JP6577908B2 - X線ct画像再構成装置、x線ct画像再構成方法およびx線ct装置 - Google Patents

X線ct画像再構成装置、x線ct画像再構成方法およびx線ct装置 Download PDF

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Description

本発明は、X線CT(Computer Tomography)画像再構成装置、X線CT画像再構成方法およびX線CT装置に関する。
従来のX線CT装置では、X線管が発生する連続(非単色)のエネルギー分布を有するX線光子群を、エネルギー情報が得られない電流モードのX線検出器で検出する構成が一般的であった。X線減弱係数は、原子番号の異なる元素ごとに固有のエネルギー依存性を有しているので、異なるエネルギー分布による複数の減弱係数からは原子番号に関する情報を得ることができる。しかしながら、前記従来の一般的なX線CT装置の構成では、その原子番号に関する情報を取得することができなかった。
そこで、近年では、複数のエネルギー分布を有するX線群による情報を有効に利用するための技術が開発されており、その例として、大きくは次の2つを挙げることができる。その1つは、Dual Energy CTなどと呼ばれ、X線検出器は電流モードのままで、2種のX線管電圧によって発生するX線の2種の連続エネルギー分布を用いるものである。また、他の1つは、Photon Counting CT(PCCT)、Spectral CTなどと呼ばれ、エネルギー情報の取得が可能なパルスモード検出器を用いるものである。
X線CT装置は、物質のX線を遮る能力(減弱係数)の違いを見るものであるが、X線減弱係数のエネルギーに対する依存性は元素(原子番号)によって異なる。従って、N種のエネルギー情報が得られる場合には、異なる実効原子番号の任意の物質M個(M≦N)を基底物質とした物質分解が可能となる(例えば、特許文献1参照)。この物質分解を投影情報から画像に戻す前に行うか、または、後で行うかにより、その画像再構成法には、投影ベース法(pre-reconstruction method)および画像ベース法(post-reconstruction method)の2つの手法が存在する(例えば、非特許文献1参照)。なお、臨床現場の高フラックス条件下のPCCTでは、検出素子が従来に比べ微細化されており、その複雑なスペクトル応答を取り扱うためには、投影ベース法の適用が一般的である。
米国特許出願公開第2006/0109949号明細書
ASSIS, V. C., SALVADEO, D. H. P., MASCARENHAS, N. D. A., LEVADA, A. L, M. "Double Noise Filtering in CT: Pre- and Post-Reconstruction", CONFERENCE ON GRAPHICS, PATTERNS AND IMAGES (SIBGRAPI 2015), IEEE Computer Society, June 2015
投影ベース法は、計測系の複雑なスペクトル応答を取り扱える利点を持つが、尤度は各投影経路で個別に考慮される。従って、その推定値は、投影経路ごとに確定されるので、単純なFBP(Filtered Back Projection:フィルタ補正逆投影)で画像再構成を行えば、低カウント条件の投影経路における高統計ノイズの影響が強く残った低画質の撮像画像となる(非特許文献1)。
そこで、本発明は、高画質のX線CT撮像画像を得ることが可能なX線CT画像再構成装置、X線CT画像再構成方法およびX線CT装置を提供することにある。
本発明に係るX線CT画像再構成装置は、被検体を透過したX線の検出カウント値を、N個(Nは、N≧2なる整数)の互いに異なるエネルギースペクトルに応答して検出するX線検出器に接続され、前記X線検出器によって検出された前記X線の検出カウント値を、前記X線が前記被検体を透過したときのX線透過経路および前記エネルギースペクトルに対応づけて記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記X線の検出カウント値に基づき、前記被検体を構成するM個(Mは、M≦Nなる正の整数)の基底物質のそれぞれの厚さを、前記X線透過経路ごとに推定する基底物質厚さ推定手段と、前記X線の検出カウント値に応じて、前記基底物質の厚さについての誤差値を推定する誤差推定手段と、
前記誤差推定手段によって推定された前記X線透過経路ごとの前記基底物質それぞれの厚さについての誤差値に基づき、前記基底物質厚さ推定手段によって推定された前記X線透過経路ごとの前記基底物質それぞれの厚さを初期値とする前記X線透過経路ごとの前記基底物質のそれぞれの厚さの仮定値について、その仮定値の確からしさの指標である尤度を演算する尤度演算手段と、前記X線透過経路ごとの前記基底物質それぞれの厚さを、前記尤度演算手段によって演算される尤度が増大するように更新する基底物質厚さ更新手段と、前記基底物質厚さ更新手段によって更新された前記X線透過経路ごとの前記基底物質それぞれの厚さを逆投影して、前記被検体の前記M個の基底物質についての基底物質濃度画像を再構成する基底物質濃度画像再構成手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、高画質のX線CT撮像画像を得ることが可能なX線CT画像再構成装置、X線CT画像再構成方法およびX線CT装置が提供される。
