(実施形態1)
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では通信装置の一例として、近接無線通信の可能な任意のデジタルカメラ用いる例を説明する。しかし、本実施形態は、デジタルカメラに限らず、近接無線通信の可能な任意の機器にも適用可能である。これらの機器には、例えば携帯電話端末、タブレット端末、ゲーム機、パーソナルコンピュータ、時計型や眼鏡型の情報端末、医療機器などが含まれてよい。
(概要説明)
本実施形態では、非接触ICを搭載した通信装置(例えばデジタルカメラ)は、その電源がOFFである場合にも無線通信をトリガとして連動処理を実行することができる。このため、通信装置のユーザの意図とは無関係に、通信装置間の近接が生じれば無線通信が開始される場合がある。
例えば、通信装置は近接による無線通信をトリガとして電源をオン(ON)にし、所定の連動処理の実行を開始するように構成されている。このとき、ユーザ操作による、通信装置の電源をオフ(OFF)にする処理を実行している際に、リーダーライター装置との近接による無線通信が発生する場合がある。この場合、通信装置では、ユーザ操作によって開始されたソフトウェアのシャットダウン処理と、近接による無線通信をトリガとしたハードウェアの電源をONにする処理とが競合する場合がある。その結果、例えば、一方のソフトウェアはシャットダウンされて画面などが消えるが、他方のハードウェアは起動された状態となり、ユーザが気づかないうちに通信装置の電池を消耗することが考えられる。
そのため、本実施形態に係るデジタルカメラ101は、ハードウェアの起動状態(起動した状態あるいは終了した状態)とソフトウェアの起動状態の異なることに応じて非接触の無線通信を無効化する。これにより、非接触の無線通信を行う際のデジタルカメラ101のソフトウェアおよびハードウェアの動作状態の競合を防止することができる。
(デジタルカメラ101の構成)
図1は、本実施形態の通信装置の一例としてデジタルカメラ101の機能構成例を示す(特に非接触IC102を制御する構成を詳細に示す)ブロック図である。なお、図1に示す機能ブロックや回路構成の1つ以上は、ASICやプログラマブルロジックアレイ(PLA)などのハードウェアによって実現されてもよいし、CPUやMPU等のプログラマブルプロセッサがソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。また、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実現されてもよい。従って、以下の説明において、異なる機能ブロックが動作主体として記載されている場合であっても、同じハードウェアが主体として実現され得る。
本実施形態では、非接触IC102に当該ICを動作させるための電源が有線で供給されるように構成されている。なお、本実施形態では、非接触ICの無線通信は国際標準規格であるISO/IEC21481に対応しているものとする。また、以下の説明に使用するブロック図では、本実施形態の説明に不要なブロックへの電源接続の記載は省略する。
アンテナ103は、非接触IC102に接続された近接無線通信用のアンテナである。非接触IC102は、非接触IC102に電源VDDが供給されている場合に、非接触ICリーダーライターを備える通信装置(単に通信装置201という)からの電磁波をアンテナ103で受信して、近接無線通信を行う。すなわち、非接触IC102は、アンテナ103に受けた磁束を電力に変換して無線通信のための電力を供給する電力供給機能を有しておらず、無線通信を行うためには内部回路を動作するために電源VDDを必要とする。
図10には、デジタルカメラ101がアンテナ103を用いて通信装置201と近接無線通信を行う様子を模式的に示している。アンテナ202は、通信装置201が非接触ICリーダーライター機能として近接無線通信を行うために用いるアンテナであり、デジタルカメラ101のアンテナ103と通信する。
再び図1を参照して非接触IC102について説明する。非接触IC102は、近接無線通信を行う、例えば非接触ICタグを含み、外部から電磁波または通信を受けるとRF検出信号を出力する。RF検出信号端子はON時に導通状態になり、OFF時に高インピーダンス状態となるオープンドレインまたはオープンコレクタのトランジスタ出力(負論理)を構成する。なお、非接触IC102が外部から電磁波または通信を受けることを信号名としてRF_COMMという。また、非接触IC102が出力するRF検出信号を/RF_INT信号という。
CPU(Central Processing Unit)153は、デジタルカメラ101全体を制御する。RAM(Random Access Memory)154は、CPU153のワークエリアとして使用されるメモリである。ROM(Read Only Memory)155は、例えばフラッシュメモリなどの書き換えが可能な不揮発性メモリで構成され、CPU153のためのプログラムや動作用の定数などを記憶する
表示部158は、例えばLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示器)で構成され、画像データや操作情報などの映像を表示する。操作部159は、ユーザによるデジタルカメラ101への各種操作を受け付け、操作情報をCPU153に送信する。操作部159は、例えば複数のボタンスイッチやダイヤル、タッチパネル上のボタン等で構成される。
メモリーカード160は、デジタルデータの書き込み及び読み込みを行うことができる。撮像部161は、撮影光学系と、その駆動系で構成される光学ユニットと、撮像素子とから構成される。
上述した非接触IC102は、有線インターフェースであるIC_I/Fを動作させる場合には電源VDDを必要とする。電源VDDが供給されている場合、非接触IC102とCPU153とはIC_I/Fを介して通信することができるため、CPU153は非接触IC102に対する近接無線通信の制御、内部のデータの書き込み及び読み込みを行うことができる。
トランジスタ104は、/RF_INT信号(すなわちRF検出信号)の論理を反転するトランジスタ(以下、単にTRともいう)である。抵抗105はトランジスタ104のベース抵抗、抵抗106はトランジスタ104のベースエミッタ抵抗である。また、TR108は、TR104から出力された信号の論理を更に反転してCPU153へ伝えるTRである。抵抗109はTR108のベース抵抗、抵抗110はTR108のベースエミッタ抵抗である。抵抗111はCPU153のIN1のプルアップ抵抗である。非接触IC102の/RF_INT信号がONになった場合、TR104とTR108とがONとなり、IN1に/RF_INT信号が伝えられる。
