JP6603779B1 - 光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法 - Google Patents

光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 アルミニウムの濃度とリンの濃度との差が適切に調節された光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】 光ファイバ母材の製造方法は、アルミニウムとリンとが所定の濃度差となるように添加され、希土類元素が所定の濃度となるように添加されたコア部11Pを有する測定用光ファイバ母材1Pを準備し、希土類元素が吸収する波長帯域の測定光をコア部11Pに照射し、コア部11Pを透過する測定光のスペクトルに基づいてコア部11Pに吸収される光の吸収スペクトルを取得し、吸収スペクトルに基づいてコア部11Pに添加されるアルミニウムとリンとの濃度差を推定し、推定された濃度差よりも所定の濃度差に近づくように製造される光ファイバ母材の製造条件を決定し、決定された製造条件で光ファイバ母材を製造する。【選択図】 図2

Description

本発明は、光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法に関し、特に、コアに添加されるアルミニウムの濃度とリンの濃度との差が適切に調節された光ファイバ母材及び光ファイバを製造する場合に好適なものである。
光ファイバの一つとして、コアにイッテルビウム(Yb)等の希土類元素が添加される光ファイバが知られている。イッテルビウムが添加される光ファイバでは、イッテルビウムの結晶化を抑制するため、アルミニウム(Al)を共添加することが行われている。しかし、アルミニウムは屈折率を上昇させる性質を有する。このため、リン(P)をアルミニウムと共添加することが行われている。下記非特許文献1には、リンは、アルミニウムと共添加されると、屈折率の上昇を抑える性質を有していることが記載されている。従って、イッテルビウムに加えて、アルミニウムとリンとが共添加されることで、イッテルビウムの添加量を増加させることができ光の実効断面積(Aeff)を大きくすることができる。また、下記特許文献1に記載のように、イッテルビウムに加えて、アルミニウムとリンとが共添加されることで、フォトダークニングを抑制することができることが知られている。
光ファイバ母材を製造する場合に、所定の濃度のドーパントを添加したつもりであっても、作製された光ファイバ母材において添加されたドーパントの濃度が所定の濃度から僅かにずれてしまうことがある。この原因として、光ファイバ母材の製造工程における様々な要因が考えられる。従って、次に製造する光ファイバ母材の屈折率を調整する等の理由から、製造された光ファイバ母材のコア部に添加されるドーパントの濃度を特定することは重要である。例えば、下記特許文献2には、光ファイバ母材のコア部に添加されるドーパントの濃度を測定する測定方法が記載されている。具体的には、光ファイバ母材のコア部に白色光を照射して、吸収される光のピーク波長と吸収量とから、コア部に添加されるドーパントの種類と濃度とを推定するというものである。
D.J. Digiovanni et al., "STRUCTURE AND PROPERTIES OF SILICA CONTAINING ALUMINUM AND PHOSPHORUS NER RHE AlPO4 JOIN", Journal of Non-Crystalline Solids 133, 58-64 (1989)
国際公開第2010/52907号 特開2004−150934号公報
ところで、上記のようにアルミニウムとリンとが共添加されることで屈折率の上昇を抑えることができ、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差に起因する屈折率の変化は、イッテルビウムの添加量に起因する屈折率の変化よりも大きい傾向にある。従って、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差が重要な要素となる。しかし、上記特許文献2には、リンの濃度の測定についての考察が記載されておらず、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差についての考察も記載されていない。従って、上記特許文献2のドーパントの濃度を測定する測定方法によりドーパントの濃度を測定してもアルミニウムの濃度とリンの濃度との差を正確に把握できていない。このため、測定結果を次に製造する光ファイバ母材に添加するドーパントの量に反映することができない。上記のように、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差は重要な要素であるため、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差が適切に調節された光ファイバ母材の製造方法及び光ファイバの製造方法が望まれている。
そこで、本発明は、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差が適切に調節された光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の光ファイバ母材の製造方法は、アルミニウムとリンとが所定の濃度差となるように添加され、希土類元素が所定の濃度となるように添加されたコア部を有する測定用光ファイバ母材を準備する準備工程と、前記希土類元素が吸収する波長帯域の測定光を前記コア部に照射する照射工程と、前記コア部を透過する前記測定光のスペクトルに基づいて前記コア部に吸収される光の吸収スペクトルを取得する取得工程と、前記吸収スペクトルに基づいて前記コア部に添加されるアルミニウムとリンとの濃度差を推定する濃度差推定工程と、前記濃度差推定工程で推定された前記濃度差よりも前記所定の濃度差に近づくように製造される光ファイバ母材の製造条件を決定する決定工程と、前記決定工程で決定された製造条件で前記光ファイバ母材を製造する製造工程と、を備えることを特徴とするものである。
本発明者の鋭意検討の結果、希土類元素とアルミニウムとリンとが共添加されたコア部に光を透過させる場合に、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差が変化することで、コア部に吸収される光のスペクトルが変化することが見出された。これはアルミニウムの濃度とリンの濃度との差が変化すると、希土類元素の周りに存在するアルミニウム及びリンの状態が変化するため希土類元素の電子の状態が変化することに起因すると考えられる。そこで、コア部を透過する測定光からコア部に吸収される光の吸収スペクトルを取得して、当該吸収スペクトルに基づいてアルミニウムの濃度とリンの濃度との差を推定する。このため、本発明では、推定された濃度の差を測定値として、光ファイバ母材のコア部に添加されたアルミニウムの濃度とリンの濃度との差を測定し得る。そして、この製造方法により製造される光ファイバ母材は、濃度差推定工程で推定された濃度差よりも所定の濃度差に近づくように製造される。従って、測定用光ファイバ母材よりもアルミニウムとリンとの濃度差が適切に調節された光ファイバ母材を製造し得る。また、製造された光ファイバ母材を測定用光ファイバ母材とすることで、次に製造される光ファイバ母材のアルミニウムとリンとの濃度差をさらに適切に調節し得る。
また、前記濃度差推定工程において、前記吸収スペクトルにおけるピーク波長のシフト量に基づいてアルミニウムの濃度とリンの濃度との差が推定されることが好ましい。
本発明者の鋭意検討の結果、アルミニウムが過剰に添加されると吸収スペクトルのピーク波長が長波長側にシフトし、リンが過剰に添加されると当該ピーク波長が短波長側にシフトすることが見出された。従って、このシフト量を測定することで、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差を推定することができる。
或いは、前記濃度差推定工程において、前記吸収スペクトルにおけるピークの帯域幅の変化量に基づいてアルミニウムの濃度とリンの濃度との差が推定されることが好ましい。
本発明者の鋭意検討の結果、アルミニウムが過剰に添加されると吸収スペクトルのピークを描く曲線が緩やかになり、リンが過剰に添加されると当該ピークを描く曲線が急峻になることが見出された。つまり、アルミニウムが過剰に添加されると吸収スペクトルのピークの帯域幅が大きくなり、リンが過剰に添加されると当該ピークの帯域幅が小さくなる。このピークの帯域幅は、例えば、吸収量がピークの90%とされる波長帯域の幅とされる。このピークの帯域幅の変化量は、上記のピーク波長のシフト量よりも大きい。従って、吸収スペクトルにおけるピークの帯域幅の変化量に基づくことで、より正確にアルミニウムの濃度とリンの濃度との差を推定することができる。
また、前記照射工程において、前記測定光は前記測定用光ファイバ母材の一方の端面から入射されることが好ましい。
この場合、測定光は測定用光ファイバ母材の長手方向を伝搬して、その一部がコア部に吸収される。従って、コア部に吸収される測定光の量を多くすることができ、より明確な吸収スペクトルを取得することができ、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差をより正確に推定することができる。
或いは、前記照射工程において、前記測定光は前記測定用光ファイバ母材の側面から入射されることとしても良い。
測定光が測定用光ファイバ母材の側面から入射されると、コア部を横切るように測定光が透過するため、コア部に吸収される測定光の量を少なくすることができる。従って、パワーの小さな測定光を用いることができる。
上記のように、前記測定光が前記測定用光ファイバ母材の側面から入射される場合、前記測定光は前記測定用光ファイバ母材の長手方向に沿って移動しながら入射されることが好ましい。
この場合、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差の測定用光ファイバ母材の長手方向に沿った変化を測定することができる。
また、上記のように、前記測定光が前記測定用光ファイバ母材の側面から入射される場合、前記測定光の直径は前記コア部の直径よりも小さいことが好ましい。
