以下、適宜図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。尚、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
(本開示の一形態を得るに至った経緯)
特許文献1では、親機に無線ルータが登録されていない場合、親機に無線ルータを登録するために、親機を無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントとして一時的に使用することで、親機とスマートフォンとが直接に通信することが開示されている。
特許文献1の構成では、親機に無線ルータが実際に登録された後では、親機とスマートフォンとの間のデータ(例えば監視カメラからの画像データ)の送受信は無線ルータを介することが前提となっている。このため、監視カメラからの画像データが親機に転送された後、親機は無線ルータを介してスマートフォンに転送することはできるが、親機はスマートフォンと直接通信して転送することはできない。言い換えると、特許文献1の監視カメラシステムにおいて、親機に無線ルータが登録されると、その後の実運用では、無線ルータが無ければ親機とスマートフォンとの間のデータの送受信ができず、使い勝手が不十分である。
また、無線ルータは、通常、インターネット接続が可能となっている。仮に無線ルータを設けずに、無線ルータの代わりにインターネットに接続不能なAP(Access Point)の機能を親機が有するとする。また、一般的に、スマートフォンは、登録済み(初期設定済み)の無線LANの電波を検出すると、機種や設定によっては、自動的にこの電波の無線LANに接続する。
この場合、スマートフォンは、親機の無線LANの電波を検出すると、この無線LANを用いて無線接続するので、インターネットを使用不能となる。従って、スマートフォンは、親機が有する機能(例えば宅内監視機能)を必要としなくなった場合に、不要に親機への無線接続を継続すると、インターネットを使用不能な状態が継続されることが予想される。よって、スマートフォンは、インターネットを介した機能(例えばブラウザの閲覧)を実現することが困難となることが予想される。
以下、無線ルータを介さなくても固定電話機の親機とスマートフォンとの通信に係るユーザの使い勝手を向上し、スマートフォンがインターネットを使用不能な状態を短くできる宅内監視システム及び通信制御方法について説明する。
以下の実施形態は、宅内監視システムに限定されず、宅内監視システムにおける親機とスマートフォンとの間の通信に関する通信制御方法として表現することも可能であり、また宅内監視システムに含まれる親機又はスマートフォンの装置カテゴリとして規定することもできる。
(用語の定義)
以下の各実施形態において、宅内監視システムを構成するスマートフォンが宅内監視システムを構成する固定電話機の親機との間で無線通信する際、無線ルータを介して親機と無線接続して無線通信する無線通信モードを「ルータ接続モード」という。同様に、スマートフォンが固定電話機の親機と無線通信する際、親機を無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイント(AP)として無線接続して無線通信する無線通信モードを「ソフトAPモード」という。ソフトAPモードは親機とスマートフォンとを直接に接続可能にできるので、直接接続モードとも言える。また、宅内監視システムが設置される宅内に居住する人物を、便宜的に「ユーザ」という。
なお、以下の各実施形態の宅内監視システムは、個人宅に設置されることに限定されず、例えばオフィス、工場、店舗等の営利施設や、市役所、図書館等の公共施設に設置されても構わない。これらの場合にはそれぞれの施設で勤務している人物のいずれかがユーザとなるであろう。
(第1の実施形態)
図1は、ソフトAPモードで親機10とスマートフォン50とが接続された状態の、宅内監視システム5のシステム構成の一例を示す図である。図2は、ルータ接続モードで親機10とスマートフォン50とが接続された状態の、宅内監視システム5のシステム構成の一例を示す図である。
図1に示す宅内監視システム5は、例えばユーザの宅内8に設置されており、固定電話機の親機10と、2台のコードレス子機20A,20Bと、2台のカメラ30(例えば屋内カメラ30A,監視カメラ30B)と、各種のセンサ40(例えば人感センサ40A,40B,煙センサ40C,窓センサ40D)と、スマートプラグ80と、センサーライト90と、スマートフォン50とを少なくとも含む構成である。なお、この宅内監視システム5を構成する各種の電気機器は一例であり、種々の態様に変更可能である。例えば宅内監視システム5を構成する電気機器の中には、親機10との間で無線通信(例えば後述するDECTの無線通信方式を用いた無線通信)が可能な冷蔵庫、電子レンジ、エアーコンディショナ等のホームアプライアンス機器も含まれても構わない。
図2に示す宅内監視システム5は、図1に示す宅内監視システムの構成機器に加え、無線ルータ60をさらに含む構成である。但し、図1に示す宅内監視システム5でも無線ルータ60を有してもよく、ソフトAPモードでは無線ルータ60が不要となるため、無線ルータ60の図示が省略されているだけである。以下、宅内監視システム5の構成機器について、順次説明する。
親機10は、宅内監視システム5の各種の構成機器との通信に関するゲートウェイとしての役割を有する。つまり、親機10は、宅内監視システム5の全体の動作を制御する制御装置であり、例えばDECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)の無線通信方式を用いて、コードレス子機20A,20B、カメラ30、センサ40、スマートプラグ80、センサーライト90等と無線通信可能に無線接続される。
親機10は、後述するソフトAPモードを用いるための初期設定が終わると、ソフトAPモードでは無線LANのアクセスポイントとして動作するので、無線ルータ60を介することなく、スマートフォン50と直接に無線通信できる。但し、図1に示すように、ソフトAPモードでは親機10はインターネット65に接続できないため、スマートフォン50は、ユーザが宅外(つまり、アクセスポイントとしての親機10との間の無線通信圏外)にいる時には親機10に接続できない。
また、親機10は、後述するルータ接続モードを用いるための初期設定が終わると、ルータ接続モードでは無線LANを利用する通信端末として動作するので、無線LANを用いた無線ルータ60(図2参照)を介して、外部のネットワーク(例えばインターネット65)に接続でき、さらにスマートフォン50と無線通信できる。
