JP6572093B2 - 画像符号化装置及びその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、画像データの符号化技術に関するものである。
画像符号化技術の1つに、画像をラスタースキャン順に走査していく過程で、着目画素の予測値をその周囲画素を用いて求め、その予測値と着目画素の実際の値の差分値を符号化する予測符号化方式がある。従来、このような予測符号化方式においては、符号化済みの画素に基づいて着目画素の状態を分類し、それぞれの状態における予測誤差の確率分布に応じて符号化することで圧縮性能を高めることが一般的に行われている。例えば、連続階調静止画像の可逆と準可逆圧縮の国際標準方式としてISOとITU−Tから勧告されているJPEG−LS Part1(非特許文献1)では、着目画素の周囲4画素を参照して、画素間差分を求める。そして、これら差分に基づいて365個の状態に分離して予測誤差の符号化を行っている。
以下、JPEG−LSにおける状態生成の方法について説明する。以下の説明では、例えば準可逆符号化のための誤差の許容範囲を表すパラメータNEARを0と仮定するなど、本発明に直接関係しない事柄については省略するので、標準方式の詳細については規格書を参照されたい。
図7(a)はJPEG−LSで参照される周囲画素(a,b,c,d)と着目画素xとの相対位置関係を示している。ラスタースキャン順に画素を符号化するため、図示の画素a,b,c,dは全て符号化済みとなる。なお、x,a,b,c,dは画素を特定する符号であるとともに、それぞれの画素値を表しているとする。まず、以下の式によりaとc、cとb、bとdの差分を求め、それぞれをD1、D2、D3とする。
D1=d−b … (1)
D2=b−c … (2)
D3=c−a … (3)
この差分値D1、D2、D3を9通り(−4から4まで)に量子化して、それぞれの差分の量子化値Q1、Q2、Q3を求める。このとき量子化値Q1、Q2、Q3を求めるための予め定められた非負の整数値を閾値T1、T2、T3とする。例として差分値D1の量子化値Q1と閾値との関係を図7(b)に示す。D2とQ2、D3とQ3の関係についても同様である。例えば、0〜255の値を取る8ビットの画像に対しては、T1=3、T2=7、T3=21といった値が設定される。このようにして得られたQ1,Q2,Q3の組み合わせ{Q1,Q2,Q3}は、Q1、Q2、Q3がそれぞれ−4から4までの9通りの値を持つので、9×9×9=729通りとなる。状態{Q1,Q2,Q3}で予測誤差eが発生する確率と、状態{−Q1,−Q2,−Q3}で予測誤差−eが発生する確率は同じとして考えて良いので、これらの状態を統合して365通りに縮退する。この365通りの状態でそれぞれ想定される確率分布に応じて着目画素xの予測誤差を符号化する。JPEG−LSではそれぞれの状態ごとに予測誤差の絶対値の総和とその状態の発生回数を保持し、これらの値からゴロム・ライス符号化のKパラメータを設定することで各状態の確率分布に適応した符号化を行う。符号化の開始時点ではこれらの値に初期値を設定しておき、符号化処理の過程で随時値を更新していくことにより、動的に各状態の確率分布に追従する。
また、上述の差分値D1、D2、D3を量子化するための閾値T1、T2、T3を2パス構成で決定する方法が知られている(特許文献1)。この方法は、1パス目に差分値のヒストグラムを生成する。このヒストグラムを参照し、状態の発生回数が均等になるように閾値T1、T2、T3を決定した上で、2パス目に符号化を行う。
また、JPEG−LSにおける状態の分離処理を排除する事により、省メモリ化を図る手法が知られている(非特許文献2)。この方法は着目画素に使用するKパラメータを、着目画素以前に使用したKパラメータと、それに対応する符号化シンボルに基づいて決定する。
特開2000−92328号公報
ITU-T T.87 (1998) | ISO/IEC 14495-1 : 1999, Information Technology - Lossless and near-lossless compression of continuous-tone still images : Baseline Z. Wang, M. Klaiber, Y. Gera, S. Simon 「FAST LOSSLESS IMAGE COMPRESSION WITH 2D GOLOMB PARAMETER ADAPTATION BASED ON JPEG-LS 」
