JP6624468B2 - Tdp−43の凝集体が蓄積する疾患を治療及び/又は予防するための化合物のスクリーニング方法 - Google Patents

Tdp−43の凝集体が蓄積する疾患を治療及び/又は予防するための化合物のスクリーニング方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6624468B2
JP6624468B2 JP2018079645A JP2018079645A JP6624468B2 JP 6624468 B2 JP6624468 B2 JP 6624468B2 JP 2018079645 A JP2018079645 A JP 2018079645A JP 2018079645 A JP2018079645 A JP 2018079645A JP 6624468 B2 JP6624468 B2 JP 6624468B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tdp
antibody
rrm1
mutant
amino acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018079645A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018117638A (ja
Inventor
真 漆谷
真 漆谷
亮 北原
亮 北原
範子 藤原
範子 藤原
秀文 伊東
秀文 伊東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hyogo College of Medicine
Ritsumeikan Trust
Shiga University of Medical Science NUC
Original Assignee
Hyogo College of Medicine
Ritsumeikan Trust
Shiga University of Medical Science NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hyogo College of Medicine, Ritsumeikan Trust, Shiga University of Medical Science NUC filed Critical Hyogo College of Medicine
Priority to JP2018079645A priority Critical patent/JP6624468B2/ja
Publication of JP2018117638A publication Critical patent/JP2018117638A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6624468B2 publication Critical patent/JP6624468B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

本発明は、凝集体形成能を有するTDP-43変異体及び該TDP-43変異体内のRRM1ドメイン、
並びに該TDP-43変異体又はRRM1ドメインを利用したTDP-43の凝集体が蓄積する疾患を治療
及び/又は予防するための化合物のスクリーニング方法に関する。また、本発明は、TDP-
43の凝集体が蓄積する疾患のモデルとなるトランスジェニック非ヒト動物に関する。さら
に、本発明は、TDP-43の凝集体に結合する抗体又は抗体断片、該抗体又は抗体断片を含む
診断薬、診断用キット、並びに医薬組成物に関する。
主要な認知症の1型である前頭側頭葉変性症(FTLD)と最難治性致死性神経難病である筋
萎縮性側索硬化症(ALS)の原因タンパク質として、核タンパク質であるTDP-43 (TAR DNA-b
inding protein of 43kDa)が同定されている。TDP-43はFTLDやALSにおいて核の局在性が
低下し、細胞質内で病的凝集体を形成するがその機序は不明である。
TDP-43は、FTLDとALSにおけるユビキチン化封入体において非常に高率に認められるこ
とが判明している。現在TDP-43の異常病理所見を呈する疾患は、TDP-43プロテイノパチー
という疾患群と位置づけられ、各種の報告からTDP-43の機能異常がALS病態の本質である
可能性が高まっている。
このようにTDP-43の生理的・病理的機能を解明することはALSの克服に繋がる可能性が
あり、世界中で精力的な研究が進められている。TDP-43プロテイノパチーの最も明確且つ
重要な病理所見は、TDP-43の核染色性の低下と細胞質での封入体形成である。この異所性
局在の機能解明はALSの病態理解に不可欠である。
TDP-43の分子構造は、2ヶ所のRNA結合領域(RRM)とカルボキシル(C)末端側のグリシンリ
ッチ領域、核移行シグナル(NLS)、及び核外輸送シグナル(NES)を有する。
TDP-43は、本来核タンパク質であるが、FTLDやALSでは核外脱出と凝集体形成をし、そ
れらがユビキチン化とリン酸化を受けることが特徴とされている。さらにその際、TDP-43
が35kDa、25kDaの凝集性の高いC末端側の断片(C末断片)に切断されることが知られており
、病巣における共通の所見である。しかしながら、これまでの研究の蓄積から、こうした
現象は疾患の進行期のものであり、タンパク質構造異常を惹起する病初期の構造変化につ
いては未だ不明である。
TDP-43のC末断片は、実際に患者組織に存在し、培養細胞や遺伝子改変マウスで細胞質
内に封入体形成をすることが広く知られており(例えば、非特許文献1、2)、このシステ
ムを用いた薬剤スクリーニングは存在する。しかしながら、これら断片化が疾患発症の初
期に出現する証拠は皆無であり、動物実験でもこれら断片の過剰発現はALSモデルとして
は非典型的且つ不完全である。
また、FTLD及びALS以外にもTDP-43の異所性局在を呈する疾患として、低悪性度グリオ
ーマ、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、パーキンソン病、レビー小体病、
大脳皮質基底核変性症、封入体筋炎、B細胞リンパ腫(M期)等が報告されている。
TDP-43は、頭部外傷や軸索の引き抜き損傷、挫滅損傷で一過性に細胞質に異所性局在す
ることが報告されているが、この場合TDP-43の局在異常は一過性でFTLDやALSの病型を示
さない(非特許文献3)。
T. Nonaka et al.; Human Molecular Genetics, 2009, Vol.18, No.18, 3353-3364 Y-J Zhang et al.; Journal of Neuroscience, 2007, Vol.27, No.39, 10530-10534 T Sato et al.; Neuroscience, 2009, Vol.164, 1565-1578
しかしながら、TDP-43 トランスジェニック(Tg)マウスにおいてC末断片の出現は、表現
系出現の後期現象であり、C末断片の過剰発現のみでは細胞死は生じない。また、C末断片
のTDP-43 TgマウスはALSの表現系を示さない。このように、インビボにおいてTDP-43のC
末断片が疾患のトリガーとなることを示す証拠はない。また、全長TDP-43を用いたTDP-43
プロテイノパチーのモデルは現在存在しておらず、全長TDP-43のミスフォールディングに
いたる構造変化も不明である。
そこで、本発明は、全長配列において凝集体形成能及び細胞毒性を有するTDP-43変異体
、並びに該TDP-43変異体を利用したTDP-43の凝集体が蓄積する疾患を治療及び/又は予防
するための化合物のスクリーニング方法を提供することを目的とする。また、本発明は、
TDP-43の凝集体が蓄積する疾患のモデルとなるトランスジェニック非ヒト動物を提供する
ことを目的とする。
本発明者らは、TDP-43の凝集体形成にRRM1の構造変化が関わること、更にRRM1の構造変
化に重要な分子内配列を特定し、その突然変異体が培養細胞でFTLD、ALS患者と同様の病
理変化を示す疾患モデルとなるという知見を得た。
本発明は、これら知見に基づき、完成されたものであり、次のTDP-43変異体、RRM1ドメ
イン、化合物のスクリーニング方法、トランスジェニック非ヒト動物等を提供するもので
ある。
(I) TDP-43変異体、RRM1ドメイン
(I-1) TDP-43のアミノ酸配列において、173位及び/又は175位のシステインが置換された
アミノ酸配列からなるTDP-43変異体。
(I-2) (I-1)に記載のTDP-43変異体内のRRM1ドメイン。
(II) 化合物のスクリーニング方法(A)
(II-1) 以下の工程を含む、TDP-43の凝集体が蓄積する疾患を治療及び/又は予防するた
めの化合物のスクリーニング方法:
(1)(I-1)に記載のTDP-43変異体又は(I-2)に記載のRRM1ドメインに候補となる化合物を
接触させる工程、
(2)該化合物の凝集体形成阻害活性を検出する工程、及び
(3)凝集体形成を阻害する化合物を選択する工程。
(III) トランスジェニック非ヒト動物
(III-1) (I-1)に記載のTDP-43変異体をコードするDNAが導入されたトランスジェニック非
ヒト動物。
(III-2) 前記非ヒト動物がマウス、ラット、線虫又はショウジョウバエである、(III-1)
に記載のトランスジェニック非ヒト動物。
(III-3) (III-1)又は(III-2)に記載のトランスジェニック非ヒト動物を用いることを特徴
とする、TDP-43の凝集体が蓄積する疾患を治療及び/又は予防するための化合物のスクリ
ーニング方法。
(IV) 抗体又は抗体断片
(IV-1) TDP-43の108〜116位に対応するアミノ酸配列からなるペプチドに結合する抗体又
は抗体断片。
(IV-2) (IV-1)に記載の抗体又は抗体断片を含むTDP-43の凝集体が蓄積する疾患の診断薬

