JP6602639B2 - がんの治療による口腔粘膜炎の改善・予防用組成物 - Google Patents

がんの治療による口腔粘膜炎の改善・予防用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、がんの治療によって生じる口腔粘膜炎の、改善用及び/又は予防用組成物に関する。
口腔粘膜炎は、がんの治療における副作用の一つであり、抗がん剤治療を受ける患者の約40%に生じると報告されており、投与後およそ5〜10日目頃から出現することが多い。また、口や喉のがんに対して放射線治療併用を行う場合には、放射線による口腔粘膜へのダメージや唾液分泌の抑制により、口腔粘膜炎が重症で長引く傾向がある。かかる口腔粘膜炎は、患者にコミュニケーション機能の阻害、睡眠障害、疼痛、嚥下障害(食事摂取量の減少)などのQOL(Quality of Life)の低下を招き、化学療法、放射線治療のDose遵守妨害につながる。これまで、抗がん剤による副作用の大半については、予防的あるいは治療的対策でかなり軽減できるようになっており(G−CSF、制吐剤、鎮痛薬等)、ガイドラインを含め標準的治療法が確立されてきたが、口腔粘膜炎、末梢神経障害、脱毛等に対しては確立した治療法はなく、口腔粘膜炎等の口腔関連有害事象に対しては、予防のための口腔ケアが実施されている。
がんの化学療法、放射線治療によって生じた口腔粘膜炎の治療法としては、(1)消毒薬・殺菌剤を用いて進行を止める、(2)痛みを和らげる、炎症を抑える、(3)粘膜を厚くする薬剤を投与する等による予防、体質の改善が挙げられる。このうち、(1)の消毒薬・殺菌剤として一般的に用いられる含嗽剤としては、ポピドンヨード製剤、塩化ベンゼトニウム製剤、クロルヘキシジン製剤が挙げられる。しかしながら、ポピドンヨード製剤や塩化ベンゼトニウム製剤は、タンパク質との接触による不活化を受けやすいため、失活しやすく持続性がない。また、クロルヘキシジン製剤は、日本においては粘膜禁忌(ショック)のため、粘膜適用濃度に規制がある。(3)の予防、体質の改善用の薬剤としては、特開2013−170156公報に、がんの化学療法を実施している患者に対する、口腔内膜炎の改善又は予防用の固形組成物が開示されている(特許文献1)。
特開2005−289959公報には、消毒剤としてオラネキシジングルコン酸塩が開示されている(特許文献2)。オラネキシジングルコン酸塩は、広い殺菌スペクトルを有し、殺菌効果が短時間で現れ、さらにその活性が長時間持続する。さらに、オラネキシジングルコン酸塩の水溶液は、安定性が高く、長期間保存でき、その上、皮膚に対する刺激性や毒性が低く、安全性の面でも優れている。加えて、オラネキシジングルコン酸塩の水溶液は、色、臭い及び味に問題がないため、製剤化しやすい。しかしながら、粘膜は皮膚と比べて敏感であることから、オラネキシジングルコン酸塩は粘膜に対して刺激性を有し、そのためオラネキシジングルコン酸塩の口腔粘膜への適用は困難であった。
特開2013−170156公報 特開2005−289959公報
本発明の課題は、これまで治療法が確立していなかった、がんの治療によって生じる口腔粘膜炎を改善、予防することのできる組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、所定の濃度のオラネキシジングルコン酸塩と、ポリオキシプロピレン鎖(POP)と、それを挟む2個のポリオキシエチレン鎖(POE)からなるブロック共重合体であるポロキサマーとを含む組成物を用いることで、がんの治療によって生じる口腔粘膜炎が改善、予防できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)0.01〜1.5%(W/V)のオラネキシジングルコン酸塩と、
ポリオキシプロピレン鎖(POP)と、それを挟む2個のポリオキシエチレン鎖(POE)からなるブロック共重合体であるポロキサマーと
を含む、がんの治療による口腔粘膜炎の改善用及び/又は予防用の組成物。
(2)ポロキサマーが、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(Pluronic P−123)、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール(Pluronic P−85)、及びポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(Pluronic F−127)から選択されることを特徴とする上記(1)に記載の組成物。
(3)ポロキサマーが、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(Pluronic P−123)であることを特徴とする上記(2)に記載の組成物。
(4)オラネキシジングルコン酸塩の濃度が、0.1〜0.3%(W/V)であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の組成物。
(5)ポロキサマーの濃度が、0.1〜5%(W/V)であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物。
(6)液剤又は含嗽剤であることを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の組成物。
(7)がんの治療が、化学療法、放射線治療、又は化学療法と放射線治療との同時併用療法であることを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の組成物。
また、本発明の実施の他の形態として、上記本発明のがんの治療による口腔粘膜炎の改善用及び/又は予防用組成物を、がんの治療による口腔粘膜炎の改善や予防(治療)を必要とする患者に投与することにより、がんの治療による口腔粘膜炎の改善や予防(治療)する方法や、がんの治療による口腔粘膜炎の改善や予防(治療)に使用するための、0.01〜0.5%(W/V)のオラネキシジングルコン酸塩と、ポリオキシプロピレン鎖(POP)と、それを挟む2個のポリオキシエチレン鎖(POE)からなるブロック共重合体であるポロキサマーとを含む組成物や、上記本発明のがんの治療による口腔粘膜炎の改善用及び/又は予防用組成物を調製するための、0.01〜0.5%(W/V)のオラネキシジングルコン酸塩と、ポリオキシプロピレン鎖(POP)と、それを挟む2個のポリオキシエチレン鎖(POE)からなるブロック共重合体であるポロキサマーの使用を挙げることができる。
本発明の組成物によれば、がんの化学療法、放射線治療、又は化学療法と放射線治療の併用療法を受けている患者の口腔粘膜炎を改善及び/又は予防することができ、ひいては、患者のコミュニケーション機能の阻害、睡眠障害、疼痛、嚥下障害(食事摂取量の減少)などのQOLの低下や、化学療法、放射線治療のDose遵守妨害を防ぐことができる。
実施例1の、好気性培養による口腔内細菌数の測定結果を示す図である。縦軸の細菌数は対数値で表した。 実施例1の、レンサ球菌選択培地での培養による口腔内細菌数の測定結果を示す図である。縦軸の細菌数は対数値で表した。 実施例1の、嫌気性培養による口腔内細菌数の測定結果を示す図である。縦軸の細菌数は対数値で表した。 実施例1の、細菌カウンタによる口腔内細菌数の測定結果を示す図である。縦軸の細菌数は対数値で表した。 実施例2の、OPBと他剤との比較試験結果を示す図である。縦軸の細菌数は対数値で表した。 実施例3の、殺菌効力に及ぼすオラネキシジン濃度の影響を検討した結果を示す図である。縦軸の細菌数は対数値で表した。 実施例4の、各群の体重変化を示す図である。 実施例4の、肉眼的観察結果を示す表である。表中の数値は口内炎gradeを示し、網掛けは白板様症状(角化亢進、肥厚等)を呈した群を示す。 実施例4の、最終日の各群の頬袋の写真である。 実施例4の、病理組織学的検査結果を示す表である。 実施例5の、肉眼的観察結果を示す表である。表中の数値は口内炎gradeを示し、網掛けは白板様症状(角化亢進、肥厚等)を呈した群を示す。 実施例5の、病理組織学的検査結果を示す表である。 実施例6の、ハムスター口腔における生残菌数を示す図である。縦軸の細菌数は対数値で表した。 実施例6の口内炎gradeを示す図である。口内炎gradeを縦軸に示す。 実施例7の口内炎gradeを示す図である。口内炎gradeを縦軸に示す。 実施例8の口内炎gradeを示す図である。口内炎gradeを縦軸に示す。