また、親機10は、有線で固定電話網85に接続され、コードレス子機20A,20Bと他の固定電話機800との間で通話を可能とするための仲介処理を行う。なお、親機10は、他の固定電話機800との間で直接に通話を行ってもよい。また、親機10は、差込口10aに挿入されたコードレス子機20Aを充電する機能を有する。
コードレス子機20A,20Bは、DECTの無線通信方式で親機10と無線接続され、親機10との間で無線通信(通話も含む)が可能である。以下、2台のコードレス子機20A,20Bを区別する必要が無い場合、コードレス子機20と総称する。
各種のセンサ40(例えば人感センサ40A,40B,煙センサ40C,窓センサ40D)は、DECTの無線通信方式で親機10と無線接続される。図1及び図2では、センサとして、例えば窓の開閉を検出する窓センサ40D、煙を感知する煙センサ40C、赤外線によって人物を感知する人感センサ40A、40Bが用いられる。以下、これらのセンサの種類を区別する必要が無い場合、センサ40と総称する。また、後述するように、カメラ30に内蔵された赤外線センサ313(図5参照)も、人感センサとして用いられる。
2台のカメラ(例えば屋内カメラ30A,監視カメラ30B)は、通話機能を有し、DECTの無線通信方式で親機10と無線接続され、コードレス子機20A,20Bとの間で通話が可能である。図1及び図2では、カメラとして、屋外を撮像する監視カメラ30B、宅内8を撮像する屋内カメラ30Aが用いられる。以下、カメラの種類を区別する必要が無い場合、カメラ30と総称する。
スマートプラグ80は、DECTを用いた無線通信機能を有し、DECTの無線通信方式で親機10と無線接続される。スマートプラグ80は、親機10から送信される指示に従い、スマートプラグ80自身に接続された各種の電気機器(例えばエアーコンディショナ、ホームアプライアンス機器、照明器具、カメラ30、センサ40)に電力を供給する商用交流電源又は直流電源の通電又は遮断を切り替える。スマートプラグ80の詳細については後述する。
センサーライト90は、監視エリア(例えばユーザの自宅の屋内、自宅の敷地内の庭、玄関)に居る人物の動きを検知し、夜間等で周囲が暗いと、点灯して監視エリアの周囲を照明する。なお、センサーライト90の輝度は、監視エリアを明るく照明できる程度に高くてもよいし、警告灯として使える程度に低くてもよい。センサーライト90は、DECTを用いた無線通信機能を有し、DECTの無線通信方式を用いて親機10と無線接続される。センサーライト90は、親機10を介してスマートフォン50からセンサーライト90の動作条件を任意に設定可能である。センサーライト90の詳細については後述する。
センサーライト90は、ユーザの自宅の敷地内の防犯用途に限定されず、店舗、工場、オフィス等の事業所のうちいずれかにおける防犯用途として使用されてもよいことは言うまでもない。また、センサーライトは、防犯目的として使用されず、設置場所を行き来する人に対する使い勝手を向上するために使用されるものであっても構わない。
携帯電話端末としてのスマートフォン50は、例えば3G(第3世代)、HSPA(High Speed Packet Access)、LTE(Long Term Evolution)等の各種の無線通信方式を用いた携帯電話網75を介して、他の携帯電話機70や他のスマートフォン等(不図示)と無線接続して無線通信できる。
スマートフォン50は、後述するソフトAPモードを用いるための初期設定が終わると、ソフトAPモードでは、無線ルータ60を介することなく、無線LANのアクセスポイントとしての親機10と直接に無線通信できる。
また、スマートフォン50は、後述するルータ接続モードを用いるための初期設定が終わると、ルータ接続モードでは、無線LANを用いた無線ルータ60(図2参照)を介して親機10と無線接続して無線通信できる。
(宅内監視システム5の構成機器の内部構成)
図3は、宅内監視システム5における親機10の内部構成の一例を示すブロック図である。親機10は、制御部109と、記憶部103と、操作部105と、表示部106とを含む構成である。親機10は、各種の入力操作を受け付け、表示部106に画像等の情報を表示する。また、親機10は、後述する無線LANの電波を出力するためにユーザに押下されるセットアップボタンを操作部105に有する。なお、親機10は、表示部106の一例として、無線LANの電波の出力状況を示すためのLED(Light Emitting Diode)を有してもよい。
制御部109は、呼制御部110及び音声ストリーム処理部112を有し、通話の呼制御や音声データの処理等を行う。
また、制御部109は、SSIDリスト保持部109aをさらに有する。SSIDリスト保持部109aは、親機10が無線LANを用いた無線通信における無線ルータ60(つまり、アクセスポイント)の識別情報としてのSSID(Service Set Identifier)を保持する。SSIDリスト保持部109aは、親機10が認識している少なくとも1つのSSIDを保持している。つまり、図2では無線ルータ60は1つであるが、複数あってもよく、この場合には複数の異なるSSIDがSSIDリスト保持部109aにより保持されている。また、SSIDリスト保持部109aは、親機10が無線LANを用いた無線通信のアクセスポイントとなる場合の識別情報としてのSSIDを保持する。
なお、表示部106は、タッチパネルを用いて構成されてもよい。このタッチパネルに対応する表示部106は、ユーザ操作を受け付けて制御部109に出力するとともに、制御部109から渡された表示データを表示する。
また、親機10は、画像メモリ制御部115と、画像メモリ116とを有し、カメラ30で撮像されかつカメラ30から転送された画像データ等を受信して画像メモリ116に記憶する。
また、親機10は、無線LAN制御部121と、無線LAN通信I/F部122とを有し、無線LANを用いて、無線ルータ60を介して又は介さずに、スマートフォン50やカメラ30等と画像データ及び音声データを送受信する。
親機10は、後述するソフトAPモードを用いるための初期設定が終わると、ソフトAPモードでは、親機10自身が無線LANのアクセスポイントとして動作し、スマートフォン50との間で直接に無線通信を行い、例えばDECTで無線接続しているカメラ30から画像データが転送されると、画像データをスマートフォン50に送信することができる。
