JP6601455B2 - エンジンの制御方法および装置、並びにエンジンの排出粒子数検出方法および装置 - Google Patents

エンジンの制御方法および装置、並びにエンジンの排出粒子数検出方法および装置 Download PDF

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Description

本発明は、エンジンから排出される粒子状物質の個数を抑制する技術に関する。
例えば、ガソリン直噴エンジンのように気筒内に燃料を噴射するエンジンでは、ポート噴射を採用した旧来のガソリンエンジンに比べて、スート(煤)等の粒子状物質が多く発生することが知られている。特に、エンジンを冷間始動した直後のように触媒温度が低い条件では、例えば点火時期を遅角させる等により排気ガスの温度を上昇させる制御(触媒暖機運転)が行われるが、このような触媒暖機運転時に多くの粒子状物質が発生することが知られている。
粒子状物質を抑制するには、その生成量を正確に把握することが必要であり、下記特許文献1では、そのための燃焼解析技術が提案されている。具体的に、特許文献1では、気筒内の燃焼火炎からの放射光を検出して、いわゆる2色法によりKL値を算出するとともに、このKL値を用いた所定の演算によりスートの生成量を求めている。
特開2015−99055号公報
一方、最近の傾向として、エンジンから排出される粒子状物質の質量だけでなく、粒子状物質の個数(以下、適宜PNという)を規制する動きがあり、このPN規制に対応するための技術開発が求められている。
しかしながら、上記特許文献1の技術では、気筒内のスート生成量(質量)をある程度正確に予測することはできても、エンジンから排出されるスートを含む粒子状物質の個数、つまりPNを正確に予測することは困難である。すなわち、粒子状物質には大小様々な粒径のものが含まれるため、気筒内で生成されたスート質量が分かっただけでは、エンジンから排出されるPNを正確に予測することは困難である。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、エンジンから排出されるPNを正確に予測し得る技術、もしくはその予測に基づいた制御によりPNを効果的に抑制し得る技術を提供することを目的とする。
前記課題を解決するべく本願発明者が鋭意研究した結果、気筒内に存在する粒子状物質の発光である輝炎を2色法により分析することで得られるKL値は、エンジンから排出される粒子状物質の個数であるPNと高い相関性があり、KL値が大きいほどPNが多いという法則が成り立つことをつきとめた。そして、このような知見を前提に、下記の発明を完成させた。
まず、本願の第1の発明は、気筒内に燃料を噴射するインジェクタを備えたエンジンを制御する方法であって、前記気筒内に存在する粒子状物質の発光である輝炎を光学的に検出する第1のステップと、前記第1のステップで検出された輝炎を2色法により分析してKL値を求める第2のステップと、前記第2のステップで求められたKL値に基づいて前記粒子状物質の個数を推定する第3のステップと、前記第のステップで推定された粒子状物質の個数が大きい場合は小さい場合に比べて、前記粒子状物質の個数が抑制される態様で前記インジェクタから燃料を噴射させる第のステップとを含み、前記第2のステップでは、前記輝炎からの放射光を2分光して得られる2つの異なる波長成分の輝度を測定し、各輝度の値から特定される輝度温度に基づいてクランク角ごとに前記KL値を求め、前記第3のステップでは、前記クランク角ごとのKL値のピーク値が大きいほど前記粒子状物質の個数が大きいものと推定する、ことを特徴とするものである(請求項1)。
この第1の発明によれば、気筒内の輝炎を2色法により分析して得られるKL値から粒子状物質の個数(以下、PNともいう)が推定されるとともに、この推定されたPNが大きい場合にはPNが抑制される方向に燃料噴射の態様が切り替えられるので、粒子状物質が過剰に発生しないように燃焼を適正に制御することができ、エンジンから排出されるPNを効果的に抑制することができる。
前記第1の発明において、好ましくは、前記第のステップでは、前記第のステップで推定された粒子状物質の個数が大きい場合は小さい場合に比べて、ピストン壁面への燃料の付着量が減少するように前記インジェクタからの燃料噴射を制御する(請求項2)。
このように、PNが大きいと推定されるときにピストン壁面への燃料の付着量を減少させるようにした場合には、ピストン壁面に付着した液滴状態の燃料に火炎が到達することで生じるプール燃焼を抑制できるので、当該プール燃焼に起因した粒子状物質の発生を抑制することができ、PNを効果的に抑制することができる。
前記構成において、より好ましくは、前記インジェクタは、触媒の温度が低い触媒暖機運転中に、圧縮行程を含む複数のタイミングで燃料を噴射するように制御され、前記第のステップでは、前記第のステップで推定された粒子状物質の個数が大きい場合は小さい場合に比べて、前記インジェクタからの燃料の噴射圧力を上昇させる(請求項3)。
触媒暖機運転中は、一般に、排気ガスの温度を上昇させるために、例えば混合気への点火時期を遅角化するなどの措置が採られるので、燃焼安定性が低下し易いといえる。これに対し、前記構成では、燃料の少なくとも一部が圧縮行程中に噴射されるので、燃料の成層化を実現することができ、燃焼安定性が低下し易い状況を改善することができる。しかしながら、燃料が圧縮行程中に噴射されるということは、ピストン壁面に液滴のまま付着する燃料の量が増大することを意味する。このため、場合によっては、付着した燃料がいわゆるプール燃焼することで、粒子状物質が過剰に発生することが懸念される。これに対し、前記構成では、PNが大きいと予測される場合にインジェクタからの燃料の噴射圧力(燃圧)が高められるので、燃料の微粒化を促進することができ、燃料が気化・霧化するまでに要する時間を短縮することができる。これにより、上述した壁面への燃料付着量を低減することができ、PNを効果的に抑制することができる。
前記のように触媒暖機運転中に圧縮行程を含む複数のタイミングで燃料を噴射するようにした場合、前記第のステップでは、前記第のステップで推定された粒子状物質の個数が大きい場合は小さい場合に比べて、圧縮行程中の最も遅いタイミングで噴射される燃料の量を減らし、かつ当該燃料よりも前に噴射される燃料の量を増やすようにしてもよい(請求項4)。
このように、圧縮行程中の最も遅いタイミングで噴射される燃料の量を減らした場合には、ピストン壁面に液滴のまま付着する燃料の量をさらに低減することができ、PNを効果的に抑制することができる。
また、本願の第2の発明は、気筒内に燃料を噴射するインジェクタを備えたエンジンを制御する装置であって、前記気筒内に存在する粒子状物質の発光である輝炎を光学的に検出する光学センサと、前記光学センサにより検出された輝炎を2色法により分析してKL値を求めるとともに、求めたKL値に基づいて前記粒子状物質の個数を推定する演算部と、前記演算部により推定された粒子状物質の個数が大きい場合は小さい場合に比べて、前記粒子状物質の個数が抑制される態様で前記インジェクタから燃料を噴射させる噴射制御部とを備え、前記演算部は、前記輝炎からの放射光を2分光して得られる2つの異なる波長成分の輝度を測定し、各輝度の値から特定される輝度温度に基づいてクランク角ごとに前記KL値を求め、このクランク角ごとのKL値のピーク値が大きいほど前記粒子状物質の個数が大きいものと推定する、ことを特徴とするものである(請求項5)。