上述の非特許文献1による画像処理装置では、処理対象となる画像のビット数に応じて状態を分離するための閾値を決定している。このため画像中の画素値に偏りがある場合、各状態の発生回数にも偏りが生じてしまい、適切に分離する事ができず符号化効率が落ちる事がある。
また、特許文献1のように状態の発生回数を均等とするよう閾値を決定する事で、上述のような状態の偏りは回避する事ができる。しかし当該手法は各状態の符号化シンボルがどのような出現傾向となるかを鑑みていないため、符号化シンボルの出現傾向によっては符号化効率が落ちる事がある。
また、非特許文献2のように状態の分離を行わないと、急激な変化を伴う画素パターンや、予測の困難な画素パターンが発生する画像の場合に符号化効率が落ちる事がある。
本発明は上記の問題に鑑みなされたものである。そして本発明は、予測符号化をベースとする可逆符号化を行う符号化方式において、符号化シンボルの出現傾向に基づいて、量子化の閾値を決定することで、これまでより符号量を低減させることが可能な技術を提供するものである。
この課題を解決するため、例えば本発明の画像符号化装置は以下の構成を備える。すなわち、着目画素の周囲の符号化済みの画素群において、予め設定された位置関係にあり、所定数の画素ペアの差分値を算出し、算出した差分値を量子化し、量子化した各値に基づき前記着目画素の周囲の状態を分類し、当該分類された状態に応じたパラメータに従って、前記着目画素の予測誤差を符号化する画像符号化装置であって、符号化対象画像データを入力する入力手段と、入力した前記符号化対象画像データにおける着目画素の周囲の前記所定数の画素ペアの差分値に基づき、前記着目画素位置における画像状態の指標値を算出する第1の算出手段と、符号化対象の画像データの前記着目画素の予測誤差を算出し、当該予測誤差に対応する符号化シンボル値を求める第2の算出手段と、前記指標値ごとに、前記符号化シンボル値の平均値を算出する第3の算出手段と、該第3の算出手段で算出した指標値ごとの符号化シンボル値の平均値に基づき、前記量子化を行う際の量子化閾値を決定する閾値決定手段とを有する。
本発明の構成によれば、予測符号化をベースとする可逆符号化を行う符号化方式において、符号化シンボルの出現傾向に基づいて、量子化の閾値を決定することで、これまでより符号量を低減させることが可能となる。
第1の実施形態に係る画像処理装置の機能構成を示すブロック図。 画像処理装置の構成の一例を示す図。 ゴロム・ライス符号化を説明する図。 本画像処理装置の出力符号列の構成を示す図。 第1の実施形態に係る状態分離閾値決定部の処理フローを示す図。 第1の実施形態に係る符号化シンボル平均を算出する処理フローを示す図。 着目画素と周辺画素の位置関係、及び差分値と量子化値の関係を説明する図。 勾配値、符号化シンボル平均、最適Kパラメータの関係を説明するための図。 第2の実施形態に係る状態分離閾値決定部の処理フローを示す図。 符号化シンボル平均の変動幅と、閾値の関係を説明するための図。
以下添付図面に従って本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する各実施形態は、本発明を具体的に実施した例を示すもので、特許請求の範囲に記載の構成の具体的な実施形態の1つである。
[第1の実施形態]
図2は本実施形態に係る情報処理装置の基本構成を示す図である。情報処理装置は、CPU201、RAM202、ROM203、キーボード204、ポインティングデバイスとしてのマウス205を有する。また、画像処理装置は、表示装置206、HDDなどの外部記憶装置207、CDやDVDなどの記憶媒体ドライブ208、外部装置と通信インターフェースであるI/F209、並びに、これらを接続するバス210を有する。
CPU201は、RAM202やROM203に記憶されているプログラムやデータを用いて本装置全体の制御を行うと共に、後述する画像符号化処理を実行する。このうち、ROM203はブートプログラムやBIOS等を記憶している不揮発性メモリである。RAM202は揮発性メモリであって、OS(オペレーティングシステム)や画像符号化装置として機能するためのアプリケーションプログラムを記憶したり、CPU201のワークエリアとしても利用される。OSやアプリケーションは、外部記憶装置207や記憶媒体ドライブ208に格納されている。また、外部記憶装置207や記憶媒体ドライブ208には、符号化対象の画像データが格納されている。符号化対象の画像データは、I/F209を介して他の装置から転送されてくるものとする。
