JP6627111B2 - 環境負荷指標値の算出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、環境負荷指標値の算出装置に関し、特に、印刷物をはじめとする種々の製品について、カーボンフットプリント(CFP:Carbon Footprint of Products)などの環境負荷指標値を算出し、これを検証する装置に関する。
現代社会において、環境問題は益々重要なテーマになってきており、世界的な規模で様々な取り組みがなされている。このような取り組みのひとつとして、個々の製品について、環境に与える負荷を何らかの指標値の形式で算出し、当該製品が環境に与えるマイナス要因を一般消費者に認識してもらおうという試みが普及し始めている。
たとえば、1つの製品について、生産から廃棄に至るまでに放出される二酸化炭素を含む温室効果ガス排出量は、「カーボンフットプリント(CFP)」という環境負荷指標値で定義されており、環境に与えるマイナス要因として把握される。現在、経済産業省が主導したプロジェクトにより、あらゆる工業製品等についてカーボンフットプリント等の環境負荷指標値を算出するためのルールが策定されており、個々の製品には、このルールに基づいて算出された環境負荷指標値を表示することが推奨されている。具体的には、個々の製品ごとに、それぞれ算出用パラメータおよび算出方法が定められており、これらに基づく演算を行うことにより、個々の製品についての環境負荷指標値が得られることになる。
このような背景の下で、所定の算出用パラメータを入力して所定の算出式に基づく演算を行い、個々の製品についての環境負荷指標値を算出する装置が提案されている。たとえば、下記の特許文献1には、製品を構成する個々の素材についての単位負荷量の比率をデータベース化し、これを利用して、個々の製品についての環境負荷指標値を算出する装置が開示されている。また、特許文献2には、製品のライフサイクルを複数の単位工程に分割して木構造を定義し、枝別れしている木構造の結合体についての環境負荷値の総和により、当該製品の環境負荷指標値を算出する装置が開示されており、特許文献3には、個々の製品を構成する部品の材料名および重量を入力することにより、当該製品の環境負荷指標値を算出する装置が開示されており、特許文献4には、個々の部品のリサイクル形態を指定することにより、リサイクル段階まで考慮した環境負荷指標値を算出する装置が開示されている。
一方、特定の製品ジャンルごとに、それぞれ固有の環境負荷指標値を算出するための手法も種々提案されている。たとえば、特許文献5には、電子機器やソフトウエア製品に適した算出装置、特許文献6には、化学製品に適した算出装置、特許文献7には、建築物に適した算出装置、特許文献8,9には、印刷物に適した算出装置が開示されている。
国際公開第WO2002/059813号公報 特開平7−311760号公報 特開2000−009523号公報 特開2005−301867号公報 特開2011−141800号公報 特開2013−218562号公報 特開2015−056111号公報 特開2005−088506号公報 特開2013−246239号公報
上述したように、環境負荷指標値は、特定の製品について、原材料の調達、製造、流通、消費、廃棄というプロセスを経て、当該製品が環境に対してどのような負荷を与えるかを示す指標値であり、その算出には、多岐にわたる算出用パラメータが用いられる。たとえば、カーボンフットプリント(CFP)の場合、上記各プロセスで排出される温室効果ガスの排出量の総和として定義される。しかも、個々の製品ごとにそれぞれ固有の指標値を求める必要がある。
前傾の各特許文献に開示されている算出装置は、それぞれ固有の工夫を施すことにより、繁雑な環境負荷指標値を算出する作業の負担を軽減する役割を果たす。しかしながら、演算に必要な算出用パラメータの入力作業に誤りがあったり、算出用プログラムにバグがあると、正しい算出結果を得ることができない。今後は、あらゆる製品について、環境負荷指標値を算出し、算出値を製品の包装等に表示する運用が一般化してゆくものと予想されているが、膨大な数の製品について、それぞれ固有の環境負荷指標値の算出を行うことになれば、算出用パラメータの誤入力や、算出用プログラムのバグに基づく誤りは避けられない。特に、書籍や雑誌といった印刷物の場合、個々の製品の種類は膨大な数にのぼり、誤った指標値が算出される事態の発生は避けられない。
そこで本発明は、環境負荷指標値の算出装置を用いて算出された指標値に対して、当該指標値が適正であるか否かを容易に検証するための手段を提供することを目的とする。
(1) 本発明の第1の態様は、製品ごとの環境負荷指標値を算出し、これを検証する環境負荷指標値の算出装置において、
環境負荷指標値の算出に用いる算出用パラメータを入力する算出用パラメータ入力手段と、
算出用パラメータ入力手段によって入力された個々の製品についての算出用パラメータを用いて、予め設定された所定の算出式に基づく演算を行うことにより、個々の製品についての環境負荷指標値を算出する指標値算出手段と、
指標値算出手段によって算出された環境負荷指標値と、当該環境負荷指標値の演算に用いられた算出用パラメータの一部もしくは全部とを、相互に対応づけて、個々の製品についての算出履歴として格納する算出履歴格納手段と、
算出履歴格納手段に格納されている算出履歴の中から、検証対象となる環境負荷指標値の検証処理に利用する算出履歴を検証用情報として抽出する検証用情報抽出手段と、
検証対象となる環境負荷指標値を、検証用情報抽出手段によって抽出された検証用情報に基づいて検証する算出結果検証手段と、
を設け、
算出結果検証手段に、
第1の座標軸に、算出用パラメータの中から選出された所定の参照用パラメータをとり、第2の座標軸に、環境負荷指標値または環境負荷指標値に対して所定の係数を乗じる補正により得られる補正値をとった二次元座標系上に、検証用情報抽出手段が抽出した検証用情報に含まれる個々の算出履歴を、当該算出履歴に含まれる参照用パラメータを第1の座標に対応づけ、当該算出履歴に含まれる環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点としてプロットする算出履歴プロット部と、
上記二次元座標系上に、プロットされた全履歴座標点を包含する所定の許容領域を設定する許容領域設定部と、
検証対象となる環境負荷指標値の算出に用いられた算出用パラメータのうちの参照用パラメータを第1の座標に対応づけ、検証対象となる環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、上記二次元座標系上に判定対象座標点をプロットし、プロットされた判定対象座標点が、許容領域内にある場合には合格判定、許容領域外にある場合には失格判定を行う合否判定部と、
を設けるようにしたものである。
(2) 本発明の第2の態様は、上述した第1の態様に係る環境負荷指標値の算出装置において、
検証用情報抽出手段が、算出用パラメータの中から所定の抽出用パラメータを選出し、算出履歴格納手段に格納されている算出履歴の中から、検証対象となる環境負荷指標値の算出に利用された抽出用パラメータと同一もしくは近似する値をもった抽出用パラメータを有する算出履歴を検証用情報として抽出するようにしたものである。
(3) 本発明の第3の態様は、上述した第2の態様に係る環境負荷指標値の算出装置において、
算出履歴格納手段が、指標値算出手段によって算出された環境負荷指標値と、当該環境負荷指標値の演算に用いられた算出用パラメータのうちの少なくとも参照用パラメータおよび抽出用パラメータとを、相互に対応づけて、個々の製品についての算出履歴として格納するようにしたものである。
(4) 本発明の第4の態様は、上述した第1の態様に係る環境負荷指標値の算出装置において、
印刷物に関する環境負荷指標値の算出および検出を行うために、
算出用パラメータ入力手段が、特定の製品を構成する印刷物について、少なくとも、頁サイズと、頁数と、色数と、用紙単位重量と、製品部数とを算出用パラメータとして入力し、
指標値算出手段が、印刷物に関する環境負荷指標値を算出するための算出式に基づいた演算を行うことにより環境負荷指標値を算出し、
算出履歴格納手段が、指標値算出手段によって算出された環境負荷指標値と、当該環境負荷指標値の演算に用いられた算出用パラメータのうちの少なくとも頁サイズと、頁数と、色数と、用紙単位重量または製品部数とを、相互に対応づけて、個々の製品についての算出履歴として格納し、
算出履歴プロット部が、第1の座標軸に、用紙単位重量または製品部数を参照用パラメータとしてとり、検証用情報抽出手段が抽出した検証用情報に含まれる個々の算出履歴を、当該算出履歴に含まれる用紙単位重量または製品部数を第1の座標に対応づけ、環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点としてプロットするようにしたものである。
(5) 本発明の第5の態様は、上述した第4の態様に係る環境負荷指標値の算出装置において、
算出履歴プロット部が、環境負荷指標値に対して、頁数に応じた係数を乗じる補正を行うことにより、所定の単位頁あたりの環境負荷指標値に相当する単位指標値を補正値として算出し、当該単位指標値を第2の座標軸にとった二次元座標系上に履歴座標点をプロットし、
合否判定部が、検証対象となる環境負荷指標値に対して、頁数に応じた係数を乗じる補正を行うことにより、所定の単位頁あたりの環境負荷指標値に相当する単位指標値を補正値として算出し、当該単位指標値に基づいて判定対象座標点をプロットするようにしたものである。
(6) 本発明の第6の態様は、上述した第4の態様に係る環境負荷指標値の算出装置において、
検証用情報抽出手段が、算出用パラメータの中から、頁サイズもしくは色数またはその双方を抽出用パラメータと定め、算出履歴格納手段に格納されている算出履歴の中から、検証対象となる環境負荷指標値の算出に利用された抽出用パラメータと同一の値をもった抽出用パラメータを有する同属算出履歴を検証用情報として抽出するようにしたものである。
(7) 本発明の第7の態様は、上述した第4の態様に係る環境負荷指標値の算出装置において、
検証用情報抽出手段が、算出用パラメータの中から、頁サイズもしくは色数またはその双方を抽出用パラメータと定め、算出履歴格納手段に格納されている算出履歴の中から、検証対象となる環境負荷指標値の算出に利用された抽出用パラメータと同一の値をもった抽出用パラメータを有する同属算出履歴を検証用情報として抽出し、更に、必要に応じて、検証対象となる環境負荷指標値の算出に利用された抽出用パラメータとは異なる値をもった抽出用パラメータを有する異属算出履歴を検証用情報として抽出し、
算出履歴プロット部が、
同属算出履歴については、環境負荷指標値に対して、頁数に応じた係数を乗じる補正を行うことにより、所定の単位頁あたりの環境負荷指標値に相当する換算指標値を補正値として算出し、当該補正値を第2の座標軸にとった二次元座標系上に履歴座標点をプロットし、
異属算出履歴については、環境負荷指標値に対して、頁数に応じた係数とともに、頁サイズもしくは色数またはその双方に応じた係数を乗じる補正を行うことにより、頁サイズおよび色数の双方が検証対象となる環境負荷指標値の算出に利用された頁サイズおよび色数と同一であったと仮定した場合に換算した、所定の単位頁あたりの環境負荷指標値に相当する換算指標値を補正値として算出し、当該補正値を第2の座標軸にとった二次元座標系上に履歴座標点をプロットし、
合否判定部が、検証対象となる環境負荷指標値に対して、頁数に応じた係数を乗じる補正を行うことにより、所定の単位頁あたりの環境負荷指標値に相当する換算指標値を補正値として算出し、当該補正値に基づいて判定対象座標点をプロットするようにしたものである。
(8) 本発明の第8の態様は、上述した第7の態様に係る環境負荷指標値の算出装置において、
検証用情報抽出手段が、同属算出履歴のみを抽出する第1回目の抽出処理と、同属算出履歴および異属算出履歴の双方を抽出する第2回目の抽出処理と、を行う機能を有し、
算出結果検証手段が、第1回目の抽出処理によって抽出された検証用情報に基づく第1回目の検証処理と、第2回目の抽出処理によって抽出された検証用情報に基づく第2回目の検証処理と、を行う機能を有し、
第1回目の検証処理によって失格判定がなされた場合に、第2回目の抽出処理および第2回目の検証処理が行われるようにしたものである。
(9) 本発明の第9の態様は、上述した第7の態様に係る環境負荷指標値の算出装置において、
検証用情報抽出手段が、同属算出履歴のみを抽出する第1回目の抽出処理と、同属算出履歴および異属算出履歴の双方を抽出する第2回目の抽出処理と、を行う機能を有し、第1回目の抽出処理によって抽出された算出履歴の総数が所定の基準に満たない場合に、第2回目の抽出処理を実行し、
算出結果検証手段が、第2回目の抽出処理が実行されなかった場合は、第1回目の抽出処理で抽出された検証用情報に基づく検証処理を実行し、第2回目の抽出処理が実行された場合は、第2回目の抽出処理で抽出された検証用情報に基づく検証処理を実行するようにしたものである。
(10) 本発明の第10の態様は、上述した第4〜第9の態様に係る環境負荷指標値の算出装置において、
算出履歴プロット部が、第1の座標軸に、用紙単位重量を参照用パラメータとしてとり、検証用情報抽出手段が抽出した検証用情報に含まれる個々の算出履歴を、当該算出履歴に含まれる用紙単位重量を第1の座標に対応づけ、環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点としてプロットするようにしたものである。
(11) 本発明の第11の態様は、上述した第10の態様に係る環境負荷指標値の算出装置において、
許容領域設定部が、原点Oを回転中心点として第1の座標軸を各履歴座標点に接近する方向に回転させていったときに最初に接触する履歴座標点を第1の臨界座標点Q1と定め、原点Oと第1の臨界座標点Q1とを結ぶ直線を第1の基準ラインL1とし、原点Oを回転中心点として第2の座標軸を各履歴座標点に接近する方向に回転させていったときに最初に接触する履歴座標点を第2の臨界座標点Q2と定め、原点Oと第2の臨界座標点Q2とを結ぶ直線を第2の基準ラインL2とし、第1の基準ラインL1および第2の基準ラインL2に基づいて許容領域を設定するようにしたものである。
(12) 本発明の第12の態様は、上述した第11の態様に係る環境負荷指標値の算出装置において、
許容領域設定部が、第1の基準ラインL1と第2の基準ラインL2とによって挟まれた領域を許容領域に設定するようにしたものである。
(13) 本発明の第13の態様は、上述した第11の態様に係る環境負荷指標値の算出装置において、
許容領域設定部が、原点Oを回転中心点として第1の基準ラインL1を第1の座標軸に接近する方向に所定の余裕角度だけ回転させることによって得られる第1の境界ラインL1′を定め、原点Oを回転中心点として第2の基準ラインL2を第2の座標軸に接近する方向に所定の余裕角度だけ回転させることによって得られる第2の境界ラインL2′を定め、第1の境界ラインL1′と第2の境界ラインL2′とによって挟まれた領域を許容領域に設定するようにしたものである。
(14) 本発明の第14の態様は、上述した第11の態様に係る環境負荷指標値の算出装置において、
許容領域設定部が、第1の基準ラインL1を第1の座標軸に接近する方向に所定の余裕距離だけ平行移動させることによって得られる第1の境界ラインL1''を定め、第2の基準ラインL2を第2の座標軸に接近する方向に所定の余裕距離だけ平行移動させることによって得られる第2の境界ラインL2''を定め、第1の境界ラインL1''と第2の境界ラインL2''とによって挟まれた領域を許容領域に設定するようにしたものである。
(15) 本発明の第15の態様は、上述した第4〜第9の態様に係る環境負荷指標値の算出装置において、
算出履歴プロット部が、第1の座標軸に、製品部数を参照用パラメータとしてとり、検証用情報抽出手段が抽出した検証用情報に含まれる個々の算出履歴を、当該算出履歴に含まれる製品部数を第1の座標に対応づけ、環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点としてプロットするようにしたものである。
(16) 本発明の第16の態様は、上述した第15の態様に係る環境負荷指標値の算出装置において、
許容領域設定部が、
刷版の交換が行われる印刷部数を示す版交換部数Eを記憶しており、版交換部数Eに内輪で最も近い製品部数をもつ算出履歴をプロットした履歴座標点を基準座標点Q0に設定し、
第1の座標軸上の版交換部数Eに対応する座標値をもつ点Eを通り、第2の座標軸に平行で同じ方向を向いた版交換境界軸Nを定義し、基準座標点Q0を通り第1の座標軸に平行な直線と版交換境界軸Nとの交点として第1の回転中心点Fを定義し、基準座標点Q0を通り第2の座標軸に平行な直線と第1の座標軸との交点として第2の回転中心点Gを定義し、
第1の回転中心点Fを中心として版交換境界軸Nの第1の回転中心点Fよりも先の部分を基準座標点Q0に接近する第1の回転方向に回転させていったときに最初に接触する履歴座標点を第1の臨界座標点Q3と定め、第1の回転中心点Fと第1の臨界座標点Q3とを結ぶ直線を第1の基準ラインL3とし、
第2の回転中心点Gを中心として第1の座標軸の第2の回転中心点Gよりも根元の部分を第1の回転方向とは逆の第2の回転方向に回転させていったときに最初に接触する履歴座標点を第2の臨界座標点Q4と定め、第2の回転中心点Gと第2の臨界座標点Q4とを結ぶ直線を第2の基準ラインL4とし、
第1の基準ラインL3および第2の基準ラインL4に基づいて、第1の座標値が版交換部数E以下となる部分に関する許容領域を設定するようにしたものである。
(17) 本発明の第17の態様は、上述した第16の態様に係る環境負荷指標値の算出装置において、
許容領域設定部が、第1の基準ラインL3と第2の基準ラインL4とによって挟まれた領域を、第1の座標値が版交換部数E以下となる部分に関する許容領域に設定するようにしたものである。
(18) 本発明の第18の態様は、上述した第16の態様に係る環境負荷指標値の算出装置において、
許容領域設定部が、第1の回転中心点Fを中心として第1の基準ラインL3を第2の回転方向に所定の余裕角度だけ回転させることによって得られる第1の境界ラインL3′を定め、第2の回転中心点Gを中心として第2の基準ラインL4を第1の回転方向に所定の余裕角度だけ回転させることによって得られる第2の境界ラインL4′を定め、第1の境界ラインL3′と第2の境界ラインL4′とによって挟まれた領域を、第1の座標値が版交換部数E以下となる部分に関する許容領域に設定するようにしたものである。
(19) 本発明の第19の態様は、上述した第16の態様に係る環境負荷指標値の算出装置において、
許容領域設定部が、第1の基準ラインL3を第2の基準ラインL4から遠ざかる方向に所定の余裕距離だけ平行移動させることによって得られる第1の境界ラインL3''を定め、第2の基準ラインL4を第1の基準ラインL3から遠ざかる方向に所定の余裕距離だけ平行移動させることによって得られる第2の境界ラインL4''を定め、第1の境界ラインL3''と第2の境界ラインL4''とによって挟まれた領域を、第1の座標値が版交換部数E以下となる部分に関する許容領域に設定するようにしたものである。
(20) 本発明の第20の態様は、上述した第16〜第19の態様に係る環境負荷指標値の算出装置において、
第1の座標軸上に、第1の座標値xが((K−1)×E)<x≦(K×E)の範囲の値をとる第K番目の区間を設定し、
第1の座標値が版交換部数E以下となる第1番目の区間に関する許容領域については、請求項16〜19のいずれかに記載された許容領域設定部が実行する設定方法によって許容領域の設定を行い、
第1の座標値が版交換部数Eを超える第K番目(但し、K≧2)の区間に関する許容領域については、第1の座標値xをx−((K−1)×E)に置き換えた上で、請求項16〜19のいずれかに記載された許容領域設定部が実行する設定方法によって許容領域の設定を行うようにしたものである。
(21) 本発明の第21の態様は、上述した第1〜第20の態様に係る環境負荷指標値の算出装置において、
算出用パラメータ入力手段が、CFP(Carbon Footprint of Products)、WFP(Water Footprint of Products)、もしくは、LCA(Life Cycle Assessment)の値を算出するために必要な算出用パラメータを入力し、
指標値算出手段が、環境負荷指標値として、CFP(Carbon Footprint of Products)、WFP(Water Footprint of Products)、もしくは、LCA(Life Cycle Assessment)の値を算出するようにしたものである。
(22) 本発明の第22の態様は、上述した第1〜第21の態様に係る環境負荷指標値の算出装置における算出履歴格納手段、検証用情報抽出手段および算出結果検証手段によって、環境負荷指標値の検証装置を構成するようにしたものである。
(23) 本発明の第23の態様は、上述した第1〜第21の態様に係る環境負荷指標値の算出装置、または、上述した第22の態様に係る環境負荷指標値の検証装置を、コンピュータにプログラムを組み込むことにより構成したものである。