この第2の発明によれば、前記第1の発明と同様の効果を得ることができる。
また、本願の第3の発明は、エンジンから排出される粒子状物質の個数を検出する方法であって、前記エンジンの気筒内に存在する粒子状物質の発光である輝炎を光学的に検出する第1のステップと、前記第1のステップで検出された輝炎を2色法により分析してKL値を求める第2のステップと、前記第2のステップで求められたKL値に基づいて前記粒子状物質の個数を推定する第3のステップとを含み、前記第2のステップでは、前記輝炎からの放射光を2分光して得られる2つの異なる波長成分の輝度を測定し、各輝度の値から特定される輝度温度に基づいてクランク角ごとに前記KL値を求め、前記第3のステップでは、前記クランク角ごとのKL値のピーク値が大きいほどエンジンから排出される前記粒子状物質の個数が大きいものと推定する、ことを特徴とするものである(請求項6)。
この構成によれば、気筒内の輝炎を2色法により分析して得られるクランク角ごとのKL値のピーク値が大きいほど、エンジンから排出される粒子状物質の個数つまりPNが大きいと推定されるので、KL値のピーク値とPNとの間に高い相関性を発見した本願発明者の知見に基づいて、簡易かつ正確にPNを推定することができる。
また、本願の第4の発明は、エンジンから排出される粒子状物質の個数を検出する装置であって、前記エンジンの気筒内に存在する粒子状物質の発光である輝炎を光学的に検出する光学センサと、前記光学センサにより検出された輝炎を2色法により分析してKL値を求めるとともに、求めたKL値に基づいて前記粒子状物質の個数を推定する演算部とを備え、前記演算部は、前記輝炎からの放射光を2分光して得られる2つの異なる波長成分の輝度を測定し、各輝度の値から特定される輝度温度に基づいてクランク角ごとに前記KL値を求め、このクランク角ごとのKL値のピーク値が大きいほどエンジンから排出される前記粒子状物質の個数が大きいものと推定する、ことを特徴とするものである(請求項7)。
この第4の発明によれば、前記第3の発明と同様の効果を得ることができる。
以上説明したように、本発明によれば、エンジンから排出されるPNを正確に予測し得る技術、もしくはその予測に基づいた制御によりPNを効果的に抑制し得る技術を提供することができる。
本発明の一実施形態にかかるエンジンの全体構成を概略的に示すシステム図である。 上記エンジンにおいて圧縮行程の後半に噴射された燃料の噴霧を概略的に示す図であり、(a)〜(c)はそれぞれ、インジェクタの異なる噴孔から噴射された燃料噴霧の動きを示している。 上記エンジンの触媒暖機制御の手順を示すフローチャートの前半部である。 上記フローチャートの後半部である。 上記触媒暖機制御中に選択される3つの噴射パターンを説明するための図であり、(a)は噴射パターン1に、(b)は噴射パターン2に、(c)は噴射パターン3にそれぞれ対応している。 本発明の基礎となる研究で用いられた実験用のエンジンの構造を示す図である。 2段目の燃料噴射の開始時期(2nd・SOI)とPNとの関係、および同噴射開始時期と燃焼変動率との関係を同時に示すグラフである。 図7で計測対象とされた粒子の粒径分布を示すグラフである。 筒内圧力および熱発生率を測定して得られたグラフと、複数のクランク角において取得された燃焼火炎画像とを併せて示した図である。 2段目の燃料噴射による噴霧散乱光画像を示した図である。 図9と同一条件下で2色法計測を行った際の火炎温度、KL値、および輝度を示すグラフであり、(a)は各クランク角における平均火炎温度を示し、(b)は各クランク角における筒内全体のKL値であるKLθと輝度とを示している。 2段目の燃料噴射の開始時期(2nd・SOI)を種々変化させながらKLθのピーク値(KLθmax)とPNとを同時計測した結果を示すグラフである。 噴射条件の異なる4つの実験例(比較例および実施例1〜3)において得られたKLθおよび熱発生率の測定結果を示すグラフであり、(a)がKLθの波形を、(b)が熱発生率の波形をそれぞれ示している。 上記4つの実験例において得られたKL値の分布画像を示す図である。 上記4つの実験例におけるピストン壁面への燃料付着量を示すグラフである。 実際の車両の走行試験でPNの計測を行った結果を示すグラフであり、(a)は各時間において発生する逐次PNを、(b)は各時間のPNを合計した積算PNを、それぞれ示している。
(1)実施形態の説明
(1−1)エンジンの全体構成
図1は、本発明の一実施形態にかかるエンジンの全体構成を概略的に示すシステム図である。本図に示されるエンジンは、走行用の動力源として車両に搭載された4サイクルのガソリン直噴エンジンであり、エンジン本体1と、エンジン本体1に導入される吸気が流通する吸気通路28と、エンジン本体1から排出される排気ガスが流通する排気通路29とを備えている。
エンジン本体1は、気筒2が内部に形成されたシリンダブロック3と、気筒2を上から閉塞するようにシリンダブロック3の上面に取り付けられたシリンダヘッド4と、気筒2にそれぞれ往復摺動可能に挿入されたピストン5とを有している。エンジン本体1は、典型的には複数の(例えば4つの)気筒を有する多気筒型のものであるが、ここでは簡略化のため、1つの気筒2のみに着目して説明を進める。
ピストン5の上方には燃焼室6が画成されており、この燃焼室6には、ガソリンを主成分とする燃料が、後述するインジェクタ15からの噴射によって供給される。そして、供給された燃料が燃焼室6で空気と混合されつつ燃焼し、その燃焼による膨張力で押し下げられたピストン5が上下方向に往復運動する。
ピストン5の下方には、エンジン本体1の出力軸であるクランク軸7が設けられている。クランク軸7は、ピストン5とコネクティングロッド8を介して連結され、ピストン5の往復運動(上下運動)に応じて中心軸回りに回転駆動される。
シリンダブロック3には、クランク軸7の回転角度(クランク角)およびクランク軸7の回転速度(エンジン回転速度)を検出するクランク角センサSN1が設けられている。
シリンダヘッド4には、燃焼室6に開口する吸気ポート9および排気ポート10と、各ポート9,10を開閉する吸気弁11および排気弁12とが設けられている。吸気弁11および排気弁12は、シリンダヘッド4に配設された一対のカム軸等を含む動弁機構13,13により、クランク軸7の回転に連動して開閉駆動される。
吸気通路28は、吸気ポート9と連通するようにシリンダヘッド4の一側面に接続されている。吸気通路28の上流端から取り込まれた空気(新気)は、吸気通路28および吸気ポート9を通じて燃焼室6に導入される。
吸気通路28には、気筒2への吸入空気量を調節するためのスロットル弁30が開閉可能に設けられている。
排気通路29は、排気ポート10と連通するようにシリンダヘッド4の他側面に接続されている。燃焼室6で生成された既燃ガス(排気ガス)は、排気ポート10および排気通路29を通じて外部に排出される。
排気通路29には触媒コンバータ31が設けられている。触媒コンバータ31には、排気通路29を流通する排気ガス中に含まれる有害成分(CO、HC、NOx等)を浄化するための触媒(例えば三元触媒)が内蔵されている。また、触媒コンバータ31には、その内部の触媒の温度を検出する触媒温度センサSN2が設けられている。
