JP6575947B2 - 可変界磁回転電機 - Google Patents

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Description

本発明は、可変界磁回転電機に関するものである。
一般に回転電機の場合、磁石鎖交磁束を大きくして低回転時のトルク密度を増大させた場合、高回転時に鉄損や弱め界磁銅損が増大する。一方、使用状況に応じた適切な回転電機特性(トルクや出力等)が得られるように界磁を調整できる可変界磁回転電機が知られている。例えば、可変界磁回転電機として、ワイヤ式牽引装置でステータをロータに対して軸方向に引き抜くことにより、磁石鎖交磁束を低減させて鉄損を低く抑えることができるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−57209号公報
しかしながら、特許文献1に記載の可変界磁回転電機は、界磁を調整するために、ステータを軸方向に引き抜くワイヤ式牽引装置を備えている。ワイヤ式牽引装置は比較的大きな部材である。このため、可変界磁回転電機の重量やコストが増し、さらに、可変界磁回転電機が大型になることが考えられる。
そこで本発明は、回転電機特性を調整でき、重量やコストの増加を抑え、さらに大型化を抑えることができる可変界磁回転電機を提供するものである。
本発明の可変界磁回転電機(例えば、実施形態における回転電機1)は、所定軸線(例えば、実施形態における軸線O)回りに回転可能に設けられたロータコア(例えば、実施形態におけるロータコア21,121,221)と、前記ロータコアに装着された複数の永久磁石(例えば、実施形態における永久磁石25,125,225)と、を有するロータ(例えば、実施形態におけるロータ20,120,220)を備え、前記ロータコアには、前記所定軸線の軸線方向に沿って延びるスロット(例えば、実施形態における収納スロット29,129,229)と、前記スロット内に配置され、前記軸線方向に沿って移動可能な可動鉄心(例えば、実施形態における可動鉄心31,131,231)と、が形成され、前記ロータコアの回転に伴う遠心力により、前記可動鉄心を所定位置から前記軸線方向に沿って移動させて、前記スロット内に磁気的空間部を形成する可動鉄心移動機構(例えば、実施形態における可動鉄心移動機構50,150)と、前記ロータ、前記可動鉄心移動機構および冷媒を収容するハウジング(例えば、実施形態におけるハウジング2)と、をさらに備え、前記複数の永久磁石は、前記ロータコアの周方向に沿って間隔をあけて前記ロータコアに埋設され、前記可動鉄心は、前記周方向で隣り合うとともに極性の異なる一対の前記永久磁石間に配置され、かつ前記ロータコアから突出可能に形成されている、ことを特徴とする。
本発明によれば、ロータコアの回転に伴ってロータコアのスロット内に磁気的空間部が形成されるので、ロータコアの磁気特性をロータの回転数に応じて変化させることができる。このため、遠心力により回転電機特性を調整でき、従来技術のようにワイヤ式牽引装置を備えた構成と比較して、重量やコストの増加を抑え、さらに大型化を抑えることができる可変界磁回転電機を提供することができる。
また、磁気的空間部がq軸上に形成される。q軸上に磁気的空間部が形成されると、磁気抵抗が高くなり、q軸インダクタンスが減少する。このため、高回転域において誘起電圧がインバータの耐電圧に達した際に、q軸インダクタンスが減少することでq軸電流の減少を抑制することができる。これにより、可変界磁回転電機のトルクの減少が抑制されるので、可変界磁回転電機の出力の低下を抑制することができる。
上記の可変界磁回転電機において、前記可動鉄心移動機構は、前記ロータコアとともに前記所定軸線回りに回転可能、かつ前記ロータコアの径方向に沿って移動可能に設けられた転動部材(例えば、実施形態における転動部材57)と、前記転動部材の前記径方向の外側への移動に連動して前記軸線方向に沿って移動し、前記可動鉄心を移動させる鉄心連結部材(例えば、実施形態における鉄心連結部材65)と、前記転動部材を前記径方向の内側に向かって付勢し、前記可動鉄心を前記所定位置に向けて移動させる付勢部材(例えば、実施形態における付勢部材67)と、を備える、ことが望ましい。
本発明では、ロータコアが回転すると、転動部材も回転して、遠心力により転動部材が径方向の外側に向かって移動する。鉄心連結部材は、転動部材が遠心力により径方向の外側に向かって移動すると、転動部材の移動に連動して可動鉄心を軸線方向に沿って移動させる。付勢部材は、転動部材を径方向の内側に向かって付勢し、可動鉄心を所定位置に向けて移動させるので、転動部材に作用する遠心力が小さくなると、転動部材を遠心力に抗して径方向の内側に向かって移動させるとともに、可動鉄心を所定位置に向けて移動させる。以上により、ロータの回転数に応じて可動鉄心を所定位置から軸線方向に沿って移動させることが可能な可動鉄心移動機構を形成することができ、上述した作用効果を奏する可変界磁回転電機を提供できる。
上記の可変界磁回転電機において、前記鉄心連結部材は、非磁性材料により形成されている、ことが望ましい。
本発明によれば、鉄心連結部材が可動鉄心を所定位置から軸線方向に沿って移動させてスロット内に磁気的空間部を形成する際に、非磁性材料により形成された鉄心連結部材をスロット内に入り込ませることができる。このため、鉄心連結部材が磁性材料により形成された場合と比較して、スロット内に磁気的空間部をより大きく形成でき、ロータコアの磁気特性をより大きく変化させることが可能となる。
