JP6621325B2 - 半導体装置、電池監視システム、及び半導体装置の診断方法 - Google Patents

半導体装置、電池監視システム、及び半導体装置の診断方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体装置、電池監視システム、及び半導体装置の診断方法に関するものである。
一般に、電池セルの監視・制御を行うための電池監視用の半導体装置がある。このような電池監視用の半導体装置として、例えば車両等に搭載される電池セルを監視・制御するための電池監視IC(Integral Circuit)が知られている。
当該電池監視ICでは、電池セルの高電位側の電池電圧と、低電位側の電池電圧とをアナログレベルシフタ等の比較部によって比較することにより、両電圧の差分に基づいて当該電池セルの電池電圧の測定を行うものがある。ここで、電池電圧をバッファアンプを介して比較部に入力させることにより、電池電圧の測定精度を向上させることが行われている。
この際に用いられる電池監視ICのバッファアンプを駆動する電源電圧に、監視対象の電池セルの高電位側(複数の電池セルを有する場合は最も高電位側)から入力される入力電圧を用いることがある。この場合、当該バッファアンプの出力電圧にオフセット電圧が生じ、電池電圧の測定精度が低下する場合がある。
これに対して、特許文献1には、入力電圧を昇圧する昇圧回路を備えた電池監視ICが記載されている。特許文献1に記載された技術では、入力電圧を昇圧回路で昇圧した電源電圧によってバッファアンプを駆動させることにより、当該バッファアンプの出力電圧に生じるオフセット電圧を抑制し、電池電圧の測定精度を向上させている。
また、近年、このような電池監視ICでは、内部回路等を診断する機能の搭載についての要望が高まっている。そこで、特許文献2には、電池監視ICが備える上記昇圧回路の異常をバッファアンプ内に設けられたトランジスタの飽和電流を利用することで診断する技術が記載されている。
特開2011−232161号公報 特開2012−78136号公報
特許文献2に開示される昇圧回路の診断を行う電池監視システムの回路図を図4に示す。特許文献2に開示されるバッファアンプ30、32には、電圧V5を昇圧回路(不図示)で昇圧した電圧または電圧V5が選択的に電源電圧VCCUPとして供給される。また、バッファアンプ30、32の具体的一例の回路図を図5に示す。バッファアンプ30、32は、PMOSトランジスタ80、82、84、86、コンデンサ88、及びNMOSトランジスタ90、92、94を含んでいる。
図4に示した電池監視IC120では、昇圧回路で昇圧された電源電圧VCCUPがバッファアンプ30、32に駆動用の電圧として供給されると、バッファアンプ30から出力される電圧Vx1は、電圧V5となる。また、バッファアンプ32から出力される電圧Vy1は、電圧V4となる。従って、比較部28から出力される出力Voutは、電圧V5と電圧V4との差分(V5−V4)となり、電池セルVc5の電池電圧となる。
一方、電圧V5がバッファアンプ30、32の駆動用電源電圧VCCUPとして供給される場合には、バッファアンプ30では、非反転入力端子に入力される電圧V5と、電源電圧VCCUPとがほぼ等しくなる。
ここで、バッファアンプ30の非反転入力端子に入力される電圧の電圧値とバッファアンプ30の駆動用の電圧の電圧値とがほぼ等しい場合には、バッファアンプ30内のMOSトランジスタ(図3に図示したPMOSトランジスタ80、82、84、86及びNMOSトランジスタ90、92、94)が非飽和領域で動作し、バッファアンプ30の出力のオフセット電圧が大きくなり、バッファアンプ30から出力される電圧Vx1はV5−Vsat1となる。また、バッファアンプ32では、非反転入力端子に入力される電圧V4と、電源電圧VCCUPとでは電位差が存在するため、バッファアンプ32の出力電圧は、電圧V4となる。従って、比較部28(アンプ40)から出力される出力Voutは、電圧V5−Vsat1と電圧V4との差分(V5−V4−Vsat1)となる。
このように、従来の電池監視システム100では、バッファアンプ30、32に供給される電源電圧VCCUPが電圧V5から昇圧した電圧の場合の出力Voutと、電源電圧VCCUPが電圧V5の場合の出力Voutとを比較することにより昇圧回路の動作が正常であるか否かの診断を行っていた。
