JP6597952B2 - 軸流ファン - Google Patents

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本発明は、軸流ファンに係り、より詳細には、樹脂射出成型で製造する軸流ファンのハブの構造に関する。
従来、軸流ファンは、略円筒形のハブと、前記ハブに所定の角度をもって前記ハブの外周に放射状に取り付けられる複数枚の羽根とを備えており、屋外で使用され、且つ略鉛直上方に空気を吹出すため、前記ハブの内周側に氷雪や粉塵などの異物が固着するのを避けるために、前記ハブの鉛直上方が略平面で閉じられており、前記ハブに前記羽根が保持される部分は、応力を小さくするために、滑らかに丸み付けが行われている構成となっていた(例えば、特許文献1参照)。
また異なる従来の技術で、前記ハブの外周面に加えて上流側の略平面で前記羽根を保持させることで、前記羽根を保持する面積を大きくして、応力を小さくするように構成した上吹き軸流ファンもある。
上記軸流ファンは羽根の前縁付近の保持部分を前記ハブの内周面よりも回転軸側に突出させることによって、ハブの上流側の平面で羽根を保持する面積を大きくして応力を小さくする構成となっており、且つ樹脂射出成型において成型後に樹脂に対して金型が移動できない形状(以下、アンダーカット)にならないようにハブの鉛直上方の端面まで柱状に肉盛りして構成されている。
特開2011−163259号公報
しかしながら、従来の構成では、樹脂射出成型においてアンダーカットを生じさせないために、ハブの下流側の端面まで柱状に肉盛りをしなければならず、樹脂射出成型に係る冷却時間が長くなってしまうという課題を有していた。
本発明は、従来の課題を解決するもので、樹脂射出成型の冷却時間を短縮することができる軸流ファンを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、略円筒状のハブの外周面に、複数枚の羽根が樹脂一体成型により形成された軸流ファンにおいて、前記ハブは、中央部分と、前記中央部分の周囲を囲う側壁と、前記中央部分と前記側壁とをつなぐ複数本のリブと、を備え、回転方向の前方の稜線を前縁、後方の稜線を後縁とし、空気が流れてくる方向を上流、流れて行く方向を下流とした場合に、一定の板厚の略円筒状の前記ハブは、前記羽根の前縁部分における前記リブに対応する部分の側壁を、回転軸側に略一定の板厚のまま凹ませて凹部を形成し、前記凹部に対応する前記ハブの上流側端部は、前記凹部に対応する側壁の外側に突出する形状の突出部を備え、前記羽根が前記ハブの外周面および前記突出部に保持されている、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記ハブの下流側は、略平坦な端面で閉じられていることを特徴とする。
本発明によれば、ハブの上流側の略平面で羽根を保持する面積を大きくしつつ、ハブの外周面では回転軸側に凹む凹部を形成したため、樹脂射出成型の冷却時間を短縮できる。
本発明の実施形態に係る室外ユニットの側断面図である。 上吹き軸流ファンを上側から見た斜視図である。 上吹き軸流ファンを下側から見た斜視図である。 羽根がハブの上流側端面で保持された箇所の断面図である。
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係る空気調和装置は、室外ユニット10と室内ユニット(図示せず)とから構成されており、冷媒配管により接続された冷媒回路に冷媒を流して、冷房運転および暖房運転を行う。室外ユニット10は、室外に設置され、室外空気と熱交換して冷房運転時には冷媒を凝縮させて外気に熱を放出し、暖房運転時には冷媒を蒸発させて外気から熱を取り込むものである。なお、以下に述べる上下および左右といった方向は、室外ユニット10を設置した状態でその前面側から見た場合の方向を示している。
