JP6566307B2 - 回動装置、光走査装置及び画像表示装置 - Google Patents
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Description
移動体である自動車に搭載されるHUD装置の一例であるが、これに限らず、車両、船舶、航空機、移動式ロボットなどの移動体、あるいは、その場から移動せずにマニピュレータ等の駆動対象を操作する作業ロボットなどの非移動体に搭載される画像表示装置の光走査装置としても適用できる。
図2は、本実施形態における自動車用HUD装置の内部構成を模式的に表した模式図である。
本実施形態における自動車用HUD装置200は、例えば、自動車301のダッシュボード内に設置される。ダッシュボード内の自動車用HUD装置200から発せられる画像光である投射光Lがフロントガラス302で反射され、ユーザーである観察者(運転者300)に向かう。これにより、運転者300は、例えば、図3に示すようなナビゲーション画像を虚像として視認することができる。なお、フロントガラス302の内壁面にコンバイナを設置し、コンバイナによって反射する投射光によってユーザーに虚像を視認させるようにしてもよい。
図4は、本実施形態のアクチュエータ駆動デバイスのフレーム基板10を示す平面図である。
本実施形態におけるアクチュエータ駆動デバイスは、X方向(主走査方向に対応)及びY方向(副走査方向に対応)の二方向に光を走査(スキャン)するMEMSスキャナである。本実施形態のフレーム基板10は、外周囲に位置する支持フレーム11と、この支持フレーム11内の複数の切込K1〜K6によって形成された弾性変形部12〜15,16A,16Bと、可動部枠18と、トーションバー19A,19Bと、可動部17とを有している。本実施形態では、可動部枠18及びこれに固定された第5弾性変形部16A,16Bが支持部となり、その第5弾性変形部16A,16Bに一端がそれぞれ固定されたトーションバー19A,19Bが捩れ部材となり、これらのトーションバー19A,19Bの他端に可動部17が固定されている。
可動部17は、第5弾性変形部16A,16Bの弾性変形によりY方向に平行な回動軸(可動部17上のミラー17Mの略中心点を通るY方向軸)の回りの回転トルクが与えられて回動動作する。本実施形態においては、上述した副走査方向の回動動作1回に対して、主走査方向への回動動作を複数回(例えば525回)行うラスタスキャン動作を行う。そのため、主走査方向への回動動作は可能な限り少ないエネルギーで大きな回動動作を実現することが望まれる。そこで、本実施形態では、主走査方向用の駆動信号としては、第5弾性変形部16A,16Bの弾性変形に対して共振動作できる共振周波数に設定されている。
図7は、図4における符号B−B’の断面図である。
本実施形態におけるフレーム基板10は、単結晶シリコン(Si)材料からなるシリコン基板を用いることができる。本実施形態では、SOI(Silicon on Insulator)基板を使用し、トーションバー19A,19Bなどを構成する層を活性層101、活性層101に隣接して形成されているSiO2層をBox層102、さらにそのBox層102に隣接して下に形成されている層を支持層103とする。トーションバー19A,19Bは、図6に示すように、活性層101とその上に形成される透明薄膜110とから構成される。本実施形態において、透明薄膜110はシリコン酸化膜(SiO2)である。また、トーションバー19A,19B以外の可動部枠18などのフレーム基板部分は、活性層101及びその上の透明薄膜110に加え、その下のBox層102及び支持層103から構成される。活性層101の厚さは例えば40μm、支持層103の厚さは例えば625μmとし、主に支持層103によってフレーム基板10の強度を保っている。
図10(a)は、SOI基板の活性層101をエッチングする際のマスキング層がフォトレジスト、シリコン窒化膜(SiN)及びシリコン酸化膜(SiO2)である実施例の層構造を模式的に示す断面図である。図10(b)は、同実施例におけるエッチング後のトーションバー19A,19Bを走査型電子顕微鏡で斜め上方から撮影した画像である。