(24) 本発明の第24の態様は、上述した第1〜第21の態様に係る環境負荷指標値の算出装置と、所定の対象製品の生産工程もしくは流通工程またはその双方を管理する工程管理装置と、を組み込むことによって工程管理システムを構成し、環境負荷指標値の算出装置が、上記対象製品の環境負荷指標値を算出し、これを検証できるようにしたものである。
(25) 本発明の第25の態様は、上述した第24の態様に係る工程管理システムにおいて、
工程管理装置によって実行される工程管理処理に用いられる工程管理用パラメータと、環境負荷指標値の算出装置によって実行される環境負荷指標値の算出処理に用いられる算出用パラメータと、の間に、相互に共通する共通パラメータが存在するようにし、
環境負荷指標値の算出装置の一構成要素となる算出用パラメータ入力手段に、工程管理装置内に格納されている上記共通パラメータを取り込む機能をもたせるようにしたものである。
(26) 本発明の第26の態様は、上述した第4〜第20の態様に係る環境負荷指標値の算出装置を組み込むことによって統合印刷システムを構成するようにし、当該統合印刷システムには、少なくとも、印刷機と、製本装置と、工程管理用コンピュータと、を設け、工程管理用コンピュータが、印刷機による印刷工程および製本装置による製本工程を管理する機能と、環境負荷指標値の算出装置としての機能と、を有するようにしたものである。
(27) 本発明の第27の態様は、上述した第26の態様に係る統合印刷システムにおいて、
工程管理用コンピュータが、工程管理用パラメータとして入力した頁サイズ、頁数、色数、用紙単位重量、製品部数を、算出用パラメータとしても利用するようにしたものである。
(28) 本発明の第28の態様は、特定の製品についての環境負荷指標値を算出する方法において、
コンピュータが、特定の製品についての環境負荷指標値の算出に用いる算出用パラメータを入力する算出用パラメータ入力段階と、
コンピュータが、算出用パラメータ入力段階によって入力された特定の製品についての算出用パラメータを用いて、予め設定された所定の算出式に基づく演算を行うことにより、特定の製品についての環境負荷指標値を算出する指標値算出段階と、
コンピュータが、過去に環境負荷指標値の算出が行われた複数の製品を参照製品として、ある1つの参照製品について、算出された環境負荷指標値と、当該環境負荷指標値の演算に用いられた算出用パラメータの中から選出された所定の参照用パラメータと、を相互に対応づけた情報を、当該参照製品についての算出履歴として格納している記憶手段から、複数の算出履歴を検証用情報として抽出する検証用情報抽出段階と、
コンピュータが、第1の座標軸に、参照用パラメータをとり、第2の座標軸に、環境負荷指標値または環境負荷指標値に対して所定の係数を乗じる補正により得られる補正値をとった二次元座標系上に、検証用情報抽出段階で抽出した検証用情報に含まれる個々の算出履歴を、当該算出履歴に含まれる参照用パラメータを第1の座標に対応づけ、当該算出履歴に含まれる環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点としてプロットする算出履歴プロット段階と、
コンピュータが、上記二次元座標系上に、プロットされた全履歴座標点を包含する所定の許容領域を設定する許容領域設定段階と、
コンピュータが、特定の製品についての環境負荷指標値の算出に用いられた算出用パラメータのうちの参照用パラメータを第1の座標に対応づけ、当該特定の製品についての環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、上記二次元座標系上に判定対象座標点をプロットし、プロットされた判定対象座標点が、許容領域内にある場合には合格判定、許容領域外にある場合には失格判定を行う合否判定段階と、
を行うようにしたものである。
(29) 本発明の第29の態様は、上述した第28の態様に係る環境負荷指標値の算出方法において、
コンピュータが、合否判定段階において合格判定がなされた場合に、指標値算出段階によって算出された環境負荷指標値と、当該環境負荷指標値の演算に用いられた算出用パラメータのうちの参照用パラメータと、を相互に対応づけた情報を、将来実行される別な製品についての検証用情報抽出段階で抽出される算出履歴として記憶手段内に格納する算出履歴格納段階を更に有するようにしたものである。
(30) 本発明の第30の態様は、上述した第28または第29の態様に係る環境負荷指標値の算出方法において、
印刷物に関する環境負荷指標値の算出を行うために、
算出用パラメータ入力段階で、特定の製品を構成する印刷物について、少なくとも、頁サイズと、頁数と、色数と、用紙単位重量と、製品部数とを算出用パラメータとして入力し、
指標値算出段階で、印刷物に関する環境負荷指標値を算出するための算出式に基づいた演算を行うことにより環境負荷指標値を算出し、
検証用情報抽出段階で、用紙単位重量を参照用パラメータとする算出履歴を抽出し、
算出履歴プロット段階で、第1の座標軸に用紙単位重量をとり、検証用情報抽出段階で抽出した個々の算出履歴を、当該算出履歴に含まれる用紙単位重量を第1の座標に対応づけ、環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点としてプロットするようにしたものである。
(31) 本発明の第31の態様は、上述した第28または第29の態様に係る環境負荷指標値の算出方法において、
印刷物に関する環境負荷指標値の算出を行うために、
算出用パラメータ入力段階で、特定の製品を構成する印刷物について、少なくとも、頁サイズと、頁数と、色数と、用紙単位重量と、製品部数とを算出用パラメータとして入力し、
指標値算出段階で、印刷物に関する環境負荷指標値を算出するための算出式に基づいた演算を行うことにより環境負荷指標値を算出し、
検証用情報抽出段階で、製品部数を参照用パラメータとする算出履歴を抽出し、
算出履歴プロット段階で、第1の座標軸に製品部数をとり、検証用情報抽出段階で抽出した個々の算出履歴を、当該算出履歴に含まれる製品部数を第1の座標に対応づけ、環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点としてプロットするようにしたものである。
本発明に係る環境負荷指標値の算出装置によれば、指標値算出手段によって、所定の算出用パラメータに基づく所定の算出式を用いた演算が行われ、個々の製品についての環境負荷指標値が算出される。しかも、算出された環境負荷指標値と、算出に用いたパラメータは、個々の製品についての算出履歴として蓄積されてゆく。このため、算出結果検証手段によって、新たに算出された指標値が適正なものであるか否かを、過去の算出履歴を参照して容易に検証することができるようになる。
特に、印刷物に関する環境負荷指標値の算出および検証を行う実施形態の場合、頁サイズ、頁数、色数、用紙単位重量、製品部数が算出用パラメータとして入力されるため、頁サイズもしくは色数を抽出用パラメータとして過去の類似した算出履歴を抽出することが可能になり、用紙単位重量または製品部数を参照用パラメータとした検証が可能になる。用紙単位重量を参照用パラメータとして利用すれば、指標値に対して正の相関を有することを前提とした検証方法を採用することができ、製品部数を参照用パラメータとして利用すれば、指標値に対して負の相関を有することを前提とした検証方法を採用することができるので、新たに算出された指標値が適正か否かを、容易な方法で検証することができる。また、頁数のパラメータを利用すれば、所定の単位頁あたりの指標値に基づく正確な検証を行うことができる。
本発明に係る環境負荷指標値の算出装置の基本構成を示すブロック図である。 一般的な環境負荷指標値の具体例を示す図である。 「カーボンフットプリント」の算出プロセスを示す流れ図である。 「カーボンフットプリント(CFP)」の表示マークを示す図である。 出版・商業印刷物についてのPCR(CFPの算出基準)を示す図である。 図1に示す環境負荷指標値の算出装置の基本動作を示す流れ図である。 図1に示す環境負荷指標値の算出装置における算出履歴プロット部43の処理機能を説明するためのグラフである。 図1に示す環境負荷指標値の算出装置における許容領域設定部42の処理機能を説明するためのグラフである。 印刷物に関する環境負荷指標値の算出に用いられるパラメータの例を示す図である。 印刷物に関する算出用パラメータについて、換算用パラメータ、抽出用パラメータ、参照用パラメータを定めた第1の設定例を示す図である。 図10に示す第1の設定例に基づいて、二次元座標系上にプロットされた各履歴座標点を示すグラフである。 図11に示す各履歴座標点が正の相関C(+)を有することを示すグラフである。 図11に示す各履歴座標点に基づいて、第1の基準ラインL1および第2の基準ラインL2を定めるプロセスを示すグラフである。 図13に示すプロセスにより定められた第1の基準ラインL1および第2の基準ラインL2を示すグラフである。 図14に示す第1の基準ラインL1および第2の基準ラインL2に基づいて設定された許容領域A1を示すグラフである。 図14に示す第1の基準ラインL1および第2の基準ラインL2に基づいて定められた第1の境界ラインL1′および第2の境界ラインL2′を示すグラフである。 図16に示す第1の境界ラインL1′および第2の境界ラインL2′に基づいて設定された許容領域A2を示すグラフである。 図14に示す第1の基準ラインL1および第2の基準ラインL2に基づいて定められた第1の境界ラインL1''および第2の境界ラインL2''を示すグラフである。 図18に示す第1の境界ラインL1''および第2の境界ラインL2''に基づいて設定された許容領域A3を示すグラフである。 図11に示すグラフの縦軸を、単位指標値Uから換算指標値Wに置き換えたグラフである。 種々の換算指標値を求めるための補正演算を示す図である。 各補正値Tの具体的な算出式を示す図である。 印刷物に関する算出用パラメータについて、換算用パラメータ、抽出用パラメータ、参照用パラメータを定めた第2の設定例を示す図である。 図23に示す第2の設定例に基づいて、二次元座標系上にプロットされた各履歴座標点を示すグラフである。 図24に示す各履歴座標点が負の相関C(−)を有することを示すグラフである。 図24に示す各履歴座標点に基づいて、第1の基準ラインL3および第2の基準ラインL4を定めるプロセスを示すグラフである。 図26に示すプロセスにより定められた第1の基準ラインL3および第2の基準ラインL4を示すグラフである。 図27に示す第1の基準ラインL3および第2の基準ラインL4に基づいて設定された許容領域A4を示すグラフである。 図27に示す第1の基準ラインL3および第2の基準ラインL4に基づいて定められた第1の境界ラインL3′および第2の境界ラインL4′を示すグラフである。 図29に示す第1の境界ラインL3′および第2の境界ラインL4′に基づいて設定された許容領域A5を示すグラフである。 図27に示す第1の基準ラインL3および第2の基準ラインL4に基づいて定められた第1の境界ラインL3''および第2の境界ラインL4''を示すグラフである。 図31に示す第1の境界ラインL3''および第2の境界ラインL4''に基づいて設定された許容領域A6を示すグラフである。 図24に示すグラフの縦軸を、単位指標値Uから換算指標値Wに置き換えたグラフである。 図24に示すグラフの横軸を右側に拡張して各履歴座標点をプロットした状態を示すグラフである。 図34に示すグラフの横軸に関する周期性を説明する図である。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
<<< §1. 本発明に係る環境負荷指標値の算出装置の基本構成 >>>
図1は、本発明に係る環境負荷指標値の算出装置の基本構成を示すブロック図である。この算出装置は、製品ごとの環境負荷指標値を算出する機能を有するとともに、算出された指標値が適正であるか否かを検証する付加機能を有している。
図示のとおり、この算出装置は、算出用パラメータ入力手段10、指標値算出手段20、算出履歴格納手段30、算出結果検証手段40、検証用情報抽出手段50を有している。実際には、これらの各手段は、コンピュータに専用のプログラムを組み込むことにより構成される。したがって、図1に各ブロックとして示されている個々の構成要素は、コンピュータのハードウェアに所定のプログラムを組み込むことにより、当該プログラムの処理機能とコンピュータのハードウェア資源との組み合わせによって実現される要素ということになる。
算出用パラメータ入力手段10は、環境負荷指標値の算出に用いる算出用パラメータを入力する構成要素であり、実際には、コンピュータ用のキーボード、マウス、その他のポインティングデバイスなどの入力機器によって構成することができる。また、ハードディスクや光ディスクなどの情報記録媒体に記録されているデータを読み込むことにより算出用パラメータの入力を行う場合には、データの読み込みを行う情報読取装置によって算出用パラメータ入力手段10を構成することができ、所定の通信経路を介してデータを受信することにより算出用パラメータの入力を行う場合には、データ受信装置によって算出用パラメータ入力手段10を構成することもできる。
指標値算出手段20は、こうして算出用パラメータ入力手段10によって入力された個々の製品についての算出用パラメータを用いて、予め設定された所定の算出式に基づく演算を行うことにより、個々の製品についての環境負荷指標値Vを算出する構成要素である。図1には、ある1つの製品についての環境負荷指標値Vを算出するために、合計n個の算出用パラメータP1〜Pnを用いる例が示されている。環境負荷指標値Vは、V=f(P1,P2,... ,Pn)なる所定の算出式に基づく演算によって求められる。
個々の製品ごとの環境負荷指標値Vを算出するだけの機能を備えた装置であれば、上述した算出用パラメータ入力手段10および指標値算出手段20だけを備えていれば足りる。本発明に係る算出装置には、こうして算出された環境負荷指標値Vに対する検証を行うために、更に、算出履歴格納手段30、算出結果検証手段40、検証用情報抽出手段50が備わっている。
算出履歴格納手段30は、指標値算出手段20によって算出された環境負荷指標値Vと、当該環境負荷指標値Vの演算に用いられた算出用パラメータP1〜Pnとを、相互に対応づけて、個々の製品についての算出履歴Hとして格納する構成要素である。図1には、5種類の製品M(a),M(b),M(c),M(d),M(e)についての算出履歴H(a),H(b),H(c),H(d),H(e)が格納されている状態が表の形式で示されている。図示の例の場合、表の1行分の情報が、1つの製品についての算出履歴に相当する。
たとえば、1行目に示されている算出履歴H(a)は、製品M(a)についての環境負荷指標値V(a)を算出したときに格納された情報であり、算出された環境負荷指標値V(a)と、当該算出に用いられたn個の算出用パラメータP1(a)〜Pn(a)とを、相互に対応づけて格納した情報になっている。なお、図示の例の場合、n個の算出用パラメータのうち、第2番目のパラメータP2が抽出用パラメータに設定されており、第j番目のパラメータPjが参照用パラメータに設定されている。後述するように、抽出用パラメータP2は、検証用情報抽出手段50による抽出処理に利用されるパラメータであり、参照用パラメータPjは、算出結果検証手段40による検証処理において参照されるパラメータである。
検証用情報抽出手段50は、算出結果検証手段40が特定の環境負荷指標値Vについての検証を行う際に、算出履歴格納手段30に格納されている過去の算出履歴Hの中から、検証対象となる環境負荷指標値Vの検証処理に利用する算出履歴Hを検証用情報として抽出する構成要素である。
たとえば、新たに特定の製品M(i)について、n個の算出用パラメータP1(i)〜Pn(i)が入力され、指標値算出手段20によって環境負荷指標値V(i)が算出された場合、算出結果検証手段40によって、当該環境負荷指標値V(i)についての検証が行われることになる。この場合、検証用情報抽出手段50は、検証対象となる環境負荷指標値V(i)の検証処理に利用する算出履歴として、算出履歴格納手段30に格納されている過去の算出履歴Hの中から、たとえば、算出履歴H(b),H(c),H(e),H(g)を検証用情報として抽出する処理を行うことになる。
検証対象となる環境負荷指標値V(i)の検証処理を行うために、どの算出履歴を抽出するかは、指標値算出手段20から与えられる抽出用パラメータに基づいて決定される。抽出用パラメータは、n個の算出用パラメータP1〜Pnの中から、参照用パラメータとは別個に設定されるパラメータであり、検証用情報抽出手段50による抽出処理のふるい分け基準を定めるパラメータである。
たとえば、図示の例のように、n個の算出用パラメータのうち、第2番目のパラメータP2が抽出用パラメータに設定されていた場合、指標値算出手段20から検証用情報抽出手段50に対して、検証対象となる環境負荷指標値V(i)の算出に利用されたn個の算出用パラメータP1(i)〜Pn(i)の中から、抽出用パラメータP2(i)が与えられる。そこで、検証用情報抽出手段50は、n個の算出用パラメータP1〜Pnの中からパラメータP2を抽出用パラメータとして選出し、算出履歴格納手段30に格納されている算出履歴Hの中から、検証対象となる環境負荷指標値V(i)の算出に利用された抽出用パラメータP2(i)と同一もしくは近似する値をもった抽出用パラメータP2を有する算出履歴を検証用情報として抽出する。
具体的には、たとえば、算出履歴格納手段30に格納されているデータのうち、抽出用パラメータP2(b),P2(c),P2(e),P2(g)が、抽出用パラメータP2(i)と同一もしくは近似する値をもっていた場合、算出履歴H(b),H(c),H(e),H(g)が検証用情報として抽出されることになる。
算出結果検証手段40は、検証対象となる環境負荷指標値を、検証用情報抽出手段50によって抽出された検証用情報に基づいて検証し、その結果を判定結果Jとして出力する構成要素である。判定結果Jは、合格判定か、失格判定か、のいずれかを示す情報であり、検証の結果、検証対象となる環境負荷指標値が適正だと判断された場合には、合格判定を示す判定結果Jが出力され、不適正だと判断された場合には、失格判定を示す判定結果Jが出力される。
上述した具体例の場合、検証対象となる環境負荷指標値V(i)の検証処理は、検証用情報として抽出された算出履歴H(b),H(c),H(e),H(g)を利用して行われる。ここで、抽出された算出履歴H(b),H(c),H(e),H(g)は、いずれも検証対象となる製品M(i)と同一もしくは近似する抽出用パラメータP2を有する製品M(b),M(c),M(e),M(g)についての算出履歴である。
したがって、抽出用パラメータP2として適切なパラメータを選出しておけば、検証対象となる環境負荷指標値V(i)の値と、抽出された算出履歴H(b),H(c),H(e),H(g)に含まれている環境負荷指標値V(b),V(c),V(e),V(g)の値との間には、一定の相関関係が存在するものと推定できる。算出結果検証手段40は、このような推定の下に、参照用パラメータを参照しながら、検証対象となる環境負荷指標値V(i)の値が、上記相関関係の範囲内にあるか否かを調べることにより、その正当性の検証を行うことになる。検証処理の具体的な手順については§3以降で詳述する。
こうして、合格判定がなされた場合、検証対象となる環境負荷指標値V(i)と、その算出に利用されたn個の算出用パラメータP1(i)〜Pn(i)は、新たな算出履歴H(i)として、算出履歴格納手段30に格納されることになり、その後の検証処理の材料として利用される。一方、失格判定がなされた場合は、算出履歴H(i)の格納は行われない。
なお、図1に示す環境負荷指標値の検証装置は、上述したように、製品ごとの環境負荷指標値を算出する算出機能と、算出された指標値が適正であるか否かを検証する検証機能と、を兼ね備えた装置であるが、検証機能のみを有する環境負荷指標値の検証装置を構成する場合には、図1に示す各構成要素のうち、算出用パラメータ入力手段10と指標値算出手段20とを省略することができる。すなわち、図1に示す算出履歴格納手段30、検証用情報抽出手段50および算出結果検証手段40により、環境負荷指標値の検証装置を構成することが可能である。この場合、当該検証装置に対して、何らかの方法で得られた新たな環境負荷指標値Vと、その算出に利用された算出用パラメータとを与えることにより、判定結果Jを得ることができる。
<<< §2. 環境負荷指標値Vの実体 >>>
ここでは、指標値算出手段20によって算出される環境負荷指標値Vの実体について、もう少し詳しい説明を行うことにする。本願にいう環境負荷指標値Vとは、個々の製品について、環境に与える負荷を何らかの指標値の形式で算出した値であり、当該製品が環境に与えるマイナス要因の程度を示す指標ということができる。
図2は、一般的な環境負荷指標値の具体例を示す図である。図示されている3つの例は、いずれも世界的な規模で提唱されている指標値であり、具体的な製品について、具体的な算出式が提案されている。たとえば、CFP(Carbon Footprint of Products)は、1つの製品について、生産から廃棄に至るまでに放出される温室効果ガス排出量の総和を示す指標値であり、我が国でも、「カーボンフットプリント」という指標値として定義されている。
