JP6581327B2 - 取引管理方法、利用権管理方法、通信端末、及びプログラム - Google Patents

取引管理方法、利用権管理方法、通信端末、及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、取引管理方法、利用権管理方法、通信端末、及びプログラムに関し、特にブロックチェーンを用いて作品の流通及び利用を管理する技術に関する。
近年、ブロックチェーン技術に依拠する仮想通貨が普及しつつある。ブロックチェーン技術は、参加者全ての取引の履歴を記録した巨大な元帳を、参加者全員で共有する一つの分散データベース技術であると捉えることもできる。このため、ブロックチェーン技術は通貨以外の様々な取引に応用することが考えられ、例えば、複数者間で契約書を交わす際の証跡としてブロックチェーンを用いることも提案されている(特許文献1を参照)。
特開2017−91149号公報
日本国において、絵画や彫刻、デジタルアート等の作品は、ひとたび著作者が他者に販売した後は、その後の二次流通において作品が転売されても、その売り上げが著作者に還元される法的な仕組みはない。このため、芸術家が無名な時代に安価に販売した作品がその後価値を上げたとしても、その価値の向上に係る利益が芸術家に還元されることはまれである。さらに、芸術家が販売した作品の所有者が、その作品を他者に利用させるための利用権を設定して利益を得たとしても、その利益が作品を作成した芸術家に還元されることもまれであると考えられる。このような状態では、著作者の経済的利益が保証されず、著作者の芸術活動に支障をきたしかねない。
本願の発明者は、ブロックチェーン技術を利用することによって、作品が転売される毎又は作品に利用権が設定される毎にその販売額やライセンス料の一部を著作者が取得することができる権利、いわゆる追及権を作品の取引において実現できる可能性について認識した。
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、作品の二次流通及び利用を管理するための技術を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、プログラムである。このプログラムは、複数の端末と通信ネットワークを介して通信可能なコンピュータに、前記通信ネットワーク下に構築されているブロックチェーンであって、作品の作成者を特定するための作成者情報、前記作品の取引規則を定める規則情報、前記作品の取引に用いられる仮想通貨に関する情報、及び前記作品の譲渡履歴を格納する複数のブロックを連結したブロックチェーンを取得する機能と、前記譲渡履歴から、前記作品の現所有者を特定する機能と、前記作品の譲受人を特定する機能と、前記作品の作成者から、前記作品の譲渡価格に前記取引規則に定められた割合を乗じた額である作成者受取額の支払いを受ける者又は管理団体の指定を受け付ける機能と、前記規則情報に含まれる条項であって前記作成者受取額を送金することを定める受益者利益送金条項における送金先を、前記作成者に指定された前記作成者受取額の支払いを受ける者又は管理団体に変更する機能と、前記取引規則にしたがった手順が実行されることによって前記作成者に指定された前記作成者受取額の支払いを受ける者又は管理団体に前記作成者受取額が送金されることを条件として、前記現所有者を特定するための情報を譲渡人を特定するための譲渡人情報に追加するとともに、前記譲受人を特定するための情報を譲受人情報として追加した新たな譲渡履歴を前記ブロックチェーンに追加する機能と、前記作品の所有権の譲渡履歴を追加したブロックチェーンを、前記ブロックチェーンの更新に参加している複数の端末に対して前記通信ネットワークを介してブロードキャストする機能と、を実現させる。ここで、前記追加する機能は、前記作成者受取額を前記譲受人に関連付けられた仮想通貨の残高から減じるとともに、前記作品の作成者が指定した者又は管理団体に関連付けられた仮想通貨の残高に前記作成者受取額を加算する手順が定められた前記取引規則が実行された場合、前記新たな譲渡履歴を前記ブロックチェーンに追加する。
前記ブロックチェーンは、前記作品に関連付けられた情報をさらに格納してもよく、前記プログラムは、前記譲受人のコンピュータに、前記情報を表示部に表示させる機能をさらに実現させてもよい。
前記作品はデジタルアートであり、前記ブロックチェーンは前記作品のハッシュ値をさらに格納してもよく、前記追加する機能は、前記現所有者が所有している作品のハッシュ値と前記ブロックチェーンに格納されているハッシュ値とが一致することを条件として、前記現所有者を特定するための情報を譲渡人を特定するための譲渡人情報に追加するとともに、前記譲受人を特定するための情報を譲受人情報として追加した新たな譲渡履歴を前記ブロックチェーンに追加してもよい。
前記追加する機能は、前記作品の譲受人に関連付けられた仮想通貨の残高が前記作品の譲渡価格に満たない場合、前記現所有者に関連付けられた仮想通貨を特定できない場合、又は前記作品の作成者が指定した者に関連付けられた仮想通貨を特定できない場合の少なくともいずれか一つの条件が満たされる場合、前記現所有者を特定するための情報を譲渡人を特定するための譲渡人情報に追加するとともに、前記譲受人を特定するための情報を譲受人情報として追加した新たな譲渡履歴を前記ブロックチェーンに追加する取引を中止してもよい。
本発明の第2の態様は、取引管理方法である。この方法において、プロセッサが、通信ネットワーク下に構築されているブロックチェーンであって、作品の作成者を特定するための作成者情報、前記作品の取引規則を定める規則情報、前記作品の取引に用いられる仮想通貨に関する情報、及び前記作品の譲渡履歴を格納する複数のブロックを連結したブロックチェーンを取得するステップと、前記譲渡履歴から、前記作品の現所有者を特定するステップと、前記作品の譲受人を特定するステップと、前記作品の作成者から、前記作品の譲渡価格に前記取引規則に定められた割合を乗じた額である作成者受取額の支払いを受ける者又は管理団体の指定を受け付けるステップと、前記規則情報に含まれる条項であって前記作成者受取額を送金することを定める受益者利益送金条項における送金先を、前記作成者に指定された前記作成者受取額の支払いを受ける者又は管理団体に変更するステップと、前記取引規則にしたがった手順が実行されることによって前記作成者に指定された前記作成者受取額の支払いを受ける者又は管理団体に前記作成者受取額が送金されることを条件として、前記現所有者を特定するための情報を譲渡人を特定するための譲渡人情報に追加するとともに、前記譲受人を特定するための情報を譲受人情報として追加した新たな譲渡履歴を前記ブロックチェーンに追加するステップと、前記作品の所有権の譲渡履歴を追加したブロックチェーンを、前記ブロックチェーンの更新に参加している複数の端末に対して前記通信ネットワークを介してブロードキャストするステップと、を実行する。ここで、前記追加するステップにおいて、前記作品の譲渡価格に前記取引規則に定められた割合を乗じた額である作成者受取額を前記譲受人に関連付けられた仮想通貨の残高から減じるとともに、前記作品の作成者が指定した者又は管理団体に関連付けられた仮想通貨の残高に前記作成者受取額を加算する手順が定められた前記取引規則が実行された場合、前記新たな譲渡履歴を前記ブロックチェーンに追加する。
