<全体構成>
図1はワインセラーの構造の一例を示す図であり、詳細には、図1−1は、本実施例のワインセラーの正面図およびその断面図であり、図1−2は、本実施例のワインセラーの側面図およびその断面図である。
図1−1および図1−2において、1はワインセラー(本体)であり、このワインセラー1には、上下個別に温度管理が可能な上保存室2aと下保存室2bが設けられている。各保存室は固定の中仕切りプレート3により独立し、たとえば、それぞれ0℃〜20℃の範囲内で1℃単位の温度設定が可能である。本実施例では、一例として、それぞれ上保存室2aが20本,下保存室2bが26本、のワインボトルを収納可能とし、上下の有効内容量の合計が130Lクラスのワインセラーを想定する。上下2室の構成とすることにより、より高精度な温度管理が可能となり、たとえば、一方を短期保存用(7〜8℃程度)、もう一方を長期保存用(14℃程度)、等のように、目的に応じて上下2室を使い分けることが可能となる。
また、ワインセラー1には、たとえば、断熱性とインテリア性に優れた3層構造のフルフラットガラスが全面に採用されたガラス扉4が取り付けられている。また、ガラス扉4の上部部分には、タッチ式の操作パネル5が配置され、ライト(各保存室のLED照明)のON/OFF,保存室内の温度調整等の操作ができ、マニュアル操作で保存室内の環境を最適な状態に保つことが可能である。
また、ワインセラー1は、たとえば、太いワインボトル(シャンパーニュ径)をスムーズに出し入れできるような高さで棚ピッチが設定されており、上保存室2aには、奥から手前に向かって寝かせた状態で5本のワインボトルを収納可能な棚が縦に4段構成で設けられ、計20本のワインボトルの収納が可能である。また、下保存室2bには、たとえば、後述する冷却サイクルに必要なコンプレッサー等が収納された収納庫6を避けるような形でワインボトル6本を横向きに寝かせて配置し、さらに、上保存室2aと同様に手前方向に向かって寝かせた状態で5本のワインボトルを収納可能な棚が縦に4段構成で設けられ、計26本のワインボトルの収納が可能である。なお、各保存室の棚を仕切る棚板7は、スライドすることにより自由に取り外しおよび取り付けが可能な構成である。
また、図1−2に示すように、下保存室2bの奥には、保存室内に階段状の段差が得られるように収納庫6が設けられており、この収納庫6には、後述する冷却サイクルにおいて使用されるコンプレッサーやキャピラリーチューブ等の機器が収納されている。また、各保存室の奥には、奥パネル9により各保存室と仕切られた空間である収納庫8が設けられており、この収納庫8には、たとえば、後述する冷却サイクルにおいて使用されるアキュムレータや冷却器等が収納され、さらに、加温ヒーター,LED等の照明,空気循環用のファンおよび霜取り温度センサー等も収納されている。
なお、上記では、上下個別に温度管理が可能な上保存室2aと下保存室2bが設けられた、上下2段構成のワインセラー1について記載したが、本実施例のワインセラーは、これに限らず、たとえば、図2(図2−1,図2−2)に示すような保存室が1つのタイプのワインセラーであってもよく、また、図示はしていないが3つ以上の保存室を有するものであってもよい。図2はワインセラーの構造の一例を示す図であり、詳細には、図2−1は、保存室が1つのタイプのワインセラーの正面図およびその断面図であり、図2−2は、保存室が1つのタイプのワインセラーの側面図およびその断面図である。保存室が1つのタイプのワインセラー1は、上下2段構成のワインセラーから上保存室2aの機能を除いたものであり、下保存室2bの機能を備えた保存室2のみで構成されたものとなる。
<詳細構成>
つづいて、ワインセラー1の構成をより詳細に説明する。なお、ここでは、一例として、図1に示す上下2段構成のワインセラー1を用いてその構成および動作を詳細に記載するが、本実施例のワインセラーはこれに限らず、たとえば、図2に示すワインセラー1等、保存室単位に個別に温度調整が可能なすべてのワインセラーに適用可能である。
まず、上記図1のように構成されるワインセラー1の電気回路構成およびその制御について説明する。図3−1は、ワインセラー1の電気系統図の一例を示す図である。
本実施例のワインセラー1は、たとえば、AC100Vを入力とし、図3−1に示すとおり、制御回路11が、ワインセラー1内の電子機器を制御する。詳細には、上保存室2a,下保存室2b用にそれぞれ設けられたLED21a,21b、室内温度センサー22a,22b、霜取り温度センサー24a,24b、加温ヒーター25a,25b、ファン26a,26bを制御する。また、制御回路11は、冷却サイクルで使用されるコンプレッサー31と電磁弁(三方弁)32を、上保存室2aおよび下保存室2bに共通の構成として制御する。なお、図2に示すような保存室が1つのタイプのワインセラー1の電気系統図を、一例として、図3−2に示す。このワインセラー1は、たとえば、AC100Vを入力とし、制御回路11が、保存室2用に設けられたLED21,室内温度センサー22,霜取り温度センサー24,加温ヒーター25,ファン26,コンプレッサー31を制御する。
さらに、制御回路11は、ガラス扉4に設けられた操作パネル5から得られる操作情報に基づいて、ライト(各保存室のLED照明)のON/OFF制御や、保存室の温度調整を行う。ここで、図4−1は、タッチ式の操作パネル5の一例を示す図であり、詳細には、保存室が2つのタイプのワインセラー(図1参照)における操作パネル5の一例が示されている。図4−1において、たとえば、UPPER,LOWERで示される表示部には、それぞれ上保存室2a,下保存室2bの現在温度が表示される。また、SETボタン,UPボタンおよびDOWNボタンを操作することにより、所定の温度設定制御が行われる。また、図4−2は、保存室が1つのタイプのワインセラーにおけるタッチ式の操作パネル5の一例を示す図である。このタイプのワインセラー(図2参照)には、たとえば、保存室2の現在温度を表示するための表示部が設けられ、また、上記同様、SETボタン,UPボタンおよびDOWNボタンを操作することにより所定の温度設定制御が行われる。なお、温度設定制御については後述する。