本発明の可変界磁回転電機(例えば、実施形態における回転電機1)は、所定軸線(例えば、実施形態における軸線O)回りに回転可能に設けられたロータコア(例えば、実施形態におけるロータコア21,121,221)と、前記ロータコアに装着された複数の永久磁石(例えば、実施形態における永久磁石25,125,225)と、を有するロータ(例えば、実施形態におけるロータ20,120,220)を備え、前記ロータコアには、前記所定軸線の軸線方向に沿って延びるスロット(例えば、実施形態における収納スロット29,129,229)と、前記スロット内に配置され、前記軸線方向に沿って移動可能な可動鉄心(例えば、実施形態における可動鉄心31,131,231)と、が形成され、前記ロータコアの回転に伴う遠心力により、前記可動鉄心を所定位置から前記軸線方向に沿って移動させて、前記スロット内に磁気的空間部を形成する可動鉄心移動機構(例えば、実施形態における可動鉄心移動機構50,150)をさらに備え、前記可動鉄心移動機構は、前記軸線方向に沿って移動可能に設けられ、前記可動鉄心を前記軸線方向に沿って移動させる第1ピストン(例えば、実施形態における第1ピストン151)と、前記ロータコアとともに前記所定軸線回りに回転可能、かつ前記ロータコアの径方向に沿って移動可能に設けられた第2ピストン(例えば、実施形態における第2ピストン153)と、内部に作動油(例えば、実施形態における作動油F)が充填され、前記第1ピストンを前記軸線方向に沿って移動可能に支持するとともに、前記第2ピストンを前記径方向に沿って移動可能に支持するシリンダ(例えば、実施形態におけるシリンダ155)と、前記第2ピストンを前記径方向の内側に向かって付勢し、前記可動鉄心を前記所定位置に向けて移動させる付勢部材(例えば、実施形態における付勢部材161)と、を備える油圧システムである、ことを特徴とする
本発明では、ロータコアが回転すると、第2ピストンも回転して、遠心力により径方向の外側に向かって移動する。第1ピストンおよび第2ピストンは、シリンダに移動可能に支持されているので、第2ピストンが移動すると、第1ピストンも軸線方向に沿って移動する。これにより、第1ピストンは、可動鉄心を軸線方向に沿って移動させる。付勢部材は、第2ピストンを径方向の内側に向かって付勢し、可動鉄心を所定位置に向けて移動させるので、第2ピストンに作用する遠心力が小さくなると、第2ピストンを遠心力に抗して径方向の内側に向かって移動させるとともに、可動鉄心を所定位置に向けて移動させる。以上により、ロータの回転数に応じて可動鉄心を所定位置から軸線方向に移動させることが可能な可動鉄心移動機構を形成することができ、上述した作用効果を奏する可変界磁回転電機を提供できる。
上記の可変界磁回転電機において、前記複数の永久磁石は、前記ロータコアの周方向に沿って間隔をあけて前記ロータコアに埋設され、前記可動鉄心は、前記周方向で隣り合うとともに極性の異なる一対の前記永久磁石間に配置されている、ことが望ましい。
本発明によれば、磁気的空間部がq軸上に形成される。q軸上に磁気的空間部が形成されると、磁気抵抗が高くなり、q軸インダクタンスが減少する。このため、高回転域において誘起電圧がインバータの耐電圧に達した際に、q軸インダクタンスが減少することでq軸電流の減少を抑制することができる。これにより、可変界磁回転電機のトルクの減少が抑制されるので、可変界磁回転電機の出力の低下を抑制することができる。
上記の可変界磁回転電機において、前記第1ピストンは、非磁性材料により形成されている、ことが望ましい。
本発明によれば、第1ピストンが可動鉄心を所定位置から軸線方向に沿って移動させてスロット内に磁気的空間部を形成する際に、非磁性材料により形成された第1ピストンをスロット内に入り込ませることができる。このため、第1ピストンが磁性材料により形成された場合と比較して、スロット内に磁気的空間部をより大きく形成でき、ロータコアの磁気特性をより大きく変化させることが可能となる。
上記の可変界磁回転電機において、前記可動鉄心移動機構は、前記ロータの回転数が所定回転数を超えた場合に前記可動鉄心を前記所定位置から移動させる、ことが望ましい。
本発明によれば、ロータの回転数が所定回転数以下の状態で、ロータコアの磁気特性が変化することを抑制できるので、例えば誘起電圧がインバータの耐電圧以下の低回転域において、q軸インダクタンスが減少することを抑制できる。これにより、低回転域での可変界磁回転電機の出力の低下を抑制することができる。
本発明によれば、回転電機特性を調整でき、重量やコストの増加を抑え、さらに大型化を抑えることができる可変界磁回転電機を提供できる。
第1実施形態の回転電機の概略構成を示す断面図である。 第1実施形態の回転電機を示す横断面図である。 第1実施形態の回転電機を示す縦断面図である。 第1実施形態の回転電機を示す縦断面図である。 図4のV−V線に相当する部分における断面図である。 回転電機の回転数に対するトルク特性および出力特性を示すグラフである。 第2実施形態の回転電機を示す縦断面図である。 第2実施形態の回転電機を示す縦断面図である。 実施形態の第1変形例のロータを示す横断面図である。 実施形態の第2変形例のロータを示す横断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材の縮尺を適宜変更している。また、以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。また、以下の説明では、可変界磁回転電機を単に回転電機と称する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の回転電機の概略構成を示す断面図である。
回転電機1は、例えばハイブリッド自動車や電気自動車のような車両に搭載される走行用モータである。図1に示すように、回転電機1は、ハウジング2と、ステータ10と、ロータ20と、シャフト40と、可動鉄心移動機構50と、を備えている。ハウジング2は、ステータ10、ロータ20、および可動鉄心移動機構50を収容するとともに、シャフト40を回転可能に支持している。なお、ステータ10、ロータ20およびシャフト40は、それぞれ軸線O(所定軸線)を共通軸線として配置されている。以下、軸線Oの延びる方向を軸線方向と称し、軸線Oに直交する方向を径方向と称し、軸線O回りに周回する方向を周方向と称して説明する。
図2は、第1実施形態の回転電機を示す横断面図である。
