JP6600949B2 - ガスシールドアーク溶接方法 - Google Patents

ガスシールドアーク溶接方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6600949B2
JP6600949B2 JP2015027983A JP2015027983A JP6600949B2 JP 6600949 B2 JP6600949 B2 JP 6600949B2 JP 2015027983 A JP2015027983 A JP 2015027983A JP 2015027983 A JP2015027983 A JP 2015027983A JP 6600949 B2 JP6600949 B2 JP 6600949B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
arc welding
nozzle
cylindrical portion
electrode
gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015027983A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016150351A (ja
Inventor
恭章 内藤
真二 児玉
祥子 土谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2015027983A priority Critical patent/JP6600949B2/ja
Publication of JP2016150351A publication Critical patent/JP2016150351A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6600949B2 publication Critical patent/JP6600949B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Arc Welding In General (AREA)

Description

本発明は、ガスシールドアーク溶接において、溶接品質を低下させることなく、溶接金属の溶融幅を広げ、止端部形状を滑らかにするアーク溶接方法に関するものである。
一般に、構造用鋼板の疲労強度は、鋼板の引張強度に比例して増加するのに対し、溶接継手では、鋼板の引張強度が増加しても溶接継手の疲労強度はほとんど増加しない。そのため、疲労破壊が問題となる構造物では、高強度鋼板を用いても設計疲労強度を高めることができなかった。
溶接継手の疲労強度は、溶接ビードの止端部の応力集中、溶接残留応力、熱影響による組織や材質の変化などの影響を受け、特に、応力集中係数は僅かな形状の違いにより大きく変化するため、溶接ビードの止端部の形状が溶接継手の疲労強度に及ぼす影響は非常に大きいことが知られている。
溶接継手の疲労強度向上を目的として、応力集中の緩和や残留応力を制御することが検討されており、溶接後の付加的な施工として、ショットピーニング処理などにより溶接止端部に圧縮の残留応力を付与する方法や、グラインダー研削により溶接止端部を滑らかにする方法などが、従来から良く知られている。
特許文献1では、溶接ビードの止端部をグラインダーなどで機械加工する方法は、作業環境の悪化、作業能率の低下及び有効板厚の減少などの欠点を有しているため、また、TIGアーク熱により止端部を溶融処理する方法は、TIGアーク熱の熱量が小さく、処理速度の増大が期待できないため、プラズマで溶接ビードの止端部を再溶融する方法が提案されている。しかし、特許文献1に開示の方法には、溶接後に溶接ビードを再溶融するものであるため、施工能率が大幅に低下し、製造コストを増加させる問題があった。
このような状況に対して、溶接金属などの成分組成などを制御することが検討されている。特許文献2では、溶接速度が高い場合でも、鋼板のSi量とアーク溶接用フラックス入りワイヤのSi量を調整することで、溶接止端形状を滑らかにして、溶接継手の疲労強度を向上させる方法が提案されている。しかし、この方法は、鋼板及びフラックス入りワイヤの成分組成が限定されてしまい、汎用性の面で十分とは言い難いものであった。
