JP6610936B2 - ディスクブレーキパッドおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、二輪車又は四輪自動車の制動に用いられているディスクブレーキパッドおよびそれらの製造方法に関する。
通常、二輪車又は四輪の自動車に取り付けられている制動用のディスクブレーキパッドは、図1(a)に示すように、主にバックプレート1と摩擦材2から構成される。摩擦材2は、例えば、結合材、有機充填材、無機充填材、および繊維基材からなる、いわゆるレジンモールド材により構成され、バックプレート1に固着されている。図1に示すディスクブレーキパッドのA−A断面の模式図を図1(b)および図1(c)に示す。図1(b)のディスクブレーキパッドは、バックプレート1の一方の側面に、摩擦材2が直接固着されたものであり、図1(c)のディスクブレーキパッドは、バックプレート1の一方の側面に、中間層3を介して摩擦材2が固着されたものである。このようなディスクブレーキパッドは、バックプレート1の側面に、予めフェノール樹脂、有機・無機繊維、金属及びセラミックス成分等を配合して圧粉成形した摩擦材層を重ね合わせ、熱圧成形して一体に固着したのち表面加工を施すことにより製造されている。
近年、自動車の環境対応化・低燃費化の進行に伴い、自動車の各部品の軽量化が検討・実施されている。通常、自動車における原材料の構成は、金属材が半分以上を占めているが、車体の軽量化のため、その使用量は年々低下傾向にある。また、車体の軽量化にあたっては、近年、素材としてアルミニウムと樹脂の使用が増加傾向にある。鋼板の比重は約7.8Mg/mであり、これに比べてアルミニウムの比重は約2.7Mg/m、樹脂の比重は約1Mg/mであるため、これらの素材を使用することにより、車体の50%以下の軽量化が見込める。このような軽量化への動きの中、車両においてはボディやフレームのみならず、車両を構成する各要素に対しても軽量化の要求が大きくなってきている。
車両の制動に用いられるブレーキシステムの構成要素の一つであるディスクブレーキパッドにおいても軽量化の要求が大きくなってきており、従来より鋼製の板材からなるバックプレートが用いられているが、近年では樹脂製のバックプレートに関する提案がなされており、例えば、0.1〜10mm程度のガラス繊維を含有したフェノール樹脂をコンプレッション成形したもの(特許文献1、2等)等が提案されている。
特開2001−165210号公報 特開2001−253998号公報
バックプレートを樹脂製のものに変更することで、ディスクブレーキパッドを軽量にすることはできるが、樹脂製のバックプレートは、鋼製のバックプレートに比べ、強度・靭性といった特性が下回っている。また、樹脂製のバックプレートは鋼製のバックプレートに比べ弾性率が小さく、固有振動数が低下することにより、ブレーキ鳴きが悪化することがある。
これらのことから、本発明は、バックプレートを樹脂製としてディスクブレーキパッドの軽量化を図るとともに、強度、靭性、ブレーキ鳴きといった多くの特性を実用水準に向上したブレーキパッドおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ディスクブレーキパッドのバックプレートを繊維強化樹脂製のものとすることについて検討を行ったところ、次の知見を得た。すなわち、繊維強化樹脂に含まれる繊維は、単に、繊維を熱可塑性樹脂組成物等と混合しただけでは、繊維のからみが不充分であり、所望の強度が得られない。これに対し、繊維強化樹脂に含まれる繊維として繊維集合体とすれば、繊維どうしの絡みが十分となり、繊維強化樹脂の強度、靱性を高めることができることを見出した。さらに、バックプレートを、曲げ強さの異なる繊維強化樹脂の積層構造とすることで、ブレーキパッドの押付け方向の強度、靭性が優れたバックプレートとすることができることを見出した。また、曲げ強さの異なる繊維強化樹脂の積層構造とすると、摩擦方向の制振性に優れたものとなり、ブレーキ鳴きの抑制に効果的であることを見出した。さらに、上記の曲げ強さの異なる繊維強化樹脂の組み合わせを、繊維強化樹脂に含まれる繊維の引張り弾性率のことなる繊維強化樹脂の組み合わせにより達成できることを見出した。
また、このような特性の異なる繊維強化樹脂を組み合わせてバックプレートを形成する場合に、特性の異なる繊維をそれぞれ繊維集合体として用意しておき、特性の異なる繊維からなる繊維集合体を積層し、これに熱硬化性樹脂組成物を含浸し、硬化させることにより、特性の異なる繊維強化樹脂を一体に形成できることを見出した。
本発明の第1のディスクブレーキパッドは、これらの知見によるものであり、具体的に、熱硬化性樹脂を含む摩擦材とバックプレートとを備え、前記バックプレートの一方の側面に前記摩擦材が配置されるブレーキパッドにおいて、前記バックプレートが、熱硬化性樹脂を引張り弾性率が150GPa以上の繊維からなる繊維集合体により強化した繊維強化樹脂層Aと、熱硬化性樹脂を引張り弾性率が150GPa未満の繊維以外の繊維からなる繊維集合体により強化した繊維強化樹脂層Bからなり、少なくとも1層の前記繊維強化樹脂層Aと、少なくとも1層の前記繊維強化樹脂層Bが厚さ方向に積層された複合繊維強化樹脂からなるものである。
上記の第1のディスクブレーキパッドにおいては、前記バックプレートを、前記バックプレートの摩擦材が配置される側面に、前記繊維強化樹脂層Aおよび繊維強化樹脂層Cのうちの一方の繊維強化樹脂層が配置され、前記バックプレートの他方の側面に前記繊維強化樹脂層Aおよび繊維強化樹脂層Cのうちの他方の繊維強化樹脂層が配置されて積層された複合繊維強化樹脂からなるものとすることができる。また、前記バックプレートが、3層以上の繊維強化樹脂層で形成され、前記バックプレートの摩擦材が配置される側面および前記バックプレートの他方の側面に前記繊維強化樹脂層Aおよび前記繊維強化樹脂層Bのうちの一方の繊維強化樹脂層が配置され、かつ前記バックプレートの摩擦材が配置される側面および前記バックプレートの他方の側面以外の中間層に少なくとも1層の前記繊維強化樹脂層Aおよび前記繊維強化樹脂層Bのうちの他方の繊維強化樹脂層が配置されて積層された複合繊維強化樹脂からなるものとすることができる。
また、上記の本発明の第1のディスクブレーキパッドにおいては、前記繊維強化樹脂層Aの熱硬化性樹脂と、前記繊維強化樹脂層Bの熱硬化性樹脂が同じ熱硬化性樹脂からなるものとすることが好ましい。また、前記バックプレートの一方の側面に、前記摩擦材が結着されたディスクブレーキパッドにおいては、前記摩擦材に含まれる熱硬化性樹脂と、前記バックプレートの摩擦材が配置される側面に配置される前記繊維強化樹脂層Aの熱硬化性樹脂または前記繊維強化樹脂層Bに含まれる熱硬化性樹脂が、相互に化学結合を形成しているものとすることが好ましく、前記バックプレートの一方の側面に、前記摩擦材が熱硬化樹脂を含有する中間層を介して結着されたディスクブレーキパッドにおいては、前記中間層に含まれる熱硬化性樹脂と、前記バックプレートの摩擦材が配置される側面に配置される前記繊維強化樹脂層Aの熱硬化性樹脂または前記繊維強化樹脂層Bに含まれる熱硬化性樹脂が、相互に化学結合を形成していることが好ましい。