図2に示すように、ステータ10は、ステータコア11と、ステータコア11に装着された複数層(例えば、U相、V相、W相)のコイル15と、を備えている。ステータ10は、コイル15に電流が流れることにより磁界を発生する。ステータコア11は、軸線方向に延在する円筒状に形成されている。ステータコア11は、例えば電磁鋼板を軸線方向に複数枚積層することにより形成されている。なお、ステータコア11は、軟磁性粉を加圧成形することにより形成されていてもよい。ステータコア11には、コイル15が挿入されたコイルスロット13が周方向に並んで設けられている。コイル15は、例えば平角線により形成された複数の導体セグメントをステータコア11のコイルスロット13に挿入し、ステータコア11から軸線方向に突出した部分において互いに連結されて構成されたセグメントコイルである。
図3は、第1実施形態の回転電機を示す縦断面図である。なお図3では、ステータ10の図示を省略している(以下の縦断面図も同様)。
図2および図3に示すように、ロータ20は、埋込磁石形のロータである。ロータ20は、ステータ10の径方向内側に配置されている。ロータ20は、ロータコア21と、ロータコア21に埋設(装着)された永久磁石25と、ロータコア21の一端面に接して配置された端面板27と、を備えている。ロータコア21は、軸線方向に一様に延在する円筒状に形成され、ステータコア11の内周面に対向配置されている。ロータコア21は、例えば電磁鋼板を軸線方向に複数枚積層することにより形成されている。なお、ロータコア21は、軟磁性粉を加圧成形することにより形成されていてもよい。ロータコア21の内側には、シャフト40が挿入され、圧入等により固定されている。これにより、ロータコア21は、シャフト40と一体となって、軸線O回りに回転可能に設けられている。
図2に示すように、ロータコア21には、1/12周の周角度領域のそれぞれに、永久磁石25が装着される磁石装着部23が形成されている。複数の磁石装着部23は、ロータコア21の外周部において、周方向に間隔をあけて形成されている。磁石装着部23は、ロータコア21を軸線方向に貫通するように形成されている。磁石装着部23は、軸線方向から見て、径方向に直交する方向を長手方向とする矩形状に形成されている。
永久磁石25は、希土類磁石である。希土類磁石としては、例えばネオジム磁石やサマリウムコバルト磁石、プラセオジム磁石等が挙げられる。永久磁石25は、磁石装着部23に挿入され、例えば樹脂や接着剤等により、ロータコア21に対して固定されている。永久磁石25は、軸線方向および径方向の双方向に延びる直方体状に形成されている。永久磁石25は、軸線方向および径方向の双方向において磁石装着部23と同じ寸法に形成されている。また、永久磁石25は、径方向に直交する方向において磁石装着部23よりも小さく形成され、軸線方向から見た磁石装着部23の長手方向中央に配置されている。これにより、各磁石装着部23の軸線方向から見た長手方向両端には、空隙であるフラックスバリアが形成される。フラックスバリアは、永久磁石25のロータコア21への磁束漏れを抑制する。各永久磁石25は、径方向に磁化方向が配向されている。また、複数の永久磁石25は、周方向に沿って間隔をあけるとともに、交互に磁化方向が反転するように配置されている。
ロータコア21には、軸線方向に沿って延びる複数の収納スロット29(スロット)と、各収納スロット29内に1個ずつ配置された複数の可動鉄心31と、が形成されている。ここで、永久磁石25の磁極の中心軸をd軸とし、d軸に電気的に直交する方向をq軸とする。複数の収納スロット29は、それぞれ周方向で隣り合う一対の磁石装着部23の間に形成されている。すなわち、各収納スロット29は、q軸上に形成されている。各収納スロット29は、軸線方向から見て径方向に延びる矩形状に形成されている。収納スロット29は、軸線方向に一様に延びている。収納スロット29の径方向外側の端部は、磁石装着部23よりも径方向外側に位置している。収納スロット29の径方向内側の端部は、磁石装着部23よりも径方向内側に位置している。
可動鉄心31は、収納スロット29内に配置されることにより、周方向で隣り合うとともに極性の異なる一対の永久磁石25間に配置されている。可動鉄心31は、収納スロット29に対応する直方体状に形成されている。可動鉄心31の軸線方向における寸法は、収納スロット29の軸線方向における寸法と一致している(図3参照)。可動鉄心31は、収納スロット29内を軸線方向に沿って移動可能になっている。可動鉄心31は、ロータコア21における可動鉄心31以外の部分と同様に、例えば電磁鋼板を軸線方向に複数枚積層することにより形成されている。なお、可動鉄心31は、軟磁性粉を加圧成形することにより形成されていてもよい。
図3に示すように、端面板27は、ロータコア21と略同径の円環板状に形成されている。端面板27は、ロータコア21の磁石装着部23に装着された永久磁石25(いずれも図2参照)の抜け止めとして使用されている。端面板27の中心には、シャフト40が貫通して固定されている。端面板27には、軸線方向から見てロータコア21の収納スロット29と一致する貫通孔27aが形成されている。貫通孔27aには、軸線方向に移動して収納スロット29から押し出された可動鉄心31が配置される。
可動鉄心移動機構50は、ロータ20と軸線方向で並んで設けられている。可動鉄心移動機構50は、径方向から見てステータ10のコイル15のうち、ステータコア11から軸線方向に突出した部分と重なっている(図1参照)。可動鉄心移動機構50は、ロータコア21の回転に伴う遠心力により可動鉄心31を所定位置から軸線方向に沿って移動させて、収納スロット29内に磁気的空間部33を形成する(図4参照)。なお、所定位置とは、可動鉄心31の全体が収納スロット29に配置される位置である(図3に示す可動鉄心31の位置)。可動鉄心移動機構50は、ケース51と、転動部材57と、スライド部61と、鉄心連結部材65と、付勢部材67と、を備えている。
