JP6602682B2 - 心房細動の判定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、心房細動の診断を補助する方法、心房細動の診断補助装置、及び心房細動の診断を補助するためのコンピュータプログラムに関する。
心疾患のバイオマーカーとしては、BNP、NT−proBNP、心筋トロポニンT、心筋トロポニンIなどが用いられる。BNP及びNT−proBNPは、心不全(収縮不全)で上昇し、心不全の重症度と相関することが知られている(非特許文献1)。心筋トロポニンT及び心筋トロポニンIは、心筋細胞壊死のマーカーであり、急性心筋梗塞の診断に有用であるが、心不全では通常上昇しないことが報告されている(非特許文献2)。また、BNP/NT−proBNPは、心不全のない心肥大(高血圧による心肥大、肥大型心筋症、拡張不全とも言われる)や心房細動などの不整脈で上昇する(非特許文献3)。
Hanna K. Gaggin, and James L. Januzzi Jr.; Biochimica et Biophysica Acta 1832 (2013) 2442-2450. "Biomarkers and diagnostics in heart failure" Peacock WF 4th et al.; N Engl J Med. 2008 May 15;358(20):2117-26. "Cardiac troponin and outcome in acute heart failure." McKie PM, and Burnett JC Jr.; Mayo Clin Proc. 2005 Aug;80(8):1029-36. "B-type natriuretic peptide as a biomarker beyond heart failure: speculations and opportunities."
心房細動では、統率のない速い不規則な心房興奮のため心室充満に対する心房収縮の寄与は消失し、心拍出量が減少する。この心拍出量の減少は、血行動態を悪化させ心不全の増悪因子となる。また、心房細動による心房内の血流速度の低下は、血栓形成の原因となり、ひいては脳梗塞等の塞栓症を合併する畏れがある。このため、心房細動の治療方針には、心拍数調節、洞調律化・再発予防に加え、抗血栓療法が含まれる。抗血栓療法を開始するタイミングを決定する上でも、心房細動の早期発見は重要である。心房細動では、動悸や胸部症状等の自覚症状を伴う場合もあるが無症候性の場合もあるため、自覚症状以外から、心房細動を早期に発見する必要がある。しかしながら、現在心房細動において上昇することが報告されている血中のBNP/NT−proBNP測定値は、心不全、及び心肥大でも上昇するため、心房細動を特異的に検出することはできない。心不全や心肥大と区別して心房細動に関する情報を取得することは、塞栓症の予防治療の判断に有用である。しかし、心房細動を他の心疾患と明確に区別できるマーカーは、現在知られていない。
本発明者は、鋭意研究を重ねたところ、心房細動の患者の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値が、健常者及び他の心疾患患者の値と比較して有意に高いことを見出し、本発明を完成した。
本発明は、当該知見に基づいて完成されたものであり、以下の態様を含む。
項1.被検体から採取された生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値を取得する工程と、
取得したヌクレオフォスミンの測定値に基づいて、心房細動に関する情報を取得する工程と、
を含む、心房細動の診断を補助する方法。
項2.前記生体試料が血液試料である項1に記載の方法。
項3.前記情報取得工程において、前記ヌクレオフォスミンの測定値と所定の閾値とを比較し、前記測定値が前記閾値以上の場合に被検体が心房細動であることを示す情報を取得する、項1または2に記載の方法。
項4.前記ヌクレオフォスミンの測定値が、ヌクレオフォスミン遺伝子の発現量又はヌクレオフォスミンタンパク質の測定値である、項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
項5.ヌクレオフォスミンタンパク質のアミノ酸配列を有するポリペプチドからなる、心房細動の判定用バイオマーカー。
項6.項1〜5のいずれかに記載の方法に用いられる、抗ヌクレオフォスミン抗体を含む、心房細動の検査試薬。
項7.第1抗ヌクレオフォスミン抗体、固相、第2抗ヌクレオフォスミン抗体および標識物質を含む、項1〜5のいずれか一項に記載の方法に用いられる、心房細動の検査キット。
項8.プロセッサ及び前記プロセッサの制御下にあるメモリを含むコンピュータを備え、
前記メモリには、
(1)被験体の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値を取得する工程、
(2)前記測定値に基づいて心房細動に関する情報を出力する工程、
を前記コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが記録されている、心房細動の診断補助装置。
項9.前記工程(2)では、前記測定値を所定の閾値と比較する工程と、前記測定値が前記閾値以上の場合に当該被験体が心房細動であると決定する工程と、当該被験体が心房細動であることを示す情報を出力する工程と、が実行される項8に記載の心房細動の診断補助装置。
項10.プロセッサ及び前記プロセッサの制御下にあるメモリを含むコンピュータに、
(1)被験体の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値を取得する工程、
(2)前記測定値に基づいて、心房細動に関する情報を出力する工程、
を実行させるコンピュータプログラム。
項11.前記工程(2)では、前記測定値を所定の閾値と比較する工程と、前記測定値が前記閾値以上の場合に当該被験体が心房細動であると決定する工程と、当該被験体が心房細動であることを示す情報を出力する工程と、を実行させる請求項10に記載のコンピュータプログラム。
本発明により、心房細動の診断を補助する方法、心房細動の診断補助装置、及び心房細動の診断を補助するためのコンピュータプログラムを提供することができる。
検査キットの一例を示した概略図である。 診断補助装置の一例を示す概略図である。 診断補助装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 診断補助装置を用いた心不全患者の検出方法のフローチャートである。 各群の血清中ヌクレオフォスミン濃度の散布図を示す。 A:Af患者群のヌクレオフォスミンの測定値と拡張型心筋症患者群のヌクレオフォスミンの測定値のROC曲線を示す。B:Af患者群のヌクレオフォスミンの測定値と肥大型心筋症患者群のヌクレオフォスミンの測定値のROC曲線を示す。C:Af患者群のヌクレオフォスミンの測定値と高血圧患者群のヌクレオフォスミンの測定値のROC曲線を示す。 D:Af患者群のヌクレオフォスミンの測定値と虚血型心筋症患者群のヌクレオフォスミンの測定値のROC曲線を示す。E:Af患者群のヌクレオフォスミンの測定値と健常者群のヌクレオフォスミンの測定値のROC曲線を示す。
1.用語の説明
はじめに、本明細書、請求の範囲、要約で使用されている用語について説明する。
