以下では、本発明の実施の形態に係る照明システム及び照明装置について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
(実施の形態)
[照明システム]
まず、本実施の形態に係る照明システムの概要について説明する。
図1は、本実施の形態に係る照明システム1の概要を示す模式図である。図1に示すように、照明システム1は、照明装置10と、認識装置20とを備える。
照明システム1では、照明装置10が照明光を出射し、認識装置20が、照明光によって照らされた第1照明範囲に含まれる対象物の状態を認識する。照明装置10は、認識結果に基づいてフィードバック制御されて、認識結果に基づいて調整された光を出射する。本実施の形態では、認識装置20は、第1照射範囲を複数の小さい第2照射範囲に分割して認識し、第2照射範囲毎に認識データを生成する。照明装置10は、複数の光源を備え、第2照射範囲毎の認識結果を反映するように、複数の光源の各々を調整して光を出射する。
以下では、図2を参照しながら照明装置10及び認識装置20の詳細な構成について説明する。図2は、本実施の形態に係る照明システム1の詳細な構成を示すブロック図である。
[照明装置]
照明装置10は、照明光を出射する。照明装置10が出射した照明光によって、第1照射範囲2が照らされる。
図2に示すように、照明装置10は、光源モジュール11と、LEDドライバ12と、レンズ部13と、支持体14と、駆動装置15とを備える。駆動装置15は、モータ16と、モータドライバ17とを備える。
光源モジュール11は、照明光を出射する光源モジュールであって、複数の光源(光源群)120を有する。複数の光源120は、第1照射範囲2に含まれ、互いに異なる複数の第2照射範囲(第2照射範囲群)3を一対一で照明する。複数の光源120はそれぞれ、1以上の発光素子(具体的には、LED)を含んでいる。光源モジュール11の詳細な構成については、後で説明する。
LEDドライバ12は、複数の光源120の各々を独立して駆動可能な駆動回路の一例である。図1に模式的に示しているように、LEDドライバ12は、支持体14とは別体で形成されているが、特に限定されない。LEDドライバ12は、支持体14の内部に収納されてもよい。LEDドライバ12の動作については、後で説明する。
レンズ部13は、光源モジュール11の光出射側に設けられた光学素子である。レンズ部13は、透光性材料から形成され、光源モジュール11が発する照明光を透過させる。レンズ部13を透過して外部に出射された照明光によって照らされた領域が第1照射範囲2である。したがって、レンズ部13の光学特性を変更することで、第1照射範囲2の大きさ及び位置などを変更することができる。
本実施の形態では、図1に示すように、レンズ部13は、複数のレンズ13a及び13bを備える。レンズ13aは、光源モジュール11に近い位置に位置し、レンズ13bは、光源モジュール11から遠い位置に位置する。レンズ13a及びレンズ13bは、例えば、ガラス材料、又は、アクリル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)などの透光性の樹脂材料から形成される。
レンズ13aは、後述するスライド機構14aによって、光源モジュール11の光軸に沿った方向にスライド可能である。レンズ13bが、又は、レンズ13a及びレンズ13bの両方がスライド可能であってもよい。レンズ部13は、光源モジュール11、レンズ13a及びレンズ13bの相対的な位置関係を変更することで、第1照射範囲2の大きさ及び位置などを変更することができる。
支持体14は、レンズ部13を支持する。本実施の形態では、支持体14は、図1に示すように、レンズ部13と、光源モジュール11とを内部に収納する筐体である。支持体14は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの樹脂材料、又は、アルミニウムなどの金属材料から形成されてもよい。
図2に示すように、支持体14は、スライド機構14aを備える。スライド機構14aは、レンズ部13及び光源モジュール11の少なくとも一方を、レンズ部13と光源モジュール11との距離を変更可能に保持する。本実施の形態では、スライド機構14aは、レンズ部13のレンズ13aを、光源モジュール11の光軸に沿ってスライドさせる。スライド機構14aは、駆動装置15によって駆動される。
スライド機構14aは、例えば、光軸に沿った方向に延びるガイドレールと、ガイドレールに沿ってスライドするスライド体とを備える。スライド体がレンズ13a(及びレンズ13b)を保持する。このため、スライド体をスライドさせることで、レンズ13aと光源モジュール11との距離を変更することができる。
レンズ部13と光源モジュール11との距離が変わることで、光源モジュール11からの出射光の焦点が変更される。つまり、光源モジュール11からの出射光によって照らされる第1照射範囲2の大きさ、及び、第2照射範囲3の大きさが変更される。これにより、照明装置10は、被写体に応じて適切な範囲を照明することができる。
具体的には、照明装置10は、第1照射範囲2に含まれる対象物にピントが合うように照明光を出射する。例えば、対象物において、第2照射範囲3の重複部分が最小となるようにレンズ部13と光源モジュール11との距離が調整される。あるいは、必ずしも対象物にピントを合わせる必要がなく、適度なボケ具合を演出するように、対象物から所定の距離だけ照明装置10に近い(又は、遠い)位置にピントを合わせてもよい。
駆動装置15は、スライド機構14aを駆動する。本実施の形態では、駆動装置15は、認識装置20によって生成される認識データに基づいてスライド機構14aを駆動する。例えば、駆動装置15は、認識データに基づいて対象物までの距離などを推定し、推定した距離にピントが合うように、スライド機構14aを駆動する。
図2に示すように、駆動装置15は、モータ16と、モータドライバ17とを備える。
モータ16は、スライド体をスライドさせる。モータ16は、支持体14に取り付けられている。
