JP6600257B2 - 麻酔化合物の投与の間および後の患者の状態をモニターし制御するためのシステムおよび方法 - Google Patents

麻酔化合物の投与の間および後の患者の状態をモニターし制御するためのシステムおよび方法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2012年10月12日に出願された、「SYSTEM AND METHOD FOR MONITORING AND CONTROLLING A STATE OF A PATIENT DURING AND AFTER ADMINISTRATION OF ANESTHETIC COMPOUND」という名称の、米国仮出願番号第61/713,267号に基づいており、上記仮出願の優先権を主張し、上記仮出願の内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
連邦により援助された研究に関する記述
本発明は、米国国立衛生研究所によって与えられたDP1OD003646、DP2−OD006454、およびK25−NS05758に基づく政府支援によって行われた。政府は本発明について一定の権利を有する。
本開示は、一般的には、患者の状態をモニターし制御するためのシステムおよび方法に関し、特に、麻酔化合物の投与量を受け取っている、または、より口語的に、「麻酔」の投与量を受け取っている患者の状態をモニターし制御するためのシステムおよび方法に関する。
1846年および外科的処置の間の痛みを制御するための手段として最初にエーテルが公に使用されて以来、麻酔、鎮痛薬、および痛みを制御し、患者を意識不明にさせるために投与される他の化合物は、医薬品の中心的なものである。しかし、麻酔薬の使用および臨床用の麻酔性を有する化合物の数は、エーテルが最初に使用されて以来、天文学的に増加したが、麻酔されている人体の動作の科学的な理解は、なお発展中である。例えば、麻酔の「レベル」の連続体にわたって、麻酔が患者に与える影響および患者の脳の動作に与える影響の完全な理解は、依然として欠如している。したがって、麻酔医は、麻酔の影響を認識して、投与された麻酔の確認された効果に基づいて、所与の患者に対する麻酔の影響の「レベル」の推定値を外挿するように訓練される。
麻酔の投与量を受け取っている患者をモニターする場合に臨床医によって用いられる1つの一般的なツールは、脳波(EEG)システムである。EEGシステムは、脳の電気生理学的信号をモニターする。臨床医にフィードバックを提供するために、いくつかのEEGシステムは、波形として取得された信号の部分的なまたは融合された表現を表示する。しかし、後述するように、麻酔の投与の間に使用する多くの現代のモニタリングシステムは、麻酔の投与量を受け取っている患者の極めて複雑な生理的応答を「定量化する」ことを試みる単一の無次元指標として、フィードバックを提供し、それによって、患者の麻酔深度を知らせる。これらのEEGベースの麻酔深度指標は、患者の脳状態を十分に表現しないことが示されており、さらに、患者内の、および患者間における同様の数値に対して、深層的な脳状態および意識のレベルについて実質的な変動を示す。神経科学および麻酔薬の神経生理学の最近の進歩は、種々の薬剤が種々の神経機構を通して作用することを示しており、意識の種々の変えられた状態と関係する種々のEEG用法指示を生じる。これらのEEG用法指示は、種々の麻酔薬の全体にわたって変化する場合がある。種々の麻酔薬についての神経システム機構の解析は、Brown EN,Lydic R,& Schiff ND(2010)General anesthesia,sleep,and comaに見いだされる。New England Journal of Medicine 363(27):2638−2650、および、Brown EN,Purdon PL,& Van Dort CJ (2011)General anesthesia and altered states of arousal:a systems neuroscience analysis。Annual Review of Neuroscience 34:601−628。一般的に用いられる麻酔薬プロポフォールによって誘発される意識の種々の変えられた状態と関係する種々のEEG用法指示は、Purdon PL,Pierce ET,Mukamel EA,Prerau MJ,alsh JL,Wong KFK,Salazar−Gomez AF,Harrell PG,Sampson A,Cimenser A,Ching S,Kopell N,Tavares−Stoeckel CL,Habeeb K,Merhar R,Brown ENによる、Electroencephalogram signatures of loss and recovery of consciousness from propofol、Proceedings of the National Academy of Sciences,2013 Mar 19;110(12):E1142−51に見いだされる。これらの最近の進歩の視点から、異なった麻酔に関係するEEG用法指示は、全身麻酔または鎮静の下の患者の状態のより理にかなった特性評価および麻酔化合物の送出を制御することへのより理にかなった方法を提供する。
実際に、臨床医が用いる1つの一般的なプロセスは、「バーストサプレッション」の指標を確認するためにEEGディスプレイをモニターすることである。バーストサプレッションは、脳が神経活動、代謝速度、および酸素消費の非常に減少したレベルを有する場合に、観察することができるEEGパターンの例である。例えば、バーストサプレッションは、全身麻酔の深い状態において一般的に見られる。全身麻酔下の患者の深い状態の一例は、医学的昏睡である。バーストサプレッションパターンは、EEGが等電位または抑制される期間と交互に起こる電気的活動のバーストの期間としてしばしば現れる。様々な臨床シナリオは、非管理のてんかん発作状態、すなわち、てんかん重積状態の治療、ならびに、外傷性もしくは低酸素脳損傷、無酸素脳損傷、低体温、および特定の発達疾患に追従する脳保護を含む、脳保護のために医学的昏睡を必要とする。バーストサプレッションは、このような傷害、疾患または医学的インターベンションから生じる特有の脳状態を表す。
バーストサプレッションを定量化することを試みる従来のシステムおよび方法は、2つのステップで進行する。第1に、バーストサプレッションの特性は取得されたデータで確認され、バーストおよびサプレッション事象はEEGアーチファクトから隔離または分離される。第2に、これらのシステムおよび方法は、バーストサプレッションの「レベル」を定量化することを試みる。
例えば、GE、Covidien、およびMasimoによって製造されているような市販の脳モニタリング装置は、バーストサプレッションの状態を識別し追跡するためのアルゴリズムの一部としていわゆるサプレッション比を用いる。これらのアルゴリズムは、EEGをバースト期間およびサプレッション期間に分割することに集中し、それから識別された情報を定量化する。
すなわち、いくつかの検出アルゴリズムは、隔離または分離ステップを達成するために開発された。例えば、多くのシステムは、EEG信号を、1がサプレッションに対応して0がバーストに対応するバイナリ時系列に変換する。図1AおよびCは、麻酔プロポフォールの投与によって誘発されたバーストサプレッションを示す、それぞれ5分および1分の区分のEEG波形である。図1BおよびDは、図1AおよびCの生の信号と関係するバイナリ系列を示す。図1BおよびDに示すような、このバイナリ時系列を用いて、これらの市販のシステムは、バーストサプレッションのレベルを「定量化する」ことを試みる。定量化の1つの一般的な方法は、「バーストサプレッション比」(BSR)と呼ばれている。BSRは、所与の時間区間で、EEG信号が区分化ステップによって抑制されるように表される時間の比率を定量化する。BSRは、分数であって、サプレッションがないことを意味する0から、等電位すなわち平坦なEEGを意味する1までの範囲に及ぶ。
患者の状態を定量化するための手段としてBSRを実行するシステムは、研究されて、脳代謝率(CMR)の減少と明確に相関づけられている。全身麻酔の間および人工低体温の間、完全な電気的休止の状態は1のBSRによって反映され、CMRはそれが定速度でプラトーに達するまで投与量に依存して減少する。
例えば、BSRなどのメトリックを用いてバーストサプレッションを定量的に解析することの重要性が広く理解されているにもかかわらず、現行の方法には重要な欠点がある。例えば、0および1が100msecの区間で、またはミリ秒ごとに計算され得る場合であっても、BSRを計算するために、これらのバイナリ値の数秒を用いることは珍しくない。これは、BSRが計算される期間の全体にわたって脳状態が安定な状態を維持すると仮定している。例えば全身麻酔、低体温の導入によって、または、急速に進行する疾病状態によって、脳活動のレベルが急速に変化する場合には、この仮定は当てはまらない。その代わりに、バーストサプレッションのレベルの計算は、バイナリ事象が記録される分解能と一致しなければならない。残念なことに、これは、アルゴリズム設計者の実際的な困惑を反映する。すなわち、設計は、決定された時間区間を用いずにBSRを計算することができないが、しかし、真の区間は計算されるBSRについての知識によって最も良好に選択される。
このようなBSRアルゴリズムを臨床的に用いることの問題点をさらに大きくするように、異なる製品は、EEGをバイナリ時系列に変換するために、異なる区分化アルゴリズムを用いる。したがって、異なる製造業者からの異なる装置は、異なるBSR推定値を生じる。装置/製造業者全体にわたって結果を比較することは、しばしば挑戦的である。さらに臨床的な挑戦的課題として、バーストサプレッションが定量的に追跡される状況のいずれかについて、重要な目標は、時間の異なる点で正式な統計的比較を行うことである。しかし、数秒の区間でバイナリ事象を平均することによって推定されるBSRの統計学的性質は、説明されていない。結果として、バーストサプレッションの正式な統計解析において現行のBSR推定値を用いる理にかなった方法はない。すなわち、現行のBSRプロトコルを用いて2つ以上の脳状態が異なると、確実性の規定されたレベルで述べることが可能な正式な統計解析を実現するための、公式な統計解析および規定されたプロトコルが欠如している。
これらのモニタリングシステムの欠点は、臨床医が決定をする情報源としてそれらがしばしば用いられるという事実によってさらに大きくなる。例えば、図2には、麻酔の投与量を含む「薬剤注入」が患者に送出されることを示す簡略化した概念図を示す。患者からのフィードバックは、「バーストサプレッションレベル」の指標を提供することによってバーストサプレッションを識別し定量化することを試みる上述したようなモニタリングシステムによって、収集される。「バーストサプレッションレベル」は、一般に、モニター表示を見ている臨床医によって認められるバーストサプレッションの量である。それから、この「バーストサプレッションレベル」は、示された「バーストサプレッションレベル」に基づいて薬剤注入レベルを調整することによって、フィードバックループの制御として役立つ臨床医への入力として役立つ。この簡略化した実施例は、モニタリングシステムによって示される「バーストサプレッションレベル」における誤差もしくは一般的な不正確さ、ならびに/または、臨床医による誤った解釈もしくは仮定が、薬剤注入プロセスを制御するすでに不正確なプロセスを悪化させるおそれがあることを示している。このような不正確性は、いくつかの状況では許容し得るが、他の状況では非常に好ましくない。
例えば、いくつかの臨床設定では、患者をいわゆる「医学的昏睡」に置くことが望ましい場合がある。そのために、バーストサプレッションは、特定の仕様を満たすように、手動で薬剤注入を調製することにより誘発される。これらの注入の制御は、しばしば目によって、注入ポンプおよびEEG波形をモニターして、所望のEEGパターンを達成し維持するように麻酔薬の注入速度を滴定することを、看護職員に要求する。看護職員が、患者の所望の脳状態の厳格な制御を維持するこのような方法で、薬剤注入速度に関してEEG波形の連続的評価を提供することは、非実用的である。
これらの臨床的な挑戦的課題を認識して、何人かは、臨床医を助けるためのフィードバックおよび制御システムを開発することを試みた。例えば、ビックフォード(Bickford)は、60年以上前に、EEGベースの閉ループ麻酔薬送出(CLAD)システムを提案した。例えば、初期のCLADシステムの簡略化した概略図を図3に示す。1950年代のビックフォードの最初のCLADシステムは、その時の「麻酔深度」302を示す制御信号として、特定の周波数帯のEEG内容300を用いた。麻酔深度302は「目標麻酔深度」304と比較され、それは薬剤注入306を増加または減少させるべきかを決定した。このように、閉ループシステムは、患者308に送出される麻酔薬を制御するために提案された。
提案されたCLADシステムのその後の具現は、より精巧なEEG解析を用いた。例えば、制御信号として特定の周波数帯に単純に依存する代わりに、例えばメジアン周波数およびスペクトルエッジ、あるいはパワースペクトログラムの第50および第95分位数などのメトリックをそれぞれ用いたシステムが提案された。研究は、周波数内容およびその関連する範囲と全身麻酔の対応する深さとの間の強い関係を観察した。提案された他の可能性のある制御信号は、誘発電位、または心拍数および血圧などの生理的応答を含んでいた。このようなシステムの商業的開発は、1980年代までは本格的に始まらなかったが、現在では麻酔学の実践におけるCLADシステムの使用について多くの臨床研究が行われて、EEGを用いない鎮静用システムが現在市販されている。
CLADシステムが長年にわたって周辺にあって、それらは現在米国外で麻酔学の実践で用いられているにもかかわらず、これらのシステムのいくつかの問題が完全に対処されていないことを、最近のリポートは示唆している。第一に、1937年以降、EEGパターンが全身麻酔下の脳状態の指標として役立つことができることが認識されている。現在まで、種々の麻酔薬または薬剤の組み合わせが、どのように患者の状態を変えるか、そしてこのような変化がEEG波形および他の生理特性にどのように現れるか、ということの明確なマーカーを生成するために、EEG波形の十分に詳細な定量的解析は実行されなかった。
