JP6587883B2 - 粘着シートおよび粘着シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、粘着シートおよび粘着シートの製造方法に関する。
特に、エア抜け性に優れた粘着シートおよびその製造方法に関する。
従来、粘着シートは、基材と、その表面に形成された粘着剤層と、必要に応じてその上に設けられる剥離シートから構成されており、使用に際しては、剥離シートが設けられている場合には、該剥離シートを剥がし、粘着剤層を被着体に当接させて貼付することが行われている。
このような粘着シートにおいては、粘着シートを貼付する際に、被着体と粘着剤層との間に空気溜まりが生じ、外観を損ねてしまうという問題が見られた。
また、このような空気溜まりは、特に、マーキングフィルム、グラフィックフィルム、プロテクトフィルムなど手作業で貼付する粘着シートにおいて発生しやすい傾向がある。
このため、空気溜まりの発生による粘着シートの不具合を解消するために、粘着シートを一度剥がして貼り直したり、粘着シートの空気溜まりにより膨れた部分に基材側から針で穴を開けて空気を抜いたりすることが行われてきた。
しかしながら、粘着シートを貼り直す方法を実施した場合、粘着シートが破れたり、基材表面に皺ができたり、粘着力が低下したりするという問題が見られた。
また、針で穴を開ける方法を実施した場合、基材表面に跡が残り、外観が損なわれるという問題が見られた。
そこで、このような空気溜まりの問題を解決すべく、粘着剤層の表面に微細なエンボスパターンを有する剥離シートを接触させることにより、粘着剤層の表面に対して所定パターンの溝を設けてなる粘着シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、特許文献1には、接着面の表面形態を制御する方法であって、接着剤層と支持基材(被着体)との間に接着界面が確立されると、接着面の表面形態がその接着剤と支持基材との間の接着界面の性能を制御するように、微細エンボスパターンを接着剤層に接触させて、微細複製接着面を形成するステップを含む方法が開示されている。
他方、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂材料は、それ自体からガスを発生することがあるため、このような樹脂材料からなる被着体に粘着シートを貼付した場合には、被着体から発生するガスによって粘着シートにブリスター(膨れ)が生じ、外観を損ねてしまうという問題が見られた。
そこで、このようなブリスターの問題を解決すべく、所定の粘着剤層を形成することにより、樹脂材料から発生したガスを、粘着剤層の内部を経由して移動させ、外部環境に放出することができる粘着シートが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
すなわち、特許文献2には、支持基材、粘着剤層(X)、粘着剤とシリカ粒子を含有する組成物よりなる連続空隙含有層、および粘着剤層(Y)がこの順に積層された粘着シートであって、連続空隙含有層中のシリカ粒子の質量濃度が25〜60%である粘着シートが開示されている。
特表2001−507732号公報(特許請求の範囲等) WO2014/051106号公報(請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、微細なエンボスパターンを有する剥離シートを粘着剤層の表面に接触させる必要がある。
ところが、そのような剥離シートを、微細なエンボスパターンを有するシートに剥離剤を塗布することにより製造した場合、シートの微細なエンボスパターンが剥離剤で埋まってしまったり、剥離処理面の厚さにムラが生じたりし易いため、粘着剤層表面に所定のパターン溝を安定的に形成することが困難になったり、形成できたとしても剥離力が不均一になったりし易いという問題が見られた。
また、そのような剥離シートを、剥離剤を塗布した平坦な剥離シートに対して微細な凹凸パターンを有する熱ロールを押圧することにより製造した場合には、剥離剤が熱ロールに移行してしまい、熱ロールが汚染され、剥離処理面の厚さにムラが生じ易くなって、粘着剤層表面に所定のパターン溝を安定的に形成することが困難になったり、形成できたとしても剥離力が不均一になったりし易いという問題が見られた。
さらに、粘着剤層に対して微細なエンボスパターンを有する剥離シートを接触させる際には、微細なエンボスパターン面との間に空気を巻き込み易く、粘着剤層表面に所定のパターン溝を安定的に形成することがますます困難になり易いという問題が見られた。
他方、特許文献2に記載の粘着シートは、粘着剤層が所定の連続空隙含有層を有することから、経時的に被着体の樹脂材料から発生したガスが、かかる所定の連続空隙含有層を経由して外部環境に放出されると推定され、ブリスターの発生をある程度抑制することが可能である。
しかしながら、粘着シートを手作業で被着体に貼付する際に、被着体と粘着剤層(Y)の間に巻き込んだ空気により空気溜まりが発生した場合には、スキージ等で圧着したとしても、粘着剤層(Y)から連続空隙層への空気の透過が間に合わず、これを容易に除去することができないという問題が見られた。
そこで、本発明者らは、このような問題を検討した結果、粘着剤層に含まれる粒子に濃度分布を持たせ、かつ、粘着剤層における粒子濃度が相対的に低い領域の分布に対応させて粘着剤層の露出面に凹部を設けることにより、上述した問題を解決できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、エア抜け性に優れた粘着シートおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、基材と、粘着剤層と、を積層してなる粘着シートであって、粘着剤層が、当該粘着剤層の露出面側から眺めた場合に、粒子濃度が相対的に高い領域と、粒子濃度が相対的に低い領域と、を有するとともに、粘着剤層における粒子濃度が相対的に低い領域の分布に対応して、粘着剤層の露出面が凹部を有することを特徴とする粘着シートが提供され、上述した問題を解決することができる。
すなわち、本発明の粘着シートであれば、粘着剤層に含まれる粒子に濃度分布を持たせ、かつ、粘着剤層における粒子濃度が相対的に低い領域の分布に対応させて粘着剤層の露出面に対して凹部を設けていることから、後述する製造方法と相俟って、明確な凹部を安定的かつ効率的に形成することができる。