一方、アーク溶接トーチの構造について、内管と外管からなる二重管として、シールド性を向上させる技術(たとえば、特許文献3及び4、参照)や、酸化性ガスの添加により溶込みを深くする技術(たとえば、特許文献5、参照)が知られている。しかし、これらの技術は、溶接継手の疲労強度向上を目的とするものでないため、アーク溶接トーチの構造と溶接ビードの止端部形状との関係は考慮されていなかった。
特開昭51−090946号公報 特開2010−120022号公報 特開平07−068382号公報 特開2010−312972号公報 特開2007−038303号公報
本発明は、上記の従来技術の現状に鑑みて、溶接ビードの止端部の形状を改善するアーク溶接トーチを用いたガスシールドアーク溶接方法を提供することを目的とする。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決する方法について鋭意検討した。溶接ビードの止端部の形状は、溶融池の中に、外向きの湯流れを形成することで、変えることができると考え、それを実現できる手段を調査した。本発明者らは、アーク溶接トーチのノズルの一部にディフューザ(広がり管)を設け、さらに、ディフューザの先端に筒状部を設けたところ、プラズマ気流が増加し、それにより、溶融池において、外向きの湯流れが形成されるとの知見を得た。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨とするところは以下の通りである。
(1)ガスシールドアーク溶接方法であって、電極と被溶接部材との間にアークを発生させるアーク溶接トーチが、前記電極を囲繞するノズルと、当該電極とノズルの間に形成されたシールドガスの通路とを有し、前記ノズルが、前記電極の軸方向に沿って、第1筒状部、シールドガスのれ方向の下流に向かって広がり角を有するディフューザ部、及び、第2筒状部で構成され、ディフューザ部の一端は第1筒状部のシールドガスの流れ方向の下流の端部とつながっており、他端は第2筒状部とつながっており、当該溶接トーチを用い、前記電極の先端が、前記第2筒状部の開放端より内側に位置し、前記第2筒状部の開放端と前記被溶接部材との間に隙間を有するようして溶接することを特徴とするガスシールドアーク溶接方法。
(2)前記電極の先端を、前記ノズルのディフューザ部と第2筒状部との境界部より第2筒状部の開放端側に1mm以下の範囲に配置することを特徴とする(1)に記載のガスシールドアーク溶接方法。
(3)
前記アーク溶接トーチが、前記ノズルを囲繞する外側ノズルと、当該ノズルと外側ノズルの間に外側シールドガスの通路とを有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のガスシールドアーク溶接方法。
)前記外側ノズルが、前記電極の軸方向に沿って、第1外側筒状部及び拡径部、又は、第1外側筒状部、拡径部及び第2外側筒状部で構成されることを特徴とする前記()に記載のガスシールドアーク溶接方法。
)前記ノズルのディフューザ部の広がり角が60°以下であることを特徴とする前記(1)〜()のいずれかに記載のガスシールドアーク溶接方法。
)前記電極が溶接ワイヤであり、その先端の位置を、ディフューザ部と第2筒状部との境界より、第2筒状部の開放端側に配置することを特徴とする前記(1)〜()のいずれかに記載のガスシールドアーク溶接方法。
本発明によれば、溶融池の溶融幅が広くなり、溶接継手の疲労強度向上を目的とした隅肉溶接において、溶接ビードの止端部を滑らかな形状にすることができる。
ディフューザ部及び第2筒状部を有するアーク溶接トーチを示す図である。 ビードオンプレート溶接後の溶接部を溶接方向に対し垂直に切断した写真を示す図である。(a)は従来のノズルを有するアーク溶接トーチを用いて、溶接を行った後の溶接部を示し、(b)はディフューザ部及び第2筒状部を有するノズルを備えるアーク溶接トーチを用いて、溶接を行った後の溶接部を示す。 隅肉溶接後の溶接止端部の断面を示す図である。(a)は従来のノズルを有するアーク溶接トーチを用いて、隅肉溶接を行った後の溶接止端部の断面を示し、(b)はディフューザ部及び第2筒状部を有するノズルを備えるアーク溶接トーチを用いて、隅肉溶接を行った後の溶接止端部の断面を示す。 ディフューザ部及び第2筒状部を有するノズルを備えるアーク溶接トーチを用いて、アーク溶接を行った溶融池の湯流れを示す図である。 ノズルを囲繞する外側ノズルを有するアーク溶接トーチの一例を示す図である。 ノズルを囲繞する外側ノズルを有するアーク溶接トーチの他の例を示す図である。
以下、本発明のアーク溶接トーチについて、図面を用いて説明する。
