JP6577187B2 - 埋め込み可能なリード - Google Patents

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Description

本発明は、埋め込み可能な電気生理学的リードに関するものであり、その中には、心臓の除細動とペーシング用のリード、診断用リード、神経刺激用リードが含まれる。
埋め込み可能な医用リードは、さまざまな用途においてエネルギー供給源と身体のさまざまな部分の間でエネルギー(例えば電気エネルギー、光エネルギーなど)を伝えるのに用いられている。診断用リードは、生理学的パラメータ(例えば血圧)の時間変化を測定するため、または生理学的データ(例えば神経インパルスや心臓のリズムのデータ)を回収して送信するために埋め込まれる。刺激用リードは、標的とする組織にエネルギーを離散的に送る。神経刺激用リードは、例えば痛みをブロックするのに用いられる。心臓刺激用リードは、心臓のペーシングと除細動に用いるため低電圧または高電圧の電気エネルギーを供給する。
経静脈除細動用リードは、心室または心房の徐脈および/または頻脈および/または細動を補正するのに用いられる。このタイプのリードは静脈内に配置され、診断、ペーシング、除細動といった多彩な機能を提供するのに用いられる。望むのであれば2つ以上の電極を設け、除細動用電極と、ペーシング用および/または感知用電極を提供することができる。典型的な心臓用リードは、右心房および/または右心室に配置される。より最近になって開発されたリードは、心臓の左側の冠静脈の中に配置されて心臓再同期療法(CRT)で用いられる。
従来の経静脈除細動用リードでは、このリードの近位端に位置するコネクタから遠位端の近くに位置するコイル状除細動用電極に電気エネルギーを伝えるのに標準的なワイヤが用いられている。一般に、独立したコネクタまたは接合部が、導電線と電極の間で使用される。この接合部は、コネクタ素子、クリンプ式ジョイント、溶接のいずれか、またはこれらの組み合わせによって形成できる。独立したコネクタを有する医用リードは、コネクタのインターフェイスが故障箇所となることが原因の低い信頼性が問題になる可能性がある。コネクタだと、少なくともコネクタの近傍でリードの直径が大きくなる傾向もある。するとその領域で組織への接着が増えるため、それに応じてリードを引き抜くこと(感染症、除去、リードの故障の場合に必要となることがある)が難しくなる可能性がある。
埋め込み可能なリードの電極表面は一般に露出しているため、組織の望む表面や周囲の流体と接触させること、または近接した状態にすることができる。露出したこのような電極は、基本的に組織の内部成長にとって不利である。露出したコイルの中へと組織が成長して固着するとリードを引き抜くことが難しくなるとともに、リードの電気的性能に悪い影響が及ぶ可能性もある。電極への組織の付着をなくすか最少にするため、さまざまな電極カバーが提案されている。多孔性ポリマー材料(例えばポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(今後はPTFEと表記)など)からなるカバーを有する除細動用電極として、カバーそのものが非導電性であっても体液の浸入により多孔性ポリマーに電気を流せるものが報告されている。さまざまな導電性カバー(例えば、空隙があってその一部に導電性材料(例えば炭素)を満たした多孔性ポリマー材料)も報告されている。このような多孔性カバーは、処理によって湿潤性と導電性を改善することができよう。
直径ができるだけ小さい一方で電極の面積が十分なリードを製造することが一般に望まれてきた。求められている他の属性として、等直径性、可撓性、曲げ寿命、疲労耐性、摩耗耐性、腐食耐性、引っ張り強さ、組織の内部成長の少なさなどが考えられ、これらはすべて、長期にわたる優れた信頼性と、傷つける危険性が少ない引き抜きに寄与する。
可撓性、疲労耐性、曲げ寿命が優れていて、信頼性が向上しており、摩耗耐性、疲労耐性、腐食耐性が大きく、引っ張り強さが大きく、直径が一定の小さな断面を持っていて電極と組織の接触が効果的であり、引き抜きの間に組織が損傷するリスクが小さい埋め込み可能なリードが述べられる。このリードは、市販されているリードと比較して、除細動のインピーダンスと閾値、ペーシングのインピーダンスと閾値、R波の振幅感知が同程度である。一実施態様では、このリードに除細動用電極とペーシング/感知用電極の両方が設けられる。除細動/ペーシング用リードに関しては、リードの直径は、6フレンチ・スケール、または5フレンチ・スケール、またはそれ以下の小ささにすることができる。リードは、場合によっては、血管内にある部分の直径をより小さくし(例えば5フレンチ・スケール)、他の領域(例えば血管外にある部分)はより大きな直径にすること(例えば6フレンチ・スケール)で、これらの部分の絶縁体がより厚くなる結果として摩耗耐性と押しつぶし耐性がさらに大きくなる。このように変化する直径は、直径の異なる各領域で同じ材料を用いて、または材料のセットを用いて作り出すことができる。例えばリードの層を複数“積み上げて”より大きな直径の領域を作り出すことができる。直径が異なる領域の間には直径の移行領域が存在することになろう。そのような移行領域は、テーパーの形状にすること、またはより急な形状にすることができる。
この構造体では、螺旋状に巻かれた複数の導電線を利用している。個々の導電線は、多重編みワイヤでできていることが好ましい。複数の独立した導電線が組み込まれているリードに関しては、螺旋状に巻かれた複数の導電線の多くがマルチフィラー関係に配置されている。これら導電線の絶縁部には、薄くて強いフルオロポリマー製絶縁体が設けられていることが好ましい。この絶縁体として特に好ましい材料は、熱可塑性フッ素化エチレンプロピレン(FEP)が接着コーティングされた非多孔性ePTFEである。これを今後は“実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープ”と呼ぶ。ePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)は医用装置の分野でよく知られている。それは一般に、Gore社に付与されたアメリカ合衆国特許第3,953,566号と第4,187,390号に記載されているようにして製造される。その中に記載されている特別なテープは、厚さが約0.0064mmで、イソプロピル沸点圧が約0.6MPaよりも大きく、Gurley数(透過性)が約60(分/1平方インチ/100cc)(すなわち60(分/6.45平方cm/100cc))よりも大きく、密度が2.15g/ccで、長さ方向(すなわち最も強い方向)の引っ張り強さが約309MPaである実質的に非多孔性のePTFE/FEPフィルムから切り取られる。実質的に非透過性のePTFE/FEPフィルムからなるこの同じテープで厚さが0.0025mmのものを、以下に記載する本発明のリードを構成するのにも使用した。より薄いこのフィルムを、今後は“より薄い実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープ”と呼ぶ。接着性、可撓性、または他の特性を強化するため、実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープに加え、フルオロポリマー・フィルムからなる他の層(多孔性ePTFEが含まれる)を用いることができる。
“絶縁体”は、この明細書では、隣接した組織または隣接した絶縁された導電線に電荷が伝わるのを阻止する材料と定義される。少なくともいくつかの導電線のいくつかの部分(例えば遠位端に近い長い部分)は絶縁されておらず、電極またはその一部として機能することが好ましい。そうなっていると、これら導電線の非絶縁部は電極の非絶縁部と連続するため、導電線と電極の間にコネクタを使用せずに済む。導電線と電極をつなぐコネクタがないと、疲労耐性と引っ張り強さが大きい等直径のリードを構成することが可能になるため、信頼性が高まる。
“リード本体”は、この明細書では、埋め込み可能なリードのうちで、近位コネクタの中にある導電線の端部と先端部組立体に挟まれた位置にある部分であり、この用語にペーシング・コイルが含まれる。
説明を目的として、リードの“近位端”は、このリードを電源または感知・制御システムに接続することのできる少なくとも1つの電気コネクタが設けられた端部と見なす。“遠位端”は、近位端の反対側の端部であり、一般に組織(例えば心臓)の表面に固定される。図面には、それぞれの方向を示すため、“P”(近位)または“D”(遠位)と表記した矢印が記されている。
心臓用の一実施態様では、リードは4つの電極を含んでいる。近位から始まって遠位端に向かって順番に、近位除細動用電極(埋め込み後、典型的には上大静脈に位置する;SVC電極とも呼ばれる)、遠位除細動用電極(典型的には右心室に位置する;RV電極とも呼ばれる)、遠位先端部の近くにある感知用電極、リード組立体の遠位先端部に位置するペーシング用電極である。
遠位先端部は、従来技術で一般に知られている“受動固定”の設計、または能動的先端部にすることができる。能動的先端部には、リードの近位端にいる使用者が回転させてそのリードを心臓組織の選択した場所に入れて停留させることのできる螺旋状固定用部材が含まれる。螺旋状固定用部材がペーシング用電極としても機能する場合には、その固定用部材は、リードの中央に位置していて近位コネクタに向かって延びる螺旋巻き導電線(ペーシング・コイルと呼ばれることがしばしばある)に接続されることがしばしばある。この導電線は、螺旋状固定用部材への力学的接続と電気的接続の両方の機能を有する。この螺旋巻き導電線は、埋め込みおよび/または取り出しの間にスタイレットがアクセスできるようにする作業チャネルとなる中空の隙間を含んでいる。ペーシング・コイルには、MRIへの適合性を改善するため、コイルの1本のフィラーとして巻かれてコイルにされた非導電性フィラメントも含まれていてよい。遠位リード先端部には、薬送達手段(例えば抗炎症剤などの溶離可能な治療薬を含むマトリックス)も含まれていてよい。それに加え、遠位リード先端部には、埋め込み中と埋め込み後に組織に穴が開く危険性を小さくする突起部が含まれていてもよい。これらの突起部には、穴が開く傾向を小さくするために遠位先端部の直径を大きくするフランジ様の突起部を含めることができる。直径のこの増大は、形状記憶合金、形状記憶ポリマー、膨張可能なポリマー、従順なポリマー、エラストマー状突起部、溶解可能/生体分解性材料を用いて実現できる。突起部には、薬送達のための治療薬も含まれていてよい。
電位を他の電極に供給する導電線は、ペーシング用電極に接続された内側螺旋巻き導電線のまわりに螺旋状に巻かれていることが好ましい。螺旋状に巻かれたこれら外側導電線は、螺旋状のマルチフィラー配置であることが好ましい。一実施態様では、個々の導電線はほぼ半分に折り畳まれて、リードの近位端に対して遠位に位置する180°折り曲げ端部を形成する。その折り曲げ端部に隣接する部分、またはその折り曲げ端部に隣接するとともにその折り曲げ端部を含む部分は絶縁されておらず、電極として機能する構成にされている。折り畳まれた各導電線の2つの側すなわち“半分”を構成する第1と第2の長さ区画のそれぞれの残部は絶縁されていて、リードの近位端に位置するコネクタまで延びている。第1と第2の長さ区画は、一般に、導電線のマルチフィラー巻きの中で互いに隣り合っている。第1と第2の長さ区画を設けることで、直径がより小さなワイヤを電極で使用することが可能になるため、リードに柔軟性が加わり、リードの直径が小さくなり、疲労耐性が改善され、電位を電極に供給する際の冗長性が提供される。
それに加え、ペーシング・コイルと、リード本体内の巻かれた導電線の両方において、螺旋巻きワイヤは応力を受けた条件で拘束される。これは、ワイヤを(ペーシング・コイルでは)マンドレルに、または(他の導電線では)リード本体構造体に巻き付けた後、その位置とワイヤ内の張力を維持する一方で、拘束された導電線の上に例えば製造の説明に記載したフルオロポリマー製テープからなる外側層を巻き、次いでこの明細書に記載したようにして加熱することによって実現される。加熱によってフルオロポリマー製テープが接合されることで、巻いて作ったコイルが自由状態の直径へと広がることが阻止される。リードを望む最終的な直径にするこの方法により、使用中にワイヤが受ける必要な応力が小さくなるため、疲労耐性を改善し、リードをより丈夫にすることができる。
フィラーは、この明細書では、リード本体を作り上げているリード導電線を螺旋巻きにしたものの内部にある個々のワイヤまたはフィラメント(例えば個々の導電線)であると見なす。折り畳まれた導電線の第1と第2の長さ区画のそれぞれは、個々のフィラーと見なされる。一般に、折り畳まれた個々の導電線の第1と第2の長さ区画のフィラーは、リード本体の螺旋巻きマルチフィラー構造中で互いに隣り合った状態になる。
第1と第2の長さ区画の2つの自由端(折り曲げ端部の反対側)は、一般に、両方とも導電線の表面にあってリードの近位端に位置する同じコンタクトに接続される。一般に第1と第2の長さ区画はほぼ同じ長さだが、そうである必要はない。
折り畳まれた導電線の折り曲げ端部領域は絶縁されていなくて電極として機能する構成であることが好ましいが、別の一実施態様では、折り畳まれた導電線の非絶縁部は、折り曲げ端部から離れていて導電線が絶縁されたままの位置にある。さらに別の一実施態様では、折り畳まれた導電線の第1と第2の長さ区画の一方または両方に沿って複数の非絶縁部が存在していてもよい。非絶縁部の長さは変化してもよく、リードに沿った非絶縁部の位置も変化してよい。それに加え、供給されるエネルギーの電流密度は、個々の導電線の第1と第2の長さ区画の絶縁体の長さを等しくなくすることによって変えることができる。その結果、第1と第2の長さ区画の非絶縁部(電極部)も長さが等しくなくなるため、長さが等しいとしたときに予想されるのとは異なる電流密度になる。
別の一実施態様では、次に、導電線の(外側のより厚い絶縁体を剥がれた)電極領域に、すでに説明した実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープを用いて非常に薄い丈夫な絶縁体を設けることができる。次に、貴金属(例えば白金-イリジウム)ワイヤの形態になった追加の導電線を加熱し、剥がして薄く絶縁された導電線のまわりにきつく巻き付けて電極にする。この電極は腐食耐性が非常に大きい。
折り畳まれた導電線の折り曲げ端部の遠位側には、別の部品として、例えば、リード本体に沿って遠位方向に延びる導電線の螺旋巻きマルチフィラーの中で折り畳まれた導電線に代わるフィラメントが続いていてもよい。このフィラメントは非導電性であることが好ましく、折り畳まれた導電線の折り曲げ端部に取り付けられてその折り曲げ端部をリードに固定するとともに、その折り曲げ端部がリードの隣接した表面から顕著に持ち上がるのを阻止する手段として機能する。このフィラメントは、ループまたは結び目を用いて固定できるが、好ましいのは、導電線の折り曲げ端部を拘束し、リードを撓ませるときにその折り曲げ部が周期的に変形してその後物理的に破損する可能性を阻止する結び目である。そのような結び目の1つは、ひばり結びとして知られるループになった結び目である。これは、多数のひばり結びとして結ぶこともできる。このフィラメントは、マルチフィラー巻きの遠位端に向かって延びることが好ましい。絶縁された導電線の外径と似た外径のフィラメントを用いることで、同じ直径を維持することと、フィラーの間隔を実質的に同じに維持することができる。あるいは直径のより小さなフィラメントにより、フィラーの間隔を狭くし(すなわちピッチをより細かくし)、そのことによって潜在的に可撓性を大きくするとともに、遠位電極の電極の表面積を改善し、折り曲げ部に取り付ける結び目のサイズを最小にする。より好ましいのは、非導電性フィラメントも半分に折り畳むことである。すると折り曲げ端部が、折り畳まれた導電線の折り曲げ端部を通過し、折り畳まれたフィラメントの第1と第2の長さ区画が巻かれたマルチフィラーの中を遠位方向に延びる。フィラメントにとって好ましい材料はフルオロポリマーである。
あるいは折り畳まれた導電線の折り曲げ端部は、接着剤や短い紐などの他の手段を用いてリード本体に固定することができる。接着剤の一例はFEPである。これは、最初に折り曲げ端部領域にFEPの粉末を満たし、次いでその領域にFEPテープを巻いた後、その領域をFEPの融点よりも高い温度に加熱することによって付着させることができる。こうすると絶縁特性も向上し、リードのこの領域に流体が浸入しないようにするシールとしても機能する。同様に、フィルムまたはテープを用い、折り畳まれた導電線の折り曲げ端部をリード本体に固定してもよい。この実施態様では、リード本体の輪郭を顕著に大きくすることなく、遠位部で固定用のフィルムまたはテープの上にファイバーを螺旋状に巻いて付着させることができる。
別の一実施態様では、導電線の絶縁されていない電極部には、体液で濡らして電荷を伝えることのできる多孔性ポリマー材料からなるチューブ状のカバーを設けることができる。このチューブ状カバーは、場合によっては、導電線の絶縁部を覆うチューブ状絶縁体の端部に接続することができる。
リードの電極部には、導電性の多孔性ポリマー材料(例えば多孔性延伸PTFE(場合によっては、多孔性延伸PTFEの空隙の少なくとも一部に炭素などの導電性材料が含まれる))からなるカバーが設けられていることが好ましい。このような材料を用いると、導電性である広い微視的な表面積が隣接する組織に提供される。一般に、小孔のサイズは、組織の付着を制限するように、または完全に排除するように選択される。より多孔性のカバーを下に供給しつつ組織の付着を制限したいときには、小孔のサイズがより小さい多孔性PTFEからなる追加のカバーで、小孔のサイズがより大きい多孔性PTFEからなる別の層を覆うことができる。これらの多孔性材料をポリビニルアルコール(PVA)などの湿潤剤で処理することには、下にある電極を迅速に支持するとともに、埋め込み時に体液で湿らせることで導電性を増大させることができるという利点がある。
別の一実施態様では、炭素などの導電性材料を充填した多孔性ePTFEを密にして実質的に非多孔性かつ導電性である表面を電極部の上に作り出すことで、フィルムがすぐに湿ってしまわないようにする必要がなくなる。
別の一実施態様では、さまざまな導電性ポリマーを電極領域で利用することができる。
