JP6621323B2 - エアバッグ装置 - Google Patents

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本発明は、緊急時に乗員を拘束するエアバッグ装置に関するものである。
近年の車両にはエアバッグ装置がほぼ標準装備されている。エアバッグ装置は、車両衝突などの緊急時に作動する安全装置であって、ガス圧で膨張展開するエアバッグクッションを利用して乗員を受け止めて保護する。エアバッグ装置には、設置箇所や用途に応じて様々な種類がある。例えば、主に前後方向の衝撃から前部座席の乗員を守るために、運転席にはステアリングの中央にフロントエアバッグが設けられていて、助手席の近傍にはインストルメントパネルやその周辺部位にパッセンジャエアバッグが設けられている。他にも、側面衝突やそれに続いて起こるロールオーバ(横転)から前後列の各乗員を守るために、壁部の天井付近にはサイドウィンドウに沿って膨張展開するカーテンエアバッグが設けられ、座席の側部には乗員のすぐ脇へ膨張展開するサイドエアバッグが設けられている。
各種エアバッグ装置のエアバッグクッションは、目的や設置環境に応じて、内部が複数の空間に区画されている場合がある。例えば特許文献1に記載の乗員保護装置(フロントエアバッグ)では、エアバッグクッションが、中央の中央気体袋1と、その周囲の外周気体袋3とで構成されている。特許文献1の構成によれば、乗員を拘束する拘束面が扁平に拡大して広い面積になるため、確実に乗員を受け止めることができると述べられている。
特開平1−132444号公報
現在では、エアバッグ装置に対して、例えば車両に対して斜め前後方向からの衝撃が加わるいわゆるオブリーク衝突など、変則的な衝突や衝撃への対応も求められている。オブリーク衝突時の乗員は、座席の正面に存在するエアバッグクッションに対して、斜め方向等の変則的な角度で進入する。その場合、乗員の頭部が座席の正面のエアバッグクッションに接触すると、頭部には上から見て首を軸にした回転が生じることがある。このような頭部の回転は、人体の構造からみて乗員の傷害値を高くする要因となりやすいため、これを効率よく防ぎたいという要望がある。
本発明は、このような課題に鑑み、緊急時に乗員の傷害値を効率よく抑えることが可能なエアバッグ装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかるエアバッグ装置の代表的な構成は、ガスを利用して車両の座席に着座した乗員の前方に膨張する袋状のメインバッグと、メインバッグを内包している非膨張の布状のカバーと、車両に設置されメインバッグにガスを供給するインフレータと、を備えることを特徴とする。
上記構成では、乗員を拘束する部位であるエアバッグクッションが、膨張するメインバッグと非膨張のカバーとによって構成されている。この構成のエアバッグクッションによると、乗員が接触した際に、乗員をカバーと共にメインバッグ上をスライドさせ、頭部の回転を防ぐことができる。これによって、乗員の特に頭部の障害値を抑えることが可能になる。
上記のカバーは、座席に着座した乗員に向かってメインバッグの一部分を露出可能な開口部を有してもよい。例えば、開口部は、エアバッグクッションの中央に設けることができる。この構成によって、乗員が正面方向へ移動した時には開口部から露出するメインバッグで拘束し、乗員が斜め方向へ移動した時にはカバーで受けつつスライドさせて頭部の回転を抑えることができる。
上記のカバーは、メインバッグの全体を内包していてもよい。メインバッグの全体を覆う構成のカバーであっても、乗員と共にメインバッグ上をスライドすることができ、頭部の回転および傷害値を抑えることが可能になる。
上記のカバーの内側におけるメインバッグを内包している空間の体積は、メインバッグの体積よりも小さく、カバーがメインバッグを包囲してメインバッグの膨張可能な範囲を制限することによってメインバッグの一部分が開口部から座席側に突出してもよい。
上記構成では、メインバッグの一部分(突起部)が、メインバッグの保護対象となる乗員が着座する座席側へ突出している。すなわち、メインバッグは乗員のより近くに存在している。したがって、乗員の早期接触を行うことが可能になる。
