JP6598308B2 - ソナー装置、音響信号処理システム、音響信号処理方法および音響信号処理プログラム - Google Patents

ソナー装置、音響信号処理システム、音響信号処理方法および音響信号処理プログラム Download PDF

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Description

本発明は、ソナー装置、音響信号処理システム、音響信号処理方法および音響信号処理プログラムに関する。
船舶にとって、電波を使用するレーダー装置または光学センサで検出することができない軍事目的の水中航走体は大きな脅威である。潜航中の水中航走体を検出するためには、航空機から海中に音響センサを投下して、水中航走体が放射する音響信号(音波)を検出する方法が有効である。
ソナー装置は、水中航走体が放射する音響信号を検出して水中航走体の位置を計算する。ソナー装置では、水中航走体が放射する微弱な水中音波と海中雑音とを分離してS/N比を向上させるため、図6に示すような長時間の積分処理を行う場合が多い。
特許文献1には、複数の音響センサをアレイ状に配列したセンサアレイを用いる信号源方位推定方法が開示されている。特許文献1の方法によれば、水中航走体が音響センサに近接するのにつれて、音響センサを用いて観測される水中航走体の方位の時間変化率が大きくなることを観測し、この時間変化率に基づいて音響信号の最適な積分時間を決定する。
特開2006−078331号公報
なお、上記文献の開示を本書に引用をもって繰り込む。以下に上述した関連技術の分析を与える。
しかし、受信した音響信号の長時間の積分処理は、処理結果の出力タイミングの遅延を引き起こす。これによって、図7に例示するように、水中航走体が音響センサに最接近する位置およびその付近では、方位計算誤差が大きくなる。
また、特許文献1に開示されている方位計算における積分処理は、最適な積分時間を決定した後から積分処理を実行している。これによって、積分処理が過去に受信した音響信号の影響を受けるため、方位計算の精度が低下するという問題が生じる。
本発明は、上記課題に鑑みて創案されたものであって、その目的の一つは、簡素な構成を用いて水中航走体が放射する音響信号の到来方位を精度よく計算することができるソナー装置、音響信号処理システム、音響信号処理方法および音響信号処理プログラムを提供することである。その他の目的および効果等は、本開示から当業者に明らかになるであろう。
本発明の一つの視点によれば、音響センサにより受信された音響信号のS/N比を計算するよう構成される少なくとも1つのS/N比計算部と、前記音響信号を設定された積分時間で積分処理するよう構成される少なくとも1つの積分処理部と、異なる前記積分時間を設定された複数の前記積分処理部の出力信号から、前記S/N比に基づいて、前記音響信号を選択するよう構成される少なくとも1つの積分時間選択部と、選択された前記積分時間で積分された少なくとも1つの前記音響信号に基づいて受信した前記音響信号の方位を計算するよう構成される少なくとも1つの方位計算部と、を有するソナー装置が提供される。
本発明の一つの視点によれば、上述のソナー装置および音響センサを有し、前記音響センサは、船舶に搭載または船舶にえい航される音響信号処理システムが提供される。
本発明の一つの視点によれば、音響センサにより受信された音響信号のS/N比を計算し、前記音響信号を設定された積分時間で積分処理し、異なる前記積分時間で積分処理された複数の前記音響信号から、前記S/N比に基づいて、前記音響信号を選択し、選択された前記積分時間で積分された少なくとも1つの前記音響信号に基づいて受信した前記音響信号の方位を計算する音響信号処理方法が提供される。
本発明の一つの視点によれば、音響センサにより受信された音響信号のS/N比を計算する機能と、前記音響信号を設定された積分時間で積分処理する機能と、異なる前記積分時間で積分処理された複数の前記音響信号から、前記S/N比に基づいて、前記音響信号を選択する機能と、選択された前記積分時間で積分された少なくとも1つの前記音響信号に基づいて受信した前記音響信号の方位を計算する機能と、をコンピュータに実行させる音響信号処理プログラムが提供される。
本発明の一つの視点によれば、音響センサにより受信され、積分処理の有無、積分時間、サンプリング周期、およびサンプリング回数の少なくとも1つが相違する複数の音響信号に基づいて、S/N比を計算する機能をコンピュータに実行させる音響信号処理プログラムが提供される。