本明細書において、「心房細動」とは不整脈の一種であり、心電図上小さく不規則な基線の乱れが認められる疾患である。本発明において心房細動には、動悸等の自覚症状を伴う心房細動の他、無症候性心房細動も含まれる。また、心房細動は、初発性、発作性、持続性、長期永続性及び永続性のいずれであってもよい。さらに心房細動の原因も、特に制限されない。心房細動の原因としては、弁膜症、メタボリック症候群、高血圧症、及び虚血性心疾患等が挙げられる。
本発明において、「個体」は、特に制限されないが、個体にはヒト及びヒト以外の哺乳動物が含まれる。ヒト以外の哺乳動物としては、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ、ウサギ、サル等が挙げられる。好ましくは、ヒトである。また、個体の年齢、性別は問わない。
また、「被験体」は、心房細動及びその他の心疾患の既往を有している個体であっても、心房細動及びその他の心疾患の既往を有していない個体であってもよい。また、被験体は、動悸、胸の痛みや不快感、ふらつき、全身倦怠感等の自覚症状がある者であってもよく、また無症状の者であってもよい。さらに、被験体には、医療面接、心電図及び心機図検査等の生理学的検査等の公知の診断基準に従って心房細動が疑われた試験体も含まれる。
本発明において、「生体試料」には、生体由来の細胞、組織、尿、及び血液試料等が含まれる。生体試料として好ましくは、「血液試料」である。
「血液試料」とは、被験体から採取した血液(全血)、又は当該血液から調製した血清、又は血漿をいう。より好ましくは、血清又は血漿であり、さらに好ましくは血清である。血漿を採取する際に使用する抗凝固剤の種類は特に制限されない。測定に用いる被験体の血液試料と所定の閾値を決定する血液試料は同種であっても異種であっても良いが、同種であることが好ましい。また、血液試料として血漿を用いる場合、所定の閾値を決定するための血漿は、被験体の血漿と同じ抗凝固剤を用いて採血された血液から調製されることが好ましい。さらに、血液試料は、新鮮なものであっても、保存されていたものであってもよい。血液試料を保存する場合には、室温環境、冷蔵環境又は冷凍環境において保存することができるが、好ましくは冷凍保存である。
ヌクレオフォスミン(nucleophosmin; NPM/B23)は、核と細胞質間をシャトルするタンパク質である。本明細書では、特にヌクレオフォスミンのタンパク質について言及する場合は「ヌクレオフォスミンタンパク質」ということがあり、特にヌクレオフォスミンをコードする遺伝子について言及する場合は「ヌクレオフォスミン遺伝子」ということがある。
「ヌクレオフォスミンの測定値」には、生体試料内での「ヌクレオフォスミンタンパク質の測定値」及び「ヌクレオフォスミン遺伝子の発現量」が含まれる。
「ヌクレオフォスミンタンパク質の測定値」とは、ヌクレオフォスミンタンパク質の量又は濃度を反映した値をいう。当該測定値を「量」で標記する場合には、モルであっても質量であってもよいが、質量で標記することが好ましい。また、値を「濃度」で表記する場合には、モル濃度であっても生体試料の一定容量あたりの質量の割合(質量/容量)であってもよいが、好ましくは質量/容量である。量又は濃度を反映する値としては、上記の他に、蛍光や発光などのシグナルの強度であってもよい。
「ヌクレオフォスミン遺伝子の発現量」とは、ヌクレオフォスミンmRNAの発現量を反映した値をいう。当該発現量は、一定量の生体試料中に存在するヌクレオフォスミンmRNAのコピー数(絶対量)で表されてもよく、または、β2−ミクログロブリンmRNA、GAPDH mRNA及びβ−アクチン mRNA等のハウスキーピング遺伝子の発現量に対する相対発現量を反映した値であってもよい。また、蛍光や発光などのシグナルの強度で表されてもよい。
「所定の閾値」とは、ヌクレオフォスミンの測定値の閾値をいう。当該閾値は、心房細動を発症していない個体の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値及び/又は心房細動を発症した個体の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値に基づいて決定することができる。
たとえば、心房細動を発症した複数の個体の生体試料を用いて測定したヌクレオフォスミンの測定値と、心房細動を発症していない複数の個体の生体試料を用いて測定したヌクレオフォスミンの測定値とを取得する。これらの複数の値に基づいて陽性と陰性とを最も精度よく分類できる値を「閾値」とすることができる。ここで、「最も精度よく分類できる値」は、検査の目的によって感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率などの指標に基づいて適宜設定することができる。
例えば一態様として、心房細動を発症した複数の個体から得られたそれぞれの生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値の中で、最も低い測定値を閾値としてもよい。例えば、スクリーニング検査のように、擬陽性をできるだけ低減させたい場合は、当該閾値を好適に用いることができる。
また、別の態様として、心房細動を発症していない個体の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値に基づいて閾値を決定する場合には、心房細動を発症していない複数の個体の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値の中から、最も高い測定値を閾値と決定することができる。例えば、擬陰性をできるだけ低減させたい場合は、当該閾値を好適に用いることができる。
また別の態様として、閾値は、心房細動を発症していない個体の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値そのもの、又は心房細動を発症していない個体の複数のヌクレオフォスミンの測定値の平均値、中央値または最頻値とすることもできる。
また、心房細動を発症していない個体の複数の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値に基づいて決定することもできる。
この場合には、当該複数の生体試料中の[ヌクレオフォスミンの測定値の平均値]を、好ましくは[「当該平均値」から「当該複数の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値の標準偏差の値を1倍して得られた値」を減じた値]を、又はより好ましくは、[「当該平均値」から「当該標準偏差の値を2倍して得られた値」を減じた値]を閾値とすることができる。
またさらに、閾値として、同一被験体であって当該被験体が心房細動を来す前に取得された過去のヌクレオフォスミンの測定値(一つの値でもよいし、複数の値の平均値、中央値、最頻値などであってもよい)を使用することもできる。
