以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明のエアノズルAnは、基本的な構成として、主に固定本体A1と回転本体A2とを備えたものであり、該回転本体A2には噴射管部4が備わり、該噴射管部4の先端(先端噴射口41)は、回転ベース部3の回転方向に沿い且つ該回転ベース部3の軸芯線Lに対して空気噴射方向の傾斜角度θを有する構成とし、噴射管部4の付根部4jを回転ベース部3に対して回転させることによって、空気噴射の噴射方向の傾斜角度θを可変できる構成としたものである。ここで、傾斜角度θは、噴射角度θと言い換えてもよい。
このような構成を備えた本発明のエアノズルAnにおいては、噴射管部4の先端噴射口41からの空気噴射の傾斜角度θの構成によって複数の実施形態が存在する。まず、エアノズルAnの実施形態において共通する構成の説明を行い、その後で各実施形態における構成について説明する。前記固定本体A1は、非回転の構造物であり、該固定本体A1に対して前記回転本体A2は、固定本体A1に回転自在となる構造にて装着されたものである(図1乃至図3参照)。なお、本発明では、エアノズルAnより噴射される空気の気体は、主に普通の空気であるが、種々の種類の気体も含まれる。また、以下説明において空気とした文言は、気体に置き換えても良い。
固定本体A1は、主に固定ベース部1と円筒ハウジング部2とから構成されている(図1,図2参照)。ここで、本発明において、エアノズルAnは、軸方向において「開口側」と「後方側」とを有する(図1,図3等参照)。また、前記開口側については、前方側と称しても良い。軸方向は、回転本体A2が回転するときの回転中心となる軸芯の線方向のことを言う。回転中心となる軸芯の線のことを回転本体A2の軸芯線Lと称する。また、軸芯線Lは、エアノズルAn全体の軸芯線でもあり、よって、該軸芯線Lは、回転本体A2を構成する回転ベース部3及び円板部5にも適用される。軸芯線Lは、主要な図に記載されている。
エアノズルAnを構成する固定本体A1と回転本体A2は、固定本体A1に回転本体A2が組み込まれた状態で、それぞれの軸芯が前記軸芯線Lに一致する状態であり、前記開口側(前方側)及び前記後方側の位置が決定される。なお、軸芯線Lは、固定本体A1の軸芯にも適用される。つまり、固定本体A1に回転本体A2を装着した状態で、それぞれの中心は軸芯線Lに一致又は略一致する(図1参照)。
固定ベース部1は、固定円筒部11と接続用固定フランジ部12とを有する〔図1,図2(A)参照〕。固定円筒部11は、略中空円筒形状に構成されたものであり(図1乃至図3参照)、後述する回転本体A2の円筒回転部3が軸芯線Lを回転の軸として回転自在となるように装着される。固定円筒部11は、前述したように、略中空円筒形状であり、円筒形状における軸芯線Lに沿う軸方向両側が開放された円筒状貫通部11bを有する。固定円筒部11の後方側端部の開口周縁には、内ネジが形成されたネジ孔11cが前記周縁に沿って等間隔に形成されている。
接続用固定フランジ部12は、固定円筒部11内と、回転本体A2との間に装着される軸受34とスペーサ35とを収納配置するときの蓋としての役目と、後述するエアノズルベース6にエアノズルAnを装着するための接続部材としての役目をなす(図1,図2参照)。接続用固定フランジ部12は、固定円筒部11の軸方向一端にビス等の複数の固着具13にて固着される。接続用固定フランジ部12は、環状の円板形状に形成され前記固定円筒部11の外径寸法よりも大きい。接続用固定フランジ部12には固定貫通孔12a,接続孔12b及び接続孔12cが形成されている。固定円筒部11と接続用固定フランジ部12との連結には、固着具13と接続孔12bとネジ孔11cとによって行われる。
円筒ハウジング部2は、前記固定ベース部1の固定円筒部11よりも直径が大きく形成されたものであり、円筒状の容器形状をなしている(図1,図2参照)。該円筒ハウジング部2は、円筒状側壁板部21と閉鎖板部22とを有し、軸方向の一端側で且つ前記閉鎖板部22と反対側が開口部2aとなっている。そして、前述したように、固定本体A1の円筒ハウジング部2の開口している側を開口側(前方側)とし、軸芯線Lに沿う軸方向において反対側を後方側とする(図1乃至図3等参照)。
円筒ハウジング部2の閉鎖板部22側には、前記固定ベース部1の固定円筒部11の軸方向一端が挿入する貫通孔22aが形成され、固定円筒部11と、円筒ハウジング部2の閉鎖板部22とが溶接等の固着手段にて固着される。このとき、固定円筒部11の軸方向一端側の一部は、円筒ハウジング部2の閉鎖板部22に喰い込む状態である〔図1,図2(A)参照〕。つまり、固定円筒部11の軸方向一端の一部が円筒ハウジング部2内に入り込んでいる。
そのために固定円筒部11の軸方向開口側(前方側)寄りの外周側面は、直径が小さくなる小径部となり、その段差となる段差部11aが存在する。段差部11aは、固定円筒部11の小径部を円筒ハウジング部2の閉鎖板部22の貫通孔22aに挿入接続するためのストッパ及び位置合せの役目をなしている。