本発明の第3の態様は、複数の端末と通信ネットワークを介して通信可能な通信端末である。この端末は、前記通信ネットワーク下に構築されているブロックチェーンであって、作品の作成者を特定するための作成者情報、前記作品の取引規則を定める規則情報、前記作品の取引に用いられる仮想通貨に関する情報、及び前記作品の譲渡履歴を格納する複数のブロックを連結したブロックチェーンを取得する取得部と、前記譲渡履歴から前記作品の現所有者を特定するとともに、前記作品の譲受人を特定する特定部と、前記取引規則にしたがった手順が実行された場合、前記現所有者を特定するための情報を譲渡人を特定するための譲渡人情報に追加するとともに、前記譲受人を特定するための情報を譲受人情報として追加した新たな譲渡履歴を前記ブロックチェーンに追加する譲渡実行部と、前記作品の所有権の譲渡履歴を追加したブロックチェーンを、前記ブロックチェーンの更新に参加している複数の端末に対して前記通信ネットワークを介してブロードキャストする履歴拡散部と、を備える。ここで、前記取引規則は、前記作品の譲渡価格に前記取引規則に定められた割合を乗じた額である作成者受取額の支払先であって、前記作品の作成者が指定する者又は管理団体に前記作成者受取額への送金を定める受益者利益送金条項が含まれており、前記譲渡実行部は、前記作成者受取額の支払いを受ける者又は管理団体の指定を受け付け、前記作成者受取額を前記譲受人に関連付けられた仮想通貨の残高から減じるとともに、前記作品の作成者が指定した者又は管理団体に関連付けられた仮想通貨の残高に前記作成者受取額を加算する手順が定められた前記取引規則が実行された場合、前記新たな譲渡履歴を前記ブロックチェーンに追加する。
本発明の第4の態様は、プログラムである。このプログラムは、複数の端末と通信ネットワークを介して通信可能なコンピュータに、前記通信ネットワーク下に構築されているブロックチェーンであって、作品の作成者を特定するための作成者情報、前記作品の取引規則を定める規則情報、前記作品の取引に用いられる仮想通貨に関する情報、及び前記作品の譲渡履歴と前記作品に設定されている前記作品を他者に利用させるための権利である利用権に関する情報とを格納する複数のブロックを連結したブロックチェーンを取得する機能と、前記ブロックチェーンに新たな利用権に関する情報を連結する機能とを実現させる。ここで、前記利用権に関する情報は、利用権を許諾した許諾者の情報、利用権を設定された利用権者の情報、利用権の設定日時、利用権の設定期間、利用権の利用区域、利用権の流通経路、利用権の利用態様、及び利用権のライセンス料を含んでおり、前記連結する機能は、新たに連結しようとする利用権に関する情報に含まれる利用権の設定期間、利用権の利用区域、利用権の流通経路、及び利用権の利用態様の全てが、前記取得する機能が取得したブロックチェーンに連結されているいずれかの利用権に関する情報に含まれる利用権の設定期間、利用権の利用区域、利用権の流通経路、及び利用権の利用態様と重複する場合、前記新たな利用権に関する情報の連結を禁止する。
前記プログラムは、前記コンピュータに、前記利用権に関する情報から、前記作品に設定されている利用権の許諾者とライセンス料とを特定する機能と、前記規則情報に定められた取引規則にしたがって、前記ライセンス料に前記取引規則に定められた割合を乗じた額である作成者受取額を前記許諾者に関連付けられた仮想通貨の残高から減じるとともに、前記作品の作成者が指定した者又は管理団体に関連付けられた仮想通貨の残高に前記作成者受取額を加算する機能と、をさらに実現させてもよい。
前記プログラムは、前記コンピュータに、前記作品の作成者から、前記作成者受取額の支払いを受ける者又は管理団体の指定を受け付ける機能と、前記規則情報に含まれる条項であって前記作成者受取額を送金することを定める受益者利益送金条項における送金先を、前記作成者に指定された前記作成者受取額の支払いを受ける者又は管理団体に変更する機能と、をさらに実現させてもよい。
前記作品はデジタルアートであり、前記ブロックチェーンは前記作品のハッシュ値をさらに格納してもよく、前記プログラムは、前記コンピュータに、前記譲渡履歴から前記作品の現所有者を特定する機能をさらに実現させてもよく、前記加算する機能は、前記現所有者が所有している作品のハッシュ値と前記ブロックチェーンに格納されているハッシュ値とが一致することを条件として、前記作成者受取額を前記許諾者に関連付けられた仮想通貨の残高から減じるとともに、前記作品の作成者が指定した者又は管理団体に関連付けられた仮想通貨の残高に前記作成者受取額を加算してもよい。
本発明の第5の態様は、利用権管理方法である。この方法において、複数の端末と通信ネットワークを介して通信可能な機器のプロセッサが、前記通信ネットワーク下に構築されているブロックチェーンであって、作品の作成者を特定するための作成者情報、前記作品の取引規則を定める規則情報、前記作品の取引に用いられる仮想通貨に関する情報、及び前記作品の譲渡履歴と前記作品に設定されている前記作品を他者に利用させるための権利である利用権に関する情報とを格納する複数のブロックを連結したブロックチェーンを取得するステップと、前記ブロックチェーンに新たな利用権に関する情報を連結するステップと、を実行する。ここで、前記利用権に関する情報は、利用権を許諾した許諾者の情報、利用権を設定された利用権者の情報、利用権の設定日時、利用権の設定期間、利用権の利用区域、利用権の流通経路、利用権の利用態様、及び利用権のライセンス料を含んでおり、前記連結するステップにおいて、新たに連結しようとする利用権に関する情報に含まれる利用権の設定期間、利用権の利用区域、利用権の流通経路、及び利用権の利用態様の全てが、前記取得する機能が取得したブロックチェーンに連結されているいずれかの利用権に関する情報に含まれる利用権の設定期間、利用権の利用区域、利用権の流通経路、及び利用権の利用態様と重複する場合、前記新たな利用権に関する情報の連結を禁止する。
本発明の第6の態様は、複数の端末と通信ネットワークを介して通信可能な通信端末である。この端末は、前記通信ネットワーク下に構築されているブロックチェーンであって、作品の作成者を特定するための作成者情報、前記作品の取引規則を定める規則情報、前記作品の取引に用いられる仮想通貨に関する情報、及び前記作品の譲渡履歴と前記作品に設定されている前記作品を他者に利用させるための権利である利用権に関する情報とを格納する複数のブロックを連結したブロックチェーンを取得する取得部と、前記ブロックチェーンに新たな利用権に関する情報を連結するライセンス情報連結部と、を備える。ここで、前記利用権に関する情報は、利用権を許諾した許諾者の情報、利用権を設定された利用権者の情報、利用権の設定日時、利用権の設定期間、利用権の利用区域、利用権の流通経路、利用権の利用態様、及び利用権のライセンス料を含んでおり、前記ライセンス情報連結部は、新たに連結しようとする利用権に関する情報に含まれる利用権の設定期間、利用権の利用区域、利用権の流通経路、及び利用権の利用態様の全てが、前記取得する機能が取得したブロックチェーンに連結されているいずれかの利用権に関する情報に含まれる利用権の設定期間、利用権の利用区域、利用権の流通経路、及び利用権の利用態様と重複する場合、前記新たな利用権に関する情報の連結を禁止する。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、データ構造、記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、作品の二次流通及び利用を管理することができる。