リード本体の電極部の上の導電性ePTFEフィルムをより丈夫にするため、フィルムのより小さな角度と、導電線とは逆回りの螺旋巻きが望ましい。フィルムの角度を小さくすると、引っ張り強さを大きくすること、または径方向の強度を大きくすることができる。フィルムの角度を調節して引き延ばしに影響を与えることができる。それに加え、丈夫さ改善する他の方法として、より薄くてより強い導電性フィルムを使用すること、導電性フィルムの層をより多く付着させること、導電性フィルムの領域に沿って補強部材(例えば長手方向のストリップ、または金属ワイヤやポリマー製のフィラメント、ファイバー、テープ(例えば実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープ))を付着または接着させることなどがある。あるいは、ポリマーまたは金属からなるあらかじめ成形した強度付加用のチューブの形態になったウェブまたはブレードを導電性フィルム電極の上に付着させた後、その電極領域に固定するために内径を小さくすることができる。補強部材(非透過性のものも含む)を導電性フィルムで覆われた電極の実質的に全体に付加または接着した後、穴を開けることで、その穴を通じて導電性にすることもできる。このような穴は、外側補強層だけに穴を開け、下にある導電性フィルムには穴を開けないのに適したレーザーを用いて形成することができる。壊すことのできる補強部材の一例は、実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープである。放射線不透過性マーカーや音波反射性マーカーも、補強部材の中に組み込むこと、または補強部材とともに使用することができる。
リードの長さに沿って先端部電極(すなわちペーシング用電極)の近くにある電極のそれぞれには、電極の各端部に周辺部(環状)ガスケット・リングまたはシール部品が設けられている。あるいはシール材料をリードの非電極部の全長の大半または全体に設けることができる。また、シール材料をリードのほぼ全長に沿って導電線の下に設けることもできる。好ましいシール材料はエラストマー材料であり、体液がリードの絶縁部(すなわち非電極部)に浸入するのを阻止する一方で、隣接する電極部は、多孔性および/または導電性フィルムからなるカバーを通じて体液と直接に電気的接触をすることが想定されている。好ましいエラストマー材料として、熱可塑性材料とフルオロエラストマーがある。特に好ましいのは、Changらのアメリカ合衆国特許第7,049,380号とアメリカ合衆国特許出願公開2006/0198866に教示されているテトラフルオロエチレン/ペルフルオロメチルビニルエーテル(TFE/PMVE)の熱可塑性フルオロエラストマー・コポリマーである。これらの材料は、その接着特性を理由として利用することもできる。
導電線のための好ましい絶縁材料は、絶縁特性と生体適合性が優れていて、組織への付着が最少であるフルオロポリマー製フィルムである。上に指摘したように、実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープが特に好ましい。直径ができるだけ小さいリードにするため、これらの材料をうまく使って非常に薄い形態にできる。絶縁特性および/または力学的特性(例えば増大した引っ張り強さ、および/または増強された押しつぶし耐性、および/または改善された摩耗耐性)が増強されたリードを作りたい場合には、同じ材料からなるより厚いもの、または同じ材料からなる追加の層を利用できる。絶縁された導電線に、またはリード本体の外側に他の材料(例えばシリコーンやフルオロエラストマー・コポリマーなどの材料)を接着することを望む場合には、Bacinoに付与されたアメリカ合衆国特許第5,476,589号に教示されているようにして製造され、Campbellらに付与されたアメリカ合衆国特許第6,159,565号に教示されているようにしてFEPコーティングを取り付けられた多孔性ePTFEテープも、実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁体の外側の部分に付加することができる。
リードを含む材料は、場合によっては加熱硬化させ、製造中に遠位端に湾曲部または折り曲げ部を形成することができる。導電線が螺旋状の構造になっていることで、リードの湾曲した遠位端の操縦を可能にするトルクが提供されるため、埋め込み中に湾曲したスタイレットとまっすぐなスタイレットを交換する必要性が少なくなる。それに加え、湾曲した遠位端は、組織に対する圧力を小さくできるため、組織に穴が開く危険性が低下する。湾曲した遠位端は、リードの先端を例えば右心房内のより隔膜寄り(臨床的に好ましい可能性がある)に固定する能力も改善することができる。
Changらのアメリカ合衆国特許出願公開2006/0198866に教示されているように、リードの絶縁部の外側表面の全体または一部に、溶離可能な治療薬を装填したすでに説明した熱可塑性フルオロエラストマー・コポリマーTFE/PMVEからなるコーティングを設けることが好ましかろう。考慮する治療薬として、抗血栓剤、抗凝固剤、抗血小板剤、血栓溶解剤、抗増殖剤、抗炎症剤、過形成阻害剤、再狭窄阻害剤、平滑筋細胞阻害剤、抗生剤、抗微生物剤、鎮痛剤、麻酔薬、増殖因子、増殖因子阻害剤、細胞接着阻害剤、細胞接着促進剤、内膜新形成(例えば内皮細胞の増殖)を促進する薬などがあるが、これだけに限られるわけではない。一実施態様では、治療薬は抗炎症剤である。別の一実施態様では、その抗炎症剤は、デキサメタゾンリン酸ナトリウムなどのステロイドである。別の一実施態様では、治療薬にヘパリンを含めることができる。
Drumhellerに付与されたアメリカ合衆国特許第5,874,165号には、さまざまな治療薬をPTFE基板に付着させる方法が記載されている。
これらのコーティングは、螺旋状固定用部材に直接取り付けることもできる。それに加え、治療薬あり、または治療薬なしのフルオロエラストマー・コポリマーTFE/PMVEまたは他のコーティングを螺旋状固定用部材の表面で用いて導電面を変化させ、電流密度とインピーダンスを制御することができる。その中には、螺旋状固定用部材の一部を覆う絶縁性コーティング、螺旋状固定用部材の全体または大半を覆うが、望む導電性は相変わらず確保できる薄いコーティング、導電性材料(例えば炭素や金属粒子)で満たされたコーティングが含まれる。それに加え、導電性を持たせるために炭素を含むフルオロポリマー製コーティングは、裸の金属製螺旋状固定用部材、感知用リング、除細動用電極よりも熱伝導率が小さい。熱伝導率がより小さいと、磁気共鳴イメージングに付随する磁場に曝露されている間に螺旋状固定用部材や他の電極が加熱されることに起因する組織の損傷を減らすことで、MRIとの適合性を大きくすることができる。
最適な力学的特性と電気的特性をリードに与えるため、除細動とペーシング/感知の回路で選択される導電線としてMP35N DFTワイヤが一般に用いられる。この合金(主にNi、Co、Cr、Mo)でできたワイヤは生体適合性であり、長期にわたる優れた強度および疲労耐性と、埋め込み可能なリードの中での耐久性を有する。このワイヤは、“延伸充填管”またはDFTとして知られる銀製コア部品も含んでいる。この銀製コアは、一般に、フィラーの断面積の25〜41%の範囲であり、電気インピーダンスまたは抵抗が小さいためにエネルギーの損失を最少にして電流が供給される。銀が28%だと優れた結果が得られた。フォート・ウェイン・メタルズ社(フォート・ウェイン、インディアナ州)が、このワイヤの疲労耐性版(中実ワイヤまたは多重編みワイヤ)を35NLTという名称で販売している。遷移金属が35NLTの中に見いだされるため、回路で(電流を受ける)アノードとして使用するときにはこのワイヤの表面が酸化しやすい可能性がある。この酸化により、所定の期間に用いる電流の量に応じてワイヤに顕著な穴および/または腐食が生じる可能性がある。この問題に対処するには、1種類以上の貴金属が、ワイヤの(例えば物理的蒸着(PVD)によって付着させる)外側層として、またはワイヤ全体として有用であろう。タンタル、白金、パラジウム、チタンといった貴金属やこれらの合金は、電流を供給するワイヤの外面として、またはワイヤ全体として用いるとき、より酸化または腐食されにくい。一実施態様では、貴金属製ワイヤ(白金-イリジウムが好ましい)をワイヤまたは多重編みワイヤの上にコイル状に巻いて基礎となるそのワイヤに腐食耐性を与えることができる。貴金属製ワイヤの直径は、導電部から電極部まで比較的一定の直径にするため、導電性ワイヤの上にある絶縁体の厚さと同様のサイズであることが好ましい。腐食耐性をさらに向上させるため、この実施態様を貴金属製ワイヤの間または下で絶縁材料と組み合わせることができる。
心臓用では、リードの近位端に位置する電気コネクタは、通常は埋め込まれる電源と感知・制御装置(“ジェネレータ”と呼ばれることもある)にリードの導電線を接続するための多数の接点を有する単一の雄コネクタである“IS-4”または“DF-4”タイプであることが好ましい。IS-4またはDF-4の一実施態様として、リードの導電線のいくつかの端部が通る内部チューブ状部品を特徴とするスロットまたはチャネルがある。導電性材料(例えばステンレス鋼、MP35N、チタン、白金合金や、他の腐食耐性材料)でできていて、絶縁リングと交互になった接触リングを、例えば締まり嵌めおよび/または抵抗溶接といった手段で導電線の端部が接触リングの内面に接続されるようにしてチューブ状部材と導電線の端部の上に同軸に嵌める。
別の一実施態様では、接触リングに、その外面の下にあって軸方向を向いた開口部が含まれている。その開口部により、絶縁されたリードを複数の接触リングを通過させてより近位の接触リングに接続することが可能になる。次に、これらのリングの上から絶縁性材料(例えばポリウレタンやシリコーン)をオーバーモールドすることができる。コネクタの別の一実施態様には、コネクタの内部に中心がある絶縁性内側チューブに向かって内向きに曲げられた、一体化した脚部を有することが好ましい接触リングが含まれる。内側チューブには、少なくとも端部にネジが切られていることが好ましいが、全体にネジが切られていることがより好ましい。内側チューブと接触用脚部の両方とも、隣接する接触リングを通過してコネクタの遠位端に到達する。それぞれの接触用脚部は、軸方向にも径方向にも他の接触用脚部とは離してある。次に、互いに離れた接触用脚部の上に生体適合性のあるポリウレタンまたはシリコーンをオーバーモールドすることが好ましい。導電線は、レーザー溶接、クリンピングや、同様の取り付け手段(スリーブ部品も含まれていてよい)によって適切なそれぞれの接触用脚部の遠位端に接続される。脚部の遠位端は、脚部の近位端よりも面積または厚さをより大きくして導電線をより容易に終わらせることができる。この設計の1つの利点は、すべての導電線を、それぞれの接触リングの位置で終わらせねばならないのではなく、コネクタ内の1つの領域(遠位領域が好ましい)で終わらせうることにある。次に、歪み除去具の中でこれらの接続の上にオーバーモールドする。歪み除去具は、場合によっては導電線を接続点までガイドするとともに適切な絶縁と力学的な丈夫さになるように適切な間隔と向きを保証する部品を含むことができる。端部キャップを内側チューブの近位端にねじ込んで最も近位の接触リングの内側に収容するとペーシング・コイルに接続されたピンが捕獲されるため、ペーシング・コイルを回転させてリードの反対側の端部に位置する能動的先端部を固定する。
あるいは“IS-1”コネクタや“DF-1”コネクタといった他のコネクタを用いることができる。
この明細書に記載した典型的な埋め込み可能なリード組立体の斜視図である。図示した実施態様は、除細動用電極と感知/ペーシング用電極を含んでいる。 図1に示したようなリードの長さの一部を外側カバーを除いて示した斜視図である。 図2と同様にリードの長さの一部の斜視図だが、導電性ワイヤの折り曲げ端部領域の上に絶縁体が示されている。 説明する典型的なリードの側面図であり、非導電性フィラメントによって固定された折り曲げ端部を有する非絶縁裸ワイヤ電極のそれぞれが、外側カバーを除いた状態で示されている。 リードの側面図であり、非絶縁裸ワイヤ電極の折り曲げ端部を固定するのに非導電性フィラメントを用いた結び目を利用することを示している。 非絶縁裸ワイヤ電極の折り曲げ端部を固定するのに非導電性フィラメントで形成されるひばり結びを利用することを上から見て示した図である。 図3Bの結び目、フィラメント、曲げられた電極を上から見た図であり、ポリマー製チューブからなる絶縁スリーブが取り付けられている。 非絶縁裸ワイヤ電極の折り曲げ端部に非導電性フィラメントを取り付けるため、このフィラメントが多数のひばり結びを有する状態を上から見た図である。 リードの長さの一部の側面図であり、非絶縁裸ワイヤ電極の折り曲げ端部を固定するのに接着される非導電性タブを利用することを示している。 非絶縁裸ワイヤ電極が、リードの長さに沿ってこの同じワイヤの2つの絶縁部の間に位置している状態の斜視図である。 図3Fに示した非絶縁裸ワイヤ電極に多孔性ポリマー材料からなるカバーが取り付けられた状態の斜視図であり、このカバーの厚みを通って電荷が流れることができる。 非絶縁裸ワイヤ電極の側面図であり、薄い絶縁体と、絶縁されていないコイル状白金-イリジウム製ワイヤが取り付けられている。 非絶縁裸ワイヤ電極の横断面図であり、薄い絶縁体と、図3Hに示したコイル状白金-イリジウム製ワイヤが所定の長さの円弧になったものが取り付けられている。 図3Hと図3Iに示した電極を有するリード本体の側面図である。 図3Hと図3Iに示した電極の折り曲げ部の端部に結び付けた標準的な(1つの)ひばり結びの斜視図である。 導電線の電極部の各端部近くでコイル状白金-イリジウム製ワイヤが導電線と接触する別の一実施態様の縦断面図である。 外側白金-イリジウム製コイルが含まれていない非絶縁裸ワイヤ電極(例えば遠位除細動用電極)の縦断面図であり、好ましい外側カバーが示されている。 外側貴金属製コイルを含む非絶縁裸ワイヤ電極(例えばSVC電極)の縦断面図であり、テーパー状フィルム移行部が含まれた好ましい外側カバーが示されている。 電極が折り曲げ端部で終わり、一連の巻線が電極よりも直径の小さな非絶縁フィラメントで置き換わるときのマルチフィラー巻線のピッチの変化を示す縦断面図である。 リードの遠位端にペーシング用電極(固定用部材も含む)を取り付ける方法を説明する縦断面図である。 治療薬溶離ポリマーからなるカバーが取り付けられていて、能動取り付け部品(例えば螺旋状固定用部材)が収容されている遠位リード先端部組立体の斜視図である。 遠位リード先端部組立体の一実施態様の構成を示す縦断面図である。 別の遠位リード先端部組立体の構成を示す縦断面図である。 先端部が心臓の表面に固定されるときに図9Bに示したように外側に広がる可撓性ポリマー製先端部を有する先端部ハウジングの縦断面図である。 先端部が心臓の表面に固定されるときに図9Bに示したように外側に広がる可撓性ポリマー製先端部を有する先端部ハウジングの縦断面図である。 先端部が心臓の表面に固定されるときに図10Bに示したようにその先端部の遠位端を越えて延びて外側に広がる可撓性形状記憶ポリマー部材が組み込まれた先端部ハウジングの縦断面図である。 先端部が心臓の表面に固定されるときに図10Bに示したようにその先端部の遠位端を越えて延びて外側に広がる可撓性形状記憶ポリマー部材が組み込まれた先端部ハウジングの縦断面図である。 先端部が心臓の表面に固定されるときに図11Bに示したようにその先端部の遠位端を圧縮して外側に広がる可撓性ポリマー部材で形成された先端部ハウジング延長部を有する先端部ハウジングの縦断面図である。 先端部が心臓の表面に固定されるときに図11Bに示したようにその先端部の遠位端を圧縮して外側に広がる可撓性ポリマー部材で形成された先端部ハウジング延長部を有する先端部ハウジングの縦断面図である。 先端部を心臓の表面に固定する作業中に固定用部材を延ばすことで遠位方向に押すとき、図12Bに示したように先端部の遠位端から外側に広がる可撓性形状記憶ポリマー製リングを有する先端部ハウジングの縦断面図である。 先端部を心臓の表面に固定する作業中に固定用部材を延ばすことで遠位方向に押すとき、図12Bに示したように先端部の遠位端から外側に広がる可撓性形状記憶ポリマー製リングを有する先端部ハウジングの縦断面図である。 埋め込まれた後、体液を吸収することによって図13Bに示したよう広がる生体適合性ポリマー・ヒドロゲルからなる外側コーティングをハウジングの遠位端に有する先端部ハウジングの縦断面図である。図13Bは、埋め込み前と、埋め込み直後と、その後の生体吸収前に見られると考えられる生体吸収性フランジの外観も示している。 埋め込まれた後、体液を吸収することによって図13Bに示したよう広がる生体適合性ポリマー・ヒドロゲルからなる外側コーティングをハウジングの遠位端に有する先端部ハウジングの縦断面図である。図13Bは、埋め込み前と、埋め込み直後と、その後の生体吸収前に見られると考えられる生体吸収性フランジの外観も示している。 長手方向を向いた一対のスロットが設けられたチューブ状先端部ハウジングのそれぞれ斜視図と側面図であり、隣り合ったそれらスロットの間で先端部ハウジングの材料が内向きに曲げられて、螺旋状固定用部材を通すためのガイドとして機能する。 長手方向を向いた一対のスロットが設けられたチューブ状先端部ハウジングのそれぞれ斜視図と側面図であり、隣り合ったそれらスロットの間で先端部ハウジングの材料が内向きに曲げられて、螺旋状固定用部材を通すためのガイドとして機能する。 斜めの方向を向いた一対のスロットが設けられたチューブ状先端部ハウジングのそれぞれ斜視図と側面図であり、隣り合ったそれらスロットの間で先端部ハウジングの材料が内向きに曲げられて、螺旋状固定用部材を通すためのガイドとして機能する。 斜めの方向を向いた一対のスロットが設けられたチューブ状先端部ハウジングのそれぞれ斜視図と側面図であり、隣り合ったそれらスロットの間で先端部ハウジングの材料が内向きに曲げられて、螺旋状固定用部材を通すためのガイドとして機能する。 長手方向を向いた一対のスロットが設けられたチューブ状先端部ハウジングのそれぞれ斜視図と側面図であり、隣り合ったそれらスロットの間で先端部ハウジングの長さを越えて延びる先端部ハウジングの材料が内向きに曲げられて、螺旋状固定用部材を通すためのガイドとして機能する。 長手方向を向いた一対のスロットが設けられたチューブ状先端部ハウジングのそれぞれ斜視図と側面図であり、隣り合ったそれらスロットの間で先端部ハウジングの長さを越えて延びる先端部ハウジングの材料が内向きに曲げられて、螺旋状固定用部材を通すためのガイドとして機能する。 好ましい電気コネクタの側面図である。 スロットのあるチューブを有する電気コネクタの縦断面図である。 スロットのあるチューブを有する電気コネクタの横断面図である。 電気コネクタの別の一実施態様であり、この電気コネクタは、リード本体からの導電線と接続するため遠位方向に延びる脚部が設けられた接触リングを有する。 電気コネクタの別の一実施態様であり、この電気コネクタは、リード本体からの導電線と接続するため遠位方向に延びる脚部が設けられた接触リングを有する。 電気コネクタの別の一実施態様であり、この電気コネクタは、リード本体からの導電線と接続するため遠位方向に延びる脚部が設けられた接触リングを有する。 電気コネクタの別の一実施態様であり、この電気コネクタは、リード本体からの導電線と接続するため遠位方向に延びる脚部が設けられた接触リングを有する。 電気コネクタの別の一実施態様であり、この電気コネクタは、リード本体からの導電線と接続するため遠位方向に延びる脚部が設けられた接触リングを有する。 電気コネクタの別の一実施態様であり、絶縁されたリード本体ワイヤが接続リングに設けられた開口部を通過できるため、そのワイヤを延ばしてより近位の接触リングに接続することが可能になる。 電気コネクタの別の一実施態様であり、絶縁されたリード本体ワイヤが接続リングに設けられた開口部を通過できるため、そのワイヤを延ばしてより近位の接触リングに接続することが可能になる。 リード本体ワイヤを通すことと、選択したワイヤを適切な接触リングに接続することが可能になるようにするためのチャネル式チューブを有する電気コネクタのそれぞれ縦断面図と側面図である。 リード本体ワイヤを通すことと、選択したワイヤを適切な接触リングに接続することが可能になるようにするためのチャネル式チューブを有する電気コネクタのそれぞれ縦断面図と側面図である。 このコネクタの異なる接触リングの位置における横断面である。 このコネクタの異なる接触リングの位置における横断面である。 このコネクタの異なる接触リングの位置における横断面である。 リード本体導電線から電気コネクタへの移行を改善するための歪み除去具の内部を示している。 リード本体導電線から電気コネクタへの移行を改善するための歪み除去具の内部を示している。 埋め込み可能なリードの摩耗耐性を評価するための摩耗テスターの概略を示す側面図である。