ケース51は、ロータコア21を挟んで端面板27とは反対側に配置されている。ケース51は、ロータコア21およびシャフト40のうち少なくともいずれか一方に固定されている。ケース51は、シャフト40に外挿された円筒部52と、円筒部52のロータコア21側の一端部から径方向外側に向かって張り出した第1フランジ部53と、円筒部52の他端部から径方向外側に向かって張り出した第2フランジ部54と、を備えている。第1フランジ部53は、ロータコア21と略同径の円環板状に形成され、ロータコア21の他端面に接して配置されている。第1フランジ部53は、端面板27と同様に、ロータコア21の磁石装着部23に装着された永久磁石25の抜け止めとして機能する。第1フランジ部53には、鉄心連結部材65に対応して、軸線方向に貫通する貫通部53aが形成されている。第2フランジ部54は、第1フランジ部53と略同径に形成されている。第2フランジ部54の詳細形状については後述する。
転動部材57は、円柱状のローラであって、第2フランジ部54の一対の主面のうち第1フランジ部53に対向する主面55に常時接触している。転動部材57は、複数設けられ、周方向に等間隔に配置されている。転動部材57は、径方向に沿って移動可能に設けられている。なお、転動部材57は、周方向の移動を規制され、ロータコア21とともに軸線O回りに回転可能に設けられている。
上述したケース51の第2フランジ部54は、各転動部材57に接触するように形成されている。第2フランジ部54は、軸線方向から見て各転動部材57の移動軌跡と重なる位置のみに形成されていてもよいし、周方向に全周に亘って延びていてもよい。第2フランジ部54の主面55は、径方向内側に設けられた第1部分55aと、第1部分55aよりも径方向外側に設けられ第1部分55aと連なる第2部分55bと、を備えている。第1部分55aは、軸線Oに直交する平面状に形成されている。第2部分55bは、径方向内側から外側に向かうに従い、軸線方向におけるロータコア21側に延びる平面状に形成されている。
スライド部61は、軸線方向において転動部材57とケース51の第1フランジ部53との間に設けられている。スライド部61は、ケース51の円筒部52の外周面に沿って軸線方向に沿って移動可能に設けられている。スライド部61は、ケース51の円筒部52にスライド移動可能に外挿された円筒状のスライド筒部62と、スライド筒部62から径方向外側に向かって張り出すとともに周方向に沿って延びる円環板状のプレート部63と、を備えている。プレート部63は、スライド筒部62におけるケース51の第2フランジ部54に対向する端部から張り出している。プレート部63の外径は、ケース51の第2フランジ部54の外径と同程度に設定されている。プレート部63は、転動部材57に対して第1フランジ部53側から接触している。プレート部63の一対の主面のうち第2フランジ部54に対向する主面64は、軸線Oに直交する平面状に形成されている。
鉄心連結部材65は、スライド部61のプレート部63からロータコア21に向かって突出している。鉄心連結部材65は、可動鉄心31と同数設けられている。鉄心連結部材65は、軸線方向から見て各可動鉄心31と一致する位置に配置されている。鉄心連結部材65は、非磁性材料により形成されている。非磁性材料としては、例えば樹脂材料やアルミニウム等が挙げられる。鉄心連結部材65は、軸線方向に沿って一様に延在している。鉄心連結部材65は、軸線方向から見て可動鉄心31と同形同大に形成されている。鉄心連結部材65は、ケース51の第1フランジ部53の貫通部53aに挿通され、可動鉄心31に結合されている。鉄心連結部材65の軸線方向の寸法は、ケース51の第2フランジ部54の主面55の第1部分55aに転動部材57が接触する状態(図3に示す状態)で、スライド部61のプレート部63とロータコア21との間隔と一致している。鉄心連結部材65は、軸線方向に沿って移動して可動鉄心31を移動させる。鉄心連結部材65は、可動鉄心31をロータコア21の収納スロット29から押し出すことで、収納スロット29内に可動鉄心31が配置されていない磁気的空間部33を形成する(図4参照)。
付勢部材67は、ケース51の第1フランジ部53と、スライド部61のプレート部63と、の間に複数配置されている。複数の付勢部材67は、周方向に等間隔に配置されている。付勢部材67は、例えば圧縮コイルばねであって、スライド部61を軸線方向におけるケース51の第2フランジ部54側に常時押圧している。ここで、ケース51の第2フランジ部54の主面55の第2部分55bと、スライド部61のプレート部63の主面64と、の間隔は、径方向の外側から内側に向かうに従い漸次広くなっている。このため、転動部材57がケース51の第2フランジ部54の主面55の第2部分55bに接触する状態では、付勢部材67は、プレート部63を介して転動部材57を径方向内側に向かって付勢している。また、付勢部材67は、プレート部63および鉄心連結部材65を介して、可動鉄心31を所定位置に向けて移動させる。
ここで、回転電機1の動作について説明する。
図4は、第1実施形態の回転電機を示す縦断面図である。
図4に示すように、ロータ20が回転すると、転動部材57がロータコア21とともに回転し、転動部材57に遠心力が作用する。すると、転動部材57は、径方向の外側に向かって移動する。この際、転動部材57は、スライド部61を介して作用する付勢部材67の付勢力に抗しつつ、ケース51の第2フランジ部54の主面55の第2部分55bに沿って、軸線方向におけるロータコア21側に変位する。これにより、転動部材57は、転動部材57に作用する遠心力の大きさ(ロータ20の回転数)に応じて、スライド部61を軸線方向におけるロータコア21側に移動させる。
スライド部61が軸線方向におけるロータコア21側に移動すると、鉄心連結部材65は、ロータコア21の収納スロット29に入り込むとともに、所定位置にある可動鉄心31を収納スロット29から押し出す。なお、付勢部材67はスライド部61を常時押圧しているので、転動部材57は、転動部材57に作用する遠心力が所定値以下の状態では、径方向の外側に向かって移動しない。つまり、可動鉄心移動機構50は、ロータ20の回転数が所定回転数を超えた場合に、可動鉄心31を所定位置から移動させる。また、付勢部材67は、転動部材57に作用する遠心力が小さくなると、転動部材57を遠心力に抗して径方向の内側に向かって移動させるとともに、可動鉄心31を所定位置に向けて移動させる。