本発明の実施形態に係るX線CT画像再構成装置の構成の例を示した図。 基底物質の厚さ投影誤差推定モデル曲線の例を示した図。 厚さ誤差推定型投影処理部の処理で得られたX線投影経路ごとの複数の基底物質の厚さの散布図の例を示した図。 図3の散布図で表された基底物質Aの厚さと基底物質Bの厚さとの関係を2次元の正規分布でモデル化した例を示した図。 基底物質Aの厚さおよび基底物質Bの厚さで表わされる空間における尤度等高線の例を示した図。 比較例に係る従来の一般的なX線CT画像再構成装置の構成の例を示した図。 被検体の基底物質濃度画像の例を示した図であり、(a)は、本発明の実施形態に係るX線CT画像再構成装置で算出された基底物質濃度画像の例、(b)は、比較例に係るX線CT画像再構成装置で算出された基底物質濃度画像の例。 本発明の実施形態に係るX線CT画像再構成方法をコンピュータにより実現するための基本的な処理手順の例を示した図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図面において、共通する構成要素には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
<1.X線CT画像再構成装置10の構成>
図1は、本発明の実施形態に係るX線CT画像再構成装置10の構成の例を示した図である。X線CT画像再構成装置10は、X線CT装置の一部を構成し、被写体の複数角度位置からのX線透過量の計測値から被写体の断層画像を生成する装置である。本実施形態に係るX線CT装置は、図示を省略するが、従来の一般的なX線CT装置と同様に、被検体ベッド、回転ガントリ、X線管、X線検出器、データ収集システム、画像再構成装置、画像表示装置などを備えて構成される。本実施形態は、この画像再構成装置に特徴があり、ここでは、これをX線CT画像再構成装置10と称して、以下、その機能および構成について説明する。
ここで、図1に示す被検体撮像装置20は、X線CT装置の構成要素のうち、X線管、X線検出器、データ収集システムなど、被検体の透過X線量を計測し取得する構成要素を総称したものである。また、本実施形態では、X線CT画像再構成装置10は、被検体を構成する基底物質の濃度情報を含んだ画像を再構成するものとし、そのため、X線検出器は、X線のエネルギー情報を得ることが可能なパルスモードX線検出器であるとする。そして、このパルスモードX線検出器は、検出したX線を、複数のエネルギー窓で分別し、それぞれのエネルギー窓ごとのカウント値として取得することができるものとする。
図1に示すように、本実施形態に係るX線CT画像再構成装置10は、その主たる機能ブロックとして、厚さ誤差推定型投影処理部100、厚さ推定誤差利用画像再構成処理部110、記憶部120などを備えて構成される。
ここで、厚さ誤差推定型投影処理部100は、被検体・検出器モデル応答部101、第1尤度演算部102、尤度最大化フィードバック部103、基底物質誤差モデル部104などのサブブロックにより構成される。また、厚さ推定誤差利用画像再構成処理部110は、順投影演算部111、第2尤度演算部112、厚さフィードバック投影演算部113、逆投影&濃度フィードバック部114などのサブブロックにより構成される。
また、記憶部120には、実測カウント投影値121、想定カウント投影値122、基底物質厚さ投影第1仮定値123、基底物質厚さ投影推定値124、基底物質厚さ投影推定誤差値125、基底物質濃度画像仮定値126、基底物質厚さ投影第2仮定値127、基底物質濃度画像推定値128、基底物質濃度画像推定誤差値129などのデータが記憶される。
以上のような機能構成を有するX線CT画像再構成装置10は、ハードウエア的には、図示しない演算処理装置、記憶装置(主メモリ、ハードディスク装置など)、入出力装置(キーボード、表示装置など)などを備えた一般的なコンピュータによって構成される。そして、厚さ誤差推定型投影処理部100および厚さ推定誤差利用画像再構成処理部110を構成する各部の機能は、前記演算処理装置が前記記憶装置に格納された所定のプログラムを実行することによって実現される。また、記憶部120は、前記記憶装置上に実現される。
一方、被検体撮像装置20では、図示しないX線管が、被検体が配置された位置をほぼ中心とした円周上を回転しながら、当該被検体にX線を照射する。そして、当該被検体を透過し減弱したX線を、被検体を挟んでX線管とは反対側に配置された図示しないX線検出器で検出する。ここで、X線検出器は、複数のX線検出素子がアレイ状に配列されたものであり、また、X線をそのそれぞれのX線検出素子によりパルスモードで検出し、そのパルスをN種(Nは2以上の整数)のエネルギー窓で分別できるものであるとする。なお、エネルギー窓とは、X線の入射に対し、特定のエネルギー区間でのみ応答するエネルギースペクトルをいう。
従って、X線検出器により取得される測定値は、パルスのカウント値で表され、そのカウント値は、X線管の回転位置、X線検出器を構成するX線検出素子の配置位置およびエネルギー窓の識別番号に対応付けられたものとなる。被検体撮像装置20は、X線検出器で検出したX線のカウント値をX線CT画像再構成装置10へ送信する。
X線CT画像再構成装置10は、被検体撮像装置20から送信されるX線検出器で検出されたX線のカウント値を受信し、その受信したカウント値を実測カウント投影値121として記憶部120に格納する。このとき、実測カウント投影値121は、X線管の回転位置、X線検出素子の配置位置およびエネルギー窓の識別番号に、X線のカウント値が対応付けられて構成される。
