JP6595508B2 - ピルビン酸塩由来生成物の生成及び制御のための発酵プロセス - Google Patents

ピルビン酸塩由来生成物の生成及び制御のための発酵プロセス Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2015年5月21日に出願された米国特許出願第14/283,287号の利益を主張するものであり、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、液体栄養培地中の主要栄養素の濃度を調整することによって発酵系の代謝物プロファイルを改変するための方法に関する。特に、本発明は、発酵プロセスにおける2,3−ブタンジオールの生成を増加させるための方法に関する。
輸送用のバイオ燃料は、ガソリンの魅力的な代替品であり、低濃度ブレンドとして燃料市場に急速に浸透してきている。天然の植物資源に由来するバイオ燃料は、化石資源に由来する燃料(ガソリン等)よりも環境的に持続可能であり、それらの使用により、燃料の燃焼の結果として大気中に放出されるいわゆる化石二酸化炭素(CO)ガスのレベルの低減が可能となる。さらに、バイオ燃料は、多くの地域において現地で生産することができ、輸入化石エネルギー資源への依存を低減する役割を果たすことができる。バイオ燃料としての使用に適したアルコールは、エタノール、ブタノール、及び2,3−ブタンジオールを含む。
エタノールは、世界中で、急速に主要な水素豊富液体輸送用燃料になりつつある。2002年のエタノールの世界消費量は、推定108億ガロンであった。欧州、日本、米国、及びいくつかの発展途上国においてエタノールへの関心が高まっているため、燃料エタノール産業の世界市場も将来的に急成長すると予想されている。
1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、及び2,3−ブタンジオールを含むブタンジオールは、エタノールに勝る様々な利点を有すると考えることができる。エタノールと同様に、ブタンジオールは、自動車用の燃料添加剤として直接使用され得る。これらはまた、多くの他の潜在的により高価値の生成物及び/またはより高エネルギーの生成物に比較的容易に変換され得る。例えば、2,3−ブタンジオールは、2段階プロセスにおいて、航空燃料として使用することができる8炭素の二量体に容易に変換され得る。
2,3−ブタンジオールの多用途性は、その二官能性の骨格によるものであり、すなわち、2個のヒドロキシル基が隣接する炭素原子に位置することにより、分子は、ブタジエン、ブタジオン、アセトイン、メチルエチルケトン等の物質に極めて容易に変換される。これらの化学化合物は、広範囲の工業的に生産される化学物質を製造するための基本分子として使用される。
また、2,3−ブタンジオールは、内燃機関における燃料としても使用され得る。それは、いくつかの点においてエタノールよりもガソリンに類似している。環境的に持続可能な燃料の生産及び応用への関心が強まるにつれて、2,3−ブタンジオール(しばしば、バイオブタノールとも称される)を生成するための生物学的プロセスへの関心も高まっている。
一酸化炭素(CO)は、石炭または石油及び石油系製品等の有機材料の不完全燃焼の主な副産物である。前駆体を含有する炭素の完全燃焼は、最終生成物としてCO2及び水のみを生じるが、工業プロセスの中には、CO2よりも一酸化炭素の蓄積に有利に作用する高温を必要とするものもある。一例は、所望の鋼質を生成するために高温が必要とされる製鉄産業である。例えば、オーストラリアの製鉄産業は、年間500,000トンを超えるCOを生成して放出すると報告されている。
さらに、COは合成ガスの主成分でもあり、様々な量のCO及びH2が炭素含有燃料のガス化によって発生する。例えば、合成ガスは、燃料及びより複雑な化学物質を生成するための前駆体を作製するために、廃木材及び廃材木の有機バイオマスを分解することによって生成され得る。
大気中へのCOの放出は、重大な環境影響を与え得る。また、排出税を支払う必要もあり得るため、工業プラントへのコストが増加する。COは、反応エネルギーが豊富な分子であるため、様々な化学物質を生成するための前駆体化合物として使用することができる。しかしながら、この価値ある原料は、2,3−ブタンジオールを生成するためには利用されてこなかった。
2,3−ブタンジオールは、炭水化物含有原料の微生物発酵によって生成され得ることが実証されている(Syu MJ,Appl Microbiol Biotechnol 55:10−18(2001),Qin et al.,Chinese J Chem Eng 14(1):132−136(2006))。また、2,3−ブタンジオールは、テンサイ、トウモロコシ、小麦、及びサトウキビ等の作物からのバイオマスの微生物発酵によっても生成され得る。しかしながら、これらの炭水化物原料のコストは、人間の食料または動物の飼料としてのそれらの価値によって影響を受け、2,3−ブタンジオール生成のためのデンプンまたはショ糖を生成する作物の栽培は、全ての地域において経済的に持続可能ではない。したがって、より低コスト及び/または豊富な炭素資源を2,3−ブタンジオールに変換するための技術を開発することに関心が集まっている。
COを含むガス状基質の微生物発酵による2,3−ブタンジオールの生成が実証されている。しかしながら、これらのプロセスによる2,3−ブタンジオールの生成は副産物であった。エタノールを含む他の生成物の生成が発酵において好まれる。ブタンジオールは、そのような発酵において生成される他の生成物よりも高い価値を有する。2,3−ブタンジオールの生成が増加するように発酵に影響を与えられることが望ましい。2,3−ブタンジオールの生産性の増加が、微生物培養物による水素消費率によって影響を受けたことが以前に示されている(国際公開第WO2012131627号)。
当該技術分野には、経済的に有益な方式で工業用ガス状基質から価値のある生成物を生成する能力を高める必要性が依然として存在する。カルボキシド栄養性細菌によるガス状基質の発酵において日常的に生成される他の生成物の生成と比較して、2,3−ブタンジオールの生成を強化する必要性がある。
本発明は、当該技術分野における必要性に対応する。本発明は、ガス状基質の微生物発酵によってピルビン酸塩由来生成物の生成を制御するための方法を提供する。本発明はさらに、アセチル−coA由来生成物と比較してピルビン酸塩由来生成物の生成を増加させるための方法を提供する。特定の実施形態において、エタノール及び酢酸等の他の発酵生成物と比較して2,3−ブタンジオールの生成を増加させるための方法が提供される。
本発明の第1の態様において、微生物発酵の間にピルビン酸塩に対する炭素の流れを増加させる方法が提供され、該方法は、
a)COを含むガス状基質を、液体栄養培地中に少なくとも1つの酢酸生成性のカルボキシド栄養性微生物の培養物を含むバイオリアクタに提供して、少なくとも1つのピルビン酸塩由来生成物及び少なくともアセチル−CoA由来生成物を生成することと、
b)ピルビン酸塩に対する炭素の流れが増加するように、液体栄養培地中の少なくとも1つの栄養素の濃度を少なくとも1つの酢酸生成微生物の細胞要求を超える濃度まで増加させることと、を含み、前記栄養素は、
1)ビタミンB1、
2)ビタミンB5、及び
3)ビタミンB7からなる群から選択される。
特定の実施形態において、少なくとも1つのピルビン酸塩由来生成物の生成を増加させるために、液体栄養培地中の少なくとも1つの栄養素の濃度を増加させる。特定の実施形態において、液体栄養培地中の少なくとも1つの栄養素の濃度を増加させることは、バイオリアクタ内のバイオマス密度をさらに増加させる。
特定の実施形態において、ビタミンB1、B5、もしくはB7、またはそれらの混合物の濃度を、液体栄養培地中で増加させる。特定の実施形態において、ビタミンB1、B5、もしくはB7、またはそれらの混合物の濃度を、液体栄養培地中の少なくとも1つの微生物の細胞要求を越えて増加させる。特定の実施形態において、ビタミンB1、B5、もしくはB7、またはそれらの混合物の濃度を、液体栄養培地中の少なくとも1つの微生物の細胞要求を超えて少なくとも2倍増加させる。特定の実施形態において、ビタミンB1、B5、もしくはB7、またはそれらの混合物の濃度を、液体栄養培地中の少なくとも1つの微生物の細胞要求を超えて少なくとも10倍増加させる。特定の実施形態において、液体栄養培地中のビタミンB1、B5、もしくはB7、またはそれらの混合物の濃度を増加させることは、バイオリアクタ内のバイオマス密度を増加させない。
一実施形態において、少なくとも1つのピルビン酸塩由来生成物は、2,3−ブタンジオール(2,3−BDO)である。代替として、少なくとも1つのピルビン酸塩由来生成物は、乳酸塩、コハク酸塩、メチルエチルケトン(MEK)、2−ブタノール、プロパンジオール、2−プロパノール、イソプロパノール、アセトイン、イソブタノール、シトラマル酸塩、ブタジエン、及びポリ乳酸(PLA)からなる群から選択される。一実施形態において、少なくとも1つのアセチル−CoA由来生成物は、エタノール、酢酸、アセトン、ブタノール、イソブチレン、3−ヒドロキシプロピオネート(3HP)、及び脂肪酸からなる群から選択される。さらなる実施形態において、少なくとも1つのアセチル−CoA由来生成物はエタノールである。
第2の態様において、本発明は、微生物発酵によって生成されるエタノールに対する2,3−ブタンジオールの比を増加させる方法を提供し、該方法は、
a)COを含むガス状基質を、液体栄養培地中に少なくとも1つの酢酸生成性のカルボキシド栄養性微生物の培養物を含むバイオリアクタに提供して、少なくとも2,3−ブタンジオール及びエタノールを生成することと、
b)エタノールに対する2,3−ブタンジオールの比が増加するように、液体栄養培地中の少なくとも1つの栄養素の濃度を少なくとも1つの酢酸生成性のカルボキシド栄養性微生物の細胞要求を超える濃度まで増加させることと、を含み、前記栄養素は、
1)ビタミンB1、
2)ビタミンB5、
3)ビタミンB7、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
特定の実施形態において、液体栄養培地中の少なくとも1つの栄養素を増加させることは、2,3−BDOの生成の増加によりエタノール:2,3−ブタンジオールの比を減少させる。特定の実施形態において、2,3−BDOに対するエタノールの比は、4:1〜1:2と様々である。
特定の実施形態において、微生物が、1日当たり少なくとも5g/Lまたは1日当たり少なくとも10g/Lまたは1日当たり少なくとも20g/Lまたは1日当たり少なくとも30g/Lの生成率で2,3−ブタンジオールを生成するように、液体栄養培地中の少なくとも1つの栄養素の濃度を増加させる。
