JP6611626B2 - 廃棄物ガス化溶融炉の運転方法 - Google Patents

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Description

本発明は廃棄物ガス化溶融炉の運転方法に関する。
一般廃棄物や産業廃棄物などを処理する方法として、炭素系固形燃料(例えばコークス)を熱源に使用し、工業炉で廃棄物を溶融する方法が知られている。廃棄物の溶融処理は、廃棄物の減容化だけでなく、これまで埋め立てによって最終処分されていた焼却灰及び不燃性ゴミをスラグやメタルなどの資源として回収できる利点がある。
特許文献1は、廃棄物を溶融処理する廃棄物溶融炉において、溶融炉の溶融物排出口から溶融物とともに流出する炉内ガスを処理する方法を開示する。特許文献1の図1及び特許請求の範囲を参照すると、溶融物排出口2から流出した炉内ガスは囲みフード3に収容され、その後、ダクト5を介してガス燃焼炉6に導かれる。
特開2004−12077号公報
ところで、廃棄物ガス化溶融炉の操業形態として、溶融炉の底部から溶融物を間欠的に排出する形態(「間欠出湯」と称される。)と、連続的に排出する形態(「連続出湯」と称される。)が知られている。間欠出湯の場合、溶融物排出用の貫通孔を耐熱材料で塞いだ状態とし、所定時間の経過ごとに貫通孔を開放することによって溶融物を排出させ、その後、再び貫通孔を耐熱材料で塞ぐ。この作業は人手に頼らざるを得ないため、本発明者らは連続出湯による安定的な操業の実現に向けて検討を重ねた。その結果、連続出湯による安定的な操業には以下の課題があることが判明した。
第一に、上記特許文献1に記載の発明と同様、開放されている貫通孔からは溶融物だけでなく高温の炉内ガスも炉外へと排出される。このため、炉内温度を所定の温度に維持するには、炉内に導入する燃料を増加させる必要がある。
第二に、貫通孔及びその周辺における溶融物の温度低下を十分に抑制しないと、比較的短時間のうちに溶融物の固化物によって貫通孔が閉塞されてしまう。間欠出湯の場合、炉底に溜まった比較的多量の溶融物が短時間のうちに排出されるため、溶融物の温度の低下に伴う問題は顕在化していなかった。これに対し、連続出湯の場合、少量の溶融物が連続的(場合によっては間欠的)に貫通孔から排出されるため、貫通孔及びその周辺において溶融物の温度が低下しやすい。温度低下に伴う溶融物の高粘性化又は固化によって貫通孔の下部から徐々に塞がれていき、その状態が続くと最終的には貫通孔全体が閉塞されるおそれがある。
これらの課題を解決すべく、本発明者らは溶融物を排出するための貫通孔の外側に保圧室を設け且つこの保圧室内に貫通孔及びその周辺を加熱するためのバーナを配置するとともに、炉内の圧力よりも保圧室内の圧力を高く維持することにより、貫通孔を通じて保圧室内の高温ガスを炉内に逆流させた状態で廃棄物ガス化溶融炉を運転した。かかる運転方法によって上記二つの課題を解決できたものの、本発明者らは炉内の圧力変動に伴って保圧室内の圧力が変動することに起因して保圧室の水封状態を維持することが困難となる場合があることを見出した。
保圧室の水封状態を安定的に維持する方法として、例えば以下のような方法が挙げられる。すなわち、保圧室に弁を設け、保圧室内の圧力が閾値に到達したときにこの弁を開放してガスを放出することによって、保圧室内の圧力を一定の範囲に保つことができる。しかし、本発明者らの検討によると、廃棄物ガス化溶融炉の設定条件によっては保圧室内の高温ガスを放出するための弁操作を頻繁に実施する必要があり、これにより高温ガスの熱エネルギーの有効活用が阻害されるという点においてこの方法は改善の余地がある。
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、溶融物を排出する貫通孔を定常的に開放した状態で廃棄物ガス化溶融炉を十分に高い熱効率で運転する方法であって、貫通孔の外側に設けられた保圧室の水封状態を十分安定的に維持できる廃棄物ガス化溶融炉の運転方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の構成の廃棄物ガス化溶融炉(「低炭素型シャフト炉」とも称される。)の運転方法を提供する。すなわち、本発明が対象とする廃棄物ガス化溶融炉は、内部に充填された廃棄物を乾燥及び熱分解させるシャフト部と、シャフト部の上部側に設けられた廃棄物装入口及び炉内ガス排出口と、シャフト部よりも下方に設けられており、シャフト部の炉心の位置から横方向にずれた位置に炉心を有する溶融炉部と、シャフト部の底部側と溶融炉部の上部側とを連結する連通部と、連通部に設けられており、シャフト部からの廃棄物を溶融炉部に向けて移送するとともに廃棄物を炭化させる可動炭化火格子と、溶融炉部の内面から外面にかけて形成された貫通孔と、溶融炉部の外に配置されており、貫通孔と連通する内部空間を有する保圧室と、保圧室内に配置されており、貫通孔から排出される溶融物に熱を加えるバーナと、保圧室内の圧力を制御する弁と、貫通孔の下方に配置されており、保圧室の下部を水封するとともに貫通孔から排出される溶融物を冷却する水を収容する水槽とを備える。