このような問題と戦おうとして、いわゆる二波長指数(Bispectral Index)(BIS)が、全身麻酔下の脳状態を追跡して、制御信号をCLADシステムに提供するためのEEGベースのマーカーとして用いられてきた。BISは、EEG波形のスペクトルおよび二波長特徴を計算することによって導出される。これらの特徴は、0と100との間の指数を導出するための独占的なアルゴリズムに入力され、100は薬剤効果のない完全に覚醒した状態に対応し、0は昏睡の最も深い状態に対応する。上で示したように、BISは、モニタリングシステムによって取得されるデータを解釈するために、臨床医が頼る一般的な単一の指標としてしばしば役立つ。すなわち、臨床医は、臨床決定をするためにBIS指標に単純に頼っている。
複数の異なる脳状態によって同じBIS値が生成される場合があるので、制御信号としては、BISは本質的に限定的な成功しかない。イソフルランおよび酸素を用いた全身麻酔下の患者、デキスメデトミジン用いて鎮静された患者、およびステージIII、すなわち低速波睡眠の患者は、全て40〜60の範囲のBIS値を有する場合があり、それは手術が行われるBIS区間である。これらの3人の患者のうち、最初の一人だけが「全身麻酔」の状態にある可能性が最も高く、手術を行うのに適切である。この文脈において、「全身麻酔」は、無意識、記憶喪失、無痛覚、生理的安定の維持を伴う無動症を指す。同様に、ケタミン単独によって、または、他の麻酔薬と組み合わせて麻酔された患者は、全身麻酔の状態にあるにもかかわらず、覚醒しているか軽く鎮静した状態を示唆する高いBIS値を示す。大部分のリポートが良好な脳状態の制御を請求しているにもかかわらず、このような制御は、研究における個々の被験者またはリアルタイムに患者において確実に実証されなかった。
第二に、通常の外科および集中治療室の条件下で、EEGパターンにおいて、麻酔薬に対する反応の個々のばらつきを説明するためにBISを用いることは、挑戦的な課題である。第三に、麻酔状態の市販のモニターによるEEG処理は、リアルタイムではなく、20〜30秒の遅延を伴って実行される。第四に、CLADシステムは、それらの設計において、正式な決定論的または確率論的制御パラダイムの代わりに、その場限りのアルゴリズムを用いる。結果として、CLADシステムが実施されたリポートは、信頼性が高く再現性のある制御結果を示さない。実際、成功した制御の外観を与えるために、CLAD性能のプロットにおいて、何人かの被験者の結果がしばしば平均される。最後に、何人かは、CLADシステムを設計するために、確立した制御原理の理論的な使用を提案した。しかし、このような提案は、EEGから麻酔深度のウェーブレットベースの指標を導出することを示唆し、それはBISに類似する制御信号を基本的に提案する。単純に、EEGパターンがどのように全身麻酔下の脳状態に関係するかという神経生理学についてより多くのことが知られるまでは、一般的に適用できるCLADシステムを開発することは挑戦的な問題である。この点について、上述したように、BSRなどのメトリックは、同様の限界を欠点としてもち、したがって、少なくとも上記の理由により、一般的に適用できるCLADシステムを開発するためには適していない。
おそらくEEG波形の複雑な性質およびBISの制御システムとしての欠点を認識して、VijnおよびSneydは、種々のメトリック、すなわちバーストサプレッション比(BSR)を制御信号として用いる、ラットのCLADシステムを設計した。BSRは、EEGが所定の電圧しきい値より低く抑制される時間の比率として定義される。BSRは、サプレッションがないことを意味する0から、等電位EEGを意味する1の範囲に及ぶ。このような調査の目的は、CLADシステムにおける新規な薬剤の実施が薬剤設計上の有益な情報を提供することができるかを決定するために、CLADシステム設計のモデルから自由な方法を開発することであった。それらは、比例項および積分項の積である非標準決定論的制御戦略を用いて、エラー信号を処理した。彼らのCLADシステムがプロポフォールおよびエトミデートについてBSRの制御を維持したと著者は主張するが、彼らは、個々の動物ではなく、ラットの群について平均されたBSR時間経過を報告した。VijnおよびSneydのCLADシステムは、ラットにおけるBSRを制御する際の新規なエトミデートベースの麻酔薬の効能を試験するために、最近Cottenその他によって実行された。これらの著者も、平均時間経過だけを報告した。したがって、医学的昏睡のレベルを維持するために、人間の実験またはICUにおけるバーストサプレッションを制御するCLADシステムの使用に関する研究は、欠けているように見える。
さらに事態を難しくすることには、効果、有効性に影響し得る多くの変数、および、それに関連して、所与の患者に対する麻酔の影響の「レベル」がある。このように、薬剤注入があり余る程の変数のいずれかを説明しない場合には、閉ループ制御システムは失敗することがあり得る。いくつかの変数は、年齢、一般的な健康状態、身長、または体重などの患者の身体的属性を含むが、例えば、麻酔された患者の過去の経験に基づいて推測される、より明らかでない変数も含んでいる。所与の制御システムまたは方法の変数、ならびに特定の麻酔化合物またはさらに麻酔化合物の組み合わせによって与えられる変数によって、これらの変数がより増加する場合には、所与の患者に対する麻酔の適切で効果的な投与は、科学というよりもむしろ技巧のように見える。
さらに、CLADシステムなどのシステムによって制御されるか、より伝統的な臨床医に特有の制御によって制御されるかどうかにかかわらず、全身麻酔からの覚醒は、薬剤の効果がなくなることを可能にすることによって単純に達成される、ゆっくりとした受動的なプロセスである。麻酔からの覚醒は、伝統的に、麻酔薬が手術終了後に単に打ち切られる受動的なプロセスであって、脳および中枢神経系へのそれらの効果を能動的に逆転させるための薬剤は投与されない。すなわち、全身麻酔薬が手術終了後に単に打ち切られるだけであって、麻酔医および外科医は患者が意識を回復するのを待つ。手術の性質および所要時間、ならびに患者の年齢、体調、および体質を含む多くの要因が、全身麻酔薬の薬物動態学および薬力学に大きく影響を及ぼすことがあるので、覚醒のタイミングは予測不可能であり得る。もはや要求されない場合に、麻酔学において使用する多くの薬剤の作用を薬理的に逆転させることができるにもかかわらず(例えば筋弛緩薬、オピオイド、ベンゾジアゼピン、および抗凝固薬)、これは全身麻酔薬によって誘発された意識消失には当てはまらない。麻酔の効果を能動的に逆転させるためのいくつかの基本的なアイデアが考慮されているが、これらのモニタリングおよび制御方法が一般的に一方向なので、それらは従来のモニタリングシステムおよび制御方法にうまく移行しない。例えば、良くても、意識の増加状態を決定するバーストサプレッションベースのメトリックを用いることは、直観に反している。もっともなことだが、それから、能動的に制御された回復を容易にするための制御アルゴリズムは、開発されていない。
上記を考慮すると、患者の状態を正確にモニターして定量化し、それに基づいて、麻酔化合物の投与中に患者の状態を制御するためのシステムおよび方法を提供する、システムおよび方法に対する明らかなニーズが継続してある。
Brown EN,Lydic R,& Schiff ND(2010)General anesthesia,sleep,and coma New England Journal of Medicine 363(27):2638−2650 Brown EN,Purdon PL,& Van Dort CJ (2011)General anesthesia and altered states of arousal:a systems neuroscience analysis Annual Review of Neuroscience 34:601−628 Purdon PL,Pierce ET,Mukamel EA,Prerau MJ,alsh JL,Wong KFK,Salazar−Gomez AF,Harrell PG,Sampson A,Cimenser A,Ching S,Kopell N,Tavares−Stoeckel CL,Habeeb K,Merhar R,Brown EN,Electroencephalogram signatures of loss and recovery of consciousness from propofol,Proceedings of the National Academy of Sciences,2013 Mar 19;110(12):E1142−51
本発明は、麻酔化合物の投与および制御に関する従来のシステムまたは既知の方法論によって考慮されず、認識されず、または可能でなかったいくつかの利点および能力を提供するシステムおよび方法を提供することによって、以前の技術の欠点を解決する。
一実施形態では、麻酔性を有する少なくとも1つの薬剤の投与をモニターし制御するためのシステムおよび方法が提供される。システムは、患者から生理学的データを取得するように構成される複数のセンサーと、患者の特性および麻酔性を有する少なくとも1つの薬剤のうちの少なくとも一方の指標を受け取るように構成されるユーザーインターフェースと、を含む。またシステムは、複数のセンサーからの生理学的データおよびユーザーインターフェースからの指標を精査するように構成される少なくとも1つのプロセッサを含む。またプロセッサは、生理学的データを時系列データのセットへアセンブルし、麻酔性を有する少なくとも1つの薬剤の投与に合わせた用法指示プロファイルを決定するために、時系列データのセットを解析し、指標に基づいて、患者の現在の状態および予測される将来の状態の少なくとも一方を、用法指示プロファイルを用いて確認するように構成される。プロセッサは、薬剤によって誘発される患者の現在の状態および予測された将来の状態の少なくとも一方を示すリポートを生成するようにさらに構成される。
別の実施形態では、麻酔性を有する少なくとも1つの薬剤の投与を経験している患者をモニターするための方法が提供される。方法は、患者から生理学的データを取得するように構成される複数のセンサーを配置するステップと、複数のセンサーからの生理学的データおよびユーザーインターフェースからの指標を精査するステップと、を含む。また方法は、生理学的データを時系列データのセットへアセンブルするステップと、麻酔性を有する少なくとも1つの薬剤の投与に合わせた用法指示プロファイルを決定するために、時系列データのセットを解析するステップと、を含む。方法は、指標に基づいて、患者の現在の状態および予測される将来の状態の少なくとも一方を、用法指示プロファイルを用いて確認するステップと、薬剤によって誘発された患者の、現在の状態および予測された将来の状態の少なくとも一方に関する情報を含むリポートを生成するステップと、をさらに含む。
さらに別の実施形態では、麻酔性を有する少なくとも1つの薬剤の投与を経験している患者をモニターし制御するためのシステムが提供される。システムは、患者から生理学的データを取得するように構成される複数のセンサーと、患者の特性および麻酔性を有する少なくとも1つの薬剤のうちの少なくとも一方の指標を受け取るように構成されるユーザーインターフェースと、を含む。またシステムは、複数のセンサーからの生理学的データおよびユーザーインターフェースからの指標を精査するように構成される少なくとも1つのプロセッサを含む。またプロセッサは、生理学的データを時系列データのセットへアセンブルし、麻酔性を有する少なくとも1つの薬剤の投与に合わせた用法指示プロファイルを決定するために、時系列データのセットを解析するように構成される。プロセッサは、指標に基づいて、患者の現在の状態および予測される将来の状態の少なくとも一方を、用法指示プロファイルを用いて確認し、少なくとも1つの薬剤の投与を予測された将来の状態に到達するように制御するように、さらに構成される。プロセッサは、薬剤によって誘発される患者の現在の状態および予測された将来の状態の少なくとも一方を示すリポートを生成するようにさらに構成される。
本発明の前述の、および他の利点は、以下の説明から明らかになろう。本明細書では、本明細書の一部を形成する添付の図面を参照し、その図面に本発明の好適な実施形態を例として示す。しかし、このような実施形態が本発明の完全な範囲を必ずしも表すわけではなく、したがって、特許請求の範囲および本明細書への参照は本発明の範囲を解釈するためになされる。
本発明について、以下、添付の図面を参照して説明するが、図面では、類似の符号は類似する要素を示す。
図1Aは、プロポフォールボーラス誘導に従う患者から取られた5分の区間のバーストサプレッションパターンを示すEEG波形であり、図1Bは、1がサプレッションを表し、0がバーストを表す、図1Aのパターンに対応するバイナリ信号を示すEEG波形であり、図1Cは、図1Aのパターンから取られた1分の区間を示すEEG波形であり、図1Dは、図1Cのパターンに対応するバイナリ信号を示すEEG波形である。 臨床医に完全に依存する従来の麻酔化合物モニタリングおよび制御システムの模式的なブロック図である。 従来の閉ループ麻酔送出(CLAD)システムの模式図である。 本発明による閉ループモニタリングおよび制御システムの図である。 例えば図4に関して説明したようなシステムを用いて実行される、本発明によるモニタリングおよび制御処理のステップを示すフローチャートである。 本発明による制御方法のステップを示すフローチャートである。 本発明による更なる閉ループモニタリングおよび制御システムの図である。 本発明による期待値最大化(EM)アルゴリズムのステップを示すフローチャートである。 本発明による2区画薬物動態学モデルの模式図である。 バイナリまたはBSPフィルタのためのバイナリ波形を得るための、本発明によるしきい値処理アルゴリズムによる波形を示す。 本発明による閉ループモニタリングおよび制御システムのブロック図である。 図11Aは、フィゾスチグミンのバーストサプレッションに及ぼす効果をテストする実験におけるSD(Sprague−Dawley)ラットのEEG波形であり、図11Bは、図11AのEEGと関係するバイナリ信号を示すプロットであり、図11Cは、図11AのEEG波形と関係し、1秒の期間で計算されたBSR推定波形であり、図11Dは、図11AのEEGと関係し、1秒の期間でバイナリ平滑器によって計算されたBSP推定波形である。 図12Aは、1秒の期間で計算された信頼区間を有するSD(Sprague−Dawley)ラットのBSP推定波形であり、図12Bは、1点ごとのBSP比較行列である。 図13Aは、低体温停止を受けている患者で記録されたEEG波形であり、図13Bは、図13AのEEGと関係するバイナリ信号であり、図13Cは、図13AのEEG波形と関係し、1秒の期間で計算されたBSR推定波形であり、図13Dは、図13AのEEGと関係し、1秒の期間でバイナリフィルタによって計算されたBSP推定波形であり、図13Eは、平滑化アルゴリズムの使用後の図13AのEEGと関係するBSP推定波形である。 