なお、本明細書では、X線管の回転位置およびX線検出素子の配置位置で指定される情報を、以下、X線投影経路という。従って、前記の実測カウント投影値121は、X線のカウント値がX線投影経路およびエネルギー窓の識別番号に対応付けられて構成されたものということができる。
<2.厚さ誤差推定型投影処理部100における処理>
厚さ誤差推定型投影処理部100は、記憶部120に記憶されている実測カウント投影値121から、被検体についての基底物質厚さ投影推定値124およびその誤差の情報である基底物質厚さ投影推定誤差値125を算出し、記憶部120に格納する。以下、厚さ誤差推定型投影処理部100における厚さ誤差推定型投影処理の詳細について説明する。なお、この厚さ誤差推定型投影処理は、従来でいう投影ベース法を基礎とする。
ここで、厚さ誤差推定型投影処理の開始に当たっては、被検体についての基底物質厚さ投影第1仮定値123の初期値がX線投影経路および基底物質の識別番号に対応付けられて、記憶部120に記憶されているものとする。この基底物質厚さ投影第1仮定値123の初期値は、基底物質の識別番号ごとにX線投影経路に依存しない平均値であってもよく、また、事前の簡便な推定処理で求めた任意の値であってもよい。
まず、被検体・検出器モデル応答部101は、記憶部120から基底物質厚さ投影第1仮定値123を読み出す。次に、被検体・検出器モデル応答部101は、X線投影経路ごとに、M個の基底物質のそれぞれの基底物質厚さ投影第1仮定値123を用いて、X線管から放射されたX線の量(光子数)がどの程度減弱されるかを計算する。なお、基底物質の数Mは、N(エネルギー窓の数)以下の正の整数(M≦N)であるとする。
さらに、被検体・検出器モデル応答部101は、前記計算結果と、予め設定されたX線検出器のスペクトル応答特性とに基づき、X線投影経路およびエネルギー窓ごとのカウント値を算出する。そして、その算出したカウント値を、想定カウント投影値122として、X線投影経路およびエネルギー窓の識別番号に対応付け、記憶部120に格納する。
次に、第1尤度演算部102は、X線投影経路およびエネルギー窓の識別番号に対応付けられた実測カウント投影値121および想定カウント投影値122を記憶部120から読み出す。そして、その読み出した想定カウント投影値を平均値、実測カウント投影値を実現値としたポアソン統計を仮定して、X線投影経路ごとの尤度を演算する。なお、尤度は、数値処理上の数値レンジの都合から、対数尤度の形で用いるのが好ましい。
次に、尤度最大化フィードバック部103は、X線投影経路ごとに、その尤度が増加するように各基底物質の厚さ、すなわち、基底物質厚さ投影第1仮定値123を更新する。なお、尤度が増加するような基底物質の厚さの計算には、その時点での基底物質厚さ投影第1仮定値123の近傍での尤度の傾きなどを用いた共役勾配法など、一般的な最適化法を用いることができる。こうして更新された基底物質厚さ投影第1仮定値123は、X線投影経路に対応づけられて記憶部120に格納される。
以上の被検体・検出器モデル応答部101、第1尤度演算部102および尤度最大化フィードバック部103の各処理は、少なくとも2回以上、繰り返して実行される。そして、尤度最大化フィードバック部103は、第1尤度演算部102の処理で求められた尤度と、前回の同処理で求められた尤度とを比較する。そして、その変化量または変化率の絶対値が所定の値以下になった場合、または、前記繰り返しの処理が所定回数を超えた場合には、前記繰り返しの処理を終了する。
尤度最大化フィードバック部103は、前記繰り返しの処理を終了すると、その時点で最後に更新されたX線投影経路ごとの基底物質厚さ投影第1仮定値を、基底物質厚さ投影推定値124として記憶部120に格納する。
次に、基底物質誤差モデル部104は、前記最後に更新されたX線投影経路ごとの基底物質厚さ投影第1仮定値123(すなわち、基底物質厚さ投影推定値124)の誤差の程度を推定し、基底物質厚さ投影推定誤差値125として記憶部120に格納する。
図2は、基底物質の厚さ投影誤差推定モデル曲線の例を示した図である。図2のグラフにおいて、縦軸は、基底物質の厚さ投影推定誤差値(すなわち、基底物質の厚さ投影値を推定したときの誤差値)、横軸は、実測カウント投影値を表わしている。また、2つの曲線は、被検体を構成する、例えば、物質Aおよび物質Bについての厚さ投影誤差推定モデル曲線を表している。なお、この基底物質の厚さ投影誤差推定モデル曲線の情報は、記憶部120に格納されている。
図2に示すように、厚さ投影推定誤差値は、物質Aや物質Bに限らず、ほとんどの場合、実測カウント投影値が大きくなるに従い小さくなる。これは、計測データ数が大きいほど精度の高い(誤差の小さい)データが得られるという一般的な原理に基づく結果ともいえる。
当然ではあるが、厚さ投影推定誤差値の具体的な値やその減少の仕方は、基底物質によって相違する。そこで、本実施形態では、基底物質に応じて、図2のような厚さ投影誤差推定モデル曲線を予め用意し、そのデータを記憶部120に格納しておく。なお、このような厚さ投影誤差推定モデル曲線は、基底物質の物理モデルや統計モデルに基づき作成することができ、また、過去の実測厚さ誤差データを先験情報として用いて作成することもできる。
以上により、基底物質誤差モデル部104は、X線投影経路ごとの実測カウント投影値121に基づき、厚さ投影誤差推定モデル曲線(図2参照)を参照することにより、X線投影経路ごとの基底物質厚さ投影推定誤差値125を得ることができる。
<3.厚さ推定誤差利用画像再構成処理部110における処理>