本発明の組成物は、オラネキシジングルコン酸塩と、1種又は2種以上のポロキサマーとを含む、がんの治療による口腔粘膜炎の改善用及び/又は予防用という特定の用途を有する組成物である。ここで、ポロキサマーとしては、ポリオキシプロピレン鎖(POP)と、それを挟む2個のポリオキシエチレン鎖(POE)からなるブロック共重合体であって、口腔粘膜への刺激を低減するものであれば特に制限されないが、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(Pluronic P−123)、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール(Pluronic P−85)、及びポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(Pluronic F−127)から選択される1種又は2種以上のポロキサマーが好ましく、中でもポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(Pluronic P−123)、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(17)グリコール(Pluronic L−31)、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール(Pluronic L−44)、ポリオキシエチレン(120)ポリオキシプロピレン(40)グリコール(Pluronic F−87)、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(Pluronic F−68)を例示することができる。
上記ポロキサマーの中でも、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(Pluronic P−123)、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール(Pluronic P−85)、及びポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(Pluronic F−127)から選択される1種又は2種以上のポロキサマーが好ましく、中でもポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(Pluronic P−123)がより好ましい。
オラネキシジングルコン酸塩の濃度は0.01〜1.5%(W/V)であり、0.05〜0.5%(W/V)がより好ましく、0.1〜0.3%(W/V)がさらに好ましい。オラネキシジングルコン酸塩の濃度が0.01%(W/V)より低いと、口腔細菌の殺菌効力が十分に得られず、1.5%(W/V)を超えると、口腔粘膜への刺激が強くなりすぎるため望ましくない。
ポロキサマーの濃度としては、特に制限されるものではないが、通常0.1〜5%(W/V)が好適に用いられる。また、オラネキシジングルコン酸塩とポロキサマーの濃度比は、1:2〜1:20が好ましく、1:5〜1:10であることがより好ましい。オラネキシジングルコン酸塩濃度0.3%(W/V)以上の高濃度域では、オラネキシジングルコン酸塩による口腔粘膜への刺激がより強いため、ポロキサマー量をより多くした方が、オラネキシジングルコン酸塩による刺激(角化亢進)を抑えるうえで好ましい。
本発明において、がんの治療としては、がんの化学療法、放射線治療、又は化学療法と放射線治療との同時併用療法を挙げることができる。がんの化学療法とは、抗がん剤によるがんの治療全般を指す。本発明で使用される抗がん剤としては、口内炎を起こしやすいフルオロウラシル(5−FU)、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(S−1)、テガフール・ウラジル(UFT)等のフッ化ピリミジン系代謝拮抗剤、メトトレキサート等の葉酸代謝拮抗剤、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ブレオマイシン、ペプロマイシン、アクチノマイシンD等の抗腫瘍性抗生物質、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、エトポシド等の植物アルカロイド、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン等の白金製剤を挙げることができ、特に5−FU等のフッ化ピリミジン系代謝拮抗剤を好適に例示することができる。これらの抗がん剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、本発明において、放射線治療とは、悪性腫瘍部に放射線を照射してがん細胞の増殖を抑制することを目的とした治療であり、その治療に使用される放射線としては、X線、電子線などが挙げられる。また、化学療法と放射線治療との同時併用療法とは、がんの局所療法である放射線療法を抗がん剤と併用することにより、放射線の効果を強める治療法を指す。放射線治療の対象部位は特に制限されるものではないが、頭頸部、特に口腔内や咽頭部への放射線治療を例示することができる。
本発明の組成物は、口腔内に適用するのに適したいかなる剤形であってもよいが、好ましくは液剤、含嗽剤を挙げることができる。また、飴類、キャンディー類、グミ類、トローチ類、ガム類等の、口中で徐々に溶解又は崩壊する固形組成物であってもよい。
本発明の組成物は、必要に応じて、風香味を付与したり、着色したりする目的で用いられる種々の添加物を更に含有することができる。風香味付与を目的とする添加物としては、例えば合成香料、天然香料、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア抽出物、ステビア末等の甘味料を挙げることができる。着色を目的とする添加物としては、カラメル、天然着色料、合成着色料を挙げることができる。また、本発明の組成物は、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチンなど)、安定剤、防腐剤等の添加物を含有してもよい。これらの添加剤は、単独で使用しても、2種以上組み合わせて使用してもよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
1.カニクイザルを用いた口腔内殺菌効力試験
本試験では簡易細菌カウンタと培養法を併用して、試験物質(殺菌消毒剤として0.1%(w/v)オラネキシジングルコン酸塩及び0.47%ポビドンヨード、陰性対照薬として生理食塩液)のカニクイザル口腔内細菌に対する殺菌効力を比較、検討した。
1−1 試験物質
被験物質はオラネジン(登録商標)消毒液1.5%(1.5%OPB、オラネキシジングルコン酸塩として1.508%(w/v)を含む液、株式会社大塚製薬工場製)を15倍希釈し、オラネキシジングルコン酸塩濃度が0.1%(w/v)となるように調製した(0.1% OPB)。対照物質のイソジンガーグル液7%(7%PVP−I、Meiji Seika ファルマ株式会社製)は15倍希釈し(0.47%PVP−I)、生理食塩液(Saline、株式会社大塚製薬工場製)はそのまま用いた。
