JP6580461B2 - 電子機器の冷却装置 - Google Patents

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本発明は、海水を用いた電子機器の冷却装置に関する。
従来、電動機によって推進器を駆動することの可能な電気推進方式の船舶が知られている。推進器を駆動する電動機は発電機からの電力供給を受ける。この発電機と電動機との間には、発電機で発電した直流電力を交流電力に変換する電力変換装置が介在する。この電力変換装置は、半導体素子などの発熱する電子部品を具備している。
近年、上記のような電気推進方式の船舶の普及や機器の電動化の発展に伴い、推進器を駆動するための電動機に更なる高出力化の要望がある。電動機に供給される電力が大きくなると、電力変換装置の処理量も大きくなり、その結果、電力変換装置の発熱量も増大する。そこで、このような電力変換装置を冷却するために、より高い冷却能力を備えた冷却装置が要求される。
特許文献1には、半導体素子が搭載された基板などの発熱体を冷却するための冷却装置であって、冷却プレートに発熱体を接触させ、冷却プレートに形成された流路に冷媒を導通するものが記載されている。
特開2005−197454号公報
上記のような従来の冷却装置で使用されている冷媒は純水やグリコールなどの絶縁性の高い液体である。上記冷却装置を船舶に搭載された電子機器に適用する場合には、船舶に冷媒を冷却するための補機が必要である。洋上の船舶において容易に入手できる冷熱源は海水であり、上記補機では海水を用いて冷媒を冷却することとなるが、海水で冷却された冷媒は海水よりも高温である。従って、上記のような場合に、冷媒として純水やグリコールを使用する冷却装置の冷却能力は、冷媒として海水を利用する冷却装置の冷却能力と比較して劣る。
上記のような事情を考慮すると、船舶に搭載された電子機器の冷却装置では、冷媒として海水を用いれば高い冷却能率を得られる。しかしながら、海水による冷媒流路の壁の腐食、海洋生物が冷媒流路の壁に付着することによる冷媒流路閉塞や冷却性能の低下、及び、冷媒流路からの海水の漏洩など、海水を冷媒として用いる電子機器の冷却装置を実現するためには多くの課題が残されている。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、上記課題の一つ以上を少なくとも軽減することによって、冷媒として海水を用いる電子機器の冷却装置を実現することにある。
本発明に係る電子機器の冷却装置は、
海水の流路を形成する伝熱管を含む冷却配管と、
前記電子機器に含まれる被冷却体と接触しており、前記伝熱管が挿通される挿通孔が設けられた放熱板と、
前記伝熱管を流れる海水の流速が、前記伝熱管の内壁に海洋生物が付着しない流速の下限値である海洋生物付着限界流速から前記伝熱管の前記内壁に潰食によってその機械的な機能が損なわれる破壊が生じる流速の下限値である耐潰食限界流速までの範囲に含まれる所定流速に維持されるように、前記冷却配管へ海水を送給する海水ポンプと
前記放熱板の前記挿通孔の内壁には当該挿通孔に沿って延びる少なくとも1本の溝が形成されており、前記溝に浸入した水分を検出する水分センサと、
前記水分センサで水分を検出したときに、前記伝熱管からの漏水を検知する検知装置とを備えることを特徴としている。
上記電子機器の冷却装置によれば、伝熱管を流れる海水の流速は、海洋生物付着限界流速以上の一定流速に維持されるので、伝熱管の内壁に海洋生物(例えば、ムラサキイガイやフジツボなどの幼貝など)が付着し堆積することがない。また、伝熱管を流れる海水の流速は耐潰食限界流速未満の一定流速に維持されるので、海水の流れによる伝熱管の内壁の潰食の急激な進行を抑えることができる。
そして、冷却装置を船舶に搭載された電子機器に適用する場合には、被冷却体と接触している放熱板が直接に海水で冷却されるので、純水やグリコールなどの絶縁性の高い液体を冷媒として使用する従来の冷却装置と比較して効果的且つ効率的に被冷却体を冷却することができる。さらに、万が一、伝熱管からの漏水が発生しても、これを直ちに検知することができる。
上記電子機器の冷却装置において、前記冷却配管が、ヘッダと、フッタと、前記ヘッダから前記フッタまでの流路を形成しておりその流路断面積及び流路長が実質的に等しい複数の前記伝熱管とを有していてよい。