図14Aは、手術のためのプロポフォールボーラス誘導に従う患者の記録されたEEG波形であり、図14Bは、図14AのEEGと関係するバイナリ信号であり、図14Cは、図14AのEEG波形と関係し、1秒の期間で計算されたBSR推定波形であり、図14Dは、図14AのEEGと関係し、1秒の期間でバイナリフィルタによって計算されたBSP推定波形であり、図14Eは、平滑化アルゴリズムの使用後の図14AのEEGと関係するBSP推定波形である。 図15Aは、最適化されたラット2区画モデルにおける8mg kg-1プロポフォールの10秒ボーラス後のシミュレーションされたBSP時間経過であり、図15Bは、最適化されたラット2区画モデルにおける3.5mg kg-1エトミデートの10秒ボーラス後のシミュレーションされたBSP時間経過である。 図16Aは、シミュレーションされた動的データでテストされるバイナリまたはBSPフィルタの正確さを示す、ラットのプロポフォールのボーラス投与量についての時間経過を示し、図16Bは、シミュレーションされた動的データでテストされるバイナリまたはBSPフィルタの正確さを示す、ラットのエトミデートのボーラス投与量についての時間経過を示す。 図17Aは、ラットのプロポフォール17Aの注入の目標のシミュレーションである。フィードバックがptに変換された数値的に評価されたx2tである理想的な決定論的シナリオであり、図17A’は、ラットのエトミデート17A’の注入の目標のシミュレーションである。フィードバックがptに変換された数値的に評価されたx2tである理想的な決定論的シナリオであり、図17Bは、ラットのプロポフォール17Bの注入の目標のシミュレーションである。フィードバックが、標準偏差3%のガウス相対誤差が加えられたptに変換された数値的に評価されたx2tである、雑音が多い決定論的シナリオであり、図17B’は、ラットのエトミデート17B’の注入の目標のシミュレーションである。フィードバックが、標準偏差3%のガウス相対誤差が加えられたptに変換された数値的に評価されたx2tである、雑音が多い決定論的シナリオであり、図17Cは、ラットのプロポフォール17Cの注入の目標のシミュレーションである。基礎となる薬物動態学モデルから評価されたBSP時間経過である。各目標について10個のシミュレーションが確率的シナリオで実行され、フィードバックはバイナリまたはBSPフィルタの出力 であり、図17C’は、ラットのエトミデート17C’の注入の目標のシミュレーションである。基礎となる薬物動態学モデルから評価されたBSP時間経過である。各目標について10個のシミュレーションが確率的シナリオで実行され、フィードバックはバイナリまたはBSPフィルタの出力
であり、図17Dは、ラットのプロポフォール17Dの注入の目標のシミュレーションである。観測可能な
フィードバック信号の各目標の10個の時間経過であり、図17D’は、ラットのエトミデート17D’の注入の目標のシミュレーションである。観測可能な
フィードバック信号の各目標の10個の時間経過である。
図18Aは、4区画モデルと比較される、最適化された人間の2区画薬物動態学モデルにおける250mg kg-1プロポフォールの10秒ボーラス後のシミュレーションされたBSP時間経過であり、図18Bは、4区画モデルと比較される、最適化された人間の2区画モデルにおける110mg kg-1エトミデートの10秒ボーラス後のシミュレーションされたBSP時間経過である。 図19Aは、人間のプロポフォール19Aの注入の目標のシミュレーションである。フィードバックがptに変換された数値的に評価されたx2tである理想的な決定論的シナリオであり、図19A’は、人間のエトミデート19A’の注入の目標のシミュレーションである。フィードバックがptに変換された数値的に評価されたx2tである理想的な決定論的シナリオであり、図19Bは、人間のプロポフォール19Bの注入の目標のシミュレーションである。フィードバックが、標準偏差3%のガウス相対誤差が加えられたptに変換された数値的に評価されたx2tである、雑音が多い決定論的シナリオであり、図19B’は、人間のエトミデート19B’の注入の目標のシミュレーションである。フィードバックが、標準偏差3%のガウス相対誤差が加えられたptに変換された数値的に評価されたx2tである、雑音が多い決定論的シナリオであり、図19Cは、人間のプロポフォール19Cの注入の目標のシミュレーションである。基礎となる薬物動態学モデルから評価されたBSP時間経過である。各目標について10個のシミュレーションが確率的シナリオで実行され、フィードバックはバイナリまたはBSPフィルタの出力 であり、図19C’は、人間のエトミデート19C’の注入の目標のシミュレーションである。基礎となる薬物動態学モデルから評価されたBSP時間経過である。各目標について10個のシミュレーションが確率的シナリオで実行され、フィードバックはバイナリまたはBSPフィルタの出力
であり、図19Dは、人間のプロポフォール19Dの注入の目標のシミュレーションである。観測可能な
フィードバック信号の各目標の10個の時間経過であり、図19D’は、人間のエトミデート19D’の注入の目標のシミュレーションである。観測可能な
フィードバック信号の各目標の10個の時間経過である。
図20Aは、変化するBSP目標を用いてシミュレーションされた人間モデルにおけるプロポフォール注入の時間経過である。変化するBSP目標、すなわち、0.3、0.8、0.6、0.1および0を用いてシミュレーションされた観測可能な確率的信号を示し、図20Bは、変化するBSP目標を用いてシミュレーションされた人間モデルにおけるプロポフォール注入の時間経過である。可変目標シミュレーションに対応して、比例積分コントローラによって計算された注入速度を示す。
本発明の一実施形態では、1つまたは複数の麻酔化合物の投与の間および後の患者の状態をモニターし制御するためのシステムおよび方法が提供される。具体的には、図4に、本発明による例示的なシステム410を示す。システム410は、生理学的モニタリング装置などの患者モニタリング装置412を含み、図4では脳波記録(EEG)電極アレイとして示す。しかし、患者モニタリング装置412は、外部の刺激に対する覚醒を測定する、例えば電気皮膚反応(GSR)をモニターするための機構、あるいは、心電図および血圧モニター、ならびに眼球微動モニターを含む、心臓血管モニターなどの他のモニタリングシステムを含んでもよいと考えられる。この設計の1つの特定の実現は、GSRおよび/または眼球微動を測定するために、付加的な電極を有する前頭ラプラシアンEEG電極レイアウトを用いる。この設計の別の実現は、先に述べたEEG用法指示を最適に検出するために見いだされた電極の任意の組み合わせを得るために、後処理に結合することができる電極の前頭アレイを組み込むが、個別のGSR電極でも同様である。この設計の別の実現は、ソース局在化のために64〜256個のセンサーを用いて頭皮表面全体をサンプリングする高密度のレイアウトを用いるが、個別のGSR電極でも同様である。
患者モニタリング装置412は、モニタリングシステム416と通信するために、ケーブル414を介して接続される。また、ケーブル414および類似の接続は、構成要素間の無線接続と置き換えることができる。図示するように、モニタリングシステム416は、専用の解析システム418にさらに接続することができる。また、モニタリングシステム416および解析システム418は、一体化されてもよい。
モニタリングシステム416は、EEG電極アレイによって取得された生の信号を受け取り、生の信号をEEG波形としてアセンブルし、さらに表示するように、構成することができる。したがって、解析システム418は、モニタリングシステム416からEEG波形を受け取り、後述するように、選択された麻酔化合物に基づいてEEG波形および用法指示を解析し、解析したEEG波形および用法指示に基づいて患者の状態を決定し、例えば、用法指示情報および決定された状態についての印刷されたリポート、または好ましくはリアルタイム表示として、リポートを生成することができる。しかし、モニタリングシステム416および解析システム418の機能は、共通のシステムに結合することができると考えられる。
詳述するように、システム410は、薬剤送出システム420を含んでもよい。薬剤送出システム420は、解析システム418およびモニタリングシステム416に結合することができ、そのようにして、システム410は閉ループモニタリングおよび制御システムを形成する。後述するように、本発明によるこのような閉ループモニタリングおよび制御システムは、広範囲にわたる動作が可能であるが、ユーザーが閉回路モニタリングおよび制御システムを構成し、閉回路モニタリングおよび制御システムからフィードバックを受け取り、必要に応じて、閉回路モニタリングおよび制御システムを再構成し、および/または無効にすることができるように、ユーザーインターフェース422を含む。
図5に示すように、本発明による処理500は、EEGモニタリングシステムからの波形を解析する前処理アルゴリズムを実行することによって、処理ブロック502から始まる。具体的には、処理ブロック502では、EEG波形のバーストおよびサプレッション区間などの識別された指標を、バイナリ時系列に変換することができる。この時系列は、好ましくは、処理ブロック504で、脳状態推定アルゴリズムへの入力として提供される「リアルタイム」系列である。1つのそのような脳状態推定アルゴリズムは、BSPアルゴリズムであり、それはバイナリおよび点過程観測のための状態空間モデルの概念を用いたバーストサプレッションの脳の状態の1秒ごとの推定を提供する。
後でより詳細に述べるように、脳状態推定アルゴリズム出力は、処理ブロック506において、「信頼区間」と関連づけられる。信頼区間は、任意の2つの時点において推定された脳状態の間の正式な統計比較に基づく。また、処理ブロック508では、脳状態推定アルゴリズムの出力は、医学的処置または疾病状態の間、バーストサプレッションなどの脳状態指標を識別し追跡するために用いることができる。例示的な医学的に重要な状態として、少し例を挙げれば、低体温、全身麻酔、医学的昏睡、および鎮静が挙げられる。脳状態推定アルゴリズムの出力は、処理ブロック510で、閉ループ麻酔制御処理の一部としてさらに用いることができる。
別の実施形態では、本発明は、解析およびリポートするためのシステムおよび方法を提供する。図6に示すように、処理600は、1つもしくは複数の化合物などの所望の薬剤、および/または患者の年齢、身長、体重、もしくは性別などの特定の患者プロファイルの選択により、処理ブロック602から始まる。さらに、上記のEEGデータと関連するタイミング、投与量、速度などの薬剤投与情報は、本発明により将来の患者状態を推定し予測するために、取得され用いることができる。後述するように、本発明は、麻酔に対する生理学的応答は、患者プロファイルだけでなく、投与される特定の1つまたは複数の化合物に基づいて変化することを認識する。例えば、高齢の患者は、麻酔下ではより低い振幅のアルファ電力を示す傾向があり、無意識状態では目に見えるアルファ電力を示さない場合がある。本発明は、高齢の患者と若年の患者との間のこの変動を説明する。さらにまた、投与される特定の1つもしくは複数の麻酔化合物に特定の用法指示のための生理学的データおよび/または患者のプロファイルを解析することが、特定の状態にある患者の脳の特定の指標を識別する能力、ならびに状態指標およびそれらの指標に基づく予測の正確さを実質的に増加させることを、本発明は認識する。
例えば、以下の薬剤は、本発明と共に用いることができる薬剤または麻酔化合物の例である。すなわち、プロポフォール、エトミデート、バルビツール剤、チオペンタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、メトヘキシタール、ベンゾジアゼピン、ミダゾラム、ジアゼパム、ロラゼパム、デキスメデトミジン、ケタミン、セボフルラン、イソフルラン、デスフルラン、レミフェンタニル、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニルなどである。しかしながら、これらの薬剤の各々が、例えばEEGデータまたは波形内で非常に異なる特性または用法指示を誘発することを、本発明は認識する。
適切な1つもしくは複数の薬剤および/または患者プロファイルが選択されると、例えば、取得データがEEGデータである、図4に関して説明したようなシステムを用いて、処理ブロック604から生理学的データの収集が始まる。本発明は、患者から取得した生理学的情報を解析し、そこに含まれる情報および鍵となる指標を解析し、患者の現在のおよび/または予測された将来の状態に関する情報を外挿するためのシステムおよび方法を提供する。そうするために、抽象的に生理学的データを評価するよりはむしろ、生理学的データは処理される。処理は、電極またはセンサースペースにおいて行われてもよく、または脳の場所に外挿されてもよい。後述するように、本発明は、例えば、スペクトログラム、位相振幅変調、コヒーレンス、およびグローバルコヒーレンス解析を含む追加の解析ツールを組み合わせることによって、脳の空間時間的力学の追跡を可能にする。明らかであるように、「スペクトログラム」への参照は、周波数ドメイン情報の可視表現を指すことができる。
ラプラシアン参照は、例えば、図4のモニタリング装置の各電極部位における頭皮に対して垂直な半径方向電流密度を評価するために、処理ブロック606で実行することができる。これは、電極部位で記録された電圧と局所的近傍の電極部位で記録された電圧の平均との差を取ることによって、達成することができる。複数の電極にわたる情報の他の組み合わせは、関連する脳状態の推定を強化するために用いることができる。次に、処理ブロック608および610は、2つの有益な情報、すなわち、スペクトログラムおよびグローバルコヒーレンス情報を生成し、それは、麻酔を受け取っている患者の種々の状態における種々の空間時間的活動を示す。「スペクトログラム」処理が実行されるが、スペクトログラムの可視表現を表示する必要はない。一例では、プロポフォールについて、患者が覚醒している場合には、スペクトログラムは強い後頭部のα活動を示す。意識消失後には、スペクトログラムは、後頭部におけるα活動の消失およびδ活動の増加、ならびに前頭部における強いαおよびδ活動を示す。前頭部のα(8〜14Hz)、β(12〜30Hz)、およびδ(1〜4Hz)範囲の増加した電力が意識消失後に生じ、これはよく知られた前方化のパターンと合致する。患者が応答性を失うにつれて、α範囲の後頭部における協調された活動が減少する。α患者が無意識である場合には、α範囲の強い協調された活動が、スペクトログラムが前方化パターンを示す前頭部の電極部位において広く観測される。スペクトログラムの全体の高いδ活動にもかかわらず、協調された活動は、α範囲で観測できるだけである。後頭部のαおよびδ範囲の相対的電力は、患者の行動反応を確実に追跡する。プロポフォールでは、患者が覚醒している場合には、後頭部のα電力はδ電力よりも大きく、患者が無意識の場合には、逆になる。α範囲の強いグローバルコヒーレンスは、前頭部の電極部位において高度に協調された活動を示す。したがって、グローバルコヒーレンスおよび重み行列は、スペクトログラムと共に、麻酔下の患者の脳の現在の状態を決定し、将来の状態を予測するための第1のレベルのデータを提供する。スペクトログラムおよび関連したコヒーレンスおよびグローバルコヒーレンス推定は、正確な特定の時間周波数分解能および関連した脳状態を推定するのに必要な効率性を達成するために、マルチテーパ法を用いて、行うことができる。このような処理の初期検査および確認に関する更なる詳細は、Cimenser A,Purdon PL,Pierce ET,Walsh JL,Salazar−Gomez AF,Harrell PG,Tavares−Stoeckel C,Habeeb K,Brown EN(2011)による「Tracking brain states under general anesthesia by using global coherence analysis」Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 108:8832−8837に提供されている。グローバルコヒーレンスおよび位相振幅変調などの他の信号は、同様に追跡することができる。