上記構成にて、本装置の電源がONになると、CPU201はROM203に格納されたブートプログラムを実行して外部記憶装置207からOSをRAM202に読み込み、OSを起動する。この結果、本装置が情報処理装置として機能し、ユーザは、示装置206、キーボード204、マウス205をユーザインターフェースとして利用可能となる。そして、CPU201は外部記憶装置207から画像符号化用のアプリケーションプログラムをRAM202に読み込み実行することで、本装置が画像処理装置として機能することになる。
図1は、第1の実施形態に係る装置が画像処理装置として機能した場合の機能ブロック構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像処理装置は、画像入力部101、状態分離閾値決定部102、予測符号化部103、符号出力部104を有する。なお、これらの機能部は、CPU201が画像符号化アプリケーションを実行することで機能するものであるが、これらのいくつかもしくは全てがハードウェアでもって実現しても構わない。
以下、図1を参照して、本実施形態に係る画像処理装置が行う画像符号化処理について説明する。
本実施形態の画像処理装置における符号化対象の画像の種類は特に問わない。モノクロ画像であっても良いし、複数の色のコンポーネントで構成されるカラー画像であっても良い。ただし、具体的に示した方が理解が容易になるので、実施形態における符号化対象画像は、R、G,Bの3つのコンポーネント(色成分)のカラー画像データであり、各コンポーネントは8ビット(0〜255の範囲の輝度値)であるものとする。また、画像データの並びは点順次、即ち、ラスタースキャン順に各画素のコンポーネントが順に並べて構成されるものとする。画像は水平方向W画素、垂直方向H画素により構成されるものとする。
次に、本実施形態の画像処理装置での各部の動作について説明する。まず、符号化対象画像データが画像入力部101から入力される。画像入力部101による符号化対象画像データは、外部記憶装置207から入力するものとするが、I/F209を介して入力しても構わない。次に状態分離閾値決定部102では符号化対象画像データの状態を分離するための閾値を決定する。この閾値決定に係る処理の詳細は後述する。予測符号化部103は、状態分離閾値決定部102で決定した閾値を用い、画像状態を分離しながら可逆の予測符号化を行う。本実施形態では予測方式として、国際標準で規格化されているJPEG−LS符号化方式(ISO/IEC 14495−1)で用いられているMED予測を適用する。ただし、これに限らず、着目画素の周囲の所定数の画素群から予測値を生成し、予測誤差を導出するような方式であれば、ロスレスJPEGの予測方式など他の予測方式を適用しても構わない。MED予測において、図7(a)に示すように、着目画素xの周囲の既に符号化された4画素a,b,c,dから、次式(4)により予測値pを算出する。
p=min(a,b) (max(a,b)≦c の場合) or
p=max(a,b) (min(a,b)≧c の場合) or
p=a+b−c (上記以外) …(4)
ここで、min(x,y)はx、yの小さい方を返す関数、max(x,y)は大きい方の値を返す関数である。
そして上式(4)で得られた予測値pと着目画素xの差分値である予測誤差e(=x−p)を求め、予測誤差eを次式(5)により非負の整数値にマッピングした値を符号化シンボルSとする。
S= 2×e (e≧0の場合)
S=−2×e−1 (e<0の場合) …(5)
上記の結果、符号化シンボルSは非負の整数となり、それが偶数か奇数かでもって予測誤差eの正負の符号が識別できることになる。
得られた符号化シンボルSを、Kパラメータと呼ばれる符号化パラメータを用い、ゴロム・ライス符号化と呼ばれる方式に従って符号化をする。ゴロム・ライス符号化の手順は以下の通りである。
(1)Sを2進数表現して、SをKビット右シフトした値の0を並べ、その後に1を付加する。
(2)(1)の後ろに、Sの下位Kビットを取りだして付け加える。
図3にゴロム・ライス符号化のKパラメータとシンボルSと符号語の関係を示す。ゴロム・ライス符号化の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、0と1を反対にして符号を構成しても構わないし、上記手順で述べた(1)と(2)の順番を入れ替えて符号を構成しても良い。