TR112は、電池151の電圧VBATTをCPU153のADINに伝えるためのスイッチング動作を行うTRである。抵抗113はTR112のベース抵抗、抵抗114はTR112のベースエミッタ抵抗である。抵抗118と抵抗119はTR112がONの場合にADINに電池151の電圧VBATTを分圧して入力するための分圧抵抗である。
TR115は、CPU153のOUT1の論理を反転するTRである。抵抗116はTR115のベース抵抗、抵抗117はTR115のベースエミッタ抵抗である。CPU153のOUT1をHIGHの状態(単にHとも表す)にした場合、TR115とTR112とがONとなり、ADINに分圧された電池151の電圧VBATTが伝えられる。
電池151は、デジタルカメラ101の各部に電力を提供する電池又はバッテリである。電池151は、デジタルカメラ101から着脱可能な構成であってよい。電源IC―A152は、外部からの制御信号EN_Aによって、電池151の電圧を変換し電圧VOUT_Aを出力する。電源IC―A152の制御信号EN_Aは、CPU153のOUT2とダイオード123、抵抗122を介して接続されており、CPU153により制御可能に構成されている。電源IC―A152は、VOUT_Aの出力電圧を監視し、VOUT_Aの出力電圧が所定閾値の場合にハードウェアリセット信号を出力するリセットIC機能を有する。電源IC―A152は、更に、/RESET_OUTから/RESETのLレベルの信号をCPU153の/RESET_INへ出力し、CPU153のハードウェアリセットを発生させるように構成されている。なお、電源IC−A152の/RESET_OUT出力は、電池が接続されている場合、デフォルトではHレベルで出力される。ハードウェアリセットを行う場合にのみ、Lレベルで出力する。また、電池が接続されていない場合には、出力はない。
CPU153のOUT2をHにした場合、SW_LATCH信号がH、電源IC―A152がONとなり、電源IC―A152はVOUT_Aを出力する。なお、ダイオード123の動作については後述する。以下の説明では、SW_LATCH信号はソフトウェア起動信号ともいう。
無線通信部165は、非接触IC102による近接無線通信とは異なる無線通信規格、例えばWLAN規格であるIEEE802.11に準拠した無線通信を行って、外部装置との間でデータの送受信を行う。アンテナ166は、無線通信部165により無線通信を行うためのアンテナである。
ボタンスイッチ125は、デジタルカメラ101の電源ON又はOFF(オン/オフ)を切り換えるスイッチである。ボタンスイッチ125は、電源IC―A152をONして、デジタルカメラ101のCPU153を動作させるための電源ボタンスイッチである。ボタンスイッチ125が押下された場合、電池151から供給される電圧VBATTがHW_LATCH_PSW信号として出力され、ダイオード124、抵抗122を介して電源IC―A152の制御信号EN_Aに入力される。
ダイオード123及び124は、CPU153が出力するSW_LATCH信号と、ボタンスイッチ125から出力されるHW_LATCH_PSW信号とをOR接続するように配置されている。SW_LATCH信号とHW_LATCH_PSW信号とをOR演算した信号をHW_LATCH信号という。以下の説明では、HW_LATCH信号はハードウェア起動信号ともいう。
電源IC―A152は、SW_LATCH信号またはHW_LATCH_PSW信号のいずれかが入力された場合に当該電源IC―A152がONとなりVOUT_Aを出力するように構成されている。
TR126は、ボタンスイッチ125のHW_LATCH_PSW信号の論理を反転してCPU153へ伝えるTRである。抵抗127は、TR126のベース抵抗、抵抗128はTR126のベースエミッタ抵抗である。抵抗129は、CPU153のIN2のプルアップ抵抗である。ボタンスイッチ125のHW_LATCH_PSW信号がONになった場合(つまりHW_LATCH_PSW信号の経路が導通した場合)、TR126がONとなり、CPU153のIN2にPWR_SW_IN2信号が伝えられる。
制御回路171は、非接触IC102による近接無線通信のENABLE(有効化)又はDISABLE(無効化)を制御する回路である(すなわち有効化回路又は無効化回路として機能する)。制御回路171は、回路全体の電源VDDIN_CIRを電池151の電圧VBATTから得るように構成されており、電池151が存在する場合は常に電源が供給される。制御回路171に電源VDDIN_CIRが供給されていない状態から電源VDDIN_CIRの供給が開始された場合、後述する制御回路171の各回路の論理は初期状態に設定されて機能はネゲートされる。また、制御回路171全体の電源VDDIN_CIRが供給されている状態からその電源VDDIN_CIRの供給が終了した場合にも、後述する制御回路171の各回路の機能はネゲートされる。
HW_LATCH信号は、制御回路171のINVERTER175に接続されると共に、SW_LATCH信号は、制御回路171のINVERTER176に接続されている。INVERTER175及びINVERTER176の出力のそれぞれは、AND179の入力に接続される。
更に、CPU153のOUT3の出力(RF_EN_OUT3信号)は、SW_LATCH信号と共にOR177の入力に接続されている。以下では、RF_EN_OUT3信号を非接触IC有効信号ともいう。RF_EN_OUT3信号は、CPU153において実行されるソフトウェア制御により出力される。SW_LATCH信号は、RF_EN_OUT3信号が制御可能な状態である場合、常にHの状態で出力される。ゆえに、常にOR177の出力もHとなる。つまり本実施形態の図1の回路では、CPU153が起動している状態にある場合には、常に非接触ICはONである。このように、OR177の入力にSW_LATCH信号を接続する場合は、CPU153が起動している状態では、ハードウェア的に常に非接触ICをONにするための設計である。一方、OR177にSW_LATCH信号を接続しないよう設計することも考えられる。この場合、RF_EN_OUT3信号のみによりOR177の出力が決定される。設計者は、CPU153で実行するプログラムに従って、ソフト的に非接触ICをONにするようにしてもよい。
OR177の出力とAND179の出力とは、OR180の入力に接続され、OR180の出力はDLY181に接続されている。DLY181は、立ち上がり入力を一定時間(時間:Tdlyとする)遅延させて信号を出力するが、立ち下がり入力については遅延させずに信号を出力する。なお、DLY181の出力(RF_EN信号ともいう)は、SW182に接続されている。