また、上記プログラム等を記憶したコンピュータ読み出し可能な記録媒体(例えばHDD(Hard Disk Drive)、CD(Compact Disk)/DVD(Digital Versatile Disk)、半導体ストレージデバイス等のnon−transitory computer readable recording medium)が提供される。
本発明の一つの視点によれば、簡素な構成を用いて水中航走体が放射する音響信号の到来方位を精度よく計算することができるソナー装置、音響信号処理システム、音響信号処理方法および音響信号処理プログラムを提供することができる。
水中航走体が放射する音響信号を検出して、水中航走体の方位を計算するシステムの概要を説明するための図である。 図1に示したシステムに適用可能な第1実施形態に係るソナー装置の構成を説明するためのブロック図である。 積分時間選択部を含む図2に示したソナー装置のブロック図である。 S/N比計算アルゴリズムの一例を説明するための図である。 音波伝搬距離と、音響センサが受信する水中航走体が放射する水中音波の音圧レベルとの関係を説明するための図である。 水中航走体が放射する水中音波を積分処理することによる推定方位精度の改善効果を説明するための図である。 積分時間が比較的長い場合における、方位計算誤差の時間変化を示す。 積分処理をしない場合における、方位計算誤差の時間変化を示す。 第1実施形態に従い、入力信号のS/N比計算処理の結果に応じて積分時間を変化させた場合の方位計算誤差を示す。 えい航式音響センサを用いて水中航走体の方位を計算する他のシステムの概要を説明するための図である。 一実施形態に係るソナー装置の基本概念を説明する図である。
図11を参照して、一実施形態のソナー装置の基本概念を説明する。ソナー装置1101は、少なくとも1つのS/N比計算部1102、少なくとも1つの積分処理部1103、少なくとも1つの積分時間選択部1104、および少なくとも1つの方位計算部1105を有する。各部1102〜1105は、ソフトウェア、ハードウェア、またはそれらの組合せによって、単独または複数組み合わされた状態で構成することができる。
なお、図11に示したタイミングチャートは、ソナー装置1101の動作の一例を示すために例示されたものであり、ソナー装置1101の動作をこれに特定する意図で記載したものではなく、図2〜図4を参照して後述するように、ソナー装置は様々な動作を実行することができる。
少なくとも1つのS/N比計算部1102は、音響センサ(図1の音響センサ3または図10のえい航式音響センサ23参照)により受信された音響信号のS/N比を計算するよう構成される。
少なくとも1つの積分処理部1103は、音響信号を設定された積分時間で積分処理するよう構成される。
少なくとも1つの積分時間選択部1104は、S/N比に基づい積分時間で積分処理された音響信号を選択するよう構成される。
方位計算部1105は、選択された積分時間で積分された少なくとも1つの音響信号(例えばX軸およびY軸方向の音響信号成分)に基づいて受信した音響信号の方位を計算するよう構成される。
ソナー装置1101によれば、S/N比計算部1102(図2〜図4のS/N比計算部13参照)、および積分時間選択部1104(図3の積分時間選択部15)の追加により、方位計算精度が向上される。
ソナー装置1101によれば、積分時間(時定数)の異なる複数の積分処理結果を予め得た後から、最適な積分時間の値を決定して、複数の積分処理結果の中から最適な積分時間で処理された最適な積分処理結果を抽出することができる。このため、最適な積分時間が決定されてから、方位変化などの計算をすることなく、直ちに最適な積分処理結果を抽出することができる。最適な積分時間は、受信した音響信号のS/N比に応じて決定することができる。例えば、音響センサが受信した水中航走体から放射された音響信号のS/N比が水中航走体の近接につれて大きくなるのにつれて、積分時間を最適化すればよい。
S/N比に基づく最適な積分時間の決定によれば、水中航走体の方位変化に基づく積分時間の決定よりも、迅速に積分時間の最適化が実行される。したがって、ソナー装置1101によれば、水中航走体が放射する音響信号の到来方位を計算する際の方位計算精度が向上する。これによって、水中航走体の位置を特定する性能が向上する。
以上の音響信号の処理方法は、ソナー装置1101が1個の音響センサを有する場合でも有効に作用し、ソナー装置1101が船舶によりえい航する方式の音響センサを使用する場合にも有効に作用する。