親機10は、後述するルータ接続モードを用いるための初期設定が終わると、ルータ接続モードでは、無線LANを用いた無線ルータ60を介して、スマートフォン50との間で無線通信を行い、例えばDECTで無線接続しているセンサ40からセンサ検知結果データ(例えば侵入者を検知した旨の情報)が転送されると、センサ検知結果データをスマートフォン50に送信することができる。
また、親機10は、DECTプロトコル制御部108と、DECT無線I/F部107とを有し、DECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)の無線通信方式を用いて、コードレス子機20、センサ40、カメラ30、スマートプラグ80及びセンサーライト90との間でそれぞれ無線接続、無線通信を行う。
また、親機10は、音声バス117と、音声入出力制御部104と、スピーカ129と、マイク128とを有し、外部に対して音声の入出力を行う。
また、親機10は、固定電話回線I/F部101を有し、固定電話網85に接続された外部の固定電話機800と通信、通話が可能である。なお、上述したように、親機10は、固定電話網85に接続された外部の固定電話機800とコードレス子機20との間で通話が可能となるように通話時における音声データの各種処理を制御してもよい。
また、親機10は、子機/携帯端末充電部126を有し、差込口10aに挿入されたコードレス子機20或いはスマートフォン50を充電する。
また、親機10は、USB通信I/F部127を有し、USB(Universal Serial Bus)規格のインタフェースを有する機器やメモリ等とデータを送受信する。
また、親機10は、各種のセンサ40(例えば人感センサ40A,40B,煙センサ40C,窓センサ40D)と複数のカメラ30をそれぞれ関連付けて記憶部103に書き込んで登録する。例えば人感センサ40Bと監視カメラ30Bとは、屋外の近接した場所に設置されているので、関連付けて登録される。また、監視カメラ30Bは、後述するように、人感センサである赤外線センサ313(図5参照)を一体として内蔵するので、赤外線センサ313とも関連付けて登録される。また、人感センサ40Aと、煙センサ40Cと窓センサ40Dとは、いずれも宅内8に設置されているので、屋内カメラ30Aとそれぞれ関連付けて登録される。
図4は、宅内監視システム5におけるコードレス子機20の内部構成の一例を示すブロック図である。コードレス子機20は、制御部247と、記憶部242と、操作部244と、表示部245とを含む構成である。コードレス子機20は、各種の入力操作を受け付け、表示部245に画像等の情報を表示する。
また、コードレス子機20は、DECTプロトコル制御部249と、DECT無線I/F部248とを有し、DECTの無線通信方式を用いて親機10、センサ40及びカメラ30との間でそれぞれの無線接続、無線通信を行う。
また、コードレス子機20は、音声バス255と、音声入出力制御部243と、スピーカ252と、マイク251とを有し、外部(例えば外部の固定電話機800)に対して音声の入出力を行って通話する。
また、コードレス子機20は、2次電池250によりコードレス子機20の各部への動作に必要な電力を供給する。
図5は、宅内監視システム5におけるカメラ30の内部構成の一例を示すブロック図である。カメラ30の一例としての屋内カメラ30A及び監視カメラ30Bは、いずれもほぼ同じ仕様を有する。カメラ30は、制御部309と、記憶部303と、操作部305とを含む構成である。カメラ30は、撮像に関する動作を行うとともに、入力操作を受け付ける。
また、カメラ30は、DECTプロトコル制御部317と、DECT無線I/F部318とを有し、DECTの無線通信方式を用いて親機10との間で無線接続、無線通信を行う。
また、カメラ30は、無線LAN制御部321と、無線LAN通信I/F部322とを有し、無線LANを用いて、無線ルータ60を介して又は介さずに、親機10、スマートフォン50等と画像データ及び音声データを送受信する。
また、カメラ30は、音声バス307と、音声入出力制御部304と、スピーカ329と、マイク328とを有し、外部(例えばコードレス子機20)に対して音声の入出力を行って通話する。
また、カメラ30は、撮像部312と、画像メモリ制御部316と、画像メモリ315とを有し、撮像部312で撮像された画像データを画像メモリ315に記憶する。撮像部312は、レンズ及び撮像素子(例えばCCD(Charge Coupled Device)、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ)を有する。
カメラ30は、人感センサとして、PIR(Passive Infra Red)センサである赤外線センサ(焦電センサ)313を一体に内蔵する。赤外線センサ313は、人(人物)が発する熱(赤外線)の変化を検出して人の存在を感知する。カメラ30は、例えば商用交流電源又は直流電源により構成される電源部314を有する。
図6は、宅内監視システム5におけるセンサ40の内部構成の一例を示すブロック図である。センサ40は、制御部447と、記憶部442と、表示ランプ445とを含む構成である。センサ40は、何かしらのイベント(例えば侵入者、煙、窓の開閉)を検知した場合に、表示ランプ445を点灯する等、所定の検知動作を行う。
また、センサ40は、DECTプロトコル制御部449と、DECT無線I/F部448とを有し、DECTの無線通信方式を用いて親機10と無線接続、無線通信を行い、上述したイベントを検知すると、センサ検知結果データを親機10に送信する。
センサ部453は、センサ40の種類によって異なる。例えば人感センサ40A,40Bの場合、センサ部453は、赤外線の変化によって人を感知するPIRセンサである。窓等の開閉を検出する窓センサ40Dの場合、センサ部453は、開閉によってオン/オフに切り替わるリードスイッチである。煙センサ40Cの場合、センサ部453は、発光した光が煙によって遮光されることで煙を感知する発光部及び受光部である。
充電池450は、充電可能な電池であり、センサ40の各部に必要な電力を供給する。
図7は、宅内監視システム5におけるスマートフォン50の内部構成の一例を示すブロック図である。スマートフォン50は、制御部506と、記憶部504と、表示/操作部(例えばタッチパネルを用いて構成)503とを含む構成である。スマートフォン50は、各種の入力操作を受け付け、表示/操作部503に画像等の情報を表示する。
制御部506は、カメラ30やセンサーライト90の各種の設定情報を設定可能な監視機能制御部514を内蔵する。表示/操作部503は、表示部及び操作部が一体化された表示入力部であり、画面に画像やアイコン等の情報を表示したり、センサーライト90の設定情報の生成画面(不図示)、後述する無線LANの詳細設定画面(図11参照)、セットアップ画面(図12参照)、を表示したりするとともに、使用者による画面へタップ操作(又はタッチ操作)を受け付ける。
