[1]実施例
図1は実施例に係る検査支援システム1の全体構成の一例を表す。検査支援システム1は、食品を扱う施設等における食品衛生(食品によって健康が害されることがない安全な状態を保つこと)の管理に関する業務の1つである検査業務を支援するシステムである。検査業務とは、施設等における食品衛生の状態が食品を摂取する人の安全のために求められる基準(例えばHACCPで定められた基準)を満たしているか否かを検査する業務であり、食品衛生に影響を与える様々な検査項目についての検査が行われる。
検査支援システム1は、ネットワーク2と、サーバ装置10と、検査端末20と、事業者端末30と、分析者端末40とを備える。ネットワーク2は、移動体通信網及びインターネット等を含む通信システムであり、自システムにアクセスする装置同士のデータのやり取りを中継する。ネットワーク2には、サーバ装置10、事業者端末30及び分析者端末40が有線通信で(無線通信でもよい)、検査端末20が無線通信でアクセスしている。
検査端末20は、検査業務を行う検査員が利用する端末であり、スマートフォン及びタブレット端末のように持ち運び可能ないわゆるモバイル端末である。検査員は、検査対象の施設において検査端末20に検査項目の一覧である検査リストを表示させ、各検査項目の実施状況を検査端末20に入力して記録する。検査員は、例えば、検査対象施設で働く従業員又は食品衛生管理を支援する事業を行う事業者の社員等のうち検査作業を担当する者である。
図1では、検査端末20を1台しか表していないが、検査対象となる施設が多く存在する場合や検査対象の施設が広く複数個所同時に検査を行う場合は、複数の検査端末20を複数の検査員がそれぞれ利用して複数の検査が並行して行われる。サーバ装置10は、1台又はそれら複数の検査端末20による検査に関する情報を管理する処理等を行う。サーバ装置10は本発明の「情報処理装置」の一例である。検査に関する情報とは、先に述べた検査項目及び各検査項目に対する検査結果等である。
例えば検査員が検査対象の施設の検査を行う場合、サーバ装置10は、その施設において必要な検査項目を含む検査リストを検査端末20に送信する。検査作業が完了すると、検査結果が検査端末20からサーバ装置10に送信されてくる。サーバ装置10は、送信されてきた検査結果を記憶し、過去の履歴として検査結果を閲覧させる処理や検査結果の傾向を分析する処理などを行う。
事業者端末30は、検査対象である施設で事業を行う事業者が利用する端末であり、例えばパーソナルコンピュータである。事業者の従業員は、事業者端末30を操作して、サーバ装置10に記憶されている検査結果を閲覧することができる。分析者端末40は、サーバ装置10に対して前述した検査結果の傾向を分析させて活用することを職務とする分析者が利用する端末であり、例えばパーソナルコンピュータである。分析者は、分析者端末40を操作して、サーバ装置10に所望の分析処理を行わせることができる。
図2はサーバ装置10のハードウェア構成の一例を表す。サーバ装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信装置14と、バス15とを備えるコンピュータである。プロセッサ11は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ11は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)を備える。
プロセッサ11は、プログラム及びデータ等をストレージ13及び通信装置14の少なくとも一方からメモリ12に読み出し、読み出したプログラム等に従って各種の処理を実行する。メモリ12は、例えばROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体である。ストレージ13は、ハードディスクドライブ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体である。
通信装置14は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)である。プロセッサ11及びメモリ12等の各装置は、情報を通信するためのバス15によって接続される。バス15は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
図3は検査端末20のハードウェア構成の一例を表す。検査端末20は、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、通信装置24と、入力装置25と、出力装置26と、バス27とを備えるコンピュータである。図2に同名のハードウェアが表されているプロセッサ21等は、性能及び仕様等の違いはあるが、図2と同種のハードウェアである。
入力装置25は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えばスイッチ、ボタン、センサなど)である。入力装置25は、写真を撮影する撮像装置(デジタルカメラなど)を含んでいる。出力装置26は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカ、LEDランプなど)である。検査端末20においては、入力装置25及び出力装置26は、一部又は全部が一体となった構成(ディスプレイ及びタッチパネルが一体となったタッチスクリーン)を含む。
図4は事業者端末30及び分析者端末40のハードウェア構成の一例を表す。事業者端末30及び分析者端末40は、プロセッサ31と、メモリ32と、ストレージ33と、通信装置34と、入力装置35と、出力装置36と、バス37とを備えるコンピュータである。図2及び図3に同名のハードウェアが表されているプロセッサ21等は、性能及び仕様等の違いはあるが、図2及び図3と同種のハードウェアである。
事業者端末30及び分析者端末40は、検査端末20と同様にモバイル端末であってもよいが、処理が速く画面が大きいパーソナルコンピュータの方が望ましい。その場合には、入力装置35にキーボード及びマウス等が含まれ、出力装置36に画面の表示専用のディスプレイが含まれる。
検査支援システム1が備える各装置における各機能は、各々のプロセッサ、メモリなどのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサが演算を行い、各々の通信装置による通信を制御したり、メモリ及びストレージにおけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
図5は各装置が実現する機能構成を表す。サーバ装置10は、項目記憶部101と、項目抽出部102と、検査画像生成部103と、検査画像出力部104と、検査履歴蓄積部105と、認証部106と、分析処理部107と、教育情報記憶部108とを備える。検査端末20は、検査画像表示部201と、指定操作受付部202と、リスト管理部203と、入力操作受付部204と、集計処理部205とを備える。
事業者端末30は、検査画像表示部301と、リスト管理部302と、入力操作受付部303と、認証操作受付部304とを備える。分析者端末40は、分析画像表示部401と、分析操作受付部402とを備える。なお、図5では検査端末20、事業者端末30及び分析者端末40が1台ずつだけ表されているが、機能構成が共通する端末が2台以上備えられていてもよい。
項目記憶部101は、上述した検査リストで用いられる可能性がある検査項目を記憶する。検査リストに含まれる検査項目は、検査対象となる施設によって異なる場合があるため、本実施例においては、広範囲な検査項目が準備されており、その中から適宜選択できるようになっている。例えば飲食店が保健所から営業許可を取得するための食品衛生上の基準は自治体によって異なる場合がある。
そのため、各飲食店が所在する地域の自治体で定められた基準を満たしているか否かを確認可能な検査項目とする必要があるが、本実施例においては、地域に応じた検査項目が選択できるようになっている。また、飲食店営業、喫茶店営業、食品製造業及び食品販売業等のように業種によっても保健所から営業許可を取得するための食品衛生上の基準が異なる場合がある。
また、いくつもの地域に店舗を構えるチェーン店や組合に属する事業者のようにグループ(企業グループ又は組合グループ等)に属する店舗では、地域によらずグループで統一した食品衛生上の基準を満たすことが義務付けられている場合がある。その場合は、グループの基準を満たしているか否かを確認可能な検査項目とする必要がある。本実施例においては、それらの場合も、業種やグループに応じた検査項目が選択できるようになっている。なお、上述した地域等の他にも、HACCPに基づく検査やHACCPの考え方を取り入れた検査など種々の検査基準に応じた検査項目が選択できるようになっていてもよい。
項目記憶部101は、上記のとおり様々な基準があることを想定して検査が求められる可能性がある検査項目を予め記憶する。ここで、検査項目とは、検査の際に用いられる質問、アンケート等を表す言葉であって、所定の言語の文や句またはその意図を記号などによって示したものである。言語や記号はいずれか一方を用いても、双方を用いてもよい。なお、記号を用いた場合は、検査項目を周囲の人に知られないようにする場合などに好適である。
この実施例では、検査項目を日本語の言葉によって表示するようにしているが、言語や記号などを音声によって発音するように構成してもよい。検査項目の例としては、例えば「手洗い専用シンクを利用している」あるいは、「〇〇は常になされてますか」「温度は〇〇度以上ですか」「湿度は〇〇〜〇〇の範囲に入っていますか」というように検査すべき内容が文章で表されている。
検査項目に対しては、検査結果が入力されるようになっており、入力された結果は記憶されるようになっている(詳細は後述)。検査結果は、「はい」、「いいえ」の2択や、その他の選択肢を増やして3択以上で表されてもよいし、5段階、10段階のように程度を示す数値や記号によって表されてもよい。本実施例では、「はい」と回答される検査項目は検査結果が「OK」であったことを示し、「いいえ」と回答される検査項目は検査結果が「NG」であったことを示す2択を採用している。