本発明のアーク溶接トーチは、電極、電極を囲繞するノズル、及び、電極とノズルの間にシールドガスの通路を有し、ノズルが、電極の軸方向に沿って、第1筒状部、ディフューザ部及び第2筒状部で構成されるものである。そして、本発明のアーク溶接トーチを用いて、隅肉溶接を行うことで、溶融池の溶融幅を広くすることができ、溶接ビードの止端部を滑らかな形状とすることができるため、溶接継手の疲労強度を向上させることができる。
本発明者らは、溶接ビードの止端部の形状は、溶融池に外向き湯流れを形成することで変えることができると考え、それを実現できる手段として、アーク溶接トーチの構造について検討した。溶融池内の湯流れとして、表面張力対流、プラズマ気流によって生じる対流、電磁対流などがあるが、溶接電流が同じであれば、一般に、表面張力対流又はプラズマ気流による対流が、湯流れに及ぼす影響が大きい。そこで、溶融池に外向きの湯流れを生じさせるプラズマ気流の増加手段について、調査したところ、プラズマ気流起因の対流の駆動力であるアーク圧力を、電極直下で高くすることを着想した。
そして、電極直下でのアーク圧力は、従来のアーク溶接トーチのノズルの一部にディフューザ(広がり管)を設けることで高くなると考えた。つまり、アーク溶接トーチのノズルの先端にディフューザを設けることで、シールドガスの速度エネルギーを圧力エネルギーへ変換することができ、アーク圧力が高くなると考えた。
そこで、ノズルの一部にディフューザを設けたアーク溶接トーチを用いて溶接を行ったところ、電極直下でのアーク圧力が高くなり、プラズマ気流は増加したが、溶融池に充分な外向き湯流れを形成することができなかった。これは、プラズマ気流が効率的に溶融池の湯流れの形成に関与していないと考え、ディフューザ部の先端に、プラズマ気流を溶融池に向かうように、指向性を向上させる筒状部を設け、溶融池の外向き湯流れを検討した。
図1には、ディフューザ部及び第2筒状部を有するアーク溶接トーチを示す。アーク溶接トーチ1は、電極である溶接ワイヤ2を案内するワイヤガイド筒3を囲む形態で取り付けるノズルを有し、電極を内部に有するワイヤガイド筒3とノズルの間がシールドガス4を供給する通路となるように配置されている。ノズルは、第1筒状部5、ディフューザ部6及び第2筒状部7が、電極の軸8の方向に沿って形成されるものである。第1筒状部5は、略円筒であり、その内面は、電極の軸8と平行である。ディフューザ部6の一端は、第1筒状部5とつながっており、他端は、第2筒状部7とつながっている。ディフューザ部6は、シールドガス4の流れの方向の下流に向かって内径が所定の広がり角9を有するものである。第2筒状部は略円筒であり、ディフューザ部6とつながっていない他端は、開放されている。溶接ワイヤ2の先端は、ディフューザ部6と第2筒状部7の境界位置より、第2筒状部7のやや開放端側に位置するように取り付けられている。
この図1のアーク溶接トーチを用いて、アーク溶接をした。アークトーチのノズル形状は、第1筒状部5の内径16mm、D1=12mm、D2=8mm、広がり角28°、第2筒状部7の内径22mmとし、材質は、第1筒状部5から第2筒状部7までが一体型のCrめっきされたCu製のものを用いた。溶接ワイヤ2には、JIS Z3312 YGW16番相当、φ1.2mmのワイヤを用い、ワイヤ先端の位置は、ディフューザ部と第2筒状部7との境界より、1mm開放端側に配置した。Arガスと20%COガスの混合ガスをシールドガスとして、電流210A、アーク電圧25V、溶接速度80cm/min、シールドガス流量25L/minの条件でビードオンプレート溶接と隅肉溶接を行った。また、比較として、アーク溶接トーチにノズルの第1筒状部5の内径が16mmで、ディフューザ部及び第2筒状部を有さないCrめっきされたCu製ノズル(以下、「従来のノズル」という)を使用し、この従来ノズルを有するアーク溶接トーチを用いたこと以外、同様の溶接条件によりビードオンプレート溶接と隅肉溶接を行った。
図2に、ビードオンプレート溶接後の溶接部を溶接方向に対して垂直に切断後、撮影した写真を示す。図2(a)は、従来のノズルを有するアーク溶接トーチを用いて、溶接を行った後の溶接部であり、図2(b)は、ディフューザ部及び第2筒状部を有するアーク溶接トーチを用いて、溶接を行った後の溶接部を示す。図2に示すように、従来のノズルを有するアーク溶接トーチを用いた溶接により形成された溶接ビードと比べて、ディフューザ部の先端に第2筒状部を有するアーク溶接トーチを用いた溶接により形成された溶接ビードは、溶接ビード断面において、溶接ビードの止端部の立ち上がりが緩やかな角度を有する形状となっている。
