以下、本発明に係るシート搬送装置及び画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置100の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてフルカラー画像を形成することのできる、中間転写方式を採用したタンデム型のレーザービームプリンターである。
画像形成装置100は、複数の画像形成部(ステーション)として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像を形成する第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。本実施例では、これら4つの画像形成部SY、SM、SC、SKの構成及び動作は、後述する現像工程で使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同じである。したがって、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用の要素であることを表す符号の末尾のY、M、C、Kは省略して、当該要素について総括的に説明する。
画像形成部Sは、第1の像担持体としての、回転可能なドラム型の電子写真感光体(感光体)である感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、図中矢印R1方向に回転駆動される。画像形成部Sにおいて、感光ドラム1の周囲には、その回転方向沿って順に、次の各プロセス機器が配置されている。まず、帯電手段としての帯電器2が配置されている。次に、露光手段としての露光装置(レーザースキャナー)3が配置されている。次に、現像手段としての現像装置4が配置されている。次に、一次転写手段としてのローラ型の一次転写部材である一次転写ローラ5が配置されている。次に、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーナ6が配置されている。
回転する感光ドラム1の表面は、帯電器2により所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に略一様に帯電させられる。帯電した感光ドラム1の表面は、露光装置3によって画像情報に基づいて露光され、感光ドラム1上に画像情報に応じた静電潜像(静電像)が形成される。感光ドラム1上に形成された静電潜像は、現像装置4により現像剤としてのトナーを用いて現像(可視化)され、感光ドラム1上にトナー像が形成される。本実施例では反転現像方式が用いられる。つまり、一様に帯電させられた後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム1上の露光部に、感光ドラム1の帯電極性と同極性に帯電したトナーが付着する。本実施例では、現像時のトナーの帯電極性(正規の帯電極性)は負極性である。
なお、露光装置3によって形成される静電潜像は、小さいドット画像の集合体となっており、ドット画像の密度を変化させることで感光ドラム1上に形成するトナー像の濃度を変化させることができる。
各画像形成部SY、SM、SC、SKの各感光ドラム1Y、1M、1C、1Kの表面に接触するように、第2の像担持体としての、回転可能な無端状のベルトで構成された中間転写体である中間転写ベルト7が配置されている。中間転写ベルト7は、複数の張架ローラ(支持部材)としてのテンションローラ71、駆動ローラ72、二次転写対向ローラ73に張架されている。テンションローラ71は、中間転写ベルト7の張力を一定に制御する。駆動ローラ72は、駆動手段としての駆動モータ(図示せず)からの駆動力を中間転写ベルト7に伝達して、中間転写ベルト7を移動(回転)させる。中間転写ベルト7は、駆動ローラ72によって図中矢印R2方向へ回転駆動される。本実施例では、中間転写ベルト7の周速度は、250〜300mm/secである。二次転写対向ローラ73は、中間転写ベルト7及び後述する二次転写ベルト81を介して後述する二次転写ローラ82と対向して二次転写部(二次転写ニップ)N2を形成する。
中間転写ベルト7の内周面(裏面)側において、各感光ドラム1に対応して、上述の各一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kが配置されている。一次転写ローラ5は、中間転写ベルト7を介して感光ドラム1に向けて付勢され、中間転写ベルト7と感光ドラム1とが接触する一次転写部(一次転写ニップ)N1を形成する。また、中間転写ベルト7の外周面(表面)側において、二次転写対向ローラ73と対向する位置に、二次転写手段としての二次転写装置11が配置されている。詳しくは後述するように、二次転写装置11は、無端状のベルトで構成されたシート搬送部材としての二次転写ベルト81と、二次転写ベルト81の内周面側に配置された二次転写部材としての二次転写ローラ82と、を有する。二次転写ローラ82は、中間転写ベルト7及び二次転写ベルト81を介して二次転写対向ローラ73に向けて付勢され、中間転写ベルト7と二次転写ベルト81とが接触する二次転写部(二次転写ニップ)N2を形成する。また、中間転写ベルト7の外周面側において、駆動ローラ72と対向する位置には、中間転写体クリーニング手段としての中間転写ベルトクリーナ74が配置されている。