これに対して、上述した特許文献1の方法によれば、水中航走体が放射する音響信号の方位変化を算出した後、この方位変化に基づいて受信する音響信号の最適な積分時間を決定し、この決定後に決定された積分時間で受信する音響信号の積分処理を実行する。
特許文献1の方法によれば、方位変化を算出後に最適化された積分処理を実行するため、積分処理が最適化されるまでに時間がかかるという問題、および積分処理が過去に受信した音響信号の影響を受けるという問題がある。このため、特許文献1の方法によれば、水中航走体の方位の推定精度が低いという問題がある。
<実施形態>
本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
実施形態のソナー装置は、水中航走体が存在すると予想される海域に、船舶または航空機などを用いて設置された音響センサを使用することができる。ソナー装置は、水中航走体が放射(反射を含む)する音響信号を検出して、水中航走体の方位を計算することができる。
<第1実施形態>
図1は、水中航走体が放射する音響信号を検出して、水中航走体の方位を計算するシステムの概要を説明するための図である。
図1中、通過コース2は、水中航走体1の進路を示す。音響センサ3は、本実施形態では、音響信号を送信せず水中航走体が放射する音響信号を受信する受信専用の音響センサとするが、これに限定されるものではない。最接近位置4は、水中航走体1が音響センサ3に最接近する位置である。最接近距離5は、水中航走体1と音響センサ3の最接近距離であり、例えばlkmである。音波伝搬距離6は、水中航走体1が放射した音響信号が音響センサ3に到達するまでの距離であり、例えば30kmである。音波到来方位7は、音響センサ3から見た水中航走体1が放射する音響信号の到来方位を示す。
図2は、図1に示したシステムに適用可能な第1実施形態に係るソナー装置の構成を説明するためのブロック図である。図2の上部はY軸方向の成分を処理するための構成を示し、図2の下部はX軸方向の成分を処理するための構成を示す。図3は、積分時間選択部を含む図2に示したソナー装置のブロック図である。図3の上部はY軸方向の成分を処理するための構成を示し、図2の下部はX軸方向の成分を処理するための構成を示す。
図2を参照すると、第1実施形態に係るソナー装置は、図1に示したような音響センサ3を有する。音響センサ3は、水平方向に直交するX軸およびY軸に指向性、すなわちX軸指向性9およびY軸指向性8を有する2つの圧電セラミックス(不図示)を内蔵する。ソナー装置は、2つの圧電セラミックスの受信音圧レベル差により音響信号の到来方位を計算することができる(特開昭60−205269号公報参照)。
さらに、ソナー装置は、Y軸方向の成分を処理するための構成と、X軸方向の成分を処理するための構成とにおいて、Low Pass Filter(以下「LPF」と略称する)10、アナログ/デジタル信号変換部(以下「A/D変換部」と略称する)11、Fast Fourier Transform処理部(以下「FFT処理部」と略称する)12、signal to noise ratio計算部(以下「S/N比計算部」と略称する)13、積分処理部14、積分時間選択部15(図3参照)、および方位計算部16をそれぞれ有する。
次に各部10〜16の概要を説明する。
Y軸方向の成分を処理するための構成において、音響センサ3は、受信した音響信号に基づく信号を出力する。音響センサ3の出力は、LPF10の入力に直接または間接的に接続される。LPF10の出力は、A/D変換部11の入力に直接または間接的に接続される。A/D変換部11の出力は、FFT処理部12の入力に直接または間接的に接続される。FFT処理部12の出力は、S/N比計算部13の入力、および積分処理部14の入力に直接または間接的に接続される。
積分処理部14は、複数の積分処理部14を有することができる。複数の積分処理部14は、互いに異なる積分時間で音響信号の積分処理を実行して、積分された信号をそれぞれ出力することができる。あるいは、積分処理部14は、所定期間経過毎に積分結果を出力するように構成されてもよい。
S/N比計算部13の出力、および積分処理部14の出力は、積分時間選択部15の入力に直接または間接的に接続される。積分時間選択部15は、S/N比計算部13の出力信号を制御信号として用いて、積分処理部14が出力する複数の信号のうちの少なくとも1つを選択して方位計算部16に出力する。