また、制御部506は、スマホOS処理部506aと、スマホアプリ処理部506bと、SSIDリスト保持部506cとを有する。
スマホOS処理部506aは、スマートフォン50の基本ソフトウェアとしてのOS(Operating System)を実行する。スマホOS処理部506aの動作の詳細については後述する。
スマホアプリ処理部506bは、表示/操作部503に対するユーザ操作により、スマートフォン50にインストールされているアプリケーションの起動、終了、実行の指令が入力されると、そのアプリケーションを起動、終了、アプリケーション中における処理を実行する。スマホアプリ処理部506bの動作の詳細については後述する。
SSIDリスト保持部506cは、スマートフォン50がルータ接続モードにおける無線ルータ60やソフトAPモードにおける親機10(つまり、いずれもアクセスポイント)の識別情報としてのSSIDを保持する。SSIDリスト保持部506cは、スマートフォン50が認識している少なくとも1つのSSIDを保持している。つまり、図2では親機10や無線ルータ60はそれぞれ1つであるが、複数あってもよく、この場合には3つ以上の異なるSSIDがSSIDリスト保持部506cにより保持されている。
また、スマートフォン50は、3G/4Gプロトコル制御部502と、3G/4G無線I/F部501とを有し、3G(第3世代)や4G(第4世代)の無線通信方式(例えばHSPAやLTEも含まれる)を用いて、携帯電話網75に接続された携帯電話機70や他のスマートフォンと無線接続、無線通信を行う。
また、スマートフォン50は、音声バス515と、音声入出力制御部505と、スピーカ513と、マイク512とを有し、外部に対して音声の入出力を行う。
また、スマートフォン50は、無線LAN制御部507と、無線LAN通信I/F部508とを有し、無線LANを用いて、無線ルータ60を介して又は介さずに、親機10、カメラ30等と画像データ及び音声データを送受信する。
スマートフォン50は、後述するソフトAPモードを用いるための初期設定が終わると、ソフトAPモードでは、親機10との間で直接に無線通信を行い、例えば親機10がDECTで無線接続しているカメラ30から転送された画像データを受信すると、親機10から転送されたその画像データを受信することができる。また、スマートフォン50は、表示/操作部503にユーザ操作が入力されると、ユーザ操作に応じた情報を、親機10に対して直接送信することができる。
スマートフォン50は、後述するルータ接続モードを用いるための初期設定が終わると、ルータ接続モードでは、無線LANを用いた無線ルータ60を介して、親機10との間で無線通信を行い、例えば親機10がDECTで無線接続しているセンサ40から転送されたセンサ検知結果データ(例えば侵入者を検知した旨の情報)を受信すると、親機10から転送されたそのセンサ検知結果データを受信することができる。また、スマートフォン50は、表示/操作部503にユーザ操作が入力されると、ユーザ操作に応じた情報を、無線ルータ60を介して親機10に対して送信することができる。
また、スマートフォン50は、スマートフォン50を操作するユーザの入力操作があると、その操作による信号を、無線ルータ60を介して又は直接に親機10に送信し、さらにその親機10を介して、センサーライト90、スマートプラグ80等の設定情報を新規に作成したり、その設定情報を任意に変更したりすることが可能である。
また、スマートフォン50は、USB通信I/F部511を有し、USB(Universal Serial Bus)規格のインタフェースを有する機器やメモリ等とデータを送受信する。
また、スマートフォン50は、2次電池550によりスマートフォン50の各部への動作に必要な電力を供給する。
図8は、宅内監視システム5におけるスマートプラグ80の内部構成の一例を示すブロック図である。スマートプラグ80は、制御部847と、記憶部842と、表示ランプを備えた表示部845とを少なくとも含む構成である。記憶部842には、例えばスマートプラグ80が親機10との間でDECTを用いた無線通信を行うことで設定又は変更が可能なスマートプラグ80のON/OFF条件に関するスケジュール設定情報が登録される。
また、スマートプラグ80は、DECTプロトコル制御部849、及びDECT無線I/F部848を有し、DECTの無線通信方式を用いて親機10と無線接続、無線通信を行い、この無線接続を介して送信される信号(つまり、スマートフォン50に対するユーザ操作に基づく親機10からの切替制御信号)に従って、個々のスマートプラグ80に接続される各電気機器(例えばエアーコンディショナ、ホームアプライアンス機器、照明器具、カメラ30、センサ40)へ商用交流電源又は直流電源の供給又は遮断を切り替える。
また、スマートプラグ80は、スイッチ部850を有する。スイッチ部850は、例えば宅内8の配電盤(不図示)から接続された宅内8の各種の位置(例えばダイニングルーム、リビングルーム、ベッドルーム等の位置)に表出されたコンセント端子(不図示)に接続されるプラグ端子851と電気機器に接続されるコンセント端子852との間で、電源としての電力の供給線の接続又は遮断を行う。スイッチ部850は、例えばソレノイドコイル853によって駆動され、ソレノイドコイル853に交流電源からの駆動電流を流すことによってスイッチ部850を閉結し、プラグ端子851とコンセント端子852との間を導通させる。また、スイッチ部854は、制御部847の制御によってソレノイドコイル853に流す駆動電流をON/OFFさせる。
プラグ端子851とスイッチ部850との間には電流検出素子855が設けられ、プラグ端子851とコンセント端子852の間で電流が流れると、電流検出素子855が検知し、検知信号を制御部847へ出力する。制御部847は、例えば操作部841からの入力操作があると、電流検出素子855からの検知信号を受けた場合に電気機器への電力を供給している量(電力供給量)を表示部845に表示する。