処理ブロック612では、位相振幅解析が実行され、それは他の信号の位相に対する所与の信号の振幅を考慮し、逆もまた同じである。上述したように、EEG記録のスペクトル解析によって、本発明は、δ(1〜4Hz)、θ(5〜8Hz)、α(8〜14Hz)、β(12〜30Hz)、およびγ(30〜80Hz)の変化を含む、麻酔の投与と関係する特定の周波数帯の電力の系統的変化を追跡することができる。しかし、スペクトル解析は、各周波数帯域内で発振を独立に処理しており、異なる周波数のリズム間の位相または振幅の相関を無視している。
選択された1つもしくは複数の薬剤(処理ブロック602)、データの収集(処理ブロック604)、および取得したデータの解析(処理ブロック608〜612)に基づく、適切な解析文脈の上記の選択は、麻酔薬または麻酔薬の組み合わせが投与されるにつれて、そして、投与された麻酔薬または麻酔薬の組み合わせからの回復が生じるにつれて、患者の脳の状態についての新規で実質的に改良されたリアルタイム解析および報告のためのステージを設定する。すなわち、上述したように、投与された1つまたは複数の麻酔薬化合物の有効性の状態に関する特定の指標または用法指示は、上記の解析の各々から(特に、特定の選択された1つまたは複数の薬剤について調整された場合に)決定することができるが、本発明は、データのこれらの個別の部分の各々を考慮するための機構、麻酔下の患者の状態について正確に指示および/もしくは報告するためのより多くのこと、ならびに/または、麻酔下の患者の状態を示す指標または用法指示を提供する。
具体的には、処理ブロック614に示すように、上記の解析および/または結果のいずれかおよび全てを報告することができ、さらに、行動力学の正確な統計的特性評価と結合することができる。すなわち、意識消失および意識回復の点などの行動力学は、本発明により、正確にかつ統計学的に計算することができ、表示することができる。そのために、本発明は、行動マーカーに対するスペクトルおよびグローバルコヒーレンス解析の正確なアライメントを可能にする動的ベイズ法を用いることができる。
上述したように、本発明は、「医学的昏睡」などの、麻酔化合物によって影響されて意識が低減した状態に患者を置くために、麻酔化合物の投与を制御することができるだけではなく、より大きいまたはより小さい意識の状態へ、そしてそれから患者を導くためのシステムおよび方法を実現し反映することもできる。例えば、「REVERSAL OF GENERAL ANESTHESIA BY ADMINISTRATINO OF METHYLPHENIDATE,AMPHETAMINE、MODAFINIL,AMANTADINE,AND/OR CAFFINE」という名称の、同時係属出願PCT/US2011/050213は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
同時係属出願の上記の研究に先立って、分子レベルで全身麻酔薬の作用を中和する薬剤を開発する古典的な方法を用いる努力が成された。しかし、全身麻酔薬が意識消失を誘発させる明確に定義された分子目標が欠如していたため、このような努力は可能でなかった。その代わりに、本発明は、神経回路およびシステムのレベルで、全身麻酔から覚醒を能動的に誘発するために用いることができる覚醒経路があることを認識する。
例えば、本発明の一態様によれば、メチルフェニデートは、ドーパミンおよびノルエピネフリン再摂取輸送体の抑制剤として用いることができて、イソフルラン全身麻酔から覚醒を能動的に誘発する。メチルフェニデートは、意識を回復させ、覚醒と一致する脳波変化を誘発し、呼吸駆動を増加させるために用いることができる。メチルフェニデートによって誘発される行動および呼吸効果は、ドロペリドールによって抑制することができ、これは、ドーパミン作動性覚醒経路を起動させることによって、メチルフェニデートが覚醒を誘発するという証拠を支持している。プレチスモグラフィおよび血液ガス実験は、メチルフェニデートがわずかな通気を増加させ、それは脳からの麻酔除去の速度を増加させることを立証する。これらの、および他の所見は、Solt et al.,「Methylphenidate Actively Induces Emergence from General Anesthesia」,Anesthesiology 2011;115:791−803に含まれており、これは参照により全体として本明細書に組み込まれる。
上記を背景として、本発明は、上述したような制御システムを用いて覚醒を増進させることによって、イソフルラン、プロポフォールまたは他の全身麻酔から覚醒を能動的に誘発するために、メチルフェニデートまたは他の薬剤を用いることができることを確立する。例えば、上記の説明に加えて、Chemali et al.,「Active Emergence from Propofol General Anesthesia Is Induced by Methylphenidate」,Anesthesiology 2012;116:998−1005は、全身麻酔としてのプロポフォールの使用からのメチルフェニデートによる能動的な覚醒の使用を記述しており、これは参照により全体として本明細書に組み込まれる。
具体的には、図4に関して上述したようなシステムは、麻酔から能動的な覚醒を実行するために提供することができる。すなわち、このようなシステムは、図4のシステム410と統合することができる。図7に示すように、薬剤送出システム420は、2つの特定のサブシステムを含んでもよい。具体的には、上で詳細に説明したように、薬剤送出システム420は、1つまたは複数の麻酔化合物の投与量を被験者に送出するように設計された麻酔化合物投与システム700を含んでもよい。また薬剤送出システム420は、全身麻酔を逆転させる、または麻酔から被験者の自然な覚醒を増強させる1つまたは複数の化合物の投与量を送出するように設計された覚醒化合物投与システム710を含んでもよい。例えば、メチルフェニデート(MPH)ならびにその類似体および誘導体は、覚醒および呼吸駆動を増進させることによって麻酔によって誘発された無意識から被験者の覚醒を誘発する。このように、覚醒化合物投与システム710は、手術終了後に全身麻酔によって誘発された無意識および呼吸抑制を逆転させるために、メチルフェニデート(MPH)、アンフェタミン、モダフィニル、アマンタジン、またはカフェインを送出するために用いることができる。MPHは、右旋性メチルフェニデート(D−MPH)、ラセミ体メチルフェニデート、またはレフ−メチルフェニデート(L−MPH)であってもよく、あるいは、等しいまたは異なる比率、例えば約50%:50%、または約60%:40%、または約70%:30%、または80%:20%、90%:10%、95%:5%などの組成であってもよい。別の薬剤は、注意欠陥障害(ADD)または注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療のために使用する投与量より高い投与量のメチルフェニデートとして投与することができ、例えば、メチルフェニデートの投与量は、約10mg/kgと約5mg/kgとの間であってもよいし、約5mg/kgと10mg/kgとの間の任意の整数であってもよい。いくつかの状況では、投与量は、約7mg/kgと約O.1mg/kgとの間であり、あるいは、約5mg/kgと約0.5mg/kgとの間である。他の薬剤は、吸入されるものを含んでもよい。
さらに別の実施形態では、メトリックまたは複数のメトリックは、システム410によってモニターされ、正確なモニタリングおよび/または制御を容易にする。例えば、上述したように、1つの臨床的に関連した現象は、「バーストサプレッション」である。本発明の一態様によれば、バーストサプレッションの動的解析を行うために、新規な状態空間モデルが開発された。しかし、BSRなどのバーストサプレッションをモニターするための従来のメトリックの代わりに、本発明は、バーストサプレッション確率(BSP)の概念を導入する。BSPは、脳が抑制された状態にある瞬間的な尤度を解釈するために用いることができる。上述したシステム410は、リアルタイムにバーストサプレッションを追跡するためにBSPフィルタアルゴリズムを実行し、固定時間区間に記録されたバーストサプレッションを解析するために平滑化アルゴリズムを実行することができる。後述するように、1つのそのような方法は、1秒ごとのタイムスケールでバーストサプレッションの追跡を可能にし、システム410は、異なる時間でこの活動の正式な統計比較を行うことができる。
具体的には、BSPアルゴリズムは、好ましくは、点過程およびバイナリ観測に対する状態空間フレームワークに基づくことができる。観測モデルは二項過程であり、バーストサプレッションの脳状態の時間的変化は、ガウスランダムウォークとして表現される状態方程式によって定義される。状態上でロジスティック変換を作ることによって、BSPの概念は、バーストサプレッションの脳の状態を定義するために導入される。1つの構成によれば、モデルは、近似的な期待値最大化(EM)アルゴリズムを用いて推定され、全身麻酔下のげっ歯類のバーストサプレッション記録、低体温から覚醒する患者、および全身麻酔の導入に従う患者の解析においてその応用を例示する。本発明の方法は、長い時間にわたって人工的に「BSR」を平均することを不要にし、異なる時点におけるバースト活動の正式な統計比較を可能にする。状態空間モデルは、以下で詳しく述べるように、この重要なEEG脳状態を解析するための、より理にかなった有益な方法を提案する。
脳状態推定モデル
本発明による状態空間モデルを定式化するために、点過程、バストサプレッション情報、および他の一般のバイナリ時系列を解析するための状態空間パラダイムを用いることができる。観測区間(0、T]および状態空間モデルにわたって収集されたEEGデータは、その区間内の格子点の離散集合上で定義される、と仮定することができる。格子を定義するために、好ましくは大きな数である数(I)が選択され、区間は同じ幅Δ=TI-1のI個の部分区間に分割される。状態空間モデルは、i=1・・・Iについて、iΔにおいて評価される。
状態空間モデルは、その状態および観測方程式によって特性評価することができる。状態方程式は、時間とともにその変化を追跡することを望む観測不可能な状態過程を定義する。本発明の一態様では、状態は、バーストサプレッションの脳の状態を表す。例えば、状態は、サプレッションの確率に明らかに関連するように定義することができる。すなわち、状態が増加するにつれて、サプレッションの確率は増加し、状態が減少するにつれて、サプレッションの確率は減少する。観測方程式は、観測がどのように観測不可能な状態過程に関係するかについて記述する。目的は、このように、脳のバーストサプレッション状態、バーストサプレッション確率、およびそれらの関係する信頼区間を推定することである。
各区間Δにおいて、多くともn個のサプレッション事象があると仮定することができる。biをiΔにおけるサプレッション事象の数とする。さらに、観測モデルは、以下のような二項確率質量関数により記述されると仮定する。
ここで、piは、以下のロジスティック関数によって定義される。
iはBSPであり、xiは時刻iにおける脳のバーストサプレッション状態である。言い換えれば、piは、バーストサプレッションの瞬間的な確率である。ロジスティック関数は、脳のバーストサプレッション状態をサプレッション事象の確率に関連づけて、xiの範囲は全ての実数に及ぶが、piは0と1との間にとどまることを保証する。
状態モデルは、ランダムウォークとして定義することができる。
ここで、εiは平均0および分散σε2を有する独立ガウスランダム変数である。状態のこの定義は、確率的連続性制約を提供し、それは、状態および、それゆえに時間に近いBSPが値に近いことを保証する。パラメータσε2は、BSPがどの程度速く変化することができるかを決める。すなわち、σε2の値が大きい(小さい)ほど、状態およびBSPは急速に(緩やかに)変化することができる。
推定アルゴリズムを与えるために、b=(b1,b2,・・・,bI)およびx=(x1,x2,・・・,xI)とすることができる。式(3)で定義されたランダムウォークに基づいて、状態過程の同時確率密度は、以下のようになる。
そして、観測されたサプレッション事象の同時確率密度は、以下のようになる。
目的は、最大尤度(ML)を用いて、状態過程xおよびパラメータσε2およびx0を推定することであり、ここで初期状態x0はパラメータとして扱われる。これらの推定値が取得されると、BSPはその信頼区間を用いて直ちに計算することができる。
パラメータのML推定値を計算するために、点過程およびバイナリ時系列に対する近似的期待値最大化(EM)アルゴリズムを用いることができる。EMアルゴリズムは、2つのステップの間で繰り返して、完全なデータログ尤度の期待値を最大にすることによって、パラメータおよび観測不可能な状態過程を同時にモデル化する方法である。期待値ステップにおいて、それは、以前の反復からパラメータの推定値が与えられる完全なデータログ尤度の期待値を計算する。以下の最大化ステップにおいて、それは、それを最大にするパラメータを計算する。
完全なデータ尤度は、以下のようになる。
図8を参照して、1つの例示的なEMアルゴリズム800を説明する。処理ブロック802で、期待値ステップが実行される。処理802の期待値ステップは、反復処理の実際の典型的なものである。最初の反復は、デフォルトまたは選択された位置で始まる。反復l+1では、以下の式を用いて反復lからデータbおよびパラメータの推定値τ(l)およびx0 (l)が与えられる完全なデータログ尤度の期待値が計算される。
