JP6600793B1 - 徒長枝に結実させるオリーブの果樹の栽培方法 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、
1 徒長枝と呼ばれる、ある意味、歓迎されざる厄介者の枝が発生する。
徒長枝は他の枝の養分まで奪って、並外れて早く、太く、直立して成長し、
花芽が結実しにくい枝であり、そのため他の枝の成長が遅くなる。
2 苗木を植えて、実がなるまで年数がかかりすぎる。例えば、オリーブでは、4〜5年、桃栗は3年、柿は8年といわれるように、実がなるまで数年かかり、野菜の様に植えた年に収穫することができない。
3 果樹は背丈が高く、大きく成長するために、果樹を植える植床の、果樹間の前後左右の間隔は、4〜5m必要であり、そのために広い場所が必要で、単位面積当たりの収量が低い上に、なおかつ栽培、収穫の農作業に多大な労力が必要になる。
第二の目的は、矮化剤やわい性台木を使用することなく、オリーブの果樹の活力を減退させることなく矮化できる新しい矮化手法を提供することである。
すなわち、オリーブの果樹の徒長枝一本一本の根元近傍の部位を捻枝、および下向きに曲げ、固定処理することを組み合わせて、師管を狭窄、固定しての師管を狭窄、固定して栽培すると、他の枝よりも徒長枝の方へより多く果実が結実することを見出した。そして、徒長枝一本一本の根元近傍の部位の師管を狭窄する代わりに、徒長枝を生み出した親の枝の根元近傍の部位を捻枝、および下向きに曲げ、固定処理することを組み合わせて、師管を狭窄、固定して栽培しても、ほぼ同等の効果が得られることを見出した。
つまり本来、厄介者で、切除していた徒長枝に、他の枝よりもより多く果実が結実するわけである。そして果樹の成木1本当たりの収穫量は、従来の栽培方法の1.5〜2倍以上の収量が得られることが判明した。
なお捻枝とは、枝を捻って回転させることである。
圧潰とは、圧潰具(たとえばペンチ)のギザギザで師管をつぶすような場合である。
締付けとは、巻着金具をハメ込み、金具を締め付けて、枝の表皮を圧迫して、師管をつぶすような場合である。
樹勢維持のために徒長枝あるいは/および徒長枝を生み出した親の枝を狭窄せずに、そのまま残す割合は、最大30%程度までの範囲が好適である。
この割合は、個々の果樹の生育状態を観察して、適宜、決定すればよい。
太陽光が良く照射される、風が良く流通できるような場所で、果実の収穫に支障の出ない場所等を、適宜選択すればよい。
畝を積み上げる下地は、畑地の他、非透水性のコンクリート面であってもよい。
すなわち、同じ側に2カ所の深い切れ込み部と3か所の突起部を持つ角波型針金クリップの、その両端部の針金突起の先端が内側に屈曲した構造のクリップの、その2カ所の切れ込み部に、前記捻枝して、下方曲げ状態の徒長枝あるいは徒長枝の親の枝、あるいは苗木の主枝を差し込んで、そのクリップの3か所の突起部で枝を抑えることで、枝のねじれと下方曲げが元に戻るのを防いで、枝を傷つけることなく、簡便、かつ効果的に固定することができる。
・ 1本当たり、従来法の1.5〜2倍以上の収穫が得られる。
・ 粒が大きく、皮が薄く、果肉の多い果実が得られるために、オリーブ油の含量が高くなり、酸度の低い新鮮なオイルが得られる。
・ 果樹を矮化することができ、高密植できる(従来の7倍の植栽密度)。
苗木の植え付け
同じ苗木を3組用意し、一組の苗木では本発明の栽培法を実施し、次の一組の苗木では、従来の栽培方法を実施し、更にもう一組の苗木は、比較データ採取のための試験(試験1)に供した。
なお、本実施例では、本発明、試験1の方法、いずれの場合も、師管狭窄の手段として、枝の捻枝と曲げを採用し、捻枝と曲げを併用した。
親枝を捻枝、下方曲げ、固定した状態で、徒長枝が有る場合と、無い場合で、全結実量がどのように変化するかを知ることができる。つまり試験1によって、全結実量に対する徒長枝の存在意義を知ることができる。
苗木の数は、本発明の栽培法に4本、従来法4本、試験1用に4本とした。
一方、従来方法を適用する苗木、および試験1のための苗木は、そのまま畑に植え付けた。
針金クリップは、枝に装着したまま栽培した。
植え付けは、3月中旬に実施した。
以後、日照りの続くときには、適宜、水やりを行った。
施肥は、本発明、従来方法、いずれも、同じ肥料を等量、毎月1回施肥した。
1年目では、本発明方法、従来方法、共に、結実、収穫なし。
翌年10月、本発明方法を適用した苗木が成長した果樹の、捻枝、下方曲げ、固定処理した主枝に生成した徒長枝に実がなり、オリーブの果実を0.5kg収穫できた。
なお、収穫量の数値は、以下すべて4本の平均値である。