上記のメインバッグの座席側に突出する一部分は、メインバッグのカバーに内包されている部分よりも、基布の張力が低いとよい。
上記構成では、メインバッグには、カバーに内包されている基部と、カバーの開口部から突出している突起部とが形成されている。これら、基部と突起部を有するメインバッグは、一つのインフレータから受けるガスの圧力によって膨張する。突起部と基部との間は完全には仕切られていないので、突起部と基部それぞれの部位で内圧は等しくなる。膨張時の基部と突起部のそれぞれの基布を曲面としてみると、突起部の外形は基部の外形よりも小さいので、両部位の任意の位置における曲率半径は突起部のほうが基部よりも小さい。よって、突起部の張力は、基部の張力よりも低くなっている。
オブリーク衝突などでは、運転席の乗員は車幅方向の斜め前方へ向かって移動する場合がある。その場合、上記構成では、乗員の頭部は、乗員の近くに存在する張力の低い突起部から先に接触する。このように、上記構成によれば、乗員の頭部を張力の低い突起部で比較的柔軟に受けることで、頭部の回転を抑え、傷害値をより低く抑えて拘束することが可能になっている。
上記のカバーの内側におけるメインバッグを内包している空間の体積は、メインバッグの体積よりも大きくてもよい。この構成によって、カバーとメインバッグとの間の空間に余裕が生まれ、カバーがメインバッグ上をよりスライドしやすくなる。
上記のカバーは、メインバッグに向かって進入した乗員と共にメインバッグ上をスライドすることでメインバッグに対する乗員からの荷重を受け流すよう、メインバッグと共に車両に取り付けられた状態にあるとよい。この構成によって、乗員が接触した際に、カバーが乗員と共にメインバッグ上を好適にスライド可能になる。
本発明によれば、緊急時に乗員の傷害値を効率よく抑えることが可能なエアバッグ装置を提供可能になる。
本発明の第1実施形態にかかるエアバッグ装置の概要を例示した図である。 図1(b)の膨張展開時のクッションを各方向から例示した図である。 図1(b)の膨張展開時のクッションが乗員を拘束する過程を例示した図である。 図3(c)のクッションおよび乗員を拡大し概略化した図である。 図3のクッションが乗員を拘束する過程を車内側後方から見て例示した図である。 図3のクッションが乗員を拘束する過程を車外側後方から見て例示した図である。 図2のクッションの第1変形例を例示した図である。 図2のクッションの第2変形例を例示した図である。 図7(a)等の膨張展開時のクッションが乗員を拘束する過程を例示した図である。 図2のクッションの第3変形例を例示した図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかるエアバッグ装置100の概要を例示した図である。図1(a)はエアバッグ装置100の稼動前の車両を例示した図である。図1(a)その他の図面において、車両前後方向をそれぞれ矢印F(Forward)、B(Back)、車幅方向の左右をそれぞれ矢印L(Left)、R(Right)、車両上下方向をそれぞれ矢印U(up)、D(down)で例示する。
本実施形態では、エアバッグ装置100を、右ハンドル車における運転席用(前列右側の座席)のフロンタルエアバッグとして実施している。以下では、前列右側の座席102を想定して説明を行うため、例えば車幅方向の車外側とは車両右側を意味し、車幅方向の車内側とは車両左側を意味する。
エアバッグ装置100のエアバッグクッション(以下、クッション104(図1(b)参照))は、折畳みや巻回等されて、ステアリングホイール106の中央に設けられた収納部108に収納されている。収納部108は、カバーの役割を担う意匠面110やその下のハウジング(図示省略)等を含んで構成されている。
収納部108には、クッション104の他に、ガス発生装置であるインフレータ112(図2(c)参照)も収納されている。インフレータ112は、不図示のセンサから送られる衝撃の検知信号に起因して稼働し、クッション104(図1(b)参照)のメインバッグ114にガスを供給する。メインバッグ114は、インフレータ112からのガスによって膨張を開始し、その膨張圧で意匠面110を開裂等して座席102に向かって膨張展開する。
