以下、本発明に係るセンサ挿入装置及びセンサ挿入装置に装着可能な交換具の実施形態について、図1〜図23を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
図1は、本発明に係るセンサ挿入装置の1つの実施形態としてのセンサ挿入装置1を示す斜視図である。図2は、図1に示すセンサ挿入装置1及びセンサ挿入装置1に対して装着可能な、本実施形態の1つの実施形態としての交換具100を別々に示す斜視図である。また、図3は、図2に示す交換具100を移動させることにより(図2の破線矢印参照)、センサ挿入装置1に対して交換具100を装着した状態、すなわちセンサ挿入装置セット300を示す斜視図である。なお、図2及び図3は、説明の便宜上、図1に示すセンサ挿入装置1のハウジング2、及びこのハウジング2に回動可能に装着された操作部材3を省略して描いている。したがって、交換具100をセンサ挿入装置1に対して装着する際(図2の状態から図3の状態にする際)は、図1に二点鎖線(仮想線)で示すハウジング2の側壁開口4を通じて、交換具100をセンサ挿入装置1に対して装着する。
図3に示すセンサ挿入装置セット300は、センサ挿入装置1と、このセンサ挿入装置1に装着された交換具100と、を備えている。
センサ挿入装置1は、装着された交換具100のセンサ101及び針部材102(図8等参照)を、操作部材3を操作することにより生体側へと移動させ、生体内へと挿入するものである。また、センサ挿入装置1は、センサ101の先端側を生体内に留置した後で、針部材102を生体外へと抜去するものである。更に、センサ挿入装置1は、針部材102を生体外へと抜去した後に、交換具100から取り外され、別の交換具100のセンサ101及び針部材102を生体内へと挿入するため、及びセンサ101を留置後に針部材102を抜去するために再利用されるものである。センサ挿入装置1を再利用することで、患者等の被測定者や医療従事者の費用負担を軽くすることができる。
図1〜図3に示すセンサ挿入装置1は、ハウジング2と、操作部材3と、第1弾性部材5と、第2弾性部材6と、弾性エネルギー可変機構7と、保持機構と、を備えている。なお、保持機構は、第1保持機構8a及び第2保持機構8bを備えている。
一方、交換具100は、センサ挿入装置1から取り外された後に、センサ101と共に生体側に留置される部材と、廃棄される部材とを有している。
図1〜図3に示す交換具100は、センサ101(図8等参照)と、針部材102(図8等参照)と、センサハウジング103と、中空部材104と、シート部材105と、を備えている。なお、本実施形態の交換具100のうち、センサ挿入装置1から取り外された後に、生体情報であるアナライト(例えば、グルコースやpH、コレステロール、たんぱく質等)の検出及び計測のために生体側へ留置される部材は、センサ101、センサハウジング103及びシート部材105であり、センサ挿入装置1から取り外された後に廃棄される部材は、針部材102及び中空部材104である。
<センサ挿入装置1>
以下、センサ挿入装置1及び交換具100について詳細に説明する。まず、センサ挿入装置1について以下に詳述する。
ハウジング2は、図1に示すように、センサ挿入装置1の外装部材であり、図2、図3に示す内部構成の周囲を覆っている。また、図1に示すように、ハウジング2には側壁開口4(図1の二点鎖線参照)が形成されており、この側壁開口4を通じて、ハウジング2の中空部に位置するセンサ挿入装置1の内部構造(センサ挿入装置1のハウジング2及び操作部材3以外の部分であり、図2、図3に示す部分)に対して交換具100の装着及び取り外しが可能である。なお、ハウジング2の中空部の一端側(図1では下側)は開放されており、この開放部分を通じてセンサ101及び針部材102の生体内への穿刺が行われる。したがって、センサ挿入装置1によりセンサ101及び針部材102を生体内に挿入する際は、ハウジング2の一端側(図1では下側)の端面を生体表面上に押し付けた状態とし、この状態において操作部材3が操作されることにより、センサ101及び針部材102の生体内への挿入が実行される。
ハウジング2の材料としては、例えば樹脂材料が挙げられる。この樹脂材料としては、例えば、ABS樹脂、AS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、熱可塑性ポリウレタン、ポリメチレンメタクリレート、ポリオキシエチレン、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、アセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート等の射出成形で用いられる熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
操作部材3は、ハウジング2に対して回動可能に取り付けられている。患者等の被測定者や医療従事者は、ハウジング2の一端側の端面を生体表面上に押し付けた状態で、この操作部材3を回動するように操作することにより、装着されたセンサ101及び針部材102を生体内に挿入することができる。
なお、操作部材3は、上述したハウジング2と同様の材料により成形することができる。また、この他に、セラミックス材料、金属材料等により成形してもよい。
第1弾性部材5は、交換具100の針部材102を生体内へ挿入可能な挿入位置まで移動させる第1弾性エネルギーを蓄積することが可能であり、本実施形態では、第1弾性部材5として2つの発射バネ5a及び5bを用いており、発射バネ5a及び5bは、コイルバネにより構成されている。なお、ここでいう「挿入位置」とは、少なくとも針部材の先端が生体内に挿入可能となる位置を意味している。
第2弾性部材6は、交換具100の針部材102を挿入位置から生体外へ抜去可能な抜去位置まで移動させる第2弾性エネルギーを蓄積することが可能であり、本実施形態では、第2弾性部材6として1つの戻しバネ6aを用いており、戻しバネ6aは、コイルバネにより構成されている。なお、ここでいう「抜去位置」とは、針部材が生体外に抜去可能となる位置を意味している。
弾性エネルギー可変機構7は、第1弾性部材5及び第2弾性部材6を弾性変形させることにより、第1弾性部材5が第1弾性エネルギーを蓄積し、かつ、第2弾性部材6が第2弾性エネルギーを蓄積したエネルギー蓄積状態とすることができる。なお、図1〜図3は、エネルギー蓄積状態にあるセンサ挿入装置1を示している。また、本実施形態の弾性エネルギー可変機構7は、第1弾性部材5及び第2弾性部材6を同時に弾性変形させることにより、エネルギー蓄積状態を実現するものである。ここでいう「第1弾性部材5及び第2弾性部材6を同時に弾性変形させることにより、エネルギー蓄積状態とする」とは、エネルギー蓄積状態とするまでに、第1弾性部材5及び第2弾性部材6を同時に弾性変形させる過程を有することを意味しており、いずれか一方のみが弾性変形する過程を一部に有していてもよい。
弾性エネルギー可変機構7は、第1弾性部材5及び第2弾性部材6を挟む、固定部材22及びこの固定部材22に対して移動可能な可動部材23を備えている。
本実施形態の弾性エネルギー可変機構7における固定部材22は、第1弾性部材5及び第2弾性部材6に対して針部材102の抜去方向Aに位置する移動規制部9を備えている。また、本実施形態の弾性エネルギー可変機構7における可動部材23は、第1弾性部材5及び第2弾性部材6に対して針部材102の挿入方向Bに位置する本体部10を備えている。したがって、本実施形態の弾性エネルギー可変機構7では、本体部10を抜去方向Aに移動させて、移動規制部9との間で、第1弾性部材5及び第2弾性部材6を同時に圧縮変形させることにより、エネルギー蓄積状態とすることができる。
弾性エネルギー可変機構7を構成する固定部材22及び可動部材23の材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金等の金属材料や上述したハウジング2に使用可能な樹脂材料を用いることができる。
第1保持機構8aは、エネルギー蓄積状態において第1弾性部材5の姿勢を保持するものである。本実施形態の第1保持機構8aは、エネルギー蓄積状態で可動部材23を係止する係止部としての係止部材32を備えている。
第1保持機構8aの係止部材32の材料としては、例えば、上述したハウジング2に使用可能な樹脂材料を用いることができる。
第2保持機構8bは、エネルギー蓄積状態において、及びエネルギー蓄積状態での第1保持機構8aによる第1弾性部材5の姿勢の保持が解放された後、針部材102が第1弾性エネルギーにより挿入位置まで移動する間、第2弾性部材6の姿勢を保持するものである。
本実施形態の第2保持機構8bは、可動部材31と、ロック部としてのロック部材36とを備えている。ここで、上述した弾性エネルギー可変機構7における可動部材23と、第2保持機構8bの可動部材31とを区別するために、以下、説明の便宜上、弾性エネルギー可変機構7における可動部材23を「第1可動部材23」と記載し、第2保持機構8bの可動部材31を「第2可動部材31」と記載する。
本実施形態の第2可動部材31は、固定部材22と第2弾性部材6とに挟まれ、固定部材22及び第1可動部材23に対して移動可能である。具体的に、本実施形態の第2可動部材31は、固定部材22の移動規制部9と第2弾性部材6との間に位置し、固定部材22の移動規制部9及び第1可動部材23の本体部10に対する対向距離を変化可能である。より具体的に、第2可動部材31は、移動規制部9に対して抜去方向A及び挿入方向Bにおいて移動可能であると共に、本体部10に対しても抜去方向A及び挿入方向Bにおいて移動可能である。
本実施形態のロック部材36は、エネルギー蓄積状態において、第2弾性部材6により固定部材22の移動規制部9側、すなわち抜去方向Aに付勢された状態にある第2可動部材31と係合し、第2可動部材31の第1可動部材23に対する位置を固定することが可能である。したがって、ロック部材36が第2可動部材31と係合した状態では、第1可動部材23と第2可動部材31との位置関係が固定された状態となる。そのため、センサ101及び針部材102の挿入時に、第1弾性部材5の復元力により、本体部10が移動規制部9から遠ざかるように挿入方向Bに移動したとしても、第1可動部材23と第2可動部材31との位置関係は、ロック部材36により、エネルギー蓄積状態での位置関係に維持される。この詳細は後述する。
第2保持機構8bの第2可動部材31やロック部材36の材料としては、例えば、上述したハウジング2に使用可能な樹脂材料や固定部材22及び可動部材23に使用可能な金属材料を用いることができる。
以下、センサ挿入装置1の各部材、各機構およびその他の特徴部の詳細について説明する。
[ハウジング2]
ハウジング2は、中空部を区画する、センサ挿入装置1の外装部材である。図1に示すように、ハウジング2は、側壁開口4を区画する筒状の側壁部14と、この側壁部14の抜去方向Aの一端に一体で形成された天壁部15と、を備えている。なお、ハウジング2は、上述したように、天壁部15と対向する位置に底壁を有しておらず、ハウジング2の中空部と連通する開放部16を区画している。
図1に示すように、本実施形態の側壁部14は、側壁開口4とハウジング2の中空部を挟んで対向する部分に、径方向の外側に向かって突出し、操作部材3の回動軸部21が回動可能に装着される軸支持部17を備えている。本実施形態の軸支持部17は、側壁部14の周方向において操作部材3を挟んで対向する位置に2つ設けられている。また、図1に示すように、本実施形態の側壁部14は、回動軸部21の回りに回動した操作部材3がハウジング2内に位置する第1保持機構8aの係止部材32に作用するように、側壁開口4とハウジング2の中空部を挟んで対向する位置に開口18を区画している。
図1に示すように、本実施形態の天壁部15は天壁開口19を区画している。被測定者等がエネルギー蓄積状態を実現するため(第1弾性部材5及び第2弾性部材6をチャージするため)の環状の操作部29が、天壁開口19を通じてハウジング2の外方に突出している。
なお、センサ挿入装置1の内部構造は、ハウジング2の側壁部14の挿入方向Bの一端により区画された開放部16からハウジング2内へと入れられる。また、ハウジング2内に入れられたセンサ挿入装置1の内部構造は、例えば、後述する弾性エネルギー可変機構7を構成する固定部材22の一部がハウジング2の側壁部14の内面に形成された突起部と摺動し、この突起部を乗り越えることにより、ハウジング2に対して係止されるようにすることができる。このように、センサ挿入装置1の内部構造とハウジング2との間に、凹凸形状などの係止部を設けることにより、センサ挿入装置1の内部構造がハウジング2の開放部16から抜け落ちることを防止可能である。