上記各種電子機器を制御する本実施例の制御回路11は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)およびFPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成される制御部、ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)等の各種メモリ、および図示の各種電子機器と信号の送受信を行うインタフェース部、等から構成されている。
また、図3−1において、LED21aは上保存室2a用の照明であり、LED21bは下保存室2b用の照明であり、それぞれ、操作パネル5のON/OFF操作に連動して、制御回路11によりON/OFFが制御される。
室内温度センサー22aは、たとえば、上保存室2a内の所定位置に設置され周辺温度を検知するためのセンサーであり、室内温度センサー22bは、下保存室2b内の所定位置に設置され周辺温度を検知するためのセンサーである。室内温度センサー22a,22bは、それぞれ、割り当てられた保存室内の温度を制御回路11に通知する。この通知を受けた制御回路11は、保存室毎に、操作パネル5の操作により設定された温度(上記0℃〜20℃に相当)と室内温度センサー(22a,22b)から通知された温度とを比較し、各保存室の設定温度が保持されるように冷却および加温に関する制御を行う。すなわち、操作パネル5に表示される現在温度(図4−1および図4−2参照)は、各保存室内の温度に相当する。
霜取り温度センサー24aは上保存室2a用の冷却器近傍に配置され、霜取り温度センサー24bは下保存室2b用の冷却器近傍に配置される。たとえば、制御回路11の制御により、定期的に、霜取り制御動作を開始(コンプレッサー31OFF)し、その後、霜取り制御動作を終了(コンプレッサー31ON)する場合において、各霜取り温度センサー24a,24bは、常時、それぞれ近傍の冷却器(エバポレーター)の周辺温度を測定する。そして、その測定結果を制御回路11がチェックし、制御回路11は、その測定結果に基づいて加温ヒーター(後述する加温ヒーター25a,25b)のON/OFF制御を行う。この制御により、各保存室用に配置された冷却器に付着した霜を溶かすことができる。
加温ヒーター25aは、たとえば、上保存室2a用の冷却器に一体化して設置され、加温ヒーター25bは、たとえば、下保存室2b用の冷却器に一体化して設置される。これらのヒーターは、制御回路11の制御により、周辺温度を上昇させる機能を有する。また、ファン26aは、たとえば、上保存室2a用の送風機として収納庫8内に設置され、ファン26bは、たとえば、下保存室2b用の送風機として収納庫8内に設置される。これらのファンは、制御回路11の制御により、割り当てられた保存室内の空気を循環させる。たとえば、上記加温ヒーター25aとファン26aが連動した動作を行い、ファン26aが、加温ヒーター25aにより暖められた空気を上保存室2a内に送り込むことにより、上保存室2a内の温度を設定温度まで上昇させることができる。下保存室2bにおいても上保存室2aと同様の制御が可能である。また、真冬の部屋等、外気温が特に低い場合には、ワインセラー1の各保存室内の温度が設定温度よりも大幅に低くなる場合が想定されるが、このような場合でも加温ヒーター25a,25bによって適切な温度管理が可能となる。
また、図3−1において、制御回路11は、コンプレッサー31および電磁弁32を電気的に制御し、ワインセラー1の冷却サイクルを保存室毎に個別に制御する。図5−1は、ワインセラー1の冷却サイクルの一例を示す図であり、より詳細には、2つの冷却器36a,36bを上下2つの保存室に1つずつ割り当て、制御回路11が、上保存室2aの冷却サイクルおよび下保存室2bの冷却サイクルを個別に制御する。
図3−1において、コンプレッサー(圧縮器)31は、気体冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒を生成し出力する。コンプレッサー31から送られてきた高温高圧のガス冷媒は、コンデンサー(凝縮器)33で放熱しながら、常温高圧の液体冷媒に変化する。ここで、たとえば、上保存室2a内の温度を下げるように制御を行う場合、制御回路11は、コンデンサー33にて熱放出された液体冷媒がキャピラリーチューブ35aに送られるように電磁弁32を制御する。そして、この液体冷媒は、管径の細いキャピラリーチューブ35aを通過することによって、蒸発(気化)しやすいように圧力が下げられる。その後、低温低圧となった液体冷媒は、冷却器36aに送られ、ここで、周辺の空気から熱を奪って蒸発(気化)し、冷媒液分離のためのアキュムレータ34を介して、最終的に、冷却器36aにおいて気体となった冷媒がコンプレッサー31に戻る。このようなサイクルが繰り返し実行されることによって、冷却器36aの周囲が冷却される。
一方、下保存室2b内の温度を下げるように制御を行う場合、制御回路11は、コンデンサー33にて熱放出された液体冷媒がキャピラリーチューブ35bに送られるように電磁弁32を制御する。そして、この液体冷媒は、管径の細いキャピラリーチューブ35bを通過することによって、蒸発(気化)しやすいように圧力が下げられる。その後、低温低圧となった液体冷媒は、冷却器36bに送られ、ここで、周辺の空気から熱を奪って蒸発(気化)し、冷媒液分離のためのアキュムレータ34を介して、最終的に、冷却器36bにおいて気体となった冷媒がコンプレッサー31に戻る。このようなサイクルが繰り返し実行されることによって、冷却器36bの周囲が冷却される。