実施の形態に係る取引管理システムの概要を説明するための図である。 実施の形態に係る譲受人端末の機能構成を模式的に示す図である。 実施の形態に係る分散データベースで共有されるブロックチェーンの構成を模式的に示す図である。 実施の形態に係るブロックチェーンに格納されている取引の規則情報を説明するための図である。 実施の形態に係る取引管理システムで実行される取引処理を説明するためのシーケンス図の前半部を説明するための図である。 実施の形態に係る取引管理システムで実行される取引処理を説明するためのシーケンス図の中盤を説明するための図である。 実施の形態に係る取引管理システムで実行される取引処理を説明するためのシーケンス図の後半部を説明するための図である。 第4の変形例に係る譲受人端末の機能構成を模式的に示す図である。 第4の変形例に係る分散データベースで共有されるブロックチェーンの構成を模式的に示す図である。 第4の変形例に係る利用権に関する情報に含まれる各種情報を例示するための図である。 交渉権の有無を格納する交渉権データベースのデータ構造を模式的に示す図である。
<実施の形態の概要>
図1は、実施の形態に係る取引管理システムSの概要を説明するための図である。実施の形態に係る取引管理システムSは、作成者Aが使用する端末である作成者端末Ta、作品Wを管理する作品管理システムM、及びブロックチェーンを用いて作品Wの流通を管理する分散データベースDを含み、これらが通信ネットワークNを介して互いに通信可能な態様で接続している。
通信ネットワークNは、例えばインターネットを用いて実現できる。作成者端末Taは、既知のPC(Personal Computer)、タブレットPC、スマートフォン、ワークステーション等の計算機である。作品管理システムMは、作品Wを登録するための登録サーバ、作品Wの取引のプラットホームとなる取引サーバ、作品Wの流通を管理するためのブロックチェーンに参加するユーザを登録するユーザ登録サーバ、及び作品Wを表示するための作品表示サーバとしての機能を備える。作品管理システムMは、これらの機能を単一のブレードサーバで実現してもよいし、それぞれ専用のサーバを用いて実現してもよいし、クラウドコンピューティング技術を用いて実現してもよい。
以下、図1を参照して、実施の形態に係る取引管理システムSで行われる処理の手順を(1)から(8)で説明するが、その説明は図1中の(1)から(8)と対応する。
(1)作成者Aは作成した作品Wを作品管理システムMに登録する。具体的には、作成者Aは、少なくとも、作成者A自身を特定するための作成者情報と、作品Wの取引規則を定める規則情報とを登録する。ここで、作成者情報は、ユーザ登録サーバに登録するユーザ識別子である。これにより、作品管理システムMにおいて、作品Wを取引するためのブロックチェーンが生成される。なお、図1は、作成者Aが作成した作品Wはデジタルアートである場合の例を示している。
(2)作成者Aが作品管理システムMにおいて作品Wを他者に販売する。図1は、作成者Aは、分散データベースDに参加しているユーザの一人であるユーザRに販売した場合の例を示している。このため、図1において、作品Wの現所有者はユーザRである。なお、この場合、販売益は作成者Aに帰する。作成者A自身が所有する作品Wを自らユーザRに販売する一次流通であるからである。
(3)分散データベースDに参加しているユーザの一人であるユーザEは、作品管理システムMにおいて、作品Wの所有権の譲渡に関する取引をユーザRと行う。ここで、ユーザE及びユーザRはともにブロックチェーンに参加しているユーザである。したがって、ユーザEが使用する端末1及びユーザRが使用する端末2は、ともにブロックチェーンを更新する資格を有する参加端末Tの一つである。
ユーザRは作品Wの現所有者であり、ユーザEに対して作品Wの所有権を譲り渡すユーザである。一方、ユーザEは、ユーザRから所有権を譲り受けるユーザである。したがって、以下本明細書において、ユーザR及びユーザEをそれぞれ譲渡人R、譲受人Eと記載することがある。同様に、端末1及び端末2をそれぞれ譲受人端末1及び譲渡人端末2と記載することがある。
(4)作品管理システムMにおいて、譲受人Eが作品Wの所有権移転に関する合意を取り付ける。
(5)分散データベースDに参加している参加端末Tの中のいずれかに設定されたブロックチェーンの更新権限端末3は、作品Wを取引するためのブロックチェーンに格納されている規則情報に基づき、取引規則に定められた条項を順次実行する。ここで、実施の形態に係る取引管理システムSで用いられているブロックチェーンはコントラクト機能を実装するブロックチェーンであり、例えばイーサリアム(Ethereum)である。なお、更新権限端末3はプルーフオブワーク(Proof of Work;PoW)等の既知の規則にしたがって選ばれる。
コントラクトは、取引時に実行される処理であり、所定のプログラミング言語を用いて記述される。実施の形態に係る取引管理システムSにおいては、作品Wの譲渡価格に所定の割合(受益者利益率)を乗じた額に相当する仮想通貨を、作成者Aが指定した者(例えば、作成者A自身)に送金することが取引規則に含まれている。そこで、更新権限端末3は、ブロックチェーンから作成者Aを特定するための作成者情報を取得し、作成者Aに対し、作品Wの譲渡価格に受益者利益率を乗じた価格に相当する仮想通貨を譲受人Eの仮想通貨から送金する。
(6)更新権限端末3は、譲渡人Rに対し、作品Wの譲渡価格から受益者利益を減じた額に相当する仮想通貨を譲受人Eの仮想通貨から送金する。
(7)更新権限端末3は、譲渡人Rから作品Wの所有権の譲渡を受けたことを示す譲渡履歴を、ブロックチェーンに追加する。
(8)更新権限端末3は、新たなブロックチェーンを分散データベースDにブロードキャストする。
このように、実施の形態に係る取引管理システムSは、ブロックチェーンが備えるコントラクト機能を利用して、作品Wに関する作成者Aの追及権の実現を担保することができる。これにより、作品Wが作成者Aの手を離れた後に二次流通市場において転売されても、作成者Aは、取引が生じる度に一定の利益を得ることが保証される。
<実施の形態に係る更新権限端末3の機能構成>
続いて、実施の形態に係る更新権限端末3の機能構成について説明する。
図2は、実施の形態に係る更新権限端末3の機能構成を模式的に示す図である。実施の形態に係る更新権限端末3は、通信部10、記憶部11、及び制御部12を備える。なお、分散データベースDに参加している参加端末Tであれば、いずれの端末も更新権限端末3となり得る。
通信部10は、通信ネットワークNを介して譲受人端末1、譲渡人端末2、作成者端末Ta、及び作品管理システムMとの間でデータを送受信する。記憶部11は、更新権限端末3を実現するコンピュータのBIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)や更新権限端末3の作業領域となるRAM(Random Access Memory)、OS(Operating System)やアプリケーションプログラム、当該アプリケーションプログラムの実行時に参照されるブロックチェーンを含む種々の情報を格納するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置である。
制御部12は、更新権限端末3のCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することによって取得部120、特定部121、表示制御部122、譲渡実行部123、履歴拡散部124、及び記憶制御部125として機能する。