特定の実施形態において、酢酸生成性のカルボキシド栄養性微生物は、クロストリジウム、モーレラ、オキソバクター、ペプトストレプトコッカス、アセトバクテリウム、ユウバクテリウム、またはブチリバクテリウムからなる群から選択される。種々の実施形態において、微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナム、クロストリジウム・リュングダリイ、クロストリジウム・カルボキシディボランス、クロストリジウム・ドラケイ、クロストリジウム・スカトロゲネス、クロストリジウム・アセチカム、クロストリジウム・フォルミコアセチカム、クロストリジウム・マグナム、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム、アセトバクテリウム・ウッディ、アルカリバクルム・バッキ(Alkalibaculum bacchi)、ブラウティア・プロダクタ、ユーバクテリウム・リモスム、ムーレラ・サーモアセチカ、スポロミュサ・オバータ、スポロミュサ・シルバセティカ、スポロミュサ・スフェロイデス、オキソバクター・フェニジイ、及びサーモアナエロバクター・キブイからなる群から選択される。
特定の実施形態において、酢酸生成性のカルボキシド栄養性微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナムまたはクロストリジウム・リュングダリイである。特定の一実施形態において、微生物はクロストリジウム・オートエタノゲナムである。特定の実施形態において、細菌は、受け入れ番号DSM10061、DSM19630、またはDSM23693の同定特徴を有する。これらの細菌は、German Resource Centre for Biological Material(DSMZ)、所在地DSMZ GmbH Inhoffenstrase,7 B,D−38124 Braunschweig,Germanyに受託されている。
本発明はまた、本出願の明細書において個々にまたは集合的に言及されるかまたは示される部分、要素、及び特徴を、前記部分、要素、及び特徴のうちの2つ以上のいずれかまたは全ての組み合わせで含み、本発明が関連する技術分野において既知の等価物を有する具体的な整数が本明細書において述べられる場合、そのような既知の等価物は、あたかも個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれるものと見なされる。
本発明のこれら及び他の態様は、全てにおいてその新規の態様であると見なされるべきであり、添付の図面を参照して、ほんの一例として提供される以下の説明から明らかになるであろう。
クロストリジウム・オートエタノゲナムにおけるエタノール及び2,3−ブタンジオールの生成経路の概略図を提供し、ビタミンB1、B5、及びB7がどこで補因子として利用されるかを示す。 実施例3からの代謝物及びバイオマスの濃度のプロットを示す。 実験3のガス取り込みプロファイルを示すプロットを示す。 実施例5からの代謝物及びバイオマスの濃度対時間のプロットを示す。 実施例5のガス取り込みを示すプロットを示す。
本発明者は、少なくとも1つの酢酸生成性のカルボキシド栄養性微生物の培養物によって生成される代謝産物を制御するための方法を考案した。特に、本発明は、少なくとも1つのカルボキシド栄養性酢酸生成微生物によるガス状CO基質の微生物発酵によって、少なくとも1つのピルビン酸塩由来生成物の生成を増加させるための方法を提供する。
定義
用語「2,3−ブタンジオール」または2,3−BDOは、(R,R)、(S,S)、及びメソ形を含む化合物の全てのエナンチオマー形態及びジアステレオマー形態を、ラセミの、部分的に立体異性的に純粋な形態及び/または実質的に立体異性的に純粋な形態で含むと解釈されるべきである。
用語「バイオリアクタ」は、1つ以上の容器及び/もしくは塔または配管からなる発酵装置を含み、連続撹拌槽反応器(CSTR)、固定化細胞反応器(ICR)、細流床反応器(TBR)、気泡塔、ガスリフト発酵槽、静的ミキサ、循環型ループ反応器、膜反応器、例えば、中空繊維膜バイオリアクタ(HFMBR)等、または気液接触に適した他の容器もしくは他の装置を含む。本明細書で後述されるように、いくつかの実施形態において、バイオリアクタは、第1の増殖反応器及び第2の発酵反応器を備えてもよい。そのため、基質、例えば一酸化炭素を含む基質のバイオリアクタまたは発酵反応への添加に言及する場合、必要に応じて、これらの反応器のいずれかまたは両方への添加を含むと理解されるべきである。
用語「栄養素」は、微生物の代謝経路において利用され得る任意の物質を含む。例示的な栄養素は、カリウム、ビタミンB、微量金属、及びアミノ酸を含む。
用語「ガス状基質」及び/または「基質」は、発酵における炭素源及び任意選択的にエネルギー源として微生物によって使用される化合物または要素を含有する任意のガスを含む。ガス状基質は、典型的には相当な割合のCO、CO、H、またはそれらの混合物のいずれかを含有する。
用語「一酸化炭素を含む基質」及び同様の用語は、一酸化炭素が、1つ以上の細菌株に、例えば、増殖及び/または発酵のために利用可能である任意の基質を含むと理解されたい。
「一酸化炭素を含むガス状基質」は、あるレベルの一酸化炭素を含有する任意のガスを含む。ガス状基質は、相当な割合のCO、好ましくは、少なくとも15体積%〜95体積%のCOを含有する。
「COを含む基質」は、あるレベルの二酸化炭素を含有する任意の基質流を含む。しかしながら、ガス状基質は、代替の形態で提供されてもよいということを理解されたい。例えば、COを含むガス状基質は、液体中に溶解した状態で提供されてもよい。本質的に、二酸化炭素を含有するガスで液体を飽和させ、次いで、その液体がバイオリアクタに加えられる。これは、標準的な方法を使用して達成され得る。例として、微小気泡分散体発生装置(Hensirisak et. al.Scale−up of microbubble dispersion generator for aerobic fermentation;Applied Biochemistry and Biotechnology Volume 101,Number 3/October,2002)が使用されてもよい。さらなる例として、CO及びHを含有するガス状基質は、固体支持体に吸着されてもよい。
本明細書で使用される用語「生成物」は、微生物発酵によって生成される物質を包含することが意図される。生成物は、アルコール、酸、または他の化学物質を含むことができる。生成物はまた、微生物発酵プロセスによって生成されるガスも含むことができる。
用語「効率を増大させる」、「効率の増大」等は、発酵プロセスに関連して使用される場合、限定されないが、発酵を触媒する微生物の増殖の速度、高いブタンジオール濃度での増殖率及び/または生成物の生成率、消費される基質の体積当たりの生成される所望の生成物の体積、所望の生成物の生産率または生産レベル、ならびに他の発酵の副産物と比較した生成される所望の生成物の相対的割合のうちの1つ以上を増大させることを含む。
用語「生産性」または「生産率」は、生成物の体積生産性である。連続システムにおいて、体積生産性は、生成物の定常状態濃度と液体保持時間との比として計算される。バッチシステムにおいて、体積生産性は、バッチシステムにおいて前記濃度を生じさせるために必要とされる濃度及び時間として計算される。体積生産性は、g/L/日として報告される。
文脈上別段の解釈が必要でない限り、「発酵」、「発酵プロセス」、または「発酵反応」等の表現は、本明細書で使用される場合、プロセスの増殖期及び生成物生合成期の両方を包含することが意図される。
本明細書で使用される用語「ピルビン酸塩由来生成物」または「ピルビン酸塩に由来する生成物」または同様の用語は、ピルビン酸塩前駆体を有する発酵生成物を包含することが意図される。これらの生成物は、限定されないが、2,3−ブタンジオール、乳酸塩、コハク酸塩、メチルエチルケトン(MEK)、2−ブタノール、プロパンジオール、2−プロパノール、イソプロパノール、アセトイン、イソ−ブタノール、シトラマル酸塩、ブタジエン、及びポリ乳酸(PLA)を含む。
本明細書で使用される用語「アセチルcoA由来生成物」または「アセチルcoAに由来する生成物」または同様の用語は、アセチルcoA前駆体を有する発酵生成物を包含することが意図される。これらの生成物は、限定されないが、エタノール、酢酸、アセトン、ブタノール、イソブチレン、3−ヒドロキシプロピオネート(3HP)、及び脂肪酸を含む。
以下の説明において、2,3−BDOは、ピルビン酸塩由来生成物の一例として使用され、エタノールは、アセチルcoA由来生成物の一例として使用される。本発明は、これら2つの特定の生成物に限定されるものではなく、上に列挙される全てのピルビン酸塩及びアセチルcoAに由来する生成物を包含することを理解されたい。
エタノール及び酢酸塩等の生成物を生成するための一酸化炭素を含むガス状基質の微生物発酵のためのプロセスは、当該技術分野において既知である。そのようなプロセスは、COを含む産業廃棄ガスから商業的に有用な燃料を生成するための手段を提供する。これらのプロセスは、通常、液体栄養培地中に少なくとも1つの酢酸生成性のカルボキシド栄養性微生物の培養物を含むバイオリアクタに、COを含むガス状基質を供給することを含む。アルコール、酸、及びそれらの混合物を生成するために、ガス状基質を嫌気的に発酵させる。バイオリアクタ内で使用される液体栄養培地は、典型的には、少なくとも1つの酢酸生成性のカルボキシド栄養性微生物の増殖を支持し、アルコールを生成するために1つ以上の微生物の代謝経路において利用される、種々の栄養素を含有する。そのような栄養素の例として、MgCl、CaCl、KCl、HPO、Fe、Ni、Zn、Mn、B、W、Se等が挙げられる。
また、2,3−BDOは、エタノールとともに種々の濃度(通常、エタノールよりはるかに低い濃度)で生成され得ることも既知である。特定の場合において、できる限り多くの2,3−BDOを生成することが望ましい場合があり、他の場合には、できる限り多くのエタノールを生成することが望ましい場合がある。驚くべきことに、本発明者は、発酵の開始時または発酵中の後の時点のいずれかに、液体栄養培地中の特定の栄養素の濃度を増加させることにより、ピルビン酸塩由来生成物、例えば、2,3−BDOの生成を増加させる一方で、アセチルcoA由来生成物、例えば、エタノールの生成には事実上影響を与えないように、発酵の代謝物プロファイルが改変されることを発見した。この効果は、主として2,3−BDO及びエタノールで観察されたが、他のピルビン酸塩由来生成物及びアセチルcoA由来生成物が同様に影響を受けないと疑う理由はない。増殖及び生成物生成に必要とされる細胞要求を超過して供給した場合に、ピルビン酸塩由来生成物を増加させることが分かった特定の栄養素は、
1)ビタミンB1、
2)ビタミンB5、
3)ビタミンB7、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