したがって、本発明の粘着シートであれば、粘着シートの貼付時に空気溜まりが生じた場合であっても、スキージ等で圧着することにより、粘着剤層の露出面に形成された凹部を介して、空気溜まりを容易に除去することができ、優れたエア抜け性を得ることができる。
また、本発明の粘着シートを構成するにあたり、粘着剤層が、第1の粒子非含有領域と、粒子含有領域と、第2の粒子非含有領域と、を膜厚方向に沿って基材側から順次に含むとともに、粒子含有領域が、粒子濃度が相対的に高い領域と、粒子濃度が相対的に低い領域と、を有し、かつ、粒子含有領域における粒子濃度が相対的に低い領域の分布に対応して第2の粒子非含有領域の露出面が凹部を有することが好ましい。
このように構成することにより、後述する製造方法と相俟って、微細エンボスパターンを粘着剤層に接触させることなく明確な凹部をより安定的かつ効率的に形成することができることから、より優れたエア抜け性を得ることができる。
また、本発明の別の態様は、基材と、粒子を含有する粘着剤層と、を積層してなる粘着シートであって、粘着剤層は、その断面において、粒子凝集領域とそれを覆う非凝集領域を有し、粘着剤層の表面において、粒子凝集領域に対応する凸部と、その外周に形成された凹部を有することを特徴とする粘着シートである。
すなわち、本発明の粘着シートであれば、粒子凝集領域と、非凝集領域とを有し、かつ、粒子凝集領域に対応した凸部と、非凝集領域に対応した凹部とを設けていることから、後述する製造方法と相俟って、明確な凹部を安定的かつ効率的に形成することができる。
したがって、本発明の粘着シートであれば、粘着シートの貼付時に空気溜まりが生じた場合であっても、スキージ等で圧着することにより、粘着剤層の露出面に形成された凹部を介して、空気溜まりを容易に除去することができ、優れたエア抜け性を得ることができる。
また、本発明の粘着シートを構成するにあたり、凹部の深さを0.5〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、さらに明確に凹部を形成することができることから、より一段と優れたエア抜け性を得ることができる。
また、本発明の粘着シートを構成するにあたり、粘着剤層の露出面に剥離シートを積層してなることが好ましい。
このように構成することにより、粘着面となる粘着剤層の露出面を、安定的に保護することができる。
また、本発明のさらに別の態様は、粘着剤層が、当該粘着剤層の露出面側から眺めた場合に、粒子濃度が相対的に高い領域と、粒子濃度が相対的に低い領域と、を有するとともに、粘着剤層における粒子濃度が相対的に低い領域の分布に対応して、粘着剤層の露出面が凹部を有する粘着シートの製造方法であって、下記工程(A)〜(B)を含むことを特徴とする粘着シートの製造方法である。
(A)基材上に、第1の粒子非含有組成物からなる第1の塗布層、粒子含有組成物からなる第2の塗布層、および第2の粒子非含有組成物からなる第3の塗布層を、この積層順にて同時または連続的に形成し、基材上に、第1の塗布層、第2の塗布層および第3の塗布層を含む積層体を形成する工程
(B)積層体を加熱して乾燥させることにより、積層体を粘着剤層とすると同時に、第2の塗布層における粒子を部分的に凝集させ、粘着剤層の露出面側から眺めた場合に、粒子濃度が相対的に高い領域と、粒子濃度が相対的に低い領域と、を形成するとともに、粘着剤層における粒子濃度が相対的に低い領域の分布に対応させて、粘着剤層の露出面に凹部を形成する工程
すなわち、本発明の粘着シートの製造方法であれば、第1〜第3の塗布層を含む積層体を一度に形成し、そのまま加熱して乾燥させることから、第2の塗布層に含まれる粒子に濃度分布を生じさせることができ、それに伴い、粘着剤層の露出面に所定の凹部を形成することができる。
したがって、凹部を形成するための特別な操作をすることなく、粘着剤層の露出面に対し、自動的に凹部を形成して、優れたエア抜け性を有する所定の粘着シートを、効率的に製造することができる。
また、本発明のさらに別の態様は、粘着剤層が、その断面において、粒子凝集領域とそれを覆う非凝集領域を有し、粘着剤層の表面において、粒子凝集領域に対応する凸部と、その外周に形成された凹部を有する粘着シートの製造方法であって、
下記工程(A)〜(B)を含むことを特徴とする粘着シートの製造方法。
(A)基材上に、第1の粒子非含有組成物からなる第1の塗布層、粒子含有組成物からなる第2の塗布層、および第2の粒子非含有組成物からなる第3の塗布層を、この積層順にて同時または連続的に形成し、前記基材上に、前記第1の塗布層、第2の塗布層および第3の塗布層を含む積層体を形成する工程
(B)前記積層体を加熱して乾燥させることにより、前記積層体を前記粘着剤層とすると同時に、前記第2の塗布層における粒子を部分的に凝集させ、前記粘着剤層の表面において、前記粒子凝集領域に対応する凸部と、その外周に凹部を形成する工程
すなわち、本発明の粘着シートの製造方法であれば、第1〜第3の塗布層を含む積層体を一度に形成し、そのまま加熱して乾燥させることから、第2の塗布層に含まれる粒子に凝集分布を生じさせることができ、それに伴い、粘着剤層の表面に所定の凸部および凹部を形成することができる。
したがって、凹部を形成するための特別な操作をすることなく、粘着剤層の露出面に対し、自動的に凹部を形成して、優れたエア抜け性を有する所定の粘着シートを、効率的に製造することができる。
図1(a)〜(c)は、本発明の粘着シートの概略を説明するために供する図である。 図2(a)〜(b)は、本発明の粘着シートの態様を説明するために供する図である。 図3(a)〜(b)は、本発明の粘着シートの製造方法を説明するために供する図である。 図4(a)〜(c)は、実施例1の粘着シートを撮影した写真を示す図である。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、図1(a)に示すように、基材10と、粘着剤層100と、を積層してなる粘着シート1であって、図1(c)に示すように、粘着剤層100が、当該粘着剤層100の露出面側から眺めた場合に、粒子濃度が相対的に高い領域102と、粒子濃度が相対的に低い領域104と、を有するとともに、図1(a)〜(c)に示すように、粘着剤層100における粒子濃度が相対的に低い領域104の分布に対応して、粘着剤層100の露出面が凹部150を有することを特徴とする粘着シート1である。
なお、図1(a)は、粘着シート1の断面図であり、図1(b)は、粘着シート1の上面図であり、図1(c)は、図1(b)に示す粘着シート1において、粘着シート1の内部における粒子50の分布を可視化した仮想図である。