図1(b)はエアバッグ装置100のクッション104の膨張展開後の車両を例示した図である。クッション104は、立体的に膨らむ袋として形成されていている。クッション104は、その表面を構成する複数の基布を重ねて縫製または接着することや、OPW(One-Piece Woven)を用いての紡織などによって形成されている。
図2は、図1(b)の膨張展開時のクッション104を各方向から例示した図である。図2(a)は、図1(b)のクッション104を車外側の上方から見て例示している。本実施形態におけるクッション104は、大きく分けて、メインバッグ114およびカバー116の2つの部位を備えている。
メインバッグ114は、クッション104の中心側を構成している袋状の部位である。メインバッグ114は、インフレータ112(図2(c)参照)からのガスを利用して、座席102(図1(b)参照)に着座する乗員用の空間内における前方側にて膨張し、乗員の上半身や頭部を拘束する。本実施形態では、メインバッグ114は、カバー116にその大部分が内包されている。
カバー116は、メインバッグ114を包囲している布状の非膨張の部位である。カバー116には、メインバッグ114を包囲し覆うことで、メインバッグ114の膨張時の挙動を整えたり、膨張したメインバッグ114を支えたりする働きがある。
カバー116の車両後方側には、開口部118が設けられている。開口部118は、座席102(図1(b)参照)に着座した乗員128(図3(a)参照)を向いて開口していて、乗員128に向かってメインバッグ114の車両後方側の一部分(後部領域120)を露出させている。言い換えると、カバー116は開口部118が設けられた車両後方側以外の車両上下左右側および車両前方側にてメインバッグ114を内包している。
図2(b)は、図2(a)のクッション104を車外側から見て例示している。メインバッグ114の車両後方側(図2(b)中、左側)の後部領域120は、カバー116の開口部118からやや突出している。メインバッグ114のうち後部領域120以外の残りの大部分は、カバー116に内包されている。
図2(c)は、図1(b)と同じくクッション104を車両後方側から見て例示している。クッション104は、座席側である車両後方側から見て全体的に円形になっている。中央のメインバッグ114も座席側から見ると円形に膨張していて、カバー116も円形のメインバッグ114の外側を包囲する形状になっている。カバー116の開口部118は、この円形のクッション104の中央に位置するよう設けられていて、メインバッグ114の車両後方側の中央を露出させている。
図2(d)は、図2(c)のクッション104のA−A断面図である。カバー116は、メインバッグ114の車両前方側の所定箇所にて、メインバッグ114に接続(されている。例えば、本実施形態では、メインバッグ114の車両前方側に設けられたベントホール124の付近の接続部122にて、カバー116とメインバッグ114とが縫製等によって接続されている。ベントホール124は、メインバッグ114の内部からガスを外部へ排出する孔である。
本実施形態では、カバー116は非膨張の部位となっていて、カバー116とメインバッグ114との間の空間にはガスは流入しない。そのため、ベントホール124の周辺にてメインバッグ114とカバー116とが縫製等されていることに加え、メインバッグ114のうちカバー116に包まれる箇所には他の連通孔等は設けられていない。インフレータ112からメインバッグ114の内部空間に供給されたガスは、カバー116の内側に直接触れることはなく、ベントホール124から外部に排出される。
図2(d)には、前述したインフレータ112も例示している。インフレータ112はディスク型(円盤型)のものであって、ステアリングホイール106(図1(a)参照)の収納部108の内部にスタッドボルト113を締結することで設置される。スタッドボルト113はメインバッグ114およびカバー116を貫通していて、これによってメインバッグ114およびカバー116も共に収納部108に取り付けられている。
現在普及しているインフレータには、ガス発生剤が充填されていてこれを燃焼させてガスを発生させるタイプや、圧縮ガスが充填されていて熱を発生させることなくガスを供給するタイプ、または燃焼ガスと圧縮ガスとを両方利用するハイブリッドタイプのものなどがある。インフレータ112としては、いずれのタイプのものも利用可能である。