次に、再度、図1を参照して、厚さ推定誤差利用画像再構成処理部110による厚さ推定誤差利用画像再構成処理の内容について説明する。厚さ推定誤差利用画像再構成処理部110は、基底物質厚さ投影推定値124および基底物質厚さ投影推定誤差値125に基づき、基底物質濃度画像推定値128および基底物質濃度画像推定誤差値129を算出する。なお、この処理は、従来でいう画像ベース法を基礎とするものであるが、全投影経路での尤度を同時に考慮したものとなっているため、統計誤差の小さい再構成画像が得られる。
厚さ推定誤差利用画像再構成処理部110の処理を開始するに当たっては、基底物質濃度画像仮定値126の初期値が予め設定されている必要がある。基底物質濃度画像とは、再構成画像の各画素に相当する被検体部分を基底物質の構成比で表したものということができる。そこで、本実施形態では、前記の厚さ誤差推定型投影処理部100の処理結果である基底物質厚さ投影推定値124に単純なFBP(フィルタ補正逆投影)処理を施して得られる値に微差を加えたものを、この基底物質濃度画像仮定値の初期値として利用する。
なお、記憶部120に記憶される基底物質濃度画像仮定値126は、前記の初期値も含め、以下に説明する順投影演算部111、第2尤度演算部112、厚さフィードバック投影演算部113および逆投影&濃度フィードバック部114の一連の処理を繰り返すたびに、逆投影&濃度フィードバック部114の処理によって更新される。
まず、順投影演算部111は、その時点で記憶部120に記憶されている基底物質濃度画像仮定値126に基づき、X線投影経路ごとの被検体の各基底物質の厚さを演算し、その結果を基底物質厚さ投影第2仮定値127として記憶部120に格納する。なお、この基底物質厚さ投影第2仮定値127は、被検体画像の各画素の濃度(基底物質濃度画像仮定値126)に基づき算出される点において、実測カウント投影値121から算出される基底物質厚さ投影第1仮定値123とは相違している。
次に、第2尤度演算部112は、その時点で記憶部120に記憶されている基底物質厚さ投影第2仮定値127、基底物質厚さ投影推定値124および基底物質厚さ投影推定誤差値125に基づきX線投影経路ごとの尤度を演算する。さらに、第2尤度演算部112は、全X線投影経路の同時確率密度に対応した尤度を算出する。なお、全X線投影経路の同時確率密度の詳細については、後記にて説明する。
ここで、X線投影経路ごとの尤度の演算は、第1尤度演算部102での尤度の演算と同様にポアソン統計に基づく尤度を演算するものであるが、次の点で相違している。すなわち、通常は、第1尤度演算部102での尤度の演算の場合も含め、仮定値に由来する値を平均値とし、実測に由来する値を実現値として尤度を算出する。それに対し、ここでは、実測に由来する基底物質厚さ投影推定値124を平均値とし、基底物質厚さ投影第2仮定値127を実現値として尤度を算出する。
なお、このような尤度の演算の仕方を採用するのは、実測に由来する基底物質厚さ投影推定値124に対して、その推定誤差値が基底物質厚さ投影推定誤差値125として得られているため、推定誤差値を計算するコストを低減できるからである。すなわち、前記の順投影演算部111から逆投影&濃度フィードバック部114に到る一連の処理を繰り返すとき、基底物質厚さ投影推定値124の誤差に対応する推定誤差値を、そのたびごとに算出しなくても済む。
続いて、厚さフィードバック投影演算部113は、第2尤度演算部112で演算された全X線投影経路の同時確率密度に対応した尤度に基づき、その尤度が増加するようにX線投影経路ごとの各基底物質の厚さの変更量(フィードバック量)を演算する。なお、この厚さフィードバック投影演算部113での処理内容については、別途、図3〜図5などを参照して説明する。
次に、逆投影&濃度フィードバック部114は、厚さフィードバック投影演算部113で演算したX線投影経路ごとの各基底物質の厚さのフィードバック量を用いて、基底物質厚さ投影第2仮定値のX線投影経路ごとの各基底物質の厚さを変更する。そして、その変更したX線投影経路ごとの各基底物質の厚さを逆投影して、被検体の基底物質ごとの濃度画像を算出し、その結果により、記憶部120に記憶されている基底物質濃度画像仮定値126を更新する。
なお、以上の順投影演算部111から逆投影&濃度フィードバック部114に到る一連の処理は、少なくとも2回は繰り返して実行される。そして、その繰り返し処理の中で、逆投影&濃度フィードバック部114は、第2尤度演算部112の処理で求められた全X線投影経路の同時確率密度に対応した尤度と、前回の同じ処理で求められた同様の尤度とを比較する。そして、その両者の変化量または変化率の絶対値が所定の値以下になった場合、または、前記繰り返しの処理が所定回数を超えた場合には、前記繰り返しの処理を終了する。
さらに、逆投影&濃度フィードバック部114は、前記繰り返しの処理を終了すると、すなわち、尤度が最大値近傍に到達したときには、その時点で最新の基底物質濃度画像仮定値126を基底物質濃度画像推定値128として記憶部120に格納する。また、逆投影&濃度フィードバック部114は、第2尤度演算部112で最後に得られた全X線投影経路の同時確率密度に対応した尤度に基づき、基底物質濃度画像推定値128の誤差値を、基底物質濃度画像推定誤差値129として記憶部120に格納する。
<4.全X線投影経路の同時確率密度に対する尤度の演算について>
図3は、厚さ誤差推定型投影処理部100の処理で得られたX線投影経路ごとの複数の基底物質の厚さの散布図の例を示した図である。すなわち、図3は、基底物質厚さ投影推定値124として記憶されているX線投影経路ごとの複数の基底物質の厚さを散布図で表したものということができる。ただし、ここでは、説明を簡単化するために、基底物質の数Mは2とし(M=2)、その散布図は、基底物質Aの厚さ(横軸)と基底物質Bの厚さ(縦軸)との関係を表したものとなっている。