[操作部材3]
操作部材3は、患者等の被測定者や医療従事者により操作される本体部20と、この本体部20と一体で形成され又は本体部20に固定され、ハウジング2の軸支持部17に対して本体部20が回動可能となるように取り付けられた回動軸部21と、を備えている。
本実施形態の本体部20は、略矩形板状の形状を有しており、その厚み方向と直交する方向に位置する対向する端面に回動軸部21が設けられている。患者等の被測定者や医療従事者は、被測定者の生体内にセンサ101及び針部材102を挿入する際に、操作部材3の本体部20を押し込む操作(図1の白抜き矢印参照)を行う。この操作により、操作部材3の本体部20は、回動軸部21の回りを回動し、ハウジング2の側壁部14が区画する開口18を通じて、第1保持機構8aの係止部材32に作用可能である。そして、本体部20が係止部材32に作用することにより、第1保持機構8aによる第1弾性部材5の姿勢の保持を解放することができる。この詳細については後述する。なお、本実施形態の操作部材3は、ハウジング2に対して回動可能に装着されているが、第1弾性部材5の姿勢の保持を解放する操作が可能な構成であればよく、この構成に限られるものではない。
[弾性エネルギー可変機構7]
図4〜図7は、エネルギー蓄積状態にあるセンサ挿入装置1に対して交換具100が装着された状態(図4参照)、第2弾性部材6に第2弾性エネルギーが蓄積された状態で第1弾性部材5に蓄積された第1弾性エネルギーが用いられ、針部材102が挿入位置に到達した状態(図5参照)、第2弾性部材6に蓄積された第2弾性エネルギーが用いられ、針部材102が抜去位置に到達した状態(図6参照)、および交換具100から取り外されたセンサ挿入装置1を、別の交換具100の装着が可能なように、再びエネルギー蓄積状態にした状態(図7参照)をそれぞれ示す図である。図4(a)、図5(a)、図6(a)及び図7(a)は、各状態における正面図であり、図4(b)、図5(b)、図6(b)及び図7(b)は、各状態における側面図である。なお、図4〜図7においても、図2及び図3と同様、ハウジング2及び操作部材3を省略して描いている。また、ここでいうセンサ挿入装置1の「正面」とは、センサ挿入装置1のうち、ハウジング2の側壁開口4が形成されている側の面を意味しており、センサ挿入装置1の「側面」とは、センサ挿入装置1の正面に向かって左右に位置する面を意味する。
まず、図1〜図7を参照して、本実施形態の弾性エネルギー可変機構7を構成する各部材について説明する。図1〜図7に示すように、本実施形態の弾性エネルギー可変機構7は、ハウジング2に対して位置が固定される固定部材22と、この固定部材22に対して移動可能な第1可動部材23と、を備えている。
固定部材22は、抜去方向A(又は挿入方向B)に延在する棒状のガイド部24と、このガイド部24の挿入方向Bの一端に設けられた支持台部25と、ガイド部24の抜去方向Aの一端に設けられた移動規制部9と、を備えている。
ガイド部24は、支持台部25と移動規制部9との間に複数(本実施形態では2本)設けられており、各ガイド部24の周囲に、第1弾性部材5としての発射バネ5a及び5bが装着されている。換言すれば、第1弾性部材5としての発射バネ5a及び5bが区画する中空部にガイド部24が延在している。
また、ガイド部24は、第1可動部材23の本体部10が区画する貫通孔を貫通した状態で、その両端が支持台部25及び移動規制部9に連結されている。
本実施形態の支持台部25は、ガイド部24の延在方向(抜去方向A及び挿入方向B)が厚み方向となる板状の形状を有しており、針部材102の挿入時には、挿入方向Bに位置する底面25bが、生体表面と当接する。
本実施形態の移動規制部9は、第1弾性部材5及び第2弾性部材6に対して抜去方向Aに位置し、第1弾性部材5及び第2弾性部材6の抜去方向Aの端部が抜去方向Aへと移動することを規制する。また、本実施形態の移動規制部9は、ガイド部24の延在方向(抜去方向A及び挿入方向B)が厚み方向となる板状の形状を有している。更に、本実施形態の移動規制部9には、ガイド部24が連結される位置とは異なる位置に、厚み方向に貫通する第1ガイド孔27a及び第2ガイド孔27bが形成されている(図2、図3参照)。
なお、本実施形態の固定部材22は、ガイド部24を構成する棒状部材と、この棒状部材の一端に連結され、支持台部25を構成する底板部材と、棒状部材の他端に連結され、移動規制部9を構成する天板部材と、を備えているが、ガイド部、支持台部及び移動規制部を備える構成であればよく、この構成に限られるものではない。したがって、例えば、ガイド部、支持台部及び移動規制部を1つ又は2つの部材により構成することや、4つ以上の部材を組み合わせて構成することも可能である。
第1可動部材23は、移動規制部9との対向距離を変化させる板状の本体部10と、この本体部10から抜去方向Aに向かって突出し、移動規制部9の第1ガイド孔27a(図2等参照)及びハウジング2の天壁15の天壁開口19を通じて外方まで延在する棒状突出部28と、この棒状突出部28の抜去方向Aの先端に設けられた環状の操作部29と、棒状突出部28とは異なる位置で、本体部10から抜去方向Aに向かって突出し、移動規制部9の第2ガイド孔27b内を移動可能な棒状のガイド部30と、を備えている。
本実施形態の本体部10は、ガイド部24の延在方向(抜去方向A及び挿入方向B)が厚み方向となる板状の形状を有している。より具体的に、本実施形態の本体部10は、第1弾性部材5と当接する第1板部と、この第1板部と段差を介して一体で成形され、第2弾性部材6と当接する第2板部と、を備える板部材である。
更に、本体部10は、第1弾性部材5及び第2弾性部材6に対して挿入方向Bに位置すると共に、固定部材22の移動規制部9と支持台部25との間を、ガイド部24に沿って移動可能である。したがって、本体部10は、固定部材22のガイド部24に沿って、固定部材22の移動規制部9との対向距離が変化するように移動可能である。そして、このように本体部10を抜去方向A及び挿入方向Bに移動させることにより、移動規制部9との間で第1弾性部材5及び第2弾性部材6を同時に弾性変形させることができる。
棒状突出部28は、本体部10から抜去方向Aに向かって突出しており、移動規制部9の第1ガイド孔27a(図2等参照)を貫通してハウジング2の外方まで延在し、その先端に操作部29が設けられている。つまり、棒状突出部28は、本体部10と操作部29とを連結するものであり、被測定者や医療従事者は、操作部29を抜去方向Aに引っ張り操作することにより、本体部10を抜去方向Aに移動させることができる。
ガイド部30は、棒状突出部28とは異なる位置で、本体部10から抜去方向Aに突出しており、移動規制部9の第2ガイド孔27b(図2等参照)内を、抜去方向A及び挿入方向Bに移動可能である。また、ガイド部30のうち、移動規制部9と本体部10との間の部分には、第2弾性部材6としての戻しバネ6a及び第2可動部材31が装着されている。換言すれば、ガイド部30は、第2弾性部材6としての戻しバネ6aが区画する中空部内及び第2可動部材31が区画する貫通孔内を貫通して延在している。なお、抜去方向Aに沿って、第2弾性部材6、第2可動部材31の順に配置されている。
ここで、本体部10の抜去方向Aに位置する天面10aは、第1弾性部材5としての発射バネ5a及び5b並びに第2弾性部材6としての戻しバネ6aの受け面を構成している。具体的に、第1弾性部材5としての発射バネ5a及び5bの挿入方向Bの一端は、本体部10の天面10aに当接している。また、第2弾性部材6としての戻しバネ6aの挿入方向Bの一端も、本体部10の天面10aに当接している。
更に、移動規制部9の挿入方向Bに位置する底面9aは、第1弾性部材5としての発射バネ5a及び5bの受け面を構成している。つまり、第1弾性部材5としての発射バネ5a及び5bの抜去方向Aの一端は、移動規制部9の底面9aに当接している。なお、移動規制部9の挿入方向Bに位置する底面9aと、第2弾性部材6としての戻しバネ6aの抜去方向Aの一端との間には、上述したように第2可動部材31が介在しており、第2可動部材31が、第2弾性部材6としての戻しバネ6aの抜去方向Aの一端の受け面を構成し、第2可動部材31が、第2弾性部材6と当接可能である。つまり、第2弾性部材6としての戻しバネ6aの抜去方向Aの一端は、移動規制部9の底面9aとは当接しない。
本実施形態の第1可動部材23は、本体部10を構成する板部材と、この板部材に取り付けられた、棒状突出部28を構成する棒状部材と、この棒状部材の先端に取り付けられた環状の操作部29を構成する環状部材と、棒状突出部28を構成する棒状部材とは別の位置で、第1可動部10を構成する板部材に取り付けられた、ガイド部30を構成する棒状部材と、を備えているが、本体部、棒状突出部、操作部及びガイド部を備える構成であればよく、この構成に限られるものではない。したがって、例えば、本体部、棒状突出部、操作部及びガイド部を1〜3つの部材により構成することや、5つ以上の部材を組み合わせて構成することも可能である。
本実施形態では、上述した固定部材22及び第1可動部材23により弾性エネルギー可変機構7が構成されており、この弾性エネルギー可変機構7により、センサ挿入装置1を、第1弾性部材5に第1弾性エネルギーが蓄積されておらず、かつ、第2弾性部材6に第2弾性エネルギーが蓄積されていない状態(図6参照)から、エネルギー蓄積状態(図4及び図7参照)へと変化させることができる。以下、第1弾性部材5及び第2弾性部材6をチャージしてエネルギー蓄積状態にする操作について説明する。
本実施形態の弾性エネルギー可変機構7では、本体部10を移動規制部9に対して対向距離が短くなるように抜去方向Aに移動させ、本体部10と移動規制部9との間で第1弾性部材5及び第2弾性部材6を同時に圧縮変形させることにより、第1弾性部材5が第1弾性エネルギーを蓄積し、かつ、第2弾性部材6が第2弾性エネルギーを蓄積したエネルギー蓄積状態とすることができる。なお、図1〜図4、及び図7は、エネルギー蓄積状態にあるセンサ挿入装置1を示している。
より具体的には、まず、ハウジング2(図1参照)の外方に位置する操作部29を把持し、抜去方向Aへと移動させるように力を付与する。本体部10は、棒状突出部28を介して操作部29と連結されているため、操作部29に付加される抜去方向Aの力により、第1弾性部材5及び第2弾性部材6の復元力に抗して、抜去方向Aへと移動することができる。つまり、本体部10が抜去方向Aに移動すると、本体部10と移動規制部9との対向距離が短くなり、第1弾性部材5としての発射バネ5a及び5bは、本体部10の天面10aと、移動規制部9の底面9aとの間で圧縮変形する。また、第2弾性部材6としての戻しバネ6aも、本体部10の天面10aと移動規制部9の底面9aとの間、より具体的には、本体部10の天面10aと第2可動部材31との間で圧縮変形する。
そして、本体部10と移動規制部9との間の対向距離が所定距離以下になった際に、エネルギー蓄積状態が達成される。
なお、本体部10が抜去方向Aに移動すると、第1可動部材23のガイド部30も、移動規制部9の第2ガイド孔27b(図2等参照)を通じて抜去方向Aへと移動するが、第2可動部材31は、移動規制部9の底面9aに当接して突き当たり、移動規制部9の底面9aの位置より抜去方向Aへは移動しない。つまり、移動規制部9の底面9aは、第2弾性部材6と直接当接しないが、本体部10を抜去方向Aに移動させる際は、第2可動部材31を介して、第2弾性部材6に対して反力を付与する。したがって、本体部10を抜去方向Aに移動させる際、移動規制部9の底面9aは、第1弾性部材5及び第2弾性部材6に反力を付与する反力壁となるため、第1弾性部材5及び第2弾性部材6は、本体部10の天面10aと、移動規制部9の底面9aとの間で圧縮変形することができる。
また、第1可動部材23の本体部10が抜去方向Aへ移動する際、第1弾性部材5としての発射バネ5a及び5bは、ガイド部24の外壁と摺動しながら圧縮変形する。つまり、第1弾性部材5の変形方向は、ガイド部24により、抜去方向A及び挿入方向Bに制限される。また、第2弾性部材6としての戻しバネ6aは、ガイド部30の外壁と摺動しながら圧縮変形するため、その変形方向が抜去方向A及び挿入方向Bに制限される。更に、本体部10自体も、本体部10の貫通孔を区画する内壁とガイド部24の外壁とが摺動しながら移動するため、かつ、ガイド部30の外壁と移動規制部9の第2ガイド孔27bを区画する内壁とが摺動しながら移動するため、移動方向が抜去方向A及び挿入方向Bとなるように、ガイド部24及び第2ガイド孔27bによりガイドされる。すなわち、本実施形態では、第1弾性部材5及び第2弾性部材6の変形方向並びに可動部材23の移動方向は、固定部材22により、抜去方向A及び挿入方向Bに制限される。