また、本発明の第2のディスクブレーキパッドは、熱硬化性樹脂を含む摩擦材とバックプレートとを備え、前記バックプレートの一方の側面に前記摩擦材が配置されるブレーキパッドにおいて、前記バックプレートが、熱硬化性樹脂が繊維集合体により強化され400MPa以上の曲げ強さを有する繊維強化樹脂層Cと、熱硬化性樹脂が繊維集合体により強化され400MPa未満の曲げ強さを有する繊維強化樹脂層Dとからなり、少なくとも1層の前記繊維強化樹脂層Cと、少なくとも1層の前記繊維強化樹脂層Dが厚さ方向に積層された複合繊維強化樹脂からなるものである。なお、曲げ強さとは、積層面に対して水平方向の曲げ強さを指し、JIS規格のK6911に準じた3点曲げ試験で測定される曲げ強さである。
上記の第2のディスクブレーキパッドにおいては、前記バックプレートを、前記バックプレートの摩擦材が配置される側面に、前記繊維強化樹脂層Aおよび繊維強化樹脂層Cのうちの一方の繊維強化樹脂層が配置され、前記バックプレートの他方の側面に前記繊維強化樹脂層Aおよび繊維強化樹脂層Cのうちの他方の繊維強化樹脂層が配置されて積層された複合繊維強化樹脂からなるものとすることができる。また、前記バックプレートが、3層以上の繊維強化樹脂層で形成され、前記バックプレートの摩擦材が配置される側面および前記バックプレートの他方の側面に前記繊維強化樹脂層Aおよび前記繊維強化樹脂層Bのうちの一方の繊維強化樹脂層が配置され、かつ前記バックプレートの摩擦材が配置される側面および前記バックプレートの他方の側面以外の中間層に少なくとも1層の前記繊維強化樹脂層Aおよび前記繊維強化樹脂層Bのうちの他方の繊維強化樹脂層が配置されて積層された複合繊維強化樹脂からなるものとすることができる。
また、上記の第2のディスクブレーキパッドにおいては、前記繊維強化樹脂層Cの熱硬化性樹脂と、前記繊維強化樹脂層Dの熱硬化性樹脂が同じ熱硬化性樹脂からなるものとすることが好ましい。また、前記バックプレートの一方の側面に、前記摩擦材が結着されたディスクブレーキパッドにおいては、前記摩擦材に含まれる熱硬化性樹脂と、前記バックプレートの摩擦材が配置される側面に配置される前記繊維強化樹脂層Cの熱硬化性樹脂または前記繊維強化樹脂層Dに含まれる熱硬化性樹脂が、相互に化学結合を形成しているものとすることが好ましく、前記バックプレートの一方の側面に、前記摩擦材が熱硬化樹脂を含有する中間層を介して結着されたディスクブレーキパッドにおいては、前記中間層に含まれる熱硬化性樹脂と、前記バックプレートの摩擦材が配置される側面に配置される前記繊維強化樹脂層Cの熱硬化性樹脂または前記繊維強化樹脂層Dに含まれる熱硬化性樹脂が、相互に化学結合を形成していることが好ましい。
本発明の第1のディスクブレーキパッドの製造方法は、予め繊維強化樹脂からなるバックプレートを作製しておき、この繊維強化樹脂製バックプレートを用いて従来と同様にディスクブレーキパッドを製造するものであり、具体的に、熱硬化性樹脂組成物を含む摩擦材組成物を予備成形した予備成形体と、引張り弾性率が150GPa以上の繊維からなる繊維集合体と、引張り弾性率が150GPa未満の繊維からなる繊維集合体と、熱硬化性樹脂組成物を用意し、前記引張り弾性率が150GPa以上の繊維からなる繊維集合体と、前記引張り弾性率が150GPa未満の繊維からなる繊維集合体を積層した、繊維集合体積層物に前記熱硬化樹脂を含浸し、硬化させて繊維強化樹脂からなるバックプレートを形成しておき、熱成形金型の型孔に前記予備成形体を挿入し、次いで、前記予備成形体に接して前記繊維強化樹脂からなるバックプレートを配置し、熱成形金型により前記予備成形体を熱成形して摩擦材を形成するとともに、前記繊維強化樹脂からなるバックプレートと前記摩擦材の固着を行うものである。
本発明の第2のディスクブレーキパッドの製造方法は、繊維強化樹脂からなるバックプレートの作製と、摩擦材の熱成形を同時に行うものであり、具体的に、熱硬化性樹脂組成物を含む摩擦材組成物を予備成形した予備成形体と、引張り弾性率が150GPa以上の繊維からなる繊維集合体と、引張り弾性率が150GPa未満の繊維からなる繊維集合体と、熱硬化性樹脂組成物を用意し、熱成形金型の型孔に前記予備成形体を挿入し、次いで、前記予備成形体に接して前記引張り弾性率が150GPa以上の繊維からなる繊維集合体および前記引張り弾性率が150GPa未満の繊維からなる繊維集合体を積層して配置し、さらに、積層した繊維集合体に接して前記熱硬化性樹脂組成物を配置し、熱成形金型により前記予備成形体を熱成形して摩擦材を形成するとともに、積層した繊維集合体に前記熱硬化性樹脂組成物を含浸し熱硬化させて、繊維強化樹脂からなるバックプレートを形成するとともに、積層した繊維集合体に含浸された熱硬化性樹脂組成物により、前記繊維強化樹脂からなるバックプレートと前記摩擦材の固着を行うものである。
本発明のディスクブレーキパッドによれば、樹脂を用いたバックプレートの強度・靭性を実用水準まで向上させることができ、更にブレーキ鳴きを効果的に低減可能である。また、バックプレートの比重が金属より小さいため、ディスクブレーキパッドの軽量化を図ることで車体の軽量化に寄与する。
ディスクブレーキパッドを示す模式図であり、図1(a)は、ディスクブレーキパッドの上面図、図1(b)は、バックプレート一方の側面に摩擦材が直接配置されたディスクブレーキパッドの図1(a)におけるA−A断面の模式図、図1(c)は、バックプレート一方の側面に摩擦材が中間層を介して配置されたディスクブレーキパッドの図1(a)におけるA−A断面の模式図である。 バックプレートが2層の繊維強化樹脂層で構成された本発明のディスクブレーキパッドの断面を示す模式図であり、図2(a)がバックプレートの摩擦材が配置される側面に高強度の繊維強化樹脂層Aまたは繊維強化樹脂層Cを配置し、他の側面に低強度の繊維強化樹脂層Bまたは繊維強化樹脂層Dを配置して構成した例であり、図2(b)がバックプレートの摩擦材が配置される側面に低強度の繊維強化樹脂層Cまたは繊維強化樹脂層Dを配置し、他の側面に高強度の繊維強化樹脂層Aまたは繊維強化樹脂層Cを配置して構成した例である。 バックプレートが3層の繊維強化樹脂層で構成された本発明のディスクブレーキパッドの断面を示す模式図である。 バックプレートが4層の繊維強化樹脂層で構成された本発明のディスクブレーキパッドの断面を示す模式図であり、図2(a)がバックプレートの摩擦材が配置される側面に高強度の繊維強化樹脂層Aまたは繊維強化樹脂層Cを配置し、他の側面に低強度の繊維強化樹脂層Bまたは繊維強化樹脂層Dを配置して構成した例であり、図2(b)がバックプレートの摩擦材が配置される側面に低強度の繊維強化樹脂層Cまたは繊維強化樹脂層Dを配置し、他の側面に高強度の繊維強化樹脂層Aまたは繊維強化樹脂層Cを配置して構成した例である。
以下、本発明のディスクブレーキパッドおよびその製造方法について詳述する。
[ディスクブレーキパッド]
本発明のディスクブレーキパッドは、バックプレートが、熱硬化性樹脂を引張り弾性率が150GPa以上の繊維からなる繊維集合体により強化した繊維強化樹脂層Aと、熱硬化性樹脂を引張り弾性率が150GPa未満の繊維以外の繊維からなる繊維集合体により強化した繊維強化樹脂層Bからなり、少なくとも1層の繊維強化樹脂層Aと、少なくとも1層の繊維強化樹脂層Bが厚さ方向に積層された複合繊維強化樹脂からなる。