取得部120は、作品Wを取引するためのブロックチェーン(以下、単に「ブロックチェーン」と記載する。)を取得する。このブロックチェーンは、通信ネットワークN下に構築されている。具体的には、取得部120が取得するブロックチェーンは、作品Wの作成者Aを特定するための作成者情報、作品Wの取引規則を定める規則情報、作品Wの取引に用いられる仮想通貨に関する情報、作品Wに関連付けられた情報、及び作品Wの譲渡履歴を格納する複数のブロックを連結したブロックチェーンである。
特定部121は、取得部120が取得したブロックチェーンに含まれる譲渡履歴から、作品Wの現所有者を特定する。具体的には、特定部121は、ブロックチェーンに含まれる譲渡履歴から最新の譲受人を特定することにより、作品Wの現所有者を特定する。取得部120はまた、現所有者から作品Wの譲受を望む譲受人も特定する。
表示制御部122は、取得部120が取得したブロックチェーンに含まれている作品Wに関連付けられた情報を譲受人端末1の表示部に表示させる。ここで「作品Wに関連付けられた情報」とは、作品Wの取引時に譲受人Eと譲渡人Rとが参考として参照するために用意された情報である。作品Wに関連付けられた情報の具体例としては、作品Wを撮像した画像や、作品Wの作成者Aを撮像した画像、作品Wに関するキストデータ及び動画データが挙げられる。なお、作品Wに関連付けられた情報に音声データが含まれる場合には、譲受人端末1の図示しない音声出力部が当該音声データを出力させてもよい。
これらの情報は作品管理システムMの一部である作品表示サーバに保管されており、ブロックチェーンにはその情報又は情報の格納先が保管されている。表示制御部122は、この情報に基づいて作品表示サーバから情報を取得して譲受人端末1の表示部に表示させる。譲受人Eは作品Wの取引時に作品Wに関する情報を確認することができるので、取引対象を取り違えることを抑制できる。
譲渡実行部123は、ブロックチェーンに含まれる取引規則にしたがって作品Wの所有権を現所有者である譲渡人Rから譲受人Eに譲渡するための処理を実行する。ここで「取引規則」とは、作品Wを譲渡する際に必ず実行することが義務付けられた手順である。実施の形態に係る取引管理システムSにおいては、この取引規則にしたがわない取引は無効となり、作品Wの所有権は移動しないように構成されている。なお、譲渡実行部123が実行する処理の詳細は後述する。
履歴拡散部124は、作品Wの所有権の譲渡履歴を追記したブロックチェーンの更新に参加している複数の参加端末T(すなわち、分散データベースDに参加している参加端末T)に対して、通信ネットワークNを介してブロードキャストする。これにより、更新権限端末3は、分散データベースDに参加している参加端末Tの間で最新のブロックチェーンを共有させることができる。
記憶制御部125は、譲渡履歴を含む更新後のブロックチェーンを記憶部11に記憶させる。これにより、作品Wの所有権が譲受人Eから譲渡人Rに譲渡されたことが分散データベースDにおいて共有され、作品Wの所有権の移転が確定する。
なお、作品Wがデジタルデータによって構成されるデジタルアートである場合、ブロックチェーンは作品Wのハッシュ値を格納してもよい。作品Wのハッシュ値は、例えばSHA−3(Secure Hash Algorithm 3)等の既知のハッシュ関数を用いて生成される。
譲渡実行部123は現所有者が所有している作品Wのハッシュ値と、ブロックチェーンに格納されているハッシュ値とが一致することを条件として、作品Wの所有権を譲受人Eに譲渡してもよい。これはすなわち、現所有者が所有している作品Wのハッシュ値と、ブロックチェーンに格納されているハッシュ値とが一致することの条件が、取引規則に含まれることに相当する。これにより、譲受人Eが、改変されていないオリジナルの作品Wを譲り受けることが保証される。
図3は、実施の形態に係る分散データベースDで共有されるブロックチェーンの構成を模式的に示す図である。図3に示すように、ブロックチェーンは、複数のブロックを連結した情報である。複数のブロックのそれぞれは、直前のブロックを示す情報のハッシュ値、ナンス値、作成者情報、取引の規則情報、仮想通貨の情報、作品Wに関する情報、作品Wのハッシュ値、及び作品Wの取引履歴が含まれている。ナンス値は、ブロックのハッシュ値が特定の条件を満たされるようにするために用いられる情報である。
譲渡履歴には、作品Wの譲渡人Rを特定するための譲渡人情報、作品Wの譲受人Eを特定するための譲受人情報、作品Wの取引が行われた日時を示す譲渡日時、及び作品Wの取引額を示す譲渡額が含まれる。図3に示すブロックチェーンのうち、譲渡履歴を除く情報はブロックチェーンの生成時、すなわち、作成者Aが作品WをMに登録したときに確定し、その後は作成者A自身を除いて何人も変更することができない。実施の形態に係る取引管理システムSは、ブロックチェーンに格納する規則情報に、作品Wの作成者Aへの受益者利益送金条項を設けることにより、作成者Aの追及権の履行を担保することができる。
[譲渡実行部123が実行する取引処理]
続いて、譲渡実行部123が作品Wの取引時に実行する取引処理について説明する。
図4は、実施の形態に係るブロックチェーンに格納されている取引の規則情報を説明するための図である。上述したように、実施の形態に係る取引管理システムSが用いるブロックチェーンは、コントラクト機能が実装されている。コントラクト機能の実態は所定のプログラミング言語を用いて実装された関数ないし手続きであり、プログラミング言語が表現可能な範囲において任意の処理を記述することができる。このため、図4に示すように、取引の規則情報はフローチャートの形で表現することができる。
実施の形態に係る取引管理システムSは、作品Wの作成者Aの追及権の履行を担保するために、少なくとも以下の3つのコントラクトを実装している。
1.譲受人Eから作成者Aに受益者利益率分の仮想通貨数を送金すること。
2.譲受人Eから譲渡人Rに売価から受益者利益率分を引いた仮想通貨数を送金すること。
3.最新売価仮想通貨数を含む譲渡履歴を更新(分散データベースDにブロックチェーンをブロードキャスト)すること。
図4に示すフローチャートは、譲渡人Rが譲受人Eへ作品Wの所有権を譲渡する取引に同意したときに開始する。譲渡実行部123は、作品Wの譲渡価格に受益者利益率を乗じた額に相当する譲受人Eの仮想通貨を作成者Aに送金する(S2)。なお、受益者利益率は、あらかじめ規則情報に格納されている。
作成者Aへの送金が成功した場合(S4のYes)、譲渡実行部123は、作品Wの譲渡価格から受益者利益分の額を減じた額に相当する譲受人Eの仮想通貨を譲渡人Rに送金する(S6)。譲渡人Rへの送金が成功した場合(S8のYes)、譲渡価格を含む譲受人Eと譲渡人Rとの間の譲渡履歴を追記したブロックチェーンを分散データベースDにブロードキャストする(S10)。これにより、作品Wの所有権が譲渡人Rから譲受人Eに譲渡されたことが確定する(S12)。
譲受人Eから作成者Aへの送金が失敗した場合(S4のNo)、又は譲受人Eから譲渡人Rへの送金が失敗した場合(S8のNo)、譲渡実行部123は、譲渡人Rとの間における作品Wの所有権の譲渡取引を取り消す(S14)。この場合、譲受人Eから作成者A又は譲渡人Rに送金済みの仮想通貨は、譲受人Eに返却される。また、作品Wの所有権は譲渡人Rに帰属したままとなる。