この場合、測定光の直径がコア部の直径よりも大きい場合と比べて、吸収スペクトルの分解能を高くすることができる。
また、前記製造工程は、アルミニウムを含有するアルミニウム含有媒体を用いて、製造される前記光ファイバ母材の前記コア部となるガラス体にアルミニウムを添加するアルミニウム添加工程を含み、前記決定工程では、前記アルミニウム含有媒体中のアルミニウムの濃度を決定することが好ましい。
このようにアルミニウム含有媒体中のアルミニウムの濃度を決定することで、製造される光ファイバ母材のコア部に添加されるアルミニウムの濃度を直接的に変化させることができる。このようなアルミニウム含有媒体は、液体の場合と気体の場合とがある。
この場合、前記製造工程は、前記ガラス体を形成するガラス体形成工程を含み、前記アルミニウム添加工程は、前記ガラス体形成工程と同時に行われることが好ましい。
このようにすることで、ガラス体形成工程の後にアルミニウム添加工程を行う場合と比べて工程数を削減し得る。
また、前記製造工程は、リンを含有するリン含有媒体を用いて、製造される前記光ファイバ母材の前記コア部となるガラス体にリンを添加するリン添加工程を含み、前記決定工程では、前記リン含有媒体中のリンの濃度を決定することが好ましい。
このようにリン含有媒体中のリンの濃度を決定することで、製造される光ファイバ母材のコア部に添加されるリンの濃度を直接的に変化させることができる。このようなリン含有媒体は、液体の場合と気体の場合とがある。
この場合、前記製造工程は、前記ガラス体を形成するガラス体形成工程を含み、前記リン添加工程は、前記ガラス体形成工程と同時に行われることが好ましい。
このようにすることで、ガラス体形成工程の後にリン添加工程を行う場合と比べて工程数を削減し得る。
また、前記濃度差推定工程で推定された前記コア部に添加されるアルミニウムの濃度とリンの濃度との差と、前記希土類元素が吸収する前記測定光の吸収量に基づいて、前記測定用光ファイバ母材の前記コア部に添加される希土類元素の濃度を推定する希土類元素濃度推定工程を更に備えることが好ましい。
一般的に、コア部で吸収される光の量によりコア部に添加される希土類元素の濃度を推定することが行われている。しかし、上記のように、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差が変化すると、吸収スペクトルが変化する。このため、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差が未知の状態で、コア部で吸収される光の量から希土類元素の濃度を推定しても、推定される希土類元素の濃度が不正確となる可能性が高い。しかし、上記の光ファイバの製造方法によれば、コア部に添加されるアルミニウムの濃度とリンの濃度との差と、コア部で吸収される測定光の量とから、コア部に添加される希土類元素の濃度を推定するため、推定された濃度を測定値として、コア部に添加される希土類元素の濃度を高い精度で測定することができる。
この場合、前記決定工程では、前記希土類元素濃度推定工程で推定された前記濃度よりも前記所定の濃度に近づくように製造される前記光ファイバ母材の製造条件を決定することが好ましい。
このような製造条件で光ファイバ母材が製造されることで、添加される希土類元素の濃度をより適切にされた光ファイバ母材を製造し得る。
さらにこの場合、前記製造工程は、前記希土類元素含有する希土類元素含有媒体を用いて、製造される前記光ファイバ母材の前記コア部となるガラス体に前記希土類元素を添加する希土類元素添加工程を含み、前記決定工程では、前記希土類元素含有媒体中の前記希土類元素の濃度を決定することが好ましい。
このように希土類元素溶液中の希土類元素の濃度を決定することで、製造される光ファイバ母材のコア部に添加される希土類元素の濃度を直接的に変化させることができる。このような希土類元素含有媒体は、液体の場合と気体の場合とがある。
この場合、前記製造工程は、前記ガラス体を形成するガラス体形成工程を含み、前記希土類元素添加工程は、前記ガラス体形成工程と同時に行われることが好ましい。
このようにすることで、ガラス体形成工程の後に希土類元素添加工程を行う場合と比べて工程数を削減し得る。
また、本発明の光ファイバの製造方法は、上記のいずれかに記載の光ファイバ母材の製造方法で製造された前記光ファイバ母材を線引きする線引工程を備えるものである。
上記の光ファイバ母材の製造方法は、製造される光ファイバ母材のアルミニウムとリンとの濃度差を適切に調節し得る。従って、本光ファイバの製造方法によれば、アルミニウムとリンとの濃度差が適切に調節された光ファイバを製造し得る。
以上のように、本発明によれば、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差が適切に調節された光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法が提供される。
本発明の実施形態に係る光ファイバを示す断面図である。 図1の光ファイバの製造方法の工程を示すフローチャートである。 測定用光ファイバ母材を示す断面図である。 測定用光ファイバ母材のドーパントの濃度差を測定する測定装置を示す図である。 イッテルビウムの吸収スペクトルを示す図である。 図5に示す吸収スペクトルにおける波長975nm付近でのピークを拡大する図である。 アルミニウムの濃度とリンの濃度との差と、波長975nm近傍におけるピーク波長との関係を示す図である。 アルミニウムの濃度とリンの濃度との差と、波長915nm近傍におけるピークの帯域幅との関係を示す図である。 アルミニウムの濃度とリンの濃度との差が−0.75から−0.25重量%の場合において、単位体積あたりのイッテルビウムのイオン数と波長915nm近傍におけるピークの値との関係とを示す図である。 アルミニウムの濃度とリンの濃度との差が−0.25から0.25重量%の場合において、単位体積あたりのイッテルビウムのイオン数と波長915nm近傍におけるピークの値との関係とを示す図である。 アルミニウムの濃度とリンの濃度との差が0.25から0.75重量%の場合において、単位体積あたりのイッテルビウムのイオン数と波長915nm近傍におけるピークの値との関係とを示す図である。 アルミニウムの濃度とリンの濃度との差が0.75から1.25重量%の場合において、単位体積あたりのイッテルビウムのイオン数と波長915nm近傍におけるピークの値との関係とを示す図である。 シリカガラス管の様子を示す図である。 ガラス微粒子結合体形成工程の様子を示す図である。 溶液浸透工程の様子を示す図である。 リン含有ガス流通工程の様子を示す図である。 コラプス工程を示す図である。 線引工程の様子を示す図である。 第2実施形態における製造工程を示すフローチャートである。 第2実施形態におけるガラス層形成工程の様子を示す図である。
以下、本発明に係る光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができる。なお、以下で参照する図面では、理解を容易にするために、各部材の寸法を変えて示す場合がある。
図1は、本発明の実施形態に係る光ファイバを示す断面図である。図1に示すように本実施形態の光ファイバ1は、コア11と、コア11の外周面を隙間なく囲むクラッド12と、クラッド12を被覆する被覆層14とを備える。クラッド12の屈折率はコア11の屈折率よりも低い。
光ファイバ1のコア11は、希土類元素としてのイッテルビウム(Yb)、アルミニウム(Al)、及びリン(P)が添加された石英から成り、必要に応じて屈折率を上昇させるゲルマニウム(Ge)等の元素が添加されている。コア11には、アルミニウムとリンとが所定の濃度差で添加されており、希土類元素としてのイッテルビウムが所定の濃度で添加されている。なお、本実施形態とは異なるが、増幅する光の波長に合わせて、希土類元素としてイッテルビウム以外が添加されても良い。この様な希土類元素としては、ツリウム(Tm)、セリウム(Ce)、ネオジウム(Nd)、ユーロピウム(Eu)、エルビウム(Er)等が挙げられる。また、光ファイバ1のクラッド12を構成する材料としては、例えば、何らドーパントが添加されていない純粋石英が挙げられる。なお、クラッド12には例えばフッ素等の屈折率を低下させる元素が添加されても良く、コア11の屈折率よりも大きくならない範囲でゲルマニウムや塩素(Cl)等の屈折率を上昇させる元素が添加されても良い。被覆層14は、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等の樹脂からなる。このように本実施形態の光ファイバ1のコア11には希土類元素が添加されているため、光ファイバ1は増幅用光ファイバとされ得る。
次に、図1の光ファイバの製造方法について説明する。図2は、図1の光ファイバの製造方法の工程を示すフローチャートである。図2に示すように、本実施形態の光ファイバ1の製造方法は、測定用光ファイバ母材準備工程SP1と、測定工程SP2と、決定工程SP3と、製造工程SP4と、線引工程SP5と、を備える。また、本実施形態では、測定工程SP2は、照射工程SP21と、取得工程SP22と、濃度差推定工程SP23と、希土類元素濃度推定工程SP24と、を含む。また、本実施形態では、製造工程SP4は、ガラス管準備工程SP41と、ガラス微粒子結合体形成工程SP42と、溶液浸透工程SP43と、リン含有ガス流通工程SP44と、コラプス工程SP45とを含む。
<測定用光ファイバ母材準備工程SP1>
本工程は、測定用光ファイバ母材を準備する工程である。図3は、測定用光ファイバ母材を示す断面図である。図3に示すように測定用光ファイバ母材1Pは、コア部11Pと、コア部11Pの外周面を隙間なく囲むクラッド部12Pとを備える。この測定用光ファイバ母材1Pのコア部11Pは光ファイバ1のコア11に相当し、クラッド部12Pは光ファイバ1のクラッド12に相当する。従って、測定用光ファイバ母材1Pのコア部11Pには、アルミニウムとリンとが所定の濃度差となるように添加されており、希土類元素としてのイッテルビウムが所定の濃度となるように添加されている。アルミニウムとリンとの所定の濃度差およびイッテルビウムの所定の濃度は、例えば、必要となる誘導ラマン散乱の発生の閾値とイッテルビウムの励起光の吸収量から算出することができる。この誘導ラマン散乱の発生の閾値は、光ファイバ1の長さと光ファイバ1を伝搬する光の実効断面積から求められる。光ファイバ1の長さが短い程、若しくは実効断面積が大きい程、上記閾値は高くなる。また、イッテルビウムの濃度は、光ファイバ1の長さとイッテルビウムの励起光の吸収量とにより求められる。また、イッテルビウムの濃度と上記実効断面積とにより、アルミニウムとリンとの濃度差を求めることができる。また、上記のようにアルミニウムとリンとの濃度差によりイッテルビウムの励起光の吸収スペクトルが変化するため、例えば、励起光源から出射する励起光のパワースペクトルに応じて最適なアルミニウムとリンとの濃度差を求めることができる。