図3は、「カーボンフットプリント」の算出プロセスを示す流れ図である。図示のとおり、「カーボンフットプリント」の値は、原材料・部品の調達段階(ステップS1)における温室効果ガス排出量(たとえば、原材料の製造や精製段階での温室効果ガス排出量)と、製造段階(ステップS2)における温室効果ガス排出量(容器や包装等の製造時の温室効果ガス排出量も含む)と、流通段階(ステップS3)における温室効果ガス排出量(冷蔵輸送等を利用した場合は、冷蔵のために要した温室効果ガス排出量も含む)と、消費・使用・維持管理段階(ステップS4)における温室効果ガス排出量(冷蔵保存を利用した場合は、冷蔵のために要した温室効果ガス排出量も含む)と、廃棄・リサイクル段階(ステップS5)における温室効果ガス排出量(容器や包装等の廃棄時の温室効果ガス排出量も含む)と、の総和として定義される。
図4は、「カーボンフットプリント」の表示マークを示す図である。現在、経済産業省が主導したプロジェクトにより、認可を受けた製品については、図示のような表示マークを公式に使用することが認められている。図示の「123g」なる数値は、当該固有の製品について算出された「カーボンフットプリント」(環境負荷指標値)を示しており、図3の流れ図のステップS1〜S5に至る段階を経ることにより、当該製品が排出するであろうと予想される温室効果ガスの総量が123gであることを示している。
このような表示マークにより、一般消費者は、当該製品が環境に与えるマイナス要因の程度を直接的に把握することができるようになる。したがって、あらゆる製品にこのような表示マークを添付するようにすれば、一般消費者には、より数値の小さな製品を購入する傾向が現れるであろうし、企業には、より数値の小さな製品を提供しようとする傾向が現れるであろう。このようにして、世界的な規模で温室効果ガスの排出量を低減させることが、「カーボンフットプリント」を導入する究極の目論見である。
同様の目論見の下に、「カーボンフットプリント」の他にも、様々な環境負荷指標値が提案されている。たとえば、図2に示されているWFP(Water Footprint of Products)は、1つの製品について、生産から廃棄に至るまでに使用される水の量の総和を示す指標値であり、LCA(Life Cycle Assessment)は、1つの製品について、生産から廃棄に至るまでに放出される多項目の環境負荷物質排出量の総和を示す指標値である。この他にも、いくつかの環境負荷指標値が提唱されており、本発明に係る環境負荷指標値の算出装置は、これらいずれの環境負荷指標値の算出および検証にも有効である。
したがって、図1に示す環境負荷指標値の算出装置において、環境負荷指標値としてCFP(Carbon Footprint of Products)を用いる場合には、算出用パラメータ入力手段10は、CFPの値を算出するために必要な算出用パラメータを入力し、指標値算出手段20は、これらのパラメータに基づいてCFPの値を算出する演算を行うことになる。同様に、WFP(Water Footprint of Products)を用いる場合には、算出用パラメータ入力手段10は、WFPの値を算出するために必要な算出用パラメータを入力し、指標値算出手段20は、これらのパラメータに基づいてWFPの値を算出する演算を行うことになり、LCA(Life Cycle Assessment)を用いる場合には、算出用パラメータ入力手段10は、LCAの値を算出するために必要な算出用パラメータを入力し、指標値算出手段20は、これらのパラメータに基づいてLCAの値を算出する演算を行うことになる。
以下の説明では、便宜上、環境負荷指標値として「カーボンフットプリント」を用いた例を代表的な実施例として述べることにする。
このように、世界的な規模で環境負荷指標値に配慮する機運を高めるためには、環境負荷指標値を算出するための統一ルールを定めることが重要である。そこで、あらゆる製品を網羅するような環境負荷指標値の算出ルールの策定が行われている。特に、「カーボンフットプリント」については、一般的な算出ルールとしてISO/TS14067が発行されており、我が国においては、一般社団法人産業環境管理協会によって、商品別の「カーボンフットプリント」の算出ルールが、PCR(Product Category Rule)として認定されている。
また、2013年には、印刷物に限定した国際的な算出ルールとしてISO16759が発行されており、我が国では、一般社団法人産業環境管理協会によって、図5に示すような「出版・商業印刷物についてのPCR(Product Category Rule)」が策定されている。このPCRは、「カーボンフットプリント」の算出基準を示すものであり、図示のとおり、製品/用紙/PS版/印刷機/封筒/流通という各分類ごとに、所定の算出用パラメータが定められている。
具体的には、分類「製品」については、製品部数(印刷物の製品としての発行部数)、頁サイズ(印刷物の1頁のサイズ:A4判,B5判,新書判などのサイズ)、頁数(1冊の書籍や雑誌を構成する頁数)、色数(1色刷,2色刷,4色刷など)、綴じ方(糊綴じ,ステープラー綴じなど)という算出用パラメータが定められている。
また、分類「用紙」については、用紙寸法(裁断前の用紙の縦横寸法)、用紙単位重量(用紙の1000枚あたり、1平方メートルあたりに換算した重量:単位[kg/平方メートル])、本紙枚数(実製品の作成に必要な用紙の枚数)、印刷予備枚数(試し刷りなどに必要な用紙の枚数)、製本予備枚数(製本時の試し綴じなどに必要な用紙の枚数)という算出用パラメータが定められている。
さらに、分類「PS版」(Presensitized Plate)については、版サイズ(刷版の縦横サイズ)、厚さ(刷版の厚さ寸法)、枚数(印刷に必要な刷版の枚数)、メーカー(原版の供給メーカー)という算出用パラメータが定められている。
そして、分類「印刷機」については、「枚葉オフセットまたは輪転オフセット」(オフセット印刷の方式がいずれかを示す)、定格電力(用いる印刷機の定格電力)、最大印刷速度(用いる印刷機の最大印刷速度)という算出用パラメータが定められており、分類「封筒」については、種類(印刷物を包む封筒の種類:紙封筒,ポリ封筒など)、枚数(用いる封筒の枚数)という算出用パラメータが定められており、分類「流通」については、流通パターン(店舗販売,通信販売など)という算出用パラメータが定められている。
したがって、本発明に係る環境負荷指標値の算出装置を、印刷物に関する環境負荷指標値の算出および検証を行うための装置として利用する場合、図1に示す算出用パラメータ入力手段10は、n個の算出用パラメータP1〜Pnとして、図5に示す各算出用パラメータを入力することになる。同様に、図1に示す指標値算出手段20は、これらの算出用パラメータに基づき、所定の算出式V=f(P1,P2,... ,Pn)を用いて、印刷物に関する環境負荷指標値Vを算出する演算を行うことになる。具体的な算出式についての説明は、ここでは省略するが、必要なら、前掲のISO16759やPCR(Product Category Rule)を参照されたい。
なお、図1に示す例の場合、全n個の算出用パラメータP1〜Pnのすべてを、算出履歴Hとして算出履歴格納手段30に格納する例が示されているが、算出履歴Hは、算出結果検証手段40における検証処理に利用する用途のために格納されているので、当該用途に不要のパラメータについては、算出履歴Hとしての格納を省略してもかまわない。
すなわち、算出履歴格納手段30には、指標値算出手段20によって算出された環境負荷指標値Vと、当該環境負荷指標値Vの演算に用いられた算出用パラメータP1〜Pnの全部とを、相互に対応づけて、個々の製品についての算出履歴Hとして格納する必要はなく、指標値算出手段20によって算出された環境負荷指標値Vと、当該環境負荷指標値Vの演算に用いられた算出用パラメータP1〜Pnのうちの検証処理に利用する用途のために必要な一部とを、相互に対応づけて、個々の製品についての算出履歴Hとして格納すれば足りる。
具体的には、算出履歴格納手段30には、指標値算出手段20によって算出された環境負荷指標値Vと、当該環境負荷指標値Vの演算に用いられた算出用パラメータP1〜Pnのうちの少なくとも参照用パラメータ(図1に示す例では、パラメータPj)および抽出用パラメータ(図1に示す例では、パラメータP2)とを、相互に対応づけて、個々の製品についての算出履歴Hとして格納すれば足りる。
<<< §3. 具体的な検証処理の手順 >>>
続いて、図1に示す算出結果検証手段40において実行される具体的な検証処理の手順を説明する。図示のとおり、算出結果検証手段40は、指標値算出手段20によって新たに算出された環境負荷指標値Vを検証対象として合否判定を行う合否判定部41と、この合否判定に用いる許容領域を設定する許容領域設定部42と、この許容領域設定の材料となる各履歴座標点をプロットする算出履歴プロット部43とを有している。以下、図6の流れ図を参照しながら、図1に示す環境負荷指標値の算出装置の基本動作、特に、算出結果検証手段40における検証動作を説明する。
ここでは、説明の便宜上、既に製品M(a)〜M(h)についての環境負荷指標値V(a)〜V(h)が算出されており、算出履歴格納手段30内に、これらの各製品についての算出履歴H(a)〜H(h)が格納されている状態において、新たに、指標値算出手段20によって、製品M(i)についての環境負荷指標値V(i)の算出が行われ、当該指標値V(i)を検証対象として、算出結果検証手段40による検証が行われる場合を例にとった説明を行う。
なお、図6に示す流れ図における各ステップを示す符号S11〜S18の下に括弧書きした数字は、当該ステップの処理を実行する構成要素の符号を示している。たとえば、ステップS11の符号「S11」の下に付されている括弧書きの符号「10」は、ステップS11の処理が、図1に符号「10」で示されている構成要素、すなわち、算出用パラメータ入力手段10によって実行される処理であることを示している。
まず、ステップS11では、算出用パラメータ入力手段10により、製品M(i)についてのn個の算出用パラメータP1(i),P2(i),... ,Pj(i),... ,Pn(i)を入力する処理が実行され、続くステップS12では、指標値演算手段20により、所定の算出式V(i)=f(P1(i),P2(i),... ,Pj(i),... ,Pn(i))を用いて環境負荷指標値V(i)を算出する処理が実行される。
次のステップS13では、検証用情報抽出手段50により、算出履歴格納手段30に格納されている算出履歴H(a)〜H(h)の中から、検証対象となる環境負荷指標値V(i)の検証処理に利用する算出履歴を検証用情報として抽出する処理が実行される。
§1で述べたとおり、どの算出履歴を抽出するかは、指標値算出手段20から与えられる抽出用パラメータに基づいて決定される。たとえば、第2番目のパラメータP2が抽出用パラメータに設定されていた場合、指標値算出手段20から検証用情報抽出手段50に対して、製品M(i)についての抽出用パラメータP2(i)が与えられるので、検証用情報抽出手段50は、算出履歴格納手段30に格納されている算出履歴H(a)〜H(h)の中から、抽出用パラメータP2(i)と同一もしくは近似する値をもった抽出用パラメータP2を有する算出履歴を検証用情報として抽出する。たとえば、抽出用パラメータP2(b),P2(c),P2(e),P2(g)が、抽出用パラメータP2(i)と同一もしくは近似する値をもっていた場合、算出履歴H(b),H(c),H(e),H(g)が検証用情報として抽出されることになる。
そして、ステップS14〜S16では、算出結果検証手段40により、検証対象となる環境負荷指標値V(i)を、検証用情報抽出手段50によって抽出された検証用情報(ここに示す例の場合、4組の算出履歴H(b),H(c),H(e),H(g))に基づいて検証する処理が実行される。具体的な検証処理の内容については後述する。
ここで、合格判定がなされた場合は、ステップS17からステップS18へと進み、製品M(i)についての環境負荷指標値V(i)およびその算出に利用された算出用パラメータP1(i)〜Pn(i)が、算出履歴H(i)として算出履歴格納手段30に格納され、将来行われる別な製品についての検証処理用材料として利用される。
なお、前述したとおり、算出履歴格納手段30に算出履歴Hとして格納する算出用パラメータは、算出に用いたn個全部である必要はなく、検証処理に必要な一部を格納すれば十分である。具体的には、算出履歴格納手段30は、指標値算出手段20によって算出された環境負荷指標値V(i)と、当該環境負荷指標値V(i)の演算に用いられたn個の算出用パラメータP1(i)〜Pn(i)のうちの少なくとも参照用パラメータPj(i)および抽出用パラメータP2(i)とを、相互に対応づけて、製品M(i)についての算出履歴H(i)として格納すればよい。
一方、失格判定がなされた場合は、ステップS18の処理は実行されず、算出履歴H(i)が算出履歴格納手段30に格納されることはない。この場合、合否判定部41から失格判定を示す判定結果Jが出力されるので、ユーザは、製品M(i)について出力された環境負荷指標値V(i)が適正な値ではないことを認識できる。通常は、入力したn個の算出用パラメータP1(i)〜Pn(i)に誤りがあったと推定できるので、正しい算出用パラメータを再度入力して、再度の算出を試みることになる。もちろん、再度の算出結果に対する検証により合格判定がなされた場合には、ステップS17からステップS18へと進むことになり、算出履歴H(i)の格納が行われる。
続いて、ステップS14〜S16の処理を具体例を参照しながら説明する。まず、ステップS14では、算出履歴プロット部43による算出履歴のプロット処理が実行される。この処理は、n個の算出用パラメータの中から選出された所定の参照用パラメータPjを第1の座標軸にとり、環境負荷指標値Vを第2の座標軸にとった二次元座標系上に、検証用情報抽出手段50が抽出した検証用情報に含まれる個々の算出履歴Hを、当該算出履歴Hに含まれる参照用パラメータPjを第1の座標に対応づけ、当該算出履歴Hに含まれる環境負荷指標値Vを第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点Qとしてプロットする処理である。
図7は、このようなプロット処理を行った状態の二次元座標系を示すグラフである。このグラフは、横軸を参照用パラメータPjを示す第1の座標軸にとり、縦軸を環境負荷指標値Vを示す第2の座標軸にとった例であるが、もちろん、縦軸と横軸を入れ替えてもかまわない。環境負荷指標値Vは数値であるから、参照用パラメータPjとして、数値もしくは数値に対応づけられるパラメータを用いれば、点(Pj,V)を二次元座標上にプロットすることができる。
上例の場合、検証用情報抽出手段50によって、4組の算出履歴H(b),H(c),H(e),H(g)が検証用情報として抽出される。これら4組の算出履歴H(b),H(c),H(e),H(g)に含まれる参照用パラメータは、それぞれPj(b),Pj(c),Pj(e),Pj(g)であり、環境負荷指標値Vは、それぞれV(b),V(c),V(e),V(g)であるから、結局、これらの値を横座標および縦座標に対応させることにより、図示のとおり、4組の履歴座標点Q(b),Q(c),Q(e),Q(g)がプロットされることになる。たとえば、履歴座標点Q(e)は、横座標値Pj(e),縦座標値V(e)をもつ点であり、算出履歴H(e)に基づいてプロットされた点である。
続くステップS15では、許容領域設定部42による許容領域の設定処理が実行される。この処理は、上記二次元座標系上に、プロットされた全履歴座標点を包含する所定の許容領域Aを設定する処理である。この許容領域Aは、検証用情報抽出手段50によって抽出された算出履歴Hに対応してプロットされた履歴座標点の分布範囲を二次元的に示すものであり、過去の算出履歴Hの大まかな分布範囲を示す指標として利用することができる。
許容領域Aは、「プロットされた全履歴座標点を包含する」という条件を満たしていれば、任意の領域に設定することが可能であるが、できるだけ許容領域A内の履歴座標点密度が一様になるような設定を行うのが好ましい。別言すれば、許容領域A内に、履歴座標点の分布密度が極端に低い部分が生じないような設定を行うのが好ましい。図8は、図7に示す4組の履歴座標点Q(b),Q(c),Q(e),Q(g)に基づいて、許容領域Aを設定した一例を示すグラフである。この例では、4組の履歴座標点を包含する楕円状の領域として許容領域Aが設定されている。許容領域Aのより具体的な設定方法は、§5および§7において詳述する。
そして、ステップS16では、合否判定部41による合否判定の処理が実行される。この処理は、検証対象となる環境負荷指標値V(i)の算出に用いられた算出用パラメータP1(i)〜Pn(i)のうちの参照用パラメータPj(i)を第1の座標に対応づけ、検証対象となる環境負荷指標値V(i)を第2の座標に対応づけることにより、上記二次元座標系上に判定対象座標点をプロットし、プロットされた判定対象座標点が、許容領域A内にある場合には合格判定、許容領域A外にある場合には失格判定を行う処理である。
たとえば、図8に示す例の場合、プロットされた判定対象座標点が、許容領域A内の点Q(i),Q(i)′であった場合は合格判定がなされ、許容領域A外の点Q(i)''であった場合は失格判定がなされることになる。なお、許容領域Aの境界上は、許容領域Aの内側として取り扱ってもよいし、外側として取り扱ってもよい。
もちろん、このような判定方法を採った場合の結果は、n個のパラメータのうち、どのパラメータを抽出用パラメータとし、どのパラメータを参照用パラメータとするかによって変わってくる。
一般的には、抽出用パラメータとしては、当該パラメータが異なると、算出される環境負荷指標値Vの値が大きく変化するような性質を有するパラメータを選出するのが好ましい。そうすれば、検証用情報抽出手段50は、抽出用パラメータの値が同一もしくは近似する算出履歴Hを抽出するので、二次元座標系上にプロットされる各履歴座標点は、検証対象と同一もしくは近似する抽出用パラメータを有する点ということになるので、合否判定の比較対象として適した座標点ということになり、適切な許容領域Aの設定が可能になる。なお、複数の抽出用パラメータを設定し、相互の論理和もしくは論理積条件を満たす算出履歴Hを抽出するようにしてもかまわない。
一方、参照用パラメータとしては、複数の製品間で連続的なバラツキが生じる可能性のあるパラメータを選出するのが好ましい。そうすれば、二次元座標系上に各履歴座標点をプロットした場合、プロットされた点が二次元的な広がりを生じ、適切な許容領域Aの設定が可能になる。より好ましくは、環境負荷指標値Vとの間に正の相関関係もしくは負の相関関係が生じるようなパラメータを参照用パラメータとして選出するのが好ましい。そうすれば、許容領域Aとして、正の相関関係もしくは負の相関関係に応じた領域を設定することができ、より適切な合否判定を行うことが可能になる。
<<< §4. 印刷物に適用するための固有の工夫 >>>
本発明に係る環境負荷指標値の算出装置は、任意の製品についての環境負荷指標値を算出し、これを検証する装置に適用することが可能であるが、ここでは、その中でも、特に印刷物を製品として適用するための固有の工夫について述べる。
商業製品は、それぞれ固有の特徴を有しているが、その中でも、書籍や雑誌といった印刷物は、他のジャンルの製品に比べて、非常に顕著な独自の特徴を有している。印刷物については、「カーボンフットプリント」の算出に用いる算出用パラメータとして、図5に示すような「出版・商業印刷物についてのPCR(Product Category Rule)」が策定されている。
本願発明者は、この図5に列挙されている算出用パラメータと「カーボンフットプリント」の算出式とを詳細に検討した結果、印刷物についての「カーボンフットプリント」の値には、紙に関するファクターとインキに関するファクターが重要な影響を与えることになり、特に、図9に示す5つの算出用パラメータが重要であることが確認できた。以下に述べる検証方法は、この5つのパラメータ以外のパラメータを無視した取り扱いを行うものであるが、実用上、そのような取り扱いを行っても、十分な検証結果が得られる。
図9に示すとおり、頁サイズ(本願では、その値を「Psize」なる記号で示す)は、製品となる書籍や雑誌の1頁のサイズを示すパラメータであり、慣習上、縦横の寸法値を用いる代わりに、A4判,A5判,B4判,B5判,新書判などの称呼が用いられている。頁数(その値を「Ppage」なる記号で示す)は、文字どおり、1冊の書籍や雑誌を構成する頁の総数であり、整数値をとるパラメータである。色数(その値を「Pcolor」なる記号で示す)は、印刷工程で用いるインキの数を示すパラメータであり、1色刷(モノクロ印刷),2色刷(2色印刷),4色刷(一般的なカラー印刷)といった値をとるパラメータである。用紙単位重量(その値を「Pweight」なる記号で示す)は、用いる用紙の厚みに関連するパラメータであり、用紙1000枚分の単位面積あたりの重量値(単位:kg/平方メートル)を示すパラメータである。そして、製品部数(その値を「Pcopy」なる記号で示す)は、当該書籍や雑誌の発行予定(印刷予定)の部数であり、整数値をとるパラメータである。なお、改訂版等は、別製品として取り扱われるため、この製品部数は、同時に製造される印刷物についての発行部数ということになる。