本発明の一実施形態は、液体栄養培地中のビタミンBの濃度をカルボキシド栄養性酢酸生成微生物の細胞要求を越えて調整すること、例えば、増加させることを含む。クロストリジウム・オートエタノゲナムの代謝に必要不可欠な2つのビタミンBであるビタミンB1及びB5のレベルを増加させることは、2,3−BDOの生成を増加させる効果を有する。これらのビタミンは、アセチルCoA、ピルビン酸塩、及びアセト乳酸を含む2,3−BDO生成における中間体の生合成に関与する酵素の主要補因子として同定されている。補因子としてのビタミンBの役割は、図1に示される。
当該技術分野では、クロストリジウム・リュングダリイ等のカルボキシド栄養性微生物は、増殖のために50μg/生成バイオマス1gのビタミンB5を必要とすると教示されている(例えば、国際公開第WO2002/08438号)。液体栄養培地中のビタミンB5またはB1いずれかの濃度を、細胞要求を超えて2〜80倍(またはそれ以上)増加させることによって、ピルビン酸塩由来生成物の生成が増加されることが実証されている。特定の実施形態において、液体栄養培地中のビタミンB5の濃度を、細胞要求の2〜80倍または2〜60倍または2〜40倍または2〜30倍または2〜20倍または2〜10倍または4〜80倍または4〜60倍または4〜40倍または4〜30倍または4〜20倍または4〜15または4〜10倍または8〜80倍または8〜60倍または8〜40倍または8〜30倍または8〜20倍または15〜80倍または15〜60倍または15〜40倍または15〜30倍または25〜80倍または25〜60倍または25〜40倍または80倍または40〜60倍増加させることができる。有効濃度に関して、本発明の広義の実施形態は、液体栄養培地中のビタミンB5の濃度が100μg/生成バイオマス1g〜4000μg/生成バイオマス1gの実施形態である。特定の実施形態において、液体栄養培地中のビタミンB5の濃度は、100〜3000または100〜2000または100〜1500または100〜1000または200〜4000または200〜3000または200〜2000または200〜1500または200〜1000または400〜4000または400〜3000または400〜2000または400〜1500または600〜4000または600〜3000または600〜2000μg/生成バイオマス1gである。
ビタミンB1の場合、本発明の広義の実施形態は、液体栄養培地中のビタミンB1の濃度を、細胞要求の2〜30倍または2〜20倍または2〜10倍または4〜30倍または4〜20倍または4〜15倍または6〜30倍または6〜20倍または6〜15倍または8〜30倍または8〜20倍または10〜30倍または15〜30倍または20〜30倍増加させる実施形態である。有効濃度に関して、本発明の広義の実施形態は、液体栄養培地中のビタミンB1の濃度が20〜500μg/生成バイオマス1gの実施形態である。特定の実施形態において、液体栄養培地中のビタミンB1の濃度は、20〜400または20〜300または20〜200または40〜500または40〜300または40〜200または60〜500または60〜400または60〜300または60〜200または100〜500または100〜400または100〜300または100〜200μg/生成バイオマス1gと様々であり得る。
本発明者は、液体栄養培地中のビタミンB7の濃度を増加させることにより、2,3−BDOの生成の増加がもたらされることを実証した。この増加は、代謝前駆体の利用可能性を増加させることに起因する。ビタミンB7は、アセチル−CoAカルボキシラーゼ及びピルビン酸塩カルボキシラーゼの活性に必要とされる。驚くべきことに、本発明者は、B7が微生物の細胞要求を超過して提供されるようにビタミンB7の濃度を増加させることにより、2,3−BDOの生成が増加することを示した。興味深いことに、B7の増加は、バイオマス生成またはCO取り込みに影響を与えないことが示された。特定の実施形態において、液体栄養培地中のビタミンB7の濃度は、細胞要求の2〜30倍もしくは2〜20倍もしくは2〜15倍もしくは2〜10倍もしくは4〜20倍、または4〜15倍もしくは4〜10倍増加させることができる。特定の実施形態において、液体栄養培地中のビタミンB7の濃度は、100〜4000または100〜3000または100〜2000または100〜1500または100〜1000または200〜4000または200〜3000または200〜2000または200〜1500または200〜1000または400〜4000または400〜3000または400〜2000または400〜1500または600〜4000または600〜3000または600〜2000μg/生成バイオマス1gと様々であり得る。特定の実施形態において、液体栄養培地中のビタミンB7の濃度を増加させることにより、エタノール:2,3−BDOの比を2,3−BDOに有利に改善する。
ビタミンBのうちのいずれかを(前述のように)細胞要求を超えて増加させたとき、ピルビン酸塩由来生成物、例えば、2,3−BDOの生成及び濃度が増加する一方で、アセチルcoA由来生成物、例えば、エタノールの生成及び濃度は、事実上影響を受けなかった。したがって、ビタミンBのうちの少なくとも1つの濃度を前述の範囲内に調整することによって、エタノール:2,3−BDOの比を特定の値または範囲に制御できるということが、本発明の別の態様である。したがって、エタノール:2,3−BDOの比は、4:1〜1:2または4:1〜1:1または4:1〜2:1または3:1〜1:2または3:1〜1:1または3:1〜2:1と様々であってもよく、より低い比(より高い2,3−BDO濃度/生成)は、より高いビタミンBの濃度で達成される。
特定の実施形態において、液体栄養培地中の少なくとも1つの栄養素の濃度を、発酵プロセスの初めに細胞要求を超えて増加させ、プロセスを通して超過濃度に、すなわち細胞要求を超えて維持する。代替として、標準濃度の栄養素を含む液体栄養培地を使用して発酵プロセスを開始し、発酵プロセスの間の特定の時点で、栄養素の濃度を細胞要求を超える所望の濃度まで増加させる。また、少なくとも1つの栄養素の濃度を、細胞要求を超える濃度から細胞要求の濃度またはその間の濃度まで減少させると、2,3−BDOの生成が減少することが分かった。濃度を細胞要求濃度まで減少させた場合、2,3−BDOの生成は実質的に初期の生成に戻る。したがって、本発明は、全発酵プロセスの間または種々の期間の間、ピルビン酸塩由来生成物、例えば、2,3−BDO、及びアセチルcoA由来生成物、例えば、エタノールの生成を調整することを可能にする。このことは、発酵の生成物、例えば、2,3−BDO及びエタノールが、ブタジエン等の他の化学物質、または燃料、例えば、ジェット燃料を生成するために使用される場合、特に重要である。
酢酸生成性のカルボキシド栄養性微生物によるCOを含むガス状基質の発酵は、比較的高い濃度での一次発酵生成物としてのエタノールの生成、及び比較的低い濃度の2,3−BDOの生成をもたらす。したがって、ビタミンB1、ビタミンB5、またはビタミンB7のうちの少なくとも1つの濃度をそれらの細胞要求を超えて増加させることにより、エタノール:2,3−ブタンジオールの比を減少させる、すなわち、ガス状CO基質の微生物発酵によって生成される2,3−BDOの濃度を増加させるための方法が提供される。ビタミンB1、ビタミンB5、及びビタミンB7の濃度は、個々に、または任意の組み合わせにおいて様々であってもよい。すなわち、ビタミンB5のみを増加させることができる、ビタミンB1のみを増加させることができる等である。代替として、ビタミンB7を一定に維持しながらビタミンB5及びビタミンB1を増加させることができる、ビタミンB1を一定に維持しながらビタミンB7及びビタミンB5を増加させることができる、またはビタミンB5を一定に維持しながらビタミンB1及びB7を増加させることができる。さらに別の実施形態において、3つ全てのビタミンBを、それらの細胞要求を超えて増加させる。
特定の実施形態において、微生物が、1日当たり5g/L超、または1日当たり10g/L超、または1日当たり20g/L超の生成率で2,3−ブタンジオールを生成するように、液体栄養培地中の上記栄養素のうちの少なくとも1つの濃度を、細胞要求を超えて増加させる。
特定の実施形態において、微生物は、1日当たり10g/L超または1日当たり15g/L超または1日当たり20g/L超または1日当たり30g/L超または1日当たり40g/L超の生成率でエタノールを生成するためにCOを利用することができる。
本発明の特定の実施形態において、発酵プロセスは連続プロセスである。本発明の一実施形態において、2,3−ブタンジオール及びエタノールの生成のために2つのバイオリアクタシステムが使用される。一実施形態において、複数反応器システムが使用される。
発酵は、例えば、固定化細胞反応器、ガスリフト反応器、気泡塔反応器(BCR)、膜反応器、例えば、中空繊維膜バイオリアクタ(HFMBR)、または細流床反応器(TBR)等の、任意の好適なバイオリアクタにおいて実行され得る。また、本発明のいくつかの実施形態において、バイオリアクタは、微生物が培養される第1の増殖反応器と、増殖反応器からの発酵ブロスが供給され得、そこで発酵生成物(例えば、エタノール及び酢酸塩)のほとんどが生成され得る第2の発酵反応器とを備えてもよい。本発明のバイオリアクタは、CO、CO、H、及びそれらの混合物からなる群から選択されるガス状基質を受容するように適合される。
酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、クロストリジウム、モーレラ、オキソバクター、ペプトストレプトコッカス、アセトバクテリウム、ユウバクテリウム、またはブチリバクテリウムから選択される。種々の実施形態において、微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナム、クロストリジウム・リュングダリイ、クロストリジウム・カルボキシディボランス、クロストリジウム・ドラケイ、クロストリジウム・スカトロゲネス、クロストリジウム・アセチカム、クロストリジウム・フォルミコアセチカム、クロストリジウム・マグナム、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム、アセトバクテリウム・ウッディ、アルカリバクルム・バッキ(Alkalibaculum bacchi)、ブラウティア・プロダクタ、ユーバクテリウム・リモスム、ムーレラ・サーモアセチカ、スポロミュサ・オバータ、スポロミュサ・シルバセティカ、スポロミュサ・スフェロイデス、オキソバクター・フェニジイ、及びサーモアナエロバクター・キブイからなる群から選択される。
特定の実施形態において、微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナムまたはクロストリジウム・リュングダリイである。特定の一実施形態において、微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナムである。特定の実施形態において、クロストリジウム・オートエタノゲナムは、German Resource Centre for Biological Material(DSMZ)に受託され、受け入れ番号DSM10061またはDSM19630またはDSM 23693を有する株の同定特徴を有するクロストリジウム・オートエタノゲナムである。
