以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図1ないし図4を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る液体吐出装置の概略図である。図1に示される液体吐出装置は、インクを吐出するインクジェット装置である。
図1に示すように、液体吐出装置1は、ベースプレート2と、ヘッド3と、液体収容ユニット4と、を含む。ベースプレート2には搬送部5が搭載されている。被印字物6は不図示の吸着手段を用いて搬送部5上に吸着される。
液体収容ユニット4は、密閉された筐体7と、筐体7の内部に設けられた可撓性の収容袋8と、を含む。筐体7は、ヘッド3と連通する第1の収容空間と、可撓性の収容袋8を用いて第1の収容空間と隔てられた第2の収容空間と、を含む。第2の収容空間はヘッド3とは連通していない。
本実施形態では、収容袋8の内部空間が第1の収容空間を成しており、収容袋8の外側と筐体7との間の空間が第2の収容空間を成している。
なお、本発明は、第1の収容空間と第2の収容空間とが収容袋8を用いて隔てられた形態に限られず、第1の収容空間と第2の収容空間とが可撓性部材を用いて隔てられていればよい。
インクといった液体9は、第1の収容空間すなわち収容袋8の内部に収容されている。収容袋8に収容された液体9がヘッド3へ供給され、ヘッド3の吐出口10から下方へ吐出される。液体9としては、導電性液体およびUV硬化性液体等の液体を使用することも可能であり、液体9は脱気処理済みであることが望ましい。
収容袋8は、チューブや弁等を介すことなくヘッド3に直接接続されている。弁といった摺動部材が収容袋8とヘッド3との間に使用されていないので、液体9内への微細なゴミの混入が抑制される。
また、液体吐出装置1は、第2の収容空間に充填される液状充填剤11と、第2の収容空間に充填された液状充填剤11の圧力を調整する圧力調整手段12と、をさらに備える。液状充填剤11は非圧縮性を有する物質であり、例えば、水といった液体や、ゲル状物質を液状充填剤11として用いることができる。
第2の収容空間すなわち液状充填剤11が充填される空間は、チューブといった連通手段13を介して圧力調整手段12と接続されている。連通手段13にはバルブ14、15が配されており、バルブ14、15の間にジョイント16が配されている。
本実施形態によれば、第2の収容空間に液状充填剤11が充填される。液体やゲルの体積は、気体の体積に比べて温度および圧力の変化の影響を受けにくい。したがって、液体吐出装置1の周辺の気温または気圧が変化しても、液状充填剤11の体積はほとんど変動せず、第1の収容空間における液体9の圧力の変動が抑制される。
筐体7の一部がバッファ17として形成されていてもよい。具体的には、筐体7の壁の一部を可撓性膜とすることで、バッファ17が形成される。バッファ17は、液体吐出装置1の動作が停止した場合や、液体吐出装置1の動作中に電源が遮断された場合に機能する。
例えば、気圧や気温の変化に起因して、液状充填剤11や液体9の体積はわずかながら変化する。バッファ17が液状充填剤11や液体9の体積の変化に伴う圧力変動を吸収するので、第1の収容空間における液体9の圧力の変動がより小さく抑制される。
液状充填剤11の体積は気体の体積と比べて気温または気圧の変化の影響を受けにくいので、本発明は、第2の収容空間に気体を充填した場合に比べて、バッファ17をより小型化できるという利点を有する。なお、本発明は、バッファ17が筐体7に設けられた形態に限られず、連通手段13にバッファ17が設けられていてもよい。
また、本実施形態によれば、収容袋8に液体9が収容され、かつ収容袋8の外側と筐体7との間の空間に液状充填剤11が充填されるので、収容袋8は気体とほとんど接しない。したがって、収容袋8に気体がほとんど入り込まず、収容袋8に収容された液体9の圧力の上昇が抑制される。
収容袋8をなす可撓性部材としては、例えばアルミ多層フイルムなどの気体透過性の小さい材料を使用することができる。気体透過性の小さい材料を使用することで、気泡が液状充填剤11中に発生した場合でも、収容袋8の内部への当該気泡の透過が抑制され、収容袋8の内部における液体9の圧力の上昇を抑制することができる。
さらに、第1の収容空間に液体9が収容され第2の収容空間に液状充填剤11が充填される。液体9の密度と液状充填剤11の密度との差は、液体9の密度と気体の密度との差に比べて小さい。第1の収容空間に収容される物質の密度と第2の収容空間に充填される物質の密度との差をより小さくすることで、筐体7に衝撃が加えられた際の収容袋8の揺動を抑制することが可能になる。
例えば、第2の収容空間に気体が充填されている場合、当該気体の密度は液体9の密度に対して無視できるほど小さい。このような場合、当該気体は、液体9を収容する収容袋8の動きに従って筐体7内を移動する。したがって、筐体7に衝撃が加えられた際、当該気体は、収容袋8の動きをほとんど抑制せず、収容袋8は比較的大きく揺動する。
本実施形態では、第1の収容空間に収容される液体9との密度差が比較的小さい液状充填剤11が第2の収容空間に充填される。したがって、液状充填剤11は、液体9を収容する収容袋8の動きとは独立して筐体7内を移動する。すなわち、筐体7に衝撃が加えられた際、液状充填剤11と、液体9を収容する収容袋8とが互いに動きを抑制しあい、収容袋8の揺動が抑制される。
液状充填剤11は、液体9の密度に対して80%以上120%以下の範囲内の密度を有することが好ましい。この範囲内の密度を有する液状充填剤11を用いることで、収容袋8の揺動がより効果的に抑制される。
第2の収容空間に気体が充填されている場合、第1の収容空間に収容された液体9と第2の収容空間に充填された気体との密度差は100%とみなされる。これに対し、液体9の密度に対して80%以上120%以下の範囲内の密度を有する液状充填剤11を用いることで、密度差は20%以内になる。その結果、第2の収容空間に気体が充填されている場合と比較して、収容袋8の揺動を5分の1以下に抑制することが可能になる。液状充填剤11と液体9との密度差が少ないほど、収容袋8は揺動しにくくなる。
加えて、本実施形態では、圧力調整手段12が第2の収容空間に充填された液状充填剤11の圧力を調整するので、液状充填剤11中で浮力が作用する浮き袋が収容袋8に設けられている必要がない。したがって、筐体7の内部における密度の分布のばらつきを小さくすることができ、筐体7に衝撃が加えられた際の収容袋8の揺動を抑制することが可能になる。
収容袋8の揺動が抑制されることで、収容袋8が収容する液体9の圧力変動が抑制される。
以上のように、本実施形態によれば第1の収容空間すなわち収容袋8に収容された液体9の圧力変動が抑制される。したがって、ヘッド3における液体9の圧力変動が抑制され、ヘッドの内圧が負圧に維持される。その結果、ヘッド3からの液体9の漏れ(液漏れ)が抑制される。
本実施形態の一例として、筐体7の容量を400mlとし、液体9の初期量を約300mlとし、液状充填剤11の初期量を約100mlとすることができる。もちろん、本発明は、これに限られず、筐体7の容量、液体9の初期量および液状充填剤11の初期量を適宜決定することができる。例えば、筐体7の容量を400mlとし、液体9の初期量を約400mlとし、初期状態において液状充填剤11が第2の収容空間に充填されていなくてもよい。
収容袋8を成す可撓性部材は10μmから200μm程度の厚みを有する部材であり、体積に換算すると、大きい場合でも5mlから6ml程度になると想定される。したがって、収容袋8を成す可撓性部材の体積は液状充填剤11と液体9の総量に対して1%程度であり十分に小さい。そのため、収容袋8を成す可撓性部材と液状充填剤11との密度差、および収容袋8を成す可撓性部材と液体9との密度差を無視することが可能である。
例えば、収容袋8に使用される部材として、比較的高い気密性を有するアルミニウム製ラミネートフィルムが挙げられる。ラミネートフィルムの膜厚は通常10μm前後である。アルミニウムの密度は、2.7g/cm3であり液状充填剤11や液体9の密度に対してかなり大きいが、液状充填剤11および液体9の総量に対する収容袋8の体積比は1%未満であり、収容袋8の密度を無視することが可能である。