図1は、この明細書に記載する典型的な埋め込み可能なリード組立体10の斜視図であり、ここには、リード10を適切な電源または感知・制御システム11に接続できるようにする近位位置の電気コネクタ12と、近位除細動用電極14と、遠位除細動用電極16と、感知用電極18と、先端部接続領域19によってリード10の遠位端に取り付けられた遠位先端部電極組立体20が示されている。リード10は、中間にある絶縁部13と15のほか、2つの除細動用電極14と16の各端部に位置するシール部品17も備えている。図示した部分のいずれか、またはすべては、望む任意の長さにすることができる。
図2は、図1に示したようなリード10の長さの一部を外側カバーを除いて示した斜視図である。図2に示した部分は図1に切断線“2”で示してあり、近位除細動用電極14を含んでいる。部分13は、マルチフィラー巻きライナー23の上に形成されたマルチフィラー螺旋巻きの構成で示した導電線の3つの“第1と第2の長さ区画”22、24、26を含んでいる。螺旋巻きにしたペーシング用電極導電線21がライナー23によって形成された隙間の中に位置し、リード10の遠位端に位置する固定用部材112まで延びている。導電線をコイルにしたペーシング用電極21には外側絶縁性カバーが取り付けられているが、ここには図示していない。
図2Aは、図2と同様のリードの長さの一部の斜視図だが、導電性ワイヤ22eの折り曲げ端部22bの上に絶縁体27が示されている。必要に応じて絶縁体を折り曲げ端部22b、24b、26bのいずれかまたはすべての上に使用できることは明らかである。コイル状ペーシング用電極21には外側絶縁性カバーが取り付けられているが、ここには図示していない。コイル状ペーシング用電極21の上のこのカバーは、すでに説明した実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープをこのコイルに少なくとも1回螺旋巻きにすることによって形成されることが好ましい。そのときFEPで被覆された側がコイル21の表面と向かい合うようにする。あるいはカバーは、押し出しによって形成することや、コイルを絶縁性チューブ状部材の中にコイルを配置することによって形成できる。わずかな隙間(約0.05mm)をコイル状ペーシング電極21の外側カバーとライナー23の内側の隙間の間に設けることで、コイル21を回転させて固定用部材112を接触している組織の中に入れたり、その組織から引き抜いたりすることができる。
導電線の第1と第2の長さ区画22、24、26は、リードの可撓性と曲げ寿命に寄与する多重編みワイヤであることが好ましい。これらの区画には、生体適合性のある薄くて強くて誘電率の大きな絶縁性カバーが取り付けられる。これら多重編みワイヤのまわりで使用するのが好ましい絶縁体は、すでに説明した実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープを巻き付けたものによって提供される。
導電体の3つの第1と第2の長さ区画22、24、26のそれぞれは、3つの異なる電極、すなわち(図2に示した)近位除細動用電極14、感知用電極18、遠位除細動用電極16(電極16と18は図2には示されていない)のための独立した電圧導電線を構成する。導電線と電極の並び方を望むようにできることは明らかであり、導電線と電極を望む任意の数にできることも明らかである。導電性のこれら第1と第2の長さ区画22、24、26のそれぞれは、ほぼ半分に折り畳まれた単一の導電線の所定の長さから形成される。これについてはあとでさらに説明する。
絶縁部13から電極14に移行する位置では、電極14の近位端で絶縁体が導電線の第1と第2の長さ区画22から除去されていることがわかる。そのため電極14は第1と第2の長さ区画22の非絶縁部を含んでおり、それを22eとして示してある。電極14の裸の非絶縁部22eは、その電極の遠位端において、絶縁されていないワイヤ22eの180°折り曲げ部22bとなって終わっている。この位置では、第1と第2の長さ区画22が、180°折り曲げ部22bを作り出すために半分に折り畳まれた同じ導電線22の単なる2つの半分であることがわかる。
折り曲げ部22bでは、非導電性フィラメント32を導電線の折り曲げ部22bに通してあるため、フィラメントの折り曲げ部32bが作り出される。導電線22が半分に折り畳まれているのと同様にフィラメント32が半分に折り畳まれていて(すなわち折り曲げ部32b)、フィラメント32の半分ずつが、導電線が折り曲げ部22bで終わる前の第1と第2の長さ区画22によって以前に占められていた巻線スペースの中に第1と第2の長さ区画32を作り出し、それがマルチフィラー巻きになってリード10の遠位端へと続いていることは明らかである。導電線の折り曲げ部22bがフィラメントの折り曲げ部32bと鎖の輪のようにつながることも同様に明らかである。したがってフィラメントの折り曲げ部32bとフィラメントの第1と第2の長さ区画32は、ワイヤの折り曲げ部22bをリード10の表面(例えば巻かれたライナー23の外面)に固定する機能を有する。導電線の折り曲げ部22bとフィラメントの折り曲げ部32bよりも遠位側では、非導電性フィラメントの第1と第2の長さ区画32が、導電線の折り曲げ部22bよりも近位側の第1と第2の長さ区画22によって以前は占められていたスペースと置き換わる機能も持つ。非導電性フィラメント32はフルオロポリマー材料でできていることが好ましい。なぜなら、このような材料の潤滑性と、リードを構成する間の熱処理に対する耐性のために望ましいからである。強度と潤滑性が理由でePTFEフィラメントが好ましい。このようなフィラメントは、一般に、Hollenbaugh Jr.らに付与されたアメリカ合衆国特許第5,281,475号に教示されているようにして製造できる。フィラメントは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリウレタンなども含むことができる。非導電性フルオロポリマー製フィラメント(例えばePTFE)を使用するとリード10の可撓性と曲げ寿命に貢献すると考えられている。可撓性を大きくするためマルチフィラー巻きの中により細かいピッチを作り出したい場合には、フィラメント32を導電線22、24、26よりも小さな直径にすることができる。
あるいはフィラメント32でフィルムまたはテープを構成し、その上に遠位方向に延びる導電線を螺旋状に巻き付けることができよう。
フィラメントは非導電性材料でなければならないと述べたが、フィラメントのスペース占有機能を提供するため、サイズが適合する金属フィラメントまたは金属含有フィラメントを用いることが(あまり望ましくはないが)可能であろう。ただしそのためには、そのフィラメントが他の導電性部品から絶縁されていて、そのフィラメントを周囲の組織から電気的に隔離するために絶縁性材料からなる外側カバーが好ましくは設けられていることが条件である。
導電線の他の2つの第1と第2の長さ区画24と26は、図2からわかるように遠位側にリードの部分15を越えて連続し、導電線の折り曲げ部22bよりも遠位側にあるフィラメントの第1と第2の長さ区画32とともにマルチフィラー巻きのままである。
図3は、説明する典型的なリード10の側面図であり、各電極22e、24e、26eが示されているが、外側カバーは除かれている。この図面は上図と下図に分けられており、上図には近位除細動用電極14が、下図には遠位除細動用電極16と感知用電極18が描かれている。上図には、図2の斜視図と同じようにして電極14が示されている。(リードの近位端から遠位端まで考慮しているため、)各電極14、16、18について、導電線の第1と第2の長さ区画22、24、26のそれぞれが、電極導電線と非導電性フィラメントの各180°折り曲げ部が鎖の輪のようにつながった位置にある電極導電線の第1と第2の長さ区画の端部22e、24e、26eの後、どのように非導電性フィラメントの第1と第2の長さ区画32、34、36によって置換されているかがわかる。同様に、各フィラメントの開始部の180°折り曲げ部が、各電極導電線の終端部の180°折り曲げ部を通ってループにされて鎖の輪のようにつながっていることがわかる。あるいはフィラメントの一端を折り曲げ部22bのまわりに巻き付け、そのフィラメントの長さの(折り畳んで二重にしていない)残部をリードの遠位端に向かって延ばしてもよいことは明らかである。
図3Aはリード10の一部の側面図であり、電極22eの折り曲げ端部を拘束するためのフィラメント33の別の利用法を示している。フィラメント33はリード10の周囲(例えば巻線ライナー23)に1回巻かれ、電極22eの折り曲げ端部を通る。フィラメント33の両端は結び目33kで固定される。図3Bは、裸の非絶縁ワイヤ電極22e、24e、26eの折り曲げ端部(22b、24b、26b)を固定するため非導電性フィラメント(32、34、36)で形成された結び目33k(この場合にはひばり結び)の利用法を上から見た図である。図3Cは、図3Bの結び目33kと、フィラメント32、34、36と、電極の折り曲げ端部22b、24b、26bにポリマー製のチューブ状絶縁スリーブ38を取り付けたものを上から見た図である。図3Dは、非導電性フィラメント32、34、36を電極の折り曲げ端部(22b、24b、26b)に取り付ける別の結び目33k(例えば多数のひばり結び)を有するフィラメント(32、34、36)を上から見た図である。
図3Eは、固定用タブ35によって固定された電極22e(または24e、または26e)の折り曲げ端部22b(または24b、または26b)を示す側面図である。このようなタブは、さまざまな材料(例えばすでに説明した実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープ)から製造し、熱可塑性FEPコーティングを下にある表面に熱接合することによって固定できる。他の接着法も利用できる。
図3Fは、半分に折り畳んで平行な第1と第2の長さ区画22を作る前の導電線(例えば導電線22)の中間部の斜視図である。折り曲げ部のいずれかの側に位置する露出している導電線の長さは同じでも異なっていてもよいことがわかるであろう。電極14を形成する非絶縁区画22eには、導電線22の長さの残部を覆う絶縁体がないことがわかる。図3Gは別の斜視図であり、非絶縁区画22eに多孔性材料からなるカバーをどのようにして取り付けるかを示している。このカバーによって体液の浸入が可能になり、その結果としてその厚み全体が導電性になる。上述のように、好ましい多孔性材料は多孔性ePTFEフィルムである。より好ましいのは、材料の空隙の一部に炭素などの導電性材料を含む多孔性ePTFEフィルムである。これらの図面は、多孔性カバー材料をどのように利用すると、図3Fの非絶縁区画22eの直径を大きくして隣接する導電線22の絶縁部と一致させ、そのことによって図3Gの覆われた電極部22ecを作り出し、リード10の好ましい等直径性を維持する助けにできるかを示している。絶縁されていない導電線の直径を大きくするこの方法は、非絶縁部が導電線の両端の間に位置するか、導電線の一端に位置するかに関係なく利用できる。
図3Hは、電極部22e、24e、26eを有する導電線22、24、26の一部の側面図である。この実施態様では、導電線22、24、26を覆うより厚い絶縁体29は、より薄い絶縁体31(例えばすでに説明した実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープ)へと移行する。貴金属製ワイヤ28を適度な張力でより薄い絶縁体31の表面にコイル状にきつく巻いた後に加熱し、貴金属製ワイヤ28と基礎となる導電線22、24、26の間に電気が流れるようにする(導電性)。図3Iは、より薄い絶縁体31を有する導電線22e、24e、26eのまわりに貴金属製ワイヤ28きつく巻いたものの横断面図である。貴金属製ワイヤ28の端部37はその位置に固定され、エラストマー接着剤30(すでに説明したChangらのTFE/PMVEなどのフルオロエラストマー接着剤が好ましい)で密封される(絶縁される)。図3Hに示した貴金属製ワイヤ28は横断面が丸いが、平坦なワイヤや特定の形状のワイヤも可能である。同様に、より薄い絶縁体31が、貴金属製ワイヤ28を全長に巻き付けた導電線22、24、26の全長を覆い、より厚い絶縁体29が、より薄い絶縁体31と、非電極部の貴金属製ワイヤ28の両方を覆うようにすることができる。その中には、ピッチを変えて、狭い(より細かい)ピッチの電極部と、より厚い絶縁体の下にあって広い(より粗い)ピッチの部分を持つようにすることが含まれる。
別の一実施態様では、(貴金属製コイル28を裸の導電線22e、24e、26eの表面に巻き付けた後に)より薄い絶縁体31をコイル状貴金属製ワイヤのコイルの間に取り付け、コイル状貴金属製ワイヤ28の外面を導電性にするため露出したままにすることができる。その中には、絶縁体31を貴金属製コイル28の上に配置した後、加熱などの手段によってコイル28の間に絶縁体31を強制的に入れ、次いで導電性を持たせるためコイル28の表面を露出させることが含まれる。
図3Hの電極は腐食耐性が大きいことがわかった。
図3Jはリード本体10の一部の側面図であり、導電線22の薄く絶縁された電極部22eの上に貴金属製ワイヤ28が螺旋状に巻かれた状態を示している。
図3Kは、きつく巻かれたコイル状貴金属製ワイヤ28を有する薄く絶縁されたワイヤ電極22e、24e、26eの折り曲げ端部(22b、24b、26b)を固定するのに非導電性フィラメント(32、34、36)で形成された結び目33k(この場合にはひばり結び)を利用することを上から見て示した図である。
それに加え、図3Lの縦断面図に示してあるように、貴金属製ワイヤ28を裸の導電線22e、24e、26eの裸にされた区画の上に巻き付け、次いで導電線22、24、26の完全に(例えば厚く)絶縁された区画29の上へと続けた後、裸にされた第2の区画22e、24e、26eの上に螺旋状に巻き付けることができる。その後、裸にされたこれらの区画を絶縁体30でさらに覆うと、体液の浸入を阻止することができる。導電性ポリマー(例えば炭素充填ePTFEフィルム)のカバーが取り付けられた中央の区画は電極として機能する。
図4は、好ましい外側電極カバーを説明するための電極(遠位除細動用電極)の縦断面図である。図示した断面は遠位除細動用電極16の詳細だが、外側カバーに関しては電極14、16、18に典型的なものである。カバーの特定の組み合わせを示してあるが、これらのカバーは、厚さ、層の数、材料などをさまざまにして取り付けてよいことは明らかである。
図4、図4A、図4Bには、図示した部品がはっきりとわかるようにするため、ペーシング用コイル状導電線21または内側ライナー23が含まれていないことに注意されたい。
リード10の長さの電極でない絶縁部に体液が浸入することを阻止するため、シール部品17が電極16の両端に取り付けられている。シール17はエラストマー材料からなる。エラストマー材料はフルオロエラストマーが好ましい。特に好ましいのは、すでに説明したTFE/PMVEフルオロエラストマー・コポリマーである。シールは、TFE/PMVEコポリマーなどのエラストマーからなるコーティングを取り付けたePTFEフィルムから作った複合テープを、シール部品を取り付けることを望む領域の周囲に巻き付けることによっても実現できる。周囲に巻き付けたePTFEは、強度を与えるとともに、加熱されたときに周囲を圧縮する一方で、制御された加熱製造ステップにおいて、熱可塑性TFE/PMVEが、下にある絶縁された導電線の形状の中に流入することを可能にする。ePTFEとフルオロエラストマーからなるこの複合テープ材料は、Changらのアメリカ合衆国特許第7,049,380号とアメリカ合衆国特許出願公開2006/0198866にも記載されている。
電極16の外面には多孔性導電フィルム(例えば炭素充填ePTFEフィルム)からなるカバー48が取り付けられている。層の数(2つの層を図示してある)は、カバーの全空孔度、カバーの導電性、カバーの望む厚さに依存するであろう。
電極16とシール部品17の両側にあるリードの絶縁部には、ePTFEフィルムからなるラッピング46が取り付けられている。このフィルムは、(便宜上)電極の上に用いた炭素充填ePTFEフィルムと同じでよいが、非導電性フィルムを使用してもよい。別の一実施態様では、ePTFEとフルオロエラストマーからなる上記の複合テープも使用できる。2つの層からなるラッピング46を示してあるが、ここでもその厚さは望む設計基準によって決まるであろう。
リード10の部分13、15、17に上記のカバーを取り付けた後、リードの(絶縁部と電極部を含む)全長に多孔性ePTFEフィルムからなるカバー44を取り付けることができる。1つの層44を示してあるが、ここでもその厚さは望む設計基準によって決まるであろう。