心房細動を発症していない個体の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値と心房細動を発症した個体の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値に基づいて閾値を決定する場合には、心房細動を発症していない1個体の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値と心房細動を発症した1個体の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値の平均値を基準とすることができる。また、「心房細動を発症していない個体の複数の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値の平均値」と「心房細動を発症した個体の複数の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値の平均値」をさらに平均した値を閾値とすることもできる。他の態様として、心房細動を発症していない個体と心房細動を発症した個体を一群とし、この一群の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値の中央値を閾値とすることもできる。
さらなる他の態様として、上記閾値を決定する方法において、心房細動を発症していない個体の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値に代えて、健常個体の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値を使用してもよい。
これらの閾値は、被験体の生体試料のヌクレオフォスミンの測定値を取得する際に決定してもよいが、あらかじめ決定しておいてもよい。
「健常個体」とは、特に制限されない。好ましくは「個体」の項に記載されたヒト又はヒト以外の哺乳動物であって、生化学的検査、血液検査、尿検査、血清検査、生理学的検査等において異常データを示さない個体をいう。健常個体の年齢、性別は特に制限されない。
「心房細動を発症していない個体」とは、特に制限されない。好ましくは「個体」の項に記載されたヒト又はヒト以外の哺乳動物であって、公知の診断基準に従って、心房細動を発症していると診断され得ない個体である。
「複数の生体試料」とは、2以上、好ましくは5以上、より好ましくは10以上の生体試料である。これらは、異なる個体から採取された生体試料であってもよいし、採取時が異なる同一個体の複数の生体試料であってもよい。
「複数の値」とは、2以上、好ましくは5以上、より好ましくは10以上のヌクレオフォスミンの測定値である。
「複数の個体」とは、2以上、好ましくは5以上、より好ましくは10以上の個体である。
閾値を決定するためにヌクレオフォスミンの測定値を取得する個体と、被験体の種、年齢、性別等を必ずしも同じくする必要はないが、好ましくは同種である。また、前記個体は被験体と同年代及び/又は同一性別であることが好ましい。
「抗ヌクレオフォスミン抗体」は、ヌクレオフォスミンタンパク質と特異的に結合する限り制限はなく、ヌクレオフォスミンタンパク質又はその一部を抗原としてヒト以外の動物に免疫して得られたポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、及びそれらの断片(例えば、Fab、F(ab)等)のいずれも用いることができる。また、免疫グロブリンのクラス及びサブクラスは特に制限されない。また、キメラ抗体であってもよい。さらに、scFv等であってもよい。
抗ヌクレオフォスミン抗体を作製するために用いられる、抗原となるヌクレオフォスミンタンパク質として好ましくは、ヒト(例えばGenBank:AAA36380.1[配列番号1]、GenBank:AAW67757.1[配列番号2])、マウス(例えばNCBI Reference Sequence:NP_032748.1、NP_001239189.1、NP_001239190.1)、ラット(例えばNCBI Reference Sequence:NP_037124.1)等由来のヌクレオフォスミンタンパク質であり、より好ましくは配列番号1又は配列番号2で示されるヒトヌクレオフォスミンタンパク質である。抗原として用いられるヌクレオフォスミンタンパク質は、哺乳類細胞から公知の方法にしたがって抽出されたものでもよく、また組換え遺伝子工学技術によって得られたリコンビナントタンパク質であってもよい。ヌクレオフォスミンタンパク質の一部を抗原とする場合には、ヌクレオフォスミンタンパク質を酵素等で消化して得られるフラグメントを使用してもよく、またヌクレオフォスミンタンパク質の一部のアミノ酸配列と同じ配列を有するペプチドを抗原としてもよい。当該ペプチドは、公知の方法によって合成することができる。
さらに抗ヌクレオフォスミン抗体として、例えばアブカム社(英国、ケンブリッジ)から発売されているヒトヌクレオフォスミンタンパク質と反応する抗ヌクレオフォスミン抗体 [FC82291] (ab10530)等の市販品を使用することもできる。
本発明において「ヌクレオフォスミンmRNA」とは、ヒト(例えばGenBank:M23613.1[配列番号3]、GenBank:AY740639.1[配列番号4])、マウス(例えばGenBank:GU214027.1)、ラット(例えばNCBI Reference Sequence:NM_012992.4)等を挙げることができる。より好ましくは、配列番号3又は配列番号4で示されるヒトヌクレオフォスミンmRNAである。
ここで、本発明においては、生体試料から抽出したtotal RNA及びmRNAのいずれを用いてもよい。total RNA及びmRNA抽出に用いる生体試料は、個体から採取されてすぐにRNA抽出に供されるか、個体から採取されてすぐに凍結(好ましくは、−80℃以下の雰囲気下で急冷)して、RNA抽出まで−80℃以下で保存されることが好ましい。
生体試料からのtotal RNA及びmRNAの抽出方法は特に制限されず、公知の抽出方法を使用することができる。
2.心房細動の判定方法
本実施態様においては、生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値を取得し、当該ヌクレオフォスミンの測定値を使用して心房細動であるか否かを判定する。
(i)ヌクレオフォスミンの測定値を取得する工程
本工程においては、はじめに被験体から採取された生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値を取得する。
生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値の取得方法は、生体試料に含まれるヌクレオフォスミンの測定値が取得できるかぎり、特に限定されない。
(i−1)ヌクレオフォスミンタンパク質の測定値の取得
ヌクレオフォスミンの測定値がヌクレオフォスミンタンパク質の測定値である場合、本工程では、当該測定値を取得するために、ヌクレオフォスミンタンパク質に特異的に結合可能な抗体、すなわち抗ヌクレオフォスミン抗体を用いることが可能である。また、後述する「4.抗ヌクレオフォスミン抗体を含む心房細動の検査試薬」若しくは「5.心房細動の検査キット」を使用してもよい。
生体試料と、抗ヌクレオフォスミン抗体とを混合する順序は特に限定されず、これらを実質的に同時に混合してもよいし、逐次混合してもよい。
