JP6613752B2 - 電子式回路遮断器 - Google Patents

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Description

本発明は、少なくとも電力計測機能を備えた電子式回路遮断器に関する。
過電流引外し装置をカレントトランス(CT)、トリップコイルで構成した電子式回路遮断器が知られている。この電子式回路遮断器は、図22に示すように、電源側端子101a〜101cと負荷側端子102a〜102cとの間に介挿された主回路104を備えている。
そして、主回路104を流れる電流を主接点部103a〜103cと負荷側端子102a〜102cとの間の線路に個別に装着されたカレントトランス(CT)105a〜105cで検出する。これらカレントトランス105a〜105cで検出された電流は、個別に電流電圧変換回路106a〜106cに供給され、この電流電圧変換回路106a〜106cで変換された電圧信号がA/D変換回路107でディジタル電圧信号に変換されて例えばマイクロコンピュータで構成される演算処理装置108に供給される。
この演算処理装置108では、入力された3つのディジタル電圧信号に基づいて電流演算を行い、演算した電流検出値が設定値以上の過電流である場合に、異常(事故)と判断し、トリップコイル駆動回路109に駆動指令を出力し、このトリップコイル駆動回路109でトリップコイル110を作動させて主接点部103a〜103cを開極する。これにより、電源と事故点とを切り離し、事故電路に連なる電線および機器を保護する。
この電子式回路遮断器には、カレントトランス(CT)105a〜105cによる電流検知機能が備わっているため、定常状態(設備に事故が起こっていない通常運用の状態)において、その電流値を、通信機能等を介して外部へ信号として取り出すことで、主回路104に流れる電流をモニタすることが可能となる。これにより、簡易的に設備の消費電力をモニタすることができる。この場合、電圧は外部機器からの操作により一定値をマイクロコンピュータなどで構成される電力演算部へ定数として入力することで、計測した電流値から簡易的に電力を算出すことができる。
しかしながら、電力演算における力率は負荷の状態により変動する場合があり、上記のような構成では、力率1もしくは設定時に固定した力率により電力演算することになるため、負荷変動、電子式回路遮断器に接続された負荷の変更に伴って力率が変動した場合には計測誤差となり、正確な電力演算を行うことができないという問題がある。
上記問題を解決するために、電子式回路遮断器に接続された主回路(電路)の線間電圧を検出し、この電圧値と別途計測した電流値とを用いて電力演算することで主回路の消費電力を計測する機能を有する電子式回路遮断器が提案されている(特許文献1,特許文献2参照)。
これら特許文献1および特許文献2に記載された電子式回路遮断器によって、主回路の電圧を常時モニタすることができるので、この電圧と電流の計測値を用いた電力演算により力率を含めた正確な電力測定が可能な、計測機能付の電子式回路遮断器とすることができる。
特開2011−258587号公報 特開2000−241461号公報
ところで、上記特許文献1および2に記載された従来例にあっては、電子式回路遮断器内で電圧を検出する部品(素子)として変圧器が用いられている。この変圧器により主回路側と計測基板が絶縁され、例えば、この電子式回路遮断器の内部設定を変更する場合や、電子式回路遮断器より出力される計測値を他の機器で収集するなどの場合に、外部機器を接続した状態でも、主回路と絶縁され安全に作業および機器の運用を行うことができる。
しかしながら、変圧器は、磁性材料の鉄心に一次巻線、二次巻線といった複数の巻線を巻いた状態で形成されるため、部品が大型となる。電子式回路遮断器の筐体内には、主接点、開閉機構部、トリップコイル、カレントトランス(CT)、回路基板といった複数の構成要素が高密度で配置されているため、部品の大型化は電子式回路遮断器自体の大型化を招いてしまうという問題が有り、そのため電子式回路遮断器を配置する配電盤でのスペース確保が困難、もしくは、配電盤自体の大型化を招いてしまう。したがって、省スペースで小型な電子式回路遮断器を提供するためには個々の構成要素(部品)をできる限り小型にする必要がある。
そこで、本発明の一態様は、上記従来例の課題に着目してなされたものであり、複数の巻線を用いたトランスを使用することなく、電圧を検出することが可能な電子式回路遮断器を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る電子式回路遮断器は、電路の電流を開閉する接点部と、電路の電流を検出する電流検出部と、電路の電圧を検出する電圧検出部と、電流検出部で検出した電流および電圧検出部で検出した電圧をディジタル信号に変換するA/D変換部と、A/D変換部で変換したディジタル信号に基づいてディジタル電力値を含む測定値を演算し、演算結果を用いて接点部の開閉を引外し装置に指示する演算処理部とを備え、電圧検出部は、電路に接続された導体に絶縁物を介して配置された導電性電極を有し、この導電性電極で結合容量を介して前記電路の電圧を測定し、電圧検出部の温度を測定する温度測定部と、温度測定部で測定した温度に基づいて、線間電圧値の温度補正係数を設定する第1温度補正係数設定部と、電圧検出部で検出した電圧に基づく線間電圧値に線間電圧値の温度補正係数を乗算して線間電圧値を補正する線間電圧値補正部とを備え、温度測定部は、電圧検出部における、電路に接続された導体と導電性電極との間に配置された絶縁物の温度を測定する。
また、本発明の別の態様に係る電子式回路遮断器は、電路の電流を開閉する接点部と、電路の電流を検出する電流検出部と、電路の電圧を検出する電圧検出部と、電流検出部で検出した電流および電圧検出部で検出した電圧をディジタル信号に変換するA/D変換部と、A/D変換部で変換したディジタル信号に基づいてディジタル電力値を含む測定値を演算し、演算結果を用いて接点部の開閉を引外し装置に指示する演算処理部とを備え、電圧検出部は、電路に接続された導体に絶縁物を介して配置された導電性電極を有し、この導電性電極で結合容量を介して電路の電圧を測定し、電圧検出部の温度を測定する温度測定部と、温度測定部で測定した温度に基づいて、電力の温度補正係数を設定する第2温度補正係数設定部と、ディジタル電力値に電力の温度補正係数を乗算して補正する電力補正部とを備え、温度測定部は、電圧検出部における、電路に接続された導体と導電性電極との間に配置された絶縁物の温度を測定する。
本発明の一態様によれば、電圧検出部の構成を、複数の巻線を使用することなく、電路に接続された導体に絶縁物を介して導電性電極を配置するだけの簡易な構成とするだけで電圧検出を行うことができ、電圧検出部の小型化を図ることができると共に、電子式回路遮断器自体の小型化も図ることができる。
本発明の第1実施形態に係る電子式回路遮断器の回路構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る電子式回路遮断器を示す断面図である。 図2における電圧センサの拡大断面図である。 第1実施形態に適用し得る3相分の電流センサおよび電圧センサを示す断面図である。 第1実施形態に適用し得る電圧センサの断面図である。 第1実施形態に適用し得る線間電圧検出回路の一例を示す回路図である。 第1実施形態における演算処理装置の測定値算出処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る電子式回路遮断器を示す断面図である。 第2実施形態に適用し得るセンサ部を示す断面図である。 第2実施形態に適用し得るセンサ組立体を示す斜視図である。 第2実施形態に適用し得るセンサユニットを示す断面図であって、(a)は横断面図、(b)は縦断面図、(c)は(a)のX部の拡大図である。 電圧センサを示す斜視図である。 本発明の第3実施形態に係る電子式回路遮断器の回路構成を示すブロック図である。 第3実施形態に適用し得る電圧センサの断面図である。 第3実施形態における演算処理装置の機能ブロック図である。 第3実施形態における演算処理装置の測定値算出処理手順の一例を示すフローチャートである。 温度と電圧センサにおける内側絶縁物(PBT)の誘電率の変化率との関係を示すグラフである。 内側絶縁物としてPBTを用いた場合の温度と線間電圧値の温度補正係数との関係を示す第1温度補正係数算出マップである。 本発明の第4実施形態に係る電子式回路遮断器の演算処理装置の機能ブロック図である。 第4実施形態における演算処理装置の測定値算出処理手順の一例を示すフローチャートである。 温度と電力の温度補正係数との関係を示す第2温度補正係数算出マップである。 従来の電子式回路遮断器の概要を示すブロック図である。