作品Wの所有権が譲渡人Rから譲受人Eに譲渡されたことが確定するか、譲渡人Rとの間における作品Wの所有権の譲渡取引は不成立となると、本フローチャートにおける処理は終了する。
このように、譲渡実行部123はブロックチェーンに格納された取引の規則情報に則って、作品Wの譲渡価格に取引規則に定められた割合である受益者利益率を乗じた額である作成者受取額を、作品Wの作成者Aに関連付けられた仮想通貨の残高に加算する。同時に、譲渡実行部123は、作成者受取額に相当する仮想通貨を、譲受人Eに関連付けられた仮想通貨の残高から減じる。ブロックチェーンに格納されたコントラクトによって、作品Wの取引時に譲受人Eから作成者Aへの送金を義務付けることにより、取引管理システムSは、作成者Aの追及権の履行を担保することができる。
譲渡実行部123は、例えば作品Wの作成者Aに関連付けられた仮想通貨を特定できない場合、譲受人Eから作成者Aへ送金することはできない。また、例えば譲受人Eに関連付けられた仮想通貨の残高が作品Wの譲渡価格に満たないか、作品Wの現所有者である譲渡人Rに関連付けられた仮想通貨を特定できない場合には、譲渡実行部123は、譲受人Eから譲渡人Rへ送金することができない。このような場合、譲渡実行部123は、譲渡人Rから作品Wの所有権を譲り受ける取引を中止する。これにより、譲渡実行部123は、無効な取引に基づいて作成者Aに受益者利益を供与することを抑制できる。
<実施の形態に係る取引管理システムSで実行される取引処理の処理フロー>
以下、図5、図6、及び図7を参照して、実施の形態に係る取引管理システムSで実行される取引処理の処理フローを説明する。
図5は、実施の形態に係る取引管理システムSで実行される取引処理を説明するためのシーケンス図の前半部を説明するための図である。作成者Aは、作品Wが完成すると(S20)、作成者情報及び作品情報を作品管理システムMに送信する。作品管理システムMは、作成者Aから受信した情報に基づいて、作品Wを登録する(S22)。
作品管理システムMにおいて、作成者情報と作品情報とに規則情報が加えられて作品Wを取引するためのブロックチェーンが生成され、分散データベースDに登録される(S24)。その後、一次流通として、作品Wの所有権が他者に移る。図5、図6、及び図7では、作品Wの現在の所有者は譲渡人Rである。
作品Wの所有権の譲渡を望む譲受人Eは、譲受人端末1を用いて分散データベースDから最新のブロックチェーンを取得する(S26)。ここで、最新のブロックチェーンとは、最も信頼されているブロックチェーンであり、例えばチェーンの長さが最長のブロックチェーンである。譲受人端末1は、取得したブロックチェーンに含まれる譲渡履歴を解析することにより、作品Wの最新の所有者である譲渡人Rを特定する所有者情報を取得する(S28)。
譲受人Eは、譲受人端末1を用いて、作品管理システムMに作品Wの譲渡取引を申し込む(S30)。作品管理システムMは譲受人端末1からの取引を受け付けると(S32)、規則情報を実現するためのコントラクトを分散データベースDにブロードキャストする。
図6は、実施の形態に係る取引管理システムSで実行される取引処理を説明するためのシーケンス図の中盤を説明するための図であり、図5に示すシーケンス図の続きを示す図である。
分散データベースDにおける更新権限端末3は、コントラクトに従い、作品Wの譲渡価格に受益者利益率を乗じた額に相当する額を、受益者利益として仮想通貨に換算して譲受人Eから作成者Aに支払わせる(S34)。これにより、作成者Aは、作品Wの二次流通における受益者利益を受け取ることができる(S36)。
更新権限端末3は、作品Wの譲渡価格から受益者利益を減じた額を、作品Wの譲渡対価として仮想通貨に換算して譲受人Eから譲渡人Rに支払わせる(S38)。これにより、譲渡人Rは、作品Wの譲渡の対価を譲受人Eから取得することができる(S40)。更新権限端末3は、譲渡人Rが譲受人EからWの譲渡の対価を受け取ることと引き換えに、作品Wの所有権を譲渡人Rから譲受人Eに譲渡させる(S42)。これにより、譲受人Eは、譲渡人Rから作品Wの所有権を譲受することができる(S44)。
更新権限端末3は、作品Wの所有権が譲渡人Rから譲受人Eに移ったことを示す譲渡履歴ブロックチェーンに追加する(S46)。
図7は、実施の形態に係る取引管理システムSで実行される取引処理を説明するためのシーケンス図の後半部を説明するための図であり、図6に示すシーケンスの続きを示す図である。
更新権限端末3は、譲渡履歴を追加したブロックチェーンを分散データベースDにブロードキャストする(S48)。分散データベースDにおいてブロックチェーンが追加され新たなブロックチェーンとして更新されるので、譲渡人Rが使用する譲渡人端末2は、新たなブロックチェーンを取得する(S50)。譲受人Eが使用する譲受人端末1も同様に、新たなブロックチェーンを取得する(S52)。
このように、分散データベースDにおいて新たなブロックチェーンが共有され、作品Wの所有権が譲渡人Rから譲受人Eに移ったことが確定する(S54)。この結果、作品Wの現所有者は、譲受人Eとなる。
<実施の形態に係る取引管理システムSが奏する効果>
以上説明したように、実施の形態に係る取引管理システムSによれば、作品Wの二次流通を管理することができる。特に、実施の形態に係る取引管理システムSにおいては、作品Wの作成者Aに譲渡価格の一部を送金することが作品Wの譲渡取引の条件となっている。これにより、作成者Aの作品Wに関する追及権の履行を担保することができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。以下、そのような変形例を説明する。
<第1の変形例>
上記では、譲受人端末1が、コントラクトにしたがい、受益者利益を作成者Aに支払う場合について主に説明した。ここで、譲受人端末1による受益者利益の支払先は、作成者Aによって変更できるようにしてもよい。
これを実現するために、第1の変形例に係る取引管理システムSにおいては、作品Wの流通を管理するためのブロックチェーンのコントラクトに、受益者利益の支払先を変更するための規定が設けられている。具体的には、第1の変形例に係る取引管理システムSが利用するブロックチェーンのコントラクトには、「譲受人Eから作成者Aが指定した者に受益者利益率分の仮想通貨数を送金すること。」が定められている。
第1の変形例に係る取引管理システムSにおいては、作成者Aのみが受益者利益の支払先の変更をすることができる。すなわち、作品管理システムMは、作成者Aのユーザ識別子及び対応するパスワード又は秘密鍵で作品管理システムMにログインすることを条件として、作品Wの流通を管理するためのブロックチェーンのコントラクトにおける受益者利益の支払先の変更を許可する。
作品管理システムMは、コントラクトにおける受益者利益の支払先の変更があったことを、分散データベースDにブロードキャストする。あるいは、作成者Aが所持する更新権限端末3のみが、コントラクトにおける受益者利益の支払先の変更があったことを、分散データベースDにブロードキャストできるようにしてもよい。分散データベースDに参加している参加端末Tのうちのいずれかの更新権限端末は、ブロードキャストされた譲渡履歴を含むブロックチェーンを追加する。これにより、コントラクトにおける受益者利益の支払先の変更が確定する。以後、作品Wの取引時に譲受人端末1がコントラクトを実行すると、作成者Aが指定した者又は管理団体に譲受人Eから受益者利益率分の仮想通貨数が送金される。