式(7)の右辺を展開することは、i=1,・・・,Iについて3つの量を推定する必要性を示す。時刻Iまでのデータを条件とする状態変数の期待値は、以下のようになる。
そして、時刻Iまでのデータを条件とする状態変数の共分散は、以下のようになる。
これらの量を効率的に計算するために、期待値ステップは、3つの部分に分割することができる。第一に、xi|iおよびσi|i 2の推定値は、前方バイナリ、または、本発明の一態様により、「BSP」フィルタを用いて計算され、それはバイナリフィルタの特定の実施である。第二に、後方固定区間平滑化アルゴリズム(FIS)は、xi|Iおよびσi|I 2を計算するために用いられる。最後に、状態空間共分散アルゴリズムは、共分散Wi|IおよびWi,i-1|Iを計算するために用いられる。
バイナリフィルタに関しては、反復lからパラメータ推定値が与えられて、このステップはxi|iおよびσi|i 2を推定する。これは、ステップが、非線形再帰的前方フィルタアルゴリズムを用いて、実験の開始からiまでデータを見て、iにおいて状態および分散を推定することを意味する。
1ステップ予測平均および分散は、以下によって与えられる。
後方モードおよび分散は、以下によって与えられる。
初期条件は、x0|0=x0 (l)、およびσ0|0 2=σe 2(l)である。pi|iは、後方分布のモードに対応する。xi|iが式(13)の両辺に現れるので、このフィルタは非線形である。それはニュートン法を用いて再帰的に計算することができるが、しかし、Δの幅が非常に小さい場合には、隣接する状態が非常に近く、式(13)の項pi|iをpi-1|i-1で置き換えることができる。
固定区間平滑器に関しては、前方フィルタからの後方モード推定値は、i=I−1,...,1についての推定値xi|Iを得るために、FISによって用いられる。これは、時刻iにおける推定値が、時刻Iまでの全てのデータを条件にすることを意味する。それは線形フィルタであり、状態の最終的な推定値はこのように、平均xi|Iおよび分散σi|I 2を有するガウス分布変数になる。FISは、以下のようになる。
および
初期条件は、フィルタアルゴリズムで以前に推定したxI|IおよびσI|I 2である。
状態空間共分散アルゴリズムに関しては、σi,j|Iは、以下のように導出することができる。
ここで、I1≦i≦j≦Iである。したがって、共分散は次式で与えられる。
および
再び図8を参照して、処理800は、処理ブロック804に進み、最大化ステップを実行する。この文脈では、τ=1/σε2とする。τは以下のように定義されるガンマ先行密度を有すると仮定することができる。
完全なデータログ尤度は、式(21)のτに対するガンマ先行密度を用いて、τに対して最大にされ、後方ログはτに対して最大にされる。完全なデータログ尤度の期待値は、後方の表現の尤度として役立つ。
τのログ後方密度は、次式に比例する。
τ(l+1)に関して(22)を最大にすることによって、次式を得る。
0 (l+1)に関して(23)を最大にすることによって、次式を得る。
τもしくは同等なσε2およびx0の最尤推定値は、それぞれτ()=σε-2()およびx0 ()である
その後、処理ブロック806で、動的なBSPが推定され、処理ブロック808で、上記の信頼区間が計算される。具体的には、アルゴリズムは、収束するまで期待値ステップと最大化ステップとの間で繰り返す。ML推定値x0およびσε2で評価される固定区間平滑化アルゴリズムは、ロジスティック方程式(2)と共に、i=1,・・・,Iについて時刻iにおけるサプレッションの確率を与える。変数変換によって、次式を用いて、BSP評価値に対応する確率密度関数を計算することができる。
式(25)の累積密度を計算し、第2.5および第97.5百分位数を識別することによって、信頼区間が得られる。
処理ブロック810で、異なる時刻におけるBSPの比較を実行することができる。状態をBSPと関連づけるロジスティック変換が単調であるので、時刻iのBSPが時刻jのBSPより大きい確率は、状態の対応する確率を計算することによって得られる。これは、モンテカルロ法で行われる。共分散アルゴリズムを用いて、1≦i<jである時刻iおよびjについて、拡張された状態空間試行間の共分散は、以下によって与えられる。
次に、それから、平均
および共分散行列
を有するガウス分布からMサンプルを引き出すことができ、以下のように、関連した確率がPr(xi|I>xj|I)の推定値である事例の数Gを計数することができる。
上述したように、本発明は、推定値の信頼区間を構築することによって、秒のスケールでBSPの推定を可能にし、異なる時点におけるバースト活動の正式な統計比較を可能にする。BSPアルゴリズムは、状態過程の同時分布を推定し、それによって任意の0≦i<j≦Nについて、Pr(xi>xj)を評価することができる。状態変数xiとBSP piとの間の変換が単調であるので、これは時刻iのBSPが時刻jのBSPより大きい確率と同等である。本発明の状態空間モデルは、この鍵となるEEG脳状態を解析し制御するための、より理にかなったおよび有益な方法を提案する。したがって、正式な比較は、予め選択された時点の間だけでなく、それらの間の全ての実験全体について行うことができ、そして、発生する重要な変化を追跡することができる。一態様では、麻酔薬または薬剤の投与などの医学的処置の間に脳状態を追跡するために、または、医学的昏睡などの疾病状態の進行を評価するために、それを用いることができる。別の態様では、種々の脳パターンの動的構造を明らかにするために、それを用いることができる。
バーストサプレッションを用いる閉ループモニター/制御
上述したBSPアルゴリズムは、例えば、従来の臨床医が制御する環境だけでなく、閉回路制御および薬剤送出システムを用いる場合でも、広い適用可能性を有する。すなわち、本発明の一実施形態では、閉ループ麻酔薬送出および制御システムが提供され、それは上述したBSPアルゴリズムを用いることができる。
閉ループモニタリングおよび薬剤送出制御システムの以下の説明は、広い臨床応用を有する。しかし、例示的な目的のために、以下の説明は、バーストサプレッションの特定のレベルに関して医学的昏睡の特定のレベルを維持するための、麻酔薬の閉ループ調整を用いた医学的昏睡の自動制御の臨床応用に関して成される。この応用では、バーストサプレッションの測定されたレベルは、麻酔注入が連続する最適な方法で調整されるフィードバック信号として用いられる。
バーストサプレッションの維持が全身麻酔の目的ではないが、それは脳損傷から回復している患者を援助するための医学的昏睡の安定状態を提供する手段である。ほとんどの場合、薬剤は特定の速度で投与され、臨床検査は断続的に行われ、脳状態の連続的EEG追跡は実行されない。この方法に対する共通の懸念は、薬剤を最終的に過剰投与すること、およびその後のこれらの過剰投与症候群の致命的な後遺症である。医学的昏睡が治療目的のために目標とされる脳状態であることは反語的であるが、それでも、脳の状態は一般に連続してモニターされず、制御されない。シミュレーション結果は、バーストサプレッションの正確なレベルで医学的昏睡の脳の維持が高度に可能であるという動かぬ証拠を提供する。
1つの臨床応用では、制御目標は、医学的昏睡に対応する目標BSRを達成し維持することであってもよく、それによって、平衡効果部位濃度を維持することができる。好適であるがあまりに複雑でないモデルを設計するために、中枢区画薬剤注入と効果部位濃度増加との間のタイムラグにより、薬剤濃度の変化を正確にモデル化するために、少なくとも2つの区画がなければならないことを仮定することができる。このような簡略化された2区画モデルは、他の任意の末梢薬剤分布区画を無視して、一次伝達過程によって接続される中枢プラズマ区画および補助的な効果部位区画から構成される。
図9Aの薬物動態学的モデルは、以下の2次線形微分方程式系によって記述することができる。
ここで、
注入速度utは、μg/s単位で、係数σでスケールされる。動力学的速度定数k12およびk21は、区画間の薬剤の流れを支配し、速度定数k10は、中枢区画からの薬剤の除去の速度を決定する。多くの母集団モデルにおいて共通の、遅い末梢区画および速い末梢区画は、含まれない。このモデルのパラメータが被験者および薬剤に特有のモデルについて推定されると、制御シミュレーションを、システムの挙動を調べるために実行することができる。
効果区画の薬剤の濃度をバーストサプレッションの状態にある脳の傾向と関連づけるために、式(2)が所与の時刻tにおけるBSPを定義するために、以下のように変形される。
式(30)は、脳の効果区画の薬剤濃度、すなわち区間[0,∞)での数を[0,1)でのBSP値にマップする。指標が0と1との間の数であることを明示的に示すので、BSPは、VijnおよびSneyd、またはRampilおよびLasterによって定義されたBSRより適切な項である。さらに、BSPは、EEGをこの問題に対する効果部位区画濃度と関連づけるための、より理にかなった方法に導く。
式(28)〜(30)のモデルは、x2tまたはptを直接観測することができれば、閉ループ制御システムのための決定論的コントローラを設計するための十分な出発点である。しかし、確率過程であるEEG信号だけが観測することができるので、これは当てはまらない。制御問題のより正確な数学的定式化を与えるために、EEGをx2tおよびptに関連づける確率的モデルを定義することができる。そのために、バイナリフィルタアルゴリズムを実行することができ、それは、しきい値処理されたEEG信号からBSP、
の動的な推定値を計算し、リアルタイムにエラー信号をシステムコントローラに入力することを可能にする。
ここで図9Bを参照すると、バイナリフィルタがどのようにEEG信号を処理することができるかという例が提供される。しきい値処理は、EEGの差分を計算して、バースト期間、例えば100msの期間を定義することによって達成され、差分化されたEEG信号の絶対値(641.03Hzなどの任意の所望の周波数でデジタル化した)は、その期間の任意の点で、しきい値(すなわち15μV)より大きい。同様に、差分化されたEEG信号の絶対値が区間の全体にわたってしきい値(すなわち15μV)を超えない場合には、区間はサプレッション期間として定義される。したがって、しきい値処理されたEEG信号は、任意の区間tで定義されたバイナリ時系列として書き込むことができる。
BSP、ptは、ntが抑制された状態にある確率であると仮定することができる。そうすると、任意の区間tにおいて、ntは次式によって定義されるベルヌーイランダム変数になる。
EEGの確率的モデルを完成して、ntからリアルタイムにptを推定するために、以下のように定義することができる。
そして、それがランダムウォークモデルに従うと仮定する。
式(3)から変形され、ここで、vtはゼロ平均および分散σv 2を有する独立ガウス雑音である。式(34)は、BSPの更新された値が直前の値に近いことを保証する確率的連続性制約である。確率的連続性の程度は、σv 2によって決まる。σv 2の値が大きい(小さい)ほど、隣接する区間の間のBSPの許容される変化の程度は大きい(小さい)。σv 2の推定値は、以下のように得られる。
ここで、ztは、式(30)および(33)を用いて変換されたVijnおよびSneydのBSRデータを示す。両モデルについて、σv 2=10-5とすることができるが、他の値も可能である。
参照により全体として本明細書に組み込まれる、Chemali JJ,Wong KFK,Solt K,Brown EN,「A state−space model of the burst suppression ratio」,IEEE EMBC Sep 2011,Boston,MAによれば、ptは、このモデルのために以下のように定義されたバイナリフィルタを用いて、ntの時系列からリアルタイムに推定することができる。
ここで、
式(14)による式(11)の変形に留意されたい。式(36c)および(36d)は、ztの陰関数である。解くために、停止基準を有するニュートン法の実行が用いられる。
および
ルートが要求される関数は、以下の通りである。
そして、連続したnt値間の小さい時間区間により、zt-1|t-1は、ニュートン法を開始するためのzt|tに対する適切な初期推定値である。計算を減らすために、pt=E(nt)であるから、f’(yt|t)の期待値を用いることができる。
このように、ルートの各連続した推定値
は、局所的フィッシャースコアリングアルゴリズムによって計算することができる。
停止基準が満たされる(10未満の反復で生じる場合がある)と、zt|tおよびσt|tは、最終的な反復からの推定値であるとみなされる。このバイナリフィルタを時系列ntに適用することによって、ptの推定値を計算することができ、リアルタイムにそれを用いてコントローラへの入力のためのエラー信号を計算することができる。
本発明の確率的BSPモデルおよびバイナリフィルタアルゴリズムは、しきい値処理されたEEGからBSPを推定するための、理にかなった最適に近い手順を与える。
が確率的信号であっても、隣接する推定値がミリ秒ごとに分離されるので、この信号は十分に平滑であり、決定論的制御システムへの入力として用いることができる。
確率制御問題をシミュレーションするために、注入駆動微分方程式系の出力はptに変換され、そして、長さ(Fs×dt)のバイナリ値のベクトルを生成するために各時間区間dtで用いられる。ここで、Fsはバイナリフィルタのntの入力周波数を示す。一実施形態では、1秒の時間区間について、200Hzのバイナリフィルタ入力周波数を用いることができるが、他の周波数も可能である。バイナリフィルタは、これらの整数について反復し、バーストサプレッション
の傾向に対する更新された推定値を生成する。
BSPのこの動的な推定は、比例積分(PI)コントローラに入力するエラー信号を生成するために、負のフィードバックとして用いることができる。それから、コントローラの有効性は、確率的フィードバック信号の文脈でテストすることができる。図10を参照すると、閉ループ制御は、PI方式を用いて実現することができ、制御入力は以下のように計算される。
信号etは、次式で定義される誤差である。
ここで、
は目標BSPに対応する。この方式では、現行の状態推定
は、エラー信号etを生成するために、目標BSP、p0から減算される。この誤差はコントローラによって処理され、それは区画薬物動態学モデルを駆動するようにポンプの注入速度utを適切に調整する。この基礎をなすシステムを形成する微分方程式のシステムは、x2tを生成するために数値的に評価され、それはptに変換される。確定的シミュレーションシナリオでは、このptは、付加的なガウス誤差があってもなくても、現行の状態推定とみなされる。確率的シミュレーションシナリオでは、このptは一連のベルヌーイバイナリ整数ntを生成するために用いられ、それは、理にかなった状態推定