次に、図面を参照して、本発明の一実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
まず、本発明の第1実施形態に係る電子式回路遮断器について説明する。
電子式回路遮断器10は、図1に示すように、筐体11に形成された3相交流電源に接続される電源側接続端子12r、12s及び12tと、3相交流負荷に接続される負荷側接続端子13r、13s及び13tとを備えている。
また、電子式回路遮断器10は、筐体11内で、電源側接続端子12r、12s及び12tと負荷側接続端子13r、13s及び13tとの間を接続する主回路線路14r、14s、14tと、これら主回路線路14r、14s、14tの途中に介挿された主回路接点部15r、15s、15tとを備えている。
また、筐体11内には、主回路接点部15t、15s、15tと負荷側接続端子13t、13s、13tとの間の主回路線路14r、14s、14tに、主回路線路14r、14s、14tを流れる電流を検出する例えばカレントトランスで構成される電流検出部としての電流センサ16r、16s、16tと、主回路線路14r、14s、14tの電圧を検出する電圧検出部としての電圧センサ17r、17s、17tとが設けられている。
電流センサ16r、16s、16tは、電流電圧変換回路21r、21s、21tに個別に接続されて電流検出値I、I、Iが電圧値Vi、Vi、Viに変換される。
また、電圧センサ17rと電圧センサ17sとが線間電圧検出回路22aに接続されてR−S線間電圧値URSが算出される。さらに、電圧センサ17sと電圧センサ17tとが線間電圧検出回路22bに接続されてS−T線間電圧値USTが算出される。また、電圧センサ17rと電圧センサ17tとが線間電圧検出回路22cに接続されてR−T線間電圧値URTが算出される。
そして、電流電圧変換回路21r〜21tから出力される検出電流の電圧値Vi、Vi、Viと、線間電圧検出回路22a、22b、22cから出力されるR−S線間電圧値URS、S−T線間電圧値UST、R−T線間電圧値URTがA/D変換部としてのA/D変換回路23に供給されて、それぞれディジタル電流検出値Id、Id、Idとディジタル線間電圧検出値UdRS、UdvST、UdRTに変換される。
A/D変換回路23で変換されたディジタル電流検出値Id、Id、Idと、ディジタル線間電圧検出値UdRS、UdST、UdRTが例えばマイクロコンピュータで構成される演算処理部としての演算処理装置24に供給され、この演算処理装置24で、主回路接点部15r〜15tが閉極されたときに、測定値算出処理を行って電流測定値、電圧測定値および電力測定値等を算出する。
また、演算処理装置24では、算出した電流測定値を予め設定された電流閾値と比較して、電流測定値が電流閾値を超えたときに、過電流異常と判断する。
そして、演算処理装置24では、過電流異常を検出した場合に、異常状態に応じて瞬時に又は演算処理装置24に内蔵された内蔵タイマのタイムアップ後に、トリップコイル駆動回路31にトリップ指令を出力し、このトリップコイル駆動回路31でトリップコイル32を作動させることにより、主回路接点部15r、15s及び15tを開極させる。
一方、演算処理装置24には、算出した電流測定値、電圧測定値および電力測定値等の計測値を蓄積する記憶回路25を備えている。また、演算処理装置24には、測定結果である電流測定値、電圧測定値および電力測定値等の各種測定値を筐体11の外部に接続された表示部26に表示させる表示制御回路27が接続されている。
さらに、演算処理装置24には、記憶回路25に記憶された各種計測値を外部のデータ収集装置、監視装置等の外部装置28に有線通信または無線通信によって送信する外部通信インタフェース(I/F)回路29を備えている。
ここで、表示部26としては、電子式回路遮断器10と別体に構成する場合に限らず、電子式回路遮断器10の筐体11に表示部26を形成するようにしてもよい。また、記憶回路25及び表示制御回路27は、電子式回路遮断器10の筐体11内に設ける場合に限らず、回路基板スペース縮小のため、記憶回路25および表示制御回路27を筐体11の外部に配置し、外部通信インタフェース回路29を通じて計測値を送信するようにしてもよい。
また、電子式回路遮断器10は、電流電圧変換回路21r、21s、21tにテスト信号を入力するとともに、演算処理装置24にテスト開始信号を入力するテスト信号入力端子33を備えている。さらに、電子式回路遮断器10は、演算処理装置24に過電流検出処理で使用する過電流閾値を設定する設定部34を備えている。ここで、設定部34としては、例えば、電子式回路遮断器10の筐体11に配置したダイアル等で構成するようにしても良いし、記憶回路25に過電流閾値を記憶させるようにしてもよいし、さらには外部のデータ設定機器を接続して過電流閾値を演算処理装置24に設定するようにしてもよい。
電子式回路遮断器10の筐体11の具体的構成についてR相を代表として説明する。筐体11には、図2に示すように、下端側の左端側に電源側接続端子12rが形成され、右端側に負荷側接続端子13rが形成されている。電源側接続端子12rおよび負荷側接続端子13r間に主回路接点部15rが形成されている。
主回路接点部15rは、電源側接続端子12rに接続された固定接触子41と、この固定接触子41に対して接離自在に配置された可動接触子42とで構成されている。可動接触子42は、可動子ホルダ43に支持されて回動軸44を中心として回動可能とされている。
また、筐体11の上面側には、開閉ハンドル46が配置されている。この開閉ハンドル46は、ハンドルレバー47に連結され、図示しないサイドプレートに回動可能に支持されている。このハンドルレバー47には開閉スプリング48の一端が連結され、この開閉スプリング48の他端がトグルピン49に連結されている。
電子式回路遮断器10には、トグルピン49を介して互いに連結された第1リンク51と第2リンク52とからなるトグル機構53が設けられ、第1リンク51の上端はL字状のラッチ54に回転自在に連結されるとともに、第2リンク52が可動子ホルダ43に連結されている。
ラッチ54は、ラッチ回転軸55の回りを回動可能に構成され、図示しないサイドプレートに支持されたトリップ開極時にラッチ54を規定の位置で静止させるラッチストッパ56が設けられている。
一方、開閉スプリング48の右側にラッチ54の先端を受けるラッチ受け57が形成されている。このラッチ受け57は、ラッチ受け回転軸58の回りを回動可能に構成され、ラッチ受け57の右側にトリップクロスバー59がクロスバー回転軸60の回りを回動可能に配置されている。
そして、図2に示すように、開閉ハンドル46が時計方向に回動している状態では、ラッチ受け57でラッチ54を受けており、トグル機構53の第1リンク51および第2リンク52がくの字状となって可動子ホルダ43が時計方向に回動して可動接触子42が固定接触子41から上方に離間した開極位置となっている。
この状態から、開閉ハンドル46を反時計方向に回動させることにより、トグル機構53の第1リンク51および第2リンク52が直線状に近いくの字状となって、可動子ホルダ43が反時計方向に回動されることにより、可動接触子42が固定接触子41に接触する閉極状態となる。
この閉極状態でもラッチ54はラッチ受け57で受けられており回動が規制されている。この閉極状態で、トリップクロスバー59がトリップコイル32によって反時計方向に回動されると、ラッチ受け57がラッチ受け回転軸58を中心に時計方向に回動してラッチ54の受けを解除する。
このため、開閉スプリング48によってトグル機構53の第1リンク51および第2リンク52が強制的に図1のくの字の状態に復帰し、開閉ハンドル46が時計方向に回動するとともに、可動子ホルダ43が時計方向に回動して可動接触子42が固定接触子41から離間して開極位置に復帰し、さらにラッチ54がラッチ受け57で受けられる状態に復帰する。このとき、可動接触子42が固定接触子41から離間する際に発生するアークが消弧部64で引き伸ばされて消弧される。
また、筐体11内には、閉極時に電源側接続端子12rから負荷側接続端子13rに流れる電流を負荷側接続端子13r側で検出する電流センサ16rと、可動接触子42と負荷側接続端子13r間の電圧を検出する電圧センサ17rとが主回路線路14rを構成する個別の導体61の周囲に配置されている。