図3の散布図において、平均値をμは、この散布図から得られる基底物質Aの厚さの平均値であり、また、平均値をμは、基底物質Bの厚さの平均値である。そして、この散布図からは、基底物質Aの厚さと基底物質Bの厚さとの間に、ほぼ2次元正規分布で記述される関係が存在し、さらに、両者の間に、一定の相関関係があることを推定することができる。
図4は、図3の散布図で表された基底物質Aの厚さと基底物質Bの厚さとの関係を2次元の正規分布でモデル化した例を示した図である。図3の散布図からは、基底物質Aの厚さの平均値μおよび基底物質Bの厚さの平均値μを得ることができるだけでなく、それぞれの標準偏差σ,σを得ることができ、さらには、基底物質Aの厚さと基底物質Bの厚さの相関係数ρを得ることができる。
図4において、点Pは、基底物質Aの厚さの平均値がμ、基底物質Bの厚さの平均値がμとなる位置を表す。また、楕円401,402は、基底物質Aおよび基底物質Bの厚さの標準偏差がそれぞれσ,σに相当する位置を表している。すなわち、図4のモデルでは、基底物質Aの厚さ(横軸)と基底物質Bの厚さ(縦軸)とで構成される空間のいたる所には、標準偏差、言い換えれば誤差が定義されているということができる。
なお、図4では、基底物質の数Mを2(M=2)としているが、M≧3の場合には、分散共分散行列の概念を採用することにより、それぞれの基底物質の標準偏差や複数の基底物質間の相関係数を得ることができる。
図5は、基底物質Aの厚さおよび基底物質Bの厚さで表わされる空間における尤度等高線の例を示した図である。ここで、基底物質の数を2(M=2)とし、厚さ誤差推定型投影処理部100での処理が終了したとき得られた基底物質厚さ投影推定値124の平均値を、厚さ推定誤差利用画像再構成処理部110の処理での基底物質の厚さの平均値とする場合を考える。このとき、順投影演算部111での処理で得られる基底物質厚さ投影第2仮定値127が表す位置(図5の点Q)から、基底物質厚さ投影推定値124が表す位置(図5の点P)へ向かうベクトルを、厚さフィードバック方向ベクトル501とする。
前記したように、基底物質濃度画像仮定値126の初期値は、基底物質厚さ投影推定値124にFBP処理を施して得られる値に微差を加えたものを用いている。従って、順投影演算部111の処理により最初に得られる基底物質厚さ投影第2仮定値127は、基底物質厚さ投影推定値124とは異なる値となるので、厚さフィードバック方向ベクトル501がゼロになることを回避することができる。
また、本実施形態では、X線投影経路ごとの基底物質厚さ投影推定値124に対し、基底物質厚さ投影推定誤差値125が既知であるので、それぞれのX線投影経路ごとに基底物質厚さの確率密度関数を設定することができる。そこで、次には、全X線投影経路についての基底物質厚さの同時確率密度関数を求め、この同時確率密度関数により、図5の基底物質Aの厚さおよび基底物質Bの厚さで構成される空間の各点に尤度を定義することができる。ここで、確率密度関数とは、例えば、平均値および標準偏差で特定される正規分布を表す関数などをいい、確率密度とは、確率密度関数から得られる値をいう。また、同時確率密度関数とは、例えば、平均値、標準偏差に加え共分散行列値で特定される複数次元の正規分布などを表す確率密度関数をいい、同時確率密度とは、同時確率密度関数から得られる値をいう。
このとき、必要な厚さ精度で決まる微小面積要素502を与えれば、図5の点Pおよび点Qに尤度差ΔLを与えることができる。ここで、点Pおよび点Qの尤度をそれぞれ平均値尤度Lpおよび仮定値尤度Lqとすれば、その尤度差ΔL(=|Lp−Lq|)を用いて、厚さフィードバック投影演算部113で演算される厚さフィードバックベクトル503の大きさを決めることができる。
その場合、点Pおよび点Qの位置関係が同じであるときには、基底物質厚さ投影推定誤差値125の分散が大きい投影経路では尤度差ΔLが小さくなり、分散が小さい投影経路では尤度差ΔLが大きくなるようにする。従って、厚さフィードバック投影演算部113での演算において、尤度差ΔLの重みをもたせることにすれば、分散が小さいX線投影経路情報を優遇することが可能となる。
図5において、厚さフィードバックベクトル503は、厚さフィードバック投影演算部113の繰り返し処理において、基底物質Aおよび基底物質Bの厚さを更新するときに用いられ、その方向は、厚さフィードバック方向ベクトル501と同じである。また、厚さフィードバックベクトル503の大きさは、厚さフィードバック方向ベクトル501の大きさおよび尤度差ΔLのそれぞれに正の相関を有するものとするが、その相関関係は線形であっても、非線形であってもよい。さらに、例えば、処理繰り返しの回数などに応じて、厚さフィードバックベクトル503の大きさを適宜調整するようにしてもよい。
さらに、アニーリング法などを用いて厚さフィードバックベクトル503にランダムな微差を与えることを繰り返し、そのたびごとに得られる全投影経路の同時確率(尤度)のなかで最大値となる各基底物質の厚さを、濃度画像逆投影演算時の各基底物質の厚さとしてもよい。また、以上のような単純な尤度のみの最適化(最大化)に限定されず、例えば、画像近接値の急変にペナルティを課すようなフィルタリング機能を兼ね備えた最適化手法を用いてもよい。
なお、図4の場合でも、基底物質Aの厚さおよび基底物質Bの厚さで構成される空間でも、基底物質の厚さの平均値μ,μ、その標準偏差σ,σおよび相関係数ρが定義されているので尤度を定義することができる。これらは、基底物質誤差モデル部104で算出される基底物質厚さ投影推定誤差値125に基づき得られるのではなく、図3の散布図に基づき得られる。しかしながら、この図3の散布図から得られる尤度は、全X線投影経路の同時確率密度を考慮した尤度とほぼ同じものと考えられる。