図6に本実施例において記憶される検査項目の一覧を示す。ここでは、各検査項目を「K−1」、「K−2」、「K−3」、・・・というように記号及び数字で表しているが、実際に記憶されているのは質問等を示す文章である。図6に示すように、項目記憶部101は、各検査項目に対して検査対象の属性を対応付けて記憶している。検査対象とは、検査項目の質問やアンケート等が何について行われるかを示すものである。つまり、各検査項目には、何らかの関連する検査対象が存在する。
検査対象には様々なものがなり得るため、検査項目も多数必要になる場合がある。そこで、検査支援システム1においては、検査対象を特定するための言葉(以下「属性」と言う)を定義しておき、定義された属性に検査項目を対応付けることで、多数ある検査項目を整理可能としている。検査対象は、例えば、設備、場所、人などの検査が行われる物理的なものを示す属性や、手洗い、服装、日付管理、保管状態、温度状態など検査の内容を示す属性によって特定される。
また、検査が行われる施設が属する業種や地域、グループ(企業グループ又は組合グループ等)などによって何を検査対象にするかが決まる場合もあるので、検査対象は、それらの業種や地域、グループなどを示す属性によっても特定可能である。検査支援システム1においては、検査対象を特定するためのこれらの属性が、前述した検査対象の1又は複数の属性として定義されている。
なお、上記の各例では、何らかの共通性を有する検査対象の属性がその共通性を表す言葉によって示されたが、それに限らず、例えば何らかの共通性を有する検査対象の属性がその共通性とは関係のない任意の言葉(例えば単なる記号等)によって示されてもよい。また、共通性を有しない検査対象(例えばランダムに選ばれる検査対象)の属性が任意に定められる言葉(単なる記号等)によって示されてもよい。いずれの場合も、検査項目に関連する検査対象の1又は複数の属性がその検査項目に対応付けられることで、検査項目の整理が可能になる。
また、各属性はさらに任意の区分で仕分けができるようになっており、各区分には任意の名称(以下「区分名称」と言う)が付けられている。本実施例では、図6に示すように、従業員、食材、器具・食器、保管状況、環境などの属性は「大項目」という区分名称で仕分けられ、手洗い、服装等の属性は「中項目」という区分名称で仕分けられている。
大項目及び中項目は、本実施例においては、互いに共通性を有する検査対象(例えば「従業員」であれば従業員に関係する検査対象、「手洗い」であれば手洗いに関係する検査対象)を仕分ける区分名称である。大項目及び中項目として仕分けられた属性に対応付けられた検査項目は、検査対象が共通性を有するため、まとめて検査しやすくなっている(例えば「食材」という大項目の検査項目は、食材が保管されている場所でまとめて検査することができるなど)。
また、地域を示す属性(「A市」等)、業種を示す属性(「飲食店」等)、及びグループを示す属性(「Bグループ」等)は、それぞれ「地域」「業種」「グループ」という区分名称で仕分けられている。地域、業種及びグループは、検査対象となる施設が属する集団の種類で属性を仕分ける区分名称である。集団においては、前述したように事業を行うために満たす必要がある食品衛生の独自の基準が定められている場合がある。
そのため、地域、業種及びグループの各属性は、各々に対応する食品衛生の基準を満たすことを確認するために必要な検査項目に対応付けられている。例えば、図6の例では、「A市」という地域の属性が、A市で定められた食品衛生上の基準を満たすために必要な検査項目のうちの1つである検査項目「K1−3」に対応付けられている。
また、「飲食店」という業種の属性が、飲食店向けに定められた食品衛生上の基準を満たすために必要な検査項目のうちの1つである検査項目「K1−6」に対応付けられている。また、「Bグループ」というグループの属性が、Bグループの傘下の店舗等に求められる食品衛生上の基準を満たすために必要な検査項目のうちの1つである検査項目「K2−3」に対応付けられている。
また、各区分名称には、「全て」及び「N/A」という属性が含まれている。「全て」は該当する区分名称の属性の全てが含まれることを意味する(「地域」であれば「A市」を含む全ての地域の属性が含まれる)。つまり、例えば「全て」という地域の属性に対応付けられた検査項目は、検査が行われる施設が属する地域がどこであるかに関わらず必要となることを意味する。
なお、図6の例では、例えば「地域」の区分名称の属性であれば「A市」という1つの属性又は「全て」という全ての属性だけが検査項目に対応付けられているが、これに限らない。例えば地域の属性として、「A市、C市」という2つの属性や3つ以上の属性が検査項目に対応付けられていてもよい。そうすることで、複数の地域で共通して必要な検査項目を表すことができる。
また、「N/A」は、該当する区分名称の属性が存在しないこと(つまり該当なし)を意味する。つまり、例えば、検査項目「K2−3」には「Bグループ」というグループの属性が対応付けられているが、地域及び業種としては「N/A」が対応付けられている。これは、Bグループ傘下の店舗等であれば、その地域や業種に関係なく検査項目「K2−3」の検査が必要となることを意味する。
なお、検査項目「K2−3」には「地域」及び「業種」の属性が対応付けられていないが、例えば「A市」という地域の属性と「飲食店」という業種の属性の両方に対応付けられた検査項目があってもよい。その検査項目は、例えばA市が飲食店向けに定めた食品衛生上の基準を満たすために必要な検査項目を意味する。同様に、「地域」、「業種」及び「グループ」の属性がいずれも対応付けられた検査項目があってもよい。
以上のとおり、項目記憶部101は、食品衛生に関する複数の検査項目と、それら複数の検査項目の各々が関連する検査対象の属性(検査項目に関連する検査対象の属性が複数あればいずれか1以上の属性)とを互いに対応付けて記憶する。ここでいう「複数の属性」とは、「大項目」に区分される「従業員」及び「食材」等、「中項目」に区分される「手洗い」及び「服装」等、「地域」に区分される「全て」及び「A市」等、「業種」に区分される「全て」及び「飲食店」等、「グループ」に区分される「全て」及び「Bグループ」等である。
検査端末20では、項目記憶部101に記憶されている検査項目の一覧を表す検査リストを表示させるための操作が行われる。検査端末20の検査画像表示部201は、検査に関係する各種の画像を表示する。検査画像表示部201は、例えば、検査リストを表示させる操作を受け付けるための操作画像を表示する。
図7は表示された操作画像の一例を表す。図7の例では、検査画像表示部201は、「検査対象の属性を指定してください。」という文字列と、施設名の入力欄A1と、地域の属性の指定欄A2と、業種の属性の指定欄A3と、グループの属性の指定欄A4と、検査リストの生成ボタンB1とを含む検査画面を表示している。検査画像表示部201は、入力欄、各指定欄及びボタンの表示範囲を指定操作受付部202に通知する。
指定操作受付部202は、通知された表示範囲への操作を、検査対象の属性を指定する指定操作として受け付ける。各指定欄への操作は、文字列を入力する操作でもよいし、プルダウンされた属性の候補のいずれかを選択する操作でもよい。指定欄で属性を指定する操作(図7の例では「A市」及び「飲食店」が指定されている)と生成ボタンB1を押す操作とが行われたとする。
指定操作受付部202は、それらの操作を属性の指定操作として受け付け、入力された施設名及び指定された属性を示す属性データをサーバ装置10に送信する。サーバ装置10の項目抽出部102は、送信されてきた属性データを受け取ると、受け取った属性データが示す属性に対応付けて項目記憶部101に記憶されている検査項目を抽出する。項目抽出部102は、指定された属性によって異なる検査項目群を抽出する。
図8は抽出された検査項目の例を表す。例えば「A市の飲食店」が属性として指定された場合、項目抽出部102は、「A市」に対応付けられた「K1−3」及び「飲食店」に対応付けられた「K1−6」という検査項目を含む検査項目群を抽出する。また、項目抽出部102は、「A市の喫茶店」が属性として指定された場合、「A市」に対応付けられた「K1−3」は含むが「飲食店」に対応付けられた「K1−6」は含まない検査項目群を抽出する。
また、項目抽出部102は、「C市の飲食店」が属性として指定された場合、「A市」に対応付けられた「K1−3」は含まないが「飲食店」に対応付けられた「K1−6」を含む検査項目群を抽出する。また、項目抽出部102は、「A市のグループB傘下の喫茶店」が属性として指定された場合、「飲食店」に対応付けられた「K1−6」は含まないが、「A市」に対応付けられた「K1−3」と、「グループB」に対応付けられた「K2−3」を含む検査項目群を抽出する。
また、項目抽出部102は、「C市のグループB傘下の喫茶店」が属性として指定された場合、「A市」に対応付けられた「K1−3」と「飲食店」に対応付けられた「K1−6」は含まないが、「グループB」に対応付けられた「K2−3」を含む検査項目群を抽出する。なお、項目抽出部102は、「全て」という属性に対応付けられた各検査項目を、いずれの検査項目群にも含めて抽出する。
なお、項目抽出部102は、例えば「A市、C市」に対応付けられた検査項目がある場合には、「A市」が指定された場合も「C市」が指定された場合もその検査項目を抽出する。一方、項目抽出部102は、例えば「A市」及び「飲食店」に対応付けられた検査項目がある場合には、「A市」だけが指定された場合も「飲食店」だけが指定された場合もその検査項目を抽出せず、「A市」と「飲食店」の両方が指定された場合にその検査項目を抽出する。
項目抽出部102は、受け取った属性データが示す施設名に対応する施設IDを発行し、施設名及び施設IDを互いに対応付けて自装置に記憶させておく。以降は、各施設のデータは施設IDに対応付けて管理される。項目抽出部102は、上記のとおり検査項目を抽出すると、抽出した検査項目を検査対象の施設IDと共に検査画像生成部103に供給する。