SW182は、バイポーラトランジスタまたはMOSFETなどを組み合わせて構成される。DLY181の出力がHである場合にSW182がON(すなわち導通状態)になり、DLY181の出力がLOWの状態(単にLとも表す)である場合にSW182がOFF(すなわち高インピーダンス状態)になる。SW182がONである場合、電源IC―A152の電圧VOUT_Aが非接触IC102のVDDに供給されて非接触IC102の近接無線通信がENABLEになる。一方、SW182がOFFである場合、電源IC―A152の電圧VOUT_Aは非接触IC102のVDDに供給されないため非接触IC102の近接無線通信はDISABLEになる。なお、SW182を介して出力される電源IC―A152の電圧VOUT_AをVDD_RF_ENともいう。
(制御回路171による非接触IC102の制御)
図2は、本実施形態に係る非接触IC102を制御する制御回路171の状態と非接触IC102による近接無線通信の動作に関する真理値表である。図2の真理値表において、信号の組み合わせとして取り得ない組み合わせについてはINHIBITとして非接触IC102の近接無線通信の動作を「−」で示している。
HW_LATCH信号(ハードウェア起動信号)がL、SW_LATCH信号(ソフトウェア起動信号)またはRF_EN_OUT3信号(非接触IC有効信号)がLの場合、RF_EN信号はHである。しかし、電源IC―A152の電圧VOUT_Aが出力されていない状態(すなわちL)であるため、非接触IC102の近接無線通信はDISABLEになる。
また、HW_LATCH信号がH、SW_LATCH信号またはRF_EN_OUT3信号がLの場合は、RF_EN信号はLであり、非接触IC102の近接無線通信はDISABLEである。すなわち、電源IC―A152の電圧VOUT_Aが出力されている場合、HW_LATCH信号と、SW_LATCH信号またはRF_EN_OUT3信号との論理が一致していない状態は、非接触IC102の近接無線通信はDISABLEであると換言できる。
HW_LATCH信号がH、SW_LATCH信号またはRF_EN_OUT3信号がHの場合は、RF_EN信号はHであり、非接触IC102の近接無線通信はENABLEになる。すなわち、電源IC―A152の電圧VOUT_Aが出力されている場合、HW_LATCH信号とSW_LATCH信号またはRF_EN_OUT3信号との論理が一致している状態は、非接触IC102の近接無線通信はENABLEであると換言できる。
(制御回路171による非接触IC102の制御処理に係る一連の動作)
次に、図3を参照して、非接触IC102の制御処理に係る一連の動作を説明する。なお、図3に示すフローチャートの各ステップは、特に断らない限り、制御回路171により実行される。但し、破線で示すステップはCPU153における処理である。
S301で、電源IC―A152はHW_LATCH信号がHであるかを判定する。なお、S301でのHW_LATCH信号の遷移は、ボタンスイッチ125のHW_LATCH_PSW信号の遷移と同等である。ボタンスイッチ125はデジタルカメラ101のユーザにより操作されるものとし、ボタンスイッチ125が押下された後、ボタンスイッチ125の押下状態が解除されるものとする。電源IC―A152は、HW_LATCH信号がLである場合、ボタンスイッチ125が押下されていないものとしてS301に処理を戻し、HW_LATCH信号がHである場合、ボタンスイッチ125が押下されているものとしてS302に処理を進める。
S302で、CPU153のハードウェアを起動する。ハードウェア起動は、HW_LATCH信号がHとなったことに応じて、電源IC―A152がOFFからONとなってVOUT_Aを出力し、このVOUT_Aの電圧の上昇を検知した電源IC―A152は、/RESET信号をLレベルで出力してCPU153のハードウェアリセットを行い、所定の時間(状態がリセットされるのに十分な時間)が経過したのちに、/RESET信号をHにして、CPU153のハードウェアリセットを解除する。
S303で、CPU153は、CPU153において実行するソフトウェアを起動する。具体的に、ソフトウェア起動は、CPU153がハードウェアリセットを経てROM155に記憶している処理手順(すなわちプログラム)をロードして起動し、SW_LATCH信号がHになる動作に相当する。なお、CPU153は、S303においてソフトウェアが正常に起動した場合、またはソフトウェアが正常に起動して非接触IC102の動作が可能である場合、RF_EN_OUT3信号をHに制御してもよい。
S304で、制御回路171は、SW_LATCH信号またはRF_EN_OUT3信号がHであるかLであるかを判定する。制御回路171は、SW_LATCH信号またはRF_EN_OUT3信号がLである場合はS305に処理を進め、S305ではRF_EN信号をLとして出力して非接触IC102をDISABLEに設定する。制御回路171はその後S304に処理を戻す。一方、S304でSW_LATCH信号またはRF_EN_OUT3信号がHである場合、制御回路171はS306でRF_EN信号をHとして出力して非接触IC102をENABLEに設定する。
S307で、CPU153は、起動しているプログラムを介してHW_LATCH_PSW信号がLからHに遷移したかを判定する。HW_LATCH_PSW信号を出力するボタンスイッチ125は、デジタルカメラ101のユーザにより操作される。CPU153は、HW_LATCH_PSW信号がLからHに遷移していないと判定した場合、再びS307に処理を戻してHW_LATCH_PSW信号の変化を待つ。これに並行して、CPU153は起動しているプログラムに従って、デジタルカメラ101の動作を制御する。一方、CPU153はHW_LATCH_PSW信号がLからHに遷移したと判定した場合、S308へ処理を進めて、S308でソフトウェアを終了する。ソフトウェア終了とは、CPU153がソフトウェアの動作終了処理を経てSW_LATCH信号をLにする動作に相当する。
S309で、制御回路171はHW_LATCH信号とSW_LATCH信号とが共にLであるかを判定する。HW_LATCH信号とSW_LATCH信号とが共にLでないと判定した場合、S310でRF_EN信号をLとして出力して非接触IC102をDISABLEに設定する。制御回路171はその後S309に処理を戻して信号の状態を判定する。S309で、HW_LATCH信号とSW_LATCH信号とが共にLでない場合とは、例えばS307で操作されたボタンスイッチ125の押下状態が解除されずに押下状態のまま継続し、HW_LATCH信号がHのまま継続してLにならない場合がある。制御回路171は、HW_LATCH信号とSW_LATCH信号とが共にLであると判定した場合、S311に処理を進め、S311においてCPU153はハードウェアを終了すると共にその後、本一連の動作を終了する。ハードウェア終了は、HW_LATCH信号がLに変化したことに応じて、電源IC―A152がONからOFFとなって電源IC―A152のVOUT_Aが低下し、/RESET信号がHからLへ遷移してなされる。
(非接触IC102を制御する信号制御手順)