これら導体61は、図4及び図5に示すように、一端に負荷側接続端子13rが一体に形成された例えば断面正方形の棒状に形成され、他端に可動子ホルダ43に保持される可動接触子42を電気的に接続する接続端部61aが一体に形成されている。
そして、導体61の負荷側接続端子13r側に電流センサ16rが配置され、接続端部61a側に電圧センサ17rが配置されている。
電流センサ16rは、図4に示すように、円環状の鉄心62にコイル63を巻装した円環状のカレントトランス(CT)で構成され、中心部に導体61を挿通するように配置されている。
電圧センサ17rは、コンデンサの構成を利用した容量結合方式を採用して電圧を検出するようにしている。すなわち、電圧センサ17r〜17tは、図3及び図5(a)に示すように、導体61の外周面に誘電体となる所定厚さの内側絶縁物71を被覆し、この内側絶縁物71の外周面を導電性電極72で被覆した構成を有し、必要に応じて導電性電極72の外周面に内側絶縁物71と同様の外側絶縁物73を被覆する。
ここで、内側絶縁物71は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポリエステル(PET)、不飽和ポリエステル(BMC)等の絶縁樹脂やセラミック等の誘電材料あるいは浮遊容量を形成する空気を適用することができ、導体61と導電性電極72とを絶縁して容量素子を形成可能な物質で構成されている。この容量結合方式では、導体61を通る交流電圧によって蓄積された電荷が移動して電界の変化を引き起し、この電界の変化量は印加した電圧の大きさに比例するので、導電性電極72で電界の変化を検出することで結合容量を介して電圧を検出することができる。
なお、電圧センサ17rとしては、上述した図5(a)に示すように、導体61の全周を覆う場合に限定されるものではなく、図5(b)に示すように、導体61の一辺又は二辺を除く三辺又は二辺の隣接する複数の辺に、内側絶縁物71、導電性電極72および外側絶縁物73を形成するようにしてもよく、さらには、図5(c)に示すように、導体61の一辺のみに内側絶縁物71、導電性電極72および外側絶縁物73を形成するようにしてもよい。
他のS相及びT相についても上記R相と同様の構成を有する。
そして、電圧センサ17r、17s、17tで検出した相電圧V、V、Vが線間電圧検出回路22a〜22cに入力される。これら線間電圧検出回路22a〜22cのそれぞれは、図6に示すように構成されている。すなわち、線間電圧検出回路22aについて説明すると、電圧センサ17rで検出したR相電圧Vと電圧センサ17sで検出したS相電圧Vとが入力されて電圧レベル調整を行う分圧回路81と、分圧回路81で電圧レベル調整を行ったR相電圧及びS相電圧が入力されて差動増幅を行う差動増幅回路82とで構成されている。
分圧回路81は、R相電圧V及びS相電圧Vが入力される入力端子ti11及びti12を有する。入力端子ti11は、分圧抵抗R11及びR12の直列回路を介してグランドに接続され、分圧抵抗R11及びR12の接続点が出力端子to11に接続されている。入力端子ti12は、分圧抵抗R21及びR22の直列回路を介してグランドに接続され、分圧抵抗R21及びR22の接続点が出力端子to12に接続されている。
差動増幅回路82は、入力端子ti31と出力端子to31との間に直列に接続された抵抗R31及びR32と、入力端子ti32とグランドとの間に直列に接続された抵抗R33及びR34と、抵抗R31及びR32の接続点が反転入力端子に、抵抗R33及びR34の接続点が非反転入力端子に接続され、出力端子が出力端子to31に接続されたオペアンプ83とで構成されている。そして、R相電圧VからS相電圧Vを減算して電位差を表す線間電圧値URS(=V−V)に比例した線間電圧測定値UaRSがオペアンプ83からA/D変換回路23へ出力される。
線間電圧検出回路22b及び22cについては、詳細な構成について図示しないが、線間電圧検出回路22aと同様の構成を有し、線間電圧検出回路22bでS相電圧VからT相電圧Vを減算して電位差を表す線間電圧値UST(=V−V)を算出し、この線間電圧値USTに比例した線間電圧測定値UaSTがA/D変換回路23へ出力される。同様に、線間電圧検出回路22cでR相電圧VからT相電圧Vを減算して電位差を表す線間電圧値URT(=V−V)を算出し、この線間電圧値URTに比例した線間電圧測定値UaRTがA/D変換回路23へ出力される。
A/D変換回路23では、電流電圧変換回路21r、21s及び21tから入力される電圧値で表される電流測定値Iv、Iv、Ivをディジタル電流値Id、Id、Idに変換して演算処理装置24に入力するとともに、線間電圧検出回路22a〜22cから入力された線間電圧測定値UaRS、UaST、UaRTをディジタル線間電圧値UdRS、UdST、UdRTに変換して演算処理装置24に入力する。
これら電流電圧変換回路21r〜21t、線間電圧検出回路22a〜22c、A/D変換回路23及び演算処理装置24は、回路基板85に搭載されて電流センサ16r〜16tの上部側の回路基板収納部86に収納されている。
演算処理装置24では、所定時間毎に、A/D変換回路23から入力されるディジタル電流値Id、Id、Id及びディジタル線間電圧値UdRS、UdST、UdRTに基づいて測定値算出処理を行って電流実効値、電圧実効値、有効電力値、無効電力値、皮相電力値、力率等を算出し、演算結果を記憶回路25に記憶するとともに、表示制御回路27を介して表示部26に表示する。
この演算処理装置24の測定値算出処理は、図7に示すように、まず、ステップS1で、ディジタル電流値Id〜Idを読込み、次いで、ステップS2に移行して、読込んだディジタル電流値Id〜Idに基づいて下記(1)式にしたがって平均相電流実効値Irmsを算出する。
Irms=√{Id(n)+Id(n)+Id(n)}/3 …………(1)
次いで、測定値算出処理は、ステップS3に移行して、ディジタル線間電圧値UdRS、UdST、UdRTを読込み、次いでステップS4に移行して、読込んだディジタル線間電圧値UdRT、UdSTとステップS1で読込んだId、Idとに基づいてブロンデルの定理に基づく下記(2)式にしたがって有効電力Pを算出する。
P=UdRT(n)×Id(n)+UdST(n)×Id(n) …………(2)
さらに、測定値算出処理は、ステップS5に移行して、ディジタル線間電圧値UdRS、UdST、URTに基づいて下記(4)式にしたがって平均線間電圧実効値Urmsを算出する。
Urms=√{UdRS(n)+UdST(n)+UdRT(n)}/3 …………(3)
また、測定値算出処理は、ステップS6に移行して、下記(4)、(5)及び(6)式にしたがって、皮相電力S、力率λ及び無効電力Qを算出する。
S=Urms×Irms …………(4)
λ=P/(Urms×Irms) …………(5)
Q=√{(Urms×Irms)−P} …………(6)
なお、平衡三相ではないときには、有効電力P、平均線間電圧実効値Vrmsに揺らぎが発生するので、有効電力P及び平均線間電圧実効値Vrmsに対してローパスフィルタ処理を行って平滑化するようにしてもよい。
そして、測定値算出処理では、ステップS7に移行して、演算結果である平均相電流実効値Irms、平均線間電圧実効値Vrms、有効電力P、無効電力Q、皮相電力S、力率λを記憶回路25に記憶する。
次いで、測定値算出処理では、ステップS8に移行して、平均相電流実効値Irms、平均線間電圧実効値Vrms、有効電力P、無効電力Q、皮相電力S、力率λの表示情報を生成し、生成した表示情報を、表示制御回路27を介して表示部26に出力して表示してから測定値算出処理を終了する。
なお、上記測定値算出処理では、電流および電力のデマンド値及び最大デマンド値や、各相の電圧センサ17r〜17tで検出した相電圧V〜VをA/D変換したディジタル相電圧Vd〜Vdに基づいて下記(7)式にしたがって平均相電圧実効値VPrmsを算出したり、下記(8)式にしたがって有効電力Pを算出したりすることも可能である。
VPrms=√{Vd(n)+Vd(n)+Vd(n)}/3 …………(7)
P=Vd×Id+Vd×Id+Vd×Id …………(8)
また、演算処理装置24は、各相のディジタル電流値Id〜Idに基づいて過電流保護を行う長限時保護機能、短限時保護機能、瞬時保護機能等の各種過電流保護機能を発揮させる過電流保護処理を実行し、過電流保護が必要であることを検出したときに、トリップコイル駆動回路31に対してトリップ指令を出力し、トリップコイル32を励磁する。これにより、トリップクロスバー59を回動させてラッチ受け57によるラッチ54の受け状態を解除してトグル機構53によって開閉ハンドル46を開極位置に復帰させるとともに、可動接触子42を固定接触子41から上方に離間させて、主回路接点部15r〜15tを開極させる。