検査画像生成部103は、食品衛生の検査に関係する検査画像を生成する機能であり、例えば、供給された検査項目を一覧として表す検査リストを検査画像として生成する。検査画像生成部103は、例えば、施設名及び検査リストをブラウザに表示する際のデザインを表すHTML(HyperText Markup Language)文書と、各検査項目への入力結果を格納する検査結果テーブルとを含むリストデータを生成することで、検査リストを生成する。
検査画像生成部103は、生成したリストデータを検査画像出力部104に供給する。検査画像出力部104は、検査画像生成部103により生成された検査画像を出力する機能であり、例えば、供給されたリストデータを、属性の指定元である検査端末20に対して出力することで、検査リストという検査画像を出力する。検査端末20のリスト管理部203は、出力されてきたリストデータを受け取ると、受け取ったリストデータが示す検査リスト及び検査結果テーブルを記憶して管理する。
リスト管理部203は、記憶したリストデータが示すHTML文書を検査画像表示部201に供給する。検査画像表示部201は、供給されたHTML文書が示す施設名及び検査リストを検査画像として表示する。
図9は表示された検査リストの一例を表す。図9の例では、検査画像表示部201は、大項目である「従業員」のタブT1、「食材」のタブT2、「器具・食器」のタブT3、「保管状況」のタブT4及び「環境」のタブT5と、後述する「判定」のタブT6を含む検査リストを、タブT1を開いた状態で表示している。
「従業員」の表示領域C1には、中項目の「手洗い」の表示領域D1、「服装」の表示領域D2及び「手指目視検査」の表示領域D3等が含まれている。各中項目の表示領域には、検査項目「K−1」及び「K−2」等が表示されている。表示領域C1をスクロールさせると、表示されていない中項目の表示領域及び検査項目が表示される。検査項目の左側には、検査結果の入力操作を受け付けるNGボタンE1、写真ボタンE2、コメントボタンE3及びOKボタンE4が表示されている。
図10は入力操作が行われた状態の検査リストの一例を表す。NGボタンE1が押されると、「×」マーク(検査結果がNGであることを示すマーク)が表示され、OKボタンE4が押されると、「〇」マーク(検査結果がOKであることを示すマーク)が表示される。また、写真ボタンE2が押されると、写真入力欄E5が表示される。写真入力欄E5は、検査対象となる現場の写真を添付する領域である。
写真入力欄E5をタップすると、例えば検査端末20の撮像装置が起動されてユーザの操作により写真を撮影し、撮影された写真が写真入力欄E5に表示される。なお、写真入力欄E5をタップした場合に検査端末20に記憶されている撮影済みの写真を取り込めるようにしてもよい。
コメントボタンE3が押されると、コメント入力欄E6及びコメント例文一覧E7が表示される。コメント入力欄E6には、手入力でコメントを入力してもよいし、コメント例文一覧E7に含まれている例文を選択することでコメントを入力してもよい。検査画像表示部201は、各ボタン及び各入力欄の表示範囲を入力操作受付部204に通知する。
入力操作受付部204は、通知された表示範囲への操作を、検査結果の入力操作として受け付ける。入力操作受付部204は、入力操作を受け付けると、受け付けた入力操作の結果を検査画像表示部201に供給し、検査画像表示部201は、入力操作の結果を表示する。また、入力操作受付部204は、受け付けた入力操作の結果をリスト管理部203にも供給する。
リスト管理部203は、供給された入力操作の結果を検査結果として、記憶している検査結果テーブルに反映する。
図11は検査結果テーブルの一例を表す。検査結果テーブルには、「施設ID」、「検査回数」、「検査員ID」、「検査項目」、「NG」、「OK」、「写真」、「コメント」及び「入力日時」がそれぞれ対応付けて格納されている。
「施設ID」及び「検査回数」は、検査画像生成部103が検査結果テーブルを生成する際に格納されている。図11の例では、該当する施設IDの検査結果テーブルを初めて生成したので、「1」回が「検査回数」として格納されている。「検査員ID」は、例えば検査端末20を利用する検査員によって予め入力されて検査端末20に記憶されており、リスト管理部203がそれを読み出して検査結果テーブルに格納する。
なお、検査員IDに限らず検査員の氏名が検査結果テーブルに格納されてもよく、検査員を個別に識別可能な識別情報が検査結果テーブルに格納されていればよい。「NG」の入力は「×」、「OK」の入力は「〇」で表されている。写真は画像データのファイル名で、コメントはテキストデータのファイル名で表されている。入力日時は年月日で表されているが、詳細な時刻まで表されていてもよい。
集計処理部205は、検査結果テーブルに格納された検査結果を参照して、検査結果の集計処理を行う。集計処理とは、共通の検査結果(例えばOKの検査結果)の件数を合計した値を集計値として算出する処理である。また、集計処理には、算出した集計値に基づいてさらに別の値を算出する処理も含まれる。具体的には、集計処理部205は、OKの検査結果を集計し、検査項目の全体数に対するOKの集計値の割合(以下「評価率」と言う)を大項目毎及び全体について算出する処理を行う。
評価率は、この値が高いほど衛生管理のために実施すべき作業が実施されていることを意味する値であり、より安全な食品の供給が期待できることを示す指標として利用可能である。集計処理部205は、評価率の算出において、各検査項目の検査結果を一律ではなく重みを付けて扱う。例えば検査項目が50個ある場合、一律に扱うと1つのNGにつき評価率が2%減少する。
これに対し、各検査項目に重みを付けることで、例えば重要度が高い検査項目がNGだと3%減少し、重要度が低い検査項目だと1%減少するというように評価率が算出される。重要度とは、例えば、食品衛生に対する影響が大きい検査項目ほど重要度が高いという意味である。重要度を加味した重み付けをすることで、重要度を加味しない場合に比べて、評価率の上記指標としての信頼性を高めることができる。
検査画像表示部201は、図9に表す「判定」のタブT6を押す操作が行われると、集計処理部205に集計処理を要求する。検査画像表示部201は、要求に応答して供給される集計結果を表示する。
図12は表示された集計結果の一例を表す。検査画像表示部201は、大項目毎の評価率を示す結果表F1と、大項目毎の評価率を示すレーダーチャートF2とを表示している。
また、検査画像表示部201は、全体の評価率を「総合評価」として示し、総合評価に応じて決まる呼称である「優秀店」及び総合評価に応じて決まる評価ランクの「S」という文字列を表示している。これらの呼称及び評価ランクは、総合評価の値に応じて例えば「優秀店」及び「S」、「優良店」及び「A」、「良店」及び「B」、「要改善点」及び「C」というように定められる。
検査画面に表示されている確定ボタンB2を押す操作が行われると、入力操作受付部204がこの操作を検査結果の入力を確定させる確定操作として受け付け、リスト管理部203は、検査結果テーブルを示す結果データをサーバ装置10に送信する。サーバ装置10の検査履歴蓄積部105は、送信されてきた結果データが示す検査結果テーブルを記憶することで、記憶した検査結果テーブルに格納された検査結果を検査の履歴として蓄積する。
蓄積された検査結果には、施設ID及び検査回数が含まれているため、どの施設の何回目の検査結果であるかが分かるようになっている。なお、上記の例では、検査画像生成部103が、複数の大項目の検査項目を表す検査リストを予め生成したが、大項目毎に検査リストを生成してもよい。例えば、項目抽出部102は、属性データを受け取ると、図9に表すように初期状態で表示される「従業員」に対応付けられた検査項目だけを抽出する。こうして抽出された検査項目を表す検査リストでも、図9に表す表示が可能である。
そして、例えば「食材」のタブT2を選択する操作が行われると、その操作を、「食材」という属性を指定する操作として指定操作受付部202が受け付ける。すると、項目抽出部102が「食材」に対応付けられた検査項目だけを抽出し、「食材」の検査項目を表す検査リストが表示される。以上のとおり、検査リストの生成方法には、全ての大項目の検査リストを予め生成する第1の方法と、大項目が指定されたときに該当する検査リストを生成する第2の方法とがある。
いずれの方法が用いられた場合でも、検査画像出力部104は、検査対象の属性(複数の属性のうちのいずれか)が指定されるとその属性に対応付けて記憶されている検査項目を一覧として表す検査リストを出力する。第1の方法の場合、「地域」、「業種」、「グループ」が指定されると、指定された属性に対応付けられた検査項目を表す検査リストが新たに生成されて出力される。
一方、図9に表す検査画面上で「大項目」が指定された場合、指定された大項目に対応付けられた検査項目の検査リストとして、既に生成されて出力された検査リストが画面上に表される。これに対し、第2の方法の場合、「地域」、「業種」、「グループ」及び「大項目」のいずれが指定された場合も、指定された属性に対応付けられた検査項目を表す検査リストが新たに生成されて出力される。
このように、検査画像出力部104は、検査端末20を表示手段として検査リストを出力してすぐにその検査リストを表示させる場合もあれば、検査端末20を記憶手段として検査リストを出力して後からその検査リストを表示させる場合もある。いずれの場合も、検査対象の属性を指定するだけで必要な検査項目を表す検査リストが出力されるので、必要な検査項目を個々に選択する場合に比べて、食品衛生管理のために必要な検査項目の利用を容易にすることができる。
検査履歴蓄積部105に蓄積された検査結果は、検査が行われた施設で事業を行う事業者が確認することができる。事業者端末30の検査画像表示部301、リスト管理部302及び入力操作受付部303は、検査端末20の検査画像表示部201、リスト管理部203及び入力操作受付部204と共通の機能であり、サーバ装置10から出力されてくる検査リストを表示し、入力操作を受け付ける。