ピストン5の冠面には、吸排気方向(図1の左右方向)の中心部が最も高く、かつそこから吸気側および排気側に離れるほど高さが低くなるように形成されたペントルーフ型の隆起部5aが形成されている。この隆起部5aの中央部には、シリンダヘッド4とは反対側(下方)に凹陥したキャビティCが形成されている。
シリンダヘッド4には、燃焼室6に燃料(ガソリン)を噴射するインジェクタ15と、燃焼室6に噴射された燃料と空気との混合気を強制着火させる点火プラグ16とが設けられている。
インジェクタ15には燃料供給管20が接続されており、この燃料供給管20にはサプライポンプ21から圧送された燃料が随時供給されるようになっている。インジェクタ15は、サプライポンプ21から燃料供給管20を通じて供給された燃料を適宜のタイミングで燃焼室6に噴射する。
サプライポンプ21は、燃料の供給圧力を変更可能な油圧式もしくは電動式のポンプである。このサプライポンプ21での設定圧力に基づいて、インジェクタ15からの燃料の噴射圧力(燃圧)が変更可能とされている。
インジェクタ15は、先端部に合計6つの噴孔を有した6噴孔タイプのインジェクタとされ、吸気側の側方から燃焼室6に向けて放射状に燃料を噴射するように設けられている。図2(a)〜(c)は、圧縮行程の後半にインジェクタ15から噴射された燃料の噴霧の動きを概略的に示す図であり、それぞれ別の噴孔から噴射された噴霧の動きを示している。具体的に、図2(a)に示される噴霧X1は、インジェクタ15の先端部における最も高い位置に設けられた1つの噴孔から噴射された噴霧であり、図2(c)に示される噴霧X4は、最も低い位置に設けられた1つの噴孔から噴射された噴霧であり、図2(b)に示される噴霧X2,X3は、中間の高さ位置に設けられた2つの噴孔から噴射された噴霧である(図2(c)では噴霧X2,X3が重ねて示されるが、互いの奥行き方向の位置が異なっている)。
図2(a)に示すように、噴霧X1は、キャビティCの内部に入った後に、当該キャビティCの排気側の壁面W1に沿って上方に方向転換され、点火プラグ16の近傍へと導かれる。また、図2(b)(c)に示すように、噴霧X2,X3,X4は、キャビティCの内部に入ることなく、ピストン5の冠面における吸気側の壁面に衝突し、その後、隆起部5aにおける吸気側の傾斜壁面W2に沿って上方に方向転換され、点火プラグ16の近傍へと導かれる。なお、これら4つの噴霧X1〜X4以外の残り2つの噴霧については図示していないが、これら残り2つの噴霧は、点火プラグ16から離れた燃焼室6の外周部を指向するように噴射される。
このように、当実施形態では、インジェクタ15から圧縮行程の後半に燃料を噴射した場合に、合計6つの噴孔から噴射される噴霧のうちの4つ(噴霧X1〜X4)が、いずれも点火プラグ16の近傍に集められるようになっている。これにより、点火プラグ16の近傍に相対的にリッチな混合気が形成され、いわゆる燃料の成層化が実現される。このような燃料の成層化は、燃焼安定性が損なわれ易い運転条件において、燃焼安定性を改善する上で有利である。例えば、後述する触媒暖機運転時(低温の触媒を高温の排気ガスにより加熱する運転時)のように、点火時期の遅角化が必要な運転条件では、燃焼安定性が損なわれ易い。そこで、当実施形態では、少なくとも触媒暖機運転中に、燃焼安定性を改善すべく、インジェクタ15から噴射すべき燃料の一部が圧縮行程の後半に噴射されるようになっている。
図1に示すように、シリンダヘッド4には光学センサSN3が設けられている。光学センサSN3は、燃焼室6で発生した粒子状物質の発光である輝炎を検出するものである。ここで、燃焼室6から排出される粒子状物質には、燃料の燃焼に起因して生じるスート(煤)の他、未燃の炭化水素(SOF)、燃料由来の硫化物(Sulfate)等が含まれるが、後述する項目(2)で説明する研究の結果によれば、ガソリン直噴エンジンで発生する粒子状物質のほとんどはスートである。したがって、以下では粒子状物質のことを単にスートという。
以上のように構成されたエンジンは、その各部がECU(エンジン制御ユニット)50により統括的に制御される。ECU50は、周知のとおり、CPU、ROM、RAM等から構成されるマイクロプロセッサであり、請求項にいう「演算部」および「噴射制御部」に相当するものである。
ECU50には、エンジンに設けられた各種センサから種々の情報が入力される。すなわち、ECU50は、上述したクランク角センサSN1、触媒温度センサSN2、および光学センサSN3と電気的に接続されており、これら各センサSN1〜SN3からの入力信号に基づいて、クランク角、エンジン回転速度、触媒温度、輝炎(スートの発光)の輝度といった種々の情報を取得する。
ECU50は、上記各センサSN1〜SN3等から取得される情報に基づいて種々の演算等を実行しつつ、エンジンの各部を制御する。具体的に、ECU50は、インジェクタ15、点火プラグ16、サプライポンプ21、およびスロットル弁30等と電気的に接続されており、上記演算の結果等に基づいて、これらの機器にそれぞれ制御用の信号を出力する。
(1−2)触媒暖機運転時の制御
エンジンが冷間始動された直後のように、触媒温度がかなり低くなる条件においては、この低温の触媒を早期に活性化させるために、点火時期を遅角化して排気ガスを高温化させる(つまり高温の排気ガスにより触媒を加熱する)触媒暖機制御が実行される。以下では、この触媒暖機制御の詳細について、図3、図4のフローチャートおよび図5のタイムチャートを参照しつつ説明する。
図外のイグニッションスイッチがONされて図3のフローチャートに示す処理がスタートすると、ECU50は、停止していたエンジンを始動する制御を実行する(ステップS1)。
次いで、ECU50は、触媒温度センサSN2により検出される触媒温度(触媒コンバータ31内の触媒の温度)が、予め定められた閾値Tx未満であるか否かを判定する(ステップS2)。ここで用いられる触媒温度の閾値Txは、触媒の活性状態を判定するための閾値であり、触媒温度がこの閾値Tx未満であるということは、触媒を早期に暖機する必要があるほど触媒が未活性であることを意味する。
上記ステップS2でNOと判定されて触媒温度が閾値Tx以上であることが確認された場合、つまり触媒が活性状態にあるかこれに近い状態であることが確認された場合には、触媒暖機制御を実行する必要がないため、点火時期を遅角化しない通常運転に移行する。
一方、上記ステップS2でYESと判定されて触媒温度がTx未満であること(触媒が未活性であること)が確認された場合、ECU50は、図5(a)に示す噴射パターン1に従ってインジェクタ15から燃料を噴射させる(ステップS3)。
噴射パターン1は、図5(a)に示すように、吸気行程の終期に1段目の燃料噴射F1aを実行するとともに、圧縮行程の後半に2段目の燃料噴射F2aを実行する2分割噴射のパターンである。なお、図5のグラフでは、圧縮上死点を0°とした場合のクランク角(deg.ATDC)を横軸に採用しているので、圧縮上死点よりも進角側の角度はマイナスの数値で標記される。ただし、以下の本文中の説明では、圧縮上死点よりも進角側であることをBTDCで表し、マイナスの数値を用いない。このため、例えばグラフ上では−180(deg.ATDC)となる吸気下死点を指す場合には、BTDC180°CAと表記することになる。