図1は、室外ユニット10の側断面図である。室外ユニット10は、図1に示すように、略直方体箱形状のユニットケース(筐体)11を備え、このユニットケース11は、底板12と、この底板12の4隅から鉛直方向に延びる支柱と、前面パネル15とを有して構成される。底板12上には、熱交換器21が配置され、この熱交換器21はユニットケース11の前面を除いた3つの側面(左側面、背面及び右側面)を形成し、このユニットケース11の左側面から背面及び右側面に沿わせて配置されている。
ユニットケース11には、図1に示すように、熱交換器21の上部に送風機(送風ファン)22が配置され、この送風機22は、熱交換器21の上方に配置されるファンモーター23と、このファンモーター23の軸に取り付けられた上吹き軸流ファン24とを備えて構成される。
熱交換器21の上端に相当する位置には、四隅を支える支柱を連結する連結フレーム16、16が設けられ、ファンモーター23は、これら連結フレーム16、16間に架け渡された一対の支持フレーム(不図示)に固定される。
上吹き軸流ファン24の周囲には、上吹き軸流ファン24の吸込側の空気を吹出側に案内するベルマウス25が設けられ、このベルマウス25の吹出開口25Aは、上吹き軸流ファン24への人体などの接触を防止するファンガード26で覆われる。また、ベルマウス25の周囲には、発泡スチロール等の断熱材を介して化粧パネル27が設けられている。
ファンモーター23により上吹き軸流ファン24が回転駆動されると、室外ユニット10の周囲、より具体的には図1中の矢印Xで示すように、ユニットケース11の前面を除いた左側面側、背面側及び右側面側から外気がユニットケース11内に吸い込まれ、このユニットケース11の上面部に設けられたベルマウス25の吹出開口25Aを通じて外に排出される。つまり、この室外ユニット10は、ユニットケース11の側面から空気を吸い込んで、上面から熱交換後の空気を吹き出す上面吹き出しタイプに構成されている。
ユニットケース11内には、底板12上に、冷媒回路の一部を構成する2台の圧縮機30A,30B、アキュムレータ35、オイルセパレーター36及びレシーバータンク(図示せず)が設けられるとともに、四方弁(図示せず)や膨張弁(図示せず)といった弁体などの冷媒回路構成部品が配管接続されて収容される。これら冷媒回路構成部品の配管の一端側は、熱交換器21を介して室内ユニットと配管接続され、当該冷媒回路構成部品の配管の他端側は室内ユニットに配管接続され、これにより、冷媒を循環する冷媒回路が構成される。
アキュムレータ35、オイルセパレーター36及びレシーバータンクは、冷媒または冷凍機油を一時的に貯留する圧力容器であり、メンテナンス頻度が低いものである。一方、上記した圧縮機30A,30Bや冷媒回路構成部品は、モーターやコイル等の電動要素を備えるため、メンテナンス頻度が高い。ユニットケース11の前面側に底板12から上方に延びる仕切り板38が設けられ、この仕切り板38は、途中まで上方に延びた後に前方に屈曲され、その上端部が電装箱34に接続されている。ユニットケース11内は、図1に示すように、仕切り板38によって、熱交換室39と機械室40とに区分けされ、この機械室40にメンテナンス頻度の高い圧縮機30A,30Bや冷媒回路構成部品が収容され、熱交換室39には、メンテナンス頻度の低い熱交換器21、アキュムレータ35、オイルセパレーター36及びレシーバータンクが収容されている。
このため、前面パネル15を取り外すことによって、作業者が前面側から圧縮機30A,30Bや電装箱34内の電装品等のメンテナンス作業を容易に行うことができ、更に、機械室40に収容された圧縮機30A,30B等の機器は、仕切り板38により直接雨滴がかかることが防止される。
図2は、上吹き軸流ファン24の構成を示している。図3は、上吹き軸流ファンを下側から見た斜視図である。また、図4は、羽根がハブの上流側端部で保持された箇所の断面図である。以下の説明において、空気が流れてくる方向を上流、流れて行く方向を下流とする。
この上吹き軸流ファン24は、射出成型金型を利用した、樹脂一体成型により形成されており、略円筒状のハブ124と、ハブ124の外周面を囲う側壁126と、側壁126に一体成型された3枚の羽根125とを備えている。また、ハブ124の下流側端面133は、回転軸と直交する平坦な略平面によって閉じられている。