このように、作品Wの作成者Aは、受益者利益の支払先を変更することができる。このため、作成者Aは、例えば受益者利益の管理を存命中に相続人や後見人、あるいは信託銀行等の管理団体等に委任することができる。結果として、作成者Aは、受益者利益の受け取りに関連して発生する煩雑な手続き等を他者に依頼することができるため、創作活動に専念することができる。
<第2の変形例>
上記では、仮想通貨を用いて受益者利益を作成者Aに支払う場合について説明した。ここで、受益者利益の支払いは仮想通貨に限られない。例えば、更新権限端末3は、ブロックチェーンのコントラクト機能を用いて譲受人Eの口座から作成者Aの口座に受益者利益に相当する額の現金を送金させるようにしてもよい。
<第3の変形例>
上記では、ブロックチェーンのコントラクト機能を用いて譲受人Eから作成者Aに受益者利益を支払う場合について説明したが、コントラクトに支払い機能を含めなくてもよい。ここで、上述したように、ブロックチェーン技術は、参加者全ての取引の履歴を記録した巨大な元帳を、参加者全員で共有する一つの分散データベース技術であるとも捉えることができる。作成者Aは、自身の作品Wの取引履歴をいつでも確認することができる。したがって、ブロックチェーンのコントラクト機能において譲受人Eから作成者Aに受益者利益を支払うことを実装しない場合には、作成者Aは、元帳を追及権の根拠とすることができる。
<第4の変形例>
上記では、実施の形態に係る取引管理システムSが作品Wの所有権を管理する場合について主に説明した。これに替えて、あるいはこれに加えて、第4の変形例に係る取引管理システムSは、作品Wに設定される利用権を管理するようにしてもよい。以下、第4の変形例に係る取引管理システムSについて説明する。なお、第4の変形例に係る取引管理システムSが主に扱う作品Wは、例えばキャラクター等の種々の商品及びサービスに利用できる作品であることを前提とするが、絵画や彫刻等の一品制作の作品であってもよい。
図8は、第4の変形例に係る更新権限端末3の機能構成を模式的に示す図である。第4の変形例に係る更新権限端末3は、通信部10、記憶部11、及び制御部12を備える。制御部12は、取得部120、特定部121、表示制御部122、記憶制御部125、ライセンス情報特定部126、受取額移動部127、及びライセンス情報連結部128を備える。
なお、図8は、第4の変形例に係る更新権限端末3を説明するための機能構成のみを図示しており、他の構成は省略している。例えば、第4の変形例に係る更新権限端末3は、実施の形態に係る更新権限端末3と同様に、譲渡実行部123及び履歴拡散部124を含んでもよい。
取得部120は、ブロックチェーンを取得する。第4の変形例に係る取得部120が取得するブロックチェーンは、作品Wの作成者Aを特定するための作成者情報、作品Wの取引規則を定める規則情報、作品Wの取引に用いられる仮想通貨に関する情報、及び作品Wの譲渡履歴と作品Wに設定されている利用権に関する情報とを格納する複数のブロックを連結したブロックチェーンである。特に、第4の変形例に係る取得部120が取得するブロックチェーンは、実施の形態に係るブロックチェーンと異なり、作品Wに設定されている利用権に関する情報を格納する複数のブロックも連結している。
ここで「作品Wの利用権」とは、作品Wの所有権は所有権者(作品Wの著作者とは限らない)に残しながら、作品Wを所有権者以外の他者に利用させるための権利の総称である。利用権の具体例としては、複製権、公衆送信権、翻訳権、翻案権、衆送信権、上映権、上演権、演奏権、口述権、展示権、頒布権、及び貸与権等が挙げられる。例えば、作品Wが漫画である場合に、その漫画に登場するキャラクターをノートや鉛筆等の筆記用具に付したり、ステージで踊るための着ぐるみを作成して利用したりするための権利である。
ライセンス情報特定部126は、取得部120が取得したブロックチェーンに含まれる利用権に関する情報を特定する。
図9は、第4の変形例に係る分散データベースDで共有されるブロックチェーンの構成を模式的に示す図である。第4の変形例に係る分散データベースDで共有されるブロックチェーンは、実施の形態に係る分散データベースDで共有されるブロックチェーンと同様に、複数のブロックを連結した情報である。第4の変形例に係るブロックチェーンにおいて、複数のブロックのそれぞれは、直前のブロックを示す情報のハッシュ値、ナンス値、作成者情報、取引の規則情報、仮想通貨の情報、作品Wに関する情報、作品Wのハッシュ値、及び作品Wの取引履歴に加えて、作品Wに設定されている利用権に関する情報が含まれている。
図10は、第4の変形例に係る利用権に関する情報に含まれる各種情報を例示するための図である。図10に示すように、作品Wに設定されている利用権に関する情報(以下、「利用権情報」と記載する。)は、利用権を許諾した許諾者の情報、利用権を設定された利用権者の情報、利用権の設定日時、利用権の設定期間、利用権の利用区域、利用権の流通経路、利用権の利用態様、利用権のライセンス料、及び許諾者の口座情報を含んでいる。
ここで「利用権の利用区域」は、作品Wを利用することができる地理的な制限を特定するための情報である。具体的には、作品Wの利用権者は、利用権の利用区域に定められた地域においてのみ作品Wを利用することができ、それ以外の地域で作品Wを利用することは許可されない。
また「利用権の流通経路」とは、作品Wが利用された商品を流通させるための経路の制限を特定するための情報である。具体的には、百貨店、量販市場、新製品小売業者、メールオーダーのカタログ、インターネット等を示す情報である。
「利用権の利用態様」とは、作品Wの利用先の制限を特定するための情報である。具体的には、靴下、Tシャツ、靴、文房具、ステージにおけるパフォーマンス等のように作品Wを利用する先の商品又はサービスのカテゴリを示す情報である。
ライセンス情報連結部128は、取得部120が取得したブロックチェーンに新たな利用権に関する情報を連結する。ここで、ライセンス情報連結部128は、新たに連結しようとする利用権に関する情報に含まれる利用権の設定期間、利用権の利用区域、利用権の流通経路、及び利用権の利用態様の全てが、取得部120が取得したブロックチェーンに連結されているいずれかの利用権に関する情報に含まれる利用権の設定期間、利用権の利用区域、利用権の流通経路、及び利用権の利用態様の全てと重複する場合、新たな利用権に関する情報の連結を中止する。
これにより、第4の変形例に係る取引管理システムSは、利用権の設定日時、利用権の設定期間、利用権の利用区域、利用権の流通経路、及び利用権の利用態様が重複する異なる利用権が設定されることを抑制できる。
ライセンス情報特定部126は、ブロックチェーンに含まれる利用権情報を解析することにより、作品Wに設定されている利用権のうち解析時に有効な利用権のライセンス料を取得する。
第4の変形例に係る取引管理システムSにおいて、作品Wの取引規則を定める規則情報には、作品Wの利用権設定に関する規則情報も含まれる。具体的には、第4の変形例に係る取引管理システムSが利用するブロックチェーンのコントラクトには、「作品Wに利用権が設定されたとき、許諾者から作成者Aが指定した者又は管理団体に作成者受取額分の仮想通貨数を送金すること」、及び「作成者受取額は、作品Wの利用権のライセンス料に受益者利益率を乗じた額であること」が定められている。