このように、本実施形態の弾性エネルギー可変機構7によれば、操作部29を抜去方向Aに移動させる動作により、第1弾性部材5及び第2弾性部材6を圧縮変形させることができ、第1弾性部材5及び第2弾性部材6をチャージすることができる。つまり、操作部29を抜去方向Aに移動させる動作により、センサ挿入装置1をエネルギー蓄積状態とすることができる。
更に、本実施形態の弾性エネルギー可変機構7のように、操作部29を抜去方向Aに移動させる動作によって、第1弾性部材5及び第2弾性部材6を同時に圧縮変形させ、同時にチャージ可能とすることが好ましい。このような構成とすることにより、エネルギー蓄積状態をより少ない動作によって実現することが可能となる。
[第1保持機構8a]
第1保持機構8aは、図2〜図7に示すように、エネルギー蓄積状態で第1可動部材23の本体部10を係止する係止部を構成する係止部材32を備える。具体的に、本実施形態の第1保持機構8aは、上述した固定部材22と、上述した第1可動部材23と、係止部材32と、により構成されている。より具体的に、本実施形態の第1保持機構8aは、固定部材22の支持台部25と、第1可動部材23の本体部10と、本体部10の支持台部25に対する移動に応じて、本体部10と当接する状態と当接しない状態とで変位可能な係止部材32と、により構成されている。
本実施形態の係止部材32は、支持台部25に対して回動可能であって、支持台部25に対して回動することにより本体部10の底面10bと当接する状態と当接しない状態とで変位可能な爪部33を備えている。図4に示すように、エネルギー蓄積状態では、爪部33が本体部10の底面10bに突き当たり、本体部10の挿入方向Bへの移動が規制される。図4に示す状態から係止部材32が回動すると、爪部33と本体部10の底面10bとの係合が解除され、本体部10は第1弾性部材5の復元力により挿入方向Bに移動する(図5、図6参照)。
より具体的に、本実施形態の係止部材32は、3つの板部から構成されるU字形状を有している。つまり、本実施形態の係止部材32は、爪部33を有する係止板部11と、ハウジング2の外部に位置する操作部材3の操作により、操作部材3と係合する係合板部34と、操作部材3の操作により係合板部34に作用する力を係止板部11に伝達する連結板部35と、を備えている。
係止板部11は、その抜去方向Aの一端部に位置する爪部33と、挿入方向Bの一端部に位置し、係止板部11を支持台部25に対して回動可能にガイドする回動軸部21と、を備えている。また、本体部10には、係止板部11が移動可能な貫通孔が形成されている。したがって、係止板部11は、爪部33が本体部10の底面10bと当接した状態(図4参照)において、操作部材3の操作によって係合板部34に力が作用すると、回動軸部21の回りを回動する。そして、爪部33と本体部10の底面10bとの係合が解除されると、本体部10が弾性部材5の復元力により挿入方向Bに移動し、係止板部11は、その際に、本体部10の貫通孔を貫通する。そして、針部材102が挿入位置となる状態、すなわち本実施形態では本体部10の底面10bが支持台部25の天面25aに当接した状態となる(図5、図6参照)。なお、係止板部11の回動軸部21は、支持台部25に対して取り付けることも、ハウジング2に対して取り付けることも可能である。
また、係止部材32には、自重により又は不図示の付勢手段により、係止板部11が図5に示す状態(支持台部25の天面25aに対して垂直ではなく傾斜した状態)から図4に示す状態(支持台部25の天面25aに対して略垂直な状態)に回動して復帰するような付勢力が作用している。そのため、上述した弾性エネルギー可変機構7により第1弾性部材5及び第2弾性部材6を再チャージする際(図6に示すセンサ挿入装置1の状態から図7に示すセンサ挿入装置1の状態へと変化させる際)には、本体部10の底面10bが爪部33よりも抜去方向A側に到達した時点で、係止板部11が図4に示す姿勢に復帰する(図7参照)。したがって、この状態で被測定者等が操作部29から手を離しても、本体部10は、その底面10bが係止板部11の爪部33に突き当たり、エネルギー蓄積状態のまま、係止板部11により係止される(図4参照)。
このように本実施形態では、固定部材22の支持台部25と、第1可動部材23の本体部10と、係止部材32と、により第1保持機構8aが構成されているが、エネルギー蓄積状態において第1弾性部材5の姿勢を保持可能、かつ、姿勢が保持された状態を解除可能な構成であればよく、本実施形態の構成に限られるものではない。例えば、本実施形態の弾性エネルギー可変機構7を用いる場合には、本体部10を係止する係止位置と、本体部10の係止を解除する係止解除位置との間で変形又は移動可能な係止部を少なくとも備える第1保持機構であればよい。したがって、固定部材22とは別部材である係止部材32に限られるものではなく、固定部材に係止部が一体で形成され、固定部材が係止部材を兼ねる構成とすることもできる。また、エネルギー蓄積状態において第1可動部材を係止する係止部をハウジング自体に設ける構成や、エネルギー蓄積状態において第1可動部材を係止する係止部を備える係止部材をハウジングに取り付ける構成などとしてもよい。更に、本実施形態の係止部材32は、3つの板部から構成された単一部材であるが、この形状や部材点数に限られるものではなく、例えば、弾性エネルギー可変機構の構成等に応じて適宜変更することが可能である。
[第2保持機構8b]
第2保持機構8bは、第1可動部材23と、第2可動部材31と、ロック部材36と、を備えている。より具体的に、本実施形態の第2保持機構8bは、第1可動部材23の本体部10及びガイド部30と、移動規制部9及び第2弾性部材6に挟まれ、ガイド部30に沿って移動規制部9及び本体部10に対して移動可能な第2可動部材31と、エネルギー蓄積状態において、第2弾性部材6により抜去方向Aに付勢された第2可動部材31と係合し、第2可動部材31の本体部10に対する位置を固定するロック部材36と、により構成されている。
本実施形態の第2可動部材31は、貫通孔を区画する筒状の本体部37と、この本体部37の抜去方向Aの一端から径方向外側に延在する板状の突出部38と、を備えている。図2〜図7に示すように、第1可動部材23のガイド部30は、第2可動部材31の本体部37が区画する貫通孔および第2弾性部材6としての戻しバネ6aが区画する中空部を貫通して延在している。突出部38には、交換具100の針部材102を挟持する、後述する第2挟持部47が形成されている。
本実施形態のロック部材36は、一端部が第1可動部材23の本体部10に対して回動可能に取り付けられ、他端部が本体部10から抜去方向Aに延在している。ロック部材36の他端部には、第2可動部材31と係合可能な爪部39が設けられている。また、ロック部材36には、針部材102が挿入位置に到達した際に、固定部材22の支持台部25に設けられた係合解除部材41と係合することにより、爪部39と第2可動部材31との係合を解除可能な別の爪部40が設けられている。
まず、図4に示すエネルギー蓄積状態では、第2可動部材31が、第2弾性部材6により抜去方向Aに付勢力を受けている状態で、その天面31aがロック部材36の爪部39に突き当たっている。つまり、第2可動部材31は、第2弾性部材6の付勢力により、ロック部材36の爪部39と当接した状態が維持されている。
図4に示す状態から、上述した第1保持機構8aによる本体部10の係止が解除されると、本体部10は、第1弾性部材5の第1弾性エネルギーによって挿入方向Bに移動し、装着された交換具100の針部材102を挿入位置まで移動させることができる(図5参照)。そして、針部材102が挿入位置に到達した際に、支持台部25に設けられた係合解除部材41が、ロック部材36の爪部40と当接し、ロック部材36が係合解除部材41から挿入方向Bと直交する方向(図5(a)の左右方向)に押圧される。そのため、ロック部材36は、第1可動部材23の本体部10に回動可能に取り付けられた一端部を中心として回動する(図6(a)参照)。これにより、第2可動部材31とロック部材36の爪部39との係合が解除され、第2可動部材31は、第2弾性部材6に蓄積された第2弾性エネルギーにより、本体部10に対して抜去方向Aに移動する(図6参照)。この第2可動部材31の第1可動部材23に対する抜去方向Aへの移動により、第2可動部材31の突出部38における第2挟持部47によって挟持された針部材102が、抜去位置へと移動する(図6参照)。
ここで、係合解除部材41は、固定部材22の支持台部25に固定された矩形板状の形状を有しており、図4(a)に示す正面視において、その抜去方向Aの端部の左右両側に、ロック部材36の爪部40と摺動可能なテーパー部42が形成されている。また、図4(a)に示す正面視において、ロック部材36は、第2可動部材31を挟んで左右両側に対向して位置しており、ロック部材36の爪部40にも、係合解除部材41のテーパー部42と摺動可能なテーパー部43が形成されている。ここで、図4(a)に示す正面視において、左右両側に位置する係合解除部材41のテーパー部42は、抜去方向Aに進むにつれて左右方向の対向距離が漸減するように傾斜している。同様に、図4(a)に示す正面視において、左右両側のロック部材36それぞれに形成されている爪部40のテーパー部43も、抜去方向Aに進むにつれて左右方向の対向距離が漸減するように傾斜している。
そのため、本体部10が挿入方向Bに移動し、係合解除部材41が対向して配置されたロック部材36の間に入り込むと、係合解除部材41のテーパー部42が、ロック部材36の爪部40のテーパー部43と摺動し、対向する2つのロック部材36の対向距離を拡げる方向に押圧する。対向するロック部材36は、この押圧力によって、本体部10に固定された回動軸を中心として対向距離が遠ざかるように回動する。その結果、ロック部材36の抜去方向Aの一端部に位置する爪部39は、第2可動部材31から離間し、第2可動部材31は、第2弾性部材6の復元力により抜去方向Aに移動する(図6参照)。なお、図2〜図7に示すように、本体部10には、支持台部25に取り付けられた係合解除部材41が貫通可能な貫通孔が形成されている。
このように、本実施形態のセンサ挿入装置1は、針部材102が挿入位置(図5参照)に到達した際に、第1弾性部材5の付勢力(本実施形態では圧縮変形させた発射バネ5a及び5bの復元力)による針部材102の挿入方向Bへの移動から、第2弾性部材6の付勢力(本実施形態では圧縮変形させた戻しバネ6aの復元力)による針部材102の抜去方向Aへの移動へと択一的に切り替え可能な切り替え機構を備えている。
ここで、択一的な切り替えとは、針部材102の挿入時における挿入位置までの移動と、針部材102の抜去時における抜去位置までの移動とが、別の弾性部材の影響下で行われるように切り替えることを意味し、本実施形態では、戻しバネ6aの復元力が影響せずに発射バネ5a及び5bの復元力の影響下で行われる針部材102の挿入時の移動と、発射バネ5a及び5bの復元力が影響せずに戻しバネ6aの復元力の影響下で行われる針部材102の抜去時の移動と、を切り替えることを意味する。
具体的に、本実施形態の切り替え機構は、ロック部材36の爪部40と、支持台部25に取り付けられた係合解除部材41と、により構成されている。これにより、本実施形態のセンサ挿入装置1によれば、センサ101及び針部材102の挿入動作と、針部材102の抜去動作とを自動的に連動して行うことができる。そのため、センサ101及び針部材102の挿入動作と針部材102の抜去動作とを別々の操作により行う構成と比較して、針部材102の挿入動作から抜去動作に至るまでの時間を短縮でき、患者等の被測定者が感じる痛みを軽減することができる。
以上のように、本実施形態の第2保持機構8bによれば、エネルギー蓄積状態(図4参照)において、及びエネルギー蓄積状態での第1保持機構8aによる第1弾性部材5の姿勢の保持が解放された後、針部材102が第1弾性エネルギーにより挿入位置まで移動する間(図5参照)、第2弾性部材6の姿勢が保持される。そして、針部材102が挿入位置に到達した後に、上述した切り替え機構によって、第2保持機構8bによる第2弾性部材6の姿勢保持が解放され、針部材102が抜去位置へと移動する。
次に、第2弾性部材6が第2弾性エネルギーを蓄積しない状態から、エネルギー蓄積状態へと変化させる際の、第2保持機構8bの動作について説明する。