制御部847は、例えばユーザ操作に基づくスマートフォン50からの指示により親機10からスマートプラグ80の動作モードの指示信号がDECT無線I/F部848において受信された場合には、プラグ端子851とコンセント端子852との間を導通させるための切替制御信号をスイッチ部854に出力する。これにより、プラグ端子851とコンセント端子852との間が導通する。一方、制御部847は、例えばユーザ操作に基づくスマートフォン50からの指示により親機10からスマートプラグ80の動作停止モードの指示信号がDECT無線I/F部848において受信された場合には、プラグ端子851とコンセント端子852との間を非導通させるための切替制御信号をスイッチ部854に出力する。これにより、プラグ端子851とコンセント端子852との間が非導通となる。
また、制御部847は、記憶部842に記憶されているスケジュール設定情報を参照し、スケジュール設定情報に含まれる動作モードの時間になると、プラグ端子851とコンセント端子852との間を導通させるための切替制御信号をスイッチ部854に出力する。これにより、プラグ端子851とコンセント端子852との間が導通する。なお、動作モードの時間中では、例えばユーザ操作に基づくスマートフォン50からの指示により親機10から送信された動作停止モードの指示信号がDECT無線I/F部848において受信されない限り、プラグ端子851とコンセント端子852との間の導通状態は維持される。
一方、制御部847は、記憶部842に記憶されているスケジュール設定情報を参照し、スケジュール設定情報に含まれる動作停止モードの時間になると、プラグ端子851とコンセント端子852との間を非導通させるための切替制御信号をスイッチ部854に出力する。これにより、プラグ端子851とコンセント端子852との間が非導通となる。なお、動作停止モードの時間中では、例えばユーザ操作に基づくスマートフォン50からの指示により親機10から送信された動作モードの指示信号がDECT無線I/F部848において受信されない限り、プラグ端子851とコンセント端子852との間の非導通状態は維持される。
図9は、宅内監視システム5におけるセンサーライト90の内部構成の一例を示すブロック図である。センサーライト90は、プロセッサ901と、DECT無線I/F部902と、DECTプロトコル制御部903と、メモリ904と、照度センサ905と、動作センサ906と、ライト907と、電池908とを含む構成である。
プロセッサ901は、DECT無線I/F部902及びDECTプロトコル制御部903を介して、DECTの無線通信方式を用いて親機10との間で無線接続、無線通信を行う。センサーライト90は、親機10との間で無線通信を行うことで、各種のカメラ30、センサ40、スマートフォン50、スマートプラグ80等の機器と接続可能である。
また、プロセッサ901は、点灯時間計測タイマ901z、消灯遅延時間計測タイマ901y及び点灯継続時間計測タイマ901xを内蔵する。
点灯時間計測タイマ901zは、ライト907の点灯時間を計測する。
消灯遅延時間計測タイマ901yは、消灯遅延時間を計測する。消灯遅延時間は、動作センサ906によって移動体(例えば人物)の動きが検知されなくなってからライト907を消灯させるまでの移動体の非検知状態の継続時間を示す。
点灯継続時間計測タイマ901xは、ライト907が点灯し始めてから点灯を継続している時間を示す点灯継続時間を計測する。点灯継続時間には、上限値が設けられている。この上限値は、センサーライト90がバッテリ(つまり、電池908)駆動であることに鑑みて、ライト907が連続して点灯することが可能な点灯時間の最大値である。ライト907は、この上限値まで点灯した場合には、プロセッサ901により強制的に消灯させられることになる。なお、点灯時間計測タイマ901zにより計測された点灯時間を点灯継続時間として用いることもでき、この場合には、点灯継続時間計測タイマ901xはセンサーライト90から省かれてもよい。
プロセッサ901は、点灯継続時間計測タイマ901xによって計測されるライト907の点灯継続時間の計測値が、メモリ904に記憶された点灯継続時間の設定値(つまり、上述した上限値)を超えると、消灯遅延時間の計測値の状況に拘わらず、ライト907を強制的に消灯させる。
また、プロセッサ901は、消灯遅延時間計測タイマ901yによって計測される消灯遅延時間の計測値と、メモリ904に記憶された消灯遅延時間の設定値とを比較し、この比較結果に応じて、ライト907の点灯/消灯を制御する。
プロセッサ901は、ライト907が消灯中に人感を検知した場合には、ライト907の点灯時間の計測を開始するとともに、ライト907の点灯を開始する。
プロセッサ901は、ライト907の点灯中に、消灯遅延時間の計測値が消灯遅延時間の設定値を超え、かつ、ライト907の点灯時間の計測値がライト907の点灯時間の設定値を超えたと判定した場合に、ライト907を消灯する。例えばライト907の点灯時間の設定値が30秒、消灯遅延時間の設定値が5秒、ライト907の点灯時間の計測値が25秒の時点で人感が検知されなくなった場合を考える。この場合、人感が検知されなくなってから5秒間人感の非検知状態が継続すれば、消灯遅延時間の計測値が消灯遅延時間の設定値(5秒)に達し、かつライト907の点灯時間の計測値がライト907の点灯時間の設定値(30秒)に達するので、ライト907は消灯する。この例では、ライト907は計30秒点灯していたことになる。
また、プロセッサ901は、センサーライト90が電池908による駆動であるため、親機10との間ではDECTの無線通信方式を用いて通信可能ではあるが、親機10との間で無線通信を行う必要がある時(例えば人感検知時や親機10との間の定期通信時)を除けば、通信をスリープモード(つまり、通信を行っていないモード)に設定している。これにより、センサーライト90は、親機10との間で常時通信モードに設定する必要が無いので、消費電力の増大を抑制することが可能である。
消灯遅延時間の設定値は、例えば2通りの方法で設定可能である。第1の設定方法では、プロセッサ901は、消灯遅延時間テーブル(不図示)を予めメモリ904に記憶しておき、この消灯遅延時間テーブルを参照し、ライト907の点灯時間の設定値に対応する消灯遅延時間の設定値を読み出して取得する。
また、第2の設定方法では、プロセッサ901は、ライト907の点灯時間を計測し、この計測値の所定割合(例えば点灯時間の計測値の10%)を計算し、この計算した値を消灯遅延時間の設定値として設定する。なお、この所定割合は、10%に限らず、5%,20%等、任意の値に設定可能である。
また、消灯遅延時間の設定値は、スマートフォン50を操作するユーザの設定入力により、親機10を介してセンサーライト90に設定されてもよい。例えばスマートフォン50を操作するユーザの設定操作により入力された消灯遅延時間の設定値の情報がスマートフォン50から親機10に対して送信されると、消灯遅延時間の設定値の情報が親機10において受信される。その後、親機10は、センサーライト90に消灯遅延時間の設定値の情報を送信する。センサーライト90は、消灯遅延時間の設定値の情報を受信すると、メモリ904に書き込むことで設定を完了することができる。