次に、回転本体A2は、回転ベース部3と、噴射管部4と、円板部5とを有する〔図1,図2(B),図3参照〕。回転ベース部3は、回転円筒部31と回転フランジ部32とから構成される〔図1,図2(B),図3参照〕。回転円筒部31は、円筒カップ状に形成され、円筒側面部31aと先端面部31bから構成される。円筒側面部31aは、回転円筒部31の外周を構成し、先端面部31bは、回転円筒部31の軸方向開口側(前方側)を閉鎖する部位である。回転円筒部31の内部は円筒状の空隙とした空気流路31sが形成されている。
回転円筒部31の後方側は、開口された空気入口31dとなっている。回転円筒部31の先端面部31b側箇所或いはその付近には、内部と外部との間を貫通する貫通孔とした空気排出部31cが形成されている。該空気排出部31cは、後述する噴射管部4の付根部4jが挿入され、該噴射管部4の内部と前記空気流路31sとを連通させる部位である。回転円筒部31の軸方向後方側には、回転フランジ部32がビス等の固着具33にて固着される〔図1,図2(B),図3参照〕。回転フランジ部32は、前記固定本体A1に装着されたときに、該固定本体A1の接続用固定フランジ部12に回転自在に係止し、安定した状態で回転本体A2が回転できるようにする役目をなす。
回転フランジ部32は、環状円板状をなし、空気入口孔32aが形成され、該空気入口孔32aの周縁に接続孔32bが形成されている。回転円筒部31の軸方向後方側の端面にはネジ孔31eが形成され、回転フランジ部32が回転円筒部31に、接続孔32b,ネジ孔31e及び固着具33により固着される(図1,図2参照)。回転フランジ部32の外周縁は、固定本体A1の接続用固定フランジ部12の固定用貫通孔12aの内周縁に回転自在に係止できるようになっている(図1参照)。
噴射管部4は、前記回転円筒部31に1又は2以上が装着されている。本発明における説明では、噴射管部4は2として説明する。噴射管部4は、空気を流通させて、洗浄用の空気噴射と、回転本体A2を回転させる回転力となる推進用の空気噴射を発生させる管部材である。噴射管部4の一端である付根部4jが回転円筒部31の空気排出部31cに配置又は挿入され、前記付根部4jが空気排出部31c内で周方向に回転自在となるように構成される。
そして、噴射管部4の先端噴出口41付近は、回転本体A2が設定された回転方向に回転する方向とは反対方向で、且つ回転ベース部3は、回転ベース部3の回転方向に沿って且つ軸芯線Lに対して傾斜角度θを有する構成である。この噴射管部4は、前述したように、空気排出部31cに付根部4jが配置又は挿入され、回転自在としたことにより、傾斜角度θを可変としており、該傾斜角度θを最小角度θminからθmaxまで角度調整できる〔図4(D)参照〕。
回転本体A2の回転方向は、エアノズルAnの開口側(前方側)より見て時計方向又は半時計方向の何れかに設定される。そして、先端噴出口41から噴射される空気(エア)の噴射力をFとするとこのFの方向は、エアノズルAnの軸芯線Lに対して角度θの傾きとなる〔図4(C)参照〕。したがって、乾燥(洗浄)するための乾燥噴射力はFcosθとなる。また、回転本体A2を回転させるための回転推進力はFsinθとなる〔図1(B),図4(C),(D)参照〕。このように、エアノズルAnの回転本体A2は、噴射管部4の先端噴出口41から噴射される空気(エア)の噴射力Fから生じる分力である回転させるための回転推進力Fsinθによって、回転本体A2を回転させることができる〔図4(A)参照〕。
その傾斜角度θは、所定の範囲に可変可能に設定され、具体的には最小角度と最大角度の範囲内である。最小角度の範囲は約10度程度で、最大角度は約30度程度である。好ましくは最小角度〜最大角度の範囲は約15度乃至役20度程度であり、好適には約15度程度である。そして、この傾斜角度θの範囲は、前述したように、調整することができる。
噴射管部4は、直線状部4aと屈曲状部4bと、付根部4jとからなる〔図1(A),図2(C)等参照〕。直線状部4aと屈曲状部4bとの連続する部分は、緩やかに連続形成されており、該屈曲状部4bの先端は、先端噴出口41が位置し、前記直線状部4aの先端は付根部4jが位置している。該付根部4jは、空気排出部31cに配置又は挿入され、前記屈曲部4bの軸芯線Lに対する傾斜角度によって、前記先端噴出口41の噴射方向の傾斜角度が設定される。
円板部5は、噴射管部4の先端噴出口41の噴射エアが通過可能としたものである。そして、円板部5は、回転ベース部3の回転円筒部31の先端面部31bに、円板部5と回転ベース部3との回転中心が一致又は略一致するように接続される。このとき、該先端面部31bと前記円板部5との間には、所定間隔を設けるために円筒状のカラー部53が設けられ、先端面部31bと円板部5とカラー部53とがビス等の固着具54にて固着される。