そして、各保存室において上記冷却サイクルに使用される機器とファン26a,26bが連動した動作を行い、ファン26aおよびファン26bが、それぞれ冷却器36a,36bにより冷やされた空気を循環させることにより、すなわち、その冷気を各保存室内に送り込むことによって、各保存室内の温度を設定温度まで下げることができる。
なお、上記冷却サイクルにおいては、説明の便宜上、上下を切り替えながら冷却制御を実施していたが、これに限らず、上保存室2aの冷却サイクルと下保存室2bの冷却サイクル(2系統の冷却サイクル)が同時に行われるように調整する構成としてもよい。また、図1に示すワインセラー1は、一例として上下2段構成の保存室を有することから、電磁弁32を制御することで2系統の冷却サイクルを切り替える構成としたが、たとえば、保存室が1つのタイプのワインセラー1(図2参照)については、冷却サイクルが1系統(たとえば、コンプレッサー31,コンデンサー33,キャピラリーチューブ35,冷却器36ア,キュムレータ34からなる冷却サイクル)となり上下の切り替えの必要がないため、電磁弁32が不要となる。図5−2は、保存室が1つのタイプのワインセラー1の冷却サイクルの一例を示す図である。
図6−1は、保存室内の空気の循環の一例を示す図であり、具体的には、上記冷却サイクルにより冷やされた空気および加温ヒーターにより暖められた空気の循環の様子が示されている。また、図6−2は、本実施例のワインセラーにおける保存室内の空気の循環を示す模式図である。図6−1および図6−2において、41aは、上記加温ヒーター25aと冷却器36aが一体化されて配置された上保存室2a用のフィン型冷却器であり、41bは、上記加温ヒーター25bと冷却器36bが一体化されて配置された下保存室2b用のフィン型冷却器であり、それぞれ奥パネル9裏の収納庫8内に配置されている。本実施例では、制御回路11がファン26a,26bによる吸い込みおよび吐き出しを制御することにより、保存室内の空気を循環させる。具体的には、図示の矢印に示すように、各保存室下部に設けられた吸込用通風口を介して収納庫8に保存室内の空気が取り込まれ、上記フィン型冷却器41a,41bで暖められた空気または冷やされた空気が、奥パネル9上部にスリット状に設けられた吐出用通風口を介して各保存室内に放出される。これにより、保存室毎に、操作パネル5により設定された温度への温度制御が可能となる。
また、本実施例においては、ファン26a,26bを、たとえば、取り込んだ空気を10度前後斜め上に向けて放出することができるように傾けて設置する(図6−1,図6−2参照)。これにより、吐出用通風口から斜め上に向かって放出された空気が保存室内上面にあたって反射し保存室内前面まで到達することになり、ワインボトル収納時においても、ワインボトルにより風が遮られることなく、保存室内の空気を効率よく循環させることができるため、たとえば、0℃〜20℃の範囲内で、さらにはそれ以上の温度範囲において、1℃単位の温度設定が可能となる。また、上記のように保存室内の空気を効率よく循環させることにより0℃前後の低温設定も可能となり、さらには、幅の広い設定可能温度範囲(0℃〜20℃等)にも対応可能であるため、ワインに限らず、たとえば、日本酒,焼酎,ウィスキー等の長期,短期の貯蔵や、ビール,その他の各種飲料の保存用としても最適である。なお、本実施例においては、ファン26a,26bを傾けて設置することとしたが、この傾斜角度についてはこれに限るものではなく、ワインボトルにより風が遮られないように適宜角度を変えて設置可能である。
さらに、本実施例では、後述するように、ファン26a,26bを、たとえば、風量を調整可能なPWMコントロール機能付ファンとし、制御回路11は、保存室内の温度の均一性を保つことができるように(たとえば、保存室内のどの位置で測定しても温度差が1℃以内に収まるように)、ファン26a,26bの風量を制御する。たとえば、ワインセラー1における各保存室の設定可能温度範囲が0℃〜20℃の場合、本実施例では、予め、設定可能温度範囲を5℃単位に4つの温度帯x1,x2,x3,x4(0℃≦x1≦5℃,5℃<x2≦10℃,10℃<x3≦15℃,15℃<x4≦20℃)に分割し、制御回路11内のメモリに、各温度帯x1,x2,x3,x4における適正な風量を、風量レベル情報(入力パルス信号のデューティーサイクル(%)等)として記憶しておく。図7は、風量レベル情報の一例を示す図である。そして、制御回路11は、メモリから、現在の設定温度が属する温度帯に応じた風量レベル情報を読み出し、この情報に基づいてファン26a,26bの風量を制御する。これにより、現在の設定温度に応じた適正なファン風量で、保存室内の温度の均一化を実現することができる。特に、熟成や長期保存を行う場合等、保存室内の温度が設定温度付近で安定的に推移しているような場合であっても、設定温度に応じたきめ細かな風量制御が可能となるため、保存室内の温度の均一性を保つことができる。
また、本実施例では、上記のように、ファン26a,26bの風量を制御する前提として、以下の処理を行うこととする。本実施例では、上記風量レベル情報を作成するため、事前に、設定温度毎に(たとえば、設定可能温度範囲内で0℃,1℃,2℃,…,20℃というように段階的に設定温度を変える)、ファン風量を段階的に変えながら保存室内の温度分布を作成し、これらの温度分布をデータベース化する。さらに、これらの温度分布に基づいて、温度帯x1,x2,x3,x4毎に、最も保存室内の温度が均一化されているときの風量(最適風量)を検索する。そして、検索結果として得られる各温度帯における最適風量にそれぞれ対応付けたれた値(入力パルス信号のデューティーサイクル)を、上記風量レベル情報として制御回路11内のメモリに記憶しておく。なお、ここでは、各温度帯x1,x2,x3,x4をそれぞれ5℃単位とした場合について説明したが、これに限るものではなく、温度帯の単位は、たとえば、1℃単位,2℃単位…等としてもよく、任意とする。