3枚の羽根125は、側壁126の高さ方向に延在しており、羽根125の基部125aは、側壁126の周方向に側壁126の下流側端面133から上流側端部132(図3参照。)にかけて斜めに連続して保持され、また、ハブ124の上流側端部132で保持されている。
羽根125は、上吹き軸流ファン24の回転方向Rの前方の稜線を前縁127とし、後方の稜線を後縁128としている。前縁127は、上吹き軸流ファン24の外周側ほど回転方向R前方へ延びており、かつ、上流側へ傾斜している。また、後縁128は、上吹き軸流ファン24の外周側ほど回転方向R後方へ延びている。
また、羽根125は中央部で上流側に凸となるように緩やかに湾曲しており、羽根125の厚さは、基部125a側で最も厚く、上吹き軸流ファン24の外周側に向かうにつれて薄くなっている。また、前縁127は、丸みを帯びて構成されており、後縁128は、尖って構成されている。
また、羽根125の基部125aは、前縁127の側において側壁126およびハブ124の上流側端部132で保持されており、基部125aのうちそれ以外の部分では側壁126で保持されている。
側壁126には、羽根125の前縁127部分に対応する部分、すなわち、側壁126のうち羽根125の基部125aよりも上流側の部分に、ハブ124の回転軸134側に押し込まれるように凹部135が形成されている。
この凹部135は、羽根125の基部125aの幅方向の幅に加え、回転方向Rの前方向にやや延びて形成されている。また、凹部135は、凹部135の幅方向の中央部付近が最もハブ124の回転軸134側に押し込まれるように緩やかに傾斜して形成されている。
側壁126の板厚は、凹部135を含んで、略円筒状の側壁126の周方向及び高さ方向に略一定である。
上吹き軸流ファン24を上流側から見ると、図3に示すように、ハブ124は、ボス142と、ボス142と側壁126とをつなぐ複数のリブ143(143a、143b)と、を備えている。
このリブ143(143a、143b)は、側壁126、ボス142と略等しい高さであり、所定の厚さを備え、ボス142の周方向略均等に9か所形成されている。このリブ143(143a、143b)の高さは、側壁126の高さと略等しく、リブ143(143a、143b)は、ハブ124の下流側端面133と一体に形成されている。
このリブ143のうち、ボス142と凹部135とをつなぐリブ143aは、ボス142と側壁126とをつなぐリブ143bよりも厚く、側壁126の厚さと略等しく形成されている。ボス142と側壁126とをつなぐリブ143bは、側壁126の厚さよりも薄くなるように形成されている。ボス142と凹部135とをつなぐリブ143aを他のリブ143bよりも厚く構成することで、側壁126のうち凹部135の形成される箇所を強固に補強できる。
図4は、羽根がハブの上流側端面で保持された箇所の断面図である。
羽根125の基部125aは、側壁126の周方向に側壁126の下流側端面から上流側端部132にかけて斜めに保持され、また、ハブ124の上流側端部132で、ハブに保持されている。このハブ124の上流側端部132の厚さT2は、図4に示すように、側壁126の厚さT1よりも厚くなるように形成されている。
また、側壁126には、側壁126を外側から凹ませる凹部135が形成され、側壁126の厚さは、略均一に保持されている。このように、側壁126の厚さを略均一に保持することで、樹脂射出成型の冷却時間を短縮できる。
側壁126には、凹部135が形成されることで、上流側端部132は、側壁126の外側に突出部126aが突出する形状とされている。
以上説明したように、本実施の形態によれば、側壁126のうち羽根125の基部125aよりも上流側の部分に、ハブ124の回転軸134側に押し込まれるように凹部135を形成した。
そのため、側壁126の上流側端部132において羽根125の基部125aを保持する面積を大きく保ちつつ、すなわち応力の増大を抑制しつつ、側壁126の厚さを略均一に薄く保持できる。側壁126の厚さを略均一に薄く保持することができるため、射出成型金型を利用した、樹脂一体成型の冷却時間を短縮できる。