1−2 試験動物
使用時年齢2歳11ヶ月〜3歳11ヶ月齢のカニクイザル(雄、カンボジア産、株式会社イブバイオサイエンス製)を用いた。
1−2−1 群構成
各動物の口腔内を試験部位とした。9頭の動物を使用し、0.1% OPB、0.47% PVP−I及びSalineを塗布するため、1群当たりの試験部位は3箇所とした。試験物質塗布前、塗布10分後、6時間後及び24時間後の計4回細菌を採取した。
1−2−2 試料番号
下記の表のように試料番号を割り振った。尚、動物番号1〜3のベースライン細菌数を測定し、細菌数が多い順にsaline、0.1% OPB、0.47% PVP−I、動物番号4〜6は順に0.1% OPB、0.47% PVP−I、saline、動物番号7〜9は順に、0.47% PVP−I、saline、0.1% OPBとした。
1−3 試験方法
1−3−1 麻酔
カニクイザルにケタラール(ケタミンとして50mg/mL、第一三共プロファーマ株式会社製)とセラクタール2%注射液(キシラジンとして2.0g/100mL、バイエル薬品株式会社製)の2:1の混合液を体重1kg当たり0.5mLを筋注し、全身麻酔した。
1−3−2 塗布
〔1〕マウスピュア口腔ケアスポンジ(川本産業株式会社製)を2本入れたコンテナ(250mL、コーニング株式会社製)に試験物質100mLを注いだ。
〔2〕スポンジ内の空気を抜き十分に浸した。
〔3〕口腔内に約2分間塗布した。
1−3−3 細菌採取1
〔1〕滅菌済み手袋で滅菌綿棒を用いて、サル口腔内から細菌を採取した(口腔内両側壁を2回ずつ前後にこすり取った)。
〔2〕5mLサンプリング液(10%(w/v)ポリソルベート80、0.04%(w/v)リン酸二水素カリウム、0.1%(w/v)TritonX−100、1.01%(w/v)無水リン酸一水素ナトリウム、2%(w/v)大豆レシチン、5%(w/v)ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、H7.8〜7.9)の中に綿棒を入れた。
1−3−4 細菌採取2
〔1〕定圧検体採取器具(DU−AE01NT−H、パナソニックヘルスケア社製)に測定消耗品(DU−AC02NP−H、パナソニックヘルスケア社製)の綿棒を取り付けた。
〔2〕サルの舌上に綿棒を定圧で押し当て、約1cmの間隔で3回前後にこすった。
1−3−5 口腔内細菌数測定1
新GMP微生物試験法2)、食品衛生検査指針3)を参考にカンテン平板混釈法及びカンテン平板表面塗沫法を実施した。
〔1〕1−3−3で細菌を回収したサンプリング液を激しく攪拌し、これを回収菌液とした。
〔2〕回収菌液0.5mLを10倍希釈し、更に同様の操作により希釈を繰り返して10倍希釈系列(5段階)を作製した。
〔3〕回収菌液及び段階希釈された希釈液を1mLずつシャーレに分注した。これに約47℃で保存した測定培地(TSA+)を約15mL加えて混釈平板を作製した。また、回収菌液及び段階希釈された希釈液を100μLずつ血液寒天培地及びMS寒天培地に分注し、コンラージ棒を用いて表面塗沫した。
〔4〕測定培地(TSA+)の固化後、混釈平板を倒置し、コロニー計数が可能となるまで培養した。また、表面塗沫平板は倒置し、コロニー計数が可能となるまで、嫌気性条件下で培養した。
〔5〕混釈平板及び表面塗沫平板で増殖したコロニーをコロニーカウンター(DC−3、アズワン株式会社)を用いて計数した。コロニー数が多すぎてコロニー間の区別ができない混釈平板は、TNTC(too numerous to count)とし計数しなかった。
1−3−6 口腔内細菌数測定2
〔1〕細菌カウンタ(DU−AA01、パナソニックヘルスケア社製)の蓋を開けた。
〔2〕測定消耗品のセンサーチップを細菌カウンタに取り付けた。
〔3〕測定消耗品のディスポーザブルカップを細菌カウンタにセットした。
〔4〕ディスポーザブルカップ中心に、細菌を採取した綿棒をセットした。
〔5〕細菌カウンタの蓋を閉じた。
1−4 結果
1−4−1 口腔内細菌数測定1
1−4−1−1 好気性培養
結果を図1に示す。ベースライン口腔内細菌数は1.73×10〜4.20×10であった。Saline塗布後の口腔内細菌数はほぼ一定であった。試験物質塗布10分後の生菌数は、Saline、0.1%OPB及び0.47%PVP−Iでそれぞれ、6.48×10CFU、4.65×10CFU及び2.35×10CFU、塗布6時間後でそれぞれ、1.66×10CFU、1.47×10CFU及び4.93×10CFU、24時間後でそれぞれ、4.67×10CFU、5.58×10CFU及び1.22×10CFUであった。
1−4−1−2 レンサ球菌選択培地での培養
結果を図2に示す。ベースライン口腔内細菌数は2.85×10〜7.60×10であった。Saline塗布後の口腔内細菌数はほぼ一定であった。試験物質塗布10分後の生菌数は、Saline、0.1%OPB及び0.47%PVP−Iでそれぞれ、1.26×10CFU、5.97×10CFU及び7.33×10CFU、塗布6時間後でそれぞれ、5.51×10CFU、2.79×10CFU及び2.20×10CFU、24時間後でそれぞれ、1.71×10CFU、4.30×10CFU及び7.81×10CFUであった。
1−4−1−3 嫌気性培養
結果を図3に示す。ベースライン口腔内細菌数は2.45×10〜1.65×10であった。Saline塗布後の口腔内細菌数はほぼ一定であった。試験物質塗布10分後の生菌数は、Saline、0.1%OPB及び0.47%PVP−Iでそれぞれ、2.70×10CFU、1.33×10CFU及び7.33×10CFU、塗布6時間後でそれぞれ、3.22×10CFU、1.38×10CFU及び1.80×10CFU、24時間後でそれぞれ、1.71×10CFU、3.04×10CFU及び1.40×10CFUであった。
1−4−2 口腔内細菌数測定2
結果を図4に示す。ベースライン口腔内細菌数は1.29×10〜>1.00×10であった。試験物質塗布10分後の生菌数は、Saline、0.1%OPB及び0.47%PVP−Iでそれぞれ、2.84×10CFU、<3.49×10CFU及び5.09×10CFU、塗布6時間後でそれぞれ、2.04×10CFU、5.58×10CFU及び8.98×10CFU、24時間後でそれぞれ、4.10×10CFU、3.14×10CFU及び3.14×10CFUであった。
細菌測定1及び2において、同様な傾向の結果が得られた。つまり、0.1%OPB群は塗布6時間後まで細菌数を低値に保つが、0.47%PVP−I群は塗布10分後までしか効果を示さなかった。しかし、両群とも24時間後には細菌数が回復していた。0.47%PVP−I群の持続性が認められなかったのは、口腔内の有機物により不活化の影響を受けやすいからだと考えられる。口腔内殺菌消毒効果は、0.1%OPBの方が持続性を持ち優れていると考えられた。
2.ハムスターを用いた口腔内殺菌試験1
本試験では、正常ハムスター口腔内粘膜に対する含嗽剤(殺菌消毒剤)の殺菌効力を、他剤と比較検討することを目的とした。殺菌活性の持続性を検討するため、試験物質含嗽後〜24時間まで時点(前置、直後、8時間後、24時間後)をとり、細菌カウンタ及び培養法を用い細菌数を計測した。
2−1 試験物質
被験物質と対照物質を合わせて試験物質とした。
2−1−1 被験物質1
名称 :0.1%OPB−1
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.10w/v%
Pluronic L−44 0.07w/v%
Pluronic P−123 1.0w/v%
2−1−2 被験物質2
名称 :0.1% OPB−2
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.10w/v%
Pluronic L−44 0.07w/v%
Pluronic P−123 1.0w/v%