また、例えばライト907の点灯時間の設定値が20秒であったが点灯していた点灯時間の計測値が70秒を経過した時に、ようやく人物の動きが検知されなくなり、その後消灯遅延時間の間に非検知状態が継続した場合を想定する。この場合、第1の設定方法では、消灯遅延時間テーブル(不図示)を参照すると、消灯遅延時間の設定値は5秒である。一方、第2の設定方法では、人物の動きが検知されなくなるまでの点灯時間の計測値の10%として、消灯遅延時間の設定値は7秒である。従って、第1の設定方法ではライト907は合計75秒間点灯し、一方、第2の設定方法ではライト907は合計77秒間点灯する。つまり、第1の設定方法で消灯遅延時間の設定値が設定される場合、第2の設定方法で設定される場合に比べて、ライト907が点灯する時間は2秒縮まり、バッテリ駆動のセンサーライト90にとっては消費電力が低減する点で好ましい。一方で、第2の設定方法で設定される場合には、第1の設定方法で設定される場合に比べて2秒間長くライト907が点灯するので、人物の動きが検知されなくなったとしてもライト907の点灯時間を一定程度確保する観点ではより好ましいといえる。
また、例えばライト907の点灯時間の設定値が20秒であったが点灯していた点灯時間の計測値が20秒を経過した時に、ようやく人の動きが検知されなくなり、その後消灯遅延時間の間に非検知状態が継続した場合を想定する。この場合、第1の設定方法では、消灯遅延時間テーブル(不図示)を参照すると、消灯遅延時間の設定値は5秒である。一方、第2の設定方法では、点灯時間の計測値の10%として、消灯遅延時間の設定値は2秒である。従って、第1の設定方法ではライト907は合計25秒間点灯し、一方、第2の設定方法ではライト907は合計22秒間点灯する。つまり、第1の設定方法と第2の設定方法のいずれで消灯遅延時間の設定値を設定すれば良いかは、人の動きが検知されなくなった時点までのライト907の点灯時間の計測値の長短に依存する。なお、第1の設定方法と第2の設定方法とのうちいずれかの設定方法により、消灯遅延時間の設定値が設定される。
消灯遅延時間を設定する方法として、第1の設定方法/第2の設定方法は、センサーライト90に内蔵された操作スイッチ(図示せず)、或いは親機10を介してスマートフォン50によって選択可能である。
ライト907は、例えば光源である白色LEDと、この白色LEDから投射される光を前方に反射するリフレクタとで構成される。なお、光源としては、白色LEDに限らず、白色以外のカラーLED、白熱灯、蛍光灯、ハロゲンランプ、キセノンランプ等であってもよい。本実施形態では、消費電力が少なく、かつ、自然光に近い白色LEDを用いる。
メモリ904は、プロセッサ901が実行する制御プログラムや各種データを記憶する。各種データには、設定情報テーブル(不図示)、消灯遅延時間テーブル(不図示)等が含まれる。
センサの一例としての照度センサ905は、周囲の明るさを感知するものであり、人間の眼が感じる光の波長に近い波長の領域の光を感知する、つまり人間の眼に近い分光感度特性を有するフォトダイオードである。なお、照度センサ905には、イメージセンサを用いてもよく、この場合、イメージセンサの各画素の輝度値から照度を得るとともに、全画素の輝度値から画像を取得することも可能である。
センサの一例としての動作センサ906は、LED及びフォトダイオードを有し、監視エリアに向けてLEDから近赤外光を照射し、フォトダイオードでその反射光を受光し、反射光の変化に基づき、人物の動きを検知する。なお、ここでは、移動体の一例として、人物の動きを検知していたが、人物に限らず、犬、猫等の動物や、小型若しくは大型の車両やロボット等の構造物の動きを検知してもよい。また、ここでは、近赤外光を照射したが、可視光、紫外光等を照射し、その反射光の変化から、移動体の動きを検知してもよい。また、光を照射する代わりに、超音波を照射し、その反射波から移動体の動きを検知してもよい。また、動作センサ906は、移動体の動きを検知していたが、動きが極端に小さいと予想される移動体の場合には、移動体が動かなくてもその存在を検知できるものであってもよい。例えば動作センサ906として、人体が発する赤外光を感知する、人感センサとして、PIR(Passive Infra Red)センサである赤外線センサ(焦電センサ)を用いてもよい。焦電センサを用いた場合、LEDのように発光しないので、省電力化が図られる。
電池908は、センサーライト90の電源として用いられる、例えば4本の単1乾電池である。なお、電池としては、マンガン乾電池、アルカリ乾電池等の一次電池だけでなく、ニッケル水素バッテリ、リチウムイオン電池、鉛バッテリ等の充電可能な二次電池を用いてもよい。また、本実施形態では、センサーライト90の電源として、電池を用いたが、電池の代わりに、商用交流電源に接続され、商用交流を変換して所定の電圧を出力する電源装置を内蔵してもよい。
(宅内監視システム5の動作)
次に、宅内監視システム5の動作について説明する。
以下、親機を便宜的に「HUB」と表記し、さらにスマートフォンを便宜的に「スマホ」と表記する場合がある。また、スマートフォン50のスマホOS処理部506aを「スマホOS」又は単に「OS」と表記し、さらにスマートフォン50のスマホアプリ処理部506bを「スマホアプリ」と表記する場合がある。
図10及び図13では、例えば、インターネットに接続されないAPとしての親機10でも、スマートフォン50が、無線LANの接続先として選択可能となることを考慮している。また、図14及び図15では、例えば、スマートフォン50がインターネットに接続されないAPとしての親機10に接続される期間を考慮している。
図10は、スマートフォン50によるアプリ起動時の動作例を示すフローチャートである。このアプリは、例えば、宅内監視システム5の各機器が連動して宅内監視するためのホームネットワークアプリケーションである。
まず、スマホアプリ処理部506bは、各種モードで動作する宅内監視システム5の初期設定が完了しているか否かを判定する(S11)。この初期設定は、ソフトAPモードを用いるための初期設定、又はルータ接続モードを用いるための初期設定を含む。この初期設定は、例えば、ソフトAPモード又はルータ接続モードで親機10とスマートフォン50とが無線接続するための無線設定情報(例えば、SSID、パスワードを含む)の設定を含む。初期設定の結果、親機10及びスマートフォン50は、無線設定情報を共有して保持し、無線接続可能な状態となる。