円板部5の直径中心位置には、取付用貫通孔5nが形成され、該取付用貫通孔5nにビス等の固着具54の螺子部が貫通され、カラー部53の螺子孔に固着具54が螺合される。回転本体A2において、円板部5及び噴射管部4は、回転ベース部3を軸芯線Lに沿う回転軸として回転動作を行うものである。また、前記カラー部53は、回転ベース部3の回転円筒部31の先端面部31bに、一体形成されることある〔図8(A)参照〕。
円板部5は、固定本体A1の円筒ハウジング部2の開口部2aの開口周縁よりも軸方向後方側に位置するように設定される。そして、円板部5は、円筒ハウジング部2の開口部2aよりも内方側、つまり円筒ハウジング部2の後方側に位置する構造となる。そして、円筒ハウジング部2の開口部2aと、円板部5とによって、開口部2aから深さ寸法Hとなる略扁平円筒状の空隙室Sが円筒ハウジング部2の開口側に形成される(図1参照)。
前記深さ寸法Hは、空隙室Sの容積を設定する量であり、深さ寸法Hを適宜調整することで、容積も適宜設定できる。具体的には、空隙室Sの深さ寸法Hは、円筒ハウジング部2の全体の高さに比較して僅かな量である。さらに、円板部5の外周縁5aは円筒ハウジング部2の円筒状側壁板部21の内周側に非接触状態となるように設置されている。
円板部5には、外周縁側寄りの位置に、噴射用孔部51が形成されている。該噴射用孔部51は、噴射管部4の個数と同数が円板部5に形成される。噴射用孔部51には前記噴射管部4の先端噴出口41が位置する。具体的には、噴射管部4の先端噴射口41が噴射用孔部51を貫通する。その貫通する状態は、先端噴射口41が噴射用孔部51に僅かで量でも貫通していればよい。
そして、円板部5を回転ベース部3に接続している固着具54を緩めて、円板部5を回転ベース部3に対して回転自在としたときに、円板部5の噴射用孔部51に先端噴射口41が貫通した噴射管部4は、円板部5のみの回転操作にて噴射管部4は付根部4jを中心にして回転し、先端噴射口41からの空気噴射の傾斜角度θを変更させることができるものである〔図4(C),(D),図6参照〕。
また、噴射管部4の先端噴出口41は、円筒ハウジング部2の開口部2aを超えない構成となっている(図1参照)。つまり、噴射管部4の先端噴出口41は、円筒ハウジング部2の開口部2aを越えることなく、内方に位置し、外方に突出することはない。噴射用孔部51は、楕円形状の貫通孔としたり、先端噴射口41の噴射用孔部51に貫通する部分よりも一回り大きく形成されたり、或いは図示しないが、円板部5の外周縁で開放された部分を有する略U字形状の切り欠きとすることもある。
特に、円板部5のみを回転させて、噴射管部4を付根部4jを中心に回転させるために、噴射用孔部51は長孔状とし、傾斜角度θの調整時において、円板部5の放射方向における先端噴射口41と、噴射用孔部51との縁が相互に干渉しないようにすることが必要である〔図6(A),(C),(D)参照〕。
本発明におけるエアノズルAnにおける固定本体A1と回転本体A2との組付けについて説明する。エアノズルAnには2個の軸受34が備わっている。まず、固定本体A1において固定ベース部1の軸方向の後方側の開口箇所から第1の軸受34が挿入され、次いでスペーサ35が挿入され、次いで、第2の軸受34が挿入される。
次に、回転本体A2の回転ベース部3が第1及び第2の軸受34の内周側に挿入される。スペーサ35は、2個の円筒状リングであって、その1つは固定本体A1の固定円筒部11の円筒状貫通部11bの内周側に沿うようにして装着され、他の1つは回転本体A2の円筒回転部3の円筒側面部31aに沿うように装着される(図1参照)
そして、固定本体A1の固定ベース部1の後方側端部に接続用固定フランジ部12がビス等の固着具13によって固着され、第1,第2の軸受34及びスペーサ35が固定本体A1の固定ベース部1と、回転本体A2の回転ベース部3との間に固定される。さらに、前記接続用固定フランジ部12の固定貫通孔12a箇所で、且つ回転本体A2の回転円筒部31の後方側端に回転フランジ部32がビス等の固着具33にて固着される。これによって、固定本体A1に対して回転本体A2が回転自在に装着され、該回転本体A2は軸芯線Lを回転中心線として回転する(図1,図3参照)。
回転本体A2には、内部に空隙部36bが設けられた扁平円筒形状の容器部36が具備される実施形態が存在する(図1,図3参照)。容器部36は、略ドーナツ或いは浮き輪状に形成されたものであり、内部が中空状の空隙部36bを有するものである。該容器部36は、回転本体A2の回転ベース部3に固着され且つ固定本体A1の円筒ハウジング部2の閉鎖板部22側寄りの位置に設置される。
容器部36は、回転本体A2と共に回転する。容器部36には、円筒ハウジング部2の閉鎖板部22側に近接する面に環状の挿入用貫通孔36aが形成されており、該挿入用貫通孔36aに前記固定本体A1の固定円筒部11の軸方向開口側の先端部分が挿入する構成である(図1,図3参照)。