以下、第1の実施形態の粘着シートについて、適宜図面を参照して具体的に説明する。
1.基材
本発明で用いる基材10としては、特に制限されるものではなく、プラスチックフィルム、合成紙等を使用することができる。
プラスチックフィルムにおけるプラッスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
合成紙としては、ポリエステル、ポリプロピレンなどを延伸することにより、内部に微細空隙を形成した白色フィルムが挙げられる。
また、これらの基材の中でも、樹脂フィルムが好ましく、具体的には、ポリエステル系樹脂フィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムがさらに好ましい。
また、基材10の厚さは、本発明の粘着シートの用途に応じて適宜設定されるが、取扱い性および経済性の観点から、5〜1000μmの範囲内の値とすることが好ましく、10〜500μmの範囲内の値とすることがより好ましく、15〜150μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
2.粘着剤層
(1)基本的構成
図1(a)〜(c)に示すように、本発明における粘着剤層100は、当該粘着剤層100の露出面側から眺めた場合に、粒子濃度が相対的に高い領域102と、粒子濃度が相対的に低い領域104と、を有するとともに、粘着剤層100における粒子濃度が相対的に低い領域104の分布に対応して、粘着剤層100の露出面が凹部150を有することを特徴とする。
(1)−1 粒子の濃度分布
粒子含有領域120において、粒子の濃度は、断面における粒子の面積割合により表すことができる。
具体的には、粘着シート1の断面写真を、走査電子顕微鏡等によって撮影し、粒子の面積を合計し、粒子含有領域の面積で除することにより求めることができる。
粒子濃度が相対的に高い領域の粒子濃度は、30〜100%であることが好ましく、80〜100%であることが更に好ましい。
また、粒子濃度が相対的に低い領域の粒子濃度は、0〜30%であることが好ましく、0〜20%であることが更に好ましい。30%超の場合には、明確な凹部が形成されない。
なお、粒子濃度が相対的に高い領域102と、粒子濃度が相対的に低い領域104との境界線は、断面の写真から目視により決定することができる。
また、使用される粒子50の種類としては、特に制限されるものではなく、シリカ粒子、酸化金属粒子、硫酸バリウム粒子、炭酸カルシウム粒子、炭酸マグネシウム粒子、ガラスビーズ粒子、スメクタイト粒子等の無機粒子や、アクリルビーズ等の有機粒子が挙げられるが、凝集性を有するものが好ましい。
中でも、粒子50が凝集性シリカ粒子であることが好ましい。
粒子含有組成物中において、溶媒を介して粘着性樹脂に均一に分散しているシリカ粒子が、乾燥される工程において溶媒が揮発すると、粘着性樹脂に対して分散しにくくなり、凝集することにより、相対的に濃度の高い領域を形成できるからである。
具体的には、親水性のシリカは粘着性樹脂に対しては分散しにくいが、イソプロピルアルコール等のアルコール類を介して分散させておくと、乾燥工程において、イソプロピルアルコールが揮発するに従い、シリカが粘着性樹脂中で凝集することができる。
また、シリカ粒子の種類としては、乾式シリカ、湿式シリカおよび有機修飾シリカのいずれであってもよく、これらの混合物であってもよい。
また、凝集シリカ粒子の体積平均二次粒子径を0.5〜10μmの範囲内の値とすることが好ましい。
なお、凝集シリカ粒子の体積平均二次粒子径および体積平均一次粒子径の値は、マルチサイザー・スリー機等を用いて、コールターカウンター法による粒度分布の測定を行うことにより求めることができる。
(1)−2 凹部
また、図1(a)に示すように、凹部150の断面形状は、略V字状であることが好ましい。
また、図1(b)に示すように、粘着剤層100の露出面側から眺めた場合に、凹部150が、不規則に延在してなる溝150´を形成することが好ましい。
また、図1(b)に示すように、溝150´が、不規則に枝分かれしながら延在してなることがより好ましい。
この理由は、空気溜まり内のエアを溝150´に沿ってより容易に押し出して、より優れたエア抜け性を得ることができるためである。
また、凹部150の深さを0.5〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、凹部150の深さが0.5μm未満の値となると、エア抜け性が過度に低下する場合があるためである。一方、凹部150の深さが50μmを超えた値となると、粘着剤層が変形して、凹部がつぶれてしまう場合があるためである。
なお、凹部150の深さとは、粘着剤層100の露出面と、凹部150の底部との高低差を意味する。
また、凹部150が、不規則に延在してなる溝150´を形成する場合には、溝150´の幅を1〜500μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、溝150´の幅が1μm未満の値となると、エア抜け性が過度に低下する場合があるためである。一方、溝150´の幅が500μmを超えた値となると、溝150´の内面が被着体に対して密着しやすくなって、逆にエア抜け性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、凹部150が、不規則に延在してなる溝150´を形成する場合には、溝150´の幅を3〜400μmの範囲内の値とすることがより好ましく、5〜300μmの範囲内の値とすることがさらにこのましい。
なお、溝150´の幅とは、粘着剤層100の露出面において測定される溝150´の幅を意味する。
(2)3層構造
また、図1(a)に示すように、本発明における粘着剤層100は、第1の粒子非含有領域110と、粒子含有領域120と、第2の粒子非含有領域120と、を膜厚方向に沿って基材10の側から順次に含むとともに、粒子含有領域120が、粒子濃度が相対的に高い領域122と、粒子濃度が相対的に低い領域124と、を有し、かつ、粒子含有領域120における粒子濃度が相対的に低い領域124の分布に対応して第2の粒子非含有領域130の露出面が凹部150を有することが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、後述する製造方法と相俟って、明確な凹部150をより安定的かつ効率的に形成することができるためである。
以下、第1の粒子非含有領域110、粒子含有領域120および第2の粒子非含有領域130について、それぞれ説明する。