熱硬化性樹脂を引張り弾性率が150GPa以上の繊維からなる繊維集合体により強化した繊維強化樹脂層Aは、バックプレートの強度・靱性を担保する層である。繊維強化樹脂層Aにおいては、含有される繊維として引張り弾性率が150GPa以上の繊維とし、このような繊維を繊維集合体として熱硬化性樹脂中に与え繊維強化したことにより、高強度の繊維強化樹脂層を形成し、バックプレートの強度・靱性を担保する。
引張り弾性率が150GPa以上の繊維としては、α-アルミナタイプ、γ-アルミナタイプなどのアルミナ繊維、ボロン繊維などの金属繊維、炭素繊維やPBO繊維などの有機繊維が挙げられ一種または二種以上の組合せで用いることができる。軽量化の観点で金属繊維よりも無機繊維、炭素繊維、有機繊維が好ましい。
本発明においては、このような引張り弾性率が150GPa以上の繊維を繊維集合体の形態で繊維強化樹脂層に与えることで、バックプレートして用いた際の、バックプレートの強度・靱性を担保する。すなわち、単なる繊維を熱硬化性樹脂組成物と混合して成形したものでは、繊維どうしの絡まりが小さく、繊維として引張り弾性率が高いものを用いたとしても、高い強度・靱性は得難いが、本発明においては、引張り弾性率が高い繊維を繊維集合体の形態で用いることにより、繊維どうしが絡まり合うことで、繊維強化樹脂層Aの強度・靱性を高いものとすることができる。繊維集合体は、織物、編物、交織物などの織布やフェルトなどの不織布から選択される形態であることが好ましい。
上記の引張り弾性率が150GPa以上の繊維を用い、これを繊維集合体の形態で熱硬化性樹脂中に含有させた繊維強化樹脂層は、曲げ強さとして400MPa以上の繊維強化樹脂層Cとなり、高い強度・靱性を有する繊維強化樹脂層を形成できる。
その一方で、上記の高い強度・靱性を有する繊維強化樹脂層のみでは、固有振動数が低く、振動を抑制することが難しい。このため、本発明のディスクブレーキパッドにおいては、バックプレートとして、上記の高強度の繊維強化樹脂層Aに、変形し易い繊維強化樹脂層Bを積層して配置することで、振動発生時に繊維強化樹脂層Bが積極的に変形し、振動を吸収して鳴きの発生を抑制する。
このような変形し易い繊維強化樹脂層Bは、熱硬化性樹脂を引張り弾性率が150GPa未満の繊維からなる繊維集合体により強化した繊維強化樹脂層により達成される。繊維強化樹脂層Bの繊維は、引張弾性率が150GPa未満のものを用いるが、あまりに引張り弾性率が乏しいと、振動に際して繊維が切断するため、引張弾性率として40GPa以上の繊維を用いることが好ましい。このような引張弾性率が150GPa未満の繊維としては、ガラス繊維、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、耐炎化繊維などが挙げられ、一種または二種以上の組合せで用いることができる。
繊維強化樹脂層Bの繊維も、繊維集合体として用いることで、振動すなわち変位を受けた際に、変位に追随して絡まり合った繊維が変形、復帰することで、振動を吸収するとともに、このような絡まり合った繊維が繊維強化樹脂層Bの破壊を防止する。繊維強化樹脂層Bの繊維集合体も、繊維強化樹脂層Aと同じく、織物、編物、交織物などの織布やフェルトなどの不織布から選択される形態で与えることができる。
上記の引張り弾性率が150GPa未満の繊維を用い、これを繊維集合体の形態で熱硬化性樹脂中に含有させた繊維強化樹脂層は、曲げ強さとして400MPa未満の繊維強化樹脂層Dとなり、高い強度・靱性を有する繊維強化樹脂層を形成できる。
上記の繊維強化樹脂層A〜Dにおいて、熱硬化性樹脂は特には制限されないが、強度の観点から、フェノール樹脂とその硬化剤またはエポキシ樹脂とその硬化剤、ポリイミド樹脂であることが好ましく、一種または二種以上の組合せで用いることができる。フェノール樹脂としては、入手容易な市販品の使用も可能であり、常法により合成することもでき、それらの1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記のフェノール樹脂としては、レゾールタイプのフェノール樹脂、ストレートノボラックタイプのフェノール樹脂、アラルキル変性タイプのフェノール樹脂、アクリルエラストマー、シリコーンエラストマーなどで変性したエラストマー変性タイプのフェノール樹脂を硬化剤とともに用いることができる。耐熱性や強度の観点で、ストレートノボラックタイプのフェノール樹脂やレゾールタイプのフェノール樹脂が好ましい。
また、上記のエポキシ樹脂としては、入手容易な市販品の使用も可能であり、常法により剛性することもでき、それらの1種又は2種以上を組み合わせて使用することができるが、強度及び耐熱性の観点から、芳香環を有するエポキシ樹脂であることが好ましい。具体的には、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂などを好適にしようすることができる。また、シリコーン、アクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン系ゴム、ポリアミド系樹脂等により変性したエポキシ樹脂なども用いることができる。
本発明における繊維強化樹脂層A〜Dの樹脂含有率は、30〜70%が好ましい。これにより、バックプレートの積層成形工程における加工し易さに優れる。さらに、強度の観点から40から65質量%であることが好ましく、50〜60質量%であることがより好ましい。
また、上記の繊維強化樹脂層A〜Dにおいては、上記の熱硬化性樹脂および繊維集合体以外に、その他の添加材を配合することができる。その他の添加剤としては、固体粒子状の無機充填材や、有機充填材、金属粉などが挙げられ、単独であるいは2種以上の組合せで配合することができる。固体粒子上の無機化合物や有機充填材、金属粉であれば特に限定されないが、繊維集合体中に分散させるために粒径が細かいことが好ましい。具体例としては、摺動性を向上させるために黒鉛、二硫化モリブデン、硫化タングステン、フッ素樹脂、コークスなどや、難燃性を向上させるための水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アンチモン化合物など、軽量化のための中空無機粒子など、樹脂の硬化速度を向上させるための酸化カルシウム、水酸化カルシウムなど、熱伝導率を向上させるための金属粉などを配合することができる。
上記の繊維強化樹脂層Aと繊維強化樹脂層Bを積層したバックプレート、あるいは繊維強化樹脂層Cと繊維強化樹脂層Dを積層したバックプレートは、バックプレートの厚さ方向に積層された構造、すなわち、繊維強化樹脂層Aあるいは繊維強化樹脂層Cと繊維強化樹脂層Bあるいは繊維強化樹脂層Dがバックプレートの厚さ方向に直交する方向にそれぞれ延在する構造とする。このような構造とすることで、繊維強化樹脂層Aあるいは繊維強化樹脂層Cが樹脂製バックプレートの強度、靱性を担保するとともに、繊維強化樹脂層Bあるいは繊維強化樹脂層Dがバックプレートの厚さ方向に直交する方向の変位に追随して変形するため振動の吸収能を高めることができる。