図3を見るとわかるとおり、シンボルSを固定して見るとKパラメータによって生成される符号長が異なる。例えばS=0の場合、Kパラメータ=0とすると符号長は1ビットとなるが、Kパラメータ=1とすると符号長は2ビットとなる。これは、Kパラメータの値によってシンボルSの圧縮率が異なる事を意味し、高い圧縮率を実現するためには、このKパラメータを適切に決定する必要があることを示している。JPEG−LSでは、このKパラメータを状態の統計情報に基づいて決定する機構を持っており、これにより各状態の符号化シンボルの出現傾向に応じたKパラメータの決定を実現している。
図1に戻り、符号出力部104では、予測符号化部103から出力される符号化データに、必要な付加情報を加えて本画像処理装置の出力となる符号列を形成して出力する。図4は本画像処理装置の出力符号列の構成を示す図である。出力符号列の先頭には、画像を復号するために必要となる情報、例えば、画像の水平方向画素数、垂直方向画素数、色空間を表す属性情報、コンポーネント数、各コンポーネントのビット数や状態分離のための閾値などの付加情報がヘッダとして付けられる。また、本実施形態では画像全体を一つのブロックとして処理したが、画像を分割し、個々のブロックを順番に符号化するように構成してもよい。その際は各ブロックの符号化が他のブロックに依存しないよう構成する事で、複数のブロックを並列に符号化処理することもできる。
以上の処理により、画像全体の符号化が行われる。以上の通りであるから、如何に状態分離閾値決定部102で適切な閾値を決め、符号化シンボルの出現傾向が近いものを一つの状態とするよう分離するかが圧縮性能上肝要となる。そこで、この状態分離閾値決定部102の処理の詳細を、図5を用いて説明することとする。
最初にステップS501にて、状態分離閾値決定部102は、着目画素位置における画像状態の指標値を算出する。この指標値は、着目画素の周囲の既に符号化した画素群における3つの画素ペアの差分から求められる。画素値の差分は輝度や濃度などの勾配を示すので、以降、この指標値を勾配値gという。状態分離閾値決定部102は、さらに、勾配値gに対応する符号化シンボル値の平均値Save(g)をそれぞれ算出する。図7(a)で示すと、着目画素xの位置における勾配値gは、着目画素xの周囲画素dとbの差分であるD1の絶対値、画素bとcの差分であるD2の絶対値、cとaの差分であるD3の絶対値の和である。即ち下式の通りである。
g=|D1|+|D2|+|D3|=|d−b|+|b−c|+|c−a| …(6)
状態分離閾値決定部102は、本処理では入力画像をラスタスキャン順に全面走査し、上式で得られる勾配値毎に、符号化シンボル値Sを積算し、それぞれの平均値を求める。以下、この処理の詳細を図6の処理フローを用いて説明する。
なお、状態分離閾値決定部102は、ステップS601にて、画像中の着目画素xを示すインデックス値である変数n、勾配値gの出現回数を格納する配列変数cnt()、符号化シンボル積算値Sを格納する配列変数SS()をそれぞれ0で初期化する。実施形態の場合、符号化対象の画像の水平方向画素数はW,垂直方向画素数はHとしているので、n=0,1,2、…、M×H−1とである。また、gの取り得る範囲は0乃至510であるので、配列変cnt(0)からcnt(510)、SS(0)からSS(510)が全て0で初期化される。
状態分離閾値決定部102は、ステップS602にて、変数nで示される着目画素xにおける勾配値gを、式(6)に従って求める。そして、状態分離閾値決定部102は、ステップS603にて、着目画素xにおける予測値pを求める。この予測値pは、予測符号化部103で実際に行う方法を用いるのが望ましい。本実施形態ではJPEG−LS符号化方式を適用する事を想定しているため、予測値pは式(4)に従って求める。なお、着目画素xが符号化対象の画像の上端や左端などに位置する場合、周囲画素a,b,c,dのいくつか、または全てが実在しない画素となることがある。このような非実在画素は、予め設定された値とみなす。この値は、符号化側、復号側で共通になっていればよく、その値は特に問わないが、ここでは“0”であるものとして説明する。