仮想線L1は、インフレータ112から仮想的に延ばした直線である。本実施形態では、メインバッグ114およびカバー116は座席側から見て円形(図2(c)参照)であり、仮想線L1を回転軸にした回転体状の構成になっている。そして、カバー116は、図2(d)のインフレータ112の周囲から、図2(c)における円形のメインバッグ114を乗員側から見たときのメインバッグ114の外縁よりも中心側までの範囲にわたって、メインバッグ114を内包している。
なお、メインバッグ114およびカバー116は、必ずしも回転体形状でなくてもよく、偏った形状や角張った形状などであってもその機能を発揮することができる。例えば、メインバッグおよびカバーは、楕円形状になっていてもよい。
本実施形態では、カバー116は、開口部118からその奥にかけての内側の空間(内側空間E1)が、メインバッグ114の大きさと同じ程度かやや小さいサイズになるよう設定されている。この構成によって、クッション104の膨張展開後には、カバー116の開口部118からメインバッグ114の後部領域120がわずかに突出している。
本実施形態のクッション104では、上述したメインバッグ114およびカバー116を利用することで、緊急時に乗員128の傷害値を効率よく抑えることを可能にしている。以下、図3〜図6を参照して、クッション104が乗員128を拘束する過程について説明する。
図3は、図1(b)の膨張展開時のクッション104が乗員128を拘束する過程を例示した図である。図3の各図は、クッション104および乗員128を車両上方から見て、オブリーク衝突時に想定される現象を例示している。図3(a)に例示するように、車両に衝撃が発生すると、クッション104が座席102(図1(b)参照)の車両前方に膨張展開する。
図3(b)は、乗員128がクッション104に接触した直後を例示している。図3(b)の乗員128は、図3(a)の状態から車内側斜め前方(図3(b)中、右側斜め下方)に移動している。メインバッグ114の後部領域120は、座席102(図1(b)参照)に着座した乗員側(図3(b)中、上側)の正面付近にてカバー116の開口部118から露出していて、早期に乗員128に接触する。
図3(c)は、図3(b)の乗員128がさらに車内側斜め前方、すなわち図3(c)中、右側斜め下方)へ移動した図である。後部領域120の付近は比較的柔軟に窪み、頭部130は両側の側頭部(左側頭部134、右側頭部136)をも後部領域120に接触させるようにして拘束される。また、図3(c)のように乗員128が斜め方向へ移動した場合には、片側の側頭部(右側頭部136)がカバー116に接触して拘束されることもある。
図4は、図3(c)のクッション104および乗員を拡大し概略化した図である。本実施形態では、カバー116も乗員128の傷害値の低下に貢献している。カバー116は、乗員128と共にメインバッグ114上をスライドすることで、乗員128の頭部130の回転を抑える。
図4の状態において、仮に、単一のひとまとまりのクッションのみが乗員128の前方に存在していた場合、斜め方向へ移動する乗員128の頭部130がそのクッションに接触すると、頭部130とクッションとの摩擦によって頭部130と肩131との動きに差異が生じ、頭部130には肩131等に対して車両上方側から見て首を軸に時計回りの回転力(頸椎を軸にした左右に振り向く回転力)が生じることがある。頭部130にこのような回転が起こると、乗員128の傷害値は高くなる傾向にある。
そこで本実施形態では、斜め方向へ移動する乗員128の頭部130を、カバー116と共にメインバッグ114上をスライドさせている。カバー116もメインバッグ114も布材から構成されていて、一般に布同士の摩擦力は布と乗員との摩擦力よりも低い。カバー116がメインバッグ114上をスライドすることで、乗員128の頭部130の動きを肩131の動きとそろえて拘束することができる。このように、本実施形態では、乗員128の頭部130の回転を大幅に減少または打消し、頭部130の角速度を小さくすることで頭部130の回転に伴う乗員128の傷害値を抑えることができる。