噴射パターン1では、一例として、圧縮上死点(TDC)よりも190°クランク角を早めたBTDC190°CAに1段目の燃料噴射F1aが開始され、圧縮上死点よりも55°クランク角を早めたBTDC55°CAに2段目の燃料噴射F2aが開始される。なお、ここでの例示は、エンジン回転速度がある特定の範囲(例えば850rpm前後)にあるときの噴射時期を例示したものであって、エンジン回転速度が変化した場合には噴射時期も適宜変更され得る。このことは、後述する噴射パターン2,3(ステップS11,S18)でも同様である。
また、噴射パターン1では、後述する噴射パターン2,3に比べて、インジェクタ15からの燃料の噴射圧力(燃圧)が低くなるようにサプライポンプ21が制御される。具体的に、噴射パターン1における燃圧は、例えば15〜20MPa程度に設定される。
なお、1段目の燃料噴射F1aによる噴射量と2段目の燃料噴射F2aによる噴射量との割合(分割比)は適宜設定可能であるが、例えば2等分(50:50)の分割比に設定することができる。
上記のように噴射パターン1による燃料噴射(ステップS3)を実行した後、ECU50は、噴射された燃料が膨張行程の途中で燃焼を開始するように、圧縮上死点よりも所定量遅角側に設定されたタイミングで点火プラグ16を作動させる(ステップS4)。
次いで、ECU50は、スートの発光である輝炎を光学センサSN3により検出するとともに(ステップS5)、検出した輝炎に基づいて、スート量の指標となるKL値(KLθmax)を同定する演算を実行する(ステップS6)。
詳しくは後述の項目(2)で説明するが、KL値は、スート濃度と燃焼場の厚さ(放射光を検出する方向に関する火炎の厚み)の積である。ここでは、各クランク角における筒内全体のKL値をKLθとし、そのピーク値をKLθmaxとする。上記ステップS6において、ECU50は、輝炎からの放射光を2分光して得られる2つの異なる波長成分の輝度を特定し、各輝度からスートの温度(輝度温度)を求め、さらにこの輝度温度を用いた所定の演算により、KLθおよびKLθmaxを同定する。この方法は2色法と呼ばれるものであるが、2色法自体は周知であり、また後述する項目(2)でも2色法について述べるので、ここでは2色法についての詳細な説明は省略する。
上記のように、KL値(KLθおよびKLθmax)を求めるには、輝炎からの放射光を2つの異なる波長成分に分光することが必要である。このため、当実施形態では、輝炎から光学センサSN3に入力される放射光を分光するためのフィルターが、光学センサSN3に内蔵されている。
上記のようにしてKLθmaxを求めた後、ECU50は、この求めたKLθmaxに基づいて、エンジンから排出されるスートの個数(以下、これをPNと略すことがある)を推定する演算を実行する(ステップS7)。後述する項目(2)で詳しく説明するように、本願発明者の研究によれば、PNとKLθmaxとは、KLθmaxの値が増大するにつれてPNも略一定の割合で増大するという直線的(1次関数的)な関係にある(図3のグラフV参照)。このため、PNの推定値は、例えば、所定の1次関数にKLθmaxを代入することにより求めることができる。あるいは、当該1次関数に基づき予め用意されたマップを用いて、KLθmaxからPNの推定値を求めてもよい。
次いで、ECU50は、上記ステップS7で推定されたPNが予め定められた閾値α未満であるか否かを判定する(ステップS8)。ここで用いられるPNの閾値αは、PNを低減するために噴霧条件を改善する必要があるか否かを判定するための閾値であり、PNがこの閾値α以上であるということは、PNが想定外に多いために噴霧条件を改善する(それによってPNを低減する)必要があることを意味する。
上記ステップS8でYESと判定されてPNが閾値α未満であることが確認された場合、ECU50は、上記ステップS2に戻ってそれ以降の処理を繰り返す。
一方、上記ステップS8でNOと判定されてPNが閾値α以上であることが確認された場合、ECU50は、図4のステップS10に移行して、触媒温度が閾値Tx未満であるか否かを判定するとともに、ここでYESであった場合(つまり触媒が依然未活性であった場合)には、燃料の噴射パターンを上述した噴射パターン1から図5(b)に示す噴射パターン2に切り替えて、この噴射パターン2に従ってインジェクタ15から燃料を噴射させる(ステップS11)。
噴射パターン2は、図5(b)に示すように、吸気行程の終期に1段目の燃料噴射F1bを実行するとともに、圧縮行程の後半に2段目の燃料噴射F2bを実行する2分割噴射のパターンである。一例として、1段目および2段目の燃料噴射F1b,F2bは、上述した噴射パターン1のときと同様に、それぞれBTDC190/55°CAに開始される。なお、各段の燃料噴射F1b,F2bによる噴射量の割合(分割比)は適宜設定可能であるが、例えば2等分(50:50)の分割比に設定することができる。
また、噴射パターン2では、噴射パターン1に比べて、インジェクタ15からの燃料の噴射圧力(燃圧)が高くなるようにサプライポンプ21が制御される。具体的に、噴射パターン2における燃圧は、例えば20〜30MPa程度に設定される。
上記のようにして噴射パターン2による燃料噴射(ステップS11)を実行した後、ECU50は、噴射された燃料が膨張行程の途中で燃焼を開始するように、圧縮上死点よりも所定量遅角側に設定されたタイミングで点火プラグ16を作動させる(ステップS12)。
次いで、ECU50は、上記ステップS5,S6と同様の方法で、検出した輝炎に基づきKLθmaxを求めるとともに(ステップS13,S14)、上記ステップS7と同様の方法で、KLθmaxからPNを推定する(ステップS15)。
次いで、ECU50は、上記ステップS15で求められたPNが閾値α未満であるか否かを判定する(ステップS16)。
上記ステップS16でYESと判定されてPNが閾値α未満であることが確認された場合、ECU50は、上記ステップS10に戻ってそれ以降の処理を繰り返す。
一方、上記ステップS16でNOと判定されてPNが閾値α以上であることが確認された場合、ECU50は、触媒温度が閾値Tx未満であるか否かを判定するとともに(ステップS17)、ここでYESであった場合(つまり触媒が依然未活性であった場合)には、燃料の噴射パターンを上述した噴射パターン2から図5(c)に示す噴射パターン3に切り替えて、この噴射パターン3に従ってインジェクタ15から燃料を噴射させる(ステップS18)。
噴射パターン3は、図5(c)に示すように、吸気行程の終期に1段目の燃料噴射F1cを実行するとともに、圧縮行程の前半に2段目の燃料噴射F2cを実行し、さらに圧縮行程の後半に3段目の燃料噴射F3cを実行する3分割噴射のパターンである。一例として、1段目の燃料噴射F1cはBTDC190°CAに開始され、2段目の燃料噴射F2cはBTDC115°CAに開始され、3段目の燃料噴射F3cはBTDC55°CAに開始される。なお、各段の燃料噴射F1c,F2c,F3cによる噴射量の割合(分割比)は適宜設定可能であるが、例えば3等分(33:33:33)の分割比に設定することができる。