モータドライバ17は、モータ16を駆動する。具体的には、モータドライバ17は、認識データに基づいてモータ16を駆動する。モータドライバ17がモータ16を駆動することで、スライド機構14aのスライド体をスライドさせて、レンズ部13と光源モジュール11との距離を調整する。
なお、駆動装置15は、モータ16の代わりにアクチュエータを備えてもよい。
[光源モジュール]
ここで、光源モジュール11の詳細について、図3〜図6を用いて説明する。
図3は、本実施の形態に係る光源モジュール11の概略平面図である。図4は、図3に示すIV−IV線における本実施の形態に係る光源モジュール11の概略断面図である。
図3に示すように、光源モジュール11は、複数の光源120が設けられた基板110を備える。複数の光源120の各々は、互いにピーク波長が異なる複数の発光素子を備える。本実施の形態では、図3に示すように、光源120は、複数の発光素子として、赤色LED120Rと、緑色LED120Gと、青色LED120Bと、白色LED120Wとを備える。
赤色LED120Rは、ピーク波長が600nm以上である赤色光を発する。例えば、赤色LED120Rは、赤色の単色光を発する。緑色LED120Gは、ピーク波長が500nm以上570nm以内である緑色光を発する。例えば、緑色LED120Gは、緑色の単色光を発する。青色LED120Bは、ピーク波長が490nm以下の青色光を発する。例えば、青色LED120Bは、青色の単色光を発する。白色LED120Wは、ピーク波長が可視光領域(380nm以上780nm以下)の白色光を発する。
赤色LED120R、緑色LED120G、青色LED120B及び白色LED120Wはそれぞれ、LEDチップと、当該LEDチップを封止する封止樹脂とを備える。
LEDチップは、例えば、青色光を発する青色LEDチップである。封止樹脂は、例えば、青色光によって励起されて所定の波長の蛍光を発する蛍光体を含有する透光性樹脂材料である。透光性樹脂材料としては、例えば、シリコーン樹脂を用いることができる。
蛍光体としては、LED毎に異なる蛍光体を用いることができる。具体的には、赤色LED120Rの場合は、赤色光を発する蛍光体として、CASN蛍光体、SCASN蛍光体などを利用することができる。緑色LED120Gの場合は、緑色光を発する蛍光体として、サイアロン蛍光体などを利用することができる。白色LED120Wの場合は、黄色光を発する蛍光体として、YAG系の蛍光体を利用することができる。白色LED120Wは、LEDチップが発する青色光との混合光として白色光を出射する。
なお、青色LED120Bの場合、封止樹脂には蛍光体が含有されていなくてもよい。また、LEDチップとして、赤色光又は緑色光を出射するチップを用いる場合も、封止樹脂には蛍光体が含有されていなくてもよい。
本実施の形態に係る光源モジュール11は、LEDチップが基板110に直接実装されたCOB(Chip On Board)モジュールである。例えば、図4に示すように、LEDチップ121及びLEDチップ122が基板110に直接実装されている。具体的には、LEDチップ121は、ワイヤ123によってパッド133に接続され、LEDチップ122は、ワイヤ124によってパッド134に接続されている。LEDチップ121及びLEDチップ122をそれぞれ封止するように、封止樹脂125及び封止樹脂126が設けられている。ワイヤ123及びワイヤ124は、金などの導電性のワイヤである。
基板110は、多層配線構造を有する。具体的には、図4に示すように、基板110は、第1層111と、第2層112と、第3層113とを有する。さらに、基板110には、配線131と、配線132と、パッド133と、パッド134と、ビア135と、ビア136とが設けられている。なお、図4では、配線が2つの層の各々に形成されている場合について説明するが、3つ以上の層に形成されていてもよい。
第1層111、第2層112及び第3層113は、この順で積層されている。第1層111、第2層112及び第3層113は、絶縁性の樹脂材料から形成される。絶縁性の樹脂材料としては、エポキシ樹脂、ポリイミドなどを用いることができる。
配線131及び配線132は、基板110に設けられた光源120に電力を供給するための電気配線である。配線131は、LEDドライバ12とLEDチップ121とを電気的に接続し、LEDドライバ12からの電力をLEDチップ121に供給する。配線132は、LEDドライバ12とLEDチップ122とを電気的に接続し、LEDドライバ12からの電力をLEDチップ122に供給する。
配線131は、第2層112と第3層113との間に設けられている。配線132は、第1層111と第2層112との間に設けられている。配線131及び配線132は、導電性材料から形成される。導電性材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などの金属材料を用いることができる。
パッド133及びパッド134は、ワイヤボンディング用の電極パッドであり、基板110の最表面に設けられている。具体的には、パッド133及びパッド134は、第3層113の表面に設けられ、パッド133にはワイヤ123が接続され、パッド134にはワイヤ124が接続されている。パッド133及びパッド134は、導電性材料から形成される。導電性材料としては、例えば、Al、Cuなどの金属材料を用いることができる。
ビア135及びビア136は、基板110の少なくとも一部を貫通するように設けられ、異なる層間での電気的な接続を行う。具体的には、ビア135は、第3層113を貫通するように設けられ、配線131とパッド133とを接続する。ビア136は、第2層112及び第3層113を貫通するように設けられ、配線132とパッド134とを接続する。
ビア135及びビア136は、導電性材料から形成される。導電性材料としては、例えば、Al、Cuなどの金属材料を用いることができる。
図5は、本実施の形態に係る光源モジュール11とLEDドライバ12との電気的な接続例を示す図である。なお、図5では、一例として9個のLEDを示している。9個のLEDの1つは、例えば、図4に示すLEDチップ121又はLEDチップ122である。