最後に、リード10の絶縁部には、個々の導電線を絶縁するのに以前に用いた実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープからなるカバー42が取り付けられている。このカバーは、テープを螺旋状に巻き付けて付着させることもできる。2つの層42を示してあるが、厚さは望む設計基準によって決まるであろう。
図4Aは、電極部を覆う導電性フィルム48(例えば炭素充填ePTFEフィルム)と、隣接する絶縁部13、15、17の上のカバー42(すでに説明した実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープが好ましい)とに挟まれたテーパー状移行部47を示す縦断面図である。テーパー状移行部47は、図4Aに示してあるよりも長く延びていてよい。一実施態様では、絶縁性外側本体フィルム42は、導電性外側本体フィルム48とわずかに重なっている実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープ(図示せず)と螺旋状に重なっている。
図4Bは、導電線22が折り曲げ端部22b(図示せず)で終わるときにその導電線22の代わりにフィラメント32を用いた結果として生じるピッチの変化(角度55と56の違い)を示す縦断面図である。この実施態様のフィラメント32は、絶縁された導電線22よりも直径が小さい。より細かいピッチ56が得られることで、リードのこの部分の可撓性が増大する。可撓性の増大はリード10の遠位端において望ましいと考えられており、組織が付着する場所で組織に穴が開くことが阻止される。
図5は、遠位先端部組立体20(あとでさらに説明する)とリード10の間の接合部を横から見た断面図であり、遠位先端部組立体20をリード10の遠位端に取り付けるのに適した1つの構成を示している。この接合部は、チューブ状先端部ハウジング105とリード10の本体の遠位端に接するブッシング99(図6にも見られる)を備えている。ブッシング99は、チューブ状先端部ハウジング105の中に嵌まるスリーブ部98と、ブッシング99を先端部ハウジング105に取り付けるためのフランジ部97を有する。ブッシング99は、プラスチックなどの非導電性材料でできていることが好ましい。好ましいプラスチック材料は、PTFEやFEPなどのフルオロポリマーである。非導電性ブッシング99のスリーブ部98は、チューブ状先端部ハウジング105の近位端の中に嵌まり(以下の説明参照)、フランジ97が、チューブ状先端部ハウジング105の近位端とリード10の本体の遠位端に接する。これら3つの部品はすべて、薄い非透過性フィルム42(例えば、個々の導電線を絶縁するのに以前に使用した実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープ)からなる1つ以上の層をチューブ状先端部ハウジング105の外面と、ブッシング99のフランジ部97と、リード10の本体の遠位端のまわりに巻いて取り付ける。ブッシング99はさらに、絶縁性フィルム層44の遠位端と、領域52cwで周囲に巻いた絶縁テープ52のいくつかの層が及ぼす圧力が原因で平坦になる(32c、34c、36c)非導電性フィラメント32、34、36とを受け止める内部斜面50を備えている。
マルチフィラー巻き内側ライナー23がリード10の全長にわたって延びている上にフィラメント32、34、36が配置され、内側ライナー23の下には螺旋状に巻かれた導電線22、24、26がある状態が示されている。マルチフィラー巻きライナー23は、螺旋状に巻かれた導電線22、24、26の下に隙間の滑らかな面を提供するとともに、隙間の中にあるペーシング・コイル21が回転できるようにするのを助けるフルオロポリマー層であることが好ましい。それに加え、ポリマー製マルチフィラー巻きライナー23は、導電線22、24、26とフィラメント32、34、36を巻くための支持体として一時的に使用されるあらゆるマンドレルからの解放手段として機能することができる。この層23は、導電線とフィラメントを巻き付ける前に、ePTFEテープ(例えば実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープ)からなる複数の層を暫定的構造体であるマンドレルの上に巻いてからそれらの層を互いに熱接合させることによって製造できる。
ペーシング・コイル21には、すでに説明した実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープからなるポリマー材料製外側カバー88も取り付けられていることが好ましい。ペーシング・コイル21の外側カバーとマルチフィラー巻きライナー23の間にある典型的な隙間は、例えば約0.02〜0.06mmにすることができる。
図5からわかるように、リード10の本体の遠位端から遠位先端部組立体22への移行部は、いくつかのフィルム層を含んでいる。その層のうちの1つ(またはそれ以上)は、層44の連続部であり(図4参照)、そこには上に説明したようにリード10の上に螺旋状に巻かれた多孔性ePTFEフィルムが含まれている。次に、絶縁フィルム(例えばすでに説明した実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープ)からなる多数の層52をブッシング99の近位側に隣接した位置でリード10の本体の遠位端の周囲に巻き付ける。巻かれたこれらテープ層52は、フィラメントの遠位端32c、34c、36cを固定するためと、領域52cwにおけるリード10の遠位端の直径をチューブ状先端部ハウジング105の外径に合わせることでリード10と先端部ハウジング105が同じ直径になるようにするために使用される(各“層”52は、多数回巻かれたテープを含んでいてよい)。実質的に非透過性の絶縁テープ52は、組織が増殖してリード10の中に入るのを阻止するのに用いるとともに、絶縁体としても機能する。リード10の本体から連続している層42は、リード10の本体の遠位端と、ブッシング99のフランジ97と、チューブ状先端部ハウジング105の外面のまわりに螺旋状に巻き付けられている。望むのであれば、他の目的(例えば治療薬の溶離)のために他の材料を層42の上に使用することができる。これについてはあとでさらに説明する。
図6は、リード10の遠位先端部組立体20(今後は“先端部”と呼ぶ)の一実施態様の斜視図である。図6と図7からわかるように、先端部20は、側壁104と実質的に開放された端部102とを有するチューブ状先端部ハウジング105と、固定用部材112と、先端部ハウジングの一部と開放された端部の少なくとも一部とを覆う実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープからなる少なくとも1つの層とで構成されている。上に説明した非導電性ブッシング99のフランジ97も図示されている。図6の先端部組立体20は、すでに説明した熱可塑性フルオロエラストマーTFE/PMVE124をスプレーして載せた層を備えており、螺旋状固定用部材112をチューブ状先端部ハウジング105の外へと導く偏心した穴101を含んでいる。TFE/PMVEコーティング層は、場合によっては治療薬を含むことができる。治療薬として、抗血栓剤、抗凝固剤、抗血小板剤、血栓溶解剤、抗増殖剤、抗炎症剤、過形成阻害剤、再狭窄阻害剤、平滑筋細胞阻害剤、抗生剤、抗微生物剤、鎮痛剤、麻酔薬、増殖因子、増殖因子阻害剤、細胞接着阻害剤、細胞接着促進剤、内膜新形成(例えば内皮細胞の増殖)を促進する薬などがあるが、これだけに限られるわけではない。好ましい治療薬は、デキサメタゾンリン酸ナトリウムなどの抗炎症ステロイドである。
先端部組立体20は、その先端部組立体20とリード10の本体の遠位端に接する非導電性ブッシング99を介して(上に説明したような)医用リードに接続される。図示したようにブッシング99が先端部ハウジング105の中に嵌まってリード10の本体の遠位端に接すると、これらの部品は、上に説明したように、実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープからなる複数の層を、先端部ハウジング105の外面と、ブッシング99と、リード10のまわりに何層も巻き付けることによってリード10の本体の遠位端に取り付けられる。
図7は、遠位先端部組立体20の縦断面図である。先端部ハウジング105は、実質的に開放された端部102と側壁104とを有するチューブ状材料で構成されている。チューブ状先端部ハウジング105は、耐久性のある任意の生体適合性材料(例えばPTFE、ステンレス鋼、ニチノール、白金)から製造することができる。先端部ハウジング105は、コイル21を固定用部材112に電気的に接続する柱106を含んでいる。この柱は組織の中に挿入されることになる。柱106は、生体適合性で耐久性のある任意の金属(最も好ましいのはステンレス鋼)から製造できるが、他の導電性材料(例えば白金、チタン、金)を使用してもよい。一実施態様では、柱106の1つの領域が先端部ハウジング105の内壁と密に接触することになる。この接触により、固定用部材112を延ばしたり引き抜いたりするときに固定用部材112が適切にガイドされる。別の一実施態様では、柱106はスリーブ部108を備えている。別の一実施態様では、コイル21が柱106のスリーブ部108の中に配置され、スポット溶接、レーザー溶接、クリンピングのいずれかによってその位置に保持される。別の一実施態様では、クリンピング用マンドレル114がコイル21の中に挿入された後、柱106のスリーブ部108の中に配置され、クリンプされる。このクリンピング用マンドレル114は、クリンピングの間を通じてコイル21を支持することで、そのコイル21がクリンピングの間につぶれないようにする。コイル21は、フィルム(図5参照;例えばすでに説明した実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープ)で覆ってコイル21がしっかり巻き付けられた状態を維持するなどの方法で絶縁することができる。このコイル21は、短絡を阻止する絶縁体として機能するとともに、トルクの伝達を改善することもできる。コイル21が絶縁されている場合には、クリンプ107(図5参照)がフィルム88からなる外側カバーを破り、柱106とコイル21が接触できるようにする。別の一実施態様では、コイル21は遠位端が絶縁されていないため、容易に柱106に電気的に接続することができる。本発明の別の一実施態様では、コイル21は、(上に説明したように)リード10のペーシング・コイルである。
図7には、組織に付着させるための固定用部材112も示されている。固定用部材112は、生体適合性で耐久性がある導電性の任意の材料(例えばステンレス鋼、白金、チタン、パラジウムや、これらの合金)から製造することができる。一実施態様では、固定用部材112は、螺旋状固定用部材である。別の一実施態様では、螺旋状固定用部材112は、コイル21の回転によって回しながら延ばしたり引き抜いたりすることができる。螺旋状固定用部材112は、スポット溶接、レーザー溶接、クリンピングのいずれか、または当業者に知られている他の方法で柱106に固定することができる。柱106は、固定用部材112をコイル21に電気的に接続するとともに、固定用部材112の軸方向ガイドとしても機能する。螺旋状固定用部材112は、チューブ状先端部ハウジング105の内壁の遠位端の中に形成するかその遠位端に取り付けた変形部103などの手段によってガイドすることもできる。他のガイド手段(例えばガイド・ピン)を利用してもよい。
図7は、遠位先端部組立体20がいくつかのフィルム“層”で覆われていてもよいことを示している。各“層”は、フィルムからなる多数のラッピングを含むことができる。したがって“層”という用語は1つのラッピングに限定されることはなく、任意の数のラッピングがこの用語に含まれる。一実施態様では、少なくとも1つの層が、流体と内部成長する組織を実質的に透過させない層である。この実質的に非透過性の層は、電気的絶縁体にもなる。図7からわかるように、チューブ状先端部ハウジング105の側壁104と開口部102を覆うフィルム層がいくつか存在できる。層42は、チューブ状先端部ハウジング105の側壁104からリード10の本体まで延びる実質的に非透過性の層であるため、上に説明したように先端部組立体20とリード10の本体は互いにカップルする。この層42は、先端部ハウジングを電気的に絶縁する機能も有する。層42は、実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープをリード10の本体と先端部組立体20のまわりに螺旋状に巻き付けて付着させることができる。一実施態様では、層42は、すでに説明した実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープである。別の一実施態様では、遠位先端部組立体20は、別のフィルム層116を含むことができる。この実施態様では、層116は、先端部ハウジング105の少なくとも側壁104と開口部102を覆う。この実施態様では、層116は先端部ハウジング105の開口部102の上に“被さっている”ため、開口部102を(ドラム状のカバーで)覆うとともに、側壁104を覆っている。別の一実施態様では、遠位先端部組立体20は、側壁104と層116のまわりに巻かれた別のフィルム層118を備えている。この実施態様では、フィルム118も実質的に非透過性のフィルムであってよい。別の一実施態様では、このフィルムはすでに説明した実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープである。層118は、層116をその位置に保持することができる。層118は、電気的絶縁体からなる別の層を先端部ハウジング105に付加することにもなっている。別の一実施態様では、先端部組立体20は、追加のフィルム層120を含むことができる。この層は透過層であることが好ましい。この層は、FEPの不連続な(多孔性)コーティングを有する多孔性ePTFEフィルムにすることができる。この実施態様では、層120が先端部組立体20の上に“被さっている”ため、先端部ハウジングの開口部102を(ドラム状のカバーで)覆うとともに、側壁104を覆っている。多孔性FEPで被覆されたePTFEフィルム120は、接着剤として機能するFEPコーティングを通じ、下にある非透過性テープに付着させることができる。多孔性FEPで被覆されたePTFEフィルム120は、治療薬溶離層124などのコーティングを付着させるための多孔性基板にもなることができる。別の一実施態様では、遠位先端部組立体20は、側壁104とカバー層120のまわりに巻き付けられた別のフィルム層122を含んでいる。この実施態様では、フィルム122は、多孔性のフィルムまたはテープ(例えば不連続なFEPコーティングを有するePTFE)であることが好ましい。この層122は、層120をその位置に保持することができる。別の一実施態様では、遠位先端部組立体20は、治療薬溶離層124を含むことができる。この実施態様では、治療薬溶離層は、すでに説明した熱可塑性フルオロエラストマー・コポリマーTFE/PMVEと、すでに説明した治療薬を含むことができる。別の一実施態様では、治療薬溶離コポリマーを遠位先端部組立体20の表面にスプレーして治療薬溶離層124を作り出すことができる。別の一実施態様では、治療薬溶離コポリマーは、遠位先端部組立体20の上に付着させるフィルムの中に組み込まれるか、そのフィルムの上にコーティングされる。別の一実施態様では、治療薬溶離コポリマーは、あらかじめ形成されたカバーとして提供し、先端部組立体20の上に配置することができる。別の一実施態様では、先端部組立体に治療薬溶離コポリマーを浸漬コーティングすることができる。
本発明の別の実施態様では、開口部102を覆う層は、固定用部材112が通過できる偏心した開口部101(図6)を有する。先端部ハウジング105の開口部102を覆うためにフィルムを用いることには利点がある。なぜならフィルムはより薄いため、先端部組立体20の長さをより短くできるからである。開口部102を覆うフィルムは、治療薬を溶離させるための追加の表面積も提供するため、組織が損傷する危険性を最少にできる。それに加え、上記のフィルムは、螺旋状固定用部材112が偏心した開口部101を通過するときにその螺旋状固定用部材112を支持するのに必要な強度を有する。上記のように遠位先端部組立体20をリード10の本体の遠位端に接合すると、固定用部材112を延ばしたり引き抜いたりするのに必要な引っ張り強さが増すとともにトルクがより小さくなるため、信頼性が向上する。
先端部組立体20は、その先端部組立体20および/または固定用部材112の位置の画像を明確にする放射線不透過性マーカーも含むことができる。このマーカーは、先端部ハウジングに沿った任意の位置、または、先端部ハウジングの全体に配置してハウジングと螺旋状固定用部材の間にある参照基準にすることで、蛍光透視法の下でいつ固定用部材が完全に延ばされたか、および/または引き抜かれたかを示すことができる。放射線不透過性マーカーは、螺旋状固定用部材および/または柱106に付加すること、または先端部ハウジング105の内部の隙間に付加することもできる。
本発明の別の一実施態様は図8に示した別の先端部組立体20Aであり、これは、一般に上に説明したのと同様にして構成される。図8にはさらに、コポリマー製キャップ202を有する先端部組立体20Aが示されている。このコポリマー製キャップ202はさらに、螺旋状固定用部材112を延ばしたり引き抜いたりするときにその螺旋状固定用部材112をガイドする螺旋状隙間204を備えている。一実施態様では、キャップ202は治療薬溶離コポリマーからなる。別の一実施態様では、このコポリマーは、すでに説明した熱可塑性フルオロエラストマー・コポリマーTFE/PMVEである。治療薬の例は上に記載してある。コポリマー製キャップ202は、一般に、先端部ハウジング105の内径と実質的に同じ外径を持つ円筒形である。螺旋状隙間204を作る1つの方法は、コポリマー製キャップ202を、螺旋状固定用部材112を真似ているが少なくとも1ゲージ分だけ螺旋状固定用部材112よりも厚い螺旋状部品とともに硬化させるというものである。その模造品を備えたキャップ202を硬化させた後、その模造品をコポリマー製キャップ202から取り除くと、螺旋状隙間204が残る。別の一実施態様では、螺旋状隙間204は、当業者に知られている方法で作り出すことができる。