本実施形態では、先に抗ヌクレオフォスミン抗体と生体試料中のヌクレオフォスミンタンパク質との複合体を形成させてから当該複合体を固相上に固定化するか、又はあらかじめ抗ヌクレオフォスミン抗体を固相上に固定化し、固定化された抗ヌクレオフォスミン抗体と生体試料中のヌクレオフォスミンタンパク質が複合体を形成させることができる。より好ましくは、先に前記複合体を形成させてから当該複合体を固相上に固定化する態様である。そして、固相上に固定化された当該複合体又は固相上で形成された複合体を、当該技術において公知の方法で検出することにより、生体試料に含まれるヌクレオフォスミンタンパク質の量又は濃度を測定することができる。
先に抗ヌクレオフォスミン抗体と生体試料中のヌクレオフォスミンタンパク質との複合体を形成させてから当該複合体を固相上に固定化する場合、ビオチン等で修飾した抗ヌクレオフォスミン抗体を、生体試料中のヌクレオフォスミンタンパク質と接触させて複合体を形成させる。別途固相にアビジン類をあらかじめ結合させておくことにより、ビオチンとアビジン類との結合を介して、当該複合体を固相に固定化することができる。
また、あらかじめ抗ヌクレオフォスミン抗体を固相に固定する場合、抗ヌクレオフォスミン抗体の固相への固定の態様は、特に限定されない。例えば、抗ヌクレオフォスミン抗体と固相とを直接結合させてもよいし、抗ヌクレオフォスミン抗体と固相との間を別の物質を介して間接的に結合させてもよい。直接の結合としては、例えば、物理的吸着などが挙げられる。間接的な結合としては、例えば、ビオチンと、アビジン又はストレプトアビジン(以下、「アビジン類」ともいう)との組み合わせを介した結合が挙げられる。この場合、抗ヌクレオフォスミン抗体をあらかじめビオチンで修飾し、固相にアビジン類をあらかじめ結合させておくことにより、ビオチンとアビジン類との結合を介して、抗ヌクレオフォスミン抗体と固相とを間接的に結合させることができる。本実施態様においては、抗ヌクレオフォスミン抗体と固相との結合は、ビオチンとアビジン類を介した間接的な結合であることが好ましい。
固相の素材は特に限定されず、例えば、有機高分子化合物、無機化合物、生体高分子などから選択できる。有機高分子化合物としては、ラテックス、ポリスチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。無機化合物としては、磁性体(酸化鉄、酸化クロム及びフェライトなど)、シリカ、アルミナ、ガラスなどが挙げられる。生体高分子としては、不溶性アガロース、不溶性デキストラン、ゼラチン、セルロースなどが挙げられる。これらのうちの2種以上を組み合わせて用いてもよい。固相の形状は特に限定されず、例えば、粒子、膜、マイクロプレート、マイクロチューブ、試験管などが挙げられる。それらの中でも粒子が好ましく、磁性粒子が特に好ましい。
本工程においては、複合体の形成後、好ましくは複合体形成後、標識物質の検出の前に、複合体を形成していない未反応の遊離成分を除去するB/F分離を行ってもよい。未反応の遊離成分とは、複合体を構成しない成分をいう。例えば、ヌクレオフォスミンタンパク質と結合しなかった抗ヌクレオフォスミン抗体などが挙げられる。B/F分離の手段は特に限定されないが、固相が粒子であれば、遠心分離により、複合体を捕捉した固相だけを回収することによりB/F分離ができる。固相がマイクロプレートやマイクロチューブなどの容器であれば、未反応の遊離成分を含む液を除去することによりB/F分離ができる。また、固相が磁性粒子の場合は、磁石で磁性粒子を磁気的に拘束した状態でノズルによって未反応の遊離成分を含む液を吸引除去することによりB/F分離ができる。当該方法は、自動化の観点で好ましい。未反応の遊離成分を除去した後、複合体を捕捉した固相をPBSなどの適切な水性媒体で洗浄してもよい。
本工程において、前記複合体の検出は、標識物質で標識された抗ヌクレオフォスミン抗体を使用して行うか、未標識の抗ヌクレオフォスミン抗体と当該未標識の抗ヌクレオフォスミン抗体と結合することができる標識物質で標識された抗イムノグロブリン抗体等を使用して行うことができるが、標識された抗ヌクレオフォスミン抗体を使用することが好ましい。また、標識された抗ヌクレオフォスミン抗体のヌクレオフォスミンタンパク質におけるエピトープと固相に結合する抗ヌクレオフォスミン抗体のヌクレオフォスミンタンパク質におけるエピトープとは異なることが好ましい。
標識抗ヌクレオフォスミン抗体又は標識抗イムノグロブリン抗体に用いられる標識物質は、検出可能なシグナルが生じるかぎり、特に限定されない。例えば、それ自体がシグナルを発生する物質(以下、「シグナル発生物質」ともいう)であってもよいし、他の物質の反応を触媒してシグナルを発生させる物質であってもよい。シグナル発生物質としては、例えば、蛍光物質、放射性同位元素などが挙げられる。他の物質の反応を触媒して検出可能なシグナルを発生させる物質としては、例えば、酵素が挙げられる。酵素としては、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼなどが挙げられる。蛍光物質としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、Alexa Fluor(登録商標)などの蛍光色素、GFPなどの蛍光タンパク質などが挙げられる。放射性同位元素としては、125I、14C、32Pなどが挙げられる。それらの中でも、標識物質として、酵素が好ましく、アルカリホスファターゼが特に好ましい。
標識抗ヌクレオフォスミン抗体は、当該技術において公知の標識方法により、抗ヌクレオフォスミン抗体を上記の標識物質で標識して得られる。また、市販のラベリングキットなどを用いて標識してもよい。また、標識イムノグロブリン抗体は、抗ヌクレオフォスミン抗体の標識と同じ手法を用いてもよいし、市販のものを使用してもよい。
本工程では、複合体に含まれる標識抗ヌクレオフォスミン抗体の標識物質により生じるシグナルを検出することにより、生体試料に含まれるヌクレオフォスミンの測定値を取得できる。ここで、「シグナルを検出する」とは、シグナルの有無を定性的に検出すること、シグナル強度を定量すること、及び、シグナルの強度を半定量的に検出することを含む。半定量的な検出とは、シグナルの強度を、「シグナル発生せず」、「弱」、「中」、「強」などのように段階的に示すことをいう。本工程では、シグナルの強度を定量的又は半定量的に検出することが好ましい。
シグナルを検出する方法自体は、当該技術において公知である。本工程では、上記の標識物質に由来するシグナルの種類に応じた測定方法を適宜選択すればよい。例えば、標識物質が酵素である場合、該酵素に対する基質を反応させることによって発生する光、色などのシグナルを、ルミノメーター、分光光度計などの公知の装置を用いて測定することにより行うことができる。
酵素の基質は、該酵素の種類に応じて公知の基質から適宜選択できる。例えば、酵素としてアルカリホスファターゼを用いる場合、基質として、CDP−Star(登録商標)(4−クロロ−3−(メトキシスピロ[1, 2−ジオキセタン−3, 2’−(5’−クロロ)トリクシロ[3. 3. 1. 13, 7]デカン]−4−イル)フェニルリン酸2ナトリウム)、CSPD(登録商標)(3−(4−メトキシスピロ[1, 2−ジオキセタン−3, 2−(5’−クロロ)トリシクロ[3. 3. 1. 13, 7]デカン]−4−イル)フェニルリン酸2ナトリウム)などの化学発光基質、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)、5−ブロモ−6−クロロ−インドリルリン酸2ナトリウム、p−ニトロフェニルリン酸などの発色基質が挙げられる。特に好ましくは、CDP−Star(登録商標)である。当該基質の発光は、ルミノメーターで検出することが好ましい。