容器部36の挿入用貫通孔36aの内周縁と固定ベース部1の固定円筒部11の外周との間には隙間を生じるようにしており、相互に非接触である。固定円筒部11の軸方向開口側の先端部分には、固定本体A1と回転本体A2との間に設けられる軸受34が配置されている。
つまり、固定本体A1と回転本体A2との間に装着された軸受34の位置する箇所の周囲が、容器部36によって包囲されると共に環状の空隙部36bが存在する構成となっている(図1,図3参照)。そして、軸受34のグリース又は潤滑用オイル等が漏れ出して、固定本体A1と回転本体A2との間から垂れ落ちた油分を、容器部36の空隙部6b内に溜めることができる〔図9(B)参照〕。つまり容器部36は、漏れ出したグリース又は潤滑用オイルのための溜め容器である。これによって、油分の汚れが円筒ハウジング部2内に拡散しないようにすることができるとともに、製造物9の乾燥作業で、該製造物9を汚してしまうことを防止できる。エアノズルAnには容器部36は装着されなくても構わない。
次に、円板部5の回動操作にて噴射用孔部51を貫通する噴射管部4の先端噴射出口41から空気噴射の軸芯線Lに対する傾斜角度θを可変可能とする構成について説明する。まず、噴射管部4の先端箇所の先端噴射出口41の軸芯線Lに対する傾斜角度θを可変可能な構成とする第1実施形態を説明する。回転ベース部3の回転円筒部31は、筒本体部部3Aと筒底部3Bとの上下に分割し、両者をビス等の接続用ネジ37によって接続する構成とする(図1,図2参照)。
空気排出部31cは、筒本体部3Aと筒底部3Bとによって分割される〔図2(B),(C)参照〕。筒本体部3A側には接続用ネジ37と螺合するネジ孔31eが形成され、筒底部3B側には接続用ネジ37が貫通するネジ貫通孔31gが形成されている。分割された空気排出部31cは、筒本体部3A側の空気排出部31cと、筒底部3B側の空気排出部31cとが、それぞれ半割円形状となる。
噴射管部4の付根部4jを筒本体部3A又は筒底部3Bの何れか一方側の空気排出部31c箇所に配置し、筒本体部3Aと筒底部3Bとを接合し、筒本体部3Aと筒底部3Bとがビス,ボルト等の接続用ネジ37によって接続固着される。このときの接続用ネジ37の固着力によって噴射管部4の付根部4jが半割円形状にとされた筒本体部3Aの空気排出部31cと、筒底部3Bの空気排出部31cとによって挟持状態で締め付けられ、これによって空気排出部31cに強固に固着される。
接続用ネジ37の筒本体部3Aと筒底部3Bへの取付位置は、前記空気排出部31cに近接した位置とする。さらに、1つの空気排出部31cに対して、その近接した位置に2つ設けられることが好ましい〔図1(A),図2(B),図3(A)等参照〕。つまり、噴射管部4の付根部4jが挿入配置される空気排出部31cの付近で、且つ直径方向両側に2つの接続用ネジ37が締め付けられることで、噴射管部4の付根部4jが筒本体部3Aと筒底部3Bのそれぞれの半割状空気排出部31cにて強固に挟持できる。つまり、回転本体A2が回転動作中に噴射管部4の付根部4jが回転ベース部3に対して緩み難いものにできる。
そして、接続用ネジ37を緩めることで、筒本体部3Aと筒底部3Bが僅かに離間し、半割状に分割された空気排出部31cは僅かに拡がることができ、噴射管部4の付根部4j箇所の締付が解除され、噴射管部4は付根部4jを中心として回転させることができ、この回転動作によって、噴射管部4の先端噴射口41から噴射される空気噴射の傾斜角度θを調整することができる。
噴射管部4の先端噴出口41は、円板部5の噴射用孔部51を貫通状態で挿入貫通している。また、噴射用孔部51は、円板部5の直径方向に沿って長孔状に形成されている。さらに、円板部5は回転円筒部31に対して、或いは回転円筒部31に装着したカラー部53に対して固着具54を緩めることにより時計方向及び反方向の何れにも自由に回転できる構成である。
このような構成によって、接続用ネジ37及び固着具54の締付を緩め、円板部5を時計方向又は反時計方向に回動させることにより、噴射用孔部51も円板部5と共に移動し、噴射用孔部51に貫通挿入している噴射管部4の先端噴出口41が、噴射用孔部51に引きずられるようにして移動することができる(図4,図6参照)。
これによって、円板部5を回転操作することによって、噴射管部4は、噴射用孔部51にひきずられて、付根部4jを中心として回動し、先端噴出口41からの空気噴射の軸芯線Lに対する傾斜角度θを所望の位置に合わせることができる。軸芯線Lに対する傾斜角度θの変更調整は、円板部5の回転角度の程度によるものである。そして、再度、接続用ネジ37を締め付けて筒本体部3Aと筒底部3Bを接合固着させ、次いで、固着具54を締め付けて、円板部5を回転円筒部31に固着し、噴射管部4の先端噴出口41の軸芯線Lに対する傾斜角度θの調整を完了する。
円板部5には、操作用貫通孔58が形成されている(図5,図7参照)。該操作用貫通孔58は、円板部5が回転ベース部3の回転円筒部31に接続された状態で、円板部5の外部からドライバ等の工具を差し込みながら接続用ネジ37の締付及び締付解除するための貫通孔である。円板部5の操作用貫通孔58は、接続用ネジ37の位置に対応する位置である。操作用貫通孔58は、円板部5の周方向に沿う長孔(図2乃至図4参照)としたり、或いは、それぞれの接続用ネジ37に対応する円形状の孔としてよい。