しかしながら、電池セルVc5の電池電圧が低い場合にバッファアンプ30、32の電源電圧VCCUPを電圧V5とした場合には、電源電圧VCCUPと電圧V4との電位差が小さくなり、バッファアンプ32内のMOSトランジスタが非飽和領域で動作する。このため、バッファアンプ32の出力のオフセット電圧が大きくなり、バッファアンプ32から出力される電圧Vy1はV4−Vsat2となる。
従って、電池セルVc5の電池電圧が少ない場合に比較部28から出力される出力Voutは、電圧V5−Vsat1と電圧V4−Vsat2との差分(V5−V4−Vsat1+Vsat2)となり、昇圧回路による昇圧有無による出力Voutの差異が小さくなる。すなわち特許文献2に開示される昇圧回路の診断方法では、電池セルVc5の電池電圧が少ない場合には昇圧回路の診断精度が低下するという課題があった。
本発明は、上述した問題を解決するために提案されたものであり、電池セルの電圧が低い場合でも、昇圧部の異常を診断することができる、半導体装置、電池監視システム、及び半導体装置の診断方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の半導体装置は、電池セルから第1電圧が入力される入力部と、前記入力部から一端に入力された前記第1電圧を、制御部からの制御信号に基づいて前記第1電圧または前記第1電圧を昇圧した第2電圧を電源電圧として他端から出力する昇圧部と、出力部と、前記入力部と前記昇圧部の一端が接続される第1入力部と、前記昇圧部の他端が接続される第2入力部とを備え、前記第1入力部と前記第2入力部とに入力された電圧の差分に応じた電圧を前記出力部から出力する比較部と、前記電源電圧により駆動する複数の第1MOSトランジスタを有し、前記昇圧部の他端に接続され、当該他端から前記電源電圧が入力される入力端子と、前記比較部の第2入力部に接続された出力端子とを備える第1バッファ部と、前記電源電圧により駆動する複数の第2MOSトランジスタを有し、前記昇圧部の一端に接続され、当該一端から前記第1電圧が入力される入力端子と、前記比較部の第1入力部に接続された出力端子とを備える第2バッファ部と、を備え、前記電源電圧は前記複数の第1MOSトランジスタ及び前記複数の第2MOSトランジスタの各々を飽和領域で動作させられる電圧である
また、本発明の電池監視システムは、電池セルと、本発明の半導体装置と、前記半導体装置に前記電池セルの電池電圧の測定を指示する診断部と、を備える。
また、本発明の半導体装置の診断方法は、電源電圧により駆動する複数の第1MOSトランジスタを有し、前記電源電圧が入力される入力端子と、出力端子とを備える第1バッファ部と、前記電源電圧により駆動する複数の第2MOSトランジスタを有し、入力電圧が入力される入力端子と、出力端子とを備える第2バッファ部と、を備えた半導体装置の診断方法であって、入力部に電池セルから前記入力電圧が入力されるステップと、昇圧回路により、前記入力部を介して一端に入力された前記入力電圧を、前記複数の第1MOSトランジスタ及び前記複数の第2MOSトランジスタの各々を飽和領域で動作させられる前記電源電圧に昇圧して前記電源電圧を他端から出力するステップと、比較部により、前記第1バッファ部の出力端子から出力された電圧と、前記第2バッファ部の出力端子から出力された電圧と、の差分の電圧を出力するステップと、前記差分の電圧が所定の範囲内であるか否かを判断するステップと、を備える。
本発明によれば、電池セルの電圧が低い場合でも、昇圧部の異常を診断することができる、という効果を奏する。
本実施の形態に係る電池監視ICの一例の回路図である。 本実施の形態の電池監視ICにおける昇圧回路の第一の異常診断処理の流れの一例のフローチャートである。 本実施の形態の電池監視ICにおける昇圧回路の第二の異常診断処理の流れの一例のフローチャートである。 従来の電池監視システムの電池監視ICによる昇圧回路の診断を説明するための回路図である。 バッファアンプの具体的一例の回路図である。
以下、図面を参照して本実施の形態の電池監視システム及び電池監視用の半導体装置(以下、「電池監視IC」という)について詳細に説明する。本実施の形態の電池監視システム(電池監視IC)は、電池LSI(組電池等)を使用する製品に適用可能であり、このような製品としては、パーソナルコンピュータ、車、自動二輪車、及び電動工具等が挙げられる。
本実施の形態の電池監視IC20の詳細な構成について説明する。図1には、本実施の形態の組電池14、電池監視IC20及び診断部18の一例の回路図を示す。
