JP6589748B2 - 電気めっき鋼板の製造方法および電気めっき鋼板の製造装置 - Google Patents

電気めっき鋼板の製造方法および電気めっき鋼板の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、電気めっき鋼板の製造方法に関するものであり、めっき厚みが均一で表面外観の美麗な電気めっき鋼板の製造方法に関する。
電気めっき鋼板の製造において、一般的な鋼板の電気めっきの方式としては、水平型や竪型のフローセル方式とラジアルセル方式とが知られている。
水平型フローセル方式のセル構造は、図4のように、ストリップ(鋼板)1の入側と出側には通電ロール2が、ストリップ1の表裏面にはアノード電極3がそれぞれ設置される構造である。ストリップ1を水平方向(矢印の方向)に走行させ、ストリップ1とアノード電極3との間のギャップにめっき液4を供給し、カソードであるストリップ1の表裏面とアノード電極3との間で通電することによりめっきされる。
竪型フローセル方式のセル構造は、図5のように、ストリップ1を水平方向(矢印の方向)に走行させ、ストリップ1の入側に設置される通電ロール2で走行方向を下向きに変更した後、シンクロール6にてストリップ1の走行方向を上向きに変更し、ストリップ1の出側に設置される通電ロール2によりストリップ1の走行方向を水平方向に変更する構造である。通電ロール2とシンクロール6との間でストリップ1の表裏面にアノード電極3がそれぞれ設置され、ストリップ1とアノード電極3の間のギャップにめっき液4をフローノズル5により供給し、カソードであるストリップ1の表裏面とアノード電極3との間で通電することによりめっきされる。
ラジアルセル方式のセル構造は、図6のように、ストリップ1を水平方向(矢印の方向)に走行させ、ストリップ1の入側に設置される通板ロール7で走行方向を下向きに変更した後、通電ロール2にてストリップ1の走行方向を上向きに変更し、ストリップ1の出側に設置される通板ロール7によりストリップ1の走行方向を水平方向に変更する構造である。通電ロール2にストリップ1を巻きつけてめっき液4中に浸漬し、ストリップ1と対向する円周上に設置された弓形のアノード電極3との間のギャップにめっき液4をフローノズル5により供給し、カソードであるストリップ1のめっき面とアノード電極3との間で通電することによりめっきされる。
フローセル方式は、鋼板表裏面を同時にめっきできるという利点がある。ラジアルセル方式は片面めっき式となる。しかしながら、ラジアルセル方式は通電ロールにストリップを巻きつけて走行させることで、ストリップのめっき面とアノード電極の距離を近付けることができる。このため、電気めっきにおける抵抗は小さくなり、低電圧で高電流密度が得られるという利点がある。
電気めっきで代表的な電気亜鉛めっきの場合、通常5〜15セルを直列に配置させ、鋼板を通板させながら連続的にめっき処理をする。1セルあたりのめっき付着量は1〜5g/mと薄く、これを積層させるめっき方法であり、ライン速度や板幅に応じて電流を制御すればいいので、幅方向や長手方向の付着量分布は0.5〜1g/m以内と均一にでき、かつ美麗な外観を得られることも大きな特徴である。一方で、焼鈍と亜鉛めっきを同一ラインで実施する連続溶融亜鉛めっきと比較すると、焼鈍と亜鉛めっきが別ラインで処理される電気めっき鋼板は、価格が高くなりやすい。
そこで近年、電気めっきラインの生産性を向上させるために、めっき電流密度を上げる取り組みや均一性の向上を達成するための種々の検討がなされている。通常はpH1.5〜2.0程度のめっき液を用いて、電流密度は最大100A/dm程度で製造される。
特許文献1では、アノードと鋼板間のめっき液の流れが幅方向均一になるように、鋼板進行方向と逆向きにめっき液を噴射するとともに、電極の入出側でめっき液を鋼板面に噴出して流出するめっき液をシールしながらめっき液を鋼板に向って噴射してめっきする方法が開示されている。
特許文献2では、クッション形のノズル内部を幅方向に分割してめっき液流量分布をつけて均一メッキを可能とする電気めっき方法が開示されている。
特許文献3では、めっき液を供給するノズルスリット口が、板幅中央から板幅端部に向って徐々に大きくなるようにして、めっき液の流速を均一にする方法が開示されている。