当業者には、本明細書に記載される本発明の好ましい実施形態に対する種々の変更例及び修正例が明らかであることに留意されたい。そのような変更例及び修正例は、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、またそれに付随する利点を減じることなく行われ得る。したがって、そのような変更例及び修正例は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
発酵
前述のように、本発明における使用に適した細菌の例として、クロストリジウム属の細菌、例えば、国際公開第WO00/68407号、欧州特許第117309号、米国特許第5,173,429号、同第5,593,886号、及び同第6,368,819号、国際公開第WO98/00558号、及び同第WO02/08438号に記載されるものを含むクロストリジウム・リュングダリイ、クロストリジウム・カルボキシジボランス(Liou et al.,International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology 33:pp2085−2091)、ならびにクロストリジウム・オートエタノゲナム(Abrini et al.,Archives of Microbiology 161:pp345−351)の株等が挙げられる。他の好適な細菌は、モーレラ種HUC22−1(Sakai et al.,Biotechnology Letters 29:pp1607−1612)を含むモーレラ属の細菌、カルボキシドサーマス属の細菌(Svetlichny,V.A.,et al.(1991),Systematic and Applied Microbiology 14:254−260)を含む。これらの刊行物の各々の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。さらに、他のカルボキシド栄養性の嫌気性細菌が、当業者によって本発明のプロセスにおいて使用され得る。また、本開示を考慮すると、2つ以上の細菌の混合培養物が本発明のプロセスにおいて使用され得ることも理解されるであろう。
本発明の方法において使用される細菌の培養は、嫌気性細菌を用いて基質を培養するため及び発酵させるための当該技術分野で既知の任意の数のプロセスを使用して行われ得る。例示的な技術は、後述の「実施例」の項に提供される。さらなる例として、以下の論文に概説される、発酵のためにガス状基質を使用するプロセスが用いられてもよい:(i)K.T.Klasson,et al.(1991).Bioreactors for synthesis gas fermentations resources.Conservation and Recycling,5;145−165、(ii)K.T.Klasson,et al.(1991).Bioreactor design for synthesis gas fermentations.Fuel.70.605−614、(iii)K.T.Klasson,et al.(1992).Bioconversion of synthesis gas into liquid or gaseous fuels.Enzyme and Microbial Technology.14;602−608、(iv)J.L.Vega,et al.(1989).Study of Gaseous Substrate Fermentation:Carbon Monoxide Conversion to Acetate.2.Continuous Culture.Biotech.Bioeng.34.6.785−793、(vi)J.L.Vega,et al.(1989).Study of gaseous substrate fermentations:Carbon monoxide conversion to acetate.1.Batch culture.Biotechnology and Bioengineering.34.6.774−784、(vii)J.L.Vega,et al.(1990).Design of Bioreactors for Coal Synthesis Gas Fermentations.Resources,Conservation and Recycling.3.149−160(これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる)。
一実施形態において、微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナムクロストリジウム・リュングダリイ、クロストリジウム・ラグスダレイ、クロストリジウム・カルボキシディボランス、クロストリジウム・ドラケイ、クロストリジウム・スカトロゲネス、クロストリジウム・アセチカム、クロストリジウム・フォルミコアセチカム、クロストリジウム・マグナムを含むカルボキシド栄養性クロストリジウムの群から選択される。さらなる実施例において、微生物は、C.オートエタノゲナム種、C.リュングダリイ種、及びC.ラグスダレイ種、ならびに関連する分離株を含むカルボキシド栄養性クロストリジウムのクラスターに由来する。これらは、限定されないが、C.オートエタノゲナムJAI−1T株(DSM10061)(Abrini,Naveau,&Nyns,1994)、C.オートエタノゲナムLBS1560株(DSM19630)(国際公開第WO/2009/064200号)、C.オートエタノゲナムLBS1561株(DSM23693)、C.リュングダリイPETCT株(DSM13528=ATCC 55383)株(Tanner,Miller,&Yang,1993)、C.リュングダリイERI−2株(ATCC 55380)(米国特許第5,593,886号)、C.リュングダリイC−01株(ATCC 55988)(米国特許第6,368,819号)、C.リュングダリイO−52(ATCC 55989)株(米国特許第6,368,819号)、C.ラグスダレイP11T株(ATCC BAA−622)(国際公開第WO2008/028055号)、関連する分離株、例えば、「C.コスカチイ」(米国特許出願公開第20110229947号)及び「クロストリジウム種」(Tyurin&Kiriukhin,2012)、または変異株、例えば、C.リュングダリイOTA−1(Tirado−Acevedo O.Production of Bioエタノール from Synthesis Gas Using クロストリジウム・リュングダリイi.PhD thesis,North Carolina State University,2010)を含む。これらの株は、クロストリジウムrRNAクラスターI内にサブクラスターを形成し、それらの16S rRNA遺伝子は99%超同一であり、約30%という同様に低いGC含有量を有する。しかしながら、DNA−DNA再結合及びDNAフィンガープリント実験は、これらの株が異なる種に属することを示した(国際公開第WO2008/028055号)。
上で言及したクラスターの全ての種は、同様の形態及びサイズを有し(対数増殖細胞は0.5〜0.7×3〜5μmである)、中温性であり(最適増殖温度30〜37℃)、厳密に嫌気性生物である(Abrini et al.,1994;Tanner et al.,1993)(国際公開第WO2008/028055号)。さらに、それらは全て、同じ主な系統発生形質、例えば、同じpH範囲(pH4〜7.5、最適な初期pHは5.5〜6)、同様の増殖率でのCO含有ガスにおける強い独立栄養増殖、ならびに主な発酵最終生成物としてのエタノール及び酢酸と同様の代謝プロファイル、ならびに特定の条件下で形成される少量の2,3−ブタンジオール及び乳酸(Abrini et al.,1994;Kopke et al.,2011;Tanner et al.,1993)(国際公開第WO2008/028055号)を共有する。3つ全ての種にインドールの生成も観察された。しかしながら、これらの種は、種々の糖(例えば、ラムノース、アラビノース)、酸(例えば、グルコン酸塩、クエン酸塩)、アミノ酸(例えば、アルギニン、ヒスチジン)、または他の基質(例えば、ベタイン、ブタノール)の基質の利用において異なる。さらに、これらの種のうちのいくつかは、特定のビタミン(例えば、チアミン、ビオチン)に対する栄養要求体であることが分かったが、他はそうではなかった。ガス取り込みに関与するWood−Ljungdahl経路遺伝子の組織及び数は、核及びアミノ酸配列の違いにもかかわらず、全ての種において同じであることが分かった(Kopke et al.,2011)。また、カルボン酸のそれらの対応するアルコールへの還元も、様々なこれらの微生物において示された(Perez,Richter,Loftus,&Angenent,2012)。したがって、これらの形質は、C.オートエタノゲナムまたはC.リュングダリイ等の1つの生物に特異的ではなく、むしろ、カルボキシド栄養性のエタノール合成クロストリジウムの一般的な形質であり、これらの株にわたって機序が同様に作用することが予想され得るが、性能の差が存在し得る(Perez et al.,2012)。
発酵は、任意の好適なバイオリアクタにおいて実行され得る。本発明のいくつかの実施形態において、バイオリアクタは、微生物が培養される第1の増殖反応器と、増殖反応器からの発酵ブロスが供給され、また発酵生成物(例えば、エタノール及び酢酸塩)のほとんどが生成される第2の発酵反応器とを備えてもよい。
CO含有基質
一酸化炭素を含む基質、好ましくは一酸化炭素を含むガス状基質が、本発明の発酵反応において使用される。ガス状基質は、工業プロセスの副産物として得られるか、または何らかの他の源、例えば、燃焼機関(例えば、自動車)の排ガス等から得られる廃棄ガスであってもよい。特定の実施形態において、工業プロセスは、製鉄所で行われるような鉄金属製品製造、非鉄金属製品製造、石油精製プロセス、石炭のガス化、電力発電、カーボンブラック製造、アンモニア製造、メタノール製造、及びコークス製造からなる群から選択される。これらの実施形態において、CO含有ガスは、大気中に放出される前に、任意の好都合な方法を用いて工業プロセスから捕捉される。
特定の実施形態において、COを含む基質は、製鋼プロセスから得られる。製鋼プロセスでは、鉄鉱石が粉砕及び微粉化され、焼結またはペレット化等の前処理に供され、次いで溶鉱炉(BF)に通され、そこで精錬される。精錬プロセスでは、コークスが炭素源としての役割を果たし、鉄鉱石を還元するための還元剤として作用する。コークスは、材料を加熱及び溶解するための熱源としての機能を果たす。溶銑の表面に対して純酸素の高速ジェットを注入することにより、塩基性酸素転炉(BOF)内で溶銑が脱炭される。酸素は、溶銑中の炭素と直接反応して一酸化炭素(CO)を生成する。よって、高いCO含有量のガス流がBOFから排出される。本発明の特定の実施形態によれば、この流れが1つ以上の発酵反応に供給するために使用される。しかしながら、当業者には明らかであるように、COは、製鋼プロセス内の他の場所でも生成される可能性があり、また本発明の種々の実施形態によれば、そのような代替源が、BOFからの排ガスの代わりに、または排ガスと組み合わせて使用されてもよい。源(すなわち、製鋼プロセス内の特定の段階)に応じて、そこから排出されるガスのCO含有量は様々であり得る。また、特に、バッチ処理プラントにおいて、1つ以上のそのような流れが中断される期間が存在する場合もある。