(2)−1 第1の粒子非含有領域
図1(a)に示すように、本発明における粘着剤層100は、基材10が位置する側の所定厚さ領域として、第1の粒子非含有領域110を有することが好ましい。
この理由は、第1の粒子非含有領域110を有することにより、粘着剤層100を安定的に基材10に対して密着させることができるためである。
また、本発明の粘着シート1を製造する際に、後述する粒子含有領域120において粒子50に濃度分布を生じさせ、ひいては後述する第2の粒子非含有領域130の露出面、すなわち粘着剤層100の露出面に所定の凹部150を形成することにも寄与するためである。
また、第1の粒子非含有領域110の厚さを1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。
(2)−2 粒子含有領域
図1(a)に示すように、本発明における粘着剤層100は、第1の粒子非含有領域における基材10が位置する側とは反対側の所定厚さ領域として、粒子含有領域120を有することが好ましい。
この理由は、粒子含有領域120を有することにより、本発明の粘着シート1を製造する際に、当該粒子含有領域120において粒子50に濃度分布を生じさせ、ひいては後述する第2の粒子非含有領域130の露出面、すなわち粘着剤層100の露出面に所定の凹部150を形成することに寄与するためである。
また、図1(a)に示すように、粒子含有領域120が、粒子濃度が相対的に高い領域122と、粒子濃度が相対的に低い領域124と、を有することが好ましい。
この理由は、後述する製造方法と相俟って、粒子含有領域120における粒子50に濃度分布を持たせることにより、粒子濃度が相対的に低い領域124の分布に対応させて、第2の粒子非含有領域130の露出面に、明確な凹部150を安定的かつ効率的に形成することができるためである。
(2)−3 第2の粒子非含有領域
本発明における粘着剤層100は、粒子含有領域120における第1の粒子非含有領域110が位置する側とは反対側の所定厚さ領域として、第2の粒子非含有領域130を有することが好ましい。
この理由は、第2の粒子非含有領域130を有することにより、粘着シート1に、被着体に対する所定の粘着特性を付与することができるためである。
また、粒子含有領域120における粒子濃度が相対的に低い領域124の分布に対応して、第2の粒子非含有領域130の露出面が凹部150を有することが好ましい。
この理由は、後述する製造方法と相俟って、粒子濃度が相対的に低い領域124の体積が、粒子の濃度が相対的に高い領域122の体積に比べて、粒子の体積の分だけ小さいことにより、粒子含有領域において厚さが薄い部分が形成され、同時に第2の粒子非含有領域がその薄い部分に追従して凹むことにより、第2の粒子非含有領域の表面に凹部が形成されるためである。
また、第2の粒子非含有領域130の厚さを1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、第2の粒子非含有領域130の厚さが1μm未満の値となると、被着体に対する粘着特性が過度に低下する場合があるためである。一方、第2の粒子非含有領域130の厚さが50μmを超えた値となると、その露出面に、明確な凹部150を形成することが困難になる場合があるためである。
(3)その他
また、粘着剤層100の厚さとしては、1〜300μmの範囲内の値とすることが好ましく、5〜150μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜75μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、粘着剤層100の粘着力としては、2N/25mm以上の値とすることが好ましく、3N/25mm以上の値とすることがより好ましく、7N/25mm以上の値とすることがさらに好ましい。
なお、粘着剤層100の粘着力の値は、JIS Z0237:2009にしたがって、SUS304鋼板に対する180°引き剥がし粘着力として測定することができる。
3.剥離シート
また、図2(a)に示すように、粘着剤層100の露出面に剥離シート20を積層した形態1´とすることが好ましい。
この理由は、剥離シート20を積層することにより、粘着面となる粘着剤層100の露出面を、安定的に保護することができるためである。
なお、図2(a)は、粘着シート1´の断面図である。
また、剥離シート20としては、基材シート上に剥離剤を塗布したものが挙げられ、片面剥離処理をされた剥離シートであってもよいし、両面剥離処理をされた剥離シートであってもよい。
また、基材シートとしては、上質紙等にポリエチレンフィルムを貼り合せたもの、グラシン紙、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルムなどが挙げられる。
また、剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
また、基材シートの厚さとしては、10〜300μmの範囲内の値とすることが好ましく、25〜250μmの範囲内の値とすることがより好ましく、35〜80μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、図2(b)に示すように、基材10を剥離シート20とし、粘着剤層100の両面を剥離シート20で挟持する形態1´´としてもよい。
この場合、第1の塗布層110に接する剥離シートを剥離し、基材に貼り替えることにより、溶媒に溶解しやすいために直接第1の塗布層を設けることができない塩化ビニルフィルムに対しても、凹部を有する粘着層を形成することができる。
なお、図2(b)は、粘着シート1´´の断面図である。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、粘着剤層が、当該粘着剤層の露出面側から眺めた場合に、粒子濃度が相対的に高い領域と、粒子濃度が相対的に低い領域と、を有するとともに、粘着剤層における粒子濃度が相対的に低い領域の分布に対応して、粘着剤層の露出面が凹部を有する粘着シートの製造方法であって、下記工程(A)〜(B)を含むことを特徴とする粘着シートの製造方法である。
(A)図3(a)に示すように、基材上10に、第1の粒子非含有組成物からなる第1の塗布層110´、粒子含有組成物からなる第2の塗布層120´、および第2の粒子非含有組成物からなる第3の塗布層130´を、この積層順にて同時または連続的に形成し、基材上10に、第1の塗布層110´、第2の塗布層120´および第3の塗布層130´を含む積層体100´を形成する工程