ステップS604では、予測値pと着目画素xを用いて符号化シンボルSを生成する。本処理も予測符号化部103と同様に行えばよい。即ち前述の(5)式に符号化シンボルSを求める。そして、状態分離閾値決定部102は、ステップS605にて、勾配gで示される配列変数SS(g)に、算出したシンボルSを加算する。そして、ステップS606にて、状態分離閾値決定部102は、勾配gが1回発生したので、その出現回数を増加させるため配列変数cnt(g)を“1”だけ増加させる。このステップS605,S606を式で示せば次の通りである。
SS(g)←SS(g)+S
cnt(g)←cnt(g)+1
図8(a)は、状態分離閾値決定部102が有するメモリに格納される配列変数cnt()、SS()の状況を示している。図8(a)の符号801は勾配値、符号802は出現回数cnt()、符号803は符号化シンボル積算値SS()である。符号804は符号化シンボル平均値SSave()、符号805は符号化シンボル平均SSave()に対する符号長を最短とするためのゴロム・ライス符号化のKパラメータであるK(SSave())である。なお、符号804,805が示す符号化シンボル平均値SSave()やパラメータK(SSave())は、全画素についてスキャンが完了した後に算出されるものである。
なお、例えば、ステップS602で求めた勾配値gが“3”であり、ステップS604で算出した符号化シンボルSが“50”であったとする。この場合、図8のg=3の行に位置するcnt(3)が“1”増加し、符号化シンボル積算値SS(3)が“50”増加することになる。
処理はステップS607に進み、状態分離閾値決定部102は、着目画素を次の画素へ移すためインデックス値である変数nに1を加算する。そして、状態分離閾値決定部102は、ステップS608にて、状態分離閾値決定部102は、変数nと、全画素数を示す変数PixNum(=W×H)とを比較し、全画素の対する処理を終えたか否かを判断する。否の場合には、処理をS602に戻す。また、全画素に対する処理を終えたと判断した場合には処理をステップS609に進める。ステップS609に処理を進んだ場合、状態分離閾値決定部102は、勾配毎のシンボル平均値SSave()(図の符号804)を求める。
SSave(g)←SS(g)/cnt(g)
基本的に勾配値gが小さい場合、符号化シンボル平均値SSave()を縦軸に、勾配値gを横軸に取って図示すると図8(b)の例に示したような結果となる。以上ステップS601〜S609の処理により、勾配値g毎の符号化シンボル平均値SSave(g) を得る事ができる。
図5の説明に戻る。状態分離閾値決定部102は、ステップS502にて、符号化シンボル平均値SSave()に対応する、最適なKパラメータK(SSave()) を算出する。本実施形態では先述の通り、予測符号化部103はJPEG−LS符号化方式を適用する事を想定しているため、エントロピー符号化はゴロム・ライス符号化が用いられる。
シンボルSとそれに最適なKパラメータの値の求め方は次式(7)により求めることができる(非特許文献2)。
Figure 0006572093
本実施形態では上記式(7)を次式(8)のように適用する。
Figure 0006572093
式(8)で求めたのが、図8の符号805で示される値K(SSave())である。また、このK(SSave())を縦軸に、勾配値gを横軸に取って図示すると図8(c)の例に示したような結果となる。
状態分離閾値決定部102は、ステップS503にて、前ステップで算出したK(SSave())の推移に基づき、状態分離のための閾値T1、T2、T3を決定する。この処理は勾配値gを昇順に辿り(小さい方から大きい方に辿り)、K(SSave())の変化位置を閾値として適用すればよい。図8(a)の例で言うと、g=3とg=4の間でK(SSave())の値が2から3へ切り替わっている。よって、g=4を一つ目の閾値T1とする。同様の方法で、T2、T3も決めればよい。このように勾配値に対応した符号化シンボルの平均を参照しながら閾値を決定する事で、符号化シンボルの出現傾向が近いものを一つの状態として分離する事ができる。
状態分離閾値決定部102は、このようにして閾値T1,T2,T3を決定すると、閾値T1,T2,T3を、予測符号化部103に設定する。予測符号化部103は、予測符号化する際に算出した差分値D1、D2、D3を、閾値T1,T2,T3を用いて量子化を行ってQ1,Q2,Q3を求め、JPEG−LSに従って符号化すればよいので、その説明は省略する。
以上の説明のように本実施形態では、予測符号化をベースとする可逆符号化方式において、画像の勾配値と符号化シンボルとの対応関係に応じて状態分離のための量子化閾値を決定することにより、状態を適切に分離し符号量を低減することができる。