本発明の第1の側面は、上記構成の廃棄物ガス化溶融炉の貫通孔を定常的に開放した状態で当該溶融炉を運転する方法であって、溶融炉部内の圧力pよりも保圧室内の圧力pを高く維持することにより、貫通孔を通じて保圧室内のガスを溶融炉部内に流入させること、溶融炉部内の溶融物を貫通孔から保圧室側に排出すること、貫通孔から排出される溶融物に対してバーナによって熱を加えること、溶融炉部内の圧力pをモニタリングすること、溶融炉部内の圧力pの値が上昇傾向にあるとき又は閾値に到達したときに可動炭化火格子による溶融炉部への廃棄物の熱分解残渣の供給を一時的に削減又は停止することを含む。
本発明者らの検討によると、溶融炉部内の圧力pが上昇し始めると、その後(例えば10分程度経過後)、保圧室内の圧力pが上昇し始める。この知見に基づき、本発明の第1の側面においては、溶融炉部内の圧力pをモニタリングし、その値が上昇傾向にあるとき又は閾値に到達したときに溶融炉部への熱分解残渣の供給を一時的に削減又は停止する。換言すれば、仮に保圧室内の圧力pの上昇が観測されていない段階であっても事前に上記策を講じる。これにより、保圧室内の圧力pが過度に上昇することを十分確実に抑制でき、保圧室の水封状態を十分安定的に維持できる。仮に保圧室内の圧力pを下げるために保圧室内のガスを放出するための弁操作が必要な場合があるとしても、その頻度を十分に低くすることができ、十分に高い熱効率で廃棄物ガス化溶融炉を運転することができる。
溶融炉部内の圧力pをモニタリングする代わりに、溶融炉部の上方の炉内ガスの圧力pと溶融炉部内の圧力pの差圧Δpをモニタリングし、これに基づいて可動炭化火格子による溶融炉部への廃棄物の熱分解残渣の供給を一時的に削減又は停止させてもよい。すなわち、本発明の第2の側面は、上記構成の廃棄物ガス化溶融炉の貫通孔を定常的に開放した状態で当該溶融炉を運転する方法であって、溶融炉部内の圧力pよりも保圧室内の圧力pを高く維持することにより、貫通孔を通じて保圧室内のガスを溶融炉部内に流入させること、溶融炉部内の溶融物を貫通孔から保圧室側に排出すること、貫通孔から排出される溶融物に対してバーナによって熱を加えること、溶融炉部の上方の炉内ガスの圧力pと溶融炉部内の圧力pの差圧Δp(=p−p)をモニタリングすること、差圧Δpの値が大きくなる傾向にあるとき又は閾値に到達したときに可動炭化火格子による溶融炉部への廃棄物の熱分解残渣の供給を一時的に削減又は停止することを含む。
第1の側面に係る廃棄物ガス化溶融炉の運転方法においては、上述のように、溶融炉部への熱分解残渣の供給を削減又は停止した後、例えば、溶融炉部内の圧力pの値が所定値にまで下がった段階で熱分解残渣の供給を元の状態に復活させればよい。第2の側面に係る廃棄物ガス化溶融炉の運転方法においては、上述のように、溶融炉部への熱分解残渣の供給を削減又は停止した後、例えば、差圧Δpの値が所定値にまで小さくなった段階で熱分解残渣の供給を元の状態に復活させればよい。保圧室内の圧力pの過度の上昇をより一層確実に抑制する観点から、溶融炉部内の圧力pと保圧室内の圧力pの差圧Δp(=p−p)をモニタリングするとともに、上述のように、溶融炉部への廃棄物の熱分解残渣の供給を削減又は停止した後、差圧Δpの値が所定値にまで下がった段階で熱分解残渣の供給を復活させてもよい。なお、本発明における圧力又は差圧に関する種々の閾値は、廃棄物ガス化溶融炉の規模、廃棄物の種類、運転条件などに依存するものであり、例えば、廃棄物ガス化溶融炉を所定の期間にわたって運転してデータを収集し、それに基づいて経験的に決定すればよい。
上記のような溶融炉部内の圧力p又は差圧Δpの値に基づいて溶融炉部への熱分解残渣の供給量を制御しても保圧室内の圧力pが閾値に超えたりそのような状況になりそうなときは、弁を操作することによって、溶融炉部内の圧力pよりも保圧室内の圧力pを一時的に低くしてもよい。これにより、貫通孔を通じて炉内のガスを保圧室に一時的に放出させてもよい。
本発明によれば、溶融物を排出する貫通孔を定常的に開放した状態で廃棄物ガス化溶融炉を十分に高い熱効率で運転する方法であって、貫通孔の外側に設けられた保圧室の水封状態を十分安定的に維持できる廃棄物ガス化溶融炉の運転方法が提供される。
図1は本発明に係る廃棄物ガス化溶融炉の一実施形態を模式的に示す縦断面図である。 図2は溶融炉部における四本の羽口と、溶融物排出用の貫通孔との位置関係を模式的に示す横断面図である。 図3(a)は貫通孔の形状の一例を示す断面図であり、図3(b)は貫通孔の下側に固形物が堆積した状態を示す断面図である。 図4は溶融炉部の貫通孔を含む部分を拡大して示す縦断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
<廃棄物ガス化溶融炉>
図1に示す廃棄物ガス化溶融炉10は、主な構成として、シャフト部1と、連通部2と、炭化火格子部3と、溶融炉部4と、保圧室6と、バーナ7と、水槽8とを備える。シャフト部1は還元雰囲気下で廃棄物を乾燥させるとともに熱分解する。連通部2は、シャフト部1と溶融炉部4とを連結している。炭化火格子部3はシャフト部1からの廃棄物を更に熱分解して、廃棄物を炭化させる。溶融炉部4は炭化された廃棄物を燃焼させるとともに融解する。溶融炉部4で生じた溶融物Mは貫通孔4aを通じて保圧室6側に排出される。保圧室6は貫通孔4aの外側の空間の圧力を維持するためのものである。バーナ7は保圧室6内に配置されており、貫通孔4aの方向に向けられている。水槽8は保圧室6の下部を水封するとともに貫通孔4aから排出される溶融物Mを冷却する水を収容する。以下、各構成について説明する。