図3に隅肉溶接後の溶接止端部の断面を示す。図3(a)は、従来のノズルを有するアーク溶接トーチを用いて、隅肉溶接を行った後の溶接止端部の断面であり、図3(b)は、ディフューザ部及び第2筒状部を有するアーク溶接トーチを用いて、隅肉溶接を行った後の溶接止端部の断面を示す。ここで、フランク角を、鋼板10と鋼板11とを溶接した溶接ビード12の接線と鋼板11の表面の延長線で形成される角度のうち、溶接金属側の角度をフランク角と定義する。図3に示すように、従来のノズルを有するアーク溶接トーチを用いた溶接により形成された溶接ビードと比べて、ディフューザ部の先端に第2筒状部を有するアーク溶接トーチを用いた溶接により形成された溶接ビードは、溶接ビード断面において溶接ビードの止端部の立ち上がりが緩やかで、フランク角が小さくなっている。
このように、ディフューザ部及び筒状部を有するアーク溶接トーチを用いて、アーク溶接を行うと、溶融池に外向き湯流れが形成され、溶融池の溶融幅が広くなり、溶接ビード断面において溶接ビードの止端部の立ち上がりが緩やかな、フランク角が小さい溶接ビードとなるため、溶接継手の疲労強度を向上できることを見出した。
このディフューザ部及び第2筒状部を有するアーク溶接トーチを用いて、アーク溶接を行うことで形成される、アーク圧力増加部、プラズマ気流、溶融池の外向き湯流れについて図面を用いて説明する。
図4に、ディフューザ部及び第2筒状部を有するアーク溶接トーチを用いて、アーク溶接を行った溶融池の湯流れを示す。シールドガス4は、第1筒状部5からディフューザ部6に移動すると拡径により、シールドガスの速度エネルギーが圧力エネルギーへ変換され、ディフューザ部6においてシールドガス4の圧力が高くなる。シールドガス4の圧力は、ノズル径が最大となる、ディフューザ部6と第2筒状部7の境界付近で高くなる。そのため、この境界付近に溶接ワイヤ2(電極)を配置し、アーク放電を行うことで、溶接ワイヤ2から被溶接部材側の空間にアーク柱13が形成され、アーク柱13にアーク圧力が高くなる部分(アーク圧力増加部14)が生じる。このアーク圧力増加部によりプラズマ気流15が生じる。
被溶接部材16には、アーク柱13により、溶融池17が形成され、プラズマ気流15により、外向きの湯流れ18が生じる。ここで、ディフューザ部6の先端に第2筒状部7を設けているので、溶融池17に向かうプラズマ気流15の指向性が向上し、プラズマ気流15が溶融池17の表面に向かい、溶融池17の表面が平坦になり易い。これにより、溶融池の溶融幅を広くするために充分な外向きの湯流れ18が溶融池17に生じる。
本発明は、以上のような検討過程を経て上記(1)に記載の発明に至ったものであり、そのような本発明について、さらに、必要な要件や好ましい要件について順次説明する。
本発明のアーク溶接トーチは、電極がノズルで囲繞され、電極とノズルの間にシールドガスの通路を有し、前記ノズルが、電極の軸の方向に沿って、第1筒状部、ディフューザ部及び第2筒状部で構成されるものである。そして、本発明のアーク溶接トーチを用いて、ガスシールドアーク溶接することで、ディフューザ部により、電極から被溶接部材側の放電空間にアーク圧力増加部を形成し、プラズマ気流を生じさせ、第2筒状部により溶融池に向かうプラズマ気流の指向性を向上させ、フランク角が小さい溶接ビードの止端部を形成することができる。
次に、本発明のアーク溶接トーチの基本構成である、電極と、第1筒状部、ディフューザ部及び第2筒状部で構成されるノズルについて説明する。
[電極]
本発明のアーク溶接トーチは、消耗式及び非消耗式のガスシールドアーク溶接に適用できる。消耗式のガスシールドアーク溶接において、電極は、ソリッドワイヤ、フラックス入りワイヤなどを用いることができる。フラックス入りワイヤとしては、鋼製外皮内にフラックスを充填したもので、エッジ面を突合せて溶接して作った、外皮に隙間のないフラックス入りワイヤ、エッジ面を突合せて作った、外皮に隙間のあるフラックス入りワイヤ、及び、エッジ面をかしめて作った、外皮に隙間のあるフラックス入りワイヤを用いることができる。また、ソリッドワイヤとしては、めっき無し及び銅めっき有りのソリッドワイヤを用いることができる。