(IV-3) (IV-1)に記載の抗体又は抗体断片を含むTDP-43の凝集体が蓄積する疾患の診断用
キット。
(IV-4) (IV-1)に記載の抗体又は抗体断片を含む医薬組成物。
(IV-5) TDP-43の凝集体が蓄積する疾患の治療用及び/又は予防用である、(IV-4)に記載
の組成物。
(V) 化合物のスクリーニング方法(B)
(V-1) 以下の工程を含む、TDP-43の凝集体が蓄積する疾患を治療及び/又は予防するため
の化合物のスクリーニング方法:
(1)(I-1)に記載のTDP-43変異体又は(I-2)に記載のRRM1ドメインに、(IV-1)に記載の抗
体又は抗体断片と候補となる化合物を接触させる工程、
(2)該化合物の結合阻害活性を検出する工程、及び
(3)該抗体又は抗体断片の結合を阻害する化合物を選択する工程。
(V-2) 以下の工程を含む、TDP-43の凝集体が蓄積する疾患の診断用の化合物のスクリーニ
ング方法:
(1)(I-1)に記載のTDP-43変異体又は(I-2)に記載のRRM1ドメインに、(IV-1)に記載の抗
体又は抗体断片と候補となる化合物を接触させる工程、
(2)該化合物の結合阻害活性を検出する工程、及び
(3)該抗体又は抗体断片の結合を阻害する化合物を選択する工程。
(VI) ペプチド、核酸
(VI-1) TDP-43の108〜116位に対応するアミノ酸配列を含むペプチド。
(VI-2) (VI-1)に記載のペプチドをコードする核酸。
(VI-3) (VI-1)に記載のペプチド又は(VI-2)に記載の核酸を含む、TDP-43の凝集体に対す
る抗体の産生を刺激又は増強するための医薬組成物。
(VI-4) ワクチンである(VI-3)に記載の組成物。
本発明により、TDP-43の凝集体形成に関わる機能ドメインとキー配列を初めて同定した
。また、本発明のTDP-43変異体を発現する培養細胞は、患者の病理所見を再現した有効な
初めての培養細胞モデルとなる。
本発明のTDP-43変異体及びRRM1ドメインは、インビトロ又は細胞内での凝集体形成阻害
を指標とすることにより、TDP-43の凝集体が蓄積する疾患を治療及び/又は予防するため
の化合物のスクリーニングに活用可能である。
また、本発明のTDP-43変異体をコードするDNAを動物に導入することで、TDP-43の凝集
体が蓄積する疾患(例えば、ALS等)のモデル動物の作成が可能になり得る。
本発明の抗体及び抗体断片は、TDP-43細胞質封入体を特異的に認識できるので、TDP-43
の凝集体が蓄積する疾患の早期診断や治療及び予防への適用が期待される。また、本発明
の抗体又は抗体断片は、TDP-43の凝集体が蓄積する疾患の診断用及び治療用の化合物のス
クリーニング方法への適用も期待される。
また、本発明のペプチド又は核酸は、TDP-43の凝集体形成前の病的状態に対する抗体の
産生を刺激又は増強し得ることから、TDP-43の凝集体が蓄積する疾患の治療及び予防への
適用が期待される。
RRM1残基の概略図である。凝集したRRM1のプロナーゼ抵抗性フラグメントはLC-MS/MSによって分析した;モノアイソトピックm/z > 800を有する領域が示されている。アスタリスクで示されたアミノ酸残基は、2 kbar圧力処理後のNMR化学シフトでの不可逆的変化を示し、ミスフォールディングに関連するコア-a、-b及び-cとして示されている。 (A) 還元条件(DTT(+))又は非還元条件(DTT(-))下でのWT又は1つのRRM1 C/S変異体(C173S又はC175S)のウェスタンブロット分析の結果を示す。タンパク質は、0 h (-)又は16 h (+)震盪後に4℃で7日間インキュベートされた。(B)ダイマー/モノマー比の濃度分析の結果を示すグラフである。これは1つのC/S変異が分子間ジスルフィド結合形成を促進することを示している。 RRM1凝集体がアミロイドフィブリルを形成することを示すチオフラビンT (ThT)蛍光分析の結果を示す。RRM1タンパク質(0.03 mM)を4又は37℃で24時間インキュベート後にThT誘導体(BTA-1)と反応させた。データはコントロールと比べたThT比を示している。*one way ANOVAによるコントロールに対するp<0.05 各値は、3回の平均±平均の標準誤差(SE)を表している。 RRM1-C/S変異体を一過性に過剰発現させたHEK293A細胞の共焦点分析の結果を示す。核はDAPIで染色した。Bは、全てのコンストラクトでNLSを改変した細胞質移行型のTDP-43の共焦点顕微鏡所見である。スケールバー10μm (A) TDP-43-EGFPの全長のWT又はRRM1 C/S変異体を遺伝子導入したSHSY-5Yの共焦点顕微鏡分析の結果を示す。細胞はS409/S410でのphospho-TDP-43 (a-i)及びK48結合ユビキチン(j-o)を標的化する抗体を用いて染色した。核はDAPIによって染色した。細胞質におけるリン酸化又はユビキチン化封入体は矢印によって示されている。細胞質の封入体は両方の抗体に強く染色される。スケールバー10μm 上段:TDP-43-EGFP、中段:抗体、下段:TDP-43-EGFP+抗体+DAPI (B) RRM1-C/S置換を有するTDP-43が、ラクタシスチンによるプロテアソームの分解抑制によって、オリゴマー化することを示すウェスタンブロットの結果である。TDP-43-FLAGをHEK293A細胞に過剰発現させた;SDS処理された全細胞溶解液をSDS-PAGEによって分析し、FLAGとGAPDHを標的とする抗体と反応させた。(C) S409/S410でリン酸化されたTDP-43を標的とする抗体を用いたRRM1-C/S置換を有するTDP-43のウェスタンブロットの結果である。RRM1-C/S置換を有するTDP-43はより強くリン酸化され、ラクタシスチン処理はリン酸化されたTDP-43を増加させた(レーン5-10)。 (A) TDP-43-EGFPの全長WT又はRRM1 C/S変異と改変NLS (mNLS)を有するTDP-43-EGFPを一過性に過剰発現したSHSY-5Yの共焦点顕微鏡分析の結果を示す。細胞はS409/S410でのphospho-TDP-43 (a-i)及びK48結合ユビキチン(j-o)を標的化する抗体で染色した。核はDAPIによって染色した。細胞質におけるリン酸化又はユビキチン化封入体は矢印によって示されている。細胞質の封入体は両方の抗体に強く染色される。スケールバー10μm 上段:TDP-43-EGFP、中段:抗体、下段:TDP-43-EGFP+抗体+DAPI (B) RRM1-C/S置換を有するTDP-43がラクタシスチンによるプロテアソームの分解抑制によって、オリゴマー化することを示すウェスタンブロットの結果である。TDP-43-FLAGをHEK293A細胞に過剰発現させた;SDS処理した全細胞溶解液を、SDS-PAGEによって分析し、FLAGとGAPDHを標的とする抗体と反応させた。(C) S409/S410でリン酸化されたTDP-43を標的とする抗体を用いたRRM1-C/S置換を有するTDP-43のウェスタンブロットの結果を示す。変異NLSとRRM1-C/S置換を有するTDP-43は、RRM1-C/S置換のみの変異体よりも強くリン酸化され、ラクタシスチン処理による増強効果も強かった(レーン5-10)。 (A) HEK細胞にWT又は変異体TDP-43-EGFPを一過性に過剰発現させ、ウサギポリクローナル抗TDP-43抗体を用いて分析した。スケールバー50μm上段:TDP-43-EGFP+抗体、下段:TDP-43-EGFP+抗体+DAPI (B) 細胞質に異所性局在したTDP-43を有するTDP-43-EGFP発現細胞の定量の結果を示す。DCS, double C/S変異体 データは平均±SEで表されている(n=4)。各実験において21-70個の細胞をカウントした。*Newman-Keulsテストを用いたone way ANOVAによるWTに対するp<0.05 RRM1-C/S置換を有するTDP-43の核又は細胞質の凝集体が核のWT TDP-43を吸着させることを示す免疫蛍光分析の結果を示す。HEK293A細胞に、WT又はC/S変異体TDP-43-EGFP (正常のNLSを有するもの(a-f)、又は改変NLSを有するもの(g-l))を、WT TDP-43-FLAGと共発現させた。共局在したTDP-43-EGFPとTDP-43-FLAGは矢印によって示されている。スケールバー10μm 上段:TDP-43-EGFP、中段:抗体、下段:TDP-43-EGFP+抗体+DAPI 家族性ALSで同定されたTDP-43の突然変異体(A315T及びQ331K)を有するEGFP融合TDP-43タンパク質にC175S変異を導入し(d-f) (対照としてはC175S変異を有さないものを用いた(a-c))、HEK293A細胞に一過性に過剰発現させた。これを共焦点顕微鏡で観察し、盲目的にデジタルイメージを取得し、TDP-43-EGFPを発現した全細胞中の凝集体発現細胞の個数を計測した。データは平均±SEを表している(n=8画像)。各画像で20-120個の細胞をカウントした。*Newman-Keulsテストを用いたone way ANOVAによるp<0.05 (A) NSC34におけるTDP-43-EGFPの細胞内分布と封入体形成を示す共焦点顕微鏡写真である。左列:TDP-43-EGFP、中列:抗体、右列:TDP-43-EGFP+抗体+DAPI (B) マウス運動ニューロンNSC34細胞に、WT若しくはNLS (mNLS)及び/又はC173/C175 (C173S, C175S, C173S/C175S (DCS))を含む各種変異体のTDP-34-FLAGを一過性に過剰発現させた。分化培地で48時間インキュベーションした後、NSC34細胞に、生細胞計測のための細胞浸透性GF-AFCと死細胞計測のための細胞不透過性bis-AAF-R110を含む蛍光指示薬の混合液を投与し、37℃で2時間同時に反応させた。データは平均±SEを表す(2回の独立した実験からのn=6ウェル)。各値はベクターコントロールとの比を示す。* Newman-Keulsテストのone-way ANOVAによるベクターコントロールに対するp<0.05 # Newman-Keulsテストのone-way ANOVAによるWT TDP-43に対するp<0.05 上:core-a (aa 108-116)、-b (aa 134-142)、-c (aa 163-173)に対するポリクローナル抗体(各々pAb-RRM1-a、-b、-cとして示されている)を生成するために使用したRRM1中の抗原配列を示す概略図である。アスタリスクはNMRで不可逆的化学シフトを示した残基を示している。下:EGFP融合WT又はC/S変異TDP-43を一過性に発現するSHSY-5Y細胞を示す共焦点顕微鏡写真を示す。細胞はcore-aを標的とする抗体(pAb-RRM1-a)で免疫染色した。核はDAPIで染色した。スケールバー10μm 上段:TDP-43-EGFP、中段:抗体、下段:TDP-43-EGFP+抗体+DAPI 孤発性ALS患者(a-b)と非ALS被験者(c)からの脊髄切片をRRM1-aを標的とする抗体で染色した。矢印はレビー小体様ヒアリン封入体を示している。スケールバー50μm