シャフト部1は、還元雰囲気下で廃棄物を乾燥させるとともに熱分解するためのものである。シャフト部1の横断面形状は、例えば円筒形である。シャフト部1の上部には、廃棄物を炉内に装入するための廃棄物装入口11が形成されている。シャフト部1の上部側には、廃棄物が乾燥・燃焼・熱分解する際に発生するガスを排出する炉内ガス排出口12が形成されている。シャフト部1の下端には開口部13が形成されており、自重でシャフト部1内を降下した廃棄物が開口部13から連通部2へと排出される。シャフト部1の内径及び高さは、炉の処理能力等に応じて適宜決定することができる。例えば、シャフト部1の高さは、シャフト部1内の廃棄物の充填高さを少なくとも下端面から1m以上で管理することのできる高さであることが好ましい。充填高さを1m以上に確保することによって、シャフト部1内において炉内ガスの吹き抜け現象を抑制できる。
連通部2は、シャフト部1の底部側開口部13と溶融炉部4の上部側開口部46とを連結している。連通部2の縦断面形状は、例えば矩形であり、その底面に沿って炭化火格子部3が配置されている。炭化火格子部3は、シャフト部1で乾燥及び熱分解された廃棄物を更に熱分解する。連通部2は、その内部における廃棄物又はその分解熱残渣の層の上面よりも上方の位置に圧力計Pが設けられている。この圧力計Pにより、連通部2における炉内ガスの圧力pをモニタリングすることができる。
連通部2の底面は、炭化火格子部3によって構成されている。炭化火格子部3は、上記のとおり、廃棄物を熱分解(乾留)するための機能のみならず、炭化した廃棄物を溶融炉部4に供給する供給装置としての機能をも有する。炭化火格子部3は、可動炭化火格子と固定炭化火格子とを交互に階段状又は傾斜状に組み合せることによって形成されている。各可動炭化火格子は、流体圧シリンダ等の駆動装置31a,31bによって横方向に一定のピッチで往復動するように構成されている(図1の両矢印参照)。かかる可動炭化火格子と固定炭化火格子との組み合わせによって炭化火格子部3の上の廃棄物を撹拌しながら上流側から下流側へ向けて押し出すことができる。なお、炭化火格子部3を固定炭化火格子のみで構成し、供給装置を別に設けてもよい。供給装置の一例として、プッシャーが挙げられる。
連通部2の底面は、複数の炭化火格子で構成されており、全体が平坦面であるわけではないが、全体としてはシャフト部1側から溶融炉部4側に向けて低くなるように傾斜している。
炭化火格子部3は、上段側の供給炭化火格子3Aと、下段側の乾留炭化火格子3Bとによる二段構造になっている。供給炭化火格子3Aは、シャフト部1の真下に位置しており、シャフト部1内に充填された廃棄物の荷重を直接的に受ける。供給炭化火格子3Aは、シャフト部1で乾燥及び熱分解された廃棄物の炭化が進むように当該廃棄物を更に熱分解するとともに乾留炭化火格子3Bへと押し出して供給する。炭化火格子部3の幅、特に供給炭化火格子3Aの幅は、シャフト部1の内径と同程度であることが好ましい。シャフト部1から炭化火格子部3に切り替わる箇所において炭化火格子部3の幅とシャフト部1の内径を同程度とすることによって、廃棄物の荷下がりを安定化できる。
乾留炭化火格子3Bは、供給炭化火格子3Aに隣接して設けられている。乾留炭化火格子3Bは、供給炭化火格子3Aからの廃棄物を更に熱分解して炭化物を生成し、炭化された廃棄物を溶融炉部4へと押し出して供給する。乾留炭化火格子3Bは、供給炭化火格子3Aと同様の構成を有する。なお、乾留炭化火格子3Bは、供給炭化火格子3Aと同じ幅であってもよく、異なる幅であってもよい。乾燥及び熱分解の進行に伴って廃棄物は減容化するので、シャフト部1の内径や連通部2の幅に比べて溶融炉部4の炉底内径は小さくてもよい。乾留炭化火格子3Bの幅は、上流側から下流側に向かうにつれて徐々に小さくなるように設定されていてもよい。
供給炭化火格子3Aの可動炭化火格子は第1駆動装置31aによって駆動され、乾留炭化火格子3Bの可動炭化火格子は第2駆動装置31bによって駆動される。このように第1及び第2駆動装置31a、31bを互いに独立して設ければ、炭化火格子3A,3Bの駆動、停止及び駆動速度を独立して制御でき、その結果、炭化火格子3A,3Bによる廃棄物の供給速度も独立して制御できる。
炭化火格子部3は、炭化火格子間の隙間及び/又は炭化火格子に形成した送風孔(不図示)を通じて表面全体から空気を炉内に吹き込むことができる構成となっている。すなわち、炭化火格子部3は、廃棄物の乾燥及び熱分解用の空気を炉内に吹き込む機能も有する。
供給炭化火格子3A及び乾留炭化火格子3Bの裏面側には、炭化した廃棄物のうちの微細なものが炭化火格子間の隙間から落下した場合にそれを回収するための回収室32がそれぞれ配置されている。各回収室32には空気供給管L1を通じて送風装置33からそれぞれ所定量の空気を供給できるように構成されている。炭化火格子間の隙間及び/又は炭化火格子に形成した送風孔は、例えば400mmピッチ以下であることが好ましい。供給炭化火格子3A及び乾留炭化火格子3Bから供給する空気は、常温であってもよく、例えば200℃程度にまで予熱されていてもよい。空気の予熱は、例えば炉内ガス排出口12から排出される高温ガスとの熱交換によって行うことができる。