また、噴射管部4の先端箇所の先端噴射出口41の軸芯線Lに対する傾斜角度θを可変可能な構成とする第1実施形態の変形例を説明する(図5参照)。この第1実施形態の変形例では、前記回転ベース部3の回転円筒部31は、一体形成であり、全空気排出部31cもそれぞれが一つの貫通孔として形成されたものである〔図5(A)参照〕。
そして、噴射管部4の付根部4jが空気排出部31cに対して周方向に回転自在となるように、該空気排出部31cに挿入装着されている。回転円筒部31の先端面部31bと、空気排出部31cの内周側に直交且つ貫通するロックネジ孔31fが形成されており、該ロックネジ孔31fにはロックネジ38が螺合されている〔図5(B),(C)参照〕。ここで、ロックネジ孔31fは、内周側に内ネジが形成されたものであり、ロックネジ37は、六角穴付きボルト(ビス)が好適である。
ロックネジ孔31fは、1つ又は2つ設けられている。該ロックネジ孔31fが2個設けられた場合では、それぞれのロックネジ孔31fの先端面部31b側における開口位置は、空気排出部31cの中心位置から先端面部31bの外周方向に沿って両側に拡がるように形成されている〔図5(C),(D)参照〕。そして、両ロックネジ孔31f,31fは、軸芯線Lと空気排出部31cの両方に対して左右対称又は略左右対称となるように傾斜する。
また、ロックネジ孔31fが1つだけ設けられた場合では、特に図示しないが、ロックネジ孔31fは、軸芯線Lと同一方向として、空気排出部31cに向かうように設定される。また、この第1実施形態の変形例においても、円板部5には、操作用貫通孔58が形成されており、円板部5が回転ベース部3の回転円筒部31に接続された状態で、円板部5の外部からドライバ等の工具を差し込みながらロックネジ37の締付及び締付解除を行えるようにしている〔図5(B)参照〕。
空気排出部31cに挿入されている噴射管部4の付根部4jをロックネジ38の先端によって締付及び締付解除する構成としたので、ロックネジ38の締付解除により、噴射管部4はその付根部4jが周方向に回転自在となり、円板部5を回転させることによって、傾斜角度θを調整することができ〔図6(D)参照〕、ロックネジ38の締付により、噴射管部4を回転円筒部31の空気排出部31cに対して固定できる〔図6(C)参照〕。
次に、噴射管部4の先端箇所の先端噴射出口41の軸芯線Lに対する傾斜角度θを可変可能な構成とする第2実施形態を説明する(図7参照)。この第2実施形態では、止め輪46及びシール材47が具備される。回転ベース部3の回転円筒部31は、単体とする〔図7(A)参照〕。回転円筒部31の空気排出部31cと、噴射管部4の付根部4jについては、空気排出部31cに対して、噴射管部4の付根部4jが挿入された状態で回転自在とする。噴射管部4と付根部4jは、他の部分(直線状部4a及び屈曲状部4b)よりも小径とし、段差部が形成される〔図7(D)参照〕。さらに、付根部4jには周方向に沿って溝部4cが形成されている〔図7(D)参照〕。
そして、噴射管部4の付根部4jが、回転円筒部31の空気排出部31cに挿入され、付根部4jの回転円筒部31内に食い込んだ部分にシール材47を嵌め込み、次いで、止め輪46を前記溝部4cに嵌合装着する〔図7(B),(C)参照〕。これによって、噴射管部4は、付根部4j箇所を中心にして回転自在にすることができ、円板部5を回転操作することによって、噴射管部4の先端噴射口41は、噴射用孔部51にひきずられて、噴射管部4は付根部4jを中心として回動する。次に、噴射管部4の先端噴出口41からの空気噴射の軸芯線Lに対する傾斜角度θを所望の位置に調整することができる。また、シール材47によって、回転ベース部3の空気排出部31cからの空気漏れを防止できる。
円板部5については、前述した第1実施形態と略同様に、回転円筒部31に対して、或いは回転円筒部31に装着したカラー部53に対して固着具54を緩めることにより時計方向及び反方向の何れにも自由に回転できる構成としておく。止め輪46は、具体的にはEワッシャが使用される。シール材47は、具体的にはゴム,オイルシール,ガスケット等が使用される。
上述したように、エアノズルAnは、回転ベース部3に対して円板部5の回動操作にて噴射管部4の先端箇所つまり先端噴射出口41の軸芯線Lに対する傾斜角度(噴射角度)θを可変可能な構成としたことにより、噴射管部4の先端噴射口41からの空気噴射及びエアノズルAnの回転本体A2の回転数(回転速度)の増減の調整を行うことができる。この噴射管部4の軸芯線Lに対する傾斜角度θの調整を円板部5を適宜の量だけ時計方向又は反時計方向に回転させるだけで極め簡単にできる。