図5に示すように、複数のLEDは、各々が独立して点灯されるように、LEDドライバ12に配線を介して接続されている。具体的には、複数のLEDは、LEDドライバ12に接続された一の配線と他の配線との交点に1つずつ接続されている。
例えば、図5に示すLED120aは、配線130aと配線130bとの交点に接続されている。LEDドライバ12は、配線130aと配線130bとの間のみに電圧を印加することで、LED120aのみに電流を流すことができ、LED120aのみを点灯させることができる。LEDドライバ12は、さらに、LED120aに流す電流の大きさ又はデューティを変更することで、LED120aの発光量を変更することができる。すなわち、LEDドライバ12の調光を行うことができる。
このように、LEDドライバ12は、電圧を印加する(電流を流す)配線の組を選択することで、複数のLEDの各々を独立して駆動することができる。以下では、複数のLEDの駆動例について図6を用いて説明する。
図6は、本実施の形態に係る光源モジュール11の駆動例を示すタイミングチャートである。図6では、光源モジュール11がn個(nは自然数)の発光素子(LED1〜LEDn)を備える例を示している。図6において、LED1〜LEDnは、n個のLEDの各々に供給されるパルスを示している。なお、横軸は、時間を示している。
図6に示すように、LED1〜LEDnの各々に順にパルス140が供給される。例えば、パルス140のデューティ(パルス幅)及びパルスの大きさは、LED1〜LEDnの発光強度に依存する。パルス140のデューティは、所定期間内におけるLEDに電流が供給されている期間の割合に相当する。パルスの大きさは、LEDに供給する電流量に相当する。
本実施の形態では、LEDドライバ12は、パルス140のデューティ又は大きさを変更することで、LEDの発光強度を変更することができる。つまり、LEDドライバ12は、LED1〜LEDnに供給するパルス140のパルス幅又は大きさを調整することで、LED毎に調光を行う。
[認識装置]
次に、認識装置20について、図1及び図2を用いて説明する。
認識装置20は、照明光によって照らされる第1照射範囲2に存在する対象物の状態を認識する。具体的には、認識装置20は、照明装置10からの照明光によって照射された対象物の照明状態を認識する。なお、対象物は、人、動物、植物などの生物、又は、建造物などいかなるものでもよい。対象物の具体例については、本実施の形態に係る照明システム1の適用例と併せて説明する。
図1及び図2に示すように、認識装置20は、撮影装置(撮影部)21と、制御装置22とを備える。制御装置22は、認識部23と、制御部24と、記憶部25とを備える。記憶部25には、データベース26が記憶されている。
撮影装置21は、対象物からの可視光又は赤外光を受光することで、第1照射範囲2の画像を生成する。撮影装置21は、第1照射範囲2を撮影するカメラである。撮影により生成された画像には、少なくとも第1照射範囲2が含まれる。
認識部23は、対象物の状態を第2照射範囲3毎に認識することで、第2照射範囲毎の認識データを生成する。具体的には、認識部23は、第2照射範囲3毎に、撮影装置21によって生成された画像に基づいて、照度、色度、演色評価数(CRI)、波長スペクトル、コントラスト、及び、彩度の少なくとも1つを示す情報を、認識データとして生成する。例えば、認識部23は、画像に含まれる一の第2照射範囲3の画素値に基づいて、照度などを示す情報を、当該一の第2照射範囲3の認識データとして生成する。
制御部24は、制御装置22を構成する各構成要素、並びに、照明装置10のLEDドライバ12及びモータドライバ17を制御するコントローラである。制御部24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。
制御部24は、複数の光源120が、対応する第2照射範囲3毎の認識データに基づいた光を出射するように、LEDドライバ12を制御する。本実施の形態では、制御部24は、データベース26を参照することで、認識データから最適な照明状態を決定し、決定した最適な照明状態で光源120が光を出射するように、LEDドライバ12を制御する。
また、制御部24は、第1照射範囲2に含まれる複数の第2照射範囲3の画像内での領域(例えば、位置及び大きさ)と、照明装置10の複数の光源120との対応付けを行う。当該対応付けを行うことで、制御部24は、認識部23によって生成された認識データに基づいて、対応する光源120を制御することができる。
制御部24の具体的な動作については、本実施の形態に係る照明システム1の適用例に基づいて後で説明する。
記憶部25は、フラッシュメモリ又はHDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性メモリである。記憶部25には、例えば、制御装置22の制御プログラムなどが記憶される。あるいは、記憶部25には、撮影装置21によって生成された画像、及び、第2照射範囲3毎の認識データが記憶される。
本実施の形態では、記憶部25には、データベース26が記憶されている。データベース26は、認識データである各情報が示す値に対応する、光源120の最適な照明状態を示す。例えば、データベース26は、認識データが照度を示す情報である場合に、照度の値(例えば、0〜255)毎に、光源120の最適な光出力(調光比)を示す。あるいは、データベース26は、認識データが色度である場合に、色度の値(例えば、0〜255)毎に、光源120の最適な色度(光色又は色温度)を示す。
[動作(照明方法)]
続いて、本実施の形態に係る照明システム1の動作(照明方法)について説明する。
図7は、本実施の形態に係る照明システム1の動作(照明方法)を示すフローチャートである。
照明システム1では、複数の光源120の各々について、図7に示すステップS12〜S23の処理を行う(S10)。つまり、認識装置20の制御部24は、複数の光源120の各々について、認識データに基づいた光を出射するように光源120のパラメータを決定し、決定したパラメータで光源120を制御する。パラメータは、具体的には、光源120に含まれる複数のLEDに供給されるパルスの電流値又はデューティである。
