JP6619583B2 - ガスまたは液体の検出方法、および、ガスまたは液体の検出装置 - Google Patents

ガスまたは液体の検出方法、および、ガスまたは液体の検出装置 Download PDF

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Description

この発明は、ガスまたは液体の検出方法、および、ガスまたは液体の検出装置に関し、特に、紫外線を照射する工程を備えたガスまたは液体の検出方法、および、ガスまたは液体の検出装置に関する。
従来、紫外線を照射する工程を備えたガスまたは液体の検出方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
共役二重結合を有する化学物質は、人体に対して毒性を示す場合があり、特に、芳香族炭化水素類は、人体に対する中枢神経毒性を示し、ベンゼンに至っては、発がん性を示すことが知られている。一般的に、共役二重結合を有する化学物質を含む溶剤類が人体に吸引され、もしくは経皮吸収されるなどにより、溶剤類が体内に取り込まれた場合、腎臓や肝臓に負担がかかる。また、共役二重結合を有する化学物質は、非局在電子であるπ電子を有していることから、暴露期間が長い場合、遺伝子障害を誘発する化学種が比較的多い。上記の溶剤類は、印刷、塗料、石油などの産業界で日常的に利用されており、上記の化学物質の人体に対する負担が大きいため、作業環境におけるガスモニタリングや、簡易にガス等を測定できる検知器が望まれている。
そこで、従来、このような作業環境において、上記特許文献1に記載されるようなPID(Photo Ionization Detector)方式のガス検知器が用いられている。上記特許文献1に記載のガス検知器では、紫外光を照射するUVランプが備えられている。そして、UVランプから、各種のガス分子に対して固有の値であるイオン化に必要なエネルギーを紫外線として照射することにより、各種のガス分子の電子が励起状態に遷移する。そして、ガス分子がイオン化されることにより、電子が放出される。すなわち、下記の化学反応が起こる。
Figure 0006619583
そして、生成された電子を電気信号に変換することにより、ガスの定量測定が可能になる。なお、一般的に、PID方式の光源(UVランプ)のエネルギーは、9.8eV(波長:126nm)、10.6eV(117nm)および11.7eV(106nm)の3種があり、いずれも真空紫外領域のエネルギー(波長)である。ここで、PID方式では、上記の3種のエネルギーよりも小さいイオン化エネルギーを有するガス種は全てイオン化される。このため、種々のガスが共存した環境でPID方式のガス検知器を使用した場合、上記の3種のエネルギーよりも小さいイオン化エネルギーを有するガス種の全てが、トータルとして(合計して)検出される。
また、従来、触媒の効果を利用した半導体式ガスセンサが知られている。従来の半導体式ガスセンサでは、半導体材料の表面に化学吸着した酸素または半導体式ガスセンサのセンサ材料表面と、ガスとの反応によりイオンが生じる。そして、このイオンと化学吸着した酸素とが反応することにより、吸着酸素が脱離する。具体的には、化学吸着した酸素(実際には負の酸素イオン)と検知対象ガスとの反応により、半導体材料の電子状態が変化し、さらに、半導体材料と検知対象ガスが反応してフラグメントイオンと化学吸着した酸素との反応により、半導体材料の電子状態が変化する。このときに起きる半導体材料の電子状態の変化を電気信号に変換することによって、ガスが検出される。従来の半導体式ガスセンサでは、基本的に、負に帯電した酸素イオンに対して反応しやすい化学構造を有するガス分子に対して、センサとしての感度が比較的高い傾向にある。たとえば、双極子モーメントの大きいアルコール系に対しては、半導体材料の表面上において反応しやすいため、センサとしての感度が高くなる。また、半導体材料は、エチレンやアセチレンのような、π電子を有する化合物に対しても反応しやすいので、センサとしての感度が高くなる。
また、従来、接触燃焼式ガスセンサが知られている。接触燃焼式ガスセンサでは、接触燃焼式ガスセンサのセンサ材料表面またはセンサ材料表面に吸着した吸着酸素と、ガスとが反応する際に生じる反応熱を、電気信号に変換することにより、ガスが検出される。また、接触燃焼式ガスセンサは、一般的には、あらゆるガスに対して高濃度領域を含む比較的広い濃度領域のガスを検知することが可能である。
米国特許第6320388号
しかしながら、上記特許文献1に記載のような従来のPID方式のガス検知器では、PID方式に用いられるエネルギーよりも小さいイオン化エネルギーを有するガス種の全てがトータルとして(合計して)検出されるため、種々のガスのうちから選択的に選ばれたガスを検知することができないという問題点がある。
また、従来の半導体式ガスセンサでは、水素、アルコール系、若しくはエチレンやアセチレンのようなπ電子を有する化合物に対してセンサとしての感度が高くなる一方、半導体材料の表面上において吸着酸素と反応しにくい一部の不飽和炭化水素類(芳香族炭化水素類)に対しては、センサとしての感度が低くなるので、低濃度の検知が困難であるという問題点がある。
また、従来の接触燃焼式ガスセンサは、あらゆるガスに対して高濃度領域を含む比較的広い濃度領域のガスを検知することが可能である一方、低濃度の検知が困難であるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、検出されるガスまたは液体の選択性を高めながら、低濃度の不飽和炭化水素類を検出することが可能なガスまたは液体の検出方法、および、ガスまたは液体の検出装置を提供することである。