典型的には、製鉄所の脱炭プロセスから排出される流れは、高濃度のCO及び低濃度のHを含む。そのような流れは、さらなる処理をほとんどまたは全く行わずに、直接バイオリアクタに通すことができるため、より高い効率のアルコール生成及び/または全体的な炭素捕捉を達成すために、基質流の組成を最適化することが望ましい場合がある。例えば、基質流中のHの濃度は、流れがバイオリアクタに通される前に増加させることができる。
本発明の特定の実施形態によれば、所望の及び/または最適化された基質流を生成するために、2つ以上の源からの流れを組み合わせる及び/またはブレンドすることができる。高濃度のCOを含む流れ、例えば、製鉄所の転炉からの排ガスを、高濃度のHを含む流れ、例えば、製鉄所のコークス炉からのオフガスと組み合わせることができる。
製鋼プロセスの初期段階は、典型的には、コークスを使用した鉄鉱石の還元を含む。コークスは、鉄鉱石を溶解及び還元するために使用される固体炭素燃料であり、典型的には、製鉄所の現場で生成される。コークス製造プロセスでは、典型的には14〜36時間持続するサイクルで、密封された、酸素の非存在下にて高温で加熱される一連の炉に瀝青炭が供給される。炉の中に残った固体炭素がコークスである。コークスは急冷塔に運ばれ、水スプレーで、または不活性ガス(窒素)を循環させることによって冷却され、次いで、ふるいにかけられ、溶鉱炉に送られる。
このプロセスの間に生成される揮発性化合物は、通常、ガスが炉を加熱するための燃料として使用される前に、タール、アンモニア、ナフタレン、フェノール、軽油、及び硫黄を除去するために処理される。コークス製造の結果として生成されるガスは、典型的には、高いH含有量(典型的な組成:55%H、25%CH、6%CO、3%N、2%は他の炭化水素)を有する。そのため、コークス炉ガスの少なくとも一部は、アルコール生産性及び/または全体的な炭素捕捉を向上させるために、COを含む流れとブレンドするように発酵プロセスに迂回させることができる。培養物に対して有毒であり得る副産物を除去するために、コークス炉ガスを発酵槽に通す前に処理する必要があるかもしれない。
他の実施形態において、COを含む基質は、炭化水素の水蒸気改質から得ることができる。炭化水素、例えば、天然ガスの炭化水素は、以下の式に従って、CO及びHを生じるように高温で改質することができる:
Figure 0006595508
例として、水蒸気メタン改質は、ニッケル触媒の存在下、高温(700〜1100℃)で水蒸気をメタンと反応させてCO及びHを生成することを含む。得られた流れ(変換されたCHの1mol当たり1molのCO及び3molのHを含む)は、発酵槽に直接通されてもよいか、または発酵プロセスにおけるエタノール生産性及び/または全体的な炭素捕捉を向上させるために、別の源からの基質流とブレンドされてもよい。メタノール等のアルコールもまた、同様の様式で使用され得るCO及びH2を生成するために改質することができる。
いくつかの実施形態において、CO含有ガス状基質は、メタン、エタン、プロパン、石炭、天然ガス、原油、石油精製所からの低価値残渣(石油コークスまたはペットコークスを含む)、都市固形廃棄物、またはバイオマス等の有機物のガス化から供給されてもよい。バイオマスは、食品の抽出及び加工中に得られる副産物、例えば、サトウキビからの砂糖、またはトウモロコシもしくは穀物からのデンプン、あるいは林業から発生する非食品バイオマス廃棄物を含む。これらの炭素質材料のいずれも、合成ガス(相当量のH及びCOを含む合成ガス)を生成するためにガス化できる、すなわち、酸素を用いて部分的に燃焼させることができる。ガス化プロセスは、典型的には、0.4:1〜1.2:1のモル比のH対COとともに、それより少ない量のCO、HS、メタン、及び他の不活性物質を含む合成ガスを生成する。生成されるガスの比は、当該技術分野で既知の手段によって様々であってもよく、国際公開第WO200701616号に詳述される。しかしながら、例として、CO:Hの生成物比を調整するために以下のガス化装置条件を変更することができる:原料組成(特に、C:H比)、動作圧力、温度プロファイル(生成物混合物の急冷に影響する)、及び用いられる酸化剤(空気、酸素富化空気、純O、または水蒸気(水蒸気はより高いCO:H比をもたらす傾向がある))。したがって、ガス化装置の動作条件は、発酵プロセスにおけるアルコール生産性及び/または全体的な炭素捕捉を増加させるための最適化された組成もしくは望ましい組成を提供するために、発酵に、または1つ以上の他の流れとブレンドするために望ましい組成を有する基質流を提供するように調整することができる。
ガスの改質またはバイオマスのガス化、例えば、CO含有流を生成するための合成ガスの生成は、米国特許出願公開第2013/0210096A1号、同第2013/0203143A1号、同第2013/0045517A1号、及び米国特許第8,376,736号に記載されており、これらの全ては、参照によりこれらの内容全体が本明細書に組み込まれる。
一酸化炭素を含むガス状基質の組成に応じて、発酵に導入する前に、粉塵粒子等のあらゆる望ましくない不純物を除去するために基質を処理することが望ましい場合がある。例えば、ガス状基質は、既知の方法を用いて濾過またはスクラブされ得る。
CO含有基質は、典型的には、相当な割合のCO、例えば、少なくとも15体積%〜100体積%のCO、15体積%〜70体積%のCO、40体積%〜95体積%のCO、40体積%〜60体積%のCO、及び45体積%〜55体積%のCO等を含有する。特定の実施形態において、基質は、25体積%、もしくは30体積%、もしくは35体積%、もしくは40体積%、もしくは45体積%、もしくは50体積%のCO、または55体積%のCO、または60体積%のCOを含む。より低い濃度、例えば、6%のCOを有する基質もまた、特に、H及びCOも存在する場合には、適切であり得る。いくつかの実施形態において、基質は、5%〜70%のCOを含む。
COを含むガス流の源に関係なく、ガス流は、通常、CO、H2、、CH等の複数の他のガスを含有する。例えば、COは、1体積%〜80体積%、または1体積%〜30体積%、または5%〜30%の濃度で存在し得る。広義の実施形態において、バイオリアクタに通される基質は、典型的には、20〜80%のCO、0〜30%のH、及び0〜40%のCOといった濃度を有する。
典型的には、一酸化炭素は、ガス状態で発酵反応に加えられる。しかしながら、本発明は、この状態での基質の添加に限定されるものであると見なされるべきではない。例えば、一酸化炭素は、液体で提供されてもよい。例えば、液体を一酸化炭素含有ガスで飽和させ、次いで、その液体をバイオリアクタに加えてもよい。これは、標準的な方法を用いて達成され得る。例として、微小気泡分散体発生装置(Hensirisak et.al.Scale−up of microbubble dispersion generator for aerobic fermentation;Applied Biochemistry and Biotechnology Volume 101,Number 3/October,2002)が使用されてもよい。
さらに、基質流のCO濃度(またはガス状基質中のCOの分圧)を増加させ、ひいてはCOが基質である発酵反応の効率を増大させることが望ましい場合も多い。ガス状基質中のCOの分圧を増加させることにより、発酵培地へのCOの物質移動が増加する。発酵反応に供給するために使用されるガス流の組成は、その反応の効率及び/またはコストに重大な影響を与え得る。例えば、Oは、嫌気性発酵プロセスの効率を低下させ得る。発酵プロセスの段階において、発酵の前及び後に望ましくないまたは不要なガスを処理することは、そのような段階への負担を増大させる可能性がある(例えば、ガス流がバイオリアクタに進入する前に圧縮されると、発酵に必要のないガスを圧縮するために不要なエネルギーが使用される場合がある)。したがって、望ましくない成分を除去し、望ましい成分の濃度を増加させるために、基質流、特に、工業源から得られた基質流を処理することが望ましい場合がある。
基質流からの望ましくないガス状成分の除去は、従来の技術、例えば、極低温分別、分子ふるい、吸着、圧力スイング吸着、または吸収によって行うことができる。どのプロセスが用いられる場合でも、ガス分離は、ガス流から次の成分のうちの1つ以上の少なくとも一部を単離するために行うことができる:H、O、CO、及びCO。付加的にまたは代替的に、本発明の実施形態によるガス分離は、ガス流(例えば、N、O)から1つ以上の部分を除去するために使用され得、それによって残りの部分がバイオリアクタ内等でより効率的に使用され得る。
吸着は、固体または液体の表面における、ガス、液体、または溶質の蓄積である。吸収は、ある物質、例えば、固体または液体が、その分子間の微小な細孔または空間を通して、別の物質、例えば、液体またはガスを取り込むステップである。
圧力スイング吸着(PSA)は、ガスの精製のために使用され得る断熱プロセスであり、圧力容器内に含まれる固定床中の好適な吸着剤を用いた高圧下での吸着により、随伴不純物を除去する。吸着剤の再生は、向流減圧によって、また以前に回収されたほぼ生成物品質のガスを用いて低圧でパージすることによって、達成される。生成物の連続流を得るために、少なくとも1つの吸着装置が、ガス流(廃棄ガス/排ガス/バイオガスのガス流等)を受容して所望純度の生成物を実際に生成するように、好ましくは少なくとも2つの吸着装置が提供される。同時に、減圧、パージ、及び吸着圧に戻すための再加圧といった後続ステップが、他の吸着装置(複数可)によって実行される。吸着及び除去される不純物の種類に応じて、一般的な吸着剤が当業者によって容易に選択され得る。好適な吸着剤は、ゼオライト分子ふるい、活性炭、シリカゲル、または活性アルミナを含む。吸着床の組み合わせが互いの上に使用されてもよく、それによって吸着装置の内容物が複数の異なる区間に分割される。圧力スイング吸着は、圧力、温度、流れ、及びガス状の吸着相の組成等のパラメータにおける振り子のような振幅を含む。
PSAを用いたガスの精製または分離は、通常、ほぼ周囲温度の供給ガス温度で行われ、それによって除去される成分が選択的に吸着される。吸着は、理想的には、同様の周囲温度での吸着剤の再生を可能するように十分に可逆的であるべきである。PSAは、CO、CO、及びHを含む最も一般的なガスの処理及び/または精製に使用され得る。圧力スイング吸着技術の例は、Ruthven,Douglas M.et al.,1993 Pressure Swing Adsorption,John Wiley and Sonsに詳述される。