また、噴射パターン3では、噴射パターン2のときと同様に、インジェクタ15からの燃料の噴射圧力(燃圧)が例えば20〜30MPa程度まで高くなるようにサプライポンプ21が制御される。
上記のようにして噴射パターン3による燃料噴射(ステップS18)を実行した後、ECU50は、噴射された燃料が膨張行程の途中で燃焼を開始するように、圧縮上死点よりも所定量遅角側に設定されたタイミングで点火プラグ16を作動させる(ステップS19)。
(2)本発明の基礎となる研究
以上説明したとおり、実施形態では、スートの発光である輝炎を光学的に検出してKL値(より詳しくはKLθmax)を求め、求めたKL値から推定されるPNの大小に基づいてインジェクタ15からの燃料噴射を制御している。この実施形態に代表される本発明は、スートの個数(PN)を簡便に特定するために本願発明者が行った研究に基づいてなされたものである。以下、この研究の内容について詳しく説明する。
(2−1)実験方法
(a)供試エンジンおよび実験条件
実験では、量産ガソリンエンジンをベースとした単気筒の可視化エンジンを用いた。この可視化エンジンの構造を図6に、諸元を表1に、実験条件を表2にそれぞれ示す。図6に示すように、可視化エンジンでは、石英ガラス製のシリンダブロック(以下、ガラスライナという)が用いられており、このガラスライナを通じてエンジンの内部(燃焼室)が外部から観察できるようになっている。
Figure 0006601455
Figure 0006601455
背景技術の欄でも説明したとおり、ガソリン直噴エンジンから排出されるPNの多くは、エンジン始動直後の触媒暖機運転中に発生する。そこで、実験では、この触媒暖機運転に対応させて、エンジン回転速度が850rpmで一定となるようにエンジンを運転し、かつ点火時期を遅角化している。点火時期を遅角化するのは、排気ガス温度を上昇させて触媒を早期に活性化させるためである。一般に、排気ガス温度の上昇を目的とする点火時期の遅角化は燃焼安定性を損なうが、本エンジンでは、上述した項目(1)で説明した実施形態と同様の成層燃焼コンセプトによって、十分な燃焼安定性を確保している。すなわち、6つの噴孔を有したインジェクタから圧縮行程中に燃料を噴射し、このうち4つの噴孔から噴射される4本の噴霧を点火プラグ周りに集めることで、圧縮上死点後の長い期間にわたり、安定した可燃混合気を供給することを可能にしている。
(b)計測方法
PNの計測にあたっては、粒径分布が分かる高速応答微粒子粒度分布計(Cambustion製、DMS500)を用いて、排気通路を通過する粒径23〜1000nmの粒子状物質の個数を計測した。なお、計測の対象となる粒径が23〜1000nmであるのは、欧州規制(Euro6)に対応したものである。
また、PN生成の現象解明をするために、図6に示すように、排気ポートの直下流の位置でサンプリングを行うとともに、ガラスライナを通じて燃焼室の内部の様子を撮影した。撮影には高速度カラーカメラ(Photron製、FASTCAMSA-X)を用い、エンジンフロント側より燃焼火炎および噴霧散乱光の撮影を行った。噴霧散乱光の撮影には、Nd:YLFレーザ(Litron製、LDY304)を用い、円柱レンズよりシート光とし、エンジン排気側からガラスライナを通じて燃焼室内のボア中心に入光した。
(2−2)実験結果
(a)触媒暖機運転時の微粒子発生原因
実験にあたっては、6噴孔タイプの量産インジェクタ(各噴孔の位置は上述した実施形態のものと同様)を用いて、18MPaの燃圧により2段に分けて燃料を噴射した。具体的には、1段目の燃料噴射の開始時期を吸気行程の終期であるBTDC190°CA(圧縮上死点から190°クランク角を早めた時期)に固定した上で、2段目の燃料噴射の開始時期を圧縮行程内で種々変化させた。また、1段目および2段目の噴射量の割合は50:50とした。そして、各条件下でエンジンを運転し、1ccあたりの粒子状物質の個数(PN)と、図示平均有効圧力(IMEP)の変動率である燃焼変動率とを測定し、その結果を図7のグラフにまとめた。なお、以下では、1段目の燃料噴射の開始時期を1st・SOI、2段目の燃料噴射の開始時期を2nd・SOIと表記する。2nd・SOIの時期は、(i)BTDC70°CA、(ii)BTDC60°CA、(iii)BTDC55°CA、(iv)BTDC50°CA、(v)BTDC45°CAのいずれかに設定される。
図7に示すように、2nd・SOIが遅角されるほど(つまり(i)→(ii)→(iii)→(iv)→(v)の順に)、燃焼変動率は低下し、かつPNは増加している。このことから、PNおよび燃焼変動率は、2nd・SOIに強く依存していることが分かる。なお、燃焼変動率が低下することは、燃焼安定性が改善されていることを意味する。すなわち、2nd・SOIが遅角されるほど、点火プラグの近傍に着火し易いリッチな混合気が形成され易くなる(つまり燃料の成層化が強まる)ので、図示平均有効圧力の変動率の小さい安定した燃焼が実現されるようになる。一方で、2nd・SOIの遅角化は、酸素不足の状態で燃焼する燃料の割合を増大させるので、そのことがPNの増大を招くことになる。
ここで、ガソリンエンジンから排出される粒子状物質は、燃焼起因のスートの他、未燃の炭化水素(SOF)、燃料由来の硫化物(Sulfate)等に分けられ、種々の径の粒子を含んでいる。そこで、図7で計測対象とされた粒子の粒径分布(つまり検出された粒子を粒径ごとに区分して各粒径区分ごとの粒子数を同定したもの)を図8に示す。図8に示すように、2nd・SOIを変化させた各条件のいずれにおいても、概ね70nm付近にピークを有する粒径分布が得られた。また、ピーク位置での粒子数は、2nd・SOIを遅角させるに従い増加しており、図7で示したPNの傾向と概ね一致している。
ガソリン直噴エンジンの燃焼により生じるスート粒子は、粒径が5〜60nmの一次粒子と、複数の一次粒子が凝集した粒径が20〜200nmの粒子とから構成されることが知られている。このことから、図7で計測対象とされた粒子(70nm付近で粒径分布のピークをもつ粒子)は、燃焼起因のスートがその大部分を占めていると考えられる。
一般に、ガソリン直噴エンジンから排出されるスートは、(i)燃料噴霧のピストン壁面への付着によるものと、(ii)混合気のリッチ化によるものと考えられる。そこで、本エンジンにおけるスート発生原因を考察するために、燃焼火炎および噴霧散乱光を撮影し、図9および図10の結果を得た。図9は、50サイクル平均の筒内圧力および熱発生率を測定して得られたグラフと、複数のクランク角において取得された燃焼火炎画像とを併せて示した図であり、図10は、2段目の燃料噴射による噴霧散乱光画像を示した図である。なお、これら図9および図10では、燃焼安定性を考慮して、いずれも2nd・SOIがBTDC55°CAに設定されている。
図9に示される火炎画像に着目すると、伝播火炎がピストン壁面に到達した後、吸気側のピストン壁面の近傍からスートの発光である輝炎が発現していることが分かる(領域A)。またピストンの下降に従い、輝炎領域が拡大し、ピストンのキャビティ付近からも輝炎が発現している様子が観察される。また、図10に示される噴霧の画像に着目すると、輝炎が確認された吸気側のピストン壁面およびキャビティの近傍に噴霧が衝突していることが分かる。これらのことから、触媒暖機運転中におけるPNの発生は、ピストン壁面に付着した燃料が蒸発・混合する前に当該壁面に火炎が到達し、いわゆるプール燃焼によりスート粒子が生成されることが主要因であると考えられる。