筐体7が液体9および液状充填剤11で満たされているので、収容袋8の揺動を抑制できる。その結果、吐出口10からの液体9の漏れが抑制される。
液体吐出装置1に液体収容ユニット4が搭載された状態では、連通手段13に外力が加わり筐体7が比較的大きく揺動する場合がある。また、液体収容ユニット4が液体吐出装置1の内部で移動する場合もある。このような場合であっても、収容袋8の揺動が抑制されるので、ヘッド3からの液体9の漏れが抑制される。
図2は、圧力調整手段12の一例を説明するための図である。図2に示されるように、圧力調整手段12は、圧力センサ18と、ポンプ19と、バルブ20と、貯留タンク21と、制御手段22と、を備えていてもよい。
圧力センサ18は、連通手段13内の液状充填剤11の圧力を測定する圧力測定手段である。圧力センサ18を用いて測定される圧力は、液体吐出装置1内の気圧に対する液状充填剤11の相対圧である。外乱の影響を受けにくくするために、バルブ15により近い位置に圧力センサ18を配置することが望ましい。
貯留タンク21には液状充填剤11が貯留されている。ポンプ19は、貯留タンク21と筐体7との間で液状充填剤11を移動させる。ポンプ19の例としては、チューブポンプ、ダイアフラムポンプおよびギヤポンプ等が挙げられる。バルブ20は、ポンプ19と貯留タンク21との間に配されており、通常、閉じられている。
圧力センサ18は、液状充填剤11の圧力を測定するとともに、当該圧力に対応する信号を制御手段22に伝える。制御手段22は、連通手段13における液状充填剤11の圧力に基づいて、バルブ20およびポンプ19の動作を制御する。バルブが開いている状態でポンプ19を駆動することで、液状充填剤11が貯留タンク21と筐体7との間を移動し、筐体7の圧力が所定の値に調整される。
次に、液体吐出装置1に動作について、図2ないし図4を用いて説明する。図3は、液体9の消費に伴い収容袋8が図2に示される状態から縮小した状態を示す図である。図4は、圧力センサ18および制御手段22を用いた液状充填剤11の圧力制御を説明するためのフローチャートである。
液体吐出装置1が起動すると、制御手段22は筐体7の内部における圧力の制御を開始する。
ヘッド3の吐出口10から液体9を吐出することで、収容袋8が収容する液体9の量は減少し、収容袋8の容積が減少する。バルブ20が閉じられている状態では筐体7および連通手段13は密閉されているので、筐体7および連通手段13の内部の液状充填剤11の圧力が低下する。
制御手段22は、連通手段13の内部の液状充填剤11の圧力を圧力センサ18に測定させる(ステップS1)。圧力センサ18は、液状充填剤11の測定圧力に対応する信号を制御手段22に伝える。そして、制御手段22は、圧力センサ18から送られた信号に基づいて、ポンプ19およびバルブ20の動作を制御する。
具体的には、制御手段22は、連通手段13における液状充填剤11の圧力値が所定の範囲内かどうかを判断する(ステップS2)。連通手段13における液状充填剤11の圧力値が所定の範囲よりも低いと制御手段22が判断した場合、制御手段22は、バルブ20を開くとともにポンプ19を駆動する(ステップS3)。ポンプ19が液状充填剤11を貯留タンク21から筐体7へ送ることで、筐体7の内部の圧力が上昇する(充填ステップ)。
その後、圧力センサ18は再び連通手段13の内部の液状充填剤11の圧力を測定し(ステップS1)、制御手段22は連通手段13における液状充填剤11の圧力値が所定の範囲内かどうかを判断する(ステップS2)。連通手段13における液状充填剤11の圧力値が所定の範囲内に戻ったと制御手段22が判断した場合、制御手段22は、バルブ20を閉じるとともにポンプ19を停止する。その結果、貯留タンク21から筐体7へ液状充填剤11が送られなくなり、筐体7の内部の圧力上昇が止まる。
このように、制御手段22が圧力センサ18を用いて測定された結果に基づいてバルブ20およびポンプ19の動作を制御することで、筐体7の内部の圧力が所定の範囲内に調整される(圧力調整ステップ)。
なお、筐体7の内部の圧力が上昇しすぎた場合には、ポンプ19を用いて液状充填剤11を筐体7から貯留タンク21へ輸送する。このようにすることで、筐体7の内部の圧力が下がる。
筐体7の内部の圧力が調整されたところで、制御手段22は圧力制御を終了するか否かを判断する(ステップS4)。圧力制御を終了しないと制御手段22が判断した場合は、制御手段22は連通手段13の内部の液状充填剤11の圧力を圧力センサ18に測定させる(ステップS1)。
本実施形態によれば、ヘッド3における液体9の圧力が調整されるので、吐出口10における液体9のメニスカスが良好な状態に保たれる。したがって、ヘッド3の吐出安定性が向上する。
特に、液体9の消費に伴って第2の収容空間に液状充填剤11が充填されるので、液体9の消費量にかかわらず、ヘッド3における液体9の圧力が維持される。これは、筐体7の容積がより大きい液体吐出装置1に有利に働く。筐体7の容積をより大きくすることで、液体収容ユニット4の交換頻度を下げることが可能になる。
特許文献1に開示される液体吐出装置では、インクタンクの変形量に基づいてインクタンクの体積および液体の消費量を推測し、インクタンクにおける液体の圧力を得ている。インクタンクの変形は一様ではないので、インクタンクの変形量に基づいてインクタンクの体積をより正確に推測することは難しい。インクタンクの体積が正確に得られない場合、インクタンクにおける液体の圧力を所定の値に維持することができず、吐出口10における液体9のメニスカスが悪化する。その結果、ヘッド3の吐出安定性が低下する。
本実施形態によれば、筐体7が液体9および液状充填剤11で満たされているので、液状充填剤11の圧力値を測定するだけで液体9の圧力値が得られる。液状充填剤11の圧力変化は、収容袋8の変形態様の影響をほとんど受けない。したがって、液状充填剤11の圧力値を測定することで液体9のより正確な圧力値が得られる。
液体9のより正確な圧力値が得られることで、ヘッド3における液体9の圧力を所望の負圧に保つことができ、吐出口10における液体9のメニスカスが良好な状態に保たれる。その結果、ヘッド3の吐出安定性が向上する。
本実施形態では、液状充填剤11や液体9は液状であるため、気体と比較して体積変動が小さく、圧力が急激に変化することが無い。
図3に示すように液体9の消費に伴い収容袋8が縮小すると、液状充填剤11が筐体7へ補充される。液状充填剤11と液体9との間の密度差は比較的小さいので、筐体7内における液状充填剤11と液体9との(体積)比率が変化しても液体9の消費に伴う筐体7内の密度変化は比較的小さい。当該比率の変化に伴う圧力変動を補正する必要がなく、液体吐出装置1を単純化することができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について、図5を用いて説明する。図5は本実施形態に係る液体吐出装置が備える液体収容ユニットの概略図である。なお、第1の実施形態の要素と同じ要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、図5に示すように、可撓性の収容袋8の内部空間に液状充填剤11が充填されており、収容袋8の外側と筐体7との間の空間に液体9が充填されている。すなわち、可撓性の収容袋8の内部空間が、液状充填剤11が充填される第2の収容空間を成しており、収容袋8の外側と筐体7との間の空間が、液体9を収容する第1の収容空間を成している。そして、収容袋8が連通手段13を介して圧力調整手段12(図1参照)と連通する。
液体9が吐出口10から吐出されると、筐体7および連通手段13の内部の圧力が下がり、圧力が所定の範囲内から外れると液状充填剤11が収容袋8へ導入される。その結果、筐体7および連通手段13内の圧力が所定の範囲内に維持される。
その他の構成は第1の実施形態と同じであるため、それらの説明を省略する。本実施形態に係る液体吐出装置1も、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
(第3の実施形態)
本発明の第3実施形態について、図6を用いて説明する。図6は、本実施形態に係る液体吐出装置の概略図である。なお、第1の実施形態の要素と同じ要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
