JP6605322B2 - 工具の表面改質方法 - Google Patents
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Description
まず、工具1の転造成形面5に施すショットピーニング処理の条件と、処理後に得られる転造成形面5の硬さとの関係について評価するための評価試験を行った。この評価試験では、工具1のサンプルを63個用意した。評価試験に用いたサンプルは、JISに規定するSKH51高速度工具鋼鋼材を用い、 L50mm×B50mm×H10mmの寸法で作製したねじ転造平ダイスである。サンプルは、3個ずつ21種に分類した。表面を改質する前のサンプルを#21とし、JIS Z 2244に準じて#21の硬さを測定したところ、890HVであった。なお、工具1の表層部の硬さは、1種あたり3個のサンプルに対して夫々ビッカース硬さを測定し、それらの平均値を算出して求めた。
条件(1) 投射量制御弁23,26の制御によって、超硬合金粒子30に対する硬質粒子40の含有量を10〜80wt%の範囲で調整し、投射材におけるセラミックス含有量の違いによる評価を行った。
条件(2) 流量制御弁13の制御によって、ショットピーニング装置10の噴射圧を0.1〜1.0MPaの範囲で調整し、噴射圧の違いによる評価を行った。
条件(3) タングステンカーバイドにコバルトを16wt%含有させて、0.05〜1.2mmの範囲の粒径に造粒した超硬合金粒子30を用意し、粒径の違いによる評価を行った。
条件(4) アルミナを用い、0.3〜1.2mmの範囲の粒径に造粒した硬質粒子40を用意し、粒径の違いによる評価を行った。
#1〜#20の各サンプルには、夫々、ショットピーニング処理を4時間施した後、#21と同様に工具1の表層部の硬さの平均値を求めた。この評価試験の結果を表1に示す。
#1,#2,#11,#18,#19のサンプルは、粒径0.4mmの超硬合金粒子30に粒径0.6mmの硬質粒子40が10〜80wt%の範囲で含有されるように調整した投射材を、噴射圧0.7MPaで4時間投射したものである。図3に示すように、硬質粒子40の含有率を20〜60wt%に調整してショットピーニング処理を行ったサンプル#2,#11,#18は、処理後の工具1の表層部の硬さが1000HV以上であった。これに対し、硬質粒子40の含有率が10wt%のサンプル#1と、80wt%のサンプル#19は、ショットピーニング処理後の工具1の表層部の硬さが、ショットピーニング処理前のサンプル#21よりは向上したものの1000HVには満たなかった。
#3〜#5,#10,#17のサンプルは、粒径0.4mmの超硬合金粒子30に粒径0.6mmの硬質粒子40が40wt%含有されるように調整した投射材を、噴射圧0.1〜1.0MPaの範囲で4時間投射したものである。図4に示すように、噴射圧を0.2MPa以上でショットピーニング処理を行ったサンプル#4,#5,#10,#17は、処理後の工具1の表層部の硬さが1000HV以上であった。また、噴射圧が0.1〜0.3MPaの範囲では、噴射圧が高くなるほど工具1の表層部の硬さを向上できるが、噴射圧0.3MPa以上になると、処理後の工具1の表層部の硬さは1050HV以上となるものの、ほぼ一定の硬さとなった。これに対し、噴射圧0.1MPaでショットピーニング処理を行ったサンプル#3は、処理後の工具1の表層部の硬さが1000HVには満たなかった。
#6,#7,#10,#14,#15のサンプルは、粒径が0.05〜1.2mmの範囲の超硬合金粒子30に粒径0.6mmの硬質粒子40が40wt%含有されるように調整した投射材を、噴射圧0.7MPaで4時間投射したものである。図5に示すように、粒径が0.1〜0.4mmの範囲の超硬合金粒子30を用いてショットピーニング処理を行ったサンプル#7,#10は、処理後の工具1の表層部の硬さが1000HV以上であった。これに対し、超硬合金粒子30の粒径が0.05mmのサンプル#6と、0.6mmのサンプル#14と、1.2mmのサンプル#15は、ショットピーニング処理後の工具1の表層部の硬さが、ショットピーニング処理前のサンプル#21よりは向上したものの1000HVには満たなかった。
#8〜#13のサンプルは、粒径0.4mmの超硬合金粒子30に粒径が0.3〜1.2mmの範囲の硬質粒子40が40wt%含有されるように調整した投射材を、噴射圧0.7MPaで4時間投射したものである。図6に示すように、粒径が0.4〜1.1mmの範囲の硬質粒子40を用いてショットピーニング処理を行ったサンプル#9〜#12は、処理後の工具1の表層部の硬さが1000HV以上であった。これに対し、硬質粒子40の粒径が0.3mmのサンプル#8と、1.2mmのサンプル#13は、ショットピーニング処理後の工具1の表層部の硬さが、ショットピーニング処理前のサンプル#21よりは向上したものの1000HVには満たなかった。