この5つのパラメータのうち、頁サイズ、頁数、色数、用紙単位重量は、値が大きくなればなるほど、環境負荷指標値Vも大きくなる、という性質を有している。一方、製品部数に関しては、逆に、値が大きくなればなるほど、環境負荷指標値Vは小さくなる、という性質を有している。これは、環境負荷指標値Vが、あくまでも1製品(1冊の書籍や雑誌)についての環境負荷を示す指標値であるため、製品部数が多くなればなるほど、版の製造で生じた環境負荷(図5の分類「PS版」に相当するパラメータによって算出された負荷)の1製品あたりの按分値が小さくなるためである。
また、この5つのパラメータのうち、頁数,用紙単位重量,製品部数は、連続的な数値範囲をとることができるパラメータであり、たとえば、93頁,120kg/平方メートル,12345部のような任意の数値を定義することが可能である。もちろん、実用上の観点からは、頁数については4や8の倍数を設定するのが一般的であり、用紙単位重量や製品部数には端数のない数値を設定するのが一般的であるが、パラメータ値としては、連続した数値範囲内の任意の値を設定することが可能である。
これに対して、頁サイズに関しては、出版界の規格により、A4判,B5判,新書判などの規格サイズを用いるのが普通であり、規格外サイズの製品は非常に稀である。また、色数に関しても、4色以外の特色インキを用いた製品も存在するが、ほとんどの製品が、1色刷,2色刷,4色刷のいずれかである。したがって、頁サイズおよび色数というパラメータの値は、とびとびの離散値をとるのが一般的である。
更に、頁数というパラメータは、印刷物に固有の特徴をもった特殊なパラメータということができる。これは、他のパラメータの値がすべて同一であっても、頁数というパラメータが異なると、環境負荷指標値がほぼ比例するように変動するためである。たとえば、同じB5判2色刷の同じ紙質の書籍であっても、20頁の書籍と200頁の書籍とでは、環境負荷指標値Vに大きな違いが生じることになる。このような特殊なパラメータは、たとえば、リンゴやバナナといった農業製品や、カメラや自動車といった工業製品には見当たらない。
そこで、本願発明者は、印刷物に関しては、まず、上記5つのパラメータのうち、頁数を換算用パラメータとして設定し、検証を行う際に、所定の単位頁あたりの環境負荷指標値Vに相当する単位指標値Uを算出し、この単位指標値Uを用いて、過去の算出履歴と比較を行うことに着眼した。「所定の単位頁」としては「1頁」を設定してもよいし、用紙の裏表に印刷が行われる点に着目して「2頁」を設定してもよい。いずれにしても、すべての製品について、当該製品自体の環境負荷指標値Vの代わりに、所定の単位頁あたりに換算した単位指標値Uを用いた比較が行われるため、算出された環境負荷指標値Vが適正か否かを検証する上では好都合である。たとえば、20頁の書籍と200頁の書籍とでは、環境負荷指標値Vは大きく食い違うが、単位指標値Uには大きな違いは生じないと考えられる。
また、本願発明者は、印刷物に関しては、上記5つのパラメータのうち、頁サイズおよび色数が、抽出用パラメータとして最適であると考えている。§3で述べたとおり、抽出用パラメータとしては、当該パラメータが異なると、算出される環境負荷指標値Vの値が大きく変化するような性質を有するパラメータを選出するのが好ましい。頁サイズおよび色数は、上述のとおり、とびとびの離散値をとるのが一般的であり、これらのパラメータ値が異なると、算出される環境負荷指標値Vの値は大きく変化する。たとえば、A4判の書籍とB5判の書籍とは、単位頁あたりで比較するための単位指標値Uを用いたとしても、両者間に大きな違いが生じる。同様に、1色刷の雑誌(モノクロ雑誌)と4色刷の雑誌(フルカラー雑誌)とは、単位頁あたりで比較するための単位指標値Uを用いたとしても、両者間に大きな違いが生じる。
そこで、以下に述べる実施形態では、頁サイズと色数の双方を、抽出用パラメータとして設定し、検証用情報抽出手段50が、算出履歴格納手段30に格納されている算出履歴Hの中から、検証対象となる環境負荷指標値Vの算出に利用された頁サイズおよび色数と同一の頁サイズおよび色数を有する過去の算出履歴Hを検証用情報として抽出するようにしている。要するに、「頁サイズが一致する」という第1の条件と「色数が一致する」という第2の条件との論理積条件を満たす算出履歴Hが抽出されることになる。もちろん、上記2条件の論理和条件を満たす算出履歴Hを抽出することも可能であるし、頁サイズと色数のどちらか一方のみを抽出用パラメータとして設定することも可能である。
なお、一般論としては、§1で述べたように、検証用情報抽出手段50は、抽出用パラメータの値が同一もしくは近似する算出履歴Hを抽出すればよいが、頁サイズと色数は、規格上定められたとびとびの離散値をとるパラメータであるため、値が同一のもののみを抽出対象とし、値が近似するものは抽出対象にはしていない。したがって、たとえば、B5判2色刷の書籍について算出された環境負荷指標値Vの検証を行う際には、同じくB5判2色刷の書籍についての算出履歴Hのみが検証用情報として抽出され、同一の単位頁あたりの単位指標値Uを比較することによって検証が行われることになる。
一方、本願発明者は、印刷物に関しては、上記5つのパラメータのうち、用紙単位重量もしくは製品部数が、参照用パラメータとして最適であると考えている。§3で述べたとおり、参照用パラメータとしては、数値もしくは数値に対応づけられるパラメータを用いる必要があり、複数の製品間で連続的なバラツキが生じる可能性のあるパラメータを選出するのが好ましい。これは、算出履歴プロット部43が二次元座標系上に各履歴座標点をプロットした場合に、プロットされた点が二次元的な広がりを生じるようにし、適切な許容領域Aの設定を可能にするためである。用紙単位重量や製品部数は、このような条件を満たす参照用パラメータとして最適なパラメータである。
より具体的には、用紙単位重量は、環境負荷指標値Vとの間に正の相関関係をもつパラメータであり、値が大きくなるほど(すなわち、用紙が厚くなるほど)、環境負荷指標値Vが大きくなるのが一般的である。これに対して、製品部数は、環境負荷指標値Vとの間に負の相関関係をもつパラメータであり、値が大きくなるほど(すなわち、発行部数が多くなるほど)、環境負荷指標値Vが小さくなるのが一般的である。これは、前述したとおり、発行部数が多くなれば、版の製造で生じた環境負荷の1製品あたりの按分値が小さくなるためである。
<<< §5. 印刷物に適用するための第1の実施形態 >>>
ここでは、§4で述べた印刷物に適用するための固有の工夫を踏まえて、印刷物に適用するための第1の実施形態を説明する。図10は、印刷物に関する算出用パラメータについて、換算用パラメータ、抽出用パラメータ、参照用パラメータを定めた第1の設定例を示す図である。図10(a) に示すとおり、この例では、頁数Ppageを換算用パラメータに設定し、頁サイズPsizeおよび色数Pcolorの双方を抽出用パラメータに設定し、用紙単位重量Pweightを参照用パラメータに設定している。この§5で述べる第1の実施形態は、図10(a) に示す設定に基づいて、図1に示す環境負荷指標値の算出装置を、印刷物に関する環境負荷指標値の算出および検証に特化した装置として利用するための実施例を示すものである。
具体的には、印刷物M(i)について、図10(b) に示す5つのパラメータを含む合計n個のパラメータによって、環境負荷指標値V(i)の算出が行われた場合に、当該指標値V(i)の検証を行う動作を考えてみる。環境負荷指標値V(i)の算出には、合計n個のパラメータが用いられるが、その検証には、図10(a) に示す4つのパラメータのみが利用されることになる。
したがって、ここで述べる第1の実施形態の場合、図1に示す装置において、算出用パラメータ入力手段10は、特定の製品を構成する印刷物M(i)について、少なくとも、頁サイズPsizeと、頁数Ppageと、色数Pcolorと、用紙単位重量Pweightと、製品部数Pcopyとを算出用パラメータとして入力することになり、指標値算出手段20は、印刷物M(i)に関する環境負荷指標値を算出するための算出式に基づいた演算を行うことにより環境負荷指標値V(i)を算出することになる。
そして、算出履歴格納手段30は、当該環境負荷指標値V(i)の検証処理の結果、合格判定を示す判定結果Jが出力された場合に、指標値算出手段20によって算出された環境負荷指標値V(i)と、当該環境負荷指標値V(i)の演算に用いられた算出用パラメータのうちの少なくとも頁サイズPsizeと、頁数Ppageと、色数Pcolorと、用紙単位重量Pweightとを、相互に対応づけて、当該製品M(i)についての算出履歴H(i)として格納する。この算出履歴H(i)は、その後に算出された別な製品についての環境負荷指標値Vの検証材料として利用されることになる。なお、この第1の実施形態の場合、製品部数Pcopyは、検証には利用されないため、算出履歴H(i)として格納する必要はない。
続いて、検証用情報抽出手段50により、算出履歴格納手段30に格納されている算出履歴の中から、検証対象となる環境負荷指標値V(i)の検証処理に利用する算出履歴を検証用情報として抽出する処理が実行される。ここでは、印刷物M(i)についての図9に示す5つのパラメータの値が、図10(b) に示すような具体的な値をとる場合を例にとって、以下の説明を行うことにする。すなわち、この例の場合、頁サイズPsize=A5判、頁数Ppage=240頁、色数Pcolor=2色刷、用紙単位重量Pweight=120kg/平方メートル、製品部数Pcopy=36000部、という各パラメータ値が設定されている。
ここで、抽出用パラメータは、頁サイズPsizeおよび色数Pcolorであるから、検証用情報抽出手段50は、算出履歴格納手段30に格納されている算出履歴の中から、頁サイズPsize=A5判、かつ、色数Pcolor=2色刷という同一のパラメータ値をもつ算出履歴を検証用情報として抽出することになる。別言すれば、環境負荷指標値V(i)の検証は、頁サイズと色数が共に同じ過去の算出履歴を用いて行われることになる。
算出結果検証手段40による具体的な検証処理は、次のような手順によって行われる。まず、算出履歴プロット部43が、第1の座標軸(この例では横軸)に、参照用パラメータPjとして用紙単位重量Pweightをとり、第2の座標軸(この例では縦軸)に、単位指標値Uをとった二次元座標系を定義し、検証用情報抽出手段50が抽出した検証用情報に含まれる個々の算出履歴Hを、当該算出履歴Hに含まれる用紙単位重量Pweightを第1の座標に対応づけ、単位指標値Uを第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点Qとしてプロットする算出履歴のプロット処理(図6のステップS14)を実行する。
図11は、このようにして二次元座標系上にプロットされた各履歴座標点を示すグラフであり、説明の便宜上、検証用情報抽出手段50により、8組の算出履歴Hが抽出されたものとして、8個の履歴座標点Qがプロットされた状態が示されている。横軸の参照用パラメータPjは、実際には、用紙単位重量Pweightであるから、抽出された各算出履歴Hに含まれている用紙単位重量Pweightの値をそのまま用いて、履歴座標点Qの横方向の座標位置を決定すればよい。
一方、縦軸の単位指標値Uは、§4で述べたとおり、所定の単位頁あたりの環境負荷指標値Vであるから、抽出された各算出履歴Hに含まれている環境負荷指標値Vを換算用パラメータである頁数Ppageを用いて補正した補正値として単位指標値Uを求め、求めた単位指標値Uを用いて、履歴座標点Qの縦方向の座標位置を決定することになる。たとえば、単位頁を「1頁」に設定した場合は、U=V/Ppageなる換算式により単位指標値Uが求まり、単位頁を「2頁」に設定した場合は、U=2×V/Ppageなる換算式により単位指標値Uが求まる。
要するに、算出履歴プロット部43は、第1の座標軸に、用紙単位重量Pweightを参照用パラメータPjとしてとり、検証用情報抽出手段50が抽出した検証用情報に含まれる個々の算出履歴を、当該算出履歴に含まれる用紙単位重量Pweightを第1の座標に対応づけ、環境負荷指標値Vの補正値として得られた単位指標値Uを第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点Qとしてプロットする処理を行うことになる。なお、横軸の用紙単位重量Pweightも、縦軸の単位指標値Uも、いずれも正の値のみをとるので、ここで述べる二次元座標系の各座標軸は、いずれも正の領域のみを有している。
このように、参照用パラメータPjとして用紙単位重量Pweightを採用した場合、図12のグラフに示すように、参照用パラメータPjと単位指標値Uとの間には、正の相関C(+)が認められることになる。これは、用紙単位重量Pweightが、用いられているパルプ原料等の量に対応するパラメータであり、Pweightが大きくなればなるほど、用いられているパルプ原料等の量が多くなり、当該パルプ原料等を製造するプロセスでの温室効果ガス排出量も多くなるためである。
もちろん、実際には、印刷物に関しては、図5の表を見ればわかるとおり、PS版の作成プロセス、印刷プロセス、流通プロセスにおいても温室効果ガスが排出されるため、図12に直線C(+)で示すような完全な線形特性は得られない。特に、図12では、正の相関が、原点Oを通る直線C(+)によって示されているが、実際には、用紙単位重量Pweightが0になったとしても、用紙以外のパラメータに基づく温室効果ガス排出量が存在するため、単位指標値Uは0にはならない。ただ、一般的な書籍や雑誌の場合、用紙単位重量Pweightに基づいて算出される温室効果ガス排出量が支配的な役割を果たすことは事実である。
こうして、二次元座標系上に、各履歴座標点Qがプロットされたら、続いて、許容領域設定部42によって、この二次元座標系上に許容領域を設定する処理(図6のステップS15)が実行される。前述したとおり、この許容領域設定処理は、プロットされた全履歴座標点Qを包含する所定の許容領域Aを設定する処理であり、許容領域Aとしては、「プロットされた全履歴座標点を包含する」という条件を満たしていれば、どのような領域を設定してもかまわない。ただ、実用上は、できるだけ許容領域A内の履歴座標点密度が一様になるような設定を行うのが好ましく、許容領域A内に、履歴座標点Qの分布密度が極端に低い部分が生じないような設定を行うのが好ましい。
そこで、ここで述べる第1の実施形態では、図12に示されているような正の相関C(+)を考慮して、この正の相関C(+)に沿った範囲に許容領域Aが設定されるような方法を採用している。以下、許容領域設定部42によって実行される具体的な設定方法を説明する。
まず、許容領域設定部42は、図13に示すように、二次元座標系の原点Oを回転中心点として第1の座標軸(横軸)を各履歴座標点に接近する方向に回転させてゆく。同様に、原点Oを回転中心点として第2の座標軸(縦軸)を各履歴座標点に接近する方向に回転させてゆく。図示の例の場合、移動中の第1の座標軸N1は、反時計まわりに回転角θ1が徐々に増加するように回転してゆき、移動中の第2の座標軸N2は、時計まわりに回転角θ2が徐々に増加するように回転してゆく。そして、移動中の第1の座標軸N1が最初に接触する履歴座標点を第1の臨界座標点Q1と定め、移動中の第2の座標軸N2が最初に接触する履歴座標点を第2の臨界座標点Q2と定めることにする。
図14は、移動中の第1の座標軸N1および移動中の第2の座標軸N2が、それぞれ第1の臨界座標点Q1および第2の臨界座標点Q2に接触した状態を示している。ここで、原点Oと第1の臨界座標点Q1とを結ぶ直線を第1の基準ラインL1とし、原点Oと第2の臨界座標点Q2とを結ぶ直線を第2の基準ラインL2とする。別言すれば、第1の基準ラインL1は、第1の臨界座標点Q1に接触した瞬間の第1の座標軸N1に相当し、第2の基準ラインL2は、第2の臨界座標点Q2に接触した瞬間の第2の座標軸N2に相当する。
結局、算出履歴プロット部43によってプロットされた全履歴座標点は、第1の基準ラインL1と第2の基準ラインL2とによって挟まれた領域内に分布していることになる。ここで述べる第1の実施形態に係る許容領域設定部42は、こうして求められた第1の基準ラインL1および第2の基準ラインL2に基づいて許容領域Aを設定する処理を行う。以下、図14に示す基準ラインL1,L2に基づく許容領域の設定方法として、3通りの具体的な方法を例示しておく。
(1) 基準ラインL1,L2に基づく第1の許容領域設定方法
第1の方法は、第1の基準ラインL1と第2の基準ラインL2とによって挟まれた領域をそのまま許容領域に設定する、という最も単純な方法である。図15は、このような方法で設定された許容領域A1を示すグラフである。図にハッチングを施して示す部分が許容領域A1であり、第1の基準ラインL1および第2の基準ラインL2は、許容領域A1の境界線としての役割を果たす。
この許容領域A1は、境界線上の点を領域内の点として扱えば、「プロットされた全履歴座標点を包含する」という条件を満たす領域になり、過去の算出履歴の大まかな分布を示す役割を果たすことができる。ただ、第1の基準ラインL1および第2の基準ラインL2が許容領域A1の境界線になるので、合否判定における境界条件は厳しくなる。このため、適正な環境負荷指標値Vが算出されているにもかかわらず、プロットされた判定対象座標点が許容領域A1外になり、失格判定がなされるケースも想定される。
したがって、この第1の方法による一次検証によって失格判定がなされた場合は、入力した各算出用パラメータの値に誤りがないかをチェックする作業を行い、誤りがないと認められる場合には、後述する第2の方法もしくは第3の方法による二次検証を行い、この二次検証により合格判定が得られた場合には、異常なしとする取り扱いを行うようにすればよい。このように、二次検証を行う前に、より厳しい一次検証を行うようにし、この一次検証において失格判定がなされた場合に、算出用パラメータのチェック作業を課するようにすれば、誤りの検証をより高い精度で行うことが可能になる。
(2) 基準ラインL1,L2に基づく第2の許容領域設定方法
第2の方法は、第1の基準ラインL1および第2の基準ラインL2を若干外側に移動させて境界ラインを定めることにより、境界条件に余裕をもたせる方法である。図16は、このような方法で第1の境界ラインL1′および第2の境界ラインL2′を定めた実施例を示すグラフである。
図16に示す臨界座標点Q1,Q2および基準ラインL1,L2は、図14に示すものと全く同じである。この第2の方法を採る場合、許容領域設定部42は、原点Oを回転中心点として第1の基準ラインL1を第1の座標軸(この例では横軸)に接近する方向(この例では時計まわりの方向)に所定の余裕角度だけ回転させることによって得られる第1の境界ラインL1′を定め、原点Oを回転中心点として第2の基準ラインL2を第2の座標軸(この例では縦軸)に接近する方向(この例では反時計まわりの方向)に所定の余裕角度だけ回転させることによって得られる第2の境界ラインL2′を定めている。
より具体的には、「所定の余裕角度」を決定するために、次のような作業を行っている。まず、第1の基準ラインL1に関しては、第1の臨界座標点Q1について、第2の座標軸上の座標値U1を求め、余裕距離d1を、d1=U1×α1なる演算式に基づいて求める。ここで、α1は、所定の余裕係数であり、たとえば、α1=0.1あるいはα1=0.05のように、予め所定の割合を定めておくようにする。そして、第1の臨界座標点Q1を第2の座標軸に平行な方向に、第1の座標軸に近づく方向に、余裕距離d1だけ移動させ修正座標点Q1′を求め、原点Oと修正座標点Q1′とを結ぶ直線を第1の境界ラインL1′とすればよい。そうすれば、第1の境界ラインL1′は、原点Oを回転中心点として第1の基準ラインL1を第1の座標軸に接近する方向に所定の余裕角度だけ回転させた線になる。
同様に、第2の基準ラインL2に関しては、第2の臨界座標点Q2について、第2の座標軸上の座標値U2を求め、余裕距離d2を、d2=U2×α2なる演算式に基づいて求める。ここで、α2は、α1と同様に所定の余裕係数であり、たとえば、α2=0.1あるいはα2=0.05のように、予め所定の割合を定めておくようにする。そして、第2の臨界座標点Q2を第2の座標軸に平行な方向に、第1の座標軸から遠ざかる方向に、余裕距離d2だけ移動させ修正座標点Q2′を求め、原点Oと修正座標点Q2′とを結ぶ直線を第2の境界ラインL2′とすればよい。そうすれば、第2の境界ラインL2′は、原点Oを回転中心点として第2の基準ラインL2を第2の座標軸に接近する方向に所定の余裕角度だけ回転させた線になる。
こうして、図16に示すような第1の境界ラインL1′と第2の境界ラインL2′とが定まったら、これらによって挟まれた領域を許容領域に設定すればよい。図17は、このような方法で設定された許容領域A2を示すグラフである。図にハッチングを施して示す部分が許容領域A2であり、第1の境界ラインL1′および第2の境界ラインL2′は、文字通り、許容領域A2の境界線としての役割を果たす。
図17に示す許容領域A2では、図15に示す許容領域A1に比べて境界部分が若干広がり、境界条件が緩和されている。したがって、ある程度の余裕が見込まれており、判定対象座標点が許容領域A1の外側近傍にプロットされるような場合にも、許容領域A2の内側に位置していれば合格判定を行うことができる。
(3) 基準ラインL1,L2に基づく第3の許容領域設定方法