を生成するために、バイナリまたはBSPフィルタによって処理される。
フィードバック信号
は、バイナリフィルタの出力である。確定系の閉ループステップ応答に関して好適な性能を達成するために、利得KpおよびKiを選択することができる、すなわち、
である場合である。具体的には、麻酔誘導の潜在的に望ましくない特徴であるオーバーシュートを最小にしつつ、速い上昇時間を保証する利得を求めることは、有利であり得る。閉ループシステムの優位な極が複素平面の規定された領域内にあることを保証することによって、このタイプの性能仕様を達成することができる。この処理を完成するために、開ループシステム伝達関数を取得するために、式(41)の連続時間類似体を用いることができる。
ここで、X2(s)およびE(s)は、それぞれ、x2tおよびetのラプラス変換である。式(43)から、閉ループシステムの極が特性方程式の解である。
1+H(s)=0 (44)
式(43)および(式44)から、KiおよびKpは、s平面内の閉ループ極の位置に影響を及ぼすように選択することができる。不必要なオーバーシュートを回避する要求を与えられると、閉ループ極が完全に実数直線にある最も速い力学を目指すことができる。閉ループシステムの場合では、それは、式(44)の実数の繰り返されたルートになる。
解析を単純化するために、比KiおよびKpは、以下に設定することができる。
それによって、式(43)のポールゼロ補償を導いて、次式を得る。
この簡略化した開ループ伝達関数を式(44)に代入して、閉ループシステムの極は、以下の解法によって与えられる。
反復された実数のルートの設計目標が与えられると、次式を満たすKiおよびKpを選択することができる。
したがって、所望の仕様を達成するための最適PIコントローラ利得は次のようになる。
および
したがって、制御利得は、基礎となるシステムパラメータに特有の方法で計算することができる。
上記のコントローラアーキテクチャは、パラメトリック不確実性に対して非常に堅固である。この堅固性は、安定余裕に関して特性評価することができる。具体的には、「真の」パラメータk10、k21は、それぞれ乗数的因子σ10およびσ21だけ、モデルから外れると仮定することができる。式(43)、(49)、および(50)から、開ループ伝達関数は次式で与えられる。
標準ルート軌跡引数を用いて、以下の条件が成り立つ場合には、対応する閉ループシステムの極が全てのKp>0について安定であることを確かめることができる。
ここで、式(52)の保守的な十分条件は、以下の通りである。
それは、パラメトリック不確実性の寛容なトレードオフ関係を構成する。例えば、パラメータk10およびk21は、閉ループ安定性を妥協して処理するために、少なくとも50%の誤同定を必要とする。この基準は、全てのKp>0について安定性を保証し、式(49)のようなKpの選択を含むことに留意されたい。さらに、それは、k12またはσの任意の不確実性がシステムを不安定にしないことを保証する(このような不確実性がKpに乗法的に入るので)。
実数の極をもつように閉ループシステムを設計することによって、寛容な位相余裕、すなわち、不確実な時間遅延に対する感度が保証される。この方法の式(49)および(20)が実数値の極に導くので、これらの余裕は75度程度であり得る。開ループシステムダイナミックスが比較的遅いとすると、これはおよそ分程度の時間遅延の許容値になる。
式(36c)から、推定値xt|tは次のように表すことができる。
ここで、wtは、ゼロ平均および分散σt|t 2のガウス型から生成される正規対数ランダム変数である。式(14)から、概念的には、これは、フィードバック利得Ki、Kpのパラメトリック不確実性として見ることができる。しかし、上で示すように、式(22)および(23)のPI設計は、大きい安定余裕を有し、実際、Kpは無限大の利得余裕を有する。
さらに、バイナリフィルタアルゴリズムから、
が有界であることが知られている。したがって、確率的閉ループシステムの軌跡は、
について有限分散を有するという、本明細書で追求されるモンテカルロシミュレーションで検証された性質になる。
上記のシステムおよび方法は、実施例としてさらに理解することができる。これらの実施例は、例示する目的でのみ提供され、いかなる形であれ本発明の範囲を限定することを意図しない。実際、本明細書に図示され記載されたものに加えて、本発明の様々な変形は、上記の説明および以下の実施例から当業者にとって明らかになり、添付の特許請求の範囲に含まれる。例えば、特定の薬剤および処置に関係する脳状態、医学的条件などの特定の実施例が提供されるが、理解されるように、その他の薬剤、投与量、条件、および処置もまた、本発明の範囲内であるとみなすことができる。同様に、信号継続時間、強度、出現率などの変数に基づいて変化することができる処理パラメータについて詳述する(例えば、信号処理)。
実施例I
安定バーストサプレッションにおけるフィゾスチグミン効果
以下の説明は、全身麻酔によって誘発されたバーストサプレッションの状態にあるラットの解析に関するものである。BSPは、その利点を示すために、BSRと比較される。本明細書で説明する実験では、信号は、5Hzと30Hzとの間で第1の帯域通過フィルタにより処理された。フィルタ処理された信号はしきい値処理されて、継続時間500ミリ秒未満のサプレッション区間は1に切り替えられた。それから、バイナリ列は、BSPアルゴリズムへの入力として提供された。
BSPアルゴリズムは、フィゾスチグミン、すなわち覚醒を増加させると仮定されるコリン作用性アゴニストによって、深い麻酔中に観察されるバーストサプレッションパターンが連続活動(増加した覚醒と関係する)に切り替わるどうかをテストするために記録されたラットEEG信号で評価された。この実験では、フィゾスチグミンが、生理食塩水(制御)でなく、バーストサプレッション(深い麻酔)からデルタ波形(軽い麻酔)へのシフトを誘発するかどうかについて知っていることが有利である。そうである場合には、その変化の時間的力学を特性評価することが望ましい。
硬膜外EEG電極を前もって植え込まれたラットは、2%イソフルランによって深く麻酔された。吸入濃度の安定化後、EEG信号は、生理食塩水の静脈注射(制御)の前に、10分間記録された。6分後に、フィゾスチグミンが注入され、さらに30分間記録が維持された。総観測区間は40分であり、EEG信号は512Hzでサンプリングされた。Δ=512の選択は、1秒の分解能に対応する。BSRおよびBSPは、共に、力学の検出を最大にするために、1秒の期間で計算された。
図11A〜Dは、512Hzでサンプリングされた完全な生の信号(図11A)、対応するバイナリ信号(図11B)、BSR推定値(図11C)、およびBSP推定値(図11D)を示す。この分解能では、BSRは非常に雑音が多い信号であり、更なる処理なしに解釈に用いることができない。フィゾスチグミンの注射で明白な低下がBSRにあるにもかかわらず、低下の統計的有意性を測定する理にかなった方法がない。通常は、これらの実験では、低下について結論を作るために、いくつかのラットでプロトコルが繰り返される。
対照的に、BSPは、同じ分解能を用いて、平滑な推定値を与える。脳状態が包括的に安定したバーストサプレッション状態(BSPは約0.5である)にあることが容易に分かる。フィゾスチグミン、すなわち覚醒薬剤の注射で、ラットは、すぐにサプレッションから出てくる(BSPは0である)が、約10分間でサプレッション区間が再び現れて、ゆっくり増加してベースライン確率に戻る。微細な分解能のため、BSPの平均値周辺の自然な変動も識別される。例えば、4分と7分との間のBSPでは、BSPは、1分にわたって急峻に増加し、それから、2、3分にわたってゆっくり減少する。これは、長いサプレッション期間の後に、バースト期間がサプレッション期間を適度に超えるパターンが続いたことを意味する。
16分の生理食塩水の注射によって力学のいかなる変化も生じないが、BSRとBSPとの間の20分ごろの推定値の差に注意することは興味深い。BSRはメモリのない手段であり、EEG信号が動的な時系列であることを考慮せずに、各バイナリの1秒の分数を計算する。したがって、全体の状態がこれらの推定値を明らかに正当化しないにもかかわらず、18分および22分に、BSRはそれぞれ0.5および0.2のピークに達する。対照的に、BSP推定値は、この区間では一貫して0に非常に近い値にとどまる。さらにまた、推定値の計算された信頼区間によって、正式な統計的推測を行うことが可能になる。
図12Aは、1秒の期間で計算された信頼区間を有するSD(Sprague−Dawley)ラットのBSP推定波形を示す。
図12Bは、点ごとの三角比較行列であり、横時間軸に沿ったあらゆる点が時間内の全ての先行する点とどのように比較されるかを示す。図12Aの波形についてPr(xi>xj)を評価して、xj(y軸)は時刻jでのBSPに対応し、xi(x軸)は、時刻iでのBSPに対応し、より暗い色の領域800は、横軸xi上の対応する値が0.95の確率で縦軸xj上の対応する値より大きいことを示す。同様に、より明るい色の領域802は、横軸xi上の対応する値が0.95の確率で縦軸xj上の対応する値より小さいことを示す。言い換えれば、明るい色のエントリはPr(xi<xj)=0.95に対応し、暗いエントリはPr(xi>xj)=0.95に対応する。ここで、iは横軸の指標であり、jは縦軸の指標である。
最初の15分および最後の10分における明るい色および暗い色のドットのパターンから理解されるように、平均のまわりの変動は、単に雑音が多い信号によって説明されるだけでなく、重要な動的構造を反映する。それらが重要でなければ、全ての対応するエントリは灰色だっただろう。生理食塩水の注射前およびその後のパターンが、類似していることも分かる。
さらに、この実施例では、変化は非常に劇的で、BSPプロットでは容易に分かるが、点ごとの比較行列は、16分のフィゾスチグミンの注射の後、26分ごろまで、BSPが全ての他の時点でBSPより著しく小さいことを確認する。フィゾスチグミンが、増加した覚醒を誘発するコリン作用性アゴニストであることから、BSPのこの急激な低下は予想される。
バーストサプレッションの変化が関心のある条件と相関している場合には、この種の比較は有利である。例えば、それは、例えば亜急性硬化症全脳炎の疾病の進行と関連づけることができる。これらの場合には、有意性の尺度が診断を導く際に基本となる。
実施例II
低体温中のバーストサプレッション
上記のシステムおよび方法は、幅広い臨床適用可能性を有する。1つの例示的な臨床応用は、低体温中のバーストサプレッションを追跡する能力を含む。例えば、約3時間半の心臓手術の間、低体温によって誘発されたバーストサプレッションレベルの変化を評価するために用いる場合に、バイナリフィルタを考慮する。
以下の説明は、低体温によって誘発されたバーストサプレッションの状態にある患者の解析に関するものである。BSPは、その利点を示すために、BSRと比較される。信号は、5Hzと30Hzとの間で第1の帯域通過フィルタにより処理された。それから、フィルタ処理された信号はしきい値処理されて、継続時間500ミリ秒未満のサプレッション区間は1に切り替えられた。それから、バイナリ列は、BSPアルゴリズムへの入力として提供された。
この実施例では、EEG信号は、FZ電極と参照される、FP1部位の頭皮電極から記録された。総観測区間は208分であり、EEG信号は250Hzでサンプリングされた。Δ=250の選択は、前の事例のように1秒の分解能に対応する。図13A〜Eは、250Hzでサンプリングされた完全な生の信号(図13A)、対応するバイナリ信号(図13B)、1秒の期間で計算されたBSR推定値(図13C)、MLパラメータ推定値を用いるバイナリフィルタによるBSP推定値(図13D)、および平滑化アルゴリズムによるBSP推定値(図13E)を示す。
バイナリフィルタへの入力は、バイナリ信号、状態過程x0の初期値、およびノイズ分散σ2から構成され、それはアルゴリズムがどの程度早くBSPの変化を追跡するかを決定する。いくつかの事例では、これらのパラメータは容易に近似される。図13CのBSRは、初期の25分間の連続活動の後に、EEGはバーストサプレッションモードに入り、それは50分ごろに中断して、ほぼ等電位状態に変わる。対称的に、150分ごろに、バーストサプレッション活動は25分間再び現れて、患者はバーストサプレッションから出てくる。この分解能では、BSRから視覚的にバーストサプレッションのレベルを追跡することは、非常に困難である。
図13Dのバイナリフィルタ推定値は、より滑らかな曲線である。パターンの一般的傾向は非常に明白であり、増加および減少は直線的で、それぞれ約10分かかっている。患者は、約110分間、安定したほぼ等電位の脳状態にとどまっている。初期増加の後の20分と30分との間のBSPの脈動は、長いサプレッション期間および長いバースト期間が存在することを示す。
図13EのBSPは、最も滑らかな曲線である。それは、冷却と復温との間でほぼ対称である。増加および減少は直線的で、両方の場合で約10分かかる。患者は、約110分間、安定したほぼ等電位の脳状態にとどまっている。
バイナリフィルタを用いるために、わずか2つのパラメータを定義することができる。すなわち、初期状態x0およびノイズ分散σ2を定義することができる。いくつかの実際的な事例では、これらのパラメータは、現実的な値の範囲に限定することができる。それから、バイナリフィルタは、バーストサプレッションの変化をリアルタイムにうまく追跡する。対照的に、BSRは、非常に雑音が多く、有益なリアルタイム推定値を与えない。これは、EEG活動の連続進行中の表示に関心がある場合には、前方フィルタが役立つことを示唆する。それが非常に微細な分解能で追跡することができて、誤差の推定値を計算することができるので、それは離散事象の容易で信頼性が高い認識を可能にする。
実施例III
プロポフォール導入中のバーストサプレッション
別の例示的な臨床応用は、プロポフォールボーラス導入中のバーストサプレッションの追跡である。通常、手術室では、麻酔薬のボーラス投与量は、全身麻酔を誘発するために速やかに投与される。患者が数秒以内にバーストサプレッションに入り、数分間その状態のままであることがしばしばある。薬剤の効率はいくつかの経験的要因に依存するので、それは到達するサプレッションのレベルおよびその軌跡をモニターすることに関連し、それは任意の異常を検出するのを助けることができ、または次の投与量もしくは麻酔のレベルを調整するのを助けることができる。
本発明の方法は、プロポフォールボーラスによって誘発されるバーストサプレッションパターンおよびその進行において評価された。EEGは、標準電極構成のFZ電極と参照される、FP1部位の頭皮電極から記録された。総観測区間は17分であり、EEG信号は250Hzでサンプリングされた。Δ=250の選択は、前の事例のように1秒の分解能に対応する。