ただし、他の事業者の検査結果が閲覧されないように、事業者の認証が行われる。事業者端末30の認証操作受付部304は、サーバ装置10に検査結果を要求する際に、検査結果が蓄積されている事業者であることを認証するための認証操作を受け付ける。認証操作は、例えば施設ID及びパスワードを入力する操作である。なお、施設IDの代わりに施設名や事業者名が用いられてもよいし、生体認証が用いられてもよい。
認証操作受付部304は、認証操作により入力された認証情報(施設ID及びパスワード等)を示す認証データをサーバ装置10に送信する。各事業者の認証情報は、予め登録作業が行われてサーバ装置10に記憶されているものとする。サーバ装置10の認証部106は、送信されてきた認証データが示す認証情報が自装置に記憶されている場合、検査結果を閲覧可能な事業者であることを認証する。
認証部106は、認証情報が自装置に記憶されていない場合は認証不可である旨を事業者端末30に通知する。認証部106は、認証した場合は認証情報に含まれる施設IDを検査履歴蓄積部105に供給する。検査履歴蓄積部105は、供給された施設IDに対応付けて蓄積している検査結果を検査画像生成部103に供給する。検査画像生成部103は、供給された検査結果を一覧で表す検査リストを生成する。
検査画像出力部104は、生成された検査リストを示すリストデータを、事業者端末30に対して出力する。この場合の事業者端末は検査結果の表示が許可された装置である。事業者端末30の検査画像表示部301は、出力されたリストデータが示す検査結果を表示する。
図13は表示された検査結果の一例を表す。図13の例では、検査画像表示部301が、「器具・食器」タブの表示領域に、検査結果がNGであった検査項目「K3−1」の写真入力欄E5及びコメント入力欄E6を表示している。
また、検査画像表示部301は、写真入力欄E5及びコメント入力欄E6の下に改善後の入力欄として、新たなボタン群(NGボタン、OKボタン等)と、新たな写真入力欄E15と、新たなコメント入力欄E16及びコメント例文一覧E17とを表示している。なお、検査項目の横には教育ボタンB11が表示されているが、これについては後程説明する。
事業者の従業員は、NGを判断された検査項目について改善を行った場合、改善後の入力欄に写真やコメントを入力することができる。図12に表す集計結果については、新たに入力された改善結果を反映しなくてもよいし、反映してもよい。反映する際は、集計処理部205と共通する機能を事業者端末30に備えさせておけばよい。いずれの場合も、確定ボタンB2を押す操作が行われると、リスト管理部302が改善結果を反映した検査結果テーブルを示す結果データをサーバ装置10に送信する。
図14は改善結果を反映した検査結果テーブルの一例を表す。図14の例では、検査項目「K1−2」の検査結果が2行になり、1行目には元のNGの検査結果が格納され、2行目にはOKになった検査結果が格納されている。なお、単にOKにするだけでは本当に改善されたか否かを第三者に示すことができないので、写真の入力を必須とするか、写真及びコメントの両方の入力を必須とすることが望ましい。
そのために、例えば、リスト管理部302が、改善された検査項目に写真及びコメント(写真だけでもよい)が入力されていない場合は結果データを出力しないようにして、検査画像表示部301が、写真及びコメントの入力を促すメッセージを表示してもよい。検査履歴蓄積部105は、送信されてきた結果データが示す検査結果テーブルに格納された検査結果を、検査の履歴として蓄積する。
その際、検査結果テーブルには施設ID及び検査回数が含まれているので、検査履歴蓄積部105は、新たな検査結果を、施設ID及び検査回数が共通する元の検査結果と統合して蓄積する。こうして、検査履歴蓄積部105は、事業者端末30から送信されてきた新たな入力情報を、検査画像出力部104により出力された元の検査結果に対応付けて記憶する。
以上のとおり改善結果が検査結果に反映されることで、次の検査を待たずに改善結果を記録することができる。また、改善された時期が記録されることで、事業者に対してより早く改善することの動機付けをすることができる。ただし、事業者による自己検査は検査の専門家でないことや当事者であることから正確性に欠ける可能性がある。そこで、専門の検査員によるさらなる確認がされてもよい。
本実施例では、例えば、検査履歴蓄積部105が、事業者端末30から結果データを受け取ると、受け取った結果データを検査画像生成部103に供給する。検査画像生成部103は、供給された結果データが示す施設IDの施設で改善結果の入力があったことを伝達するための検査画像を生成し、検査画像出力部104が、生成された検査画像を、例えば該当する施設ID及び検査回数の検査を行った検査端末20に出力する。なお、検査画像の出力先は、他の担当者の端末であってもよいし、担当者等の電子メールアドレスやSNS(Social Networking Service)のアカウントであってもよい。
図15は表示された検査画像の一例を表す。図15の例では、検査端末20の検査画像表示部201が、「以下の検査結果に改善結果の入力があります。」という改善結果の入力があったことを示す文字列と、改善結果が入力された施設の施設名が「レストランR」で検査回数が「1回」であることを示す文字列と、改善結果の表示ボタンB12とを含む検査画像G11を表示している。
検査画像表示部201は、検査画像G11を受け取ると、例えば自装置の表示面にポップアップ画像を表示して、ポップアップ画像が選択された場合に検査画像G11を表示する(プッシュ型の通知)。なお、検査画像表示部201は、検査画像G11を受け取った後に初めて検査員が別の検査等を行うために検査画面を表示する操作を行った際に、検査画像G11を表示してもよい(プル型の通知)。
また、検査画像表示部201は、検査画像を受け取る度ではなく、一定期間が経過する度に(例えば1週間毎に)ポップアップ画像を表示してもよい。その場合、検査画像表示部201は、一定期間の間に受け取った検査画像を並べて表示する。表示ボタンB12を押す操作が行われると、サーバ装置10の検査画像生成部103、検査画像出力部104及び検査履歴蓄積部105が上記の例と同様に協働し、表示ボタンB12と共に表示されていた施設IDに対応付けられた検査結果を示すリストデータを検査端末20に対して出力する。
検査員が検査端末20に表示させた検査画面において例えば施設IDを入力すると、サーバ装置10の検査画像生成部103、検査画像出力部104及び検査履歴蓄積部105が上記の例と同様に協働して入力された施設IDに対応付けられた検査結果を示すリストデータを検査端末20に対して出力する。ここで、本実施例では、検査端末20には全ての検査結果の表示が許可されているものとする。
つまり、検査画像出力部104は、事業者端末30において入力された入力情報の表示が許可された検査端末20に対してその入力情報を出力する。検査端末20の検査画像表示部201は、出力されたリストデータが示す検査結果を表示する。
図16は表示された検査結果の一例を表す。図16の例では、検査画像表示部201が、図13に表す写真入力欄E15及びコメント入力欄E16の下に、「検査員コメント」という文字列とコメント入力欄E26とを表示している。
検査員は、写真入力欄E15の写真及びコメント入力欄E16のコメントを確認して、補足又は修正すべき点などがあればコメントを入力することができる。なお、図16の例では検査員のコメントが改善結果のコメントとは別のコメント入力欄E26に追記されているが、コメント入力欄E16への入力にして改善結果のコメントを修正させてもよい。
検査員によるコメントの入力後、図12に表す確定ボタンB2を押す操作が行われると、リスト管理部203が検査員のコメントを反映した検査結果テーブルを示す結果データをサーバ装置10に送信する。
図17は検査員のコメントを反映した検査結果テーブルの一例を表す。図17の例では、検査項目「K1−2」の検査結果が3行になり、3行目には検査員のコメントを示すテキストデータが格納されている。
こうして、検査履歴蓄積部105は、検査端末20から送信されてきた新たな入力情報を、検査画像出力部104により出力された元の入力情報(事業者端末30において入力された入力情報)に対応付けて記憶する。以上のとおり検査員によるコメントが付加されることで、コメントが付加されない場合に比べて、事業者が行った改善活動に対する検査結果の客観性を向上させることができる。
なお、検査員によるコメントは、現場に行かないで行われることが想定される。現場に行かなくても事業者のコメントから改善状況を判断できることもあり得るが、やはり事業者による入力情報には写真が含まれていることが望ましい。そこで、検査履歴蓄積部105は、事業者端末30において入力された入力情報に写真が含まれている場合のみ、その入力情報を検査結果に対応付けて記憶するようにしてもよい。
例えば改善後の入力情報に写真が含まれていないのに確定ボタンB2を押す操作が行われると、図14に表すような同じ検査項目の2行の検査結果の2行目に写真データが格納されていない検査データが事業者端末30から送信されてくる。検査履歴蓄積部105は、その状態の結果データを受け取ると、検査結果を記憶せずに、写真データの添付を要求する要求画像の生成及び出力を検査画像生成部103及び検査画像出力部104に指示する。
検査画像生成部103及び検査画像出力部104が指示された要求画像を出力し、検査画像表示部301が要求画像を表示することで、事業者の従業員に写真の入力を促すことができる。また、写真がない状態では改善後の入力情報を記憶しないようにすることで、写真の有無に関わらず記憶する場合に比べて、改善後の入力情報の信頼性を高めることができる。
続いて、検査員の検査の傾向の分析に関係する機能について説明する。検査の傾向とは、例えば、多くの検査員はOKとする実施状況でもNGと判断する傾向(厳しく判断する傾向)や反対に多くの検査員はNGとする実施状況でもOKと判断する傾向(甘く判断する傾向)である。また、判断が厳しかったり甘かったり一貫性がない傾向、常に厳しく又は甘く判断する一貫性がある傾向も検査の傾向に含まれる。