以上、Y軸方向の成分を処理するための構成の概要を説明したが、これらはX軸方向の成分を処理するための構成においても同様である。なお、Y軸方向およびX軸方向に関して、積分時間選択部15は共通化してもよく、場合によっては分離してもよい。
次に各部10〜16における処理を具体的に説明する。
LPF10は、入力した音響信号(水中音波)のアナログ信号に対して、後段のA/D変換部11のサンプリング周波数の1/2以上の高周波成分を除去する。
A/D変換部11は、音響信号のアナログ信号をデジタル信号に変換する。
FFT処理部12は、音響信号のデジタル信号を高速フーリエ変換のアルゴリズムを用いて周波数成分に分解する。FFT処理によって水中音波信号を周波数成分に分解することにより、水中音波信号を、人工的な水中音波である水中航走体の放射音波を含む周波数成分と、自然の海中雑音から構成される周波数成分とに分離することができる。これによって、S/N比が改善される。
S/N比計算部13は、音響信号のデジタル信号のS/N比を計算する。S/N比計算部13が使用するS/N比計算アルゴリズムとしては、例えば、特開昭60−205269号公報に開示されているような「雑音平均」という処理方式、または、特開2013−160564号公報に開示したような音響センサの指向性を利用したS/N比の算出方式を利用することができるが、これらに限定されるものではなく、後述する図4に示すようなS/N比計算アルゴリズムも利用することができる。
積分処理部14は、FFT処理により周波数成分毎に分解された音圧レベルのデータ信号を設定した時間で積分処理する。これにより、音響信号のS/N比を改善することができる。積分処理はFFT処理の出力回数分、実行される。この積分処理は、方位計算処理の前に、音響信号のS/N比を改善する効果がある。
しかし、長時間の積分処理は処理結果の出力遅延を発生させる。図1を参照して、積分時間による処理出力遅れは、特に水中航走体1と音響センサ3の最接近時に、推定方位の誤差を大きくする。これを解消するために、本実施形態では積分時間選択部15を設けている。
積分処理部14は、時定数が異なる(例えば2,4,…,128秒)複数の積分器を有してもよい。あるいは、積分処理部14は、サンプリングしたデータを記憶し、指令に応じてサンプリングしたデータを積算処理等することができるように構成されてもよい。
積分時間選択部15は、音響信号のS/N比計算の結果に応じて、後段の方位計算に使用する積分時間で積分処理された音響信号を選択して、S/N比が最適化された信号が出力されるようにする。
方位計算部16は、いずれもS/N比が最適化されたY軸方向指向性8の信号とX軸方向指向性9の信号との受信音圧レベル差により、音響信号の到来方位を計算する。
<新規S/N比計算アルゴリズム>
図4は、図2等に示したS/N比計算部13が利用可能である新規S/N比計算アルゴリズムを示す。
一般的に、積分時間が長いほど自然界に特有の1/fゆらぎ成分を有する海中雑音レベルは、積分時間の平方根に比例してS/N比が改善する。したがって、入力信号を積分時間M秒で積分処理した出力値(例えば、1秒周期で出力されるデータをM回積分してMで除した値)と、入力信号を積分しない場合の出力値との関係は、Sを人工的な信号音のレベル、Nを海中雑音レベルとすると、次式で表すことができる。
積分しないS/N比=S÷(S+N)
M回積分したS/N比=S÷(S+N×SQRT(M))
ここでS÷(S+N)が一定と仮定すると、次の比例関係になる。
「積分なし」:「M秒積分」=1÷(1×M):1÷(1×SQRT(M))
「積分なし」×1÷(SQRT(M))=「M秒積分」×1÷M
「積分なし」×M=「M秒積分」×SQRT(M)
したがって、「積分なし」の出力値は、「M秒積分」のSQRT(M)÷M倍である。
すなわち、入力信号(「積分なし」)に対する海中雑音レベルは、下式のように表すことができる。
海中雑音レベル=(「積分なし」−「M秒積分」)÷(1−SQRT(M)÷M)
よって、積分処理なしと積分処理ありの入力データの差と積分時間(積分回数)から海中雑音成分のレベルを推定することができる。この雑音成分のレベルに基づいて、最適な積分時間、換言すると、積分期間、サンプリングの回数、またはサンプリング期間(サンプリングの回数とサンプリング周期の積)を決定することができる。これによって、S/N比計算と並列処理されていた積分処理による複数のデータの中から、最適なデータが出力される。あるいは、最適化されたサンプリング回数分の格納データを積算して当該サンプリング回数で除したデータを出力してもよい。