バックプレートが2層の繊維強化樹脂層からなる場合の例を図2に示す。図2(a)は、バックプレート1の摩擦材2が配置された側面11に、高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)が配置され、バックプレート1の他方の側面12に変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)が配置され、1層の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)と1層の繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)が、バックプレート1の厚さ方向に積層された例である。
また、図2(b)は、図2(a)とは逆の構成であり、バックプレート1の摩擦材2が配置された側面11に変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)と、バックプレート1の他方の側面12に高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)が、配置、積層された2層の繊維強化樹脂層からなる複合繊維強化樹脂により構成された例である。
バックプレート1の摩擦材2が配置された側面11に、高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)が配置された図2(a)の形態と、バックプレート1の摩擦材2が配置された側面11に変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)が配置された図2(b)の形態を比較すると、バックプレート1の摩擦材2が配置された側面11に、高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)が配置された図2(a)の形態とすることが好ましい。すなわち、制動時に発生する振動は、摩擦材2と図示せぬブレーキディスクが接触することで発生し、摩擦材2を通してバックプレート1に伝達されるが、図2(b)の形態では摩擦材2の振動を、摩擦材2と固着される変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)が直接受けることとなる。この場合、変位する摩擦材2と固着する繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)の面積が小さいため、繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)の一部で局所的な振動を受けることとなる。これに対し、図2(a)の形態では摩擦材2の振動を、摩擦材2と固着される高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)が受けて振動し、この振動を変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)が高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)を介して受けることとなる。この場合、繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)の全面で振動を受けることとなり、変形の応力が分散するため、より効果的に制振を行うことができる。
バックプレートが3層の繊維強化樹脂層からなる場合の例を図3に示す。図3(a)は、バックプレート1の摩擦材2が配置された側面11および他方の側面12に高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)が配置され、これらの高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)に変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)が狭持され、2層の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)と1層の繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)がバックプレート1の厚さ方向に交互に積層された例である。
また、図3(b)は、図3(a)とは逆の構成であり、バックプレート1の摩擦材2が配置された側面11および他方の側面12に変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)が配置され、これらの変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)に高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)が狭持され、2層の繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)と1層の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)がバックプレート1の厚さ方向に交互に積層された例である。
中間層に変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)が配置された図3(a)の形態と、中間層に高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)が配置された図3(b)の形態を比較すると、中間層に変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)が配置された図3(a)の形態のほうが好ましい。すなわち、図3(b)の形態は、上記の図2(b)の形態と同様に、振動する摩擦材2に変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)が固着するため、変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)が受ける振動が局所的となるが、図3(a)の形態では繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)が全面で振動を受けることができ、制振効果が高くなる。
バックプレートが4層の繊維強化樹脂層からなる場合の例を図4に示す。図4(a)は、バックプレート1の摩擦材2が配置された側面11に、高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)が配置され、バックプレート1の他方の側面12に変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)が配置され、これらの高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)および変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)間に、一組の高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)および変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)を介装し、これらの層が、バックプレート1の厚さ方向に交互に積層された例である。すなわち、バックプレート1を、摩擦材2が配置された側面11から順に、高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)、変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)、高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)および変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)と交互に積層した例である。