また、ワインボトルの収納量によってはそのワインボトル自体が障害となって保存室内の空気が効率的に循環されないことがある。そのため、図7に示す風量レベル情報は、たとえば、保存室内の収納量の割合(収納割合レベル:100%(満タン),75%,50%(半分程度),25%以下、等)に応じて、複数作成しておくこととしてもよい。この場合、収納量が多いほどファンの風量が大きくなる。具体的には、上記風量レベル情報を作成するための処理を、さらに収納量を変えながら繰り返し実行して複数の風量レベル情報を作成し、たとえば、操作パネル5による操作等により利用者が収納割合レベルを適宜選択可能な構成とする。これにより、制御回路11は、利用者により選択された収納割合レベルに関連付けられた風量レベル情報で、上記温度帯毎にファン風量を調整することができるので、さらにきめの細かい風量制御が可能となる。
また、図6−1に示すように、たとえば、本体背面(収納庫8の背面)に、それぞれ複数の外気交換穴42を設けることとしてもよい。これにより、収納庫8および奥パネル9を介して、外気に含まれる水分を上保存室2a内および下保存室2b内に取り入れることができ、また、余分な水分を保存室外に排出することができるため、各保存室内の湿度を最適な状態に保つことが可能となる。
<温度制御方法>
つづいて、本実施例のワインセラーにおける保存室内の温度制御方法について説明する。ここでは、一例として、図2に示すワインセラーを用いて保存室内の温度制御方法を説明する。なお、本実施例の温度制御方法は、図2に示すワインセラー1の他、たとえば、図1に示すワインセラー1等のように、保存室単位に個別に温度調整が可能なすべてのワインセラーに適用可能である。すなわち、保存室が複数存在するワインセラーについては、保存室毎に、下記の温度制御方法を実行することになる。
また、本実施例のワインセラー1においては、保存室内の温度制御方法を実現するための前提として、以下の操作を可能とする。たとえば、図2に示すような保存室が1つのタイプのワインセラー1は、操作パネル5に現在温度(図4−2参照)が表示されている状態においてSETボタンをタッチすると、保存室2の温度設定制御が発動し、以後、UPボタンおよびDOWNボタンを操作することで保存室2の設定温度を変更することができる。また、図1に示すような上保存室2aと下保存室2bが独立しているタイプのワインセラーの場合は、たとえば、現在温度(図4−1のUPPER,LOWERの表示)が表示されている状態において、SETボタンを一度タッチすると、上保存室2aの温度設定制御が発動し(UPPERの表示が現在温度から設定温度表示に変わる)、以後、UPボタンおよびDOWNボタンを操作することで上保存室2aの設定温度を変更することができる。さらに、この状態でSETボタンをもう一度タッチすると(最初に連続して2回タッチした場合も同様)、逆に下保存室2bの温度設定制御が発動し(LOWERの表示が現在温度から設定温度表示に変わる)、以後、UPボタンおよびDOWNボタンを操作することで下保存室2bの設定温度を変更することができ、以降、SETボタンをタッチする度に、上下の温度設定制御が切り替わる。なお、上記のような制御で変更された設定温度は、随時、制御回路11内のメモリに上書きされるものとする。
以下、保存室内の温度制御方法をフローチャートに従い詳細に説明する。図8は、保存室内の温度制御方法を示すフローチャートであり、詳細には、図8−1は、本実施例の温度制御方法を実現するための機能である冷却機能の一例を示すフローチャートであり、図8−2は、本実施例の温度制御方法を実現するための機能である加温機能の一例を示すフローチャートである。以降、制御回路11の制御により温度制御(冷却機能,加温機能)を行っている状態(後述する図8のステップS2〜ステップS19に相当)を、通常モードと呼ぶ。なお、ワインセラー1においては、保存室の設定温度Xの初期値が、たとえば、14℃に設定されているものとし、その値が制御回路11内のメモリに予め記憶されているものとする。また、本実施例では、一例として、図7に示す風量レベル情報が予め制御回路11内のメモリに記憶されているものとする。
<通常モード:ステップS1〜S19>
制御回路11は、電源ONで通常モードにおける温度制御を開始する(ステップS1)。通常モードで動作中、制御回路11は、メモリから保存室の設定温度X(X=14℃)および図7に示す風量レベル情報を読み出し(ステップS2)、たとえば、電源ONの直後の動作でファン26が起動されていなければ(ステップS3,Yes)、設定温度Xの属する温度帯x3に関連付けられたデューティーでファン26への入力パルス信号を生成し、この入力パルス信号でファン26を動作させる(ステップS4)。一方で、ファン26が通常モードで動作中に操作パネル5の操作で設定温度Xが変更され、設定温度Xの属する温度帯がシフトした場合には(ステップS3,No、ステップS5,Yes)、制御回路11の制御により、新たな設定温度の属する温度帯に基づいて入力パルス信号が生成され、この時点でファン26の風量が変更される(ステップS4)。以降、通常モードにおいて、設定温度Xが変更され設定温度Xの属する温度帯がシフトするまで、制御回路11は、ファン26の風量を保持する(ステップS5,No)。
<冷却機能>