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らはTDP-43における主なRNAの結合部位であるRRM1ドメインに着目した。RRM1
の安定同位体タンパク質を用いた高圧NMRとRRM1凝集体の質量解析によって、RRM1が易凝
集性を有し、その凝集に3つの特定アミノ酸配列(aa113-122、133-147、166-173)が関与す
ることを突き止めた。特にaa166-173を含むβシート構造は、圧力や震盪刺激、酸化スト
レスといった異常ストレス下でRRM1が異常会合する際の会合面となり、更に同部位に存在
する2つのシステイン残基(C173とC175)がフリー状態でないと凝集体形成が促進されるこ
とを発見した。
C173、C175をセリンに置換した変異体は、核内、細胞内で著明な封入体を形成し、細胞
質においてALSやFTLD患者で見られるようにユビキチン化やリン酸化を認め、更に運動ニ
ューロン培養細胞に神経毒性を示すことが明らかとなった。興味深いことに、C173/C175
変異によるRRM1の構造変化は、遺伝性ALSで報告されているTDP-43の突然変異の凝集原性
を著明に増悪し、これまで不明であった野生型TDP-43と変異型TDP-43の差異を明確に示し
たことから、ALSにおけるTDP-43の異常な構造変化に関与することが強く示唆された。
この3つのアミノ酸配列に対するウサギポリクローナル抗体を作製し、培養細胞でaa113
-122、166-173に対する抗体が正常の核内TDP-43を認識しないこと、C173、C175変異によ
る細胞内凝集体を認識することを確認した。ALS患者脊髄を用いた組織染色を行い、疾患
特異的なTDP-43の封入体がaa113-122に対する抗体で染色されることを明らかにし、C173
、C175の封入体モデルが疾患の病態を反映することを確認した。
本発明におけるTDP-43の凝集体が蓄積する疾患としては、これらに限定されるものでは
ないが、例えば、筋萎縮性側索硬化症、前頭側頭型認知症、低悪性度グリオーマ、アルツ
ハイマー病、ハンチントン病、ピック病、パーキンソン病、レビー小体病、大脳皮質基底
核変性症、封入体筋炎、B細胞リンパ腫(M期)等が挙げられるが、特に筋萎縮性側索硬化症
及び前頭側頭型認知症である。
TDP-43変異体、RRM1ドメイン
本発明のTDP-43変異体は、TDP-43のアミノ酸配列において、173位及び/又は175位のシ
ステインが置換されたアミノ酸配列からなることを特徴とする。
ヒト由来のTDP-43は、414アミノ酸からなるタンパク質であり、一次構造はヘテロリボ
核タンパク質(hnRNA)ファミリーと高い相同性を有している。TDP-43は2つの高く保存され
たRNA認識モチーフ(RRM1、RRM2)を有し、C末端側にはグリシンリッチ領域を含んでおり、
このグリシンリッチ領域はhnRNPファミリーのメンバーと結合する。
ヒト由来のTDP-43タンパク質のアミノ酸配列は、GenBank Accession No.NP_031401とし
て登録され、配列番号1に示されている。また、ヒト由来のTDP-43タンパク質をコードす
る遺伝子は、GenBank Accession No.NM_007375.3として登録され、cDNAは配列番号2に示
されている。
本発明におけるTDP-43としては、上記配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタン
パク質と同等の生物学的活性を有するものであれば、配列番号1で表されるアミノ酸配列
からなるタンパク質の変異体であってもよい。
本発明のTDP-43は、通常、動物由来であり、好ましくは哺乳動物由来、特に好ましくは
ヒト由来である。
本発明の「173位及び/又は175位のシステイン」とは、基本的には配列番号1で示され
るアミノ酸配列の173位及び/又は175位のシステインであるが、他のアミノ酸配列を有す
るTDP-43については同様の位置が該当する。
173位及び/又は175位のシステインを置換するアミノ酸の種類としては、本発明の効果
が得られる限り特に限定されないが、好ましくはセリン又はアラニンである。
本発明のTDP-43変異体は、更に核移行シグナル(NLS)が機能しない形で改変されている
ことが好ましい。
本発明のTDP-43変異体は、核内及び細胞内で封入体を形成し、運動ニューロン培養細胞
に神経毒性を示す。また、上記TDP-43変異体内のRRM1ドメインだけであっても、容易に凝
集体を形成する。そのため、本発明のTDP-43変異体及びRRM1ドメインは、以下に示すTDP-
43の凝集体が蓄積する疾患を治療及び/又は予防するための化合物のスクリーニング方法
等に使用可能である。
RRM1ドメインは、配列番号1で示されるアミノ酸配列では103〜183位の部分である。
化合物のスクリーニング方法(A)
本発明の化合物のスクリーニング方法は、以下の工程を含むことを特徴とする:
(1)上記TDP-43変異体又は上記RRM1ドメインに候補となる化合物を接触させる工程、
(2)該化合物の凝集体形成阻害活性を検出する工程、及び
(3)凝集体形成を阻害する化合物を選択する工程。
上記方法により選択される、上記TDP-43変異体又は上記RRM1ドメインの凝集体形成を阻
害する化合物は、TDP-43の凝集体が蓄積する疾患の治療及び/又は予防に有効であり得る
候補となる化合物は、特に制限なく使用することができるが、例えば、低分子化合物、
高分子化合物、生体高分子(タンパク質、核酸、多糖類等)等が挙げられ、このような化合
物を含む種々の化合物ライブラリーを使用することができる。
上記工程(1)における「接触させる」とは、上記TDP-43変異体又は上記RRM1ドメイン
にインビトロで候補となる化合物を接触させること、及び上記TDP-43変異体を発現する培
養細胞に候補となる化合物を接触させることの両方を包含する。
候補となる化合物の存在により、インビトロでの上記TDP-43変異体又は上記RRM1ドメイ
ンの凝集体の形成が、10%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは50%以上、更に好ま
しくは75%以上低下した場合、当該化合物をTDP-43の凝集体が蓄積する疾患の治療及び/
又は予防に有効なものとして選択できる。
インビトロでの凝集体形成阻害活性の測定方法としては、特に制限なく使用できるが、
例えば、吸光度計、ELISA法、SDS-PAGE又はウェスタンブロッティング法を用いることに
より凝集体の存在を確認する方法が挙げられる。
また、候補となる化合物の存在により、上記TDP-43変異体を発現する培養細胞中の(好
ましくは細胞質中の)封入体の形成が、10%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは50%
以上、更に好ましくは75%以上低下した場合、当該化合物をTDP-43の凝集体が蓄積する疾
患の治療及び/又は予防に有効なものとして選択できる。
培養細胞を用いた凝集体形成阻害活性の測定方法としては、特に制限なく使用できるが
、例えば、EGFPを結合させた上記TDP-43変異体を発現する培養細胞を蛍光顕微鏡を用いて
観察することにより封入体の存在を確認する方法が挙げられる。
トランスジェニック非ヒト動物
本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、上記TDP-43変異体をコードするDNAが導入
されていることを特徴とする。
本発明における非ヒト動物とは、ヒトを含まない脊椎動物や無脊椎動物を意味し、トラ
ンスジェニック動物の作製が可能な非ヒト動物であれば特に限定されず、例えば、マウス
、ハムスター、モルモット、ラット、ウサギ、ニワトリ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ウ
シ、ブタ、サル、線虫、ショウジョウバエ等を挙げることができるが、マウス、ラット、
線虫及びショウジョウバエが好ましく、マウスが特に好ましい。
トランスジェニック非ヒト動物の作製方法は公知である。具体的には、上記TDP-43変異
体をコードするDNAを動物の全能細胞に導入し、この細胞を個体へと発生させる。そして
、得られた個体の中から、体細胞及び生殖細胞中に導入遺伝子が組み込まれた個体を選別
することによって、目的とするトランスジェニック非ヒト動物を作製することができる。