これにより、各伝熱管を流れる海水の流速を所定流速に維持することが容易となる。
上記電子機器の冷却装置において、前記海水ポンプが、前記冷却配管を全体に亘って当該冷却配管を流れる海水の流速が、前記海洋生物付着限界流速から前記耐潰食限界流速までの範囲に含まれる値となるように、前記冷却配管へ海水を送給してよい。
これにより、冷却配管の内壁にムラサキイガイやフジツボなどの幼貝が付着し堆積することがなく、また、海水の流れによる冷却配管の内壁の潰食の急激な進行を抑えることができる。
上記電子機器の冷却装置において、前記伝熱管がキュプロニッケルで構成されていてよい。
これにより、海水に対する高い化学的耐食性を有し且つ熱伝導率の高い金属で伝熱管が形成されているので、伝熱管の内壁のコロージョンを抑えることができる。
本発明によれば、冷媒として海水を用いる電子機器の冷却装置を実現することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器の冷却装置を備えた船舶の推進システムの概略構成を示す図である。 図2は、電子機器の冷却装置の概略構成を示す平面図である。 図3は、電子機器の冷却装置の概略構成を示す側面図である。 図4は、放熱板とこれに挿通された伝熱管の部分断面図である。 図5Aは、冷却配管の変形例1を示す冷却装置の平面図である。 図5Bは、冷却配管の変形例2を示す冷却装置の側面図である。 図6は、流速とエロージョン−コロージョン速度との関係を示す図表である。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。まず、図1を参照しながら、本発明の一実施形態に係る電子機器の冷却装置6を備えた船舶の推進システム2の概略構成について説明する。ここでは、冷却装置6が適用される電子機器を電力変換装置24としているが、冷却装置6が適用される電子機器はこれに限定されない。
図1に示された船舶の推進システム2は、原動機25と電動機3とで推進器21を駆動可能なハイブリッド推進システムである。原動機25の出力は、減速機23を介して推進器21へ伝達される。また、電動機3の出力は、減速機23を介して推進器21へ伝達される。この推進システム2では、推進器21の負荷に応じて駆動源を原動機25と電動機3との間で切り替えることができる。
電動機3には、電力変換装置24に通じる電力系統を介して主発電機27が接続されている。電力変換装置24は、主発電機27で発電された交流電力を所定の周波数に変換したり、電圧を変圧したりするパワーコンディショナとしての機能と、電動機3の制御を行うパワーコントロールユニットとしての機能とを備えている。主発電機27で発電された電力が電力変換装置24を介して電動機3へ供給され、電動機3が駆動される。電力変換装置24には、主発電機27で発電した電力を貯える蓄電池28や、主発電機27で発電した電力又は蓄電池28に貯えられた電力の供給を受ける船内電気設備29なども船舶内の電力系統を介して接続されている。
上記構成の船舶の推進システム2には、電動機3及び電力変換装置24を海水を冷媒として直接的に冷却する海水冷却システム5が設けられている。
海水冷却システム5は、海水を電動機3及び電力変換装置24の各冷却対象へ送る給水管50と、海水を給水管50に取り込んで各冷却対象へ送給する海水ポンプ51と、各冷却対象で冷媒として使われた海水が排出される排水管52とを備えている。給水管50の海水ポンプ51よりも上流側と、排水管52とは、電動機3及び電力変換装置24をバイパスするバイパス管53で接続されており、このバイパス管53には補助ポンプ54が設けられている。排水管52を流れる海水は、船舶外又は船内設備へ送られる。本実施形態において、海水ポンプ51は、原動機25又は電動機3で駆動される。
ここで、電力変換装置24の冷却装置6について詳細に説明する。電力変換装置24の冷却装置6は、上記海水冷却システム5の一部を構成しており、給水管50を通じて送られてきた海水を利用して、電力変換装置24が具備する電子部品241などの発熱する構成要素を冷却するものである。但し、電動機3は、海水以外の冷却媒体(例えば、純水、空気)などで冷却されてもよい。