次に、上記実施形態の動作を説明する。
今、電子式回路遮断器10の電源側接続端子12r〜12tに商用三相交流電源を接続し、負荷側接続端子に三相交流モータ等の三相交流負荷を接続した状態で、開閉ハンドル46が開極位置にあって、主回路接点部15r〜15tが開極しているものとする。この状態では、商用三相交流電源から商用三相交流負荷への通電が遮断されている。
この通電遮断状態から電子式回路遮断器10の開閉ハンドル46を開極位置から閉極位置に回動させると、ハンドルレバー47が図2で時計方向に回動し、トグル機構53の第1リンク51及び第2リンク52が略直線状となり、各主回路接点部15r〜15tが閉極状態となる。このため、交流三相電源から交流三相負荷に通電が開始され、通電状態となる。
通電状態となると、各主回路線路14r〜14tに介挿される導体61の周囲に配置された各電流センサ16r〜16tから各相の電流検出値I〜Iが出力されるとともに、各電圧センサ17r〜17tから各相の電圧検出値V〜Vが出力される。
電流検出値I〜Iのそれぞれは、電流電圧変換回路21r〜21tで電圧値Vi〜Viに変換され、次いでA/D変換回路23でディジタル電流値Id〜Idに変換される。
電圧検出値V、V、Vは、電圧検出値V及びVが線間電圧検出回路22aに供給されて線間電圧値URSが算出され、電圧検出値V及びVが線間電圧検出回路22bに供給されて線間電圧値USTが算出され、電圧検出値V及びVが線間電圧検出回路22cに供給されて線間電圧値URTが算出される。
そして、算出された線間電圧値URS、UST、URTがA/D変換回路23に供給されてディジタル線間電圧値UdRS、UdST、UdRTに変換される。
そして、A/D変換回路23でディジタル値に変換されたディジタル電流値Id、Id、Id及びディジタル線間電圧値UdRS、UdST、UdRTが演算処理装置24に供給されて、前述した(1)〜(6)式の演算を行って、平均相電流実効値Irms、有効電力P、平均線間電圧実効値Vrms、皮相電力S、力率λ及び無効電力Qを算出する。
そして、算出した平均相電流実効値Irms、有効電力P、平均線間電圧実効値Vrms、皮相電力S、力率λ及び無効電力Qを測定データとして記憶回路25に記憶するとともに、表示情報を形成して表示制御回路27を介して表示部26に表示する。
また、所定時刻毎に又はデータ収集装置、監視装置等の外部装置28からデータ送信要求があったときに、外部通信インタフェース回路29を介して外部装置28に記憶回路25に記憶されている測定データを送信する。
さらに、演算処理装置24は、入力されるディジタル電流値Id〜Idに基づいて過電流保護を実行する。この過電流保護動作では、例えば長時限保護動作、短時限保護動作及び瞬時保護動作を実行する。そして、ディジタル電流値Id〜Idの最大値が長時限保護電流範囲に規定時間継続した場合、ディジタル電流値Id〜Idの最大値が長時限保護範囲より高い短時間保護電流範囲に規定時間継続した場合、及びディジタル電流値Id〜Idの最大値が短時間保護電流範囲より高い瞬間保護電流範囲に達した場合の何れかの状態となったときに、過電流保護が必要と判断して、トリップコイル駆動回路31へトリップ指令を出力してトリップコイル32を励磁して、トリップクロスバー59を図2で見て反時計方向へ回転させて、開閉ハンドル46を開極位置へ復帰させる。これと同時に、可動接触子42が固定接触子41から上方に離間されて主回路接点部15r〜15tが開極状態となる。
このとき、可動接触子42及び固定接触子41間に発生するアークが消弧部64の多数のグリッド板で伸長されて消弧される。これによって、主回路接点部15r〜15tが開極状態となり、三相交流負荷への三相交流電力の供給が遮断される。
このように、上記第1実施形態によると、電子式回路遮断器10の主回路接点部15r〜15t及び負荷側接続端子13r〜13tの主回路線路14r〜14tに接続された導体61に電流センサ16r〜16tを配置するとともに、電圧センサ17r〜17tを配置している。
ここで、電圧センサ17r〜17tは、容量結合方式を採用しているので、導体の外周面に誘電体となる内側絶縁物71を被覆し、この内側絶縁物71の外周面を導電性電極72で被覆し、さらに、必要に応じて導電性電極72の外周面に外側絶縁物73を被覆するだけの簡易小型な構成とすることができる。これら電圧センサ17r〜17tでは、導体61を通る交流電圧によって内側絶縁物71に蓄積された電荷が移動し、電圧の大きさに比例する電界の変化を引き起こすことにより、導電性電極72で電界の変化を検出することで結合容量を介して電圧を正確に検出することができる。
このように、電圧センサ17r〜17tを小型化することができるので、筐体11の大きさも電圧センサとして変圧器を設ける従来例に比較して小型化することができる。
また、電流センサ16r〜16tとしては、カレントトランスを適用しているので、小型することができる。
したがって、第1実施形態によれば、本電流、電圧、電力計測機能を備えた小型な電子式回路遮断器を提供することができる。
また、電流センサ16r〜16t及び電圧センサ17r〜17tを周囲に配置する導体61に負荷側接続端子13r〜13tが一体に形成されているので、導体61と負荷側接続端子13r〜13tとの電気的接続を別途行う必要がなく、電子式回路遮断器の組立作業を容易に行うことができる。
さらに、ディジタル電流値、ディジタル電圧値及びディジタル電力値等の測定データを外部装置へ送信する外部通信インタフェースを備えているので、外部のデータ収集装置や監視装置への測定データの送信を容易に行うことができる。
次に、本発明の第2実施形態に係る電子式回路遮断器について図8〜図12を伴って説明する。
この第2実施形態では、前述した第1実施形態における電流センサと電圧センサとを同軸配置するようにしたものである。
すなわち、第2実施形態では、同一相の電流センサ16r(16s,16t)及び電圧センサ17r(17s,17t)が、図9及び図10に示すように、ユニット化されたセンサユニット90を備えている。
このセンサユニット90は、図11に示すように、導体61を挿通する挿通孔91aを形成した中空の絶縁ケース91を有し、この絶縁ケース91内に導体61に円筒状の電圧センサ17rと、この電圧センサ17rの外周を覆うように同軸的に配置された電流センサ16rとが配置されている。
ここで、電圧センサ17rは、図12に示すように、誘電体となる絶縁ケース91の円筒状の内壁92と、この内壁92の外周面に接する円筒状の導電性電極93と、この導電性電極93の外周面を覆う外側絶縁物94とで3層構造の円筒体で構成されている。
電流センサ16rは前述した第1実施形態と同様にカレントトランスで構成され、コイル63の内周面が電圧センサ17rの外側絶縁物94に接するよう配置されている。
そして、図10に示すように、電圧センサ17rの導電性電極93に接続された出力線95と電流センサ16rのコイル63の両端から導出される接続線96a,96bとがケースの背面側に形成された端子部97から突出されている接続端子線98a、98b及び98cに接続されている。
このセンサユニット90が、図8に示すように、第1実施形態における電流センサ16rの装着位置に装着されている。
また、図9に示すように、R相及びT相の導体61のセンサユニット90と接続端部61aとの間がS相の導体61と絶縁部材99を介して近接するように折り曲げられてR相、S相及びT相の導体61の近接対向部が形成され、この近接対向部を外側から覆うように、零相変流器100が配置されている。
上記以外の構成については上述した第1実施形態と同様の構成を有し、第1実施形態との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この第2実施形態によると、電流センサ16r〜16tと電圧センサ17r〜17tとを個別に同軸的に配置することによりセンサユニット90が構成されているので、前述した第1実施形態と同様に、電流センサ16r〜16tでR相〜T相の電流を検出することができるとともに、電圧センサ17r〜17tでR相〜T相の電圧を検出することができる。
このため、第1実施形態と同様に、検出した電流及び電圧に基づいて演算処理装置24で、平均相電流実効値Irms、平均線間電圧実効値Vrms、有効電力P、無効電力Q、皮相電力S、力率λを算出することができるとともに、過電流保護機能を発揮することができる。