前述のようにして感光ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写部N1において、一次転写ローラ5の作用により、回転する中間転写ベルト7上に静電的に転写(一次転写)される。このとき、一次転写ローラ5には、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の一次転写バイアス(一次転写電圧)が印加される。これにより、一次転写部N1に一次転写電流が供給される。例えばフルカラー画像の形成時には、各感光ドラム1Y、1M、1C、1K上に形成された各色のトナー像が、各一次転写部N1において中間転写ベルト7上に順次重ね合わせるようにして転写される。これにより、中間転写ベルト7上に4色のトナー像が重ね合わされたフルカラー画像用の多重トナー像が形成される。一次転写工程後に感光ドラム1上に残留したトナー(一次転写残トナー)などの付着物は、ドラムクリーナ6によって感光ドラム1上から除去されて回収される。
中間転写ベルト7上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト7の回転によって二次転写ニップ部N2へ送られる。一方、カセット(図示せず)に収納されている紙(記録用紙)などのシート(転写材、記録材、記録媒体)Pが、給送ローラ(図示せず)によって1枚ずつ給送され、レジストローラ12により二次転写部N2に搬送される。レジストローラ12は、搬送されてきたシートPを一旦停止させ、中間転写ベルト7上のトナー像が二次転写部N2に搬送されてくるのに同期してシートPを二次転写部N2へ供給する。シートPの搬送方向において二次転写部N2の上流側には、シートPの搬送経路を規制する次のガイド手段(搬送ガイド)が配置されている。まず、中間転写ベルト7の表面側に、シートPが中間転写ベルト7の表面へ近づく挙動を規制する二次転写上流上ガイド部材13aが配置されている。また、シートPが中間転写ベルト7の表面側から離れていく挙動を規制する二次転写上流下ガイド部材13bが配置されている。シートPは、これら二次転写上流上ガイド部材13a、二次転写上流下ガイド部材13bの間を通過する。つまり、これら二次転写上流上ガイド部材13a、二次転写上流下ガイド部材13bによって、シートPがレジストローラ12から二次転写部N2に搬送される際の搬送パスが規制されている。
そして、中間転写ベルト7上のトナー像は、二次転写部N2において、二次転写装置11の作用によって、中間転写ベルト7と二次転写ベルト81との間に挟持されて搬送されるシートP上に、静電的に転写(二次転写)される。このとき、二次転写ローラ82には、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の二次転写バイアス(二次転写電圧)が印加される。これにより、二次転写部N2に二次転写電流が供給される。二次転写工程後に中間転写ベルト7上に残留したトナー(二次転写残トナー)などの付着物は、中間転写ベルトクリーナ74によって中間転写ベルト7上から除去されて回収される。
トナー像が転写されたシートPは、中間転写ベルト7から分離され、また二次転写ベルト81から分離された後に、定着前搬送装置14によって定着装置15へと搬送される。本実施例では、定着前搬送装置14はベルト式の搬送装置とされ、シートP上に転写されたトナーを乱さないようにシートPの下面をエアーで吸着して定着装置15へと搬送する。そして、シートPは、定着装置15によってその上の未定着トナー像が定着させられた後に、画像形成装置100の装置本体の外部に排出(出力)される。
2.二次転写装置の基本的な構成
次に、本実施例における二次転写装置11について更に詳しく説明する。なお、ここでは、無端状のベルトの張架ローラの外径について、中央部、端部、全域などは、張架ローラの回転軸線方向(長手方向)におけるベルトを張架する領域(ベルトが掛け回される領域)に関していうものである。
二次転写装置11は、ベルトユニット8と、クリーニングユニット9と、トナー回収ユニット10と、を有して構成される。
まず、ベルトユニット8について説明する。ベルトユニット8は、無端状のベルトで構成された二次転写ベルト81を有する。二次転写ベルト81は、複数の張架ローラ(支持部材)としての二次転写ローラ82、分離ローラ83、テンションローラ84、駆動ローラ85に張架されている。二次転写ローラ82は、二次転写対向ローラ73との間で中間転写ベルト7及び二次転写ベルト81を挟持して、二次転写部N2を形成する。分離ローラ83は、二次転写部N2を通過した後のシートPを二次転写ベルト81から分離する。テンションローラ84は、付勢手段としてのバネ(図示せず)によって二次転写ベルト81の内周面側から外周面側に向けて付勢され、二次転写ベルト81にテンション(張力)を付与する。駆動ローラ85は、駆動手段としての駆動モータ(図示せず)からの駆動力を二次転写ベルト81に伝達して、二次転写ベルト81を移動(回転)させる。二次転写ベルト81は、駆動ローラ85によって図中矢印R3方向に回転駆動される。