(B)図3(b)に示すように、積層体110´を加熱して乾燥させることにより、積層体110´を粘着剤層100とすると同時に、第2の塗布層120´における粒子50を部分的に凝集させ、粘着剤層100の露出面側から眺めた場合に、粒子濃度が相対的に高い領域102と、粒子濃度が相対的に低い領域104と、を形成するとともに、粘着剤層100における粒子濃度が相対的に低い領域104の分布に対応させて、粘着剤層100の露出面に凹部150を形成する工程
以下、第2の実施形態の粘着シートの製造方法について、具体的に説明する。
1.工程(A):塗布工程
工程(A)は、基材上に、第1の粒子非含有組成物からなる第1の塗布層、粒子含有組成物からなる第2の塗布層、および第2の粒子非含有組成物からなる第3の塗布層を、この積層順にて同時または連続的に形成し、基材上に、第1の塗布層、第2の塗布層および第3の塗布層を含む積層体を形成する工程である。
(1)第1の粒子非含有組成物
第1の粒子非含有組成物に含まれる粘着性樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられるが、これらの中でも、粘着特性および耐候性が良好であることから、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。
また、アクリル系樹脂であれば、第1の塗布層に対して所定の流動性を付与することができることから、後述する工程(B)において、第2の塗布層が、粒子に濃度分布を生じさせつつ粒子含有領域となるのを効果的に補助することができ、ひいては第2の粒子非含有領域の露出面、すなわち粘着剤層の露出面に所定の凹部を形成することに効果的に寄与することができる。
また、アクリル系樹脂としては、炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位および官能基含有モノマー由来の構成単位を有するアクリル系共重合体であることが好ましい。
また、炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの中でもブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、ブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
また、官能基含有モノマーとしては、例えば、カルボキシ基含有モノマー、ヒドロキシ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ケト基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー等が挙げられ、これらの中でもカルボキシ基含有モノマーがより好ましい。
具体的には、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられ、特に(メタ)アクリル酸が好ましい。
また、炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび官能基含有モノマー以外のその他のモノマー由来の構成単位を有してもよい。
かかるその他のモノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート等の環状構造を有する(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等が挙げられる。
また、炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量は、アクリル系共重合体の全構成単位(100重量%)に対して50〜99.5重量%の範囲内の値とすることが好ましく、70〜95重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、80〜93重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、官能基含有モノマーに有来する構成単位の含有量は、アクリル系共重合体の全構成単位(100重量%)に対して0.1〜50重量%の範囲内の値とすることが好ましく、1〜30重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜20重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
さらに、その他のモノマーに由来する構成単位の含有量は、アクリル系共重合体の全構成単位(100重量%)に対して0〜20重量%の範囲内の値とすることが好ましく、0〜10重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0〜5重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、アクリル系共重合体の重量平均分子量としては、5万〜150万の範囲内の値とすることが好ましく、25万〜110万の範囲内の値とすることがより好ましく、35〜90万の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、架橋剤を含むことが好ましい。
かかる架橋剤としては、例えば、アルミニウムキレート、チタンキレート等の金属キレート系架橋剤;トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびこれらのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤;エチレングリコールグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤;ヘキサ[1−(2−メチル)−アジリジニル]トリフォスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤等が挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、これらの中でも、粘着剤層の露出表面に凹部が形成された直後に架橋することにより、巻き取り圧力に対して凹部の形状を維持できる観点から、金属キレート系架橋剤を用いることがより好ましい。