組電池14は、直列に接続された5個の電池セルVc1〜Vc5(総称する場合は「電池セルVc」という。)を含んでいる。電池セルVc1〜Vc5は、電池セルVc1を最下段とし、電池セルVc5を最上段として直列に接続されている。電池セルVcの具体的一例としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等が挙げられる。なお、図1では、組電池14の電池セルVcの数であるn=5の場合を具体例として示しているが、組電池14に含まれる電池セルVcの数nは、特に限定されるものではない。
電池セルVc1〜Vc5の各々は、電池監視IC20に接続されている。例えば、電池監視IC20の入力端子21には、電池セルVc1の低電位側の電圧V0が入力される。また、入力端子21には、電池セルVc2の低電位側の電圧と同義である電池セルVc1の高電位側の電圧V1が入力される。
さらに、電池監視IC20の電源端子23には、電池セルVc5の高電位側が接続されている。電源端子23が本発明の入力部の一例である。
電池監視IC20は、制御部22、昇圧部50、セル選択SW26、比較部28、バッファアンプ30、バッファアンプ32、バイパス部34、バイパス部36、第1直列素子部52、及び第2直列素子部54を備えている。バッファアンプ30が本発明の第1バッファ部の一例であり、バッファアンプ32が本発明の第2バッファ部の一例である。また、バイパス部34が本発明の第2バイパス部の一例であり、バイパス部36が本発明の第3バイパス部の一例である。
昇圧部50は、電源端子23から一端に入力された電圧VCCを、制御部22からの制御信号に基づいて電圧VCC、または電圧VCCを昇圧した電源電圧VCCUPを他端から出力する機能を有する。昇圧部50は、昇圧回路24及びバイパス部38を備える。電圧VCCが本発明の第1電圧の一例であり、電源電圧VCCUPが本発明の第2電圧の一例である。昇圧部50の一端には、電源端子23を介して組電池14の最高電位に応じた電圧VCCが入力される。昇圧回路24は、電圧VCCを電源電圧VCCUP(VCC<VCCUP)に昇圧する。昇圧部50は、昇圧回路24により昇圧された電源電圧VCCUPを他端からバッファアンプ30、32に供給する機能を有する。本実施の形態の昇圧部50は、具体例として、一端に入力された電圧VCCを5Vほど昇圧した電源電圧VCCUP(VCC+5=VCCUP)を他端から出力する。
本実施の形態のバイパス部38は、スイッチング素子SWCを備えており、昇圧回路24の一端(入力側)と他端(出力側)とをバイパスする機能を有している。本実施の形態のバイパス部38は本発明の第1バイパス部の一例であり、スイッチング素子SWCは本発明の第1スイッチの一例である。制御部22はスイッチング素子SWCをオンまたはオフする制御信号を出力すると共に昇圧回路24の昇圧機能をオンまたはオフする制御信号を出力する。スイッチング素子SWCは、オン状態の場合に昇圧回路24の一端と他端とを接続する。また、昇圧回路24は、スイッチング素子SWCがオン状態の場合には昇圧機能を停止される。そのため、スイッチング素子SWCがオン状態になると、電源端子23を介して入力された電圧VCCが、昇圧回路24を介さずに、すなわち昇圧されずに電源電圧VCCUPとして供給される。このように制御部22により制御された昇圧回路24並びにバイパス部38によれば、バッファアンプ30、32に供給する電源電圧が、電圧VCCのままの電圧、及び昇圧された電圧のいずれかに切り換えられる。
セル選択SW26は、スイッチング素子SW0、SW1_1、SW1_2、SW2_1、SW2_2、SW3_1、SW3_2、SW4_1、SW4_2、SW5を備える。以下では、セル選択SW26が備えるこれらのスイッチング素子を総称する場合は、「セル選択SW26のスイッチング素子SW」という。
セル選択SW26のスイッチング素子SWは、制御部22から出力された制御信号により、オンまたはオフされる。スイッチング素子SW1_2、SW2_2、SW3_2、SW4_2、SW5の各々は、オン状態の場合に入力端子21〜21と、バッファアンプ30の非反転入力端子と、を接続する。また、スイッチング素子SW0、SW1_1、SW2_1、SW3_1、SW4_1の各々は、オン状態の場合に入力端子21〜21と、バッファアンプ32の非反転入力端子と、を接続する。