上述したように、カバー116は、メインバッグ114とは車両前方側の接続部122で接続されていて、乗員128が接触し得る車両後方側はメインバッグ114に接続等なされていない。このように、カバー116は、車両後方側に乗員128が接触したときにメインバッグ114上をスライド可能になるように、メインバッグ114と共に車両のステアリングホイール106(図1(a)参照)に取り付けられた状態となっている。これによって、メインバッグ114は乗員128からの荷重を受け流すことができ、乗員128の頭部130の回転および傷害値を抑えることができる。
カバー116は、メインバッグ114との摩擦を減らす構成を実施することも可能である。具体的には、カバー116は、メインバッグ114とは糸の太さが異なる基布で形成することができる。例えば、カバー116をメインバッグ114よりも糸が太い基布で形成することで、カバー116とメインバッグ114との摩擦を減らして互いに滑りやすくすることができる。これによって、乗員128がカバー116に接触したときにスムーズなスライドを生じさせることが可能になる。
図5および図6を参照して、図3とは別方向からもクッション104が乗員128を拘束する過程を説明する。図5は、図3のクッション104が乗員128を拘束する過程を車内側後方から見て例示した図である。図5(a)に例示するように、車内側斜め前方(図5(a)中、左方)へ移動する乗員128の前方には、メインバッグ114が膨張展開する。
図5(b)に例示するように、乗員128の頭部130は、下部の顎138の付近からメインバッグ114の後部領域120に接触する。後部領域120が顎138付近に接触することで、本実施形態であれば頭部130の前方へ倒れ込む方向の回転をも抑えることができる。
図5(c)に例示するように、車内側斜め前方(図5(c)中、左方)へ移動する乗員128の頭部130は、その左側頭部134がカバー116付近に接触するようにして受け止められ、場合によってはカバー116と共にスライドする。また、このとき、クッション104は、乗員128の頭部130の他、肩131や胸なども拘束する。これらの作用によって、クッション104は、乗員128の頭部130と肩131等との動きをそろえることができ、頭部130の肩131に対して左右に振り向く回転、および頭部130を上下や左右に傾けるいずれの回転をも最小限に抑えて拘束する。このようにして、クッション104は、乗員128の傷害値を大幅に抑えることができる。
図6は、図3のクッション104が乗員128を拘束する過程を車外側後方から見て例示した図である。図6(a)に例示するように、車内側斜め前方(図6(a)中、左側斜めやや上方)へ移動する乗員128の前方には、メインバッグ114が膨張展開する。図6(b)に例示するように、乗員128の頭部130は、下部の顎138側からメインバッグ114の後部領域120に接触する。
図6(c)に例示するように、頭部130は左側頭部134をカバー116付近に接触させ、さらに柔軟な後部領域120に右側頭部136も接触させて受け止められる。これら作用によって、クッション104は、乗員128の頭部130と肩131等との動きをそろえ、頭130を肩131等に対していずれの方向にも振り向かせたり傾けさせたりすることなく、頭部130の回転を最小限にして拘束する。
以上の構成によって、本実施形態のクッション104は、緊急時に乗員128の傷害値を効率よく抑えることを可能にしている。上記のクッション104は、乗員128が斜め方向へ移動した時にはカバーで受けてスライドさせつつ拘束するが、乗員128が正面方向へ移動した時には開口部118から露出するメインバッグ114のみでも拘束可能である。このように、クッション104は、オブリーク衝突時だけでなく、通常の車両前後方向の衝突に対しても乗員128を問題無く拘束することができる。
上記では、図4を参照しながら、頭部130に生じる回転の例として時計回りの回転を挙げた。しかし、緊急時の状況によっては、例えば乗員128は車外側斜め前方に移動し、頭部130には上方から見て首を中心に反時計回りの回転が生じる場合もある。この反時計回りの回転に対しても、本実施形態のクッション104によれば回転を減少または打ち消し、頭部130の角速度を小さくすることができる。すなわち、本実施形態のエアバッグ装置100は、車幅方向のいずれに移動する乗員128に対しても、同様の効果を得ることができる。