この発明の第1の局面によるガスまたは液体の検出方法は、ハロゲン原子およびヘテロ原子のうちの少なくとも一方を有する化学構造要素を含む不飽和炭化水素類に紫外線を照射する工程と、照射された紫外線における、不飽和炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移による光の吸収を、波長領域180nm以上260nm以下の吸収帯における光の吸収を検出する検出部により検出する工程と、検出された不飽和炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移による光の吸収に基づいて、π‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴うガスまたは液体を選択的に検出する工程とを備える。
この発明の第1の局面によるガスまたは液体の検出方法では、上記のように、照射された紫外線における、不飽和炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴う光の吸収を検出する工程を備える。これにより、照射される紫外線のエネルギーよりも小さいイオン化エネルギーを有するガス種の全てが検出される場合と異なり、π‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴う不飽和炭化水素類(共役二重結合を含む分子)を選択的に検出することができる。すなわち、検出されるガスまたは液体の選択性を高めることができる。
また、酸素は、PID方式で用いられる波長領域(126nm、117nm、106nm)では、酸素が紫外光を比較的吸収する領域のため、酸素の濃度が変化する環境では、酸素の濃度の変化がガス種の検出に影響を与えてしまう。そこで、上記のように構成すれば、波長領域180nm以上260nm以下の吸収帯では、酸素による紫外領域の光の吸収が、ほとんど、ないので、ガスまたは液体の検出に対する酸素の影響を受けない。
また、紫外領域(波長が180nm以上260nm)における光の吸収による主要な電子遷移では、π‐π遷移とn‐π遷移とが存在する。そして、π‐π遷移による吸収が短波長側において現れ、n‐π遷移による吸収が長波長側において現れる。また、芳香族炭化水素類のπ‐π遷移は、振電相互作用を考慮した場合、許容遷移を含むため、吸収帯の積分値としては大きい。一方、n‐π遷移は、禁制遷移のため、吸収強度が小さい。そこで、不飽和炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴う光の吸収を検出する工程を備えることによって、比較的吸収強度の大きいπ‐π遷移を伴う光の吸収に基づいて、低濃度の不飽和炭化水素類を検出することができる。その結果、検出されるガスまたは液体の選択性を高めながら、低濃度の不飽和炭化水素類を検出することができる。
上記第1の局面によるガスまたは液体の検出方法において、好ましくは、光の吸収を検出する工程は、ハロゲン原子およびヘテロ原子のうちの少なくとも一方を有する化学構造要素を含む芳香族炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴う光の吸収を検出する工程を含む。このように構成すれば、不飽和炭化水素類の一種である芳香族炭化水素類を選択的に検出することができる。
この場合、好ましくは、芳香族炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴う光の吸収を検出する工程は、ハロゲン原子およびヘテロ原子のうちの少なくとも一方を有する化学構造要素を含む芳香族炭化水素類のπ‐π遷移を伴う光の吸収を検出する工程である。このように構成すれば、比較的吸収強度の大きいπ‐π遷移を伴う光の吸収に基づいて、容易に、ガスまたは液体を検出することができる。
上記芳香族炭化水素類のπ‐π遷移を伴う光の吸収を検出する工程を備えるガスまたは液体の検出方法において、好ましくは、芳香族炭化水素類のπ‐π遷移を伴う光の吸収を検出する工程は、ハロゲン原子およびヘテロ原子のうちの少なくとも一方を有する化学構造要素を含む芳香族炭化水素類の遷移に伴う吸収帯および遷移に伴う吸収帯における光の吸収を検出する工程を含む。ここで、遷移に伴う吸収帯および遷移に伴う吸収帯の吸収強度は、他の吸収帯(たとえば、1遷移に伴う吸収帯)の吸収強度に比べて大きい。そこで、上記のように構成すれば、たとえばケトン類のようにπ‐π遷移を伴う光の吸収が、芳香族炭化水素類のπ‐π遷移を伴う光の吸収が現れる領域(波長領域)と同じ領域に現れる場合でも、ケトン類のπ‐π遷移の吸収強度は、芳香族炭化水素類の遷移に伴う吸収帯および遷移に伴う吸収帯の吸収強度に比べて非常に小さいので、芳香族炭化水素類を選択的に検出することができる。具体的には、芳香族炭化水素類のπ-π*遷移による吸収帯が複数現れるため、吸収帯の積分値(スペクトルの面積)を見た場合、ケトン類のπ‐π遷移の吸収強度は、非常に小さい。