次に、図4を参照して、非接触IC102を制御する信号制御手順の例について説明する。図4(A)から図4(C)はそれぞれ下記の例示的な動作を示している。
なお、図4(A)から図4(C)のタイミングチャートにおける各信号の動作期間の説明は下記の通りである。
Trst:電源IC―A152の/RESET信号が出力されるまでの時間。
Tswbt:HW_LATCH信号がHになってからTrstの時間のハードウェアリセットを経てSW_LATCH信号が出力されるまでのソフトウェア起動時間。
Tdly:DLY181の立ち上がり遅延時間。
Tpsw1:ボタンスイッチ125を押下している時間1。
Tpsw2:ボタンスイッチ125を押下している時間2。(Tpsw2≧Tpsw1)
Tint1:RF_COMMに対する/RF_INT信号出力時間1。
Tsd:ソフトウェア終了時間。
Tpd:HW_LATCH信号がLになってから電源IC―A152の出力VOUT_A電圧が垂下しハードウェアリセットがかかるまでの時間。
なお、TdlyとTpdとはTdly≧Tpdの関係にあるものとする。
まず、図4(A)を参照して制御手順をフェーズごとに説明する。図4(A)は、ボタンスイッチ125の押下によりデジタルカメラ101を起動して、非接触IC102の無線通信を行う場合の例示的な制御手順を示している。
PHASE(フェーズ)1では、まずボタンスイッチ125の押下によりHW_LATCH_PSW信号がLからHへ遷移したことに応じて、HW_LATCH信号がLからHへ遷移してハードウェア起動を開始する。
HW_LATCH信号がH、かつSW_LATCH信号がLの期間では、RF_EN信号はLであるため、非接触IC102の近接無線通信はDISABLEである。このとき、電源IC―A152の出力VOUT_Aが出力を開始し、所定電圧で/RESET信号がLからHへ遷移する。ここで、VOUT_Aが出力を開始し、/RESET信号がLからHへ遷移するまでの期間は、CPU153のハードウェアリセット時間である。そして、CPU153がハードウェアリセットを行った後にソフトウェア起動を開始し、更にソフトウェア起動を完了した時点でSW_LATCH信号がLからHへ遷移する。更に、SW_LATCH信号がLからHへ遷移してからTdly後に、RF_ENがLからHへ遷移する。その後、ユーザによるボタンスイッチ125の押下が終了して、HW_LATCH_PSW信号がHからLへ遷移する。
このような処理により、以降は、HW_LATCH信号がH、かつSW_LATCH信号がHの期間ではRF_EN信号がHであるため、非接触IC102の近接無線通信はENABLEである。
PHASE2では、非接触IC102が外部から電磁波または通信を受けた場合に/RF_INT信号がHからLへ遷移し、当該遷移を検出したCPU153は非接触IC102とIC_I/Fを介して通信して/RF_INT信号を解除する。
次に、図4(B)を参照してフェーズごとに説明する。図4(B)は、ボタンスイッチ125の押下によりデジタルカメラ101を起動した後に、ボタンスイッチ125の更なる押下によりデジタルカメラ101を終了する第1の場合を示している。なお、PHASE1の動作は、図4(A)と同一であるので説明を省略する。
PHASE3では、ユーザがデジタルカメラ101の電源をオフにするために、ボタンスイッチ125が再度押下される。このボタンスイッチ125の押下によりHW_LATCH_PSW信号がLからHへ遷移し、当該遷移を検出したCPU153はソフトウェアを終了して、SW_LATCH信号がHからLへ遷移する。なお、まだボタンスイッチ125は押下されたままで、解放されていない状態である。
さて、ソフトウェアを終了し、かつ、まだボタンスイッチ125解放されていない期間では、HW_LATCH信号がH、かつSW_LATCH信号がLである。この期間では、RF_EN信号はLであるため非接触IC102の近接無線通信はDISABLEである。従って、本実施形態では、まだハードウェアリセットが行われていないこのタイミングでも、既に近接無線通信はDISABLEとなる。これにより、ソフトウェアが終了されており、かつハードウェアが終了していないこのタイミングに近接無線通信が行われたとしても、ハードウェアだけが起動した状態になるという不具合が生じない。
続いて、ボタンスイッチ125が解放され、HW_LATCH_PSW信号がHからLへ遷移すると、HW_LATCH信号がHからLへ遷移してハードウェア終了を開始する。電源IC―A152の出力VOUT_Aが出力を停止して垂下し、所定電圧で/RESET信号がHからLへ遷移し、CPU153のハードウェアリセットが行われる。
HW_LATCH信号がHからLへ遷移してからTdly後にRF_ENがLからHへ遷移する。ここで、電源IC―A152の出力VOUT_Aが出力を停止して垂下し、所定電圧で/RESET信号がHからLへ遷移する時間はTpdであるが、上述したようにTdlyとTpdはTdly≧Tpdの関係にある。このようにして、電源IC―A152の出力VOUT_Aが出力を停止して垂下し、所定電圧で/RESET信号がHからLへ遷移した場合に、CPU153のハードウェアリセットを行ってからRF_ENをLからHに遷移させることができる。
以降、HW_LATCH信号がL、かつSW_LATCH信号がLの期間において、RF_EN信号がHであるが、電源IC―A152の出力VOUT_Aが出力されていない状態であるため非接触IC102の無線通信はDISABLEである。
次は、図4(C)を参照してフェーズごとに説明する。図4(C)は、ボタンスイッチ125押下でデジタルカメラ101を起動した後に、ボタンスイッチ125の更なる押下によりデジタルカメラ101を終了する第2の場合を示している。図4(C)に示す例は、ソフトウェア終了時のHW_LATCH_PSW信号がLからHに遷移してからHからLへ遷移する期間、すなわちボタンスイッチ125を押下している時間のみが図4(B)の例と異なる。なお、PHASE1の動作は図4(A)と同一であるので説明を省略する。
PHASE4では、HW_LATCH_PSW信号がLからHに遷移してからHからLへ遷移する期間以外の他のタイミングは図4(B)と同一であるため、説明は省略する。
図4(C)に示す特徴的な動作は、ソフトウェア終了時にボタンスイッチ125を押下している期間が長くなることにより、RF_EN信号をLにして非接触IC102の無線通信をDISABLEにする期間も長くなることである。ボタンスイッチ125が長い間押されっぱなしになった場合、解放されるタイミングがその分遅くなるので、本発明を適用しなかった場合には、ソフトウェアがリセットされているのに、ハードウェアリセットがされていない状態が続くので、問題が生じる可能性が高くなる。一方、本発明を適用すれば、このような場合でも非接触ICを無効とするので、問題を確実に防ぐことができる。