特許文献4には、電流密度を上昇させるために、めっき液のpHを下げ、めっき液温度や液流速を所定条件に設定する方法が開示されている。
特開昭59−85891号公報 特開昭59−96293号公報 特開昭61−099695号公報 特開平06−136594号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の方法では、めっきセル内でのめっき付着量を均一にできても、セル間の非めっき範囲において鋼板表面に残存するめっき液の付着量が不均一であると、その残存するめっき液によってめっき皮膜が溶解し、めっき厚みが不均一になってしまい、その結果、最終的に得られるめっき厚みも不均一になってしまう。同時に、めっき皮膜の結晶方位も不均一になり、外観ムラ(白色度のムラ)の原因となる。
また、特許文献4のように、より電流密度を高めるためにめっき液のpHを下げると、セル間の非めっき範囲において、残存するめっき液によるめっき皮膜の溶解量が増加し、最終的に得られるめっき厚みの不均一と外観ムラがより顕著になる。
本発明は、上記実情に鑑み、電気めっきセル間での鋼板上に残存するめっき液の付着量を均一にすることで、最終的に得られるめっき厚みを均一し、かつ美麗な表面外観を得ることを目的とする。
本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]鋼板に連続して電気めっきを施して電気めっき鋼板を製造する方法であって、電気めっきセルの鋼板出側に、スプレーノズルを鋼板幅方向に設け、スプレーノズルからpH4〜7の溶液を鋼板に向かって噴射し、さらにスプレーノズルの下流側に、鋼板の幅よりも長い噴射口を有するスリットガスノズルを鋼板幅方向に設け、スリットガスノズルから鋼板に向かってガスを噴射することを特徴とする電気めっき鋼板の製造方法。
[2]電気めっきセルは水平型フローセルであり、鋼板の出側に設置される通電ロールより下流側の鋼板表裏面にスリットガスノズルを設けることを特徴とする[1]に記載の電気めっき鋼板の製造方法。
[3]電気めっきセルはラジアルセルであり、通電ロールの下流側の鋼板表裏面に、スプレーノズルおよびスリットガスノズルを設けることを特徴とする[1]に記載の電気めっき鋼板の製造方法。
[4]スリットガスノズルは、ノズルスリットギャップが0.3〜2.0mm、ノズル先端と鋼板との距離が5〜100mm、噴射圧力が1〜10kPaであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の電気めっき鋼板の製造方法。
[5]めっき液のpHが−0.5〜1.0であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の電気めっき鋼板の製造方法。
[6]電流密度が150〜1200A/dmであることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の電気めっき鋼板の製造方法。
[7]電気めっきセル内を連続的に走行する鋼板に電気めっきを行う電気めっき鋼板の製造装置であって、電気めっきセルの鋼板出側に、pH4〜7の溶液を鋼板に向かって噴射するスプレーノズルを鋼板幅方向に備え、さらにスプレーノズルの下流側に、鋼板の幅よりも長い幅の噴射口を有するスリットガスノズルを鋼板幅方向に備えることを特徴とする電気めっき鋼板の製造装置。
本発明によれば、電気めっきセル間での鋼板上に残存するめっき液の付着量を均一に制御することができるため、最終的に得られるめっき厚みを均一にし、かつ美麗な表面外観を得ることが可能となる。また、本発明によれば、低pHのめっき液を使用して高電流密度でめっきしても、最終的に得られるめっき厚みを均一にし、かつ美麗な表面外観を得ることが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態に係る水平型フローセル方式の電気めっきのセル構造を示す図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る竪型フローセル方式の電気めっきのセル構造を示す図である。 図3は、本発明の実施の形態に係るラジアルセル方式の電気めっきのセル構造を示す図である。 図4は、従来の水平型フローセル方式の電気めっきのセル構造を示す図である。 図5は、従来の竪型フローセル方式の電気めっきのセル構造を示す図である。 図6は、従来のラジアルセル方式の電気めっきのセル構造を示す図である。