遺伝子を導入する全能細胞としては、受精卵や初期胚以外に、ES細胞のような培養細胞な
どが挙げられる。
本発明のトランスジェニック非ヒト動物としては、上記TDP-43変異体をコードするDNA
を有するものであれば、トランスジェニック非ヒト動物のいずれの世代の動物であっても
よい。また、本発明のトランスジェニック非ヒト動物としては、上記TDP-43変異体をコー
ドするDNAをヘテロ又はホモのいずれで保持するものであってもよい。
本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、導入されたTDP-43変異体が核内及び細胞内
で封入体を形成し、運動ニューロン培養細胞に神経毒性を示すため、TDP-43の凝集体が蓄
積する疾患のモデル動物として利用することができ、TDP-43の凝集体が蓄積する疾患の治
療効果及び予防効果を評価することが可能である。そのため、本発明のトランスジェニッ
ク非ヒト動物を使用することにより、TDP-43の凝集体が蓄積する疾患を治療及び/又は予
防するための化合物のスクリーニングを行うことができる。
例えば、本発明のトランスジェニック非ヒト動物に、候補となる化合物を投与し、該ト
ランスジェニック非ヒト動物の運動能力などを評価することにより、該化合物のTDP-43の
凝集体が蓄積する疾患に対する治療効果や予防効果を評価することができる。また、本発
明のトランスジェニック非ヒト動物に候補となる化合物を投与し、投与後における脳内の
細胞中のTDP-43封入体について分析することにより、該化合物のTDP-43の凝集体が蓄積す
る疾患に対する治療効果や予防効果を評価することもできる。
抗体又は抗体断片
本発明の抗体又は抗体断片は、TDP-43の108〜116位に対応するアミノ酸配列からなるペ
プチドに結合することを特徴とする。
ここで、結合の対象となるペプチドは、TDP-43の一部分の状態のもの、及び当該ペプチ
ドのみからなるものの両方を含む。
「108〜116位に対応するアミノ酸配列」とは、基本的には配列番号1で示されるアミノ
酸配列におけるVLGLPWKTTであるが、他のアミノ酸配列を有するTDP-43については同様の
アミノ酸配列が該当する。
TDP-43の108〜116位のアミノ酸残基は、TDP-43の凝集体において構造変化により外部露
出しているため抗体と結合し易い構造になるが、野生型では抗体と結合し難い構造を取っ
ていると考えられる。
上記抗体又は抗体断片は、公知の方法に従って取得することが可能であり、例えば、実
施例に記載の方法により取得することができる。また、上記抗体はモノクローナル抗体又
はポリクローナル抗体のいずれでもよく、またヒト化されたキメラ抗体であってもよい。
抗体断片としてはFab、Fab'、F(ab')2、Fv、scFv等が挙げられ、抗体又は抗体断片は蛍光
色素等により修飾されていてもよい。当該抗体又は抗体断片は、ELISA法、ウェスタンブ
ロッティング法、プロテインチップによる解析法等に使用することで上記ペプチドを検出
することができる。
本発明の診断薬及び診断用キットは、上記抗体又は抗体断片を含むことを特徴とし、TD
P-43の凝集体を検出することが可能である。そのため、本発明の診断薬及び診断用キット
により、TDP-43の凝集体が蓄積する疾患の診断が可能となり得る。
本発明の医薬組成物は、ヒトを含む哺乳動物に投与されるものであって、上記抗体又は
抗体断片を含むことを特徴とし、TDP-43の凝集体が蓄積する疾患の治療及び/又は予防の
効果を有し得る。これは、TDP-43の108〜116位のアミノ酸残基は、疾患や変異によって構
造変化が起こり、抗体と結合し易い構造になるためと考えられる。
本発明の医薬組成物は、その使用形態に応じて、生物学的に許容される担体、賦形剤等
を任意に含有できる。本発明の医薬組成物は、常套手段に従って製造することができる。
例えば、必要に応じて糖衣や腸溶性被膜を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイ
クロカプセル剤等として経口的に、軟膏、硬膏等の外用剤、噴霧剤、吸入剤等として経皮
的、経鼻的又は経気管的に、水又はそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、懸
濁液剤等の注射剤の形で非経口的に使用できる。
本発明の医薬組成物の投与量は、剤型の種類、投与方法、患者の年齢や体重、患者の症
状等を考慮して、最終的には医師の判断により適宜決定できる。
化合物のスクリーニング方法(B)
本発明の 化合物のスクリーニング方法は、以下の工程を含むことを特徴とする:
(1)上記TDP-43変異体又は上記RRM1ドメインに、上記抗体又は抗体断片と候補となる化
合物を接触させる工程、
(2)該化合物の結合阻害活性を検出する工程、及び
(3)該抗体又は抗体断片の結合を阻害する化合物を選択する工程。
上記方法により選択される、上記TDP-43変異体又は上記RRM1ドメインへの上記抗体又は
抗体断片の結合を阻害する化合物は、TDP-43の凝集体が蓄積する疾患及び/又は予防、並
びにTDP-43の凝集体が蓄積する疾患の診断に有効であり得る。
候補となる化合物は、特に制限なく使用することができるが、例えば、低分子化合物、
高分子化合物、生体高分子(タンパク質、核酸、多糖類等)等が挙げられ、このような化合
物を含む種々の化合物ライブラリーを使用することができる。
候補となる化合物の存在により、上記の抗体又は抗体断片の結合が、10%以上、好まし
くは25%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは75%以上低下した場合、当該化合
物をTDP-43の凝集体が蓄積する疾患の治療及び/又は予防、並びにTDP-43の凝集体が蓄積
する疾患の診断に有効なものとして選択できる。結合阻害活性の測定方法としては、特に
制限なく使用できるが、例えば、ELISA法が挙げられる。
ペプチド、核酸
本発明のペプチドは、 TDP-43の108〜116位に対応するアミノ酸配列を含むことを特徴
とし、本発明の核酸は、該ペプチドをコードすることを特徴とする。
「108〜116位に対応するアミノ酸配列」とは、基本的には配列番号1で示されるアミノ
酸配列におけるVLGLPWKTTであるが、他のアミノ酸配列を有するTDP-43については同様の
アミノ酸配列が該当する。
本発明のペプチドは、 好ましくはTDP-43の108〜116位に対応するアミノ酸配列からな
る。
本発明の医薬組成物は、ヒトを含む哺乳動物に投与されるものであって、上記ペプチド
又は上記DNAを含むことを特徴とし、TDP-43の凝集体に対する抗体の産生を刺激又は増強
し得る。TDP-43の108〜116位に対応するアミノ酸残基は、疾患や変異によって構造変化が
起こり、抗体と結合し易い構造になるが、野生型のTDP-43では、抗体と結合し難い構造を
とっていると考えられる。そのため、本発明の医薬組成物は、TDP-43の凝集体が蓄積する
疾患の予防の効果を有するワクチンとして機能し得る。また、本発明の医薬組成物は、TD
P-43の凝集体が蓄積する疾患の治療及び/又は予防の効果を有し得る。
本発明の医薬組成物は、その使用形態に応じて、生物学的に許容される担体、賦形剤等
を任意に含有できる。本発明の医薬組成物は、常套手段に従って製造することができる。
例えば、必要に応じて糖衣や腸溶性被膜を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイ
クロカプセル剤等として経口的に、軟膏、硬膏等の外用剤、噴霧剤、吸入剤等として経皮
的、経鼻的又は経気管的に、水又はそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、懸
濁液剤等の注射剤の形で非経口的に使用できる。
また、本発明の医薬組成物は、細胞又は組織内で上記ペプチドを発現させることができ
るDNAを使用した非ウイルスベクター又はウイルスベクターを含むものであってもよい。
非ウイルスベクターによる投与方法としては、リポソームを用いてDNAを導入する方法、
マイクロインジェクション法、遺伝子銃でキャリアとともにDNAを細胞に移入する方法等
が挙げられる。ウイルスベクターを用いて投与する方法としては、組換えアデノウイルス
、レトロウイルスなどのウイルスベクターを利用する方法が挙げられ、上記ペプチドを発
現するベクターを無毒化したアデノウイルス、レトロウイルス等に導入し、細胞又は組織
にこのウィルスを感染させることにより細胞又は組織内に遺伝子を導入することができる
本発明の医薬組成物の投与量は、剤型の種類、投与方法、患者の年齢や体重、患者の症
状等を考慮して、最終的には医師の判断により適宜決定できる。
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。しかし、本発明はこれら実施
例に何ら限定されるものではない。
<プラスミド構築及びプロテイン精製>
ヒトのRRM1 (aa 103-183)のcDNAは、テンプレートとして以前報告されたコンストラク
ト(pcDNA3-TDP-43-FLAG)を用いたPCRによってクローン化した(1)。システインをセリン(C
/S)にする置換変異、家族性ALS関連変異体(A315T及びQ331K)、及びNLS変異体(mNLS)は以
前報告されたように部位特異的突然変異導入を使用して生成した(1)。ヒトTDP-43のRRM1
欠失変異体(ΔRRM1)は、除去される欠失部位へのプライマーを設計することでPCRによっ
て生成した。これらのcDNAは、pcDNA3、培養細胞実験のためのpEGFP-N2 (Clontech, Palo
Alto. CA)、及び組換えタンパク質を生成するためにpGEX-6p-1に、それぞれBamHI/XhoI