液体収容ユニット4は液体吐出装置1の装置本体に対して着脱可能に形成されている。したがって、液体収容ユニット4が破損した場合や収容袋8に収容された液体9がなくなった場合に液体収容ユニット4を交換するだけで、液体吐出装置1は再び使用可能な状態になる。
ジョイント16は、2つのジョイント部16a、16bに分離可能に形成されている。このようなジョイント16を連通手段13に設けることで、連通手段13は、圧力調整手段12とバルブ14との間で圧力調整手段12から分離可能になる。その結果、液体収容ユニット4を液体吐出装置1の装置本体から着脱することが可能になる。
液体収容ユニット4が液体吐出装置1の本体から取り外される際には、バルブ14、15が閉められる。バルブ14を閉めることで、筐体7の内圧が負圧に維持され、吐出口10からの液体9の漏れが防止される。バルブ15を閉めることで、圧力調整手段12から液状充填剤11が送られなくなり、液状充填剤11の漏れが防止される。
その他の構成は第1の実施形態と同じであるため、それらの説明を省略する。
液体収容ユニット4を液体吐出装置1から取り外して液体収容ユニット4を運搬する場合、液体収容ユニット4に振動が加えられる。収容袋8の揺動が抑制されるので、ヘッド3における液体9の圧力変動が抑制される。したがって、液体収容ユニット4のみを運搬する際にも、ヘッド3からの液体9の漏れが抑制される。
本実施形態に係る液体吐出装置1も、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態について図7を用いて説明する。図7は、本実施形態に係る液体吐出装置の概略図である。なお、第1の実施形態の要素と同じ要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、ヘッド3は液体収容ユニット4に固定されておらず、ヘッド3と液体収容ユニット4とを別々に液体吐出装置1の本体に取り付けることが可能である。
図7に示すように、液体吐出装置1は、ヘッド3が搭載されるヘッド搭載部23を備える。ヘッド3は、吐出口10に連通する流路に設けられたヘッドフィルタ24と、当該流路の開口縁に配置されたOリング25と、を備える。
液体収容ユニット4は、液体9が収容された第1の収容空間に連通する流路に設けられた容器フィルタ26と、Oリング25が当接されるOリング当接部27と、を備える。Oリング25とOリング当接部27とが密着するように液体収容ユニット4をヘッド3に当接させることで、ヘッド3の吐出口10と液体収容ユニット4の第1の収容空間とが、ヘッドフィルタ24および容器フィルタ26を介して連通する。
Oリング25とOリング当接部27とが密着することで、ヘッド3と液体収容ユニット4との間の隙間が塞がれる。その結果、ヘッド3および液体収容ユニット4の内部への大気の流入が抑制される。
容器フィルタ26は、微細な細孔を有する部材であり、容器フィルタ26の細孔内の液体9のメニスカスと、筐体7内の圧力とが釣り合っている状態である。したがって、液体収容ユニット4がヘッド3に当接していなくても、容器フィルタ26から液体9は漏れない。
不図示の吸引手段を用いてヘッド3の吐出口10から液体9を吸い出すことで、液体収容ユニット4内の液体9が容器フィルタ26およびヘッドフィルタ24を介してヘッド3に充填される。
その他の構成は第1の実施形態と同じであるため、それらの説明を省略する。本実施形態に係る液体吐出装置1も、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態について、図8を用いて説明する。図8は、本実施形態に係る液体吐出装置が備える液体収容ユニット4の概略図である。なお、第1の実施形態の要素と同じ要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図8に示すように、収容袋8は、蛇腹部28と、蛇腹部28の一方の開口を塞ぐ蓋部29と、を含む。蛇腹部28の他方の開口がヘッド3を用いて塞がれており、ヘッド3の吐出口10と蛇腹部28の内部空間とが連通している。
蓋部29は、蛇腹部28に比べて変形しにくい部材である。比較的厚い板状またはシート状の弾性部材を蓋部29として用いることができる。蓋部29の密度は、液状充填剤11や液体9の密度とほぼ同じであることが望ましい。例えば、ポリプロピレン(密度0.9〜0.92g/cm3)を用いて形成された板部材を蓋部29として用いることがより望ましい。
液体9が吐出口10から吐出されると、収容袋8の内部に収容された液体9の量が減り、収容袋8の容積が減少する。このとき、蛇腹部28が縮小する。蓋部29は蛇腹部28に比べて変形しにくいので、可撓性の収容袋8の意図しない変形を防ぐことができる。可撓性の収容袋8が意図したとおりに縮小することで、液体9を効率的に消費することが可能になる。
その他の構成は第1の実施形態と同じであるため、それらの説明を省略する。本実施形態に係る液体吐出装置1も、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態について、図9を用いて説明する。図9は、本実施形態に係る液体吐出装置1が備える液体収容ユニット4の概略図である。なお、第1の実施形態の要素と同じ要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、図9に示すように、圧力センサ18は筐体7の内側面に配置されている。したがって、筐体7内における液状充填剤11の圧力をより正確に測定することができる。
圧力センサ18として、筐体7の内部の圧力の変動や外力の影響で変形しにくいセンサを用いることが好ましい。このようなセンサを用いることで、筐体7の内側面に配置された圧力センサ18を、筐体7の壁とみなすことができる。したがって、圧力センサ18を筐体7の内側面に配置した場合においても、筐体7の内部の圧力を安定的に制御することが可能である。
筐体7の壁と見なされるものは圧力センサ18に限られず、筐体7の内部の圧力の変動や外力の影響で変形しない部材であれば、筐体7の内側面に配置されることで筐体7の壁と見なされる。
その他の構成は第1の実施形態と同じであるため、それらの説明を省略する。本実施形態に係る液体吐出装置1も、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
(第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態について、図10を用いて説明する。図10は、本実施形態に係る液体吐出装置が備える液体収容ユニット4および圧力調整手段12の概略図である。なお、第1の実施形態の要素と同じ要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図10に示されるように、圧力調整手段12は、大気連通孔30が形成された貯留タンク21を備える。貯留タンク21は、ヘッド3の吐出口面よりも鉛直方向における下方に配置されている。したがって、ヘッド3の吐出口10における液体9に負圧が作用する。ヘッド3の吐出口面から、貯留タンク21内に貯留される液状充填剤11の液面までの、鉛直方向における距離に基づいて、吐出口10における液体9に作用する圧力値が決まる。
本実施形態では、図2に示される圧力センサ18、ポンプ19、バルブ20および制御手段22を用いることなく、吐出口10における液体9の圧力を負圧に維持することができる。
本実施形態において、液体9が吐出されると、収容袋8の容積が減り、筐体7の圧力が低下する。その結果、液状充填剤11は貯留タンク21から筐体7へ移動する。液状充填剤11が筐体7に流入することで、筐体7の内圧が所定の負圧に維持される。
貯留タンク21は、水平方向に十分な大きさを有していることがより好ましい。貯留タンク21の水平方向における寸法をより大きくすることで、貯留タンク21内における液状充填剤11の液面降下はより小さくなり、当該液面降下に起因する圧力の変化を抑制することが可能である。
図11は、圧力調整手段12の他の例を示す概略図である。