つぎに、制御回路11は、室内温度センサー22により測定された保存室内の温度Aを確認する(ステップS6)。そして、制御回路11は、温度Aが(X+1)℃を上回ったかどうか、すなわち、「A>X+1」であるかどうかを確認し、たとえば、「A>X+1」であってかつ冷却サイクルOFFの場合には(ステップS7,Yes、ステップS8,Yes)、保存室内の温度を下げるため、コンプレッサー31を起動し、冷却サイクルを開始する(ステップS9)。その後、制御回路11は、温度Aが(X+1)℃以下になるまで上記ステップS2〜ステップS8,No,ステップS13,Yes(通電中)の処理を繰り返し実行して冷却サイクルを継続し、さらには、温度AがX℃を下回るまで、すなわち、温度Aが「X+1≧A≧X」の間も、上記ステップS2〜ステップS7,No、ステップS10,No、ステップS13,Yesの処理を繰り返し実行して冷却サイクルを継続する。そして、冷却サイクル継続中に温度AがX℃を下回った場合、すなわち、「A<X」になった場合(ステップS7,No、ステップS10,Yes、ステップS11,Yes)、制御回路11は、コンプレッサー31の動作を終了させ(ステップS12)、冷却サイクルを終了する。
一方、たとえば、電源ONの直後の動作において、上記ステップS2〜ステップS6の処理を実行後、温度Aが(X+1)℃を上回ったかどうかを確認し(ステップS7)、温度Aが「X+1≧A≧X」の場合(ステップS7,No、ステップS10,No)、制御回路11は、現状の温度を保持するため、温度Aが(X+1)℃を上回るまで冷却サイクルを起動させない。その後、冷却サイクルを起動させない状態を継続した結果、温度Aが(X+1)℃を上回った場合、すなわち、「A>X+1」になった場合(ステップS7,Yes、ステップS8,Yes)、制御回路11は、冷却サイクルを起動し(ステップS9)、以降、上記同様、ステップS2〜ステップS13,Yesの処理を繰り返し実行する。また、上記で冷却サイクルを起動させない状態を継続した結果、温度AがX℃を下回った場合(ステップS7,No、ステップS10,Yes、ステップS11,No)、制御回路11は、冷却サイクルを起動させない状態をさらに継続する。
さらに、電源ONの直後の動作において、上記ステップS2〜ステップS6の処理を実行後、温度AがX℃を下回っていた場合(ステップS7,No、ステップS10,Yes、ステップS11,No)、制御回路11は、上記同様、温度Aが(X+1)℃を上回るまで冷却サイクルを起動させない。冷却サイクルを起動させない状態を継続した場合の動作は上記と同様である。
なお、上記では、冷却サイクルの起動,終了の起点をそれぞれ(X+1)℃,X℃としているが、これは一例であり、この限りではない。冷却サイクルの起動,終了の起点となる温度は、ワインセラー1に要求される性能に応じて適宜変更可能である。
<加温機能>
また、上記ステップS2〜ステップS6の処理を実行後、制御回路11は、温度Aが(X−3)℃を下回っているかどうか、すなわち、「A<X−3」であるかどうかを確認し(図8−2(a)、ステップS14)、たとえば、「A<X−3」であってかつ加温制御OFFの場合には(ステップS14,Yes、ステップS15,Yes)、保存室内の温度を上げる必要があるため、加温ヒーター25を起動し、加温制御を開始する(ステップS16)。その後、制御回路11は、温度Aが(X−3)℃以上となるまで上記ステップS2〜ステップS6、ステップS14,Yes、ステップS15,No、(b)、ステップS13,Yesの処理を繰り返し実行して加温制御を継続し、さらには、温度AがX℃を上回るまで、すなわち、温度Aが「X−3≦A≦X」の間も、上記ステップS2〜ステップS6、ステップS14,No、ステップS17,No、(b)、ステップS13,Yesの処理を繰り返し実行して加温制御を継続する。その後、加温制御継続中に温度AがX℃を上回った場合、すなわち、「A>X」になった場合(ステップS14,No、ステップS17,Yes、ステップS18,Yes)、制御回路11は、加温ヒーター25の動作を終了させ(ステップS19)、加温制御を終了する。
一方、電源ONの直後の動作において、上記ステップS2〜ステップS6の処理を実行後、温度Aが(X−3)℃を下回ったかどうかを確認し(図8−2(a)、ステップS14)、温度Aが「X−3≦A≦X」の場合(ステップS14,No、ステップS17,No)、制御回路11は、現状の温度を保持するため、温度Aが(X−3)℃を下回るまで加温制御を起動させない。その後、加温制御を起動させない状態を継続した結果、温度Aが(X−3)℃を下回った場合、すなわち、「A<X−3」になった場合(ステップS14,Yes、ステップS15,Yes)、制御回路11は、加温制御を起動し(ステップS16)、以降、上記同様、ステップS2〜ステップS6、ステップS14〜ステップS19、(b)、ステップS13,Yesの処理を繰り返し実行する。また、上記で加温制御を起動させない状態を継続した結果、温度AがX℃を上回った場合(ステップS14,No、ステップS17,Yes、ステップS18,No)、制御回路11は、加温制御を起動させない状態をさらに継続する。
さらに、電源ONの直後の動作において、上記ステップS2〜ステップS6の処理を実行後、温度AがX℃を上回っている場合(ステップS14,No、ステップS17,Yes、ステップS18,No)、制御回路11は、上記同様、温度Aが(X−3)℃を下回るまで加温制御を起動させない。加温制御を起動させない状態を継続した場合の動作は上記と同様である。
なお、上記では、加温制御の起動,終了の起点をそれぞれ(X−3)℃,X℃としているが、これは一例であり、この限りではない。加温制御の起動,終了の起点となる温度は、ワインセラー1に要求される性能に応じて適宜変更可能である。
<電源OFF>
その後、上記冷却機能および加温機能に関する処理を実行中に、電源OFFとなった場合(ステップS13,No)、ワインセラー1は動作を停止する。