まず、制御部24は、設定されたパラメータで一の光源120を制御することで、当該パラメータに応じた照明光を照射させる(S12)。なお、初期状態(例えば、電源投入時)においては、設定されたパラメータは任意の値でよい。例えば、全ての光源120が最大出力で白色光を照射してもよい。あるいは、電源投入時には、制御部24は、直前の照射状態で照明光を照射させてもよい。
次に、撮影装置21は、第1照射範囲2を撮影することで画像データを取得する(S14)。そして、認識部23は、第1照射範囲2に含まれる複数の第2照射範囲3のうち、当該一の光源120に対応する第2照射範囲3の認識データを生成する(S16)。次に、制御部24は、認識データに対応する照明状態の最適値を決定する(S18)。具体的には、制御部24は、データベース26を参照することで、認識データに対応する照明状態の最適値を決定する。
次に、制御部24は、まず、第2照射範囲3の赤色成分が適切であるか否かを判定する(S20)。例えば、制御部24は、決定された最適値に応じた赤色成分と、画像から得られる赤色成分とを比較し、これらが一致する場合に、赤色成分が適切であると判定する。これらが一致しない場合に、制御部24は、赤色成分は適切ではないと判定する。
赤色成分が適切ではない場合(S20でNo)、制御部24は、赤色成分の電流値又はパルスのデューティを変更する(S21)。具体的には、制御部24は、LEDドライバ12を制御することで、赤色LED120Rに供給するパルスの電流量又はデューティを変更する。例えば、制御部24は、赤色LED120Rの出射光が、ステップS18で決定した最適値に一致するように、電流値又はデューティを変更する。
これにより、照明装置10からは、赤色成分が変更された照明光が照射されるので(S12)、以降の処理を繰り返す。
赤色成分が適切である場合(S20でYes)、制御部24は、第2照射範囲3の緑色成分が適切であるか否かを判定する(S22)。具体的な処理は、赤色成分の場合と同じである。
緑色成分が適切ではない場合(S22でNo)、制御部24は、緑色成分の電流値又はパルスのデューティを変更する(S23)。具体的な処理は、赤色成分の場合と同じである。これにより、照明装置10からは、緑色成分が変更された照明光が照射されるので(S12)、以降の処理を繰り返す。
緑色成分が適切である場合(S22でYes)、制御部24は、第2照射範囲3の青色成分が適切であるか否かを判定する(S24)。具体的な処理は、赤色成分の場合と同じである。
青色成分が適切ではない場合(S24でNo)、制御部24は、青色成分の電流値又はパルスのデューティを変更する(S25)。具体的な処理は、赤色成分の場合と同じである。これにより、照明装置10からは、青色成分が変更された照明光が照射されるので(S12)、以降の処理を繰り返す。
青色成分が適切である場合(S24でYes)、制御部24は、第2照射範囲3の白色成分が適切であるか否かを判定する(S26)。具体的な処理は、赤色成分の場合と同じである。
白色成分が適切ではない場合(S26でNo)、制御部24は、白色成分の電流値又はパルスのデューティを変更する(S27)。具体的な処理は、赤色成分の場合と同じである。これにより、照明装置10からは、白色成分が変更された照明光が照射されるので(S12)、以降の処理を繰り返す。
以上のようにして、光源120に含まれる赤色LED120R、緑色LED120G、青色LED120B及び白色LED120Wの各出射光を適切な光にすることができる。なお、図7に示す例では、光源120に含まれる複数のLEDの調整を、赤、緑、青、白の順で行った(S20〜S27)が、調整の順序は特に限定されない。
ステップS12〜S27により、一の光源120からは適切な光が出射されるので、制御部24は、次の光源120についても同様に調整を繰り返す。
全ての光源120について、出射光の調整が終了した後、制御部24は、照明光の照射を継続させる(S28)。
以上のようにして、照明装置10は、認識装置20によって生成された認識データに基づいて、光源120毎に適切な光を出射することができる。すなわち、照明装置10は、第1照射範囲2内で第2照射範囲3毎に、すなわち、局所的に照明状態を変化させることができる。例えば、照明装置10は、第1照射範囲2内で局所的に暗く又は明るく照明する、あるいは、局所的に鮮やかな色又はくすんだ色で照明することもできる。また、照明装置10は、第1照射範囲2内で局所的に照明しない、又は、明暗を周期的に繰り返して照明することもできる。
[前処理(対応付け)]
本実施の形態では、第1照射範囲2内における複数の第2照射範囲3の認識データを、対応する光源120の制御に利用する。このため、制御部24は、第2照射範囲3と光源120との対応付けを前処理として行う。例えば、照明装置10の設置時に制御部24は、第2照射範囲3と光源120との対応付けを行う。以下では、当該対応付けについて説明する。
図8は、本実施の形態に係る照明システム1の前処理(対応付け)を示すフローチャートである。図9は、本実施の形態に係る照明システム1の光源120と第2照射範囲3との関係を示す模式図である。
まず、制御部24は、第1照射範囲2に含まれる所定のポイントを選択する(S30)。具体的には、図9に示すように、第1照射範囲2を複数の領域2aに分割し、当該複数の領域2aの1つをポイントとして選択する。例えば、以下では、複数の領域2aの1つである領域3aをポイントとして選択した場合について説明する。
次に、照明システム1は、光源120毎に、以下の処理を行う(S32)。簡単に記載すれば、照明システム1は、複数の光源120を順次、点灯及び消灯させて、当該点灯により領域3aを撮影することで得られた画像データに基づいて、領域3aの変化を検出し、最も大きな変化を与えた光源120を特定する。
具体的には、図8に示すように、制御部24は、複数の光源120のうち1つの対象となる光源120を選択し、選択した光源120のみに照明光を出射させる(S34)。撮影装置21は、領域3aを撮影することで、領域3aを含む画像データを生成する(S36)。