第3の方法も、上述した第2の方法と同様に、第1の基準ラインL1および第2の基準ラインL2を若干外側に移動させて境界ラインを定めることにより、境界条件に余裕をもたせる方法である。図18は、このような方法で第1の境界ラインL1''および第2の境界ラインL2''を定めた実施例を示すグラフである。
図18に示す臨界座標点Q1,Q2、基準ラインL1,L2、余裕距離d1,d2、修正座標点Q1′,Q2′は、図16に示すものと全く同じである。ただ、図16に示す境界ラインL1′,L2′が、基準ラインL1,L2を原点Oを回転中心点として回転させることによって得られるラインであるのに対して、図18に示す境界ラインL1'',L2''は、基準ラインL1,L2を外側に余裕距離d1,d2だけ平行移動して得られるラインになっている。
すなわち、図18に示す例の場合、第1の基準ラインL1を第1の座標軸に接近する方向に、第2の座標軸に沿って、所定の余裕距離d1だけ平行移動させることによって得られるラインとして、第1の境界ラインL1''が定められ、第2の基準ラインL2を第2の座標軸に接近する方向に、第2の座標軸に沿って、所定の余裕距離d2だけ平行移動させることによって得られるラインとして、第2の境界ラインL2''が定められる。
こうして、図18に示すような第1の境界ラインL1''と第2の境界ラインL2''とが定まったら、これらによって挟まれた領域を許容領域に設定すればよい。図19は、このような方法で設定された許容領域A3を示すグラフである。図にハッチングを施して示す部分が許容領域A3であり、第1の境界ラインL1''および第2の境界ラインL2''は、文字通り、許容領域A3の境界線としての役割を果たす。
この図19に示す許容領域A3でも、図15に示す許容領域A1に比べて境界部分が若干広がり、境界条件が緩和されている。したがって、ある程度の余裕が見込まれており、判定対象座標点が許容領域A1の外側近傍にプロットされるような場合にも、許容領域A3の内側に位置していれば合格判定を行うことができる。
以上、許容領域設定部42によって行われる許容領域設定処理の具体的な方法として、3通りの実施例を述べたが、もちろん、この他にも様々な方法で許容領域の設定を行うことが可能である。
たとえば、図18に示す方法では、基準ラインL1,L2を一定の余裕距離d1,d2だけ外側に平行移動させて境界ラインL1'',L2''を定めているが、基準ラインL1,L2は必ずしも平行移動させる必要はなく、回転を加えた移動を行うようにしてもかまわない。具体的には、参照用パラメータPjの値が大きくなるほど、余裕距離d1,d2の値も大きくなるように回転を加えた移動を行えば、基準ラインL1は時計まわりの回転とともに外側へ移動し、基準ラインL2は反時計まわりの回転とともに外側へ移動することになるので、図18に示す結果に比べて、より緩慢な傾斜をもった境界ラインL1''と、より急峻な傾斜をもった境界ラインL2''とが得られることになる。
また、許容領域は、必ずしも上述した基準ラインL1,L2を基準として設定する必要はない。たとえば、各履歴座標点Qに基づいて、図12に示すような正の相関C(+)を示す基準直線を求め、この基準直線C(+)に基づいて、図17に示すような境界ラインL1′,L2′を定めることも可能である。具体的には、まず、各履歴座標点Qに最小二乗法のような近似手法を適用して、図12に示すような原点Oを通る基準直線C(+)を決定し、当該基準直線を原点Oを中心に時計まわりおよび反時計まわりに所定角度だけ回転させれば、図17に示すような境界ラインL1′,L2′を定めることができる。回転角度は、たとえば、各履歴座標点Qの縦軸に関する分散に応じて決定すればよい。
こうして、許容領域の設定処理が完了したら、最後に、合否判定部41による合否判定処理が行われる。すなわち、印刷物M(i)について、算出された環境負荷指標値V(i)を頁数Ppageで補正して単位指標値U(i)を求め、用紙単位重量Pweightを第1の座標値、求めた単位指標値U(i)を第2の座標値として、上記二次元座標系上に判定対象座標点Q(i)をプロットし、プロットされた判定対象座標点Q(i)が、上述した許容領域内にある場合には合格判定、許容領域外にある場合には失格判定が行われる。
<<< §6. 換算指標値を用いる変形例 >>>
§3では、一般的な環境負荷指標値の検証を行うために、図7や図8に示すような二次元座標系を用いる例を述べた。この例では、第1の座標軸に参照用パラメータPjをとり、第2の座標軸に環境負荷指標値Vをとっている。一方、§5では、印刷物に適した環境負荷指標値の検証を行うために、図11〜図19に示すような二次元座標系を用いる例を述べた。この例では、第1の座標軸に参照用パラメータPjをとり、第2の座標軸に環境負荷指標値Vを頁数Ppageで補正することにより得られた単位指標値Uをとっている。既に述べたとおり、印刷物の場合、頁数のパラメータPpageを換算用パラメータとして用い、単位頁あたりの環境負荷指標値Vに相当する単位指標値Uを用いた検証を行うと便利である。
本願では、このように、頁数のパラメータPpageを換算用パラメータとして用いて補正を行った環境負荷指標値Vを、単位頁あたりの値という意味で単位指標値Uと呼んでいる。したがって、§5で述べた印刷物に適用するための第1の実施形態の場合、算出履歴プロット部43は、環境負荷指標値Vに対して、頁数Ppageに応じた係数を乗じる補正を行うことにより、所定の単位頁あたりの環境負荷指標値Vに相当する単位指標値Uを補正値として算出し、当該単位指標値Uを第2の座標軸にとった二次元座標系上に履歴座標点Qをプロットしている。また、合否判定部41も、同様に、検証対象となる環境負荷指標値V(i)に対して、頁数Ppageに応じた係数を乗じる補正を行うことにより、所定の単位頁あたりの環境負荷指標値V(i)に相当する単位指標値U(i)を補正値として算出し、当該単位指標値U(i)に基づいて判定対象座標点Q(i)をプロットしている。
しかしながら、換算用パラメータとして利用可能なパラメータは、頁数Ppageだけではなく、たとえば、頁サイズPsizeや色数Pcolorなどを換算用パラメータとして用いることもできる。そこで、ここでは、何らかのパラメータを換算用パラメータとして用い、環境負荷指標値Vに対して当該換算用パラメータを用いた補正を行うことにより得られる値を、換算指標値Wと呼ぶことにする。ここでは、このような換算指標値Wを用いた検証を行う変形例を述べておく。
単位指標値Uは、頁数Ppageを換算用パラメータとして用いた補正により得られる換算指標値Wということになるが、ここでは、頁数Ppage以外の一般的なパラメータ、具体的には、頁サイズPsizeや色数Pcolorなどを換算用パラメータとして用いた補正により得られる一般的な換算指標値Wを検証に用いる変形例を述べる。このように、一般的な換算指標値Wを検証に用いるメリットは、検証対象となる印刷物とは、頁サイズPsizeや色数Pcolorなどのパラメータ値が異なる印刷物についての過去の算出履歴を、検証材料として利用することができるようになる点である。
§5で説明した第1の実施形態では、検証用情報抽出手段50が、算出用パラメータの中から、図10に示すとおり、頁サイズPsizeもしくは色数Pcolorまたはその双方を抽出用パラメータと定め、算出履歴格納手段30に格納されている算出履歴の中から、検証対象となる環境負荷指標値V(i)の算出に利用された抽出用パラメータと同一の値をもった抽出用パラメータを有する算出履歴(以下、同属算出履歴と呼ぶ)を検証用情報として抽出する例を述べた。
たとえば、頁サイズPsizeおよび色数Pcolorの双方を抽出用パラメータに設定し、両者の論理積条件を満たす算出履歴を抽出するようにすれば、頁サイズPsizeおよび色数Pcolorの双方が同一の算出履歴のみが抽出されることになる。したがって、検証対象となる印刷物M(i)がB5判2色刷であった場合、検証用情報抽出手段50は、検証処理に利用する算出履歴として、B5判2色刷という同属算出履歴のみを抽出することになる。もちろん、このような方法で同属算出履歴のみを抽出すれば、頁数Ppageに応じた係数を乗じる補正のみにより得られた単位指標値Uを用いた比較が可能になる。
しかしながら、上例の場合、B5判2色刷という同属算出履歴だけでなく、たとえば、B5判1色刷という算出履歴やB5判4色刷という算出履歴、あるいは、B4判4色刷という算出履歴やB4判2色刷というように、検証対象となる環境負荷指標値V(i)の算出に利用された抽出用パラメータとは異なる値をもった抽出用パラメータを有する算出履歴(以下、異属算出履歴と呼ぶ)も併せて抽出すれば、検証時に比較対象として用いる算出履歴のサンプル数を増やすことができる。もっとも、異属算出履歴も含めた比較を行うには、環境負荷指標値Vに対して、頁数Ppageを換算用パラメータとして用いた補正だけでなく、抽出用パラメータを換算用パラメータとして用いた補正も必要になる。
たとえば、検証対象となる印刷物M(i)がB5判2色刷である場合に、B4判2色刷の異属算出履歴を比較対象として利用するには、頁サイズPsizeに応じた係数を乗じる補正を行うことにより、頁サイズが検証対象と同じB5判であったと仮定した場合に換算した換算指標値Wを補正値として算出し、当該換算指標値Wを第2の座標軸にとった二次元座標系上に履歴座標点Qをプロットすればよい。同様に、B5判4色刷の異属算出履歴を比較対象として利用するには、色数Pcolorに応じた係数を乗じる補正を行うことにより、色数が検証対象と同じ2色刷であったと仮定した場合に換算した換算指標値Wを補正値として算出し、当該換算指標値Wを第2の座標軸にとった二次元座標系上に履歴座標点Qをプロットすればよい。また、B4判4色刷の異属算出履歴を比較対象として利用するには、頁サイズPsizeに応じた係数と色数Pcolorに応じた係数を乗じる補正を行うことにより、頁サイズが検証対象と同じB5判であったと仮定し、色数が検証対象と同じ2色刷であったと仮定した場合に換算した換算指標値Wを補正値として算出し、当該換算指標値Wを第2の座標軸にとった二次元座標系上に履歴座標点Qをプロットすればよい。
図20は、図11に示すグラフの縦軸を、単位指標値Uから換算指標値Wに置き換えたグラフであり、第1の座標軸には参照用パラメータPj(この例では、用紙単位重量Pweight)がとられているが、第2の座標軸には、単位指標値Uではなく換算指標値Wがとられている。換算指標値Wを用いる変形例の場合、算出履歴プロット部43は、図20に示すような二次元座標系上に各算出履歴(同属算出履歴および異属算出履歴の双方)を履歴座標点としてプロットすることになり、合否判定部41も、同じ二次元座標系上に判定対象座標点をプロットすることになる。
要するに、§3で述べた基本的な実施形態の場合は、図7,図8に示すグラフのように、第2の座標軸に環境負荷指標値Vをとっているが、§5で述べた印刷物に適した実施形態の場合は、図11〜図19に示すグラフのように、環境負荷指標値Vに対して頁数Ppageに応じた所定の係数を乗じる補正により得られる補正値(単位指標値U)を第2の座標軸にとり、§6で述べた変形例の場合は、図20に示すグラフのように、環境負荷指標値Vに対して頁数Ppageに応じた所定の係数を乗じる補正に加えて、更に、頁サイズPsizeや色数Pcolorに応じた係数を乗じる補正を行うことにより得られる補正値(換算指標値W)を第2の座標軸にとることになる。
図21は、種々の換算指標値を求めるための補正演算を示す図である。図21(a) に示す式「単位指標値U=1/Ppage・V」は、環境負荷指標値Vに頁数Ppageに応じた係数1/Ppageを乗じる補正により、単位指標値Uを得るための演算式である。この演算式によって得られた単位指標値Uは、1頁あたりの環境負荷指標値Vに相当する単位指標値Uになる。たとえば、環境負荷指標値Vが100頁の書籍についてのものであったとすると、頁数Ppage=100であるから、単位指標値U=V/100として、1頁あたりの環境負荷指標値Vに相当する値が単位指標値Uとして算出される。
図21(b) に示す式「換算指標値W1=1/Ppage・1/K(Psize)・V」は、環境負荷指標値Vに、頁数Ppageに応じた係数1/Ppageと、頁サイズPsizeに応じた係数1/K(Psize)と、を乗じる補正により、換算指標値W1を得るための演算式である。この演算式によって得られた換算指標値W1は、頁サイズPsizeが所定の基準サイズであったと仮定した場合に換算した、1頁あたりの環境負荷指標値に相当する補正値ということになる。たとえば、A5判を基準サイズとして設定した場合、係数1/K(Psize)の値として、K(A5判)=1、K(A4判)=2、K(A3判)=4のような数値を予め定めておけばよい。
同様に、図21(c) に示す式「換算指標値W2=1/Ppage・1/K(Psize)・1/K(Pcolor)・V」は、環境負荷指標値Vに、頁数Ppageに応じた係数1/Ppageと、頁サイズPsizeに応じた係数1/K(Psize)と、色数Pcolorに応じた係数1/K(Pcolor)と、を乗じる補正により、換算指標値W2を得るための演算式である。この演算式によって得られた換算指標値W2は、頁サイズPsizeが所定の基準サイズであり、色数Pcolorが所定の基準色数であったと仮定した場合に換算した、1頁あたりの環境負荷指標値に相当する補正値ということになる。たとえば、A5判を基準サイズとして設定し、2色刷を基準色数として設定した場合、係数1/K(Psize)の値として、K(A5判)=1、K(A4判)=2、K(A3判)=4のような数値を予め定め、係数1/K(Pcolor)の値として、K(1色刷)=0.5、K(2色刷)=1、K(4色刷)=2のような数値を予め定めておけばよい。
もちろん、図21(a) に示す式は、単位指標値Uを算出する式としては、精度の低い概算式であり、図21(b) ,(c) に示す式も、換算指標値Wを算出する式としては、精度の低い概算式である。たとえば、100頁の書籍と200頁の書籍とを比較すると、用紙に関する温室効果ガス排出量は2倍の差があるかもしれないが、製本や流通プロセスにおいて排出される温室効果ガス排出量については、2倍もの差は生じないであろう。それにもかかわらず、図21(a) に示す式では、補正係数として、頁数の逆数1/Ppageを一律に用いていることになり、得られる単位指標値Uの精度が低下することは否めない。しかしながら、二次元座標系上に各履歴座標点Qをプロットする目的は、許容領域Aを設定することにあるので、実用上、図21(a) 〜(c) に示すような大まかな式を用いて単位指標値Uや換算指標値W1,W2を求めるようにしても大きな問題は生じない。
上記単位指標値Uや換算指標値W1,W2は、いずれも環境負荷指標値V(特定の製品について算出された値)に対して所定の係数を乗じる補正により得られる補正値ということになる。したがって、印刷物に適用する実施形態の場合、二次元座標系の第2の座標軸にとられる値は、図21(d) に一般式「T=ξ・V」で示すように、環境負荷指標値Vに対して所定の係数ξを乗じる補正により得られる補正値Tということになる。
このような観点では、図21(a) の式は、補正値Tとして単位指標値Uをとり、頁数Ppageに応じた係数1/Ppageを係数ξとしてとった式であり、図21(b) の式は、補正値Tとして換算指標値W1をとり、頁数Ppageに応じた係数1/Ppageと頁サイズPsizeに応じた係数1/K(Psize)との積を係数ξとしてとった式であり、図21(c) の式は、補正値Tとして換算指標値W2をとり、頁数Ppageに応じた係数1/Ppageと頁サイズPsizeに応じた係数1/K(Psize)と色数Pcolorに応じた係数1/K(Pcolor)との積を係数ξとしてとった式である。
前述したとおり、図21(b) ,(c) に示すような式を用いて換算指標値Wを求め、これを検証に利用する変形例のメリットは、検証対象となる印刷物とは、頁サイズPsizeや色数Pcolorなどのパラメータ値が異なる印刷物についての算出履歴、すなわち、異属算出履歴を検証材料として利用することができるようになる点である。このようなメリットを、具体例を挙げて説明しよう。
図22は、各補正値Tの具体的な算出式を示す図である。ここでは、具体的な例として、図22(a) に示すように、検証対象となる製品M(i)について、頁サイズPsize=A5判、色数Pcolor=2色刷であった場合を考えてみる。この場合、検証用情報抽出手段50が、頁サイズPsizeおよび色数Pcolorの双方を抽出用パラメータと定めて抽出処理を行い、頁サイズPsizeおよび色数Pcolorの双方が同一の同属算出履歴のみを抽出したとすると、抽出された同属算出履歴では、頁サイズPsize=A5判、色数Pcolor=2色刷ということになる。
図22(b) は、このような同属算出履歴として、製品M(b)の算出履歴H(b)が抽出されたときに、補正値T(b)を求めるために必要な補正演算を示している。すなわち、製品M(b)は、頁サイズおよび色数が製品M(i)と同一の製品であるので、頁数に応じた係数を乗じる補正を行うだけで足りる。したがって、図21(d) に示す式に基づいて補正値T(b)を求めるために用いる係数ξは、ξ=1/Ppageということになり、T(b)=1/Ppage・V(b)なる補正演算を行うことにより、補正値T(b)が得られる。
一方、図22(c) は、異属算出履歴として、製品M(c)の算出履歴H(c)が抽出されたときに、補正値T(c)を求めるために必要な補正演算を示している。図示の例の場合、製品M(c)は、頁サイズPsize=A4判、色数Pcolor=2色刷なので、色数は製品M(i)と同一の製品であるが、頁サイズが製品M(i)とは異なる製品ということになる。したがって、補正値T(c)を求めるために用いる係数ξは、ξ=1/Ppage・1/K(Psize)ということになり、T(c)=1/Ppage・1/K(Psize)・V(c)なる補正演算を行うことにより、補正値T(c)が得られる。ここで、係数K(Psize)は、A5判を基準サイズとして設定しておけば、K(Psize)=K(A4判)=(A4判の面積)/(A5判の面積)として求めることができる。
また、図22(d) は、異属算出履歴として、製品M(e)の算出履歴H(e)が抽出されたときに、補正値T(e)を求めるために必要な補正演算を示している。図示の例の場合、製品M(e)は、頁サイズPsize=A4判、色数Pcolor=4色刷なので、色数も頁サイズも、製品M(i)とは異なる製品ということになる。したがって、補正値T(e)を求めるために用いる係数ξは、ξ=1/Ppage・1/K(Psize)・1/K(Pcolor)ということになり、T(e)=1/Ppage・1/K(Psize)・1/K(Pcolor)・V(e)なる補正演算を行うことにより、補正値T(e)が得られる。ここで、係数K(Psize)は、上例と同様に、A5判を基準サイズとして設定しておけば、K(Psize)=K(A4判)=(A4判の面積)/(A5判の面積)として求めることができ、係数K(Pcolor)は、2色刷を基準色数として設定しておけば、K(Pcolor)=K(4色刷)=2色刷に対する4色刷の補正倍率(たとえば、2倍)として求めることができる。
このように、換算指標値Wを用いる変形例を採用すれば、検証用情報抽出手段50は、同属算出履歴を検証用情報として抽出することも可能であるし、異属算出履歴を検証用情報として抽出することも可能になる。したがって、検証材料として利用できる算出履歴の数を増やすことができ、より適切な合否判定を行うことができるようになる。ただ、一般的には、同属算出履歴を用いた検証の方が、異属算出履歴を用いた検証よりも、より精度の高い検証が可能になると考えられる。これは、頁数Ppageに応じた係数を乗じる補正の方が、頁サイズPsizeや色数Pcolorに応じた係数を乗じる補正よりも、補正精度が高いと考えられるためである。したがって、実用上は、同属算出履歴を用いた検証を主たる検証として実行し、必要に応じて、異属算出履歴を用いた検証を従たる検証として実行するのが好ましい。
具体的には、検証用情報抽出手段50が、全n個の算出用パラメータの中から、頁サイズPsizeもしくは色数Pcolorまたはその双方を抽出用パラメータと定め、算出履歴格納手段30に格納されている算出履歴Hの中から、まず、検証対象となる環境負荷指標値V(i)の算出に利用された抽出用パラメータと同一の値をもった抽出用パラメータを有する同属算出履歴を検証用情報として抽出するようにする。そして、更に、必要に応じて、検証対象となる環境負荷指標値の算出に利用された抽出用パラメータとは異なる値をもった抽出用パラメータを有する異属算出履歴を検証用情報として抽出するようにする。
一方、算出履歴プロット部43は、まず、同属算出履歴については、環境負荷指標値Vに対して、頁数Ppageに応じた係数を乗じる補正を行うことにより、所定の単位頁あたりの環境負荷指標値に相当する換算指標値を補正値Tとして算出し、当該補正値Tを第2の座標軸にとった二次元座標系上に履歴座標点Qをプロットするようにする。また、異属算出履歴については、環境負荷指標値Vに対して、頁数Ppageに応じた係数とともに、頁サイズPsizeもしくは色数Pcolorまたはその双方に応じた係数を乗じる補正を行うことにより、頁サイズPsizeおよび色数Pcolorの双方が検証対象となる環境負荷指標値V(i)の算出に利用された頁サイズPsizeおよび色数Pcolorと同一であったと仮定した場合に換算した、所定の単位頁あたりの環境負荷指標値に相当する換算指標値を補正値Tとして算出し、当該補正値Tを第2の座標軸にとった二次元座標系上に履歴座標点Qをプロットするようにする。