図11に示すように、圧力調整手段12は、貯留タンク21を昇降させる昇降手段31を備えていてもよい。貯留タンク21を昇降させることで、貯留タンク21内に貯留される液状充填剤11の液面が、ヘッド3の吐出口面に対して鉛直方向に変位し、吐出口10における液体9に作用する圧力の大きさが変わる。
昇降手段31としては、例えば貯留タンク21を支持する弾性部材などが挙げられる。液状充填剤11が貯留タンク21から筐体7へ移動すると、貯留タンク21内の液状充填剤11の液面は貯留タンク21に対して降下する一方、貯留タンク21内の液状充填剤11の重量が減少する。
貯留タンク21内の液状充填剤11の重量が減少することで昇降手段31としての弾性部材にかかる荷重が減少し、貯留タンク21は当該弾性部材の弾性力により上昇する。液状充填剤11の移動に伴う液面の降下量と貯留タンク21の上昇量とが等しくなるように弾性部材のばね定数を設計することで、ヘッド3に対する貯留タンク21内の液面高さを常に一定にすることが可能になる。
その他の構成は第1の実施形態と同じであるため、それらの説明を省略する。本実施形態に係る液体吐出装置1も、第1の実施形態と同様の効果を奏する
(第8の実施形態)
本発明の第8の実施形態について、図12および図13を用いて説明する。図12は、本実施形態に係る液体吐出装置1の概略図である。図13は、本実施形態に係る液体吐出装置1の動作を説明するためのフローチャートである。なお、第1の実施形態の要素と同じ要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図12に示されるように、液体吐出装置1は、加圧手段としてのピストンポンプ32を備える。ピストンポンプ32は駆動機構に連結されており、当該駆動機構が作動することで筐体7に液状充填剤11を注入し、筐体7の内部を加圧する。ピストンポンプ32以外の要素は第1の実施形態に係る液体吐出装置1の要素と同じであり、本実施形態に係る液体吐出装置1も第1の実施形態と同様の効果を奏する。
液体9としてインクを用いた場合、吐出口10におけるインクの粘度が増して、吐出口10からインクが吐出されなくなることがある。このようなことは、特に、液体吐出装置1を長時間休止した場合に起こりやすい。
また、吐出口10の付近に気泡が溜まり、液体9が吐出口10から吐出されなくなることがある。このようなことは、特に、液体吐出装置1を連続して運転した場合に起こりやすい。
ピストンポンプ32が筐体7に液状充填剤11を注入することで、粘度が増した液体9や吐出口10付近の気泡が強制的に吐出口10から排出される。その結果、増粘した液体9や気泡が吐出口10から取り除かれ、吐出口10から液体9が良好に吐出されるようになる。
本実施形態によれば、液体吐出装置1が加圧手段としてのピストンポンプ32を備えているので、第1の実施形態に係る液体吐出装置1が奏する効果に加え、増粘した液体9や気泡に起因する不吐出を解消することができる。
増粘した液体9や気泡を排出する際の液体吐出装置1の動作を、図12および図13を用いて説明する。
まず、バルブ14およびバルブ15の少なくとも一方が閉じられ、ピストンポンプ32を用いて筐体7に液状充填剤11を注入する。筐体7の内部は非圧縮性を有する液体9や液状充填剤11で満たされているので、ピストンポンプ32で注入された液状充填剤11の体積とほぼ等しい体積の液体9がヘッド3の吐出口10から押し出される。
液体9を押し出す圧力は、ピストンポンプ32の大きさと、ピストンポンプ32に連結された駆動機構が発する力と、で定まる。より大きな力を発するピストンポンプ32および駆動機構を用いることで、より高い圧力が液体9に作用し、比較的高い粘度を有する液体9をより容易に吐出口10から押し出すことができる。
バッファ17を筐体7に設けることで、比較的高い圧力が筐体7の内部の液状充填剤11に瞬間的に作用しにくくなり、吐出口10からの大量の液体9の流出を抑制することができる。また、比較的高い圧力が筐体7の内部に瞬間的に作用しにくくなることで、強度が劣る部分の破損を防ぐことができる。
バッファ17の可動容積が、ピストンポンプ32を用いて押し出される液状充填剤11の量よりも小さい場合には、少なくともその差分の量だけ液体9が吐出口10から押し出される。
バッファ17の可動容積を、ピストンポンプ32を用いて押し出される液状充填剤11の量よりも大きくする場合には、バッファ17が膨らんだ際の圧力を適正に設計しておく。このようにしておくことで、バッファ17が膨らむのと同時に筐体7内の圧力が上昇し、液体9が吐出口10から押し出される。
いずれの場合でも、増粘した液体9や気泡が吐出口10から排出されることで液体9は吐出口10を通り易くなる。その結果、ピストンポンプ32を用いて筐体7に注入された液状充填剤11の量とほぼ等しい量の液体9が吐出口10から流れ出す。
ピストンポンプ32を用いて液状充填剤11を筐体7に注入したところで、バルブ14及びバルブ15が開かれてピストンポンプ32がゆっくりと元の位置に戻される。バルブ14およびバルブ15が開かれることで圧力調整手段12が筐体7における液状充填剤11の圧力を調整する。したがって、ピストンポンプ32を元の位置に比較的ゆっくりと戻すことで筐体7の内圧を所定の負圧に保つことができるので、ヘッド3は吐出を開始することが可能になる。
増粘した液体9や吐出口10付近の気泡を排出した際、吐出口面に液滴が付着することがある。吐出口面に付着した液滴は、ワイパーブレードを用いて吐出口面を拭く等の周知の方法を用いることで除去される。吐出口面の液滴を除去するのは、バルブ14及びバルブ15を開いてピストンポンプ32を元の位置に戻す前であっても後であっても良い。
ポンプ等の可動機構は一般にその動作に伴ってパーティクルを発生するという問題が有る。本実施形態では、ピストンポンプ32は液体9に接していないので、ピストンポンプ32の動作により発生するパーティクルは液状充填剤11に混入するのみで液体9には混入しない。したがって、液体9の汚染を抑制することができるという利点がある。
流体を加圧する手段としては、タービンポンプ等の流路の圧損に依存して流量が変動するポンプと、駆動量に応じてほぼ一定の流量で液体を輸送するいわゆる容積型ポンプと、が知られている。容積型ポンプの例としては、ピストンポンプ、ギヤポンプ、チューブポンプ、ダイアフラムポンプ等が挙げられる。
本発明は、加圧手段としてピストンポンプ32を用いた形態に限られない。加圧手段として容積型ポンプを用いることが望ましい。容積型ポンプを用いることで、より高い圧力で液状充填剤11を加圧しつつ、必要量以上の液体9の排出を抑制することが可能であるという利点がある。
特許文献2には、浮き袋内に空気を供給することによりノズル内の増粘した液体を排出するメンテナンス方法が開示されている。より具体的には、空気が浮き袋内に供給されることで、浮き袋内の気体の圧力が高まるとともに浮き袋が膨張する。その結果、増粘したインクがノズルから排出される。
しかしながら、特許文献2に開示されるメンテナンス方法では、浮き袋内への空気の供給を停止しても、ノズルからのインクの排出を瞬時に停止させることができない。なぜなら、浮き袋内の気体の圧力が高まっているためである。したがって、所望の量よりも多くのインクを排出してしまう虞がある。
本実施形態に係る液体吐出装置1では、加圧手段の加圧圧力に応じて吐出口10における増粘した液体9や気泡等を排出することができる。その際、排出される液体9の量は、加圧手段が送りだす液状充填剤11の量とほぼ等しい。したがって、排出させる液体9の量をより正確に調整することができる。
(第9の実施形態)
本発明の第9の実施形態について図14および図15を用いて説明する。図14は、本実施形態に係る液体吐出装置1の概略図である。なお、第1ないし第8の実施形態の要素と同じ要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図14に示されるように、液体吐出装置1は、加圧手段としての押圧機構33を備える。押圧機構33は、バッファ17の可撓性膜を押す。その他の点では、第8の実施形態と同じであり、本実施形態に係る液体吐出装置1も、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
押圧機構33がバッファ17の可撓性膜を押している状態では、バッファ17は殆ど機能しない。したがって、筐体7へ液状充填剤11を送るだけで筐体7内の液状充填剤11の圧力を高めることができ、吐出口10における気泡や増粘したインク等を強力に押し出すことができる。