また、架橋剤の配合量は、アクリル系樹脂100重量部に対して、0.001〜15重量部の範囲内の値とすることが好ましく、0.01〜10重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.1〜7重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
第1の粒子非含有組成物を、均一に塗布するには、溶媒に溶解していることが好ましい。溶媒として、有機溶媒、水が挙げられるが、有機溶媒が好ましい。
このような有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等が挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、第1の粒子非含有組成物の固形分濃度を、塗布粘度や乾燥効率の観点から、10〜60重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
第1の粒子非含有組成物には、粒子含有組成物のように、粒子濃度の高い部分と低い部分を形成する目的ではなく、帯電防止等の他の機能を付与するために、粒子を均一に分散する目的で粒子を含有することができる。
(2)粒子含有組成物
粒子含有組成物は、粒子を配合する以外は、基本的に上述した第1の粒子非含有組成物と同様の組成とすることができるが、粒子含有領域において粒子に所望の濃度分布を生じさせる観点から、粘着性樹脂、架橋剤、有機溶媒の種類や配合量、を適宜微調整することも好ましい。
粒子含有組成物は、有機溶媒を必須とする。
有機溶媒としては、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
有機溶媒は、シリカ粒子を粘着性樹脂に均一に分散させるものを選択する。
具体的には、親水性のシリカを、親油性の粘着性樹脂に分散させるために、親水性と親油性の両方を併せ持つイソプロピルアルコールを含有することが好ましい。粒子含有組成物を塗布する段階では、シリカが粘着性樹脂中に均一に分散しているが、加熱・乾燥によりイソプロピルアルコールが揮発すると、シリカは粘着性樹脂中において凝集することになり、粒子濃度が相対的に高い部分と相対的に低い部分を形成する。
(3)第2の粒子非含有組成物
第2の粒子含有組成物は、基本的に上述した第1の粒子非含有組成物と同様の組成とすることができるが、第2の粒子非含有領域の露出面に所望の凹部を形成する観点から、粘着性樹脂、架橋剤、有機溶媒の種類や配合量を、宜微調整することも好ましい。
また、第2の粒子非含有組成物は、粘着性、帯電防止性等を付与するために、粒子を均一に分散する目的で、粒子を含有することができる。
(4)塗布方法
また、本発明においては、基材上に、第1の粒子非含有組成物からなる第1の塗布層、粒子含有組成物からなる第2の塗布層、および第2の粒子非含有組成物からなる第3の塗布層を、この積層順にて同時または連続的に形成し、基材上に、第1の塗布層、第2の塗布層および第3の塗布層を含む積層体を形成することを特徴とする。
この理由は、塗布層を一層ずつ、順番に形成した場合、所定の積層体を安定的に得ることが困難になり、ひいては粘着剤層の露出面に所定の凹部を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、具体的には、多層コーターを用いて同時塗布する方法が好ましい。
または、基材が搬送される方向に沿って所定の間隔で配置させた3つのコーターから連続的に塗布する方法であってもよい。
また、多層コーターとしては、例えば、スロットダイコーター、カーテンコーター、等が挙げられるが、これらの中でも操作性の観点から、ダイコーターを用いることが好ましい。
2.工程(B):加熱・乾燥工程
工程(B)は、工程(A)で形成した積層体を加熱して乾燥させることにより、積層体を粘着剤層とすると同時に、第2の塗布層における粒子を部分的に凝集させ、粘着剤層の露出面側から眺めた場合に、粒子濃度が相対的に高い領域と、粒子濃度が相対的に低い領域と、を形成するとともに、粘着剤層における粒子濃度が相対的に低い領域の分布に対応させて、粘着剤層の露出面に凹部を形成する工程である。
すなわち、工程(A)で一度に形成した第1〜第3の塗布層を含む積層体を、そのまま加熱して乾燥させることから、第2の塗布層に含まれる粒子に濃度分布を生じさせることができ、それに伴い、粘着剤層の露出面に所定の凹部を形成させることができる。
したがって、凹凸を有する剥離シートを粘着剤層に接触させることなく、粘着剤層の露出面に対し、自動的に凹部を形成して、優れたエア抜け性を有する粘着シートを、安定的かつ効率的に製造することができる。
なお、かかる現象は、加熱により積層体から溶剤が蒸発する過程で、樹脂成分との相溶性が低い粒子同士が複数の箇所を中心に集合、凝集する結果、粒子濃度が相対的に高い領域と、粒子濃度が相対的に低い領域と、が形成されるものと推定される。
また、粒子含有領域において、粒子濃度が相対的に低い領域では、粒子濃度が相対的に低い部分に比べて、粒子の体積の分だけ厚さが小さくなる。厚さが小さくなった部分に接する第2の塗布層は、その厚さが小さい部分に追従することにより、表面に凹部を形成するものと推定される。
また、加熱・乾燥させる際の温度を、35〜200℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる温度が35℃未満の値となると、形成される凹部の数が過度に少なくなる場合があるためである。一方、かかる温度が200℃を超えた値となると、形成される凹部の深さが過度に浅くなったり、基材が熱収縮するといった不具合が発生しやすくなったりする場合があるためである。
したがって、加熱・乾燥させる際の温度を、70〜160℃の範囲内の値とすることがより好ましく、80〜140℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。但し、本発明はこれらの記載に制限されるものではない。
[実施例1]
1.粘着シートの製造
(1)塗布工程
(1)−1 第1の粒子非含有組成物の調製
容器内に、ブチルアクリレート(BA)およびアクリル酸(AA)を共重合してなるアクリル系共重合体(BA/AA=90/10(重量比)、Mw:46万)100重量部と、
イソプロピルアルコールと酢酸エチルの混合溶媒234重量部と、アルミキレート系架橋剤(綜研化学(株)製、M−5A)0.37重量部と、を収容して混合した後、固形分濃度30重量%の第1の粒子非含有組成物を調製した(以下、「組成物1」と称する場合がある。)。