なお、海中雑音レベルを計算するための積分時間(M秒)が長いと水中航走体1と音響センサ3の距離が変化することによるS/N比の変化を無視できなくなるため、積分時間は例えば16秒以下にするとよい。
ここで、水中航走体1が音響センサ3に最接近している場合(図1の最接近位置4を参照)における、積分時間Mの設定例を説明する。水中航走体1が最接近位置4の付近に存在する場合、時間当たりの音波伝搬距離6(図1参照)の相対的な変化が大きい。したがって、受信する音響信号のS/N比の変化も大きくなる。このため、図4に示したS/N比計算アルゴリズムにおいて、積分時間(積分回数)Mの値を大きくするとS/N比計算誤差が大きくなる可能性がある。よって、積分時間Mの値は約16〜32が妥当である。
次に、図1〜図4を参照しながら説明したソナー装置を用いた水中航走体の方位計算について、さらに図5〜図8を参照しながら説明する。
一例として、水中航走体1の速力が30km/h、水中航走体1が音響センサ3に遠隔(音波伝搬距離6が30km)から接近(最接近距離5が1km)して離隔(音波伝搬距離6が30km)する状況を想定し、図4に示したS/N比計算アルゴリズムを用いて、水中航走体1の方位計算をした。
図5は、音波伝搬距離6と、音響センサ3が受信する水中航走体1が放射する水中音波(音響信号)の音圧レベルとの関係を説明するための図である。図5中、実線は、水中航走体1が放射した音波が音響センサ3に到達するまでの音波伝搬距離6の時間変化を示す。なお、距離30kmの地点から水中航走体1が速力30km/hで音響センサ3に接近するため、水中航走体1が最接近位置4に到達するまでの所要時間は60分となる。
図5中、点線は、水中航走体1が放射する水中音波の音圧レベルのS/N比17(図3に示したS/N比計算部13の出力信号に対応する)が音波伝搬距離6により変化する様子を対数スケールで示す。水中音波は球面拡散するため、図示するように、水中音波の減衰率は距離の2乗に比例する。図5中、S/N比17の変化は、音波伝搬距離6が30kmの時点のS/N比17を基準(0dB)にして、相対的に表現している。
図6は、水中航走体1が放射する水中音波を積分処理することによる推定方位精度の改善効果を説明するための図である。図6中、実線は、水中音波のS/N比17の積分時間による変化を示す。すなわち、S/N比17は、音響センサ3への入力信号において、水中航走体1が放射した音波と自然の海中雑音との音圧レベルの比率(dB)を示し、図3に示したS/N比計算部13の出力信号に対応する。図6中、点線は、水中音波の方位計算誤差の積分時間による変化を示す。
水中航走体1が放射する水中音波は、人工的な機械作動音である。水中航走体1が放射する水中音波を1秒周期でM秒間積分(M回サンプリング)すると、音圧レベルは積分回数倍、すなわちM倍となる。これに対して、自然界の1/fゆらぎ雑音である海中雑音は、1秒周期でM秒間積分(M回サンプリング)すると、音圧レベルはMの平方根倍となるピンクノイズの特性を有する。したがって、図6に示すように、積分時間が長いほど(サンプリング回数が多いほど)S/N比17が改善し、海中雑音に起因する方位計算誤差18が軽減される。
ここでS/N比17は、入力信号の積分時間をM秒(1秒周期でM回サンプリング)とすると、次式のように表される。
S/N=M÷SQRT(M)
方位計算誤差18は、積分時間の関数として、次式のように表される。
方位計算誤差=ATAN(SQRT(M)÷M) 式(1)
次に、入力信号の積分時間(積分期間)と方位計算精度の関係について、図7および図8を参照しながら説明する。図7は、積分時間を128秒間に設定した場合における、方位計算誤差の時間変化を示す。図8は、積分処理をしない場合における、方位計算誤差の時間変化を示す。図7および図8中、実線が水中航走体1の速度と経過時間により定まる音波到来方位(真値)7(図1参照)を示し、2つの点線間の領域が上述の式(1)に基づいて計算される方位計算誤差範囲19を示す。音波到来方位7が90degのときに水中航走体1は図1に示した最接近距離5の位置を速力30km/hで走行している。