(b)輝炎とPNとの相関
図9に示したとおり、ピストン壁面への噴霧衝突位置付近から輝炎が確認されたが、輝炎の観察だけでは、PNとの定量的な紐づけをすることは難しい。そこで、輝炎を2色法によりKL値として定量化し、そのKL値とPNとの関係性を調査した。なお、輝炎を定量化するために、HottelとBroughtonによって提唱された手法を用いて、2色法計測を行った。これは、上記(1)の実施形態で説明したのと同様の手法であり、輝炎からの放射光を2分光して得られる2つの異なる波長成分の輝度からスートの温度(輝度温度)を求め、その輝度温度を用いた演算処理の結果として、KL値と火炎温度(スートの加熱減である火炎の温度)とを同時に求める光学的手法である。なお、2色法計測にあたっては、高速度カラーカメラを用いて輝炎を撮影し、その撮影画像を2色温度計測ソフト(三井オプトロニクス製、HS-Thermera ver4.87)に導入して解析を行った。輝炎の波長は燃焼火炎の波長とは異なるため、輝炎の輝度を火炎と区別して特定することが可能である。
KL値は、上述した実施形態の説明でも述べたとおり、スート濃度と燃焼場の厚さ(放射光を検出する方向に関する火炎の厚み)の積である。このKL値は、筒内のスート質量と相関があると考えられ、次式(1)で表される。
Figure 0006601455
ここで、m:スートの質量[kg]、Vcyl:容積[m]、Lls:燃焼場の厚さ[m]である。2色法の理論と演算手法については、過去の様々な文献で記されており、ここではその説明を省略する。
図9と同一条件下で2色法計測を行った際の火炎温度、KL値、および輝度を図11に示す。具体的に、図11の(a)のグラフは、各クランク角における平均火炎温度を示しており、図11の(b)のグラフは、各クランク角における筒内全体のKL値であるKLθと輝度とを示している。なお、ここでいう輝度は、火炎画像における各ピクセルの総和である。
図11(b)に示すように、輝度は、圧縮上死点から90°遅れたATDC90°CA付近でピークを示しているが、排気開弁時期(以下、EVOという)での値はピーク値に比べて大幅に減少している。一方、KLθは、EVOのやや手前でピークを示し、そのピークでの値とEVOでの値との間に大きな差は生じていない。このような違いが現れた理由として、ピストンの下降(燃焼室の膨張)に伴う火炎温度変化の影響が考えられる。すなわち、火炎温度が低下するほどスートの発光が弱くなるため、輝度は火炎温度変化の影響を直接的に受け易い。このため、EVOまでクランク角が進行して火炎温度が低下すると、これに伴い輝度も低下し、ピーク値との差が拡大することになる。逆に、KLθは輝度に比べて火炎温度変化の影響を受け難いため、EVOまでクランク角が進行しても、KLθはピーク値に近い値を維持している。以上のことから、KLθは輝度と比較して、筒内のスート質量をより正確に反映しているといえる。
図12に、燃圧=18MPa、1st・SOI=BTDC190°CAという条件下で、2nd・SOIを種々変化させながらKLθmaxとPNとを同時計測した結果を示す。なお、KLθmaxは図11で示したKLθのピーク値のことである。KLθはEVO付近でピークを示すことから、そのピーク値(KLθmax)を筒内のスート質量の代表値として採用した。
図12より、KLθmaxとPNとは直線的(1次関数的)な関係にあり、両者の相関係数Rは約0.97と非常に高い値を示した。つまり、KLθmaxの値が増大するにつれてPNも略一定の割合で増大するという関係が確認された。以上の結果から、KLθmaxを用いてPNを定量的に予測できることが分かった。
(c)噴霧の改善および多段噴射化によるPN低減
上記(b)の結果より、筒内のKL値とPNとを定量的に紐づけることができた。また、上記(a)の可視化結果より、噴霧のピストン壁面付着によるプール燃焼が、PN発生の主要因であることが推測された。そこで、2段目の噴射燃料がピストン壁面に付着する量を低減することを狙って、噴霧の改善および多段噴射化を行い、PN低減を図った。それぞれの噴射条件を表3に示す。
Figure 0006601455
表3では、量産インジェクタを用いたものを比較例、この比較例に対し噴霧のペネトレーションを低減させる改良を加えたインジェクタを用いたものを実施例1、この実施例1に対し燃圧を高めた仕様(18MPa→25MPa)のものを実施例2、この実施例2に対しさらに多段噴射化(2段→3段)を図ったものを実施例3とした。なお、噴霧のペネトレーション(貫徹力)は、噴孔の径および軸長の少なくとも一方を変化させることで変更することが可能であるが、ここでは噴孔径を変化させた。すなわち、実施例1〜3では、比較例に対して噴孔径を小さくすることにより、ペネトレーションを低減した(1→0.82)。
表3中の最も右側の列において、噴射回数と併記された括弧内の数値は、各段の燃料噴射の開始時期を示している。例えば、比較例、実施例1、および実施例2に対応する数値「2(−190/−55)」は、燃料が2段に分けて噴射されるとともに、1段目の噴射開始時期(1st・SOI)がBTDC190°CAに、2段目の噴射開始時期(2nd・SOI)がBTDC55°CAに、それぞれ設定されることを表している。一方、実施例3に対応する数値「3(−190/−115/−55)」は、燃料が3段に分けて噴射されるとともに、1段目の噴射開始時期(1st・SOI)がBTDC190°CAに、2段目の噴射開始時期(2nd・SOI)がBTDC115°CAに、3段目の噴射開始時期(3rd・SOI)がBTDC55°CAに、それぞれ設定されることを表している。
ここで、実施例1、つまり燃圧が相対的に低い18MPaとされ、かつ1段目/2段目の噴射開始時期(1st/2nd・SOI)がBTDC190/55°CAとされるケースは、上述した実施形態における噴射パターン1(図5(a))に対応している。また、実施例2、つまり燃圧が相対的に高い25MPaとされ、かつ1段目/2段目の噴射開始時期(1st/2nd・SOI)がBTDC190/55°CAとされるケースは、上述した実施形態における噴射パターン2(図5(b))に対応している。さらに、実施例3、つまり燃圧が相対的に高い25MPaとされ、かつ1段目/2段目/3段目の噴射開始時期(1st/2nd/3rd・SOI)がBTDC190/115/55°CAとされるケースは、上述した実施形態における噴射パターン3(図5(c))に対応している。
図13(a)(b)に、各噴射条件におけるKLθおよび熱発生率の波形を示し、図14に、ATDC112°CAにおけるKL値の分布画像を示す。KLθの波形(図13)に着目すると、比較例から実施例1→実施例2→実施例3と条件を変更するのに伴って、KLθmaxが減少する傾向が見られた。特に、実施例3では、比較例に対しKLθmaxが71%も低減していることが分かる。すなわち、実施例3のように高燃圧化と多段化を進めたケースでは、PNを約70%低減することが可能である。また、KL値の分布画像(図14)に示されるように、比較例から実施例1→実施例2→実施例3と条件を変更するのに伴って、ピストンの壁面近傍のKL値の面積が減少していることも確認できる。
(d)モデルの考察