以下、図1〜3を参照して、本発明の電気めっき方法について説明する。なお、本実施形態において、ストリップ1の一方の面を表面、もう一方の面を裏面と便宜的に称する。
図1は、本発明の実施の形態に係る水平型フローセル方式の電気めっきのセル構造を示す図である。ストリップ1を水平方向に走行させ、ストリップ1とアノード電極3の間のギャップにめっき液4を供給し、カソードであるストリップ1のめっき面とアノード電極3との間で通電して電気めっきする。
ストリップ1の出側に、pH4〜7の溶液をストリップ1に向かってスプレーするスプレーノズル8が幅方向に複数個設けられている。スプレーノズル8のさらに下流側には、ストリップ1の幅よりも長い幅の噴射口を有するスリットガスノズル9がストリップ1に向かって鋼板幅方向に設置され、ストリップ1に向かってガスを噴射する。
ストリップ1の出側に設置される通電ロール2により、大半のめっき液4は堰き止められる。しかしながら、鋼板形状が悪い(例えば耳波状など)場合や通電ロール2の磨耗により、めっき液4がストリップ1出側の通電ロール2をすり抜けることがある。本発明者らが鋭意検討したところ、電気めっきセル間の非めっき範囲において、鋼板表面に残存する酸性のめっき液の付着量が不均一であると、その残存するめっき液によってめっき皮膜が溶解しめっき厚みが不均一になってしまう。その結果、最終的に得られるめっき厚みも不均一になってしまうことがわかった。同時に、めっき皮膜の結晶方位も不均一になり、外観ムラ(白色度のムラ)の原因となることがわかった。
そこで本発明では、ストリップ1の出側にスプレーノズル8を設置し、スプレーノズル8からpH4〜7の溶液をストリップ1に向かって噴射することにより、ストリップ1に残存する強い酸性のめっき液の酸性の程度を弱め、ストリップ1のめっき面を弱酸性の状態に保つ。これにより、めっき液によるめっき皮膜の溶解を抑制する。さらに、スプレーノズル8の下流側に鋼板の幅よりも長い噴射口を有するスリットガスノズル9を設置し、ストリップ1に向かってスリットガスノズル9からガスを噴射することにより、pH4〜7の溶液が噴射された後のストリップ1の表面に付着している残存する液(以下、単に残存液と称することもある。なお残存液は、スプレーノズル8により噴射されるpH4〜7の溶液と、酸性の程度が弱められためっき液の両方を含む液である。)の膜厚を均一にする。鋼板上に残存する液は酸性のままであるため、放っておくとめっきが溶解してしまう。そのため、めっき皮膜の溶解量が偏るのを防ぐために、スリットガスノズル9からガスを噴射する。その結果、電気めっきセル間の非めっき範囲において鋼板表面に残存するめっき液の液膜を均一にすることができる。したがって、最終的に得られるめっき厚みを均一にすることができるとともに、美麗な表面外観を得ることができる。
ストリップ1に噴射する溶液は、ストリップ1に残存する酸性のめっき液の酸性の程度を弱めて、めっき皮膜の溶解を防止する機能を有する必要がある。したがって、ストリップ1に噴射する溶液のpHは4〜7とする。pHが4未満では、酸性のめっき液の酸性の程度を弱める効果が少ない。一方、pHが7を超えると、めっき液中の金属イオンが水和されて水酸化物がストリップ1の表面に生成し、押し傷等を発生させる可能性が高い。
ストリップ1に噴射する溶液の量は、ストリップ1に付着した噴射後の溶液のpHが1を超えるように設定する必要がある。ストリップ1に付着した噴射後の溶液のpHは高いほうが望ましいが、めっき液中の金属イオンが水和されて水酸化物がストリップ1の表面に生成するpHより低くする必要がある。また、スリットガスノズル9により低減される残存液の量と残存液の飛散状態を考慮して、噴射する溶液の量を決定する必要がある。
なお、ストリップ1の表面に残る噴射したpH4〜7の溶液は少量であるため、連接しためっきセルのうち、下流側のめっきセルでストリップ1が電気めっきされる際には、めっき液組成やpHに及ぼす影響はほぼ無視できる。
スプレーノズル8は、ストリップ1の全幅にpH4〜7の溶液が噴射されればよいので、ストリップ1の幅方向に複数設置されればよい。また、スプレーノズル8およびスリットガスノズル9は、pH4〜7の溶液がセル内に混入するのを防ぐために、ストリップ1の出側に設置される通電ロール2より下流側に設置することが望ましい。また、スプレーノズル8は、ストリップ1の表裏面にそれぞれ設置されることが好ましく、ストリップ1の長手方向に100mm以上オフセットさせることが望ましい。