受取額移動部127は、規則情報に定められた取引規則にしたがって、ライセンス料に取引規則に定められた受益者利益率を乗じた額である作成者受取額を許諾者に関連付けられた仮想通貨の残高から減じるとともに、作品Wの作成者が指定した者又は管理団体に関連付けられた仮想通貨の残高に作成者受取額を加算する。
なお、作品Wの現所有者が作品Wの利用権を他の者に許諾した場合、許諾者は現所有者となる。また、作品Wの利用の許諾を受けた者が、さらに他者に対して利用権を許諾した場合には、許諾者は作品Wの現所有者とは異なる者になる。いずれにしても、受取額移動部127は、許諾者に関連付けられた仮想通貨の残高から作成者受取額を減じるとともに、作品Wの作成者が指定した者又は管理団体に関連付けられた仮想通貨の残高に作成者受取額を加算する。
このように、第4の変形例に係る取引管理システムSは、ブロックチェーンが備えるコントラクト機能を利用して、作品Wの利用権に関する作成者Aの追及権の一態様として、利用権のライセンス料に係る利益の一部を作成者Aに還元することを実現できる。これにより、作品Wが作成者Aの手を離れた後にその作品Wに利用権が設定されても、作成者Aは、作品Wの所有者が利用権設定によって得られる利益の一部を得ることが保証される。
第4の変形例に係る更新権限端末3において、作品Wの作成者Aが所持する更新権限端末3の受取額移動部127は、作成者受取額の支払いを受ける者又は管理団体の指定を受け付ける。受取額移動部127は、規則情報に含まれる条項であって作成者受取額を送金することを定める受益者利益送金条項における送金先を、作成者Aに指定された作成者受取額の支払いを受ける者又は管理団体に変更したうえで、分散データベースDにブロードキャストする。分散データベースDに参加している参加端末Tのうちのいずれかの更新権限端末は、ブロードキャストされた譲渡履歴を含むブロックチェーンを追加する。これにより、コントラクトにおける受益者利益の支払先の変更が確定する。以後、作品Wに利用権が設定されると、設定時にコントラクトが実行され、作成者Aが指定した者又は管理団体に許諾者から受益者利益率分の仮想通貨数が送金される。
作成者Aは、例えば受益者利益の管理を存命中に相続人や後見人、あるいは信託銀行等の管理団体等に委任することができる。この結果、作品Wの作成者Aは、受益者利益の受け取りに関連して発生する煩雑な手続き等を他者に依頼することができるため、創作活動に専念することができるようになる。さらに、作品Wの作成者Aの死後も、作成者Aが指定した者又は管理団体が受益者利益を受け取ることができるので、追及権の行使をより確実なものとすることができる。
第4の変形例に係る取引管理システムSも、実施の形態に係る取引管理システムSと同様に、作成者Aが作成した作品Wはデジタルアートである場合もあり得る。作品Wがデジタルアートである場合、ブロックチェーンは作品Wのハッシュ値を格納している。
特定部121は、譲渡履歴を解析して作品Wの現所有者を特定する。受取額移動部127は、現所有者が所有している作品のハッシュ値とブロックチェーンに格納されているハッシュ値とが一致することを条件として、作成者受取額を許諾者に関連付けられた仮想通貨の残高から減じるとともに、作品の作成者が指定した者又は管理団体に関連付けられた仮想通貨の残高に作成者受取額を加算する。これにより、第4の変形例に係る取引管理システムSは、改変されていないオリジナルの作品Wに利用権が設定されることを保証できる。
<第5の変形例>
作品Wの所有者は、他者に利用権を設置することができる。ここで、作品Wの利用権を設定された利用権者が、さらに他者に利用権を設定できると、作品Wの所有者が直接働きかけなくても、作品Wの利用が広がっていく点で有利である。一方、作品Wの所有者は、作品Wの利用が無制限に広がっていくことを望まず、自身で制御することを望む場合もありうる。
そこで、第5の変形例に係る取引管理システムSは、分散データベースDに参加しているユーザが他のユーザに利用権を設定することができる権利である「交渉権」を設定することができる。交渉権が設定されているユーザでなければ、他のユーザに利用権を設定することができない。また、交渉権の設定及び解除は、作品Wの所有者又は、作品Wの所有者に指定された者ないし管理団体のみが実施できる。
図11は、交渉権の有無を格納する交渉権データベースのデータ構造を模式的に示す図である。交渉権データベースは作品管理システムMに格納されており、ユーザ登録サーバによって管理されている。
分散データベースDに参加しているユーザにはユーザ識別子が割り当てられている。図11に示すように、交渉権データベースは、ユーザ識別子と、そのユーザ識別子で特定されるユーザに交渉権が設定されているか否かを示す情報とを対応付けて格納している。さらに、交渉権が設定されていることを示す情報が格納されている場合、その交渉権の有効期間、交渉の対象となる作品を特定するための作品識別子、利用権を設定可能な利用区域、利用権の流通経路、及び利用権の利用態様も格納される。
なお、利用権の設定の対象となっている作品が絵画や彫刻等の一品制作の作品である場合、その作品に作品識別子を格納するICタグ(Integrated Circuit tag)を付すことにより、作品識別子として利用できるようにしてもよい。また、利用権の設定の対象となっている作品がデジタル情報で構成されるデジタルアートや構造物の内部空間等を表現する3次元情報である場合には、作品識別子を示す情報を電子透かしを用いて作品に埋め込んでもよい。これにより、交渉権データベースに格納されている作品識別子と交渉の対象となっている作品識別子とが一致するか否かを、交渉権を持つユーザが交渉時に確認することができる。
図11に示す例では、ユーザ識別子がUID00001であるユーザは作品Wの所有者である。このため、ユーザ識別子がUID00001であるユーザは、他のユーザに交渉権を設定したり、交渉権が設定されているユーザから交渉権を解除したりすることができる。また、ユーザ識別子がUID00002であるユーザには交渉権が設定されておらず、ユーザ識別子がUID0XXXXであるユーザには交渉権が設定されている。
ライセンス情報連結部128は、取得部120が取得したブロックチェーンに新たな利用権に関する情報を連結する前に、その利用権に関する情報に含まれる許諾者のユーザ識別子を取得する。ライセンス情報連結部128は、取得したユーザ識別子に基づいて交渉権データベースに問い合わせ、許諾者に交渉権が設定されているか否かを取得する。ライセンス情報連結部128は、許諾者に交渉権が設定されていない場合、新たな利用権に関する情報の連結を中止する。
これにより、第5の変形例に係る取引管理システムSは、作品Wの所有者が作品Wの利用権の設定を制御する仕組みを提供することができる。
<第6の変形例>
上記では、作品Wに利用権を設定することについて説明した。これは、利用権を設定された利用権者が、即座に利用権を行使することを想定している。これに加えて、利用権の行使のタイミングを定める「利用権行使情報」を利用権に関する情報に追加してもよい。いわば利用権に関するストックオプションである。
具体的には、利用権行使情報は、「行使内容」「行使条件」「行使料」「行使期間」「行使状況」が含まれる。ここで、「行使内容」は行使する内容、「行使条件」は行使する条件、「行使料」は行使したときの料金、「行使期間」は行使期間を制限する期間、「行使状況」は権利を行使済みかどうかが定義される。なお、作品Wの所有者は、利用権者が行使期間中に利用権を行使すると、そのタイミングで「行使料」が作品Wの作成者に還元される。