上記のとおり、噴霧の改善および多段噴射化により、KL値が低減することがわかった。次に、さらなる最適化を行うことを目的に、表3で示した噴射条件に従ってCFDによる計算を行った。その結果を図15に示す。なお、図15の縦軸はピストン壁面への燃料の付着量である。
図15に示すように、比較例から実施例1→実施例2→実施例3と噴霧条件を改善するに従って燃料付着量が低減しており、上記(c)で述べた実験結果と同様の傾向が再現されている。したがって、ガソリン直噴エンジンの触媒暖機運転中におけるPNは、ピストン壁面の燃料付着量で整理でき、CFDで詳細に検討できることがわかった。
(e)実車での結果
これまでのモデルエンジンを用いた燃焼実験結果に基づいて、実施例3に概ね対応する噴霧条件を適用したエンジンを実際の車両に搭載して試験を行い、図16(a)(b)に示す結果を得た。これによれば、NEDC試験モード走行時において、改善前と比較して66%のPN低減効果が得られることが確認された。
(2−3)まとめ
本研究で得られた結論を以下にまとめる。
(i)触媒暖機運転中に計測されるPNは、主に燃焼起因のスートであり、ピストン壁面への燃料付着によるプール燃焼で生成されることが示唆された。
(ii)触媒暖機運転中のPNはKL値と相関が高く、KLθmaxの値からPNを定量的に予測することが可能であることが確認された。
(iii)低ペネトレーション化、高燃圧化、および多段噴射化を組み合わせた噴霧条件の採用により、触媒暖機運転中のKLθmaxを大幅に低減できることが分かり、実車両でもその効果が確認できた。
(3)実施形態の作用効果等の説明
次に、本願発明者による上述した研究の成果に基づいて、図1〜図5に示した実施形態の作用効果について説明する。
上記実施形態では、触媒温度が低いために点火時期が遅角化される触媒暖機運転中に、スートの発光である輝炎が光学センサSN3により検出されるとともに、検出された輝炎に基づき2色法によりKL値(KLθmax)が求められ、このKL値が大きいほどPNが多いものとして推定される(ステップS5〜S7/S13〜S15)。そして、推定されたPNの大小に基づいて、インジェクタ15からの燃料の噴射パターンがパターン1〜3(図5(a)〜(c))の間で可変的に設定される。詳しくは、噴射パターン1が選択されている状態でPNが閾値α以上であることが確認されると、噴射パターンがパターン1からパターン2へと切り替えられ(ステップS8,S11)、さらに、噴射パターン2が選択されている状態でPNが閾値α以上であることが確認されると、噴射パターンがパターン2からパターン3へと切り替えられる(ステップS16,S18)。
一方で、上記項目(2)で説明した研究の結果によれば、上記の噴射パターン1,2,3に対応する実施例1,2,3は、この順に、ピストン5壁面への燃料の付着量を減少させ得ることが分かっている(図15)。このことから、上記実施形態のように、PNに応じて噴射パターンをパターン1からパターン2へと切り替え、もしくはパターン2からパターン3へと切り替えるようにした場合には、当該切り替えに伴って、ピストン5壁面への燃料の付着量を減少させることができる。
このように、上記実施形態では、KL値から推定されるPNが大きい場合は小さい場合に比べて、ピストン5壁面への燃料の付着量が減少するようにインジェクタ15からの燃料噴射が制御されるので、壁面に付着した液滴状態の燃料に火炎が到達することで生じるプール燃焼を抑制することができ、当該プール燃焼に起因したスートの発生を抑制することができる。これにより、スートが過剰に発生しないように燃焼を適正に制御することができ、エンジンから排出されるPN(スートの個数)を効果的に抑制することができる。
より詳しくは、上記実施形態では、噴射パターン1,2のいずれが選択された場合でも、吸気行程の終期と圧縮行程の後半との2回に分けて燃料が噴射されるが、噴射パターン2では噴射パターン1に比べて、インジェクタ15からの燃料の噴射圧力(燃圧)が高く設定される(図5(a)(b))。これにより、点火プラグ16による点火時期が遅角化される触媒暖機運転中に、燃料を成層化して良好な燃焼安定性を確保しながら、必要に応じ噴射パターンをパターン1からパターン2に切り替えることにより、燃料の微粒化を促進してPNを抑制することができる。
すなわち、噴射パターン1,2では、2段目の燃料噴射(F2a,F2b)の開始時期が圧縮行程の後半まで遅くされるので、混合気に点火する直前において、着火し易いリッチな混合気が局所的に形成され、燃料の成層化が実現される。このような燃料の成層化は、点火時期が遅角されるために燃焼安定性が低下し易い状況を改善するのに有利である。しかしながら、2段目の燃料噴射(F2a,F2b)が圧縮行程の後半まで遅くされるということは、ピストン5壁面に液滴のまま付着する燃料の量が増大することを意味する。このため、場合によっては、付着した燃料のプール燃焼に伴ってスートが過剰に発生することが懸念される。これに対し、上記実施形態では、噴射パターン1が選択されている状態で多くのPNが確認された場合に、噴射パターンがパターン1からパターン2に切り替えられ、当該切り替えに伴って燃圧が高められるので、燃料の微粒化が促進され、燃料が気化・霧化するまでに要する時間を短縮することができる。これにより、上述した壁面への燃料付着量が低減されるので、噴射パターン1のときに比べてPNを抑制することができる。
一方、噴射パターン3では、噴射パターン2に比べて燃料噴射の分割回数が2回から3回に増やされる。具体的には、吸気行程の終期と、圧縮行程の前半と、圧縮行程の後半との3回に分けて燃料が噴射される(図5(c))。言い換えると、分割回数が増やされたことに伴い、噴射パターン3では、圧縮行程中の最も遅いタイミングで実行される最終段(3段目)の燃料噴射F3cによる噴射量が、噴射パターン2のときの対応する噴射量(2段目の燃料噴射F2bによる噴射量)よりも減らされ、逆に、最終段より前(1段目および2段目)の燃料噴射F1c,F2cによる噴射量が、噴射パターン2のときの対応する噴射量(1段目の燃料噴射F1bによる噴射量)よりも増やされる。このように、上記実施形態では、噴射パターン2から噴射パターン3への切り替えに伴って、圧縮行程中の最も遅いタイミングで噴射される燃料の量が減らされるので、ピストン5壁面に液滴のまま付着する燃料の量をさらに低減することができ、PNを効果的に抑制することができる。
ただし、噴射パターン3のように最終段の燃料噴射量を減らした場合には、燃料の成層化が弱まるため、燃焼安定性はやや低下することになる。しかしながら、PNの抑制は重要な課題であり、燃焼安定性の確保よりも優先して取り組むべきである。これに対し、上記実施形態では、燃圧の上昇によりPNの抑制を図る(燃焼安定性への影響がない)噴射パターン2だけでなく、最終段の燃料噴射量を減らすことでPNの抑制を図る(燃焼安定性への影響がある)噴射パターン3までもが用意されているので、噴射パターン2でもPNが十分に減らないような場合にさらに噴射パターン3へと切り替えることで、燃焼安定性を若干は犠牲にしながらも、確実にPNを抑制することができる。なお、仮に噴射パターン3への切り替えによって燃焼安定性がやや低下したとしても、それは触媒暖機運転中に限ったことであり、しかも1段目と3段目の燃料噴射F1c,F3cの間に2段目の燃料噴射F2cが追加される(それによって燃焼安定性の低下幅が抑えられる)ことから、乗員が感じる違和感は最小限に留まるものと考えられる。