図4(a)の構成においては、変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)が2層となることにより、各層で受け持つ変位量を小さくすることができ、制振性をより高めることができる。また、高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)が2層となることにより、より効果的にバックプレート1の変形を抑制してバックプレート1の強度、靱性を担保することができるようになる。
また、図4(b)は、図4(a)とは逆の構成であり、バックプレート1の摩擦材2が配置された側面11に、変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)が配置され、バックプレート1の他方の側面12に高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)が配置され、これらの変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)および高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)間に、一組の高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)および変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)を介装し、これらの層が、バックプレート1の厚さ方向に交互に積層された例である。すなわち、バックプレート1を、摩擦材2が配置された側面11から順に、変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)、高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)、変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)および高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)と交互に積層した例である。
図4(b)の構成は、図2(b)の構成と同様に、摩擦材2が変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)に固着される形態であるが、図4(b)の構成においては、変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)が2層となることにより、各層で受け持つ変位量を小さくすることができ、図2(b)の構成のものよりも制振性をより高めることができる。また、高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)が2層となることにより、より効果的にバックプレート1の変形を抑制してバックプレート1の強度、靱性を担保することができるようになる。
上記のように、バックプレートを多層とすることにより、繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)の変位量が小さくなることから、より効果的に制振を行い、鳴きの発生を抑制することができる。また、繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)が多層となることにより各層が受け持つバックプレート1の変形応力が小さくなるため、より効果的にバックプレート1の強度、靱性を担保することができるようになる。
上記の図3(a)および図3(b)に示す3層の繊維強化樹脂層からなるバックプレート1の外側に、最外層と異なる繊維強化樹脂層を配置することで5層の繊維強化樹脂層からなるバックプレート1とすることができ、さらに最外層と異なる繊維強化樹脂層を配置することで、多層の奇数層のバックプレート1を形成することができる。
上記の図4(a)および図4(b)に示す4層の繊維強化樹脂層からなるバックプレート1において、介装する高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)および変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)の組数を増やすことにより、多層の偶数層のバックプレート1を形成することができる。
なお、上記のバックプレート1において、高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)の合計量と変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)の合計量の割合は、バックプレート1の強度および靱性と、変形による制振性の兼ね合いから、繊維強化樹脂層A(繊維強化樹脂層C):繊維強化樹脂層B(繊維強化樹脂層D)=10:90〜60:40の範囲とすることが好ましい。
本発明のバックプレート1と組み合わせる摩擦材2は、2輪用または4輪用ブレーキパッドに用いられる、熱硬化性樹脂、繊維基材、充填材などを含む一般的なものを用いることができる。摩擦材2に含まれる熱硬化性樹脂をバックプレート1に用いる熱硬化性樹脂が熱硬化で相互に化学結合を形成しうる化学成分の組合せとすることで、バックプレート1と摩擦材2を接着材を用いなくても熱圧成形で一体成形することができ、ブレーキパッド1の強度、靭性が向上するだけでなく製造工程の簡略化の観点で好ましい。また、摩擦材2は必要に応じて2層以上の構造とすることができる。例えば、図1(c)に示すような、バックプレート1と摩擦材2の間に、剪断強度が高く熱伝導率の低い中間層3を設けることで、摩擦材2の剪断剥離を抑制するとともに、中間層3が摩擦熱のバックプレート1への伝熱を抑制することでバックプレート1の熱劣化を防ぐことができる。
[ディスクブレーキパッドの製造方法]
上記のバックプレートの作製にあたっては、高強度の繊維強化樹脂層A:1A(繊維強化樹脂層C:1C)を形成する繊維強化樹脂体と、変形が容易な繊維強化樹脂層B:1B(繊維強化樹脂層D:1D)を形成する繊維強化樹脂体を各々作製しておき、この繊維強化樹脂体を積層するとともに、各層を接着剤等で接着することで製造することができる。しかしながら、この方法においては、多層の場合に接着の手間が増加するとともに、層間で剥離が生じる虞がある。