初期設定が完了していない場合、スマホアプリ処理部506bは、初期設定を実行する(S12)。S12の処理により、親機10及びスマートフォン50は、ソフトAPモード又はルータ接続モードでの無線接続及び無線通信が可能となる。
スマホアプリ処理部506bは、アプリが採用する接続モードがソフトAPモードであるか又はルータ接続モードであるかを判定する(S13)。この接続モードは、例えば初期設定により決定され、この設定情報が記憶部540に保持されている。
アプリが採用する接続モードがソフトAPモードである場合、スマホアプリ処理部506bは、接続無効フラグがONに設定されているか否かを判定する(S14)。接続無効フラグは、インターネット接続が安定している無線LANのみ利用するためのフラグである。
図11は、接続無効フラグに係る設定を含む無線LANの詳細設定画面G11の表示例を示す模式図である。図11では、接続無効フラグは、「接続不良のとき無効にする」の項目により示されている。つまり、「接続不良のとき無効にする」の項目のチェックボックスにチェックマークがある場合、接続無効フラグがONに設定されていることを示し、このチェックボックスにチェックマークがない場合、接続無効フラグがOFFに設定されていることを示す。尚、「接続不良のとき無効にする」の項目の名称は、スマートフォン50のOSや機種により異なる場合がある。
接続無効フラグがONに設定されている場合、スマホアプリ処理部506bは、接続無効フラグをOFFに設定する(S15)。
また、スマホアプリ処理部506bは、設定変更フラグをONに設定する(S16)。設定変更フラグは、接続無効フラグの設定をONからOFFに変更したか否かを示すフラグである。設定変更フラグがONの場合には、接続無効フラグの設定がONからOFFに変更されていることを示す。
一方、S14で、接続無効フラグがOFFに設定されている場合、スマホアプリ処理部506bは、設定変更フラグをOFFに設定する(S17)。設定変更フラグがOFFの場合には、接続無効フラグの設定がONからOFFに変更されていないこと、つまり接続無効フラグの設定がOFFであることを示す。尚、既に設定変更フラグがOFFに設定されている場合には、スマホアプリ処理部506bは、この設定を維持する。
スマホアプリ処理部506bは、親機10の操作を促す画面(セットアップ画面G12)を表示する(S18)。具体的には、スマホアプリ処理部506bは、親機10の無線LAN(WLAN)の電波の出力を開始するためのセットアップボタンの押下を指示する旨の情報を、表示部106に表示させる。
図12は、セットアップ画面G12の表示例を示す模式図である。セットアップ画面G12において、親機10のセットアップボタンが押下されると、親機10は、スマートフォン50との間で無線LAN通信するための電波の出力を開始する。
尚、スマートフォン50では、スマホOS処理部506aは、親機10が出力する電波を検出した場合、無線LANの接続先を親機10に切り換える。
スマホアプリ処理部506bは、スマホOS処理部506aが、親機10が出力する電波を検出し、スマートフォン50が無線接続する無線LANの接続を親機10に切り換えたか否かを判定する(S19)。
スマホOS処理部506aが無線LANの接続を親機10に切り換えたと判定された場合、スマホアプリ処理部506bは、図10の処理(アプリの起動処理)を終了する。スマホOS処理部506aが無線LANの接続を親機10に切り換えたと判定されなかった場合、スマートフォン50の無線LAN接続の切り換えが行われるまで、スマホアプリ処理部506bは、S19の処理を反復する。
一方、S13において、アプリが採用する接続モードがルータ接続モードである場合、スマホアプリ処理部506bは、設定変更フラグをOFFに設定する(S20)。S20の処理後、スマホアプリ処理部506bは、図10の処理(アプリの起動処理)を終了する。
図10に示したアプリの起動処理によれば、スマートフォン50は、無線LANの設定項目の1つである接続無効フラグをOFFに設定することで、インターネットに接続不能なAPとしての親機10であっても、無線LAN接続のAPとして親機10を選択でき、この無線LAN接続を維持できる。よって、スマートフォン50は、ホームネットワークアプリケーションを実行して宅内監視できる。
図13は、スマートフォン50によるアプリ終了時の動作例を示すフローチャートである。
まず、操作部105がアプリ終了操作を受け付けると、スマホアプリ処理部506bは、無線LAN通信I/F部122を介して、親機10に対し、スマートフォン50との間で無線LAN通信するための電波の出力を停止するよう指示を送信する(S21)。
S21の処理により、スマホOS処理部506aは、親機10の電波を検出しなくなり、他の無線LANのネットワークや携帯回線に無線接続先を切り換える。
スマホアプリ処理部506bは、設定変更フラグがONに設定されているか否かを判定する(S22)。
設定変更フラグがONに設定されている場合、スマホアプリ処理部506bは、接続無効フラグをONに設定する(S23)。つまり、接続無効フラグをOFFからONに戻す。また、スマホアプリ処理部506bは、設定変更フラグをOFFに設定する(S24)。つまり、設定変更フラグをONからOFFに戻す。
図13に示したアプリ終了処理によれば、スマートフォン50は、親機10との無線接続の終了後に、接続無効フラグをONに設定することで、他のインターネット接続不能なAPに対して無線接続することを抑制できる。よって、スマートフォン50は、ホームネットワークアプリケーションを実行することで宅内監視でき、アプリ終了後に他のインターネット接続可能なAPに対して無線接続でき、インターネットに接続可能になり、各種処理(例えばブラウザの閲覧)が可能となる。
図14は、宅内監視システム5によるアプリ起動時の動作例を示すシーケンス図である。尚、図14の初期状態として、親機10及びスマホOSは起動済みであることを想定する。
まず、スマートフォン50では、表示/操作部503を介したユーザのアプリ起動操作を受け付けると、スマホアプリ処理部506bは、アプリ起動する(S31)。
S31の処理後、スマホアプリ処理部506bは、図10のS11〜S17の処理を行う。つまり、スマホアプリ処理部506bは、初期設定や接続モードの判定に係る処理(S11〜S13)を行う。また、スマホアプリ処理部506bは、接続モードがソフトAPモードである場合には、接続無効フラグの設定や設定変更フラグの設定に係る処理を行う(S14〜S17)。