上述したように、弾性エネルギー可変機構7により本体部10を抜去方向Aに移動させることにより、エネルギー蓄積状態を実現することができる。まず、本体部10が抜去方向Aに移動を開始すると、ロック部材36の爪部40が係合解除部材41から離間する。そのため、ロック部材36は、図4及び図5に示す状態へと変化する。そして、本体部10を第1弾性部材5及び第2弾性部材6の弾性力に抗して抜去方向Aへ更に移動させると、ロック部材36の爪部39のテーパー部44が、移動規制部9の底面9aに当接した状態の第2可動部材31と摺動し始める。対向するロック部材36は、爪部39のテーパー部44と第2可動部材31との摺動によって、対向距離が遠ざかるように押圧力を受ける。対向するロック部材36は、この押圧力により、本体部10に取り付けた回動軸を中心として回動する。そして、ロック部材36は、爪部39が第2可動部材31を乗り越えた時点で姿勢が戻り、爪部39が第2可動部材31に引っ掛かかる。これにより、第2保持機構8bが、エネルギー蓄積状態における第2弾性部材6の姿勢を保持することが可能となる(図4、図7参照)。
なお、本実施形態の第2保持機構8bは、第1可動部材23と、第2可動部材31と、ロック部材36と、で構成されているが、エネルギー蓄積状態及び針部材が挿入位置に移動する間において、第2弾性部材の姿勢を保持するものであればよく、この構成に限られるものではない。例えば、本実施形態の第2保持機構8bでは、エネルギー蓄積状態(図4参照)及び針部材102が挿入位置に移動する間(図5参照)、ロック部材36の爪部39が第2可動部材31に係合することにより、第2弾性部材6の姿勢を保持するものであるが、エネルギー蓄積状態では爪部39が第2可動部材31と係合せずに固定部材22の移動規制部9が第2可動部材31と係合し、針部材102が挿入位置に移動する間は、移動規制部9が第2可動部材31と係合せずに爪部39が第2可動部材31と係合することにより、第2弾性部材6の姿勢を第2弾性エネルギーが蓄積された状態で保持するものであってもよい。換言すれば、ロック部材36は、少なくとも針部材102が挿入位置に移動する間、第2弾性部材6を第2弾性エネルギーが蓄積された状態で保持するものであればよく、エネルギー蓄積状態では、第2保持機構を構成する別の部材(例えば、固定部材22の移動規制部9)が、第2弾性部材6の姿勢を保持する構成としてもよい。なお、このような構成とする場合には、第2保持機構は、上述した別の部材(例えば、固定部材22の移動規制部9)、第1可動部材23の本体部10及びガイド部30、第2可動部材31並びにロック部材36により構成されることになる。
また、本実施形態の第2保持機構8bは、第1可動部材23や第2可動部材31とは別部材であるロック部材36を備えるが、第2弾性部材が第2弾性エネルギーを蓄積した姿勢で保持可能なロック部を構成するものであればよく、例えば、第1可動部材や第2可動部材にロック部を一体で形成することにより、第1可動部材や第2可動部材がロック部材を兼ねるようにすることも可能である。
また本実施形態では、係合解除部材41が固定部材22の支持台部25に取り付けられているが、この構成に限られるものではなく、例えば、固定部材22の別の部分に取り付けられる構成としてもよい。また、本実施形態の係合解除部材41は、固定部材22とは別部材により構成されているが、固定部材に係合解除部を一体で形成し、固定部材が係合解除部材を兼ねる構成としてもよい。すなわち、針部材が挿入位置に到達した際に、ロック部の第2可動部材に対する係合を解除する係合解除部を備えるものであればよい。
[装着部45]
上述したセンサ挿入装置1は、交換具100を着脱可能な装着部45を備えている。具体的に、本実施形態の装着部45は、第1可動部材23により構成され、交換具100のセンサハウジング103を挟持する第1挟持部46と、第2可動部材31により構成され、交換具100の針部材102を挟持する第2挟持部47と、を備えている。
第1挟持部46は、第1可動部材23の本体部10のうち、挿入方向Bと直交する方向の一端部に形成されている。具体的に、第1挟持部46は、第2弾性部材6の挿入方向Bの一端を受ける本体部10の第2板部において、第2弾性部材6を受ける部分の近傍に形成されている。より具体的に、本体部10の第2板部の外縁には切欠きが形成されており、センサハウジング103は、この切欠きに嵌め込まれることにより挟持される。つまり、第1挟持部46は、切欠きを区画する内壁により構成されている。なお、本実施形態の切欠きを区画する本体部10の内壁は、本体部10の外縁から順に、ガイド部、括れ部、第1挟持部46の順に並んで形成されている。ガイド部は、センサハウジング103が外方から装着される入口の部分であり、第1挟持部46に近づくにつれて対向距離が漸減するテーパー形状を有している。また、第1挟持部46は、センサハウジング103の外形に対応した形状を有しており、センサハウジング103の周囲を押圧して挟み込むことができる。そして、ガイド部と第1挟持部46との間の括れ部により、第1挟持部46に嵌め込まれたセンサハウジング103が、ガイド部側に移動することを抑制することができる。
第2挟持部47は、第2可動部材31の突出部38のうち、挿入方向Bと直交する方向の一端部に形成されている。具体的には、上述した第1挟持部46に対して抜去方向Aの位置に位置しており、上述した第1挟持部46と同様、切欠きを区画する内壁により構成されている。
このように、本実施形態の装着部45は、第1可動部材23に設けられた第1挟持部46と、第2可動部材31に設けられた第2挟持部47と、により構成されており、交換具100は、エネルギー蓄積状態での第1弾性部材5及び第2弾性部材6の姿勢が第1保持機構8a及び第2保持機構8bにより保持された状態において、装着部45に対して装着することができる(図4参照)。
<交換具100>
次に、本発明の1つの実施形態としての交換具100について説明する。図8は交換具100の形態変化を示す図である。図8(a)は、センサ挿入装置1に装着可能な状態を示している。図8(b)は、センサ挿入装置1によって針部材102が挿入位置まで移動した後、センサ挿入装置1によって針部材102が抜去位置まで移動した状態を示している。更に、図8(c)は、図8(b)に示す状態においてセンサ挿入装置1が取り外され、更に2つの部分に分割された状態を示している。
図8に示すように、本実施形態の交換具100は、上述したように、センサ101と、針部材102と、センサハウジング103と、中空部材104と、シート部材105と、を備えている。
[センサ101]
本実施形態のセンサ101は、生体内に挿入及び留置され、生体情報を検出することが可能である。具体的に、本実施形態のセンサ101は、先端側が生体内に留置され、基端側が生体外に延在する導光部材としての光ファイバ150と、この光ファイバ150の先端部108に設けられ、生体内に留置されて生体情報を検出可能な検出部151と、を備えている。なお、導光部材としては、光導波路フイルムから構成される光導波路を用いることもできる。
本実施形態の検出部151は、励起光によって蛍光する蛍光色素を含む蛍光ゲルを備え、この蛍光ゲルは、アナライト量に応じた蛍光を発生する。
光ファイバ150は、検出部151に照射する励起光及び前記検出部151により検出された測定光を伝達する導光路である。具体的に、光ファイバ150の基端側には後述する処理装置200が配置されており、光ファイバ150の基端側に配置された処理装置200の発光部201から発生する励起光は、光ファイバ150を通じて検出部151に照射される。また、励起光によって発生した検出部151の測定光は、光ファイバ150を通じて、処理装置200の光学検出部203における受光部202により受光される。
また、本実施形態の光ファイバ150は、センサハウジング103に保持されている。具体的に、光ファイバ150は、センサハウジング103が区画する貫通孔106内に延在する直線部107と、この直線部107の先端側に連続し、貫通孔106から外方に突出する先端部108と、直線部107の基端側に連続する湾曲部109と、この湾曲部109の基端側に連続する基端部110と、を備えている。
図8(a)に示す状態では、直線部107及び先端部108は、針部材102の針部111内に位置している。なお、先端部108に設けられる検出部151も、図8(a)に示す状態では、針部材102の針部111内に位置している。そして、光ファイバ150の先端部108及びこの先端部108に設けられた検出部151は、センサ挿入装置1によって生体内に挿入及び留置される部分となる。
湾曲部109は、直線部107の基端から、針部材102の針部111に形成された間隙を通じて針部111の外方に延在している。
[針部材102]
針部材102は、センサ101と共に生体内に挿入され、センサ101の先端側(本実施形態では検出部151及び光ファイバ150の先端部108)を生体内に留置した後で生体外に抜去されるものである。具体的に、針部材102は、中空部を区画し、横断面に間隙が形成されている断面U字型の針部111と、この針部111を支持する針支持部113と、を備えている。
針部111は、センサハウジング103の貫通孔106内を移動可能である。具体的に、針部111は、図8(a)に示す状態で貫通孔106内に延在しており、図8(a)に示す状態から図8(b)に示す状態へ移行する際に、貫通孔106内を抜去方向Aに移動する(図8(b)の白抜き矢印参照)。なお、針部111は、図8(a)に示す状態で、センサ101の先端側を内部に収容している。
針支持部113は棒状の形状を有しており、先端部に針部111の基端部が固定されている。より具体的に、針支持部113は、抜去方向A及び挿入方向Bに延在しており、針部111は、針支持部113の挿入方向Bの端部に設けられたフランジ部113aから挿入方向Bに向かって突設されている。また、針支持部113は、その抜去方向Aの端部に、センサ挿入装置1の第2可動部材31に形成された第2挟持部47が入り込む環状溝部114を有している。フランジ部113aは、中空部材104の中空部121内を移動可能である。また、フランジ部113aは、中空部材104の天壁部124が区画する貫通孔126よりも外径が大きく構成されている。そのため、フランジ部113aが貫通孔126を通じて、中空部材104の外方へ抜け落ちることが防止される。したがって、このフランジ部113aから挿入方向Bに突設されている針部111についても、貫通孔126を通じて、中空部材104の外方へ抜け落ちることが防止されている。
[センサハウジング103]
センサハウジング103は、針部材102がセンサ挿入装置1により挿入位置から抜去位置へと移動可能な貫通孔106を区画している。また、センサハウジング103は、針部材102の針部111に形成された間隙から針部111の外方に延在する光ファイバ150のため、貫通孔106と連通するガイド路118を区画している。
より具体的に、本実施形態のセンサハウジング103は、外形が円柱状の胴部115と、この胴部115の挿入方向B側に一体で形成された円盤状の台部116と、胴部115の側壁から径方向外側に突出する円筒状の接続部112と、を備えている。なお、上述した貫通孔106は、胴部115及び台部116により区画されており、胴部115の天面(図8における上面)から台部116の底面(図8における下面)まで貫通している。貫通孔106には、ディスク状の弾性部材が配置される。この弾性部材の材料としては、ブチルゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム、天然ゴム等の加硫ゴム、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、オレフィン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等が用いられる。この弾性部材により、針部111抜去後もセンサハウジング103内が密封されるため、感染を予防することができる。また、上述したガイド路118は、胴部115及び接続部112により区画されており、ガイド路118内を光ファイバ150の湾曲部109及び基端部110が延在している。
更に、胴部115の天面には、中空部材104の挿入方向Bの端部が嵌め込まれる嵌合溝117が形成されている。胴部115を天面側から見た場合に、この嵌合溝117は四角形状であり、その中央部に貫通孔106が位置している。つまり、嵌合溝117の底壁が、その中央部において、貫通孔106の抜去方向Aの一端開口を区画している。なお、胴部115を天面側から見た場合の嵌合溝117の形状は、上述した四角形状に限られるものではなく、例えば、円形や四角以外の多角形状であってもよい。
接続部112は、励起光を発光する及び測定光を受光する処理装置200に接続可能である。接続部112の先端面は、ガイド路118の一端開口を区画しており、ガイド路118は、この一端開口から接続部112及び胴部115内を延在し、貫通孔106に連通している。
[中空部材104]