分析者端末40の分析画像表示部401は、検査員の検査傾向の分析に関する画像を表示する。分析画像表示部401は、例えば、分析対象である検査員を指定するための画像を表示する。
図18は表示された分析に関する画像の一例を表す。図18の例では、分析画像表示部401は、「分析対象の検査員を指定してください。」という文字列と、検査員名/検査員IDの入力欄A11と、分析情報の表示ボタンB3とを含む分析画面を表示している。
分析操作受付部402は、入力欄A11及び表示ボタンB3への操作を、検査結果の分析に関する分析操作として受け付ける。図18の例では、分析操作受付部402は、入力欄A11への「IN001」という検査員IDの入力を受け付けている。分析操作受付部402は、図18の状態で分析情報の表示ボタンB3を押す操作を受け付けると、入力欄A11に入力されている検査員ID(検査員名でもよい)を示す指定データをサーバ装置10に送信する。
サーバ装置10の分析処理部107は、送信されてきた指定データを受け取ると、受け取った指定データが示す分析対象の検査員の検査の傾向を分析する分析処理を行う。まず、分析処理部107は、検査履歴蓄積部105に蓄積された検査結果から、指定データが示す検査員IDに対応付けられた検査結果を抽出する。分析処理部107は、抽出した検査結果を集計して検査対象及び検査の回数毎の評価率を算出する。
また、分析処理部107は、例えば、検査履歴蓄積部105に蓄積された検査結果から、指定データが示す検査員IDに対応付けられた検査結果以外の検査結果を抽出する。分析処理部107は、抽出した検査結果を集計して検査対象及び検査の回数毎の評価率を算出する。なお、評価率は、上述したように検査の際に算出されているので、算出された評価率も検査履歴蓄積部105が蓄積しておいて、分析処理部107が蓄積された評価率を読み出してもよい。
分析処理部107は、本実施例では、分析対象の検査員の検査における評価率の平均値と、検査員全員の検査における評価率とについてそれぞれ例えば過去の一定の期間における評価率の平均値とを算出する。以下では、このように分析対象の検査員について検査結果の集計値に基づいて算出される値(前者の平均値)のことを「分析対象値」と言い、分析対象値との比較のために算出される値(後者の平均値)のことを「基準値」と言う。
上述したとおり、検査履歴蓄積部105は、食品衛生に関する検査結果を取得する。この場合の検査履歴蓄積部105は本発明の「取得部」の一例である。検査履歴蓄積部105は、より詳細には、分析対象の検査員(食品衛生の検査を行う検査員)による検査結果を取得して蓄積する。また、検査履歴蓄積部105は、分析対象の検査員による検査とは別に行われる食品衛生の検査結果(本実施例では別の検査員による検査結果)を少なくとも含む検査結果(検査員全員の検査結果)を基準の結果として取得する。
図19は算出された分析対象値及び基準値の一例を表す。図19の例では、分析処理部107は、分析対象である「IN001」の検査員の過去1年間の評価率の平均値(93.7%)と、過去1ヵ月間の評価率の平均値(94.3%)とを分析対象値として算出している。また、分析処理部107は、検査員全体の過去1年間の評価率の平均値(989.0%)と、過去1ヵ月間の評価率の平均値(90.5%)とを基準値として算出している。
また、分析処理部107は、分析対象値と基準値との差(過去1年の場合は+4.7%、過去1ヵ月の場合は+3.8%)を算出し、さらに差の平均値(図19の例では+4.25%)を算出する。分析処理部107は、こうして算出した差(具体的には差の平均値)に基づいて分析対象の検査員の検査の傾向を判定する。分析処理部107は、例えば、検査の厳格度の高さを検査の傾向として判定する。
分析処理部107は、分析対象値の基準値との差と、検査の厳格度とを対応付けた傾向テーブルを用いて判定を行う。
図20は傾向テーブルの一例を表す。図20の例では、「−10%未満」、「−10%以上−3%未満」、「−3%以上+3%未満」、「+3%以上+10%未満」及び「+10%以上」という基準値との差に、「Lv5(厳格)」、「Lv4」、「Lv3(標準的)」、「Lv2」及び「Lv1(寛容)」という検査の厳格度が対応付けられている。
分析処理部107は、図19の例であれば、+4.25%を差として算出するので、「+3%以上+10%未満」に対応付けられた「Lv2」という検査の厳格度を、「IN001」の検査員の検査の傾向として判定する。分析処理部107は、例えば、判定した検査の傾向をテキスト及び画像等によって示す傾向データを分析者端末40に対して出力することで、分析対象の検査員による検査結果と基準の結果との差に基づき示される分析対象の検査員の傾向情報を出力する。
「分析対象の検査員」は本発明の「特定の検査員」の一例であり、分析処理部107は本発明の「傾向出力部」の一例である。分析者端末40の分析画像表示部401は、出力されてきた傾向データが示す傾向情報を表示する。
図21は表示された傾向情報の一例を表す。図21では、分析画像表示部401は、「検査員「IN001」の検査傾向を判定しました。」という文字列と、判定した検査の傾向が「Lv2」であることを示す傾向画像G1とを表示している。
傾向画像G1を提示された分析者は、検査員「IN001」が標準的な検査員よりは寛容な検査を行っていることを把握することができる。寛容な検査をする検査員の中には、検査に対する知識や経験の不足から不備を見逃す者が含まれている場合があるので、知識や経験を習得する教育が必要である。一方、厳格な検査を行う検査員の中には、厳格過ぎて現場が対応できないレベルを求めてしまい従業員のやる気をなくさせてしまう者が含まれている場合がある。
従業員のやる気をなくしてしまっては衛生管理業務の質が向上しないので、そのような検査員に対しても、例えば従業員のモチベーションを高めるための接し方や検査の仕方を学んでもらう必要がある。このように、検査の傾向が異なる検査員同士においては、各々について適した教育内容も異なっている場合がある。そこで、検査支援システム1は、検査の傾向が判定された検査員に対して推奨する教育情報を提示する。
教育情報とは、教育を受けることを可能にするための情報であり、例えば、Eラーニング(ネットワークを介して受講する教材)へのリンクや座学及び実技等の講習の案内を示す情報である。図21の例では、分析画像表示部401は、推奨教育情報の表示ボタンB4を表示している。表示ボタンB4が操作されると、分析操作受付部402は、判定された検査員の推奨教育情報を要求する要求データをサーバ装置10に送信する。
サーバ装置10においては、教育情報記憶部108が、検査員向けの教育情報を、検査員の検査の傾向に対応付けて記憶している。
図22は検査員向けの教育情報の一例を表す。図22の例では、教育情報記憶部108は、「Lv5(厳格)」、「Lv4」、「Lv3(標準的)」、「Lv2」及び「Lv1(寛容)」という検査の傾向(検査の厳格度)に対応付けて、「Eラーニング」、「座学」及び「実技」に関する教育情報を記憶している。
分析者端末40から送信されてきた要求データは分析処理部107が受け取る。分析処理部107は、受け取った要求データが示す検査員の検査の傾向に対応付けて記憶されている教育情報を教育情報記憶部108から読み出す。分析処理部107は、読み出した教育情報を示す教育データを分析者端末40に対して出力することで、判定された検査傾向の検査員への推奨教育情報を出力する。分析者端末40の分析画像表示部401は、出力されてきた教育データが示す推奨教育情報を表示する。
図23は表示された推奨教育情報の一例を表す。図23では、分析画像表示部401は、「検査員「IN001」への推奨教育情報です。」という文字列と、「Eラーニング」、「座学」及び「実技」の教育情報へのリンクボタンB5、B6、B7及びB8と、検査端末への転送ボタンB9とを表示している。各リンクボタンは、例えば教育情報記憶部108において該当する教育情報が保存されたURL(Uniform Resource Locator)へのリンクである。
例えば分析者がリンクボタンB5を選択すると、「検査学習教材1」というEラーニングの受講画面が表示され、リンクボタンB7を選択すると、「検査実務講習1」という座学の紹介及び申込みのページが表示される。なお、Eラーニングを提供する機能はサーバ装置10が備えていてもよいし、他の専用の装置が備えていてもよい。また、教育情報に、例えばベテランの検査員が作成したアドバイスや指導内容を示す情報が含まれていてもよい。
以上のとおり、分析処理部107は、自機能が出力した傾向情報が示す傾向に対応付けられた教育情報を教育情報記憶部108から読み出して出力する。これにより、検査員は、自分の検査の傾向に合った教育を受けることができる。その結果、検査員全員が一律な教育を受ける場合に比べて、教育の効果を高めることができる。
分析者は、表示された内容に問題がなければ、転送ボタンB9を選択する。すると、例えば分析操作受付部402が、表示された教育情報を示す教育データを検査員「IN001」に対応付けられた検査端末20に転送する。検査端末20の検査画像表示部201は、送信されてきた教育データが示す教育情報を表示する。
図24は検査端末20に表示された推奨教育情報の一例を表す。図24の例では、検査画像表示部201が、「以下の教育メニューの受講をお勧めします。」という文字列と、図23と同様の教育情報を表示している。検査員は、表示された教育情報を操作して、Eラーニングを受講したり、座学や実技の講習を申し込んだりすることができる。
なお、教育情報が出力されなくても、例えば指導者が傾向情報を見て検査員を指導する(アドバイスする)際の参考にしてもよい。つまり、傾向情報は、検査員の検査能力を向上させる取り組み(教育及び指導等)全般において活用することができる。そして、いずれの取り組みが行われる場合も、傾向情報が出力されない場合に比べて、検査員の検査能力を効率的に向上させることができる。