この発明の第2の局面によるガスまたは液体の検出装置は、ハロゲン原子およびヘテロ原子のうちの少なくとも一方を有する化学構造要素を含む不飽和炭化水素類に、紫外光を照射する光源と、光源からの紫外光における、不飽和炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移による光の吸収を検出するとともに、検出された不飽和炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移による光の吸収に基づいて、π‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴うガスまたは液体を選択的に検出する、波長領域180nm以上260nm以下の吸収帯における光の吸収を検出する検出部とを備える。



この発明の第2の局面によるガスまたは液体の検出装置では、上記のように、光源からの紫外光における、不飽和炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴う光の吸収を検出するとともに、検出された光の吸収に基づいて、ガスまたは液体を検出する検出部を備える。これにより、照射される紫外線のエネルギーよりも小さいイオン化エネルギーを有するガス種の全てが検出される場合と異なり、紫外光の吸収によるπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移をもたらす不飽和炭化水素類(共役二重結合を含む分子)を選択的に検出することができる。また、比較的吸収強度の大きいπ‐π遷移を伴う光の吸収に基づいて、低濃度の不飽和炭化水素類を検出することができる。その結果、検出されるガスまたは液体の選択性を高めながら、低濃度の不飽和炭化水素類を検出することが可能なガスまたは液体の検出装置を提供することができる。
上記第2の局面によるガスまたは液体の検出装置において、好ましくは、光源から照射され、不飽和炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴う光が吸収された後の紫外光は、光ファイバを介して、検出部により直接検出されるように構成されている。このように構成すれば、光源と検出部との間にビームスプリッタやバンドパスフィルタが設けられる場合と異なり、光源から照射され検出部に検出される紫外光の強度の低下が抑制されるので、ガスまたは液体の検出の精度を高めることができる。
本発明によれば、上記のように、検出されるガスまたは液体の選択性を高めながら、低濃度の不飽和炭化水素類を検出することが可能なガスまたは液体の検出方法、および、ガスまたは液体の検出装置を提供することができる。
本発明の一実施形態によるガスまたは液体の検出装置のブロック図である。 各種芳香族炭化水素類の長波長側のπ‐π遷移による紫外光吸収スペクトルを示す図である。 各種芳香族炭化水素類の短波長側のπ‐π遷移による紫外光吸収スペクトルを示す図である。 メタノール(アルコール)とアセトン(ケトン)との紫外光領域の吸収スペクトルを示す図である。 ヘキサンを溶媒としたベンゼン溶液の紫外吸収スペクトルを示す図である。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
[本実施形態]
(検出装置の構成)
まず、図1を参照して、本実施形態によるガスまたは液体の検出装置100の構成について説明する。
図1に示すように、ガスまたは液体の検出装置100には、キセノンフラッシュランプ11および重水素ランプ12を含む光源10が設けられている。検出装置100では、キセノンフラッシュランプ11または重水素ランプ12のうちのいずれか一方を選択的に使用可能に構成されている。また、光源10(キセノンフラッシュランプ11、重水素ランプ12)は、紫外光領域を含む比較的広い領域の波長の光を出射するように構成されている。また、キセノンフラッシュランプ11、および、重水素ランプ12からの光の照射は、後述する電源制御回路60により制御されるように構成されている。また、キセノンフラッシュランプ11または重水素ランプ12から照射された光(紫外光)は、後述するガスセル20または液体用セル33内に収容される、ハロゲン原子およびヘテロ原子のうちの少なくとも一方を有する化学構造要素を含む不飽和炭化水素類に照射されるように構成されている。
また、検出装置100には、光源10(キセノンフラッシュランプ11、重水素ランプ12)を収容するハウジング13が設けられている。また、ハウジング13の紫外光が出射される側には、光源10から出射された紫外光を集光するとともに紫外光の放出源となる集光レンズ14aおよび14bが設けられている。
また、検出装置100には、ガスセル(10cmガスセル)20、および、液体用セル(1cm液体用セル)33が設けられている。ガスセル20には、ガスセル20に入射する紫外光を集光する集光レンズ21と、ガスセル20から放出される紫外光を集光する集光レンズ22とが設けられている。また、液体用セル33には、液体用セルホルダー30に入射する紫外光を集光する集光レンズ31と、液体用セル33から放出される紫外光を集光する集光レンズ32が設けられている。ガスセル20および液体用セル33は、それぞれ、光ファイバ40aおよび40bを介して、集光レンズ14aおよび14bに接続されている。