図2は本発明の一実施形態に係る電子機器(電力変換装置24)の冷却装置6の概略構成を示す平面図、図3は電子機器(電力変換装置24)の冷却装置6の概略構成を示す側面図、図4は放熱板60とこれに挿通された伝熱管72の部分断面図である。
図2に示すように、冷却装置6は、放熱板60と、放熱板60内を流れる冷媒流路を形成する冷却配管7とを備えている。
放熱板60は、厚板形状又はブロック形状を呈し、高い熱伝導性を有する金属(例えば、アルミニウム)で構成されている。放熱板60の上面は平面状であって、この上面に被冷却体が載置又は固定されている。ここで、被冷却体は電力変換装置24に含まれる電子部品241である。放熱板60の上面と電子部品241の底面との間には、両者の微細な隙間を埋めて電子部品241から放熱板60に至る熱抵抗を下げるための放熱グリス(図示略)が介在している。
放熱板60には、放熱板60を貫く複数の挿通孔61が設けられている。各挿通孔61の延伸方向は、放熱板60の上面と平行である。本実施形態に係る放熱板60には6本の挿通孔61が平行且つ等間隔で設けられている。
冷却配管7は、給水管50と接続されたヘッダ71と、排水管52と接続されたフッタ74と、ヘッダ71からフッタ74までの流路を形成する複数の伝熱管72とを備えている。各伝熱管72の流路断面積は入口から出口まで実質的に一定である。また、複数の伝熱管72で、流路長及び流路断面積は実質的に等しい。このように複数の伝熱管72を規定することにより、複数の伝熱管72を流れる海水の流速を一定の値に保持することが容易となる。
冷却配管7のうち、少なくとも伝熱管72は、キュプロニッケル(Niを10〜30%含むCu−Ni合金(白銅))で構成されている。キュプロニッケルは、海水に対する高い化学的耐食性を有するので、伝熱管72を流れる海水の電気化学的作用による伝熱管72の内壁のコロージョンを抑えることができ、流路形成材料として好適である。また、キュプロニッケルは、熱伝導率の高い金属であるので、伝熱材料として好適である。
本実施形態に係る冷却配管7では、3本の往路管72aと3本の復路管72bとの合わせて6本の伝熱管72が設けられている。各往路管72aの上流側端部はヘッダ71と接続されており、下流側端部は中間ヘッダ73と接続されている。各復路管72bの上流側端部は中間ヘッダ73と接続されており、下流側端部はフッタ74と接続されている。
上記構成の冷却配管7において、海水ポンプ51によって給水管50からヘッダ71へ圧送されてきた海水は、往路管72a、中間ヘッダ73、復路管72b、及びフッタ74をこの順番に通過し、排水管52へ排出される。
図3に示すように、各伝熱管72は、放熱板60に形成された挿通孔61に挿通されている。伝熱管72の外壁と挿通孔61の内壁との間は実質的に隙間がなく、放熱板60から伝熱管72へ熱が伝達される。
各挿通孔61の内壁には、当該挿通孔61に沿って延びる少なくとも1本の溝62が形成されている。本実施形態に係る放熱板60の挿通孔61には、その内壁に挿通孔61と平行に延びる8本の溝62が形成されており、これらの溝62は円周方向に等間隔で配置されている。このように、挿通孔61の延伸方向と溝62の延伸方向が平行であれば、放熱板60を押出し成形により製造することができる。但し、溝62の形状はこれに限定されず、例えば、挿通孔61の内壁において当該挿通孔61に沿って延びる螺旋形状であってもよい。
挿通孔61に形成された各溝62の上流側端部及び下流側端部は、それぞれ合流して一つに束ねられている。例えば、挿通孔61に形成された全ての溝62を結合する円周方向の溝を設ける、挿通孔61に形成された各溝62を延長する延長チューブを設ける、或いは、挿通孔61に形成された各溝62に亘る受け皿を設けるなどして、溝62の端部を合流させて全ての溝62を1つに束ねることができる。そして、全ての溝62が束ねられているところに、溝62を伝わって流れる水分を検出する水分センサ81が設けられている。なお、本実施形態では、溝62の上流側端部及び下流側端部の双方に水分センサ81が設けられるが、水分センサ81は溝62の上流側端部及び下流側端部の少なくとも一方に設けられていればよい。
水分センサ81には、検知装置82が接続されている。水分センサ81で水分が検出されると、検知装置82は伝熱管72からの漏水を検知し、それを報知する。