図14A〜Eは、250Hzでサンプリングされた完全な生の信号(図14A)、対応するバイナリ信号(図14B)、1秒の期間で計算されたBSR推定値(図14C)、MLパラメータ推定値を用いるバイナリフィルタによるBSP推定値(図14D)、および平滑化アルゴリズムによるBSP推定値(図14E)を示す。誘発の後、進行は単調でない。フィルタおよび平滑器によるBSPは、2分にそれぞれ約0.5および0.6まで上がり、約0.2および0.1に減少し、それから、ゆっくりと増加して約0.7のBSPに到達し、単調に0に減少する。バーストサプレッションは約8分間持続し、その半分は増加する軌跡であり、残り半分は減少する軌跡である。
実施例IV
プロポフォールおよびエトミデートにおけるバーストサプレッション制御
制御システムの識別および定式化は、ラットのプロポフォールおよびエトミデート注入について最初に行われた。10秒ボーラス投与量(8mg kg-1プロポフォール、3.5mg kg-1エトミデート)の後で、計算されたBSR時間経過のVijnおよびSneydによって収集されたデータが、薬物動態学モデルの推定のために用いられた。極めて弱められたシステム応答、すなわち、オーバーシュートのない最速上昇時間をもたらすために、これらの推定されたパラメータを用いて閉ループコントローラ(下記参照)を設計した。表1は、ラットのプロポフォールおよびエトミデート注入のシステムパラメータを示す。
表1.薬物動態学モデル推定のための速度定数(分-1で与えられる)およびスケーリング係数、ならびに、薬剤特有のラットモデルのための最適化された決定論的コントローラ利得
図15Aおよび図15Bは、VijnおよびSneydにより報告されたデータと比較される、これらの推定された薬物動態学的システムのためのシミュレーションされたBSP時間経過を示す。本発明による閉ループシステムの実現可能性を真にテストするためには、その実際の装置の確率的性質を模倣するために、バイナリフィルタを閉ループシステムに追加することを必要とする。それがptの動的な推定値を正確に出力していたことを保証するために、アルゴリズムは、VijnおよびSneydのデータで実施されテストされた。VijnおよびSneydデータの各1秒区間で、200バイナリ整数のベルヌーイ過程が生成され、区間に分割されしきい値処理されたEEG信号をシミュレーションした。このベクトルは、バイナリフィルタアルゴリズムへの入力として用いられ、それは1秒当たり1つの更新された
を出力する。図16A〜Bで明らかなように、正確に動的にVijnおよびSneydのBSR曲線を推定するアルゴリズムの能力に基づいて、それは、確率制御システムをモデル化するために、制御ループに組み込まれた。
最適化されたコントローラは、区間[0.15,0.9]上に等間隔に設けられた6つの目標BSP値でテストされた。最初に、システム応答は、決定論的フィードバック信号を用いてシミュレーションされた。数値的に評価されたx2tは、バイナリフィルタを使わずに、各時間区間でptに単純に変換され、フィードバックされた。これらの6つの目標について、シミュレーションされた閉ループシステムは、プロポフォール注入では1.319分、およびエトミデート注入では3.031分の平均上昇時間(t90%〜t10%)で実行し、コントローラ設計理論によって予測されるように、どちらのモデルでもオーバーシュートがなかった。この決定論的フィードバックシナリオのより現実的なシミュレーションを提供するために、0平均およびその現行の値の3%の標準偏差を有するガウス雑音が変換の前に評価されたx2tに追加された。制御システムは、付加されたノイズを有する目標BSRレベルを達成し維持することが、依然として可能だった。最後に、制御システムは、BSP、
の動的な推定を提供するために、バイナリフィルタを用いて確率的フィードバック信号によりシミュレーションされた。図17A〜D’は、これらの3つのフィードバックシナリオのラットモデルのシステム応答を示す。
それから、制御システムの識別および定式化が、人間のプロポフォールおよびエトミデート注入について行われた。表2は、人間のプロポフォールおよびエトミデート注入のシステムパラメータを示す。
表2.薬物動態学モデル推定のための速度定数(分-1で与えられる)およびスケーリング係数、ならびに、薬剤特有の人間モデルのための最適化された決定論的コントローラ利得
既存の4区画薬物動態学的モデルは、VijnおよびSneydのデータに類似した人間のBSP時間経過を生成するために用いられた。これらの曲線から、上記の2区画モデルが合わせ込まれて、結果として生じるパラメータは、閉ループコントローラ(下記参照)を設計するために用いられた。図18A〜Bは、シミュレーションされた4区画モデルBSPトレースと比較される、これらのシミュレーションされた2区画モデルBSPトレースを示す。
バイナリフィルタが、人間モデルにおいてラットモデルと正確に同一に動作すると推測して、最適化されたコントローラは、区間[0.15,0.9]上の同じ6つの目標において、人間の薬物動態学的モデルでテストされた。閉ループシステムは、3つのフィードバックシナリオで再びシミュレーションされた。すなわち、ptの決定論的フィードバック、ガウス雑音を有するptの決定論的フィードバック、および
の確率的バイナリフィルタフィードバックである。理想決定論的フィードバック信号を用いて、システムは、目標オーバーシュートなしに、プロポフォール注入では7.356分、およびエトミデート注入では9.411分の平均上昇時間で実行した。図19A〜D’は、これらの3つのフィードバックシナリオの人間モデルのシステム応答を示す。
最後に、臨床設定に適用できるBSPターゲティング方式をシミュレーションするために、閉ループシステムは変化する目標でテストされ、人間モデルをバーストサプレッションにより深く駆動し、患者がバーストサプレッションから出てきて終了した(図20を参照)。
薬物動態学モデル推定に関して、ラットモデルのためのデータは、VijnおよびSneydのCLADシステム研究から得られ、それは10秒ボーラス投与量(8mg kg-1プロポフォール、3.5mg kg-1エトミデート)後に、ラットで計算されたBSRの平滑化された時間経過を示した。人間モデルでは、既存の母集団薬物動態学的モデルは、30歳、180cm、70kgの男性のために較正された。プロポフォールについては、参照により本明細書に組み込まれる、Schnider TW,Minto CF,Gambus PL,Andresen C,Goodale DB,et al.(1998)The inuence of method of administration and covariates on the pharmacokinetics of propofol in adult volunteers.Anesthesiology 88:1170−82の母集団モデルを、250mg kg-1の10秒ボーラスの間およびその後の効果部位濃度を数値的に評価するために用いた。効果部位濃度が非ゼロである瞬間に、患者がバーストサプレッションの状態に入ることはできないので、濃度トレースは、患者が0.7のBSPでピークに達し、投与の開始の7分後にバーストサプレッションから出てくるように、負にシフトされて、ptに変換された。エトミデートについては、参照により本明細書に組み込まれる、Arden JR,Holley FO,Stanski DR(1986)Increased sensitivity to etomidate in the elderly:initial distribution versus altered brain response.Anesthesiology 65:19−27の母集団モデルを、110mg kg-1の10秒ボーラスの間およびその後の効果部位濃度を数値的に評価するために用いた。濃度トレースは、患者が0.7のBSPでピークに達し、投与の開始の12分後にバーストサプレッションから出てくるように、負にシフトされて、ptに変換された。
2区画薬物動態学的モデルをこのデータに合わせ込むために、これらのBSP時間経過と、2区画モデルパラメータk10、k12、k21、およびσの所与のセットから数値的に評価されたBSP時間経過との間の二乗平均誤差を計算するために、Matlab関数が生成された。この二乗平均誤差を最小化するように薬物動態学的モデルのこれらの4つのパラメータを最適化し、最もよく合わせ込まれた速度定数およびスケーリング係数の推定値を生成するために、MatlabのOptimization Toolboxを用いた。
要約すると、本発明は、麻酔の効果に直接関連し得る、脳波(EEG)マーカーを提供し、それは、リアルタイムに計算することができ、エラー信号を生成するために用いることができる。このエラー信号、または測定されたマーカー値と目標とされるマーカー値との間の差は、所望の麻酔状態を維持するために用いることができる。一態様では、エラー信号は、コンピュータ制御の注入装置からの薬剤投与の速度を調整するために、リアルタイムに処理される。基礎をなすシステムの薬物動態学、および閉ループコントローラの応答が良好に特性評価される場合には、EEGマーカーを制御して、所望の間特定の麻酔状態に脳を維持することが可能である。
本発明の一態様によれば、新規なメトリック、例えばバーストサプレッション確率(BSP)は、バーストサプレッション比率(BSR)などの古いメトリックに依存する従来のシステムでは考察されない新規な種々の方法論で用いることができる。さらに、システムおよび方法は、EEGバーストおよびサプレッションをリアルタイムにバイナリ時系列に変換するために提供される。バイナリ時系列は、バーストサプレッション確率(BSP)アルゴリズムへの入力として役立つ。BSPアルゴリズムは、バイナリおよび点過程観測のための状態空間モデルを用いたバーストサプレッションの脳の状態の1秒ごとの推定を提供する。解析パラダイムは、期待値最大化(EM)アルゴリズムを用いて、モデルパラメータを推定するために提供される。EMアルゴリズムは、任意の2つの時点で推定されるBSPの間の正式な統計比較を容易にするために、信頼区間を提供する。
さらに、本発明は、麻酔化合物の投与、および/または麻酔化合物を受け取っている患者の現行のまたは所望の状態をモニターし制御するための閉ループシステムを提供する。本発明の閉ループシステムは、制御メカニズムとしてバーストサプレッションおよびBSPを用いるように設計することができる。様々な薬剤のための、複数区画のバーストサプレッション特有モデルは、薬物動態学的母集団モデルを用いて挿入された。より詳しくは、薬剤特有の比例積分(PI)コントローラは、特有のBSP目標レベルを維持するように設計されている。この制御システム内で、エラー信号は、EEG記録からBSPを推定するための本発明のバイナリフィルタアルゴリズムを用いて、確実に計算することができる。さらに、本発明は、患者の脳波記録法(EEG)などのすぐに利用できるモニタリング情報を用いて、麻酔下の患者の脳の状態を決定するためのシステムおよび方法を提供する。
また本発明は、一次伝達過程によって接続される中枢プラズマ区画および補助的な効果部位区画から構成される2区画モデルを提供し、所望するように、単純性および有効性のために、他の任意の末梢薬剤分布区画を無視することができる。モデルは、リアルタイムにEEG信号をBSPの推定値に変換する、バイナリフィルタアルゴリズムを有利に用いるために、閉ループシステムで用いることができる。また、BSPが大きいほど、サプレッションのレベルが大きくなり、それゆえに、BSPは、誘発される医学的昏睡の深さの特定の定量的尺度を提供する。麻酔注入力学をバーストサプレッション確率にパラメータ的に関連づける数学的モデルが提供される。バーストサプレッション形態をEEGから抽出するための信号処理アルゴリズムも提供される。コントローラは、バイナリフィルタ出力に基づくフィードバック制御を用いて、リアルタイムにBSPを調整するように設計することができる。
本発明は、麻酔化合物が麻酔下の患者の生理特性の異なる用法指示を誘発させることを認識し、このような情報の解釈を助ける。例えば、本発明は、例えば、医学的昏睡の制御、集中治療室(ICU)の鎮静の制御、手術室(OR)での全身麻酔の制御、外来患者処置のための鎮静の制御などを含む臨床応用の多様なリストの用途に順応性がある。麻酔深度を制御する以前の試みおよび他のCLADシステムとは異なり、本発明は、臨床医によって選択される特定の生理的に定義された脳状態を維持するのを助けるための「オートパイロット」を提供することによって、臨床医の医学的判断に関連して用いるために想定される。このCLADシステムは、それによって、患者のケアを管理する臨床医の能力を強化する。選択された麻酔化合物と関係する生理特性および用法指示を用いて、本発明は、生理特性および用法指示を患者の脳の状態に関係づけることを助ける。さらに、本発明は、麻酔化合物の影響を受けている患者の能動的覚醒を能動的に制御および/または誘発するためのシステムおよび方法を提供する。
本発明の別の態様によれば、正確なまたは所望の患者状態を達成するために、バーストサプレッションを維持するための自動化システムが提供される。本発明は、低体温、全身麻酔、医学的昏睡など特に疾病状態に関するバーストサプレッションを識別し追跡するために用いることができる。このように、本発明は、例えば、心肺バイパス、総循環停止、および無酸素後脳症の治療中の神経保護目的のための低体温の使用の合理的な方法を実現するために用いることができる。
より具体的には、上記の閉ループシステムは、リアルタイムにEEGをBSPの推定値に変換するために、上記のバイナリフィルタアルゴリズムを有利に用いることができる。また、BSPが大きいほど、サプレッションのレベルが大きくなり、それゆえに、BSPは、誘発される医学的昏睡の深さの特定の定量的尺度を提供する。麻酔注入力学をバーストサプレッション確率にパラメータ的に関連づける数学的モデルが提供される。バーストサプレッション形態をEEGから抽出するための信号処理アルゴリズムも提供される。コントローラは、バイナリフィルタ出力に基づくフィードバック制御を用いて、リアルタイムにBSPを調整するように設計することができる。
上記の能力に加えて、閉ループシステムは、完全な複数薬剤解決法および能動的覚醒のための拡張アルゴリズムを用いることができる。具体的には、本発明は、麻酔化合物が麻酔下の患者の生理特性の異なる用法指示を誘発させることを認識し、選択された麻酔化合物に基づいて、生理特性およびそれの用法指示の解釈を助ける。選択された麻酔化合物と関係する生理特性および用法指示を用いて、本発明は、生理特性および用法指示を患者の脳の状態に関係づけることを助けるが、それは、「SYSTEM AND METHOD FOR TRACKING BRAIN STATES DURING ADMINISTRATION OF ANESTHESIA」という名称の同時係属出願PCT/US12/36854に詳細に記載されており、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