ガスセル20には、ガス排出口23およびガス導入口24が設けられている。ガス排出口23には、吸引ポンプ26の劣化を防止するための活性炭25を介して、吸引ポンプ26が接続されている。なお、吸引ポンプ26は、たとえば、ダイヤフラムポンプからなる。ガス導入口24は、ダストフィルタ27を介して、サンプルガス28(サンプルガス28が収容される容器)に接続されている。そして、吸引ポンプ26により、ガス排出口23からガスを吸引することにより、サンプルガス28が、ダストフィルタ27を介して、ガスセル20に導入される。なお、サンプルガス28は、ハロゲン原子およびヘテロ原子のうちの少なくとも一方を有する化学構造要素を含む不飽和炭化水素類(芳香族炭化水素類)を含有するガスである。また、吸引ポンプ26の流量調節は、後述する電源制御回路60により行われる。
液体用セル33は、液体用セルホルダー30によって固定される。なお、液体用セル33内の液体サンプルは、ハロゲン原子およびヘテロ原子のうちの少なくとも一方を有する化学構造要素を含む不飽和炭化水素類(芳香族炭化水素類)を含有する液体である。
また、検出装置100には、外部光電効果型のフォトンカウンタ50が設けられている。また、ガスセル20から放出される紫外光を集光する集光レンズ22、および、液体用セル33から放出される紫外光を集光する集光レンズ32には、それぞれ、光ファイバ41aおよび41bが接続されている。そして、光ファイバ41aおよび41bの一方端は、フォトンカウンタ50の近傍に配置されている。なお、フォトンカウンタ50は、特許請求の範囲の「検出部」の一例である。
ここで、本実施形態では、フォトンカウンタ50は、光源10からの紫外光における、ハロゲン原子およびヘテロ原子のうちの少なくとも一方を有する化学構造要素を含む不飽和炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴う光(紫外光)の吸収を検出するとともに、検出された光(紫外光)の吸収に基づいて、ガスまたは液体を検出するように構成されている。また、フォトンカウンタ50は、波長領域180nm以上260nm以下の紫外光のフォトンを検出可能に構成されている。
また、本実施形態では、光源10から照射され、不飽和炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴う光が吸収された後の紫外光は、光ファイバ41aおよび41bを介して、フォトンカウンタ50により直接検出されるように構成されている。すなわち、光源10と、フォトンカウンタ50との間には、ビームスプリッタやバンドパスフィルタなどは設けられていない。
また、検出装置100には、電源制御回路60が設けられている。電源制御回路60は、光源10(キセノンフラッシュランプ11、重水素ランプ12)、吸引ポンプ26、および、フォトンカウンタ50に接続されている。なお、電源制御回路60は、特許請求の範囲の「検出部」の一例である。
そして、検出装置100では、光源10(キセノンフラッシュランプ11、または、重水素ランプ12)から照射された紫外光が、集光レンズ14a(集光レンズ14b)を介してガスセル20(液体用セル33)に照射される。そして、ガスセル20を通過した紫外光が、集光レンズ22と、光ファイバ41aとを介して、フォトンカウンタ50に入射されて、紫外光のフォトンがカウントされる。同様に、液体用セル33を通過した紫外光が、集光レンズ32と、光ファイバ41bとを介して、フォトンカウンタ50に入射されて、紫外光のフォトンがカウントされる。なお、ガスセル20を通過した紫外光のフォトンのカウントと、液体用セル33を通過した紫外光のフォトンのカウントとは、個別に行われるように構成されている。たとえば、光学スプリッタなどを用いて、ガスセル20を通過した紫外光のフォトンのカウントと、液体用セル33を通過した紫外光のフォトンのカウントとを切り替えることが可能になる。
(検出原理)
次に、図2〜図5を参照して、検出装置100のガスまたは液体の検出原理について説明する。
まず、光源10(キセノンフラッシュランプ11、重水素ランプ12)から、紫外光が、ガスセル20の中のサンプルガス28(液体用セル33を固定した液体用セルホルダー30)に照射される。このとき、サンプルガス28内(液体用セル33の液体サンプル内)に、波長領域180nm以上260nm以下の紫外光を吸収するガス(液体)が存在すると、フォトンカウンタ50によって検出されるフォトンのカウント数(出力)が減少する。具体的には、サンプルガス28内(液体用セル33の液体サンプル内)に、π‐π遷移およびn‐π遷移を伴う紫外光を吸収する不飽和炭化水素類(芳香族炭化水素類)が存在した場合、π‐π遷移およびn‐π遷移を伴う紫外光の吸収により、フォトンカウンタ50によって検出されるフォトンのカウント数(出力)が減少する。なお、π‐π遷移による吸収と、n‐π遷移による吸収とがトータルとしてカウントされる。このカウント数(出力)の減少量と、ガス(液体)の濃度との相関に基づいて、サンプルガス28内(液体用セル33の液体サンプル内)に含まれる不飽和炭化水素類(芳香族炭化水素類)の定量測定が可能になる。以下、詳細に説明する。
たとえば、ベンゼンの紫外光吸収によるπ‐π遷移には、1g1u遷移(|A1g>→|E1u>)、1g1u遷移(|A1g>→|B1u>)、および、1g2u遷移(|A1g>→|B2u>)がある。電子遷移において、1g1u遷移(|A1g>→|E1u>)は、許容遷移であり、紫外光の吸収強度が非常に大きい。1g1u遷移(|A1g>→|B1u>)、および、1g2u遷移(|A1g>→|B2u>)は、電子遷移という意味では禁制遷移である一方、振電相互作用を考慮すると、1g1u遷移(|A1g>→|B1u>)、および、1g2u遷移(|A1g>→|B2u>)も許容遷移になるが、紫外光の吸収強度は、1g1u遷移(|A1g>→|E1u>)に比べて比較的小さい。ここで、芳香族炭化水素類においても、ベンゼンと同様の傾向を有しており、振電相互作用が寄与する吸収帯のうち、長波長側の吸収帯を遷移に伴う吸収帯、短波長側の吸収帯を遷移に伴う吸収帯(ベンゼノイド吸収帯)と呼ぶ。また、ヘテロ原子を含む不飽和炭化水素類(芳香族炭化水素類)では、n‐π遷移を伴う紫外光の吸収が存在する。