認識部23は、画像データに基づいて領域3aの照度を決定し、対象となる光源120の照射結果として記憶部25に記憶する(S38)。領域3aの照度は、例えば、画像データに含まれる領域3aの輝度値である。そして、制御部24は、対象の光源120の照射を終了する(S40)。
以降、全ての光源120に対して、順にステップS34〜S40を繰り返すことで、全ての光源120の各々を照射したときの領域3aの照度を取得することができる。
次に、制御部24は、記憶部25に記憶された照度が最も大きな光源120の位置と、選択したポイント、すなわち、領域3aとを対応付ける(S42)。つまり、制御部24は、照度が最も大きな光源120からの照明光が照らす範囲である第2照射範囲は、領域3aであるとして対応付けを行う。
次に、3ヶ所以上のポイントに対する光源120の対応付けが終了していない場合(S44でNo)、制御部24は、複数の領域2aのうち領域3aとは異なる領域(例えば、図9に示す領域3b又は領域3c)を新たなポイントとして選択し(S30)、ステップS32〜S42の処理を繰り返す。
3ヶ所以上のポイントに対する光源120の対応付けが終了している場合(S44でYes)、制御部24は、補間処理を行うことで、残りの光源120と領域2aとの対応関係を決定する(S46)。例えば、領域3aと領域3bとの間に位置する領域は、領域3aに対応する光源と、領域3bに対応する光源との間に位置する光源に対応付けることができる。
なお、ポイントとして選択する3ヶ所以上の領域は、複数の領域2aのいずれでもよいが、互いに離れている領域を選択することで、補間処理の精度を高めることができる。
[適用例1]
まず、適用例1として、本実施の形態に係る照明システム1をガーデンライトに適用する例について図10を用いて説明する。図10は、本実施の形態に係る照明システム1をガーデンライトに適用する実施例1を示す模式図である。
図10の(a)は、照明装置10によって照らされた第1照射範囲2と、第1照射範囲2に含まれる対象物とを示している。対象物には、植木の葉210、花211、及び、地面212が含まれている。
本適用例では、認識装置20の認識部23が、第1照射範囲2に含まれる複数の第2照射範囲3の各々について対象物の状態を認識する。具体的には、認識部23は、撮影装置21によって生成された画像に基づいて、第2照射範囲3毎の色度を示す色度情報を認識データとして生成する。制御部24は、例えば、色度情報に基づいて、複数の光源120が出射する光の色度を、対応する色度情報が示す色度にする。
例えば、認識部23は、複数の第2照射範囲3の1つである第2照射範囲203aには、緑色の対象物(葉210)が多く含まれることを認識することで、の第2照射範囲203aの認識データとして、緑色を示す色度情報を生成する。制御部24は、緑色を示す色度情報に基づいて、第2照射範囲203aに対応する光源220(図10の(b)を参照)に、屋外採光色(例えば、緑色)の照明光を照射させる。
また、本適用例では、認識部23は、撮影装置21によって生成された画像に基づいて、第2照射範囲3毎の照度を示す照度情報を認識データとして生成してもよい。制御部24は、照度情報に基づいて、複数の光源120のうち、所定の閾値より低い照度の第2照射範囲3を照射する光源120の照度を小さくしてもよい。
具体的には、認識部23は、第2照射範囲3毎に画像の輝度値に基づいて照度を決定する。例えば、地面212を対象物として含む第2照射範囲203bでは、決定された照度が所定の閾値より低くなるので、制御部24は、第2照射範囲203bを照射する光源222(図10の(b)を参照)の照度を小さくする。具体的には、制御部24は、第2照射範囲203bを照射する光源222を消灯する。
図10の(b)は、(a)に示す第1照射範囲2を照明している光源モジュール11に含まれる複数の光源120の様子を模式的に示している。具体的には、複数の光源120には、屋外採光色の光を出射する光源220と、生鮮採光色の光を出射する光源221と、光を出射しない(消灯中の)光源222とが含まれている。
図10の(a)と(b)とを比較して分かるように、第1照射範囲2内における葉210の位置と光源モジュール11内における光源220(屋外採光色)の位置とが対応している。同様に、第1照射範囲2内における花211の位置と光源モジュール11内における光源221(生鮮採光色)の位置とが対応している。第1照射範囲2内における地面212の位置と光源モジュール11内における光源222(消灯中)の位置とが対応している。
このように、葉210には、屋外採光色(例えば、緑色)の照明光が照射され、花211には、花211の色に応じた生鮮採光色(例えば、紫色)の照明光が照射される。地面212には、照明光が照射されていない。
これにより、本適用例によれば、葉210及び花211をより鮮やかに照明することができる。また、地面212を照明しないことにより、葉210及び花211と、地面212との明暗のコントラストをより強くすることができる。したがって、葉210及び花211を目立ちやすくすることができ、ヒトの注意を引きやすくすることができる。
[適用例2]
次に、適用例2として、本実施の形態に係る照明システム1を街路灯に適用する例について図11を用いて説明する。図11は、本実施の形態に係る照明システム1を街路灯に適用する適用例2を示す模式図である。
図11の(a)は、街路灯に組み込まれた照明装置10が、照明光を出射することにより、地面を照明している状況を示している。つまり、照明装置10の下方に第1照射範囲2が形成されている。図11の(a)では、第1照射範囲2に、対象物として、赤い服を着た人物310と、灰色の服を着た人物311と、地面312及びその他の工作物(ガードレールなど)が含まれている。例えば、複数の第2照射範囲3の1つである第2照射範囲303aには、人物310が含まれている。第2照射範囲303bには、人物311が含まれている。
図11の(b)は、(a)に示す第1照射範囲2を照明している光源モジュール11に含まれる複数の光源120の様子を模式的に示している。具体的には、複数の光源120には、最大強度の彩色光を出射する光源320と、最大強度の白色光を出射する光源321と、通常の強度(例えば、出力が70%)の白色光を出射する光源322とが含まれている。