図5は、図4のV−V線に相当する部分における断面図である。
図4および図5に示すように、鉄心連結部材65は非磁性体により形成されているので、収納スロット29内には、鉄心連結部材65が入り込んだ寸法に対応して磁気的空間部33が形成される。その結果、ロータコア21のq軸上に磁気的空間部33が形成され、q軸磁束が通りにくくなるため、q軸インダクタンスが減少する。磁気的空間部33は、可動鉄心31の所定位置からの移動量に比例して軸線方向に大きくなる。可動鉄心31の所定位置からの移動量は、転動部材57に作用する遠心力の大きさ応じて決まる。このため、ロータ20の回転数が増加すると、q軸インダクタンスは減少する。
ここで、回転電機のトルク、および誘起電圧は、以下の式(1)(2)で表される。
Figure 0006575947
Figure 0006575947
ただし、Tはトルク、Vは誘起電圧、Ldはd軸インダクタンス、Lqはq軸インダクタンス、 はd軸電流、 はq軸電流、ωはロータの角速度、Φaは磁石による鎖交磁束である。また、式(1)における第1項はマグネットトルクであり、第2項はリラクタンストルクである。
式(2)より、誘起電圧Vは、ロータの角速度ω、すなわちロータの回転数に比例している。このため、ロータの回転数が増加すると、誘起電圧Vが回転電機を制御するインバータの耐電圧に達する。ここで、本実施形態の回転電機1においては、上述したようにロータ20の回転数が増加するとq軸インダクタンスが減少する。このため、誘起電圧Vが回転電機を制御するインバータの耐電圧に達した状態では、q軸インダクタンスがロータ20の回転数に応じて変化しない構成と比較して、q軸電流の低下が抑制される。これにより、式(1)に示すマグネットトルクおよびリラクタンストルクの低下を抑制できる。
図6は、回転電機の回転数に対するトルク特性および出力特性を示すグラフである。
図6のグラフにおいて、横軸は回転電機の回転数を示す。また、縦軸は回転電機のトルクおよび出力を示す。図6では、本実施形態の回転電機1の構成を適用した回転電機において、磁気的空間部33が無い状態、すなわち収納スロット29内の全体に可動鉄心31が配置されている状態(図中「可動鉄心あり」と記載)と、収納スロット29内の全体が磁気的空間部33となっている状態(図中「可動鉄心なし」と記載)と、のデータを示している。
図6に示すように、回転数がおよそ0rpmから5000rpmの低回転域では、磁気的空間部33を設けることで出力およびトルクの両方が低下している。一方で、回転数がおよそ5000rpmよりも大きい高回転域では、上述した誘起電圧が回転電機を制御するインバータの耐電圧に達したことにより、回転数が大きくなるに従いトルクが減少している。高回転域における回転数の増加に対するトルクの減少率は、磁気的空間部33を設けることで小さくなっている。その結果、高回転域では、磁気的空間部33を設けた回転電機の出力が、磁気的空間部33が無い回転電機の出力を上回っている。
このように、本実施形態によれば、ロータコア21の回転に伴ってロータコア21の収納スロット29内に磁気的空間部33が形成されるので、ロータコア21の磁気特性をロータ20の回転数に応じて変化させることができる。このため、遠心力により回転電機特性(トルクや出力等)を調整でき、従来技術のようにワイヤ式牽引装置を備えた構成と比較して、重量やコストの増加を抑え、さらに大型化を抑えることができる回転電機1を提供することができる。
また、複数の永久磁石25は、周方向に沿って間隔をあけてロータコア21に埋設され、可動鉄心31は、周方向で隣り合うとともに極性の異なる一対の永久磁石25間に配置されているので、磁気的空間部33がq軸上に形成される。q軸上に磁気的空間部33が形成されると、磁気抵抗が高くなり、q軸インダクタンスが減少する。このため、高回転域において誘起電圧が回転電機1を制御するインバータの耐電圧に達した際に、q軸インダクタンスが減少することでq軸電流の減少を抑制することができる。これにより、回転電機1のトルクの減少が抑制されるので、回転電機1の出力の低下を抑制することができる。
また、可動鉄心移動機構50は、ロータコア21とともに軸線O回りに回転可能、かつ径方向に沿って移動可能に設けられた転動部材57と、転動部材57の径方向の外側への移動に連動して軸線方向に沿って移動し、可動鉄心31を移動させる鉄心連結部材65と、転動部材57を径方向の内側に向かって付勢し、可動鉄心31を所定位置に向けて移動させる付勢部材67と、を備える。この構成では、ロータコア21が回転すると、転動部材57も回転して、遠心力により径方向の外側に向かって移動する。鉄心連結部材65は、転動部材57が遠心力により径方向の外側に向かって移動すると、転動部材57の移動に連動して可動鉄心31を軸線方向に沿って移動させる。付勢部材67は、転動部材57を径方向の内側に向かって付勢し、可動鉄心31を所定位置に向けて移動させるので、転動部材57に作用する遠心力が小さくなると、転動部材57を遠心力に抗して径方向の内側に向かって移動させるとともに、可動鉄心31を所定位置に向けて移動させる。以上により、ロータ20の回転数に応じて可動鉄心31を所定位置から軸線方向に沿って移動させることが可能な可動鉄心移動機構50を形成することができ、上述した作用効果を奏する回転電機1を提供できる。
また、鉄心連結部材65は、非磁性材料により形成されている。このため、鉄心連結部材65が可動鉄心31を所定位置から軸線方向に沿って移動させて収納スロット29内に磁気的空間部33を形成する際に、非磁性材料により形成された鉄心連結部材65を収納スロット29内に入り込ませることができる。このため、鉄心連結部材が磁性材料により形成された場合と比較して、収納スロット29内に磁気的空間部33をより大きく形成でき、ロータコア21の磁気特性をより大きく変化させることが可能となる。
なお、鉄心連結部材65を非磁性材料としてアルミニウム等の金属材料により形成した場合には、鉄心連結部材65において渦損が生じる可能性がある。このため、鉄心連結部材65を形成する非磁性材料として、樹脂材料を用いることが望ましい。