バッファアンプ30の非反転入力端子には、セル選択SW26が接続されている。また、バッファアンプ30の非反転入力端子には、第2直列素子部54を介して昇圧回路24の他端(出力側)が接続されている。第2直列素子部54は、一例として、図1に示すように直列に接続された抵抗素子R6及びスイッチング素子SWxを備える。抵抗素子R6が本発明の第2抵抗素子の一例であり、スイッチング素子SWxが本発明の第3スイッチの一例である。スイッチング素子SWxは、制御部22から出力された制御信号により、オンまたはオフされる。スイッチング素子SWxがオン状態の場合は、バッファアンプ30の非反転入力端子には、電源電圧VCCUPが入力される。また、バッファアンプ30の出力端子と反転入力端子とは接続されている。
バイパス部34は、本発明の第4スイッチの一例であるスイッチング素子SWPを備えており、バッファアンプ30の非反転入力端子と出力端子とをバイパスする機能を有している。スイッチング素子SWPは、制御部22から出力された制御信号により、オンまたはオフされる。スイッチング素子SWPは、オン状態の場合にバッファアンプ30の非反転入力端子と出力端子とを接続する。
一方、バッファアンプ32の非反転入力端子には、セル選択SW26が接続されている。また、バッファアンプ32の非反転入力端子には、第1直列素子部52を介して昇圧回路24の一端(入力側)が接続されている。第1直列素子部52は、一例として、図1に示すように直列に接続された抵抗素子R5及びスイッチング素子SWyを備える。抵抗素子R5が本発明の第1抵抗素子の一例であり、スイッチング素子SWyが本発明の第2スイッチの一例である。スイッチング素子SWyは、制御部22から出力された制御信号により、オンまたはオフされる。スイッチング素子SWyがオン状態の場合は、バッファアンプ32の非反転入力端子には、電圧VCCが入力される。また、バッファアンプ32の出力端子と反転入力端子とは接続されている。
バイパス部36は、本発明の第5スイッチの一例であるスイッチング素子SWNを備えており、バッファアンプ32の非反転入力端子と出力端子とをバイパスする機能を有している。スイッチング素子SWNは、制御部22から出力された制御信号により、オンまたはオフされる。スイッチング素子SWNは、オン状態の場合にバッファアンプ32の非反転入力端子と出力端子とを接続する。
また、抵抗素子R5及び抵抗素子R6は、比較部28に入力される電圧を所望の値に調節すると共に、組電池14の過電流から比較部28を保護する機能を有する。
比較部28は、抵抗素子R1、R2、R3、R4と、アンプ40と、入力部60、62と、出力部64と、を備える。また、入力部60が本発明の第1入力部の一例であり、入力部62が本発明の第2入力部の一例である。
アンプ40の非反転入力端子には、バッファアンプ30の出力端子が接続されており、バッファアンプ30から出力された電圧が抵抗素子R1を介して入力される。抵抗素子R2は、一方の端子がアンプ40の非反転入力端子と抵抗素子R1との間に接続され、他方の端子がGND(基準電位VSS)に接続されている。また、アンプ40の反転入力端子には、バッファアンプ32の出力端子が接続されており、バッファアンプ32から出力された電圧が、抵抗素子R3を介して入力される。さらに、アンプ40の出力端子と反転入力端子とは、抵抗素子R4を介して接続されている。
比較部28からは、バッファアンプ30の出力端子から出力された電圧とバッファアンプ32から出力された電圧との差に応じた出力Voutが、出力端子41を介して診断部18に出力される。
次に、本実施の形態の電池監視IC20の動作について説明する。
まず、本実施の形態の電池監視IC20による電池セルVc1〜Vc5の電池電圧の測定について説明する。本実施の形態の電池監視IC20では、電池電圧を測定する旨を表す指示信号が診断部18から制御部22に入力された場合に、制御部22の制御により、電池電圧の測定が行われる。
例えば、電池セルVc2の電圧値(V2−V1=Vc2)を測定する場合、セル選択SW26のスイッチング素子SW1_1及びSW2_2がオン状態になり、その他のスイッチング素子SWがオフ状態になる。バッファアンプ30、32の入力インピーダンスが高いため、スイッチング素子SW1_1及びSW2_2による電圧降下が無視できる。そのため、バッファアンプ30の非反転入力端子に入力される電圧Vx=V2、バッファアンプ32の非反転入力端子に入力される電圧Vy=V1になる。従って、比較部28の出力Voutは、V2−V1=Vc2となり、グランド基準の電圧に変換されて診断部18に出力される。