図11の(a)と(b)とを比較して分かるように、第1照射範囲2内における人物310(第2照射範囲303a)の位置と光源モジュール11内における光源320(彩色光)の位置とが対応している。同様に、第1照射範囲2内における人物311(第2照射範囲303b)の位置と光源モジュール11内における光源321(最大点灯)の位置とが対応している。第1照射範囲2内における地面312の位置と光源モジュール11内における光源322(通常点灯)の位置とが対応している。
本適用例では、認識装置20の認識部23が、第1照射範囲2に含まれる複数の第2照射範囲3の各々について対象物の状態を認識する。本適用例では、認識部23は、動く対象物を検出し、検出した対象物の状態を認識する。動く対象物の検出は、例えば、動く対象物が存在しない場合の画像データと比較することで行うことができる。
例えば、認識部23は、第2照射範囲303aには、人物310が含まれることを検出する。さらに、認識部23は、当該人物310は、赤い服を着ていることを認識する。これにより、認識部23は、第2照射範囲303aには、人物が含まれることを示す人物情報と、赤色を示す色度情報とを認識データとして生成する。
制御部24は、色度情報に基づいて、第2照射範囲303aに対応する光源120に、彩色光(例えば、赤色の光)を照射させる。このとき、制御部24は、人物情報に基づいて、第2照射範囲303aに対応する光源120に、当該彩色光の強度を最大で照射させる。
なお、人物311の場合は、灰色を示す色度情報が認識データとして生成される。すなわち、色度情報が、彩色(有色)ではないので、制御部24は、白色光を最大強度で照射させる。
このように、赤い服を着た人物310には、赤色の光が最大強度で照射され、灰色の服を着た人物311には、白色光が最大強度で照射される。地面312及びその他の工作物には、白色光が通常の強度で照射される。
これにより、本適用例によれば、人物310及び311に強い光を照射するので、目立ちやすくすることができる。また、赤い服を着た人物310の場合は、赤色の光を照射することで、より目立ちやすくすることができる。したがって、例えば、夜間において、人物を発見しやすくなるので、例えば、車の運転者などにとっては徐行運転を行うなどの危険回避行動を取りやすくすることができる。
[適用例3]
次に、適用例3として、本実施の形態に係る照明システム1をドレッサーに適用する例について図12を用いて説明する。図12は、本実施の形態に係る照明システム1をドレッサーに適用する適用例3を示す模式図である。
図12の(a)は、ドレッサーに組み込まれた照明装置10が、照明光を出射することにより、鏡の前に座った人物を照らしている状況を示している。具体的には、人物の顔410に第1照射範囲2が形成されている。例えば、複数の第2照射範囲3の1つである第2照射範囲403aには、人物の顎のライン411が含まれている。第2照射範囲403bには、顔410が含まれている。
図12の(b)は、(a)に示す第1照射範囲2を照明している光源モジュール11に含まれる複数の光源120の様子を模式的に示している。具体的には、複数の光源120には、美光色の光を出射する光源420と、光を出射しない(消灯中の)光源421とが含まれている。
図12の(a)と(b)とを比較して分かるように、第1照射範囲2内における人物の顎のライン411(第2照射範囲403a)と、光源モジュール11内における光源421(消灯中)の位置とが対応している。また、人物の顔410(第2照射範囲403b)と、光源モジュール11内における光源420(美光色)の位置とが対応している。
本適用例では、認識装置20の認識部23が、第1照射範囲2に含まれる複数の第2照射範囲3の各々について対象物の状態を認識する。具体的には、認識部23は、撮影装置21によって生成された画像に対して顔認識処理を行うことで、画像に顔が含まれるか否かを判定する。顔認識処理は、例えば、パターンマッチング又はエッジ検出処理などである。制御部24は、顔が含まれていると判定された場合に、複数の光源120のうち、耳の下から顎までの範囲に相当する1以上の第2照射範囲3を照明する1以上の光源120の照度を小さくする。
本適用例では、認識部23は、顎のライン411を含む顔410を検出し、検出した顔410の状態を認識する。顔410の検出、及び、顎のライン411の検出は、例えば、画像にエッジ検出処理を施すことで行われる。なお、顎のライン411は、具体的には、耳の下から顎までの範囲に相当する。
例えば、認識部23は、第2照射範囲403aには、顎のライン411が含まれることを検出する。これにより、認識部23は、第2照射範囲403aには、顎のライン411が含まれることを示す顔情報を認識データとして生成する。制御部24は、顔情報に基づいて、第2照射範囲403aに対応する光源120を消灯させる。
このように、顎のライン411には照明光を照射しないので、顎のライン411が強調されない。このため、小顔効果を実現することができる。
なお、本適用例では、美光色を発する複数の光源420は、図12の(b)において異なる網掛けで示すように、それぞれ異なる照度又は色度の光を出射する。例えば、本適用例において、認識部23は、撮影装置21によって生成された画像に基づいて、照度情報及び色度情報を生成する。制御部24は、複数の光源420の各々に、対応する照度情報及び色度情報に応じた適切な光を出射させる。
[適用例4]
次に、適用例4として、本実施の形態に係る照明システム1をショーケースに適用する例について図13を用いて説明する。図13は、本実施の形態に係る照明システム1をショーケースに適用する適用例4を示す模式図である。
図13の(a)は、照明装置10が照明光を出射することにより、ショーケース内に展示されているペンダント510を照らしている状況を示している。具体的には、ペンダント510を略中心する範囲に第1照射範囲2が形成されている。例えば、複数の第2照射範囲3の1つである第2照射範囲503aには、ペンダント510が含まれている。第2照射範囲503bには、ペンダント510を除く部分(例えば、台座)が含まれている。