図10のS11〜S17の処理後、スマホアプリ処理部506bは、セットアップ画面G12を表示する(S32)。具体的には、スマホアプリ処理部506bは、親機10のセットアップボタンの押下を指示する旨の情報を、表示部106に表示させる。この表示は、ユーザに確認される。
親機10では、操作部105は、ユーザによるセットアップボタンの押下を受け付ける(S33)。
セットアップボタンが押下されると、無線LAN通信I/F部122は、スマートフォン50との間で無線LAN通信するための電波の出力を開始する(S34)。
スマートフォン50では、スマホOS処理部506aは、親機10が出力する電波を検出すると、無線LANの接続先を親機10に切り換える(S35)。
スマホアプリ処理部506bは、スマホOSが無線LAN接続を親機10に切り換えたことを検知すると、アプリに係る通常の操作画面(例えばホーム画面(図16参照))を表示する(S36)。
図14に示したアプリ起動時の宅内監視システム5の動作によれば、親機10は、アプリ起動に伴うセットアップボタンの押下指示を受けてから、無線LAN用の電波の出力を開始する。そのため、スマートフォン50は、アプリ起動前に不要に親機10に無線LAN接続すること抑制できる。スマートフォン50は、親機10への無線LAN接続を抑制することで、インターネットに接続不能な状態となることを抑制できる。よって、インターネットを利用した各種処理(例えばブラウザの閲覧)を実施できる。
図15は、宅内監視システム5によるアプリ終了時(動作中のアプリの終了時)の動作例を示すシーケンス図である。
まず、スマートフォン50では、表示/操作部503によりユーザからアプリ終了操作を受け付ける(S41)。
スマホアプリ処理部506bは、アプリ終了操作に応じて、無線LANの電波出力停止指示を親機10へ送る(S42)。つまり、スマホアプリ処理部506bは、無線LAN通信I/F部122を介して、親機10に対し、スマートフォン50との間で無線LAN通信するための電波の出力を停止するよう指示する。
スマホアプリ処理部506bは、親機10への電波出力停止指示を行った後、アプリの実行を終了する(S43)。
尚、S43には、図13のS22〜S24の処理を含む。つまり、スマホアプリ処理部506bは、設定変更フラグがONに設定されているか否かを判定する(S22)。設定変更フラグがONに設定されている場合、スマホアプリ処理部506bは、接続無効フラグをONに設定する(S23)。つまり、接続無効フラグをOFFからONに戻す。また、スマホアプリ処理部506bは、設定変更フラグをOFFに設定する(S24)。つまり、設定変更フラグをONからOFFに戻す。
親機10では、無線LAN通信I/F部122は、スマートフォン50から電波出力停止指示を受信し、スマートフォン50との間で無線LAN通信するための電波の出力を停止する(S44)。
スマートフォン50では、スマホOS処理部506aは、親機10の電波の出力停止を検出すると、無線LANの接続先を親機10の電波以外の他の電波に切り換える(S45)。
図15に示したアプリ終了時の宅内監視システム5の動作によれば、スマートフォン50は、アプリ終了に伴って無線LANの電波出力が停止されたことを検出した場合、無線LANの接続先を切り換える。そのため、スマートフォン50は、アプリ実行終了後に不要に親機10に無線LAN接続された状態を維持することを抑制できる。よって、スマートフォン50は、インターネットに接続不能な状態となることを抑制でき、インターネットを利用した各種処理(例えばブラウザの閲覧)を実施できる。
このように、宅内監視システム5は、宅内に設置される少なくとも1つの電気機器との間で無線通信可能であり、インターネット65に接続されない親機10と、親機10との間で直接に無線通信可能であるスマートフォン50と、を含む。スマートフォン50は、アプリケーションを起動する場合、親機10とスマートフォン50とが無線接続するための電波の出力を開始するための第1の操作を促す画面を表示する。親機10は、第1の操作を受け付け、記電波の出力を開始する。スマートフォン50は、親機10が出力する電波を検出し、無線接続先を親機10に切り換える。
これにより、宅内監視システム5は、アプリ起動する際に、親機10の無線接続用の電波が出力開始される。そのため、スマートフォン50は、アプリ起動時に、親機10と無線接続されることで、アプリを起動する前にインターネットが使用不能な状態となることを回避できる。よって、無線ルータ60を介さなくても固定電話機の親機10とスマートフォン50との通信に係るユーザの使い勝手を向上し、スマートフォン50がインターネットを使用不能な状態を短くできる。
また、スマートフォン50は、アプリケーションの実行を終了する場合、電波の出力の停止指示を親機10へ送信した後、アプリケーションの実行を終了する。親機10は、電波の出力の停止指示を受信し、電波の出力を停止する。
これにより、宅内監視システム5は、アプリ終了する際に、親機10の無線接続用の電波の出力が停止される。電波の出力が停止されると、スマートフォン50は、電波の出力の停止を検出後、無線接続先を他の通信装置に自動的に切り換えることになる。そのため、スマートフォン50は、アプリ終了後に、親機10と無線接続が終了することで、インターネットが使用不能な状態となることを回避できる。よって、無線ルータ60を介さなくても固定電話機の親機10とスマートフォン50との通信に係るユーザの使い勝手を向上し、スマートフォン50がインターネットを使用不能な状態を短くできる。
以上のように、本開示における技術の例示として、第1の実施形態を説明した。しかし、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。
第1の実施形態では、宅内監視システム5は、図10及び図14に示したアプリ起動時の動作を組み合わせて行ってもよいし、別々に行ってもよい。また、宅内監視システム5は、図13及び図15に示したアプリ終了時の動作を組み合わせて行ってもよいし、別々に行ってもよい。
第1の実施形態では、図10の動作において、スマートフォン50が、接続無効フラグがオフにされる前から、親機10により無線LANの電波を出力してもよい。また、図13の動作において、スマートフォン50が接続無効フラグをオンにした後でも、親機10により無線LANの電波を出力してもよい。この場合でも、スマートフォン50は、接続無効フラグのオンオフの切り換えにより、適切なタイミングでインターネットに接続されない親機10の電波を用いた無線LAN通信を実現でき、アプリケーションを実行できる。