上記各ローラは、二次転写ベルト81の回転方向に沿って、二次転写ローラ82、分離ローラ83、テンションローラ84、駆動ローラ85の順に配置されている。二次転写ローラ82、分離ローラ83、テンションローラ84は、いずれも二次転写ベルト81の回転に伴って従動して回転する。本実施例では、ベルトユニット8は、二次転写装置11に対して着脱自在に構成されている。
本実施例では、二次転写ベルト81としては、ポリイミド、ポリカーボネートなどの樹脂に帯電防止剤としてカーボンブラックを適当量含有させたものなどを用いる。二次転写ベルト81の体積抵抗率は1×109〜1×1010Ω・cm程度、厚みは0.07〜0.1mm程度である。また、本実施例で用いる二次転写ベルト81は、引っ張り試験法(JIS K 6301)で測定したヤング率の値が100MPa以上、10GPa以下程度と、十分に硬い。
また、本実施例では、二次転写ローラ82は、芯金(芯材)上に、イオン導電系発泡ゴム(NBRゴム)の弾性層を設けて構成されている。この二次転写ローラ82は、外径が24mm、表層の表面粗さRzが6.0〜12.0(μm)、電気抵抗値がN/N(23℃、50%RH)環境において2kVを印加して測定したとき1×105〜1×107Ωである。また、弾性層の硬度は、Asker−C硬度で30〜40程度である。そして、二次転写ローラ82には、二次転写バイアス印加手段としての二次転写バイアス電源(高圧電源)87が接続されている。二次転写バイアス電源87は、供給バイアスが可変であり、二次転写ローラ82に所望の二次転写バイアスを印加できるようになっている。二次転写ローラ82に二次転写バイアスが印加されることで、二次転写部N2へ供給されたシートPに中間転写ベルト7上のトナー像が転写されると共に、供給された静電気力によってシートPが二次転写ベルト81へ吸着される。本実施例では、例えば+40〜60μAの電流が流れるように、二次転写ローラ82に二次転写バイアスが印加される。
二次転写ローラ82の表面に掛け回されている二次転写ベルト81は、図中矢印R3方向に移動することで、二次転写部N2で二次転写ベルト81の表面に吸着されたシートPを図中矢印Bで示すように下流側に搬送する。二次転写ベルト81上のシートPは、二次転写ベルト81の回転方向において二次転写ローラ82の下流に隣接して配置された分離ローラ83の位置に到達した時点で、分離ローラ83の曲率によって二次転写ベルト81の表面から分離される。二次転写ベルト81から分離されたシートPは、前述のように、定着装置15へと搬送される。
本実施例では、分離ローラ83、テンションローラ84は、それぞれ回転軸線方向における中央部と端部との外径が異なるクラウン形状を有するクラウンローラとされている。また、二次転写ローラ82、駆動ローラ85は、それぞれ回転軸線方向の全域で略同一の外径を有するストレート形状とされている。分離ローラ83、テンションローラ84については、後述して更に詳しく説明する。
次に、クリーニングユニット9について説明する。クリーニングユニット9は、クリーニング部材として、クリーニングブレード91と、ファーローラ92と、を有して構成される。
クリーニングブレード91は、ウレタンゴム製の板状の部材である。クリーニングブレード91は、駆動ローラ85に巻き掛けられた二次転写ベルト81の外周面に、所定の当接角度及び当接圧で圧接して配置されている。ファーローラ92は、ナイロン繊維を導電性のローラ上に植毛して構成されている。ファーローラ92は、二次転写ベルト81に対し約1mmの侵入量を保って回転可能に配置されている。また、ファーローラ92に当接して、本実施例では金属製のローラで構成されたスクレーパ軸93が配置されている。
シートP上にトナー像を二次転写する際には、ファーローラ92は、回転することで二次転写ベルト81の外周面を摺擦し、二次転写ベルト81上に付着した紙粉を除去する。そして、ファーローラ92に付着した紙粉は、スクレーパ軸93に掻き落とされる。また、クリーニングブレード91は、二次転写ベルト81上に付着したトナーを、回転する二次転写ベルト81の外周面から掻き取って除去する。なお、二次転写ベルト81には、2次転写部N2において、中間転写ベルト7上の非画像領域に付着したトナー(カブリトナー)などが付着する。
トナー回収ユニット10は、回収トナー搬送スクリュー10aを有する。トナー回収ユニット10は、クリーニングブレード91によって除去されたトナーを、ファーローラ92によって除去された紙粉と共に回収し、廃トナーボックス(図示せず)へと搬送(排出)する。
3.分離ローラ
本実施例では、図2(a)に示すように、分離ローラ83は、回転軸線方向における中央部の外径が端部の外径よりも大きい正クラウン形状を有する正クラウンローラとされている。これは、シートPの波打ちによる画像不良(転写不良)を抑制するためである。この点について、次に説明する。