ここで、本実施の形態の電池監視IC20が、電圧VCCを昇圧回路24により電源電圧VCCUPに昇圧する理由について説明する。
本実施の形態の電池監視IC20では、電池セルVc5の電池電圧を測定する場合、電圧VCCをそのままバッファアンプ30、32に駆動用の電圧として供給すると、電池セルVc5の正極側に接続されているバッファアンプ30では、電圧VxがVx=V5=VCCとなる。このようにバッファアンプ30の非反転入力端子に入力される電圧の電圧値とバッファアンプ30の駆動用の電圧の電圧値とが同じ電圧VCCになるため、バッファアンプ30内のMOSトランジスタ(図5に図示したPMOSトランジスタ80、82、84、86及びNMOSトランジスタ90、92、94)が非飽和領域で動作し、バッファアンプ30の出力のオフセット電圧が大きくなる。オフセット電圧の影響により、出力Vx1、Vy1による電池電圧の測定精度が低下する場合がある。
そこで本実施の形態の電池監視IC20では、電圧VCCを昇圧部50により、バッファアンプ30、32内のMOSトランジスタを飽和領域で動作させられる電源電圧VCCUPに昇圧し、昇圧した電源電圧VCCUPをバッファアンプ30、32に供給する。これにより、バッファアンプ30、32を構成するMOSトランジスタが飽和領域で動作するため、オフセット電圧が抑制され、バッファアンプ30、32から出力される電圧Vx1、Vy1にオフセット電圧の影響がなくなる。従って、比較部28から出力される出力Voutによる電池電圧の測定精度が向上する。
なお、昇圧部50による電圧VCCの昇圧は、バッファアンプ30、32のMOSトランジスタを飽和領域で動作させることができる電圧に昇圧すればよい。そのため、具体例として電圧VCCを5V昇圧する場合について上述したが、具体的な電圧値は、バッファアンプ30、32のMOSトランジスタの仕様に応じて定めればよい。
本実施の形態の電池監視システム10の診断部18では、上述のようにして電池監視IC20から出力された出力Voutに基づいて、電池セルVc1〜Vc5の電池電圧の測定が行われる。
次に、本実施の形態の電池監視IC20に備えられた昇圧部50の昇圧回路24の異常の診断について説明する。診断を行うタイミングは特に限定されないが、例えば、予め定められたタイミング毎に定期的に行ってもよい。
なお、本実施の形態の電池監視IC20では、昇圧回路24の異常の診断について二通りの方法がある。以下、二通りの方法について、第1実施例及び第2実施例としてそれぞれ説明する。第1実施例及び第2実施例のいずれの方法を用いて異常の診断を行うかは、任意であり、限定されるものでない。
(第1実施例)
本実施例の、電池監視システム10(電池監視IC20)における昇圧回路24の異常診断処理の流れの一例を図2に示す。なお、バイパス部38のスイッチング素子SWCは、オフ状態としておく。
ステップS100では、制御部22から出力される制御信号により、セル選択SW26のスイッチング素子SWが全てオフ状態になる。
次のステップS102では、制御部22から出力される制御信号により、バイパス部34のスイッチング素子SWP、及びバイパス部36のスイッチング素子SWNがオン状態になる。
バイパス部34のスイッチング素子SWPがオン状態になることにより、バッファアンプ30の非反転入力端子と出力端子とが接続される。また、バイパス部36のスイッチング素子SWNがオン状態になることにより、バッファアンプ32の非反転入力端子と出力端子とが接続される。
次のステップS104では、制御部22から出力される制御信号により、スイッチング素子SWx、SWyがオン状態になる。
スイッチング素子SWxがオン状態になることにより、昇圧回路24の他端(出力側)と、バイパス部34及びバッファアンプ30の非反転入力端子と、が接続される。また、スイッチング素子SWyがオン状態になることにより、昇圧回路24の一端(入力側)と、バイパス部36及びバッファアンプ32の非反転入力端子と、が接続される。
次のステップS106では、出力Voutを測定する。
比較部28のアンプ40の非反転入力端子には、昇圧回路24から出力された電源電圧VCCUPが、第2直列素子部54及びバイパス部34を介して入力される。
一方、アンプ40の反転入力端子には、昇圧回路24に入力される前の電圧VCCが、第1直列素子部52及びバイパス部36を介して入力される。