このように、第2実施形態では、電流センサ16r〜16tと電圧センサ17r〜17tを個別にユニット化してセンサユニット90を構成することにより、前述した第1実施形態に比較して導体61に対する電流センサ16r〜16t及び電圧センサ17r〜17tの配置スペースを半減させることができる。このため、R相〜T相の導体の余った配置スペースに零相変流器100を配置することが可能となり、電子式回路遮断器10の筐体11の全体サイズを変更することなく、零相変流器100を内蔵させることができ、この零相変流器100で地絡を検出することが可能となる。
なお、上記第2実施形態においては、電圧センサ17r〜17tを円筒体に形成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、導体61に合わせ角筒体に形成することもできる。
また、上記第2実施形態においては、電流センサ16r〜16t及び電圧センサ17r〜17tをユニット化してセンサユニット90を構成して、余ったスペースに零相変流器100を配置した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、余ったスペースに零相変流器100以外の任意の構成部品を配置することもできる。
また、上記第2実施形態においては、電流センサ16r〜16tの内側に電圧センサ17r〜17tを配置するので、電流センサ16r〜16t及び電圧センサ17r〜17tの配置スペースは、単体の電流センサ16r〜16tの配置スペースと何ら変わりはなく、電流センサのみを配置して電流計測機能のみを有する回路遮断器と電流計測機能及び電圧計測機能の双方を有する回路遮断器の筐体や導体を共通化することができ、部品の共通化による生産コストの低減が可能となる。
さらには、上記第2実施形態においては、電流センサ16r〜16t及び電圧センサ17r〜17tをユニット化してセンサユニット90を構成することにより、余ったスペースを詰めて筐体11をさらに小型化することもできる。
次に、本発明の第3実施形態に係る電子式回路遮断器について、図13〜図18を参照して説明する。図13〜図18においては、図1〜図7と同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図13に示す第3実施形態に係る電子式回路遮断器10は、基本構成は図1に示す第1実施に係る電子式回路遮断器10と同様であるが、電圧センサ(電圧検出部)17r〜17tの温度を測定する温度測定センサ(温度測定部)18r〜18tと、温度測定センサ18r〜18tで測定した温度に基づいて、線間電圧検出回路22a、22b及び22cで検出した線間電圧値UdRT、UdST及びUdTRを補正する線間電圧補正部24e(図15参照)とを備える点で相違している。
即ち、温度測定センサ18rは、図13及び図14に示すように、電圧センサ17rにおける、電路に接続された導体61と導電性電極72との間に配置された内側絶縁物71の温度を測定するようになっており、熱電対、測温抵抗体などにより構成される。この温度測定センサ18rは、絶縁処理(エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂によるコーティング等)を施すことにより、導体61あるいは導電性電極72に接するように配置してもよい。
また、温度測定センサ18sは、図13及び図14に示すように、電圧センサ17sにおける、電路に接続された導体61と導電性電極72との間に配置された内側絶縁物71の温度を測定するようになっており、熱電対、測温抵抗体などにより構成される。
この温度測定センサ18sは、温度測定センサ18rと同様に、絶縁処理(エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂によるコーティング等)を施すことにより、導体61あるいは導電性電極72に接するように配置してもよい。また、温度測定センサ18sは、温度測定センサ18rと同様に、電圧センサ17sの外側絶縁物73に接する、あるいは外側絶縁物73の付近に設置されることで、間接的に内側絶縁物71の温度を測定するようにしてもよい。
更に、温度測定センサ18tは、図13及び図14に示すように、電圧センサ17tにおける、電路に接続された導体61と導電性電極72との間に配置された内側絶縁物71の温度を測定するようになっており、熱電対、測温抵抗体などにより構成される。
この温度測定センサ18tは、温度測定センサ18rと同様に、絶縁処理(エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂によるコーティング等)を施すことにより、導体61あるいは導電性電極72に接するように配置してもよい。
また、温度測定センサ18tは、温度測定センサ18rと同様に、電圧センサ17tの外側絶縁物73に接する、あるいは外側絶縁物73の付近に設置されることで、間接的に内側絶縁物71の温度を測定するようにしてもよい。
そして、温度測定センサ18r、18s、18tは、それぞれ温度検出回路20r、20s、20tに接続され、温度測定センサ18r、18s、18tで検出した温度T、T、Tが温度検出回路20r、20s、20tによりそれぞれアナログ値に変換される。そして、これらのアナログ値がA/D変換回路23へ供給されて、それぞれディジタル温度測定値Td、Td、Tdに変換される。
また、電流センサ16r、16s、16tは、電流電圧変換回路21r、21s、21tに個別に接続されて電流検出値I、I、Iが電圧値Vi、Vi、Viに変換される。そして、これらの電圧値Vi、Vi、ViがA/D変換回路23へ供給されて、それぞれディジタル電流値Id、Id、Idに変換される。
また、電圧センサ17r、17s、17tは、第1実施形態に係る電子式回路遮断器10と同様に電圧センサ17r及び17sが線間電圧検出回路22aに接続され,この線間電圧検出回路22aで、R−S線間電圧値URSが検出される。電圧センサ17s及び17tが線間電圧検出回路22bに接続され、この線間電圧検出回路22bでS−T線間電圧値USTが検出される。電圧センサ17t及び17rが線間電圧検出回路22cに接続され、この線間電圧検出回路22cで、T−R線間電圧値UTRが検出される。
そして、各線間電圧検出回路22a、22b及び22cで検出された線間電圧値URS、ST及びUTRがA/D変換回路23に供給されてディジタル線間電圧値UdRS、UdST及びUdTRに変換される。
そして、ディジタル温度測定値Td、Td、Td、ディジタル電流値Id、Id、Id、及びディジタル線間電圧値UdRS、UdST、UdTRは、演算処理装置14に入力される。
演算処理装置24は、例えばマイクロコンピュータで構成される演算処理部で構成され、入力されたディジタル温度測定値Td、Td、Td、ディジタル電流値Id、Id、Id、及びディジタル線間電圧値UdRS、UdST、UdTRに基づいて、測定値算出処理を行って平均相電流実効値、有効電力、平均線間電圧実効値、皮相電力、無効電力及び力率等を算出し、演算結果を記憶回路25に記憶するとともに、表示制御回路27を介して表示部26に表示する。
なお、演算処理装置24では、第1実施形態に係る電子式回路遮断器を構成する図1に示す演算処理装置24と同様に、算出した電流測定値(平均電流実効値)を予め設定された電流閾値と比較して、電流測定値が電流閾値を超えたときに、過電流異常と判断する。
そして、演算処理装置24では、過電流異常を検出した場合に、異常状態に応じて瞬時に又は演算処理装置24に内蔵された内蔵タイマのタイムアップ後に、トリップコイル駆動回路31にトリップ指令を出力し、このトリップコイル駆動回路31でトリップコイル32を作動させることにより、主回路接点部15r、15s、15tを開極させる。
図15には、演算処理装置24の機能ブロック図が示されており、演算処理装置24は、電流値読込部24a、線間電圧値読込部24b、温度測定値読込部24c、第1温度補正係数設定部24d、線間電圧値補正部24e、電力演算部24f、記憶部24g、及び出力部24hを備えている。
電流値読込部24aは、A/D変換回路23から出力されるディジタル電流値Id、Id、Idを読み込み、電力演算部24fにこれらディジタル電流値Id、Id、Idを供給する。
線間電圧値読込部24bは、A/D変換回路23から出力されるディジタル線間電圧値UdRS、UdST、UdTRを読み込み、線間電圧値補正部24eにこれらディジタル線間電圧値UdRS、UdST、UdTRを供給する。