(4)変形例
上記実施形態では、噴射パターン1〜3のいずれかが選択されている状態で、KL値(KLθmax)から推定されるPNが閾値α未満であることが確認された場合には、選択されている現在の噴射パターンを維持するようにしたが、例えば、推定されたPNが閾値αよりも十分に小さいような場合には、最終段の燃料噴射(噴射パターン1,2の場合は2段目の燃料噴射F2a,F2b、噴射パターン3の場合は3段目の燃料噴射F3c)のタイミングを規定よりさらに遅角したとしても、PN<αの関係を維持できる可能性がある。そこで、このような場合の対応として、PN<αの関係をKL値のセンシングにより確認しながら、最終段の燃料噴射のタイミングを徐々に遅角させることが提案される。このようにすれば、PN<αを保証しながら最終段の燃料噴射のタイミングをできる限り遅角側に設定できるので、燃焼安定性をさらに改善することができる。また、燃焼安定性が改善されると、点火時期のさらなる遅角化が可能になるので、その遅角化によって触媒暖機性能をさらに向上させることが可能である。
また、上記実施形態では、スートの発光である輝炎を2色法により分析することでKL値(KLθmax)を求め、さらに求めたKL値からPNを推定し、そのPNの大小に応じて燃料の噴射を決定するようにしたが、KL値とPNとが直接関係していることから、KL値からPNを推定する処理を省略して、KL値に基づいて噴射パターンを決定する(つまりKL値と噴射パターンとを直接結び付ける)ようにしてもよい。
また、上記実施形態では、触媒暖機運転中に2回もしくは3回に分割して燃料を噴射するようにしたが(噴射パターン1〜3)、分割回数はこれに限らず、4回以上に分割して燃料を噴射するパターンを設けてもよい。
また、上記実施形態では、ガソリン直噴エンジンに本発明を適用した例について説明したが、本発明が適用可能なエンジンはこれに限らず、例えばディーゼルエンジンに本発明を適用することも可能である。
1 エンジン本体
2 気筒
5 ピストン
15 インジェクタ
31 触媒コンバータ
50 ECU(演算部、噴射制御部)
SN3 光学センサ

Claims (7)

  1. 気筒内に燃料を噴射するインジェクタを備えたエンジンを制御する方法であって、
    前記気筒内に存在する粒子状物質の発光である輝炎を光学的に検出する第1のステップと、
    前記第1のステップで検出された輝炎を2色法により分析してKL値を求める第2のステップと、
    前記第2のステップで求められたKL値に基づいて前記粒子状物質の個数を推定する第3のステップと、
    前記第のステップで推定された粒子状物質の個数が大きい場合は小さい場合に比べて、前記粒子状物質の個数が抑制される態様で前記インジェクタから燃料を噴射させる第のステップとを含み、
    前記第2のステップでは、前記輝炎からの放射光を2分光して得られる2つの異なる波長成分の輝度を測定し、各輝度の値から特定される輝度温度に基づいてクランク角ごとに前記KL値を求め、
    前記第3のステップでは、前記クランク角ごとのKL値のピーク値が大きいほど前記粒子状物質の個数が大きいものと推定する、ことを特徴とするエンジンの制御方法。
  2. 請求項1に記載のエンジンの制御方法において、
    前記第のステップでは、前記第のステップで推定された粒子状物質の個数が大きい場合は小さい場合に比べて、ピストン壁面への燃料の付着量が減少するように前記インジェクタからの燃料噴射を制御する、ことを特徴とするエンジンの制御方法。
  3. 請求項2に記載のエンジンの制御方法において、
    前記インジェクタは、触媒の温度が低い触媒暖機運転中に、圧縮行程を含む複数のタイミングで燃料を噴射するように制御され、
    前記第のステップでは、前記第のステップで推定された粒子状物質の個数が大きい場合は小さい場合に比べて、前記インジェクタからの燃料の噴射圧力を上昇させる、ことを特徴とするエンジンの制御方法。
  4. 請求項2または3に記載のエンジンの制御方法において、
    前記インジェクタは、触媒の温度が低い触媒暖機運転中に、圧縮行程を含む複数のタイミングで燃料を噴射するように制御され、
    前記第のステップでは、前記第のステップで推定された粒子状物質の個数が大きい場合は小さい場合に比べて、圧縮行程中の最も遅いタイミングで噴射される燃料の量を減らし、かつ当該燃料よりも前に噴射される燃料の量を増やす、ことを特徴とするエンジンの制御方法。
  5. 気筒内に燃料を噴射するインジェクタを備えたエンジンを制御する装置であって、
    前記気筒内に存在する粒子状物質の発光である輝炎を光学的に検出する光学センサと、
    前記光学センサにより検出された輝炎を2色法により分析してKL値を求めるとともに、求めたKL値に基づいて前記粒子状物質の個数を推定する演算部と、
    前記演算部により推定された粒子状物質の個数が大きい場合は小さい場合に比べて、前記粒子状物質の個数が抑制される態様で前記インジェクタから燃料を噴射させる噴射制御部とを備え
    前記演算部は、前記輝炎からの放射光を2分光して得られる2つの異なる波長成分の輝度を測定し、各輝度の値から特定される輝度温度に基づいてクランク角ごとに前記KL値を求め、このクランク角ごとのKL値のピーク値が大きいほど前記粒子状物質の個数が大きいものと推定する、ことを特徴とするエンジンの制御装置。
  6. エンジンから排出される粒子状物質の個数を検出する方法であって、
    前記エンジンの気筒内に存在する粒子状物質の発光である輝炎を光学的に検出する第1のステップと、
    前記第1のステップで検出された輝炎を2色法により分析してKL値を求める第2のステップと、
    前記第2のステップで求められたKL値に基づいて前記粒子状物質の個数を推定する第3のステップとを含み、
    前記第2のステップでは、前記輝炎からの放射光を2分光して得られる2つの異なる波長成分の輝度を測定し、各輝度の値から特定される輝度温度に基づいてクランク角ごとに前記KL値を求め、
    前記第3のステップでは、前記クランク角ごとのKL値のピーク値が大きいほどエンジンから排出される前記粒子状物質の個数が大きいものと推定する、ことを特徴とするエンジンの排出粒子数検出方法。
  7. エンジンから排出される粒子状物質の個数を検出する装置であって、
    前記エンジンの気筒内に存在する粒子状物質の発光である輝炎を光学的に検出する光学センサと、
    前記光学センサにより検出された輝炎を2色法により分析してKL値を求めるとともに、求めたKL値に基づいて前記粒子状物質の個数を推定する演算部とを備え、
    前記演算部は、前記輝炎からの放射光を2分光して得られる2つの異なる波長成分の輝度を測定し、各輝度の値から特定される輝度温度に基づいてクランク角ごとに前記KL値を求め、このクランク角ごとのKL値のピーク値が大きいほどエンジンから排出される前記粒子状物質の個数が大きいものと推定する、ことを特徴とするエンジンの排出粒子数検出装置。
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