本実施形態の中空部材104は、外形が略直方体形状であって、針部材102が抜去位置に移動した際に針部111を収容する中空部121を区画している。中空部材104は、図8(a)、図8(b)に示すように、センサハウジング103の胴部115の天面に形成された嵌合溝117に対して嵌め込み可能である。また、中空部材104は、図8(c)に示すように、嵌合溝117に嵌め込まれた状態から抜去方向Aに移動させることにより、容易に取り外し可能である。
具体的に、本実施形態の中空部材104は、角筒状の側壁部122と、この側壁部122の挿入方向Bの一端に位置する底壁部123と、側壁部122の抜去方向Aの一端に位置する天壁部124と、を備えており、側壁部122、底壁部123及び天壁部124により、中空部121を区画している。
また、中空部材104は、針部材102が挿入位置から抜去位置へと移動した後に、針部材102が挿入位置へ再移動することを規制するワンウェイロック部を備えている。具体的に、本実施形態の中空部材104における側壁部122の内面には、中空部121側に突出するワンウェイロック部としての爪部125が設けられている。図8(a)、図8(b)に示すように、針部材102が抜去位置まで移動する際に、針部材102の針支持部113におけるフランジ部113aが、爪部125と摺動し、この爪部125を乗り越える。その結果、フランジ部113aの挿入方向B側の面(図8では下面)が爪部125の係止面125a(図8では爪部125の上面)と当接し、針部材102が挿入方向Bへ戻ることが規制される。そして、針部111の先端が底壁部123の貫通孔127から突出せずに、中空部121内にとどまった状態が維持される。そのため、図8(c)に示すように、交換具100をセンサ挿入装置1から取り外した後に、針部材102及び中空部材104を、センサ101、センサハウジング103及びシート部材105から離間させるように移動させたとしても(図8(c)の白抜き矢印参照)、針部材102の針部111は中空部材104の中空部121内に位置するため、被測定者や医療従事者が、生体内に穿刺及び抜去された針部111に触れることが抑制される。
なお、本実施形態の爪部125は、側壁部122のうち対向する2つの壁部の内面に2つ設けられているが、この数に限られるものではなく、例えば、3つ又は4つの壁部にそれぞれ設ける構成や、1つの壁部のみに設ける構成としてもよい。
底壁部123は、その中央部に貫通孔127を区画しており、中空部材104の底壁部123をセンサハウジング103の胴部115の嵌合溝117に嵌め込んだ際には、底壁部123の貫通孔127が、センサハウジング103の貫通孔106と連通する。したがって、中空部材104の底壁部123を嵌合溝117に嵌め込んだ状態において、針部材102の針部111を、センサハウジング103の貫通孔106及び底壁部123の貫通孔127を通じて、抜去位置となる中空部121内へと移動させることができる。嵌合溝117と中空部材104との嵌合力は、針支持部113を抜去方向に動かすときの摺動力よりも大きい。なお、針部材102を生体外へ抜去可能な抜去位置まで移動させる動作(図8(b)参照)により、針部材102の針支持部113におけるフランジ部113aは、上述した側壁部122の爪部125と摺動し、爪部125を乗り越え、挿入方向Bへの移動が規制される。嵌合溝117と中空部材104との嵌合力は、フランジ部113aが爪部125を乗り越えるために必要な抵抗力よりも大きい。
天壁部124は、針支持部113が移動可能な貫通孔126を区画している。上述したように、この貫通孔126の内径は、針支持部113のフランジ部113aの外径よりも小さいため、針部材102が貫通孔126を通じて中空部材104の外方に抜ける落ちることが防止されている。
[シート部材105]
シート部材105は、抜去方向A又は挿入方向Bが厚み方向となる薄肉部材であり、その挿入方向Bに位置する面(図8では下面)は、生体表面上に当接した状態で、センサ101及びセンサハウジング103と共に生体側に留置されるものである。
したがって、例えばシート状部材105の下面には、生体表面に粘着可能な粘着剤が設けられていてもよい。このような構成とすれば、センサ挿入装置1により針部材102を挿入位置まで移動させた際に粘着剤が生体表面と粘着する。そのため、生体側に留置されたセンサ101及びセンサハウジング103が体動等によって動いてしまうことを抑制可能である。シート状部材の粘着面には剥離紙が設けられていてもよい。
<処理装置200>
次に、交換具100のうち、生体側に留置されるセンサ101、センサハウジング103及びシート部材105を用いて行う生体情報の測定について説明する。まず、センサハウジング103の接続部112に処理装置200を接続する。図9は、接続部112に処理装置200を接続する動作を示す図である。図9(a)は接続前の状態、図9(b)は図9(a)の状態から処理装置200を接続部112側へ移動させ(図9(a)の白抜き矢印参照)、接続部112に処理装置200を接続した状態を示している。なお、図9(b)では、処理装置200の内部の構成を簡単に示している。
図9(b)に示すように、本実施形態の処理装置200は、センサ101の検出部151に照射する励起光を発生する発光部201と、アナライト量に応じて発生した検出部151の測定光(本実施形態では蛍光)を受光する受光部202を備えた光学検出部203と、この光学検出部203から得られた信号を処理する処理部204と、を備えている。
接続部112と処理装置200との位置決めを容易にするため、例えば、接続部112の外面に溝部を設け、処理装置200側に、接続部112の外面の溝部と嵌合する突部を設ける等することにより、接続部112と処理装置200とを接続可能としている。簡素化された接続構成を採用することができる。なお、図9に示す処理装置200は、円筒状の接続部112と接続される際に、接続部112を収容する接続開口205を区画している。
[センサ挿入装置セット300による挿入動作及び抜去動作について]
最後に、図1〜図8を参照して、センサ挿入装置1と、このセンサ挿入装置1に装着された交換具100と、を備えるセンサ挿入装置セット300(図3〜図6参照)で実行されるセンサ101及び針部材102の挿入動作、および、センサ挿入装置セット300で実行される針部材102の抜去動作について簡単に説明する。
まず、第1保持機構8a及び第2保持機構8bにより、第1弾性部材5が第1弾性エネルギーを蓄積し、かつ、第2弾性部材6が第2弾性エネルギーを蓄積したエネルギー蓄積状態が維持されたセンサ挿入装置1に対して、交換具100を装着する(図4参照)。交換具100は、針部材102の針支持部113の環状溝部114が、第2可動部材31の第2挟持部47により挟持され、かつ、センサハウジング103の胴部115が、第1可動部材23の第1挟持部46により挟持されるように、センサ挿入装置1に装着される(図4参照)。
次に、センサ挿入装置1のハウジング2の解放部16を区画する側壁部14の一端を、患者等の被測定者の生体表面上に押し付け、この状態で、操作部材3をハウジング2側に回動するように押し込む操作を行う(図1参照)。この操作により、第1保持機構8aを構成する係止部材32と、第1可動部材23の本体部10との係合が解除され、第1弾性部材5に蓄積された第1弾性エネルギーにより、第1可動部材23及び第2可動部材31が挿入方向Bに移動し、交換具100の針部材102を、生体内に挿入可能な挿入位置まで移動させる(図5参照)。なお、この移動の際には、第1可動部材23及び第2可動部材31が、挿入方向Bにおいて等しい距離だけ移動するため、交換具100の姿勢は図8(a)に示す状態に維持される。したがって、センサ101及び針部材102の針部111のうち、シート部材105の下面から突出する部分が、生体内に挿入される。
そして、針部材102が挿入位置に到達すると、ロック部材36と係合解除部材41とが係合して、ロック部材36による第2可動部材31の係合を解除する。これにより、第2可動部材31は、第2弾性部材6の第2弾性エネルギーにより、第1可動部材23に対して抜去方向Aに移動する(図6参照)。したがって、第2可動部材31の第2挟持部47に挟持された針支持部113が、第1可動部材23の第1挟持部46に挟持されたセンサハウジング103に対して抜去方向Aに移動する(図8(b)参照)。これにより、針部材102は、生体外に抜去されて抜去位置まで移動する。なお、抜去位置まで移動した針部材102の針部111は、中空部材104の中空部121内に収容された状態となる。更に、針部材102は、中空部材104の側壁部122に設けられた爪部125により、挿入方向Bへの移動が規制されるため、針部111は中空部121内にとどまる(図8(b)参照)。
次いで、交換具100からセンサ挿入装置1が取り外される。取り外されたセンサ挿入装置1は、ハウジング2の外方に位置する操作部29を抜去方向Aに移動させることにより、再びエネルギー蓄積状態が実現され、別の交換具100が装着可能な状態となる(図7参照)。つまり、センサ挿入装置1によれば、簡単な操作によりエネルギー蓄積状態を実現でき、別の交換具100を装着するだけでリユースすることができる。
一方で、センサ挿入装置1が取り外された交換具100は、針部材102及び中空部材104が、センサハウジング103から取り外され、センサ101、センサハウジング103及びシート部材105で構成される生体側へ留置される部材と、針部材102及び中空部材104で構成される廃棄される部材と、を分離する(図8(c)参照)。このように、交換具100によれば、生体情報の測定のために用いられる部材を簡単な操作により生体側へと留置することができると共に、医療従事者等が直接触れることが好ましくない針部111等を含む廃棄部材を、安全な形態で容易に分離することができる。
なお、本発明に係るセンサ挿入装置及び交換具は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲で記載された内容を逸脱しない範囲で、様々な構成により実現することが可能である。例えば、上述した実施形態における弾性エネルギー可変機構7は、第1弾性部材5及び第2弾性部材6に対して抜去方向Aに移動規制部9、挿入方向Bに本体部10が設けられているが、この構成に限られるものではなく、抜去方向Aに本体部、挿入方向Bに移動規制部が設けられるような弾性エネルギー可変機構を構成することもできる。また、本実施形態における弾性エネルギー可変機構7は、操作部29を抜去方向Aに移動させることによりエネルギー蓄積状態を実現可能であるが、操作部を抜去方向に移動させる構成に限られるものではなく、抜去方向とは異なる所定方向に移動させることによってエネルギー蓄積状態を実現可能な弾性エネルギー可変機構とすることもできる。
以下、上述した実施形態のセンサ挿入装置1の変形例としてのセンサ挿入装置401及びセンサ挿入装置501について、図10〜図23を参照して説明する。なお、センサ挿入装置401及びセンサ挿入装置501のうち、上述したセンサ挿入装置1と共通する構成には共通の符号を付している。
<センサ挿入装置401>
まず、図10〜図18を参照して、センサ挿入装置401について説明する。センサ挿入装置401は、ハウジング402と、センサ101および針部材102を生体内へ挿入可能な挿入位置まで移動させる第1弾性エネルギーを蓄積可能な第1弾性部材5と、針部材102を挿入位置から生体外へ抜去可能な抜去位置まで移動させる第2弾性エネルギーを蓄積可能な第2弾性部材6と、第1弾性部材5及び第2弾性部材6を弾性変形させることにより、第1弾性部材5が第1弾性エネルギーを蓄積し、かつ、第2弾性部材6が第2弾性エネルギーを蓄積したエネルギー蓄積状態とすることが可能な弾性エネルギー可変機構407と、エネルギー蓄積状態において第1弾性部材5の姿勢を保持する第1保持機構408aと、エネルギー蓄積状態において、及びエネルギー蓄積状態での第1保持機構408aによる第1弾性部材5の姿勢の保持が解放された後、針部材102が第1弾性エネルギーにより挿入位置まで移動する間、第2弾性部材6の姿勢を保持する第2保持機構408bと、を備えている。
図10及び図11それぞれは、センサ挿入装置401を示す斜視図である。図12は、図10及び図11に示すセンサ挿入装置401及びこのセンサ挿入装置401に対して装着可能な交換具100を別々に示す斜視図である。また、図13は、図12に示す交換具100を移動させることにより(図12の破線矢印参照)、センサ挿入装置401に対して交換具100を装着した状態、すなわちセンサ挿入装置セットを示す斜視図である。