まず図7を参照して、積分時間を比較的長く設定した場合を説明する。なお、図7は図5の30分経過時点からを表現している。音波到来方位(真値)7が90degに接近していくと、音波伝搬距離6(図1参照)が短くなっていくことによりS/N比が高くなり、海中雑音に起因する方位計算誤差範囲19の幅が狭くなっていく。しかし、長い積分時間(128秒)の影響により、方位計算結果が積分時間の半分の時間分遅れて出力される。このため、最接近距離5の位置(90deg,1200秒)の付近では、かえって方位計算誤差が大きくなっている。最接近時の方位誤差は約26degである。
次に図8を参照して、積分処理を実行しない場合(あるいは積分時間が比較的短い場合)を説明する。音波到来方位(真値)7が90degに接近していくと、音波伝搬距離6(図1参照)が短くなっていくことによりS/N比が高くなり、海中雑音に起因する方位計算誤差範囲20の幅が狭くなっていく。そして、積分処理を実行しないため、図7に示した場合のような積分処理に起因する方位計算の遅れはなく、最接近時の方位誤差が約5degである。
以上より、最接近時の近傍では、長時間の積分処理による処理結果の出力遅延が顕著に出現して方位誤差を大きくするため、積分処理を実行しない方が、方位計算誤差が小さくなることがわかる。したがって、音波伝搬距離6または音波到来方位7に応じて、結局はS/N比17に応じて変化する、積分時間の最適範囲が存在すると考えられる。
そこで、本実施形態のように、入力信号のS/N比に応じて積分時間を選択する場合を説明する。
図9は、本実施形態にしたがって、入力信号のS/N比計算の結果に応じて積分時間を変化させた場合に相当する方位計算誤差を示す。ここで積分時間は、方位計算誤差が約5degになるように設定する。
図9中、実線が水中航走体1の速度と経過時間により定まる音波到来方位(真値)7(図1参照)を示す。図9中、2つの点線間の領域が、本実施形態にしたがって、上述の式(1)および図4に示したアルゴリズムを利用して計算される方位計算誤差範囲21を示す。
図7および図8に示したような、積分時間が固定またはゼロに固定である場合に比べて、図9においては、時間経過の全範囲にわたって方位計算誤差が小さくなっていることがわかる。
以上説明した第1実施形態によれば、水中航走体と音響センサの相対距離の変化によるS/N比の変化に対応して積分時間を自動的に選択することにより、積分処理の結果として生じる出力遅延が抑制され、方位計算精度が向上する。
また第1実施形態は、ソナーにより水中航走体が放射する音波の到来方位を計算する際に、海中雑音レベルが積分時間の平方根に比例して減衰する特徴を利用して、S/N比の値を算出するアルゴリズムを提供する。
<第2実施形態>
第2実施形態を説明する。図10は、えい航式音響センサを用いて水中航走体の方位を計算する他のシステムの概要を説明するための図である。
図1と図10を対照して、第2実施形態では、図10のシステムが図1のシステムと相違する点について主として説明し、両方のシステムの共通点については、前述の図1のシステムに関する説明を参照するものとする。
図10に示すシステムにおいては、船舶22がえい航するえい航式音響センサ23が使用される。水中航走体1とえい航式音響センサ23の間の相対距離が時間変化することに対応して、音波伝搬距離6が時間変化する。音波伝搬距離6の時間変化につれて、えい航式音響センサ23が受信する音波のS/N比が時間変化する。したがって、図10のシステムにおいても、図1のシステムと同様に方位計算精度の向上の効果が期待できる。
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ乃至選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
特に制限されないが、実施形態及び変形例等は以下のように付記される。
(付記1)
水中航走体の位置を検出する装置において、S/N比を改善するため積分処理を行うことが逆に積分時間による処理遅延を招来して方位計算誤差が大きくなることを抑制するため、受信した信号のS/N比を計算してS/N比に応じた適切な積分処理を行うことにより方位計算精度を向上する装置。
(付記2)
音響信号の積分処理部の積分処理によるS/N比の改善率に基づいて、S/N比を計算するよう構成される。
(付記3)
音響信号の積分処理部は、積分時間の異なる複数の積分処理を予め実行するように構成され、音響信号の積分時間選択部は、予め実行された前記複数の積分処理の結果の中から、最適な前記積分時間で積分処理された前記音響信号を選択するように構成される。
1 水中航走体
2 水中航走体の通過コース
3 音響センサ