一般に紙であることの多い、トナー像の被転写体としてのシートPは、様々な理由により波打っていることがある。例えば、定着処理などの影響で波打ちが発生している紙(両面画像形成を行う場合など)は、二次転写部N2における搬送方向の長さが、該搬送方向と略直交する方向(以下「幅方向」ともいう。)における中央部よりも両端部の方が長くなっていることがある。
図3(a)〜(c)は、波打ちが発生している紙が二次転写部N2に搬送される場合の二次転写部N2の近傍の様子を、二次転写ベルト81側から見た模式図である(二次転写ベルト81の図示は省略されている)。波打ちが発生している紙を平坦な二次転写ベルト81の面に貼りつけようとすると、図3(a)に示すように、紙の幅方向における両端部の長さを打ち消そうと、紙の幅方向における中央部が二次転写ベルト81から離れるように凸状に膨らむ。幅方向の中央部が膨らんだ紙がその状態のまま二次転写部N2に搬送されると、図3(b)に示すように、その中央部の膨らみが搬送方向の上流側によっていく。この中央部の膨らみが二次転写部N2の圧力に耐え切れなくなると、図3(c)に示すように、二次転写部N2の圧力でその膨らみが押しつぶされて、シワになってしまう。
これに対して、本実施例では、二次転写ベルト81の回転方向において二次転写ローラ(上流ローラ)82の下流に隣接して配置された分離ローラ83は、上述のように正クラウンローラとされている。したがって、この分離ローラ83は、二次転写ベルト81の回転方向と略直交する方向(以下「幅方向」ともいう。)における中央部を端部よりも内周面側から外周面側に向けて(以下、この方向を「上方」ともいう。)凸状になるように変形させる。これにより、二次転写部N2から分離ローラ83の位置までの二次転写ベルト81の面は、幅方向の中央部が上方に膨らんだ形状となる。
このように、本実施例では、二次転写部N2よりも下流側で紙を上方に凸状になるように変形させる一方で、二次転写部N2では紙をストレートに挟み込んでいる。この状態では、紙のような剛体は、下流側の上方に凸状に変形された部分から二次転写部N2までの間では、反動で逆方向の下方に凸状になるような力が働く。二次転写部N2で紙が下方に凸状になるような力が働くことは、二次転写部N2でのシワの原因となる前述の膨らみを減少させることになる。このため、分離ローラ83を正クラウンローラとすることで、波打ちが発生しているシートPに二次転写部N2で生じるシワを抑制することができる。
一方、本実施例では、図2(b)に示すように、テンションローラ84は、回転軸線方向における中央部の外径が端部の外径よりも小さい逆クラウン形状を有する逆クラウンローラとされている。テンションローラ84は、二次転写ベルト81の回転方向において分離ローラ83の下流に隣接して配置された張架ローラである。つまり、分離ローラ83は、二次転写ベルト81の回転方向においてテンションローラ84の上流に隣接して配置された張架ローラ(上流側ローラ)である。本実施例において、テンションローラ84が逆クラウンローラとされているのは、上述の正クラウンローラとされた分離ローラ83によりシートPのシワを抑制する効果を向上させるためである。この点について、次に説明する。
上述のような正クラウンローラによるシートPのシワを抑制する効果は、シートPを搬送する二次転写ベルト81が十分に正クラウンローラの形状に沿って張られている場合に得られる。二次転写ベルト81が樹脂製のベルトなどの比較的硬い材質で構成されたベルトの場合、二次転写ベルト81の正クラウンローラの形状に沿った変形が不十分で、シワを抑制する効果が小さくなることがある。
これに対して、本実施例では、二次転写ベルト81の回転方向において分離ローラ83の下流に隣接して配置されたテンションローラ84は、上述のように逆クラウンローラとされている。したがって、テンションローラ84は、二次転写ベルト81の幅方向における端部を中央部よりも上方に凸状になるように変形させる。これにより、分離ローラ83の位置からテンションローラ84の位置までの二次転写ベルト81を、幅方向の外側へ引っ張る力が働く。そのため、上述のように二次転写ベルト81が比較的硬い材質で構成されている場合でも、分離ローラ83によって二次転写ベルト81を幅方向の中央部が端部より上方に凸状になるように張ることが可能になる。
また、本実施例では、分離ローラ83のクラウン量に対し、テンションローラ84のクラウン量を、二次転写ベルト81の断面の周長が二次転写ベルト81の幅方向の全域で略等しくなるように設定している。これにより、二次転写ベルト81の周方向の長さがその幅方向の位置によって余ることを防いで、二次転写ベルト81のたわみを抑制することができる。ここで、図2(a)に示すように、分離ローラ83の最大径(回転軸線方向の中央部の外径)をD1m、最小径(回転軸線方向の端部の外径)をD1sとしたとき、分離ローラ83のクラウン量は、|D1s−D1m|/2で表される。また、図2(b)に示すように、テンションローラ84の最小径(回転軸線方向の中央部の外径)をD2m、最大径(回転軸線方向の端部の外径)をD2sとしたとき、テンションローラ84のクラウン量は、|D2s−D2m|/2で表される。
4.分離機構
次に、本実施例における二次転写ベルト81からのシートPの分離機構について説明する。