、XhoI/BamHI及びBamHI/XhoIサイトでサブクローン化した。組換えタンパク質は、以前報
告されているようにE. coliで産生させ精製した(1)。
(1) J. Neurosci. Res. 88, 784-797(2010)
<抗体>
ウサギポリクローナル抗TDP-43抗体(Sigma, St. Louis, MO)は、RRM1ドメインのウェス
タンブロット分析のために使用した(1:1000希釈)。他のウサギポリクローナル抗TFP-43抗
体(Proteintech, Chicago, IL)は、免疫蛍光のために使用した(1:1000)。マウスモノクロ
ーナル抗FLAG (M2) (Sigma)は、免疫蛍光染色、ウェスタンブロッティングとも1:500希釈
で使用した。ウサギポリクローナル抗phospho-TDP-43抗体は、免疫蛍光、ウェスタンブロ
ッティングともに1:500希釈で使用した。ウサギモノクローナル抗K48-specific ubiquiti
n (Millipore, Temecula, CA)は、免疫蛍光のために1:500希釈で使用した。RRM1ドメイン
のミスフォールド関連コアに対する抗血清を生成する方法は、以下に記載する。
<NMR測定>
タンパク質のサンプルを、20 mM d-Tris-HClバッファー中に1.1 mM、pH 7.0で調製した
1H-NMRと15N/1H HSQC測定を、25℃で30 barから2000 barまで500 bar毎に行った。分析
は、以前報告されているように高圧NMRセルと組み合わせたDRX600スペクトロメーター(Br
uker biospin Co., Fallanden, Switzerland)を用いて行った(2)。溶液中のRRM1の3次元
構造は、通常の三重共鳴NMR技術によって決定した。1H化学シフトはDSSのメチル共鳴を直
接参照し、一方で15N化学シフトは、DSSの1H化学シフトを間接的に参照した。
(2) Chemical Reviews 106, 1814-1835(2006)
<組換えタンパク質と培養細胞溶解液の生化学的分析>
組換えタンパク質は、22℃16時間800 rpmでマルチボルテックスミキサーにより震盪さ
せ、次に4℃でインキュベートした。その後、タンパク質をLDSサンプリングバッファー(I
nvitrogen, Carlsbad, CA)と共に、70℃で20分間の反応よって変性させた後、SDS-PAGEを
行った。パーフルオロオクタン酸(PFO, Fluorochem Ltd, Derbyshire, UK)は、細胞質と
膜タンパク質の両方のタンパク質-タンパク質相互作用を保存する非解離性界面活性剤で
ある。タンパク質サンプルは、同量のPFOサンプリングバッファー(100 mM Tris base, 2%
NaPFO, 20% glycerol, 0.005% Bromophenol Blue, pH 8.0)と混合し、22℃で1時間イン
キュベートした。タンパク質サンプルは、予め冷却したランニングバッファー(0.5% NaPF
O, 25 mM Tris-HCl, 192 mM Glycine, pH 8.5)を使用して4-12%勾配ポリアクリルアミド
ゲル(Novex, Tris-Bis gel, Invitrogen)で140Vで分離した。SDS-PAGE又はPFO-PAGEのた
めに、サンプルは、ジチオスレイトール(DTT)を含む又は含まないプロテアーゼ阻害剤カ
クテル(Roche)及び/又はホスファターゼ阻害剤カクテル(Nacalai Tesque, Kyoto, Japan
)を含む2%SDS-サンプルバッファーで変性した。サンプルは、SDS-PAGEによって分離し、
ウェスタンブロッティングのためのPVDF膜に転移した。抗体検出は、増強した化学ルミネ
センス(Nacalai Tesque)を用いて行った。PFO-PAGE後のゲルは、クマシーブリリアントブ
ルー(CBB、ナカライテスク)によって染色した。
<チオフラビンTアッセイ>
熱変性RRM1によるアミロイド形成は、チオフラビンTアッセイを使用して評価した。示
した時間4℃での事後的なインキュベーション後に、タンパク質溶液は当モル量のチオフ
ラビン誘導体BTA-1 (Sigma)と反応させた。蛍光は、マルチプレートリーダー(Tecan, Man
nedorf, Switzerland)を使用して440 nm (励起)及び480 nm (発光)で測定した。
<LC-MS/MS分析>
プロナーゼ分解されたRRM1タンパク質凝集体のLC-MS/MS分析は、概ね以前に報告された
方法に従って行った(3)。RRM1タンパク質凝集体(25μg)は、100μLの消化バッファー(50
mM Tris, 100 mM NaCl, 5 mM CaCl2, pH 8.0)に再懸濁し、5μgのプロナーゼ(Millipore)
と混合し、37℃で1時間インキュベートした。反応混合液のタンパク質は100000 g、4℃で
30分間超遠心によって沈降した。ペレットは20μLのバッファー(50 mM Tris, 500 mM NaC
l, 6 M GdnHCl, 5 mM EDTA, 5 mM DTT, pH 8.0)中に回収し、NuTip C-18 (Glygen Co, Co
lumbia, MD)を使用して脱塩した。バッファーは、蒸留水中の2%アセトニトリル及び0.1%
トリフルオロ酢酸(Nacalai, Kyoto, Japan)で置換した。分解されたフラグメントは、LC-
MS/MS (Paradigm MS4, AMR, Kyoto, Japan; Finigan LCQ Advantage MAX, Thermo Electr
on, Waltham, MA)で分析した。
(3) J. Biol. Chem. 286, 18664-18672(2011)
<細胞培養、形質導入>
全ての培養細胞は、5%CO2、湿度100%、37℃の状態にあった。HEK293A細胞(Invitrogen)
は、10%ウシ胎児血清とペニシリン/ストレプトマイシン(PS)を含むダルベッコ改変イー
グル培地で維持し、ヒトニューロブラストーマ細胞株SHSY-5Yは、15%ウマ血清、非必須ア
ミノ酸(Invitrogen)を含むDMEM/F12-Ham培地で培養し、マウス運動ニューロン細胞株NSC3
4細胞(Cellutions biosystems, Vancouver, BC)は、10%FBSを含むDMEMで培養維持した。
分化のために、培地を1%非必須アミノ酸(NEAA)を含むDMEM/F12-Ham中に3%FBSを含む分化
培地に変更した。FuGene HD transfection kit (Roche, Basel, Switzerland)をプラスミ
ド導入のために使用した。トランスフェクションの48時間後に、細胞に種々の分析を行っ
た。
<免疫細胞化学及び共焦点顕微鏡観察>
4%PFAで固定化後、細胞は5%ヤギ血清及び0.2%Triton X100を含むPBS中で室温で1時間イ
ンキュベートした。細胞は0.1% Triton X100を含むPBS中で各種一次抗体と室温で1時間反
応させ、その後、同じバッファー中で蛍光二次抗体(Alexa 488, Invitrogen; CF 568, Bi
otium, Hayward, CA)と反応させた。PBSで三回洗浄後に、2μg/mLを含むPBS中で細胞をイ
ンキュベートすることによって核を染色した。染色された細胞は、共焦点レーザー顕微鏡
(Nikon, C1 SI, Tokyo, Japan)によって分析した。細胞カウント実験のために、7、8枚の
写真をランダムに撮った(1画像当たり20〜50個のGFP陽性細胞)。全蛍光細胞と封入体陽性
細胞の細胞カウントは、ImageJソフトウェアを使用して盲目様式で行った。
<細胞死アッセイ>
生細胞に由来するプロテアーゼ活性と死細胞から放出される細胞外空間に由来するプロ
テアーゼ活性を測定することによって生細胞と死細胞を同時に測定することができる、市
販のダブル蛍光アッセイ(Multitox-Fluor Multiplex cytotoxicity assay, Promega)を用
いて、過剰発現した細胞の生存率と毒性を評価した。この方法は、ウェル間での異なるト
ランスフェクション効率を最小化することができる。NSC34細胞は、トランスフェクショ
ン1日前に、ウェル当たり1×104の濃度で96ウェル蛍光観察用黒色プラスチック培養容器(
CN137101, Nunc)に播種した。WT又は各種変異体のFlagタグTDP-43のプラスミドをFuGene
HD transfection kit (Roche)を使用して0.2μg/wellで導入し、次の日に分化培地に交換
した。トランスフェクションの48時間後に、それぞれ生細胞と死細胞に対する蛍光指示薬
である、細胞浸透性GF-AFCと細胞不透過性bis-AAF-R110を加えた。2時間のインキュベー
ション後に、生細胞については400/505 nm、死細胞については485/520 nmの励起/発光を
各々使用し、マルチプレートリーダー(Infinite 200, TECAN, Mannedorf, Switzerland)
でRFUを得た。Bis-AAF-R110蛍光は生存率を評価するためにGF-AFCの内部標準として使用
した。細胞毒性比はベクターコントロールとの比として表した。
<凝集関連RRM1を標的化する抗体の生成>
ウサギを、LC-MS/MSと高圧NMR分析で凝集関連配列として特定したキーホールリンペッ
トヘモシアニン結合ペプチド(CVLGLPWKTT, CQVKKDLKTG, SQRHMIDGRWC; それぞれRRM1-a,
RRM1-b, RRM1-cと称している)で免疫した。RRM1-a及びRRM1-cでの免疫化後に得られた抗
血清は、組換えRRM1と全長TDP-43タンパク質に対して特異的且つ高い反応性を示した。抗