また本発明方法を適用した苗木が成長した2年目の果樹、および従来法の苗木から生育した2年目の果樹では、いずれも徒長枝が発生し、大きく成長した。
すなわち、本発明の果樹を結実させる徒長枝は、徒長枝の親の枝を捻枝、下向きに45度程度曲げ、図1に示した針金クリップ1を使用して固定することでスリム化した。
なお生育状態を観察して、樹勢を維持するために、徒長枝を含めて、枝の全数の20%は、枝の師管を狭窄(捻枝、下方曲げ)、固定処理せずそのまま残した。
残す個所は、1カ所に集中させず、全体に均等に振り分けた。
また樹高が一定高さを越えそうな枝は、早期に、捻枝、下方曲げ、固定処理と整枝、剪定を併用して、樹高の伸びすぎを防いだ。
また樹高については、そのまま成長に任せた。
4〜6年目は、徒長枝を含めて、枝の全数の20%は残して、剪定で切除し、徒長枝の親枝は捻枝、下方曲げ、固定処理した。
親枝以外の枝は、密集して太陽光が良く照射できない、及び風が良く流れない枝については、整枝、剪定して、太陽光が良く照射され、風が良く流通できるようにした。また樹高については、そのまま成長に任せた。
なお試験1に供した果樹の施肥、水やり等は、本発明および従来方法と全く同じ条件で実施した。
本発明果樹の捻枝、下方曲げ、固定処理した徒長枝の親の枝には、実がなり、10月には、オリーブの果実を2.0kg収穫できた。徒長枝から収穫できた果実は、2.0kg、徒長枝以外の枝からは収穫なしであった。
一方、従来法の苗から生育した3年目の果樹は、収穫なし。
本発明果樹の捻枝、下方曲げ、固定処理した徒長枝の親の枝から収穫できた果実は、3.7kg、徒長枝以外の枝から収穫できた果実は、0.7kgであった。
一方、従来法の苗から生育した4年目の果樹では、1kg収穫できた。
一方、本発明栽培法(親枝を捻転、下方曲げ、固定し、徒長枝は残す)では、4〜6年の成木では、試験1の結果よりも1.8〜3倍の収穫量が得られることが判る。つまり徒長枝を切除せずに残しておくと、親枝を捻枝、下方曲げ、固定による結実量増量効果が著しく大きくなることが判る。この結実量の増量効果は、残した徒長枝に、大粒の実が、数多く結実することによってもたらされるものである。
耕作放棄地を利活用して、国際競争力ある農業工業化戦略に大いに貢献できるものである。
5…屈曲部 6…徒長枝の親の枝 7…苗木 8…主幹
9…主枝 10…捻転部 11…段々畑
12…石垣 13…苗木
Claims (1)
- オリーブの果樹の徒長枝に、果実を結実させる果樹の栽培方法であって、徒長枝の根元近傍の部位、あるいは徒長枝を生み出した親の枝の根元近傍の部位を捻枝、および水平から下向き50度の範囲の角度で、下向きに曲げ、固定処理することを組み合わせて、師管を狭窄、固定してなると共に、果樹の背丈を1.5〜2.5mの高さに矮化し、果樹を前後左右、1〜2m離隔して培地に植えて栽培することを特徴とする徒長枝に結実させるオリーブの果樹の栽培方法。
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JP2018235443A JP6600793B1 (ja) | 2018-12-17 | 2018-12-17 | 徒長枝に結実させるオリーブの果樹の栽培方法 |
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JP2018235443A JP6600793B1 (ja) | 2018-12-17 | 2018-12-17 | 徒長枝に結実させるオリーブの果樹の栽培方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113016483A (zh) * | 2021-03-09 | 2021-06-25 | 广西壮族自治区亚热带作物研究所(广西亚热带农产品加工研究所) | 一种减缓杧果树顶端优势的矮化栽培方法 |
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2018
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113016483A (zh) * | 2021-03-09 | 2021-06-25 | 广西壮族自治区亚热带作物研究所(广西亚热带农产品加工研究所) | 一种减缓杧果树顶端优势的矮化栽培方法 |
CN113016483B (zh) * | 2021-03-09 | 2024-06-07 | 广西壮族自治区亚热带作物研究所(广西亚热带农产品加工研究所) | 一种减缓杧果树顶端优势的矮化栽培方法 |
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