以上の通り、本実施形態に従えば、電源IC―A152の出力VOUT_Aが出力されている状態では、ハードウェア起動信号とソフトウェア起動信号とが一致する場合に非接触ICの無線通信はENABLEである。一方、ハードウェア起動信号とソフトウェア起動信号とが一致しない場合には、非接触ICの近接無線通信はDISABLEである。
以上説明したように本実施形態では、ハードウェア起動信号とソフトウェア起動信号とが一致したことに応じて、非接触ICの近接無線通信を有効化(ENABLE)するようにした。一方、ハードウェア起動信号とソフトウェア起動信号とが一致しなくなったことに応じて非接触ICの近接無線通信を無効化(DISABLE)するようにした。このようにすれば、ハードウェアとしては過渡的に電源が入力された動作状態であるがソフトウェアが非動作状態になっている無線通信装置において、非接触ICの近接無線通信の動作状態が動作可能な状態にならないように適切に制御することができる。すなわち、非接触の無線通信を行う際のデジタルカメラ101のソフトウェアおよびハードウェアの動作状態の競合を防止することができる。
(実施形態2)
次に実施形態2について説明する。実施形態1では、非接触IC102に当該ICを動作させるための電源が有線で供給される構成において、非接触IC102を制御する例について説明した。本実施形態2は、外部装置からの電磁波を電力として近接無線通信を行い、デジタルカメラ101を起動する構成である点が異なる。なお、実施形態2に係るその他の構成は実施形態1と同一である。このため、同一の構成については同一の符号を付して重複する説明は省略し、相違点について重点的に説明する。
(デジタルカメラ501の構成)
図5は、本実施形態に係るデジタルカメラ501の機能構成例(特に非接触IC502を制御する構成詳細に示す)を示すブロック図である。
非接触IC502は、アンテナ103で受けた電磁波から電力を生成して近接無線通信のための電力を供給する電力供給機能を有する。このため、非接触IC502は、電源VDDの供給の有無に関わらず、外部装置からの電磁波を用いて近接無線通信を行うことができる。さらに非接触IC502は、制御回路571からのRF_EN信号を用いて、非接触IC502における近距離無線通信の動作のENABLE/DISABLEを制御することができる。具体的には、非接触IC502のRF_EN信号がLの場合、非接触IC502の近接無線通信の動作がDISABLEとなり、RF_EN信号がHの場合に非接触IC502の近接無線通信の動作がENABLEとなる。なお、非接触IC502のRF_EN信号と近接無線通信の動作を制御する回路は、非接触IC502の内部に備えられてもよいし、外部回路であってもよい。
ダイオード121は、後述する制御回路571からのHW_LATCH_OS信号と、上述したSW_LATCH信号、HW_LATCH_PSW信号とをOR接続するために配置されている。制御回路571は、非接触IC502の近接無線通信の動作のENABLE/DISABLEを制御する回路である。制御回路571は、全体の電源VDDIN_CIRを、電池151の電圧VBATTから得るように構成されているが、電池151が存在する場合は常に電源が供給される。制御回路571の全体に対して、電源VDDIN_CIRが供給されていない状態から電源VDDIN_CIRの供給が開始された場合、後述する制御回路571の各回路の論理は初期状態に設定されて機能はネゲートされる。また、制御回路571全体の電源VDDIN_CIRが供給されている状態からその供給が終了した場合にも、後述する制御回路571の各回路の機能はネゲートされる。
非接触IC502の/RF_INT信号は、制御回路571のINVERTER172に接続されている。INVERTER172の出力は、ワンショットタイマー(OneShotTimer)173の入力に接続されている。ワンショットタイマー173は入力の立ち上がりエッジをトリガに一定時間(ワンショットタイマー時間:Tosとする)Hの信号を出力し、Tosの間は再度立ち上がりエッジが入力されても信号を出力しないように構成されている。また、ワンショットタイマー173は/OSRST信号の入力により信号出力を停止する。
ワンショットタイマー173の出力(HW_LATCH_OS信号)は、ダイオード121およびOR180の入力に接続されている。ここで、HW_LATCH_OS信号をハードウェア起動ワンショット信号ともいう。HW_LATCH_OS信号がHである場合、OR180に入力している他の信号の論理に関わらず、RF_EN信号はHとなり、非接触IC502の近接無線通信はENABLEになる。
OR177の出力は、INVERTER178に接続され、INVERTER178の出力はワンショットタイマー173の/OSRSTに接続されている。RF_EN_OUT3信号またはSW_LATCH信号がHの場合にワンショットタイマー173の/OSRSTがLになり、ワンショットタイマー173の出力が停止する。
電圧検出回路174は、電池151の電圧VBATTを検出し、電圧閾値Vth未満であればVDET_OUT信号にLを出力し、電圧閾値Vth以上であればVDET_OUT信号にHを出力する。電圧検出回路174の電源は電池151であるので、電圧検出回路174は電池151が存在する場合はデジタルカメラ501の動作に関わらず機能する。なお、電圧検出回路174の電圧閾値Vthは、電源IC―A152の動作最低電圧よりも高い電圧値であり、CPU153のソフトウェアによる諸機能の正常な動作が保証されている電圧値に設定されている。電圧検出回路174の出力VDET_OUT信号は、INVERTER175およびINVERTER176の出力と共にAND179の入力に接続されている。
(制御回路571による非接触IC502の制御)
図6は、本実施形態に係る非接触IC502を制御する制御回路571の状態と非接触IC502による近接無線通信の動作に関する真理値表である。図6の真理値表において、信号の組み合わせとして取り得ない組み合わせはINHIBITとして接触IC502の近接無線通信の動作を「−」で示している。
まず、電圧検出回路174のVDET_OUT信号がLの場合(例えば電池151が存在しない)について説明する。VDET_OUT信号以外の信号がLの場合には非接触IC502の無線通信動作はDISABLEである。また、HW_LATCH信号がH、かつSW_LATCH信号またはRF_EN_OUT3信号がLの場合、RF_EN信号はLとなり、非接触IC502の近接無線通信はDISABLEである。すなわち、HW_LATCH信号とSW_LATCH信号またはRF_EN_OUT3信号との論理が一致していない状態は、非接触IC502の近接無線通信はDISABLEであると換言できる。
HW_LATCH信号がH、SW_LATCH信号またはRF_EN_OUT3信号がHの場合は、RF_EN信号はHであり、非接触IC502の近接無線通信はENABLEになる。すなわち、VDET_OUT信号がLの場合であっても、HW_LATCH信号とSW_LATCH信号またはRF_EN_OUT3信号との論理がHで一致している状態は、非接触IC502の近接無線通信はENABLEであると換言できる。