次に、本実施形態におけるトーションバー19A,19B上に形成されて残されるマスキング層の一変形例について説明する。
上述した実施形態のトーションバー19A,19B上に形成されて残されるマスキング層は、シリコン窒化膜(SiN)からなる透明薄膜110の一層構造であったが、本変形例では、2層構造としたものである。
図12は、本変形例におけるアクチュエータ駆動デバイスのフレーム基板の図4における符号B−B’に対応する断面図である。
本変形例におけるマスキング層は、SOI基板の活性層101に接する下層透明薄膜111がシリコン酸化膜(SiO2)であり、その上に積層される上層透明薄膜112がシリコン窒化膜(SiN)であるものを使用している。下層透明薄膜111としてシリコン酸化膜(SiO2)を使用しているのは、SiO2に対するシリコン(Si)のエッチング選択比が高く、かつ、層間の絶縁膜として使用するのに適しているためである。また、上層透明薄膜112としてシリコン窒化膜(SiN)を使用しているのは、SiNがアクチュエータ駆動デバイスを水分やガスから保護するパッシベーション膜として使用するのに適しているためである。
図14(a)〜(d)は、本実施形態におけるアクチュエータ駆動デバイスの製造方法の前段の各工程を示す説明図である。
図15(a)〜(d)は、本実施形態におけるアクチュエータ駆動デバイスの製造方法の後段の各工程を示す説明図である。
なお、ここでは、トーションバー19A,19B上のマスキング層が上述した変形例のようにシリコン酸化膜(SiO2)とシリコン窒化膜(SiN)の2層構造である場合を例に挙げる。
更に、本実施形態のアクチュエータ駆動デバイスを適用可能な装置は、光走査装置にも限られない。
また、上述した実施形態では、主走査方向に可動部17を回動させる駆動手段、副走査方向に可動部17を回動させる第二駆動手段が、いずれも同じ駆動方式を採用するものであるが、互いに異なる駆動方式を採用してもよい。また、駆動方式も圧電駆動方式に限らず、例えば、静電力を用いて駆動する静電駆動方式や、電磁力を用いて駆動する電磁駆動方式を採用してもよい。
(態様A)
可動部枠18や第5弾性変形部16A,16B等の支持部と、該支持部に一端が固定されたトーションバー19A,19B等の捩れ部材と、該捩れ部材の他端に固定された可動部17とが、SOIウエハ100等の同一基板から形成されており、主走査用圧電素子24等の駆動手段により前記捩れ部材に所定方向(長手方向等)回りの捩れを生じさせることで前記可動部を繰り返し回動させるアクチュエータ駆動デバイス等の回動装置において、前記捩れ部材及び該捩れ部材の捩れと一緒に変形する第5弾性変形部16A,16B等の変化箇所の少なくとも一方に、前記基板をエッチング処理するときのマスキング層110,111,112が形成されていることを特徴とする。
本態様における回転装置を構成する支持部、捩れ部材及び可動部は、基板をエッチング処理して形状形成することにより同一基板から形成される。捩れ部材や捩れ部材の捩れと一緒に変形する変化箇所(以下「捩れ部材等」という。)は、可動部を繰り返し回動させる際に捩れ等の変形を繰り返すため、回転装置を構成する部材の中で最も早期に寿命を迎えやすい。そのため、捩れ部材等の寿命を延ばすことは、回転装置の寿命を延ばすことにつながる。
本態様においては、形状形成のために基板をエッチング処理するときにマスキング層を捩れ部材等に形成し、捩れ部材等が当該エッチング処理によるダメージを受けるのを抑制する。このとき、基板に対する選択比が十分に大きなマスキング層を用いることで、エッチングダメージによる微細な凹凸を平滑化する処理を別途行わなくても、捩れ部材等に生じるエッチングダメージを十分に押さえ、捩れ部材等に生じる応力集中を抑制して捩れ部材等の寿命を延ばすことが可能である。また、本態様においては、このマスキング層を除去せずにそのまま捩れ部材等に残すため、マスキング層を除去する処理が省略できる。したがって、平滑化処理やマスキング層の除去処理の処理工程を省略して製造工程を減らしつつも、基板に対する選択比が十分に大きなマスキング層を用いることで回転装置の長寿命化を図ることができる。