また、可動鉄心移動機構50は、ロータ20の回転数が所定回転数を超えた場合に可動鉄心31を移動させる。このため、ロータ20の回転数が所定回転数以下の状態で、ロータコア21の磁気特性が変化することを抑制できるので、例えば誘起電圧が回転電機1を制御するインバータの耐電圧以下の低回転域において、q軸インダクタンスが減少することを抑制できる。これにより、低回転域での回転電機1の出力の低下を抑制することができる。
また、可動鉄心31の所定位置からの移動量は、ロータ20の回転数が増加するに従って大きくなる。すなわち、可動鉄心31の押し出し量は、ロータ20の回転数が増加するに従って大きくなる。ロータコア21の表面積は、可動鉄心31の押し出し量が増加するに従って大きくなる。このため、ロータ20の回転数の増加に伴って発熱量が増加するに従い、ロータ20の表面積を大きく確保することができる。また、可動鉄心31がロータコア21における可動鉄心31以外の箇所から突出しているので、ハウジング2内に冷媒が収容されている場合には、冷媒を撹拌することができる。したがって、ロータ20を効率良く冷却することが可能となる。
なお、上記実施形態では、ケース51の第2フランジ部54の主面55に、径方向内側から外側に向かうに従い軸線方向におけるロータコア21側に延びる第2部分55bが形成され、これにより転動部材57が径方向の外側に向かって移動しつつ軸線方向におけるロータコア21側に変位し、鉄心連結部材65を軸線方向に移動させるように形成されている。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、スライド部61のプレート部63の主面64に、径方向内側から外側に向かうに従い軸線方向におけるロータコア21とは反対側に延びる部分が形成され、これにより転動部材57が径方向の外側に向かって移動すると、スライド部61が軸線方向におけるロータコア21側に変位し、鉄心連結部材65を軸線方向に移動させるように形成されていてもよい。
[第2実施形態]
図7および図8は、第2実施形態の回転電機を示す縦断面図である。
図7に示す第2実施形態では、可動鉄心移動機構150が油圧システムにより可動鉄心31を移動させるように構成されている点で、第1実施形態と異なっている。
図7および図8に示すように、可動鉄心移動機構150は、ロータコア21の回転に伴う遠心力により可動鉄心31を軸線方向に沿って移動させて、収納スロット29内に磁気的空間部33を形成する。可動鉄心移動機構150は、油圧システムである。可動鉄心移動機構150は、軸線方向に沿って移動可能に設けられ可動鉄心31を軸線方向に沿って移動させる第1ピストン151と、ロータコア21とともに所定軸線回りに回転可能、かつ径方向に沿って移動可能に設けられた第2ピストン153と、内部に作動油Fが充填され、第1ピストン151を軸線方向に沿って移動可能に支持するとともに、第2ピストン153を径方向に沿って移動可能に支持するシリンダ155と、第2ピストン153を径方向の内側に向かって付勢する付勢部材161と、を備える。
図7に示すように、シリンダ155は、ロータコア21を挟んで端面板27とは反対側に配置されている。シリンダ155は、ロータコア21およびシャフト40のうち少なくともいずれか一方に固定されている。シリンダ155の内側には、第1ピストン151および第2ピストン153が配置されている。シリンダ155の形状については後述する。
第1ピストン151は、可動鉄心31と同数設けられている。第1ピストン151は、軸線方向から見て各可動鉄心31と一致する位置に配置されている。第1ピストン151は、非磁性材料により形成されている。非磁性材料としては、例えば樹脂材料やアルミニウム等が挙げられる。第1ピストン151は、可動鉄心31側の端部を除いて、軸線方向に沿って一様に延在している。第1ピストン151は、可動鉄心31側の端部において拡幅している。これにより、第1ピストン151がシリンダ155内に完全に引き込まれることが規制される。第1ピストン151の可動鉄心31側の端面は、可動鉄心31の第1ピストン151側の端面と略同形同大に形成され、可動鉄心31に全面で接触して結合されている。第1ピストン151は、シリンダ155の内部の作動油Fの圧力が高まると、軸線方向に沿ってロータコア21側に移動する。
第2ピストン153は、第1ピストン151と同数設けられている。第2ピストン153は、例えば周方向において第1ピストン151と同じ位置に配置されている。第2ピストン153は、径方向における第1ピストン151とシャフト40との間に配置されている。第2ピストン153は、径方向に沿って一様に延在している。第2ピストン153のピストン面積は、第1ピストン151のピストン面積よりも大きい。第2ピストン153は、径方向の外側に向かって移動することにより、シリンダ155の内部の作動油Fの圧力を高める。
シリンダ155は、第1ピストン151を軸線方向に沿って移動可能に支持する第1シリンダ部156と、第2ピストン153を径方向に沿って移動可能に支持する第2シリンダ部157と、第1シリンダ部156の内部と第2シリンダ部157の内部とを連通する空間を内部に有する連通部158と、を備えている。第1シリンダ部156、第2シリンダ部157および連通部158の内部空間は、連続した空間になっており、作動油Fが充填されている。なお、シリンダ155は、各第1ピストン151に対応して複数設けられ、それらが互いに分離していてもよいし、一体化していてもよい。また、シリンダ155の一部は、端面板27と同様に永久磁石25(図2参照)の抜け止めとして機能するように、ロータコア21と略同径の円環板状に形成され、ロータコア21の端面に接して配置されていてもよい。
付勢部材161は、第2ピストン153とシャフト40との間に配置されている。付勢部材161は、例えば引張コイルばねであって、第2ピストン153を径方向内側に向けて常時引っ張っている。付勢部材67は、シリンダ155内の作動油F、および第1ピストン151を介して、可動鉄心31を所定位置に向けて移動させる。
ここで、回転電機101の動作について説明する。