温度測定値読込部24cは、A/D変換回路23から出力されるディジタル温度測定値Td、Td、Tdを読み込み、読込んだディジタル温度測定値UdRS、UdST、UdTRを第1温度補正係数設定部24dに供給する。
また、第1温度補正係数設定部24dは、図18に示す第1温度補正係数算出マップを参照して、供給されたディジタル温度測定値Td、Td、Tdに対する線間電圧値の温度補正係数KRS、KST、KTRを設定する。
この線間電圧値の温度補正係数KRS、KST、KTRについて、更に説明すると、電圧センサ17r、17s、17tは、容量結合方式を採用して電圧検出値V、V、Vを検出するので、導体61を通る交流電圧によって内側絶縁物71に蓄積された電荷が移動し、電圧の大きさに比例する電界の変化を引き起こすことにより、導電性電極72で電界の変化を検出することで結合容量を介して電圧を検出する。
このため、この結合容量が変化すると、計測値、即ち電圧検出値V、V、Vに誤差が生じる。この結合容量は、導体61と導電性電極72との間の距離、導電性電極72の面積及び介在した内側絶縁物71の誘電率によって決定される。ここで、内側絶縁物71の誘電率は、温度により変化する温度依存性を有する。
一例として、ポリブチレンテレフタレート(PBT)の温度による誘電率の変化を図17に示す。PBTの誘電率は、20℃〜80℃の間でおおよそ10%程度変化している。これにより、結合容量も10%程度変化し、そのため電圧検出値V、V、Vが温度により変化することになる。なお、図17は一例であり、内側絶縁物の材質により異なるため、内側絶縁物の材質に応じあらかじめ誘電率の温度に対する特性を把握しておく必要がある。
図18は、内側絶縁物としてPBTを用いた場合の温度と誘電率変化に応じた線間電圧値の温度補正係数との関係を示す第1温度補正係数算出マップであり、本実施形態における線間電圧値の温度補正係数の設定に使用する。この第1温度補正係数算出マップは、温度が20℃であるときに温度補正係数KRS、KST及びKTRが“1”となり、これから温度が上昇するに応じて温度補正係数KRS、KST及びKTRが徐々に減少し、温度の増加量に対する温度補正係数KRS、KST及びKTRの減少量が徐々に増加する湾曲線状の特性線Luが設定されている。
次に、線間電圧値補正部24eは、下記(11a)、(11b)及び(11c)式に表されるように、電圧値読込部24bから供給されたディジタル線間電圧値UdRS、UdST、UdTRに対して第1温度補正係数設定部24dで設定された線間電圧値の温度補正係数KRS、KST、KTR乗算して補正線間電圧値UCRS、UCST、UCTRを算出する。
UCRS=KRS×UdRS …………(11a)
UCST=KST×UdST …………(11b)
UCTR=KTR×UdTR …………(11c)
また、電力演算部24fでは、電流値読込部24aから出力されるディジタル電流値Id、Id、Idを読み込み、このディジタル電流値Id、Id、Idに基づいて、下記(12)式にしたがって平均相電流実効値Irmsを算出する。
Irms=√{Id(n)+Id(n)+Id(n)}/3 …………(12)
また、電力演算部24fでは、線間電圧値補正部24eから出力される補正線間電圧値UCRS、UCST、UCRTを読込むとともに、読込んだ補正線間電圧値UCRT、UCSTとディジタル電流値Id、Idとに基づいてブロンデルの定理に基づく下記(13)式にしたがって有効電力Pを算出する。
P=UCRT(n)×Id(n)+UCST(n)×Id(n) …………(13)
さらに、電力演算部24fでは、ディジタル線間電圧値UdRS、UdST、URTに基づいて下記(14)式にしたがって平均線間電圧実効値Urmsを算出する。
Urms=√{UdRS(n)+UdST(n)+UdRT(n)}/3 …………(14)
また、電力演算部24fでは、下記(15)、(16)及び(17)式にしたがって、皮相電力S、力率λ及び無効電力Qを算出する。
S=Urms×Irms …………(15)
λ=P/(Urms×Irms) …………(16)
Q=√{(Urms×Irms)−P} …………(17)
また、記憶部24gでは、演算結果である平均相電流実効値Irms、平均線間電圧実効値Vrms、有効電力P、無効電力Q、皮相電力S、力率λを記憶回路25に記憶する。
さらに、出力部24hは、平均相電流実効値Irms、平均線間電圧実効値Vrms、有効電力P、無効電力Q、皮相電力S、力率λの表示情報を生成し、生成した表示情報を、表示制御回路27を介して表示部26に出力して表示する。
次に、演算処理装置24による測定値演算処理の処理フローについて、図16を参照して説明する。
演算処理装置24による測定値算出処理は、先ず、ステップS11で電流値読込部24aがディジタル電流値Id、Id、Idを読み込み、次いで、ステップS12に移行して、電力演算部24fがディジタル電流値Id、Id、Idに基づいて前述の(12)式にしたがって平均相電流実効値Irmsを算出する。
次いで、測定値算出処理は、ステップS13に移行して、線間電圧値読込部24bがディジタル線間電圧値UdRS、UdST、UdTRを読み込むとともに、ステップS14に移行して、温度測定値読込部24cがディジタル温度測定値Td、Td、Tdを読み込む。
そして、測定値算出処理は、ステップS15に移行して、第1温度補正係数設定部24dが、図18の第1温度補正係数算出マップを参照して、温度測定値読込部24cから供給されたディジタル温度測定値Td、Td、Tdに対する線間電圧値の温度補正係数KRS、KST、KTRを設定する。
次いで、測定値算出処理は、ステップS16に移行して、線間電圧値補正部24eが前述の(11a)、(11b)、(11c)式に基づいて線間電圧値読込部24bから供給されたディジタル線間電圧値UdRS、UdST、UdTRに第1温度補正係数設定部24dで設定された線間電圧値の温度補正係数KRS、KST、KTRを乗算して補正線間電圧値UCRS、UCST、UCTRを算出する。
次に、測定値算出処理は、ステップS17に移行して、電力演算部24fが線間電圧値補正部24eから出力される補正線間電圧値UCRS、UCST、UCRTを読込むとともに、読込んだ補正線間電圧値UCRS、UCRTとディジタル電流値Id、Idとに基づいてブロンデルの定理に基づく前述の(13)式にしたがって有効電力Pを算出する。
また、測定値算出処理は、ステップS18に移行して、電力演算部24fが補正線間電圧値UCRS、UCST、UCRTに基づいて前述の(14)式にしたがって平均線間電圧実効値Urmsを算出する。
また、測定値算出処理は、ステップS19に移行して、電力演算部24fが、前述の(15)、(16)及び(17)式にしたがって、皮相電力S、力率λ及び無効電力Qを算出する。
また、測定値算出処理は、ステップS21に移行して、記憶部24gが、演算結果である平均相電流実効値Irms、平均線間電圧実効値Urms、有効電力P、無効電力Q、皮相電力S、力率λを記憶回路25に記憶する。
さらに、測定値算出処理は、ステップS21に移行して、出力部24iが平均相電流実効値Irms、平均線間電圧実効値Urms、有効電力P、無効電力Q、皮相電力S、力率λの表示情報を生成し、生成した表示情報を、表示制御回路27を介して表示部26に出力して表示する。
また、演算処理装置24は、各相のディジタル電流値Id、Id、Idに基づいて過電流保護を行う長限時保護機能、短限時保護機能、瞬時保護機能等の各種過電流保護機能を発揮させる過電流保護機能を実行し、過電流保護が必要であることを検出したときに、トリップコイル駆動回路31に対してトリップ指令を出力し、トリップコイル32を励磁する。
これにより、トリップクロスバー59(図2参照)を回動させてラッチ受け57(図2参照)によるラッチ54(図2参照)の受け状態を解除してトグル機構53(図2参照)によって開閉ハンドル46(図2参照)を開極位置に復帰させるとともに、可動接触子42(図2参照)を固定接触子(図1参照)から上方に離間させて、主回路接点部15r、15s、15tを開極させる。
以上説明したように、第3実施形態に係る電子式回路遮断器10によれば、電圧センサ(電圧検出部)17r〜17tの温度を測定する温度測定センサ(温度測定部)18r〜18tと、温度測定センサ18r〜18tで測定した温度に基づいて、電圧センサ17r〜17tで検出した電圧値をもとに線間電圧検出回路22a〜22cで検出した線間電圧値URS〜UTRを補正する線間電圧値補正部24eとを備えるので、補正した補正線間電圧値UCRS、UCST、UCTRに基づいて平均線間電圧実効値Urms及び有効電力Pを算出する(ステップS18、ステップS19参照)。このため、電圧センサ17r〜17tの温度に応じた結合容量の違いにより生じる電圧及び電力の測定誤差を低減することができ、計測精度の高い電圧及び電力の計測をすることができる。