スリットガスノズル9は、ストリップ1の幅よりも長い幅の噴射口を有する。ストリップ全幅の残存液の液膜を均一にするために必要だからである。
また、スリットガスノズル9は、ストリップ1の表裏面にそれぞれ設置することが望ましい。ストリップ1の表面側に設置するスリットガスノズル9が、ストリップ1の裏面側に設置するスリットガスノズル9と対向する位置にあると、ストリップ1の幅方向外側において、上下のスリットガスノズル9から噴射されるガスの衝突により、めっき液4が広範囲に飛散しやすい。このため、スリットガスノズル9をストリップ1の表裏面にそれぞれ設置する場合、ストリップ1の表面側に設置するスリットガスノズル9と裏面側に設置するスリットガスノズル9は、ストリップ1の長手方向に100mm以上オフセット(位置をずらして配置)させることが望ましい。
図2は、本発明の実施の形態に係る竪型フローセル方式の電気めっきのセル構造を示す図である。ストリップ1の走行方向を通電ロール2で下向きに変更し、ストリップ1とアノード電極3の間のギャップに、フローノズル5を介してめっき液4を供給し、カソードであるストリップ1のめっき面とアノード電極3との間で通電して電気めっきする。
ストリップ1の出側にスプレーノズル8を鋼板幅方向に設置し、スプレーノズル8からpH4〜7の溶液をストリップ1に向かって噴射する。さらに、スプレーノズル8の下流側に鋼板の幅よりも長い噴射口を有するスリットガスノズル9を設置し、ストリップ1に向かってガスを噴射する。スプレーノズル8により、ストリップ1に残存する強い酸性のめっき液の酸性の程度を弱め、ストリップ1のめっき面を弱酸性の状態に保ち、めっき液4によるめっき皮膜の溶解を抑制する。さらに、ストリップ1に向かってスリットガスノズル9からガスを噴射することにより、ストリップ1の表面に付着している残存液の膜厚を均一にする。その結果、電気めっきセル間の非めっき範囲において鋼板表面に残存するめっき液の液膜を均一にすることができる。したがって、最終的に得られるめっき厚みを均一にすることができるとともに、美麗な表面外観を得ることができる。
スプレーノズル8は、ストリップ1の全幅にpH4〜7の溶液が噴射されればよいので、ストリップ1の幅方向に複数設置されればよい。また、スプレーノズル8およびスリットガスノズル9は、pH4〜7の溶液がセル内に混入するのを防ぐために、ストリップ1の出側に設置される通電ロール2より下流側に設置することが望ましい。また、スプレーノズル8は、ストリップ1の表裏面にそれぞれ設置されることが好ましく、ストリップ1の長手方向に100mm以上オフセットさせることが望ましい。
なお、ストリップ1に噴射する溶液のpHについては、上述した水平型フローセル方式の場合と同様に4〜7とし、また、溶液量は噴射後にストリップ1に付着した液のpHが1を超えるように設定する。
また、ストリップ1の出側のストリップ1の表面側(ストリップ1を水平方向に走行させた場合の鋼板上面)に設置されるスプレーノズル8の手前(上流側)には、pH4〜7の溶液がセル内に混入するのを防ぐために、別途ロール10を設置しても良い。
また、スリットガスノズル9は、ストリップ1の表裏面にそれぞれ設置することが望ましい。鋼板表裏面に設置するスリットガスノズル9は、上下のスリットガスノズル9から噴射されるガスの衝突によるめっき液の飛散を防止するために、ストリップ1の長手方向に100mm以上オフセットさせることが望ましい。
図3は、本発明の実施の形態に係るラジアルセル方式の電気めっきのセル構造を示す図である。通電ロール2にストリップ1を巻きつけて走行させ、ストリップ1とアノード電極3の間のギャップに、フローノズル5を介してめっき液4を供給し、カソードであるストリップ1のめっき面とアノード電極3との間で通電して電気めっきする。