図15(a)は、圧力調整手段12および連通手段13の拡大図である。図15(a)に示すように、筐体7と圧力調整手段12とを結ぶ連通手段13にオリフィス34が設けられていても良い。
オリフィス34を連通手段13に設けることで、バルブ14およびバルブ15を閉じなくても、筐体7の内部の液状充填剤11が圧力調整手段12へ向かって流れにくくなる。したがって、押圧機構33を用いてバッファ17の可撓性膜を急速に押すことで、筐体7の内部の圧力が高まり、気泡や増粘したインク等が吐出口10から押し出される。
なお、オリフィス34は、液状充填剤11を圧力調整手段12から筐体7へ向かって流れにくくする。しかし、ヘッド3を駆動して液体9を吐出する際の液状充填剤11の単位時間当たりの流量は、押圧機構33を急速に動かした場合の流量に比べてはるかに小さい。そのため、液状充填剤11を圧力調整手段12から筐体7へ向かう流れに関するオリフィス34の流抵抗は、無視することができる。
オリフィス34の流抵抗が悪影響を与えないようにオリフィス34の大きさを最適化しておくことがより好ましい。
図15(b)は、圧力調整手段12および連通手段13の他の例を示す拡大図である。バルブ15(図15(a)参照)に代えて、オリフィス付きバルブ35を連通手段13に設けても良い。オリフィス付きバルブ35は、閉じた場合にバルブとして機能して、閉じていないときにはオリフィスとして機能する。
(第10の実施形態)
本発明に係る第10の実施形態について図16を用いて説明する。図16は、本実施形態に係る液体吐出装置の概略図である。なお、第1の実施形態の要素と同じ要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図16に示されるように、液体吐出装置1は、液状充填剤11に含まれている気体を取り除く脱気装置36と、ポンプ37と、温調装置38と、を備えている。そして、液状充填剤11が、筐体7、脱気装置36および温調装置38を循環する。温調装置38と液体収容ユニット4とを連通する連通手段にはバルブ39、40およびジョイント41が設けられている。
その他の構成は第1の実施形態と同じであるため、それらの説明を省略する。本実施形態に係る液体吐出装置1も、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
本実施形態によれば、脱気され温度調整された液状充填剤11が筐体7に供給されるので、可撓性の収容袋8内の液体9の温度が一定に保たれるとともに、筐体7の内部に気泡が生じにくくなる。したがって、収容袋8をなす可撓性部材は、ガスバリア性を必要としない。
また、ガスバリア性の低い可撓性部材を用いて収容袋8を形成することで、液体9中に生じた気泡は収容袋8を透過して液状充填剤11へ移動する。脱気されていない液体9を用いても液体9に気泡が残らないので、ヘッド3の吐出性能の安定性を高めることができる。その結果、液体吐出装置1の長時間の連続運転が可能となる。これは、殊に高い信頼性を要求される産業用インクジェット装置に適している。
なお、液体9で発生し液状充填剤11へ移動した気泡は、脱気装置36を用いて液状充填剤11から取り除かれる。
収容袋8をなす可撓性部材は比較的低いガスバリア性を有する部材で良い。また、液状充填剤11が収容袋8の揺動を抑制するので、薄く柔軟な材質を用いて収容袋8を形成することが可能である。例として、厚さ5μm程度のポリエチレンフィルム等を用いることも可能となる。
薄くガスバリア性が低いフイルムは、気体分子だけでなく液状充填剤11や液体9等の成分の分子も微量透過するおそれがある。液状成分の透過に対しては、液状充填剤11の主成分として液体9と同じもの又は液体9の主要な成分を用いればよい。分子が相互に透過することにより液体9の成分の組成比率が変化するが、透過する分子の量は微量であるから液体9の組成比率の変化は極めて小さく、無視しうる。
なお、図示した例では可撓性の収容袋8のほぼ全体がフイルムで構成されているが、一部を剛性の高い材料、例えばステンレス板等で構成しても良い。ステンレス板等を用いることで、可撓性の収容袋8の形状が安定し、筐体7を小型化できるとともに、可撓性のフイルムが十分な強度を有していない場合でも液体9を充填するとき等における収容袋8の破損を抑制することができる。
ステンレス板の密度は液体9の密度と比べて大きいかもしれないが、ステンレス板を非可撓性の筐体7に対して非可動に固定しておけば、ステンレス板の密度と液体9の密度との差に起因する影響が抑制される。
増粘した液体9などを排出する際には、バルブ14又はバルブ15を閉じポンプ37を動作させればよい。ポンプ37が加圧手段として働き、筐体7の内部の圧力を高めるとともに増粘した液体9をヘッド3から排出する。ポンプ37を所定の量だけ動作させた後、バルブ14又はバルブ15が再び開けられる。
ポンプ37としては、チューブポンプ、ギヤポンプ等が適用可能である。これらのポンプは比較的簡単な構造で、回転角に応じてほぼ一定量の流体を輸送できるという利点がある。これらのポンプを用いた場合、ポンプの動作に伴ってパーティクルが発生するが、本実施形態では発生したパーティクルは液状充填剤11に混入するのみで、液体9に混入しない。したがって、液体9の汚染が生じることはない。
他の例として、以下に記すものも適用可能である。
液状充填剤11を加圧して増粘した液体9等を押し出す際には、圧力調整手段12と液体収容ユニット4との間の液状充填剤11の流動を制限する必要がある。流動制限手段として、停止状態にある圧力調整手段12を用いることもできる。
一例として、第1の実施形態に係る液体吐出装置1(図2参照)が備える圧力調整手段12を用いる場合、ポンプ19の動作を停止することで、液状充填剤11の流動を制限することができる。さらに、制御手段22を用いた負圧制御を停止しポンプ19を駆動することで、筐体7の内部の液状充填剤11を加圧することができる。
(第11の実施形態)
本発明の第11の実施形態について図17を用いて説明する。図17は、本実施形態に係る液体吐出装置の概略図である。なお、第1の実施形態の要素と同じ要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図17に示されるように、筐体7は、第1および第2の収容空間を含む本体部7aと、ヘッド3の液体吐出方向(下方)とは反対の方向へ本体部7aから突出する中空の突出部7bを含む。突出部7bは第2の収容空間と連通しており、液状充填剤11と気体とを収容している。圧力調整手段12は、液面位置制御機構42と、気体圧力制御機構43と、を含む。
液面位置制御機構42は、貯留タンク44と、送液手段45と、液面位置センサ46と、を含む。貯留タンク44は、液状充填剤11を貯留する。送液手段45は、筐体7と貯留タンク44との間で液状充填剤11を輸送する。液面位置センサ46は、突出部7bにおける液状充填剤11の液面の位置を検出する。送液手段45は、液面位置センサ46を用いて測定された突出部7bにおける液状充填剤11の液面の位置に基づいて作動する。
送液手段45と筐体7とを接続する充填剤連通手段47にはバルブ48、49およびジョイント50が設けられている。充填剤連通手段47はバルブ48、49を閉じた状態でジョイント50を境に分離可能である。貯留タンク44には大気連通穴51が設けられている。
気体圧力制御機構43は、レギュレータ52とポンプ53と圧力センサ54とを含む。圧力センサ54は、レギュレータ52と突出部7bとを接続する気体連通手段55内に設けられており、液体吐出装置1内の気圧に対する気体連通手段55内の相対圧を測定する。外乱の影響を受けにくくするために、圧力センサ54をバルブ57により近い位置に配置することが望ましい。
不図示の制御手段がレギュレータ52とポンプ53とを駆動する。圧力センサ54を用いて測定された圧力に対応する電気信号に基づいてレギュレータ52とポンプ53とが作動することで、気体連通手段55および突出部7bの内部における気体の圧力を制御する。
気体連通手段55にはバルブ56、57およびジョイント58が設けられており、気体連通手段55はバルブ56、57を閉じた状態でジョイント58を境に分離可能である。気体連通手段55は、気体を連通するように構成されていればよく、気体連通手段55の内径は充填剤連通手段47よりも小さくてよい。