HW_LATCH_OS信号がH、HW_LATCH信号がH、SW_LATCH信号またはRF_EN_OUT3信号がLの場合は、RF_EN信号はHであり、非接触IC502の近接無線通信はENABLEである。すなわち、HW_LATCH_OS信号がHの期間では、HW_LATCH信号とSW_LATCH信号またはRF_EN_OUT3信号との論理が一致していない状態であっても、非接触IC502の近接無線通信はENABLEであると換言できる。
次に、電圧検出回路174のVDET_OUT信号がHの場合について説明する。VDET_OUT信号以外の信号がLの場合は非接触IC502の近接無線通信はENABLEである。電圧検出回路174の電圧閾値Vthによって、CPU153のソフトウェアによる諸機能の正常な動作が保証されているため、非接触IC502の近接無線通信はENABLEであると換言できる。
なお、上述した以外の組み合わせは電圧検出回路174のVDET_OUT信号がLの場合と同じであるため説明を省略する。
(制御回路571による非接触IC502の制御処理に係る一連の動作)
次に、図7を参照して、非接触IC502の制御処理に係る一連の動作を説明する。なお、図7に示すフローチャートの各ステップは、特に断らない限り、制御回路571により実行される一方、破線で示すステップはCPU153により実行されるものとして説明する。
S701で、制御回路571は、電池151の電圧VBATTが閾値以上であるかを判定する。制御回路571は、電池151の電圧VBATTが閾値未満、かつVDET_OUT信号がLであれば、S702に処理を進める。S702で制御回路571は、RF_EN信号をLで出力して非接触IC502をDISABLEに設定する。制御回路571はその後S301へ処理を進める。
一方、再びS701では、制御回路571が電池151の電圧VBATTが閾値以上、かつVDET_OUT信号がHであれば、S703に処理を進める。
S703で、制御回路571は、HW_LATCH信号とSW_LATCH信号とが共にLであるかを判定する。制御回路571は、HW_LATCH信号とSW_LATCH信号とが共にLでない場合、S702に処理を進める。一方、制御回路571は、HW_LATCH信号とSW_LATCH信号とが共にLである場合、S704に処理を進めて、S704においてRF_EN信号をHで出力して非接触IC502をENABLEに設定する。
S705で、制御回路571は、非接触IC502の/RF_INT信号がLであるか、すなわち、非接触IC102が外部から電磁波または通信を受けたかを判定する。制御回路571は、非接触IC502の/RF_INT信号がHである(電磁波又は通信を受けていない)場合、S301に処理を進める。そして、S301からS306では、非接触IC502が電磁波又は通信を受けていない場合において、制御回路571及びCPU153はぞれぞれの処理を実施形態1と同様に実行する。一方、制御回路571は、非接触IC502の/RF_INT信号がLである(電磁波又は通信を受けた)場合、S706に処理を進める。
S706で、制御回路571は、非接触IC502が電磁波又は通信を受けたことに応じて、HW_LATCH_OS信号をHとして出力すると、S707でCPU153がハードウェアを起動する。さらにS708で制御回路571はRF_EN信号をHとして出力して非接触IC502をENABLEに設定する。その後、S709でCPU153はソフトウェアを起動し、S710に処理を進める。
S710で、制御回路571は、SW_LATCH信号またはRF_EN_OUT3信号がHであるかを判定する。SW_LATCH信号またはRF_EN_OUT3信号がLである場合、処理をS711に進める。一方、制御回路157はSW_LATCH信号またはRF_EN_OUT3信号がHであると判定した場合、S713に処理を進める。
S711で、制御回路571は、HW_LATCH_OS信号をHとして出力してから一定時間経過したかを判定する。一定時間経過していないと判定した場合はS710に処理を戻し、一定時間経過したと判定したらS712に処理を進める。S712で、制御回路571は、HW_LATCH_OS信号をLとして出力してS308に処理を進める。
S713で、制御回路571は、RF_EN信号をHとして出力して非接触IC502をENABLEに設定する。その後、S714で、HW_LATCH_OS信号をLにして出力し、S307に処理を進める。
S307からS311までの動作は、実施形態1に係る図3のフローチャートと同様であるので説明は省略する。最後にS311でハードウェアを終了し、本フローチャートを終了する。
(非接触IC102を制御する信号制御手順)
次に、図8を参照して、非接触IC502を制御する信号制御手順の例について説明する。図8(A)から図8(D)はそれぞれ下記の例示的な動作を示している。なお、図8(A)から図8(D)のタイミングチャートにおける各信号の動作期間の説明は下記の通りである。実施形態1の図4に示したタイミングチャートと同じ動作時間の説明は省略している。
Tos:ワンショットタイマー173のHW_LATCH_OS信号出力のワンショットタイマー時間。
Tint2:第2の、RF_COMMに対する/RF_INT信号出力の時間。
なお、TosとTswbtの関係はTos≧Tswbtであり、TosとTpdとTswbtとの関係はTos>(Tpd+Tswbt)である。
まず、図8(A)を参照して制御手順をフェーズごとに説明する。図8(A)は、ボタンスイッチ125を押下してデジタルカメラ501を起動し、非接触IC502が近接無線通信を行う場合を示している。
PHASE6では、電池151が存在しない状態から挿入された状態になった場合に、電圧検出回路174は、電池151により印加された電圧が電圧閾値Vth以上であればVDET_OUT信号をHとして出力する。この期間では、HW_LATCH信号がL、SW_LATCH信号がLの期間であると共にRF_EN信号はHであるため、非接触IC502の近接無線通信はENABLEである。
PHASE7では、ユーザがカメラの電源をオンにするために、ボタンスイッチ125が押下される。これによりHW_LATCH_PSW信号がLからHへ遷移すると共に、HW_LATCH信号がLからHへ遷移してハードウェアの起動を開始する。HW_LATCH信号がH、SW_LATCH信号がLの期間では、RF_EN信号はLであるため非接触IC502の近接無線通信はDISABLEである。
このとき、電源IC―A152の出力VOUT_Aが出力を開始して、所定電圧で/RESET信号がLからHへ遷移する。このとき、VOUT_Aが出力を開始してから/RESET信号がLからHへ遷移するまでの時間がCPU153のハードウェアリセットの期間である。そして、CPU153がハードウェアリセットの終了後にソフトウェア起動を開始し、更にソフトウェア起動を完了すると、SW_LATCH信号がLからHへ遷移する。