従って、アンプ40からは、昇圧回路24で昇圧された電源電圧VCCUPと、電圧VCCとの差分に応じた電圧(VCCUP−VCC)が出力Voutとして診断部18に出力される。診断部18は出力Voutを測定する。
次のステップS108では、出力Voutが所定の範囲内であるか否かを判断する。昇圧回路24が正常に動作している場合、出力Voutは、昇圧回路24の昇圧電圧(上記具体例では5V)になる。そこで、昇圧回路24の昇圧電圧に基づいて、実験等により得られた許容範囲を加味して、出力Voutが昇圧回路24の昇圧電圧から所定の範囲内の場合は、昇圧回路24が正常に動作していると診断部18が判断する。
出力Voutが所定の範囲内の場合は、肯定判定となりステップS110へ移行する。ステップS110で診断部18は、昇圧回路24が正常であると診断した後、本異常診断処理を終了する。
一方、出力Voutが所定の範囲内ではない(範囲外)場合は、否定判定となりステップS112へ移行する。ステップS112で診断部18は、昇圧回路24が異常であると診断した後、本異常診断処理を終了する。
このように、本実施例の異常診断処理によれば、電池監視システム10の電池監視IC20は、昇圧回路24の他端(出力側)と、バッファアンプ30の非反転入力端子とが抵抗素子R6を介してスイッチング素子SWxにより接続される。また、電源端子23(昇圧回路24の一端(入力側))と、バッファアンプ32の非反転入力端子とが、抵抗素子R5を介してスイッチング素子SWyにより接続される。さらに、バイパス部34のスイッチング素子SWP、及びバイパス部36のスイッチング素子SWNをオン状態にする。
診断部18は、比較部28から出力された出力Vout=VCCUP−VCCを測定する。
昇圧部50の昇圧回路24が正常に動作していれば、出力Voutは、昇圧回路24の昇圧電圧と同様になる。一方、出力Voutが昇圧回路24の昇圧電圧と同様ではない場合は、昇圧回路24が異常であると診断することができる。
(第2実施例)
図3に、本実施例の、電池監視IC20における異常診断処理の流れの一例を示す。
ステップS100〜S104の処理は第1実施例の異常診断処理(図2参照)と同様の処理であるため、説明を省略する。
ステップS104の次のステップS120では、制御部22から出力される制御信号により、スイッチング素子SWCがオフ状態になる。
次のステップS122では、出力Vout(swoff)を測定する。この場合、比較部28からは、昇圧回路24で昇圧された電源電圧VCCUPと、電圧VCCとの差分に応じた電圧(VCCUP−VCC)が出力Vout(swoff)として診断部18に出力される。診断部18は出力Vout(swoff)を測定する。
次のステップS124では、制御部22から出力される制御信号により、スイッチング素子SWCがオン状態になると共に昇圧回路24の昇圧機能を停止する。昇圧回路24を経由せずに電流が流れるようになる。
これにより、比較部28のアンプ40の非反転入力端子には、電圧VCCと同電位の電源電圧VCCUPが、第2直列素子部54及びバイパス部34を介して入力される。
一方、アンプ40の反転入力端子には、昇圧回路24に入力される前の電圧VCCが、第1直列素子部52及びバイパス部36を介して入力される。
従って、アンプ40からは、電圧VCCと、電圧VCCとの差分に応じた電圧(VCC−VCC)が出力Vout(swon)として診断部18に出力される。
次のステップS126で診断部18は、出力Vout(swon)を測定する。
次のステップS128で診断部18は、出力Vout(swoff)と出力Vout(swon)が一致するか否かを判断する。
昇圧回路24が正常に動作している場合、出力Vout(swoff)と出力Vout(swon)との差は、昇圧回路24の昇圧電圧(上記具体例では5V)になる。すなわち、Vout(swoff)−Vout(swon)≒5Vとなる。
一方、昇圧回路24が、ほとんど動作していない(ほとんど昇圧しない)場合、出力Vout(swoff)と出力Vout(swon)との差は、ほとんど無くなる。すなわち、Vout(swoff)−Vout(swon)≒0Vとなる。
そのため、本実施例では、昇圧回路24の昇圧電圧に基づいて、実験等により得られた許容範囲を加味して、Vout(swoff)−Vout(swon)が所定の範囲内の場合は、昇圧回路24が正常に動作していると診断部18が判断する。