螺旋状隙間204を有するコポリマー製キャップ202が作られると、そのキャップ202は先端部ハウジング105の遠位端に配置される。螺旋状固定用部材112は螺旋状隙間204の中に挿入され、キャップ202は、先端部ハウジング105の遠位端と接するか、そこからわずかに突起することができる。キャップ202は、少なくとも1つのフィルム層42をキャップ202と先端部ハウジング105の側壁104に巻き付けることによって側壁104に固定される。一実施態様では、層42は、先端部組立体20Aの遠位端からリード10の遠位端まで延びる実質的に非透過性の層である。この層は、先端部ハウジング105を電気的に絶縁する機能と、キャップ202を先端部ハウジング105の側壁104に取り付ける機能を有する。この層は、実質的に非透過性の層をキャップ202と先端部ハウジング105のまわりに螺旋状に巻き付けることによって付着させることができる。一実施態様では、実質的に非透過性の層は、すでに説明した実質的に非透過性のePTFE/FEPテープである。先端部組立体20Aは、上に説明したようにしてリード10の本体に取り付けることができる。
図9Aと図9Bは、先端部20が心臓の表面に固定されるときに図9Bに示したように外側に広がる可撓性ポリマー製スリーブ126が取り付けられた先端部ハウジング105の縦断面図である。スリーブ126は、適度に可撓性があって生体適合性の任意のポリマー材料で製造することができる。治療薬を溶離させることのできるエラストマー材料が好ましい。溶けないコーティングをスリーブ126の外面に用いて埋め込み中にフランジが広がるのを阻止することができる。
図10Aと図10Bは、先端部20が心臓の表面に固定されるときに図10Bに示したようにその先端部の遠位端を越えて延びて外側に広がる可撓性記憶ポリマー製内部スリーブ128が組み込まれた先端部ハウジング105の縦断面図である。スリーブ128は、適度に可撓性があって生体適合性の任意のポリマー材料で製造することができる。治療薬を溶離させることのできるエラストマー材料が好ましい。
図11Aと図11Bは、先端部が心臓の表面に固定されるときに図11Bに示したようにその先端部20の遠位端を圧縮して外側に広がる可撓性ポリマーで形成された先端部ハウジング延長部130が取り付けられた先端部ハウジング105の縦断面図である。延長部130は、適度に可撓性があって生体適合性の任意のポリマー材料で製造することができる。治療薬を溶離させることのできるエラストマー材料が好ましい。
図12Aと図12Bは、先端部20を心臓の表面に固定する作業中に固定用部材112を延ばすことで遠位方向に押すと図12Bに示したように先端部の遠位端から外側に広がる可撓性形状記憶ポリマー製リング132を有する先端部ハウジング105の縦断面図である。リング132は、適度に可撓性があって生体適合性の任意の形状記憶ポリマー材料で製造することができる。治療薬を溶離させることのできるエラストマー材料が好ましい。
図13Aと図13Bは、埋め込まれた後、体液を吸収することによって図13Bに示したように広がる生体適合性ポリマー・ヒドロゲルからなる外側コーティング135をハウジング105の遠位端に有する先端部ハウジング105の縦断面図である。
図13Bは、埋め込み前と、埋め込み直後と、その後の生体吸収前に見られると考えられる生体吸収性材料製フランジ134の外観も示している。適切な生体吸収性材料は従来からよく知られている。
図14Aと図14Bは、長手方向を向いた一対のスロット136が遠位端に設けられたチューブ状先端部ハウジング105のそれぞれ斜視図と側面図であり、隣り合ったそれらスロット136の間にある先端部ハウジングの材料が内向きに曲げられてタブ137を形成し、螺旋状固定用部材112(図示せず)を通すためのガイドとして機能する。スロット136の一方は他方よりも長くなっていて、固定用部材112のピッチに対応する角度を持つ折り曲げられたタブ137を提供する。
図15Aと図15Bは、斜めの方向を向いた一対のスロット138が設けられたチューブ状先端部ハウジング105のそれぞれ斜視図と側面図であり、隣り合ったそれらスロット138の間にある先端部ハウジング105の材料が内向きに曲げられて、螺旋状固定用部材112(図示せず)を通すためのガイド139として機能する。
図16Aと図16Bは、長手方向を向いた一対のスロット136が設けられたチューブ状先端部ハウジング105のそれぞれ斜視図と側面図であり、隣り合ったそれらスロットの間で先端部ハウジング105の長さを越えて延びる先端部ハウジング105の材料が内向きに曲げられて折り曲げられたタブ137を形成し、螺旋状固定用部材112(図示せず)を通すためのガイドとして機能する。この実施態様では、図16Aに示した折り曲げる前のタブ137の長さが先端部ハウジング105の端部を越えて延びていることは明らかである。スロット136の一方は他方よりも長くなっていて、固定用部材112のピッチに対応する角度を持つ折り曲げられたタブ137を提供する。
最後に、電源または感知・制御システム11にリード10を迅速かつ容易に接続できるよう、リード10の近位端には適切な電気コネクタ12が取り付けられる。図17とそれ以降の図面に示してあって以下に説明するコネクタ12は、電気生理学で一般に“IS-4”コネクタまたは“DF-4”コネクタとして知られている。コネクタ12は、IS-4コネクタまたはDF-4コネクタを受け入れる電源または感知・制御システム11のソケットに差し込めるように、または適切なアダプタのソケットに差し込めるように製造される。コネクタ12は、リング状コネクタ端子304と、絶縁リング320と、ピン・コネクタ302を備えている。
図18Aは、コネクタ12の縦断面図である。コネクタ12は、絶縁性スリーブ312と、絶縁性スリーブの隙間310と、絶縁性スリーブ312の壁部を貫通したスロット314を備えている。上記の第1と第2の長さ区画22、24、26は、絶縁性スリーブ312の隙間310からこのスロット314を通って隙間310の外部へと出ることになる。絶縁性スリーブ312は、非導電性で生体適合性のある適切な任意の材料(例えばPEEK、PTFE)から構成することができる。ピン・コネクタ302は導電性材料から作られており、コイル状導電線(図示せず)を挿入できる穴306を備えている。一実施態様では、そのコイル状導電線は、上記のペーシング・コイル21である。そのコイル状導電線は、上に説明したように、ピン・コネクタ302を医用リードの遠位部の固定用部材112に電気的に接続する。コイル状導電線の近位端は、抵抗溶接、レーザー溶接、クリンピングや、従来から知られている他の方法で穴306の中の所定位置に固定することができる。ピン・コネクタ用ベアリング322がピン・コネクタ用フランジ308を受け入れ、今度はピン・コネクタ用フランジ308が、保持キャップ324によって軸方向の位置を保持される。この組立体によってピン・コネクタ302は長軸に沿って回転することができる。上に説明したように、ピン・コネクタ302の回転により、固定用部材112を組織の中に挿入すること、または組織から引き出すことが可能になろう。
図18Aには接触リング304も示されている。接触リング304は、金属(例えばステンレス鋼、MP35N、白金-イリジウム合金)から製造することができる。接触リング304は、上に説明した第1と第2の長さ区画22、24、26の近位端318に電気的に接続される。その近位端318は絶縁体が剥がされて、絶縁性スリーブの隙間310の遠位端に入れられ、それぞれのスロット314を通過する結果、ワイヤ端部318は今や絶縁性スリーブ312の外側にある。そこでワイヤ端部318を対応する各接触リング304に電気的に接続する。ワイヤ端部318は、締まり嵌め、抵抗溶接、レーザー溶接、クリンピングによって接触リング304の隙間の表面に取り付けることができる。接触リング304は互いに軸方向に離れており、絶縁リング320によって互いに電気的に絶縁されている。絶縁リング320は、非導電性の生体適合性材料(例えばPEEK、PTFE)から製造することができる。一実施態様では、絶縁性スリーブ312は、導電線の端部318を受け入れることのできる溝または“ランディング”を備えている。すると導電線の端部318は絶縁性スリーブ312と同じ平面上に存在することになる。別の一実施態様では、絶縁性スリーブのスロット314は、径方向に互いに120°離れている。図18Bに示した横断面の模式図には、スロットが径方向に離れていることが示されている(が、必要な軸方向の分離は示されていない)。それに加え、スロット314は、図18Aからわかるように、絶縁性スリーブ312の長さに沿って長手方向に、すなわち軸方向に互いに離れている。コネクタ12は、絶縁性スリーブ312の遠位部と、スリーブ支持キャップ328と、リード10(図示せず)の本体の近位部とを取り囲む歪み除去用鞘326も含んでいる。この鞘326を用いて汚染物質が絶縁性チューブの隙間310の中に入るのを阻止することができる。鞘326は、リード・コネクタ12を電源または感知・制御システム11の中に挿入したり、そこから引っ張り出したりするためにリード・コネクタを掴む手段としても機能する。鞘326は、絶縁性の適切な任意の生体適合性材料から製造することができ、一般にポリマー材料またはエラストマー材料からなる(後者が好ましい)。
図19Aは、コネクタ12の別の一実施態様の縦断面図である。コネクタ12は3つの接触リング304を含んでおり、各接触リングは、内向き折り曲げ部316を有する脚部315(リングと一体化していることが好ましい)を持つ。各脚部はチューブ317に向かって遠位方向に延びている。必要な場合には、脚部は、遠位に位置する任意の接触リング304を通過する。図19Aには、3つの脚部315のうちの1つだけが見えるが、図19Bの点線で示した側面図には、(図19Eの断面図と同様)3つの脚部315がすべて現われている。各脚部315の遠位端には、脚部315のその端部の上にクリンプまたは溶接されたチューブ317があり、各チューブ317の反対側の端部は開放されたままにされていて、導電線(22、24、26;図示せず)を受け入れる。その導電線は、適切なチューブ317のその反対側端部の内側にクリンプまたは溶接することができる。内側チューブ319は、接触リング304相互の間と接触リング304の遠位位置に絶縁性のポリウレタンまたはシリコーンを注入するオーバーモールドの間に形成されて、絶縁リング320を接触リング304相互の間と接触リング304に隣接した位置に提供する。保持キャップ324をネジが切られた内側チューブ319の近位端にねじ込んでピン・コネクタ302を捕捉することができる。
図20Aは、コネクタ12の別の一実施態様の縦断面図である。コネクタ12は、絶縁されたワイヤ22、24、26(図示せず)のいずれかを通せる直径のより大きな一対の開口部305と、絶縁されていないワイヤ端部(22、24、26のいずれか;図示せず)を溶接やクリンピングなどで終わらせることのできるより小さな穴307とを有する接触リング304を備えている。それに加え、接触リング304は、ペーシング・コイルまたは内側チューブ319を配置できる中央の穴309を備えている。
図21Aと図21Bは、リード本体となるワイヤ(図示せず)を通すことと、選択されたワイヤを特定の接触リング304に接続することを可能にするチャネル式チューブ321を有する電気コネクタ12のそれぞれ縦断面図と側面図であり、図21C、図21D、図21Eは、その横断面図である。コネクタ12は、チャネル323を有する内側チューブ321を備えている。コネクタ12は、PEEKなどの絶縁性ポリマーでできている。各チャネル323は、コネクタ12の遠位端から特定の接触リング304まで延びている。導電線(図示せず)はリード10の本体から特定のチャネル323に沿って延びていき、特定の接触リング304で終わっている。残るすべてのスペースは、接触リング304相互の間と接触リング304に隣接するスペースを含め、絶縁性ポリマー(例えばシリコーンやポリウレタン)で埋め戻される。
図22Aと図22Bは、リード10の本体内で螺旋状に巻かれた導電線22、24、26がより大きなピッチに移行してコネクタ12に接続できるようにする、コネクタ12の内側歪み除去部327の斜視図を示している。内側歪み除去部327は、導電線22、24、26をガイドする3つのワイヤ・チャネル325を含むことができる。内側歪み除去部327は、コネクタ12の位置で直径がリード10の直径から徐々に増大する。
ここに説明したリードは、さまざまな方法と望むサイズの材料で製造することができる。したがって製造に関する以下の説明とサイズは、本発明を制限することを意図したものではない。
最初に、導電線22、24、26として用いる長いワイヤ(例えば1×19 0.165mmの35 NLT DFT(フォート・ウェイン・メタルズ社(フォート・ウェイン、インディアナ州)))に、すでに説明した実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープを巻く。このテープは幅が約2.5mmであり、フィルムのFEPで被覆された側がワイヤの表面とは反対側を向くようにして約2.5mmのピッチで付着される。テープを巻き付けたこのワイヤを20〜45秒間にわたって320℃に加熱する。この時間は、この構造体をFEPの融点よりも高温に加熱するのに十分な時間である。次に、テープを巻き付けたこのワイヤに、同じタイプの幅3.3mmのテープを、FEPがワイヤの表面を向くようにして2.9mmのピッチで逆方向に再び巻き付ける。このワイヤを再びFEPの融点よりも高温に加熱する。
得られる絶縁された導電線ワイヤ(直径が約0.27mm)を、320cmの長さのもの2つと、220cmの長さのもの1つに切断する。ここで絶縁体が完全であることを、ワイヤを100%イソプロピルアルコールに短時間浸した直後に9g/リットルの生理食塩水に移すことによって確認できる。適切な電圧源(例えばクワッドテック・ガーディアン社の12KVDC Hipot Tester(メイナード、マサチューセッツ州 01754))を各ワイヤの両端に接続し、5kVを15秒間印加する。テストの後、ワイヤを脱イオン水で洗浄し、次いで100%イソプロピルアルコールで洗浄する必要がある。
次に、各ワイヤの長さの中央部の絶縁体を適切な手段で剥がす(例えば熱で剥がす)。剥がされた部分の長さは、320cmのサンプルの1つに関しては約4.3cmであり、他方に関しては約34cmであり、長さ220cmのワイヤに関しては約34cmである。次に、これらワイヤのそれぞれを、絶縁されていない部分の中心で半分に折り畳み、各ワイヤの中心に180°折り曲げ部を作り出す。最後に、構成された直径約0.125mmのリード(これについてはあとで説明する)の遠位端に到達するのに十分な長さのePTFEフィラメントを各ワイヤの折り曲げ部の頂点に挿入し、外科医のこま結びを利用してその折り曲げ部で結び、余ったフィラメントは切り離す。
(構造体マンドレルとして機能することを想定している)所定の長さの銀メッキ銅線の両端を巻き線機のチャックの中に配置する。このワイヤ製マンドレルは一時的基板として用いられ、その上に上に説明した導電線がマルチフィラー巻きにされる。ワイヤ製マンドレルの直径は、ペーシング・コイルがマルチフィラー巻きの隙間の中で回転できて、ペーシング・コイルの遠位端に取り付けた固定用部材用電極を心臓の組織にねじ込んだり心臓組織から取り去ったりするのに必要な隙間を得るのに十分なように選択する。ワイヤ製マンドレルは、今後のため、完成したリードの外径が最小となるよう、ペーシング・コイルに必要な隙間が得られる実用的な最小の直径に最適化することができる。
その後、銀メッキ銅線に、厚さが約0.04mmで幅が約6.4mmの薄いePTFEテープを約3.8mmのピッチで右回りに巻き付ける。上に説明したワイヤ絶縁プロセスで使用したのと同じタイプの幅6.4mmのテープを用い、別のテープ層を、3.6mmのピッチでフィルムのFEP被覆された側を銀メッキ銅線の表面とは反対側を向くようにして、この第1のラッピングの上に右回りに巻き付ける。次に、第1のラッピング層で使用したのと同じテープを用いて第3の層をその上に巻き付ける。今度は、3.0mmのピッチで右回りに付着させる。最後に、この同じテープからなる別の層を2.8mmのピッチで左回りに(すなわち逆方向の巻き方で)巻き付ける。
次に、3本のフィラメントをすべてマンドレルを横断して並べ、マンドレルとワイヤの折り曲げ部の間のフィラメント部の距離が、電極間の望ましい距離に対応するようにする。全長320cmで剥がされた長さが4.3cmのワイヤの折り曲げ部をマンドレルの最も近くに位置させる。全長320cmで剥がされた長さが34cmのワイヤの折り曲げ部を、第1の折り曲げ部よりもマンドレルから32mm離した位置にする。最後に、全長220cmで剥がされた長さが34cmのワイヤの第3の折り曲げ部を、第1の折り曲げ部よりもマンドレルから47cm離した位置にする。すべてのフィラメントの自由端は、合わさってマンドレルのまわりに右回りに少なくとも10回螺旋状に巻かれ、次いで1つのグループとして少なくとも5つの結びで結ばれる。
巻き線機を右回りに回転させ、ファイバー/ワイヤの組み合わせをマンドレル上でコイルにする。そのとき、剥がされた4.3cmの部分の折り曲げ端部がマンドレルに届くまで、巻いている間を通じてすべてのワイヤが交差したり捩じれたりしないようにして0.49mmのピッチで平坦に並ぶように注意する。コイルの作製を続けるにあたり、第1の34cm剥がされた部分の折り曲げ部がマンドレルに届くまでは0.76mmのピッチ、次いで第1の34cm剥がされた部分の端部までは1.03mmのピッチ、第2の34cm剥がされた部分の折り曲げ部までは1.29mmのピッチ、そして第2の34cm剥がされた部分の端部までは1.73mmのピッチ、最後にコイル部の全長が約53cmを超えるまでは2.09mmのピッチにする。ワイヤの両端を一時的にテープで止めてコイルがほどけないようにする。
次に、この構造体の遠位端において、マルチフィラー巻きコイル状ワイヤ構造体(この構造体は遠位端から始まって近位端まで延びる)からなる最初に作った電極に隣接した位置の周囲を、リードの直径が1.50mmに達するまで、すでに説明した実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープを用いた幅3.2mmのテープで包む(すなわち螺旋状ではない)。
次に、遠位端に最も近い(4.3cmの長さが剥がされた部分からの絶縁されていないワイヤを含む)電極区画すなわち感知用電極の周囲を、炭素充填ePTFEフィルムから切り取られた幅3.20mmのテープからなる2つまたは3つの層で包む。この炭素充填ePTFEフィルムは密度が約0.5g/cc、厚さが約0.13mmであり、約25重量%のケチャム-ブラック・カーボンが充填されていて、(フィルム表面の電子顕微鏡写真を走査して)目視で評価したフィブリルの平均長は約10ミクロンである。炭素充填ePTFEフィルムは、Mortimerに付与されたアメリカ合衆国特許第4,985,296号に教示されているようにして製造できる。
