JP6574924B2 - リップ溝形鋼 - Google Patents
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Description
他方H形鋼を梁材として使用する場合にはフランジ面が水平になるように組み立てられ大きな荷重に耐えられる。
溝形鋼ではH形鋼よりも異方性がさらに大きくなり通常柱材には使用されない。柱材用には2条の溝形鋼を対面溶接して角形鋼管として使用されることがある。
1) 鋼管は熱延厚板を管状に冷間曲げ加工し、溶接によって閉じるやり方で製造されるので熱延大量生産のH形鋼よりもコストがかなり割高になる。
2) H形鋼では通常のボルトを使用する『当て板ボルト接合』により軸延長や組立が容易であるが、鋼管では管内に手が入らないので価格割高のワンサイドボルトを多数必要とする。
3) H形鋼では両フランジ間の空間は配管・配線などへの利用価値があるが鋼管では別にスペースを設けなければならない。
なかでも非特許文献1にあるように、フランジ部を事前に冷間加工によって溝形に成形した軽量リップH形鋼(文献中図3)は他のH形鋼規格では見られない特徴を持つ。この場合寸法を適切に設定することよにより角鋼管と同様両軸同等の曲げ性能にすることは可能と推測される。さらに難解な挫屈問題に対して、H形よりもリップ付きH形は明らかに有利になり、実際一部で使用されている。
軽量リップ溝形鋼の上記特徴を通常の(重量の)熱延溝形鋼に展開できれば後者の性能向上とコスト有利(冷間加工を要しない)により適用範囲の拡大と需要の増加が期待されるが製造上の問題により未だ見られない。
1) 既存の熱間圧延溝形鋼の圧延ラインにおいてリップを形成することはパス数・孔型の増加やロールとロール駆動軸の配置スペースの関係で極めて困難である。性能向上(Zyの向上)のためリップ厚をウェブ厚・フランジ厚よりも大きくすることはなおさら困難になる。新たにユニバーサルミルを付設して工夫すれば不可能ではないかもしれないが設備費用が大変になる。
2) 熱延直後のフランジ部の上端を曲げ加工するような加工機や曲げ工程を附加した熱延ラインは見当たらない。
3) 溶接組立H形鋼のように溝形鋼に溶接によってリップを形成することは容易であるが当然コスト問題が生ずる。
4) 新鋼材とその適用には多くの規制・障害・実証への対応があり意欲がそがれることが多いが、その負担に耐える大きなコスト効果が期待されるが不確実である。
5) さらに性能上の優位性が期待されるがその内容・応用・必要性と需要量がもひとつ不明確である。
特許文献1には2条の軽量リップ溝形鋼をリップ部で対面溶接してリブを持った角管を形成し、柱材用角鋼管とすることが開示されている。リップの特徴・応用を示している。
特許文献2には同様に2条の軽量リップ溝形鋼をウェブとフランジの接合部で背面溶接して軽量リップH形に形成し柱材用とすることが示されている。リップ溝形鋼の新規応用例とされる。
いずれも新たに溶接加工が加わるのでコストが問題となる。
当然仕上げは正確な寸法を得るため孔型圧延によってなされるが仕上げ圧延前に曲げ成形工程を加えることによって圧延を円滑に行うと言う着想と結果は大いに参考になる。
2) 上記曲げ加工機は簡単な機構であり、且つ曲げ荷重は圧延より小さいので設備費・操業費は圧延機よりも小さい。既存圧延機のパス数に余裕がある場合は、製品外形を包摂するボックスカリバーを設け、且つフランジ内面の挫屈拘束ガイドを設けることにより曲げ加工機とすることができより有利になる。
3) 第3発明による相対的に溝底の浅い素形材のウェブをウェブ方向に圧下してウェブ両側部を90°曲げてリップ溝形鋼とする方法では孔型が浅いのでロール径の制約が小さく、従って寸法の大きいリップ溝形鋼が造り易い。
4) 軽量リップ溝形鋼と比較して厚肉断面が容易に得られ従来対処することができなかった大荷重にも容易に適用することができる。
5) リップ厚を他の部分よりも大きくし、リップ部断面積をウェブ及びフランジと同一とし、全体外径を正方形にすると正方形角鋼管と同様にウェブ方向・フランジ方向の断面係数と断面2次モーメントを同一にすることができ、柱用鋼材に応用することができる。