また、本実施の形態によれば、樹脂射出成型時の冷却時間を短縮することができるので、時間当たりの生産量の増加やコストダウンが可能となる。
また、ハブ124の冷却時間が短縮されることにより、樹脂射出成型時の強度低下や、経時的な変形を抑制できる。
また、上吹き軸流ファン24の製造にあたりアンダーカットを生じないため、樹脂射出成型での製造が容易になる。
また、本実施の形態によれば、冷却時の体積収縮の偏りが小さくなるので、残留応力の低減に繋がり、強度低下や、経時的な変形を抑制できる。
また、本実施の形態によれば、ボス142と、ボス142と側壁126とをつなぐ複数のリブ143(143a、143b)を、周方向略均一に備えたため、ハブ124によって剛性を高くすることができで、羽根125の変形を小さくできる。
また、本実施の形態によれば、上吹き軸流ファン24は、モーターシャフトに取り付けられるボス142を、円筒状乃至円盤状の金属製の別の部品とし、樹脂射出成型においてボス142をインサート成型するか、ボス142を成型後に取り付けてもよい。
金属で構成されたボス142によって、回転駆動力、すなわちトルクに対する強度を高めることができるので、ボス142において樹脂の部分は、側壁126の厚さと同様の板厚にすることができ、樹脂射出成型の冷却時間を短縮できる。
また、本実施の形態によれば、凹部135を形成したとしても、ハブ124の下流側端面133は、回転軸と直交する平坦な略平面によって閉じられている。
そのため、側壁126の上流側端部132において羽根125の基部125aを保持する面積を小さくすることなく、また、側壁126の厚さを略均一に薄く保持する本構成においても、上吹き軸流ファン24を上向きに配置した場合に、上方から降り積もるごみ等がハブ124の内部にたまることがない。
以上、一実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。あくまでも本発明の一実施の態様を例示するものであるから、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更、及び応用が可能である。
例えば、本実施の形態では、上吹き軸流ファン24を用いたが、略鉛直上方へ送風する送風機のみならず、例えば横方向、斜め方向などへ送風する送風機にも適用できる。
また、例えば、同一の原理に基づく装置、すなわちハブ124と羽根125とが一体として構成されていて、回転させられることで流体を移動させる装置、すなわちポンプやスクリューや圧縮機等の用途にも適用可能である。
10 室外ユニット
22 送風機
24 上吹き軸流ファン
124 ハブ
125 羽根
125a 基部
126 側壁
127 前縁
128 後縁
132 上流側端部
133 下流側端面
134 回転軸
135 凹部
142 ボス
143(143a、143b) リブ
R 回転方向
T1、T2 厚さ

Claims (2)

  1. 略円筒状のハブの外周面に、複数枚の羽根が樹脂一体成型により形成された軸流ファンにおいて、
    前記ハブは、中央部分と、前記中央部分の周囲を囲う側壁と、前記中央部分と前記側壁とをつなぐ複数本のリブと、を備え、
    回転方向の前方の稜線を前縁、後方の稜線を後縁とし、空気が流れてくる方向を上流、流れて行く方向を下流とした場合に、
    一定の板厚の略円筒状の前記ハブは、前記羽根の前縁部分における前記リブに対応する部分の側壁を、回転軸側に略一定の板厚のまま凹ませて凹部を形成し、
    前記凹部に対応する前記ハブの上流側端部は、前記凹部に対応する側壁の外側に突出する形状の突出部を備え、
    前記羽根が前記ハブの外周面および前記突出部に保持されている、
    ことを特徴とする軸流ファン。
  2. 前記ハブの下流側は、略平坦な端面で閉じられていることを特徴とする請求項1に記載の軸流ファン。
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