次に、すでに説明した熱可塑性フルオロエラストマー・コポリマーの層で被覆したePTFEフィルムを得る。使用するこのePTFEフィルムは、Bacinoらに付与されたアメリカ合衆国特許第7,306,729号に教示されているようにして製造されたフィルムであり、厚さは約0.0025mm未満である。フルオロエラストマーの被覆があるため、この複合フィルムは厚さが約0.028mmである。このフィルムを幅3.2mmのテープに切断し、そのテープを、構造体のまわりに感知用電極(ワイヤの絶縁されていない4.3cmの長さから最初に作り出した電極)の近位端に隣接する位置で6層巻き付ける。そのとき、この複合テープのフルオロエラストマー側がリードの表面を向くようにする。このラッピングにより、リードの絶縁された隣接部からその電極を分離するとともに、絶縁された部分が体液で汚染されないようにするシール部品が形成される。
同じePTFE/フルオロエラストマー複合フィルムからなる幅6.4mmのテープを用い、作り出した第2の電極(すなわち、ワイヤの絶縁されていない第1の34cmの長さから作った遠位除細動用電極)の近位端に隣接した位置の周囲に5つの層を付着させる。作り出した第3の電極(すなわち、ワイヤの絶縁されていない第2の34cmの長さから作った近位除細動用電極)の両端に隣接した位置に同じタイプのラッピングを付着させる。
導電線のうちで電極に用いる非絶縁部から生じるわずかな凹みを埋めるため、シール部品に挟まれた位置で、上に説明したタイプの幅0.76mmの炭素充填ePTFEテープを遠位除細動用電極と近位除細動用電極の上に巻く。
シール部品に挟まれた位置で遠位除細動用電極と近位除細動用電極の上に幅0.32mmの炭素充填ePTFEテープを4.32mmのピッチで右回りに螺旋状に巻くことで、シール部品と密に接した接合が保証される。このフィルムによる2回目のラッピングを第1のラッピングの上に同様にして付着させるが、3.8mmのピッチで左回りである点が異なる。
次に、リードの全長に幅13.0mmのePTFEテープを螺旋状に巻く。このフィルムは、Bacinoらに付与されたアメリカ合衆国特許第7,306,729号に教示されている上に説明したのと同じフィルムであり、厚さは約0.0025mm未満である。
感知用電極の近位端に隣接してすでに付着させてあるePTFE/フルオロエラストマー複合テープの周囲に、幅3.2mmのすでに説明した実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープを用いた3つの層を、テープのFEP側がリードの表面を向くようにして巻き付ける。次に、遠位除細動用電極の近位端に近い絶縁されたリード部の上に、シール部品の上も含め、幅6.4mmのこの同じePTFE/FEP絶縁テープを3.7mmのピッチにして巻く。最後に、この構造体全体を320℃に設定した対流炉の中で3分間にわたって加熱する。
炉から構造体を取り出して周囲温度まで冷やした後、銀メッキ銅線製マンドレルの表面に以前に付着させたePTFEテープのうちで、(構造体の遠位端に位置する)すでに説明した実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープを巻いて1.5mmの直径にしたものの遠位端に隣接した位置で露出している部分をすべて削って除去する。
遠位先端部組立体とペーシング用電極で利用することを想定したチューブ状ハウジングを、壁の厚さ0.064mm、内径1.37mmの304または316ステンレス鋼製チューブから長さ7.0mmに切断して製造する。このチューブ状ハウジングは、一時的にチューブ状ハウジングの内側に嵌まる支持コイルとともに、銀メッキ銅線製マンドレルの端部の上を、構造体の遠位端で巻いて直径1.5mmにした絶縁テープにぶつかるまで滑らせる。
幅6.4mmのePTFE/FEP絶縁テープを、巻いて直径1.5mmにした絶縁テープの上から始まって徐々に遠位に向かい、チューブ状ハウジングの端部の上まで、(FEPで被覆された側をリードに向けた状態で)螺旋状に巻き付ける。次に、同じテープを(やはりFEPで被覆された側がリードを向いた状態で)、巻いて直径1.5mmにした絶縁テープの上に付着させるとともに、3.2mm延ばしてチューブ状ハウジングの近位端の上に付着させ、直径を1.7mmにする。
次にこの構造体を320℃に設定した炉の中で4分間にわたって加熱する。炉から取り出して周囲温度まで冷やした後、絶縁テープをチューブ状ハウジングの遠位の横方向縁部から切り離し、内部支持コイルを除去する。
次に、リード組立体を湿潤剤で処理する。最初に、被覆されたコイルを周囲温度(21℃)でイソプロピルアルコール(IPA)に15分間にわたって浸す。次に、被覆されたコイルを直ちに2.0%ポリビニルアルコール(PVA)と脱イオン水の溶液に移し、周囲温度にて70分間にわたって浸す。次に、被覆されたコイルを周囲温度にて脱イオン水の中で20分間にわたって洗浄した後、2%グルテルアルデヒドと1%塩酸(HCl)と脱イオン水の溶液に50分間にわたって浸す。最後に、被覆されたコイルを周囲温度にて脱イオン水で2時間にわたって洗浄した後、大気中で乾燥させる。
湿潤剤での処理が終わった後、銀メッキ銅線製マンドレルの端部に適度な張力を加えてマンドレルを約15cmに延ばす。するとマンドレルが十分に細くなってリードがマンドレルの表面を自由に滑ることが可能になるため、得られたリードがこのマンドレルから外れる。マンドレルをその位置に残したまま、DF-4コネクタをリード本体の近位端に取り付けることができる。最初にスリーブ支持キャップを、次いで絶縁性スリーブを、リード本体上で近位端から遠位端に向かって滑らせる。感知用電極のための第1と第2の長さ区画のワイヤ端部(2)を、絶縁性スリーブの最も近いスロットを通過させて引っ張る。次に、絶縁性スリーブに隣接したワイヤ端部を熱によって剥がす。接触リングをリードの遠位端からスリーブ支持キャップの上を通って絶縁性スリーブの上まで滑らせ、絶縁性スリーブの近位端と同一平面になるまで感知用電極ワイヤの端部を押して締まり嵌めにする。次に、絶縁リングをリードの遠位端から前の接触リングにぶつかるまで滑らせて所定の位置に来させる。次に、遠位除細動用電極のワイヤ端部をまん中のスロットを通過させて引っ張り、剥がした後、別の接触リング、次いで別の絶縁リングを上記のようにして滑らせて所定の位置に来させる。次に、近位除細動用電極のワイヤ端部を遠位スロットを通過させて引っ張り、剥がした後、1つの接触リング、次いで別のより長い絶縁リングを上記のようにして滑らせて所定の位置に来させる。ピン・コネクタ用ベアリングを押して絶縁性スリーブの近位端の中に入れる。接触リングのそれぞれの近位端に隣接した位置で突起したワイヤ端部を切り離し、すべてのリングを一緒に押してあらゆるギャップを閉じる。医用接着剤を用いて個々の部分を接合して組立体にすることができる。医用接着剤は、絶縁性スリーブの内側を埋め戻すのにも使用できる。次に、歪み除去用鞘(シリコーンでできていることが好ましい)をリードの遠位端上を滑らせてコネクタの遠位端の上まで来させ、医用接着剤を用いて取り付ける。接着剤が乾燥すると、マルチフィラー巻きライナーを、ピン・コネクタ用ベアリングと同一平面になるようにして切り離し、マンドレルを除去することができる。
0.46mmの銀メッキ銅線製マンドレルを用い、6フィラーのペーシング・コイルを構成する。各フィラーは、0.076mmの35NLT、28%銀DFTワイヤ(フォート・ウェイン・メタルズ社(フォート・ウェイン、インディアナ州))である。あるいは多重編みワイヤも用いることができる。6本のフィラーは、マンドレルの上で0.51mmのピッチで左回りにしてコイルにする。ワイヤを切断する前にコイルの両端をマンドレルに固定することで、コイルが自由になって直径が大きくならないようにする。次にこのコイルに幅3.175mmの実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープを2.85mmのピッチで(FEPで被覆された側がワイヤを向くようにして)巻いた後、同じテープからなる別のラッピングを逆回りに2.62mmのピッチで(やはりFEPを下にして)付着させる。次にこのコイルを約4分間にわたって320℃に加熱する。マンドレル上をペーシング・コイルが自由に滑れるようになるまで銀メッキ銅線を引っ張ることによってこのコイルをマンドレルから外した後、端部を切除して望む長さにする。
適切な固定用螺旋/柱部品を得る。この螺旋部品は、溶接によって柱に取り付けられることが好ましい。直径0.51mmで長さ3.05mmのステンレス鋼製ワイヤをペーシング・コイルの一端に、端部が揃うまで挿入する。この端部は、柱/固定用螺旋組立体のスリーブ部に挿入されてまとめてクリンプされることで、柱がコイルに力学的にも電気的にも固定される。次に、ペーシング・コイルの導電線を以前に製造したリードの遠位端に挿入する。固定用螺旋がペーシング用電極のために設けられたチューブ状ハウジングの中に位置すると、切断して折り畳んだ小部分(切断部の隣り合った縁部は内向きに折り畳まれてわずかに重複する)を形成し、チューブ状ハウジングの遠位縁部の周囲に沿った一点にだけある、このチューブ状ハウジングの遠位縁部にする。この切断して折り畳んだ小部分は、固定用螺旋が進まずに自由に回転することを阻止するためのガイドとして機能するのに十分でなければならない。
長さが短い幅3.175mmのすでに説明した実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープを、加熱した鉄(約330℃に設定)を用いてチューブ状先端部ハウジングの外側に(FEPで被覆した側を下に向けて)平行に取り付け、ハウジングの開放された遠位端の上に引っ張り、チューブ状先端部ハウジングの反対側に付着させる。テープの端部は、先端部ハウジングのほぼ近位端の位置で切除し、すべての縁部を融けた鉄でよく接合する。これを、各層が先端部のまわりで時計回りの異なる位置に来る(すなわち約72°の間隔で径方向に配置される)ようにして合計で2〜5層繰り返す。次に、別の長さのこの同じテープを、先端部ハウジングの全長の上に螺旋状に(FEPで被覆した側を下に向けて)付着させる。前に付着させたテープ層と同様にして、FEPで被覆した幅が約6mmで厚さが約0.0025mmの所定の長さの多孔性ePTFEテープを(FEPで被覆した側を下に向けて)、1つの層がハウジングの端部の上に来るとともに、螺旋状の1つの層がハウジングを取り巻くようにして付着させる。このePTFEテープは、一般に、Bacinoに付与されたアメリカ合衆国特許第5,476,589号に教示されているようにして製造された後、Campbellらに付与されたアメリカ合衆国特許第6,159,565号に教示されているようなFEPの不連続コーティングが取り付けられる。この層は、フィルムを接合するのに十分な時間にわたって320℃の局所的な対流熱を加えることによって接合される。約1mgのステロイドを供給するのに十分なように、デキサメタゾンリン酸ナトリウムを含むすでに説明したTFE/PMVEフルオロエラストマー・コポリマーからなるコーティングを先端部組立体の外面にスプレーする。
ペーシング・コイルの導電線の露出した近位端に十分なトルクを加えることで固定用螺旋を回転させて遠位方向に延ばし、チューブ状ハウジングの遠位端を覆っているフィルムに穴を開ける。螺旋がフィルムに穴を開けるのを助けるため、フィルムを手動操作せねばならない可能性がある。次に(ペーシング・コイルの近位端を逆方向に回転させることによって近位の方向に向かわせ)固定用螺旋をチューブ状先端部ハウジングの中に完全に引っ込める。次に、ペーシング・コイルの導電線の露出した近位端を切除して適切な長さにした後、DF-4コネクタのピン・コネクタをペーシング・コイルの導電線の近位端に取り付ける。これは、最初にステンレス鋼製チューブ(外径0.53mm、内径0.41mm、長さ5.6mm)を揃うまでペーシング・コイルの近位端の中に挿入することによって実現される。次に、このチューブとペーシング・コイルの近位端を、ピン・コネクタがピン・コネクタ用ベアリングの中に収容されるまでピン・コネクタの雌ソケットの中に挿入した後、コネクタのフランジの近位端にクリンプする。最後に、保持キャップをピン・コネクタの端部に嵌めた後、押してピン・コネクタ用ベアリングの中に入れる。
所定の長さの絶縁されたワイヤの周囲に貴金属製ワイヤを螺旋状に巻いて電極を形成することを含む別の製造法に関する説明も提示する。それ以外の詳細も変化しているが、他の特徴は同じままである。説明の連続性を考え、同じままの特徴も以下の説明で繰り返す。
最初に、導電線22、24、26として用いる長いワイヤ(例えば1×19 0.165mmの35 NLT DFT(フォート・ウェイン・メタルズ社(フォート・ウェイン、インディアナ州)))に、すでに説明した実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープを巻く。このテープは幅が約2.5mmであり、フィルムのFEPで被覆された側がワイヤの表面とは反対側を向くようにして約2.5mmのピッチで付着される。テープを巻き付けたこのワイヤを20〜45秒間にわたって320℃に加熱する。この時間は、この構造体をFEPの融点よりも高温に加熱するのに十分な時間である。次に、テープを巻き付けたこのワイヤに、同じタイプの幅3.3mmのテープを、FEPがワイヤの表面を向くようにして2.9mmのピッチで逆方向に再び巻き付ける。このワイヤを再びFEPの融点よりも高温に加熱する。
得られる絶縁された導電線ワイヤ(直径が約0.27mm)を、320cmの長さのもの2つと、220cmの長さのもの1つに切断する。ここで絶縁体が完全であることを、ワイヤを100%イソプロピルアルコールに短時間浸した直後に9g/リットルの生理食塩水に移すことによって確認できる。適切な電圧源(例えばクワッドテック・ガーディアン社の12KVDC Hipot Tester(メイナード、マサチューセッツ州 01754))を各ワイヤの両端に接続し、5kVを15秒間印加する。テストの後、ワイヤを脱イオン水で洗浄し、次いで100%イソプロピルアルコールで洗浄する必要がある。
次に、各ワイヤの長さの中央部の絶縁体を適切な手段で剥がす(例えば熱で剥がす)。剥がされた部分の長さは、320cmのサンプルの1つに関しては約3cmであり、他方に関しては約33cmであり、長さ220cmのワイヤに関しては約36cmである。
次に、すでに説明したより薄い実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープを幅約2mmに切断して剥がされた部分に巻き付けると、絶縁体の厚さが約0.01mmになる。直径が約0.05mmの白金/イリジウム製ワイヤを、薄く絶縁された導電線の上でコイルにされる場所のすぐ近くで約700℃に加熱した金属面を横断させた後、薄く絶縁された区画の上に約0.08mmのピッチで巻いてコイルにする。使用する温度は下にある導電線の薄い絶縁体の融点よりも高いことが好ましい。Pt/Ir製コイルの両端をフルオロエラストマー接着剤で止めることで、そのコイルが緩んだり移動したりするのを阻止する。すでに説明した実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープを幅3.2mmに切断して白金-イリジウム製コイルの中央部のまわりに径方向に巻き、2〜4層にする。
次に、これらワイヤのそれぞれを、3.2mmの絶縁体がある白金-イリジウム製コイルの中央で半分に折り畳み、各ワイヤの長さの中央に180°折り曲げ部を作り出す。最後に、半分に折り畳んだときに構成されるリードの遠位端に届くのに十分な長さの直径約0.1mmのePTFEフィラメント(あとでさらに説明する)を、各ワイヤの折り曲げ部の頂点のまわりでループにする。そのとき、図3Dに示したおうな三重のひばり結びを用いる。
(構造体マンドレルとして機能することを想定している)所定の長さの銀メッキ銅線の両端を巻き線機のチャックの中に配置する。このワイヤ製マンドレルは一時的基板として用いられ、その上に上に説明した導電線がマルチフィラー巻きにされる。ワイヤ製マンドレルの直径は、ペーシング・コイルがマルチフィラー巻きの隙間の中で回転できて、ペーシング・コイルの遠位端に取り付けた固定用部材用電極を心臓の組織にねじ込んだり心臓組織から取り去ったりするのに必要な隙間を得るのに十分なように選択する。ワイヤ製マンドレルは、今後のため、完成したリードの外径が最小となるよう、ペーシング・コイルに必要な隙間が得られる実用的な最小の直径に最適化することができる。
その後、銀メッキ銅線に、厚さが約0.04mmで幅が約6.4mmの薄いePTFEテープを約3.8mmのピッチで右回りに巻く。上に説明したワイヤ絶縁プロセスで使用したのと同じタイプの幅6.4mmのテープを用い、別のテープ層を、3.6mmのピッチでこの第1のラッピングの上に巻くか、すでに説明したより薄くて幅が6.4mmの実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープを1.3mmのピッチで巻く。この層は、フィルムのFEP被覆された側が銀メッキ銅線の表面とは反対側を向くようにして右回りに巻く。次に、(第1の層と同じ)フルオロエラストマーがラミネートされた幅が3.2mmの薄いePTFEテープを用いて第3の層を、フルオロエラストマーが表面とは反対を向いているようにして、1.9mmのピッチで左回りに上から巻き付ける。
次に、3本のフィラメントをすべてマンドレルを横断して並べ、マンドレルとワイヤの折り曲げ部の間のフィラメント部の距離が、電極間の望ましい距離に対応するようにする。全長320cmで剥がされた長さが3cmのワイヤの折り曲げ部をマンドレルの最も近くに位置させる。全長320cmで剥がされた長さが33cmのワイヤの折り曲げ部を、第1の折り曲げ部よりもマンドレルから32mm離した位置にする。最後に、全長220cmで剥がされた長さが36cmのワイヤの第3の折り曲げ部を、第1の折り曲げ部よりもマンドレルから45cm離した位置にする。すべてのフィラメントの自由端は、合わさってマンドレルのまわりに右回りに少なくとも10回螺旋状に巻かれ、次いで1つのグループとして少なくとも5つの結びで結ばれる。
巻き線機を右回りに回転させ、ファイバー/ワイヤの組み合わせをマンドレル上でコイルにする。そのとき、33cmの部分の折り曲げ端部がマンドレルから約1cmになるまで、巻いている間を通じてすべてのワイヤが交差したり捩じれたりしないようにして0.76mmのピッチで平坦に並ぶように注意する。36cmの部分の折り曲げ部がマンドレルから約1cmになるまで、コイルの作製を1.29mmのピッチで続ける。コイルの全長が約53cmよりも長くなるまで2.09mmのピッチで巻く作業を続ける。ワイヤの端部をテープで止めてコイルがほどけないようにする。