ここまで、本発明のアーク溶接トーチに関して、溶接ワイヤを用いる消耗式のガスシールドアーク溶接用のアーク溶接トーチを例に図面を用いて説明してきたが、本発明のアーク溶接トーチは、非消耗式のガスシールドアーク溶接用のアーク溶接トーチとすることもできる。非消耗式のガスシールドアーク溶接としては、TIG溶接があり、電極は、タングステン電極を用いることができる。そして、非消耗式のガスシールドアーク溶接用のアーク溶接トーチは、消耗式のガスシールドアーク溶接用のアーク溶接トーチが有している溶接ワイヤ及びワイヤガイド筒の構成をタングステン電極に代え、この電極に応じて他の構成の材質、寸法、配置などを調整すればよい。
電極の配置に関して、電極の先端は、シールドガスの圧力が高くなる位置に配置するのが好ましい。シールドガスの圧力が高くなる位置は、ノズルのディフューザ部の広がり角により異なるため、広がり角に応じて調整する。ただし、ノズルのディフューザ部と第2筒状部との境界部より、第2筒状部の開放端側の範囲において、シールドガスの圧力が高くなり易いため、この範囲に電極の先端を配置することが好ましく、この境界部より第2筒状部の開放端側に1mm以下の範囲に電極の先端を配置することがより好ましい。
[ノズル]
ノズルは、第1筒状部、ディフューザ部及び第2筒状部で構成され、電極の軸の方向に、この順で形成されるものである。ノズルは、第1筒状部、ディフューザ部及び第2筒状部の一体ものとしてもよいし、第1筒状部、ディフューザ部及び第2筒状部を接続して形成される組みものとしてもよい。また、ノズルの材質は、特に限定されるものでなく、消耗式のガスシールドアーク溶接では、CrめっきされたCuが例示され、非消耗式のガスシールドアーク溶接では、アルミナなどのセラミックが例示され、第1筒状部、ディフューザ部及び第2筒状部の材質を、すべて同一としても、それぞれ異ならせてもよい。
(第1筒状部)
第1筒状部は、ディフューザ部とつながるノズルの構成要素である。第1筒状部の内面とワイヤガイド筒又はタングステン電極の外面との間には、シールドガスの通路となるように、所定間隔の隙間が形成されている。第1筒状部の内径は、特に限定されず、電極、シールドガスの流量などに応じて設定すればよく、16mmが例示される。また、第1筒状部は、ディフューザ部で拡径による圧力増加の効果を得るために、ディフューザ部との境界に向かい拡径しない、電極の軸と略平行な内面を有するものとすることが好ましい。
(ディフューザ部)
ディフューザ部は、第1筒状部及び第2筒状部とつながるノズルの構成要素である。ディフューザ部は、第1筒状部のシールドガスの流れ方向の下流の端部とつながるものである。ディフューザ部は、第1筒状部との境界からシールドガスの流れ方向の下流に向かって、拡径するものである。図1に示すように、ディフューザ部は、拡径の広がり角を有し、アーク圧力を増加させるために、広がり角の上限が60°が好ましく、20°がさらに好ましい。また、ディフューザ部の高さD1(ディフューザ部の第1筒状部との境界と、第2筒状部との境界の間の距離)は、10〜20mmとすることができる。
(第2筒状部)
第2筒状部は、ディフューザ部とつながるノズルの構成要素である。第2筒状部は、ディフューザ部のシールドガスの流れ方向の下流の端部とつながるものである。第2筒状部は、第1筒状部の内面と略平行の内面を有し、第2筒状部の内径は、第1筒状部の内径より大きいものである。第2筒状部の内径は、特に限定されるものでなく、ディフューザ部の端部の内径に応じて決まるものである。第2筒状部の高さD2(第2筒状部のディフューザ部との境界と、第2筒状部の開放端部の間の距離)は、5〜15mmとすることができる。
以上を、本発明のアーク溶接トーチの基本構成とし、必要に応じてノズルを囲繞する外側ノズルを設けることもできる。
図5に、ノズルを囲繞する外側ノズルを有するアーク溶接トーチの一例を示す。図6に、ノズルを囲繞する外側ノズルを有するアーク溶接トーチの他の例を示す。図5及び6に示すアーク溶接トーチ20、30の電極及びノズルの構成は、図1に示すアーク溶接トーチ1の構成と同様であり、ノズルを囲繞する外側ノズルをシールド性向上のために設ける点が異なる。
そこで、外側ノズルについて説明する。図5及び6のアーク溶接トーチ20、30は、ノズルを囲む形態で外側ノズルを有し、ノズルと外側ノズルの間にシールドガス21、31を供給する通路を有する点で共通している。外側ノズルは、内側のノズルと同様に、一体ものとしても、組みものとしてもよい。そして、外側ノズルの材質も、特に限定されるものでなく、消耗式のガスシールドアーク溶接では、CrメッキされたCuが例示され、非消耗式のガスシールドアーク溶接では、アルミナなどのセラミックが例示され、外側ノズルの構成要素を、すべて同一としても、それぞれ異ならせてもよい。