このような処理により、以降は、HW_LATCH信号がH、かつSW_LATCH信号がHの期間ではRF_EN信号がHであるため、非接触IC502の近接無線通信はENABLEである。その後、HW_LATCH_PSW信号がHからLへ遷移する。
PHASE8では、非接触IC502が外部から電磁波または通信を受けた場合、/RF_INT信号がHからLへ遷移する。当該変化を検出したCPU153は非接触IC502とIC_I/Fを介して通信して、/RF_INT信号を解除する。
次は、図8(B)を参照してフェーズごとに説明する。図8(B)は、非接触IC502の近接無線通信によりデジタルカメラ501を起動し、ボタンスイッチ125の押下によりデジタルカメラ501を終了する第1の場合を示している。なお、PHASE6の動作は図8(A)と同一であるので説明を省略する。
PHASE9では、非接触IC502が外部から電磁波または通信を受けた場合、/RF_INT信号がHからLへ遷移したことに応じて、HW_LATCH_OS信号がLからHへ遷移する。そして、HW_LATCH信号がLからHへ遷移してハードウェア起動を開始する。ここで、HW_LATCH_OS信号がHの期間では、RF_EN信号はHであるため非接触IC502の近接無線通信はENABLEである。
このとき、電源IC―A152の出力VOUT_Aが出力を開始し、所定電圧で/RESET信号がLからHへ遷移する。VOUT_Aが出力を開始してから、/RESET信号がLからHへ遷移するまでの時間がCPU153のハードウェアリセット時間である。そして、CPU153がハードウェアリセットの終了後にソフトウェア起動を開始し、更にソフトウェア起動を完了すると、SW_LATCH信号がLからHへ遷移して、HW_LATCH_OS信号がHからLへ遷移する。
以降、HW_LATCH信号がH、SW_LATCH信号がHの期間、RF_EN信号はHであるため非接触IC502の近接無線通信はENABLEである。ここで、HW_LATCH_OS信号のワンショットタイマー時間はTosである。従って、ハードウェア起動とソフトウェア起動とが正常に行われた場合、Tos経過前にSW_LATCH信号がHとなるため、ワンショットタイマー173の出力は停止する動作となる。なお、HW_LATCH_OS信号によりハードウェア起動とソフトウェア起動とを確実に行うことを保証するため、TosとTswbtの関係はTos≧Tswbtとすることが望ましい。
なお、何らかの問題によりハードウェア起動とソフトウェア起動とが正常に行われなった場合、ワンショットタイマー時間Tosでワンショットタイマー173の出力が停止して、電源IC―A152の出力VOUT_Aも停止する。そのため、ソフトウェアの制御無しに電源IC―A152の出力VOUT_Aの出力が継続することがないため、安全な電源制御を可能とする。
その後、ソフトウェア起動を行って、その起動を検出したCPU153は、非接触IC502とIC_I/Fを介して通信して、/RF_INTを解除する。
PHASE10では、ボタンスイッチ125の押下によりHW_LATCH_PSW信号がLからHへ遷移し、当該遷移を検出したCPU153はソフトウェアを終了して、SW_LATCH信号がHからLへ遷移する。
ここで、HW_LATCH信号がH、SW_LATCH信号がLの期間では、RF_EN信号はLであるため非接触IC502の近接無線通信はDISABLEである。さらにボタンスイッチ125の押下が戻ってHW_LATCH_PSW信号がHからLへ遷移すると、HW_LATCH信号がHからLへ遷移してハードウェア終了を開始する。
電源IC―A152の出力VOUT_Aが出力を停止して垂下し、所定電圧で/RESET信号がHからLへ遷移して、CPU153のハードウェアリセットが行われる。その後、HW_LATCH信号がHからLへ遷移すると、RF_ENがLからHへ遷移する。
以降、HW_LATCH信号がL、SW_LATCH信号がLの期間では、RF_EN信号はHであるため、非接触IC502の近接無線通信はENABLEである。
次に、図8(C)を参照してフェーズごとに説明する。図8(C)は、非接触IC502の近接無線通信によりデジタルカメラ501を起動し、ボタンスイッチ125の押下によりデジタルカメラ501を終了する第2の場合を示している。なお、PHASE6及びPHASE9の動作は図8(B)と同一であるので説明を省略する。
図8(C)のタイミングチャートのPHASE11では、ソフトウェア終了時のHW_LATCH_PSW信号がLからH、HからLへ遷移する期間、すなわちボタンスイッチ125を押下している時間のみが図8(B)と異なる。他のタイミングは図8(B)と同一であるため説明を省略する。
図8(C)に示す特徴的な動作は、ソフトウェア終了時にボタンスイッチ125を押下している期間が長くなることに応じて、(RF_EN信号がLである期間も長くなり)非接触IC502の近接無線通信をDISABLEにする期間が長くなることである。
更に、図8(D)を参照してフェーズごとに説明する。図8(D)は、近接無線通信によりデジタルカメラ501を起動した後、ボタンスイッチ125の押下によりデジタルカメラ501を終了し、終了が完了した後に再度、非接触IC502の近接無線通信によりデジタルカメラ501を起動する例を示している。なお、PHASE6及びPHASE9の動作は図8(B)と同じであるので説明を省略する。
PHASE12では、HW_LATCH_PSW信号がLからHへ遷移し、当該遷移を検出したCPU153はソフトウェアを終了し、SW_LATCH信号がHからLへ遷移する。HW_LATCH信号がH、SW_LATCH信号がLの期間では、RF_EN信号はLであるため非接触IC502の近接無線通信はDISABLEである。
次に、ボタンスイッチ125の押下解除により、HW_LATCH_PSW信号がHからLへ遷移すると、HW_LATCH信号がHからLへ遷移してハードウェア終了を開始する。電源IC―A152の出力VOUT_Aが出力を停止して垂下し、所定電圧で/RESET信号がHからLへ遷移すると、CPU153はハードウェアリセットを行う。
そして、HW_LATCH信号がHからLへ遷移し、RF_ENがLからHへ遷移する。RF_ENがLからHへ遷移した直後に非接触IC502が外部から電磁波または通信を受けた場合、/RF_INT信号がHからLへ遷移する。そして、HW_LATCH_OS信号がLからHへ遷移し、HW_LATCH信号がLからHへ遷移して、ハードウェア起動を開始する。HW_LATCH_OS信号がHの期間においては、RF_EN信号がHであるため非接触IC502の近接無線通信はENABLEである。