Lipidure(登録商標) 1.0w/v%
2−1−3 対照物質1
名称/略称:基剤/Base
組成 :Pluronic L−44 0.07w/v%
Pluronic P−123 1.0w/v%
2−1−4 対照物質2
名称/略称:Peridex(登録商標)/0.12%CHG
組成 :クロルヘキシジングルコン酸塩 0.12w/v%
2−1−5 対照物質3
名称/略称:イソジンガーグル液0.47%/0.47%PVP−I
組成 :イソジンガーグル液7%(7%PVP−I、Meiji Seikaファルマ株式会社製)の15倍希釈液
2−2 使用動物
入荷時6週齢のハムスター、Slc:Syrian、雄を用いた。
2−3 試験方法
2−3−1 麻酔
ガス麻酔[導入麻酔:空気3.0L/minに3%イソフルラン(マイラン製薬株式会社製)、持続麻酔は適宜濃度を調整]を実施した。
2−3−2 試験物質投与
麻酔下にて、ハムスターを仰臥位に固定し、片頬袋に試験物質を1mLずつ注入した。30秒後、試験物質を排出し、余分な頬袋内の試験物質を滅菌綿棒で吸い取った。
2−3−3 細菌採取
試験物質投与前、0hr、8hr、24hrの計4時点に、麻酔下で両頬袋内から滅菌綿棒を用いて細菌を採取した。採取後の綿棒は5mL SCDLP培地に浸漬後撹拌し、細菌計数用サンプルとした。
2−3−4 生残菌数の測定
新GMP微生物試験法1)、食品衛生検査指針2)を参考にカンテン平板混釈法を実施した。
〔1〕細菌計数用サンプル500μLを採取し、4.5mLの希釈液を用いて、10倍〜10倍の10倍希釈系列を作製した。
〔2〕細菌計数用サンプル原液及び各希釈菌液1mLずつ滅菌シャーレに分注した。
〔3〕上記のシャーレに、速やかに約47℃に設定した恒温槽で保温した測定培地(TSA+)15mLを分注した。
〔4〕測定培地の固化後、混釈平板をインキュベーター内に倒置し、コロニーが計数できるまで35℃で培養した(約2日間)。
〔5〕培養後、混釈平板で増殖したコロニーを目視にて計数した。コロニー数が多すぎてコロニー間の区別ができない混釈平板は、TNTC(too numerous to count)とし計数しなかった。
〔6〕コロニー数に希釈倍率を乗じて、生残菌数を算出した。
2−4 結果
結果を図5及び表1に示す。
試験物質投与前の口腔内細菌数は、群間に差が無かった。試験物質投与直後の殺菌効力は、0.1%OPB−1=0.1%OPB−2>0.12%CHG>0.47%PVP−I>Baseであり、投与8時間後は、0.1%OPB−1=0.1%OPB−2=0.12%CHG>0.47%PVP−I=Baseであり、24時間後は群間に差は無かった。以上の結果から、口腔内殺菌効力は0.1%OPBと0.12%CHGは同等程度であり、0.47%PVP−Iは即効性が弱く持続活性は認められなかった。
本試験で0.47%PVP−Iの殺菌活性が低かった理由として、口腔内のたんぱく等による不活化が大きく寄与していると考えられた。0.12%CHGは0.1%OPBと同様に持続活性を有する口腔内殺菌消毒剤であると考えられた。
3.ハムスターを用いた口腔内殺菌試験2
本試験では、正常ハムスター口腔内粘膜に対する含嗽剤(殺菌消毒剤)の殺菌効力に及ぼすオラネキシジン濃度の影響を検討することを目的とした。
3−1 試験物質
被験物質と対照物質を合わせて試験物質とした。
3−1−1 被験物質1
名称 :0.1%OPB−1
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.10w/v%
ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール 0.07w/v%
ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール 0.10w/v%
3−1−2 被験物質2
名称 :0.1%OPB−2
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.10w/v%
ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール
0.07w/v%
ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール 1.00w/v%
3−1−3 被験物質3
名称 :0.5%OPB−3
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.50w/v%
ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール 0.36w/v%
ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール 5.00w/v%
3−1−4 被験物質4
名称 :1%OPB−2
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 1.00w/v%
ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール
0.72w/v%
ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール
10.00w/v%
3−1−5 対照物質
名称 :基剤
組成 :ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール
0.07w/v%
ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール
0.10w/v%
3−2 使用動物
入荷時6週齢のハムスター、Slc:Syrian、雄を用い、各群3匹で試験を行った。
3−3 試験方法
3−3−1 麻酔
ガス麻酔[導入麻酔:空気3.0L/minに3%イソフルラン(マイラン製薬株式会社製)、持続麻酔は適宜濃度を調整]を実施した。
3−3−2 試験物質投与
麻酔下にて、ハムスターを仰臥位に固定し、片頬袋に試験物質を1mLずつ注入した。1分後、試験物質を排出し、余分な頬袋内の試験物質を滅菌綿棒で吸い取った。
3−3−3 細菌採取
試験物質投与前、0hr、1hr、3hr、6hrの計5時点に、麻酔下で両頬袋内から滅菌綿棒を用いて細菌を採取した。採取後の綿棒は5mL SCDLP培地に浸漬後撹拌し、細菌計数用サンプルとした。
3−3−4 生残菌数の測定
生残菌数の測定は、2−3−4と同様の方法で行った。
3−4 結果
結果を図6に示す。結果より、0.1%OPBで持続的(6時間後)に細菌数を低値に抑えることができることがわかった。また、OPB濃度が0.5w/v%以上で、持続活性がより優れていた。
4.ハムスターを用いた口腔粘膜刺激性試験1
本試験では、0.1%オラネキシジングルコン酸塩の基剤組成を変えた検討製剤をハムスターの頬袋に14日間反復投与し、刺激性の程度を比較検討した。
4−1 被験物質
4−1−1 被験物質1
名称 :0.1%OPB−1
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.10w/v%
Pluronic L−44 0.07w/v%
4−1−2 被験物質2
名称 :0.1%OPB−2
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.10w/v%
Pluronic L−44 0.07w/v%
Pluronic L−31 1.0w/v%
4−1−3 被験物質3
名称 :0.1%OPB−3
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.10w/v%
Pluronic L−44 0.07w/v%
Pluronic P−123 1.0w/v%
4−1−4 被験物質4
名称 :0.1%OPB−4