図5及び6のアーク溶接トーチ20、30の構造の違いは、外側ノズルの形状である。図5のアーク溶接トーチ20では、外側ノズルが、外側第1筒状部22及び外側拡径部23で構成されている。そして、外側第1筒状部22は、外側拡径部23とつながるものである。
外側第1筒状部22の内面と内側の第1筒状部5の外面との間には、外側シールドガス21の通路となるように、所定間隔の隙間が形成されている。外側第1筒状部22の内面と内側の第1筒状部5の外面は、略平行とすることができる。外側第1筒状部22の内径は、特に限定されず、内側の第1筒状部5の外径、外側シールドガス21の流量などに応じて設定することができる。
また、外側拡径部23は、外側第1筒状部22のシールドガスの流れ方向の下流の端部とつながるものである。外側拡径部23は、外側第1筒状部22との境界からシールドガスの流れ方向の下流に向かって、拡径するものである。外側拡径部23の形状(広がり角、高さ)は、特に限定されるものでなく、シールド性が向上するように調整するものである。
図6のアーク溶接トーチ30では、ノズルと外側ノズルが相似形のものであり、外側第1筒状部32、外側拡径部33及び外側第2筒状部34で構成されている。そして、外側第1筒状部32は、外側拡径部33とつながり、外側拡径部33は外側第2筒状部34とつながる。
外側第1筒状部32、外側拡径部33及び外側第2筒状部34の内面と、内側の第1筒状部5、ディフューザ部6及び第2筒状部7の外面との間には、外側シールドガス21の通路となるように、所定間隔の隙間が形成されている。外側第1筒状部32、外側拡径部33及び外側第2筒状部34の内面と、内側の第1筒状部5、ディフューザ部6及び第2筒状部7の外面は、略平行とすることができる。外側第1筒状部32、外側拡径部33及び外側第2筒状部34の内径は、特に限定されず、内側の第1筒状部5、ディフューザ部6及び第2筒状部7の外形、外側シールドガス31の流量などに応じて設定することができる。
また、外側拡径部33及び外側第2筒状部34の形状(広がり角、高さ)は、特に限定されるものでなく、シールド性が向上するように調整するものである。
図5及び6のいずれに記載のアーク溶接トーチでも、外側ノズルを有することで、シールド性が向上するので好ましい。特に、図5のアーク溶接トーチ20は、外側ノズルの先端に外側第2筒状部を有していないため、アーク溶接トーチの先端の外形が小さく、溶接箇所周辺に構造物を有していても、溶接箇所にアーク柱を到達させ、溶接することができる。それに対して、図6のアーク溶接トーチ30は、外側ノズルの先端に外側第2筒状部を有しているため、シールド性が高い。よって、使用対象又は使用目的に応じて、両者のアーク溶接トーチを使い分けることができる。
次に、本発明のアーク溶接トーチを用いる溶接について説明する。
本発明のアーク溶接トーチを用いたガスシールドアーク溶接の方法は、特に限定されず、通常用いられる方法を採用することができ、電流、電圧などの溶接条件についても通常用いられている条件で良い。シールドガスは、Arガス、COガス、及びそれらの混合ガスなどとすることができる。また、ノズルを囲繞する外側ノズルを有するアーク溶接トーチを用いて溶接をする場合、溶融池の外側向き流れの形成と、シールド性を両立させるため、外側シールドガスの流量を、内側シールドガスの流量と同じか、低くすることが好ましい。また、内側シールドガスの流量としては、10〜30L/minが例示される。
そして、本発明のアーク溶接トーチを用いて溶接することで、溶接ビードのフランク角が45°以下とすることができ、さらに、30°以下とすることができる。
本発明によれば、溶融幅が広くなり、隅肉溶接において、止端部が滑らかな形状になるため、溶接継手の疲労強度を向上させることができる。よって、本発明は、産業上の利用可能性が高いものである。
1 アーク溶接トーチ
2 溶接ワイヤ
3 ワイヤガイド筒
4 シールドガス
5 第1筒状部
6 ディフューザ部
7 第2筒状部
8 電極の軸
9 広がり角
10 鋼板
11 鋼板
12 溶接ビード
13 アーク柱
14 アーク圧力増加部
15 プラズマ気流
16 被溶接部材
17 溶融池
18 湯流れ方向
20 アーク溶接トーチ
21 シールドガス
22 外側第1筒状部
23 外側拡径部
30 アーク溶接トーチ
31 シールドガス
32 外側第1筒状部
33 外側拡径部
34 外側第2筒状部
D1 ディフューザ部の高さ
D2 第2筒状部の高さ