そこで、診断部18は、出力Vout(swoff)と出力Vout(swon)とを比較して出力Vout(swoff)と出力Vout(swon)とが一致する場合は、ステップS128で肯定判定となりステップS134へ移行する。ステップS134で診断部18は、昇圧回路24が異常であると診断した後、本異常診断処理を終了する。
一方、一致しない場合は、ステップS128で否定判定となりステップS130へ移行する。ステップS130で診断部18は、Vout(swoff)−Vout(swon)が所定の範囲内であるか否かを判断する。所定の範囲内ではない場合は、否定判定となりステップS134へ移行し、上述のように昇圧回路24が異常であると診断した後、本異常診断処理を終了する。
一方、所定の範囲内である場合は、ステップS130で肯定判定となりステップS132へ移行する。ステップS134で診断部18は、昇圧回路24が正常であると診断した後、本異常診断処理を終了する。
なお、診断部18による昇圧回路24の診断結果は、電池監視システム10の外部に出力しても良いし、電池監視システム10内部の記憶部(図示省略)等に記憶しておいてもよい。
このように本実施例の異常診断処理によれば、電池監視システム10の電池監視IC20は、昇圧回路24の診断を行う場合、昇圧回路24の他端(出力側)と、アンプ40の非反転入力端子とが抵抗素子R6を介してスイッチング素子SWxとスイッチング素子SWPとにより接続される。また、アンプ40の非反転入力端子と電源端子23(昇圧回路24の一端(入力側))とが、抵抗素子R5を介してスイッチング素子SWyとスイッチング素子SWNとにより接続される。
診断部18は、バイパス部38のスイッチング素子SWCをオフ状態にした昇圧有効時で比較部28から出力された出力Vout=VCCUP−VCCと、バイパス部38のスイッチング素子SWCをオン状態にした昇圧無効時で比較部28から出力された出力Vout=VCCUP−VCCと、を比較する。
昇圧回路24が正常に動作していれば、昇圧有効時の出力Voutと、昇圧無効時の出力Voutとの差分は、昇圧回路24の昇圧電圧と同様になる。一方、差分が昇圧回路24の昇圧電圧と同様ではない場合は、昇圧回路24が異常であると診断することができる。
本実施の形態の電池監視システム10(電池監視IC20)では、上述のように、昇圧部50の昇圧回路24の診断を行うことができる。第1実施例の異常診断処理では、出力Vout=VCCUP−VCCにより昇圧回路24の診断を行うことができる。また、第2実施例の異常診断処理では、昇圧有効時の出力Vout=VCCUP−VCCと、昇圧無効時の出力Vout=VCCUP(VCCと同電位)−VCCとの差分により昇圧回路24の診断を行うことができる。そのため、電池セルVc5(最高電位の電池セルVc)の電池電圧に依存することなく、昇圧回路24の診断を行うことができる。
従って、本実施の形態の電池監視システム10(電池監視IC20)では、電池セルVcの電圧が低い場合でも、昇圧部50の昇圧回路24の異常を診断することができる。
また、本実施の形態の電池監視IC20では、組電池14の電池セルVcの電池電圧を測定するために用いる電池監視IC20に対して、極めて少ない構成を追加することにより、昇圧回路24の診断精度を向上させることができる。そのため、回路規模の増大やコストの増大を抑制することができる。
また、本実施の形態の電池監視IC20では、昇圧回路24の診断を行う場合に、バイパス部34のスイッチング素子SWP及びバイパス部36のスイッチング素子SWNをオン状態にして、バッファアンプ30、32をバイパスしている。バッファアンプ30を経由する場合、非反転入力端子に入力される電圧Vx=電源電圧VCCUPとなり、駆動に用いる電源電圧VCCUPとのマージンが少なくなる結果、バッファアンプ30の出力電圧が低下(図4に示した電池監視IC120において説明したVsat1相当低下)してしまう。電池監視IC20では、バッファアンプ30、32をバイパスすることで、この問題を回避している。
なお、本実施の形態の電池監視IC20が備えるスイッチング素子SWx、SWy、SWC、SWP、SWNは、物理的なバイパス経路を制御するスイッチング素子であってもよいし、機能的にENABLEとDISENABLE(オンとオフ)とを切り替える論理制御スイッチング素子であってもよく、特に限定されない。
また、本実施の形態の電池監視システム10では、組電池14が5個の電池セルVc(電池セルVc1〜Vc5)を備える場合について説明したが、その個数は特に限定されない。
10 電池監視システム
14 組電池
18 診断部