ただし、コア部11Pに添加されるアルミニウムとリンとは上記所定の濃度差からずれて添加されている可能性がある。また、コア部11Pに添加されるイッテルビウムは上記所定の濃度からずれて添加されている可能性がある。この測定用光ファイバ母材1Pは、光ファイバ1となる光ファイバ母材と同様の製造工程、すなわち下記に示す製造工程SP4により製造されている。
<測定工程SP2>
次に、測定工程SP2について説明する。まず、測定工程SP2に用いられるドーパント濃度差測定装置について説明する。図4は、ドーパント濃度差測定装置に測定用光ファイバ母材がセットされた図である。図4に示すように、ドーパント濃度差測定装置は、照射部21と、照射側レンズ22と、NDフィルタ23と、セル24と、受光側レンズ25と、分光器26と、計算部30と、メモリ35とを主な構成として備える。
照射部21は、測定用光ファイバ母材1Pのコア部11Pに添加される希土類元素が吸収する波長帯域の少なくとも一部を含む測定光Lを出射する。本実施形態のようにコア部11Pにイッテルビウムが添加される場合、照射部21は、例えば、850nmから1100nmの波長帯域を含む白色の測定光Lを出射する。このような照射部21としては、例えば、ハロゲンランプ、スーパールミネッセントダイオード、スーパーコンティニュアム光源等を挙げることができる。
照射側レンズ22は、照射部21から出射する測定光Lをコリメートするコリメートレンズとされる。照射側レンズ22は、本実施形態のようにコア部11Pにイッテルビウムが添加される場合、少なくとも上記波長帯域において色収差が低減されたレンズであることが好ましく、このようなレンズとしては、例えば、アクロマートレンズを挙げることができる。
NDフィルタ23は、入射する測定光Lの各波長で同様にパワーを下げるフィルタであり、本実施形態のようにコア部11Pにイッテルビウムが添加される場合、例えば、少なくとも上記波長帯域において機能するフィルタとされる。なお、照射部21から適切なパワーの光が出射する場合、NDフィルタ23が無くても良い。
セル24は、筐体24bと互いに対向する一対のウィンドウ24wとを備え、当該筐体24bに測定用光ファイバ母材1Pが挿通される。なお、図4においては、一方のウィンドウ24wのみが記載されている。この状態で上記一対のウィンドウ24wは、測定用光ファイバ母材1Pの側面を挟むように位置する。これらウィンドウ24wは、クラッド部12Pの屈折率と同様の屈折率を有するガラスから成ることが好ましい。また、本実施形態では、筐体24b内は概ねクラッド部12Pの屈折率と同様の屈折率を有する不図示の媒質で満たされている。
受光側レンズ25は、セル24から出射する光を集光する集光レンズとされる。受光側レンズ25においても、本実施形態のようにコア部11Pにイッテルビウムが添加される場合、少なくとも上記波長帯域において色収差が低減されたレンズであることが好ましく、このようなレンズとして照射側レンズ22と同様のレンズを挙げることができる。
分光器26は、受光する光における波長ごと光のパワーにかかる情報を含む電気信号を出力する。本実施形態のようにコア部11Pにイッテルビウムが添加される場合、例えば、少なくとも上記波長帯域において分解能を有する。分光器26の分解能は0.25nm以下であることが好ましく、0.1nm以下であることがより好ましい。
計算部30には、分光器26からの電気信号が入力する。計算部30は、取得部31と、濃度差推定部32と、希土類元素濃度推定部33とを有し、メモリ35と電気的に接続されている。このような計算部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)から構成される。
取得部31は、コア部11Pを透過する測定光Lのスペクトルに基づいて、コア部11Pに吸収される光の吸収スペクトルを取得する。なお、説明を簡便にするため、以降、コア部11Pを透過する測定光Lを透過光と呼ぶ場合がある。本実施形態では、予めコア部にイッテルビウムが添加されていないこと以外は測定用光ファイバ母材1Pと同じ構成の標準母材をドーパント濃度差測定装置にセットして、照射部21から光を出射して、分光器26から出力される光の波長ごとのパワーにかかる情報がメモリ35に記憶されている。そこで、取得部31は、このメモリ35に記憶されている情報と、測定用光ファイバ母材1Pの測定時に分光器26から出力される光の波長ごとのパワーにかかる情報とを比較して、コア部11Pに添加されるイッテルビウムに吸収される光の吸収スペクトルにかかる信号を出力する。
濃度差推定部32は、取得部31で取得された吸収スペクトルに基づいてコア部11Pに添加されるアルミニウムの濃度とリンの濃度との差を推定し、推定した濃度とリンの濃度との差にかかる電気信号を出力する。具体的には、メモリ35に記憶された情報と取得部31で取得された吸収スペクトルにかかる情報とを比較して、その比較結果からアルミニウムの濃度とリンの濃度との差を推定する。この濃度差の推定の手順の詳細については後述する。
希土類元素濃度推定部33は、濃度差推定部32で推定されたコア部11Pに添加されるアルミニウムの濃度とリンの濃度との差と、上記波長帯域の少なくとも一部における希土類元素が吸収する測定光Lの吸収量に基づいて、コア部11Pに添加される希土類元素の濃度を推定し、推定した希土類元素の濃度にかかる電気信号を出力する。この濃度の推定の手順の詳細については後述する。
上記のように、測定工程SP2は、照射工程SP21と、取得工程SP22と、濃度差推定工程SP23と、希土類元素濃度推定工程SP24と、を含む。以下、これらの工程について説明する。
<照射工程SP21>
本工程は、測定用光ファイバ母材1Pのコア部11Pに添加される希土類元素が吸収する波長帯域の測定光Lをコア部11Pに照射する工程である。なお、測定光Lは、希土類元素が吸収する波長帯域の光であれば、希土類元素が吸収し得る光の全ての波長帯域のうち一部の波長帯域の光でも良く、希土類元素が吸収し得る光の全ての波長帯域を含む光でも良い。本工程では、照射部21から測定光Lを出射する。上記のように本実施形態では、コア部11Pにイッテルビウムが添加されるので、照射部21は、例えば、850nmから1100nmの波長帯域を含む測定光Lを出射する。出射する測定光Lは、照射側レンズ22でコリメートされて、NDフィルタ23で所定のパワーとされて、セル24にウィンドウ24wから入射する。このとき、セル24に入射する測定光Lの直径はコア部11Pの直径よりも小さいことが好ましい。セル24内にて測定光Lが測定用光ファイバ母材1Pに入射し、当該測定光Lは、コア部11Pを透過して、透過光として測定用光ファイバ母材1Pから出射する。このとき、測定光Lの一部はコア部11Pに添加されているイッテルビウムに吸収される。従って、測定用光ファイバ母材1Pから出射する透過光の波長スペクトルは、コア部11Pに入射する前の波長スペクトルと異なる。測定用光ファイバ母材1Pから出射する透過光は、セル24から出射する。セル24から出射した透過光は、受光側レンズ25で集光されて、分光器26に入射する。
<取得工程SP22>
本工程は、コア部11Pを透過する測定光Lの一部である透過光のスペクトルに基づいて、コア部11Pに吸収される光の吸収スペクトルを取得する工程である。透過光が分光器26に入射すると分光器26は、透過光のそれぞれの波長における光のパワーにかかる情報を含む電気信号を出力する。出力された電気信号は、計算部30に入力する。当該電気信号が計算部30に入力すると、取得部31では、透過光のスペクトルにかかる情報に基づいてコア部11Pに吸収される光の吸収スペクトルにかかる情報を計算する。本実施形態では、上記のように、標準母材をセットした場合の透過光のスペクトルにかかる情報がメモリ35に記憶されており、取得部31は、メモリ35に記憶された情報と分光器26から入力する情報とを比較して、コア部11Pにおける吸収スペクトルにかかる情報を計算する。具体的には、取得部31は、メモリ35に記憶された標準母材をセットした場合の透過光のパワーと、測定用光ファイバ母材1Pの測定時における分光器26から入力する透過光のパワーとの差分を波長ごとに計算する。こうして、コア部11Pに吸収される光の吸収スペクトルが取得部31により取得される。
<濃度差推定工程SP23>
本工程は、吸収スペクトルに基づいてコア部11Pに添加されるアルミニウムの濃度とリンの濃度との差を推定する工程である。本工程について詳細に説明する。図5は、イッテルビウムの吸収スペクトルを示す図である。図5において、横軸は波長を示しており、縦軸はイッテルビウムの光の吸収量を波長915nm近傍におけるピーク値を基準に規格化して示すものである。また、図5において、実線はアルミニウムとリンとの添加量が同じ濃度の場合におけるイッテルビウムの光の吸収スペクトルを示しており、破線はアルミニウムの濃度がリンの濃度よりも高い場合におけるイッテルビウムの光の吸収スペクトルを示し、点線はリンの濃度がアルミニウムの濃度よりも高い場合におけるイッテルビウムの光の吸収スペクトルを示す。