(第1変形例)
図7は、図2のクッション104の第1変形例を例示した図である。以降、既に説明した構成要素と同じものについては、同じ符号を付することによって説明を省略する。また、既に説明した構成要素と同じ名称のものについては、異なる符号を付していても、特に明記しない場合は同じ機能を有するものとする。
図7(a)は、第1変形例にかかるエアバッグクッション(クッション200)を、図2(c)のクッション104と同じく、車両後方側から見て例示している。本実施形態におけるクッション200は、カバー202のサイズが大きめに設定されている点で、図2(c)のクッション104と構成が異なっている。
図7(b)は、図7(a)のB−B断面図である。図7(b)に例示するように、カバー202は、その内側におけるメインバッグ114を内包している空間(内側空間E2)の体積が、メインバッグ114の体積より大きく設定されている。したがって、カバー202とメインバッグ114との間には空間に余裕が生じていて、カバー202はメインバッグ114上をよりスライドしやすくなっている。なお、カバー202も非膨張であって、カバー202とメインバッグ114との間の空間にはガスは流入しない。
カバー202は、メインバッグ114上をスライドしやすいことで、スライドによる乗員128(図4等参照)の頭部130の回転の抑制をより効率よく行うことが可能である。これによって、クッション200は、乗員128の頭部130と肩131等との動きをそろえ、頭130を肩131等に対していずれの方向にも振り向かせたり傾けさせたりすることなく、頭部130の回転を最小限にして拘束することができる。
(第2変形例)
図8は、図2のクッション104の第2変形例を例示した図である。図8(a)は、第2変形例にかかるエアバッグクッション(クッション220)を車両後方側から見て例示している。クッション220では、非膨張のカバー222がメインバッグ114に対して小さなサイズに設定されている点で、上記の各クッションと構成が異なっている。
図8(b)は、図8(a)のクッション220を車外側から見て例示している。クッション220では、カバー222のサイズがメインバッグ114と比較して小さく設定されているため、カバー222がメインバッグ114を包囲してメインバッグ114の膨張可能な範囲を制限する。その結果、メインバッグ114の車両後方側(図8(b)中左側)の一部分が、開口部228から、メインバッグ114の保護対象となる乗員128(図9(a)等参照)が着座する座席側へ突出している(突起部224)。突起部224が座席側に突出していることで、クッション220は乗員128との接触をより早期に行うことが可能になっている。
図8(c)は、図8(a)のC−C断面図である。図8(c)に例示するように、カバー222の内側におけるメインバッグ114を内包している空間(内側空間E3)の体積は、メインバッグ114の体積よりも小さく設定されている。この構成によって、カバー222は、メインバッグ114が膨張するはずの空間の範囲を、内側空間E3に制限する。そして、内側空間E3に収まりきらなかったメインバッグ114の車両後方側の一部分が、開口部228から突起部224として座席側(図8(c)中左側)に突出している。
本実施形態では、メインバッグ114の全体のうち、突起部224とそれ以外の部位とで基布の張力に差異が現れる。具体的には、突起部224は基布の張力が低く、突起部224以外のカバーに内包されている部位(基部226)は相対的に基布の張力が高くなっている。
メインバッグ114の全体積のうち、突起部224は一部分であって、残りの大部分は基部226になっている。図8(a)に例示するように、膨張時の両部分の基布を曲面として見ると、突起部224の外形は基部226の外形よりも小さいので、任意の位置における突起部224のおおよその曲率半径r1は、基部226の曲率半径r2よりも小さい(r1<r2)。
一般に、基布の張力(T)は、圧力(P)と曲率半径(r)によって表すことができる(T=P×r)。メインバッグ114は、一つのインフレータ112(図8(c)参照)から受けるガスの圧力によって膨張している。加えて、突起部224と基部226との間は完全には仕切られていないので、突起部224と基部226それぞれの部位では内圧は等しくなる。そのため、相対的に曲率半径r1の小さい突起部224は、それと等しい内圧を有する相対的に曲率半径r2の大きい基部226よりも、基布の張力が低くなっている。すなわち、本実施形態のメインバッグ114は、張力の低い突起部224が車両後方側の中央から露出した構成となっている。