前記態様Aにおいて、前記駆動手段は、前記支持部の少なくとも一部分(第5弾性変形部16A,16B等)に設けられる主走査用圧電素子24等の圧電素子により該一部分を変形させることにより、前記捩れ部材に前記所定方向回りの捩れを生じさせることを特徴とする。
これによれば、圧電駆動方式の採用により、静電駆動方式や電磁駆動方式などの他の駆動方式と比べて、小型化等の観点で有利となる。
前記態様A又はBにおいて、前記基板は、シリコン材料を基材としたSOIウエハ100等の基板であることを特徴とする。
これによれば、基板の作成を半導体プロセスに準じて行うことができ、大量生産によるコストダウンを図ることが容易となる。
前記態様Cにおいて、前記マスキング層は、シリコン酸化膜を含む層であることを特徴とする。
これによれば、シリコン酸化膜はシリコン(Si)に対する選択比(Si/SiO2)が高いため、捩れ部材等となるシリコン材料部分へのエッチングダメージを十分に抑制でき、エッチングダメージによる微細な凹凸を平滑化する処理を別途行わなくても、捩れ部材等に生じる応力集中を抑制して捩れ部材等の寿命を延ばすことができる。
前記態様Dにおいて、前記マスキング層は、前記シリコン酸化膜の上にチッ化シリコン膜が形成された層であることを特徴とする。
これによれば、チッ化シリコン膜を水分やガスから保護するパッシベーション膜として好適に利用することができる。
前記態様A〜Eのいずれかの態様において、前記可動部は、光反射面をもった光学部材を有することを特徴とする。
これによれば、本態様に係る回転装置を光走査装置の走査手段として利用することができる。
また、一般に、光走査装置では、可動部上の光反射面へ入射すべき入射光の一部が種々の原因によって可動部から外れて捩れ部材等に入射する場合がある。この場合、捩れ部材等での反射光の光量が多いと、これが迷光となって種々の不具合を引き起こす。本態様においては、捩れ部材等に残るマスキング層が、捩れ部材等で反射する反射光の光量を少なくするための反射抑制層として利用できる。特に、このマスキング層は、基板のエッチング処理時に多少エッチングされることから、その表面が適度に粗面化され、特別な処理を別途施すことなく、良好な反射抑制層となる。よって、製造工程を増やすことなく、良好な反射抑制層を得て、迷光による種々の不具合を抑制することができる。
前記態様Fにおいて、前記マスキング層は、前記基板よりも可視光波長領域の光反射率が低いことを特徴とする。
これによれば、可視光による迷光を抑制できることから、画像を表示する画像表示装置の迷光による画質劣化が抑制される結果、画像表示装置の光走査装置として好適に利用できる。
光出力手段から出力される光を走査する走査手段を有する光走査装置において、前記走査手段は、前記態様F又はGに係る回動装置を用いることを特徴とする。
これによれば、製造工程を減らしつつも光走査装置の長寿命化を図ることができる。しかも、可視光による迷光も抑制可能となることから、画像表示装置の光走査装置として好適に利用できる。
画像情報に基づく画像走査光を出力する画像走査光出力手段と、前記画像走査光出力手段から出力される画像走査光を二次元走査する走査手段とを有する画像表示装置において、前記走査手段として、前記態様F又はGに係る回動装置を用い、前記駆動手段によって前記可動部を所定の回動軸回りで繰り返し回動させることにより画像水平方向及び画像垂直方向のうちの一方の方向に画像走査光を走査するとともに、第二駆動手段によって前記所定の回動軸に対して略直交する第二回動軸回りで前記可動部を回動させることにより画像水平方向及び画像垂直方向のうちの他方の方向に画像走査光を走査することを特徴とする。