ここまでは検査員向けの教育情報の提示方法を説明した。続いて、検査対象の施設の従業員向けの教育情報の提示方法を説明する。上述したとおり、本実施例における食品衛生の検査とは、食品衛生に関する事項(以下「食品衛生事項」と言う)の実施の程度を判断するものである。食品衛生事項とは、食品を扱う施設等において食品の安全を守るために実施される事項である。
食品衛生事項は、具体的には、「手洗い専用シンクを利用している」や「手洗い専用シンクに汚れが付着していない」などの事項である。これらの食品衛生事項は、検査すべき事項としてそれぞれ検査項目において文章等で表されている。例えば食品衛生事項が十分に実施されているなら「OK」、十分に実施されていない(つまり実施不足。全く実施されていない場合を含む)なら「NG」という検査結果が判断される。
教育情報記憶部108は、実施不足(NG)と判断された食品衛生事項について、実施不足を解消するための従業員向けの教育情報を、検査項目に対応付けて記憶する。
図25は従業員向けの教育情報の一例を表す。図25の例では、教育情報記憶部108は、「K1−1」、「K1−2」及び「K1−3」等の検査項目に対応付けて従業員向けの教育情報を記憶している。
事業者端末30の検査画像表示部301は、図13の説明で述べたように、実施不足(NG)と判断された検査項目に対応する位置に教育ボタンB11を表示する。事業者の従業員が教育ボタンB11を操作すると、例えばリスト管理部302が、操作された教育ボタンB11に対応する検査項目に関する教育情報を要求する要求データをサーバ装置10に送信する。
送信された要求データは、例えば検査履歴蓄積部105を介して教育情報記憶部108に供給される。教育情報記憶部108は、供給された要求データが示す検査項目に対尾づけて記憶している教育情報を検査画像生成部103に供給する。検査画像生成部103は、供給された教育情報を提示する画面を検査画面として生成し、検査画像出力部104は、生成された検査画面を事業者端末30に対して出力する。
図26は事業者端末30に表示された推奨教育情報の一例を表す。図26の例では、検査画像表示部301が、「検査項目K−1を実施するため以下の教育メニューの受講をお勧めします。」という文字列と、「衛生管理学習教材」のEラーニングの教育情報を2つ表示している。検査画面で他の検査項目に対応する教育ボタンが選択された場合は、その検査項目に関する教育情報が出力されてきて表示される。
このように、検査画像出力部104は、検査項目として記載された食品衛生事項の実施不足を示す検査結果が検査履歴蓄積部105により取得された場合に、その食品衛生事項の実施不足を解消するための教育情報を出力する。この場合の検査画像出力部104は本発明の「衛生教育出力部」の一例である。これにより、教育情報が出力されない場合に比べて、NGであった検査項目が改善されやすいようにすることができる。
サーバ装置10及び検査端末20は、上記の構成に基づいて、検査リストを表示して検査結果を蓄積する検査処理を行う。
図27は検査処理における各装置の動作手順の一例を表す。図27の動作手順は、例えば、検査員が検査端末20を操作して図7に表す操作画像を表示させることを契機に開始される。
まず、検査端末20(指定操作受付部202)は、検査対象の属性を指定する指定操作を受け付ける(ステップS11)。次に、検査端末20(指定操作受付部202)は、指定された属性を示す属性データをサーバ装置10に送信する(ステップS12)。サーバ装置10(項目抽出部102)は、送信されてきた属性データが示す属性に対応付けて項目記憶部101に記憶されている検査項目を抽出する(ステップS13)。
続いて、サーバ装置10(検査画像生成部103)は、抽出された検査項目を一覧として表す検査リスト及び検査結果テーブルを含むリストデータを生成する(ステップS14)。そして、サーバ装置10(検査画像出力部104)は、生成されたリストデータを検査端末20に対して出力する(ステップS15)。検査端末20(リスト管理部203)は、出力されてきたリストデータを記憶する(ステップS16)。
次に、検査端末20(検査画像表示部201)は、記憶されたリストデータが示す検査リストを表示する(ステップS17)。続いて、検査端末20(入力操作受付部204)は、検査結果の入力操作を受け付ける(ステップS21)。次に、検査端末20(リスト管理部203)は、入力操作の結果を検査結果として検査結果テーブルに反映する(ステップS22)。
続いて、検査端末20(集計処理部205)は、検査結果テーブルに格納された検査結果を参照して、検査結果の集計処理を行う(ステップS23)。次に、検査端末20(検査画像表示部201)は、集計処理の結果を表示する(ステップS24)。続いて、検査端末20(入力操作受付部204)は、検査結果の入力を確定させる確定操作を受け付ける(ステップS31)。
次に、検査端末20(リスト管理部203)は、検査結果テーブルを示す結果データをサーバ装置10に送信する(ステップS32)。サーバ装置10(検査履歴蓄積部105)は、送信されてきた結果データが示す検査結果テーブルに格納された検査結果を、検査対象の属性に対応付けて蓄積する(ステップS33)。ステップS33の後は、蓄積された検査結果を事業者に提示する提示処理が行われる。
図28は提示処理における各装置の動作手順の一例を表す。図28の動作手順は、例えば、事業者の従業員が事業者端末30に対して認証操作を行うことを契機に開始される。まず、事業者端末30(指定操作受付部202)は、認証操作を受け付けると(ステップS31)、認証データをサーバ装置10に送信する(ステップS32)。サーバ装置10(認証部106)は、送信されてきた認証データに基づき事業者を認証する(ステップS33)。
続いて、サーバ装置10(検査画像生成部103)は、認証された事業者の検査結果を一覧として表す検査リスト及び検査結果テーブルを含むリストデータを生成する(ステップS34)。次に、サーバ装置10(検査画像出力部104)は、生成されたリストデータを検査端末20に対して出力する(ステップS35)。事業者端末30(リスト管理部302)は、出力されてきたリストデータを記憶する(ステップS36)。
次に、事業者端末30(検査画像表示部301)は、記憶されたリストデータが示す検査リストを表示する(ステップS37)。続いて、事業者端末30(入力操作受付部303)は、改善後の入力情報、すなわち改善結果の入力操作を受け付ける(ステップS41)。次に、事業者端末30(リスト管理部302)は、入力された改善結果を検査結果テーブルに反映する(ステップS42)。
続いて、事業者端末30(入力操作受付部303)は、改善結果の入力を確定させる確定操作を受け付ける(ステップS43)。次に、事業者端末30(リスト管理部302)は、改善結果を反映した検査結果テーブルを示す結果データをサーバ装置10に送信する(ステップS44)。サーバ装置10(検査履歴蓄積部105)は、送信されてきた結果データが示す検査結果テーブルに格納された改善結果を元の検査結果に対応付けて蓄積する(ステップS45)。
ステップS33の後は、提示処理の他に、蓄積された検査結果に基づき検査員の検査傾向を分析する分析処理が行われる。
図29は分析処理における各装置の動作手順の一例を表す。図29の動作手順は、例えば、分析の担当者が分析者端末40に対して分析画面を表示させることを契機に開始される。
まず、分析者端末40(分析操作受付部402)は、分析対象の検査員を指定する指定操作を受け付け(ステップS51)、指定された検査員を示す指定データをサーバ装置10に送信する(ステップS52)。サーバ装置10(分析処理部107)は、送信されてきた指定データが示す分析対象の検査員の検査結果を抽出し(ステップS53)、抽出した検査結果を集計して評価率の平均値を分析対象値として算出する(ステップS54)。
また、サーバ装置10(分析処理部107)は、分析対象の検査員を含む全員の検査結果を抽出し(ステップS55)、抽出した検査結果を集計して評価率の平均値を基準値として算出する(ステップS56)。なお、ステップS53、S54とS55、S56の動作は前後が反対でもよいし、並行して行われてもよい。次に、サーバ装置10(分析処理部107)は、算出した分析対象値及び基準値の差に基づき分析対象の検査員の検査の傾向を判定する(ステップS57)。
そして、サーバ装置10(分析処理部107)は、判定した検査の傾向を示す傾向情報を生成し(ステップS61)、生成した傾向情報を分析者端末40に対して出力する(ステップS62)。分析者端末40(分析画像表示部401)は、出力されてきた傾向情報を表示する(ステップS63)。このように傾向情報が出力されることで、傾向情報が出力されない場合に比べて、検査員の検査能力を効率的に向上させることができる。
[2]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、実施例及び各変形例は、必要に応じて組み合わせて実施してもよい。
[2−1]検査結果の差
検査結果の差は、実施例で述べたものに限らない。分析処理部107は、例えば、評価率の平均値を算出する際の期間を実施例(1ヵ月と1年)と異ならせてもよいし、平均値でなく中央値、最大値、最小値、分散、標準偏差等を用いて差を算出してもよい。分析処理部107は、要するに、検査員による検査の傾向(例えば検査の厳格性や検査の判断基準の安定性など)との相関がある値であり且つ検査結果から求められる値であれば、どのような値を検査結果の差として算出してもよい。
[2−2]検査の傾向
分析処理部107が判定する検査の傾向は実施例で述べた検査の厳格性に限らない。分析処理部107は、例えば、前述した検査の判断基準の安定性を検査傾向として判定してもよい。検査の判断基準の安定性は、例えば評価率のばらつきの大きさを表す分散等(分散又は標準偏差等)によって表される。
評価率のばらつきが大きい検査員は、評価率のばらつきが小さい検査員に比べて、検査の判断基準が安定していない可能性が高い。もちろん評価率は検査対象にも依存するため一概には言えないが、検査数が多くなれば検査対象毎の違いが平均されるので、評価率のばらつきと判断基準の安定性との相関が高まる。分析処理部107は、算出した分散等を示す情報を傾向情報として出力する。