溶融炉部4は、炭化された廃棄物を燃焼させるとともに融解するためのものである。溶融炉部4は、上述のシャフト部1に対して横方向に炉心をずらすように配置されている。シャフト部1及び溶融炉部4はそれぞれ鉛直方向に延びている。かかる構成を採用することにより、溶融炉部4に対してコークス(炭素系固形燃料)を直接導入することができる。溶融炉部4の横断面形状は、例えば円筒形である。溶融炉部4の上方には、コークス等を溶融炉部4内に装入するための副資材装入口41が設けられている。本実施形態において、副資材装入口41は連通部2の上面に形成されている(図1参照)。副資材装入口41から、コークスとともにコークス以外の炭素系可燃性物質を装入してもよく、塩基度調整剤としての石灰石やスラグを装入してもよい。なお、コークスは、廃棄物とともに廃棄物装入口11から装入してもよい。
図2に示すとおり、溶融炉部4の炉底側には、四本の羽口42a,42b,42c,42dが周方向に配置されている。羽口42a,42b,42c,42dから溶融炉部4内に燃焼用の酸素がそれぞれ供給される。なお、酸素は窒素等とともに空気又は酸素富化空気の状態で供給されてもよいし、高い純度の酸素が供給されてもよい。酸素富化空気とは、通常の空気よりも酸素濃度が高められた空気を意味する。溶融炉部4内に酸素を供給することで、廃棄物の熱分解残渣及びコークスCが燃焼する。溶融炉部4は羽口42a,42b,42c,42dよりも上側に複数の羽口(不図示)を更に備えてもよい。
溶融炉部4の内部には所定の高さに圧力計Pが設けられている。圧力計Pは、溶融炉部4内の熱分解残渣が堆積する部位であって、熱分解残渣の充填層101から露出しないレベルに設置することが好ましい。例えば、圧力計Pは溶融炉部4上部側の開口部より0.5〜1m下方の位置に設置すればよい。なお、圧力計Pの設置位置は、溶融炉部4内の任意の位置でよいわけではなく、溶融炉部4内であっても殆ど熱分解残渣が充填されることのないような高い位置では充填度合いを検出するための圧力計Pの設置位置として不適である。
圧力計Pにより、溶融炉部4内の圧力pをモニタリングすることができる。圧力計Pによる圧力pの値及び圧力計Pによる圧力pの値に基づいて差圧Δp(=p−p)を求めることができる。なお、圧力計P,Pによって差圧Δpを求める代わりに、差圧計によって差圧Δpを測定してもよい。
溶融炉部4の炉底には、溶融物M(溶融スラグと溶融メタルとを含む混合物)を排出する貫通孔4aが形成されている。貫通孔4aは溶融炉部4の内面から外面にかけて形成されており、定常的に開放されている。これにより、貫通孔4aから溶融物Mを連続出湯させることができる。貫通孔4aから排出された溶融物Mは水槽8に収容された水に落下する。
貫通孔4aのサイズは、未燃焼(炉内に装入前)のコークスCが通過しないサイズに設定されていることが好ましい。かかる構成を採用することで、炉内に装入したコークスCが貫通孔4aから排出されるのを抑制できる(図4参照)。貫通孔4aの開口面積は使用するコークスCのサイズ、廃棄物ガス化溶融炉10の規模などに応じて設定すればよく、例えば50〜500cm程度であればよい。貫通孔4aの形状は特に制限はなく、円形、楕円形、矩形などであればよいが、図3(a)に示すように貫通孔4aの流路断面の形状は縦長であることが好ましい。これにより、図3(b)に示すように貫通孔4aの下側から溶融物Mの固形物Sが徐々に付着しても、貫通孔4aが閉塞されるまでの時間を十分長くすることができる。貫通孔4aの流路断面が縦長である場合、その横幅は未燃焼のコークスCが通過しない幅であればよい。貫通孔4aの下側に例えばV字状の溝4bを設け、溶融物Mが溝4bを流れるようにしてもよい(図3(a)参照)。
図4は、溶融炉部4の貫通孔4aを含む部分を拡大して示す縦断面図である。この図に示すように、貫通孔4aにおける溶融物Mが流れる下側面4cは溶融炉部4の内面から外面に向けて低くなるように傾斜していることが好ましい。これにより、貫通孔4aに溶融物Mが滞留することを抑制できる。また、貫通孔4aの内面側開口面積は外面側開口面積よりも大きいことが好ましい。例えば、貫通孔4aの上側は溶融炉部4の内面側に流路断面の拡張部4dを有してもよい。この場合、図4に示すように、貫通孔4aの途中までコークスCが配置されやすい。貫通孔4aのなるべく近くにおいて、高温のコークスCと溶融物Mとを固液接触させることで、高温に維持され且つ粘性が十分に低い溶融物Mを貫通孔4aから排出させることができる。
保圧室6は、貫通孔4aの外側の空間の圧力を維持するためのものである。図1に示すように保圧室6は溶融炉部4の外に配置されており、貫通孔4aと連通する内部空間6Sを有する。内部空間6Sは上下方向に延びる筒状部材6aと、筒状部材6aの上側開口を塞ぐ上板6bと、筒状部材6aの下側開口を水封する水面Wとによって形成されている。筒状部材6a及び上板6bは例えば鋼鉄製の板材からなる。筒状部材6aの縦断面形状は、例えば互いに離隔して配置された二つの半円と、これらの半円の端部同士を結ぶ二本の直線とによって画成される形状である。なお、本実施形態では水封によって保圧室6の圧力を維持する場合を例示したが、水封以外の圧力保持手段を採用してもよい。また、保圧室6内に酸素含有ガス(例えば空気)を供給する開口(不図示)を設けてもよい。この開口を通じて保圧室6内に酸素含有ガスを供給することで、保圧室6から溶融炉部4に流入させるガスの酸素濃度を調整してもよい。