<5.比較例>
図6は、比較例に係る従来の一般的なX線CT画像再構成装置10aの構成の例を示した図である。図6に示すように、比較例に係るX線CT画像再構成装置10aは、投影処理部100a、FBP画像再構成処理部110aおよび記憶部120により構成される。以下、本発明の実施形態に係るX線CT画像再構成装置10(図1参照)との相違点について説明する。
まず、比較例に係る投影処理部100aは、本実施形態でいう厚さ誤差推定型投影処理部100に含まれている基底物質誤差モデル部104を備えていない。そのため、投影処理部100aは、基底物質厚さ投影推定値124を算出するが、基底物質厚さ投影推定誤差値125(図1参照)を算出しない。つまり、基底物質厚さ投影推定値124には、その誤差情報が付属しない。
従って、FBP画像再構成処理部110aは、基底物質厚さ投影推定値124を用いて単純なFBP画像再構成処理をして基底物質濃度画像推定値128aを算出するだけであり、誤差情報を用いた画質改善のための繰り返し処理をしない。そのため、比較例では、例えば、あるX線投影経路の基底物質厚さ投影推定値124に大きな誤差が生じるような場合、その大きな誤差の影響により基底物質濃度画像推定値128aの画質が劣化することとなる。例えば、図7に示すようなストリークアーチファクトなどが生じることがある。
図7は、被検体の基底物質濃度画像の例を示した図であり、(a)は、本発明の実施形態に係るX線CT画像再構成装置10で算出された基底物質濃度画像の例、(b)は、比較例に係るX線CT画像再構成装置10aで算出された基底物質濃度画像の例である。なお、図7では、被検体は、水などを多く含む軟組織701と、骨などX線をよく吸収するX線高吸収体702とにより構成されているとしている。
図7(a)に示すように、本発明の実施形態に係るX線CT画像再構成装置10で算出された基底物質濃度画像には、とくにアーチファクトなどは現れていない。これに対し、図7(b)に示すように、比較例に係るX線CT画像再構成装置10aで算出された基底物質濃度画像には、矢印703で示した方向などに、縞模様のストリークアーチファクトが発生していることが分かる。
なお、図7(b)において、ストリークアーチファクトが生じている矢印703で示されるX線投影経路には、2つのX線高吸収体702が含まれている。このような場合、そのX線投影経路で検出されるX線のカウント数(実測投影カウント値)は小さい値になり易い。実測投影カウント値が小さい場合に厚さ投影値誤差が大きくなることは、図2を用いて説明した通りである。よって、この大きな誤差により、ストリークアーチファクトが生じたものと考えられる。
本発明の実施形態では、全X線投影経路での同時確率密度を考慮した尤度の概念により、誤差の小さいX線投影経路の基底物質厚さは大きく評価され、誤差の大きいX線投影経路の基底物質厚さは小さく評価される。その結果、基底物質濃度画像の画質を向上させることができる。
なお、基底物質濃度画像の画質を向上させるには、X線の照射量を増加させることが有効であるが、被検体が人体である場合、その被曝量が問題となる。そこで、画質同等の条件下では、本発明の実施形態は、比較例に比べ、X線の被曝量の低減を期待することができる。
<6.X線CT画像再構成手順>
図8は、本発明の実施形態に係るX線CT画像再構成方法をコンピュータにより実現するための基本的な処理手順の例を示した図である。以下、図8に加え図1も参照しつつ、その基本的な処理手順について説明する。
なお、以下でいうコンピュータは、X線CT画像再構成装置10を構成するコンピュータであり、そのコンピュータは、被検体を透過したX線を検出するX線検出器を備えた被検体撮像装置20に接続されているものとする。また、このX線検出器は、被検体を透過したX線を、N個(Nは、N≧2なる整数)の互いに異なるエネルギースペクトルに応答して、それぞれの検出カウント値として検出できるものとする。
コンピュータは、まず、X線検出器により検出された被検体を透過したX線の検出カウント値を被検体撮像装置20から取得する。そして、その取得したX線の検出カウント値をX線の透過経路およびエネルギースペクトル(エネルギー窓)に対応付けて、実測カウント投影値121として記憶装置(記憶部120)に記憶する(ステップS11)。
次に、コンピュータは、記憶部120に記憶された実測カウント投影値121に基づき、被検体を構成するM個(Mは、M≦Nなる正の整数)の基底物質それぞれの厚さを、X線透過経路ごとに推定する(ステップS12)。なお、ステップS12の処理は、従来技術でいう投影ベース法に相当する処理であり、本実施形態に係るX線CT画像再構成装置10では、被検体・検出器モデル応答部101、第1尤度演算部102および尤度最大化フィードバック部103の処理に相当する。
すなわち、図1を用いて説明したように、コンピュータは、被検体・検出器モデル応答部101、第1尤度演算部102および尤度最大化フィードバック部103の各処理を、繰り返し実行する。そして、第1尤度演算部102で演算した尤度が最大になったと判断したとき、その時点で得られたX線投影経路ごとの基底物質厚さを、基底物質厚さ投影推定値124として記憶装置に記憶する。