そこで、次のようにしてバックプレートを作製すると、上記の多層のバックプレートを簡便に一括して製造することが可能となり、接着の手間を不要とするとともに、各層の間の結合を強固なものとして層間の剥離の懸念をなくすことができる。
本発明の第1のディスクブレーキパッドの製造方法は、まず、引張り弾性率が150GPa以上の繊維からなる繊維集合体と、引張り弾性率が150GPa未満の繊維からなる繊維集合体をそれぞれ用意しておき、これらの繊維集合体を積層する。この繊維集合体の積層体を熱成形金型に収容し、別に用意した熱硬化性樹脂組成物を繊維集合体の積層体上に散布し、熱成形を行う。このとき、熱成形時に積層体上に散布された熱硬化性樹脂組成物は一旦溶融するが、溶融した熱硬化性樹脂組成物の一部は、毛細管力によって繊維集合体の積層体中に吸収、いわゆる含浸され、余剰の溶融した熱硬化性樹脂組成物は、成形圧力により熱成形金型を充満する。この後、溶融した熱可塑性樹脂組成物は、さらに熱を受けることにより熱硬化して熱硬化樹脂中に各繊維集合体が積層された繊維強化樹脂体となる。
熱成形により得られる繊維強化樹脂体は、熱硬化性樹脂中に、引張り弾性率が150GPa以上の繊維からなる繊維集合体の層と、引張り弾性率が150GPa未満の繊維からなる繊維集合体の層を積層して含有するものとなる。すなわち、熱硬化性樹脂を引張り弾性率が150GPa以上の繊維からなる繊維集合体により強化した繊維強化樹脂層Aと、繊維強化樹脂層Aと同一の熱硬化性樹脂を引張り弾性率が150GPa未満の繊維からなる繊維集合体により強化した繊維強化樹脂層Bからなり、これらの層間が熱硬化性樹脂により強固に結着され一体化したものとなる。
したがって、バックプレートの形状となるよう、引張り弾性率が150GPa以上の繊維からなる繊維集合体と、引張り弾性率が150GPa未満の繊維からなる繊維集合体をそれぞれ用意しておき、熱成形金型の型孔の形状をバックプレートの形状とすれば、上記の方法により、繊維強化樹脂層Aと繊維強化樹脂層Bを積層したバックプレート、あるいは繊維強化樹脂層Cと繊維強化樹脂層Dを積層したバックプレートを容易に製造することができる。また、繊維集合体の厚さ、積層する枚数を調整するのみで、容易に、多層の繊維強化樹脂層を有する繊維強化樹脂製バックプレートを製造することができる。しかも、各繊維強化樹脂層は含浸され硬化した熱硬化性樹脂により強固に固着されたものとなる。
このようにして製造した繊維強化樹脂製バックプレートを従来の鋼製のバックプレートに替えて用いることで、上記のディスクブレーキパッドを製造することができる。すなわち、摩擦材の熱成形金型の型孔に摩擦材組成物の予備成形体を挿入し、次いで、前記予備成形体に接して前記繊維強化樹脂からなるバックプレートを配置する。そして、摩擦材組成物の予備成形体を熱成形して摩擦材を形成する。このとき、摩擦材組成物に含まれる熱硬化性樹脂組成物が一旦溶融し、摩擦材とバックプレート間に滲み出した後、熱硬化することにより繊維強化樹脂からなるバックプレートと摩擦材の固着が行われる。
上記の摩擦材の熱成形においては、従来から行われているように、予備成形体とバックプレート間に接着剤を設けて熱成形し、接着剤により摩擦材とバックプレートの固着を行ってもよい。
上記の本発明の第1のディスクブレーキパッドの製造方法は、予め繊維強化樹脂からなるバックプレートを製造するもので、摩擦材の熱成形は従来と同様に行うことができるが、繊維強化樹脂からなるバックプレートの熱成形と、摩擦材の熱成形を別に行うことからエネルギー効率は悪くなる。そこで、繊維強化樹脂からなるバックプレートの熱成形と、摩擦材の熱成形を同時に行うことにより、エネルギー効率を高めることもできる。
繊維強化樹脂からなるバックプレートの熱成形と、摩擦材の熱成形を同時に行う、本発明の第2のディスクブレーキパッドの製造方法は、まず、引張り弾性率が150GPa以上の繊維からなる繊維集合体と、引張り弾性率が150GPa未満の繊維からなる繊維集合体をそれぞれ用意しておき、これらの繊維集合体を積層して繊維集合体の積層物を用意しておく。また、これに含浸する熱硬化性樹脂組成物を用意しておく。
摩擦材成形用の型孔と、摩擦材成形用の型孔上にバックプレート成形用の型孔を有する熱成形金型を用意し、摩擦材成形用の型孔に摩擦材組成物の予備成形体を挿入し、予備成形の上面と、バックプレート成形用の型孔により形成されるキャビティに繊維集合体の積層物を配置し、さらにその上に熱硬化性樹脂組成物を散布する。
この後、摩擦材の熱成形を行う際に、繊維強化樹脂製バックプレートの熱成形および摩擦材とバックプレートの固着を併せて行う。すなわち、摩擦材の熱成形時に、繊維集合体の積層物上に散布された熱硬化性樹脂組成物が溶融し、溶融した熱硬化性樹脂組成物が繊維集合体の積層物に含浸された後、熱硬化してバックプレートを形成する。この熱成形時に溶融したバックプレートの熱硬化性樹脂組成物の一部、および予備成形体に含まれる熱硬化性樹脂組成物の一部は、摩擦材とバックプレートの界面に滲み出して、その後硬化することにより、バックプレートの熱硬化性樹脂と摩擦材の熱硬化性樹脂により摩擦材とバックプレートは固着される。
ここで、摩擦材に含まれる熱硬化性樹脂と、バックプレートに含まれる熱硬化性樹脂が、相互に化学結合を形成するものを用いることにより、摩擦材とバックプレートの固着がより強固なものとなるので好ましい。摩擦材に含まれる熱硬化性樹脂と、バックプレートに含まれる熱硬化性樹脂を、同じ熱硬化性樹脂としてもよい。また、摩擦材が中間層を介してバックプレートに固着される場合、中間層に含まれる熱硬化性樹脂と、バックプレートに含まれる熱硬化性樹脂が、相互に化学結合を形成するものを用いることにより、摩擦材とバックプレートの固着がより強固なものとすることができ、中間層に含まれる熱硬化性樹脂と、バックプレートに含まれる熱硬化性樹脂を、同じ熱硬化性樹脂としてもよい。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明する。しかし、本発明は構成要件を満たす限り、これら実施例に限定されるものではない。
[第1実施例]
表1および表2に示す繊維を有する繊維強化樹脂層からなる繊維強化樹脂製バックプレートを備えた実施例1〜4および比較例1〜8のディスクブレーキパッド試料を作製した。表1において、実施例1〜4および比較例3〜7のディスクブレーキパッド試料は、バックプレートが厚さ3mmの2層の異なる繊維強化樹脂層により構成されたディスクブレーキパッド試料であり、第1層が摩擦材が配置される側に配置され、第2層が他方側に配置され構成されている。また、比較例1および2のディスクブレーキパッド試料は、バックプレートが厚さが6mmの単層の繊維強化樹脂層により構成されたディスクブレーキパッド試料である。比較例8のディスクブレーキパッド試料は、バックプレートが厚さが6mmの従来の鋼板(単層)からなるディスクブレーキパッド試料である。
実施例1〜4および比較例1〜7のディスクブレーキパッドの作製にあたっては、繊維集合体(織布)または短繊維粉末を積層し、熱硬化性樹脂をコンプレッション法で含浸した繊維強化樹脂製のバックプレートを製作し、摩擦材と圧着することで作製した。各繊維強化樹脂層における繊維分の割合は50質量%であり、残部はフェノール樹脂とエポキシ樹脂と触媒からなる熱硬化性樹脂で構成した。また、摩擦材は、自動車用に用いられる一般的なノンアスベストオーガニック材(日立化成株式会社製HP63H)を用いた。