二次転写装置11の分離ローラ83の位置で二次転写ベルト81から分離されたシートPは、その後、ガイド部材としての分離後ガイド20によってガイドされて定着前搬送装置14へと受け渡される。なお、本実施例では、二次転写装置11のベルトユニット8と、分離後ガイド20と、を有して、シートPを搬送するシート搬送装置30が構成される。
本実施例では、二次転写ベルト81上に付着したトナーは、クリーニングユニット9によって回収されるため、二次転写ベルト81に対して接触式の分離機構は適用しない。二次転写ベルト81からのシートPの分離は、分離ローラ83の曲率によって行われる。そして、この二次転写ベルト81から分離されたシートPは、二次転写ベルト81に対し非接触に配置された分離後ガイド20へと受け渡される。
分離後ガイド20は、以下詳しく説明する所定の位置関係において、分離ローラ83に巻き掛けられた二次転写ベルト81の外周面に近接して配置されている。分離後ガイド20は、詳しくは後述するように、分離ローラ83の回転軸線方向におけるシートPが通過する領域(以下「シート通過領域」ともいう。)の中央部、両端部でシートPをそれぞれガイドする中央ガイド部20a、端部ガイド部20bを有する(図9参照)。本実施例では、分離後ガイド20は、分離ローラ83の回転軸線方向に沿って配置された板状の一つの連続した部材(平板)である。つまり、本実施例では、分離後ガイド20は、中央ガイド部20aと端部ガイド部20bとは一体的に形成され、シート通過領域の略全域でシートPをガイドできるようになっている。なお、分離ローラ83の回転軸線方向における分離後ガイド20の長さは、画像形成装置100において用いられるシートPの同方向の最大の長さよりも長い。そして、分離ローラ83の回転軸線方向における分離後ガイド20の中央よりの位置をシートPが通過する。
次に、分離後ガイド20の二次転写ベルト81に対する位置関係について説明する。なお、ここでは、分離ローラ83の回転軸線方向(二次転写ベルト81の幅方向)を「スラスト方向」ということがある。また、分離後ガイド20の位置など関して、上下方向は、画像形成装置100の通常の使用状態における重力方向(鉛直方向)における上下方向である。ただし、この上下方向は、直上、直下のみを意味するものではなく、基準とする位置又は要素を通る水平面よりも上方、下方であることを含む。
まず、図4を参照して、シート通過領域のスラスト方向の中央部における、分離後ガイド20の上下方向(鉛直方向)の位置関係について説明する。
図4は、二次転写ベルト81からのシートPの分離分の近傍の模式的な断面図であり、シート通過領域のスラスト方向の中央部における断面(スラスト方向と略直交する断面)をスラスト方向に見たものである。図4中の破線Rは、二次転写ローラ82と分離ローラ83とによって形成された二次転写ベルト81の面(以下「搬送面」ともいう。)をシートPの搬送方向Bの下流側に向けて延長した線(以下「中央搬送軌跡」ともいう。)である。なお、この搬送面は、上方からシートPが載るように二次転写ベルト81が張られて形成される。図4中の点Aは、中央搬送軌跡Rが分離ローラ83の外周に接する接点(以下「中央接点」ともいう。)である。本実施例では、分離後ガイド20のシートPの搬送方向における上流側の端部(以下「ガイド中央先端」ともいう。)Fの位置は、中央搬送軌跡Rよりも下方に配置される。その理由は次のとおりである。
シートPは、二次転写ベルト81の搬送面に沿って搬送される。二次転写ベルト81から分離された後は、シートPは中央搬送軌跡Rに沿うように搬送される。しかし、二次転写ベルト81から分離された後のシートPの軌道は、中央搬送軌跡Rの上下にふれることがある。そのため、ガイド中央先端Fの位置は、中央搬送軌跡Rから離れて下側にあることが望ましい。
また、シートPの搬送方向の先端が二次転写ベルト81から分離されてから分離後ガイド20に到達するまでの間、シートPは鉛直方向に重力を受ける。特に、シートPが、坪量が40〜60g/m2と比較的小さい紙(薄紙)の場合などには、シートPの先端は徐々に下方に向けて湾曲する。図5(a)、(b)は、分離後ガイド20の上下方向の位置を異ならせた場合の図4と同様の図である。図5(a)に示すように、ガイド中央先端Fが中央搬送軌跡Rよりも下方に配置されると、二次転写ベルト81から分離された後のシートPの先端が分離後ガイド20に到達するときに、シートPの先端の向きが鉛直方向下向きになることがある。その結果、シートPの先端の向き(矢印E)とシートPの搬送方向(矢印B)とが成す角度が直角以上になり、分離後ガイド20上でシートPの先端が丸まってしまい、搬送不良が生じるおそれがある。そのため、図5(b)に示すように、シートPの先端の向き(矢印E)が鉛直方向下向きになる前にシートPの先端が分離後ガイド20に到達するように、中央搬送軌跡Rから分離後ガイド20までの鉛直方向の距離は所定値以下に設定するのが望ましい。