標識物質が放射性同位体である場合は、シグナルとしての放射線を、シンチレーションカウンターなどの公知の装置を用いて測定できる。また、標識物質が蛍光物質である場合は、シグナルとしての蛍光を、蛍光マイクロプレートリーダーなどの公知の装置を用いて測定できる。なお、励起波長及び蛍光波長は、用いた蛍光物質の種類に応じて適宜決定できる。
シグナルの検出結果は、ヌクレオフォスミンタンパク質の測定値として用いることができる。例えば、シグナルの強度を定量的に検出する場合は、シグナル強度の測定値自体又は該シグナル強度の測定値から算出される値を、ヌクレオフォスミンタンパク質の測定値として用いることができる。シグナル強度の測定値から算出される値としては、例えば、該シグナル強度の測定値から陰性対照試料のシグナル強度の測定値を差し引いた値、該シグナル強度の測定値を陽性対照試料のシグナル強度の測定値で除した値、及びそれらの組み合わせなどが挙げられる。陰性対照試料としては、健常者の生体試料等が挙げられる。陽性対照試料としては、ヌクレオフォスミンタンパク質を所定の量又は濃度で含む生体試料が挙げられる。
また、ヌクレオフォスミンタンパク質の測定値を取得するために、例えばMyBioSource社(米国、カリフォルニア、サンディエゴ)のHuman Nucleophosmin (NPM) ELISA Kit(カタログ番号MBS2024060)等のヒトヌクレオフォスミンタンパク質を検出する市販のELISAキットを使用することもできる。市販のキットを用いて生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値を取得する場合には、キットに添付のプロトコールにしたがって取得することができる。
(i−2)ヌクレオフォスミン遺伝子の発現量の取得
ヌクレオフォスミンの測定値がヌクレオフォスミン遺伝子の発現量である場合、本工程において当該発現量を取得するために、マイクロアレイ法、RNA−seq解析法、定量的RT−PCR法等公知の方法を使用することができる。マイクロアレイ法に使用するプローブは、自ら選択したプローブ又は公知のプローブを合成して使用してもよく、また市販のマイクロアレイチップを使用してもよい。マイクロアレイ法による定量は、公知の方法に従って行うことができ、ヌクレオフォスミンmRNAの発現量は、ハウスキーピング遺伝子の発現量に対する相対発現量として表してもよく、蛍光色素等のシグナル強度の測定値として表すことができる。
RT−PCRによる定量は、生体試料から抽出したtotal RNA又はmRNAを鋳型として逆転写反応を行い、得られたcDNAを鋳型としてヌクレオフォスミンmRNAの特異的なプライマーを使用してリアルタイムPCR法等で解析することにより行うことができる。また、この場合、ヌクレオフォスミンmRNAの発現量は、ハウスキーピング遺伝子の発現量に対する相対発現量として表してもよく、蛍光色素等のシグナルの強度の測定値として表してもよい。
また、RNA−seq解析法は、生体試料から抽出したmRNAを断片化し、これを鋳型として逆転写反応によるcDNAの合成とライブラリ作成を行う。各ライブラリに含まれる断片について次世代シーケンサーによる塩基配列を決定し、その情報をリファレンス遺伝子配列へマッピングし、mRNAの発現量をRPKM(Reads Per Killobases per Million)として表す。RPKMは、ヒートマップ等のシグナルの強度として表してもよい。
上記シグナルの検出結果は、ヌクレオフォスミンmRNAの発現量として用いることができる。例えば、シグナルの強度を定量的に検出する場合は、シグナル強度の測定値自体又は該シグナル強度の測定値から算出される値を、ヌクレオフォスミンmRNAの発現量として用いることができる。
上記シグナル強度の測定値から算出される値としては、例えば、該シグナル強度の測定値から陰性対照試料のシグナル強度の測定値を差し引いた値、該シグナル強度の測定値を陽性対照試料のシグナル強度の測定値で除した値、及びそれらの組み合わせなどが挙げられる。陰性対照試料としては、健常者の生体試料等が挙げられる。陽性対照試料としては、ヌクレオフォスミンmRNAを所定の発現量で含む生体試料が挙げられる。
(ii)ヌクレオフォスミンの測定値に基づいて心房細動に関する情報を取得する工程
次に、上記(i)工程で取得したヌクレオフォスミンの測定値に基づいて心房細動に関する情報を取得する。より具体的には、被験体の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値と所定の閾値とを、単純比較法や統計学的な検定等の公知の方法に従って比較する。続いて、被験体の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値が該閾値以上の場合に、該被験体が心房細動である、あるいは心房細動の疑いがあると決定することができる。また、被験体の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値が該閾値よりも低い場合に、該試験者は心房細動ではないと決定することができる。心房細動に関する情報とは、たとえば、本工程によって得られる該被験体が心房細動であるか否かの情報、心房細動の疑いがあるか否かの情報などである。好ましくは、被験体の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値が該閾値以上の場合に、被験体が心房細動であることを示す情報を取得する。取得された情報は、医師が当該被験体について心房細動であると診断することを補助するために、あるいは、当該被験体について心房細動ではないと診断することを補助するために提供される。
上記「1.用語の説明」に記載の「被験体」、「生体試料」、「ヌクレオフォスミンの測定値」、「所定の閾値」等に係る記載は、ここに援用することができる。
3.心房細動判定用のバイオマーカー
本発明には、上記「2.心房細動の判定方法」において、心房細動であるか否かを判定するためのバイオマーカーを含む。バイオマーカーには、個体の生体試料中に存在するヌクレオフォスミンタンパク質、好ましくは配列番号1又は2に示されるアミノ酸配列の全部又は一部を含むペプチド、並びにヌクレオフォスミンmRNA、好ましくは配列番号3又は4に示される塩基配列の全部又は一部を含む核酸が含まれる。本態様では、被験体の生体試料中の当該バイオマーカーを測定し、得られた測定値に基づいて該被験体が心房細動であるか否かを決定することができる。
上記「1.用語の説明」に記載の「被験体」、「生体試料」、「ヌクレオフォスミンの測定値」、「所定の閾値」等に係る記載は、ここに援用することができる。
4.抗ヌクレオフォスミン抗体を含む心房細動の検査試薬
本発明は、上記「2.心房細動の判定方法」に使用される抗ヌクレオフォスミン抗体を含む心房細動の検査試薬を提供する。
抗ヌクレオフォスミン抗体は、上記「1.用語の説明」に記載したものを使用することができる。