ジョイント50を境に充填剤連通手段47を分離し、ジョイント50を境に気体連通手段55を分離することで、液体収容ユニット4は液体吐出装置1の装置本体から取り外し可能な状態になる。
液体吐出装置1を起動させることで、気体圧力制御機構43は圧力制御を開始する。気体連通手段55は突出部7bと連通しており、気体連通手段55内の気体の圧力を制御することで、突出部7bにおける気体の圧力が制御される。
突出部7bにおける気体の圧力を制御することで、筐体7における液状充填剤11の圧力が制御され、収容袋8における液体9の圧力が制御される。その結果、ヘッド3内における内圧が所定範囲内に制御される。
ヘッド3の吐出口10から液体9が吐出されると、可撓性の収容袋8の内部の液体9が消費され、可撓性の収容袋8の容積が縮小する。そして、突出部7bの液面位置が下がる。
液面位置センサ46を用いて、突出部7bの液面位置が所定の位置よりも低下したことが検出されると、不図示の制御手段は、バルブ48、49を開き、送液手段45を駆動する。その結果、貯留タンク44から筐体7へ充填剤連通手段47を介して液状充填剤11が送られる。
液状充填剤11が筐体7へ送られることで突出部7bの液面位置が上がる。液面位置が所定範囲内に入ったことを液面位置センサ46が検出することで、不図示の制御手段は送液手段45を停止する。
このように液面位置制御機構42が作動することで、突出部7bの液面位置は所定範囲内に制御される。
突出部7bと気体連通手段55との間には気液分離膜59が設けられている。気液分離膜59は、気体を通すが液体を通さない。
液面位置制御機構42が故障した場合、貯留タンク44から筐体7内に充填剤連通手段47を介して液状充填剤11が過剰に送られる場合がある。この場合、突出部7b内の液状充填剤11が気液分離膜59に接する。気液分離膜59は液体を通さないので、気体連通手段55への液状充填剤11の流入が抑制される。
突出部7bの突出方向と交わる(例えば、直交する)切断面(以下、単に「切断面」と称する)に関して、突出部7bの内部の断面積は、本体部7aの内部の断面積の最大値よりも小さい。突出部7bの内部空間は、気体の圧力を制御可能な程度の大きさであればよい。もちろん、図17において、紙面奥行き方向における突出部7bの寸法が小型化されていてもよい。
液体収容ユニット4を液体吐出装置1の装置本体から取り外して液体収容ユニット4を運搬する場合を想定する。
この場合、突出部7bの断面積が本体部7aの断面積の最大値よりも小さいので、突出部7bに発生する液状充填剤11の波を比較的小さくすることができる。したがって、収容袋8の振動が抑制され、ヘッド3にかかる負圧の変動が抑制される。その結果、ヘッド3の吐出口10から液体9が垂れるのをより抑制することができる。
また、液体収容ユニット4が液体吐出装置1の装置本体に搭載された状態を想定する。この状態では、気体連通手段55と充填剤連通手段47に外力が加わり液体収容ユニット4が振動することがある。
また、突出部7bの断面積が本体部7aの断面積の最大値よりも小さいので、突出部7bに発生する液状充填剤11の波を比較的小さくすることができる。したがって、収容袋8の振動が抑制され、ヘッド3にかかる負圧の変動が抑制される。その結果、吐出口10から液体9を吐出する際の吐出安定性を確保することができる。
また、筐体7に連結された気体連通手段55内には気体が入っているが、気体の密度は液体の密度と比べて小さい。気体の密度が十分に小さいので、気体連通手段55内の気体は十分に軽い。したがって、気体連通手段55の振動に起因して気体連通手段55内の気体に加速度が加わっても、突出部7bの液状充填剤11に当該気体から加わる力は小さい。そのため、液状充填剤11はほとんど振動することがなく、負圧の変動が抑制される。
加えて、気体は圧縮性を有する。突出部7bと気体連通手段55内の気体は、圧縮または膨張することで緩衝物として機能し、液状充填剤11の振動が抑制される。その結果、収容袋8の振動が抑制され、吐出口10から液体9を吐出する際の吐出安定性を確保することができる。
液体収容ユニット4は、液体吐出装置1の装置本体に搭載され、液体吐出装置1内で移動する場合がある。この場合であっても、突出部7b内の液状充填剤11に生じる波は比較的小さいので、収容袋8の振動が抑制される。したがって、ヘッド3にかかる負圧の変動が抑制され、ヘッド3の吐出口10から液体9が垂れるのを抑制することができる。
ここで、液体収容ユニット4を運搬する際に、振動する液体収容ユニット4に対して液状充填剤11が共振しない条件について考える。
切断面における突出部7bの内部の最大寸法をL、液体収容ユニット4を運搬する際に液体収容ユニット4に加わる振動の周波数をf、重力加速度をg、円周率をπとする。この場合、重力波の式によれば、以下の式を満たすとき、液状充填剤11は共振しない。
L<g/(2πf2)
上記式を満たすように周波数fに対して最大寸法Lを設計することで、突出部7bにおける液状充填剤11の波立ちがさらに抑制される。例えば、液体収容ユニット4を運搬する際に液体収容ユニット4に加わる振動の周波数を5Hzとすると、最大寸法Lは62mm以下となる。
その他の構成は第1の実施形態と同じであるため、それらの説明を省略する。本実施形態に係る液体吐出装置1も、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
(第12の実施形態)
本発明の第12の実施形態について図18を用いて説明する。図18は、本実施形態に係る液体吐出装置の概略図である。なお、第1ないし第11の実施形態の要素と同じ要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図18に示されるように、圧力調整手段12は、液状充填剤11と気体とを収容する補助容器60と、補助容器60における液面の位置を制御する液面位置制御機構42と、補助容器60における気体の圧力を制御する気体圧力制御機構43と、を備えている。筐体7と補助容器60とは第2の充填剤連通手段61を用いて互いに接続されており、液状充填剤11は筐体7と補助容器60との間を行き来可能である。
第2の充填剤連通手段61には、バルブ62、63およびジョイント64が設けられており、第2の充填剤連通手段61はバルブ62、63を閉じた状態でジョイント64を境に分離可能である。ジョイント64を境に第2の充填剤連通手段61を分離することで、液体収容ユニット4は液体吐出装置1の装置本体から取り外される状態になる。バルブ62は、液体収容ユニット4が搭載された液体吐出装置1を移動させる際に閉められてもよい。
ヘッド3の液体吐出方向と交わる(例えば、直交する)切断面に関し、補助容器60の断面積は、筐体7内の断面積の最大値より小さい。補助容器60は気体の圧力を制御可能な程度の大きさであればよい。もちろん、図18において、紙面奥行き方向における補助容器60の寸法が小型化されていてもよい。
気体連通手段55は、気体を連通するように構成されていればよく、気体連通手段55の内径は第1および第2の充填剤連通手段47、61よりも小さくてよい。
液面位置制御機構42は、貯留タンク44と送液手段45と液面位置センサ46とを含む。液面位置センサ46は、補助容器60における液状充填剤11の液面の位置を検出する。送液手段45は、液面位置センサ46を用いて測定された補助容器60における液状充填剤11の液面の位置に基づいて作動する。
送液手段45が作動することで、液状充填剤11が貯留タンク44から補助容器60へ送られ、補助容器60における液状充填剤11の液面の位置が上昇する。その結果、補助容器60における液状充填剤11の液面が所定の位置に保たれる。
気体圧力制御機構43は、レギュレータ52とポンプ53と圧力センサ54とを含む。圧力センサ54は気体連通手段55内に設けられている。圧力センサ54は、液体吐出装置1内の気圧に対する気体連通手段55内の相対圧を測定する。
液体吐出装置1を起動させることで、気体圧力制御機構43は圧力制御を開始する。圧力センサ54を用いて測定された圧力に対応する電気信号に基づいて、不図示の制御手段がレギュレータ52とポンプ53を制御して気体連通手段55内の気体の圧力を制御する。