図8に示すように、ロータ20が回転すると、第2ピストン153がロータコア21とともに回転し、第2ピストン153に遠心力が作用する。すると、第2ピストン153は、付勢部材161の付勢力に抗しつつ、径方向の外側に向かって移動する。第2ピストン153は、シリンダ155の内部の作動油Fの圧力を高める。シリンダ155の内部の作動油Fの圧力が高くなると、第1ピストン151が軸線方向におけるロータコア21側に移動する。これにより、第2ピストン153は、第2ピストン153に作用する遠心力の大きさ(ロータ20の回転数)に応じて、第1ピストン151を軸線方向におけるロータコア21側に移動させる。
第1ピストン151は、軸線方向におけるロータコア21側に移動すると、ロータコア21の収納スロット29に入り込むとともに、所定位置にある可動鉄心31を収納スロット29から押し出す。なお、付勢部材161は第2ピストン153を常時引っ張っているので、第2ピストン153は、第2ピストン153に作用する遠心力が所定値以下の状態では、径方向の外側に向かって移動しない。つまり、可動鉄心移動機構150は、ロータ20の回転数が所定回転数を超えた場合に、可動鉄心31を所定位置から移動させる。また、付勢部材161は、第2ピストン153に作用する遠心力が小さくなると、第2ピストン153を遠心力に抗して径方向の内側に向かって移動させるとともに、可動鉄心31を所定位置に向けて移動させる。
第1ピストン151は非磁性体により形成されているので、収納スロット29内には、第1ピストン151が入り込んだ寸法に対応して磁気的空間部33が形成される。磁気的空間部33は、可動鉄心31の所定位置からの移動量に比例して軸線方向に大きくなる。可動鉄心31の所定位置からの移動量は、第2ピストン153に作用する遠心力の大きさ応じて決まる。このため、ロータ20の回転数が増加すると、磁気的空間部33が軸線方向に大きくなる。
このように、本実施形態では、ロータコア21の回転に伴ってロータコア21の収納スロット29内に磁気的空間部33が形成されるので、第1実施形態と同様に、回転電機特性を調整でき、重量やコストの増加を抑え、さらに大型化を抑えることができる回転電機101を提供することができる。
また、可動鉄心移動機構150は、軸線方向に移動可能に設けられ可動鉄心31を軸線方向に沿って移動させる第1ピストン151と、ロータコア21とともに軸線O回りに回転可能、かつ径方向に沿って移動可能に設けられた第2ピストン153と、内部に作動油Fが充填され、第1ピストン151を軸線方向に沿って移動可能に支持するとともに、第2ピストン153を径方向に沿って移動可能に支持するシリンダ155と、第2ピストン153を径方向の内側に向かって付勢し、可動鉄心31を所定位置に向けて移動させる付勢部材161と、を備える油圧システムである。この構成では、ロータコア21が回転すると、第2ピストン153も回転して、遠心力により径方向の外側に向かって移動する。第1ピストン151および第2ピストン153は、シリンダ155に移動可能に支持されているので、第2ピストン153が移動すると、第1ピストン151も軸線方向に沿って移動する。これにより、第1ピストン151は、可動鉄心31を軸線方向に沿って移動させる。付勢部材161は、第2ピストン153を径方向の内側に向かって付勢し、可動鉄心31を所定位置に向けて移動させるので、第2ピストン153に作用する遠心力が小さくなると、第2ピストン153を遠心力に抗して径方向の内側に向かって移動させるとともに、可動鉄心31を所定位置に向けて移動させる。以上により、ロータ20の回転数に応じて可動鉄心31を所定位置から軸線方向に移動させることが可能な可動鉄心移動機構150を形成することができ、上述した作用効果を奏する回転電機101を提供できる。
また、第1ピストン151は、非磁性材料により形成されているので、第1ピストン151が可動鉄心31を所定位置から軸線方向に沿って移動させて収納スロット29内に磁気的空間部33を形成する際に、非磁性材料により形成された第1ピストン151を収納スロット29内に入り込ませることができる。このため、第1ピストンが磁性材料により形成された場合と比較して、収納スロット29内に磁気的空間部33をより大きく形成でき、ロータコア21の磁気特性をより大きく変化させることが可能となる。
なお、第1ピストン151を非磁性材料としてアルミニウム等の金属材料により形成した場合には、第1ピストン151において渦損が生じる可能性がある。このため、第1ピストン151を形成する非磁性材料として、樹脂材料を用いることが望ましい。
また、可動鉄心移動機構150は、油圧システムであって、第2ピストン153のピストン面積は、第1ピストン151のピストン面積よりも大きいので、第2ピストン153の移動量よりも大きく第1ピストン151を移動させることができる。このため、可動鉄心移動機構150の径方向の寸法に制限がある場合に好適である。
なお、上記第2実施形態では、第2ピストン153が第1ピストン151と同数設けられているが、これに限定されない。例えば複数の第1ピストンを1つの第2ピストンにより移動させるように構成してもよいし、1つの第1ピストンを複数の第2ピストンにより移動させるように構成してもよい。なお、いずれの場合であっても、第2ピストンは複数設けられて周方向に等間隔に配置されていることが望ましい。これにより、可動鉄心移動機構の軸線Oに対する偏心を抑制できる。
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、ロータの形状は、上記実施形態のロータ20の形状に限定されない。例えば図9に示すロータ120、または図10に示すロータ220に上述した可動鉄心移動機構50,150を組み合わせてもよい。