本実施態様の検査試薬には、少なくとも抗ヌクレオフォスミン抗体が1種以上含まれていればよい。抗ヌクレオフォスミン抗体がポリクローナル抗体である場合には、1種の抗原で免役して得られたポリクローナル抗体であってもよく、また2種以上の抗原で並行して同一個体に免役して得られたポリクローナル抗体であってもよい。また、2種以上の抗原をそれぞれ別の動物に接種して得られたそれぞれのポリクローナル抗体を混合してもよい。抗ヌクレオフォスミン抗体がモノクローナル抗体である場合には、1種のハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体であってもよいが、2種以上のハイブリドーマから産生されたモノクローナル抗体であって、それぞれのモノクローナル抗体が同一又は異なるエピトープを認識する複数のモノクローナル抗体が2種以上含まれていてもよい。また、ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体を1種以上ずつ混合して含んでいてもよい。
当該検査試薬に含まれる抗ヌクレオフォスミン抗体の形態は、特に制限されず、抗ヌクレオフォスミン抗体を含む抗血清若しくは腹水等の乾燥状態又は液体状態であってもよい。また、抗ヌクレオフォスミン抗体の形態は、精製抗ヌクレオフォスミン抗体、抗ヌクレオフォスミン抗体を含む免疫グロブリン画分若しくは抗ヌクレオフォスミン抗体を含むIgG画分の乾燥状態又は水溶液であってもよい。
前記形態が、抗ヌクレオフォスミン抗体を含む抗血清若しくは腹水の乾燥状態又は液体状態である場合、さらにβ−メルカプトエタノール、DTT等の安定化剤;アルブミン等の保護剤;ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル等の界面活性剤、アジ化ナトリウム等の防腐剤等の少なくとも一つを含んでいてもよい。また、抗ヌクレオフォスミン抗体の形態が、精製抗ヌクレオフォスミン抗体、抗ヌクレオフォスミン抗体を含む免疫グロブリン画分若しくは抗ヌクレオフォスミン抗体を含むIgG画分の乾燥状態又は水溶液である場合、さらに、リン酸緩衝液等のバッファー成分;β−メルカプトエタノール、DTT等の安定化剤;アルブミン等の保護剤;塩化ナトリウム等の塩;ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル等の界面活性剤等、アジ化ナトリウム等の防腐剤の少なくとも一つを含んでいてもよい。
本発明においては、当該抗ヌクレオフォスミン抗体は未標識であっても、ビオチン又は上述の標識物質で標識されていてもよいが、ビオチン又は上述の標識物質で標識されていることが好ましい。標識物質は、上記「2.心房細動の判定方法」の項に例示されたものを使用することができるが、好ましくはアルカリホスファターゼである。また、本発明においては、抗ヌクレオフォスミン抗体が、固相表面等に固定化された状態で提供されるものであってもよい。固相及び固定化については、上記「2.心房細動の判定方法」の項で例示したとおりである。固相として好ましくは、磁気ビーズである。
5.心房細動の検査キット
本発明は、上記「4.抗ヌクレオフォスミン抗体を含む心房細動の検査試薬」を含む、心房細動患者の検出方法又は心疾患の識別方法に使用される心房細動の検査キットである。
より具体的には、ビオチンで標識された抗ヌクレオフォスミン抗体を含む検査試薬、及び標識物質で標識された抗ヌクレオフォスミン抗体を含む検査試薬を含む、心房細動の検査キットである。標識物質として好ましくは、アルカリホスファターゼである。本実施形態は、固相、好ましくはアビジン類が結合した固相、より好ましくはアビジン類が結合した磁気ビーズをさらに含んでいてもよい。また、本実施形態は、基質を含んでいてもよい。基質として好ましくは、CDP−Star(登録商標)である。
なお、標識物質、固相、基質の詳細は、「2.心房細動の判定方法」に記載したとおりであり、当該記載はここに援用することができる。
本実施形態の検査キットは、ヌクレオフォスミンタンパク質の異なるエピトープに結合する2種類の抗ヌクレオフォスミン抗体(第1抗ヌクレオフォスミン抗体、第2抗ヌクレオフォスミン抗体)を含むことが好ましい。この場合、固相上に第1抗ヌクレオフォスミン抗体、ヌクレオフォスミン、第2抗ヌクレオフォスミン抗体および標識物質の複合体が形成される。このような検出方法は、一般的にサンドイッチELISAと呼ばれる。この複合体において、第1抗ヌクレオフォスミン抗体は固相に固定されており、第2抗ヌクレオフォスミン抗体は標識物質と直接又は間接的に結合している。ここで、第2抗ヌクレオフォスミン抗体と標識物質とが間接的に結合している、とは第2抗ヌクレオフォスミン抗体に抗体などを介して標識物質が結合していることをいう。たとえば、第2抗ヌクレオフォスミン抗体を認識する標識抗体が第2抗ヌクレオフォスミン抗体に結合している状態が挙げられる。
第1抗ヌクレオフォスミン抗体が予め固相に結合している場合は、本実施形態の検査キットは、第1抗ヌクレオフォスミン抗体を固定化した固相と、第2抗ヌクレオフォスミン抗体と、標識物質とを含み得る。第2抗ヌクレオフォスミン抗体と、標識物質とは、別々の容器に収容されていてもよいし、同一の容器に収容されていてもよい。なお、標識物質が酵素であり、上記検査キットがさらに基質を含む場合、酵素と基質とは別々の容器に収容されている必要がある。ユーザに提供される際は、固相と、第2抗ヌクレオフォスミン抗体と、標識物質とのうち少なくとも2種類が同梱されていてもよいし、別々に梱包されていてもよい。
第1抗ヌクレオフォスミン抗体が予め固相に結合していない場合は、本実施形態の検査キットは、固相と、第1抗ヌクレオフォスミン抗体と、第2抗ヌクレオフォスミン抗体と、標識物質とを含み得る。第1抗ヌクレオフォスミン抗体と、第2抗ヌクレオフォスミン抗体と、標識物質とのうち少なくとも2種類が同一の容器に収容されていてもよいし、別々の容器に収容されていてもよい。なお、標識物質が酵素であり、上記検査キットがさらに基質を含む場合、酵素と基質とは別々の容器に収容されている必要がある。ユーザに提供される際は、固相と、第1抗ヌクレオフォスミン抗体と、第2抗ヌクレオフォスミン抗体と、標識物質とのうち少なくとも2種類が同梱されていてもよいし、別々に梱包されていてもよい。
上述の検査キットは、図1に示されるようなキットとしてユーザに提供され得る。心房細動の検査キット50は、外装箱55と、固相として複数の磁性粒子を含む第1容器51と、固相に結合可能な第1抗ヌクレオフォスミン抗体を含む第2容器52と、酵素標識された第2抗ヌクレオフォスミン抗体含む第3容器53と、検査キットの添付文書54とを含む。添付文書54には、検査キットの取り扱い方法、保管条件、使用期限などを記載しておくことができる。基質試薬を含む容器、洗浄用の水性媒体を含む容器などを外装箱55に同梱してもよい。
本実施形態は、心房細動の検査試薬または検査キットの製造のための、抗ヌクレオフォスミン抗体の用途を含む。検査試薬、検査キットおよび抗ヌクレオフォスミン抗体については、上述の通りである。
6.心房細動の診断補助装置及び心房細動の診断補助プログラム
以下に、上記の本実施形態の方法を実施するための診断補助装置及び診断補助プログラムの一実施形態を、添付図面を参照して説明する。図2は、診断補助装置1の概略図である。診断補助装置1は、測定装置2と、測定装置2に接続されたコンピュータシステム3と、を含む。