ここで、π‐π遷移による吸収帯は、ガス分子の共役の長さが長いほどバソクロミックシフト(吸収波長が長波長側にシフト)する。たとえば、ベンゼン、ナフタレン、アセトンの順で共役が長くなるので、この順で吸収帯がバソクロミックシフトする。n‐π遷移は、ケトンのような非共有電子対を有する分子において起きる。なお、アセトンの場合のn‐π遷移は、260nm近傍の波長を有する紫外光を吸収する。
特定波長の吸収強度の程度を判断する分子固有の係数は、下記の式に示されるベールーランベルトの法則に従って、分子吸光係数εで表される。
Figure 0006619583
ここで、Iは入射強度、Iは透過光強度、εは分子吸光係数、Cは濃度、lは光路長を表す。また、分子吸光係数εと上記吸収強度に相当する振動子強度fとの実測からの関係式は、次式で表される。
Figure 0006619583
ここで、eは電気素量、Nはアボガドロ数、mは電子の質量,νは振動数、cは光の速度を表す。
上記の式において、分子吸光係数εの値が大きいほど、特定の波長の光の吸収量が多いことを示す。目安として、芳香族炭化水素類のπ‐π遷移のεは、おおよそ数万程度であり、n‐π遷移のεは、おおよそ数百程度である。たとえば、ナフタレンのπ-π*遷移のεは、10万を越える。
また、200nm以上の紫外光の波長領域において、π‐σ遷移による吸収帯が現れる場合がある。分子の例としては、ハロゲン化メタンなどである。一方、π‐σ遷移の吸収強度は、n‐π遷移と同様に小さく、εの最大は数百程度である。
そして、本実施形態では、不飽和炭化水素類(芳香族炭化水素類)のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴う光の吸収(遷移に伴う吸収帯および遷移に伴う吸収帯における光の吸収)に基づいて、ガスまたは液体を検出する。たとえば、ハロゲン原子またはヘテロ原子を有する場合も含めたベンゼン系、ポリエンの不飽和炭化水素類(芳香族炭化水素類)を検出する。
次に、図2〜図5を参照して、遷移と吸収帯との関係について説明する。
図2は、各種芳香族炭化水素類の長波長側のπ‐π遷移に伴う紫外光吸収スペクトルが示されている。具体的には、ベンゼン(2.15vol%)、トルエン(1.84vol%)、エチルベンゼン(0.93vol%)の遷移に伴う吸収帯が示されている。遷移は、電子遷移としては禁制遷移のため、吸収強度は非常に小さい(ε=200〜300)。なお、遷移は、上記した振電相互作用を考慮した場合は許容遷移である。置換基のアルカンの炭素数が増えるごとに、バソクロミックシフトする傾向がある。
図3は、各種芳香族炭化水素類の短波長側のπ‐π遷移による紫外光吸収スペクトルが示されている。具体的には、ベンゼン(470ppm)、トルエン(209ppm)、エチルベンゼン(308ppm)の遷移に伴う吸収帯が示されている。吸収帯は、193nm〜204nmに現れる。遷移は、電子遷移としては禁制遷移である一方、分子吸光係数強度εは、7000〜9000になる。なお、遷移は、振電相互作用を考慮した場合は、許容遷移である。
図4は、メタノール(13.8vol%)とアセトン(27.7vol%)との紫外光領域の吸収スペクトルを示す。メタノールは、n‐σ遷移による1つの吸収帯が現れる。また、このn‐σ遷移の分子吸光係数εは数百程度であり、吸収強度は小さい。アセトンは、2つの吸収帯が現れる。1つ目は、π‐π遷移に伴う吸収帯であり、波長190nm近傍にピークが現れる。このπ‐π遷移は許容遷移である一方、分子吸光係数εは1100程度である。2つ目は、n‐π遷移に伴う吸収帯であり、波長275nm近傍にピークが現れる。このn‐π遷移は禁制遷移であり、分子吸光係数εは15程度である。すなわち、吸収強度は小さい。
図5は、ヘキサンを溶媒としたベンゼン溶液の紫外吸収スペクトルを示す。波長180nm近傍(1u)、波長200nm近傍(1u)、波長250nm近傍(2u)にピークがある。なお、芳香族炭化水素類においても同様に、波長180nm近傍()、波長200nm近傍()、波長250nm近傍()にピークがある。なお、およびの各遷移は、π‐π遷移に伴う吸収帯である。
すなわち、所定の波長領域の紫外光(たとえば、波長180nm、193nm〜204nm)の吸収を検出することにより、π‐π遷移による光を吸収する不飽和炭化水素類(芳香族炭化水素類)の検出が可能になる。
(本実施形態の検出装置の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、光源10からの紫外光における、不飽和炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移を伴う光の吸収のうちの少なくともπ‐π遷移を検出するとともに、検出された光の吸収に基づいて、ガスまたは液体を検出するフォトンカウンタ50を設ける。これにより、照射される紫外線のエネルギーよりも小さいイオン化エネルギーを有するガス種の全てが検出される場合と異なり、π‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴う不飽和炭化水素類(共役二重結合を含む分子)を選択的に検出することができる。すなわち、検出されるガスまたは液体の選択性を高めることができる。