まず、第1の濃度差推定方法について説明する。図6は、図5に示す吸収スペクトルにおける波長975nm付近でのピークを拡大する図である。図6に示すように、アルミニウムとリンとの添加量が同じ濃度の場合におけるイッテルビウムの光の吸収スペクトルのピーク波長を基準とする場合において、アルミニウムの濃度がリンの濃度よりも高い場合にピーク波長は長波長側にシフトし、リンの濃度がアルミニウムの濃度よりも高い場合にピーク波長は短波長側にシフトする。本実施形態では、リンの濃度からアルミニウムの濃度を引いた差分が、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差とされる。従って、アルミニウムとリンとが同じ濃度の場合を基準として、リンの濃度がアルミニウムの濃度よりも高い場合における濃度の差がプラスであり、アルミニウムの濃度がリンの濃度よりも高い場合における濃度の差がマイナスとされる。図7は、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差と、波長975nm近傍におけるピーク波長との関係を示す図である。図7において、横軸は、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差を示し、リンの濃度からアルミニウムの濃度を引いた差分とされる。また、図7では、縦軸は、波長975nm近傍におけるピーク波長を示す。本実施形態では、ピーク波長が長波長側にシフトする場合におけるシフト量がプラスであり、ピーク波長が短波長側にシフトする場合におけるシフト量がマイナスとされる。図7では、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差と、波長975nm近傍におけるピーク波長との関係が、実測によりプロットされている。このプロットから実線で示す検量線が得られる。例えば、アルミニウムとリンとの添加量が同じ濃度の場合における波長975.6nmにおけるピークを基準とする場合、ピーク波長のシフト量が+0.4nmである場合には濃度差が−1.0wt%であり、ピーク波長のシフト量が−0.4nmである場合には濃度差が+1.0wt%となる。そこで、本推定方法が用いられる場合には、メモリ35には、この検量線に基づくテーブルが記憶されている。つまり、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差とピーク波長のシフト量との関係を示すテーブル、及び、アルミニウムの濃度とリンの濃度が同じ場合における基準ピーク波長にかかる情報が記憶されている。例えば、テーブルには、シフト量が0.1nm毎に、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差が記憶されている。
本濃度差推定方法では、取得部31が吸収スペクトルにかかる情報を出力すると、当該情報に基づいて、濃度差推定部32は、取得部31から出力される情報に含まれるピーク波長からメモリ35が記憶している上記基準ピーク波長を引いた差分を計算する。この取得部31から出力される情報に含まれるピーク波長は、基準ピーク波長の近傍におけるピーク波長である。従って、図6の例では、基準ピーク波長が975.6nmとされ、取得部31から出力される情報に含まれるピーク波長が975nm近傍におけるピークの波長とされる。濃度差推定部32は、その差分の結果と、メモリ35が記憶しているテーブルのシフト量とを比較し、差分の結果に最も近いシフト量に対応する濃度差を選定する。この選定された濃度差がコア部11Pに添加されるアルミニウムの濃度とリンの濃度との差となる。こうして、コア部11Pに添加されるアルミニウムの濃度とリンの濃度との差が推定され、この差がドーパント濃度差の測定結果とされる。推定された濃度差にかかる情報は濃度差推定部32から出力される。なお、本例では、波長975nm近傍におけるピークを用いたが、波長915nm近傍等の他の波長におけるピークを用いても良い。
次に、第2の濃度差推定方法について説明する。図8は、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差と、波長915nm近傍におけるピークの帯域幅との関係を示す図である。図8において、横軸は、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差を示し、第1の推定方法と同様にして、リンの濃度からアルミニウムの濃度を引いた差分とされる。また、図8では、縦軸は、波長915nm近傍におけるピークの帯域幅を示し、具体的には、波長915nm近傍におけるピーク値の90%の吸収量となる吸収スペクトルの帯域幅である。上記のように図5に示す吸収スペクトルはイッテルビウムの光の吸収量を波長915nm近傍におけるピーク値を基準に規格化したものであるため、図8の縦軸は図5において波長915nm近傍で吸収量が0.9となるピークの帯域幅である。図8では、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差と、波長915nm近傍におけるピークの帯域幅との関係が、実測によりプロットされている。このプロットから実線で示す検量線が得られる。従って、本濃度差推定方法を用いる場合、メモリ35には、この検量線に基づくテーブルが記憶されている。例えば、テーブルには、ピークの帯域幅が0.1nm毎に、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差が記憶されている。
本濃度差推定方法では、取得部31が吸収スペクトルにかかる情報を出力すると、濃度差推定部32は、波長915nm近傍におけるピーク値を基準にして、吸収量が0.9となるピークの帯域幅を計算する。そして、濃度差推定部32は、メモリ35に記憶されているテーブルのピークの帯域幅と、計算で得られたピークの帯域幅とを比較し、メモリ35に記憶されているテーブルのうち計算で得られたピークの帯域幅に最も近いピークの帯域幅に対応する濃度差を選定する。この選定された濃度差がコア部11Pに添加されるアルミニウムの濃度とリンの濃度との差となる。こうして、コア部11Pに添加されるアルミニウムの濃度とリンの濃度との差が推定され、この差がドーパント濃度差の測定結果とされる。推定された濃度差にかかる情報は濃度差推定部32から出力される。なお、本例では、波長915nm近傍におけるピーク値の90%の吸収量となる吸収スペクトルの帯域幅を用いたが、ピークの半値幅を当該帯域幅としても良く、波長975nm近傍等の他の波長におけるピークの帯域幅を用いても良い。
<希土類元素濃度推定工程SP24>
本工程は、濃度差推定工程SP23で推定されたコア部11Pに添加されるアルミニウムの濃度とリンの濃度との差と、希土類元素が吸収する測定光Lの吸収量に基づいて、コア部11Pに添加される希土類元素の濃度を推定する工程である。希土類元素濃度推定部33は、取得部31が取得する吸収スペクトルから所定の波長における測定光Lの吸収量を抽出する。本実施形態では、波長915nm近傍にける吸収スペクトルのピークにおける吸収量を抽出する。そして、濃度差推定部32から出力される濃度差にかかる情報と、上記吸収量にかかる情報とに基づいて、コア部11Pに添加される希土類元素の濃度を推定する。以下、具体的に説明する。
図9から図12は、単位体積当たりのイッテルビウムのイオンの数と、波長915nm近傍における測定光Lの吸収量の最大値との関係を示す図である。具体的には、図9は、リンの濃度からアルミニウムの濃度を引いた差分が−0.75wt%以上で−0.25wt%より小さな場合の上記関係を示し、図10は、当該差分が−0.25wt%以上で0.25wt%より小さな場合の上記関係を示し、図11は、当該差分が0.25wt%以上で0.75wt%より小さな場合の上記関係を示し、図12は、当該差分が0.75wt%以上で1.25wt%より小さな場合の上記関係を示す。
図9から図12では、上記関係が実測によりプロットされている。このプロットから実線で示す検量線が得られる。ここで、アルミニウムの濃度とリンの濃度が同じ場合を含んでいる図10に示す検量線を基準とする。従って、この場合、メモリ35には、図10に示す検量線に基づくテーブルが記憶されている。このように図10に示す検量線を基準とすると、図9に示す検量線は図10に示す検量線よりも概ね30dB大きく、図11に示す検量線は図10に示す検量線よりも概ね30dB小さく、図12に示す検量線は図10に示す検量線よりも概ね60dB小さい。そこで、希土類元素濃度推定部33は、取得部31で取得された吸収スペクトルから波長915nm近傍でのピークにおける吸収量を抽出した後、濃度差推定部32から出力される濃度差に応じて、当該吸収量を基準となる検量線に対応させる。具体的には、濃度差が−0.75wt%以上で−0.25wt%より小さな場合は、図9の検量線を図10の検量線に対応させるため抽出した吸収量から30dB減じる計算をし、濃度差が−0.25wt%以上で0.25wt%より小さな場合は、図10に対応するため抽出した吸収量のままとし、濃度差が0.25wt%以上で0.75wt%より小さな場合は、図11の検量線を図10の検量線に対応させるため、抽出した吸収量に30dB加える計算をし、濃度差が0.75wt%以上で1.25wt%より小さな場合は、図12の検量線を図10の検量線に対応させるため、抽出した吸収量に60dB加える計算をする。このようにしてアルミニウムの濃度とリンの濃度に差がある場合であっても、濃度差が無い場合における吸収量に近づけることができる。そして、希土類元素濃度推定部33は、メモリ35に記憶されているテーブルの吸収量と、計算から得られた吸収量とを比較し、メモリ35に記憶されているテーブルのうち計算で得られた吸収量に最も近い吸収量に対応するイッテルビウムのイオン数を選定し、当該イオン数からイッテルビウムの濃度を推定する。こうして推定された濃度がイッテルビウムの濃度の測定結果とされる。このイッテルビウムの濃度にかかる情報は、希土類元素濃度推定部33から出力する。こうして、アルミニウムの濃度とリンの濃度に差がある場合であっても、イッテルビウムの濃度を測定することができる。なお、本例では、波長915nm近傍でのピークにおける吸収量を用いたが、他の波長における吸収量を用いても良い。
なお、特に図示しないが、計算部30にディスプレイ等の表示部が接続されて、濃度差推定部32で推定されたアルミニウムの濃度とリンの濃度との差や、希土類元素濃度推定部33で推定されたイッテルビウムの濃度が、測定結果として当該表示部で表示されても良い。
<決定工程SP3>
本工程は、濃度差推定工程SP23で推定されたアルミニウムとリンとの濃度差よりも、コア11に添加されるアルミニウムとリンとの濃度差を所定の濃度差に近づくように光ファイバ母材の製造条件を決定する工程である。また、本実施形態では、さらに本工程において、希土類元素濃度推定工程で推定されたイッテルビウムの濃度よりも、コア11に添加されるイッテルビウムの所定の濃度に近づくように光ファイバ母材の製造条件を決定する。本決定工程SP3で決定される内容については、製造工程SP4についての理解が必要である。そこで、以下の製造工程SP4の説明後に本決定工程SP3で決定される内容について説明する。