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では状態分離のための閾値を、ゴロム・ライス符号化における最適Kパラメータが切り替わる点に基づき決定した。この方法は最適Kパラメータが切り替わるほどの符号化シンボル平均の変動がない場合には適用出来ない。そこで本第2の実施形態では、符号化シンボル平均に対する最適Kパラメータの代わりに、符号化シンボル平均の最大値、最小値に基づく状態分離閾値決定方法を説明する。
装置構成は第1の実施形態と変わらない。異なる点は状態分離閾値決定部102の処理内容である。図9のフローチャートに従って説明する。状態分離閾値決定部102、まず、ステップS901にて、勾配値gに対応する符号化シンボルの平均値SSave(g)をそれぞれ算出する。この処理は、既に説明した第1の実施形態と同様である。次にステップS902にて、状態分離閾値決定部102は、ステップS901で得た勾配値gに対応する符号化シンボル平均値SSave()の最大値Max(SSave())と最小値Min(SSave())を求め、その差を変動幅Rとして得る。
例えば、SSave()の中で、g=10における符号化シンボル値SSave(10)が最小値、g=100における符号化シンボル値SSave(100)が最大値であった場合、変動幅Rは次のようにして決める。
R=SSave(100)−SSave(10)
この際、図10に示すように勾配値が比較的大きい領域では、該当するパターンが発生せず、符号化シンボル平均値SSave()が0となってしまう場合がある。この場合の符号化シンボル平均値は最大値max(SSave()) と最小値Min(SSave()を決定する際のサンプルに含めないことが望ましい。
最後にステップS903にて、状態分離閾値決定部102は、符号化シンボル平均値SSave()の変動幅Rを用いて状態分離閾値を決定する。本第2の実施形態では、図10に示すように、勾配値を0から昇順に辿り、初めて変動幅Rの1/8となる値を取る勾配値をT1、初めて1/4となる値を取る勾配値をT2、初めて1/2となる勾配値をT3とする。このように設定する事で最適Kパラメータが切り替わるほどの符号化シンボル平均の変動がない場合でも、閾値を適切に決定する事ができる。
[第3の実施形態]
第1の実施形態では予測符号化時に用いるゴロム・ライス符号化の特性を鑑み、最適Kパラメータが切り替わる点を状態分離の閾値とした。予測符号化の方式をゴロム・ライス符号化に限らず、より汎用的な符号化方式に対応する決定方法とするために、符号化シンボル平均値の変化量に対し予め定められた閾値に基づいて、状態分離の閾値を決定するよう構成してもよい。状態分離の閾値がT1,T2,T3の3つである場合、それに対応し、符号化シンボル平均値の変化量に対する閾値はU1、U2、U3となる。
勾配値g=0の時の符号化シンボル平均値を初期値SIとし、SIとの差分が初めてU1以上となる符号化シンボル平均値の勾配をT1とする。そしてT1となる勾配値に対応する符号化シンボル平均値を再度SIとして初期化し、同様にSIとの差分が初めてU2以上となる符号化シンボル平均値の勾配値をT2とする。T3も同様である。U1,U2,U3の具体的な値は例えばU1=2、U2=2、U3=4等である。U1=2とすると、図8(a)の例ではg=4の時に、
SSave(4)−SSave(0)=8.03−4.46=3.57>U1=2
となり初めて初期値SI(g=0)との差分がU1以上となるため、T1=4となる。他の閾値T2、T3も同様である。
<変形例>
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では一つの入力画像に対し一回、状態分離閾値決定処理を実施したが、入力画像の特性に応じて状態分離閾値が決定されていれば良く、代表画像のみ当該処理にて閾値を決定し、その他の画像は該閾値を流用するよう構成しても良い。例えば動画や医用のCT画像など、類似した画像群をまとめて符号化する場合に有効である。
また、上述の実施形態ではJPEG−LSの適用を例に、状態を分離するための閾値の数が3つである場合について述べたが、状態を適切に分離出来ればよく、異なる閾値の数であってもよい。また閾値の数を固定せずに符号化シンボル平均値が取る値に応じて増減させるよう構成してもよい。