なお、上述した各成分の配合量(重量部)は、固形分換算した値であり、以下においても同様である(但し、溶媒の配合量については固形分換算しない。)。
また、アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー(株)、製品名「HLC−8020」)を用いて、下記条件で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
・カラム:「TSK guard column HXL−L」「TSK gel G2500HXL」「TSK gel G2000HXL」「TSK gel G1000HXL」(いずれも東ソー(株)製)
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
(1)−2 粒子含有領域用組成物の調製
容器内に、ブチルアクリレート(BA)およびアクリル酸(AA)を共重合してなるアクリル系共重合体(BA/AA=90/10(重量比)、Mw:46万)100重量部と、イソプロピルアルコール530重量部と、アルミキレート系架橋剤(総研化学(株)製、M−5A)0.74重量部と、シリカ凝集粒子(東ソー・シリカ(株)製、ニップシール E−200A、体積平均二次粒子径:3μm)67重量部と、を収容して混合した後、固形分濃度24重量%、粒子濃度40重量%の粒子含有組成物を調製した(以下、「組成物A」と称する場合がある。)。
なお、シリカ凝集粒子の体積平均二次粒子径は、ベックマン・コールター(株)製、マルチサイザー・スリー機を用いて、コールターカウンター法による粒度分布の測定を行うことにより求めた。
(1)−3 第2の粒子非含有組成物の調製
第1の粒子非含有組成物として調製した組成物1を、第2の粒子非含有組成物とした。
(1)−4 同時塗布
次いで、基材として、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)、ルミラーT−60)を用意した。
次いで、基材上に、調製した第1の粒子非含有組成物としての組成物1、粒子含有組成物としての組成物A、および第2の粒子非含有組成物としての組成物1を、この積層順にて3層スロットダイコーターを用いて同時に形成した。
これにより、基材上に、厚さ25μmの第1の塗布層、厚さ50μmの第2の塗布層および厚さ25μmの第3の塗布層からなる積層体が形成された。
(2)加熱・乾燥工程
次いで、形成された第1の塗布層、第2の塗布層および第3の塗布層からなる積層体を、温度100℃にて2分間、加熱・乾燥させ、粘着剤層とし、粘着シートを得た。
得られた粘着シートにおける粘着剤層は、図4(a)に示すように、厚さ7μmの第1の粒子非含有領域110と、厚さ20μmの粒子含有領域120と、厚さ8μmの第2の粒子非含有領域130と、を膜厚方向に沿って基材10の側から順次に含むことが確認された。
なお、図4(a)は、得られた粘着シートの断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所(株)製、S−4700)を用いて観察した写真である。
また、観察された凹部150のうち、最も深いものの深さは16μmであり、最も浅いものの深さは5μmであった。
また、図4(b)に示すように、得られた粘着シートを第2の粒子非含有領域130の露出面側から眺めた場合、凹部150が、不規則に枝分かれしながら延在してなる溝150´を形成していることが確認された。
また、溝150´のうち、最も幅の広いものの幅は250μmであり、最も幅の狭いものの幅(溝の末端部を除く。)は50μmであった。
なお、図4(b)は、得られた粘着シートを第2の粒子非含有領域130の露出面側から斜め方向に、走査型電子顕微鏡(日立製作所(株)製、S−4700)を用いて観察した写真である。
2.評価
(1)エア抜け性
得られた粘着シートのエア抜け性を評価した。
得られた粘着シートを縦290mm×横210mmの大きさに裁断した後、剥離シートを剥がし、手作業でメラミン塗装板に貼付した。
まず、粘着シートの4辺をスキージで圧着し、粘着シートの中央部に空気溜まりを形成した後、スキージを用いて、空気溜まりを粘着シートの端部から排出できるか否かを判断した。
A:空気溜まりが消失しており、エア抜け性に優れる
F:空気溜まりが残っており、エア抜け性が不十分である
[比較例1]
比較例1では、粘着シートを製造する際に、以下に示す各工程を実施したほかは、実施例1と同様に粘着シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
1.塗布工程
(1)粒子非含有組成物の調製
容器内に、アクリル系粘着剤(トーヨーケム(株)製、オリバインBPS−4891、固形分濃度:46重量%)100重量部と、イソシアネート系架橋剤(東ソー(株)製、コロネートL、固形分濃度:75重量%)2.25重量部と、酢酸エチル26重量部を収容して混合することにより固形分濃度37重量%の粒子非含有組成物を調製した(以下、「組成物2」と称する場合がある。)。
(2)粒子含有組成物の調製
容器内に、アクリル系粘着剤(トーヨーケム(株)製、オリバインBPS−4891、固形分濃度:46重量%)100重量部と、シリカ粒子(東ソー・シリカ(株)製、ニップシール E−200A、体積平均二次粒子径:3μm)27.6重量部と、トルエンとメチルエチルケトンの混合溶媒(1:1(体積比))をさらに加え、固形分濃度37重量%の粘着剤組成物を調製した。
次いで、得られた粘着剤組成物100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン(株)製、コロネートL、固形分濃度75重量%)1.13重量部添加し、さらにトルエンとメチルエチルケトンの混合溶媒(1:1(体積比))を加え、固形分濃度33重量%の粒子含有組成物を調製した(以下、「組成物B」と称する場合がある。)。
(3)同時塗布
次いで、剥離シートとして、上質紙110g/m2にポリエチレンをラミネートし、シリコーンを塗布した剥離紙を用意した。
次いで、用意した剥離紙の剥離処理面上に、第2の粒子非含有組成物(組成物2)、粒子含有組成物(組成物B)および第1の粒子非含有組成物(組成物2)を、3層スロットダイコーターで同時に塗布して、厚さ10μmの第3の塗布層、厚さ20μmの第2の塗布層および厚さ10μmの第1の塗布層を形成し、剥離シート上に第3〜第1の塗布層からなる積層体を形成した。
2.加熱・乾燥工程
次いで、形成された第3〜第1の塗布層からなる積層体を、温度100℃にて2分間、加熱・乾燥させ、粘着剤層とした。