分子ふるいは、ガス及び液体の吸着剤として使用される、正確かつ均一なサイズの微小な細孔を備えた材料である。細孔を通過するのに十分小さい分子は吸着され、より大きい分子は吸着されない。分子ふるいは、一般的なフィルタに類似しているが、分子レベルで動作する。分子ふるいは、しばしば、アルミノケイ酸塩鉱物、粘土、多孔質ガラス、微小孔木炭、ゼオライト、活性炭、または窒素及び水等の小分子が拡散できる開放的な構造を有する合成化合物からなる。分子ふるいの再生のための方法は、(例えば、酸素濃縮器内での)圧力変化、ならびにキャリアガスによる加熱及びパージを含む。
例えば、窒素及びメタンのようなガスから水素を分離するため、水素を回収するため、バイオガスからメタンを分離するため、または水蒸気、CO、HS、もしくは揮発性有機液体を除去するために、膜が使用されてもよい。本開示を考慮すれば、当業者には明らかであるように、多孔質膜及び非孔質膜を含む異なる膜が、所望の目的を果たすために選択され得る。例えば、パラジウム膜は、Hの透過のみを許容する。特定の実施形態において、COは、CO透過膜を使用して流れから分離することができる。流れから分離されたCOは、前述のガス化装置等のCO除去装置に通すことができる。
極低温分別は、ガス流を圧縮することと、蒸留による分離を可能にするのに十分低い温度までそれを冷却することとを含む。これは、例えば、COを除去するために使用され得る。特定の成分(例えば、水)は、典型的には、極低温分別を行う前に流れから除去される。
同じ技術が、ガス流から酸素を除去して、CO及び/またはCOが豊富な嫌気性流を生成するためにも使用され得る。さらに、酸素は、例えば、通性好気性微生物、還元された炭素基質、及び微生物に必要な栄養素を含む密閉された発酵槽に燃焼排ガスを通すことによって、生物学的に除去され得る。通性好気性微生物は、酸素を消費してCO及び/またはCOが豊富な嫌気性流を作り出すことができる。
ガス流からOを分離または除去するための代替の方法も、当該技術分野において周知である。しかしながら、例として、酸素は、熱銅または触媒コンバータを使用して簡単に還元及び/または除去され得る。
特定のガス源に合わせてガス分離プロセスを調整することにより、ともすれば商業的に実現不可能な生物変換プロセスを商業的に実現可能にすることができる。例えば、自動車の排気流からのCOの適切な分離により、その流れから使用可能なエネルギー源を得ることができ、不要なガス放出を低減することができる。本発明の一実施形態によれば、ガス状基質は、CO及びHを含有する合成ガスを含み、ガス分離は、流れから水素を除去するために行われ、そうすることで水素が単離され、発酵プロセス以外で燃料として使用され得る。COは、発酵反応に供給するために使用され得る。
発酵プロセスにおいて使用される発酵ブロスのpHは、必要に応じて調整され得る。本発明が関連する技術分野の当業者には理解されるように、適切なpHは、使用される栄養培地及び微生物を考慮して、特定の発酵反応に必要とされる条件に依存する。好ましい一実施形態において、クロストリジウム・オートエタノゲナムを利用するCOを含有するガス状基質の発酵において、pHは約4.5〜6.5に調整され得る。さらなる例として、酢酸の生成のためムーレラ・サーモアセチカを使用したpH5.5〜6.5、ブタノールの生成のためにクロストリジウム・アセトブチリカムを使用したpH4.5〜6.5、及び水素の生成のためにカーボキシドサーマス・ハイドロゲノフォルマンスを使用したpH7への調製が挙げられる。当業者は、バイオリアクタを必要なpHに維持するのに適した手段を認識するであろう。しかしながら、例として、NaOH等の塩基水溶液及びHSO等の酸水溶液が、発酵培地のpHを上昇及び低下させるため、ならびに所望のpHを維持するために使用され得る。
本発明のさらなる利点は、廃棄ガスが発酵反応に使用される前にそれらに対して行われるスクラビング及び/または他の処理プロセスが存在しないかまたはほんの最小限であるため、ガスは、工業プロセスに起因するさらなる材料を含有するが、さらなる材料は、少なくとも一部、発酵反応のための原料として使用され得るということである。
流れのブレンド
発酵反応の効率、アルコール生成及び/または全体的な炭素捕捉を向上させるために、CO及びHを含む改質基質流を、1つ以上のさらなる流れとブレンドすることが望ましい場合がある。理論に拘束されることを望むものではないが、本発明のいくつかの実施形態において、カルボキシド栄養性細菌は、以下の式に従ってCOをエタノールに変換する:
Figure 0006595508
しかしながら、Hの存在下では、全体的な変換は以下の通りであり得る:
Figure 0006595508
したがって、発酵効率を最適化するように、高いCO含有量を有する流れを、CO及びHを含む改質基質流とブレンドしてCO:H比を増加させることができる。例として、製鉄所からのオフガス等の産業廃棄流は、高いCO含有量を有するが、Hを最小限含むかまたは全く含まない。そのため、ブレンドされた基質流を発酵槽に提供する前に、CO及びHを含む1つ以上の流れをCOを含む廃棄流とブレンドすることが望ましい場合がある。発酵の全体的な効率、アルコール生産性、及び/または全体的な炭素捕捉は、ブレンド流中のCO及びHの化学量論に依存する。しかしながら、特定の実施形態において、ブレンド流は、実質的に以下のモル比でCO及びHを含み得る:20:1、10:1、5:1、3:1、2:1、1:1、または1:2。
また、発酵の異なる段階において、CO及びHを特定の比で提供することが望ましい場合がある。例えば、発酵段階の開始時及び/または急速な微生物増殖期には、比較的高いH含有量(1:2のCO:H等)を有する基質流が提供されてもよい。しかしながら、増殖期が緩やかになり、そのため培養物が実質的に安定した微生物密度で維持されるようになると、CO含有量を増加させてもよい(少なくとも1:1または2:1以上等、その場合、H濃度はゼロ以上であってもよい)。
流れをブレンドすることはまた、特に、COを含む廃棄流が本質的に間欠的である場合に、さらなる利点を有し得る。例えば、COを含む間欠的な廃棄流は、CO及びHを含む実質的に連続的な改質基質流とブレンドされ、発酵槽に提供されてもよい。本発明の特定の実施形態において、実質的に連続的なブレンド流の組成及び流速は、実質的に連続的な組成及び流速の基質流の発酵槽への提供を維持するために、間欠的な流れに従って変更することができる。
培地
1つ以上の微生物の増殖及び基質からエタノール及び/または酢酸塩への発酵が生じるためには、基質に加えて、好適な栄養培地がバイオリアクタに供給される必要がある。栄養培地は、使用される微生物の増殖を許容するのに十分なビタミン及び鉱物等の成分を含有する。ほんの一例として、クロストリジウム・オートエタノゲナムの増殖に適した嫌気性培地は、例えば、Abriniらによって記載されるように(Clostridium autoethanogenum, sp.Nov.,An Anaerobic Bacterium That Produces Ethanol From Carbon Monoxide;Arch.Microbiol.,161:345−351(1994))、当該技術分野において既知である。本明細書に後述する「実施例」の項は、好適な培地のさらなる例を提供する。
バイオリアクタ
発酵は、例えば、固定化細胞反応器、ガスリフト反応器、気泡塔反応器(BCR)、膜反応器、例えば、中空繊維膜バイオリアクタ(HFMBR)、または細流床反応器(TBR)等の、任意の適切なバイオリアクタにおいて実行され得る。また、本発明のいくつかの実施形態において、バイオリアクタは、微生物が培養される第1の増殖反応器と、増殖反応器からの発酵ブロスが供給され得、そこで発酵生成物(例えば、エタノール及び酢酸塩)のほとんどが生成され得る第2の発酵反応器とを備えてもよい。本発明のバイオリアクタは、CO、H、及び任意選択的にCO含有基質を受容するように適合される。
発酵条件
ガス状基質からエタノール及び他のアルコールを生成するためのプロセスは既知である。例示的なプロセスは、国際公開第WO2007/117157号、同第WO2008/115080号、同第WO2009/022925号、同第WO2009/064200号、米国特許第6,340,581号、同第6,136,577号、同第5,593,886号、同第5,807,722号、及び同第5,821,111に記載されるものを含み、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
発酵は、望ましくは、基質からエタノール及び/または酢酸塩への発酵が生じるのに適した条件下で実行されるべきである。考慮されるべき反応条件は、温度、圧力、培地流速、pH、培地の酸化還元電位、撹拌速度(連続撹拌槽反応器を使用する場合)、接種量、基質レベルが限定的にならないことを確実にするためのバイオリアクタへの最大基質濃度及び基質導入速度、ならびに生成物抑制を回避するための最大生成物濃度を含む。
最適な反応条件は、使用される特定の微生物に一部依存する。しかしながら、一般的に、発酵は、周辺温度よりも高い圧力で行われることが好ましい。高い圧力で操作することにより、気相から液相へのCOの移動速度が著しく増加され、そこでCOはエタノール生成のための炭素源として微生物によって取り込まれ得る。このことは、ひいては、バイオリアクタが大気圧よりも高い圧力で維持される場合、滞留時間(バイオリアクタ内の液体体積を流入ガス流速で除したものとして定義される)が削減され得ることを意味している。
また、所与のCOから生成物への変換速度は、一部、基質滞留時間の関数であり、所望の滞留時間を達成することは、ひいてはバイオリアクタの必要容量を決定するため、加圧システムの使用により、必要とされるバイオリアクタの容量を大きく削減することが可能であり、その結果として発酵装置の資本コストが大きく削減される。米国特許第5,593,886号に提供される例によれば、反応器の容量は、反応器の動作圧力の増加に線形比例して削減することができ、すなわち、10気圧の圧力で操作されるバイオリアクタは、1気圧の圧力で操作される反応器の容量の10分の1を必要とするのみである。
ガスから生成物への発酵を高圧で行うことの利点は、他の場所にも記載されている。例えば、国際公開第WO02/08438号は、200kPag(29psig)及び520kPag(75psig)の圧力下で行われたガスからエタノールへの発酵が、それぞれ150g/l/日及び369g/l/日のエタノール生産性をもたらしたことを記載している。しかしながら、同様の培地及び流入ガス組成を用いて大気圧で行われた例示的な発酵では、1日当たり1リットルにつき10〜20分の1のエタノールが生成されたことが分かった。したがって、発酵プロセスは、大気圧(0kPag)〜600kPagで実行することができる。