SVC電極とRV電極に、炭素充填ePTFEフィルムから切り出した幅6.4mmのテープを導電線とは逆回りに巻いて5〜6層にする。この炭素充填ePTFEフィルムは密度が約0.7g/cc、厚さが約0.03mmであり、約27重量%のケチャム-ブラック・カーボンが充填されている。炭素充填ePTFEフィルムは、Mortimerに付与されたアメリカ合衆国特許第4,985,296号に教示されているようにして製造できる。このテープをマンドレルに平行に切断し、SVC電極の各端部とRV電極の近位端での厚さの長さ6.4mmのテーパーを作り出す。RV電極の遠位端は、テープの遠位側でマンドレルから約103°で切断し、3.2mmのテーパーを実現する。
次に、RV電極の遠位端において、すでに説明した熱可塑性フルオロエラストマー・コポリマーの層で被覆した幅3.2mmのePTFEフィルムを得る。使用するこのePTFEフィルムは、Bacinoらに付与されたアメリカ合衆国特許第7,306,729号に教示されているようにして製造されたフィルムであり、厚さは約0.0025mm未満である。フルオロエラストマーの被覆があるため、この複合フィルムは厚さが約0.028mmである。このフィルムを炭素充填ePTFEフィルムの上に約3.2mm重ね、導電線の3cm剥がしてコイルにした部分で作られた感知用電極の近位端に、フルオロエラストマーで被覆した側を内側に向けた状態で約4層巻く。このフィルムをマンドレルに平行に切断し、炭素充填ePTFEフィルムが近位端にある3.2mmの反対側テーパーと、感知用電極に隣接する3.2mmのテーパーを作り出す。幅3.2mmのすでに説明した炭素充填ePTFEフィルムを、フルオロエラストマー被覆ePTFEの遠位端の上に約3.2mm重ね、感知用電極の遠位端に5〜6層巻き付ける。フィルムを遠位端でマンドレルに垂直に切断する。
次に、すでに説明した幅3.2mmのフルオロエラストマー被覆ePTFEを、炭素充填ePTFEフィルムに隣接した感知用電極の折り曲げ部の遠位側の周囲に直接巻き付けて約8層にする。その後、その上から、幅6.4mmのすでに説明したより薄い実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープを、FEP側を内側に向けた状態で周囲に巻き付ける。炭素充填ePTFEフィルムが感知用電極の上に約1mm重なるようにして約5層を付着させる。フルオロエラストマー被覆ePTFEからなる感知用電極とRV電極の間の部分の上から、幅3.2mmのすでに説明したより薄い実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープを、FEP側を内側に向けた状態で、感知用電極とRV電極が炭素充填ePTFEフィルムに等しく重なるようにして約5層巻き付ける。
幅6.4mmのすでに説明したフルオロエラストマー被覆ePTFEを、フルオロエラストマーを内側に向けた状態で、SVC電極とRV電極の間とSVC電極の近くに約4層、約25cmにわたって導電線とは逆回り(炭素充填ePTFEフィルムと同じ方向)に巻き付ける。SVC電極に近いリード本体の摩耗耐性をより大きくし、丈夫さを増大させるため、SVC電極近くの望む距離(例えば3cm)で巻くピッチを狭くすることにより、フルオロエラストマー被覆ePTFEからなる4つの層を6つの層に移行させることができる。
このフィルムを切断して平行な縁部を有するテープにし、SVC電極の各端部と遠位電極の近位端で炭素充填ePTFEフィルムの上に約6.4mm重ねることで、反対側のテーパーを作り出す。次にこれらの部分の上に、すでに説明したより薄い実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープを、FEPを内側に向けた状態で、SVC電極の各端部とRV電極の近位端で炭素充填ePTFEフィルムの上に約1mm重なるようにして約5層巻き付ける。Bacinoに付与されたアメリカ合衆国特許第5,476,589号に教示されているようにして製造され、Campbellらに付与されたアメリカ合衆国特許第6,159,565号に教示されているようにしてFEPの不連続コーティングを取り付けられた厚さ0.0025mm、幅6.4mmの多孔性ePTFEテープを、FEPを内側に向けた状態で、近位端の約3.5cmにわたって前の層の上に約4層巻き付けることで、IS-4コネクタのシリコーン製歪み除去具の接着を改善する。これについてはあとで説明する。
作業中に折り曲げ部が動くのを阻止するため、約1.65mmの貫通穴を有するクランプを、曲げられた各部分の位置の上に取り付けることができる。折り曲げ部をリードの遠位端とマンドレルにも配置した後に作業することで、最終的なリードの遠位端が設定された曲線になる。この構造体全体を、320℃に設定した対流炉の中で15分間にわたって加熱する。
炉から構造体を取り出して周囲温度まで冷やした後、ワイヤ製マンドレルの表面に以前に付着させたePTFEテープのうちで、(構造体の遠位端に位置する)すでに周囲に付着させた3.2mmのフルオロエラストマー被覆フィルムの遠位端に隣接した位置で露出している部分をすべてを削って除去する。
遠位先端部組立体とペーシング用電極で利用することを想定したチューブ状ハウジングを、壁の厚さ0.064mm、内径1.37mmの304または316ステンレス鋼製チューブから長さ7.0mmに切断して製造する。このチューブは、曲げることですでに説明した導入ガイドとなる隙間にすることのできる突起が含まれるようにレーザーで切断するとよい。ハウジングは、延ばしたり引っ込めたりするときに螺旋組立体を支持するため、近位端にPTFE製ブッシングを備えていてもよい。このチューブ状ハウジングは、一時的にチューブ状ハウジングの内側に嵌まる支持コイルとともに、銀メッキ銅線製マンドレルの端部の上を、構造体の遠位端の削られた縁部にぶつかるまで滑らせる。
幅6.4mmのePTFE/FEP絶縁テープを、感知用電極の炭素充填ePTFEフィルムの遠位端にあるより薄い実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープの上から始まって徐々に遠位に向かい、チューブ状ハウジングの端部の上まで、(FEPで被覆された側を内側に向けた状態で)螺旋状に約5層付着させる。その後、同じフィルムを、同じ部分の上に反対方向に同じ層数だけ巻き付ける。次に、すでに説明したフルオロエラストマー/ePTFEラミネート・フィルムと同じテープを、(フルオロエラストマーを内側に向けた状態で)チューブ状ハウジングの近位端と、感知用電極の炭素充填ePTFEフィルムの隣接部に、直径が1.63mmになるまで巻き付ける。次に、幅6.4mmのすでに説明したより薄い実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープからなる5つの層を(FEP側を下向きまたは内向きにして)、以前に周囲に巻き付けたフルオロエラストマー/ePTFEの周囲に巻き付ける。それに加え、Bacionに付与されたアメリカ合衆国特許第5,476,589号に教示されているようにして製造され、Campbellらに付与されたアメリカ合衆国特許第6,159,565号に教示されているようにして不連続FEPコーティングを取り付けられた厚さ0.0025mm、幅6.4mmの多孔性ePTFEテープを、(FEP側を下向きまたは内向きにして)チューブ状ハウジングの遠位端のまわりに約2〜3層付着させ、薬溶離層および/または先端部のフランジ状突起の接着が可能になるようにできる。
可能ならば遠位端の曲がり具合を変化させた後、構造体を320℃に設定した炉の中で5分間にわたって加熱する。炉から取り出して周囲温度まで冷やした後、チューブ状ハウジングの遠位横方向縁部から絶縁テープを切り離し、内部支持用コイルを除去する。
折り曲げ部の上のクランプも除去する。次に、炭素充填ePTFEフィルムを365℃に加熱したロッドに接触させて密にする。そのとき、構造体を約1000rpmで回転させ、それぞれの方向に1回ずつ12.7cm/分で横断させる。
IS-4コネクタは、脚部を有する3つの接触リングを用いて製造される。接触リングは、外径が3.2mmで内径が2.7mmのステンレス鋼製チューブからレーザーで切断される。各脚部は約0.3mmの幅に切断される。感知用接触リングの脚部は長さが16.3mmであり、遠位接触リングの脚部は長さが11.8mmであり、近位接触リングの脚部は長さが7.2mmである。各脚部は、接触リングのリング部との接合部で内側に向けて曲げるとともに、反対方向にリングから約1mm曲げて、脚部がリングの軸と平行になるようにする。作り出された突起は脚部を約0.7mm内側にする。各接触リングの脚部をステンレス鋼製チューブ(外径0.53mm、内径0.41mm、長さ7.6mm)の中に約3.8mm挿入し、このチューブをその位置でクリンプする。各接触リングは、感知用接触リングの脚部が遠位接触リングと近位接触リングの両方を通過し、遠位接触リングが近位接触リングを通過するようにして内側タブ(1×72 UNF Thread ODと1.1mmのID)の上に組み立てる。各脚部は、軸方向に互いに約120°の間隔にする。各接触リングは、公開されているIS-4の仕様書に従って互いに離し、ネジが切られたチューブを、接触リングの脚部の上にあるチューブの開放端とほぼ揃うように配置し、感知用接触リングの縁部を越えてIS-4キャップ適度な深さの穴と肩部に突起させる。その適度な深さの中にはコネクタ・ピンのフランジが収容されて、そのフランジが内側チューブとIS-4キャップの間に捕獲されるようになっていなければならない。するとIS-4キャップが感知用接触リングの中に完全に収まったとき、軸方向の移動が限られた状態で回転できる。キャップとコネクタ・ピンについてはあとでさらに説明する。接触リングと内側チューブは硬度の大きなシリコーン、エポキシ、ポリウレタンのいずれかを用いてオーバーモールドされ、成形された面から接触リングの外径まで滑らかな移行部を提供する。適切な成形技術を利用して空気の泡を減らし、接触リングと内側チューブへの接着を改善する。接触用脚部にクリンプされたチューブの開放端の約2.5mmが、成形されたコネクタの遠位端で露出したままになる。
リード構造体の被覆された部分の端部から離れている導電線の一部をほどき、内側に巻かれた層の一部を少なくともIS-4内側チューブの長さだけ露出させる。これは、銀メッキされた銅線製マンドレルを細くして除去する前に実施することが好ましい。螺旋巻きにされた導電線の近くでIS-4コネクタをこれらフィルム層の上を滑らせる。各導電線の絶縁体を剥がすと、そこには螺旋状の巻き線が残る。各導電線を適切な長さに切断し、IS-4コネクタ上の対応するチューブの中に挿入する。剥がされた2本の導電線が各チューブの中に挿入される。チューブをクリンプして導電線を力学的にも電気的にも固定する。次に、シリコーン製歪み除去具をIS-4のこれらの接続がなされている遠位端の上にオーバーモールドし、リード本体の上まで延ばす。あらかじめ成形した歪み除去具を使用し、シリコーン製医用接着剤で接着してもよい。この接着剤は、歪み除去具の広げられた穴の中でこれら接続がなされている領域を埋めたり、歪み除去具をリード本体とIS-4コネクタに接着したりする。
シリコーンが適切に硬化すると、銀メッキ銅線製マンドレルの端部に適度な張力を加えてこのマンドレルを約15cm延ばす。するとマンドレルが十分に細くなってリードがマンドレルの表面を自由に滑ることが可能になるため、得られたリードがこのマンドレルから外れる。
0.46mmの銀メッキ銅線製マンドレルを用い、6フィラーのペーシング・コイルを構成する。各フィラーは、0.076mmの35NLT、28%銀DFTワイヤ(フォート・ウェイン・メタルズ社(フォート・ウェイン、インディアナ州))である。あるいは多重編みワイヤも用いることができる。6本のフィラーは、マンドレルの上で0.51mmのピッチで左回りにしてコイルにする。ワイヤを切断する前にコイルの両端をマンドレルに固定することで、コイルが自由になって直径が大きくならないようにする。次にこのコイルに幅6.4mmの実質的に非透過性のePTFE/FEP絶縁テープを約5層(FEPで被覆された側がワイヤを向くようにして)巻いた後、同じテープからなる別の5層を逆回りに(やはりFEPを下にして)付着させる。次にこのコイルを約5分間にわたって320℃に加熱する。マンドレル上をペーシング・コイルが自由に滑れるようになるまで銀メッキ銅線を引っ張ることによってこのコイルをマンドレルから外した後、端部を切除して望む長さにする。
ステンレス鋼製チューブ(外径0.53mm、内径0.41mm、長さ7.6mm)をペーシング・コイルの近位端の中に挿入してほぼ揃った状態にする。ペーシング・コイルをリード本体の隙間の中に挿入する。次に、チューブとペーシング・コイルの近位端をピン・コネクタの雌ソケットの中に挿入して完全に収め、ピン・コネクタがIS-4コネクタの内側チューブと揃った状態にする。次にペーシング・コイルを先端部ハウジングと揃った位置で切除し、次いで同じ端部からさらに3.7mmを切除する。適切な固定用螺旋/柱部品を入手する。直径が0.51mm、長さが3.05mmのステンレス鋼製ワイヤをペーシング・コイルの先端部の中に挿入して端部を揃える。この端部を柱/固定用螺旋組立体のスリーブ部の中に挿入し、一緒にクリンプすることで、柱とコイルを力学的にも電気的にも固定する。次に、ペーシング・コイルの導電線をすでに製造したリードの遠位端先端部ハウジングの中に挿入する。ペーシング用電極のために設けられたチューブ状ハウジングの中に固定用螺旋が位置しているため、先端部ハウジングの表面のタブ状突起(設けらることができるのであれば)は内側に曲がって導入ガイドを作り出す。固定用螺旋は、(リード組立体の近位端からペーシング・コイルを3〜10回転させることで)容易に延ばしたり引っ込めたりできねばならない。
次に(ペーシング・コイルの近位端を逆方向に回転させて近位方向に移動させることで)固定用螺旋をチューブ状先端部ハウジングの中に完全に引っ込める。ピン・コネクタをIS-4内側チューブに隣接した位置でペーシング・コイルの上に取り付け、ピン・コネクタのフランジの近くにクリンプする。最後に、IS-4キャップをピン・コネクタの上に配置し、感知用接触リングの中に完全に収まるまでIS-4内側チューブの上にねじ込み、シリコーン接着剤またはエポキシ接着剤で密封する。
多孔性ePTFEを1.6mmの構成マンドレルの端部に巻いた後、すでに説明したTFE/PMVEフルオロエラストマー・コポリマーに1mgのデキサメタゾンリン酸ナトリウムが含まれたものであらかじめ被覆された幅6.4mm、長さ22mmの多孔性ePTFEテープを径方向に巻き、これらのラッピングをフルオロポリマー接着剤でその位置に保持する。この接着剤にもデキサメタゾンリン酸ナトリウムが含まれていてよい。次に、薬を装填したフィルムからなるチューブを構造体マンドレルから外し、以前に多孔性ePTFE/FEPテープで覆ったリードの遠位端にあるチューブ状ハウジングの上まで滑らせ、フルオロポリマー接着剤を用いて取り付ける。薬を装填したフィルムからなるチューブは、外傷をより少なくする先端部にできるようにするため、すでに説明したフランジ様突起部も含んでいてよい。
ピン・コネクタに十分なトルクを加えることで固定用螺旋を回転させて遠位方向に延ばし、チューブ状ハウジングの遠位端を覆っているフィルムに穴を開ける。螺旋がフィルムに穴を開けるのを助けるため、フィルムを手動操作せねばならない可能性がある。
本発明のリードは、優れた疲労耐性を有する。直径が5フレンチ・スケールのリードを上に説明した第2の製造法に従って製造した。リードを、曲率半径が6mm以下になる180°(±90°)周期的曲げ試験(あとでさらに説明する)でテストしたところ、リードに関してテストした5つのサンプルすべてが、壊れることなく3,000,000サイクルを超えて生き残った(すなわちリードは、100,000サイクル超、250,000サイクル超、500,000サイクル超、1,000,000サイクル超、1,500,000サイクル超、2,000,000サイクル超、2,500,000サイクル超の間生き残った)。市販されているリードに関してテストしたどのサンプル(そのすべてにペーシング・コイルが含まれる)も、比較的少ないサイクル数で故障した。故障は、試験サンプルの電気的抵抗値の顕著な増加として同定し、導電線のどれかに目に見える亀裂が存在していることで確認した。
本発明のリードは、以下に説明するように、摩耗耐性の比較試験でも優れていた。
上記の第2の製造法に従って構成した本発明によるリードのサンプルで可撓性試験(曲げ疲労試験)と摩耗試験を実施した。市販のリードも対照としてテストした。
可撓性試験は以下のようにして実施した。
試験用固定具をCENELEC試験基準45502-2-2:2008、第23.5節に従って構成したが、固定半径を2.17mmにした点が異なっている。
テストする任意のリードの長手方向中央線に沿った曲げ半径は、試験サンプルの直径に応じて変えた。
試験用の機械は、上に説明した試験基準に従い、固定具が鉛直方向から両側に90+0/-5°交互に振動し、試験サンプルが固定具の釣り鐘状の口の中で撓むように構成した。
235gの負荷を使用した。この負荷は、上に説明した試験基準に従うと、曲げ半径に合致する試験区画の中心線を、曲げ曲率を確認するために試験区画を貫通して張った薄くて可撓性のあるPTFE線の下端に取り付けるのに十分であった。
振動数は4Hzに設定した。
サンプルをEtOで殺菌した(54℃、全サイクル時間は約15時間)。市販されている試験サンプルは、製造者が殺菌していたため、追加殺菌サイクルは実施しなかった。
可撓性をテストしたリード本体サンプルはすべて、リード本体のSVC電極に近い部分から取った。個々の試験サンプルは、単一のリードから取った。
サンプルのそれぞれの端部で1つの電気コネクタをすべての導電線に取り付けた。次に、サンプルの2つの端部からの2つのコネクタを抵抗測定器に接続した。抵抗値が0.02Ω増加したサンプルを故障とみなした。次に目視検査を行なって1本以上の導電線の破損を確認した。各タイプのサンプルについて5つのサンプルをテストした。