上記構成の海水冷却システム5及びこれに具備される冷却装置6において、海水ポンプ51の動作により、冷却配管7へ海水が送給されると、伝熱管72を流れる海水によって放熱板60が冷却される。放熱板60は、接触している電子部品241から熱を奪う。このようにして、電子部品241を放熱させて冷却することができる。
ここで、海水ポンプ51の吐出量はコントローラ66により制御されている。コントローラ66は、各伝熱管72を流れる海水の流速が、海洋生物付着限界流速から耐潰食限界流速までの範囲に含まれる所定流速に維持されるように、海水ポンプ51の吐出量を制御する。なお、各伝熱管72を流れる海水の流速は、一定値に維持することが望ましいが、海洋生物付着限界流速から耐潰食限界流速までの範囲内となるように、海水ポンプ51の吐出量が制御されてもよい。また、ヘッダ71やフッタ74も金属材料で構成されている場合には、コントローラ66は、冷却配管7の全体に亘って、配管を流れる海水の流速が海洋生物付着限界流速から耐潰食限界流速までの範囲内となるように、海水ポンプ51の吐出量を制御する。海洋生物付着限界流速、耐潰食限界流速、及び、伝熱管72を流れる海水の所定流速は、予めコントローラ66に与えられ、記憶されている。
上記において「海洋生物付着限界流速」とは、海水と共に管内に取り込んだ海洋生物(ムラサキイガイやフジツボなどの幼貝)が管内壁に付着しない海水の流速の下限値である。管内の海水の流れが海洋生物付着限界流速以上であれば、海水と共に管内に流入した海洋生物が伝熱管72の内壁に付着したり、これらが繁殖して流路を部分的に閉塞したりすることが防止できるといわれている。
そこで、本実施形態に係る冷却装置6では、各伝熱管72を流れる海水の流速を海洋生物付着限界流速以上の一定流速に維持している。これにより、伝熱管72の内壁に海洋生物が付着し堆積することがない。
海洋生物付着限界流速については従来から調査・研究されている。参考文献1(特開2014−145204号公報)には、発電プラントにおいて、伝熱管の管内に海水を取り込むに際して、管内を流れる海水の流速を1.18m/sから2.20m/sの範囲とすれば、管内にムラサキイガイの幼貝などの付着を抑制できることが記載されている。また、参考文献2(特開平4−136798号公報)では、原子力発電所の海水系配管において、配管内の海水流速を2〜3m/sで連続通水させることで海洋生物の付着を防止することが記載されている。また、参考文献3(「平成20年度高効率発電のための発電設備利用技術及び諸制約の調査報告書」社団法人日本機械工業連合会・財団法人海洋生物環境研究所、平成21年3月、10ページ1〜2行目)では、火力発電所や原子力発電所などの発電設備において、タービン蒸気を冷却するための海水循環路において、ムラサキイガイやフジツボ類の付着限界流速が0.8〜1.4m/sであることが示されている。また、参考文献4(「Desalination Volume 154, Issue 3, 10 May 2003, Pages 277?290」"Marine macrofouling: a review of control technology in the context of an on-line experiment in the turbine condenser water box of Al-Jubail Phase-1 power/MSF plants"、9ページ14〜17行)には、海洋生物の付着限界速度が1.2m/sであることが記載されている。
なお、海洋生物付着限界流速は、前述の通り研究者によって様々な値が報告されているが、これらを総合的に勘案して、例えば、2m/sとしてよい。
また、上記において「耐潰食限界流速」とは、伝熱管72の内壁に潰食によってその機械的な機能が損なわれる破壊が生じる流速の下限値である。