6) 素形材の寸法を適宜設定すると閉口のリップ溝形鋼が得られる。リップ突き合わせ部を溶接することにより容易に従来の溶接閉鎖角形鋼管とすることができる。
7) 熱延鋼材であるから軽量形鋼や溶接鋼管のような2次加工製品と比較してコスト有利である。
該挫屈拘束ガイド3は、フランジ2,2’の根幹部内外面には平行接近して間隙を持って挟むが外縁部5,5’ははみ出すよう該ガイド高さを設定しておく。
次いで一対のロール6,6’により該フランジ2,2’をフランジ面と平行方向に圧下する。上記挫屈拘束ガイド3によって根幹部の挫屈変形は防止され、該外縁部5,5’は挫屈して内側に連続的に曲げられリップ7,7’を形成する。その際確実に内側に挫屈するよう該挫屈拘束ガイド3の高さはフランジ内面では外面よりも低くしておく。
圧延機のようなロール圧下機21の前後に挫屈拘束ガイドを保持する固定のガイド枠22を設け、挫屈拘束外面ガイド23,23’,内面ガイド24を強固に連結する。フランジ内面を拘束する内面ガイド24は溝形鋼20の開口部を通してガイド枠22と連結する。
本加工機は曲げ加工であるから圧延に比較して荷重は低く、また熱間加工であるから弾性戻りも少なく成形及びその加工精度の確保は当業者にとって特に困難ではない。
図4は上記圧延機において内面挫屈拘束ガイド36の取付方法を示す。圧延機スタンド41の入り側面に該挫屈拘束内面ガイド36の取付部42を強固に固定し、2段の片持ち梁の構造で該ガイドをボックスカリバーの中央に保持する。
図5に示すように広幅のウェブ51と小幅のフランジ52,52’を持つ溝形素形材50を曲げ加工機のロール53,53’によってウェブ方向に圧下する。その際ウェブ中央部54の内外面に挫屈拘束ガイド55,56を設けておく。ウェブ両側部57,57’は90°曲げられ新フランジ58,58’となり元のフランジ52、52’はリップ59,59’へ移行する。
角部の形状は通常の溝形鋼のように外面が角にならず円弧であり、全体は軽量リップ溝形鋼と同様になる。
図6Aに示したフランジ厚肉の素形材(ウェブ;幅600mm×厚さ12mm、フランジ;幅50mm×厚さ24mm)を曲げ加工機によりウェブを200mm幅の平底U形に成形する。元のフランジがリップを形成するとともに開口した幅50mmのリップ付き200mm角となる。
表1に寸法と断面性能を角形鋼管と比較して示す。同等の性能が得られる。
Claims (3)
- 溝形鋼の熱間圧延において、圧延終了後の溝形又はU字形の素形材を1対のロールと挫屈拘束ガイドとから成る曲げ加工機に導入し、該挫屈拘束ガイドは、フランジの根幹部の内外面を平行接近し間隙を持って挟むがフランジの外縁部ははみ出させ、前記ロールにより該フランジをフランジと平行方向に圧下して挫屈変形を拘束しつつ該外縁部を内側に連続的に90°曲げ加工してリップを形成したことを特徴とする熱延リップ溝形鋼の製造方 法。
- 一対のロールがボックスカリバーを持つ2重圧延機であり、挫屈拘束ガイドがフランジ外面拘束部は前記カリバー側壁によって代用し、内面拘束部は該圧延機スタンドに固定され該圧延機入り側から片持ち保持されたものであることを特徴とする請求項1に記載した熱延リップ溝形鋼の製造方法。
- 熱間圧延終了後のフランジ幅/ウェブ幅の値が1/6未満である溝形又はU字形の素形材を1対のロールと挫屈拘束ガイドとから成る曲げ加工機に導入し、該挫屈拘束ガイドはウェブ中央部の内外面を平行接近し間隙を持って挟み、前記ロールにより該ウェブをウェブと平行方向に圧下し挫屈変形を拘束しつつウェブ両側部を90°曲げ加工してウェブを縮小し新たに新フランジを形成するとともに元のフランジをリップに移行させ、リップ部を開口とした熱延リップ溝形鋼の製造方法において、
溝形又はU字形の素形材のフランジ厚をウェブ厚よりも大きく、両フランジの断面積を該素形材全体の断面積の1/4とし、圧下に際して新ウェブ幅と新フランジ幅を同等として全体を正方形状とすることによりウェブ方向とフランジ方向の断面係数Zx,Zyと断面2次モーメントIx、IyをZx=Zy,Ix=Iyとしたことを特徴とする熱延リップ溝形鋼の製造方法。
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