そのため、ガイド中央先端Fの上下方向の位置は、次のように設定されることが望ましい。ここで、図4中の点Cは、分離ローラ83の回転中心を示す点(以下「分離ローラ中心」ともいう。)である。また、図4中のdは、鉛直方向における前述の中央接点Aから分離ローラ中心Cまでの距離を示す。また、図4中のZbは、鉛直方向における中央搬送軌跡Rからガイド中央先端Fまでの距離を示す。このとき、ガイド中央先端Fの上下方向の位置は、Zb≦dの関係を満たすように設定されることが望ましい。Zb<dの関係を満たすことがより好ましい。つまり、二次転写ベルト81から分離された直後のシートPの先端は、重力を受けて鉛直方向下方に湾曲する。シートPの坪量が小さいほど、シートPの坪量に対するこの湾曲の度合い(湾曲の曲率)は大きくなり、二次転写ベルト81の表面の湾曲の状態に近くなる。しかし、シートPの坪量が比較的小さい場合であっても、二次転写ベルト81から一旦分離した後のシートPの湾曲の曲率は、分離ローラ83の外周面の湾曲の曲率より大きくならない。そのため、ガイド中央先端端部Fの位置は、鉛直方向において、分離ローラ中心Cと同じ高さ又は分離ローラ中心Cよりも上方に設定されることが望ましい。このような設定により、シートPの坪量が比較的小さい場合であっても、シートPの先端の向きが鉛直方向下向きに中央搬送軌跡Rに対し垂直方向となる前に、シートPの先端が分離後ガイド20に到達する。
なお、本実施例では、分離ローラ83のスラスト方向の中央部の半径rは8mmであるため、鉛直方向における前述の中央接点Aから分離ローラ中心Cまでの距離dは8mmである。また、本実施例では、距離Zbは4.7mmである。したがって、Zb≦d(特に、Zb<d)の関係を満たす。ただし、dやZbの数値は本実施例の値に限定されるものではなく、Zb≦d(より好ましくはZb<d)の関係を満たすように設定すればよい。
次に、シート通過領域のスラスト方向の中央部における、分離後ガイド20と二次転写ベルト81との間の距離に関する位置関係について説明する。
ガイド中央先端Fが分離ローラ83から離れるほど、シートPが分離後ガイド20と二次転写ベルト81との間の隙間に入りやすくなる。また、ガイド中央先端Fが分離ローラ83に近すぎると、二次転写ベルト81に付着しているトナーが分離後ガイド20へと転移しやすくなる。これらの観点から、本実施例では、ガイド中央先端Fと分離ローラ中心Cとを結ぶ直線上において、ガイド中央先端Fを二次転写ベルト81の表面から1mm離した位置に配置する。これにより二次転写ベルト81に付着しているトナーが転移することによって分離後ガイド20が汚れることを抑制し、かつ、分離後ガイド20と二次転写ベルト81との間の隙間にシートPが引っ掛かることを抑制することができる。
以上の分離後ガイド20の位置関係は、シート通過領域のスラスト方向の中央部、すなわち、中央ガイド部20aにおけるものである。分離ローラ83がストレート形状のローラである場合は、シート通過領域のスラスト方向の略全域において上述の位置関係となるようにすることで、好結果が得られる。しかし、本実施例のように、分離ローラ83が正クラウンローラである場合、次のような課題があることがわかった。
図6は、比較例として、分離ローラ83に正クラウンローラを用い、シート搬送領域のスラスト方向の略全域において分離ローラ83の回転軸線との間の距離が略等しい分離後ガイド20を用いた場合の、分離ローラ83の近傍を示す模式的な斜視図である。図6において、二次転写ベルト81の図示は省略されている。分離ローラ83に正クラウンローラを用いる場合、シートPはスラスト方向の中央部よりも両端部の方が先に二次転写ベルト81から分離され、最後にスラスト方向の中央部が二次転写ベルト81から分離される。このとき、二次転写ベルト81から分離されたシートPは、スラスト方向の中央部が分離されるまでスラスト方向の両端部が重量により垂れ下がる。そして、この例では、正クラウンローラとされた分離ローラ83上の二次転写ベルト81と分離後ガイド20との隙間は、シート通過領域のスラスト方向の両端部の方が中央部よりも大きい。そのため、二次転写ベルト81から分離されたシートPは、スラスト方向の両端部の方が中央部よりも分離後ガイド20との距離が近づきやすい。特に、比較的コシの弱い薄紙では、上述のようにスラスト方向の両端部が分離後ガイド20に近づきやすいため、シートPの搬送方向の先端部が分離後ガイド20に引っ掛かり、ジャムが発生しやすくなる。
図7及び図8を参照して更に説明する。図7は、図6と同様の構成を上方から見た模式的な上面図(二次転写ベルト81の図示は省略されている。)であり、図8は図6と同様の構成をスラスト方向に見た模式的な側面図である。本実施例と同様に、シート通過領域のスラスト方向の中央部での、分離後ガイド20のシートPの搬送方向における上流側の端部をガイド中央先端Fとする。また、シート通過領域のスラスト方向の端部での、分離後ガイド20のシートPの搬送方向における上流側の端部をガイド端部先端F’とする。図7に示すように、この例では、分離後ガイド20のシートPの搬送方向における上流側の端部が、シート通過領域のスラスト方向の略全域で略直線状である。つまり、ガイド中央先端Fと分離ローラ中心Cとの間の距離zと、ガイド端部先端F’と分離ローラ中心Cとの間の距離z’は略等しい。この場合、前述した分離後ガイド20の位置関係をスラスト方向におけるシート通過領域(図中破線P)中央部と端部で同時に満たすことはできない。本実施例では、分離ローラ83のクラウン量が1〜3mmある。そして、本実施例と同様に、この例においても、二次転写ベルト81の表面とガイド中央先端Fとの間の距離xは1mmであるものとする。このとき、図8に示すように、二次転写ベルト81の表面とガイド端部先端F’との間の距離x’は、上記距離x=1mmよりも大きくなってしまう。