伝熱管72に海水を流すと、伝熱管72の内壁に対する海水の流れの相対的動きや、内壁に海水の流れが与える衝撃が繰り返されることによって、内壁の潰食(エロージョン又はエロージョン−コロージョン)が促進され、内壁が減肉して亀裂や孔が生じるおそれがある。図6は、海水の流速と金属製の壁のエロージョン−コロージョン速度との関係を示す図表である。この図の金属Aに示されるエロージョン−コロージョン速度(潰食の進行速度)は、或る流速に達すると急激に増加するという特徴を有する。また、同図の金属Bに示されるエロージョン−コロージョン速度は、上記とは別の或る速度で発生し、流速の増加に伴いエロージョン−コロージョン速度が増大するという特徴を有する。上記或る速度では、流れの剪断力によって壁の表面が局所的に破壊され、その場所では表面がカソード、破壊された表面から露出した内部がアノードとなって腐食電流が流れることによって、壁の破壊が急激に進行すると考えられている。
伝熱管72の内壁の代表的な「機械的な機能」とは、海水が流れる流路を保持する第1機能、流路を密封する第2機能、流路の強度を保持する第3機能、被冷却体(例えば、電子部品241)と所定の熱交換を行う第4機能などである。これらの各機能はエロージョンによって損なわれる恐れがあるが、いずれか一つが損なわれるとその壁は流路形成部材としての機能を果たすことができない。第1機能については、伝熱管72の想定寿命よりも前に、エロージョンによる流路拡大が生じて、設計された流路形状が保持できなくなるような海水の流速が「耐潰食限界流速」となる。第2機能については、伝熱管72の想定寿命よりも前に、エロージョンによる減肉によって流体の圧力に耐えられなくなり、密封が維持できなくなるような海水の流速が「耐潰食限界流速」となる。第3機能については、伝熱管72の想定寿命よりも前に、エロージョンによる減肉によって、被冷却体及び自身の荷重と外部から加わる外力により壁に変形が生じるような海水の流速が「耐潰食限界流速」となる。また、第4機能については、伝熱管72の想定寿命よりも前に、エロージョンにより流路表面が荒れて、流体の流れに偏流などが生じ、設計された熱交換を行えなくなるような海水の流速が「耐潰食限界流速」となる。なお、上記において「想定寿命」は伝熱管72の任意の想定寿命(例えば、20年)である。上記のように規定される「耐潰食限界流速」は、壁を構成している金属材料、流路形状、想定寿命、使用条件(例えば、交換熱量、外力の大きさ、流路を形成している壁自身の大きさなど)によって適宜定まる値である。
潰食の進行を抑えるためには、海水の流速を抑えたり流路の形状を工夫することによって、海水の流れが流路の壁に与える機械的力を低減することが有効である。そこで、本実施形態に係る冷却装置6では、伝熱管72を流れる海水の流速を耐潰食限界流速未満の一定流速に維持している。これにより、海水の流れによる伝熱管72の内壁の潰食の急激な進行を抑えることができる。伝熱管72に流す海水に対する「耐潰食限界流速」は、上記第1〜4機能についての「耐潰食限界流速」を総合的に考慮して定めることが望ましい。このような「耐潰食限界流速」として、例えば、図6に示すような、エロージョン−コロージョン速度が急激に増加する或る流速の値や、エロージョン−コロージョンが発生する或る流速の値を用いてもよい。
耐潰食限界流速については従来から調査・研究されている。参考文献5(学会誌「冷凍」、公益社団法人日本冷凍空調学会、33号、1999年3月)に掲載された英国非鉄金属協会のデータによると、90/10キュプロニッケル、及び、70/30キュプロニッケルの耐潰食限界流速は4.5m/sである。また、参考文献6(「エロージョン−コロージョン入門: 流れがもたらす材料劣化現象」、松村昌信,礒本良則,矢吹彰広著、日本工業出版、2005年4月、65頁表3−1)では、海水による90/10キュプロニッケルの耐潰食限界流速が2.4m/sであり、70/30キュプロニッケルの耐潰食限界流速が3.6m/sであることが報告されていると記載されている。また、参考文献7(「Marine Corrosion causes and prevention」Francis L. Lague、1975、150〜151頁図4−49,4−50)には、70/30キュプロニッケルは海水流速が50ft/s(≒15m/s)以下での腐食速度が10mpy(≒0.25mm/y)以下、海水流速が15ft/s(≒4.6m/s)以下での腐食速度が1mpy(≒0.025mm/y)以下であり、90/10キュプロニッケルは海水流速が12ft/s(≒3.6m/s)以下での腐食速度が5mpy(≒0.13mm/y)以下であり、海水流速が8ft/s(≒2.4m/s)以下での腐食速度が1mpy(≒0.025mm/y)以下であることが示されている。なお、金属の耐潰食限界流速は材料や海水の温度や濃度により異なる。