電源IC―A152は、/RESET信号がLであってCPU153のハードウェアリセットの間は出力VOUT_Aが電圧垂下中であるが、再起動を開始する。その後、電源IC―A152の出力VOUT_Aが出力を開始して、所定電圧で/RESET信号がLからHへ遷移する。なお、VOUT_Aが出力を開始してから/RESET信号がLからHへ遷移するまでの時間がCPU153のハードウェアリセット時間である。
ハードウェアリセットの終了後、CPU153はソフトウェア起動を開始し、ソフトウェア起動完了時点でSW_LATCH信号がLからHへ遷移して、HW_LATCH_OS信号がLからHへ遷移する。
以降、HW_LATCH信号がH、SW_LATCH信号がHの期間では、RF_EN信号はHであるため非接触IC502の近接無線通信はENABLEである。ソフトウェア起動して、それを検出したCPU153は、非接触IC502とIC_I/Fを介して通信を行って/RF_INTを解除する。ここで、HW_LATCH_OS信号のワンショットタイマー時間はTosであるが、ハードウェア起動とソフトウェア起動とが正常に行われた場合、Tos経過前にSW_LATCH信号がHとなる。よって、ワンショットタイマー173の出力は停止する動作となる。
なお、上述のように電源IC―A152の出力VOUT_Aが電圧垂下中に再起動された場合においてもソフトウェア起動に要する時間を保証するため、TosとTpd、Tswbtの関係はTos>(Tpd+Tswbt)とすることが望ましい。
以上説明したように本実施形態では、近接無線通信の磁束によりデジタルカメラ501が起動する構成において、ハードウェア起動信号とソフトウェア起動信号とが一致したことに応じて、非接触ICの近接無線通信を有効化(ENABLE)するようにした。一方、ハードウェア起動信号とソフトウェア起動信号とが一致しなくなったことに応じて非接触ICの近接無線通信を無効化(DISABLE)するようにした。但し、近接無線通信の磁束によりデジタルカメラ501が起動する場合、ワンショットタイマー173を用いて、ハードウェア起動信号とソフトウェア起動信号とが一致しなくなった場合であっても、これらの起動信号が一致する場合と同等に扱うようにした。
このようにすれば、近接無線通信が有効化されている間に発生した近接によって通信装置を起動する際に、開始した近接無線通信を無効化することを防ぐことができる。また、非接触の無線通信を行う際のデジタルカメラ501のソフトウェアおよびハードウェアの動作状態の競合を防止することができる。
(実施形態3)
次に実施形態3について説明する。実施形態1及び実施形態2では、無線通信装置の非接触ICの近接無線通信の動作の制御を、ハードウェアにより実現する例について説明した。実施形態3では、非接触ICの制御の一部を、CPU153とは異なるSUB−CPU971がプログラムを実行することによって実現する例について説明する。本実施形態のデジタルカメラの構成は、当該SUB−CPU971を有する構成であるが、その他の構成は実施形態2と同一である。このため、同一の構成については同一の符号を付して重複する説明は省略し、相違点について重点的に説明する。
(デジタルカメラ901の構成)
図9を参照して、本実施形態のデジタルカメラ901の機能構成例について説明する。なお、本実施形態に係るSUB−CPU971の動作と、実施形態2で説明した制御回路571の動作とは、CPU153および非接触IC502から見て同等であるものとする。
SUB−CPU971は、その電源を電池151の電圧VBATTから得るように構成され、電池151が存在する場合には常に電源が供給される。SUB−CPU971の電源VDDIN_CIRが供給されていない状態から供給が開始された場合、SUB−CPU971の論理は初期状態に設定されて機能はネゲートされるものとする。一方、SUB−CPU971の電源VDDIN_CIRが供給されている状態から供給が終了した場合、SUB−CPU971の各機能はネゲートされる。従って、本実施形態に係る説明では不要な機能の過渡的状態に係る説明は省略する。
SUB−CPU971による、非接触IC502の制御処理に係る一連の動作は、実施形態2に示した動作と同様であり、SUB−CPU971による制御手順の例及び動作条件は、図6に示した真理値表及び図8に示したタイミングチャートのようになる。すなわち、上述した非接触ICの制御回路による動作をソフトウェア、すなわちプログラムによって実現することができる。
なお、SUB−CPU971のソフトウェア、真理値表、タイミングチャートを実施形態1と同様に構成することにより、実施形態1と同様の機能を実現してもよい。
以上説明したように本実施形態では、SUB−CPU971は、ハードウェア起動信号とソフトウェア起動信号とが一致したことに応じて非接触ICの近接無線通信を有効化した。また、ハードウェア起動信号とソフトウェア起動信号とが一致しないことに応じて非接触ICの近接無線通信を無効化するようにした。このようにすれば、非接触の無線通信を行う際のデジタルカメラ901のソフトウェアおよびハードウェアの動作状態の競合を防止することができる。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、非接触ICの周辺回路の構成例について、信号のスイッチ及び論理反転を行う素子としてバイポーラトランジスタを用いる例について説明した。しかし、上述のスイッチはバイポーラトランジスタに限ったものでなく、例えば、FETのようなユニポーラトランジスタであってもよい。すなわち、スイッチONの際に導通状態になり、OFFの際に高インピーダンス状態となる素子であれば何でもよい。
また、上述の実施形態では、非接触ICの周辺回路の構成例について、信号のスイッチ及び論理反転を行う素子としてバイポーラトランジスタ、バイアス回路に抵抗を用いる構成を説明した。しかし、上述のスイッチ及びバイアス回路は、バイポーラトランジスタ及び抵抗に限ったものではなく、例えば、FETやICを組み合わせて同様の動作を実現してもよい。
上述の実施形態では、非接触ICの近接無線通信が国際標準規格であるISO/IEC21481に準拠しているものとして説明した。しかしながら、上述の無線通信規格は、ISO/IEC21481以外のものであってもよい。外部からの電磁波を電力として動作する非接触ICであれば他の規格であってもよい。電磁波の周波数についても、ISO/IEC21481の13.56MHzの代わりに、ISO/IEC18000の各パートの周波数kHz帯〜GHz帯であってもよい。
また、本発明は、上述した特定の実施形態に限られるものではなく、実施形態1から3の周辺回路及び制御方法を適宜組み合わせてもよい。いかなる形態であれ、非接触IC及びその周辺回路は、外部から電磁波及び通信を受けた場合に、非接触ICの近接無線通信の動作を行って、当該動作をトリガに通信装置の本体機能が連動処理を行うような構成であれば何でもよい。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。