このように、本実施例のワインセラーは、奥パネル9により保存室2と仕切られた空間に設置され、所定の風量で保存室2に向けて放出することにより保存室2内の空気を循環させる風量可変のファン26と、保存室2内の温度の均一性を保つための風量である適正風量を特定するための風量レベル情報が、所定の温度幅を有する設定温度帯(x1,x2,x3,x4)毎に記憶されたメモリと、現在の設定温度の属する設定温度帯に関連付けられた風量レベル情報をメモリから読み出し、その風量レベル情報に基づいてファン26の風量を調整する制御回路11と、を備える構成とした。これにより、設定可能温度範囲が広範囲となる場合であっても、現在の設定温度に応じた適正な風量で保存室内の空気を循環させることができるため、保存室2内の温度の均一性を保つことができる。特に、熟成や長期保存を行う場合等、保存室2内の温度が設定温度付近で安定的に推移することが多いケースであっても、設定温度に応じたきめ細かな風量制御が可能となるため、保存室2内の温度の均一性を保ちつつ、さらに、消費電力,騒音,発熱等の改善効果も期待できる。
なお、本実施例のワインセラー1では、設定温度に応じてファン26の風量を変更可能な構成としたが、たとえば、設定温度と保存室2内の温度差が大きい場合(温度差が一定値よりも大きい場合や、一定時間内に温度差が縮まらない場合、等)には、従来のように、温度差の大きさに応じてファン26の風量を変更することとしてもよい。
また、本実施例のワインセラー1では、設定温度に応じてファン26の風量を変更可能な構成とし、これにより、保存室内の温度の均一化を実現している。一方で、その特性上、保存室の奥から手前に向かって冷気が出ているため、冷気が一定量扉に当たっている。そして、本実施例のワインセラー1を含め、ワインセラーの扉の多くは断熱発泡材が注入されている本体側面や背面よりも断熱性能が低いガラス扉であるため、扉にあたった冷気が部分的に保存室外へ伝達され、結果として、外部への冷気伝達による冷却効率の低下が問題となる。また、ファンの風量を減らすことで扉からの冷気伝達は軽減可能であるが、風量減による冷却効率の低下や霜の増加が問題となる。
詳細には、たとえば、コンプレッサー31がOFFとなっている期間(冷却サイクルOFF)については、風量が多いほどガラス扉4に当たる風量が多くなり、保存室2外への冷気伝達が増えることになるため、結果として、風量が多いほど断熱性能が低下する(上記「外部への冷気伝達による冷却効率の低下」の問題)。一方で、冷却サイクルOFF期間の風量を少なくすることで断熱性能を改善することはできるが、コンプレッサー31OFF直後は、露や霜付きが発生しているため、風量を少なくしすぎると霜が増加してしまう(上記「霜の増加」の問題)。すなわち、コンプレッサー31OFFの直後から冷却器36が一定温度に上がるまでの期間については、霜の増加を抑えるため、ある程度の風量が必要となる。また、コンプレッサー31がONとなっている期間(冷却中)については、風量が少ないと冷却器36周辺の冷気が滞留することになり、冷気を効率的に保存室2内に送り込むことができない。すなわち、冷却中の風量が少ないほど、保存室2内の温度を設定温度まで下げるための時間が長くなってしまう(上記「風量減による冷却効率の低下」の問題)。すなわち、冷却中については、設定温度に達するまでの時間を短縮するため、風量を多くして冷却器36周辺の冷気を効率よく保存室2内へ送り込むことが望ましい。
そこで、本実施例においては、上記の問題を解決するため、以下の制御を行うこととしてもよい。たとえば、上記図8−1の冷却制御においては、特定の温度帯単位に風量レベル(入力パルス信号のデューティー)を記憶することとしているが、これに加え、たとえば、特定の温度帯単位に複数の風量レベルを用意することとしてもよい。具体的には、コンプレッサーON時(冷却中)は風量が最も大きくなる風量レベル(前記最適風量に対応する風量レベル)で、また、コンプレッサーOFF直後から冷却器周辺温度が一定温度に上昇するまでの期間は前記最適風量よりも一段階小さい風量レベルで、さらには、冷却器周辺温度が一定温度に上昇してから次のコンプレッサーON時まではさらに一段階小さい風量レベルで、ファン26を動作させる。これにより、冷却器の霜付きおよび霜の増加を抑えながら、冷却効率を改善させることが可能となる。また、上記のようにファン26の風量を3段階で制御することにより、消費電力の低減、コンプレッサーOFF時の騒音の軽減、さらには、ガラス扉の結露の軽減についても実現可能となる。
また、本実施例のワインセラー1の温度制御においては、図8−1に示すように、たとえば、X+1℃を起点としてコンプレッサーをONとし、X℃を起点としてコンプレッサーをOFFとしている。一方で、ワインセラー固有の使用方法として、ワインの長期保存があり、長期保存の場合には扉を数日間開閉しない、収納物の入れ替えもしない、という状況が想定される。このような状況では、保存室内の温度や飲み物の温度は安定状態となる。そこで、本実施例においては、長期保存が検出された場合、すなわち、保存室内の温度の安定状態が一定時間以上継続する場合に、コンプレッサーのON/OFFの幅を通常よりも広く設定することとした。具体的には、X+2℃を起点としてコンプレッサーをONとし、X−1℃でコンプレッサーをOFFとするようなON/OFF制御を行うことにより、コンプレッサーのON/OFFのタイミングが通常よりも長くなるようにする。そして、扉の開閉またはコンプレッサーON時間の増加を検知した時点で、コンプレッサーのON/OFFのタイミングを通常に戻す。これにより、さらなる低消費電力を実現することができる。
<霜取り制御方法>