<製造工程SP4>
本工程は、決定工程SP3で決定された製造条件で光ファイバ母材を製造する工程である。本実施形態では、本工程が改良型化学気相成長(MCVD)法により行われる例について説明する。本実施形態では、上記のように、製造工程SP4は、ガラス管準備工程SP41と、ガラス微粒子結合体形成工程SP42と、溶液浸透工程SP43と、リン含有ガス流通工程SP44と、コラプス工程SP45とを含む。
<ガラス管準備工程SP41>
本工程は、中心に中空部20Hを有するシリカガラス管20を準備する工程である。図13は、本工程で準備されるシリカガラス管20を示す斜視図である。
シリカガラス管20としては、例えば、市販の光ファイバ用合成シリカガラス管を用いることができる。シリカガラス管20は、クラッド12となる。従って、シリカガラス管20は、クラッド12と同様の材料からなる。例えば、シリカガラス管20は、ドーパントが添加されない純粋なシリカガラスからなるものであってもよく、必要に応じてドーパントが添加されていても良い。シリカガラス管20の大きさは、例えば、外径が22mmであり、肉厚が2mmとすることができる。
シリカガラス管20が準備できたら、シリカガラス管20を不図示の旋盤にセットする。この旋盤は、シリカガラス管20を軸中心に回転させながら、所望のガスをガラス管内に流通させることができる旋盤である。
<ガラス微粒子結合体形成工程SP42>
本工程は、光ファイバ母材のコア部となるガラス体であるガラス微粒子の結合体を形成する工程である。図14は、本工程の様子を示す図である。図14に示すように、本工程では、酸素(O)からなるキャリアガスと、四塩化ケイ素(SiCl)とを含むガスをシリカガラス管20の中空部20H内に流通させる。このとき、シリカガラス管20を軸中心に回転させながら加熱する。この加熱は、例えば、酸水素バーナBAで行われる。このときのシリカガラス管20の温度、及び、中空部20H内に流通されるガスの温度は、例えば、1600〜1800℃とされる。
シリカガラス管20の中空部20H内に流通する四塩化ケイ素は、酸化反応により、シリカガラス微粒子(スート)とされ、シリカガラス管20の内壁に付着する。さらに、このシリカガラス微粒子上に、他のシリカガラス微粒子が付着する。こうして、シリカガラス管20の内壁にシリカガラス微粒子が堆積する。ただし、この時点では、粒子の状態が保たれており、シリカガラス微粒子の表面同士が結合した状態となる。従って、シリカガラス微粒子間に隙間が形成されている。こうして、シリカガラス管20の内壁上にシリカガラス微粒子結合体13が形成される。なお、このシリカガラス微粒子結合体13は、ドーパントが添加されてコア部となるガラス体である。従って、本実施形態の本工程は、光ファイバ母材のコア部となるガラス体を形成するガラス体形成工程と理解できる。
<溶液浸透工程SP43>
本工程は、シリカガラス微粒子結合体13のガラス微粒子間にアルミニウム及び希土類元素であるイッテルビウムを含有する溶液を浸透させる工程であり、液浸工程とも呼ばれる。本工程により、シリカガラス微粒子結合体13のシリカガラス微粒子にイッテルビウム及びアルミニウムが添加される。なお、アルミニウムを含有する上記溶液はアルミニウム含有媒体と理解でき、希土類元素であるイッテルビウムを含有する上記溶液は希土類元素含有媒体とも理解できる。このため、本実施形態では、アルミニウムを含有するアルミニウム含有媒体を用いて、光ファイバ母材のコア部となるガラス体であるシリカガラス微粒子にアルミニウムを添加するアルミニウム添加工程と、希土類元素含有する希土類元素含有媒体を用いて、光ファイバ母材のコア部となるガラス体であるシリカガラス微粒子に希土類元素を添加する希土類元素添加工程とを同時に行っている。
図15は、本工程の様子を示す図である。図15に示すように、本工程では、まず、ガラス微粒子結合体形成工程SP42でシリカガラス微粒子結合体13が内壁上に設けられたシリカガラス管20を旋盤から取り外す。次にこのシリカガラス管20の一方の開口を塞ぎ、シリカガラス管20の塞がれた側を下方にして、シリカガラス管20を立てる。次に、シリカガラス管20の他方の開口からアルミニウム及びイッテルビウムを含有する溶液SOを注ぐ。このため、シリカガラス管20の内壁上に設けられたシリカガラス微粒子結合体13のシリカガラス微粒子間の隙間に溶液SOが浸透する。本実施形態では、溶液SOには、三塩化イッテルビウム(YbCl)及び三塩化アルミニウム(AlCl)が溶解されている。このまま、中空部20H内に溶液SOが充填されたシリカガラス管20は、所定時間放置される。この時間は、例えば、1〜3時間とされる。この間に、シリカガラス微粒子結合体13のシリカガラス微粒子に、アルミニウム及びイッテルビウムが添加される。その後、溶液SOが取り出される。このとき、シリカガラス微粒子結合体13のシリカガラス微粒子表面には溶液SOが付着している。そこで、再び、シリカガラス管20を加熱してもよい。この加熱により、シリカガラス微粒子表面に付着した溶液SO内のアルミニウムとイッテルビウムとがシリカガラス微粒子に添加される。ただし、本加熱によってシリカガラス微粒子間の隙間が潰されず、シリカガラス微粒子間に隙間が形成された状態が保たれる程度に加熱がなされる。
<リン含有ガス流通工程SP44>
本工程は、リンを含有するリン含有ガスをガラス微粒子結合体13のガラス微粒子間に流す工程である。本工程により、シリカガラス微粒子結合体13のシリカガラス微粒子にリンが添加される。なお、リンを含有するガスはリン含有媒体と理解できる。従って、本工程は、リンを含有するリン含有媒体を用いて、光ファイバ母材のコア部となるガラス体であるガラス微粒子にリンを添加するリン添加工程と理解できる。まず、上記溶液浸透工程SP43が完了したシリカガラス管20をガラス微粒子結合体形成工程SP42と同様に不図示の旋盤にセットする。図16は、本工程を示す図である。図16に示すように、本工程では、旋盤にセットされたシリカガラス管20の中空部20H内に酸素(O)からなるキャリアガスと、オキシ塩化リン(POCl)とを含むリン含有ガスを流通させる。このリン含有ガスが上記リン含有媒体である。このガスは、シリカガラス微粒子間の隙間にも流通する。このとき、図16に示すようにシリカガラス管20を加熱する。この加熱は、例えば、酸水素バーナBAで行われる。このときのシリカガラス管20の温度は、及び、中空部20H内に流通されるガスの温度は、例えば、1900〜2200℃とされる。
シリカガラス管20の中空部20H内に流通するオキシ塩化リンと酸素とが反応して、リンが生成される。上記のように、リン含有ガスがシリカガラス微粒子間の隙間にも流通するため、シリカガラス微粒子間においてもこの反応が起き、リンがシリカガラス微粒子表面上に付着するとともに、リンの一部がシリカガラス微粒子に添加される。
<コラプス工程SP45>
本工程は、シリカガラス管20の中空部20Hを潰して中実化する工程である。図17は、本工程を示す図である。図17に示すように、本工程では、シリカガラス管20を軸心周りに回転させながら外周面側から例えば酸水素バーナBAによって2000℃程度に加熱することで、シリカガラス管20を縮径すると共に中実化することができる。酸水素バーナBAをシリカガラス管20の長手方向に沿って相対的に移動させながらシリカガラス管20を加熱することにより、シリカガラス管20の全体を徐々に縮径させて中実化する。このとき、シリカガラス微粒子結合体13のシリカガラス微粒子間の隙間も潰される。こうして、シリカガラス管20がクラッド部となり、アルミニウム、リン及びイッテルビウムが添加されたシリカガラス微粒子がコア部となり、図3に示す測定用光ファイバ母材1Pと同様の光ファイバ母材が得られる。
ここで、決定工程SP3について更に説明する。
上記のように、測定用光ファイバ母材1Pのコア部11Pには、アルミニウムとリンとが所定の濃度差となるように添加されており、イッテルビウムが所定の濃度となるように添加されているはずである。しかし、濃度差推定工程SP23で推定されたアルミニウムとリンとの濃度差が、上記所定の濃度差からずれている場合があり、希土類元素濃度推定工程SP24推定されたイッテルビウムの濃度が、上記所定の濃度からずれている場合がある。
そこで、濃度差推定工程SP23で推定されたアルミニウムとリンとの濃度差が所定の濃度差からずれている場合、決定工程SP3では、添加されるアルミニウムの濃度及び添加されるリンの濃度に影響する工程の条件を新たに決定する。上記のように溶液浸透工程SP43は、製造される光ファイバ母材のコア部となるガラス体であるシリカガラス微粒子にアルミニウムが添加される工程である。従って、添加されるアルミニウムの濃度は、この工程の条件を新たに決定することで変えられる。例えば、溶液SO中のアルミニウムの濃度、すなわちアルミニウム含有媒体中のアルミニウムの濃度を新たに決定することで、添加されるアルミニウムの濃度を変更し得る。また、溶液SOの温度を新たに決定することで、添加されるアルミニウムの濃度を変更し得る。また、シリカガラス管20の中空部20H内に溶液が充填された状態で放置される時間を新たに決定することで、添加されるアルミニウムの濃度を変更し得る。また、リン含有ガス流通工程SP44は、製造される光ファイバ母材のコア部となるガラス体であるシリカガラス微粒子にリンが添加される工程である。従って、添加されるリンの濃度は、この工程の条件を新たに決定することで変えられる。例えば、シリカガラス管20の中空部20H内を流通するガスの圧力や温度を新たに決定することで、添加されるリンの濃度を変更し得る。また、このガスにおけるオキシ塩化リンの分圧を新たに決定することで、添加されるリンの濃度を変更し得る。オキシ塩化リンの分圧を新たに決定することは、中空部20H内を流通するリン含有ガスのオキシ塩化リンの濃度を新たに決定することである。上記のようにリン含有ガスはリン含有媒体であるので、リン含有ガスのオキシ塩化リンの濃度を新たに決定することは、リン含有媒体中のリンの濃度を新たに決定することになる。また、上記のように決定される溶液浸透工程SP43の新たな条件とリン含有ガス流通工程SP44の新たな条件とは、製造される光ファイバ母材に添加されるアルミニウムとリンとの濃度差が濃度差推定工程SP23で推定された濃度差よりも所定の濃度差に近づくように決定される。こうして、決定工程を経て製造される光ファイバ母材におけるアルミニウムとリンとの濃度差は、測定用光ファイバ母材1Pのよりもアルミニウムとリンとの濃度差よりも、所定の濃度差に近づくことができる。