次に、本発明の第4実施形態に係る電子式回路遮断器について、図19〜図21を参照して説明する。図19〜図21においては、図15〜図18と同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
第4実施形態に係る電子式回路遮断器10は、基本構成は図13に示す第1実施に係る電子式回路遮断器10と同様であるが、演算処理装置24が図19に示す機能ブロック図で構成されている。
演算処理装置24は、図13に示す主回路接点部15r、15s、15tが閉極されたときに、供給されたディジタル電流値Id、Id、Id、ディジタル線間電圧値UdRS、UdST、UdRT、及びディジタル温度測定値Td、Td、Tdに基づいて、測定値算出処理を行って平均相電流実効値、補正有効電力、平均線間電圧事実効値、皮相電力、無効電力及び力率等を算出し、演算結果を記憶回路25に記憶するとともに、表示制御回路27を介して表示部26に表示する。
なお、演算処理装置24では、第1実施形態に係る電子式回路遮断器を構成する図1に示す演算処理装置24と同様に、算出した電流測定値(平均相電流実効値)を予め設定された電流閾値と比較して、電流測定値が電流閾値を超えたときに、過電流異常と判断する。そして、演算処理装置24では、過電流異常を検出した場合に、異常状態に応じて瞬時に又は演算処理装置24に内蔵された内蔵タイマのタイムアップ後に、トリップコイル駆動回路31にトリップ指令を出力し、このトリップコイル駆動回路31でトリップコイル32を作動させることにより、主回路接点部15r、15s、15tを開極させる。
図19には、演算処理装置24の機能ブロック図が示されており、演算処理装置24は、電流値読込部35a、線間電圧値読込部35b、温度測定値読込部35c、第2温度補正係数設定部35d、電力演算部35e、電力補正部35f、記憶部35g、及び出力部35hを備えている。
電流値読込部35aは、A/D変換回路23から出力されるディジタル電流値Id、Id、Idを読み込み、電力演算部35eにこれらディジタル電流値Id、Id、Idを供給する。
線間電圧値読込部35bは、A/D変換回路23から出力されるディジタル線間電圧値UdRS、UdST、UdRTを読み込み、電力演算部35eにこれらディジタル線間電圧値UdRS、UdST、UdRTを供給する。
また、温度測定値読込部35cは、A/D変換回路23から出力されるディジタル温度測定値Td、Td、Tdを読み込み、第2温度補正係数設定部35dにこれらディジタル温度測定値Td、Td、Tdを供給する。
また、第2温度補正係数設定部35dは、図21に示す第2温度補正係数算出マップを参照して、供給されたディジタル温度測定値Td、Td、Tdの平均値に対する電力の温度補正係数Cを設定する。
この電力の温度補正係数Cについて、更に説明すると、電圧センサ17r、17s、17tは、容量結合方式を採用して電圧検出値V、V、Vを検出するので、導体61を通る交流電圧によって内側絶縁物71に蓄積された電荷が移動し、電圧の大きさに比例する電界の変化を引き起こすことにより、導電性電極72で電界の変化を検出することで結合容量を介して電圧を検出する。
このため、この結合容量が変化すると、計測値、即ち電圧検出値V、V、Vに誤差が生じる。この結合容量は、導体61と導電性電極72との間の距離、導電性電極72の面積及び介在した内側絶縁物71の誘電率によって決定される
ここで、内側絶縁物71の誘電率は、温度により変化する。一例として、ポリブチレンテレフタレート(PBT)の温度による誘電率の変化を図17に示す。PBTの誘電率は、20℃〜80℃の間でおおよそ10%程度変化している。これにより、結合容量も10%程度変化し、そのため電圧検出値V、V、Vが温度により変化し、電圧検出値V、V、Vをもとに算出する線間電圧値URS、UST、URTが変化し、その結果有効電力Pが変化することになる。
なお、図17は一例であり、内側絶縁物の材質により異なるため、内側絶縁物の材質に応じあらかじめ誘電率の温度に対する特性を把握しておく必要がある。
図21は、内側絶縁物としてPBTを用いた場合の温度と誘電率変化に応じた電力の温度補正係数との関係を示す第2温度補正係数算出マップであり、本実施形態における電力の温度補正係数の設定に使用する。この第2温度補正係数算出マップは、図21に示すように、温度が20℃であるときに電力の補正係数Cが“1”となり、温度が上昇するに応じて徐々に電力の補正係数Cが減少し、温度の増加量に対する温度補正係数Cの減少量が徐々に増加する湾曲線状の特性線Lpが設定されている。
次に、電力演算部35eは、電流値読込部35aから出力されるディジタル電流値Id、Id、Idを読み込み、このディジタル電流値Id、Id、Idに基づいて、下記(18)式にしたがって平均相電流実効値Irmsを算出する。
Irms=√{Id(n)+Id(n)+Id(n)}/3 …………(18)
また、電力演算部35eでは、線間電圧値読込部35bから出力されるディジタル線間電圧値UdRS、UdST、UdRTを読込むとともに、読込んだディジタル線間電圧値UdRT、UdSTとディジタル電流値Id、Idとに基づいてブロンデルの定理に基づく下記(19)式にしたがって有効電力Pを算出する。
P=UdRT(n)×Id(n)+UdST(n)×Id(n) …………(19)
さらに、電力演算部35eでは、ディジタル線間電圧値UdRS、UdST、URTに基づいて下記(20)式にしたがって平均線間電圧実効値Urmsを算出する。
Urms=√{UdRS(n)+UdST(n)+UdRT(n)}/3 …………(20)
また、電力演算部35eでは、下記(21)、(22)及び(23)式にしたがって、皮相電力S、力率λ及び無効電力Qを算出する。
S=Urms×Irms …………(21)
λ=P/(Urms×Irms) …………(22)
Q=√{(Urms×Irms)−P} …………(23)
次に、電力補正部35fは、電力演算部35eから出力される平均相電流実効値Irms、有効電力P、平均線間電圧実効値Urms、皮相電力S、力率λ及び無効電力Qを読み込むとともに、下記(24)式に基づいて有効電力Pに第2温度補正係数設定部35dで設定された電力の温度補正係数Cを乗算して補正有効電力Pcを算出する。
Pc=C×P …………(24)
また、記憶部35gでは、演算結果である平均相電流実効値Irms、平均線間電圧実効値Vrms、補正有効電力Pc、無効電力Q、皮相電力S、力率λを記憶回路25に記憶する。
さらに、出力部35hは、平均相電流実効値Irms、平均線間電圧実効値Vrms、補正有効電力Pc、無効電力Q、皮相電力S、力率λの表示情報を生成し、生成した表示情報を、表示制御回路27を介して表示部26に出力して表示する。
次に、演算処理装置24による測定値演算処理の処理フローについて、図20を参照して説明する。
演算処理装置24による測定値演算処理は、先ず、ステップS31で電流値読込部35aがディジタル電流値Id、Id、Idを読み込み、次いで、ステップS32に移行して、電力演算部35eがディジタル電流値Id、Id、Idに基づいて前述の(18)式にしたがって平均相電流実効値Irmsを算出する。
次いで、測定値算出処理は、ステップS33に移行して、線間電圧値読込部35bがディジタル線間電圧値UdRS、UdST、UdRTを読み込む。
そして、測定値算出処理は、ステップS34に移行して、電力演算部35eが線間電圧値読込部35bから出力されるディジタル線間電圧値UdRS、UdST、UdRT及び電流値読込部35aから出力されるディジタル電流値Id、Id、Idを読込むとともに、読込んだディジタル線間電圧値UdRS、UdRTとディジタル電流値Id、Idとに基づいてブロンデルの定理に基づく前述の(19)式にしたがって有効電力Pを算出する。
また、測定値算出処理は、ステップS35に移行して、電力演算部35eがディジタル線間電圧値UdRS、UdST、URTに基づいて前述の(20)式にしたがって平均線間電圧実効値Urmsを算出する。
また、測定値算出処理は、ステップS36に移行して、電力演算部35eが、前述の(21)、(22)及び(23)式にしたがって、皮相電力S、力率λ及び無効電力Qを算出する。