4 水中航走体と音響センサの最接近位置
5 水中航走体と音響センサの最接近距離
6 音波伝搬距離
7 音波到来方位
8 音響センサのY軸指向性
9 音響センサのX軸指向性
10 LPF(ローパスフィルタ)
11 A/D変換部
12 FFT処理部
13 S/N比計算部(S/N比計算処理部)
14 積分処理部
15 積分時間選択部(積分時間選択処理部)
16 方位計算部(方位計算処理部)
17 S/N比
18 方位計算誤差
19 方位計算誤差範囲
20 方位計算誤差範囲
21 方位計算誤差範囲
22 船舶
23 えい航式音響センサ
1101 ソナー装置
1102 S/N比計算部
1103 積分処理部
1104 積分時間選択部
1105 方位計算部

Claims (9)

  1. 音響センサにより受信された音響信号のS/N比を計算するよう構成される少なくとも1つのS/N比計算部と、
    前記音響信号を設定された積分時間で積分処理するよう構成される少なくとも1つの積分処理部と、
    異なる前記積分時間を設定された複数の前記積分処理部の出力信号から、前記S/N比に基づいて、前記音響信号を選択するよう構成される少なくとも1つの積分時間選択部と、
    選択された前記積分時間で積分された少なくとも1つの前記音響信号に基づいて受信した前記音響信号の方位を計算するよう構成される少なくとも1つの方位計算部と、
    を有する、ことを特徴とするソナー装置。
  2. 前記少なくとも1つの積分時間選択部は、既に積分された前記音響信号の前記積分時間で、積分処理された前記音響信号を選択するよう構成されることを特徴とする請求項1記載のソナー装置。
  3. 前記少なくとも1つのS/N比計算部は、前記音響信号に対する前記積分処理の有無、前記音響信号に対する前記積分時間、前記音響信号に対するサンプリング周期、および前記音響信号に対するサンプリング回数の少なくとも1つが相違する複数の音響信号に基づいて、前記S/N比を計算するよう構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のソナー装置。
  4. 前記少なくとも1つのS/N比計算部は、前記積分処理されない前記音響信号と、前記積分処理された前記音響信号とに基づいて、前記S/N比を計算するように構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一記載のソナー装置。
  5. 前記少なくとも1つのS/N比計算部は、前記S/N比が相対的に高い場合には前記積分時間選択部に相対的に短い積分時間を選択させ、前記S/N比が相対的に低い場合には前記少なくとも1つの積分時間選択部に相対的に長い積分時間を選択させるよう構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一記載のソナー装置。
  6. 請求項1〜のいずれか一記載のソナー装置、および前記音響センサを有し、
    前記音響センサは、船舶に搭載または船舶にえい航されることを特徴とする音響信号処理システム。
  7. 音響センサにより受信された音響信号のS/N比を計算し、
    前記音響信号を設定された積分時間で積分処理し、
    異なる前記積分時間で積分処理された複数の前記音響信号から、前記S/N比に基づいて、前記音響信号を選択し、
    選択された前記積分時間で積分された少なくとも1つの前記音響信号に基づいて受信した前記音響信号の方位を計算する、ことを特徴とする音響信号処理方法。
  8. 音響センサにより受信された音響信号のS/N比を計算する機能と、
    前記音響信号を設定された積分時間で積分処理する機能と、
    異なる前記積分時間で積分処理された複数の前記音響信号から、前記S/N比に基づいて、前記音響信号を選択する機能と、
    選択された前記積分時間で積分された少なくとも1つの前記音響信号に基づいて受信した前記音響信号の方位を計算する機能と、
    をコンピュータに実行させることを特徴とする音響信号処理プログラム。
  9. 音響センサにより受信され、積分処理の有無、積分時間、サンプリング周期、およびサンプリング回数の少なくとも1つが相違する複数の音響信号に基づいて、S/N比を計算する機能をコンピュータに実行させることを特徴とする、請求項8記載の音響信号処理プログラム。
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