内部空間6Sにはバーナ7が配置されている。具体的には、バーナ7は貫通孔4aに向けて配置されており、バーナ7の火炎によって貫通孔4a及びその周辺が加熱される。バーナ7の種類は特に制限はなく、プロパン、灯油などを燃料とするものを使用すればよい。保圧室6には内部空間6Sを保温するための断熱材6cが配置されている(水に浸る下部を除く)。保圧室6を構成する鋼板(鉄皮)の内面を断熱材6cで覆うことでバーナ7からの燃焼ガスの温度が低下することを抑制できる。これにより、保圧室6内の圧力が溶融炉部4内の圧力よりも高い場合には貫通孔4aを通じて高温の燃焼ガスを溶融炉部4内に流入させることができる。なお、貫通孔4aの出口周辺は、上述のとおり、バーナ7の火炎に曝される。このため、火炎に曝される部分を優れた耐熱性材料で構成しても比較的短い期間のうちに劣化するおそれがある。このため、当該部分を着脱自在の部材4eで構成し、定期的に交換できるようにしてもよい(図4参照)。また、溶融物Mが断熱材6cに付着するのを防止する観点から、断熱材6cの一部又は全部を覆うように鋼板6eを配置し、これによって保圧室6の内壁の一部又は全部を構成してもよい(図1参照)。
保圧室6は、内部空間6S内のガスを排出するための開口6dを有する。開口6dにはガス移送管L2が接続されている。開口6dから排出されたガスはガス移送管L2を介してガス燃焼炉9に導入される。ガス移送管L2の途中には弁Vが設けられている。弁Vの開度を調整することで、保圧室6内の圧力を調節することができる。例えば、通常時において、保圧室6内の圧力pを溶融炉部4内の圧力pよりも高く維持することにより、貫通孔4aを通じて保圧室6内のガスを溶融炉部4内に流入させることができる。これに対し、異常時において、保圧室6内の圧力pを溶融炉部4内の圧力pよりも低くなるように、弁Vを操作してもよい。ここでいう異常時の具体例として、保圧室6内の圧力pが何らかの原因で過度に高くなり、保圧室6の水封状態を維持できなくなったとき又はそのような事態になりそうなとき、溶融物Mの組成又は温度に起因して溶融物Mの粘性が上昇する傾向にあって溶融炉部4内からのガス流出とともに溶融物Mを強制的に排出させたいときなどが挙げられる。
保圧室6の内部には圧力計Pが設けられている。保圧室6内はガスが充満しているだけなので、バーナ7からの火炎が当たらない部位、溶融物Mがかからない部位、排ガスの緊急排出時のガス流れの影響を受けない部位、水封の水面の変動の範囲外など外乱の影響がなければ、圧力計Pの設置位置は保圧室6内のどこであってもよい。本実施形態において、圧力計Pは開口6dと水面Wとの間であって溶融物Mのかからない位置に設置されている。
圧力計Pによって保圧室6内の圧力pをモニタリングすることができる。他方、溶融物Mの粘性の上昇は、例えば保圧室6に配置されたカメラ(不図示)の映像で把握することができる。溶融炉部4と保圧室6の差圧Δp(=p−p)をモニタリングすることで貫通孔4aの閉塞度合いを把握できるようにしてもよい。なお、圧力計P,Pによって差圧Δpを求める代わりに、差圧計によって差圧Δpを測定してもよい。廃棄物ガス化溶融炉10内の複数箇所の圧力(差圧)及び温度のデータ、並びに、溶融物Mの温度及び粘性のデータに基づき、廃棄物ガス化溶融炉10の運転を緊急停止できるようにしてもよい。
弁Vは、保圧室6内の圧力が閾値以上となったとき自動的に開くように構成されていてもよい。この閾値は例えば水槽8による水封高さに基づいて設定すればよい。例えば、水封高さを800mmとした場合、圧力pの閾値を7.5kPa等に設定することができる。
水槽8は、保圧室6の下部を水封するとともに貫通孔4aから排出される溶融物Mを冷却する水を収容する。図1に示すとおり、筒状部材6aの下側開口が水面下まで延びている。貫通孔4aから落下した溶融物Mは水槽8内の水で急冷される。これによりスラグ(「水砕スラグ」とも称される。)とメタルとが得られる。水槽8の底部にはスラグ及びメタルを水槽8の外に搬送するコンベア8aが設置されている。なお、スラグ(水砕スラグ)は、溶融物の冷却によって得られる混合物を磁選処理して得られる非磁性成分である。
<廃棄物ガス化溶融炉の運転方法>
次に、廃棄物ガス化溶融炉10の運転方法について説明する。処理すべき廃棄物を廃棄物装入口11からシャフト部1に装入する。廃棄物の種類は、特に限定されることはなく、一般廃棄物及び産業廃棄物のいずれであってもよい。シュレッダーダスト(ASR)、掘り起こしごみ、焼却灰などの単体又は混合物、あるいはこれらと可燃性ごみの混合物なども処理することが可能である。廃棄物によってシャフト部1内に廃棄物充填層100が形成される。廃棄物装入口11から乾留された廃棄物やチャーを廃棄物と共に投入してもよい。
シャフト部1内においては、炭化火格子部3及び溶融炉部4から吹き込まれた空気や炉内で発生したガスが廃棄物充填層100を通過するときの熱交換によって、廃棄物の乾燥及び熱分解が進行する。廃棄物の乾燥及び熱分解には廃棄物自身が発する熱も利用される。廃棄物は、シャフト部1内を徐々に降下し、供給炭化火格子3A上に到達し、供給炭化火格子3Aで更に熱分解され、その後、乾留炭化火格子3Bへと送られる。廃棄物は、乾留炭化火格子3Bで更に熱分解されて炭化が進行し、上部側開口部46から落下して溶融炉部4に供給される。