次に、測定値算出処理は、ステップS37に移行して、温度測定値読込部35cが、A/D変換回路23から出力されるディジタル温度測定値Td、Td、Tdを読み込み、第2温度補正係数設定部35dにこれらディジタル温度測定値Td、Td、Tdを供給する。
また、測定値算出処理は、ステップS38に移行して、第2温度補正係数設定部35dが、図21の第2温度補正係数算出マップを参照して、供給されたディジタル温度測定値Td、Td、Tdに対する電力の温度補正係数Cを設定する。
次に、測定値算出処理は、ステップS39に移行して、電力補正部35fが、電力演算部35eから出力される平均相電流実効値Irms、有効電力P、平均線間電圧実効値Urms、皮相電力S、力率λ及び無効電力Qを読み込むとともに、前述の(24)式に基づいて有効電力Pに第2温度補正係数設定部35dで設定された電力の温度補正係数Cを乗算して補正有効電力Pcを算出する。
また、測定値算出処理は、ステップS40に移行して、記憶部35gが、演算結果である平均相電流実効値Irms、平均線間電圧実効値Urms、補正有効電力Pc、無効電力Q、皮相電力S、力率λを記憶回路25に記憶する。
さらに、測定値算出処理は、ステップS41に移行して、出力部35hが平均相電流実効値Irms、平均線間電圧実効値Urms、補正有効電力Pc、無効電力Q、皮相電力S、力率λの表示情報を生成し、生成した表示情報を、表示制御回路27を介して表示部26に出力して表示する。
以上説明したように、第4実施形態に係る電子式回路遮断器10によれば、電圧センサ(電圧検出部)17r〜17tの温度を測定する温度測定センサ(温度測定部)18r〜18tと、温度測定センサ18r〜18tで測定した温度に基づいて、デジタル電力値(有効電力P)を補正する電力補正部35fとを備えるので、有効電力Pを電力の温度補正係数Cで補正し、補正有効電力Pcを算出する(ステップS38)。このため、電圧センサ17r〜17tの温度に応じた結合容量の違いにより生じる電力の測定誤差を低減することができ、計測精度の高い電力の計測をすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、第1実施形態〜第4実施形態においては、電力演算部24f,35eで、有効電力Pの他、平均相電流実効値Irms、平均線間電圧実効値Urms、皮相電力S、力率λ及び無効電力Qを演算する場合について説明したが、これに限らず、有効電力Pのみあるいは有効電力Pと、平均相電流実効値Irms及び平均線間電圧実効値Urmsと、皮相電力S、力率λ及び無効電力Qの少なくとも1つとを演算するようにしてもよい。
また、第3実施形態に係る電子式回路遮断器10においては、温度測定センサ(温度測定部)18r〜18tで測定した温度に基づいて、電圧センサ(電圧検出部)17r〜17tで検出した電圧に基づく線間電圧値を補正する線間電圧値補正部24eを備えているものであれば、図13、図15及び図16に示した装置構成に限定されない。
また、第4実施形態に係る電子式回路遮断器10においては、温度測定センサ(温度測定部)18r〜18tで測定した温度に基づいて、ディジタル電力値(有効電力P)を補正する電力補正部35fを備えるものであれば、図19乃至図21に示した装置構成に限定されない。
また、第3実施形態に係る電子式回路遮断器10では、温度補正係数KRS、KST及びKTRによってディジタル線間電圧値UdRS、UdST及びUdTRを補正し、第4実施形態に係る電子式回路遮断器10では、温度補正係数Cによって有効電力Pを補正する場合について説明したが、これに限らず、線間電圧値URS、UST及びUTRと有効電力Pとの双方を個別の温度補正係数で補正するようにしてもよい。
10…電子式回路遮断器、11…筐体、12r〜12t…電源側接続端子、13r〜13t…負荷側接続端子、14r〜14t…主回路線路、15r〜15t…主回路接点部、16r〜16t…電流センサ(電流検出部)、17r〜17t…電圧センサ(電圧検出部)、18r〜18t…温度測定センサ(温度測定部)、20r〜20t…温度検出回路、21r〜21t…電流電圧変換回路、23a〜23c…線間電圧検出回路、24…演算処理装置、24a…電流値読込部、24b…線間電圧値読込部、24c…温度測定値読込部、24d…第1温度補正係数設定部、24e…線間電圧値補正部、24f……電力演算部、24g…記憶部、24h…出力部、25…記憶回路、27…表示制御回路、表示部、28…外部装置、29…外部通信インタフェース回路、31…トリップコイル駆動回路、32…トリップコイル、35a…電流値読込部、35b…線間電圧値読込部、35c…温度測定値読込部、35d…第2温度補正係数設定部、35e…電力演算部、35f…電力補正部、35g…記憶部、35h…出力部、41…固定接触子、42…可動接触子、43…可動子ホルダ、46…開閉ハンドル、53…トグル機構、61…導体、71…内側絶縁物、72…導電性電極、73…外側絶縁物、81…分圧回路、82…差動増幅回路、83…オペアンプ

Claims (8)

  1. 電路の電流を開閉する接点部と、
    前記電路の電流を検出する電流検出部と、
    前記電路の電圧を検出する電圧検出部と、
    前記電流検出部で検出した電流および前記電圧検出部で検出した電圧をディジタル信号に変換するA/D変換部と、
    該A/D変換部で変換したディジタル信号に基づいてディジタル電力値を含む測定値を演算し、演算結果を用いて前記接点部の開閉を引外し装置に指示する演算処理部とを備え、
    前記電圧検出部は、前記電路に接続された導体に絶縁物を介して配置された導電性電極を有し、当該導電性電極で結合容量を介して前記電路の電圧を測定し、
    前記電圧検出部の温度を測定する温度測定部と、該温度測定部で測定した温度に基づいて、線間電圧値の温度補正係数を設定する第1温度補正係数設定部と、前記電圧検出部で検出した電圧に基づく線間電圧値に前記線間電圧値の温度補正係数を乗算して線間電圧値を補正する線間電圧値補正部とを備え、
    前記温度測定部は、前記電圧検出部における、前記電路に接続された導体と前記導電性電極との間に配置された前記絶縁物の温度を測定することを特徴とする電子式回路遮断器。
  2. 電路の電流を開閉する接点部と、
    前記電路の電流を検出する電流検出部と、
    前記電路の電圧を検出する電圧検出部と、
    前記電流検出部で検出した電流および前記電圧検出部で検出した電圧をディジタル信号に変換するA/D変換部と、
    該A/D変換部で変換したディジタル信号に基づいてディジタル電力値を含む測定値を演算し、演算結果を用いて前記接点部の開閉を引外し装置に指示する演算処理部とを備え、
    前記電圧検出部は、前記電路に接続された導体に絶縁物を介して配置された導電性電極を有し、当該導電性電極で結合容量を介して前記電路の電圧を測定し、
    前記電圧検出部の温度を測定する温度測定部と、該温度測定部で測定した温度に基づいて、電力の温度補正係数を設定する第2温度補正係数設定部と、前記ディジタル電力値に前記電力の温度補正係数を乗算して補正する電力補正部とを備え、
    前記温度測定部は、前記電圧検出部における、前記電路に接続された導体と前記導電性電極との間に配置された前記絶縁物の温度を測定することを特徴とする電子式回路遮断器。
  3. 前記電流検出部は、前記導体に巻装されたカレントトランスで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子式回路遮断器。
  4. 前記電圧検出部は、前記カレントトランスの内側に配置されていることを特徴とする請求項に記載の電子式回路遮断器。
  5. 前記導体は、一端に負荷側接続端子が形成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の電子式回路遮断器。
  6. 前記測定値を外部のデータ収集装置へ送る外部通信インタフェースを備えることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の電子式回路遮断器。
  7. 前記第1温度補正係数設定部は、温度と線間電圧値の温度補正係数との関係を表す第1温度補正係数算出マップを参照して線間電圧値の温度補正係数を算出することを特徴とする請求項に記載の電子式回路遮断器。
  8. 前記第2温度補正係数設定部は、温度と前記電力の温度補正係数との関係を表す第2温度補正係数算出マップを参照して電力の温度補正係数を算出することを特徴とする請求項に記載の電子式回路遮断器。
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