次に、コンピュータは、X線透過経路およびエネルギースペクトルに対応付けられたX線の検出カウント値(実測カウント投影値121)に基づき、前記推定した被検体の基底物質それぞれの厚さについての誤差値をX線透過経路ごとに推定する(ステップS13)。なお、この推定には、例えば、図2に示したような基底物質の厚さ投影誤差推定モデル曲線が用いられる。また、ステップS13の処理は、基底物質誤差モデル部104の処理に相当する。
次に、コンピュータは、ステップS12で推定したX線透過経路ごとの基底物質それぞれの厚さを初期値として設定した、X線透過経路ごとの基底物質のそれぞれの厚さの仮定値について、その値の確からしさの指標である尤度を演算する(ステップS14)。なお、このとき、尤度は、ステップS13で推定したX線透過経路ごとの基底物質それぞれの厚さについての誤差値に基づき演算される。このステップS14の処理は、第2尤度演算部112の処理に相当する。
なお、図示を省略するが、コンピュータは、ステップS14の処理として、詳細には、次のような処理を実行する。
コンピュータは、まず、ステップS13で推定したX線透過経路ごとの基底物質それぞれの厚さについての誤差値に基づき、ステップS12で推定したX線透過経路ごとの基底物質それぞれの厚さについての確率密度を推定する。次に、コンピュータは、前記推定したX線透過経路ごとの基底物質それぞれの厚さについての確率密度に基づき、全X線透過経路についての前記基底物質それぞれの厚さについての同時確率密度を演算する。
さらに、コンピュータは、その演算した同時確率密度に従って、X線透過経路ごとの基底物質それぞれの厚さについての確からしさの指標である尤度を演算する。これにより、ステップS14の処理が終了する。なお、尤度は、同時確率密度にほぼ1対1に対応する値として定めることができる。
ステップS14に引き続き、コンピュータは、ステップS14で推定する尤度が増大するように、X線透過経路ごとの基底物質のそれぞれの厚さの仮定値を更新する(ステップS15)。このステップS15の処理は、厚さフィードバック投影演算部113の処理に対応する。
以上のステップS14およびステップS15の処理は、ステップS14で演算される尤度が所定の値以上になるまで、または、その尤度の増加量が所定の値以下になるまで繰り返し実行される。そして、尤度が所定の値以上または尤度の増加量が所定の値以下になった場合には、ステップS15で更新したX線透過経路ごとの基底物質それぞれの厚さの仮定値を逆投影して、被検体に含まれる基底物質についての濃度画像を再構成する(ステップS16)。このステップS16の処理は、逆投影&濃度フィードバック部114の処理に対応する。
以上、図8に示した処理手順においては、全X線透過経路についての基底物質それぞれの厚さについての同時確率密度が考慮されている。従って、この処理手順により得られるX線CT画像は、同時確率密度を考慮しない従来技術(例えば、図6参照)により得られるX線CT画像に比べ大きな画質の改善がみられる(例えば、図7参照)。
なお、本発明は、以上に説明した実施形態および変形例に限定されるものではなく、さらに、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態および変形例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態や変形例の構成の一部を、他の実施形態や変形例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態や変形例の構成に他の実施形態や変形例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態や変形例の構成の一部について、他の実施形態や変形例に含まれる構成を追加・削除・置換することも可能である。
10 X線CT画像再構成装置
20 被検体撮像装置
100 厚さ誤差推定型投影処理部
100a 投影処理部
101 被検体・検出器モデル応答部(基底物質厚さ推定手段)
102 第1尤度演算部(基底物質厚さ推定手段)
103 尤度最大化フィードバック部(基底物質厚さ推定手段)
104 基底物質誤差モデル部(誤差推定手段)
110 厚さ推定誤差利用画像再構成処理部
110a FBP画像再構成処理部
111 順投影演算部
112 第2尤度演算部(尤度演算手段)
113 厚さフィードバック投影演算部(基底物質厚さ更新手段)
114 逆投影&濃度フィードバック部(基底物質濃度画像再構成手段)
120 記憶部(記憶手段)
121 実測カウント投影値(X線の検出カウント値)
122 想定カウント投影値
123 基底物質厚さ投影第1仮定値
124 基底物質厚さ投影推定値
125 基底物質厚さ投影推定誤差値
126 基底物質濃度画像仮定値
127 基底物質厚さ投影第2仮定値
128 基底物質濃度画像推定平均値
128a 基底物質濃度画像推定値
129 基底物質濃度画像推定誤差値
501 厚さフィードバック方向ベクトル
502 微小面積要素
501 厚さフィードバックベクトル
701 軟組織
702 X線高吸収体

Claims (7)

  1. 被検体を透過したX線の検出カウント値を、N個(Nは、N≧2なる整数)の互いに異なるエネルギースペクトルに応答して検出するX線検出器に接続され、
    前記X線検出器によって検出された前記X線の検出カウント値を、前記X線が前記被検体を透過したときのX線透過経路および前記エネルギースペクトルに対応づけて記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された前記X線の検出カウント値に基づき、前記被検体を構成するM個(Mは、M≦Nなる正の整数)の基底物質のそれぞれの厚さを、前記X線透過経路ごとに推定する基底物質厚さ推定手段と、