COを含む基質の嫌気性発酵に適した発酵条件の例は、国際公開第WO2007/117157号、同第WO2008/115080号、同第WO2009/022925号、及び同第WO2009/064200号に詳述される。それらにおいて報告される発酵条件は、本発明の方法に従って容易に変更され得ることを認識されたい。
発酵生成物
ピルビン酸塩由来生成物及びアセチルcoA由来生成物の両方は、生成されたままで使用され得るか、またはこれらは、プラスチック、医薬品、及び農薬の生成等の他の化学物質の生成において使用されてもよい。一実施形態において、発酵生成物は、ガソリン範囲の炭化水素(8炭素)、ディーゼルの炭化水素(12炭素)、またはジェット燃料の炭化水素(12炭素)を生成するために使用される。次いで、エタノール及び酢酸塩を一緒に反応させて、エステルを含む化学生成物を生成することができる。本発明の一実施形態において、発酵によって生成されるエタノール及び酢酸塩を一緒に反応させて酢酸エチルを生成する。酢酸エチルは、表面コーティング及びシンナーを含む溶媒の生成等の他のプロセスの宿主として、ならびに医薬品及び香味剤及び香料の製造において有用であり得る。
2,3−BDOの場合、航空燃料として使用され得る8炭素の二量体に変換することができる。2,3−BDOはまた、ブテン(複数可)、ブタジエン、メチルエチルケトン(MEK)、及びそれらの混合物からなる群から選択される化合物にも変換することができる。2,3−BDOから種々の化学化合物への変換は、米国特許第8,658,408号に開示されている。
本発明はまた、発酵によって生成される炭化水素生成物の少なくとも一部が、水蒸気改質プロセスにおいて再利用されるということも提供する。これは、CH以外の炭化水素が触媒上で水蒸気と反応してH及びCOを生成することが可能であるため、行われ得る。特定の実施形態において、エタノールは、水蒸気改質プロセスの原料として使用されるように再利用される。さらなる実施形態において、炭化水素原料及び/または生成物は、水蒸気改質プロセスにおいて使用される前にプレ改質器に通される。プレ改質器を通過させることにより、水蒸気改質プロセスの水蒸気改質ステップを部分的に完了し、そうすることで水素生成の効率を増大させ、水蒸気改質炉に必要とされる容量を削減することができる。
生成物の回収
発酵反応の生成物は、既知の方法を用いて回収することができる。例示的な方法は、国際公開第WO07/117157号、同第WO08/115080号、米国特許第6,340,581号、同第6,136,577号、同第5,593,886号、同第5,807,722号、及び同第5,821,111号に記載されるものを含む。しかしながら、端的に述べると、また例として、エタノールは、分別蒸留または蒸発、及び抽出発酵等の方法によって、発酵ブロスから回収されてもよい。
発酵ブロスからのエタノールの蒸留により、エタノールと水の共沸混合物(すなわち、95%エタノール及び5%水)が得られる。同様に当該技術分野において周知である分子ふるいエタノール脱水技術の使用により、続いて無水エタノールを得ることができる。
抽出発酵手順は、希釈発酵ブロスからエタノールを回収するために、発酵生物に対する毒性リスクの低い水混和性溶媒の使用を含む。例えば、オレイルアルコールは、この種類の抽出プロセスに使用され得る溶媒である。オレイルアルコールを連続的に発酵槽に導入すると、この溶媒が上昇して発酵槽の上部に層が形成され、それを連続的に抽出し、遠心分離によって供給する。次いで、水及び細胞が、オレイルアルコールから容易に分離されて発酵槽に戻され、エタノールを含んだ溶媒はフラッシュ蒸発装置に供給される。ほとんどのエタノールは蒸発して凝結するが、オレイルアルコールは非揮発性であるため、発酵において再利用するために回収される。
発酵反応における副産物として生成され得る酢酸塩もまたそうである。
Figure 0006595508

実施例1.ビタミンB5の濃度の増加が2,3−BDOの生成に与える影響
この実験は、前述の一般的な発酵プロセスに従って実行された。発酵実験の過程において、酢酸塩の生成を最小限に抑え、エタノールの生成を最大化するようにガス流量及び撹拌を増加させた。希釈率及び細菌希釈率は、5日目までにそれらがそれぞれ1.8/日及び0.85/日になるように調整した。これらの値を発酵の残りの間維持した。6.0日目〜8.0日目に、198μg/生成細胞1gのB5供給率で安定したデータが得られた。この安定期間中に得られた結果を表2に要約する。
Figure 0006595508
8.1日目に、全ての他の動作パラメータは同じままで、培地中のビタミンB5の濃度を10倍増加させた。この期間中、バイオマスの生成率が若干低下したため、それに応じてビタミンB5の供給率を10倍強増加して2180μg/生成細胞1gとした。ビタミンB5濃度の増加後、他のパラメータは安定したままで、特定の2,3−BDOの生成率及び濃度が増加した。その結果を下の表3に要約する。
Figure 0006595508
特定の2,3−BDOの生成率及び2,3−BDOの濃度だけが増加し、他の代謝物、例えば、エタノール及びバイオマスの生成率は同じままであるため、これは驚くべき結果である。
実施例3.発酵開始からのビタミンB5の増加が2,3−BDOの生成に与える影響
上記実施例は、発酵を通して発酵培地中に過剰なビタミンB5が存在する場合の結果と比較することができる。この発酵実験中、酢酸塩の生成を最小限に抑え、エタノールの生成を最大化するようにガス及び撹拌を増大させた。希釈率及び細菌希釈率は、4.0日目までにそれぞれ1.7/日及び0.65/日に調整した。この場合、2,3−BDO濃度は2:1のエタノール:2,3−BDO比(図2)、及び9.4mol/L/日のCO取り込み(図3)で、9g/Lに達した。発酵を通したビタミンB5の供給率は、>2000μg/生成細胞1gであった。6.0〜7.0日目に、バイオマス及び2,3−BDOの生成が横ばいになると、ビタミンB5の供給率は2011μg/生成細胞1gであった。特定の2,3−BDOの生成率は、バイオマス1g当たり1.2g/日であり、特定のエタノールの生成率は、バイオマス1g当たり2.4g/日であった。
実施例4.ビタミンB1濃度の増加/減少が2,3−BDOの生成に与える影響
一般的な発酵プロセスを用いて発酵を開始し、酢酸塩の生成を最小限に抑え、エタノールの生成を最大化するようにガス及び撹拌を増大させた。希釈率及び細菌希釈率は、4.0日目までにそれぞれ4.0〜2.0/日及び1.2/日に調整した。これらの値を発酵の残りの間維持した。10.0日目〜14.0日目に安定したデータが得られ、この期間中のB1の供給率は303μg/生成細胞1gであった。得られたデータを表4に要約する。
Figure 0006595508
14.1日目に、全ての他の動作パラメータは一定に維持したままで、特定のB1の供給率を低下させるために培地中のB1の濃度を減少させた。14.1〜22.0日目に、2,3−BDOの生成に減少が認められ、エタノール:2,3BDOの比が4.7:1から12:1に増加した。この期間中、特定のB1の供給率は303μg/生成細胞1gから61μg/生成細胞1gに低下した。その結果を表5に要約する。
Figure 0006595508
B1の濃度を減少させることにより、エタノールの生成は影響を受けることなく、かつCO取り込みを一定に維持しながら、2,3−BDOの生成が減少したため、これは驚くべき結果である。当該技術分野において、増殖及び酢酸塩生成のためのB1の制限濃度は6.5μg/生成細胞1gであると報告されている。したがって、細胞増殖のための最低必要条件を十分に超過してB1を供給することは、2,3−BDOの生成及びエタノール:2,3−BDOの比を制御するための方法を提供する。
実施例5:B7の濃度の増加が2,3−BDOの生成に与える影響
この実施例では、一般的な発酵プロセスに従って増殖させた発酵物を用いて、B7が2,3−BDOの生成に及ぼす影響を試験した。発酵の過程において、酢酸塩の生成を最小限に抑え、エタノールの生成を最大化するように発酵ガス及び撹拌を増大させた。希釈率及び細菌希釈率は、8.0日目までにそれらがそれぞれ1.8/日及び0.75/日になるように調整した。これらの値を発酵の残りの間維持した。90μg/生成細胞1gのB7供給率で安定したデータが得られた。この時に得られた結果を下に要約する。
Figure 0006595508
8.69日目に、全ての他の動作パラメータは一定に維持したままで、培地中のB7の濃度を10倍増加させた。この期間中、バイオマスの生成率は安定を維持したため、B7の供給率を10倍強増加して980μg/生成細胞1gとした。B7供給の増加後、特定の2,3−BDOの生成率及び2,3−BDOの濃度が増加した。13〜14日目に得られたデータを下に要約する。
Figure 0006595508
2,3−BDOの濃度がピークに達したため(14.04日目)、特定のB7の供給率が低下して90μg/生成細胞1gに戻るように培地中のB7を10分の1に減少させた。測定された変数に関するデータは、B7の濃度の増加前に観察された値に非常に近いことが観察され、それを下に要約する。
Figure 0006595508
いずれか他の代謝物及びまたはバイオマスではなく、特定の2,3−BDOの生成率及び2,3−BDOの濃度が増加したため、これは驚くべき結果である。この結果はまた、B7の増加の影響は可逆的であり、B7を増加させることが特定のエタノールの生成率に影響しないことも示している。B7濃度の変化の結果を図4及び5に示す。
本発明は、不要な実験を行わずに、読者が本発明を実践することを可能にするために、特定の好ましい実施形態を参照して本明細書に記載されてきた。当業者は、本発明が、具体的に記載されたもの以外の多くの変形例及び修正例において実践され得ることを理解するであろう。本発明は、そのような全ての変形例及び修正例を含むことを理解されたい。さらに、表題、見出し等は、読者が本文書を理解する助けとなるように提供されているのであって、本発明の範囲を限定するものであると解釈されるべきではない。本明細書に引用される全ての出願、特許、及び刊行物の全体的な開示が、参照により本明細書に組み込まれる。
より具体的には、当業者には理解されるように、本発明の実施形態の実施は、1つ以上の追加の要素を含み得る。その種々の態様において本発明を理解するために必要な要素のみが、特定の実施例または説明に示されている場合がある。しかしながら、本発明の範囲は、記載される実施形態に限定されず、1つ以上の追加のステップ及び/もしくは1つ以上の代替のステップを含むシステム及び/もしくは方法、ならびに/または1つ以上のステップを省略するシステム及び/もしくは方法を含む。
本明細書における任意の先行技術への言及は、その先行技術があらゆる国において努力傾注分野の共通の常識の一部を形成していることの承認または何らかの形態の示唆であるとは受け取られず、また受け取られるべきでない。
本明細書及び後続する任意の請求項を通して、文脈上別段の解釈が必要でない限り、「含む」、「含んでいる」等の単語は、排他的な意味とは対照的な包括的な意味で、すなわち、「限定されないが〜を含む」という意味で解釈されるものとする。

本発明は、以下の態様を包含し得る。