なお、表1および表2の繊維強化樹脂の曲げ強さは、同一素材の複数の織布を積層し、この積層物に熱硬化性樹脂組成物を含浸して作製した1種類の繊維強化樹脂からなる曲げ強さ試験片を作製し、この曲げ強さ試験片をJIS規格のK6911に準じた3点曲げ試験で測定下曲げ強さの値である。具体的には、試験片サイズとして幅5mm×厚さ1mmの試験片を用い、支点間距離:20mmm、クロスヘッド速度:2mm/min、環境温度:25℃として、織布の積層方向に対し水平方向の曲げ強度を測定したときの曲げ強さの値である。
実施例1〜3および比較例1〜7のディスクブレーキパッドを用いてブレーキダイナモ試験を行い、バックプレートの耐久性・強度、およびブレーキ鳴きの評価を行った。評価にあたっては、一般的なピンスライド式のコレット対応のキャリパー、ベンチレーテッドディスクローターを用い、イナーシャ7kgf・m・sで評価を行った。
(バックプレートの耐久性、強度の評価方法)
車速65km/h、減速度0.35Gの制動を50回繰り返し、ブレーキ温度が500℃まで昇温するサイクルを50回繰り返した後、バックプレート部の外観の欠陥(折損、欠け、クラック)の有無を確認し、バックプレート部の折損、欠け、クラックの発生が無いものを「○」、バックプレート部の折損は無いが、欠けまたはクラックが発生したものを「△」、バックプレート部が折損を「×」として耐久性、強度を評価した。この評価結果を表1および表2に示す。
(ブレーキ鳴き評価方法)
SAE規格J2521(Noise squeal matrix dynamometer test)に従って70dB以上のブレーキ鳴きの発生率を評価した。ここで、鳴き発生率については下記の計算式により求め、鳴き発生率が1%未満のものを「○」、鳴き発生率が1%以上〜5%未満のものを「△」、鳴き発生率が5%以上のものを「×」として評価した。この評価結果についても表1および表2に併せて示す。
鳴き発生率(%)=70dB以上の鳴き発生回数(回)/制動回数(回)×100
表1および表2より、引張り弾性率が150GPa以上の繊維からなる繊維集合体により強化された繊維強化樹脂層と、引張り弾性率が150GPa未満の繊維からなる繊維集合体により強化された繊維強化樹脂層を積層したバックプレートを用いた実施例1〜4のディスクブレーキパッド試料は、クラック試験後の外観に折損、欠け、クラックが認められず実用上問題ない強度および靱性を有すること、および鳴き発生率が1%未満であり、鳴きの発生を抑制できることが確認された。
また、引張り弾性率が150GPa以上の繊維からなる繊維集合体により強化された繊維強化樹脂層は、曲げ強さが400MPa以上であり、引張り弾性率が150GPa未満の繊維からなる繊維集合体により強化された繊維強化樹脂層は、曲げ強さが400MPa未満となり、曲げ強さが400MPa以上の繊維強化層と、曲げ強さが400MPa未満の繊維強化層の組み合わせについても実用上問題ない強度および靱性を有すること、および鳴き発生率が1%未満であり、鳴きの発生を抑制できることが確認された。
これに対し、単層の繊維強化樹脂層からなるバックプレートを用いた比較例1および2のディスクブレーキパッド試料、および2層の繊維強化樹脂層からなるバックプレートであっても、引張り弾性率が150GPa以上の繊維からなる繊維集合体により強化された繊維強化樹脂層のみの比較例3のディスクブレーキパッド試料、引張り弾性率が150GPa未満の繊維からなる繊維集合体により強化された繊維強化樹脂層のみの比較例4のディスクブレーキパッド試料、繊維集合体を用いない比較例5〜7のディスクブレーキパッド試料は、クラック試験後の外観および鳴き発生率のいずれかまたは両者に問題があることが確認された。
また、比較例8の鋼板からなるバックプレートを用いた従来のディスクブレーキパッドは、試験後の外観については問題ないものの、鳴き発生率が5%以上であることがわかる。このような従来のディスクブレーキパッドに対し、本発明のディスクブレーキパッド(実施例1〜4)は鳴きの発生を抑制できることが確認された。なお、比較例8のディスクブレーキパッド試料における鋼板製バックプレートの質量は200gであるが、本発明のディスクブレーキパッド試料(実施例1〜4)はバックプレートの質量が40gであり、従来のディスクブレーキパッドに替えて、本発明のディスクブレーキパッドを用いると、1つのディスクブレーキパッドあたり、160gの質量の低減を図ることができる。
[第2実施例]
第1実施例において、実施例1のディスクブレーキパッド試料の第1層で用いた繊維強化樹脂層を繊維強化樹脂層A、実施例1のディスクブレーキパッド試料の第2層で用いた繊維強化樹脂層を繊維強化樹脂層Bとし、これらの繊維強化樹脂層の配置を変えて表3に示す実施例5〜6のディスクブレーキパッド試料を作製した。これらのディスクブレーキパッド試料についても第1実施例と同様にして、試験後の外観の観察、鳴き発生率の測定を行った。これらの結果を表3に示す。また、表3には第1実施例における実施例1のディスクブレーキパッド試料の結果を併せて示す。
表3より、実施例1のディスクブレーキパッド試料は、2層の異なる繊維強化樹脂層より構成され、バックプレートの摩擦材側に高強度の繊維強化樹脂層Aが、バックプレートの他方側に変形が容易な繊維強化樹脂層Bがそれぞれ配置された構造であるが、バックプレートの摩擦材側に変形が容易な繊維強化樹脂層Bを配置し、バックプレートの他方側に高強度の繊維強化樹脂層Aを配置した実施例5のディスクブレーキパッド試料もクラック試験後の外観に折損、欠け、クラックが認められず実用上問題ない強度および靱性を有すること、および鳴き発生率が1%未満であり、鳴きの発生を抑制できることが確認され、高強度の繊維強化樹脂層Aと変形が容易な繊維強化樹脂層Bの配置を入れ替えてもよいことが確認された。
また、高強度の繊維強化樹脂層Aおよび変形が容易な繊維強化樹脂層Bを積層し、3層とした実施例6のディスクブレーキパッド試料、5層とした実施例7のディスクブレーキパッド試料についても、クラック試験後の外観に折損、欠け、クラックが認められず実用上問題ない強度および靱性を有すること、および鳴き発生率が1%未満であり、鳴きの発生を抑制できることが確認され、多層としてもよいことが確認された。
本発明のディスクブレーキパッドは、実用上問題のない強度と靱性を備えるとともに、制振性に優れ鳴きの発生を抑制することができるものであり、かつ軽量であることから、二輪車又は四輪自動車の制動に用いられているディスクブレーキパッドとして好適なものである。
1 バックプレート
11 バックプレートの摩擦材が配置される側面
12 バックプレートの他方の側面
1A 繊維強化樹脂層A
1B 繊維強化樹脂層B
1C 繊維強化樹脂層C
1D 繊維強化樹脂層D
2 摩擦材
3 中間層

Claims (14)

  1. 熱硬化性樹脂を含む摩擦材とバックプレートとを備え、前記バックプレートの一方の側面に前記摩擦材が配置されるディスクブレーキパッドにおいて、
    前記バックプレートが、