Claims (6)

  1. ガスシールドアーク溶接方法であって、電極と被溶接部材との間にアークを発生させるアーク溶接トーチが、前記電極を囲繞するノズルと、当該電極とノズルの間に形成されたシールドガスの通路とを有し、前記ノズルが、前記電極の軸方向に沿って、第1筒状部、シールドガスのれ方向の下流に向かって広がり角を有するディフューザ部、及び、第2筒状部で構成され、ディフューザ部の一端は第1筒状部のシールドガスの流れ方向の下流の端部とつながっており、他端は第2筒状部とつながっており、当該溶接トーチを用い、前記電極の先端が、前記第2筒状部の開放端より内側に位置し、前記第2筒状部の開放端と前記被溶接部材との間に隙間を有するようして溶接することを特徴とするガスシールドアーク溶接方法。
  2. 前記電極の先端を、前記ノズルのディフューザ部と第2筒状部との境界部より第2筒状部の開放端側に1mm以下の範囲に配置することを特徴とする請求項1に記載のガスシールドアーク溶接方法。
  3. 前記アーク溶接トーチが、前記ノズルを囲繞する外側ノズルと、当該ノズルと外側ノズルの間に外側シールドガスの通路とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のガスシールドアーク溶接方法。
  4. 前記外側ノズルが、前記電極の軸方向に沿って、第1外側筒状部及び拡径部、又は、第1外側筒状部、拡径部及び第2外側筒状部で構成されることを特徴とする請求項に記載のガスシールドアーク溶接方法。
  5. 前記ノズルのディフューザ部の広がり角が60°以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のガスシールドアーク溶接方法。
  6. 前記電極が溶接ワイヤであり、その先端の位置を、ディフューザ部と第2筒状部との境界より、第2筒状部の開放端側に配置することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のガスシールドアーク溶接方法。
JP2015027983A 2015-02-16 2015-02-16 ガスシールドアーク溶接方法 Active JP6600949B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015027983A JP6600949B2 (ja) 2015-02-16 2015-02-16 ガスシールドアーク溶接方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015027983A JP6600949B2 (ja) 2015-02-16 2015-02-16 ガスシールドアーク溶接方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016150351A JP2016150351A (ja) 2016-08-22
JP6600949B2 true JP6600949B2 (ja) 2019-11-06