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.10w/v%
Pluronic L−44 0.07w/v%
Pluronic P−85 1.0w/v%
4−1−5 被験物質5
名称 :0.1%OPB−5
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.10w/v%
Pluronic L−44 0.07w/v%
Pluronic F−127 1.0w/v%
4−1―6 被験物質6
名称 :0.1%OPB−6
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.10w/v%
Pluronic L−44 0.14w/v%
Pluronic F−68 1.0w/v%
4−1−7 被験物質7
名称 :0.1%OPB−7
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.10w/v%
Pluronic L−44 0.07w/v%
Trehalose 5.0w/v%
4−2 使用動物
入荷時8週齢のハムスター、Slc:Syrian、雄を用い、各群3匹で試験を行った。
4−3 試験方法
4−3−1 被験物質適用方法
4−3−1−1 適用量
右頬袋に被験物質1mLを適用した。
4−3−1−2 適用方法
〔1〕ガス麻酔により麻酔を導入した[導入麻酔:空気3.0L/minに3%イソフルラン(マイラン製薬株式会社製)]。
〔2〕維持麻酔下(濃度は適宜調整)にて動物を仰臥位に固定し、綿棒を用いて動物の頬袋を引き出し、片手で引き出した頬袋を軽くつまんだ。
〔3〕生理食塩液及び綿棒で頬袋粘膜に付着した飼料等の異物を取り除き、清潔にした後頬袋を元に戻した。
〔4〕1mLシリンジ及び経口投与用ゾンデを用いて、右頬袋には被験物質1mLを適用し、左頬袋には1mLシリンジに取り付けた空の経口投与用ゾンデを挿入・抜去した。
〔5〕適用30秒後、被験物質が気道内へ逆流しないように動物を腹臥位に反転させ排出した。口腔内の余分な被験物質は綿棒を用いて全て除去した。
〔6〕適用部位の頬粘膜の色調等を観察・記録し、動物の頚部にハムスター用カラーを装着した後、動物をケージに戻した。
〔7〕上記の操作を1日2回(朝・夕)、14日間繰り返した。
4−3−2 検査及び観察
4−3−2−1 一般状態の観察
各群の全例について、適用期間中の適用前、適用終了時及び適用期間終了日の翌日に一般状態観察を行った。また、適用開始日の適用前にも観察を行った。
4−3−2−2 体重測定
各群の全例において、適用期間中の適用前、適用期間終了日の翌日に体重を測定した。また、適用開始日の適用前にも測定を行った。ただし、体重計の故障のためday13、14は体重を測定しなかった。
4−3−2−3 適用部位の肉眼的観察方法
各群の全例の頬袋について、適用期間中の適用前、適用終了時及び適用終了日の翌日(24±2時間)に頬袋粘膜の状態を観察し、評点化を記録した。また、適用開始日の適用前にも観察を行った。観察部位は各試験物質の接触部位頬粘膜とした。なお、肉眼的観察の評価法は下記の表(ISO 10993-10, Annex B.3「Table B.2 Grading system for oral and penile reactions」)に記載されている観察基準及び評価点に従って、紅斑及び痂皮形成の程度に評価点(口内炎grade)をつけた。また、その他に見られた所見についても記録した。得られた観察結果をもとに、各群について試験物質ごとに、各動物の粘膜における評価点を合計し、観察数及び動物数で除して平均値(小数第一位四捨五入)を求め、総合評価の参考資料とした。
4−3−2−4 病理学的検査
各動物について、適用期間終了日の翌日の肉眼的観察の終了後、イソフルラン麻酔下で放血致死させ、左右頬袋を採取し、10%中性緩衝ホルマリン液で固定した。常法に従いHE染色の標本を作製し、病理学的検査を実施した。なお、肉眼的観察の評価法はISO 10993-10, Annex B.3 「Table B.3 Grading system for microscopic examination for oral, penile, rectal and vaginal tissue reaction」に記載されている基準に従って、上皮、白血球浸潤、血管充血及び浮腫の各項目について所見又はグレードを記録した。また、その他に認められた所見についても記録した。
4−3−2−5 総合評価
観察期間中の一般状態及び体重推移を参考にし、頬粘膜の肉眼的観察結果及び病理学的観察結果から得られた各試験物質の反応程度をもとにして、各試験物質の口腔粘膜への影響を総合的に評価した。
4−4 結果
4−4−1 一般状態
いずれの動物にも異常は認められなかった。
4−4−2 体重
結果を図7に示した。0.1%OPB−5群は体重がほとんど変化しなかった。他の群は平均値は徐々に増加した。
4−4−3 適用部位の肉眼的観察
結果を図8に示し、最終日の各群の頬袋を図9のPhoto1〜8に示した。全ての製剤で紅斑等の刺激性がほとんど認められなかった。しかし、0.1%OPB−1、−2、−6、−7及び−8では、白板様症状(角化亢進、肥厚)が認められた。一方、0.1%OPB−3、−4及び−5では全く異常が認められなかった。
4−4−4 病理組織学的検査
結果を図10に示した。ISO 10993-10、Annex B.3「Table B.3 Grading system for microscopic examination for oral, penile, rectal and vaginal tissue reaction」に記載されている評価基準に従って、上皮(細胞変性、化生及び康澗)、白血球浸潤、血管充血及び浮腫のグレード付けにより、個体毎の炎症指数及び群毎の炎症指数の平均を算出した。また、評価基準以外の所見についても記録した。その結果、平均値は0.1%OPB−3群では変化は認められなかった。0.1%OPB−1群を含む他の群では、上皮の細胞変性及び極小〜中等度の白血球浸潤が認められ、炎症指数は1〜3の極小と評価された。これらの群では、評価基準以外の所見として、軽微な細胞間浮腫及び軽微から軽度の過角化が認められた。
以上の結果から、0.1%OPB−3で使用した基剤Pluronic P−123は、オラネキシジングルコン酸塩の口腔粘膜適用製剤の基剤として特に有用であることが示唆された。また、肉眼的観察で全く異常が見られなかった0.1%OPB−4及び−5で使用したPluronic P−85及びPluronic F−127も、オラネキシジングルコン酸塩の口腔粘膜適用製剤の基剤として使用しうることが示唆された。
5.ハムスターを用いた口腔粘膜刺激性試験2
実施例4の刺激性試験において、基剤Pluronic P−123が、オラネキシジングルコン酸塩の口腔粘膜適用製剤の基剤として有用であることが示唆された。そこで、本試験では該基剤を用い、OPB濃度及び基剤濃度を振って刺激のない製剤を引き続き検討した。試験系は、ハムスター頬袋への反復投与とし、期間を2週間から4週間に延ばし実施した。
5−1 被験物質
5−1−1 被験物質1
名称 :0.1%OPB−1
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.10w/v%
Pluronic L−44 0.07w/v%
Pluronic P−123 0.50w/v%
5−1−2 被験物質2
名称 :0.1%OPB−2
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.10w/v%
Pluronic L−44 0.07w/v%
Pluronic P−123 1.0 w/v%
5−1−3 被験物質3
名称 :0.1%OPB−3
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.10w/v%