気体連通手段55は補助容器60と連通しており、気体連通手段55における気体の圧力を制御することで、補助容器60における気体の圧力が制御される。そして、補助容器60における気体の圧力を制御することで、補助容器60および筐体7における液状充填剤11の圧力が制御される。液状充填剤11の圧力を制御することで、収容袋8の内部の圧力が制御され、ヘッド3内の圧力が所定範囲内に制御される。
圧力センサ54は、外乱の影響を受けにくくするために気液分離膜59により近い位置に配置することが望ましい。
ヘッド3の吐出口10から液体9が吐出されると、可撓性の収容袋8の内部の液体9が消費され、可撓性の収容袋8の容積が縮小する。その結果、液状充填剤11が補助容器60から筐体7へ流、補助容器60の液面位置が下がる。
液面位置センサ46を用いて、補助容器60の液面位置が所定の位置よりも低下したことが検出されると、不図示の制御手段は送液手段45を駆動する。その結果、貯留タンク44から補助容器60内に第1の充填剤連通手段47を介して液状充填剤11が送られる。
第1の充填剤連通手段47にバルブが設けられていてもよく、この場合、不図示の制御手段は当該バルブを開いてから送液手段45を駆動する。
液状充填剤11が貯留タンク44から補助容器60へ送られることで、補助容器60の液面位置が上がる。液面位置が所定範囲内に入ったことを液面位置センサ46が検出することで、不図示の制御手段は送液手段45を停止する。
このように液面位置制御機構42が作動することで、補助容器60の液面位置は所定範囲内に制御される。
補助容器60と気体連通手段55との間には、気液分離膜59が設けられている。気液分離膜59は、気体を通すが液体を通さない。
液面位置制御機構42が故障した場合、貯留タンク44から補助容器60内に充填剤連通手段47を介して液状充填剤11が過剰に送られる場合がある。この場合、補助容器60内の液状充填剤11が気液分離膜59に接する。気液分離膜59は液体を通さないので、気体連通手段55への液状充填剤11の流入が抑制される。
液体収容ユニット4を液体吐出装置1の装置本体から取り外して液体収容ユニット4を運搬する場合を想定する。
この場合、筐体7内の密度は略均一であるため、可撓性の収容袋8の振動が抑制される。したがって、ヘッド3にかかる負圧の変動を抑制することが可能であり、ヘッド3の吐出口10から液体9が垂れるのを抑制することができる。
また、液体収容ユニット4が液体吐出装置1の装置本体に搭載された状態を想定する。この状態では、気体連通手段55と充填剤連通手段47に外力が加わり液体収容ユニット4が振動することがある。
気体連通手段55または充填剤連通手段47に外力が加わり液体収容ユニット4が振動しても、筐体7の内部の密度は略均一なので、可撓性の収容袋8の振動が抑制される。したがって、ヘッド3にかかる負圧の変動が抑制される。
また、補助容器60や気体連通手段55の内部には気体が入っているが、気体の密度は液体の密度と比べて小さい。気体の密度が十分に小さいので、気体連通手段55内の気体は十分に軽い。したがって、気体連通手段55の振動に起因して気体連通手段55内の気体に加速度が加わっても、補助容器60の液状充填剤11に当該気体から加わる力は小さい。そのため、液状充填剤11はほとんど振動することがなく、負圧の変動が抑制される。
加えて、気体は圧縮性を有する。補助容器60と気体連通手段55内の気体は、圧縮または膨張することで緩衝物として機能し、液状充填剤11の振動が抑制される。その結果、収容袋8の振動が抑制され、吐出口10から液体9を吐出する際の吐出安定性を確保することができる。
液体収容ユニット4が液体吐出装置1の本体に搭載されている場合に液体収容ユニット4が液体吐出装置1内で移動しても、筐体7内の密度は略均一なので、可撓性の収容袋8の振動を抑制できる。したがって、ヘッド3にかかる負圧の変動を抑制することが可能であり、ヘッド3の吐出口10から液体9が垂れるのを抑制することができる。
その他の構成は第1の実施形態と同じであるため、それらの説明を省略する。本実施形態に係る液体吐出装置1も、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
(第13の実施形態)
本発明の第13の実施形態について図19を用いて説明する。図19は、本実施形態に係る液体吐出装置の概略である。なお、第1ないし第11の実施形態の要素と同じ要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図19に示されるように、圧力調整手段12は、気体圧力制御機構43を備える。本実施形態に係る気体圧力制御機構43は、第11の実施形態に係る気体圧力制御機構43(図17参照)に比べて液体収容ユニット4に近いところに配置されている。
また、圧力調整手段12は、第2の気体連通手段65を介して突出部7bに接続された気体バッファ部66を備える。
第2の気体連通手段65にはバルブ67、68およびジョイント69が設けられており、第2の気体連通手段65はバルブ67、68を閉じた状態でジョイント69を境に分離可能である。ジョイント69を境に第2の気体連通手段65を分離することで、液体収容ユニット4は液体吐出装置1の装置本体から取り外し可能な状態になる。
他の構成要素については、第11の実施形態(図17参照)と同じであるので、ここではそれらの説明を省略する。本実施形態に係る液体吐出装置1も、第1および第11の実施形態と同様の効果を奏する。
気体バッファ部66内の気体は緩衝物として機能する。したがって、第1の気体連通手段55(図17等参照)と充填剤連通手段47とに外力が加わり液体収容ユニット4が振動しても、液状充填剤11の振動が抑制される。その結果、ヘッド3の吐出口10にかかる負圧の変動を抑制でき、吐出口10から液体9を吐出する場合の吐出安定性を確保することができる。
液体収容ユニット4が液体吐出装置1の装置本体内で移動しても、気体バッファ部66内の気体が緩衝物として機能することで、液状充填剤11の振動が抑制される。したがって、可撓性の収容袋8の振動が抑制され、ヘッド3にかかる負圧の変動を抑制することが可能であり、ヘッド3の吐出口10から液体9が垂れるのを抑制することができる。
(第14の実施形態)
本発明の第14の実施形態について図20を用いて説明する。図20は、本実施形態に係る液体吐出装置の概略図である。なお、第1ないし第12の実施形態の要素と同じ要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、水系のインクが液状充填剤11として用いられている。
図20に示されるように、ポンプ53は第1の気体連通手段55を介して補助容器60に連通している。第2の気体連通手段65は不図示の気体供給部と補助容器60とを連通しており、第2の気体連通手段65の途中にレギュレータ52が設けられている。
第2の気体連通手段65には、酸素を含まない気体、例えば窒素が供給される。第2の気体連通手段65を介して補助容器60に供給された気体は、第1の気体連通手段55を介してポンプ53へ送られ、ポンプ53から排出される。
酸素は、酸素以外の他の気体と比較して水へ溶けやすいことが知られている。したがって、補助容器60に酸素を比較的多く含む気体が水系のインクに接触すると、酸素が水系のインク中に溶け、筐体7の内部で気泡が生じることがある。
本実施形態では、補助容器60に酸素を含まない気体、例えば窒素を供給することで、補助容器60の内部の酸素濃度が低下する。その結果、補助容器60の内部の気体は液状充填剤11に溶けにくくなり、液状充填剤11の溶在気体量が減少する。
液状充填剤11の溶在気体量が減少することで、補助容器60および筐体7の内部に気泡が発生しにくくなり、筐体7が液状充填剤11で満たされた状態が維持される。したがって、筐体7内の密度を略均一に維持することが可能となり、収容袋8の振動を抑制でき、ヘッド3における負圧の変動を抑制できる。その結果、吐出口10からの液体9の漏れが抑制される。
その他の構成は第12の実施形態と同じであるため、それらの説明を省略する。本実施形態に係る液体吐出装置1も、第12の実施形態と同様の効果を奏する。
(第15の実施形態)