上に説明した第2の製造法に従って構成した本発明のリードのサンプルと、ENDOTAK RELIANCE(登録商標)G ICDリード(モデル0185 L、ボストン・サイエンティフィック社、ナティック、マサチューセッツ州)について、可撓性試験を実施した。ENDOTAK RELIANCEリードを比較基準として選択した。なぜなら、現在のところこの分野で最長埋め込み寿命に関して最も優れた臨床記録があるからである。本発明のサンプルはすべて、故障なしに300万サイクルを超えたが、ENDOTAK RELIANCEリード・サンプルはすべて、300,000サイクルよりも前に故障した。ENDOTAK RELIANCEリード・サンプルは非対称な断面を持つのに対し、本発明の試験用リード・サンプルはすべて横断面が対称であるためサンプルの向きが問題にならないことに注意されたい。そのためENDOTAK RELIANCEリード・サンプルのうちの3つを一方向に向け、他の2つを最初の3つの方向に対して90°の方向にした。試験結果を表1に示す。曲げて固定するときのENDOTAK RELIANCEリードの向きを表に示してある。表に示した鉛直方向に隣り合った左側の線と右側の線は、曲げる面を表わす。
Figure 0006577187
摩耗試験を以下のようにして実施した。
最初に、ICDリード摩耗テスターを以下のようにして構成した。その一般例を、図23の模式側面図に示してある。
アルミニウム製アーム402(長さ14cm、幅2cm、厚さ0.5cm)を製造し、チタン製ブレード404をネジによってアーム402の一端に取り付けた。ブレード404は、高さ2.5cm、幅1.5cm、厚さ1.59mmであった。典型的なICDジェネレータの最小のエッジを真似るため、ブレードの一端の全半径を0.795mmにした。ブレード404をアーム402に取り付けるにあたり、平坦な端部がアームと揃い、ブレード404の低い端部がアーム402の下に約0.5cm延びるようにした。
アームの他端は、クランク軸として機能する円形プレート408のクランクピン406に接続した。円形プレート408の中心を電動モータ(図示せず)のシャフト410に取り付け、その電動モータが円形プレート408を回転させることでブレード402に矢印412で示したような前後の並進運動をさせた。回転速度と並進距離(ストローク長)は、それぞれ96回転/分と1.3cmに設定した。
アルミニウム製ブロック414(長さ2.5cm、幅3.0cm、厚さ2.0cm)を入手した。リード・サンプルの支持体を提供するためと、リード・サンプルを中心に位置させるため、ブロックの2.5cm×3.0cmの上面において、2.5cmの長さの中央に沿って2.5cm×3.0cmの溝を作った。ブロック414の上面の中央でブレードを移動させた。
2つのクランプ416を静止プラットフォームの上に取り付け、リード・サンプル418を所定位置に固定して保持した。
金属ワッシャーの形態の錘419をアルミニウム製アーム402の上に載せ、ブレードと試験サンプルが確実に接触するようにした。力測定器(Ametek Accuforce III、ラルゴ、フロリダ州33773)をブレード404の下側の曲がったエッジに一時的に取り付けた。アームを持ち上げるのに必要な力が285gに達するまでワッシャーを追加した。
24ボルトの電源を入手し、その1つの極420を試験サンプルのすべての導電線に接続した。電源の他方の極は、回転する円形プレート408に接続した。この円形プレートは、アーム402およびブレード404と電気的に接触していた。
近接センサーをアルミニウム製アームの近くに位置させ、ブレードの前後並進運動の回数を検出するのに用いた。このセンサーの出力をカウンタに接続した。ブレードの1回の前後並進運動は、1サイクル(すなわち円形プレート408の完全な1回転)としてカウントされた。カウント回路には、ブレードと試験サンプルの導電線が電気的に接触する(すなわち故障が発生する)と試験が停止するように設計した電気フィードバック・ループが含まれていた。すなわち、導電線の表面の絶縁体が摩耗した結果としてブレード404が試験用リード418の外側導電線のいずれかと電気的に接触することが原因となってこの回路が完成した。
電気的接触は、ブレードからリード本体の導電線への抵抗値の読みが3300Ω以下であることとして定義した。いずれの場合にも、ブレードとリードの電気的接触は、リード418の外側導電線のいずれかが露出していることが見てわかるときに起こった。
試験サンプルは以下のようにして準備した。
サンプルをEtOで殺菌した(54℃、全サイクル時間は約15時間)。市販されている試験サンプルは、製造者が殺菌していたため、追加殺菌サイクルは実施しなかった。
摩耗試験をしたリード本体のすべてのサンプルは、リード本体の電極に近い部分から取った。個々の試験サンプルは単一のリードから取った。
試験サンプルの一端で1つの電気コネクタをすべての導電線に取り付けた。その後、コネクタを極420に接続した。
試験は以下のようにして実施した。
試験サンプルの1.5cmの部分をブロックの面上の溝の中に配置した。このサンプルは、両端を静止プラットフォームに取り付けたクランプで固定することによって所定位置に固定した。
試験を開始した後は、故障が起こるまで続けた。
サンプルをテストした。故障するまでのサイクル数を表2に示す。摩耗試験をさらに、可撓性試験に関して上に説明したENDOTAK RELIANCE(登録商標)G ICDリードのサンプルで実施した。摩耗試験は、RIATA(登録商標)ST Optim(登録商標)除細動用リード、モデル7022(セント・ジュード・メディカル社、セント・ポール、ミネソタ州)でも実施した。RIATA ST Optimリードを選択したのは、直径が小さく、摩耗耐性があると報告されているからである。ENDOTAK RELIANCEリードのサンプルは、すでに説明したように横断面が非対称であることに注意されたい。本発明の試験用リード・サンプルはすべて横断面が対称であったのに対し、RIATA ST Optimは横断面が実質的に対称である。RIATA ST Optimは、中心線がリードの長軸に沿った中央ペーシング・コイルからなり、リードの長さに沿って延びる3対の導電線をさらに備えていて、その3対は、各対の間にリード本体の絶縁材料を挟んだ状態で径方向に互いに120°離れている。3対の導電線は、ペーシング・コイルよりもリード本体の外面に近い位置にある。したがってRIATAリードの摩耗試験の結果は、テスターのブレード404の中心が実質的にある1対の導電線の上にあるか、それとも隣り合った導電線の対の間の絶縁材料の上にあるかによって異なる可能性がある。RIATAリードの向きはでたらめに選択したのに対し、ENDOTAKリードは、ペーシング・コイルのうちでリード本体の面に最も近い部分がブレード404に最も近い位置になるようにした。
本発明の4層と6層のフルオロエラストマー被覆ePTFEサンプルの両方とも、上に説明した第2の製造法に記載したようにして製造した。
Figure 0006577187
本発明は、上記の実施態様と以下の請求項に加え、上記の特徴ならびに以下の請求項の特徴の異なる組み合わせを持つ実施態様にも関する。そのため本発明は、以下の従属請求項に記載した特徴の可能な他の組み合わせを持つ他の実施態様にも関する。
本発明の多数の特徴と利点をこれまでの説明の中で開示してきた。その中には、好ましい実施態様、別の実施態様のほか、本発明の構造と機能の詳細が含まれる。開示内容は単なる例示が目的であるため、すべてを尽くすことは想定していない。当業者にとって、特に構造、材料、要素、部品、形状、サイズ、部品の配置に関し、添付の請求項を表現する用語の広い一般的な意味によって十分に示される本発明の原理の範囲で、さまざまな改変が可能であることが明らかであろう。これらのさまざまな改変が添付の請求項の精神と範囲を逸脱しない限り、それらは請求項に含まれるものとする。本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[57]に記載する。
[1]
埋め込み可能なリードのための電極であって、
外側絶縁性カバーが取り付けられた所定の長さの第1の導電性ワイヤを含んでいて、
該覆われた第1のワイヤに、該第1のワイヤの外側絶縁性カバーまわりにきつく螺旋状に巻かれた絶縁されていない所定の長さの第2の導電性ワイヤが設けられていて、該第1のワイヤと該第2のワイヤが電気的に通じるようにされている電極。
[2]
前記第1と第2のワイヤが異なる金属からなる、項目1に記載の電極。
[3]
前記第2のワイヤが貴金属である、項目2に記載の電極。
[4]
前記第2のワイヤが白金を含む、項目3に記載の電極。
[5]
前記第2のワイヤが白金とイリジウムの合金を含む、項目1に記載の電極。
[6]
前記第1のワイヤが多重編みワイヤである、項目3に記載の電極。
[7]
前記第2のワイヤが中実ワイヤである、項目1に記載の電極。
[8]
前記第1と第2のワイヤの上に位置する導電性ポリマー材料からなる外側カバーが取り付けられている、項目1に記載の電極。
[9]
前記導電性ポリマー材料がフルオロポリマーである、項目8に記載の電極。
[10]
前記導電性ポリマー材料が、炭素が含まれた空隙を有する延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む、項目9に記載の電極。
[11]
前記絶縁性カバーがフルオロポリマーである、項目1に記載の電極。
[12]
前記フルオロポリマーがポリテトラフルオロエチレンを含む、項目11に記載の電極。
[13]
前記フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレンとフッ素化ポリプロピレンを含む、項目11に記載の電極。
[14]
前記第1のワイヤが、複数の線が第1のピッチで編まれた編みワイヤであり、前記第2のワイヤが、前記第1のピッチよりも細かい第2のピッチで螺旋状に巻かれた中実ワイヤである、項目1に記載の電極。
[15]
埋め込み可能なリード・ワイヤのための電極を作る方法であって、
a)所定の長さを持ち、該長さの少なくとも一部に薄い絶縁性外側カバーがあって、張力下に維持されている第1のワイヤを用意するステップと、
b)第2のワイヤを用意し、該第2のワイヤを加熱しながら該薄い絶縁性外側カバーのまわりに螺旋状に巻き付けた後に、該第2のワイヤが該第1のワイヤに接触するステップを含む方法。
[16]
前記外側絶縁性カバーの絶縁体がある融点を持ち、第2のワイヤを該融点よりも高温に加熱する、項目15に記載の方法。
[17]
前記外側絶縁性カバーの絶縁体がフルオロポリマーである、項目15に記載の方法。
[18]
前記フルオロポリマーがポリテトラフルオロエチレンを含む、項目17に記載の方法。
[19]
前記外側絶縁性カバーの絶縁体がある融点を持ち、第2のワイヤを該融点よりも高温に加熱する、項目18に記載の方法。
[20]
前記外側絶縁性カバーの絶縁体がある融点を持ち、第2のワイヤを該融点よりも高温に加熱する、項目17に記載の方法。
[21]
前記第1のワイヤと前記第2のワイヤが電気的に通じている、項目15に記載の方法。
[22]
前記第1のワイヤが編みワイヤであり、前記第2のワイヤが中実ワイヤである、項目15に記載の方法。
[23]
前記第2のワイヤが貴金属を含む、項目15に記載の方法。
[24]
前記第2のワイヤが白金を含む、項目23に記載の方法。
[25]
所定の長さを持つ埋め込み可能なリードであって、
所定の長さと第1の端部と第2の端部を持っていて、長さに沿ったある地点で折り畳まれて該第1の端部と該第2の端部の間の位置に折り曲げ端部を形成する導電性ワイヤを備えていて、
該導電性ワイヤが、該第1の端部と該第2の端部のそれぞれに隣接した電気的絶縁部と、少なくとも1つの電気的露出部を含んでおり、
電気的絶縁部と少なくとも1つの電気的露出部を含む該導電性ワイヤが、該リードの長さの実質的に全体に沿って螺旋状に巻かれていて、
該少なくとも1つの電気的露出部が電極として使用される構成である、埋め込み可能なリード。
[26]
前記電気的露出部が前記折り曲げ端部を含む、項目25に記載の埋め込み可能なリード。
[27]
前記折り曲げ端部が電気的絶縁部である、項目25に記載の埋め込み可能なリード。
[28]
前記折り曲げ端部が非導電性フィラメントによって固定される、項目25に記載の埋め込み可能なリード。
[29]
前記フィラメントが、前記折り曲げ端部から遠位方向へと螺旋状に巻かれている、項目25に記載の埋め込み可能なリード。
[30]
前記少なくとも1つの電気的露出部のうちの1つ以上に導電性ポリマーからなるカバーが取り付けられている、項目25に記載の埋め込み可能なリード。
[31]
前記導電性ポリマーが炭素含浸ePTFEを含む、項目30に記載の埋め込み可能なリード。
[32]
前記導電性ワイヤが第1の端部と第2の端部の間で連続していて、該両端の間に位置するワイヤ接続部品がまったくない、項目25に記載の埋め込み可能なリード。
[33]
前記第1の端部と前記第2の端部の間が電気的に通じている、項目25に記載の埋め込み可能なリード。
[34]
前記電気的露出部が、前記導電性ワイヤの長さの一部に薄い絶縁層が設けられた部分を含んでいて、該絶縁層の上に、前記導電性ワイヤと電気的に通じている絶縁されていない第2のワイヤがきつく螺旋状に巻かれている、項目25に記載の埋め込み可能なリード。
[35]
前記第2のワイヤが貴金属を含む、項目34に記載の埋め込み可能なリード。
[36]
近位部よりも直径が大きい遠位部を有する、項目25に記載の埋め込み可能なリード。
[37]
最大直径が約2.0mm以下のリード本体を有する、項目25に記載の埋め込み可能なリード。
[38]
絶縁部と導電部を有する所定の長さを含んでいて、最大の直径が約2mm以下である、埋め込み可能な電気的除細動器。
[39]
前記絶縁部がフルオロポリマーを含む、項目38に記載の埋め込み可能な電気的除細動器。
[40]
前記フルオロポリマーがポリテトラフルオロエチレンを含む、項目39に記載の埋め込み可能な電気的除細動器。
[41]
前記導電部が、導電性ポリマーからなるカバーを備える、項目38に記載の埋め込み可能な電気的除細動器。
[42]
前記導電性ポリマーが、炭素を含浸させた延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む、項目41に記載の埋め込み可能な電気的除細動器。
[43]
遠位先端部を含んでいて、該遠位先端部が、回転可能な螺旋状固定用部材と、溶離可能な治療薬を含有するコポリマーを含む導入ガイドを備える、埋め込み可能なリード。
[44]
前記遠位先端部に固定されたリード本体をさらに備える、項目43に記載の埋め込み可能なリード。
[45]
少なくとも1つの接触リングを備えていて、該接触リングが、導電性ワイヤに接続するために該接触リングから遠位方向に延びる一体化された脚部を有する、電気コネクタ。
[46]
絶縁部と導電部を有する所定の長さを含んでいて、曲げ疲労試験を実施したときに300,000を超えるサイクル数を生き延びる、電気的除細動器用リード本体。
[47]
500,000を超えるサイクル数を生き延びる、項目46に記載の埋め込み可能な電気的除細動器用リード本体。
[48]
1,000,000を超えるサイクル数を生き延びる、項目46に記載の埋め込み可能な電気的除細動器用リード本体。
[49]
2,000,000を超えるサイクル数を生き延びる、項目46に記載の埋め込み可能な電気的除細動器用リード本体。
[50]
3,000,000を超えるサイクル数を生き延びる、項目46に記載の埋め込み可能な電気的除細動器用リード本体。
[51]
最大の直径が約2mm以下である、項目46に記載の埋め込み可能な電気的除細動器用リード本体。
[52]
最大の直径が約2mm以下である、項目47に記載の埋め込み可能な電気的除細動器用リード本体。
[53]
最大の直径が約2mm以下である、項目48に記載の埋め込み可能な電気的除細動器用リード本体。
[54]
最大の直径が約2mm以下である、項目49に記載の埋め込み可能な電気的除細動器用リード本体。
[55]
最大の直径が約2mm以下である、項目50に記載の埋め込み可能な電気的除細動器用リード本体。
[56]
絶縁部と導電部を有する所定の長さを含んでいて、該絶縁部に対して摩耗試験を実施したとき、該絶縁部が85,000を超えるサイクル数を生き延びる、埋め込み可能な電気的除細動器用リード本体。
[57]
絶縁部と導電部を有する所定の長さを含んでいて、該絶縁部に対して摩耗試験を実施したとき、該絶縁部が100,000を超えるサイクル数を生き延びる埋め込み可能な電気的除細動器用リード本体。

Claims (14)

  1. 身体に用いられる埋め込み可能な医用リードのための電極であって、
    外側絶縁性カバーが取り付けられた所定の長さの第1の導電性ワイヤ及び絶縁されていない所定の長さの第2の導電性ワイヤを含んでいて、
    該第2の導電性ワイヤは、加熱されることにより該外側絶縁性カバーに破れが生じる状態で、該第1の導電性ワイヤの外側絶縁性カバーまわりに螺旋状に設けられており、該第1の導電性ワイヤと該第2の導電性ワイヤが該第1の導電性ワイヤの該外側絶縁性カバーの破れを通じて電気的に通じるようにされている電極。
  2. 前記第1と第2の導電性ワイヤが異なる金属からなる、請求項1に記載の電極。
  3. 前記第2の導電性ワイヤが貴金属である、請求項2に記載の電極。
  4. 前記第2の導電性ワイヤが白金を含む、請求項3に記載の電極。
  5. 前記第2の導電性ワイヤが白金とイリジウムの合金を含む、請求項3に記載の電極。
  6. 前記第1の導電性ワイヤが多重編みワイヤである、請求項1に記載の電極。
  7. 前記第2の導電性ワイヤが中実ワイヤである、請求項1に記載の電極。
  8. 前記第1と第2の導電性ワイヤの上に位置する導電性ポリマー材料からなる外側カバーが取り付けられている、請求項1に記載の電極。
  9. 前記導電性ポリマー材料がフルオロポリマーである、請求項8に記載の電極。
  10. 前記導電性ポリマー材料が、炭素が含まれた空隙を有する延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項9に記載の電極。
  11. 前記絶縁性カバーがフルオロポリマーである、請求項1に記載の電極。
  12. 前記フルオロポリマーがポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項11に記載の電極。
  13. 前記フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレンとフッ素化エチレンプロピレンを含む、請求項11に記載の電極。
  14. 前記第1の導電性ワイヤが、複数の線が第1のピッチで編まれた編みワイヤであり、前記第2の導電性ワイヤが、前記第1のピッチよりも細かい第2のピッチで螺旋状に巻かれた中実ワイヤである、請求項1に記載の電極。
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