図13の(b)は、(a)に示す第1照射範囲2を照明している光源モジュール11に含まれる複数の光源120の様子を模式的に示している。具体的には、複数の光源120には、点滅点灯している光源520と、通常点灯している光源521とが含まれている。光源520は、例えば、光量の異なる照明光を交互に照射している。具体的には、点灯と消灯(光量0)とを繰り返している。光源521は、所定の光量の照明光を連続して照射している。
図13の(a)と(b)とを比較して分かるように、第1照射範囲2内におけるペンダント510(第2照射範囲503a)と、光源モジュール11内における光源520(点滅点灯)の位置とが対応している。また、第1照射範囲2内におけるショーケースのペンダント510を除く部分(第2照射範囲503b)と、光源モジュール11内における光源521(通常点灯)の位置とが対応している。
本適用例では、認識装置20の認識部23が、第1照射範囲2に含まれる複数の第2照射範囲3の各々について対象物の状態を認識する。具体的には、認識部23は、撮影装置21によって生成された画像に対して画像処理を行うことで、ペンダント510を対象物として含むか否かを第2照射範囲3毎に判定する。画像処理は、パターンマッチング又はエッジ検出処理である。なお、ペンダント510などの宝飾品は、光の反射率が高いので、画像内の照度が高い第2照射範囲503aにペンダント510が含まれると判定してもよい。
制御部24は、ペンダント510が含まれていると判定された第2照射範囲503aに対応する光源120を点滅点灯させる。
このように、ペンダント510を含む第2照射範囲503aのみ点滅点灯させるので、ペンダント510の輝き(キラキラ感)を高めることができる。これにより、ペンダント510への注意をより引くことができる。
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る照明システム1は、照明光を出射する照明装置10と、照明光によって照らされる第1照射範囲2に存在する対象物の状態を認識する認識装置20とを備え、照明装置10は、照明光を出射する光源モジュール11であって、第1照射範囲2に含まれ、互いに異なる複数の第2照射範囲3を一対一で照明する複数の光源120を有する光源モジュール11と、複数の光源120の各々を独立して駆動可能なLEDドライバ12とを備え、認識装置20は、対象物の状態を第2照射範囲3毎に認識することで、第2照射範囲3毎の認識データを生成する認識部23と、複数の光源120が、対応する第2照射範囲3毎の認識データに基づいた光を出射するように、LEDドライバ12を制御する制御部24とを備える。
このように、第2照射範囲3毎に生成された認識データに基づいて複数の光源120を制御するので、照射対象物の状態に応じて局所的に照明状態を変化させることができる。このため、例えば、照射対象物の細かな陰影を強調する、あるいは、一部分のみを明るくすることができ、その部分に注意を向けることができる。つまり、局所的な照明を行うことで、注目されやすい部分を形成することができる。
また、例えば、光源モジュール11は、複数の光源120が設けられた、多層配線構造を有する基板110を備える。
このように、基板110が多層配線構造を有するので、配線レイアウトの自由度を高めることができる。したがって、例えば、配線の複雑化、長距離化を抑制することができ、配線による電力ロスなどを抑制することができる。
また、例えば、複数の光源120の各々は、互いにピーク波長が異なる複数の発光素子を備え、LEDドライバ12は、複数の発光素子の各々を独立して駆動可能である。
このように、複数の光源120の各々が複数の発光素子を備えるので、光の演色性を高めることができる。これにより、照明装置10は、対象物の状態に応じた光を出射することができるので、より注目されやすい照明演出を実現することができる。
また、例えば、複数の発光素子の1つは、ピーク波長が600nm以上である赤色光を発する赤色LEDである。
このように、赤色LED120Rを備えるので、光の演色性を高めることができる。これにより、照明装置10は、対象物の状態に応じた光を出射することができるので、より注目されやすい照明演出を実現することができる。
また、例えば、照明装置10は、さらに、光源モジュール11の光出射側に設けられたレンズ部13と、レンズ部13を支持する支持体14とを備え、支持体14は、レンズ部13及び光源モジュール11の少なくとも一方を、レンズ部13と光源モジュール11との距離を変更可能に保持するスライド機構14aを備える。
このように、レンズ部13と光源モジュール11との距離が可変になるので、第2照射範囲3の位置及び大きさを変更することができる。したがって、例えば、第2照射範囲3間での重なりが小さくなるようにレンズ部13と光源モジュール11との距離を調整することで、第1照射範囲2に含まれる対象物に、より精度良く光を照射することができる。これにより、対象物の状態に応じた照明演出を実現することができる。
また、例えば、照明装置10は、さらに、認識データに基づいてスライド機構14aを駆動する駆動装置15を備える。
このように、認識データに基づいてスライド機構14aを駆動するので、例えば、対象物の状態に合わせて、ボケ具合の高い照明、又は、くっきりと見せる照明などを実現することができる。
また、例えば、認識装置20は、さらに、対象物からの可視光又は赤外光を受光することで、第1照射範囲2の画像を生成する撮影装置21を備え、認識部23は、第2照射範囲3毎に、画像に基づいて照度、色度、演色評価数、波長スペクトル、コントラスト、及び、彩度の少なくとも1つを示す情報を、認識データとして生成する。
このように、撮影により得られた画像を利用することで、対象物の状態を簡単に認識することができる。また、画像を利用することで、照度、色度などの各種情報を簡単に抽出することができるので、認識データの精度、すなわち、対象物の状態の認識の程度を高めることができる。認識データの精度が高まることで、対象物を照明する光の調整の精度も高まるので、対象物の状態に応じたより効果的な照明演出を実現することができる。