この場合、分析処理部107は、判断基準の安定性が低い検査員には例えば典型的な検査の判断基準を習得するための教育情報を出力し、判断基準の安定性が高い検査員には視野を広げるために様々な検査の判断基準を学べる教育情報を出力すればよい。また、分析処理部107は、例えば、検査員の検査の傾向を大項目、中項目又は検査項目等の項目毎に判定してもよい。
検査員によっては、自分が良く知る項目については厳格性が高く又は判断基準が安定するが、あまり知らない項目については厳格性が低く又は判断基準がばらつくということが起こり得る。そこで、項目毎に検査の傾向を判定することで、検査員毎に判定する場合に比べて、検査員の検査の傾向をより正確に把握することができ、教育の効果をさらに高めることができる。
[2−3]検査対象の属性
基準値(分析対象値との比較のために算出される値)は、実施例で述べた値(検査員全員の検査結果に基づく値)に限らない。例えば、分析処理部107は、分析対象の検査員による検査結果と検査対象の属性が共通する検査結果が基準の結果である場合の差に基づき示される傾向情報を出力してもよい。
検査対象の属性とは、例えば、実施例で述べた「大項目」、「中項目」、「地域」、「業種」、「グループ」である。具体的には、分析処理部107は、例えば「従業員」という大項目についての検査結果だけに基づいて分析対象値及び基準値を算出し、図20に表す傾向テーブルにおいて両値の差に対応付けられた検査の傾向を判定する。これにより、「従業員」という大項目に対する検査の傾向を正確に把握することができる。
なお、検査対象の属性は上記属性に限らない。例えば検査対象の設備(調理場、冷蔵庫及び手洗い場等)や検査対象の施設(店舗及び工場等)が検査対象の属性として用いられてもよい。検査対象の属性が異なると、検査に必要な知識や経験の違いや検査対象自体の食品衛生管理の状態の違いが評価率の差に影響する。本変形例では、属性を共通にして分析対象値及び基準値を比較することで、属性が異なる場合に比べて、検査の傾向の精度を高める(より検査員の実態に近い検査の傾向を判定する)ことができる。
[2−4]写真
図10等で述べたように、検査結果として検査対象の写真が入力される場合がある。そこで、分析処理部107は、分析対象の検査員により入力された検査結果に含まれる検査対象の写真に基づく検査結果を、前述した属性が共通する検査結果として用いてもよい。これはつまり、分析対象の検査員が入力した写真を他の検査員が見てその写真に基づいて検査の判断を行った結果を用いるということである。
例えば「調理場」という検査対象の属性が同じでも、異なる店舗の調理場における検査結果を比較すれば、当然ながら検査対象の状態には違いがあるので、評価率の差に影響する。本変形例のように同じ写真を用いるということは、完全に同じ状態の検査対象を見て検査の判断をすることになるため、検査結果の写真を属性として用いない場合に比べて、検査の傾向の精度をさらに高めることができる。
なお、同じ店舗を別の検査員が検査した結果と比較することもできなくはないが、時間が経てば食品衛生管理の状態も変化するし、従業員の迷惑にもなる。その場合と比べても、食品衛生管理の状態が完全に同じ検査対象を見て判断することで検査の傾向の精度を高めることができるし、検査先の従業員に迷惑をかけることもない。また、写真自体は検査結果として入力済みなので、新たに写真を入力する手間もなく、実現が容易である。
[2−5]重み付け
上記の変形例で述べたように属性が共通する検査結果を用いると検査の傾向の精度が向上するが、一方で、属性が共通する検査結果は数が限られるため、例えば属性が共通する検査結果が1つしかなくて十分な比較ができず極端な検査傾向が判定されることも起こり得る。
そこで、分析処理部107は、分析対象の検査員による検査結果と検査対象の属性が共通する検査結果が基準の結果である場合の第1の差と、分析対象の検査員による検査結果と基準の結果との検査対象が異なる場合の第2の差との両方を用いてもよい。その場合に、分析処理部107は、第1の差の重みを第2の差よりも重くして示される傾向情報を出力する。
分析処理部107は、例えば、2倍にした第1の差とそのままの第2の差との平均値を全体の差として算出し、算出した差と図20に表す傾向テーブルにおいて対応付けられている検査の傾向を分析対象の検査員の検査傾向として判定する。このように基準の結果を増やすことで極端な検査傾向が判定されるのを防ぎつつ、重み付けをすることで判定される検査傾向の精度の低下を抑制することができる。
[2−6]機械判定
上記の各例では、分析処理部107が、検査員の検査結果に基づき基準値を算出したが、人ではなく機械(コンピュータ)が行った検査結果に基づき基準値を算出してもよい。
図30は本変形例のサーバ装置10aが実現する機能構成を表す。サーバ装置10aは、図5に表す各部に加えて検査判断部111を備える。検査判断部111は、写真を解析して食品衛生の検査を行う機能であり、本発明の「検査機能」の一例である。検査判断部111は、例えば、予め検査対象(場所、設備及び食品等)の様々な状態の写真を「OK」又は「NG」に対応付けて記憶しておく。
そして、検査判断部111は、例えば検査履歴蓄積部105に蓄積されている検査結果に含まれる検査対象の写真を参照し、記憶している写真のうち算出される特徴量が検査対象の写真に類似するものを特定する。検査判断部111は、特定した写真が「OK」に対応付けられいれば「OK」と判断し、特定した写真が「NG」に対応付けられいれば「NG」と判断する。
また、検査判断部111は、さらに、人が行った検査結果を参考にして、検査結果の判断方法を学習(いわゆる機械学習を)してもよい。検査判断部111は、機械学習の方法として、例えば、ニューラルネットワーク(Neural Network)、その階層をさらに深くした深層学習(Deep Learning)、SVM(Support Vector Machine)、クラスタ分析又はベイジアンネットワーク等の手法を用いる。また、検査判断部111は、人工知能(AI:Artificial Intelligence)の技術が発展した際には、検査の判断方法を学習させた人工知能の技術を用いて検査結果を判断してもよい。
検査判断部111は、自律的に判断した検査の結果を検査履歴蓄積部105に供給する。検査履歴蓄積部105は、供給された検査結果、すなわち検査判断部111が検査対象の写真を解析して行った検査結果を基準の結果として取得する。分析処理部107は、分析対象の検査員による検査結果と検査判断部111による基準の結果との差に基づき分析対象の検査員の検査の傾向を示す傾向情報、すなわち、検査判断部111による検査結果を基準の検査結果とした場合の傾向情報を出力する。
機械による検査の判断は、判断基準(いわゆるアルゴリズム)が変化しない。機械学習を行う場合であっても、学習を終えた機械を用いれば同様に判断基準が変化しない。これに対し、人が検査の判断を行う場合、日々新たな知識や経験が蓄積される一方で忘れる記憶もあり、判断基準が一定になりにくい。例えば直前の検査の評価率が100点の場合は、次の検査では少しでも不十分な点があると気になりやすい。
一方、直前の検査の評価率が70点の場合は、次の検査で多少不十分な点があっても問題ないという気になりやすい。そのため、直前の検査結果がよかった場合の方が直前の検査結果が悪かった場合に比べて評価が低くなりやすい。本変形例では、機械が判断した検査結果を用いることで、人が判断した検査結果を用いる場合に比べて、基準となる検査結果が安定し、その結果、判定される傾向の精度を向上させることができる。
[2−7]検査員の属性
上記の変形例では、基準の結果として用いる検査結果を絞り込むために検査対象の属性が用いられたが、検査員にも属性の対応付けが可能である。例えば、検査員としての経験年数、検査回数及び関連する資格の取得状況等が検査員の属性として対応付けられる。
本変形例では、検査履歴蓄積部105が、所定の属性に対応付けられた検査員による検査結果を基準の結果として取得する。この「所定の属性」は、基準の検査結果を取得するための属性であり、以下では「基準属性」と言う。具体例を挙げると、例えば、検査履歴蓄積部105は、検査員としての経験年数が5年以上という基準属性の検査員による検査結果を基準の結果として取得する。分析処理部107は、その場合の基準の結果と分析対象の検査員による検査結果との差に基づき分析対象の検査員の検査の傾向を示す傾向情報を出力する。
つまり、分析処理部107は、基準属性に対応付けられた検査員による検査結果を基準の検査結果とした場合の傾向情報を出力する。例えば、検査の経験年数が長いほど判断基準が確立されてきて基準となる検査結果が安定するので、そのように検査結果が安定する検査員の属性で検査結果を絞り込むことで、絞り込みを行わない場合に比べて、判定される傾向の精度を向上させることができる。なお、基準属性は、安定した検査結果が得られる属性という観点で例えば分析者が指定すればよい。
また、検査履歴蓄積部105は、分析対象の検査員に対応付けられた属性を基準属性として基準の結果を取得してもよい。その場合、分析対象の検査員と検査能力が比較的近い検査員による検査結果が基準の結果として用いられる。検査能力の違いが大きくなるほど分析対象値及び基準値の差を大きくする要因になるので、分析対象の検査員と共通する属性で検査結果を絞り込むことで、その要因を減らすことができ、絞り込みを行わない場合に比べて、判定される傾向の精度を向上させることができる。
[2−8]重み付け
検査員の属性を用いる場合に、上記の変形例で述べた重み付け(検査対象の属性の共通性の有無による重み付け)が行われてもよい。その場合、分析処理部107は、分析対象の検査員による検査結果及び分析対象の検査員と属性が共通する検査員による基準の検査結果の第3の差と、分析対象の検査員による検査結果及び分析対象の検査員と属性が異なる検査員による基準の検査結果の第4の差との両方を用いる。