噴射管部4の先端噴射口41からの空気噴射の軸芯線Lに対する傾斜角度(噴射角度)θを調整することによって、回転本体A2を回転させるための回転推進力Fsinθが変化する。つまり、軸芯線Lに対して傾斜角度θが小さくなるように設定すれば、回転させるための回転推進力Fsinθは小さくなり、回転本体A2の回転速度は小となり遅くなり、且つ回転数(rpm)も少なくなる。或いは回転本体A2の回転速度を遅くできる。ただし、乾燥噴射力はFcosθは、大きくなり乾燥力は増す。
また、軸芯線Lに対して傾斜角度θが大きくなるように設定すれば、回転させるための回転推進力Fsinθは大きくなり、回転本体A2の回転速度は大となり早くなり、且つ回転数(rpm)も多くなる。或いは回転本体A2の回転速度を速くできる。ただし、乾燥噴射力はFcosθは、小さくなり乾燥力は減少する。
一般的に、乾燥作業を行う通常のエアノズルAnは、エア噴射の管が設けられた回転部分が軸受で支持されており、円滑な回転性能を有しているので、前記回転部分の回転速度が上昇し易いものである。特に、回転速度が過剰に上昇しすげた高回転数域では乾燥品質或いは乾燥効率が劣化するという問題がある。すなわち、エアノズルAnの回転部分の回転数と乾燥品質との間には、回転速度おける回転数がその最適値に到達するまでは、乾燥効率又は乾燥品質は向上してゆくが、回転速度おける回転数がその最適値を越えて上昇し続けると、液滴を効率よく吹き飛ばすことが困難になる(図13参照)。
つまり、回転数がその最適値に達するまでは、圧縮空気を波動状(周期的、間欠的)にワークに吹き付けることができ、液滴を効率よく吹き飛ばすことができる。しかし、回転速度が過剰に上昇し、回転数がその最適値を超えると、波動状に吹き付けられる圧縮空気の間隔が次第に短くなっていき、やがて、圧縮空気が波動を生じなくなる。これでは、圧縮空気を連続的に噴射することに等しいため、乾燥品質及び乾燥作業効率が低下することになる。また、回転波動ノズルの回転数が高くなると、軸受の寿命が短くなり、騒音も大きくなるという問題がある。
本発明では、エアノズルAnにおける回転本体A2の回転速度が過剰に上昇しすぎることによって、上述したように、エアノズルAnの空気噴射による製造物9に対する乾燥作業の効率が劣化し、乾燥作業が上手く行かないという事態が生じることを防止し、また、回転本体A2の回転速度が過剰に増加することで軸受や他の部材に対しても負担がかかることも防止できる。
つまり、回転本体A2の回転速度,回転数には、適正な数値が存在する。また、製造物9の形状及びサイズによっても、回転本体A2の回転速度を調整し最適な状態にすることが好ましい。このような場合、本発明では、噴射管部4の先端噴射出口41からの空気噴射の軸芯線Lに対する傾斜角度(噴射角度)θを適宜変更し、回転推進力Fsinθが小さくなるように設定することで、回転本体A2の回転速度が過剰に増加することを抑制し、最適な回転速度を維持することができるようにしている。
噴射管部4の先端噴射出口41からの空気噴射は、波動状(周期的、間欠的)にして、製造物9に吹き付けることができ、液滴を効率よく吹き飛ばすことができる。製造物9に付着した(洗浄液等の)液体や、塵埃,油汚れ等の吹き飛ばし、乾燥作業の効果を最良なものにできる。
次に、噴射管部4の先端箇所の先端噴射出口41の軸芯線Lに対する傾斜角度θの状態をエアノズルAnの円板部5の外部から確認可能とする目盛線部55bと指標部56について説明する。この実施形態は、前述した円板部5の回動操作にて噴射管部4の先端箇所の先端噴射出口41の軸芯線Lに対する傾斜角度θを可変可能な構成とした第1実施形態及び第2実施形態に付随する構成である。
目盛線部55bと指標部56の実施形態については、複数存在する。その第1実施形態は、目盛部55は、円板部5に長孔状確認窓部55aと目盛線部55bとが設けられ、指標部56は、回転ベース部3の回転円筒部31に設けられたものである。指標部56は、軸形状としたもので、先端が円錐状に尖った目盛指標ピン56aとしたものである〔図1,図3,図4(A),(B),図6等参照〕。
長孔状確認窓部55aは、円板部5の周方向に沿って形成された長孔である〔図4(A),(B),図6等参照〕。長孔状確認窓部55aの延在方向に沿って目盛線部55bが長孔状確認窓部55aに近接する位置に設けられる。目盛線部55bは、円板部5に刻印又は印刷によって設けられる。そして、長孔状確認窓部55aにその先端部分が明確に目視できるように目盛指標ピン56aが回転円筒部31の先端面部31bに固着されている。
目盛指標ピン56aの円錐状の先端部分は、長孔状確認窓部55aから円板部5の外部側に僅かに突出する構成であったり、或いは突出しないで円板部5の内部側に位置する構成である。何れの場合でも、長孔状確認窓部55aの外部側から目盛指標ピン56aの先端が確認できればよい〔図4(A),(B),図6等参照〕。
そして、噴射管部4の先端箇所の先端噴射出口41の軸芯線Lに対する傾斜角度θを調整する場合に、固着具54(必要に応じて接続用ネジ37)を緩め、円板部5を回転ベース部3の回転円筒部31に対して回転自在な自由状態とし、円板部5を回転させることで、長孔状確認窓部55aと目盛指標ピン56aとは相対的に移動する。実質的には目盛指標ピン56aが固定側であり、長孔状確認窓部55aが回転移動側である。