体特異性は、ウェスタンブロッティングとELISAによって確認した。プロテインAを使用し
て精製したIgGは、免疫蛍光及び免疫組織化学(1:500)のために使用した。
<ALS患者由来の検体の免疫組織化学>
実験手順は、京都大学の倫理委員会のガイドラインによって承認され、当該ガイドライ
ンの下で行われた。孤発性ALSの確定診断を有する3人の患者及び年齢が一致する3人の非A
LS検体由来の腰髄を用いた。腰髄ブロックは切除後、直ぐに10%緩衝化ホルマリン中でイ
ンキュベートさせパラフィン包埋を行った。切片(6μm)は抗原賦活化のためにオートクレ
ーブによって処理し(10 mMクエン酸ナトリウムバッファー中で121℃10分)、3%BSAを含むP
BS中でRRM1-a又はRRM1-cに対する一次抗体で一晩4℃でインキュベートした。抗体反応は
、色素原の3,3’-ジアミノベンジジン四塩酸塩と共にVectastain Elite ABC kit (Vector
Laboratories, Burlingame, CA)を使用して可視化した。染色特異性は、一次抗体を3%BS
Aを含む適当な量のPBSと置き換えて、染色性を認めなかったことによって評価した。
<統計>
多重比較は、Prism software (Graphpad, La Jolla, CA)を用いたNewman-Keuls多重比
較テストでのone way ANOVAによって解析した。
試験例1
RRM1ドメインの部位特異的高次構造上の変動は、高圧NMR分光法を用いて調査した。圧
力は、分子会合の潜在的リスクである部分的に乱れた高次構造を増加させるために使用し
た。通常多くのタンパク質で可逆的な構造変化を誘発する2000 barでの圧力処理前後の、
30 barにおける該ドメインの15N/1H HSQCスペクトルの重ね合わせにより、化学シフトの
不可逆的な変化が(特にaa 113-122, 133-147, 及び166-173における多くの残基で)明らか
になった。
NMRによって特定された3つのRRM1コア領域の役割を更に調査するために、非特異的プロ
テアーゼであるプロナーゼで分解された震盪誘導RRM1凝集体のマススペクトル分析を行っ
た。多数の分解されなかったペプチドが特定されたが、これは物理的ストレスの間にこれ
らのコア領域が構造変化しプロテアーゼが接近できなくなったことを示している。面白い
ことに、プロテアーゼ抵抗性フラグメントの3つのクラスターは、NMRによって特定された
ものにマッチしていた(core-a, core-b, core-c、図1)。特に4と5番目のβストランドに
位置するcore-cは、最もプロテアーゼに抵抗性の非分解産物を豊富に含んでいた(図1)。
試験例2
RRM1凝集体は、5番目のβストランドのC173とC175により媒介されたジスルフィド結合
によるオリゴマーの画分を含んでいた。C173とC175が酸化されてTDP-43のオリゴマーを形
成することが以前報告されているので、C173とC175のシステインをセリンに置換すること
(C/S変異体)でオリゴマー形成が抑制できるかどうかを調査した。しかしながら、1つのC/
S変異体(C173SとC175S)は、静置した状態でも、むしろDTT感受性オリゴマー形成が促進さ
れた(図2A, B)。さらに、二重のC/S変異体(C173S/C175/S)はより不安定であり、震盪が
ない場合でさえ不規則なオリゴマーや凝集体を形成した。チオフラビンTアッセイにおい
ても、システイン置換がβシート形成を増加させ、二重のC/S変異体は1つのC/S変異体よ
り高いチオフラビンT蛍光を示した(図3)。
試験例3
全長TDP-43の高次構造におけるC173とC175の役割を調査した。WT又はC/S変異体(C173S,
C175S, C173S/C175S)RRM1を含むC末端EGFP融合TDP-43コンストラクトは、共焦点顕微鏡
分析のためにHEK293A細胞に過剰発現させた。RRM1ドメイン分析から得られたデータと一
致し、1つ又は二重のC/S変異は顕著な全長TDP-43の凝集体又は封入体の形成を生じた。そ
れらは、主に核にあるが、一部で細胞質にも存在した(図4A)。RRM1はRNAとの結合能力を
喪失すると、染色体のクロマチンに局在することで凝集体形成をすることが報告されてい
る。RRM1 C/S変異を有するTDP-43の核封入体が単にDNA/RNAと結合できないためという可
能性を除外するため、NLSを改変することによってC174S及び/又はC175Sを有する細胞質T
DP-43変異体を生成した。その結果RRM1 C/S変異と変異体NLS (mNLS)を含むTDP-43は、ク
ロマチンの存在しない細胞質においても丸い封入体を頻繁に形成した(図4B)。
試験例4
RRM1-C/S変異体で共有されるプロテイノパチーの病原性の特徴の程度を評価するために
、ユビキチン化又はリン酸化に対する免疫細胞化学を行った。ヒト神経SHSY-5Y細胞にお
いて、RRM1-C/S変異TDP-43の核封入体のほとんどがリン酸化されない一方、細胞質封入体
はphospho-TDP-43標的化抗体(図5A、d-i)又はK48結合ユビキチン抗体(図5A、m-o)に強
い反応性を示した。さらに、改変NLSシグナルを有するRRM1-C/S変異によって引き起こさ
れる細胞質TDP-43封入体は、S409とS410で頻繁にリン酸化(図6A、d-i)、及びユビキチン
化(図6A、m-o)された。全ての細胞質封入体がユビキチン又はリン酸化によって修飾され
ていないことは注目すべき点であり、これは凝集が細胞質でのそのような修飾より先に起
こることを示している。RRM1 C/S置換無しでは細胞質TDP-43は、抗phospho-TDP-43抗体(
図6A, a-c)又は抗ユビキチン抗体(図6A、j-l)への明確な反応性を示さなかった。WT (
図5B)又は変異NLS (図6B)を有するRRM1-C/S置換を含むFLAGタグTDP-43のウェスタンブ
ロット分析は、RRM1-C/S TDP-43がプロテアソーム阻害剤の存在下で容易にオリゴマー化
することを明らかにした。さらに、RRM1-C/S置換を含むTDP-43タンパク質は、特にプロテ
アソーム阻害剤ラクタシスチンの存在下で、WT TDP-43タンパク質より多くS409/S410にお
いてリン酸化された(図5C)。さらに、RRM1-C/S変異体の異所性局在の形態は、ラクタシ
スチンが無い場合でさえ、S409とS410のリン酸化に対してより感受性があった(図6C)。
試験例5
TDP-43プロテイノパチーの特徴に注目し、RRM1-C/S変異によって引き起こされるミスフ
ォールドしたTDP-43の機能的な評価を行った。
特にRRM1-C/Sを有するTDP-43の核内凝集体の形成が、核内TDP-43の細胞質への異所性局
在を誘導することが、抗TDP-43抗体を使用した免疫細胞化学によって明らかとなった(図
7)。さらに、RRM1-C/Sを有するTDP-43の核と細胞質の両方の封入体は、共発現したWT TD
P-43-FLAGタンパク質と共局在した(図8、f及びi)。これはミスフォールドしたTDP-43が
、核と細胞質の両方で野生型の核TDP-43を凝集体に吸着し得ることを示している。
試験例6
家族性ALS患者でこれまで同定されたTDP-43の突然変異体タンパク質は、優性形質を有
するにも関わらず、WTと比べて変異TDP-43の著明な凝集傾向の違いを示さない(図9A a-c
, B)。ところが、A315TとQ331Kの家族性ALS (FALS)関連変異TDP-43におけるRRM1-C/Sの導
入は、明確にWTと比べてFALS変異体の凝集傾向を強めた(図9A d-f, B)。
TDP-43プロテイノパチーにおいて神経毒性に直結するTDP-43の病原構造は不明である。
特に、封入体の毒性の有無については一定の見解を見ない。よって、生存細胞と死細胞に
関するマーカーの同時測定を行い、運動ニューロン細胞株NSC34細胞を使用してTDP-43の
核又は細胞質凝集体の毒性を調査した。その結果、全ての改変されたNLSを有するRRM1-C/
S変異体がベクターコントロールと比べて毒性を有意に増加させた一方、核に異所性局在
するだけでは有意な毒性を示さなかった(図10A、B)。さらに、核凝集形態(C173S, C175
S)とFALS関連変異TDP-43は明らかな毒性を引き起こさなかった(図10B)。
試験例7
RRM1-C/S変異体によって引き起こされるTDP-43封入体がALSの病態に関連するか否かを
調査するために、3つのRRM1コア領域(図11)に対するウサギポリクローナル抗体(pAbs)
を生成した。RRM1と全長TDP-43の両方に対して高い抗体価を示した2つの抗血清が、core-
aとcore-cについて得られた(pAb-RRM1-aとpAb-RRM1-c)。培養細胞では、pHb-RRM1-aとpAb
-RRM1-cは、核で高濃度に発現したTDP-43を除いて、内在性又は外部のWT TDP-43には殆ど
反応しなかった(図11)。一方、RRM1-C/S変異を有するTDP-43の凝集体は、両方のpAbに
よって明確に認識された(図11)。これらの結果は、凝集に関連するコアはTDP-43 RRM1-
C/S変異体による凝集体で外部露出されていることを示している。
上記pAbsがALS患者におけるTDP-43封入体を認識するかを試験した。免疫組織化学的分
析は、pAb-RRM1-aは孤発性ALS患者の脊髄運動ニューロン中のレビー小体様ヒアリン封入
体を認識した(図12)。核のTDP-43は、細胞質TDP-43凝集体の存在にも関わらず、運動ニ
ューロンではpAb-RRM1-aによって染色されなかった。これは培養細胞の結果と一致してい
る。これらの結果は、TDP-43のRRM1-C/S置換誘導封入体はALSのものと共通の高次構造変
化を共有することを示唆している。