また、図8中の破線R’は、シート通過領域のスラスト方向の端部における、二次転写ベルト81の搬送面をシートPの搬送方向Bの下流側に向けて延長した線(以下「端部搬送軌跡」ともいう。)である。また、図8中の点A’は、端部搬送軌跡R’が分離ローラ83の外周に接する接点である。ここで、端部搬送軌跡R’は、中央搬送軌跡Rよりも下方に位置する。シートPは、シート通過領域のスラスト方向の端部では、端部搬送軌跡R’に沿って搬送される。したがって、図8に示すように、ガイド中央先端F及びガイド端部先端F’を、端部搬送軌跡R’よりも上方(RとR’の間)に配置すると、シートPの搬送不良が生じるおそれがある。つまり、シート通過領域のスラスト方向の端部において、シートPが分離後ガイド20上に着地できず、引っ掛かりやすくなる。
このように、前述したシート通過領域のスラスト方向の中央部に関する分離後ガイド20の位置関係を該方向の略全域に適用したのでは、分離ローラ83が正クラウンローラの場合、シートPが分離後ガイド20に引っ掛かることを抑制できなくなることがある。そこで、本実施例では、分離後ガイド20の位置関係を次のようにする。
図9は、本実施例における分離ローラ83の近傍を上方から見た模式的な上面図(二次転写ベルト81の図示は省略されている。)であり、図10は、本実施例における分離ローラ83の近傍をスラスト方向に見た模式的な側面図である。
本実施例では、前述の理由から、ガイド中央先端F及びガイド端部先端F’はいずれも、鉛直方向において中央搬送軌跡Rよりも下方に配置され、かつ、分離ローラ中心Cと同じ高さ又は分離ローラ中心Cよりも上方に配置される。そして、上記理由から、特にガイド端部先端F’は、鉛直方向において端部搬送軌跡R’よりも下方、かつ、分離ローラ中心Cと同じ高さ又は分離ローラ中心Cよりも上方に配置される。本実施例では、分離後ガイド20は、スラスト方向に連続する平坦な平板で構成されている。したがって、本実施例では、図10に示すように、ガイド中央先端F及びガイド端部先端F’はいずれも、鉛直方向において端部搬送軌跡R’よりも下方に配置され、かつ、分離ローラ中心Cと同じ高さ又は分離ローラ中心Cよりも上方に配置されている。これにより、スラスト方向の略全域で、二次転写ベルト81から分離されたシートPが分離後ガイド20上により着地しやすくなる。
さらに、本実施例では、図9に示すように、ガイド中央先端Fと分離ローラ中心Cとの間の距離zよりも、ガイド端部先端F’と分離ローラ中心Cとの間の距離z’の方が小さくされる。これにより、本実施例では、図10に示すように、二次転写ベルト81の表面とガイド中央先端Fとの距離xと、二次転写ベルト81の表面とガイド端部先端F’との距離とは略等しくされ、いずれも1mmとされる。これにより、特に薄紙におけるスラスト方向の端部の垂れ下がりによる分離後ガイド20への引っ掛かりを抑制することができる。なお、上記距離x、x’の数値は、本実施例の値に限定されるものではなく、二次転写ベルト81に付着しているトナーの分離後ガイド20への転移を十分に抑制するなどの観点から、適宜設定することができる。本実施例では、分離後ガイド20は、スラスト方向に連続する平坦な平板で構成されている。したがって、分離前ガイド20のシートPの搬送方向における上流側の端部と分離ローラ中心Cとの間の距離は、ガイド中央先端Fからガイド端部先端F’へと徐々に小さくなる。特に、本実施例では、分離前ガイド20のシートPの搬送方向における上流側の端部は、分離ローラ83の正クラウン形状に沿って湾曲した曲線状に形成されている。これにより、シート通過領域のスラスト方向の略全域で、二次転写ベルト81の表面と分離後ガイド20のシートPの搬送方向における上流側の端部との間の距離は略等しくされている。
このように、本実施例では、ガイド部材20は、分離ローラ83の回転軸線方向におけるシートが通過する領域の中央部、両端部でシートPをそれぞれガイドする中央ガイド部20a、端部ガイド部20bを有する。そして、分離ローラ83の回転軸線と略直交する断面において、中央ガイド部20aのシートPの搬送方向における上流側の端部Fは、次のように配置される。つまり、該端部Fは、上流ローラ82の外周と分離ローラ83の最大径の外周とに接するベルト81の接線よりも下方、かつ、分離ローラ83の回転中心と同じ高さ又は該回転中心よりも上方に位置する。また、端部ガイド部20bのシートPの搬送方向における上流側の端部F’は、次のように配置される。つまり、該端部F’は、上流ローラ82の外周と分離ローラ83の最小径の外周とに接するベルト81の接線よりも下方、かつ、分離ローラ83の回転中心と同じ高さ又は該回転中心よりも上方に位置する。さらに、中央ガイド部20aのシートPの搬送方向における上流側の端部Fと分離ローラ83の回転中心との間の距離よりも、端部ガイド部20bのシートPの搬送方向における上流側の端部F’と分離ローラ83の回転中心との間の距離の方が小さい。特に、本実施例では、上記端部F、F’はいずれも、上流ローラ82の外周と分離ローラ83の最小径の外周とに接するベルト81の接線よりも下方、かつ、分離ローラ83の回転中心と同じ高さ又は該回転中心よりも上方に位置する。また、本実施例では、ガイド部材20は、分離ローラ83の回転軸線方向に沿って配置された1つの連続した部材であり、特に、上方からシートが載せられる面を有する板状の部材である。