本発明の第15の実施形態について図21および図22を用いて説明する。図21は本実施形態に係る液体吐出装置1の概略図であり、図22は液体9が図21に示される状態から消費された状態の概略図である。なお、第1の実施形態の要素と同じ要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図21に示されるように、本実施形態に係る液体吐出装置1は、可撓性の収容袋8(図1等参照)に代えて、可撓性膜70を備えている。可撓性膜70は、蛇腹を備えていない。
可撓性膜70は、筐体7の内部空間を、ヘッド3の吐出口10に連通する第1の収容空間と、ヘッド3の吐出口10に連通しない第2の収容空間と、に分けている。第1の収容空間に液体9が収容されており、吐出口10から液体9が吐出される。第2の収容空間は圧力調整手段12と連通しており、第2の収容空間に液状充填剤11が充填されている。
図22に示されるように、液体9の消費に伴って可撓性膜70が変形し、第1の収容空間が縮小するとともに第2の収容空間が拡大する。圧力調整手段12を用いて第2の収容空間内の液状充填剤11の圧力を調整することで、筐体7における圧力が所定の圧力に保たれる。その結果、ヘッド3における圧力が維持され、吐出口10からの液体9の漏れが抑制される。
蛇腹を備えない可撓性膜70を用いることで、液体収容ユニット4の構造を単純化でき、液体収容ユニット4の製造コストを削減することが可能になる。
その他の構成は第1の実施形態と同じであるため、それらの説明を省略する。本実施形態に係る液体吐出装置1も、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
(第16の実施形態)
本発明の第16の実施形態について図23及び図24を用いて説明する。なお、本実形態は、前述した実施形態15と共通する構成を有しており、共通する部分の説明を一部省略する。以下相違点について詳細に説明する。
図23は本実施形態に係る液体吐出装置1の概略図であり、図24は液体9が図23に示される状態から消費された状態を示す図(概略図)である。
本実施例では、液状充填剤11の密度は、液体9の密度よりも小さく構成されている。
液状充填剤11は、液体9よりも密度が小さいため、筐体7内において図23における上方向となる充填剤補給部85側に集まりやすくなる。一方、液体9は液状充填剤11よりも密度が大きいため、図23における下方向となるヘッド3側に集まりやすくなる。
図24に示すように、筐体7の底部には、ヘッド3に液体を供給する液体供給部86が設けられている。液体9の消費に伴い、可撓性膜70が変形するが、密度が比較的に大きい液体9が筐体の下方に集まる。その結果、液体供給部86の一部が可撓性膜70によって覆われてしまうことが軽減され、流路抵抗の増大を防ぐことができる。従って、ヘッド3からの液体の吐出性能も劣化しにくく、液体吐出の安定性が向上する。
(第17の実施形態)
本発明の第17の実施形態について図25及び図26を用いて説明する。なお、本実形態は、前述した実施形態15または16と共通する構成を有しており、共通する部分の説明を一部省略する。以下相違点について詳細に説明する。
図25は本実施形態に係る液体吐出装置1の概略図であり、図26は液体9が図25に示される状態から消費された状態を示す図(概略図)である。
図25または26に示すように、本実施例では、筐体7は、第1の収容空間(液体9)に面する側面においてヘッド3まで延びる液体流路87が形成されている。
具体的には、液体流路87は、筐体7の内側面において溝状に形成され、ヘッド3に連通されている。なお、液体流路87を垂直方向に沿って配置してもよく、垂直方向に対して少し傾斜して配置してもよい。また、液体流路87は、筐体7の内壁面の一部を凹ませて溝として形成してもよく、内壁面上に複数のリブを設けリブ間の部分を流路としても良い。
図26に示すように、液体9の消費に伴い、可撓性膜70が変形する。可撓性膜70の一部が筐体7に近付き(接触し)、液体9が通過可能な流路が狭くなっても、筐体7に設けられた液体流路87を通して、(上方の)液体9をヘッド3側へスムーズに供給することができる。従って、流路抵抗の増大を防ぐと共に、ヘッド3からの液体の吐出性能が劣化しにくく、液体吐出の安定性が向上する。
(第18の実施形態)
本発明の第18の実施形態について図27を用いて説明する。なお、本実形態は、前述した実施形態15と共通する構成を有しており、共通する部分の説明を一部省略する。以下相違点について詳細に説明する。
図27に示すように、本発明のインプリント装置75は、主に液体吐出装置1を備えている。一方、液体吐出装置は、主にヘッド3、レジスト収容ユニット84、圧力調整手段12を備えている。
また、レジスト収容ユニット84の第1の収容空間には光硬化性のレジスト76が収容されている。第1の収容空間に連通されているヘッド3によってレジスト76が後述するウェハー77(基板)の表面に吐出される。
なお、本実施例では、光硬化性のレジスト76は、光硬化性樹脂で構成されるが、他の光硬化性を有する物質(流体)で構成されてもよい。
また、本実施例のインプリント装置75には、一方の表面側に溝状の微細パターン(凹凸パターン)が形成されたモールド78と、モールド78を移動するモールド移動部80と、モールド移動部80を介してモールド78を支持するモールド支持部81とを備えている。モールド78は光透過性を有する石英材質で構成されており、モールド移動部80によって上下方向に移動可能に構成されている。なお、モールド移動部80およびモールド支持部81は本発明のパターン形成手段を構成するものである。
本実施例のインプリント装置75には、モールド78を隔ててウェハー77(基板)に吐出されたレジスト76(パターン)に紫外線を照射する露光ユニット79(光照射手段)が設けられている。露光ユニット79は、露光ユニット支持部82によってモールド78の上方に支持されている。
以下、本実施例のインプリント装置75を用いてウェハー77の表面にパターンを形成する工程について説明する。
まず、ヘッド3からウェハー77に吐出されたレジスト76が、ウェハー77上に塗布されて所定のパターンに形成される。
レジスト76(パターン)が塗布(形成)されたウェハー77が、ウェハー搬送部83(移動手段)によってモールド78の下方に移動される。
そして、モールド移動部80によってモールド78を下方に降下させ、ウェハー77の上面に形成されたレジスト76(パターン)にモールド78を押し当てる。この押圧動作により、レジスト76がモールド78の微細パターン(溝)に充填される。
レジスト76が微細パターンに充填された後に、モールド78を通して露光ユニット79から紫外線をレジスト76に照射することにより、レジスト76からなるパターンが形成される。
パターンが形成された後に、モールド移動部80によってモールド78を上昇させ、形成されたパターンからモールド78を取外し、インプリント装置75によるウェハー基板上のパターンの形成工程が終了する。
インプリント装置75のヘッド3内の負圧は、第1の収容空間内のレジスト76と第2の収容空間内の液状充填材11を通じて、圧力調整手段12により制御(維持)されている。これにより、大容量のレジスト収容ユニット84内の圧力の変動を抑制することが可能となる。その結果、インプリント装置75において、ヘッド3の吐出口10からレジスト76が垂れるのを抑制することができる。
なお、本実施例のインプリント装置に、前述した各実施例の液体吐出装置の構成を適宜に適用することができる。
また、本発明のインプリント装置を、例えば、半導体集積回路素子や液晶表示素子などのデバイスを製造する半導体製造装置に適用することができる。
本発明のインプリント装置を用いて、部品を製造する部品の製造方法は、インプリント装置75を用いて基板(ウェハー、ガラスプレート、フィルム状基板)にパターンを形成する工程と、パターンが形成された基板を処理する処理工程と、を有することができる。
また、基板を処理する処理工程として、基板をエッチングするエッチング処理が挙げられる。
なお、パターンドメディア(記録媒体)や光学素子などのデバイス(部品)を製造する場合は、エッチング処理以外の加工処理が好ましい。
本発明の部品の製造方法によれば、従来の部品製造方法に比べ、部品の性能・品質・生産性が向上し、生産コストを削減することもできる。