上に示した様々な構成は、単なる例にすぎず、いかなる場合も本開示の範囲を限定するものではない。本明細書に記載した構成の変形例は、当業者にとって明らかであろう。そして、このような変形例は本出願の意図する範囲内である。具体的には、上記の構成の1つまたは複数からの特徴は、上で明示的に記載することができない特徴の下位の組み合わせから成る代替的構成を生成するように、選択することができる。さらに、上記の構成の1つまたは複数からの特徴は、上で明示的に記載することができない特徴の組み合わせから成る代替的構成を生成するように、選択し結合することができる。このような組み合わせおよび下位の組み合わせに好適な特徴は、全体として本出願を精査すれば、当業者にとって直ちに明らかであろう。本明細書および列挙した請求項に記載した発明の主題は、技術における全ての好適な変更を網羅し包含することを意図している。

Claims (30)

  1. 麻酔性を有する少なくとも1つの薬剤の投与を経験している患者をモニターするためのシステムであって、前記システムは、
    前記患者から少なくとも脳波(EEG)データを取得するように構成される複数のセンサーと、
    前記患者の特性および麻酔性を有する前記少なくとも1つの薬剤のうちの少なくとも一方の指標を受け取るように構成されるユーザーインターフェースと、
    少なくとも1つのプロセッサと、
    を含み、前記少なくとも1つのプロセッサは、
    前記複数のセンサーから前記EEGデータを、および前記ユーザーインターフェースから前記指標を受け取り、
    前記EEGデータをモデルを用いて解析し、時系列のバーストサプレッション確率を生成し、
    前記時系列のバーストサプレッション確率を用いて、麻酔性を有する少なくとも1つの薬剤の前記投与に合わせた用法指示プロファイルを決定し
    前記指標に基づいて、前記少なくとも1つの薬剤によって誘発される前記患者の現在の状態および予測される将来の状態の少なくとも一方を、前記用法指示プロファイルを用いて確認し、
    前記薬剤によって誘発される前記患者の前記現在の状態および前記予測された将来の状態の少なくとも一方を示すリポートを生成する
    ように構成される、システム。
  2. 前記プロセッサは、前記患者の前記予測された将来の状態を決定するための前記モデルにおいて、前記現在の状態、決定された用法指示プロファイル、および前記指標を用いるようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記プロセッサは、所定のしきい値を用いてバイナリフィルタを前記EEGデータに適用して、前記時系列のバーストサプレッション確率を生成するためのしきい値処理されたEEGデータを得るようにさらに構成される、請求項2に記載のシステム。
  4. 前記プロセッサは、前記EEGデータをスペクトログラムに変換し、前記患者の前記現在の状態および前記予測された将来の状態の少なくとも一方を決定するために前記スペクトログラムを解析するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
  5. 前記プロセッサは、時間分解法で位相振幅結合を測定するために、前記EEGデータを用いて位相振幅解析を実行して、前記患者の前記現在の状態および前記予測された将来の状態の少なくとも一方に対応する位相振幅結合のモードを識別するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
  6. 前記プロセッサは、前記EEGデータを用いて干渉性情報を決定し、前記患者の前記現在の状態および前記予測された将来の状態の少なくとも一方を決定するために、前記決定された用法指示プロファイルを用いて前記干渉性情報を解析するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
  7. 前記患者の特性および麻酔性を有する前記少なくとも1つの薬剤の少なくとも一方の指標は、前記患者の年齢、本質的にプロポフォール、エトミデート、バルビツール剤、チオペンタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、メトヘキシタール、ベンゾジアゼピン、ミダゾラム、ジアゼパム、ロラゼパム、デキスメデトミジン、ケタミン、セボフルラン、イソフルラン、デスフルラン、レミフェンタニル、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニルから構成されるリストからの薬剤選択、ならびに、薬剤投与タイミング、薬剤投与量、および薬剤投与率の少なくとも1つを含む薬剤投与情報のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
  8. 前記プロセッサは、薬剤送出システムのためのコマンドを生成して、前記予測された将来の状態に到達するように、前記患者に対して前記薬剤送出システムによる前記少なくとも1つの薬剤の前記投与を指示するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
  9. 前記プロセッサは、所定の行動力を示すとして前記患者を特性評価するために、動的な処理方法を実施するようにさらに構成され、前記行動力は、意識喪失および意識の回復の少なくとも一方を含む、請求項1に記載のシステム。
  10. 前記リポートは、前記薬剤を受け取っている前記患者の種々の状態における空間時間的な活動を示す、請求項1に記載のシステム。
  11. 複数のセンサーと、ユーザーインターフェースと、プロセッサを備え、麻酔性を有する少なくとも1つの薬剤の投与を経験している患者をモニターするための装置の作動方法であって、
    前記プロセッサが前記複数のセンサーを用いて前記患者から脳波(EEG)データを取得するステップと、
    前記プロセッサが前記ユーザーインターフェースから前記患者の少なくとも1つの特徴と麻酔性を有する少なくとも1つの前記薬剤の指標を受け取るステップと、
    前記プロセッサが前記プロセッサによって取得したEEGデータをモデルを用いて解析し、時系列のバーストサプレッション確率を生成するステップと、
    前記プロセッサが前記プロセッサと前記時系列のバーストサプレッション確率を用いて、麻酔性を有する少なくとも1つの前記薬剤の前記投与に合わせた用法指示プロファイルを決定するステップと、
    前記プロセッサが前記指標に基づいて、前記患者の現在の状態および予測される将来の状態の少なくとも一方を、前記プロセッサと前記用法指示プロファイルを用いて確認するステップと、
    前記プロセッサ、前記薬剤によって誘発された前記患者の、前記現在の状態および前記予測された将来の状態の少なくとも一方に関する情報を含むリポートを生成するステップと、
    を含む、方法。
  12. 前記現在の状態、決定された用法指示プロファイル、および前記指標、前記患者の前記予測された将来の状態を決定するためのモデルにおいて用いるステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
  13. 所定のしきい値を用いてバイナリフィルタを前記EEGデータに適用して、前記時系列のバーストサプレッション確率を生成するためのしきい値処理されたEEGデータを得るステップをさらに含む、請求項12に記載の方法
  14. 前記EEGデータをスペクトログラムに変換、前記スペクトログラム、前記患者の前記現在の状態および前記予測された将来の状態の少なくとも一方を決定するために解析するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
  15. 時間分解法で位相振幅結合を測定するために、前記EEGデータを用いて位相振幅解析実行、前記患者の前記現在の状態および前記予測された将来の状態の少なくとも一方に対応する位相振幅結合のモードを識別するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
  16. 前記EEGデータに関して干渉性情報決定、前記患者の前記現在の状態および前記予測された将来の状態の少なくとも一方を決定するために、前記決定された用法指示プロファイルを用いて前記干渉性情報解析するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
  17. 前記患者の特性および麻酔性を有する前記少なくとも1つの薬剤の少なくとも一方の指標は、前記患者の年齢、本質的にプロポフォール、エトミデート、バルビツール剤、チオペンタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、メトヘキシタール、ベンゾジアゼピン、ミダゾラム、ジアゼパム、ロラゼパム、デキスメデトミジン、ケタミン、セボフルラン、イソフルラン、デスフルラン、レミフェンタニル、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニルから構成されるリストからの薬剤選択、ならびに、薬剤投与タイミング、薬剤投与量、および薬剤投与率の少なくとも1つを含む薬剤投与情報のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。
  18. 記予測された将来の状態に到達するように、前記少なくとも1つの薬剤の前記投与を指示するための薬物送出システムにおいて前記リポートを用いるステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
  19. 動的な処理方法、所定の行動力を示すとして前記患者を特性評価するために実施するステップをさらに含み、前記行動力は、意識喪失および意識の回復の少なくとも一方を含む、請求項11に記載の方法。
  20. 前記リポートは、前記薬剤を受け取っている前記患者の種々の状態における空間時間的な活動を示す、請求項11に記載の方法。
  21. 麻酔性を有する少なくとも1つの薬剤の投与を経験している患者をモニターし制御するためのシステムであって、前記システムは、
    前記患者から少なくとも脳波(EEG)データを取得するように構成される複数のセンサーと、
    前記患者の特性および麻酔性を有する前記少なくとも1つの薬剤のうちの少なくとも一方の指標を受け取るように構成されるユーザーインターフェースと、
    少なくとも1つのプロセッサと、
    を含み、前記少なくとも1つのプロセッサは、
    前記複数のセンサーからの前記EEGデータおよび前記ユーザーインターフェースからの前記指標を受け取り
    前記EEGデータを解析して、時系列のバーストサプレッション確率を生成し、
    前記時系列のバーストサプレッション確率を用いて、麻酔性を有する少なくとも1つの薬剤の前記投与に合わせた用法指示プロファイルを決定
    前記指標に基づいて、前記患者の現在の状態および予測される将来の状態の少なくとも一方を、用法指示プロファイルを用いて確認し、
    前記少なくとも1つの薬剤の前記投与を前記予測された将来の状態に到達するように制御し、
    前記薬剤によって誘発される前記患者の前記現在の状態および前記予測された将来の状態の少なくとも一方を示すリポートを生成する
    ように構成される、システム。
  22. 前記プロセッサは、前記患者の前記予測された将来の状態を決定するためのモデルにおいて、前記現在の状態、決定された用法指示プロファイル、および前記指標を用いるようにさらに構成される、請求項21に記載のシステム。
  23. 前記プロセッサは、所定のしきい値を用いてバイナリフィルタを前記EEGデータに適用して、前記時系列のバーストサプレッション確率を生成するためのしきい値処理されたEEGデータを得るようにさらに構成される、請求項22に記載のシステム。
  24. 前記プロセッサは、前記EEGデータをスペクトログラムに変換し、前記患者の前記現在の状態および前記予測された将来の状態の少なくとも一方を決定するために前記スペクトログラムを解析するようにさらに構成される、請求項21に記載のシステム。
  25. 前記プロセッサは、時間分解法で位相振幅結合を測定するために、前記EEGデータを用いて位相振幅解析を実行して、前記患者の前記現在の状態および前記予測された将来の状態の少なくとも一方に対応する位相振幅結合のモードを識別するようにさらに構成される、請求項21に記載のシステム。
  26. 前記プロセッサは、前記EEGデータを用いて干渉性情報を決定し、前記患者の前記現在の状態および前記予測された将来の状態の少なくとも一方を決定するために、前記決定された用法指示プロファイルを用いて前記干渉性情報を解析するようにさらに構成される、請求項21に記載のシステム。
  27. 前記患者の特性および麻酔性を有する前記少なくとも1つの薬剤の少なくとも一方の指標は、前記患者の年齢、本質的にプロポフォール、エトミデート、バルビツール剤、チオペンタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、メトヘキシタール、ベンゾジアゼピン、ミダゾラム、ジアゼパム、ロラゼパム、デキスメデトミジン、ケタミン、セボフルラン、イソフルラン、デスフルラン、レミフェンタニル、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニルから構成されるリストからの薬剤選択、ならびに、薬剤投与タイミング、薬剤投与量、および薬剤投与率の少なくとも1つを含む薬剤投与情報のうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載のシステム。
  28. 前記プロセッサは、前記予測された将来の状態に到達するように、前記少なくとも1つの薬剤の前記投与を制御するための薬物送出システムに出力を提供するようにさらに構成される、請求項21に記載のシステム。
  29. 前記プロセッサは、所定の行動力を示すとして前記患者を特性評価するために、動的な処理方法を実施するようにさらに構成され、前記行動力は、意識喪失および意識の回復の少なくとも一方を含む、請求項21に記載のシステム。
  30. 前記リポートは、前記薬剤を受け取っている前記患者の種々の状態における空間時間的な活動を示す、請求項21に記載のシステム。
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