    前記X線の検出カウント値に応じて、前記基底物質の厚さについての誤差値を推定する誤差推定手段と、
    前記誤差推定手段によって推定された前記X線透過経路ごとの前記基底物質それぞれの厚さについての誤差値に基づき、前記基底物質厚さ推定手段によって推定された前記X線透過経路ごとの前記基底物質それぞれの厚さを初期値とする前記X線透過経路ごとの前記基底物質のそれぞれの厚さの仮定値について、その仮定値の確からしさの指標である尤度を演算する尤度演算手段と、
    前記X線透過経路ごとの前記基底物質それぞれの厚さの仮定値を、前記尤度演算手段によって演算される尤度が増大するように更新する基底物質厚さ更新手段と、
    前記基底物質厚さ更新手段によって更新された前記X線透過経路ごとの前記基底物質それぞれの厚さの仮定値を逆投影して、前記被検体の前記M個の基底物質についての基底物質濃度画像を再構成する基底物質濃度画像再構成手段と、
    を備えること
    を特徴とするX線CT画像再構成装置。
  2. 前記尤度演算手段は、
    前記誤差推定手段によって推定された前記X線透過経路ごとの前記基底物質それぞれの厚さについての誤差値に基づき、前記X線透過経路ごとの前記基底物質それぞれの厚さについての確率密度を推定し、
    前記推定したX線透過経路ごとの前記基底物質それぞれの厚さについての確率密度に基づき、全X線透過経路についての前記基底物質それぞれの厚さについての同時確率密度を演算し、
    前記演算した同時確率密度に従って、前記尤度を演算すること
    を特徴とする請求項1に記載のX線CT画像再構成装置。
  3. 前記基底物質厚さ更新手段は、
    前記基底物質厚さ推定手段によって推定された前記全X線透過経路についての前記基底物質それぞれの厚さの平均値を前記同時確率密度に適用して得られる尤度である平均値尤度と、前記基底物質それぞれの厚さの平均値とは異なる前記基底物質それぞれの厚さの仮定値を前記同時確率密度に適用して得られる尤度である仮定値尤度との尤度差に基づき、前記X線透過経路ごとの前記基底物質それぞれの厚さを更新すること
    を特徴とする請求項2に記載のX線CT画像再構成装置。
  4. 被検体を透過したX線の検出カウント値を、N個(Nは、N≧2なる整数)の互いに異なるエネルギースペクトルに応答して検出するX線検出器に接続されたコンピュータが、
    前記X線検出器によって検出された前記X線の検出カウント値を、前記X線が前記被検体を透過したときのX線透過経路および前記エネルギースペクトルに対応づけて記憶装置に記憶する第1のステップと、
    前記記憶装置に記憶された前記X線の検出カウント値に基づき、前記被検体を構成するM個(Mは、M≦Nなる正の整数)の基底物質それぞれの厚さを、前記X線透過経路ごとに推定する第2のステップと、
    前記X線の検出カウント値に応じて、前記基底物質の厚さについての誤差値を推定する第3のステップと、
    前記第3のステップで推定された前記X線透過経路ごとの前記基底物質それぞれの厚さについての誤差値に基づき、前記第2のステップで推定された前記X線透過経路ごとの前記基底物質それぞれの厚さを初期値とする前記X線透過経路ごとの前記基底物質のそれぞれの厚さの仮定値について、その仮定値の確からしさの指標である尤度を演算する第4のステップと、
    前記X線透過経路ごとの前記基底物質それぞれの厚さの仮定値を、前記第4のステップで演算される尤度が増大するように更新する第5のステップと、
    前記第5のステップで更新された前記X線透過経路ごとの前記基底物質それぞれの厚さの仮定値を逆投影して、前記被検体の前記M個の基底物質についての基底物質濃度画像を再構成する第6のステップと、
    を実行すること
    を特徴とするX線CT画像再構成方法。
  5. 前記コンピュータは、前記第4のステップでは、
    前記第3のステップで推定された前記X線透過経路ごとの前記基底物質それぞれの厚さについての誤差値に基づき、前記X線透過経路ごとの前記基底物質それぞれの厚さについての確率密度を推定し、
    前記推定したX線透過経路ごとの前記基底物質それぞれの厚さについての確率密度に基づき、全X線透過経路についての前記基底物質それぞれの厚さについての同時確率密度を演算し、
    前記演算した同時確率密度に従って、前記尤度を演算すること
    を特徴とする請求項4に記載のX線CT画像再構成方法。
  6. 前記コンピュータは、前記第5のステップでは、
    前記第2のステップで推定された前記全X線透過経路についての前記基底物質それぞれの厚さの平均値を前記同時確率密度に適用して得られる尤度である平均値尤度と、前記基底物質それぞれの厚さの平均値とは異なる前記基底物質それぞれの厚さの仮定値を前記同時確率密度に適用して得られる尤度である仮定値尤度との尤度差に基づき、前記X線透過経路ごとの前記基底物質それぞれの厚さを更新すること
    を特徴とする請求項5に記載のX線CT画像再構成方法。
  7. X線を被検体に照射するX線管と、
    前記X線管から照射され、前記被検体を透過したX線の検出カウント値を、複数の互いに異なるエネルギースペクトルに応答して検出するX線検出器と、
    請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のX線CT画像再構成装置と、
    を備えてなること
    を特徴とするX線CT装置。
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