    熱硬化性樹脂を引張り弾性率が150GPa以上の繊維からなる繊維集合体により強化した繊維強化樹脂層Aと、
    熱硬化性樹脂を引張り弾性率が150GPa未満の繊維からなる繊維集合体により強化した繊維強化樹脂層Bからなり、
    少なくとも1層の前記繊維強化樹脂層Aと、少なくとも1層の前記繊維強化樹脂層Bが厚さ方向に積層された複合繊維強化樹脂からなるディスクブレーキパッド。
  2. 前記バックプレートが、前記バックプレートの摩擦材が配置される側面に、前記繊維強化樹脂層Aおよび前記繊維強化樹脂層Bのうちの一方の繊維強化樹脂層が配置され、前記バックプレートの他方の側面に前記繊維強化樹脂層Aおよび前記繊維強化樹脂層Bのうちの他方の繊維強化樹脂層が配置されて積層された複合繊維強化樹脂からなる請求項1に記載のディスクブレーキパッド。
  3. 前記バックプレートが、3層以上の繊維強化樹脂層で形成され、前記バックプレートの摩擦材が配置される側面および前記バックプレートの他方の側面に前記繊維強化樹脂層Aおよび前記繊維強化樹脂層Bのうちの一方の繊維強化樹脂層が配置され、かつ前記バックプレートの摩擦材が配置される側面および前記バックプレートの他方の側面以外の中間層に少なくとも1層の前記繊維強化樹脂層Aおよび前記繊維強化樹脂層Bのうちの他方の繊維強化樹脂層が配置されて積層された複合繊維強化樹脂からなる請求項1に記載のディスクブレーキパッド。
  4. 前記繊維強化樹脂層Aの熱硬化性樹脂と、前記繊維強化樹脂層Bの熱硬化性樹脂が同じ熱硬化性樹脂からなる請求項1〜3のいずれかに記載のディスクブレーキパッド。
  5. 前記バックプレートの一方の側面に、前記摩擦材が結着されたディスクブレーキパッドにおいて、前記摩擦材に含まれる熱硬化性樹脂と、前記バックプレートの摩擦材が配置される側面に配置される前記繊維強化樹脂層Aの熱硬化性樹脂または前記繊維強化樹脂層Bに含まれる熱硬化性樹脂が、相互に化学結合を形成している請求項1〜4のいずれかに記載のディスクブレーキパッド。
  6. 前記バックプレートの一方の側面に、前記摩擦材が熱硬化樹脂を含有する中間層を介して結着されたディスクブレーキパッドにおいて、前記中間層に含まれる熱硬化性樹脂と、前記バックプレートの摩擦材が配置される側面に配置される前記繊維強化樹脂層Aの熱硬化性樹脂または前記繊維強化樹脂層Bに含まれる熱硬化性樹脂が、相互に化学結合を形成している請求項1〜4のいずれかに記載のディスクブレーキパッド。
  7. 熱硬化性樹脂を含む摩擦材とバックプレートとを備え、前記バックプレートの一方の側面に前記摩擦材が配置されるディスクブレーキパッドにおいて、
    前記バックプレートが、
    熱硬化性樹脂が繊維集合体により強化され400MPa以上の曲げ強さを有する繊維強化樹脂層Cと、
    熱硬化性樹脂が繊維集合体により強化され400MPa未満の曲げ強さを有する繊維強化樹脂層Dとからなり、
    少なくとも1層の前記繊維強化樹脂層Cと、少なくとも1層の前記繊維強化樹脂層Dが厚さ方向に積層された複合繊維強化樹脂からなるディスクブレーキパッド。
  8. 前記バックプレートの摩擦材が配置される側面に、前記繊維強化樹脂層Cおよび前記繊維強化樹脂層Dのうちの一方の繊維強化樹脂層が配置され、前記バックプレートの他方の側面に前記繊維強化樹脂層Cおよび前記繊維強化樹脂層Dのうちの他方の繊維強化樹脂層が配置されて積層された複合繊維強化樹脂からなる請求項7に記載のディスクブレーキパッド。
  9. 前記バックプレートが、3層以上の繊維強化樹脂層で形成され、前記バックプレートの摩擦材が配置される側面および前記バックプレートの他方の側面に前記繊維強化樹脂層Cおよび前記繊維強化樹脂層Dのうちの一方の繊維強化樹脂層が配置され、かつ前記バックプレートの摩擦材が配置される側面および前記バックプレートの他方の側面以外の中間層に少なくとも1層の前記繊維強化樹脂層Cおよび前記繊維強化樹脂層Dのうちの他方の繊維強化樹脂層が配置されて積層された複合繊維強化樹脂からなる請求項7に記載のディスクブレーキパッド。
  10. 前記繊維強化樹脂層Cの熱硬化性樹脂と、前記繊維強化樹脂層Dの熱硬化性樹脂が同じ熱硬化性樹脂からなる請求項7〜9のいずれかに記載のディスクブレーキパッド。
  11. 前記バックプレートの一方の側面に、前記摩擦材が結着されたディスクブレーキパッドにおいて、前記摩擦材に含まれる熱硬化性樹脂と、前記バックプレートの摩擦材が配置される側面に配置される前記繊維強化樹脂層Aの熱硬化性樹脂または前記繊維強化樹脂層Bに含まれる熱硬化性樹脂が、相互に化学結合を形成している請求項7〜10のいずれかに記載のディスクブレーキパッド。
  12. 前記バックプレートの一方の側面に、前記摩擦材が熱硬化樹脂を含有する中間層を介して結着されたディスクブレーキパッドにおいて、前記中間層に含まれる熱硬化性樹脂と、前記バックプレートの摩擦材が配置される側面に配置される前記繊維強化樹脂層Aの熱硬化性樹脂または前記繊維強化樹脂層Bに含まれる熱硬化性樹脂が、相互に化学結合を形成している請求項7〜10のいずれかに記載のディスクブレーキパッド。
  13. 熱硬化性樹脂組成物を含む摩擦材組成物を予備成形した予備成形体と、
    引張り弾性率が150GPa以上の繊維からなる繊維集合体と、
    引張り弾性率が150GPa未満の繊維からなる繊維集合体と、
    熱硬化性樹脂組成物を用意し、
    前記引張り弾性率が150GPa以上の繊維からなる繊維集合体と、前記引張り弾性率が150GPa未満の繊維からなる繊維集合体を積層した、繊維集合体積層物に前記熱硬化樹脂を含浸し、硬化させて繊維強化樹脂からなるバックプレートを形成しておき、
    熱成形金型の型孔に前記予備成形体を挿入し、
    次いで、前記予備成形体に接して前記繊維強化樹脂からなるバックプレートを配置し、
    熱成形金型により前記予備成形体を熱成形して摩擦材を形成するとともに、前記繊維強化樹脂からなるバックプレートと前記摩擦材の固着を行うディスクブレーキパッドの製造方法。
  14. 熱硬化性樹脂組成物を含む摩擦材組成物を予備成形した予備成形体と、
    引張り弾性率が150GPa以上の繊維からなる繊維集合体と、
    引張り弾性率が150GPa未満の繊維からなる繊維集合体と、
    熱硬化性樹脂組成物を用意し、
    熱成形金型の型孔に前記予備成形体を挿入し、
    次いで、前記予備成形体に接して前記引張り弾性率が150GPa以上の繊維からなる繊維集合体および前記引張り弾性率が150GPa未満の繊維からなる繊維集合体を積層して配置し、
    さらに、積層した繊維集合体に接して前記熱硬化性樹脂組成物を配置し、
    熱成形金型により前記予備成形体を熱成形して摩擦材を形成するとともに、
    積層した繊維集合体に前記熱硬化性樹脂組成物を含浸し熱硬化させて、繊維強化樹脂からなるバックプレートを形成するとともに、積層した繊維集合体に含浸された熱硬化性樹脂組成物により、前記繊維強化樹脂からなるバックプレートと前記摩擦材の固着を行う、ディスクブレーキパッドの製造方法。
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