また、図14〜図17は、エネルギー蓄積状態にあるセンサ挿入装置401に対して交換具100が装着された状態(図14参照)、第2弾性部材6に第2弾性エネルギーが蓄積された状態で第1弾性部材5に蓄積された第1弾性エネルギーが用いられ、針部材102が挿入位置に到達した状態(図15参照)、第2弾性部材6に蓄積された第2弾性エネルギーが用いられ、針部材102が抜去位置に到達した状態(図16参照)、および交換具100から取り外されたセンサ挿入装置401を、別の交換具100の装着が可能なように、再びエネルギー蓄積状態にした状態(図17参照)をそれぞれ示す図である。図14(a)、図15(a)、図16(a)及び図17(a)は、各状態における正面図であり、図14(b)、図15(b)、図16(b)及び図17(b)は、各状態における側面図である。
なお、図12〜図17では、説明の便宜上、図10及び図11に示すハウジング402を省略して描いている。また、ここでいうセンサ挿入装置401の「正面」とは、センサ挿入装置401のうち、ハウジング402の側壁開口404が形成されている側の面を意味しており、センサ挿入装置401の「側面」とは、センサ挿入装置401の正面に向かって左右に位置する面を意味する。
センサ挿入装置401は、上述したセンサ挿入装置1と比較して、第1弾性部材5としての発射バネ405a及び405bの軸となるガイド部424と、第2弾性部材6としての戻しバネ406aの軸となるガイド部430と、の位置関係が相違している。具体的に、上述したセンサ挿入装置1では、戻しバネ6a及びこの戻しバネ6aのガイド部30が、側面視(図4(b)等参照)において、発射バネ5a及び5b並びにこの発射バネ5a及び5bのガイド部24と所定距離以上離れた異なる位置(所定距離以上離れた重ならない位置)に配置されているのに対して、センサ挿入装置401では、戻しバネ406a及びこの戻しバネ406aのガイド部430が、側面視(図14(b)等参照)において、発射バネ405a及び405b並びにこの発射バネ405a及び405bのガイド部424と重なる位置に配置されている(図14(b)ではガイド部430がガイド部424に隠れて見えない状態となっている)。
換言すれば、抜去方向A及び挿入方向Bと直交する直交平面において、センサ挿入装置401の戻しバネ406aの変形方向をガイドする軸であるガイド部430と、発射バネ405a及び405bの変形方向をガイドする軸であるガイド部424と、の離間距離は、上述したセンサ挿入装置1における同じ部分間の離間距離よりも小さくなっている。このように、上記直交平面におけるガイド部430とガイド部424との距離を近づければ、ガイド部430とガイド部424とを連結する部位の変形や公差等がガイド部430及びガイド部424の平行状態に影響し難くなり、ガイド部430及びガイド部424の平行状態が維持され易くなる。その結果、針部材102の挿入移動の軌跡と抜去移動の軌跡とが一致し易くなり、針部材102の挿入移動及び抜去移動の軌道を安定させることができる。
なお、図10〜図18で示すセンサ挿入装置401では、戻しバネ406aのガイド部430が、側面視(図14(b)等参照)において、発射バネ405a及び405bのガイド部424と重なる位置に配置されているが、この構成に限られるものではなく、これらガイド部同士が近傍に配置される関係であればよい。したがって、例えば、ガイド部同士が、図14(b)と同じ側面視において重ならず、かつ、所定距離未満だけ離れた位置関係になっていてもよい。但し、上述したように、ガイド部同士の距離は近ければ近い方がよいため、図14(b)等に示すように、発射バネ405a及び405bのガイド部424と、戻しバネ406aのガイド部430とは、側面視(図14(b)等参照)において、重なる位置関係であることが好ましい。より具体的に、図10〜図18に示すセンサ挿入装置401のように複数(センサ挿入装置401では2つ)の発射バネ405a及び405bを備える構成では、戻しバネ406aが、複数の発射バネ405a及び405bの間に配置されていることが好ましい。
更に、図12等に示すように、センサ挿入装置401では、第1弾性部材5及び第2弾性部材6をチャージする際に利用される棒状部材454における棒状部428が、ガイド部430を兼ねている。より具体的に、棒状部材454は、ハウジング402(図10、図11参照)の外方に位置し、ハウジング402の外方から操作可能な操作部429と、この操作部429と繋がる棒状部428と、を備えており、棒状部材454の棒状部428は、戻しバネ406aとしてのコイルバネの中空部内に延在している。これにより、戻しバネ406aの中心軸線は、ガイド部430を兼ねる棒状部428の中心軸線と略一致するようになる。
なお、センサ挿入装置401では、第2弾性部材6として中空部を区画するコイルバネを用いているが、中空部を区画するものであればよく、コイルバネに限られるものではない。
このように、操作部429が繋がる棒状部428が、第2弾性部材6のガイド部430を兼ねる構成とすれば、部材点数を減らすことができると共に、コンパクトなセンサ挿入装置401を実現し易い。なお、操作部429は、棒状部428に繋がっていればよく、棒状部428と一体で形成されていてもよい。
以下、センサ挿入装置401の各構成について、主に、上述したガイド部430の構成以外でセンサ挿入装置1と相違する点を説明する。
[ハウジング402]
図10、図11に示すように、センサ挿入装置401のハウジング402は、上述したセンサ挿入装置1のハウジング2と同様、側壁開口404を区画する側壁部414と、この側壁部414の抜去方向Aの一端に一体で形成され、天壁開口419を区画する天壁部415と、を備えているが、側壁部414が角筒状である点で、センサ挿入装置1のハウジング2の構成と主に相違している。但し、側壁部414の外形を円筒状など、他の外形形状とすることも可能である。また、図10、図11に示すように、ハウジング402は、側壁部414の外形形状に加えて、センサ挿入装置1のハウジング2と細部の形状が異なる部分を有するが、形状の異なる部分を、センサ挿入装置1のハウジング2と同様の形状にすることも可能であり、ハウジング402の内部に収容される内部構造に応じて適宜設計することが可能である。
例えば、図11では、側壁部414のうち側壁開口404(図10参照)とハウジング402の中空部を挟んで対向する部分に開口418が区画され、第1保持機構408aの係止部材432における係合板部434が、この開口418からハウジング402の外方に露出しているが、このような構成に限られるものではなく、上述したセンサ挿入装置1の操作部材3のような操作部材を更に設ける構成としてもよい。
[弾性エネルギー可変機構407]
図10〜図17に示すように、弾性エネルギー可変機構407は、ハウジング402に対して位置が固定される固定部材422と、この固定部材422に対して移動可能な第1可動部材423と、を備えている。
固定部材422は、抜去方向A(又は挿入方向B)に延在する棒状のガイド部424と、このガイド部424の挿入方向Bの一端に設けられた支持台部425と、ガイド部424の抜去方向Aの一端に設けられた移動規制部409と、を備えている。上述したように、センサ挿入装置401では、センサ挿入装置1における棒状突出部28とガイド部30とを兼用したような構成を採用しているため、これに伴い移動規制部409も、センサ挿入装置1の移動規制部9と比較して小型化されている。
第1可動部材423は、固定部材422の移動規制部409との対向距離を変化させる本体部410を構成する本体部材と、この本体部410を抜去方向A(及び挿入方向B)に貫通する貫通孔及び移動規制部409のガイド孔427に挿通された状態で、本体部410及び移動規制部409に対して抜去方向A及び挿入方向Bに移動可能な棒状部材454と、を備えている。
上述したセンサ挿入装置1では、操作部29と繋がる棒状突出部28が本体部10に固定されて一体化されていたが、センサ挿入装置401では、操作部429と繋がる棒状部428は、本体部410に対して抜去方向A及び挿入方向Bに移動可能な棒状部材454に設けられている。つまり、センサ挿入装置401の第1可動部材423は、互いに独立して相対移動可能な本体部材及び棒状部材454により構成されており、センサ挿入装置1の第1可動部材23とはこの点で構成が異なっている。
但し、棒状部材454は、上述した操作部429及び棒状部428に加えて、棒状部428の挿入方向Bの一端に設けられた、棒状部428よりも径方向に突出するフランジ部455(図12等参照)を備えているため、棒状部材454を抜去方向Aに移動させることで、フランジ部455が本体部410を構成する本体部材と係合し、本体部材を抜去方向Aに移動させることができる。すなわち、棒状部材454の操作により、本体部410を構成する本体部材を抜去方向Aに移動させて、固定部材422の移動規制部409と本体部410との間で、第1弾性部材5及び第2弾性部材6を圧縮変形し、エネルギー蓄積状態を実現することができる。
このように、第1可動部材423の構成は、上述したセンサ挿入装置1における第1可動部材23と構成が相違するものであるが、固定部材422に対して移動可能であって、固定部材422との位置関係を変動すること第1弾性部材5及び第2弾性部材のエネルギー蓄積状態を実現する点では同様である。なお、第1可動部材423の構成を、センサ挿入装置1の第1可動部材23のように、一体型の構成とすることもできる。
また、センサ挿入装置401では、上述したように棒状部材454の棒状部428が戻しバネ406aの棒状のガイド部430を兼ねているため、これに伴い本体部410の形状についても、センサ挿入装置1の本体部10より小型化されている。更に、図10、図11に示すように、被測定者等がエネルギー蓄積状態を実現する(第1弾性部材5及び第2弾性部材6をチャージする)際に把持する操作部429は、板状形状を有するものであるが、操作部この形状に限られるものではなく、例えば、上述したセンサ挿入装置1の操作部29のような環状など、他の形状とすることも可能である。
以上のとおり、センサ挿入装置401の弾性エネルギー可変機構407は、上述した固定部材422及び第1可動部材423により構成されており、この弾性エネルギー可変機構407によって、センサ挿入装置401を、第1弾性部材5に第1弾性エネルギーが蓄積されておらず、かつ、第2弾性部材6に第2弾性エネルギーが蓄積されていない状態(図16参照)から、エネルギー蓄積状態(図14及び図17参照)へと変化させることができる。
[第1保持機構408a]
第1保持機構408aは、図12〜図17に示すように、エネルギー蓄積状態で第1可動部材423の本体部410を係止する係止部を構成する係止部材432を備える。具体的に、第1保持機構408aは、上述した固定部材422と、上述した第1可動部材423と、係止部材432と、により構成されている。より具体的に、第1保持機構408aは、固定部材422の支持台部425と、第1可動部材423の本体部410と、本体部410の支持台部425に対する移動に応じて、本体部410と当接する状態と当接しない状態とで変位可能な係止部材432と、により構成されている。
係止部材432は、支持台部425に対して回動可能であって、図14(b)、図15(b)に示すように、支持台部425に対して回動することにより本体部410の底面410bと当接する状態と当接しない状態とで変位可能な爪部433を備えている。図14に示すように、エネルギー蓄積状態では、爪部433が本体部410の底面410bに突き当たり、本体部410の挿入方向Bへの移動が規制される。図14に示す状態から係止部材432が回動すると、爪部433と本体部410の底面410bとの係合が解除され、本体部410は第1弾性部材5の復元力により挿入方向Bに移動する(図15参照)
より具体的に、係止部材432は、爪部433を有する係止板部411と、ハウジング402の外部から操作される係合板部434と、この係合板部434に作用する力を係止板部411に伝達する連結板部435と、係止板部411と係合板部434とを連結板部435とは異なる位置で連結する補強板部450と、を備えている。換言すれば、センサ挿入装置401の係止部材432は、上述したセンサ挿入装置1の係止部材32に更に補強板部450を追加した構成となっている。補強板部450を設けることにより、係合板部434が単独で弾性変形することを抑制し、係合板部434に作用する力を係止板部411に伝達し易くすることができる。
なお、係止部材432のその他の構成は、上述したセンサ挿入装置1の係止部材32の構成と同様である。
[第2保持機構408b]
第2保持機構408bは、第1可動部材423と、第2可動部材431と、ロック部を構成するロック部材436と、を備えている。より具体的に、第2保持機構408bは、第1可動部材423の本体部410、第1可動部材423のガイド部430を兼ねる棒状部428、移動規制部409及び第2弾性部材6に挟まれ、ガイド部430に沿って移動規制部409及び本体部410に対して移動可能な第2可動部材431、並びに、エネルギー蓄積状態において、第2弾性部材6により抜去方向Aに付勢された第2可動部材431と係合し、第2可動部材431の本体部410に対する位置を固定するロック部材436、により構成されている。第2保持機構408bは、棒状部428がガイド部430を兼ねる点、及びこれに伴い移動規制部409及び第2可動部材431の形状が変更されている点で、上述したセンサ挿入装置1の第2保持機構8bと相違している。