図9は、図7(a)等の膨張展開時のクッション220が乗員128を拘束する過程を例示した図である。図9の各図は、クッション220が乗員128を拘束する過程を車内側後方から見て例示している。図9(a)に例示するように、車両に衝撃が発生すると、クッション220が座席102(図1(b)参照)の車両前方に膨張展開する。
図9(b)は、図9(a)よりもさらに乗員128が移動した状態を例示している。メインバッグ114の突起部224は、カバー222の開口部228から座席に着座した乗員側(図9(a)中、右側)に突出していて、クッション220のなかで最も乗員128に近い。したがって、突起部224は、乗員128に対してより早期に接触することができる。このとき、突起部224は、乗員128の頭部130に対して、下部の顎138の付近から接触する。
オブリーク衝突などでは、運転席の乗員は車幅方向の斜め前方へ向かって移動する場合がある。その場合、上記構成では、乗員128の頭部130は、乗員の近くに存在する張力の低い突起部224から先に接触する。このように、上記構成によれば、乗員128の頭部130を張力の低い突起部224で比較的柔軟に受けることで、頭部130の回転を抑え、傷害値をより低く抑えて拘束することが可能になっている。このとき、突起部224115は、頭部130を顎138側から受けることで、頭部130の縦方向の回転(上方から下方へ向かう回転)をも抑えることができる。
図9(b)から乗員128がさらに車両斜め前方へ移動すると、図9(c)に例示するように、乗員128の頭部130は左側頭部134をカバーに接触させるようにして拘束される。このとき、図4を参照して例示したように、頭部と共にカバーがメインバッグ上をスライドし、乗員128の頭部130の動きを肩131の動きとそろえて拘束することができる。
以上のように、クッション220が、頭部130の肩131に対して左右に振り向く回転、および頭部130を上下や左右に傾けるいずれの回転をも最小限に抑えて拘束する。そして、頭部130の角速度を小さくすることで頭部130に伴う傷害値を大幅に抑えることができる。
(第3変形例)
図10は、図2のクッション104の第3変形例を例示した図である。図10(a)は、第3変形例にかかるエアバッグクッション(クッション240)を車両後方側から見て例示している。本実施形態におけるクッション240は、開口部の無いカバー242を備えている点で、上記の各実施形態と構成が異なっている。
カバー242は、開口部が設けられていないため、メインバッグ114の全体を内包している。カバー242もまた非膨張の部位であって、カバー242とメインバッグ114との間にはガスは流入しない。カバー242もまた、ベントホール124の周囲の接続部122やインフレータ112の周囲のみでメインバッグ114と接続している。そして、カバー242も、上記説明した各カバーと同様に、接触した乗員と共にメインバッグ114上をスライドして、頭部130の回転および傷害値を抑えることが可能になっている。
図10(b)は、図10(a)のD−D断面図である。図10(d)に例示するように、カバー242の内側におけるメインバッグ114を内包している空間(内側空間E4)の体積は、メインバッグ114の体積よりも大きく設定されている。したがって、カバー242とメインバッグ114との間には空間に余裕が生じていて、カバー242はメインバッグ114上をよりスライドしやすくなっている。
図10(c)は、図10(b)のクッション240に乗員128が接触した際の概略を例示した図である。カバー242がメインバッグ114の全体を包囲しているため、乗員はカバー242を介してメインバッグ114に間接的に接触する。
図10(d)は、図10(c)に続く乗員の挙動を例示している。カバー242もまた、メインバッグ114上をスライドしやすくなっているため、スライドによる乗員128の頭部の回転の抑制をより効率よく行うことが可能である。これによって、クッション240は、乗員128の頭部130と肩131等との動きをそろえ、頭130を肩131等に対していずれの方向にも振り向かせたり傾けさせたりすることなく、頭部130の回転を最小限にして拘束することができる。