以上、本実施例によれば、二次転写ベルト81から分離されたシートPのスラスト方向の両端部が垂れ下がっても、シートPの搬送方向の先端をより確実に分離後ガイド20で受けることができる。これにより、シートPが二次転写ベルト81と分離後ガイド20との間の隙間に入り込み、分離後ガイド20に引っ掛かることを抑制して、ジャムの発生を抑制することができる。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能、構成を有する要素には、同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
図11は、本実施例における分離ローラ83の近傍を上方から見た模式的な上面図である(二次転写ベルト81の図示は省略されている。)。
実施例1では、分離後ガイド20のシートPの搬送方向における上流側の端部は、分離ローラ83の正クラウン形状に沿った曲線形状とされていた。これに対して、本実施例では、分離後ガイド20のシートPの搬送方向における上流側の端部は、スラスト方向の中央付近で屈曲する直線形状となっている。つまり、本実施例では、分離後ガイド20のシートPの搬送方向における上流側の端部は、屈曲部によって繋がった複数の直線状部分を有する。特に、本実施例では、2箇所の屈曲部20c、20cが設けられている。そして、分離後ガイド20のシートPの搬送方向における上流側の端部は、分離ローラ83の回転軸線と略平行な第1直線部20dと、この第1直線部20dの両端側に設けられた第2直線部20e、20eとを有する。第2直線部20eは、分離ローラ83の回転軸線に対して、第2直線部20eに対向する分離ローラ83の表面と同方向に傾斜している。
以上、本実施例によれば、実施例1と同様の効果が得られると共に、分離後ガイド20の端部を湾曲した形状とする場合よりも成型の簡易化が望める。
なお、本実施例では、2箇所の屈曲部を設けたが、スラスト方向の中央付近に1箇所の屈曲部を有する構成や、3箇所以上の屈曲部を有する構成としてもよい。
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
上述の実施例では、ガイド部材は分離ローラの回転軸線方向に略一様(平坦)な平板で構成されていたが、これに限定されるものではない。ガイド部材のシートの搬送方向における上流側の端部の高さは、分離ローラの回転軸線方向の位置によって異なっていてもよい。例えば、ガイド部材のシートの搬送方向における上流側の端部の高さを、スラスト方向の中央部よりも両端部が低くなるように徐々に異ならせ、シートの搬送方向に見たときに上に凸のV字状とされていてもよい。
また、上述の実施例では、ガイド部材は分離ローラの回転軸線方向に連続した1つの部材であり、ガイド部材のシートの搬送方向における上流側の端部と分離ローラの回転中心との間の距離が連続的に変化するように構成されていた。この構成によれば、シート搬送装置によって搬送可能なシートのスラスト方向のサイズに拘わらず、各サイズのシートに対してスラスト方向の中央部と端部とで前述の距離関係を満たすことができる。つまり、各サイズのシートの中央部をガイドする部分を中央ガイド部、端部をガイドする部分を端部ガイド部と見なせる。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、シート搬送装置で搬送するシートのスラスト方向のサイズが所定のサイズに固定されている場合などには、その所定のサイズのシートのスラスト方向の中央部と端部とをそれぞれガイドするガイド部が分離されていてもよい。同様に、上述のようにガイド部材のシートの搬送方向における上流側の端部の高さを分離ローラの回転軸線方向の位置によって異ならせる場合に、連続的に高さを異ならせることで、いずれのサイズのシートにも前述の高さ関係を満たすことができる。しかし、これに限定されるものではなく、各高さのガイド部が分離されていてもよい。
また、上述の実施例では、像担持体(第2の像担持体)としての中間転写体からシートにトナー像を転写させる二次転写部でシートを搬送するベルトに関して、本発明を適用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、像担持体としての感光ドラムから直接シートにトナー像を転写させる転写部でシートを搬送するベルトに関して、本発明を適用することもでき、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。