Pluronic L−44 0.07w/v%
Pluronic P−123 0.50w/v%
Lipidure(登録商標) 1.0 w/v%
5−1−4 被験物質4
名称 :0.1%OPB−4
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.10w/v%
Pluronic L−44 0.07w/v%
Pluronic P−123 1.0 w/v%
Lipidure(登録商標) 1.0 w/v%
5−1−5 被験物質5
名称 :0.3%OPB−1
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.30w/v%
Pluronic L−44 0.22w/v%
Pluronic P−123 1.50w/v%
5−1−6 被験物質6
名称 :0.3%OPB−2
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.30w/v%
Pluronic L−44 0.22w/v%
Pluronic P−123 3.0 w/v%
5−1−7 被験物質7
名称 :0.3%OPB−3
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.30w/v%
Pluronic L−44 0.22w/v%
Pluronic P−85 1.50w/v%
5−1−8 被験物質8
名称 :0.3%OPB−4
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.30w/v%
Pluronic L−44 0.22w/v%
Pluronic P−85 3.0 w/v%
5−1−9 被験物質9
名称 :0.5%OPB−1
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.50w/v%
Pluronic L−44 0.36w/v%
Pluronic P−123 2.50w/v%
5−1−10 被験物質10
名称 :0.5%OPB−2
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.50w/v%
Pluronic L−44 0.36w/v%
Pluronic P−123 5.0 w/v%
5−1−11 被験物質11
名称 :0.5%OPB−3
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.50w/v%
Pluronic L−44 0.36w/v%
Pluronic P−123 2.50w/v%
Lipidure(登録商標) 1.0 w/v%
5−1−12 被験物質12
名称 :0.5%OPB−4
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.50w/v%
Pluronic L−44 0.36w/v%
Pluronic P−123 5.0 w/v%
Lipidure(登録商標) 1.0 w/v%
5−2 使用動物
入荷時8週齢のハムスター、Slc:Syrian、雄を用い、各群3匹で試験を行った。
5−3 試験方法
5−3−1 被験物質適用方法
5−3−1−1 適用量
左頬袋に被験物質1mLを適用した。
5−3−1−2 適用方法
〔1〕ガス麻酔により麻酔を導入した[導入麻酔:空気3.0L/minに3%イソフルラン(マイラン製薬株式会社製)]。
〔2〕維持麻酔下(濃度は適宜調整)にて動物を仰臥位に固定し、綿棒を用いて動物の頬袋を引き出し、片手で引き出した頬袋を軽くつまんだ。
〔3〕生理食塩液及び綿棒で頬袋粘膜に付着した飼料等の異物を取り除き、清潔にした後頬袋を元に戻した。
〔4〕1mLシリンジ及び経口投与用ゾンデを用いて、左頬袋には被験物質1mLを適用し、右頬袋には1mLシリンジに取り付けた空の経口投与用ゾンデを挿入・抜去した。
〔5〕適用30秒後、被験物質が気道内へ逆流しないように動物を腹臥位に反転させ排出した。口腔内の余分な被験物質は綿棒を用いて全て除去した。
〔6〕適用部位の頬粘膜の色調等を観察・記録し、動物をケージに戻した。
〔7〕上記の操作を1日2回(朝・夕)、28日間繰り返した。
5−3−2 検査及び観察
5−3−2−1 一般状態の観察
各群の全例について、適用期間中の適用前、適用終了時及び適用期間終了日の翌日に一般状態観察を行った。また、適用開始日の適用前にも観察を行った。
5−3−2−2 体重測定
各群の全例において、適用期間中の適用前、適用期間終了日の翌日に体重を測定した。また、適用開始日の適用前にも2〜3日おきに測定を行った。
5−3−2−3 適用部位の肉眼的観察方法
各群の全例の頬袋について、適用期間中の適用前、適用終了時及び適用終了日の翌日(24±2時間)に頬袋粘膜の状態を観察し、評点化を記録した。また、適用開始日の適用前にも観察を行った。観察部位は各試験物質の接触部位頬粘膜とした。なお、肉眼的観察の評価法は下記の表(ISO 10993-10, Annex B.3「Table B.2 Grading system for oral and penile reactions」)に記載されている観察基準及び評価点に従って、紅斑及び痂皮形成の程度に評価点(口内炎grade)をつけた。また、その他に見られた所見についても記録した。得られた観察結果をもとに、各群について試験物質ごとに、各動物の粘膜における評価点を合計し、観察数及び動物数で除して平均値(小数第一位四捨五入)を求め、総合評価の参考資料とした。
5−3−2−4 病理学的検査
各動物について、適用期間終了日の翌日の肉眼的観察の終了後、イソフルラン麻酔下で放血致死させ、左右頬袋を採取し、10%中性緩衝ホルマリン液で固定した。常法に従いHE染色の標本を作製し、病理学的検査を実施した。なお、肉眼的観察の評価法はISO 10993-10, Annex B.3 「Table B.3 Grading system for microscopic examination for oral, penile, rectal and vaginal tissue reaction」に記載されている基準に従って、上皮、白血球浸潤、血管充血及び浮腫の各項目について所見又はグレードを記録した。また、その他に認められた所見についても記録した。
5−3−2−5 総合評価
観察期間中の一般状態及び体重推移を参考にし、頬粘膜の肉眼的観察結果及び病理学的観察結果から得られた各試験物質の反応程度をもとにして、各試験物質の口腔粘膜への影響を総合的に評価した。
5−4 結果
5−4−1 一般状態
いずれの動物にも異常は認められなかった。
5−4−2 体重
すべての群で経時的に体重が増加し、群間による差はほとんど無かった。
5−4−3 適用部位の肉眼的観察
結果を図11に示した。全ての製剤で紅斑等の刺激性が認められなかった(評価点0)。しかし、0.3%濃度以上のOPBでは、白板様症状(角化亢進、肥厚)が認められた。一方、0.1%濃度のOPBでは全く異常が認められなかった。
5−4−4 病理組織学的検査
結果を図12に示した。ISO 10993-10、Annex B.3「Table B.3 Grading system for microscopic examination for oral, penile, rectal and vaginal tissue reaction」に記載されている評価基準に従って、上皮(細胞変性、化生及び康澗)、白血球浸潤、血管充血及び浮腫のグレード付けにより、個体毎の炎症指数及び群毎の炎症指数の平均を算出した。また、評価基準以外の所見についても記録した。その結果、0.1%OPBの各群では炎症性の反応は認められなかった。0.3%濃度以上のOPB各群では、上皮の変性及び白血球浸潤が認められ、炎症指数は1〜3でいずれも極小の反応であった。評価基準以外の所見として、0.1%OPB群では一部の個体に軽微〜軽度の過角化が認められ、0.3%濃度以上のOPB各群では、軽微〜中程度の過角化及び軽微な棘細胞増生が認められた。その他コントロール群(右頬袋:Sham-ope側)で認められた表皮内微小膿瘍は自然発症性の病変と考えられた。