Claims (6)

  1. TDP-43の部分アミノ酸配列であって、配列番号1で示されるアミノ酸配列の108〜116位に相当するアミノ酸配列からなるペプチドに結合する抗体又は抗体断片。
  2. 請求項1に記載の抗体又は抗体断片を含むTDP-43の凝集体が蓄積する疾患の診断薬。
  3. 請求項1に記載の抗体又は抗体断片を含むTDP-43の凝集体が蓄積する疾患の診断用キット。
  4. 以下の工程を含む、TDP-43の凝集体が蓄積する疾患の診断用の化合物のスクリーニング方法:
    (1)TDP-43のアミノ酸配列において、配列番号1で示されるアミノ酸配列の173位及び/又は175位に相当するシステインが置換されたアミノ酸配列からなるTDP-43変異体又は該TDP-43変異体内のRRM1ドメインに、請求項1に記載の抗体又は抗体断片と候補となる化合物を接触させる工程、
    (2)該化合物の結合阻害活性を検出する工程、及び
    (3)該抗体又は抗体断片の結合を阻害する化合物を選択する工程。
  5. TDP-43の部分アミノ酸配列であって、配列番号1で示されるアミノ酸配列の108〜116位に相当するアミノ酸配列のみからなるペプチド。
  6. 請求項に記載のペプチドをコードする核酸。
JP2018079645A 2018-04-18 2018-04-18 Tdp−43の凝集体が蓄積する疾患を治療及び/又は予防するための化合物のスクリーニング方法 Active JP6624468B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018079645A JP6624468B2 (ja) 2018-04-18 2018-04-18 Tdp−43の凝集体が蓄積する疾患を治療及び/又は予防するための化合物のスクリーニング方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018079645A JP6624468B2 (ja) 2018-04-18 2018-04-18 Tdp−43の凝集体が蓄積する疾患を治療及び/又は予防するための化合物のスクリーニング方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013046451A Division JP6332723B2 (ja) 2013-03-08 2013-03-08 Tdp−43の凝集体が蓄積する疾患を治療及び/又は予防するための化合物のスクリーニング方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018117638A JP2018117638A (ja) 2018-08-02
JP6624468B2 true JP6624468B2 (ja) 2019-12-25