また、例えば、認識装置20は、さらに、認識データである情報が示す値に対応する、光源120の最適な照明状態を示すデータベース26を記憶する記憶部25を備え、制御部24は、データベース26を参照することで、認識データから最適な照明状態を決定し、決定した最適な照明状態で光源120が光を出射するように、LEDドライバ12を制御する。
このように、データベース26を参照することで、最適な照明状態を簡単に実現することができる。
また、例えば、認識部23は、画像に基づいて第2照射範囲3毎の照度を示す照度情報を認識データとして生成し、制御部24は、照度情報に基づいて、複数の光源120のうち、所定の閾値より低い照度の第2照射範囲3を照射する光源120の照度を小さくしてもよい。
このように、制御部24は、一の第2照射範囲3の照度が所定の閾値より低い場合に、当該一の第2照射範囲3の照度を小さくする。すなわち、制御部24は、暗い領域に照射する光の照度を小さくする。これにより、明暗のコントラストをより強調することができる。
また、例えば、認識部23は、画像に基づいて第2照射範囲3毎の色度を示す色度情報を認識データとして生成し、制御部24は、色度情報に基づいて、複数の光源120が出射する光の色度を、対応する色度情報が示す色度にしてもよい。
このように、制御部24は、第2照射範囲3の色度の光を第2照射範囲3に照射するので、第2照射範囲3の色を強調することができる。したがって、より鮮やかに対象物を照明することができる。
また、例えば、認識部23は、画像に対して顔認識処理を行うことで、画像に顔が含まれるか否かを判定し、制御部24は、顔が含まれていると判定された場合に、複数の光源120のうち、耳の下から顎までの範囲に相当する1以上の第2照射範囲3を照明する1以上の光源120の照度を小さくしてもよい。
このように、いわゆる顎のライン411を照射する光源421の照度を小さくするので、小顔効果を実現することができる。
(その他)
以上、本発明に係る照明システム及び照明装置について、上記実施の形態及びその変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記の実施の形態では、撮影装置21が可視光又は赤外光を受光するカメラである例について示したが、これに限らない。認識装置20は、撮影装置21の代わりに、赤外線センサを備えてもよい。例えば、適用例2において、認識部23は、赤外線センサにより人物310又は人物311が存在するか否かを第2照射範囲3毎に判定することができる。
また、例えば、上記の実施の形態では、複数の光源120の各々が複数の発光素子を備える例について示したが、これに限らない。複数の光源120の各々は、白色LED120Wでもよい。この場合、複数の光源120の各々は、制御部24による制御に基づいて調光又は調色を行ってもよい。なお、調色は、白色光の色温度を変化させることである。
また、例えば、上記の実施の形態では、レンズ部13と光源モジュール11との距離を可変であり、照明装置10による第1照射範囲2が変更可能である例を示したが、これに限らない。すなわち、第1照射範囲2は常に一定でもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、制御部24は、記憶部25に記憶されたデータベース26を参照する例について示したが、これに限らない。
また、例えば、上記の実施の形態では、光源モジュール11がCOBモジュールである例について示したが、これに限らない。光源モジュール11は、SMD(Surface Mounted Device)モジュールでもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、照明装置10と認識装置20とが別体である例について示したが、これに限らない。図14は、本変形例に係る照明装置600の構成を示すブロック図である。本変形例に係る照明装置600は、実施の形態に係る照明システム1の構成要素を備える。
このように、例えば、本変形例に係る照明装置600は、照明光を出射する光源モジュール11であって、照明光によって照らされる第1照射範囲2に含まれ、互いに異なる複数の第2照射範囲3を一対一で照明する複数の光源120を有する光源モジュール11と、複数の光源120を互いに独立して駆動可能なLEDドライバ12と、複数の光源120が、第1照射範囲2に存在する対象物の状態を第2照射範囲3毎に認識することで生成された第2照射範囲3毎の認識データに基づいた光を出射するように、LEDドライバ12を制御する制御部24とを備えてもよい。
これにより、第2照射範囲3毎に生成された認識データに基づいて複数の光源120を制御するので、照射対象物の状態に応じて局所的に照明状態を変化させることができる。このため、例えば、照射対象物の細かな陰影を強調する、あるいは、一部分のみを明るくすることができ、その部分に注意を向けることができる。つまり、局所的な照明を行うことで、注目されやすい部分を形成することができる。
また、上記の各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されてもよく、あるいは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
なお、本発明は、照明システム、照明装置及び認識装置などとして実現できるだけでなく、照明システムなどの各構成要素が行う処理をステップとして含むプログラム、及び、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なDVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体として実現することもできる。
つまり、上述した包括的又は具体的な態様は、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能な記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。