つづいて、本実施例のワインセラーにおける霜取り制御方法について説明する。ここでは、一例として、図2に示すワインセラー1を用いて冷却器36の霜取り制御について説明する。なお、本実施例の霜取り制御方法は、図2に示すワインセラー1の他、たとえば、図1に示すワインセラー1等のように、保存室単位に個別に温度調整が可能なすべてのワインセラーに適用可能である。すなわち、保存室が複数存在するワインセラーについては、各保存室用に設けられた冷却器毎に、下記の霜取り制御方法を実行することになる。
<前提>
本実施例においては、電源ONでカウントが開始される通電累積時間Z1がカウントされており、制御回路11内のカウンターの値Z1が6時間(h)の倍数に達する毎にコンプレッサー31を停止(OFF)する制御が行われる。また、本実施例では、コンプレッサー31の連続運転可能時間(コンプレッサー31ONでカウント開始)C(=3h)が予め設定されており、制御回路11内のカウンターの値Z2がC=3hに達した時点でコンプレッサー31を停止(OFF)する制御が行われ、この時点でZ2はリセットされる。
また、本実施例では、保存室2が設定温度(たとえば、0℃〜20℃の範囲内で設定可能)に安定的に維持されている状態を、たとえば「定常状態」と呼ぶ。図9は、定常状態における保存室2内の温度と冷却器36の周辺温度の様子を示す図である。定常状態においては、数分ごとにコンプレッサー31のON/OFF、すなわち、冷却器の冷却/非冷却が繰り返されることによって、安定的に保存室2内の温度が設定温度に維持される。ここでは、一例として、保存室2の設定温度を0℃とし、さらに、冷却サイクル起動の起点を保存室内温度が1℃に達した時点(図示のコンプONに対応)とし、冷却サイクル終了の起点を保存室内温度が0℃に達した時点(図示のコンプOFFに対応)とする。図9では、設定温度0℃を維持するために、約10分前後でコンプレッサー31のON/OFF制御が行われている(コンプレッサー31の制御については、たとえば、図8−1参照)。したがって、本実施例において、定常状態で動作中に、コンプレッサー31の動作時間が連続運転可能時間C(=3h)に達することはレアケースとなる。コンプレッサー31の動作時間が連続運転可能時間Cに達するケースとしては、たとえば、電源投入直後で保存室2内の温度が高温の場合や、ワインの出し入れ作業で保存室2内の温度が上昇した場合、等が想定される。
<霜取り制御の具体例>
以下、本実施例の霜取り制御方法をフローチャートに従い詳細に説明する。図10は、本実施例の霜取り制御方法を示すフローチャートである。
定常状態(図9参照)において(図10、ステップS31,No)、たとえば、通電累積時間Z1が6hの倍数に達した場合(ステップS31,Yes)、制御回路11は、コンプレッサー31を停止(OFF)するとともに(すでにコンプレッサー31がOFFのときにOFF状態を維持する場合、を含む)、現状よりも風量を増大可能なデューティーで入力パルス信号を生成し、この入力パルス信号でファン26を動作させる(ステップS32)。そして、霜取り温度センサー24から得られる冷却器36の周辺温度Eをチェックする(ステップS32)。本実施例のワインセラー1は、Z1の検出(ステップS31,Yes)を起点として通常モードから霜取りモードへ移行し、その後、コンプレッサー31の動作再開(ON)と同時に霜取りモードから通常モードへ移行するものとする。なお、本実施例では、一例として、通電累積時間Z1が6hの倍数に達した場合に霜取りモードに移行することとしたが、これに限るものではなく、制御回路11内のカウンターの値Z2がC=3hに達した場合においても同様に霜取りモードに移行するものとする。また、本実施例では、一例としてZ1のタイミングを6hの倍数(6時間毎)とし、コンプレッサー31の連続運転可能時間Cを3h(制御回路11内のカウンターの値Z2)としたが、これに限るものではなく、それぞれ任意の時間を設定可能である。また、たとえば、本体の所定箇所に霜取り用スイッチ等の操作部を設け、上記定期的なタイミングの他、スイッチ操作があったことを起点として霜取りモードに移行することとしてもよい。
ステップS32により冷却器36の周辺温度Eをチェックした結果、Eが1℃以下の場合(ステップS33,Yes)、制御回路11は、加温ヒーター25を起動(ON)し(ステップS34)、その後、冷却器36の周辺温度Eを監視する(ステップS35,No、ステップS36,No)。加温ヒーター25ONにより、冷却器36の霜取りが開始される。なお、本実施例では、加温ヒーター25を起動する条件を「E≦1℃」としているが、これに限るものではなく、たとえば、用途および利用環境等を考慮し、冷却器36に霜が付着する可能性のある値として規定されたものであれば、どのような値であってもよい。また、この条件により、後述する「E=2℃」および「E=3℃」等の条件も可変となる。
ステップS35により冷却器36の周辺温度Eを監視中に、たとえば、Eが2℃に達した場合(ステップS35,Yes)、制御回路11は、加温ヒーター25を停止(OFF)し(ステップS37)、さらに、冷却器36の周辺温度Eを監視する(ステップS38,No)。制御回路11は、たとえば、Eが2℃に達した時点で、冷却器36に付着した霜が溶け、露に変化したものと判断する。
そして、ステップS38により冷却器36の周辺温度Eを監視中に、たとえば、Eが3℃に達した場合(ステップS38,Yes)、制御回路11は、コンプレッサー31を再起動(ON)するとともに、上記ステップS32で風量が増大するように生成された入力パルス信号を直前の通常モード時の入力パルス信号に戻し(ステップS39)、霜取りモードから通常モードへ移行する。本実施例では、Eが2℃から3℃に達するまでの時間を、露として冷却器36に残存する水滴を落とすための時間として使用する。これにより、冷却器36に残存する水滴(露)を減らすことができ、さらに、冷却器36を再冷却したとき(冷却サイクルを再起動したとき)の霜の増殖を回避することができる。なお、本実施例では、冷却器36の周辺温度Eが2℃から3℃まで上昇することを前提としているが、たとえば、室内温度が非常に低い場合等、利用環境によって2℃から3℃へ上昇するまでに時間がかかるケース、または3℃まで上昇しないケースを想定し、加温ヒーター25の稼働時間に制限を持たせ(たとえば、30分等)、制限時間内に3℃まで上昇しない場合にはコンプレッサー31を強制的に再起動(通常モードへ移行)することとしてもよい。
