって決まる。そのため、上述した第1部分と第2部分との間では、凸部周期P3、表面31sと仮想平面Sとの間の距離D、表面31sにおける凸部32の配列状態、金属層22の厚さM、および、金属層22の形成材料の少なくとも1つが互いに異なっていればよい。これにより、第1部分において励起される表面プラズモンの状態と、第2部分において励起される表面プラズモンの状態とを相互に異ならせ、結果として、第1部分における透過光の色と、第2部分における透過光の色とを互いに異ならせることができる。
・パターン要素11には、透過光の色が互いに異なる3種以上の部分が含まれてもよい。
・パターン要素11は、白色光を透過する構成でもよい。パターン要素11において、例えば、凸部周期P3が不規則である、あるいは、凸部32における高さが不均一であれば、プラズモン構造体の最小単位、すなわち、1つの界面23にて形成される表面プラズモンの各々の状態が互いに異なる。これにより、パターン要素11の透過する光の色が白色になる。
・金属層22における表面プラズモンの励起が可能であれば、凸部周期P3は、100nmよりも小さくてもよい。
・金属層22における表面プラズモンの励起が可能であれば、金属層22に厚さMは、20nmよりも小さくてもよいし、100nmよりも大きくてもよい。
・パターン要素11は、さらに、パターン要素11に入射した光とほぼ同じ波長の光、すなわち、入射した光とほぼ同じ色を有した光を射出する部分を含んでもよい。また、金属層22には、パターン層13の裏面13rに入射した入射光から表面プラズモンを励起することなく、入射光の一部をそのまま透過する程度に厚さの小さい部分が含まれてもよい。
・金属層42の厚さは、20nmよりも小さくてもよいし、100nmよりも大きくてもよい。こうした構成であっても、金属層42による光の吸収は可能である。
・パターン要素11と反射抑制部12とは、他の基材の上に重ねられていてもよく、この場合には、パターン要素11が備える板状部31の裏面13rと、反射抑制部12が備える板状部51の裏面51rとが基材と対向していればよい。この場合には、基材におけるパターン要素11および反射抑制部12と対向する面とは反対側の面が、パターン層13の裏面13rを構成する。
・表示体は、被認証体60の真贋の判定を可能にすることで、被認証体60の偽造を抑えるための表示体10ではなく、例えば、物品を装飾する目的で物品に付される表示体であってもよいし、表示体そのものが観賞の対象となる表示体であってもよい。
表示体が観賞の対象である構成では、例えば遊技用カードに表示体を適用することができる。以下では、図11および図12を参照して、表示体が遊技用カードに適用された例を説明する。
図11が示すように、遊技用カード90は、表示体91と、表示体91が付される基材92とを備えている。表示体91は、被認証体60に付された表示体10と同様、基材92を通して表示体91に光を到達させることが可能な状態で、または、表示体91に対して直に光が照射される状態で、基材92に付されている。
遊技用カード90が遊技に用いられるときには、遊技用カード90は、光透過性を有するステージStの上に配置される。ステージStの下方には、光源LSが位置し、光源LSは、ステージStを通して、ステージStに対して光源LSとは反対側に向けて光を照射する。
光源LSの光がステージStに向けて照射されていないときには、遊技用カード90の観察者は、レンズアレイ層16を通ってパターン層13の表面13sに入射した光であって、かつ、パターン層13の表面13sにて反射された光を観察する。上述したように、パターン層13に入射した光のほとんどがパターン層13によって反射が抑制され、かつ、吸収される。そのため、観察者は、表示体91の形成する像93として、黒色あるいは暗灰色を有した1つの像93を視認する。
これに対して、図12が示すように、光源LSの光がステージStに向けて照射されているときには、遊技用カード90の観察者は、パターン層13の裏面13rに入射した光であって、かつ、パターン層13を透過した光を観察する。上述したように、パターン層13のうち、パターン要素11に入射した光は、所定の色を有した透過光として射出されることで、各パターン要素11が1つのパターンを形成する一方で、反射抑制部12に入射した光のほとんどは、反射抑制部12によって反射が抑制され、かつ、吸収される。
これにより、表示体91のうち、反射抑制部12は、光源LSの光が照射されていないときと同様、黒色あるいは暗灰色を有した1つの像94aを形成し、かつ、複数のレンズ14は、各パターンを拡大して1つの像94b、例えばドラゴンを表現する像94bを形成する。そのため、観察者は、表示体91の形成する像94として、ドラゴンを表現する像94bと、この像94bの背景となる像94aとから構成される像94を視認することができる。
10,70,80,91…表示体、11…パターン要素、12…反射抑制部、13…パターン層、13r,16r,31r,51r…裏面、13s,16s,22s,31s,51s…表面、14,14A,14B…レンズ、15…支持部、16,16A,16B…レンズアレイ層、17,18,18a,18b,93,94,94a,94b…像、21,41…凹凸構造部、22,42…金属層、23…界面、31,51…板状部、32,52…凸部、32a…頂面、32b…側面、53…凹部、60…被認証体、71…保護層、81…反射抑制層、90…遊技用カード、92…基材、A…光軸、LS…光源、S…仮想平面、S1…第1凹凸面、S2…第2凹凸面、St…ステージ。

Claims (5)

  1. 各々が光の透過によってパターンを形成する複数のパターン要素と、互いに隣り合う前記パターン要素の間を埋める反射抑制部とから構成されるパターン層と、
    各々が別々の前記パターン要素に焦点を有した複数のレンズであって、前記複数のレンズは、前記各パターンを拡大して1つの像を形成する前記複数のレンズと、を備え、
    前記パターン要素に対して前記レンズの位置する側が表側であり、
    前記パターン要素に対して前記レンズの位置する側とは反対側が裏側であり、
    前記パターン層の表面は、前記各パターン要素の表面である第1凹凸面と、前記反射抑制部の表面である第2凹凸面とから構成され、
    前記第2凹凸面における凹凸の周期は、前記反射抑制部に対して、前記表側から入射する光の反射と、前記裏側から入射する光の反射とを抑える大きさを有し、前記反射抑制部は、前記表側から入射する光と、前記裏側から入射する光とを吸収する特性を有し、
    前記表側と前記裏側とのうち、一方が入射側であり、前記入射側以外が非入射側であり、
    前記パターン要素は、誘電体である凹凸構造部と、前記凹凸構造部における表面の少なくとも一部を覆う金属層とから構成され、前記入射側からの光の一部を吸収し、かつ、前記入射側からの光とは異なる色を有した光を前記非入射側へ射出し、前記裏側からの光によって前記パターンを形成する
    表示体。
  2. 前記各レンズは、前記レンズと前記パターン要素とが重なる方向に沿って延びる光軸を有するとともに、前記光軸の径方向に沿う屈折率の分布を有し、前記パターン層と対向する面とは反対側の面として平坦面を有するラジアル型の屈折率分布型レンズである
    請求項1に記載の表示体。
  3. 光透過性を有し、前記各レンズのうち、前記パターン層と対向する面とは反対側の面を覆う反射抑制層をさらに備える
    請求項1または2に記載の表示体。
  4. 光透過性を有し、前記パターン層の表面を覆って前記パターン層の表面における凹凸を埋める保護層をさらに備える
    請求項1から3のいずれか一項に記載の表示体。
  5. 表示体の観察方法であって、
    前記表示体が、請求項1から4のいずれか一項に記載の表示体であり、
    前記パターン層に対して前記裏側から光を照射することと、
    前記パターン層と前記レンズとを透過した光を前記表側から観察することと、を含む
    表示体の観察方法。
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