更に、第2保持機構408bでは、第1可動部材423の本体部410の天面410aに、抜去方向Aに向かって突出し、回動したロック部材436に復元力を付与するバネ部材470が設けられている。ロック部材436が回動軸を中心に回動すると、ロック部材436がバネ部材470を弾性変形させる。そして、第2弾性部材6の第2弾性エネルギーにより針部材102が抜去位置に移動すると、バネ部材470に蓄えられた復元力により、ロック部材436が押し戻されて初期位置に復帰する。
センサ挿入装置401の第2保持機構408bは、上述した点以外は第2保持機構8bの構成と同様である。また、図14〜図17に示すように、第2保持機構408bの動作についても、上述したセンサ挿入装置1の第2保持機構8bと同様であるため、ここでは説明を省略する。
[装着部445]
センサ挿入装置401は、交換具100を着脱可能な装着部445を備えている。具体的に、装着部445は、第1可動部材423により構成され、交換具100のセンサハウジング103を挟持する第1挟持部446と、第2可動部材431により構成され、交換具100の針部材102を挟持する第2挟持部447と、を備えている。
第1挟持部446は、上述したセンサ挿入装置1の第1挟持部46と同様、本体部410の外縁に形成された切欠きを区画する内壁により構成されているが、切欠きを区画する内壁のうち第1挟持部446に隣接する部分の構成が、センサ挿入装置1の構成と相違している。図18は、本体部410の第1挟持部446の近傍を示す上面図である。図18に示すように、第1挟持部446の両側で隣接する部分には、対向距離を変化させて括れ量を変動可能な移動片448a及び448bが設けられており、この移動片448a及び448bは、付勢部材449a及び449bにより対向方向に付勢されている。
付勢部材449a及び449bは、本体部410の切欠きを区画する内壁に形成された窪み部453a及び453b(図18の破線参照)内に収容されており、移動片448a及び448bを対向方向に付勢している。また、窪み部453a及び453bには、移動片448a及び448bの一部と突き当たり、移動片448a及び448bが窪み部453a及び453bから抜け落ちることを防ぐ突き当て部451が形成されている。更に、窪み部453a及び453bの抜去方向A側及び挿入方向B側は、本体部410に接合された板片452で閉鎖されている。これにより、窪み部453a及び453bに収容された付勢部材449a及び449bは、窪み部453a及び453bを区画する切欠き部の内壁、板片452及び移動片448a及び448bにより、窪み部453a及び453bから抜け落ちないようになっている。
第1挟持部446に隣接する部分にこのような移動片448a及び448bを設けることにより、交換具100のセンサハウジング103を装着する際に移動片448a及び448bが窪み部453a及び453bの内方に向かって移動する。そのため、センサハウジング103を第1挟持部446まで移動させ易くなる。また、センサハウジング103が第1挟持部446に挟持された状態になると、移動片448a及び448bは窪み部453a及び453bから突出した状態へと移動するため、切欠きの内壁に括れ部を形成され、この括れ部により、第1挟持部446に嵌め込まれたセンサハウジング103が、切欠きの縁側に戻るように移動してしまうことを抑制することができる。
第2挟持部447については、上述したセンサ挿入装置1の第2挟持部47と同様であるため、ここでは説明を省略する。
<センサ挿入装置501>
次に、センサ挿入装置1の別の変形例としてのセンサ挿入装置501について、図19〜図23を参照して説明する。センサ挿入装置501は、センサ101および針部材102を生体内へ挿入可能な挿入位置まで移動させる第1弾性エネルギーを蓄積可能な第1弾性部材5と、針部材102を挿入位置から生体外へ抜去可能な抜去位置まで移動させる第2弾性エネルギーを蓄積可能な第2弾性部材6と、第1弾性部材5及び第2弾性部材6を弾性変形させることにより、第1弾性部材5が第1弾性エネルギーを蓄積し、かつ、第2弾性部材6が第2弾性エネルギーを蓄積したエネルギー蓄積状態とすることが可能な弾性エネルギー可変機構507と、エネルギー蓄積状態において第1弾性部材5の姿勢を保持する第1保持機構508aと、エネルギー蓄積状態において、及びエネルギー蓄積状態での第1保持機構508aによる第1弾性部材5の姿勢の保持が解放された後、針部材102が第1弾性エネルギーにより挿入位置まで移動する間、第2弾性部材6の姿勢を保持する第2保持機構508bと、を備えている。
図19は、センサ挿入装置501を示す斜視図である。また、図20〜図23は、エネルギー蓄積状態にあるセンサ挿入装置501に対して交換具100が装着された状態(図20参照)、第2弾性部材6に第2弾性エネルギーが蓄積された状態で第1弾性部材5に蓄積された第1弾性エネルギーが用いられ、針部材102が挿入位置に到達した状態(図21参照)、第2弾性部材6に蓄積された第2弾性エネルギーが用いられ、針部材102が抜去位置に到達した状態(図22参照)、および交換具100から取り外されたセンサ挿入装置501を、別の交換具100の装着が可能なように、再びエネルギー蓄積状態にした状態(図23参照)をそれぞれ示す図である。図20(a)、図21(a)、図22(a)及び図23(a)は、各状態における正面図であり、図20(b)、図21(b)、図22(b)及び図23(b)は、各状態における側面図である。
なお、図20〜図23では、説明の便宜上、図19に示すハウジング502の内面及び外面のみを二点鎖線により描いている。また、ここでいうセンサ挿入装置501の「正面」とは、センサ挿入装置501のうち、ハウジング502の側壁開口504が形成されている側の面を意味しており、センサ挿入装置501の「側面」とは、センサ挿入装置501の正面に向かって左右に位置する面を意味する。
センサ挿入装置501は、上述したセンサ挿入装置1及びセンサ挿入装置401と比較して、第1弾性部材5の中心軸線と第2弾性部材6の中心軸線との位置関係が相違している。具体的に、センサ挿入装置501では、第1弾性部材5としての発射バネ505及び第2弾性部材6としての戻しバネ506aが抜去方向A及び挿入方向Bに延在する中空部を区画するコイルバネであり、発射バネ505aは、戻しバネ506aの中空部内に延在している。このような構成とすることにより、センサ挿入装置1及び401では、第1弾性部材5の中心軸線と、第2弾性部材6の中心軸線とが異なっているのに対して、センサ挿入装置501では、第1弾性部材5としての発射バネ505aの中心軸線と、第2弾性部材6としての戻しバネ506aの中心軸線とを略一致させることができる。
なお、センサ挿入装置501では、第1弾性部材5及び第2弾性部材6として中空部を区画するコイルバネを用いているが、中空部を区画するものであればよく、コイルバネに限られるものではない。
また、センサ挿入装置501では、第1弾性部材5が第2弾性部材6の中空部内に延在する構成としたが、第1弾性部材5及び第2弾性部材6の一方が、他方の中空部内に延在している構成であればよく、第2弾性部材6が第1弾性部材5の中空部内に延在する構成としてもよい。
このように、第1弾性部材5及び第2弾性部材6の一方が、他方の中空部内に延在している構成とすれば、第1弾性部材5の中心軸線と、第2弾性部材6の中心軸線とを略一致させることができ、針部材102の挿入移動の軌跡と抜去移動の軌跡とが略一致するため、上述したセンサ挿入装置1及び401と比較して、針部材102の挿入移動及び抜去移動の軌道をより一層安定させることができる。
更に、センサ挿入装置501では、外方から操作可能な操作部529と繋がる棒状部528を有する棒状部材554が設けられており、棒状部材554の棒状部528が、発射バネ505aとしてのコイルバネの中空部内及び戻しバネ506aとしてのコイルバネの中空部内に延在している。このように、第1弾性部材5及び第2弾性部材6が、例えばコイルバネのような中空部を区画しており、一方の弾性部材が他方の弾性部材の中空部内に延在し、かつ、棒状部材554が一方の弾性部材の中空部内に延在する構成とすれば、第1弾性部材5の中心軸線及び第2弾性部材6の中心軸線が、第1弾性部材5及び第2弾性部材6をチャージする際に把持される操作部529と繋がる棒状部528の中心軸線とも略一致した構成とすることができる。
そして、棒状部材554、第1弾性部材5及び第2弾性部材6の中心軸線を略一致する構成とすれば、上述した針部材102の軌道の安定性に加えて、上述したセンサ挿入装置1及び401と比較して、センサ挿入装置501の小型化をより実現し易くなる。
以下、センサ挿入装置501の各構成について説明する。
[ハウジング502]
ハウジング502は、上述したセンサ挿入装置1のハウジング2と同様、側壁開口504を区画する側壁部514と、この側壁部514の抜去方向Aの一端に一体で形成された天壁部515と、を備えている。ハウジング502は、天壁部515と対向する位置に底壁を有しておらず、ハウジング502の中空部と連通する開放部516を区画している。
また、図19に示すように、天壁部515は天壁開口519を区画している。被測定者等がエネルギー蓄積状態を実現するため(第1弾性部材5及び第2弾性部材6をチャージするため)把持する球状の操作部529が、天壁開口519を通じてハウジング2の外方に突出している。
なお、センサ挿入装置501の内部構造は、ハウジング502の側壁部514の挿入方向Bの一端により区画された開放部516からハウジング502内へと入れられる。側壁部514のおける開放部516の近傍には、後述する支持台部525の嵌合突起525dが嵌合する嵌合孔が形成されている。
図19に示すように、センサ挿入装置501のハウジング502では、側壁部514の外形が角筒状であるが、側壁部514の外形を、センサ挿入装置1のハウジング2のような円筒状など、他の外形形状とすることも可能である。
また、図20〜図23に示すように、側壁部514のうち、側壁開口504とハウジング502の中空部を挟んで対向する部分には、開口518が区画されており、第1保持機構508aによる後述する本体部510の係止状態を解除可能な操作部材503が、この開口518からハウジング502の外方に露出している。操作部材503は、ハウジング502の内方に延在するアーム部503aを備え、このアーム部503aの先端部がハウジング502の内壁に回動可能に取り付けられている。また、操作部材503には、ハウジング502の内方に向かって突出する係合突起503bが設けられており、操作部材503がアーム部503aの先端部を中心に回動すると、係合突起503bが本体部510の爪部510cと係合し、爪部510cと第1保持機構508aの係止部560との係止状態を解除することができる。
なお、センサ挿入装置501のハウジング502は、後述する固定部材522の一部を構成している。詳細は後述する。
[弾性エネルギー可変機構507]
弾性エネルギー可変機構507は、固定部材522と、この固定部材522に対して移動可能な第1可動部材523と、を備えている。
固定部材522は、移動規制部509と、支持台部525と、を備えている。具体的に、センサ挿入装置501の移動規制部509は、ハウジング502の天壁部515の内面により構成されている。また、センサ挿入装置501の支持台部525は、嵌合突起525dがハウジング502の側壁部514の開放部516(図19参照)近傍に形成された嵌合孔に嵌合することにより、ハウジング502に固定された板部材で構成されている。したがって、センサ挿入装置501の固定部材522は、移動規制部509が設けられたハウジング502と、このハウジング502に対して位置が固定された板部材と、で構成されている。
支持台部525は、抜去方向A及び挿入方向Bが厚み方向となる板状の形状を有しており、針部材102の挿入時には、挿入方向Bに位置する底面525bが、生体表面と当接する。
移動規制部509は、第1弾性部材5及び第2弾性部材6に対して抜去方向Aに位置し、第1弾性部材5及び第2弾性部材6の抜去方向Aの端部が抜去方向Aへと移動することを直接的又は間接的に規制する。