そして、合否判定部41が、検証対象となる環境負荷指標値V(i)に対して、頁数Ppageに応じた係数を乗じる補正を行うことにより、所定の単位頁あたりの環境負荷指標値に相当する換算指標値を補正値T(i)として算出し、当該補正値T(i)に基づいて判定対象座標点Q(i)をプロットするようにすればよい。
実際には、検証用情報抽出手段50に、同属算出履歴のみを抽出する第1回目の抽出処理と、同属算出履歴および異属算出履歴の双方を抽出する第2回目の抽出処理と、を行う機能をもたせておくようにし、算出結果検証手段40に、第1回目の抽出処理によって抽出された検証用情報に基づく第1回目の検証処理と、第2回目の抽出処理によって抽出された検証用情報に基づく第2回目の検証処理と、を行う機能をもたせておくのが好ましい。そうすれば、まず、第1回目の抽出処理および第1回目の検証処理を実行し、その結果、失格判定がなされた場合に、第2回目の抽出処理および第2回目の検証処理を行う運用を採ることができる。
別言すれば、まず、同属算出履歴のみを用いて精度の高い厳格な第1回目の検証を行い、その結果、失格判定がなされた場合に限って、同属算出履歴および異属算出履歴の双方を用いた精度の低い緩い第2回目の検証を行えばよい。そうすれば、より柔軟な検証を行うことが可能になる。
あるいは、検証用情報抽出手段50に、同属算出履歴のみを抽出する第1回目の抽出処理と、同属算出履歴および異属算出履歴の双方を抽出する第2回目の抽出処理と、を行う機能をもたせておくようにし、第1回目の抽出処理によって抽出された算出履歴の総数が所定の基準に満たない場合に、第2回目の抽出処理が実行されるようにしてもよい。この場合、算出結果検証手段40は、第2回目の抽出処理が実行されなかった場合は、第1回目の抽出処理で抽出された検証用情報に基づく検証処理を実行し、第2回目の抽出処理が実行された場合は、第2回目の抽出処理で抽出された検証用情報に基づく検証処理を実行することになる。
このような運用を採用すれば、基本的には、同属算出履歴のみを用いた精度の高い検証が行われることになるが、検証に利用する算出履歴の総数(許容領域の設定に用いられるサンプル数)が所定の基準に満たない場合に限って、同属算出履歴および異属算出履歴の双方を用いた検証が行われることになる。前述のとおり、一般に、同属算出履歴のみを用いた方が、同属算出履歴および異属算出履歴の双方を用いるよりも検証の精度が高まると考えられるが、検証に利用する算出履歴の総数が極端に少ない場合は、検証の精度は極端に低下すると考えられる。したがって、上記方法により、抽出された同属算出履歴の数が少ない場合には、同属算出履歴および異属算出履歴の双方を抽出して検証に利用した方が好ましい。
<<< §7. 印刷物に適用するための第2の実施形態 >>>
§5では、印刷物に適用するための第1の実施形態を、図10〜図19に示す具体的な実施例を参照して説明した。ここでは、図23〜図35に示す具体的な実施例を参照して、印刷物に適用するための第2の実施形態を説明する。この§7で述べる第2の実施形態も、図1に示す環境負荷指標値の算出装置を、印刷物に関する環境負荷指標値の算出および検証に特化した装置として利用するための実施例を示すものである。
図23は、印刷物に関する算出用パラメータについて、換算用パラメータ、抽出用パラメータ、参照用パラメータを定めた第2の設定例を示す図である。§5では、図10に示す第1の設定例に基づく第1の実施形態を述べたが、ここで述べる第2の実施形態では、図23(a) に示す第2の設定例が用いられる。両者の相違点は、図10(a) に示す第1の設定例では、参照用パラメータPjとして、用紙単位重量Pweightが用いられていたのに対し、図23に示す第2の設定例では、参照用パラメータPjとして、製品部数Pcopyが用いられている点だけである。したがって、この第2の設定例においても、頁数Ppageが換算用パラメータに設定され、頁サイズPsizeおよび色数Pcolorの双方が抽出用パラメータに設定される点に変わりはない。
ここでも、印刷物M(i)について、図23(b) に示す5つのパラメータを含む合計n個のパラメータによって、環境負荷指標値V(i)の算出が行われた場合に、当該指標値V(i)の検証を行う動作を考えてみる。環境負荷指標値V(i)の算出には、合計n個のパラメータが用いられるが、その検証には、図23(a) に示す4つのパラメータのみが利用されることになる。
したがって、ここで述べる第2の実施形態の場合、図1に示す装置において、算出用パラメータ入力手段10は、特定の製品を構成する印刷物M(i)について、少なくとも、頁サイズPsizeと、頁数Ppageと、色数Pcolorと、用紙単位重量Pweightと、製品部数Pcopyとを算出用パラメータとして入力することになり、指標値算出手段20は、印刷物M(i)に関する環境負荷指標値を算出するための算出式に基づいた演算を行うことにより環境負荷指標値V(i)を算出することになる。
そして、算出履歴格納手段30は、当該環境負荷指標値V(i)の検証処理の結果、合格判定を示す判定結果Jが出力された場合に、指標値算出手段20によって算出された環境負荷指標値V(i)と、当該環境負荷指標値V(i)の演算に用いられた算出用パラメータのうちの少なくとも頁サイズPsizeと、頁数Ppageと、色数Pcolorと、製品部数Pcopyとを、相互に対応づけて、当該製品M(i)についての算出履歴H(i)として格納する。この算出履歴H(i)は、その後に算出された別な製品についての環境負荷指標値Vの検証材料として利用されることになる。なお、この第2の実施形態の場合、用紙単位重量Pweightは、検証には利用されないため、算出履歴H(i)として格納する必要はない。
続いて、検証用情報抽出手段50により、算出履歴格納手段30に格納されている算出履歴の中から、検証対象となる環境負荷指標値V(i)の検証処理に利用する算出履歴を検証用情報として抽出する処理が実行される。ここでは、印刷物M(i)についての5つのパラメータの値が、図23(b) に示すような具体的な値をとる場合を例にとって、以下の説明を行うことにする。すなわち、この例の場合、頁サイズPsize=A5判、頁数Ppage=240頁、色数Pcolor=2色刷、用紙単位重量Pweight=120kg/平方メートル、製品部数Pcopy=36000部、という各パラメータ値が設定されている。
ここで、抽出用パラメータは、頁サイズPsizeおよび色数Pcolorであるから、同属算出履歴のみを用いた検証を行う場合、検証用情報抽出手段50は、算出履歴格納手段30に格納されている算出履歴の中から、頁サイズPsize=A5判、かつ、色数Pcolor=2色刷という同一のパラメータ値をもつ算出履歴を検証用情報として抽出することになる。もちろん、ここで述べる第2の実施形態についても、§6で述べた換算指標値を用いる変形例を適用することが可能である。その場合、検証用情報抽出手段50によって、頁サイズPsizeおよび色数Pcolorが異なる異属算出履歴の抽出も行われ、同属算出履歴および異属算出履歴の双方を用いた検証が行われることになる。ただ、説明の便宜上、ここでは、同属算出履歴のみを用いた検証を行う場合を述べることにする。
ここで述べる第2の実施形態の場合、算出結果検証手段40による具体的な検証処理は、次のような手順によって行われる。まず、算出履歴プロット部43が、第1の座標軸(この例では横軸)に、参照用パラメータPjとして製品部数Pcopyをとり、第2の座標軸(この例では縦軸)に、単位指標値Uをとった二次元座標系を定義し、検証用情報抽出手段50が抽出した検証用情報に含まれる個々の算出履歴Hを、当該算出履歴Hに含まれる製品部数Pcopyを第1の座標に対応づけ、単位指標値U(すなわち、環境負荷指標値Vの補正値T)を第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点Qとしてプロットする算出履歴のプロット処理(図6のステップS14)を実行する。
図24は、このようにして二次元座標系上にプロットされた各履歴座標点を示すグラフであり、説明の便宜上、検証用情報抽出手段50により、8組の算出履歴Hが抽出されたものとして、8個の履歴座標点Qがプロットされた状態が示されている。横軸の参照用パラメータPjは、実際には、製品部数Pcopyであるから、抽出された各算出履歴Hに含まれている製品部数Pcopyの値をそのまま用いて、履歴座標点Qの横方向の座標位置を決定すればよい。
一方、縦軸の単位指標値Uは、第1の実施形態と同様に、所定の単位頁あたりの環境負荷指標値Vであるから、抽出された各算出履歴Hに含まれている環境負荷指標値Vを換算用パラメータである頁数Ppageを用いて補正した補正値として単位指標値Uを求め、求めた単位指標値Uを用いて、履歴座標点Qの縦方向の座標位置を決定することになる。
結局、算出履歴プロット部43は、第1の座標軸に、製品部数Pcopyを参照用パラメータPjとしてとり、検証用情報抽出手段50が抽出した検証用情報に含まれる個々の算出履歴を、当該算出履歴に含まれる製品部数Pcopyを第1の座標に対応づけ、環境負荷指標値Vの補正値として得られた単位指標値Uを第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点Qとしてプロットする処理を行うことになる。なお、横軸の製品部数Pcopyも、縦軸の単位指標値Uも、いずれも正の値のみをとるので、ここで述べる二次元座標系の各座標軸は、いずれも正の領域のみを有している。
このように、参照用パラメータPjとして製品部数Pcopyを採用した場合、図25のグラフに示すように、参照用パラメータPjと単位指標値Uとの間には、負の相関C(−)が認められることになる。これは、既に述べたとおり、印刷物の発行部数が多くなれば、版の製造で生じた環境負荷の1製品あたりの按分値が小さくなるためである。
もちろん、実際には、印刷物に関しては、図5の表を見ればわかるとおり、様々なプロセスにおいて温室効果ガスが排出されるため、図25に直線C(−)で示すような完全な線形特性は得られない。特に、図25では、負の相関を示す直線C(−)が、右方で横座標に交差しているが、実際には、製品部数Pcopyをいくら多くしても、単位指標値Uが0になることはない。ただ、一般的な書籍や雑誌の場合、製品部数Pcopyが多くなればなるほど、1冊あたりの単位指標値Uが低下する負の相関が得られることは確かである。
こうして、二次元座標系上に、各履歴座標点Qがプロットされたら、続いて、許容領域設定部42によって、この二次元座標系上に許容領域を設定する処理(図6のステップS15)が実行される。前述したとおり、この許容領域設定処理は、プロットされた全履歴座標点Qを包含する所定の許容領域Aを設定する処理であり、許容領域Aとしては、「プロットされた全履歴座標点を包含する」という条件を満たしていれば、どのような領域を設定してもかまわない。ただ、実用上は、できるだけ許容領域A内の履歴座標点密度が一様になるような設定を行うのが好ましく、許容領域A内に、履歴座標点Qの分布密度が極端に低い部分が生じないような設定を行うのが好ましい。
そこで、ここで述べる第2の実施形態では、図25に示されているような負の相関C(−)を考慮して、この負の相関C(−)に沿った範囲に許容領域Aが設定されるような方法を採用している。以下、許容領域設定部42によって実行される具体的な設定方法を説明する。
この第2の実施形態の場合、許容領域設定部42には、予め、版交換部数Eを記憶させておくようにする。版交換部数Eは、印刷用の刷版の交換が行われる印刷部数を示すパラメータであり、印刷方式ごとに標準的な部数が定められている。たとえば、一般的なオフセット印刷の場合、版交換部数E=50万部のような設定がなされる。この場合、製品部数Pcopy≦Eであれば、刷版(PS版)を交換する必要がないが、Pcopy>Eとなる場合には、部数Eごとに新たな刷版(PS版)に交換して印刷を続ける必要がある。ここでは、便宜上、まず、製品部数Pcopy≦Eという前提で、以下の説明を行うことにする。
算出履歴プロット部43によって、図24のグラフに示すような算出履歴のプロット処理が完了したら、許容領域設定部42は、次のような手順により、このグラフ上に許容領域の設定を行う。まず、許容領域設定部42は、版交換部数Eに内輪で最も近い(Eに等しくてもかまわない)製品部数Pcopyをもつ算出履歴をプロットした履歴座標点を基準座標点に設定する。ここでは、図26に示すように、第1の座標軸(横軸)上の右端近くに版交換部数Eに対応する点Eが位置するものとし、図示の履歴座標点Q0が基準座標点として設定されたものとする。基準座標点Q0は、版交換部数Eに内輪で最も近い製品部数Pcopy(図示の例の場合、値G)をもつ算出履歴に対応する履歴座標点である。
続いて、許容領域設定部42は、第1の座標軸(横軸)上の版交換部数Eに対応する座標値をもつ点Eを通り、第2の座標軸(縦軸)に平行で同じ方向(上方向)を向いた版交換境界軸N(図では破線の矢印で示す)を定義する。そして、基準座標点Q0を通り第1の座標軸(横軸)に平行な直線と版交換境界軸Nとの交点として第1の回転中心点Fを定義し、基準座標点Q0を通り第2の座標軸(縦軸)に平行な直線と第1の座標軸(横軸)との交点として第2の回転中心点Gを定義する。
そして、第1の回転中心点Fを中心として版交換境界軸Nの第1の回転中心点Fよりも先の部分(図の点Fよりも上の部分)を基準座標点Q0に接近する第1の回転方向(反時計まわり方向)に回転させてゆく。同様に、第2の回転中心点Gを中心として第1の座標軸の第2の回転中心点Gよりも根元の部分(図の点Gよりも左の部分)を第1の回転方向とは逆の第2の回転方向(時計まわり方向)に回転させてゆく。図示の例の場合、移動中の版交換境界軸N3は、反時計まわりに回転角θ3が徐々に増加するように回転してゆき、移動中の第1の座標軸N4は、時計まわりに回転角θ4が徐々に増加するように回転してゆく。そして、移動中の版交換境界軸N3が最初に接触する履歴座標点を第1の臨界座標点Q3と定め、移動中の第1の座標軸N4が最初に接触する履歴座標点を第2の臨界座標点Q4と定めることにする。
図27は、移動中の版交換境界軸N3および移動中の第1の座標軸N4が、それぞれ第1の臨界座標点Q3および第2の臨界座標点Q4に接触した状態を示している。ここで、第1の回転中心点Fと第1の臨界座標点Q3とを結ぶ直線を第1の基準ラインL3とし、第2の回転中心点Gと第2の臨界座標点Q4とを結ぶ直線を第2の基準ラインL4とする。別言すれば、第1の基準ラインL3は、第1の臨界座標点Q3に接触した瞬間の版交換境界軸N3に相当し、第2の基準ラインL4は、第2の臨界座標点Q2に接触した瞬間の第1の座標軸N4に相当する。
結局、算出履歴プロット部43によってプロットされた全履歴座標点は、第1の基準ラインL3と第2の基準ラインL4とによって挟まれた領域内に分布していることになる。ここで述べる第2の実施形態に係る許容領域設定部42は、こうして求められた第1の基準ラインL3および第2の基準ラインL4に基づいて、第1の座標値が版交換部数E以下となる部分に関する許容領域を設定する処理を行う。以下、図27に示す基準ラインL3,L4に基づく許容領域の設定方法として、3通りの具体的な方法を例示しておく。
(1) 基準ラインL3,L4に基づく第1の許容領域設定方法
第1の方法は、第1の基準ラインL3と第2の基準ラインL4とによって挟まれた領域を、第1の座標値が版交換部数E以下となる部分に関する許容領域に設定する、という最も単純な方法である。図28は、このような方法で設定された許容領域A4を示すグラフである。図にハッチングを施して示す部分が許容領域A4であり、第1の基準ラインL3および第2の基準ラインL4、ならびに、2点E,Fを結ぶ線分は、許容領域A4の境界線としての役割を果たす。
この許容領域A4は、境界線上の点を領域内の点として扱えば、「プロットされた全履歴座標点を包含する」という条件を満たす領域になり、過去の算出履歴の大まかな分布を示す役割を果たすことができる。ただ、第1の基準ラインL3および第2の基準ラインL4が許容領域A4の境界線になるので、合否判定における境界条件は厳しくなる。このため、適正な環境負荷指標値Vが算出されているにもかかわらず、プロットされた判定対象座標点が許容領域A4外になり、失格判定がなされるケースも想定される。
したがって、この第1の方法による一次検証によって失格判定がなされた場合は、入力した各算出用パラメータの値に誤りがないかをチェックする作業を行い、誤りがないと認められる場合には、後述する第2の方法もしくは第3の方法による二次検証を行い、この二次検証により合格判定が得られた場合には、異常なしとする取り扱いを行うようにすればよい。このように、二次検証を行う前に、より厳しい一次検証を行うようにし、この一次検証において失格判定がなされた場合に、算出用パラメータのチェック作業を課するようにすれば、誤りの検証をより高い精度で行うことが可能になる。
(2) 基準ラインL3,L4に基づく第2の許容領域設定方法
第2の方法は、第1の基準ラインL3および第2の基準ラインL4を若干外側に移動させて境界ラインを定めることにより、境界条件に余裕をもたせる方法である。図29は、このような方法で第1の境界ラインL3′および第2の境界ラインL4′を定めた実施例を示すグラフである。
図29に示す臨界座標点Q3,Q4および基準ラインL3,L4は、図27に示すものと全く同じである。この第2の方法を採る場合、許容領域設定部42は、第1の回転中心点Fを中心として第1の基準ラインL3を上記第2の回転方向(時計まわり方向)に所定の余裕角度だけ回転させることによって得られる第1の境界ラインL3′を定め、第2の回転中心点Gを中心として第2の基準ラインL4を上記第1の回転方向(反時計まわり方向)に所定の余裕角度だけ回転させることによって得られる第2の境界ラインL4′を定めている。
より具体的には、「所定の余裕角度」を決定するために、次のような作業を行っている。まず、第1の基準ラインL3に関しては、第1の臨界座標点Q3について、第2の座標軸上の座標値U3を求め、余裕距離d3を、d3=U3×α3なる演算式に基づいて求める。ここで、α3は、所定の余裕係数であり、たとえば、α3=0.1あるいはα3=0.05のように、予め所定の割合を定めておくようにする。そして、第1の臨界座標点Q3を第2の座標軸に平行な方向に、第1の座標軸から遠ざかる方向に、余裕距離d3だけ移動させ修正座標点Q3′を求め、第1の回転中心点Fと修正座標点Q3′とを結ぶ直線を第1の境界ラインL3′とすればよい。そうすれば、第1の境界ラインL3′は、第1の回転中心点Fを回転中心点として第1の基準ラインL3を上記第2の回転方向(時計まわり方向)に所定の余裕角度だけ回転させた線になる。
同様に、第2の基準ラインL4に関しては、第2の臨界座標点Q4について、第2の座標軸上の座標値U4を求め、余裕距離d4を、d4=U4×α4なる演算式に基づいて求める。ここで、α4は、α3と同様に所定の余裕係数であり、たとえば、α4=0.1あるいはα4=0.05のように、予め所定の割合を定めておくようにする。そして、第2の臨界座標点Q4を第2の座標軸に平行な方向に、第1の座標軸に近づく方向に、余裕距離d4だけ移動させ修正座標点Q4′を求め、第2の回転中心点Gと修正座標点Q4′とを結ぶ直線を第2の境界ラインL4′とすればよい。そうすれば、第2の境界ラインL4′は、第2の回転中心点Gを回転中心点として第2の基準ラインL4を上記第1の回転方向(反時計まわり方向)に所定の余裕角度だけ回転させた線になる。
こうして、図29に示すような第1の境界ラインL3′と第2の境界ラインL4′とが定まったら、これらによって挟まれた領域を、第1の座標値が版交換部数E以下となる部分に関する許容領域に設定すればよい。図30は、このような方法で設定された許容領域A5を示すグラフである。図にハッチングを施して示す部分が許容領域A5であり、第1の境界ラインL3′および第2の境界ラインL4′、ならびに、2点E,Fを結ぶ線分は、許容領域A5の境界線としての役割を果たす。
図30に示す許容領域A5では、図28に示す許容領域A4に比べて境界部分が若干広がり、境界条件が緩和されている。したがって、ある程度の余裕が見込まれており、判定対象座標点が許容領域A4の外側近傍にプロットされるような場合にも、許容領域A5の内側に位置していれば合格判定を行うことができる。
(3) 基準ラインL3,L4に基づく第3の許容領域設定方法
第3の方法も、上述した第2の方法と同様に、第1の基準ラインL3および第2の基準ラインL4を若干外側に移動させて境界ラインを定めることにより、境界条件に余裕をもたせる方法である。図31は、このような方法で第1の境界ラインL3''および第2の境界ラインL4''を定めた実施例を示すグラフである。
図31に示す臨界座標点Q3,Q4、基準ラインL3,L4、余裕距離d3,d4、修正座標点Q3′,Q4′は、図29に示すものと全く同じである。ただ、図29に示す境界ラインL3′,L4′が、基準ラインL3,L4をそれぞれ回転中心点F,Gを中心として回転させることによって得られるラインであるのに対して、図31に示す境界ラインL3'',L4''は、基準ラインL3,L4を外側に余裕距離d3,d4だけ平行移動して得られるラインになっている。
すなわち、図31に示す例の場合、第1の基準ラインL3を第2の基準ラインL4から遠ざかる方向に所定の余裕距離d3だけ平行移動させることによって得られるラインとして、第1の境界ラインL3''が定められ、第2の基準ラインL4を第1の基準ラインL3から遠ざかる方向に所定の余裕距離d4だけ平行移動させることによって得られるラインとして、第2の境界ラインL4''が定められる。
こうして、図31に示すような第1の境界ラインL3''と第2の境界ラインL4''とが定まったら、これらによって挟まれた領域を、第1の座標値が版交換部数E以下となる部分に関する許容領域に設定すればよい。図32は、このような方法で設定された許容領域A6を示すグラフである。図にハッチングを施して示す部分が許容領域A6であり、第1の境界ラインL3''および第2の境界ラインL4''、ならびに、2点E,F′を結ぶ線分は、許容領域A6の境界線としての役割を果たす。
この図32に示す許容領域A6でも、図28に示す許容領域A4に比べて境界部分が若干広がり、境界条件が緩和されている。したがって、ある程度の余裕が見込まれており、判定対象座標点が許容領域A4の外側近傍にプロットされるような場合にも、許容領域A6の内側に位置していれば合格判定を行うことができる。
以上、許容領域設定部42によって行われる許容領域設定処理の具体的な方法として、3通りの実施例を述べたが、もちろん、この他にも様々な方法で許容領域の設定を行うことが可能である。
たとえば、図31に示す方法では、基準ラインL3,L4を一定の余裕距離d3,d4だけ外側に平行移動させて境界ラインL3'',L4''を定めているが、基準ラインL3,L4は必ずしも平行移動させる必要はなく、回転を加えた移動を行うようにしてもかまわない。具体的には、参照用パラメータPjの値が小さくなるほど、余裕距離d3,d4の値が大きくなるように回転を加えた移動を行えば、基準ラインL3は時計まわりの回転とともに外側へ移動し、基準ラインL4は反時計まわりの回転とともに外側へ移動することになるので、図31に示す結果に比べて、より急峻な傾斜をもった境界ラインL3''と、より緩慢な傾斜をもった境界ラインL4''とが得られることになる。
また、許容領域は、必ずしも上述した基準ラインL3,L4を基準として設定する必要はない。たとえば、各履歴座標点Qに基づいて、図25に示すような負の相関C(−)を示す基準直線を求め、この基準直線C(−)に基づいて、図30に示すような境界ラインL3′,L4′を定めることも可能である。具体的には、まず、各履歴座標点Qに最小二乗法のような近似手法を適用して、図25に示すような基準直線C(−)を決定し、当該基準直線を、たとえば、各履歴座標点Qの縦軸に関する分散に応じて上下に移動させれば、図30に示すような境界ラインL3′,L4′を定めることができる。
こうして、許容領域の設定処理が完了したら、最後に、合否判定部41による合否判定処理が行われる。すなわち、印刷物M(i)について、算出された環境負荷指標値V(i)を頁数Ppageで補正して単位指標値U(i)を求め、製品部数Pcopyを第1の座標値、求めた単位指標値U(i)を第2の座標値として、上記二次元座標系上に判定対象座標点Q(i)をプロットし、プロットされた判定対象座標点Q(i)が、上述した許容領域内にある場合には合格判定、許容領域外にある場合には失格判定が行われる。
もちろん、この§7で述べた第2の実施形態についても、§6で述べた換算指標値を用いる変形例を適用することが可能である。図33は、図24に示すグラフの縦軸を、単位指標値Uから換算指標値Wに置き換えたグラフである。このような換算指標値Wを用いる変形例の場合、算出履歴プロット部43は、図33に示すような二次元座標系上に各算出履歴(同属算出履歴および異属算出履歴の双方)を履歴座標点としてプロットすることになり、合否判定部41も、同じ二次元座標系上に判定対象座標点をプロットすることになる。
以上、製品部数Pcopy≦Eという前提で、第1の座標値が版交換部数E以下となる部分に関する許容領域を設定する例を述べてきたが、続いて、第1の座標値が版交換部数Eを超える部分に関する許容領域を設定する例を述べる。
図34は、図24に示すグラフの横軸を右側に拡張して各履歴座標点をプロットした状態を示すグラフである。このグラフでは、版交換境界軸Nの右側領域にも、いくつかの履歴座標点がプロットされている。ただ、版交換境界軸Nを境界として、その左側領域と右側領域とでは、履歴座標点の分布態様に若干の変化が見られる。すなわち、版交換境界軸Nの左側領域では、図25に示すような負の相関C(−)が見られていたが、版交換境界軸Nを境界として、この負の相関C(−)が不連続になっている。
これは、前述したとおり、版交換部数Eが、刷版の交換が行われる印刷部数を示すパラメータであり、製品部数Pcopyが版交換部数Eを超えると、新たな刷版(PS版)に交換して印刷を続ける必要があり、図5の表の分類「PS版」に示されている算出用パラメータに基づく温室効果ガス排出量が、新たに用意された刷版(PS版)の分だけ増加してしまうためである。別言すれば、横軸に製品部数Pcopyをとった二次元座標系のグラフでは、横軸が版交換部数Eの整数倍に相当する位置において、新たに用意された刷版の分だけ、温室効果ガス排出量が増加することになる。
図35(a) は、図34に示すグラフの横軸の範囲を3倍程度に拡張したグラフであり、版交換部数Eを1周期とする周期性が示されている。すなわち、第1の座標軸(横軸)についての各区間に着目すると、第1の座標値をxとした場合、0<x≦Eの範囲をとる第1番目の区間、E<x≦2Eの範囲をとる第2番目の区間、2E<x≦3Eの範囲をとる第3番目の区間では、それぞれ図25に示すような負の相関C(−)が見れられるものの、区間を跨ぐたびに、単位指標値Uが急激に増加し、当該相関は不連続になる。
そこで、第1の座標値が版交換部数Eを超える部分も含めて、第1の座標軸全域に関する許容領域を設定するには、次のような方法を採ればよい。まず、第1の座標軸上に、第1の座標値xが((K−1)×E)<x≦(K×E)の範囲の値をとる第K番目の区間を設定する。図35(a) には、K=1,2,3に設定した3つの区間が示されている。そして、第1の座標値が版交換部数E以下となる第1番目の区間に関する許容領域については、これまで述べてきた設定方法による許容領域の設定を行い、第1の座標値が版交換部数Eを超える第K番目(但し、K≧2)の区間に関する許容領域については、第1の座標値xをx−((K−1)×E)に置き換えた上で、これまで述べてきた設定方法による許容領域の設定を行えばよい。
図35(b) は、そのような方法で設定した第1の座標軸全域に関する許容領域を示す図である。図にハッチングを施して示す部分が許容領域である。ここで、許容領域A11は、第1番目の区間(0<x≦Eの範囲)について、これまで述べてきた設定方法により設定された領域である。一方、許容領域A12は、第2番目の区間(E<x≦2Eの範囲)について、第1の座標値xを「x−E」に置き換えた上で、これまで述べてきた設定方法を適用して設定された領域であり、許容領域A13は、第3番目の区間(2E<x≦3Eの範囲)について、第1の座標値xを「x−2E」に置き換えた上で、これまで述べてきた設定方法を適用して設定された領域である。このような設定方法を採用すれば、第1の座標軸全域に関する許容領域の設定が可能になる。
<<< §8. 統合印刷システムや工程管理システムへの組み込み >>>
§5〜§7では、本発明に係る環境負荷指標値の算出装置を、印刷物に適用するための実施形態を述べた。これらの実施形態は、コンピュータに専用のプログラムを組む込むことにより実現されるものであるが、通常、印刷物の製造工程は、コンピュータによって管理されていることが多い。したがって、実用上、本発明に係る環境負荷指標値の算出装置は、印刷から製本に至る工程を実施するためのシステム(印刷機・製本装置・コンピュータを含む統合印刷システム)と連携させて、あるいは、当該システムに組み込んで利用することが可能である。
特に、最近の印刷工場では、印刷や製本といった各種工程をコンピュータを利用して管理する工程管理システムが導入されており、本発明に係る環境負荷指標値の算出装置を、そのような工程管理システムと連携動作させると、環境負荷指標値の算出作業を極めて効率的に行うことができるようになる。たとえば、図5に列挙した種々の算出用パラメータは、通常、印刷工場の工程管理システムに入力されるデータであるので、図1に示す算出用パラメータ入力手段10に、この工程管理システムから算出用パラメータP1〜Pnを自動的に取り込む機能をもたせておけば、算出用パラメータの入力作業負担を軽減することができるようになる。
また、本発明に係る環境負荷指標値の算出装置は、これら工程管理システムに組み込んで利用することが可能である。別言すれば、既存の工程管理システムを構成するコンピュータに、本発明に係るプログラムを組み込むことにより、当該工程管理システムに、環境負荷指標値の算出および検証の機能を付加することが可能になる。
要するに、印刷機と、製本装置と、工程管理用コンピュータと、を備えた統合印刷システムに、§5〜§7で述べた環境負荷指標値の算出装置を組み込むようにし、この工程管理用コンピュータに、印刷機による印刷工程および製本装置による製本工程を管理する機能と、環境負荷指標値の算出装置としての機能と、を併せもたせるようにすればよい。この場合、この工程管理用コンピュータは、印刷工程や製本工程を管理するための工程管理用パラメータとして入力した頁サイズ、頁数、色数、用紙単位重量、製品部数などのデータを、そのまま算出用パラメータとして利用して環境負荷指標値の算出処理を行うことができる。
もちろん、工程管理システムは、印刷物に限らず、任意の製品の生産工程や流通工程において広く利用されている。したがって、一般論としては、本発明に係る環境負荷指標値の算出装置は、このような任意の工程管理システムに組み込んで利用することが可能である。すなわち、所定の対象製品の生産工程もしくは流通工程またはその双方を管理する工程管理装置と、これまで述べてきた環境負荷指標値の算出装置と、を合併させて工程管理システムを構成すれば、環境負荷指標値の算出装置は、工程管理装置による工程管理の対象となる製品の環境負荷指標値を算出し、これを検証することができる。
この場合も、工程管理装置によって実行される工程管理処理に用いられる工程管理用パラメータと、環境負荷指標値の算出装置によって実行される環境負荷指標値の算出処理に用いられる算出用パラメータと、の間に、相互に共通する共通パラメータが存在するようにしておけば、環境負荷指標値の算出装置の一構成要素となる算出用パラメータ入力手段は、工程管理装置内に格納されている共通パラメータを自動的に取り込むことにより、環境負荷指標値の算出に必要な算出用パラメータの入力を行うことができる。
<<< §9. 方法発明としての把握 >>>
最後に、本発明を方法発明として把握した場合の基本概念を述べておく。§3で述べたとおり、図1に示す環境負荷指標値の算出装置の基本動作は、図6の流れ図に示す各段階によって構成される。これらの各段階は、特定の製品についての環境負荷指標値を算出する環境負荷指標値の算出方法(検証プロセスも含んだ算出方法)を提供するための手順であり、いずれもコンピュータによって実行される手順である。
すなわち、ステップS11は、コンピュータが、特定の製品M(i)についての環境負荷指標値V(i)の算出に用いるn個の算出用パラメータP1(i)〜Pn(i)を入力する算出用パラメータ入力段階であり、ステップS12は、コンピュータが、ステップS11の算出用パラメータ入力段階によって入力された当該特定の製品についての算出用パラメータP1(i)〜Pn(i)を用いて、予め設定された所定の算出式f(P1(i)〜Pn(i))に基づく演算を行うことにより、当該特定の製品M(i)についての環境負荷指標値V(i)を算出する指標値算出段階である。
そして、ステップS13は、コンピュータが、過去に環境負荷指標値の算出が行われた複数の製品M(b),M(c),M(e),M(g)を参照製品として、ある1つの参照製品について、算出された環境負荷指標値と、当該環境負荷指標値の演算に用いられた算出用パラメータの中から選出された所定の参照用パラメータと、を相互に対応づけた情報を、当該参照製品についての算出履歴として格納している記憶手段から、複数の算出履歴H(b),H(c),H(e),H(g)を検証用情報として抽出する検証用情報抽出段階である。
続くステップS14は、コンピュータが、第1の座標軸に、参照用パラメータをとり、第2の座標軸に、環境負荷指標値または環境負荷指標値に対して所定の係数を乗じる補正により得られる補正値をとった二次元座標系上に、ステップS13の検証用情報抽出段階で抽出した検証用情報に含まれる個々の算出履歴を、当該算出履歴に含まれる参照用パラメータを第1の座標に対応づけ、当該算出履歴に含まれる環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点としてプロットする算出履歴プロット段階である。
また、ステップS15は、コンピュータが、上記二次元座標系上に、プロットされた全履歴座標点を包含する所定の許容領域を設定する許容領域設定段階であり、ステップS16,S17は、コンピュータが、当該特定の製品M(i)についての環境負荷指標値V(i)の算出に用いられた算出用パラメータのうちの参照用パラメータを第1の座標に対応づけ、当該特定の製品M(i)についての環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、上記二次元座標系上に判定対象座標点をプロットし、プロットされた判定対象座標点が、許容領域内にある場合には合格判定、許容領域外にある場合には失格判定を行う合否判定段階である。
最後のステップS18は、コンピュータが、ステップS16,S17の合否判定段階において合格判定がなされた場合に、ステップS12の指標値算出段階によって算出された環境負荷指標値V(i)と、当該環境負荷指標値の演算に用いられた算出用パラメータのうちの参照用パラメータと、を相互に対応づけた情報を、将来実行される別な製品についての検証用情報抽出段階(S13)で抽出される算出履歴として記憶手段内に格納する算出履歴格納段階である。
特に、§5で述べた印刷物に適用するための第1の実施形態の場合は、印刷物に関する環境負荷指標値の算出を行うために、ステップS11の算出用パラメータ入力段階では、特定の製品M(i)を構成する印刷物について、少なくとも、頁サイズと、頁数と、色数と、用紙単位重量と、製品部数とを算出用パラメータとして入力し、ステップS12の指標値算出段階では、印刷物に関する環境負荷指標値を算出するための算出式に基づいた演算を行うことにより環境負荷指標値を算出し、ステップS13の検証用情報抽出段階では、用紙単位重量を参照用パラメータとする算出履歴を抽出し、ステップS14の算出履歴プロット段階では、第1の座標軸に用紙単位重量をとり、ステップS13の検証用情報抽出段階で抽出した個々の算出履歴を、当該算出履歴に含まれる用紙単位重量を第1の座標に対応づけ、環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点としてプロットすることになる。
また、§7で述べた印刷物に適用するための第2の実施形態の場合は、印刷物に関する環境負荷指標値の算出を行うために、ステップS11の算出用パラメータ入力段階では、特定の製品M(i)を構成する印刷物について、少なくとも、頁サイズと、頁数と、色数と、用紙単位重量と、製品部数とを算出用パラメータとして入力し、ステップS12の指標値算出段階では、印刷物に関する環境負荷指標値を算出するための算出式に基づいた演算を行うことにより環境負荷指標値を算出し、ステップS13の検証用情報抽出段階では、製品部数を参照用パラメータとする算出履歴を抽出し、ステップS14の算出履歴プロット段階では、第1の座標軸に製品部数をとり、ステップS13の検証用情報抽出段階で抽出した個々の算出履歴を、当該算出履歴に含まれる製品部数を第1の座標に対応づけ、環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点としてプロットすることになる。
10:算出用パラメータ入力手段
20:指標値算出手段
30:算出履歴格納手段
40:算出結果検証手段
41:合否判定部
42:許容領域設定部
43:算出履歴プロット部
50:検証用情報抽出手段
A,A1〜A13:許容領域
C(+):正の相関
C(−):負の相関
d1〜d4:余裕距離
E:版交換部数およびその座標値をもつ点
F:第1の回転中心点
F′:修正座標点
G:第2の回転中心点
G′:修正座標点
H(a)〜H(e):製品M(a)〜M(e)についての算出履歴
J:判定結果
K(Psize):頁サイズに応じた係数
K(Pcolor):色数に応じた係数
L1,L3:第1の基準ライン
L2,L4:第2の基準ライン
L1′,L3′:第1の境界ライン
L2′,L4′:第2の境界ライン
L1'',L3'':第1の境界ライン
L2'',L4'':第2の境界ライン
M(a)〜M(e),M(i):個々の製品
N:版交換境界軸
N1:移動中の第1の座標軸
N2:移動中の第2の座標軸
N3:移動中の版交換境界軸
N4:移動中の第1の座標軸
O:二次元座標系の原点
P1,P2,Pj,Pn:算出用パラメータ
P1(a),P2(a),Pj(a),Pn(a):製品M(a)についての算出用パラメータ
P1(b),P2(b),Pj(b),Pn(b):製品M(b)についての算出用パラメータ
P1(c),P2(c),Pj(c),Pn(c):製品M(c)についての算出用パラメータ
P1(d),P2(d),Pj(d),Pn(d):製品M(d)についての算出用パラメータ
P1(e),P2(e),Pj(e),Pn(e):製品M(e)についての算出用パラメータ
Pj:参照用パラメータ
Pj(i):製品M(i)についての参照用パラメータ
Psize:頁サイズを示す算出用パラメータ
Ppage:頁数を示す算出用パラメータ
Pcolor:色数を示す算出用パラメータ
Pweight:用紙単位重量を示す算出用パラメータ
Pcopy:製品部数を示す算出用パラメータ
Q0:基準座標点
Q1〜Q4:臨界座標点
Q1′〜Q4′:修正座標点
Q(b),Q(c),Q(e),Q(g):履歴座標点
Q(i),Q(i)′,Q(i)'':判定対象座標点
S1〜S5,S11〜S18:流れ図の各ステップ
T,T(b),T(c),T(e):補正値
U,U1〜U4:単位指標値
V:環境負荷指標値
V(a)〜V(e),V(i):製品M(a)〜M(e),M(i)についての環境負荷指標値
W,W1,W2:換算指標値
x:横軸座標値
α1〜α4:余裕係数
θ1:移動中の第1の座標軸N1の回転角
θ2:移動中の第2の座標軸N2の回転角
θ3:移動中の版交換境界軸Nの回転角
θ4:移動中の第1の座標軸N4の回転角
ξ:補正係数

Claims (30)

  1. 製品ごとの環境負荷指標値を算出し、これを検証する装置であって、
    前記環境負荷指標値の算出に用いる算出用パラメータを入力する算出用パラメータ入力手段と、
    前記算出用パラメータ入力手段によって入力された個々の製品についての算出用パラメータを用い所定の算出式に基づく演算を行うことにより、前記個々の製品についての環境負荷指標値を算出する指標値算出手段と、
    前記指標値算出手段によって算出された環境負荷指標値と、当該環境負荷指標値の演算に用いられた算出用パラメータの一部もしくは全部とを、相互に対応づけて、個々の製品についての算出履歴として格納する算出履歴格納手段と、
    算出用パラメータが異なると算出される環境負荷指標値の値が大きく変化する性質を有する算出用パラメータを、入力された算出用パラメータの中から抽出用パラメータとして選出し、前記算出履歴格納手段に格納されている算出履歴の中から、検証対象となる環境負荷指標値の算出に利用された抽出用パラメータと同一もしくは近似する値をもった抽出用パラメータを有する算出履歴を検証用情報として抽出する検証用情報抽出手段と、
    前記検証対象となる環境負荷指標値を、前記検証用情報抽出手段によって抽出された検証用情報に基づいて検証する算出結果検証手段と、
    を備え、
    前記算出結果検証手段は、
    第1の座標軸に、前記算出用パラメータの中から選出された所定の参照用パラメータをとり、第2の座標軸に、環境負荷指標値または環境負荷指標値に対して所定の係数を乗じる補正により得られる補正値をとった二次元座標系上に、前記検証用情報抽出手段が抽出した検証用情報に含まれる個々の算出履歴を、当該算出履歴に含まれる前記参照用パラメータを第1の座標に対応づけ、当該算出履歴に含まれる環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点としてプロットする算出履歴プロット部と、
    前記二次元座標系上に、プロットされた全履歴座標点を包含する所定の許容領域を設定する許容領域設定部と、
    前記検証対象となる環境負荷指標値の算出に用いられた算出用パラメータのうちの前記参照用パラメータを第1の座標に対応づけ、前記検証対象となる環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、前記二次元座標系上に判定対象座標点をプロットし、プロットされた判定対象座標点が、前記許容領域内にある場合には合格判定、前記許容領域外にある場合には失格判定を行う合否判定部と、