また、紫外領域(波長が180nm以上260nm)における光の吸収による主要な電子遷移では、π‐π遷移とn‐π遷移とが存在する。そして、π‐π遷移による吸収が短波長側において現れ、n‐π遷移による吸収が長波長側において現れる。また、π‐π遷移は、振電相互作用を考慮した場合、許容遷移を含むため、吸収帯の積分値としては大きい。一方、n‐π遷移は、禁制遷移のため、吸収強度が小さい。そこで、不飽和炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴う光の吸収を検出することによって、比較的吸収強度の大きいπ‐π遷移を伴う光の吸収に基づいて、低濃度の不飽和炭化水素類を検出することができる。その結果、検出されるガスまたは液体の選択性を高めながら、低濃度の不飽和炭化水素類を検出することができる。
また、光(紫外光)を利用した検出装置100では、「光源の光の速度」、「ガスや液体の光吸収に伴う電子遷移の速度」、「フォトンカウンタ50の光電効果に基づく光エネルギー(特定の波長領域)による電子遷移の速度」の何れもが、非常に速いので、ガスの細孔内部拡散を必要とする半導体式ガスセンサに比べて、応答速度を速くするこことができる。
また、本実施形態では、上記のように、光源10から照射され、不飽和炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴う光が吸収された後の紫外光を、光ファイバ41aおよび41bを介して、フォトンカウンタ50により直接検出する。これにより、光源10とフォトンカウンタ50との間にビームスプリッタやバンドパスフィルタが設けられる場合と異なり、光源10から照射されフォトンカウンタ50に検出される紫外光の強度の低下が抑制されるので、ガスまたは液体の検出の精度を高めることができる。
(ガスまたは液体の検出方法)
次に、図1を参照して、本実施形態におけるガスまたは液体の検出方法について説明する。
まず、図1に示すように、光源10から、ハロゲン原子およびヘテロ原子のうちの少なくとも一方を有する化学構造要素を含む不飽和炭化水素類(サンプルガス28、液体用セル33内の液体サンプル)に紫外線が照射される。
次に、本実施形態では、フォトンカウンタ50により、サンプルガス28または液体用セル33内の液体サンプルを通過した後の紫外光における、波長領域180nm以上260nm以下の吸収帯における光の吸収が検出される。具体的には、照射された紫外線における、不飽和炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴う光の吸収が検出される。詳細には、芳香族炭化水素類のπ‐π遷移を伴う光の吸収(芳香族炭化水素類の遷移に伴うおよび遷移に伴う光の吸収)が主として検出される。
次に、検出された光の吸収に基づいて、ガスまたは液体の検出が行われる。すなわち、π‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴う紫外光を吸収する不飽和炭化水素類(芳香族炭化水素類)を含まないサンプルガス28(液体用セル33内の液体サンプル)のカウント数(出力)と、π‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴う紫外光を吸収する不飽和炭化水素類(芳香族炭化水素類)を含むサンプルガス28(液体用セル33内の液体サンプル)のカウント数(出力)との比較(減少量)から、不飽和炭化水素類(芳香族炭化水素類)の定量測定が行われる。つまり、カウント数(出力)の減少量と、ガス(液体)の濃度との相関に基づいて、定量測定が行われる。
(本実施形態の検出方法の効果)
本実施形態では、以下のような検出方法の効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、照射された紫外線における、不飽和炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴う光の吸収を検出する工程を備える。これにより、照射される紫外線のエネルギーよりも小さいイオン化エネルギーを有するガス種の全てが検出される場合と異なり、π‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴う不飽和炭化水素類(共役二重結合を含む分子)を選択的に検出することができる。すなわち、検出されるガスまたは液体の選択性を高めることができる。また、比較的吸収強度の大きいπ‐π遷移を伴う光の吸収に基づいて、低濃度の不飽和炭化水素類を検出することができる。その結果、検出されるガスまたは液体の選択性を高めながら、低濃度の不飽和炭化水素類を検出することができる。
また、本実施形態では、上記のように、光の吸収を検出する工程は、ハロゲン原子およびヘテロ原子のうちの少なくとも一方を有する化学構造要素を含む芳香族炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移を伴う光の吸収を検出する工程を含む。これにより、不飽和炭化水素類の一種である芳香族炭化水素類を選択的に検出することができる。