連通部2から炭化された廃棄物が溶融炉部4に供給される。炭化された廃棄物によって溶融炉部4内に充填層101が形成される。溶融炉部4内には副資材装入口41からコークスCと、必要に応じて塩基度調整剤(例えば石灰石)とを装入する。また、羽口42a,42b,42c,42dから酸素富化空気を吹き込むことによってコークスC及び廃棄物の固定炭素を燃焼させる。これにより炉底に高温のコークスベッドBcが形成され、その熱で廃棄物に含まれる灰分や不燃成分を溶融する。一方、炉内ガス排出口12から排出された高温ガスは、ボイラー等の装置で廃熱を回収した後、無害化処理をして放出する。なお、溶融炉部4内にコークスベッドBcを形成することで、溶融炉部4内を高温状態(例えば1700℃超)に安定的に維持できる。ここでは溶融炉部4内にコークスベッドBcを形成する場合を例示したが、溶融炉部4にコークスベッドBcが形成されなくてもよい。
操業時における溶融炉部4内の廃棄物の充填高さは、羽口42a,42b,42c,42dより上方向+0.5m〜炭化火格子部3の最下端部までの範囲内に維持することが好ましい。この範囲内に維持することによって、充填層101の層厚が薄くなることに起因する炉底からの酸素リークを抑制することができる。更に、充填し過ぎに起因する炭化火格子部3の熱分解効率低下や溶融炉部4内における物流停滞の発生を抑制できる。
溶融炉部4内の廃棄物の充填高さの制御は、炭化火格子部3が溶融炉部4に廃棄物を供給する速度を調節することによって行うことができる。例えば、溶融炉部4に充填層101の高さを検知するためのセンサー(不図示)を配置し、センサーが検知する充填層101の高さに基づいて炭化火格子部3の供給速度を制御してもよい。あるいは、例えばオペレーターが充填高さを監視し、監視結果に基づいて供給速度を制御してもよい。
供給炭化火格子3Aの供給速度(V1)と乾留炭化火格子3Bの供給速度(V2)は、相対的に異なるように設定してもよく、あるいは同じに設定してもよい。供給速度を相対的に異なるように設定する場合、乾留炭化火格子3Bの供給速度(V2)が供給炭化火格子3Aの供給速度(V1)よりも大きくなるように設定することが好ましい。更に、乾留炭化火格子3Bの供給速度(V2)を一定にして、供給炭化火格子3Aの供給速度(V1)を可変制御することがより好ましい。供給速度V2を供給速度V1よりも大きくすることで、供給炭化火格子3Aから送られてきた廃棄物が乾留炭化火格子3B上において比較的薄い層をなすように広げることができる。これにより、廃棄物の層の全体に乾留炭化火格子3Bからの熱を加えることができ、廃棄物全体の炭化状態を十分に良好にできる。
廃棄物の装入は、廃棄物装入口11のみからではなく、例えば副資材装入口41から装入してもよい。例えば、水分量が多い廃棄物は廃棄物装入口11から装入して、シャフト部1及び炭化火格子部3における処理を経た後に溶融炉部4に供給することが好ましい。他方、灰分量が多くて水分が少ない廃棄物は、副資材装入口41から装入することで、シャフト部1及び炭化火格子部3における乾燥及び熱分解の負荷を軽減できる。水分量が多い廃棄物の一例として汚泥が挙げられ、灰分量が多い廃棄物の一例として焼却灰が挙げられる。なお、廃棄物の装入口は廃棄物装入口11及び副資材装入口41以外の場所にも設けてもよい。廃棄物の性状に基づいて廃棄物を炉内に装入する位置を適宜変えることで、結果として炉全体の負荷を軽減できる。
次に、貫通孔4aを定常的に開放した状態で廃棄物ガス化溶融炉10を運転することに関し、本実施形態に係る運転方法について具体的に説明する。この運転方法によれば、廃棄物ガス化溶融炉10を十分に高い熱効率で運転でき且つ保圧室6の水封状態を安定的に維持できる。
本実施形態に係る運転方法は以下の工程を含む。
溶融炉部4内の圧力pよりも保圧室6内の圧力pを高く維持することにより、貫通孔4aを通じて保圧室6内のガスを溶融炉部4内に流入させること。
溶融炉部4内の溶融物Mを貫通孔4aから保圧室6側に排出すること。
貫通孔4aから排出される溶融物Mに対してバーナ7によって熱を加えること。
溶融炉部4の上方の炉内ガスの圧力pと溶融炉部内の圧力pの差圧Δp(=p−p)をモニタリングすること。
差圧Δpの値が大きくなる傾向にあるとき又は閾値に到達したときに乾留炭化火格子3Bの可動炭化火格子による溶融炉部4への廃棄物の熱分解残渣の供給を一時的に削減又は停止することを含む。
この運転方法によれば、貫通孔4aから排出される溶融物Mをバーナ7の火炎で加熱することができる。これにより溶融物Mの粘性上昇を抑制でき、貫通孔4aの閉塞を抑制できる。更に、バーナ7から発生する燃焼ガスによって保圧室6内の圧力p(例えば1.5〜2.5kPa(ゲージ圧))を溶融炉部4内の圧力p(例えば1.0〜2.0kPa(ゲージ圧))よりも高い状態にすることができる。差圧Δp(=p−p)は好ましくは0.5〜2.0kPaである。この差圧により貫通孔4aを通じて燃焼ガスが溶融炉部4に流入する。すなわち、保圧室6内の圧力pを溶融炉部4内の圧力pよりも高くすることで、高温の炉内ガスが貫通孔4aを通じて炉外に排出されるのを防止するとともに、十分に高い温度の燃焼ガスを保圧室6から溶融炉部4へと貫通孔4aを通じて流入させることができる。その結果、溶融炉部4内の温度(炉内温度)の低下を抑えることができ、炉内に導入すべき燃料の増加を十分に抑制できる。なお、貫通孔4aを通過する燃焼ガスの温度が1200℃以上(より好ましくは1300℃程度)であれば、貫通孔4a周辺で溶融物Mが固化することを十分に抑制できる。溶融物Mに含まれるスラグの融点はその組成に依存するが1175℃程度である。溶融炉部4の上方における炉内圧力pは、例えば0.5〜1.0kPa(ゲージ圧)である。差圧Δp(=p−p)は好ましくは0.3〜1.0kPaである。