    を有することを特徴とする環境負荷指標値の算出装置。
  2. 請求項に記載の環境負荷指標値の算出装置において、
    算出履歴格納手段が、指標値算出手段によって算出された環境負荷指標値と、当該環境負荷指標値の演算に用いられた算出用パラメータのうちの少なくとも参照用パラメータおよび抽出用パラメータとを、相互に対応づけて、個々の製品についての算出履歴として格納することを特徴とする環境負荷指標値の算出装置。
  3. 請求項1に記載の環境負荷指標値の算出装置において、
    印刷物に関する環境負荷指標値の算出および検出を行うために、
    算出用パラメータ入力手段が、特定の製品を構成する印刷物について、少なくとも、頁サイズと、頁数と、色数と、用紙単位重量と、製品部数とを算出用パラメータとして入力し、
    指標値算出手段が、印刷物に関する環境負荷指標値を算出するための算出式に基づいた演算を行うことにより環境負荷指標値を算出し、
    算出履歴格納手段が、指標値算出手段によって算出された環境負荷指標値と、当該環境負荷指標値の演算に用いられた算出用パラメータのうちの少なくとも頁サイズと、頁数と、色数と、用紙単位重量または製品部数とを、相互に対応づけて、個々の製品についての算出履歴として格納し、
    算出履歴プロット部が、第1の座標軸に、用紙単位重量または製品部数を参照用パラメータとしてとり、検証用情報抽出手段が抽出した検証用情報に含まれる個々の算出履歴を、当該算出履歴に含まれる用紙単位重量または製品部数を第1の座標に対応づけ、環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点としてプロットすることを特徴とする環境負荷指標値の算出装置。
  4. 請求項に記載の環境負荷指標値の算出装置において、
    算出履歴プロット部が、環境負荷指標値に対して、頁数に応じた係数を乗じる補正を行うことにより、所定の単位頁あたりの環境負荷指標値に相当する単位指標値を補正値として算出し、当該単位指標値を第2の座標軸にとった二次元座標系上に履歴座標点をプロットし、
    合否判定部が、検証対象となる環境負荷指標値に対して、頁数に応じた係数を乗じる補正を行うことにより、所定の単位頁あたりの環境負荷指標値に相当する単位指標値を補正値として算出し、当該単位指標値に基づいて判定対象座標点をプロットすることを特徴とする環境負荷指標値の算出装置。
  5. 請求項に記載の環境負荷指標値の算出装置において、
    検証用情報抽出手段が、算出用パラメータの中から、頁サイズもしくは色数またはその双方を抽出用パラメータと定め、算出履歴格納手段に格納されている算出履歴の中から、検証対象となる環境負荷指標値の算出に利用された抽出用パラメータと同一の値をもった抽出用パラメータを有する同属算出履歴を検証用情報として抽出することを特徴とする環境負荷指標値の算出装置。
  6. 請求項に記載の環境負荷指標値の算出装置において、
    検証用情報抽出手段が、算出用パラメータの中から、頁サイズもしくは色数またはその双方を抽出用パラメータと定め、算出履歴格納手段に格納されている算出履歴の中から、検証対象となる環境負荷指標値の算出に利用された抽出用パラメータと同一の値をもった抽出用パラメータを有する同属算出履歴を検証用情報として抽出し、更に、必要に応じて、検証対象となる環境負荷指標値の算出に利用された抽出用パラメータとは異なる値をもった抽出用パラメータを有する異属算出履歴を検証用情報として抽出し、
    算出履歴プロット部が、
    前記同属算出履歴については、環境負荷指標値に対して、頁数に応じた係数を乗じる補正を行うことにより、所定の単位頁あたりの環境負荷指標値に相当する換算指標値を補正値として算出し、当該補正値を第2の座標軸にとった二次元座標系上に履歴座標点をプロットし、
    前記異属算出履歴については、環境負荷指標値に対して、頁数に応じた係数とともに、頁サイズもしくは色数またはその双方に応じた係数を乗じる補正を行うことにより、頁サイズおよび色数の双方が検証対象となる環境負荷指標値の算出に利用された頁サイズおよび色数と同一であったと仮定した場合に換算した、所定の単位頁あたりの環境負荷指標値に相当する換算指標値を補正値として算出し、当該補正値を第2の座標軸にとった二次元座標系上に履歴座標点をプロットし、
    合否判定部が、検証対象となる環境負荷指標値に対して、頁数に応じた係数を乗じる補正を行うことにより、所定の単位頁あたりの環境負荷指標値に相当する換算指標値を補正値として算出し、当該補正値に基づいて判定対象座標点をプロットすることを特徴とする環境負荷指標値の算出装置。
  7. 請求項に記載の環境負荷指標値の算出装置において、
    検証用情報抽出手段が、同属算出履歴のみを抽出する第1回目の抽出処理と、同属算出履歴および異属算出履歴の双方を抽出する第2回目の抽出処理と、を行う機能を有し、
    算出結果検証手段が、前記第1回目の抽出処理によって抽出された検証用情報に基づく第1回目の検証処理と、前記第2回目の抽出処理によって抽出された検証用情報に基づく第2回目の検証処理と、を行う機能を有し、
    前記第1回目の検証処理によって失格判定がなされた場合に、前記第2回目の抽出処理および前記第2回目の検証処理が行われることを特徴とする環境負荷指標値の算出装置。
  8. 請求項に記載の環境負荷指標値の算出装置において、
    検証用情報抽出手段が、同属算出履歴のみを抽出する第1回目の抽出処理と、同属算出履歴および異属算出履歴の双方を抽出する第2回目の抽出処理と、を行う機能を有し、第1回目の抽出処理によって抽出された算出履歴の総数が所定の基準に満たない場合に、第2回目の抽出処理を実行し、
    算出結果検証手段が、前記第2回目の抽出処理が実行されなかった場合は、前記第1回目の抽出処理で抽出された検証用情報に基づく検証処理を実行し、前記第2回目の抽出処理が実行された場合は、前記第2回目の抽出処理で抽出された検証用情報に基づく検証処理を実行することを特徴とする環境負荷指標値の算出装置。
  9. 請求項のいずれかに記載の環境負荷指標値の算出装置において、
    算出履歴プロット部が、第1の座標軸に、用紙単位重量を参照用パラメータとしてとり、検証用情報抽出手段が抽出した検証用情報に含まれる個々の算出履歴を、当該算出履歴に含まれる用紙単位重量を第1の座標に対応づけ、環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点としてプロットすることを特徴とする環境負荷指標値の算出装置。
  10. 請求項に記載の環境負荷指標値の算出装置において、
    許容領域設定部が、原点Oを回転中心点として第1の座標軸を各履歴座標点に接近する方向に回転させていったときに最初に接触する履歴座標点を第1の臨界座標点Q1と定め、原点Oと前記第1の臨界座標点Q1とを結ぶ直線を第1の基準ラインL1とし、原点Oを回転中心点として第2の座標軸を各履歴座標点に接近する方向に回転させていったときに最初に接触する履歴座標点を第2の臨界座標点Q2と定め、原点Oと前記第2の臨界座標点Q2とを結ぶ直線を第2の基準ラインL2とし、前記第1の基準ラインL1および前記第2の基準ラインL2に基づいて許容領域を設定することを特徴とする環境負荷指標値の算出装置。
  11. 請求項10に記載の環境負荷指標値の算出装置において、
    許容領域設定部が、第1の基準ラインL1と第2の基準ラインL2とによって挟まれた領域を許容領域に設定することを特徴とする環境負荷指標値の算出装置。
  12. 請求項10に記載の環境負荷指標値の算出装置において、
    許容領域設定部が、原点Oを回転中心点として第1の基準ラインL1を第1の座標軸に接近する方向に所定の余裕角度だけ回転させることによって得られる第1の境界ラインL1′を定め、原点Oを回転中心点として第2の基準ラインL2を第2の座標軸に接近する方向に所定の余裕角度だけ回転させることによって得られる第2の境界ラインL2′を定め、前記第1の境界ラインL1′と前記第2の境界ラインL2′とによって挟まれた領域を許容領域に設定することを特徴とする環境負荷指標値の算出装置。
  13. 請求項10に記載の環境負荷指標値の算出装置において、
    許容領域設定部が、第1の基準ラインL1を第1の座標軸に接近する方向に所定の余裕距離だけ平行移動させることによって得られる第1の境界ラインL1''を定め、第2の基準ラインL2を第2の座標軸に接近する方向に所定の余裕距離だけ平行移動させることによって得られる第2の境界ラインL2''を定め、前記第1の境界ラインL1''と前記第2の境界ラインL2''とによって挟まれた領域を許容領域に設定することを特徴とする環境負荷指標値の算出装置。
  14. 請求項のいずれかに記載の環境負荷指標値の算出装置において、
    算出履歴プロット部が、第1の座標軸に、製品部数を参照用パラメータとしてとり、検証用情報抽出手段が抽出した検証用情報に含まれる個々の算出履歴を、当該算出履歴に含まれる製品部数を第1の座標に対応づけ、環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点としてプロットすることを特徴とする環境負荷指標値の算出装置。
  15. 請求項14に記載の環境負荷指標値の算出装置において、
    許容領域設定部が、
    刷版の交換が行われる印刷部数を示す版交換部数Eを記憶しており、前記版交換部数Eに内輪で最も近い製品部数をもつ算出履歴をプロットした履歴座標点を基準座標点Q0に設定し、
    第1の座標軸上の前記版交換部数Eに対応する座標値をもつ点Eを通り、第2の座標軸に平行で同じ方向を向いた版交換境界軸Nを定義し、前記基準座標点Q0を通り第1の座標軸に平行な直線と前記版交換境界軸Nとの交点として第1の回転中心点Fを定義し、前記基準座標点Q0を通り第2の座標軸に平行な直線と第1の座標軸との交点として第2の回転中心点Gを定義し、
    前記第1の回転中心点Fを中心として前記版交換境界軸Nの前記第1の回転中心点Fよりも先の部分を前記基準座標点Q0に接近する第1の回転方向に回転させていったときに最初に接触する履歴座標点を第1の臨界座標点Q3と定め、前記第1の回転中心点Fと前記第1の臨界座標点Q3とを結ぶ直線を第1の基準ラインL3とし、
    前記第2の回転中心点Gを中心として第1の座標軸の前記第2の回転中心点Gよりも根元の部分を前記第1の回転方向とは逆の第2の回転方向に回転させていったときに最初に接触する履歴座標点を第2の臨界座標点Q4と定め、前記第2の回転中心点Gと前記第2の臨界座標点Q4とを結ぶ直線を第2の基準ラインL4とし、
    前記第1の基準ラインL3および前記第2の基準ラインL4に基づいて、第1の座標値が版交換部数E以下となる部分に関する許容領域を設定することを特徴とする環境負荷指標値の算出装置。
  16. 請求項15に記載の環境負荷指標値の算出装置において、
    許容領域設定部が、第1の基準ラインL3と第2の基準ラインL4とによって挟まれた領域を、第1の座標値が版交換部数E以下となる部分に関する許容領域に設定することを特徴とする環境負荷指標値の算出装置。
  17. 請求項15に記載の環境負荷指標値の算出装置において、
    許容領域設定部が、第1の回転中心点Fを中心として第1の基準ラインL3を第2の回転方向に所定の余裕角度だけ回転させることによって得られる第1の境界ラインL3′を定め、第2の回転中心点Gを中心として第2の基準ラインL4を第1の回転方向に所定の余裕角度だけ回転させることによって得られる第2の境界ラインL4′を定め、前記第1の境界ラインL3′と前記第2の境界ラインL4′とによって挟まれた領域を、第1の座標値が版交換部数E以下となる部分に関する許容領域に設定することを特徴とする環境負荷指標値の算出装置。
  18. 請求項15に記載の環境負荷指標値の算出装置において、
    許容領域設定部が、第1の基準ラインL3を第2の基準ラインL4から遠ざかる方向に所定の余裕距離だけ平行移動させることによって得られる第1の境界ラインL3''を定め、第2の基準ラインL4を第1の基準ラインL3から遠ざかる方向に所定の余裕距離だけ平行移動させることによって得られる第2の境界ラインL4''を定め、前記第1の境界ラインL3''と前記第2の境界ラインL4''とによって挟まれた領域を、第1の座標値が版交換部数E以下となる部分に関する許容領域に設定することを特徴とする環境負荷指標値の算出装置。
  19. 請求項1518のいずれかに記載の環境負荷指標値の算出装置において、
    第1の座標軸上に、第1の座標値xが((K−1)×E)<x≦(K×E)の範囲の値をとる第K番目の区間を設定し、
    第1の座標値が版交換部数E以下となる第1番目の区間に関する許容領域については、請求項1518のいずれかに記載された許容領域設定部が実行する設定方法によって許容領域の設定を行い、
    第1の座標値が版交換部数Eを超える第K番目(但し、K≧2)の区間に関する許容領域については、第1の座標値xをx−((K−1)×E)に置き換えた上で、請求項1518のいずれかに記載された許容領域設定部が実行する設定方法によって許容領域の設定を行うことを特徴とする環境負荷指標値の算出装置。
  20. 請求項1〜19のいずれかに記載の環境負荷指標値の算出装置において、
    算出用パラメータ入力手段が、CFP(Carbon Footprint of Products)、WFP(Water Footprint of Products)、もしくは、LCA(Life Cycle Assessment)の値を算出するために必要な算出用パラメータを入力し、
    指標値算出手段が、環境負荷指標値として、CFP(Carbon Footprint of Products)、WFP(Water Footprint of Products)、もしくは、LCA(Life Cycle Assessment)の値を算出することを特徴とする環境負荷指標値の算出装置。
  21. 請求項1〜20のいずれかに記載の環境負荷指標値の算出装置における算出履歴格納手段、検証用情報抽出手段および算出結果検証手段を備えることを特徴とする環境負荷指標値の検証装置。
  22. 請求項1〜20のいずれかに記載の環境負荷指標値の算出装置または請求項21に記載の環境負荷指標値の検証装置としてコンピュータを機能させるプログラム。
  23. 請求項1〜20のいずれかに記載の環境負荷指標値の算出装置が組み込まれた工程管理システムであって、
    所定の対象製品の生産工程もしくは流通工程またはその双方を管理する工程管理装置と、前記環境負荷指標値の算出装置と、を備え、前記環境負荷指標値の算出装置が、前記対象製品の環境負荷指標値を算出し、これを検証することを特徴とする工程管理システム。
  24. 請求項23に記載の工程管理システムであって、
    工程管理装置によって実行される工程管理処理に用いられる工程管理用パラメータと、環境負荷指標値の算出装置によって実行される環境負荷指標値の算出処理に用いられる算出用パラメータと、の間に、相互に共通する共通パラメータが存在し、
    前記環境負荷指標値の算出装置の一構成要素となる算出用パラメータ入力手段が、前記工程管理装置内に格納されている前記共通パラメータを取り込む機能を有することを特徴とする工程管理システム。
  25. 請求項19のいずれかに記載の環境負荷指標値の算出装置が組み込まれた統合印刷システムであって、
    少なくとも、印刷機と、製本装置と、工程管理用コンピュータと、を備えており、
    前記工程管理用コンピュータは、前記印刷機による印刷工程および前記製本装置による製本工程を管理する機能と、前記環境負荷指標値の算出装置としての機能と、を有することを特徴とする統合印刷システム。
  26. 請求項25に記載の統合印刷システムであって、
    工程管理用コンピュータが、工程管理用パラメータとして入力した頁サイズ、頁数、色数、用紙単位重量、製品部数を、算出用パラメータとしても利用することを特徴とする統合印刷システム。
  27. 特定の製品についての環境負荷指標値を算出する方法であって、
    コンピュータが、前記特定の製品についての環境負荷指標値の算出に用いる算出用パラメータを入力する算出用パラメータ入力段階と、
    コンピュータが、前記算出用パラメータ入力段階によって入力された前記特定の製品についての算出用パラメータを用い所定の算出式に基づく演算を行うことにより、前記特定の製品についての環境負荷指標値を算出する指標値算出段階と、
    コンピュータが、過去に環境負荷指標値の算出が行われた複数の製品を参照製品として、ある1つの参照製品について、算出された環境負荷指標値と、当該環境負荷指標値の演算に用いられた算出用パラメータの中から選出された所定の参照用パラメータと、を相互に対応づけた情報を、当該参照製品についての算出履歴として格納している記憶手段と、
    コンピュータが、算出用パラメータが異なると算出される環境負荷指標値の値が大きく変化する性質を有する算出用パラメータを、入力された算出用パラメータの中から抽出用パラメータとして選出し、前記記憶手段に格納されている算出履歴の中から、検証対象となる環境負荷指標値の算出に利用された抽出用パラメータと同一もしくは近似する値をもった抽出用パラメータを有する算出履歴を検証用情報として抽出する検証用情報抽出手段と、
    コンピュータが、第1の座標軸に、前記参照用パラメータをとり、第2の座標軸に、環境負荷指標値または環境負荷指標値に対して所定の係数を乗じる補正により得られる補正値をとった二次元座標系上に、検証用情報抽出段階で抽出した検証用情報に含まれる個々の算出履歴を、当該算出履歴に含まれる前記参照用パラメータを第1の座標に対応づけ、当該算出履歴に含まれる環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点としてプロットする算出履歴プロット段階と、
    コンピュータが、前記二次元座標系上に、プロットされた全履歴座標点を包含する所定の許容領域を設定する許容領域設定段階と、
    コンピュータが、前記特定の製品についての環境負荷指標値の算出に用いられた算出用パラメータのうちの前記参照用パラメータを第1の座標に対応づけ、前記特定の製品についての環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、前記二次元座標系上に判定対象座標点をプロットし、プロットされた判定対象座標点が、前記許容領域内にある場合には合格判定、前記許容領域外にある場合には失格判定を行う合否判定段階と、
    を有することを特徴とする環境負荷指標値の算出方法。
  28. 請求項27に記載の環境負荷指標値の算出方法において、
    コンピュータが、合否判定段階において合格判定がなされた場合に、指標値算出段階によって算出された環境負荷指標値と、当該環境負荷指標値の演算に用いられた算出用パラメータのうちの参照用パラメータと、を相互に対応づけた情報を、将来実行される別な製品についての検証用情報抽出段階で抽出される算出履歴として記憶手段内に格納する算出履歴格納段階を更に有することを特徴とする環境負荷指標値の算出方法。
  29. 請求項27または28に記載の環境負荷指標値の算出方法において、
    印刷物に関する環境負荷指標値の算出を行うために、
    算出用パラメータ入力段階で、特定の製品を構成する印刷物について、少なくとも、頁サイズと、頁数と、色数と、用紙単位重量と、製品部数とを算出用パラメータとして入力し、
    指標値算出段階で、印刷物に関する環境負荷指標値を算出するための算出式に基づいた演算を行うことにより環境負荷指標値を算出し、
    検証用情報抽出段階で、用紙単位重量を参照用パラメータとする算出履歴を抽出し、
    算出履歴プロット段階で、第1の座標軸に用紙単位重量をとり、検証用情報抽出段階で抽出した個々の算出履歴を、当該算出履歴に含まれる用紙単位重量を第1の座標に対応づけ、環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点としてプロットすることを特徴とする環境負荷指標値の算出方法。
  30. 請求項27または28に記載の環境負荷指標値の算出方法において、
    印刷物に関する環境負荷指標値の算出を行うために、
    算出用パラメータ入力段階で、特定の製品を構成する印刷物について、少なくとも、頁サイズと、頁数と、色数と、用紙単位重量と、製品部数とを算出用パラメータとして入力し、
    指標値算出段階で、印刷物に関する環境負荷指標値を算出するための算出式に基づいた演算を行うことにより環境負荷指標値を算出し、
    検証用情報抽出段階で、製品部数を参照用パラメータとする算出履歴を抽出し、
    算出履歴プロット段階で、第1の座標軸に製品部数をとり、検証用情報抽出段階で抽出した個々の算出履歴を、当該算出履歴に含まれる製品部数を第1の座標に対応づけ、環境負荷指標値またはその補正値を第2の座標に対応づけることにより、それぞれ履歴座標点としてプロットすることを特徴とする環境負荷指標値の算出方法。
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