次に、超硬合金粒子30に含有するコバルトの含有量で、ショットピーニング処理に適した含有量について評価するため、評価試験を行った。この評価試験では、コバルトの含有量を10〜18wt%の範囲で調整した粒径0.7mm未満の超硬合金粒子30を造粒した。ショットピーニング処理前に、コバルトの含有量ごとに、超硬合金粒子30の粒径を測定し、粒径分布を調べた。そして超硬合金粒子30のみを投射材とし、コバルトの含有量ごとに噴射圧0.6MPaで4時間投射を行った後、超硬合金粒子30を回収し、ショットピーニング処理後の粒径を測定して粒径分布を調べた。この評価試験の結果を図7のグラフに示す。
次に、本実施形態に係る工具1の表面を改質する処理を行ったことの効果を確認するため、評価試験を行った。この評価試験では、実施例1と同様に、工具1のサンプルを9個用意した。サンプルは3個ずつ3種類に分類した。#31のサンプルは、表面を改質する前のサンプルである。#32と#33のサンプルには、夫々、実施例1と同様に、ショットピーニング処理を施した。ショットピーニング処理では、#32と#33のサンプルに対し、コバルトを16wt%含有する粒径0.4mmの超硬合金粒子30に、粒径0.6mmのアルミナからなる硬質粒子40が40wt%含有されるように調整した投射材を、噴射圧0.7MPaで4時間投射した。更に、#33のサンプルには、窒化処理を施した。窒化処理では、#33のサンプルに対するイオン窒化処理を施し、転造成形面5から50μmの深さに達する窒素拡散層3を形成した。なお、JIS G 0562に準じて窒素拡散層3の深さを測定し、窒素拡散層3の形成を確認した。
硬質粒子40の粉砕粒41が、工具1の硬質層2に埋設されたことを確認するため、EPMA(Electron probe microanalysis)による分析を行った。工具1の断面の電子顕微鏡写真と、EPMAによる分析結果を図10に示す。なお、図10において、工具1の転造成形面5は紙面左側に位置し、紙面右方向が、表層部の内部方向である。従って、ショットピーニング処理において投射材を投射した方向は、紙面左側から右側へ向かう方向である。EPMAによる分析は、工具1の転造成形面5付近を切断し、断面を鏡面研磨した後、走査ラインSに沿って側定点を0.1μmずつ移動させながら測定した。測定点に対応する位置におけるアルミニウムの検出結果は、Alとして電子顕微鏡写真に重ねて示す。
2 硬質層
3 窒素拡散層
5 転造成形面
10 ショットピーニング装置
14 ノズル
15,16 導入口
17 投射口
19 圧縮空気
30 超硬合金粒子
40 硬質粒子
41 粉砕粒
Claims (7)
- ワークを加工するための金属製の工具の表面を改質する工具の表面改質方法であって、
投射ノズルから噴射する媒体に投射材を乗せて前記工具の母材の表面に投射するショットピーニング装置の前記投射ノズルに前記投射材の第一導入口と第二導入口を設け、
前記第一導入口から導入する前記投射材として超硬合金粒子を導入し、
前記第二導入口から導入する前記投射材としてセラミックスを主成分に含む硬質粒子を導入し、
前記投射ノズル内で前記超硬合金粒子と前記硬質粒子を混合し、前記媒体に乗せて、前記母材の表面に投射することを特徴とする工具の表面改質方法。 - 前記第一導入口と前記第二導入口は、前記投射ノズルから前記媒体を噴射する投射口の近傍に設けたことを特徴とする請求項1に記載の工具の表面改質方法。
- 前記超硬合金粒子は、粒径が0.1mm以上0.5mm以下でコバルトを12〜16wt%含有し、
前記硬質粒子は、粒径が0.5mm以上1.0mm以下であること
を特徴とする請求項1または2に記載の工具の表面改質方法。 - 前記投射材は、前記超硬合金粒子に対する前記硬質粒子の含有率が、20wt%以上60wt%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の工具の表面改質方法。
- 前記ショットピーニング装置は、0.3MPa以上0.9MPa以下の噴射圧で前記媒体を噴射することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の工具の表面改質方法。
- 前記ショットピーニング装置で前記母材の表面を改質した後、更に、前記母材の表面に対し、前記母材の表面から内部へ向けて窒素を浸透させる窒化処理を施すことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の工具の表面改質方法。
- 前記窒化処理では、前記母材の表面から内部へ向けて少なくとも40μm以上の深さに窒素を浸透させることを特徴とする請求項6に記載の工具の表面改質方法。
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