Family

ID=63044446

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018079645A Active JP6624468B2 (ja) 2018-04-18 2018-04-18 Tdp−43の凝集体が蓄積する疾患を治療及び/又は予防するための化合物のスクリーニング方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6624468B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20210363202A1 (en) * 2018-10-01 2021-11-25 Inter-University Research Institute Corporation Research Organization Of Information And Systems Fusion protein and utilization thereof

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8715643B2 (en) * 2008-04-09 2014-05-06 Tokyo Metropolitan Institute Of Medical Science TDP-43-storing cell model

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018117638A (ja) 2018-08-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Shodai et al. Aberrant assembly of RNA recognition motif 1 links to pathogenic conversion of TAR DNA-binding protein of 43 kDa (TDP-43)
Shukla et al. A truncated peptide from p35, a Cdk5 activator, prevents Alzheimer's disease phenotypes in model mice
JP5667872B2 (ja) Tdp−43蓄積細胞モデル
Wu et al. Arc/Arg3. 1 regulates an endosomal pathway essential for activity-dependent β-amyloid generation
De Vos et al. VAPB interacts with the mitochondrial protein PTPIP51 to regulate calcium homeostasis
Herskowitz et al. Asparaginyl endopeptidase cleaves TDP‐43 in brain
US10016414B2 (en) Modulation of ubiquitination of synaptic proteins for the treatment of neurodegenerative and psychiatric disorders
KR20090048192A (ko) 치매(알츠하이머 병)의 진단, 예방, 치료제 및 이들의스크리닝 방법
Daude et al. Biological properties of the PrP-like Shadoo protein
JP6332723B2 (ja) Tdp−43の凝集体が蓄積する疾患を治療及び/又は予防するための化合物のスクリーニング方法
Sun et al. Polyglutamine repeat length-dependent proteolysis of huntingtin
Wang et al. BAP31 deficiency contributes to the formation of amyloid‐β plaques in Alzheimer's disease by reducing the stability of RTN3
Kwon et al. Dab1 binds to Fe65 and diminishes the effect of Fe65 or LRP1 on APP processing
Fayyad et al. Investigating the presence of doubly phosphorylated α‐synuclein at tyrosine 125 and serine 129 in idiopathic Lewy body diseases
WO2006098520A1 (ja) スクリーニング方法
JP6624468B2 (ja) Tdp−43の凝集体が蓄積する疾患を治療及び/又は予防するための化合物のスクリーニング方法
US20110016537A1 (en) Cellular model of tauopathies for lead identification and drug discovery
JP5997394B2 (ja) パーキンソン病のバイオマーカーおよびその利用
Zanier et al. C. elegans detects toxicity of traumatic brain injury generated tau
Kim et al. Drosophila homolog of APP-BP1 (dAPP-BP1) interacts antagonistically with APPL during Drosophila development
Munoz-Montesino et al. A seven-residue deletion in PrP leads to generation of a spontaneous prion formed from C-terminal C1 fragment of PrP
Kinoshita et al. Snapin, positive regulator of stimulation-induced Ca2+ release through RyR, is necessary for HIV-1 replication in T cells
US20090016963A1 (en) Genes involved in neurodegenerative conditions
Sakudo et al. Prion protein gene‐deficient cell lines: powerful tools for prion biology
JP2007044041A (ja) Scrapperタンパク質を利用した医薬候補物質のスクリーニング方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180502

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180502

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20180502

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190402

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190530

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191015

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191113

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6624468

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250