また、希土類元素濃度推定工程SP24で推定された希土類元素であるイッテルビウムの濃度が所定の濃度からずれている場合、決定工程SP3では、添加されるイッテルビウムの濃度に影響する工程の条件を新たに決定する。溶液浸透工程SP43では、製造される光ファイバ母材のコア部となるガラス体であるシリカガラス微粒子にアルミニウムと共にイッテルビウムが添加される。従って、添加されるイッテルビウムの濃度は、この工程の条件を新たに決定することで変えられる。例えば、溶液SO中のイッテルビウムの濃度、すなわち希土類元素含有媒体中のイッテルビウムの濃度を新たに決定することで、添加されるイッテルビウムの濃度を変更し得る。また、溶液SOの温度を新たに決定することで、添加されるイッテルビウムの濃度を変更し得る。また、シリカガラス管20の中空部20H内に溶液が充填された状態で放置される時間を新たに決定することで、添加されるイッテルビウムの濃度を変更し得る。このように決定される溶液浸透工程SP43の新たな条件は、製造される光ファイバ母材に添加されるイッテルビウムの濃度が希土類元素濃度推定工程SP24で推定されたイッテルビウムの濃度よりも所定の濃度に近づくように決定される。製造工程SP4では、決定工程SP3で決定された製造条件に基づいて光ファイバ母材が製造される。従って、決定工程SP3を経て製造される光ファイバ母材におけるイッテルビウムの濃度は、測定用光ファイバ母材1Pのイッテルビウムの濃度よりも、所定の濃度差に近づくことができる。
本製造工程SP4で製造される光ファイバ母材は、測定用光ファイバ母材1Pと同様の構成である。ただし、製造される光ファイバ母材は、測定用光ファイバ母材1Pのコア部11Pに添加されるアルミニウムとリンとの濃度よりもコア部に添加されるアルミニウムとリンとの所定の濃度差に近づくように製造され得る。また、製造される光ファイバ母材は、測定用光ファイバ母材1Pのコア部11Pに添加されるイッテルビウムよりも、コア部に添加されるイッテルビウムの所定の濃度に近づくように製造され得る。
そして、本製造工程SP4で製造される光ファイバ母材を新たな測定用光ファイバ母材1Pとすることで、次に製造される光ファイバ母材に添加されるアルミニウムとリンとの濃度差を所定の濃度差により近づけ得、次に製造される光ファイバ母材に添加されるイッテルビウムの濃度を所定の濃度により近づけ得る。
<線引工程SP5>
本工程は、製造工程SP4で製造された光ファイバ母材を線引きして光ファイバを製造する工程である。図18は、本工程の様子を示す図である。上記のように、製造工程SP4で製造される光ファイバ母材は、測定用光ファイバ母材1Pと同様の構成であるため、そこで、図2の測定用光ファイバ母材1Pを製造工程SP4で製造された光ファイバ母材とみなして、以下の説明をする。
図18に示すように、まず、本工程を行う準備段階として、製造工程SP4で製造された光ファイバ母材1Pを紡糸炉110に設置する。そして、紡糸炉110の加熱部111を発熱させて、光ファイバ母材1Pを加熱部111に挿入して、光ファイバ母材1Pを加熱する。このとき、光ファイバ母材1Pの下端は、例えば2000℃に加熱され溶融状態となる。そして、光ファイバ母材1Pからガラスが溶融して、ガラスが線引きされる。線引きされた溶融状態のガラスは、紡糸炉110から出ると、すぐに固化して、コア部11Pがコア11となり、クラッド部12Pがクラッド12となる。これにより、コア11とクラッド12とから構成される光ファイバ裸線が形成される。その後、この光ファイバ裸線は、冷却装置120を通過して、適切な温度まで冷却される。冷却装置120に入る際、光ファイバ裸線の温度は、例えば1800℃程度であるが、冷却装置120を出る際には、光ファイバ裸線の温度は、例えば40℃〜50℃となる。
次に、光ファイバ裸線は、被覆層14となる硬化樹脂が入ったコーティング装置131を通過し、クラッド12がこの硬化樹脂で被覆される。本実施形態では、この硬化樹脂は、例えば、所定条件下の加熱により架橋する熱硬化性樹脂とされる。この場合、硬化樹脂で被覆された光ファイバ裸線は、加熱炉132を通過し、この加熱炉132内で加熱される。この加熱により、熱硬化樹脂を形成する材料が架橋して硬化樹脂が硬化する。その結果、クラッド12の外周面に、硬化樹脂からなる被覆層14が形成される。なお、被覆層14が紫外線硬化性樹脂である場合、コーティング装置131では未硬化状態の紫外線硬化性樹脂によりクラッド12が被覆され、加熱炉132の代わりに光照射部が用いられて、当該光照射部で未硬化状態の紫外線硬化性樹脂に紫外線が照射されて紫外線硬化性樹脂が硬化され、被覆層14が形成される。
こうして図1に示す光ファイバ1が製造される。そして、光ファイバ1は、ターンプーリー141により方向が変換され、リール142により巻取られる。
以上説明したように、本実施形態の光ファイバ母材の製造方法は、アルミニウムとリンとが所定の濃度差となるように添加され、希土類元素が所定の濃度となるように添加されたコア部を有する測定用光ファイバ母材P1を準備する準備工程SP1と、希土類元素が吸収する波長帯域の測定光をコア部11Pに照射する照射工程SP21と、コア部11Pを透過する測定光のスペクトルに基づいてコア部11Pに吸収される光の吸収スペクトルを取得する取得工程SP22と、吸収スペクトルに基づいてコア部に添加されるアルミニウムとリンとの濃度差を推定する濃度差推定工程SP23と、濃度差推定工程SP23で推定された濃度差よりも所定の濃度差に近づくように製造される光ファイバ母材の製造条件を決定する決定工程SP3と、決定工程SP3で決定された製造条件で光ファイバ母材を製造する製造工程SP4と、を備える。
希土類元素とアルミニウムとリンとが共添加されたコア部11Pに光を透過させる場合に、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差が変化することで、コア部11Pに吸収される光のスペクトルが変化する。そこで、本実施形態の光ファイバ母材の製造方法では、コア部11Pを透過する測定光Lからコア部11Pに吸収される光の吸収スペクトルを取得して、当該吸収スペクトルに基づいてアルミニウムの濃度とリンの濃度との差を推定する。このため、光ファイバ母材のコア部に添加されたアルミニウムの濃度とリンの濃度との差を測定し得る。そして、この製造方法により製造される光ファイバ母材は、濃度差推定工程SP23で推定された濃度差よりも所定の濃度差に近づくように製造される。従って、測定用光ファイバ母材1Pよりもアルミニウムとリンとの濃度差が適切に調節された光ファイバ母材を製造し得る。また、製造された光ファイバ母材を測定用光ファイバ母材とすることで、次に製造される光ファイバ母材のアルミニウムとリンとの濃度差をさらに適切に調節し得る。なお、本実施形態によれば、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差を測定用光ファイバ母材1Pを破壊することなく測定できる。
また、上記第1の推定方法のように、吸収スペクトルにおけるピーク波長のシフト量に基づいてアルミニウムの濃度とリンの濃度との差が推定される場合、ピークを検出すれば良いため、簡易にアルミニウムの濃度とリンの濃度との差を推定することができる。
或いは、上記第2の推定方法のように、吸収スペクトルにおけるピークの帯域幅の変化量に基づいてアルミニウムの濃度とリンの濃度との差が推定される場合、ピークの帯域幅の変化量が、上記のピーク波長のシフト量よりも大きいため、より正確にアルミニウムの濃度とリンの濃度との差を推定することができる。
また、本実施形態では、測定光Lは測定用光ファイバ母材1Pの側面から入射され、コア部11Pを横切るように測定光Lが透過するため、コア部に吸収される測定光Lの量を少なくすることができる。従って、測定光Lが測定用光ファイバ母材1Pの端面からコア部11Pに入射される場合と比べて、照射部21から出射する測定光Lのパワーを小さくすることができる。
なお、測定用光ファイバ母材1Pとセル24とが、測定用光ファイバ母材1Pの長手方向に沿って相対的に移動して、測定光Lが測定用光ファイバ母材1Pの長手方向に沿って移動しながら入射されても良い。この場合、測定用光ファイバ母材1Pの長手方向における異なる位置で、取得工程SP22、濃度差推定工程SP23、希土類元素濃度推定工程SP24を行うことができ、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差の測定用光ファイバ母材1Pの長手方向に沿った変化を測定することができる。
また、上記のようにセル24に入射する測定光Lの直径はコア部11Pの直径よりも小さいことで、測定光Lの直径がコア部の直径よりも大きい場合と比べて、吸収スペクトルの分解能を高くすることができる。
また、本実施形態の光ファイバ母材の製造方法では、製造工程SP4は、製造される光ファイバ母材のコア部となるガラス微粒子結合体のガラス微粒子間にアルミニウムを含有するアルミニウム溶液を浸透させる溶液浸透工程SP43を含む。この溶液浸透工程SP43は、上記のように、アルミニウム含有媒体を用いて、製造される光ファイバ母材のコア部となるガラス体にアルミニウムを添加するアルミニウム添加工程である。決定工程SP3では、アルミニウム含有媒体中のアルミニウムの濃度を決定する。このようにアルミニウム含有媒体中のアルミニウムの濃度を決定することで、製造される光ファイバ母材のコア部に添加されるアルミニウムの濃度を直接的に変化させることができる。
さらに本実施形態では、製造工程SP4は、リンを含有するリン含有ガスをガラス微粒子結合体のガラス微粒子間に流すリン含有ガス流通工程SP44を含む。このリン含有ガス流通工程SP44は、上記のように、リン含有媒体を用いて、製造される光ファイバ母材のコア部となるガラス体にリンを添加するリン添加工程である。決定工程SP3では、リン含有媒体中のリンの濃度を決定する。このようにリン含有媒体中のリンの濃度を決定することで、製造される光ファイバ母材のコア部に添加されるリンの濃度を直接的に変化させることができる。