また、上述の実施形態では勾配値を式(6)で示したような値としたが、式(1)〜(3)で述べた状態分離時に用いる周辺画素の差分値に基づく値であれば良い。よって、式(1)〜(3)のそれぞれの値を独立して勾配値とし、本発明を適用してもよい。この場合は、D1、D2、D3に対してそれぞれ異なる閾値を決定する事になる。
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
101…画像入力部、102…状態分離閾値決定部、103…予測符号化部、104…符号出力部、

Claims (8)

  1. 着目画素の周囲の符号化済みの画素群において、予め設定された位置関係にあり、所定数の画素ペアの差分値を算出し、算出した差分値を量子化し、量子化した各値に基づき前記着目画素の周囲の状態を分類し、当該分類された状態に応じたパラメータに従って、前記着目画素の予測誤差を符号化する画像符号化装置であって、
    符号化対象画像データを入力する入力手段と、
    入力した前記符号化対象画像データにおける着目画素の周囲の前記所定数の画素ペアの差分値に基づき、前記着目画素位置における画像状態の指標値を算出する第1の算出手段と、
    符号化対象の画像データの前記着目画素の予測誤差を算出し、当該予測誤差に対応する符号化シンボル値を求める第2の算出手段と、
    前記指標値ごとに、前記符号化シンボル値の平均値を算出する第3の算出手段と、
    該第3の算出手段で算出した指標値ごとの符号化シンボル値の平均値に基づき、前記量子化を行う際の量子化閾値を決定する閾値決定手段と
    を有することを特徴とする画像符号化装置。
  2. 前記閾値決定手段は、前記指標値を初期値から昇順に辿った際の前記符号化シンボル値の符号長が最短となる前記パラメータの変化位置を求めることで、前記量子化閾値を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像符号化装置。
  3. 前記閾値決定手段は、前記符号化シンボル値の平均値の最大値と最小値との差分に基づいて前記量子化閾値を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像符号化装置。
  4. 前記閾値決定手段は、前記指標値を初期値から昇順に辿っていった際の、前記初期値における前記符号化シンボル値と、昇順に辿った後の指標値における前記符号化シンボル値との差が予め設定された閾値を超えるたびに、前記量子化閾値を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像符号化装置。
  5. 前記予測誤差の符号化は、ゴロム・ライス符号化を用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像符号化装置。
  6. 着目画素の周囲の符号化済みの画素群において、予め設定された位置関係にあり、所定数の画素ペアの差分値を算出し、算出した差分値を量子化し、量子化した各値に基づき前記着目画素の周囲の状態を分類し、当該分類された状態に応じたパラメータに従って、前記着目画素の予測誤差を符号化する画像符号化装置の制御方法であって、
    入力手段が、符号化対象画像データを入力する入力工程と、
    第1の算出手段が、入力した前記符号化対象画像データにおける着目画素の周囲の前記所定数の画素ペアの差分値に基づき、前記着目画素位置における画像状態の指標値を算出する第1の算出工程と、
    第2の算出手段が、符号化対象の画像データの前記着目画素の予測誤差を算出し、当該予測誤差に対応する符号化シンボル値を求める第2の算出工程と、
    第3の算出手段が、前記指標値ごとに、前記符号化シンボル値の平均値を算出する第3の算出工程と、
    閾値決定手段が、前記第3の算出工程で算出した指標値ごとの符号化シンボル値の平均値に基づき、前記量子化を行う際の量子化閾値を決定する閾値決定工程と
    を有することを特徴とする画像符号化装置の制御方法。
  7. コンピュータが読み込み実行することで、前記コンピュータを、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像符号化装置の各手段として機能させるためのプログラム。
  8. 請求項7に記載のプログラムを格納したことを特徴とするコンピュータが読み込み可能な記憶媒体。
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