目盛線部55bには、噴射管部4の先端噴出口41の軸芯線Lに対する傾斜角度θに対応する数値が記載されている〔図4(A),(B),図6等参照〕。目盛線部55bの数値は例えば、0度から30度等である。そして、円板部5を回転させることにより、長孔状確認窓部55a(目盛線部55bを含む)と、目盛指標ピン56aとが相対的に移動し、目盛指標ピン56aと目盛線部55bの対応する位置によって、噴射管部4の先端箇所の先端噴射出口41の軸芯線Lに対する傾斜角度θの値が読み取ることができ、目視且つ確認できる(図6参照)。例えば、噴射管部4の先端噴射口41からの空気噴射の傾斜角度θの値が30度である場合には、目盛指標ピン56aが目盛線部55bの30の位置を指すように設定する〔図6(C),(D)参照〕。
図6(A)は、噴射管部4の傾斜角度θが通常状態のときであり、図6(B)はそのときの目盛部55と指標部56の拡大図である。図6(C)は、噴射管部4の傾斜角度θが最大のときであり、図6(D)はそのときの目盛部55と指標部56の拡大図である。図6(E)は、噴射管部4の傾斜角度θが最小のときであり、図6(F)はそのときの目盛部55と指標部56の拡大図である。
次に、目盛線部55bと指標部56の第2実施形態を説明する(図8参照)。この実施形態では、目盛板57が具備される。目盛板57の中心位置には、略方形状の固定用貫通孔57aが形成されている。目盛板57には目盛部55の目盛線部55bが設けられている〔図8(E),(B)参照〕。また、カラー部53は、回転円筒部31と一体形成されている〔図8(A)参照〕。カラー部53の先端には、扁平円筒状の円筒突起部53aと、該円筒突起部53aと同芯で、且つ該円筒突起部53aよりも小さい方形状の方形突起部53bが一体形成されている〔図8(A),(C)参照〕。
円筒突起部53aは、円板部5と同等厚さとし、方形突起部53bは目盛板57と同等厚さとする。突起部53aの中心に固着具54と螺合する螺子孔が形成されている。そして、カラー部53の円筒突起部53aに、円板部5の取付用貫通孔5nに挿入される〔図8(D)参照〕。また、さらに、円板部5上に目盛板57が配置され、固定用貫通孔57aに方形突起部53bが挿入される〔図8(E)参照〕。さらに、目盛板57上に押え座金59を配置して、固着具54にてこれらを固着する〔図8(A)参照〕。円板部5には、指標部56が設けられている。該指標部56は、目盛板57の目盛線部55bに近接して設けられる〔図8(B),(E)参照〕。
上記構成により、固着具54を緩めて締付を解除することで、目盛板57はカラー部53に固定状態であり、円板部5はカラー部53に対して自由に回転できる状態となり、噴射管部4の先端噴出口41の軸芯線Lに対する傾斜角度θを調整可能となる。なお、目盛板57の裏面側で円板部5と当接する面は、摩擦が生じるように凸凹面とし、固着具54の締付により、円板部5が確実にカラー部53に固定できるようにすることもある。
そして、噴射管部4の先端箇所の先端噴射出口41の軸芯線Lに対する傾斜角度θを確認する場合には、目盛板57の目盛線部55bに対する、円板部5の指標部56の位置を目視し、噴射管部4の先端噴出口41の空気噴射方向の傾斜角度(噴射角度)θの状態を確認することができる〔図8(B),(E)参照〕。また、図10(B)に開示されたものは、回転本体A2の回転ベース部3に4個の噴射管部4を備えた実施形態である。
本発明におけるエアノズルAnは、エアノズルベース6に接続装着されてエアノズルユニットとして使用されるものである(図11参照)。具体的には、複数のエアノズルAnが、エアノズルベース6に装着されて使用されるものである。さらに、エアノズルユニットは、エア噴射乾燥システムの枠体7に組み付けられる(図12参照)。エア噴射乾燥システムの枠体7には、送風部8が備え付けられている。該送風部8は、電動コンプレッサ等の圧縮空気を製造するものであり、該送風部8からエアノズルベース6を介して該エアノズルベース6に装着されたエアノズルAnに圧縮空気が供給される(図12参照)。
エアノズルベース6は、ベース本体61と、空気入口62と、空気供給口63と、空気室64と、取付部65とを有する(図11参照)。ベース本体61は、略筐体状に形成されており、その内部は圧縮空気が流通する空気室64を有している。複数のエアノズルAnと、エアノズルベース6からなるエアノズルユニットは、エアノズルベース6の取付部65を介して、エア噴射乾燥システムの枠体7の所定位置に装着される。
乾燥作業エリアにボルト,ナット等の固着具を介して装着される。ベース本体61には、エアノズルAnが接続設置される平坦状の設置面部61aを有しており、該設置面部61aに、1又は2以上の空気供給口63が設けられている〔図11(B)参照〕。また、ベース本体61の背面部61bには、圧縮空気を流入させる空気入口62を有する。