[1]
微生物発酵の間に少なくとも1つのピルビン酸塩由来生成物の生成を増加させる方法であって、
a)COを含むガス状基質を、液体栄養培地中に少なくとも1つの酢酸生成性のカルボキシド栄養性微生物の培養物を含むバイオリアクタに提供して、少なくとも1つのピルビン酸塩由来生成物及び少なくともアセチル−CoA由来生成物を生成することと、
b)少なくとも1つのピルビン酸塩由来生成物の前記生成が増加するように、前記液体栄養培地中の少なくとも1つの栄養素の濃度を前記少なくとも1つの酢酸生成性のカルボキシド栄養性微生物の細胞要求を超える濃度まで増加させることと、を含み、前記栄養素は、
1)ビタミンB1、
2)ビタミンB5、
3)ビタミンB7、及びそれらの混合物からなる群から選択される、方法。
[2]
微生物発酵によって生成される2,3−ブタンジオールの生成を増加させる方法であって、
a)COを含むガス状基質を、液体栄養培地中に少なくとも1つの酢酸生成性のカルボキシド栄養性微生物の培養物を含むバイオリアクタに提供して、少なくとも2,3−ブタンジオール及びエタノールを生成することと、
b)2,3−ブタンジオールの前記生成が増加するように、前記液体栄養培地中の少なくとも1つの栄養素の濃度を前記少なくとも1つの酢酸生成性のカルボキシド栄養性微生物の細胞要求を超える濃度まで増加させることと、を含み、前記栄養素は、
1)ビタミンB1、
2)ビタミンB5、
3)ビタミンB7、及びそれらの混合物からなる群から選択される、方法。
[3]
ビタミンB5またはビタミンB1の濃度を、前記少なくとも1つの微生物の前記細胞要求を超えて2〜80倍増加させる、上記[1]に記載の方法。
[4]
ビタミンB5またはビタミンB1の前記濃度を、前記少なくとも1つの微生物の前記細胞要求を超えて2〜80倍増加させる、上記[2]に記載の方法。
[5]
ビタミンB7の濃度を、前記液体栄養培地中で、前記少なくとも1つの微生物の前記細胞要求を超えて2〜30倍増加させる、上記[1]に記載の方法。
[6]
ビタミンB7の前記濃度を、前記液体栄養培地中で、前記少なくとも1つの微生物の前記細胞要求を超えて2〜30倍増加させる、上記[2]に記載の方法。
[7]
前記液体栄養培地中のビタミンB1の前記濃度は、20〜500μg/生成バイオマス1gと様々である、上記[1]に記載の方法。
[8]
前記液体栄養培地中のビタミンB1の前記濃度は、20〜500μg/生成バイオマス1gと様々である、上記[2]に記載の方法。
[9]
前記液体栄養培地中のビタミンB5の前記濃度は、100〜4000μg/生成バイオマス1gと様々である、上記[1]に記載の方法。
[10]
前記液体栄養培地中のビタミンB5の前記濃度は、100〜4000μg/生成バイオマス1gと様々である、上記[2]に記載の方法。
[11]
前記液体栄養培地中のビタミンB7の前記濃度は、100〜4000μg/生成バイオマス1gと様々である、上記[1]に記載の方法。
[12]
前記液体栄養培地中のビタミンB7の前記濃度は、100〜4000μg/生成バイオマス1gと様々である、上記[2]に記載の方法。
[13]
前記ピルビン酸塩由来生成物は、2,3−ブタンジオール、乳酸塩、コハク酸塩、メチルエチルケトン、2−ブタノール、プロパンジオール、2−プロパノール、イソプロパノール、アセトイン、イソブタノール、シトラマル酸塩、ブタジエン、及びポリ乳酸からなる群から選択される、上記[1]に記載の方法。
[14]
前記アセチル−CoA由来生成物は、エタノールである、上記[1]に記載の方法。
[15]
2,3−ブタンジオールの前記生成を、エタノール:2,3−ブタンジオールの比が4:1〜1:1と様々であるように増加させる、上記[2]に記載の方法。
[16]
2,3−ブタンジオールの前記生成は、少なくとも1日当たり10g/Lである、上記[2]に記載の方法。
[17]
2,3−ブタンジオールの前記生成は、少なくとも1日当たり20g/Lである、上記[2]に記載の方法。
[18]
前記酢酸生成性のカルボキシド栄養性微生物は、クロストリジウム、モーレラ、オキソバクター、ペプトストレプトコッカス、アセトバクテリウム、ユウバクテリウム、またはブチリバクテリウムからなる群から選択される、上記[1]に記載の方法。
[19]
前記酢酸生成性のカルボキシド栄養性微生物は、クロストリジウム、モーレラ、オキソバクター、ペプトストレプトコッカス、アセトバクテリウム、ユウバクテリウム、またはブチリバクテリウムからなる群から選択される、上記[2]に記載の方法。
[20]
前記酢酸生成性のカルボキシド栄養性微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナム、クロストリジウム・リュングダリイ、クロストリジウム・カルボキシディボランス、クロストリジウム・ドラケイ、クロストリジウム・スカトロゲネス、クロストリジウム・アセチカム、クロストリジウム・フォルミコアセチカム、クロストリジウム・マグナム、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム、アセトバクテリウム・ウッディ、アルカリバクルム・バッキ(Alkalibaculum bacchi)、ブラウティア・プロダクタ、ユーバクテリウム・リモスム、ムーレラ・サーモアセチカ、スポロミュサ・オバータ、スポロミュサ・シルバセティカ、スポロミュサ・スフェロイデス、オキソバクター・フェニジイ、及びサーモアナエロバクター・キブイからなる群から選択される上記[18]に記載の方法。
[21]
前記酢酸生成性のカルボキシド栄養性微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナム、クロストリジウム・リュングダリイ、クロストリジウム・カルボキシディボランス、クロストリジウム・ドラケイ、クロストリジウム・スカトロゲネス、クロストリジウム・アセチカム、クロストリジウム・フォルミコアセチカム、クロストリジウム・マグナム、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム、アセトバクテリウム・ウッディ、アルカリバクルム・バッキ(Alkalibaculum bacchi)、ブラウティア・プロダクタ、ユーバクテリウム・リモスム、ムーレラ・サーモアセチカ、スポロミュサ・オバータ、スポロミュサ・シルバセティカ、スポロミュサ・スフェロイデス、オキソバクター・フェニジイ、及びサーモアナエロバクター・キブイからなる群から選択される、上記[19]に記載の方法。

Claims (13)

  1. 微生物発酵により少なくとも2,3−ブタンジオールとエタノールを生成するための方法であって、
    CO、CO又はCOプラスHのうちの少なくとも1つを含むガス状基質を、液体栄養培地中に少なくとも1つの酢酸生成性のカルボキシド栄養性微生物の培養物を含むバイオリアクタに提供して、少なくとも2,3−ブタンジオールとエタノールを生成すること、および、
    前記液体栄養培地中の少なくとも1つの栄養素の濃度を前記少なくとも1つの酢酸生成性のカルボキシド栄養性微生物の細胞要求を超える濃度まで増加させること
    を含み、
    前記栄養素は、ビタミンB1、ビタミンB5、ビタミンB7およびそれらの混合物からなる群から選択され、
    ビタミンB5の濃度は、198〜4000μg/生成細胞1gに維持され、ビタミンB7の濃度は、100〜4000μg/生成細胞1gに維持され、B1の濃度は、20〜500μg/生成細胞1gに維持され、
    前記栄養培地中の前記少なくとも1つの栄養素の濃度が増加すると、2,3−ブタンジオールの生成が増加する、方法。
  2. 2,3−ブタンジオールの前記生成は、少なくとも1日当たり10g/Lである、請求項1に記載の方法。
  3. 2,3−ブタンジオールの前記生成は、少なくとも1日当たり20g/Lである、請求項1に記載の方法。
  4. エタノール:2,3−ブタンジオールの比が、4:1〜1:1と様々である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記少なくとも1つの酢酸生成性のカルボキシド栄養性微生物は、クロストリジウム、及びアセトバクテリウムからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記少なくとも1つの酢酸生成性のカルボキシド栄養性微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナム、クロストリジウム・リュングダリイ、クロストリジウム・カルボキシディボランス、クロストリジウム・ドラケイ、クロストリジウム・コスカチイ、クロストリジウム・ラグスダレイ、及びアセトバクテリウム・ウッディからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
  7. 前記液体栄養培地中のビタミンB5の前記濃度は、200〜4000μg/生成細胞1gと様々である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記液体栄養培地中のビタミンB5の前記濃度は、200〜3000μg/生成細胞1gと様々である、請求項1に記載の方法。
  9. 微生物発酵によるエタノール及び2,3−ブタンジオールの生成のための方法であって、
    CO、CO又はCOプラスHのうちの少なくとも1つを含むガス状基質を、液体栄養培地中にクロストリジウム・オートエタノゲナムの培養物を含むバイオリアクタに提供して、少なくとも2,3−ブタンジオール及びエタノールを生成することを含み、
    ビタミンB5の濃度が、198μg B5/生成細胞1gの濃度を超えて2〜80倍の濃度に維持され、
    前記栄養培地中のビタミンB5の濃度が増加すると、2,3−ブタンジオールの生成が増加することを特徴とする、方法。
  10. エタノール:2,3−ブタンジオールの比が、4:1〜1:1と様々である、請求項9に記載の方法。
  11. 微生物発酵によるエタノール及び2,3−ブタンジオールの生成のための方法であって、
    CO、COまたはCOプラスHのうちの少なくとも1つを含むガス状基質を、液体栄養培地中にクロストリジウム・オートエタノゲナムの培養物を含むバイオリアクタに提供して、少なくとも2,3−ブタンジオール及びエタノールを生成することを含み、
    ビタミンB5の濃度が、200〜4000μg/生成細胞1gの濃度に維持され、
    前記栄養培地中のビタミンB5の濃度が増加すると、2,3−ブタンジオールの生成が増加することを特徴とする、方法。
  12. エタノール:2,3−ブタンジオールの比が、4:1〜1:1と様々である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記液体栄養培地中のビタミンB5の前記濃度は、200〜3000μg/生成細胞1gと様々である、請求項11に記載の方法。
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