これによれば、製造工程が少なく長寿命な光走査装置を用いた画像形成装置を提供できる。しかも、可視光による迷光も抑制可能となることから、迷光による画質劣化が抑制される。
支持部と、該支持部に一端が固定された捩れ部材と、該捩れ部材の他端に固定された可動部とが、同一基板から形成されており、駆動手段により前記捩れ部材に所定方向回りの捩れを生じさせることで前記可動部を繰り返し回動させる回動装置の製造方法において、前記捩れ部材及び該捩れ部材の捩れと一緒に変形する変化箇所の少なくとも一方にマスキング層を形成するマスキング工程と、前記マスキング工程の後に前記基板をエッチング処理するエッチング工程とを有することを特徴とする。
これによれば、平滑化処理やマスキング層の除去処理の処理工程を省略して製造工程を減らしつつも、基板に対する選択比が十分に大きなマスキング層を用いることで回転装置の長寿命化を図ることができる。
11 支持フレーム
12〜15,16A,16B 弾性変形部
17 可動部
17M ミラー
18 可動部枠
19A,19B トーションバー
20〜24 圧電素子
100 SOIウエハ
101 活性層
102 BOX層
103 支持層
110 透明薄膜(マスキング層)
111 下層透明薄膜(マスキング層)
112 上層透明薄膜(マスキング層)
120 圧電膜
121 下部電極
122 圧電材料
123 上部電極
124 配線パターン
200 自動車用HUD装置
201R,201G,201B レーザー光源
208 光走査装置
209 自由曲面ミラー
210 スクリーン
211 投射ミラー
212 受光センサ
230 光源ユニット
300 運転者
301 自動車
302 フロントガラス
Claims (6)
- 支持部と、該支持部に一端が固定された捩れ部材と、該捩れ部材の他端に固定された可動部とが、同一基板から形成されており、駆動手段により前記捩れ部材に所定方向回りの捩れを生じさせることで前記可動部を繰り返し回動させる回動装置において、
前記捩れ部材及び該捩れ部材の捩れと一緒に変形する変化箇所の少なくとも一方に、前記基板をエッチング処理するときのマスキング層が形成され、
前記マスキング層は、シリコン酸化膜の上にチッ化シリコン膜が形成された層であり、
前記マスキング層の光反射率は、前記可動部に入射される光の可視光波長領域に含まれる複数のピーク波長についての光反射率が前記基板よりも低くなるように、該複数のピーク波長に対応した複数の極小値を有することを特徴とする回動装置。 - 請求項1に記載の回動装置において、
前記駆動手段は、前記支持部の少なくとも一部分に設けられる圧電素子により該一部分を変形させることにより、前記捩れ部材に前記所定方向回りの捩れを生じさせることを特徴とする回動装置。 - 請求項1又は2に記載の回動装置において、
前記基板は、シリコン材料を基材とした基板であることを特徴とする回動装置。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回動装置において、
前記可動部は、光反射面をもった光学部材を有することを特徴とする回動装置。 - 光出力手段から出力される光を走査する走査手段を有する光走査装置において、
前記走査手段は、請求項4に記載の回動装置を用いることを特徴とする光走査装置。 - 画像情報に基づく画像走査光を出力する画像走査光出力手段と、
前記画像走査光出力手段から出力される画像走査光を二次元走査する走査手段とを有する画像表示装置において、
前記走査手段として、請求項4に記載の回動装置を用い、
前記駆動手段によって前記可動部を所定の回動軸回りで繰り返し回動させることにより画像水平方向及び画像垂直方向のうちの一方の方向に画像走査光を走査するとともに、第二駆動手段によって前記所定の回動軸に対して略直交する第二回動軸回りで前記可動部を回動させることにより画像水平方向及び画像垂直方向のうちの他方の方向に画像走査光を走査することを特徴とする画像表示装置。
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