そして、送風部8によって、圧縮空気がベース本体61の空気入口62から空気室64に流入し、さらに、該空気室64から空気供給口63に圧縮空気が流れて、エアノズルAnの回転本体A2の空気入口31dから空気流路31sに流れ込む。さらに、空気流路31s内の圧縮空気が噴射管部4に流入し、先端噴出口41から軸芯線Lに対して傾斜状にエア噴出が行われ、回転本体A2が自動的に回転動作を行う。回転本体A2が自動的な回転動作を行いつつ、噴射管部4から噴射されたエア(空気)が製造物9に付着した洗浄液等の水分,油分,切粉等の塵を吹き飛ばすことができる。
エア噴射乾燥システムは、枠体7に搬送部71が装着されている。搬送部71は、枠体7の搬送入口側から搬送出口側に向う方向に沿って配置された搬送駆動部71aと、該搬送駆動部71aによって、移動動作する搬送台71bとによって構成されている。搬送駆動部71aは、例えばコンベア等であり、モータ等の電動にて駆動する。エアノズルユニットは、エア噴射乾燥システムの搬送入口側を正面より見て、搬送部71の上下方向及び左右(幅)方向を囲むようにして設置されている。
そして、搬送部71の上方に位置するエアノズルユニットは上下方向に位置調整可能であり、また搬送部71の左右両側に装着されるエアノズルユニットは、左右方向に間隔を調整できるようになっている。エア噴射乾燥システムによって、製造物9に付着した洗浄液等の水分,油分或いは切粉等の塵を吹き飛ばして製造物9の乾燥(洗浄ともいう)を行うときには、エア噴射乾燥システムの枠体7に装着された搬送部71によって移動を行う。
搬送部71の搬送台71b上に載置された製造物9がエアノズルユニットの装着箇所に搬送され、そこで搬送部71の上方側,下方側,左方側及び右方側に設置されたエアノズルユニットの設置箇所を乾燥作業領域とし、製造物9を載置した搬送台71bが乾燥作業領域を通過する過程で、上側,下側,左側及び右側のそれぞれのエアノズルAnからの空気噴射にて、製造物9に付着した洗浄液及び、その前過程で落としきれなかった塵,埃或いは油汚れを吹き飛ばし、製造物9を乾燥させるものである。さらに、場合によっては洗浄も乾燥と共に行われることもある。
また、エアノズルAnにおいては、回転本体A2が動作時で、円筒ハウジング部2の開口部2aと、円板部5とによって形成された空隙室Sでは、噴射管部4の先端噴出口41から噴射された空気(エア)の流れが乱流状態となる〔図9(A),図10(A)参照〕。さらに、空隙室S内で噴射管部4からの空気噴出と、前述した乱流状態の空気(エア)の流れがとが、混ざり合って、より一層活発で複雑な空気流を発生させ、製造物9に付着した洗浄液等の液体,油分又は切粉等の塵の吹飛しと、乾燥或によるクリーニングを極めて効率的に行うことができる〔図9(A),図10(A)参照〕。なお、図中において、空気の流れは、エアの流れと表示している。
また、前記噴射管部4には、管断面積を小さくする絞り部42が設けられる実施形態が存在する(図14参照)。つまり、前記噴射管部4には、管断面積を小さくする絞り部42を設けてなることを特徴とするエアノズルAnである。該絞り部42は、噴射管部4に螺合する調整ボルト42aによって、断面積が調整される。具体的には、噴射管部4の直線状部4aに貫通孔4dが形成され、内螺子が形成されたボルトベース部42bが装着され、該ボルトベース部42bが直線状部4aの貫通孔部分に固着される。
ボルトベース部42bには調整ボルト42aが装着され、該調整ボルト42aを軸周方向に回転させることで、調整ボルト42aの螺子部が噴射管部4の直線状部4aの内部に出入して、噴射管部4の断面積を減少させるように調整可能となる。これによって、噴射管部4からの空気噴射の噴射力Fを調整するものである。これによって、調整ボルト42aの締付具合によって、噴射管部4からの空気(エア)の噴射力Fを調整することができ、エアノズルAnの回転本体A2の最適な回転速度の調整を簡単に行うことができる。
また、管断面積を小さくする絞り部42が設けられる別の実施形態として、図15に示すように、噴射管部4の先端噴出口41の噴射方向とは反対方向に空気噴射する抑制管部43を設け、該抑制管部43に、管断面積を変化させる絞り部42が設けられることもある。ここで、円板部5には、抑制管部43の先端が貫通する抑制噴射用孔部52が形成され、該抑制噴射用孔部52に抑制管部43の先端が貫通している。
つまり、前記噴射管部4とは反対方向に空気噴射し且つ内径を小さくした抑制管部43を設け、該抑制管部43には、管断面積を変化させる絞り部42が設けられてなることを特徴とするエアノズルAnである。円板部5には、調整ボルト42aの締付及び締付解除用のドライバ等の工具を差し込むための操作用貫通孔58が形成される〔図15(B)参照)。この実施形態では、回転本体A2の回転速度の過剰な増加を抑制管部43からの空気噴射にて抑制することができる。そして、その抑制力も調整ボルト42aの締付具合により簡単にできる。