6.5−FU誘発ハムスター口内炎モデルにおける効力試験1
本試験では、5−FU誘発口内炎モデルにおけるOPB製剤の効力を試験した。具体的には、5−FU誘発口内炎モデルにおいて、0.1%OPBで口腔内を含嗽した際の口腔内細菌数の経時的な測定及び口内炎評価を行った。
6−1 試験物質
被験物質と対照物質を合わせて試験物質とした。
6−1−1 被験物質
名称 :0.1%OPB
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.10w/v%
ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール
0.14w/v%
ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール
0.10w/v%
6−1−2 対照物質
名称 :基剤
組成 :ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール
0.07w/v%
ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール
0.10w/v%
6−2 使用動物
入荷時6週齢のハムスター、Slc:Syrian、雄を用いた。
6−3 試験方法
6−3−1 麻酔
ガス麻酔[導入麻酔:空気3.0L/minに3%イソフルラン(マイラン製薬株式会社製)、持続麻酔は適宜濃度を調整]を実施した。
6−3−2 口内炎モデル作製
麻酔下にて、5−FUを60mg/kgとなるようにハムスターの腹腔内に投与した。投与はday0、day2の計2回とした。
Day4に麻酔下にて、ハムスターの頬袋を摘出した。頬袋に溜まっている餌・実験動物用床敷を取り除き、生理食塩液を含ませたカット綿で軽く拭き取った。精密ワイヤーブラシ(φ2.34mm、サンフレックス株式会社製)で頬袋の表層(角質層)をブラッシングした。ブラッシング後、頬袋を口腔内に戻した。
6−3−3 試験物質投与
麻酔下にて、ハムスターを仰臥位に固定し、片頬袋に試験物質を1mLずつ注入した。30秒後、試験物質を排出し、余分な頬袋内の試験物質を滅菌綿棒で吸い取った。この含嗽操作による投与は1日2回とした。投与は口内炎の障害がピークに達した後は実施しなかった。
6−3−4 細菌採取
Day0、4、7、10、17において、1回目の試験物質投与前、0hr、6hr後の計4時点に、麻酔下で両頬袋内から滅菌綿棒を用いて細菌を採取した。但し、day10、17において試験物質適用しなかった場合は、1回のみの採取とした。採取後の綿棒は5mL SCDLP培地に浸漬後撹拌し、細菌計数用サンプルとした。
6−3−5 生残菌数の測定
新GMP微生物試験法1)、食品衛生検査指針2)を参考にカンテン平板混釈法を実施した。
〔1〕細菌計数用サンプル500μLを採取し、4.5mLの希釈液を用いて、10倍〜10倍の10倍希釈系列を作製した。
〔2〕細菌計数用サンプル原液及び各希釈菌液1mLずつ滅菌シャーレに分注した。
〔3〕上記のシャーレに、速やかに約47℃に設定した恒温槽で保温した測定培地(TSA+)15mLを分注した。
〔4〕測定培地の固化後、混釈平板をインキュベーター内に倒置し、コロニーが計数できるまで35℃で培養した(約2日間)。
〔5〕培養後、混釈平板で増殖したコロニーを目視にて計数した。コロニー数が多すぎてコロニー間の区別ができない混釈平板は、TNTC(too numerous to count)とし計数しなかった。
6−3−6 生残菌数の算出
6−3−5の項に基づいて採用したコロニー数に希釈倍数を乗じ生残菌数(CFU/mL)を求めた。採用コロニー数は小数点以下第2位を四捨五入して表示した。下式により生残菌数(CFU/swab)を計算した。
A:採用コロニー数
生残菌数(CFU/swab)=A×希釈倍数×サンプル液量(5mL)
さらに、生残菌数の対数値よりLog Reductionを次式で求めた。Log Reductionは小数点以下第3位を四捨五入して表示した。生残菌数1以下の対数値は0とした。
B:ベースラインの生菌数対数値
C:試験物質塗布後の生菌数対数値
Log Reduction=B−C
6−3−7 統計学的解析
各群の生菌数(CFU/swab)とその対数値の平均値及び標準偏差を求めた。生菌数は小数点以下第1位を四捨五入して整数で表示した。生菌数の対数値は小数点以下第3位を四捨五入して表示した。なお、生菌数が0の場合は生菌数の対数値は0とした。また、探索試験のため検定は行わなかった。
6−3−8 口内炎評価
下記の表に基づき、口内炎gradeを評価した。
6−4 結果
6−4−1 細菌数
結果を表2及び図13に示す。Day0、4、10においては、0.1%OPB群で投与後の細菌数減少が顕著であったが、口内炎の重症化が顕著であったday7では、細菌数減少値が微量であった。
6−4−2 口内炎grade
結果を図14に示した。0.1%OPB群において、口内炎gradeが顕著に低かった。
本試験において、0.1%OPB群のday7の細菌数減少値が低かった原因として、細菌採取方法若しくは浸出液過多による殺菌活性の低下が考えられた。本試験において、0.1%OPBを投与し口腔内を清潔に保つことが口内炎重症化を軽減させることが示唆された。
7.5−FU誘発ハムスター口内炎モデルにおける効力試験2
本試験では、5−FU誘発ハムスター口内炎モデルにおいて、0.1%オラネキシジングルコン酸塩と0.1%CHGの口内炎軽減効果を比較検討した。
7−1 試験物質
被験物質と対照物質を合わせて試験物質とした。
7−1−1 被験物質1
名称 :0.1%OPB
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.10w/v%
Pluronic L−44 0.07w/v%
7−1−2 被験物質2
名称 :Peridex(登録商標)/0.1%CHG
製造元 :3M ESPE Dental Products
組成 :クロルヘキシジングルコン酸塩 0.12w/v%
7−1−3 対照物質
名称 :基剤
組成 :ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール
0.07w/v%
7−2 使用細菌
本試験には、口腔内の常在菌であるスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus、ATCC番号:6538、Microbiologics, Inc.社製)を用いた。
7−3 使用動物
入荷時6週齢のハムスター、Slc:Syrian、雄を用い、各群5匹で試験を行った。
7−4 試験方法
7−4−1 試験菌液の調製
〔1〕保管されている細菌ペレットの入ったバイアルを取り出し室温に戻した。
〔2〕バイアルから細菌ペレットを1個取り出し、滅菌チューブに移した。
〔3〕0.5mLの生理食塩液を加えた。
〔4〕滅菌綿棒で細菌ペレットを押しつぶし、菌懸濁液とした。
〔5〕TSA平板に菌懸濁液を滅菌綿棒で直径約2cmの円形エリアに接種し、白金耳を用いて接種エリアから画線接種した。
〔6〕画線接種されたTSA平板を倒置し、コロニーを形成するまで培養した。
〔7〕形成されたコロニーの中から単一のコロニーを選び、白金線で採取してカジトン培地に穿刺した。
〔8〕穿刺したカジトン培地を、菌の増殖が確認できるまで培養した。
〔9〕菌の増殖を確認後、冷蔵保管した(設定値2〜8℃)。
〔10〕カジトン培地で冷蔵保管された試験菌の一部を白金線で採取し、MHB培地5mLを入れた14mL滅菌チューブに移し、菌が増殖するまで静置培養した。