20 電池監視IC
22 制御部
23 電源端子
24 昇圧回路
26 セル選択SW
28 比較部
30、32 バッファアンプ
34、36、38 バイパス部
50 昇圧部
52 第1直列素子部
54 第2直列素子部
SWx、SWy、SWC、SWP、SWN スイッチング素子
Vc1、Vc2、Vc3、Vc4、Vc5 電池セル

Claims (7)

  1. 電池セルから第1電圧が入力される入力部と、
    前記入力部から一端に入力された前記第1電圧を、制御部からの制御信号に基づいて前記第1電圧または前記第1電圧を昇圧した第2電圧を電源電圧として他端から出力する昇圧部と、
    出力部と、前記入力部と前記昇圧部の一端が接続される第1入力部と、前記昇圧部の他端が接続される第2入力部とを備え、前記第1入力部と前記第2入力部とに入力された電圧の差分に応じた電圧を前記出力部から出力する比較部と、
    前記電源電圧により駆動する複数の第1MOSトランジスタを有し、前記昇圧部の他端に接続され、当該他端から前記電源電圧が入力される入力端子と、前記比較部の第2入力部に接続された出力端子とを備える第1バッファ部と、
    前記電源電圧により駆動する複数の第2MOSトランジスタを有し、前記昇圧部の一端に接続され、当該一端から前記第1電圧が入力される入力端子と、前記比較部の第1入力部に接続された出力端子とを備える第2バッファ部と、
    を備え、
    前記電源電圧は前記複数の第1MOSトランジスタ及び前記複数の第2MOSトランジスタの各々を飽和領域で動作させられる電圧である、
    半導体装置。
  2. 前記昇圧部は、
    前記第1電圧を前記第2電圧に昇圧する昇圧回路と、
    第1スイッチを備え、一端が前記昇圧回路の一端に接続されると共に他端が前記昇圧回路の他端に接続された第1バイパス部と、
    を備える請求項1に記載の半導体装置。
  3. 直列に接続された第1抵抗素子と第2スイッチとを備え、一端が前記入力部と前記昇圧部の一端に接続され他端が前記第2バッファ部の入力端子に接続された第1直列素子部と、
    直列に接続された第2抵抗素子と第3スイッチとを備え、一端が前記昇圧部の他端に接続され他端が前記第1バッファ部の入力端子に接続された第2直列素子部と、
    を備える請求項1または2に記載の半導体装置。
  4. 4スイッチを備え、前記第1バッファ部の入力端子と出力端子とを接続する第2バイパス部と、
    5スイッチを備え、前記第2バッファ部の入力端子と出力端子とを接続する第3バイパス部と、
    を備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
  5. 前記電池セルは、複数の電池セルが直列に接続された組電池に含まれる電池セルであり、
    前記組電池の各電池セルの高電位側と、前記第1バッファ部とを接続し、また、前記組電池の各電池セルの低電位側と、前記第2バッファ部とを接続するセル選択スイッチをさらに備えた、
    請求項4に記載の半導体装置。
  6. 電池セルと、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置と、
    前記半導体装置に前記電池セルの電池電圧の測定を指示する診断部と、
    を備えた電池監視システム。
  7. 電源電圧により駆動する複数の第1MOSトランジスタを有し、前記電源電圧が入力される入力端子と、出力端子とを備える第1バッファ部と、前記電源電圧により駆動する複数の第2MOSトランジスタを有し、入力電圧が入力される入力端子と、出力端子とを備える第2バッファ部と、を備えた半導体装置の診断方法であって、
    入力部に電池セルから前記入力電圧が入力されるステップと、
    昇圧回路により、前記入力部を介して一端に入力された前記入力電圧を、前記複数の第1MOSトランジスタ及び前記複数の第2MOSトランジスタの各々を飽和領域で動作させられる前記電源電圧に昇圧して前記電源電圧を他端から出力するステップと、
    比較部により、前記第1バッファ部の出力端子から出力された電圧と、前記第2バッファ部の出力端子から出力された電圧と、の差分の電圧を出力するステップと、
    前記差分の電圧が所定の範囲内であるか否かを判断するステップと、
    を備えた半導体装置の診断方法。
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