貫通孔4aにおける溶融物Mと燃焼ガスの流れに着目すると、貫通孔4aにおいて溶融物Mとガスは対向流となっている。貫通孔4aから溶融物Mを安定的に排出するには、貫通孔4a内において溶融物Mの流れが燃焼ガスの流れと十分に分離していることが好ましい。つまり、貫通孔4a内の流体の流れを対向気液二相流とみなした場合、溶融物Mが分離流(層状流又は波状流)を形成していることが好ましい。かかる観点から、貫通孔4aの開口面積、コークスCのサイズ及び保圧室6から溶融炉部4に流入するガス流量などを設定すればよい。例えば、貫通孔4aを通過する燃焼ガスの流速は好ましくは0〜20Bm/sであり、より好ましくは3〜10Bm/sである。なお、流速の単位「Bm/s」はその場の温度及び圧力条件下での流速を意味する。
本実施形態に係る運転方法によれば、差圧Δp(=p−p)をモニタリングし、その値が大きくなる傾向にあるとき又は閾値に到達したときに溶融炉部4への熱分解残渣の供給を一時的に削減又は停止する。換言すれば、仮に保圧室6内の圧力pの上昇が実際に観測されていない段階であっても事前に上記策を講じる。これにより、保圧室6内の圧力pが過度に上昇することを十分確実に抑制でき、保圧室6の水封状態を十分安定的に維持できる。差圧Δp(=p−p)は好ましくは0.3〜1.0kPaである。仮に保圧室内の圧力pを下げるために保圧室6内のガスを放出するための弁Vの操作が必要な場合があるとしても、その頻度を十分に低くすることができ、十分に高い熱効率で廃棄物ガス化溶融炉10を運転することができる。
溶融炉部4への熱分解残渣の供給を一時的に削減又は停止する具体的な方法としては以下のものが挙げられる。
(1)乾留炭化火格子3Bの可動炭化火格子の往復動を停止させる。
(2)乾留炭化火格子3Bの可動炭化火格子の往復動のストローク長を短くする。
(3)乾留炭化火格子3Bの可動炭化火格子の往復動の速度を遅くする。
本実施形態に係る運転方法においては、溶融炉部4への熱分解残渣の供給を削減又は停止した後、差圧Δpの値が所定値(例えば定常運転時の値に十分近い値)にまで下がった段階で熱分解残渣の供給を元の状態に復活させればよい。保圧室6内の圧力pの過度の上昇をより一層確実に抑制する観点から、溶融炉部4内の圧力pと保圧室6内の圧力pの差圧Δpをモニタリングし、この差圧Δpの値が所定値にまで下がった段階で熱分解残渣の供給を復活させてもよい。
乾留炭化火格子3Bの可動炭化火格子による溶融炉部4への廃棄物の熱分解残渣の供給を一時的に削減又は停止する操作に関する差圧Δpの閾値Hは例えば0.6〜1.0kPaの範囲に設定することができる。熱分解残渣の供給を元の状態に復活させる操作に関する差圧Δpの閾値Lも例えば0.6〜1.0kPaの範囲に設定することができる。熱分解残渣の供給を元の状態に復活させる操作に関する差圧Δpの閾値Lは例えば2.0〜3.0kPaの範囲に設定することができる。
上記のような差圧Δpの値に基づく熱分解残渣の供給量の制御を実施しても保圧室6内の圧力pが閾値に超えたりそのような状況になりそうなときは、弁Vを操作することによって、溶融炉部4内の圧力pよりも保圧室6内の圧力pを一時的に低くしてもよい。これにより、貫通孔4aを通じて炉内ガスを保圧室6に一時的に排出させることができ、例えば、溶融炉部4内からのガス流出とともに溶融物Mを強制的に保圧室6側へと排出させることができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、形式や細部についての種々の置換、変形、変更等が、特許請求の範囲の記載により規定されるような本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行われることが可能であることは、当該技術分野における通常の知識を有する者には明らかである。従って、本発明の範囲は、上記実施形態及び添付図面に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものに基づいて定められるべきである。
上記実施形態においては、差圧Δpに基づいて乾留炭化火格子3Bの可動炭化火格子の動作を制御する場合を例示したが、差圧Δpに基づいて供給炭化火格子3Aの可動炭化火格子及び乾留炭化火格子3Bの可動炭化火格子の両方の動作を制御してもよい。また、上記実施形態においては、溶融炉部4への熱分解残渣の供給量を差圧Δpに基づいて制御する場合を例示したが、差圧Δpの代わりに溶融炉部4内の圧力pに基づいて熱分解残渣の供給量を制御してもよい。