これにより、分散データベースDに参加しているユーザは、ある作品Wの利用権が安いときに利用権を取得し、利用権行使情報が定める期間内であればいつでも行使のタイミングを決定することができるようになる。
1・・・譲受人端末
2・・・譲渡人端末
3・・・更新権限端末
10・・・通信部
11・・・記憶部
12・・・制御部
120・・・取得部
121・・・特定部
122・・・表示制御部
123・・・譲渡実行部
124・・・履歴拡散部
125・・・記憶制御部
126・・・ライセンス情報特定部
127・・・受取額移動部
128・・・ライセンス情報連結部
D・・・分散データベース
M・・・作品管理システム
N・・・通信ネットワーク
S・・・取引管理システム
T・・・参加端末
Ta・・・作成者端末
本発明は、利用権管理方法、通信端末、及びプログラムに関し、特にブロックチェーンを用いて作品の流通及び利用を管理する技術に利用できる。

Claims (5)

  1. プログラムであって、複数の端末と通信ネットワークを介して通信可能なコンピュータに、
    前記通信ネットワーク下に構築されているブロックチェーンであって、作品の作成者を特定するための作成者情報、前記作品の取引規則を定める規則情報、前記作品の取引に用いられる仮想通貨に関する情報、及び前記作品の譲渡履歴と前記作品に設定されている前記作品を他者に利用させるための権利である利用権に関する情報とを格納する複数のブロックを連結したブロックチェーンを取得する機能と、
    前記ブロックチェーンに新たな利用権に関する情報を連結する機能とを実現させ、
    前記利用権に関する情報は、利用権を許諾した許諾者の情報及び利用権のライセンス料を含んでおり、
    前記プログラムは、前記コンピュータに、
    前記利用権に関する情報から、前記作品に設定されている利用権の許諾者とライセンス料とを特定する機能と、
    前記規則情報に定められた取引規則にしたがって、前記ライセンス料に前記取引規則に定められた割合を乗じた額である作成者受取額を前記許諾者に関連付けられた仮想通貨の残高から減じるとともに、前記作品の作成者が指定した者又は管理団体に関連付けられた仮想通貨の残高に前記作成者受取額を加算する機能と、
    前記作品の作成者から、前記作成者受取額の支払いを受ける者又は管理団体の指定を受け付ける機能と、
    前記規則情報に含まれる条項であって前記作成者受取額を送金することを定める受益者利益送金条項における送金先を、前記作成者に指定された前記作成者受取額の支払いを受ける者又は管理団体に変更する機能とをさらに実現させる、
    プログラム。
  2. 前記利用権に関する情報は、利用権を設定された利用権者の情報、利用権の設定日時、利用権の設定期間、利用権の利用区域、利用権の流通経路、及び利用権の利用態様をさらに含んでおり、
    前記連結する機能は、新たに連結しようとする利用権に関する情報に含まれる利用権の設定期間、利用権の利用区域、利用権の流通経路、及び利用権の利用態様の全てが、前記取得する機能が取得したブロックチェーンに連結されているいずれかの利用権に関する情報に含まれる利用権の設定期間、利用権の利用区域、利用権の流通経路、及び利用権の利用態様と重複する場合、前記新たな利用権に関する情報の連結を禁止する、
    請求項1に記載のプログラム。
  3. 前記作品はデジタルアートであり、前記ブロックチェーンは前記作品のハッシュ値をさらに格納しており、
    前記プログラムは、前記コンピュータに、前記譲渡履歴から前記作品の現所有者を特定する機能をさらに実現させ、
    前記加算する機能は、前記現所有者が所有している作品のハッシュ値と前記ブロックチェーンに格納されているハッシュ値とが一致することを条件として、前記作成者受取額を前記許諾者に関連付けられた仮想通貨の残高から減じるとともに、前記作品の作成者が指定した者又は管理団体に関連付けられた仮想通貨の残高に前記作成者受取額を加算する、
    請求項1又は2に記載のプログラム。
  4. 複数の端末と通信ネットワークを介して通信可能な機器のプロセッサが実行する利用権管理方法であって
    前記通信ネットワーク下に構築されているブロックチェーンであって、作品の作成者を特定するための作成者情報、前記作品の取引規則を定める規則情報、前記作品の取引に用いられる仮想通貨に関する情報、及び前記作品の譲渡履歴と前記作品に設定されている前記作品を他者に利用させるための権利である利用権に関する情報とを格納する複数のブロックを連結したブロックチェーンを取得するステップと、
    前記ブロックチェーンに新たな利用権に関する情報を連結するステップと、を含み
    前記利用権に関する情報は、利用権を許諾した許諾者の情報及び利用権のライセンス料を含んでおり、
    前記利用権管理方法は、
    前記利用権に関する情報から、前記作品に設定されている利用権の許諾者とライセンス料とを特定するステップと、
    前記規則情報に定められた取引規則にしたがって、前記ライセンス料に前記取引規則に定められた割合を乗じた額である作成者受取額を前記許諾者に関連付けられた仮想通貨の残高から減じるとともに、前記作品の作成者が指定した者又は管理団体に関連付けられた仮想通貨の残高に前記作成者受取額を加算するステップと、
    前記作品の作成者から、前記作成者受取額の支払いを受ける者又は管理団体の指定を受け付けるステップと、
    前記規則情報に含まれる条項であって前記作成者受取額を送金することを定める受益者利益送金条項における送金先を、前記作成者に指定された前記作成者受取額の支払いを受ける者又は管理団体に変更するステップとをさらに含む、
    利用権管理方法。
  5. 複数の端末と通信ネットワークを介して通信可能な通信端末であって、
    前記通信ネットワーク下に構築されているブロックチェーンであって、作品の作成者を特定するための作成者情報、前記作品の取引規則を定める規則情報、前記作品の取引に用いられる仮想通貨に関する情報、及び前記作品の譲渡履歴と前記作品に設定されている前記作品を他者に利用させるための権利である利用権に関する情報とを格納する複数のブロックを連結したブロックチェーンを取得する取得部と、
    前記ブロックチェーンに新たな利用権に関する情報を連結するライセンス情報連結部と、を備え、
    前記利用権に関する情報は、利用権を許諾した許諾者の情報及び利用権のライセンス料を含んでおり、
    前記通信端末は、
    前記利用権に関する情報から、前記作品に設定されている利用権の許諾者とライセンス料とを特定するライセンス情報特定部と、
    前記規則情報に定められた取引規則にしたがって、前記ライセンス料に前記取引規則に定められた割合を乗じた額である作成者受取額を前記許諾者に関連付けられた仮想通貨の残高から減じるとともに、前記作品の作成者が指定した者又は管理団体に関連付けられた仮想通貨の残高に前記作成者受取額を加算する受取額移動部と、をさらに備え、
    前記受取額移動部は、前記作品の作成者から、前記作成者受取額の支払いを受ける者又は管理団体の指定を受け付けるとともに、前記規則情報に含まれる条項であって前記作成者受取額を送金することを定める受益者利益送金条項における送金先を、前記作成者に指定された前記作成者受取額の支払いを受ける者又は管理団体に変更する、
    通信端末。
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