測定装置2は、被験体から採取された生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値を測定する。測定装置2は、特に限定されるものではなく、ヌクレオフォスミンの測定方法に応じて適宜選択できる。ヌクレオフォスミンの測定値が、ヌクレオフォスミンのタンパク質の測定値である場合、本実施形態の測定装置2は、ビオチン標識抗ヌクレオフォスミン抗体、アビジン類を固定した磁性粒子及び標識物質で標識された抗ヌクレオフォスミン抗体を用いるELISA法により生じるシグナルを検出可能な測定装置である。この種の測定装置は、用いた標識物質に基づくシグナルの検出が可能であれば特に限定されず、標識物質の種類に応じて適宜選択できる。
ビオチン標識抗ヌクレオフォスミン抗体、アビジン類を固定した磁性粒子を含む検査試薬、標識物質で標識された抗ヌクレオフォスミン抗体を含む試薬及び被験体から採取した生体試料を測定装置2にセットすると、測定装置2は、各試薬を用いて抗原抗体反応を実行し、ヌクレオフォスミンと特異的に結合した標識抗体に基づく光学的情報としてシグナルを取得し、得られた光学的情報をコンピュータシステム3に送信する。
ヌクレオフォスミンの測定値が、ヌクレオフォスミン遺伝子の発現量である場合、本実施形態の測定装置2は、マイクロアレイ解析、RNA−seq解析、及び定量的RT−PCR解析のいずれかにより生じるシグナルを検出可能な測定装置である。この種の測定装置は、用いた標識物質に基づくシグナルの検出が可能であれば特に限定されず、標識物質の種類に応じて適宜選択できる。
被験体から採取した生体試料から抽出されたmRNA又は、当該mRNAの逆転写産物(必要に応じて蛍光色素等で標識されていてもよい)を、マイクロアレイ解析、RNA−seq解析、及び定量的RT−PCR解析のいずれかの処理を実行する機能を備える測定装置2にセットすると、測定装置2は、所定の処理を実行し、ヌクレオフォスミンmRNAの発現量に基づく光学的情報としてシグナルを取得し、得られた光学的情報をコンピュータシステム3に送信する。
コンピュータシステム3は、コンピュータ4と、データなどを入力する入力部5と、被験体の情報や検出結果などを表示する表示部6と、を含む。コンピュータシステム3は、測定装置2から受信した光学的情報に基づき、被験体から採取された生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値を取得し、当該ヌクレオフォスミンの測定値により、被験体が心房細動であるか否かを検出する。なお、コンピュータシステム3は、図2に示すように、測定装置2とは別個の機器であってもよいし、測定装置2に組み込まれていてもよい。
コンピュータ4は、図3に示すように、プロセッサ(CPU)40、ROM41、RAM42、ハードディスク(HDD)43、入出力インターフェイス44、読取装置45、通信インターフェイス46及び画像出力インターフェイス47を備えており、これらはバス48によってデータ通信可能に接続されている。また、測定装置2は、通信インターフェイス46により、コンピュータ4と通信可能に接続されている。
CPU40は、入出力各部の動作を一連に制御するとともに、ROM41又はハードディスク43に記憶されているコンピュータプログラムを実行する。つまり、CPU40は、コンピュータプログラムに従って、測定装置2から受信した光学的情報の処理を行い、生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値を算出するとともに、ROM41又はハードディスク43に記憶されている所定の閾値(カットオフ値)を読み出し、当該ヌクレオフォスミンの測定値が所定の閾値以上の場合に、生体試料を採取した被験体が心房細動であると決定する。そして、CPU40は、決定結果を出力して表示部5に表示させる。
ROM41は、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成される。ROM41には、上述したように、CPU40によって実行される心房細動の検出のためのコンピュータプログラム(心房細動診断補助プログラム)及び当該心房細動診断補助プログラムの実行に用いるデータが記録される。また、ROM41には、所定の閾値の他、当該被験体の過去のヌクレオフォスミンの測定値などが記録されていてもよい。
RAM42は、SRAM、DRAMなどによって構成される。RAM42は、ROM41及びハードディスク43に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。RAM42は、また、CPU40がこれらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU40の作業領域として利用される。
ハードディスク43は、CPU40に実行させるためのオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム(心房細動の診断補助プログラム)などのコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータが記録される。ハードディスク43には、所定の閾値(カットオフ値)の他、当該被験体の過去のヌクレオフォスミンの測定値などが記録されていてもよい。
読取装置45は、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、DVDROMドライブなどによって構成される。読取装置45は、可搬型記録媒体7に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み取ることができる。
入出力インターフェイス44は、例えば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインターフェイスと、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインターフェイスと、D/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインターフェイスとから構成される。入出力インターフェイス44には、キーボード、マウスなどの入力部5が接続されている。操作者は、入力部5によりコンピュータ3に各種の指令を入力することができる。
通信インターフェイス46は、例えば、Ethernet(登録商標)インターフェイスなどである。コンピュータ3は、通信インターフェイス46により、プリンタなどへ印刷データの送信を行うことができる。
画像出力インターフェイス47は、LCD、CRTなどで構成される表示部6に接続されている。表示部6は、CPU40から与えられた画像データに応じた映像信号を出力できる。表示部6は、入力された映像信号にしたがって画像を表示する。
次に、図4を用いて、心房細動の診断補助プログラムに基づき、診断補助装置1により実行される心房細動の診断補助方法について説明する。まず、ステップST1において、CPU40は、測定装置2から光学的情報(シグナル)の送信を受けると、取得した光学的情報から生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値を算出し、ROM41又はハードディスク43に記憶する。そして、ステップST2において、CPU40は、取得したヌクレオフォスミンの測定値と、ROM41又はハードディスク43に記憶された所定の閾値(カットオフ値)とを比較する。ヌクレオフォスミンの測定値が所定の閾値(カットオフ値)以上であると、ステップST3が「YES」となってST4に進み、CPU40は、生体試料を採取した被験体が心房細動であると決定し、ステップST6において、CPU40は、決定結果を出力して、表示部5に表示したり、プリンタにより印刷したりする。また、生体試料を採取した被験体が心房細動であるとの結果をROM41又はハードディスク43に記憶してもよい。