ストリップ1の出側にスプレーノズル8を鋼板幅方向に設置し、スプレーノズル8からpH4〜7の溶液をストリップ1に向かって噴射する。さらに、スプレーノズル8の下流側に鋼板の幅よりも長い噴射口を有するスリットガスノズル9を設置し、ストリップ1に向かってガスを噴射する。スプレーノズル8により、ストリップ1に残存する強い酸性のめっき液の酸性の程度を弱め、ストリップ1のめっき面を弱酸性の状態に保ち、めっき液4によるめっき皮膜の溶解を抑制する。さらに、ストリップ1に向かってスリットガスノズル9からガスを噴射することにより、ストリップ1の表面に付着している残存液の膜厚を均一にする。その結果、電気めっきセル間の非めっき範囲において鋼板表面に残存するめっき液の液膜を均一にすることができる。したがって、最終的に得られるめっき厚みを均一にすることができるとともに、美麗な表面外観を得ることができる。
スプレーノズル8は、ストリップ1の全幅にpH4〜7の溶液が噴射されればよいので、ストリップ1の幅方向に複数設置されればよい。また、スプレーノズル8およびスリットガスノズル9は、pH4〜7の溶液がセル内に混入するのを防ぐために、ストリップ1の出側に設置される通板ロール7より下流側に設置することが望ましい。また、スプレーノズル8は、ストリップ1の表裏面にそれぞれ設置されることが好ましく、ストリップ1の長手方向に100mm以上オフセットさせることが望ましい。
なお、ストリップ1に噴射する溶液のpHについては、上述した水平型フローセル方式の場合と同様に4〜7とし、また、溶液量は噴射後にストリップ1に付着した液のpHが1を超えるように設定する。
また、ストリップ1の出側のストリップ1の表面側(ストリップ1を水平方向に走行させた場合の鋼板上面)に設置されるスプレーノズル8の手前(上流側)には、pH4〜7の溶液がセル内に混入するのを防ぐために、別途ロール10を設置しても良い。
また、スリットガスノズル9は、ストリップ1の表裏面にそれぞれ設置することが望ましい。鋼板表裏面に設置するスリットガスノズル9は、上下のスリットガスノズル9から噴射されるガスの衝突によるめっき液の飛散を防止するために、ストリップ1の長手方向に100mm以上オフセットさせることが望ましい。
本発明において、スプレーノズル8の形態については特に限定されず、例えば、噴射口から円錐状に液滴が噴射されるフルコーンタイプのノズルなどを用いて、ストリップ1の幅方向全域に液が噴射されるように、スプレーノズル8を幅方向に複数配置すればよい。
pH4〜7の溶液の種類は、めっき液4の種類に合わせることが望ましい。例えば、硫酸系のめっき液であれば、pH4〜7に調整した硫酸を用いればよい。
スリットガスノズル9のガスとしては、空気がコストや環境対策の点から好適である。窒素ガス等の不活性ガスの使用も可能である。
スリットガスノズル9のノズルギャップは、0.3〜2.0mmとすることが望ましい。0.3mm未満だと、めっき液量低減の効果を十分に得ることができなくなり、また飛散しためっき液によるノズル詰まりも起きやすくなる。また、ノズルギャップを2.0mm超えとすると、余剰なガスを噴射することになり、めっき液が飛散しやすくなり、かえって表面外観を悪化させてしまう。また、ノズルギャップは0.3〜1.5mmとすることがさらに望ましい。
本発明において、スリットガスノズル9とストリップ1との距離は5〜100mmとすることが望ましい。距離が5mm未満だと、スリットガスノズル9とストリップ1が接触する可能性がある。また、スリットガスノズル9とストリップ1との距離を100mm超えにすると、めっき液量低減の効果を十分に得ることができなくなる。また、スリットガスノズル9とストリップ1との距離は5〜50mmとすることがさらに望ましい。
スリットガスノズル9の噴射圧力は、1〜10kPaとすることが望ましい。1kPaより低いと、めっき液量低減の効果を十分に得ることができなくなる。また、10kPaを超えると、めっき液が飛散しやすくなり、かえって表面外観を悪化させてしまう。スリットガスノズル9の噴射圧力は、ライン速度に応じて変化させること(低速時は低圧、高速時は高圧)がより望ましい。
本発明は、通常のめっき液(pH=1.5〜2.0)でもめっき均一性や外観ムラに効果がある。しかしながら、電流密度をより高くするために、めっき液のpHを−0.5〜1.0とすると、本発明の効果がより明確に現れる。
本発明において、電流密度は150〜1200A/dmであることが好ましい。電流密度が150A/dm未満であると、通板速度を十分に上げることができず、めっきセル間の非めっき領域を通過する時間が長くなり、外観不良や付着量分布の悪化を招きやすい。一方、電流密度が1200A/dmを超えると、めっき皮膜結晶の配向性が変化することでめっき表面が黒くなる“めっき焼け”が発生する。