また、本実施形態では、上記のように、芳香族炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移を伴う光の吸収を検出する工程は、ハロゲン原子およびヘテロ原子のうちの少なくとも一方を有する化学構造要素を含む芳香族炭化水素類のπ‐π遷移を伴う光の吸収を検出する工程である。これにより、比較的吸収強度の大きいπ‐π遷移を伴う光の吸収に基づいて、容易に、ガスまたは液体を検出することができる。
また、本実施形態では、上記のように、芳香族炭化水素類のπ‐π遷移を伴う光の吸収を検出する工程は、ハロゲン原子およびヘテロ原子のうちの少なくとも一方を有する化学構造要素を含む芳香族炭化水素類の遷移に伴う吸収帯および遷移に伴う吸収帯における光の吸収を検出する工程を含む。ここで、遷移に伴う吸収帯および遷移に伴う吸収帯の吸収強度は、他の吸収帯(たとえば、遷移に伴う吸収帯)の吸収強度に比べて大きい。そこで、上記のように構成することによって、たとえばケトン類のようにπ‐π遷移を伴う光の吸収が、芳香族炭化水素類のπ‐π遷移を伴う光の吸収が現れる領域(波長領域)と同じ領域に現れる場合でも、ケトン類のπ‐π遷移の吸収強度は、芳香族炭化水素類の遷移に伴う吸収帯および遷移に伴う吸収帯の吸収強度に比べて非常に小さいので、芳香族炭化水素類を選択的に検出することができる。
また、本実施形態では、上記のように、光の吸収を検出する工程は、波長領域180nm以上260nm以下の吸収帯における光の吸収を検出する工程を含む。ここで、酸素は、PID方式で用いられる波長領域(126nm、117nm、106nm)では、酸素が紫外光を比較的吸収する領域のため、酸素の濃度が変化する環境では、酸素の濃度の変化がガス種の検出に影響を与えてしまう。そこで、上記のように構成することによって、波長領域180nm以上260nm以下の吸収帯では、酸素による紫外領域の光の吸収が、ほとんど、ないので、ガスまたは液体の検出に対する酸素の影響を受けない。
[実施例1]
次に、上記実施形態の効果を確認するために行った実施例1について説明する。
この実施例1では、サンプルガスを用いた。具体的には、芳香族炭化水素類として、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンおよびスチレンを用いた。また、比較例として、アセトン、メタノール、ジクロロメタン、クロロフォルム、ブチルアミン、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、および、酢酸の飽和蒸気を用いた。そして、上記の検出装置100により、光源10からの紫外光をサンプルガスに照射して、波長領域180nm以上260nm以下の紫外光のフォトンをフォトンカウンタ50によりカウントした。その結果、芳香族炭化水素類のベンゼン、トルエン、エチルベンゼンおよびスチレンでは、波長領域180nm以上260nm以下の紫外光の吸収により、ガス濃度に依存して単位時間当たりのフォトンのカウント数が変動することが確認された。すなわち、サンプルガス中の芳香族炭化水素類の定量分析が可能であることが確認された。一方、比較例のアセトン、メタノール、ジクロロメタン、クロロフォルム、ブチルアミン、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、および、酢酸では、単位時間当たりのフォトンのカウント数の変動は確認されなかった。
すなわち、検出装置100(検出方法)では、芳香族炭化水素類の定量分析を行うことができる一方、芳香族炭化水素類でない比較例のサンプルガスを検知しないことが確認された。その結果、π‐π遷移を伴う紫外光を吸収する芳香族炭化水素類(ガス)が、選択的に検出できる(選択性を高める)ことが確認された。
[実施例2]
次に、上記実施形態の効果を確認するために行った実施例2について説明する。
この実施例2では、液体サンプルを用いた。具体的には、芳香族炭化水素類として、ベンゼン、トルエン、および、エチルベンゼンを用いた。また、溶媒として、アセトンを用いた。そして、ベンゼン(トルエン、エチルベンゼン)を10−5mol/lに調整した。そして、上記の検出装置100により、光源10からの紫外光を液体サンプルに照射して、波長領域180nm以上260nm以下の紫外光のフォトンをフォトンカウンタ50によりカウントした。また、紫外光の照射中に、10−5mol/lのベンゼン(トルエン、エチルベンゼン)を徐々に希釈することにより、単位時間当たりのフォトンのカウント数が変動することが確認された。すなわち、液体サンプル中の芳香族炭化水素類の定量分析が可能であることが確認された。
なお、ケトン類であれば、π‐π遷移およびn‐π遷移、アルコール類であればn‐σ遷移による吸収がある一方、芳香族炭化水素類のπ‐π遷移の波長領域180nm以上260nm以下における分子吸光係数εがけた違いに大きい(数千〜数万)ので、芳香族炭化水素類を選択的に検出することが可能である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、不飽和炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移を伴う光の吸収が検出される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、不飽和炭化水素類のπ‐π遷移(芳香族炭化水素類の遷移および遷移に伴う光の吸収)のみを検出するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、検出装置にガスセルと液体セルとの両方が設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、検出装置にガスセルまたは液体セルのうちの一方が設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、検出装置にキセノンフラッシュランプと重水素ランプとの両方が設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、検出装置にキセノンフラッシュランプまたは重水素ランプのうちの一方が設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、外部光電効果型のフォトンカウンタが用いられる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、内部光電効果型のシリコンダイオード等を用いてもよい。
また、上記実施形態では、π‐π遷移およびn‐π遷移を伴う光が吸収された後の紫外光のフォトンが、光ファイバを介して、フォトンカウンタにより直接検出される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、紫外光が移動する経路のいずれかにバンドパスフィルタを配置してもよい。これにより、バンドパスフィルタを通過する紫外光の波長が限定されるので、検出されるガスまたは液体の選択性をより高めることができる。
また、上記実施例1および2では、芳香族炭化水素類として、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンおよびスチレンが用いられる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、π‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴う光を吸収する芳香族炭化水素類(不飽和炭化水素類)であれば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンおよびスチレン以外でも検出可能である。
10 光源
41a、41b 光ファイバ
50、フォトンカウンタ(検出部)
60 電源制御回路(検出部)
100 (ガスまたは液体の)検出装置

Claims (6)

  1. ハロゲン原子およびヘテロ原子のうちの少なくとも一方を有する化学構造要素を含む不飽和炭化水素類に紫外線を照射する工程と、
    照射された前記紫外線における、前記不飽和炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移による光の吸収を、波長領域180nm以上260nm以下の吸収帯における光の吸収を検出する検出部により検出する工程と、
    前記検出された前記不飽和炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移による光の吸収に基づいて、π‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴うガスまたは液体を選択的に検出する工程とを備える、ガスまたは液体の検出方法。
  2. 前記光の吸収を検出する工程は、ハロゲン原子およびヘテロ原子のうちの少なくとも一方を有する化学構造要素を含む芳香族炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴う光の吸収を検出する工程を含む、請求項1に記載のガスまたは液体の検出方法。
  3. 前記芳香族炭化水素類の光の吸収を検出する工程は、ハロゲン原子およびヘテロ原子のうちの少なくとも一方を有する化学構造要素を含む前記芳香族炭化水素類のπ‐π遷移を伴う光の吸収を検出する工程である、請求項2に記載のガスまたは液体の検出方法。
  4. 前記芳香族炭化水素類のπ‐π遷移を伴う光の吸収を検出する工程は、ハロゲン原子およびヘテロ原子のうちの少なくとも一方を有する化学構造要素を含む前記芳香族炭化水素類の遷移に伴う吸収帯および遷移に伴う吸収帯における光の吸収を検出する工程を含む、請求項3に記載のガスまたは液体の検出方法。
  5. ハロゲン原子およびヘテロ原子のうちの少なくとも一方を有する化学構造要素を含む不飽和炭化水素類に、紫外光を照射する光源と、
    前記光源からの紫外光における、前記不飽和炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移による光の吸収を検出するとともに、検出された前記不飽和炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移による光の吸収に基づいて、π‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴うガスまたは液体を選択的に検出する、波長領域180nm以上260nm以下の吸収帯における光の吸収を検出する検出部とを備える、ガスまたは液体の検出装置。
  6. 前記光源から照射され、前記不飽和炭化水素類のπ‐π遷移およびn‐π遷移のうちの少なくともπ‐π遷移を伴う光が吸収された後の前記紫外光は、光ファイバを介して、前記検出部により直接検出されるように構成されている、請求項に記載のガスまたは液体の検出装置。
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