一方、ヌクレオフォスミンの測定値が所定の閾値(カットオフ値)より低いと、ステップST3が「NO」となってステップST5に進み、CPU40は、生体試料を採取した被験体が心房細動でないと決定する。そして、ステップST6において、CPU40は、決定結果を出力して、表示部5に表示したり、プリンタにより印刷したりする。また、生体試料を採取した被験体が心房細動でないとの結果をROM41又はハードディスク43に記憶してもよい。
このような情報は、医師に対して、当該被験体が心房細動であると診断するあるいは当該被験体が心房細動ではないと診断することを補助するための情報として提供される。
以上、本発明に係る心房細動の診断補助装置及び心房細動の診断補助プログラムの一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例の態様に限定して解釈されるものではない。
実施例:血清中ヌクレオフォスミン濃度の測定と各種心疾患との相関
各心疾患患者の血清中ヌクレオフォスミン濃度を比較するため、表1に示す6群の各被検体の血清中のヌクレオフォスミン濃度を測定した。
1.対象
被検体の内訳を表1に示す。
ここで、健常者は、心疾患のみならず、他の疾患も含め疾患の疑いのない者である。
2.測定方法
被検体から採血を行い、血清を分離後測定まで−80℃で凍結保存した。
血清中のヌクレオフォスミンは、MyBioSource社(米国、サンフランシスコ、サンディエゴ)から購入したHuman Nucleophosmin (NPM) ELISA Kit(カタログ番号MBS2024060)を用いて、添付のプロトコールにしたがって測定した。
統計解析には、StatFlexを用い、基本統計量(パラメトリック法)、一元配置分散分析、独立多群多重比較(Tukey検定)を行った。また、感度、特異度の検定にはROC解析を行い、さらにAUC値を求めた。
3.結果
(1)血清中ヌクレオフォスミン濃度
パラメトリック法によって求めた各群の血清中のヌクレオフォスミン濃度の平均値±標準偏差(ng/ml)を表2に示す。また、図5に各群の血清中ヌクレオフォスミン濃度の散布図を示す。
Tukey検定の結果を表3に示す。表3に示すとおり、Af患者群の他の群に対するq値はいずれもP<0.01を示し、Af患者群では他の疾患群と比較して優位に血清中のヌクレオフォスミンの測定値が上昇していることが示された。
次に、ヌクレオフォスミンの測定値の心房細動の予測又は診断における感度及び特異度を検討するため、ROC解析を行った。図6−1及び図6−2に健常者群及び各心疾患患者群のヌクレオフォスミンの測定値に対するAf患者群のヌクレオフォスミンの測定値のROC曲線を示す。ROC曲線は左上隅に沿う形となった。また表4に各疾患群に対するAf患者群のAUC値と各疾患群に対する健常者群のAUC値を示す。各疾患群に対するAf患者群のAUC値は、高精度に分類される0.91〜1.00となった(表4)。これに対し各疾患群に対する健常者群のAUC値は、低制度に分類される0.53〜0.72であった(表4)。このことから、ヌクレオフォスミンの測定値は、心房細動の予測能及び診断能に優れていることが明らかとなった。
本実施例では、ヌクレオフォスミンタンパク質の測定値を指標として心房細動に関する情報を取得した。ヌクレオフォスミンタンパク質の発現量とヌクレオフォスミン遺伝子の発現量は強い相関関係があるため、ヌクレオフォスミン遺伝子の発現量を指標としても心房細動に関する情報を取得することができると考えられる。
1 検出装置
2 測定装置
3 コンピュータシステム
4 コンピュータ
5 出力部
6 入力部
40 プロセッサ(CPU)、
41 ROM
42 RAM
43 ハードディスク(HDD)
44 入力インターフェイス
45 読取装置
46 通信インターフェイス
47 画像出力インターフェイス
50 検査キット
55 外装箱
51 第1容器
52 第2容器
53 第3容器
54 添付文書
55 外装箱

Claims (11)

  1. 被検体から採取された生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値を取得する工程と、
    取得したヌクレオフォスミンの測定値に基づいて、心房細動に関する情報を取得する工程と、
    を含む、心房細動の診断を補助する方法。
  2. 前記生体試料が血液試料である請求項1に記載の方法。
  3. 前記情報取得工程において、前記ヌクレオフォスミンの測定値と所定の閾値とを比較し、前記測定値が前記閾値以上の場合に被検体が心房細動であることを示す情報を取得する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記ヌクレオフォスミンの測定値が、ヌクレオフォスミン遺伝子の発現量又はヌクレオフォスミンタンパク質の測定値である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. ヌクレオフォスミンタンパク質のアミノ酸配列を有するポリペプチドからなる、心房細動の判定用バイオマーカー。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の方法に用いられる、抗ヌクレオフォスミン抗体を含む、心房細動の検査試薬。
  7. 第1抗ヌクレオフォスミン抗体、固相、第2抗ヌクレオフォスミン抗体および標識物質を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法に用いられる、心房細動の検査キット。
  8. プロセッサ及び前記プロセッサの制御下にあるメモリを含むコンピュータを備え、
    前記メモリには、
    (1)被験体の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値を取得する工程、
    (2)前記測定値に基づいて心房細動に関する情報を出力する工程、
    を前記コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが記録されている、心房細動の診断補助装置。
  9. 前記工程(2)では、前記測定値を所定の閾値と比較する工程と、前記測定値が前記閾値以上の場合に当該被験体が心房細動であると決定する工程と、当該被験体が心房細動であることを示す情報を出力する工程と、が実行される請求項8に記載の心房細動の診断補助装置。
  10. プロセッサ及び前記プロセッサの制御下にあるメモリを含むコンピュータに、
    (1)被験体の生体試料中のヌクレオフォスミンの測定値を取得する工程、
    (2)前記測定値に基づいて、心房細動に関する情報を出力する工程、
    を実行させるコンピュータプログラム。
  11. 前記工程(2)では、前記測定値を所定の閾値と比較する工程と、前記測定値が前記閾値以上の場合に当該被験体が心房細動であると決定する工程と、当該被験体が心房細動であることを示す情報を出力する工程と、を実行させる請求項10に記載のコンピュータプログラム。
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