次いで、ラミネートロールを用いて、得られた粘着剤層の露出面に対し、基材としてのPETフィルム(リンテック(株)製、FNSケシN50、厚さ:50μm)のアルミ蒸着面を貼り合せ、粘着シートを得た。
得られた粘着シートについて、その断面を走査電子顕微鏡で観察したところ、粘着剤層は、厚さ10μmの第1の粒子非含有領域と、厚さ20μmの粒子含有領域と、厚さ10μmの第1の粒子非含有領域と、を膜厚方向に沿って基材の側から順次に含むことが確認された。
また、粒子含有領域における粒子濃度は全体的に均一であり、36.7重量%であった。
また、第2の粒子非含有領域露出面は平坦であることが確認された。
また、得られた粘着シートから剥離紙を剥がして第2の粒子非含有領域の露出面側から眺めた場合にも、露出面が平坦であることが確認された。
比較例1において、第3の塗布層の表面に凹部が形成されなかった理由は、第3の塗布層が、加熱・乾燥工程において、剥離紙に接していたため、剥離紙によって拘束されたためであると推測される。
以上、詳述したように、本発明の粘着シートによれば、粘着剤層に含まれる粒子に濃度分布を持たせ、かつ、粘着剤層における粒子濃度が相対的に低い領域の分布に対応させて粘着剤層の露出面に凹部を設けることにより、優れたエア抜け性を得ることができるようになった。
また、本発明の粘着シートの製造方法によれば、特別な操作をすることなく、粘着剤層の露出面に対し、自動的に凹部を形成して、効率的に上述した粘着シートを製造することができるようになった。
よって、本発明の粘着シートおよびその製造方法は、特に、マーキングフィルム、グラフィックフィルム、プロテクトフィルム等、エア抜け性が強く要求される手作業により添付される粘着シートにおける品質および製造効率の向上に著しく寄与することが期待される。
1:粘着シート、1´:剥離シートを積層した形態の粘着シート、1´´:両面を剥離シートで挟持された形態の粘着シート、10:基材、20:剥離シート、50:粒子、100:粘着剤層、102:粒子濃度が相対的に高い領域、104:粒子濃度が相対的に低い領域、110:第1の粒子非含有領域、120:粒子含有領域、122:粒子含有領域における粒子濃度が相対的に高い領域、124:粒子含有領域における粒子濃度が相対的に低い領域、130:第2の粒子非含有領域、150:凹部、150´:溝

Claims (6)

  1. 基材と、粘着剤層と、を積層してなる粘着シートであって、
    前記粘着剤層が、当該粘着剤層の露出面側から眺めた場合に、粒子濃度が相対的に高い領域と、粒子濃度が相対的に低い領域と、を有するとともに、
    前記粘着剤層における前記粒子濃度が相対的に低い領域の分布に対応して、前記粘着剤層の露出面が凹部を有し、
    前記粘着剤層が、第1の粒子非含有領域と、粒子含有領域と、第2の粒子非含有領域と、を膜厚方向に沿って基材側から順次に含むとともに、前記粒子含有領域が、粒子濃度が相対的に高い領域と、前記粒子濃度が相対的に低い領域と、を有し、かつ、前記粒子含有領域における前記粒子濃度が相対的に低い領域の分布に対応して、前記第2の粒子非含有領域の露出面が凹部を有し、
    前記粘着層が金属キレート系架橋剤による架橋を含むことを特徴とする粘着シート。
  2. 基材と、粒子を含有する粘着剤層と、を積層してなる粘着シートであって、前記粘着剤層は、その断面において、粒子凝集領域とそれを覆う非凝集領域を有し、前記粘着剤層の表面において、前記粒子凝集領域に対応する凸部と、その外周に形成された凹部を有し、
    前記粘着剤層が、第1の粒子非含有領域と、粒子含有領域と、第2の粒子非含有領域と、を膜厚方向に沿って基材側から順次に含むとともに、前記粒子含有領域が、前記粒子凝集領域を有し、
    前記粘着層が金属キレート系架橋剤による架橋を含むことを特徴とする粘着シート。
  3. 前記凹部の深さを0.5〜50μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着シート。
  4. 前記粘着剤層の露出面に剥離シートを積層してなることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の粘着シート。
  5. 粘着剤層が、当該粘着剤層の露出面側から眺めた場合に、粒子濃度が相対的に高い領域と、粒子濃度が相対的に低い領域と、を有するとともに、前記粘着剤層における前記粒子濃度が相対的に低い領域の分布に対応して、前記粘着剤層の露出面が凹部を有する粘着シートの製造方法であって、
    下記工程(A)〜(B)を含むことを特徴とする粘着シートの製造方法。
    (A)基材上に、金属キレート系架橋剤を含む第1の粒子非含有組成物からなる第1の塗布層、粒子含有組成物からなる第2の塗布層、および金属キレート系架橋剤を含む第2の粒子非含有組成物からなる第3の塗布層を、この積層順にて同時または連続的に形成し、前記基材上に、前記第1の塗布層、第2の塗布層および第3の塗布層を含む積層体を形成する工程
    (B)前記積層体を加熱して乾燥させることにより、前記積層体を前記粘着剤層とすると同時に、前記第2の塗布層における粒子を部分的に凝集させ、前記粘着剤層の露出面側から眺めた場合に、前記粒子濃度が相対的に高い領域と、粒子濃度が相対的に低い領域と、を形成するとともに、前記粘着剤層における前記粒子濃度が相対的に低い領域の分布に対応させて、前記粘着剤層の露出面に凹部を形成する工程
  6. 粘着剤層が、その断面において、粒子凝集領域とそれを覆う非凝集領域を有し、前記粘着剤層の表面において、前記粒子凝集領域に対応する凸部と、その外周に形成された凹部を有する粘着シートの製造方法であって、
    下記工程(A)〜(B)を含むことを特徴とする粘着シートの製造方法。
    (A)基材上に、金属キレート系架橋剤を含む第1の粒子非含有組成物からなる第1の塗布層、粒子含有組成物からなる第2の塗布層、および金属キレート系架橋剤を含む第2の粒子非含有組成物からなる第3の塗布層を、この積層順にて同時または連続的に形成し、前記基材上に、前記第1の塗布層、第2の塗布層および第3の塗布層を含む積層体を形成する工程
    (B)前記積層体を加熱して乾燥させることにより、前記積層体を前記粘着剤層とすると同時に、前記第2の塗布層における粒子を部分的に凝集させ、前記粘着剤層の表面において、前記粒子凝集領域に対応する凸部と、その外周に凹部を形成する工程
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