また、本実施形態の光ファイバ母材の製造方法は、濃度差推定工程SP23で推定されたコア部11Pに添加されるアルミニウムの濃度とリンの濃度との差と、希土類元素が吸収する測定光Lの吸収量に基づいて、コア部11Pに添加される希土類元素の濃度を推定する希土類元素濃度推定工程SP24を備える。上記のように、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差が変化すると吸収スペクトルが変化し、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差が未知の状態で、コア部11Pで吸収される光の量から希土類元素の濃度を推定しても、推定される希土類元素の濃度が不正確となる可能性が高い。しかし、上記の光ファイバ母材の製造方法が希土類元素濃度推定工程SP24を備え、コア部11Pに添加されるアルミニウムの濃度とリンの濃度との差と、コア部11Pで吸収される測定光Lの量とから、コア部11Pに添加される希土類元素の濃度を推定するため、コア部11Pに添加される希土類元素の濃度を高い精度で推定することができる。
そして本実施形態では、決定工程SP3では、希土類元素濃度推定工程SP24で推定された濃度よりも所定の濃度に近づくように製造される光ファイバ母材の製造条件を決定する。このように決定された製造条件で光ファイバ母材が製造されることで、添加される希土類元素の濃度をより適切にされた光ファイバ母材を製造し得る。
なお、本実施形態では、製造工程SP4は、製造される光ファイバ母材のコア部となるガラス微粒子結合体のガラス微粒子間に希土類元素を含有する希土類元素溶液を浸透させる溶液浸透工程SP43を含む。この溶液浸透工程SP43は、上記のように、希土類元素含有媒体を用いて、製造される光ファイバ母材のコア部となるガラス体に希土類元素であるイッテルビウムを添加する希土類元素添加工程である。決定工程SP3では、希土類元素含有媒体中の希土類元素の濃度を決定する。このように希土類元素含有媒体中の希土類元素の濃度が決定されることで、製造される光ファイバ母材のコア部に添加される希土類元素の濃度を直接的に変化させることができる。
また、本実施形態の溶液浸透工程SP43では、シリカガラス微粒子結合体13のシリカガラス微粒子間にアルミニウム溶液であるアルミニウム含有媒体を浸透させてアルミニウムをシリカガラス微粒子に添加するアルミニウム添加工程と、当該シリカガラス微粒子間に希土類元素溶液である希土類元素含有媒体を浸透させて希土類元素をシリカガラス微粒子に添加する希土類元素添加工程とが同時に行われた。アルミニウム添加工程と希土類元素添加工程とが同時に行われなくてもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。
本実施形態では、製造工程SP4が気相法により行われる例について説明する。本製造方法は、MCVD法の一種であるが、上記第1実施形態で説明したMCVD法とは異なる方法である。図19は、本実施形態における製造工程SP4を示すフローチャートである。図19に示すように本変形例の製造工程SP4は、ガラス管準備工程SP41aと、ガラス層形成工程SP42aと、コラプス工程SP43aとを含む。
<ガラス管準備工程SP41a>
本実施形態のガラス管準備工程SP41aは、第1実施形態のガラス管準備工程SP41と同様にして行われる。従って、図13に示すシリカガラス管20が準備される。シリカガラス管20が準備できたら、第1実施形態と同様にして、シリカガラス管20を不図示の旋盤にセットする。この旋盤は、第1実施形態で説明した旋盤と同様の旋盤である。
<ガラス層形成工程SP42a>
本工程は、光ファイバ母材のコア部となるガラス体であるガラス層の結合体を形成する工程である。図20は、本工程の様子を示す図である。図20に示すように、本実施形態では、四塩化ケイ素と、Yb(DPM)(β−ジケトン金属錯体)或いはYbClと、三塩化アルミニウムと、オキシ塩化リンとが加熱されて気化されたガスと、酸素からなるキャリアガスとを含むガスをシリカガラス管20の中空部20H内に流通させる。このとき、シリカガラス管20を軸中心に回転させながら、例えば酸水素バーナBAで加熱する。このときのシリカガラス管20の温度、及び、中空部20H内に流通されるガスの温度は、例えば、1800〜2200℃とされる。このシリカガラス管20の中空部20H内に流通されるガスは、イッテルビウムを含有するため希土類元素含有媒体と理解でき、またアルミニウムを含有するためアルミニウム含有媒体とも理解でき、またリンを含有するためリン含有媒体とも理解できる。
シリカガラス管20の中空部20H内に流通する四塩化ケイ素は、酸化反応により、酸水素バーナBAの進行方向側においてシリカガラス微粒子(スート)とされて、シリカガラス管20の内壁に付着する。このときシリカガラス微粒子には、イッテルビウム、アルミニウム、及びリンが添加される。そして、さらに酸水素バーナBAで加熱され、図20に示すように酸水素バーナBAの進行方向の後方側で透明なガラス層13aになる。なお、図20には、2層目のガラス層13aを形成している様子が示されている。このガラス層13aが少なくとも1層形成されて、シリカガラス管20の内壁にコア部となるガラス体であるガラス層13aが積層される。こうして、シリカガラス管20の内壁上にイッテルビウム、アルミニウム、及びリンが添加されたガラス体が形成される。従って、本実施形態では、希土類元素であるイッテルビウムを含有する希土類元素含有媒体を用いて、コア部となるガラス体であるガラス層13aにイッテルビウムを添加する希土類元素添加工程と、アルミニウムを含有するアルミニウム含有媒体を用いて、コア部となるガラス体であるガラス層13aにアルミニウムを添加するアルミニウム添加工程と、リンを含有するリン含有媒体を用いて、コア部となるガラス体であるガラス層13aにリンを添加するリン添加工程とが、コア部となるガラス体を形成するガラス層形成工程と同時に行われている。
<コラプス工程SP43a>
次に第1実施形態のコラプス工程SP45と同様にして、コラプス工程を行う。こうして、図3に示す測定用光ファイバ母材1Pと同様の光ファイバ母材が得られる。
本実施形態の製造工程SP4を備える光ファイバ母材の製造方法によれば、ガラス層形成工程の後に希土類元素添加工程を行う場合と比べて工程数を削減し得る。また、ガラス層形成工程の後にアルミニウム添加工程を行う場合と比べて工程数を削減し得る。また、ガラス層形成工程の後にリン添加工程を行う場合と比べて工程数を削減し得る。
本実施形態の場合、決定工程SP3では、Yb(DPM)或いはYbClの加熱温度やガスの分圧を決定することで、シリカガラス管20の中空部20H内に流通されるガスにおけるイッテルビウムの濃度を決定することができる。すなわち希土類元素含有媒体中の希土類元素の濃度を決定することができる。また、本実施形態の場合、決定工程SP3では、三塩化アルミニウムの加熱温度やガスの分圧を決定することで、シリカガラス管20の中空部20H内に流通されるガスにおけるアルミニウムの濃度を決定することができる。すなわちアルミニウム含有媒体中のアルミニウムの濃度を決定することができる。また、本実施形態の場合、決定工程SP3では、オキシ塩化リンの加熱温度やガスの分圧を決定することで、シリカガラス管20の中空部20H内に流通されるガスにおけるリンの濃度を決定することができる。すなわちリン含有媒体中のリンの濃度を決定することができる。
以上、本発明について、上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態ではクラッド12が被覆層14で被覆されるシングルクラッド型の光ファイバとされた。しかし、本発明で製造される光ファイバはダブルクラッド型であってもよい。この場合、クラッド12がクラッド12よりも屈折率の低い外側クラッドにより隙間なく囲まれ、この外側クラッドが被覆層14で被覆される。この場合、外側クラッドは、例えば、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等の樹脂や、フッ素等の屈折率を低くするドーパントが添加された石英ガラスからなる。ただし、クラッド12に屈折率が高くなるドーパントが添加される場合には、外側クラッドは、何らドーパントが添加されない石英からなってもよい。また、外側クラッドが上記のように樹脂からなる場合、被覆層14は、外側クラッドの樹脂とは異なる種類の樹脂とされる。
また、上記実施形態では、コア部11Pに添加される希土類元素がイッテルビウムである場合について説明したが、希土類元素が上記したイッテルビウム以外の元素であっても良い。
また、上記実施形態では、製造工程SP4がMCVD法により行われる例について説明した。また、例えば、製造工程SP4は、OVD法、ゾル−ゲル法、スリップキャスト法等のイッテルビウム、アルミニウム、リンが共添加された光ファイバ母材の製造方法により行われてもよい。また、コア部を気相軸付け(VAD)法により形成してもよい。この場合、VAD法により、コア部となるシリカガラス微粒子結合体を作成する。そして、このシリカガラス微粒子結合体を上記実施形態の溶液浸透工程SP43で用いられた溶液と同様の溶液に浸漬して、所定時間放置する。その後、シリカガラス微粒子結合体を溶液から取り出し、上記実施形態の溶液浸透工程SP43と同様に加熱する。さらに、上記実施形態のリン含有ガス流通工程SP44で用いられたガス内に所定時間放置する。その後、コラプス工程で、シリカガラス微粒子間の隙間が潰されて、コア部が形成される。その後、外付け法やロッドインチューブ法等によりクラッド部が形成されて、光ファイバ母材が製造されてもよい。
このように本発明は、製造工程SP4において、光ファイバ母材が測定用光ファイバ母材と同様の製造方法で製造される限りにおいて、その製造方法は特に限定されない。
また、コア部11Pに添加される希土類元素の濃度を測定する必要が無い場合には、光ファイバ母材の製造方法において希土類元素濃度推定工程SP24が不要とされ、ドーパント濃度差測定装置において希土類元素濃度推定部33が不要とされる。
また、上記実施形態では測定光Lは測定用光ファイバ母材1Pの側面から入射されたが、測定光は測定用光ファイバ母材1Pの一方の端面からコア部11Pに入射されても良い。この場合、測定光は測定用光ファイバ母材1Pの長手方向を伝搬して、その一部がコア部11Pに吸収される。従って、コア部11Pに吸収される測定光の量を多くすることができ、より明確な吸収スペクトルを取得することができ、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差をより正確に推定することができる。