具体的に、図9に示すように、ロータ120のロータコア121には、1/12周角度領域のそれぞれに、永久磁石125が装着される磁石装着部123が形成されている。磁石装着部123は、周方向に間隔をあけて並ぶ複数(図示の例では3つ)の磁石スロット123aを備えている。複数の磁石スロット123aは、それぞれ軸線方向から見て径方向に対して交差する方向を長手方向とする矩形状に形成されている。図示の例では、3つの磁石スロット123aは、軸線方向から見てU字状で径方向外側に開くように配置されている。そして、ロータコア121には、収納スロット129(スロット)および可動鉄心131が形成されている。収納スロット129は、周方向で隣り合う一対の磁石装着部123の間に形成されている。可動鉄心131は、収納スロット129内に配置されている。
また、図10に示すように、ロータ220のロータコア221には、1/12周角度領域のそれぞれに、永久磁石225が装着される磁石装着部223が形成されている。磁石装着部223は、径方向に間隔をあけて並ぶ複数(図示の例では3つ)のスリット223aを備えている。複数のスリット223aは、同心の円弧状に形成され、径方向内側に向かって凸となるように設けられている。そして、ロータコア221には、収納スロット229(スロット)および可動鉄心231が形成されている。収納スロット229は、周方向で隣り合う一対の磁石装着部223の間に形成されている。可動鉄心231は、収納スロット229内に配置されている。
また、上記実施形態においては、回転電機として磁石埋込形のロータを備えた、いわゆるIPM(Interior Permanent Magnet)モータを例に挙げているが、これに限定されない。回転電機は、ロータコアの外周面に磁石が装着されたロータを備えた、いわゆるSPM(Surface Permanent Magnet)モータであってもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各実施形態および各変形例を適宜組み合わせてもよい。
1…回転電機(可変界磁回転電機) 20,120,220…ロータ 21,121,221…ロータコア 25,125,225…永久磁石 29,129,229…収納スロット(スロット) 31,131,231…可動鉄心 50,150…可動鉄心移動機構 57…転動部材 65…鉄心連結部材 67,161…付勢部材 151…第1ピストン 153…第2ピストン 155…シリンダ F…作動油 O…軸線(所定軸線)

Claims (7)

  1. 所定軸線回りに回転可能に設けられたロータコアと、
    前記ロータコアに装着された複数の永久磁石と、
    を有するロータを備え、
    前記ロータコアには、
    前記所定軸線の軸線方向に沿って延びるスロットと、
    前記スロット内に配置され、前記軸線方向に沿って移動可能な可動鉄心と、
    が形成され、
    前記ロータコアの回転に伴う遠心力により、前記可動鉄心を所定位置から前記軸線方向に沿って移動させて、前記スロット内に磁気的空間部を形成する可動鉄心移動機構と、
    前記ロータ、前記可動鉄心移動機構および冷媒を収容するハウジングと、
    をさらに備え
    前記複数の永久磁石は、前記ロータコアの周方向に沿って間隔をあけて前記ロータコアに埋設され、
    前記可動鉄心は、前記周方向で隣り合うとともに極性の異なる一対の前記永久磁石間に配置され、かつ前記ロータコアから突出可能に形成されている、
    ことを特徴とする可変界磁回転電機。
  2. 前記可動鉄心移動機構は、
    前記ロータコアとともに前記所定軸線回りに回転可能、かつ前記ロータコアの径方向に沿って移動可能に設けられた転動部材と、
    前記転動部材の前記径方向の外側への移動に連動して前記軸線方向に沿って移動し、前記可動鉄心を移動させる鉄心連結部材と、
    前記転動部材を前記径方向の内側に向かって付勢し、前記可動鉄心を前記所定位置に向けて移動させる付勢部材と、
    を備える、
    ことを特徴とする請求項に記載の可変界磁回転電機。
  3. 前記鉄心連結部材は、非磁性材料により形成されている、
    ことを特徴とする請求項に記載の可変界磁回転電機。
  4. 所定軸線回りに回転可能に設けられたロータコアと、
    前記ロータコアに装着された複数の永久磁石と、
    を有するロータを備え、
    前記ロータコアには、
    前記所定軸線の軸線方向に沿って延びるスロットと、
    前記スロット内に配置され、前記軸線方向に沿って移動可能な可動鉄心と、
    が形成され、
    前記ロータコアの回転に伴う遠心力により、前記可動鉄心を所定位置から前記軸線方向に沿って移動させて、前記スロット内に磁気的空間部を形成する可動鉄心移動機構をさらに備え、
    前記可動鉄心移動機構は、
    前記軸線方向に沿って移動可能に設けられ、前記可動鉄心を前記軸線方向に沿って移動させる第1ピストンと、
    前記ロータコアとともに前記所定軸線回りに回転可能、かつ前記ロータコアの径方向に沿って移動可能に設けられた第2ピストンと、
    内部に作動油が充填され、前記第1ピストンを前記軸線方向に沿って移動可能に支持するとともに、前記第2ピストンを前記径方向に沿って移動可能に支持するシリンダと、
    前記第2ピストンを前記径方向の内側に向かって付勢し、前記可動鉄心を前記所定位置に向けて移動させる付勢部材と、
    を備える油圧システムである、
    ことを特徴とする可変界磁回転電機。
  5. 前記複数の永久磁石は、前記ロータコアの周方向に沿って間隔をあけて前記ロータコアに埋設され、
    前記可動鉄心は、前記周方向で隣り合うとともに極性の異なる一対の前記永久磁石間に配置されている、
    ことを特徴とする請求項4に記載の可変界磁回転電機。
  6. 前記第1ピストンは、非磁性材料により形成されている、
    ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の可変界磁回転電機。
  7. 前記可動鉄心移動機構は、前記ロータの回転数が所定回転数を超えた場合に前記可動鉄心を前記所定位置から移動させる、
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の可変界磁回転電機。
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