〔11〕培養後、培養液10μLを滅菌チップで採取し、再度MHB培地5mLを入れた14mL滅菌チューブに移し、菌が増殖するまで静置培養した。
〔12〕培養後、MHB培地で継代培養した試験菌培養液約5mLを15mLコニカルチューブに回収し、生理食塩液を8mL添加した後、緩やかに攪拌した。
〔13〕3000rpm、10分間、23℃で遠心(冷却遠心機5800、ロータRS−720、株式会社久保田製作所製)し、上清を廃棄した。
〔14〕沈殿している試験菌に蒸留水(大塚蒸留水、株式会社大塚製薬工場製)1mLを添加し、懸濁した。
〔15〕菌懸濁液を14mL滅菌チューブに移し、濁度をMcFarland Standard(品番70900、シスメックス・ビオメリュー株式会社製)を用いて判定した。McFarland 5となるように、生理食塩液を加え、菌液濃度を調節した。
〔16〕McFarland 5とした菌懸濁液を、試験菌液とした。
7−4−2 麻酔
ガス麻酔[導入麻酔:空気3.0L/minに3%イソフルラン(マイラン製薬株式会社)、持続麻酔は適宜濃度を調整]を実施した。
7−4−3 口内炎モデル作製
麻酔下にて、5−FUを60mg/kgとなるようにハムスターの腹腔内に投与した。投与はday0、day2の計2回とした。Day4に麻酔下にて、ハムスターの頬袋を摘出した。頬袋に溜まっている餌・実験動物用床敷を取り除き、生理食塩液を含ませたカット綿で軽く拭き取った。精密ワイヤーブラシ(φ2.34mm、サンフレックス株式会社製)で頬袋の表層(角質層)をブラッシングした。ブラッシング後、頬袋を口腔内に戻した。
7−4−4 試験物質投与
麻酔下にて、ハムスター頬袋に綿棒を用いて1日2回塗布(群分け日から4日間)した。ただし、4日目は午前のみの1回投与とした。
7−4−5 試験菌液塗布
麻酔下にて、7−4−1で調製した試験菌液を、午前の試験物質投与前にハムスター頬袋に白金耳を用いて1日1回塗布(群分け日から5日間)した。
7−4−6 口内炎評価
下記の表に基づき、口内炎gradeを評価した。
7−4−7 統計学的解析
各群のgradeの平均値及び標準偏差を求め、平均値のみでグラフを作成した。探索的な解析のため検定は行わなかった。
7−5 結果
結果を図15に示した。0.1%OPB群は基剤及び0.1%CHG群と比較して口内炎重症化を軽減する傾向であった。基剤群と0.1%CHG群はほとんど同じgradeであり差は無かった。口内炎の重症化軽減効果から、0.1%OPBの方が、0.1%CHGと比較して塗布した細菌若しくは頬袋粘膜の常在菌に対する殺菌効力が優れていることが考えられた。
8.5−FU・放射線照射併用により誘発されたハムスター口内炎モデルにおける効力試験
本試験では、5−FU・放射線照射併用により誘発されたハムスター口内炎モデルにおいて、Pluronic P−123を基剤とした0.1%OPB製剤を含嗽法により適用し、口内炎軽減効果を比較検討した。
8−1 試験物質
被験物質と対照物質を合わせて試験物質とした。
8−1−1 被験物質
名称 :OPB
組成 :オラネキシジングルコン酸塩 0.10w/v%
Pluronic L−44 0.07w/v%
Pluronic P−123 1.0 w/v%
8−1−2 対照物質
名称/略称:基剤/Base
組成 :Pluronic L−44 0.07w/v%
Pluronic P−123 1.0 w/v%
8−2 使用動物
入荷時6週齢のハムスター、Slc:Syrian、雄を用い、各群8匹で試験を行った。
8−3 試験方法
8−3−1 麻酔
8−3−1−1 放射線照射時
ソムノペンチル(登録商標)(共立製薬株式会社製)を40mg/kgとなるように腹腔内に投与した。
8−3−1−2 口内炎評価及び試験物質投与時
ガス麻酔[導入麻酔:空気3.0L/minに3%イソフルラン(マイラン製薬株式会社製)、持続麻酔は適宜濃度を調整]を実施した。
8−3−2 口内炎モデル作製
8−3−2−1 放射線照射
Day0にて、麻酔下でハムスターの頬袋を綿棒で摘出した。頬袋に溜まっている餌・実験動物用床敷を取り除き、生理食塩水を含ませたカット綿で軽く拭き取った。成型したアクリル板上に体、頬袋を共に固定し、照射部位の頬袋以外を鉛で覆い、[棚板距離:12.5cm、管電圧:160 kV、管電流:6.2 mA]の条件で放射線を照射(40Gy)した。但し、照射は1個体に付き片頬袋とし、各群左頬袋と右頬袋に4匹ずつとなるように振り分けた。
8−3−2−2 5−FU投与
Day0、5、10の計3回、5−FUを60mg/kgとなるようにハムスターの腹腔内に投与した。
8−4−3 試験物質投与
麻酔下にて、ハムスターを仰臥位に固定し、片頬袋に試験物質を1mLずつ注入した。30秒後、試験物質を排出し、余分な頬袋内の試験物質を滅菌綿棒で吸い取った。この含嗽操作による投与は1日2回とした。投与は口内炎の障害がピークに達した後は実施しなかった。
8−4−4 口内炎評価
下記の表に基づき、口内炎gradeを評価した。
8−4−5 統計学的解析
各群の口内炎gradeの平均値及び標準偏差を求めグラフを作成した。探索的な解析のため検定は行わなかった。
8−5 結果
結果を図16に示した。口内炎gradeの最大値はbase群が4.9、OPB群が4.3であり、さらに立ち上がりもbase群の方が早かった。モデルの強度が強かった影響も有り、day40においても潰瘍が治らない個体もいたため完全に全例治癒はしなかったが、OPB群の方が明らかに治癒が早かった。
本発明の組成物を用いることで、化学療法、放射線治療を受けている患者のコミュニケーション機能の阻害、睡眠障害、疼痛、嚥下障害(食事摂取量の減少)などのQOLの低下や、化学療法、放射線治療のDose遵守妨害を防ぐことができるため、産業上の有用性は高い。

Claims (7)

  1. 0.01〜1.5%(W/V)のオラネキシジングルコン酸塩と、
    ポリオキシプロピレン鎖(POP)と、それを挟む2個のポリオキシエチレン鎖(POE)からなるブロック共重合体であるポロキサマーと
    を含む、がんの治療による口腔粘膜炎の改善用及び/又は予防用の組成物。
  2. ポロキサマーが、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(Pluronic P−123)、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール(Pluronic P−85)、及びポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(Pluronic F−127)から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  3. ポロキサマーが、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(Pluronic P−123)であることを特徴とする請求項2に記載の組成物。
  4. オラネキシジングルコン酸塩の濃度が、0.1〜0.3%(W/V)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  5. ポロキサマーの濃度が、0.1〜5%(W/V)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
  6. 液剤又は含嗽剤であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
  7. がんの治療が、化学療法、放射線治療、又は化学療法と放射線治療との同時併用療法であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
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