なお、耐潰食限界流速は、前述の通り研究者によって様々な値が報告されているが、これらを総合的に勘案して、伝熱管72がキュプロニッケル製である場合に、例えば、4m/sとしてよい。
上記のように伝熱管72の内壁の潰食の進行が抑えられていても、潰食が進行して伝熱管72に亀裂や孔が生じるおそれがある。伝熱管72に亀裂や孔が生じると、ここを通じて海水が伝熱管72から漏れ出て放熱板60の溝62に浸入し、溝62に沿って溝62の下流側端部又は上流側端部へ流れる。溝62の下流側端部又は上流側端部に到達した海水が水分センサ81により検出されると、検知装置82は伝熱管72からの漏水を検出したことを報知する。このように、万が一、伝熱管72からの漏水が発生しても、これを直ちに検知することができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
例えば、冷却配管7の態様は、各伝熱管72の入口から出口までに亘って海水の流速が一定に維持しやすい形状であり、且つ、複数の伝熱管72の流路長が等しければ、上記実施形態に限定されない。例えば、図5Aに示すように、冷却配管7が、放熱板60を間に介して一方にヘッダ71が配置され他方にフッタ74が配置され、これらの間を直線的に接続するように流路長及び流路面積の等しい複数の伝熱管72が平行に並べて配置されたものであってもよい。また、例えば、図5Bに示すように、冷却配管7が、放熱板60の一方においてヘッダ71とフッタ74が上下に配置され、これらの間を接続するU字形状の伝熱管72が複数平行に並べて配置されたものであってもよい。なお、図5Bでは複数の伝熱管72のうち一本だけが示されている。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
2 :推進システム
3 :電動機
5 :海水冷却システム
6 :冷却装置
7 :冷却配管
24 :電力変換装置(電子機器の一例)
241 :電子部品(被冷却体の一例)
50 :給水管
51 :海水ポンプ
52 :排水管
60 :放熱板
61 :挿通孔
62 :溝
66 :コントローラ
71 :ヘッダ
72 :伝熱管
72a :往路管
72b :復路管
74 :フッタ
81 :水分センサ
82 :検知装置

Claims (4)

  1. 電子機器の冷却装置であって、
    海水の流路を形成する伝熱管を含む冷却配管と、
    前記電子機器に含まれる被冷却体と接触しており、前記伝熱管が挿通される挿通孔が設けられた放熱板と、
    前記伝熱管を流れる海水の流速が、前記伝熱管の内壁に海洋生物が付着しない流速の下限値である海洋生物付着限界流速から前記伝熱管の前記内壁に潰食によってその機械的な機能が損なわれる破壊が生じる流速の下限値である耐潰食限界流速までの範囲に含まれる所定流速に維持されるように、前記冷却配管へ海水を送給する海水ポンプと
    前記放熱板の前記挿通孔の内壁には当該挿通孔に沿って延びる少なくとも1本の溝が形成されており、前記溝に浸入した水分を検出する水分センサと、
    前記水分センサで水分を検出したときに、前記伝熱管からの漏水を検知する検知装置とを備える、
    電子機器の冷却装置。
  2. 前記冷却配管が、ヘッダと、フッタと、前記ヘッダから前記フッタまでの流路を形成しておりその流路断面積及び流路長が実質的に等しい複数の前記伝熱管とを有する、
    請求項1に記載の電子機器の冷却装置。
  3. 前記海水ポンプは、前記冷却配管の全体に亘って当該冷却配管を流れる海水の流速が、前記海洋生物付着限界流速から前記耐潰食限界流速までの範囲に含まれる値となるように、前記冷却配管へ海水を送給する、
    請求項1又は2に記載の電子機器の冷却装置。
  4. 前記伝熱管がキュプロニッケルで構成されている、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の電子機器の冷却装置。
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