より具体的に、移動規制部509の挿入方向Bに位置する底面509aは、第1弾性部材5としての発射バネ505aの受け面を構成している。つまり、第1弾性部材5としての発射バネ505aの抜去方向Aの一端は、移動規制部509の底面509aに当接している。なお、移動規制部509の挿入方向Bに位置する底面509aと、第2弾性部材6としての戻しバネ506aの抜去方向Aの一端との間には、第2可動部材531が介在しており、第2可動部材531が、第2弾性部材6としての戻しバネ506aの抜去方向Aの一端の受け部を構成し、第2可動部材531が、第2弾性部材6と当接可能である。つまり、第2弾性部材6としての戻しバネ506aの抜去方向Aの一端は、移動規制部509の底面509aとは当接しない。つまり、移動規制部509は、第1弾性部材5の抜去方向Aの端部が抜去方向Aへと移動することを直接的に規制し、第2弾性部材6の抜去方向Aの端部が抜去方向Aへと移動することを、第2可動部材531を介して間接的に規制している。
なお、上述した天壁開口519(図19参照)は、天壁部515のうち移動規制部509の位置に形成されており、この天壁開口519は、後述する棒状部材554の抜去方向A及び挿入方向Bの移動をガイドするガイド孔として機能する。
第1可動部材523は、移動規制部509との対向距離を変化させる本体部510を構成する本体部材と、この本体部510を抜去方向A(及び挿入方向B)に貫通する貫通孔、及び上述したガイド孔としての天壁開口519(図19参照)に挿通された状態で、本体部510及び移動規制部509に対して抜去方向A及び挿入方向Bに移動可能な棒状部材554と、を備えている。
本体部510は、基礎部510aと、この基礎部510aから抜去方向Aに向かって突設された円筒状の受け部510bと、を備えている。
基礎部510aには、交換具100のセンサハウジング103を挟持可能な第1挟持部546が設けられている(図23(a)参照)。
受け部510bは、その天面において、第1弾性部材5としての発射バネ505aの挿入方向Bの一端を受けている。また、第2弾性部材6としての戻しバネ506aの挿入方向Bの一端部は、受け部510bの外周面上に外嵌されている。そして、戻しバネ506aの挿入方向Bの一端は、基礎部510aで受けられており、戻しバネ506aの挿入方向Bの一端近傍の螺旋状の一端部は、受け部510bの外周面で受けられている。
棒状部材554は、直線状の棒状部528と、この棒状部528の抜去方向Aの一端と繋がっており、ハウジング502の外方に位置する球状の操作部529と、棒状部528の挿入方向Bの一端と繋がっており、棒状部528よりも径方向に突出する板状のフランジ部555と、を備えている。
棒状部528は、ハウジング502の天壁開口519、本体部510を貫通する貫通孔、及び後述する第2可動部材531を貫通する貫通孔のすべてに挿通された状態となっている。
なお、棒状部材554は、ハウジング502、本体部510及び第2可動部材531に固定されておらず、棒状部材554に外力が付加されない状態では、そのフランジ部555が支持台部525の天面525aに当接した状態となる(図20参照)。そして、操作部529を抜去方向Aに移動させることにより、棒状部528及びフランジ部555を抜去方向Aに移動させることができる(図23参照)。この移動の際に、フランジ部555と本体部510とが係合し、本体部510を棒状部材554と共に抜去方向Aに移動させることができる。これにより、本体部510は、固定部材522の移動規制部509との対向距離が変化するように移動可能である。そして、このように本体部510を抜去方向A及び挿入方向Bに移動させることにより、移動規制部509との間で第1弾性部材5及び第2弾性部材6を同時に弾性変形させることができる。
このように、センサ挿入装置501では、上述した固定部材522及び第1可動部材523により弾性エネルギー可変機構507が構成されており、この弾性エネルギー可変機構507により、センサ挿入装置501を、第1弾性部材5に第1弾性エネルギーが蓄積されておらず、かつ、第2弾性部材6に第2弾性エネルギーが蓄積されていない状態(図22参照)から、エネルギー蓄積状態(図20及び図23参照)へと変化させることができる。以下、第1弾性部材5及び第2弾性部材6をチャージしてエネルギー蓄積状態にする操作について説明する。
センサ挿入装置501の弾性エネルギー可変機構507では、本体部510を移動規制部509に対して対向距離が小さくなるように抜去方向Aに移動させ、本体部510と移動規制部509との間で第1弾性部材5及び第2弾性部材6を同時に圧縮変形させることにより、第1弾性部材5が第1弾性エネルギーを蓄積し、かつ、第2弾性部材6が第2弾性エネルギーを蓄積したエネルギー蓄積状態とすることができる。なお、図19、図20及び図23は、エネルギー蓄積状態にあるセンサ挿入装置501を示している。
より具体的には、まず、ハウジング502(図19等参照)の外方に位置する操作部529を把持し、棒状部材554を抜去方向Aへと移動させる。棒状部材554を抜去方向Aに移動させると、フランジ部555が本体部510と係合し、本体部510も抜去方向Aに移動する。その際に、本体部510は、第1弾性部材5及び第2弾性部材6の復元力に抗して、抜去方向Aへと移動する。これにより、本体部510と移動規制部509との対向距離が短くなり、第1弾性部材5としての発射バネ505aは、本体部510の受け部510bの天面と、移動規制部509の底面509aとの間で圧縮変形する。また、第2弾性部材6としての戻しバネ506aも、本体部510の基礎部510aの天面と移動規制部509の底面509aとの間、より具体的には、本体部510の基礎部510aの天面と第2可動部材531との間で圧縮変形する。
そして、本体部510と移動規制部509との間の対向距離が所定距離以下になった際に、エネルギー蓄積状態が達成される(図20、図23参照)。
なお、棒状部材554を抜去方向Aに移動させると、本体部510を抜去方向Aに移動させることができるが、第2可動部材531は、移動規制部509の底面509aに当接して突き当たり、移動規制部509の底面509aの位置より抜去方向Aへは移動しない。つまり、移動規制部509の底面509aは、第2弾性部材6と直接当接しないが、本体部510を抜去方向Aに移動させる際は、第2可動部材531を介して、第2弾性部材6に対して反力を付与する。したがって、本体部510を抜去方向Aに移動させる際、移動規制部509の底面509aは、第1弾性部材5及び第2弾性部材6に反力を付与する反力壁となるため、第1弾性部材5及び第2弾性部材6は、本体部510と移動規制部509との間で圧縮変形することができる。
また、第1可動部材523の本体部510が抜去方向Aへ移動する際、第1弾性部材5としての発射バネ505aは、棒状部材554の棒状部528の外壁と摺動しながら圧縮変形する。つまり、第1弾性部材5の変形方向は、棒状部528により、抜去方向A及び挿入方向Bに制限される。また、第2弾性部材6としての戻しバネ506aは、その抜去方向Aの端部が第2可動部材531の円筒状の受け部531bに外嵌されると共に、挿入方向Bの端部が本体部510の上述した受け部510bに外嵌されている。そのため、戻しバネ506aは、その変形方向が抜去方向A及び挿入方向Bに制限される。更に、第1可動部材523の本体部510及び第2可動部材531は、ハウジング502の内壁と摺動しながら移動し、移動方向が抜去方向A及び挿入方向Bとなるように、ハウジング502の内壁によりガイドされる。すなわち、センサ挿入装置501では、第1弾性部材5及び第2弾性部材6の変形方向並びに第1可動部材523及び第2可動部材531の移動方向は、抜去方向A及び挿入方向Bに制限されている。
このように、センサ挿入装置501の弾性エネルギー可変機構507によれば、操作部529を抜去方向Aに移動させる動作により、第1弾性部材5及び第2弾性部材6を圧縮変形させることができ、第1弾性部材5及び第2弾性部材6をチャージすることができる。つまり、操作部529を抜去方向Aに移動させる動作により、センサ挿入装置501をエネルギー蓄積状態とすることができる。
更に、センサ挿入装置501の弾性エネルギー可変機構507のように、操作部529を抜去方向Aに移動させる動作によって、第1弾性部材5及び第2弾性部材6を同時に圧縮変形させ、同時にチャージ可能とすることが好ましい。このような構成とすることにより、エネルギー蓄積状態をより少ない動作によって実現することが可能となる。
[第1保持機構508a]
第1保持機構508aは、図20〜図23に示すように、エネルギー蓄積状態で第1可動部材523の本体部510を係止する係止部560を備えている。具体的に、第1保持機構508aの係止部560は、ハウジング502の内壁から突出し、本体部510の爪部510cと係合する突起により構成されている。上述したように、第1保持機構508aの係止部560と本体部510の爪部510cとの係止状態は、操作部材503をアーム部503aの先端部を中心に回動させ、係合突起503bと爪部510cとを係合させ、更に爪部510cを弾性変形させることにより、解除することが可能である。
[第2保持機構508b]
第2保持機構508bは、第1可動部材523と、第2可動部材531と、で構成されている。より具体的に、センサ挿入装置501の第2保持機構508bは、第1可動部材523の本体部510を構成する本体部材及び棒状部材554と、移動規制部509及び第2弾性部材6に挟まれ、棒状部材554に沿って移動規制部509、本体部材及び棒状部材554に対して移動可能な第2可動部材531と、により構成されている。
第2可動部材531は、基礎部531aと、この基礎部531aから挿入方向Bに向かって突設された円筒状の受け部531bと、基礎部531aの外縁部から挿入方向Bに向かって突出するロック部536と、を備えている。また、基礎部531aには、交換具100の針部材102を挟持する第2挟持部547(図23(a)参照)が形成されている。
ここで、センサ挿入装置501の第2保持機構508bは、上述したセンサ挿入装置1及び401と比較して、エネルギー蓄積状態において、第2可動部材531が第2弾性部材6により抜去方向Aに付勢された状態で第2可動部材531の本体部510に対する位置を固定するロック部536が、第2可動部材531自体に設けられている点で、構成が主に相違している。
より具体的に、ロック部536は、第2可動部材531の基礎部531aから突設された爪部であり、このロック部536としての爪部は、第1可動部材523の本体部510と第2可動部材531との間で圧縮変形した第2弾性部材6に所定の弾性エネルギーが蓄積された状態で、本体部510の基礎部510aの外縁部に引っ掛かる。これにより、本体部510を構成する本体部材に対して、第2可動部材531を係止することができる。
なお、センサ挿入装置501では、支持台部525の天面525aに、抜去方向Aに突出する突起部525cが設けられており、この突起部525cが、ロック部536と係合することにより、ロック部536と本体部510との係止状態を解除することができる。具体的に、突起部525cの先端面にはテーパー部525c1が形成されており、ロック部536の先端面においても突起部525cのテーパー部525c1と対応するテーパー部536aが設けられている。これらテーパー部525c1及び536aは、針部材102が挿入位置(図21参照)に到達する際に摺動し、テーパー部525c1によってロック部536が抜去方向Aと直交する方向に力を受け、同方向に弾性変形する。これにより、ロック部536と本体部510との係止状態を解除することができ、第2弾性部材6に蓄えられた弾性エネルギーにより、針部材102を抜去位置へと移動させることができる(図22参照)。
このように、センサ挿入装置501は、針部材102が挿入位置(図21参照)に到達した際に、第1弾性部材5の付勢力(センサ挿入装置501では圧縮変形させた発射バネ505aの復元力)による針部材102の挿入方向Bへの移動から、第2弾性部材6の付勢力(センサ挿入装置501では圧縮変形させた戻しバネ506aの復元力)による針部材102の抜去方向Aへの移動へと択一的に切り替え可能な切り替え機構を備えている。 なお、ここでいう択一的な切り替えとは、上述したセンサ挿入装置1において説明したものと同様の意味である。
以上のように、上述したセンサ挿入装置1の変形例としてのセンサ挿入装置401及び501では、センサ挿入装置1と比較して、針部材102のより安定した挿入動作及び抜去動作が実現できると共に、より小型化された装置を実現し易くなる。
なお、上述したセンサ挿入装置401及び501に、交換具100が装着されたセンサ挿入装置セットで実行されるセンサ101及び針部材102の挿入動作、及び、センサ挿入装置セットで実行される針部材102の抜去動作は、図14〜図17及び図20〜図23に示すように、センサ挿入装置1に交換具100が装着されたセンサ挿入装置セット300の動作説明と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。