Family

ID=56695093

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015027983A Active JP6600949B2 (ja) 2015-02-16 2015-02-16 ガスシールドアーク溶接方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6600949B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS51122127U (ja) * 1975-03-31 1976-10-04
JPS5541422Y2 (ja) * 1975-10-07 1980-09-27

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016150351A (ja) 2016-08-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5602974B2 (ja) 狭窄ノズル及びこれを用いたtig溶接用トーチ
US9278407B2 (en) Dual-wire hybrid welding system and method of welding
RU2573454C2 (ru) Способ соединительной сварки оснащенных покрытием стальных листов
JP5861785B2 (ja) 狭開先ガスシールドアーク溶接方法
JP2007000933A (ja) 液体ブリッジを介した金属移行を用いるtig溶接又はろう付け溶接
JP6617772B2 (ja) 鋼板の重ね溶接方法及び重ね溶接継手
JP6137053B2 (ja) 狭開先ガスシールドアーク溶接方法
KR102014811B1 (ko) 수직 방향 협개선 가스 실드 아크 용접 방법
WO2017221865A1 (ja) ガスシールドアーク溶接方法及び溶接構造物の製造方法
JP2019188473A (ja) 多層構造のレーザホットワイヤ溶接
WO2013140798A2 (en) Method of welding structural steel and welded steel structure
JP5954433B2 (ja) 狭開先ガスシールドアーク溶接継手
US9511454B2 (en) Welding activated flux for structural alloy steels
KR102126667B1 (ko) 수직 방향 협개선 가스 실드 아크 용접 방법
Das et al. Regulated metal deposition (RMD™) technique for welding applications: an advanced gas metal arc welding process
JP5854145B2 (ja) サブマージアーク溶接方法ならびに溶接継手および鋼管の製造方法
JP5354236B1 (ja) 鋼板のサブマージアーク溶接方法
Thakare Niraj et al. Electro slag strip cladding process
JP6119948B1 (ja) 立向き狭開先ガスシールドアーク溶接方法
JP6600949B2 (ja) ガスシールドアーク溶接方法
JP2013233557A (ja) レーザ・アークハイブリッド溶接方法
JP5742090B2 (ja) 溶接熱影響部の靭性に優れた、鋼材のサブマージアーク溶接方法
CN113210870A (zh) 一种高效的激光-电弧复合热源高强钢管道直缝焊接工艺
JP2010228000A (ja) 長疲労寿命化を達成するレーザー・アークハイブリッド溶接方法
JP2014108458A (ja) プラズマgma溶接トーチ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171005

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180807

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180814

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181005

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190212

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190408

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190910

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190923

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6600949

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151