また、上記実施形態では、標準母材をセットした場合の透過光のスペクトルにかかる情報がメモリ35に記憶されており、取得部31は、メモリ35に記憶された情報と分光器26から入力する情報とを比較して、コア部11Pにおける吸収スペクトルにかかる情報を計算するものとした。しかし、例えば、照射部21が、コア部11Pに添加される希土類元素が吸収する波長帯域において一定のパワーの測定光を出射し、取得部31が、それぞれの波長において、分光器26が受光する光のパワーが大きいことを示す電気信号ほどコア部11Pにおける光の吸収量が小さく、分光器26が受光する光のパワーが小さいことを示す電気信号ほどコア部11Pにおける光の吸収量が大きいこととして、吸収スペクトルを取得しても良い。
また、上記実施形態では、アルミニウム及びリンの濃度をそれぞれ重量パーセントで示したが、本発明はこれに限らず、例えば、モルパーセントでも良い。
以上説明したように、本発明によれば、アルミニウムの濃度とリンの濃度との差が適切に調節された光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法が提供され、光ファイバの製造等の分野において利用することができる。
1・・・光ファイバ
1P・・・(測定用)光ファイバ母材
11・・・コア
11P・・・コア部
12・・・クラッド
12P・・・クラッド部
13・・・シリカガラス微粒子結合体
20・・・シリカガラス管
21・・・照射部
24・・・セル
26・・・分光器
30・・・計算部
31・・・取得部
32・・・濃度差推定部
33・・・希土類元素濃度推定部
35・・・メモリ
SP1・・・測定用光ファイバ母材準備工程
SP2・・・測定工程
SP21・・・照射工程
SP22・・・取得工程
SP23・・・濃度差推定工程
SP24・・・希土類元素濃度推定工程
SP3・・・決定工程
SP4・・・製造工程
SP41・・・ガラス管準備工程
SP42・・・ガラス微粒子結合体形成工程
SP43・・・溶液浸透工程
SP44・・・リン含有ガス流通工程
SP5・・・線引工程

Claims (18)

  1. アルミニウムとリンとが所定の濃度差となるように添加され、希土類元素が所定の濃度となるように添加されたコア部を有する測定用光ファイバ母材を準備する準備工程と、
    前記希土類元素が吸収する波長帯域の測定光を前記コア部に照射する照射工程と、
    前記コア部を透過する前記測定光のスペクトルに基づいて前記コア部に吸収される希土類元素の光の吸収スペクトルを取得する取得工程と、
    前記吸収スペクトルに基づいて前記コア部に添加されるアルミニウムとリンとの濃度差を推定する濃度差推定工程と、
    前記濃度差推定工程で推定された前記濃度差よりも前記所定の濃度差に近づくように製造される光ファイバ母材の製造条件を決定する決定工程と、
    前記決定工程で決定された製造条件で前記光ファイバ母材を製造する製造工程と、
    を備える
    ことを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。
  2. 前記濃度差推定工程において、前記吸収スペクトルにおけるピーク波長のシフト量に基づいてアルミニウムの濃度とリンの濃度との差を推定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  3. 前記濃度差推定工程において、前記吸収スペクトルにおけるピークの帯域幅の変化量に基づいてアルミニウムの濃度とリンの濃度との差を推定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  4. アルミニウムとリンとが所定の濃度差となるように添加され、希土類元素が所定の濃度となるように添加されたコア部を有する測定用光ファイバ母材を準備する準備工程と、
    前記希土類元素が吸収する波長帯域の測定光を前記コア部に照射する照射工程と、
    前記コア部を透過する前記測定光のスペクトルに基づいて前記コア部に吸収される光の吸収スペクトルを取得する取得工程と、
    前記吸収スペクトルに基づいて前記コア部に添加されるアルミニウムとリンとの濃度差を推定する濃度差推定工程と、
    前記濃度差推定工程で推定された前記濃度差よりも前記所定の濃度差に近づくように製造される光ファイバ母材の製造条件を決定する決定工程と、
    前記決定工程で決定された製造条件で前記光ファイバ母材を製造する製造工程と、
    を備え、
    前記濃度差推定工程において、前記吸収スペクトルにおけるピーク波長のシフト量に基づいてアルミニウムの濃度とリンの濃度との差を推定する
    ことを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。
  5. アルミニウムとリンとが所定の濃度差となるように添加され、希土類元素が所定の濃度となるように添加されたコア部を有する測定用光ファイバ母材を準備する準備工程と、
    前記希土類元素が吸収する波長帯域の測定光を前記コア部に照射する照射工程と、
    前記コア部を透過する前記測定光のスペクトルに基づいて前記コア部に吸収される光の吸収スペクトルを取得する取得工程と、
    前記吸収スペクトルに基づいて前記コア部に添加されるアルミニウムとリンとの濃度差を推定する濃度差推定工程と、
    前記濃度差推定工程で推定された前記濃度差よりも前記所定の濃度差に近づくように製造される光ファイバ母材の製造条件を決定する決定工程と、
    前記決定工程で決定された製造条件で前記光ファイバ母材を製造する製造工程と、
    を備え、
    前記濃度差推定工程において、前記吸収スペクトルにおけるピークの帯域幅の変化量に基づいてアルミニウムの濃度とリンの濃度との差を推定する
    ことを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。
  6. 前記照射工程において、前記測定光は前記測定用光ファイバ母材の一方の端面から入射される
    ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  7. 前記照射工程において、前記測定光は前記測定用光ファイバ母材の側面から入射されることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  8. 前記照射工程において、前記測定光は前記測定用光ファイバ母材の長手方向に沿って移動しながら入射される
    ことを特徴とする請求項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  9. 前記測定光の直径は前記測定用光ファイバ母材の前記コア部の直径よりも小さい
    ことを特徴とする請求項またはに記載の光ファイバ母材の製造方法。
  10. 前記製造工程は、アルミニウムを含有するアルミニウム含有媒体を用いて、製造される前記光ファイバ母材の前記コア部となるガラス体にアルミニウムを添加するアルミニウム添加工程を含み、
    前記決定工程では、前記アルミニウム含有媒体中のアルミニウムの濃度を決定する
    ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  11. 前記製造工程は、前記ガラス体を形成するガラス体形成工程を含み、
    前記アルミニウム添加工程は、前記ガラス体形成工程と同時に行われる
    ことを特徴とする請求項10に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  12. 前記製造工程は、リンを含有するリン含有媒体を用いて、製造される前記光ファイバ母材の前記コア部となるガラス体にリンを添加するリン添加工程を含み、
    前記決定工程では、前記リン含有媒体中のリンの濃度を決定する
    ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  13. 前記製造工程は、前記ガラス体を形成するガラス体形成工程を含み、
    前記リン添加工程は、前記ガラス体形成工程と同時に行われる
    ことを特徴とする請求項12に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  14. 前記濃度差推定工程で推定された前記コア部に添加されるアルミニウムの濃度とリンの濃度との差と、前記希土類元素が吸収する前記測定光の吸収量に基づいて、前記測定用光ファイバ母材の前記コア部に添加される前記希土類元素の濃度を推定する希土類元素濃度推定工程を更に備える
    ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  15. 前記決定工程では、前記希土類元素濃度推定工程で推定された前記濃度よりも前記所定の濃度に近づくように製造される前記光ファイバ母材の製造条件を決定する
    ことを特徴とする請求項14に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  16. 前記製造工程は、前記希土類元素を含有する希土類元素含有媒体を用いて、製造される前記光ファイバ母材の前記コア部となるガラス体に前記希土類元素を添加する希土類元素添加工程を含み、
    前記決定工程では、前記希土類元素含有媒体中の前記希土類元素の濃度を決定する
    ことを特徴とする請求項15に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  17. 前記製造工程は、前記ガラス体を形成するガラス体形成工程を含み、
    前記希土類元素添加工程は、前記ガラス体形成工程と同時に行われる
    ことを特徴とする請求項16に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  18. 請求項1から17のいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法で製造された前記光ファイバ母材を線引きする線引工程を備える
    ことを特徴とする光ファイバの製造方法。
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