つまり、第3の差とは、分析対象の検査員の属性を基準属性とした場合の検査結果の差であり、第4の差とは、分析対象の検査員の属性とは異なる属性を基準属性とした場合の検査結果の差である。そして、分析処理部107は、第3の差の重みを第4の差よりも重くした場合に示される傾向情報を出力する。重み付けの具体的な方法は上記変形例で述べた方法と同様である。本変形例においても、基準の結果を増やすことで極端な検査傾向が判定されるのを防ぎつつ、重み付けをすることで判定される検査傾向の精度の低下を抑制することができる。
[2−9]属性に応じた教育情報
上記の各例では、基準の結果として用いる検査結果を絞り込むために検査対象の属性及び検査員の属性が用いられたが、これらの属性を、検査員向けの教育情報の絞込みに用いてもよい。
図31は本変形例の検査員向けの教育情報の一例を表す。図31の例では、教育情報記憶部108は、図22に表す5段階の検査の傾向(検査の厳格度)に対応付けて、検査対象の属性(この例では地域)と、教育情報とを記憶している。この場合の教育情報記憶部108は本発明の「第1記憶部」の一例である。例えばEラーニングは地域に関係なく共通のコースを受講可能だが、座学及び実技の教育情報は、地域によって受講可能な講習が異なる場合がある。
そこで、図31の例では、「A市」にはA市の近郊で行われる講習を案内する教育情報が対応付けられ、「C市」にはC市の近郊で行われる講習を案内する教育情報が対応付けられている。なお、検査対象の属性及び教育情報は、受講可能な場所を考慮した対応付けに限らず、教育の内容を考慮した対応付けであってもよい。例えばA市にはA市の食品衛生上の基準を満たすために必要な設備等について学習するための教育情報(Eラーニングを含む)が対応付けられていてもよい。
本変形例では、分析処理部107が、分析対象の検査員による検査結果と検査対象の属性が共通する検査結果が基準の結果である場合の差に基づき示される傾向情報を出力する。そして、分析処理部107は、そのようにして出力した傾向情報が示す検査の傾向と、共通する検査対象の属性とに対応付けて記憶されている教育情報を教育情報記憶部108から読み出す。
分析処理部107は、読み出した教育情報を示す教育データを分析者端末40に対して出力することで、判定された検査傾向の検査員への推奨教育情報を出力する。この場合の分析処理部107は本発明の「第1教育出力部」の一例である。なお、教育情報の絞込みに用いられる検査対象の属性は「地域」に限らず、「業種」、「グループ」、「大項目」及び「中項目」等であってもよい。
いずれの場合も、検査の傾向を判定する際に用いられた、共通する検査対象の属性に対応付けられた教育情報が出力されるので、検査員の検査の傾向に合っているだけでなく、その属性にも合った教育(地理的に受けやすい教育や求められる食品衛生上の基準に詳しくなる教育、大項目・中項目に対応する共通性を有する検査対象(食材の保管方法等)に詳しくなる教育など)を検査員に受けさせることができる。
続いて、検査員の属性が用いられる場合を説明する。
図32は本変形例の検査員向けの教育情報の別の一例を表す。図32の例では、教育情報記憶部108は、5段階の検査の傾向(検査の厳格度)に対応付けて、検査員の属性(この例では検査の経験年数)と、教育情報とを記憶している。この場合の教育情報記憶部108は本発明の「第2記憶部」の一例である。
検査の経験年数が長いほど、過去の経験から検査員に求められる知識が多く身についている可能性が高い。そこで、図32の例では、「10年以上」の経験年数には「上級講習」が、「5年〜10年」の経験年数には「中級講習」が、「5年未満」の経験年数には「初級講習」が対応付けられている。検査員の属性が用いられる場合、分析処理部107は、上記変形例で述べたように、基準属性に対応付けられた検査員による検査結果を基準の検査結果とした場合の傾向情報を出力する。
分析処理部107は、そのようにして出力した傾向情報が示す検査の傾向と、基準属性とに対応付けて記憶されている教育情報を教育情報記憶部108から読み出す。分析処理部107は、読み出した教育情報を示す教育データを分析者端末40に対して出力することで、判定された検査傾向の検査員への推奨教育情報を出力する。この場合の分析処理部107は本発明の「第2教育出力部」の一例である。
なお、基準属性は「検査の経験年数」に限らない。例えば、過去に実施した検査回数及び検査に関連する資格の取得状況等が基準属性として用いられてもよい。いずれの場合も、検査の傾向を判定する際に用いられた基準属性に対応付けられた教育情報が出力されるので、検査員の検査の傾向に合っているだけでなく、その検査員自身の属性にも合った教育を検査員に受けさせることができる。
[2−10]属性の固定
実施例では属性を指定することで検査項目が絞り込まれたが、検査項目の絞込みが行われなくてもよい。例えば特定の業種を対象とした検査支援システムを構築する場合は、その業種に特化した特定の検査項目を一覧で表す検査リストが用いられればよい。
[2−11]教育用コンテンツ
検査員を教育するため、実際の店舗における検査だけでなく、教育用のコンテンツに基づく検査結果が用いられてもよい。教育用のコンテンツとは、例えば教育用に用意された検査対象を表す画像である。教育用コンテンツは、静止画像でもよいし、動画像でもよい。また、教育用コンテンツは、実写(実際に撮影された画像)でもよいし、CG(Computer Graphics)等の人が作成した画像でもよい。
教育用コンテンツが示す検査対象は、明らかにOK、ぎりぎりOK、ぎりぎりNG、明らかにNGというように、予めOK、NGのどちらが正しいかということと、判断の難しさとが設定されている。このように設定された教育用コンテンツの正答を基準の検査結果として用意しておき、検査員に教育用コンテンツに基づく検査を行わせることで、検査の能力を表す傾向情報を出力させることができる。
本変形例では、例えば、教育情報記憶部108が教育用コンテンツを記憶しておく。そして、検査画像生成部103がその教育用コンテンツを用いて検査をさせる検査画像を生成し、検査画像出力部104が生成された検査画像を出力する。この場合の検査画像出力部104は本発明の「画像出力部」の一例である。検査端末20の検査画像表示部201は、出力されてきた検査画像に含まれる教育用コンテンツを表示する。
表示された教育用コンテンツを見た検査員が検査結果を入力することで、教育用コンテンツに基づき行われた検査結果を検査履歴蓄積部105が蓄積する。分析処理部107は、そのようにして蓄積された検査結果(検査画像出力部104により出力された教育用コンテンツに基づき行われた検査の結果)を基準の検査結果とした場合の傾向情報を出力する。
教育用コンテンツに基づく検査は、教育を受ける検査員が行う場合もあるが、それ以外に、教育用コンテンツを作成する教育担当者又は教育事業者が行う場合もある。後者の場合、基準となる検査結果を事前に蓄積させておくことで、事前の蓄積をさせない場合に比べて、教育用コンテンツを提供したときから精度の高い傾向情報の出力を可能にすることができる。
また、教育用コンテンツは、実際の検査対象と異なり、検査項目の判断基準に関わる画像(不備や不足等を示す画像)を意図的に含めておくことができる。そのため、実際の検査対象を用いる場合に比べて、適切な検査結果を判断する際の難易度を定めやすく、検査員の検査能力の測定を正確に行いやすい。
[2−12]資格への活用
傾向情報は、検査員の検査の能力を表す情報としても利用可能である。例えば適切な検査結果を予め選んで基準の検査結果として用いれば、適切な検査結果を判断する能力を示す傾向情報(基準値との差が小さいほど能力が高いことを示す)が出力される。こうして出力される傾向情報が例えば検査会社や食品を扱う事業者などが自社内で定めた資格の判断基準として用いられてもよい。特に、上述した教育用コンテンツを用いて出力される傾向情報は、検査員の能力判定に向いており、資格の判断基準として利用しやすい。
[2−13]各機能を実現する装置
図5に表す各機能を実現する装置は、上述した装置に限らない。例えば、サーバ装置10が実現する機能を検査端末20又は分析者端末40が実現してもよい。その場合は検査端末20が本発明の「情報処理装置」の一例となる。また、検査端末20が実現する機能の一部(例えば集計処理部205)をサーバ装置10が実現してもよい。
また、反対に、サーバ装置10が実現する機能の一部(例えば分析処理部107)を検査端末20又は分析者端末40が実現してもよい。その場合、検査端末20又は分析者端末40は、サーバ装置10に記憶されている検査結果及び属性を取得して自装置のメモリに一時的に記憶させ、評価情報の生成及び出力等を行う。この場合の検査端末20又は分析者端末40も本発明の「情報処理装置」の一例となる。
また、サーバ装置10が実現する機能を2以上の装置で分担して実現してもよいし、検査端末20、事業者端末30及び分析者端末40がそれぞれ1台の端末で実現する機能を2以上の装置で分担して実現してもよい。また、各機能が実行する動作を2以上の機能で分担して実行してもよい。例えば分析処理部107が行う検査結果の抽出、集計及び算出等の動作を別々の機能が実行してもよい。いずれの場合も、検査支援システム1の全体で図5に表す各機能が実現されていればよい。
[2−14]発明のカテゴリ
本発明は、上述したサーバ装置10、検査端末20、事業者端末30及び分析者端末40という各情報処理装置の他、各情報処理装置を備える情報処理システム(検査支援システム1はその一例)としても捉えられる。また、本発明は、各情報処理装置が実施する処理を実現するための情報処理方法としても捉えられるし、各情報処理装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。本発明として捉えられるプログラムは、プログラムを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードさせ、ダウンロードしたプログラムをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。