1…シャフト部、2…連通部、3…炭化火格子部、3A…供給炭化火格子、3B…乾留炭化火格子、4…溶融炉部、4a…貫通孔、6…保圧室、7…バーナ、8…水槽、10…廃棄物ガス化溶融炉、11…廃棄物装入口、12…炉内ガス排出口、42a〜42d…羽口、P〜P…圧力計、V…弁。

Claims (6)

  1. 内部に充填された廃棄物を乾燥及び熱分解させるシャフト部と、
    前記シャフト部の上部側に設けられた廃棄物装入口及び炉内ガス排出口と、
    前記シャフト部よりも下方に設けられており、前記シャフト部の炉心の位置から横方向にずれた位置に炉心を有する溶融炉部と、
    前記シャフト部の底部側と前記溶融炉部の上部側とを連結する連通部と、
    前記連通部に設けられており、前記シャフト部からの廃棄物を前記溶融炉部に向けて移送するとともに廃棄物を炭化させる可動炭化火格子と、
    前記溶融炉部の内面から外面にかけて形成された貫通孔と、
    前記溶融炉部の外に配置されており、前記貫通孔と連通する内部空間を有する保圧室と、
    前記保圧室内に配置されており、前記貫通孔から排出される溶融物に熱を加えるバーナと、
    前記保圧室内の圧力を制御する弁と、
    前記貫通孔の下方に配置されており、前記保圧室の下部を水封するとともに前記貫通孔から排出される前記溶融物を冷却する水を収容する水槽と、
    を備える廃棄物ガス化溶融炉の前記貫通孔を定常的に開放した状態で当該溶融炉を運転する方法であって、
    前記溶融炉部内の圧力pよりも前記保圧室内の圧力pを高く維持することにより、前記貫通孔を通じて前記保圧室内のガスを前記溶融炉部内に流入させること、
    前記溶融炉部内の溶融物を前記貫通孔から前記保圧室側に排出すること、
    前記貫通孔から排出される前記溶融物に対して前記バーナによって熱を加えること、
    前記溶融炉部内の圧力pをモニタリングすること、
    前記溶融炉部内の圧力pの値が上昇傾向にあるとき又は閾値に到達したときに前記可動炭化火格子による前記溶融炉部への廃棄物の熱分解残渣の供給を一時的に削減又は停止すること、
    を含む、低炭素型廃棄物ガス化溶融炉の運転方法。
  2. 前記溶融炉部への前記熱分解残渣の供給を削減又は停止した後、前記溶融炉部内の圧力pの値が所定値にまで下がった段階で前記供給を元の状態に復活させることを更に含む、請求項1に記載の運転方法。
  3. 内部に充填された廃棄物を乾燥及び熱分解させるシャフト部と、
    前記シャフト部の上部側に設けられた廃棄物装入口及び炉内ガス排出口と、
    前記シャフト部よりも下方に設けられており、前記シャフト部の炉心の位置から横方向にずれた位置に炉心を有する溶融炉部と、
    前記シャフト部の底部側と前記溶融炉部の上部側とを連結する連通部と、
    前記連通部に設けられており、前記シャフト部からの廃棄物を前記溶融炉部に向けて移送するとともに廃棄物を炭化させる可動炭化火格子と、
    前記溶融炉部の内面から外面にかけて形成された貫通孔と、
    前記溶融炉部の外に配置されており、前記貫通孔と連通する内部空間を有する保圧室と、
    前記保圧室内に配置されており、前記貫通孔から排出される溶融物に熱を加えるバーナと、
    前記保圧室内の圧力を制御する弁と、
    前記貫通孔の下方に配置されており、前記保圧室の下部を水封するとともに前記貫通孔から排出される前記溶融物を冷却する水を収容する水槽と、
    を備える廃棄物ガス化溶融炉の前記貫通孔を定常的に開放した状態で当該溶融炉を運転する方法であって、
    前記溶融炉部内の圧力pよりも前記保圧室内の圧力pを高く維持することにより、前記貫通孔を通じて前記保圧室内のガスを前記溶融炉部内に流入させること、
    前記溶融炉部内の溶融物を前記貫通孔から前記保圧室側に排出すること、
    前記貫通孔から排出される前記溶融物に対して前記バーナによって熱を加えること、
    前記溶融炉部の上方の炉内ガスの圧力pと前記溶融炉部内の圧力pの差圧Δp =p −p をモニタリングすること、
    前記差圧Δpの値が大きくなる傾向にあるとき又は閾値に到達したときに前記可動炭化火格子による前記溶融炉部への廃棄物の熱分解残渣の供給を一時的に削減又は停止すること、
    を含む、廃棄物ガス化溶融炉の運転方法。
  4. 前記溶融炉部への前記熱分解残渣の供給を削減又は停止した後、前記差圧Δpの値が所定値にまで小さくなった段階で前記供給を元の状態に復活させることを更に含む、請求項3に記載の運転方法。
  5. 前記溶融炉部内の圧力pと前記保圧室内の圧力pの差圧Δp =p −p をモニタリングすること、
    前記溶融炉部への前記熱分解残渣の前記供給を削減又は停止した後、前記差圧Δpの値が所定値にまで下がった段階で前記供給を復活させること、
    を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の運転方法。
  6. 前記弁を操作することによって、前記溶融炉部内の圧力pよりも前記保圧室内の圧力pを一時的に低くすることを更に含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の運転方法。
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