なお、フローセル方式の場合、電流は鋼板内部を長手方向に(アノード電極から通電ロールに向かって)流れるため、鋼板発熱の限界という点から電流密度は最大で400A/dmまで上昇させることが可能になる。また、ラジアルセル方式の場合、電流は鋼板内部を板厚方向に流れるため、鋼板温度上昇はほとんど発生せず、電流密度は最大で1200A/dmまで上昇させることが可能になる。
以下に本発明の実施例を説明する。本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されない。
図1〜3に示す構成を備える電気めっきセルを使用した例を本発明例として電気めっきを行い、電気めっき鋼板を製造した。ストリップ1は厚さ0.5mm×幅1000mmの冷延鋼帯を、2.07〜5.0m/sのラインスピードで走行させた。アノード電極3はチタンであり、通電面は酸化イリジウム皮膜が施してあり、ストリップ1を概ね覆う幅を有している。めっき液4はpHの異なる、硫酸亜鉛濃度が400g/Lの液を60℃に保って使用した。めっき付着量は、片面の下限を20g/mとした条件を設定した。スプレーノズル8から噴射する液は、pHを適宜調整した硫酸を用いた。
めっき厚みは、幅方向3点を長手方向に10回測定した平均値を算出するとともに、めっき付着量の分布(最大−最小)を算出した。めっき付着量の分布が2.0g/m以内であるものを、めっき厚みが均一であるとした。
表面外観は、測色計を用いて付着量測定と同じ箇所のL値で評価し、白色度が高くバラツキの少ない場合を5(良好)、白色度が低くバラツキの大きいものを1(劣)として、5段階で評価した。5段階のうち、4以上を合格とした。
めっき条件および結果を表1に示す。
Figure 0006589748
表1の結果から、本発明のセルを用いて電気めっきを行った場合、めっき厚みが均一であるとともに、美麗な表面外観を有する。
1 ストリップ(鋼板)
2 通電ロール
3 アノード電極
4 めっき液
5 フローノズル
6 シンクロール
7 通板ロール
8 スプレーノズル
9 スリットガスノズル
10 ロール

Claims (6)

  1. 鋼板に連続して電気めっきを施して電気めっき鋼板を製造する方法であって、めっき液のpHが−0.5〜1.0である電気めっきセルの鋼板出側に、スプレーノズルを鋼板幅方向に設け、スプレーノズルからpH4〜7の溶液を鋼板に向かって噴射し、さらにスプレーノズルの下流側に、鋼板の幅よりも長い噴射口を有するスリットガスノズルを鋼板幅方向に設け、スリットガスノズルから鋼板に向かってガスを噴射することを特徴とする電気めっき鋼板の製造方法。
  2. 電気めっきセルは、水平型フローセルまたは竪型フローセルのいずれかであり、鋼板の出側に設置される通電ロールの下流側の鋼板表裏面に、スプレーノズルおよびスリットガスノズルを設けることを特徴とする請求項1に記載の電気めっき鋼板の製造方法。
  3. 電気めっきセルはラジアルセルであり、通電ロールの下流側の鋼板表裏面に、スプレーノズルおよびスリットガスノズルを設けることを特徴とする請求項1に記載の電気めっき鋼板の製造方法。
  4. スリットガスノズルは、ノズルギャップが0.3〜2.0mm、ノズル先端と鋼板との距離が5〜100mm、噴射圧力が1〜10kPaであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気めっき鋼板の製造方法。
  5. 電流密度が150〜1200A/dmであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の電気めっき鋼板の製造方法。
  6. 電気めっきセル内を連続的に走行する鋼板に電気めっきを行う電気めっき鋼板の製造装置であって、
    めっき液のpHが−0.5〜1.0である電気めっきセルの鋼板出側に、pH4〜7の溶液を鋼板に向かって噴射するスプレーノズルを鋼板幅方向に備え、
    さらにスプレーノズルの下流側に、鋼板の幅よりも長い幅の噴射口を有するスリットガスノズルを鋼板幅方向に備えることを特徴とする電気めっき鋼板の製造装置。
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