上記説明では、当該エアバッグ装置100を運転席用のフロンタルエアバッグとして実施した。しかしながら、当該エアバッグ装置100は、運転席以外の箇所にも設置可能である。例えば、前部座席の後側に設けることで、後部座席の正面に膨張展開するフロンタルエアバッグとしても実施可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、以上に述べた実施形態は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定される主旨の記載がない限り、この発明は、添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨の記載がない限り、それに限定されるものではない。
したがって、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、緊急時に乗員を拘束するエアバッグ装置に利用することができる。
100…エアバッグ装置、102…座席、104…クッション、106…ステアリングホイール、108…収納部、110…収納部の意匠面、112…インフレータ、114…メインバッグ、116…カバー、118…開口部、120…メインバッグの後部領域、122…接続部、124…ベントホール、128…乗員、130…頭部、131…肩、134…左側頭部、136…右側頭部、138…顎、200…第1変形例のクッション、202…カバー、220…第2変形例のクッション、222…カバー、224…突起部、226…基部、228…開口部、240…第3変形例のクッション、242…カバー、E1…第1変形例におけるカバーの内側空間、E2…第1変形例における内側空間、E3…第2変形例における内側空間、E4…第3変形例における内側空間、r1…突起部の曲率半径、r2…基部の曲率半径

Claims (5)

  1. ガスを利用して車両の座席に着座した乗員の前方に膨張する袋状のメインバッグと、
    前記メインバッグを内包している非膨張の布状のカバーと、
    前記車両に設置され前記メインバッグに前記ガスを供給するインフレータと、
    を備え
    前記カバーは、前記メインバッグの車両後方側の後部領域を前記座席に着座した乗員に向かって露出可能な開口部を有し、
    前記メインバッグは、前記後部領域以外の部分が前記カバーに内包されていることを特徴とするエアバッグ装置。
  2. ガスを利用して車両の座席に着座した乗員の前方に膨張する袋状のメインバッグと、
    前記メインバッグを内包している非膨張の布状のカバーと、
    前記車両に設置され前記メインバッグに前記ガスを供給するインフレータと、
    を備え、
    前記カバーは、前記座席に着座した乗員に向かって前記メインバッグの一部分を露出可能な開口部を有し、
    前記カバーの内側における前記メインバッグを内包している空間の体積は、前記メインバッグの体積よりも小さく、
    前記カバーが前記メインバッグを包囲して該メインバッグの膨張可能な範囲を制限することによって前記メインバッグの一部分が前記開口部から前記座席側に突出することを特徴とするエアバッグ装置。
  3. 前記メインバッグの前記座席側に突出する一部分は、該メインバッグの前記カバーに内包されている部分よりも、基布の張力が低いことを特徴とする請求項に記載のエアバッグ装置。
  4. 前記カバーの内側における前記メインバッグを内包している空間の体積は、前記メインバッグの体積よりも大きいことを特徴とする請求項に記載のエアバッグ装置。
  5. 前記カバーは、前記メインバッグに向かって進入した前記乗員と共に該メインバッグ上をスライドすることで該メインバッグに対する該乗員からの荷重を受け流すよう、該メインバッグと共に車両に取り付けられた状態にあることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
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