図11は、本実施例の霜取り制御の一例を示す図であり、詳細には、ステップS32のチェックで「E≦1℃」が検出され、かつその後所定時間内にE=2℃が検出された場合における、霜取り制御の一例を示す図である。図11では、一例として、保存室2の設定温度を0℃とし、保存室内温度が上昇して1℃に達した時点で冷却サイクルを起動(コンプレッサー31ON)し、保存室内温度が下降して0℃に達した時点で冷却サイクルを終了(コンプレッサー31OFF)することにより、安定的に略0℃を維持している(定常状態)。この状態で、Z1が6hの倍数に達した場合、制御回路11は、霜取りモードに移行し、コンプレッサー31を停止するとともにファン26の風量を大きくして、冷却器36の周辺温度Eをチェックする。この時点で、Eは−8℃であるため(図11参照)、制御回路11は、加温ヒーター25を起動し、Eが2℃に上昇するまでの期間を、冷却器36に付着した霜を溶かすための時間として使用する。その後、E=2℃を検出した時点で、制御回路11は、加温ヒーター25を停止し、Eが3℃に上昇するまでの期間を、露として冷却器36に残存する水滴を落とすための時間として使用する。そして、E=3℃を検出した時点で、制御回路11は、コンプレッサー31を再起動し、風量を元に戻して通常モードに移行する。
また、ステップS35の処理で冷却器36の周辺温度Eを監視中に、たとえば、Eが2℃に達することなく加温ヒーター25の稼働時間が30分に達した場合(ステップS35,No、ステップS36,Yes)、制御回路11は、加温ヒーター25を停止(OFF)し、コンプレッサー31を再起動(ON)するとともに、上記ステップS32で風量が増大するように生成された入力パルス信号を直前の通常モード時の入力パルス信号に戻し(ステップS40)、霜取りモードから通常モードへ移行する。
図12は、本実施例の霜取り制御の一例を示す図であり、詳細には、ステップS35の監視でEが2℃に達することなく加温ヒーター25の稼働時間が30分に達した場合における、霜取り制御の一例を示す図である。図12において、制御回路11は、Z1が6hの倍数に達した時点(霜取りモードに移行)においてEが−8℃であるため、加温ヒーター25を起動してその後のEを監視するが、加温ヒーター25の稼働時間が30分に達してもEが2℃まで上昇しないため、加温ヒーター25を停止するとともにコンプレッサー31を再起動し、風量を元に戻して通常モードに移行する。
一方で、ステップS32により冷却器36の周辺温度Eをチェックした結果、Eが1℃より高く3℃よりも低い場合(ステップS33,No、ステップS41,Yes)、すなわち、「1℃<E<3℃」の場合、制御回路11は、加温ヒーター25を起動することなく、冷却器36の周辺温度Eをさらに監視する(ステップS38,No)。ここで、ステップS32によりEが「1℃<E<3℃」の範囲内の場合、制御回路11は、加温ヒーター25を起動しなくてもコンプレッサーOFF(冷却サイクル停止)のみで冷却器36の霜取りが可能である、と判断する。
そして、ステップS38により冷却器36の周辺温度Eを監視中に、たとえば、Eが3℃に達した場合(ステップS38,Yes)、制御回路11は、コンプレッサー31を再起動(ON)し(ステップS39)、風量を元に戻して霜取りモードから通常モードへ移行する。
図13は、本実施例の霜取り制御の一例を示す図であり、詳細には、ステップS32のチェックで「1℃<E<3℃」が検出された場合における、霜取り制御の一例を示す図である。図13では、一例として、保存室2の設定温度を5℃とし、保存室内温度が上昇して6℃に達した時点で冷却サイクルを起動(コンプレッサー31ON)し、保存室内温度が下降して5℃に達した時点で冷却サイクルを終了(コンプレッサー31OFF)することにより、安定的に略5℃を維持している(定常状態)。この状態で、Z1が6hの倍数に達した場合、制御回路11は、霜取りモードに移行し、コンプレッサー31を停止するとともにファン26の風量を大きくして、冷却器36の周辺温度Eをチェックする。この時点で、Eは2℃(「1℃<E<3℃」の範囲内)であるため(図13参照)、制御回路11は、加温ヒーター25を起動することなく冷却器36の周辺温度Eをさらに監視し、E=3℃を検出した時点でコンプレッサー31を再起動し、風量を元に戻して通常モードに移行する。
もう一方で、ステップS32により冷却器36の周辺温度Eをチェックした結果、Eが3℃以上の場合(ステップS33,No、ステップS41,No)、制御回路11は、冷却器36には霜が付着していないと判断するとともにカウンターを監視し(ステップS42,No)、上記ステップS31で通電累積時間Z1が6hの倍数に達した時点から5分が経過した時点で(ステップS42,Yes)、コンプレッサー31を再起動(ON)し、風量を元に戻して(ステップS39)、霜取りモードから通常モードへ移行する。なお、上記では、Z1が6hの倍数に達した時点から5分が経過した時点でコンプレッサー31を再起動しているが、これに限るものではなく、再起動までの時間は、たとえば、冷却サイクル停止(コンプレッサー31OFF)による保存室内の温度変化抑制の観点から、コンプレッサー31の仕様に基づき再起動に必要な最短時間とすることが望ましい。
図14は、本実施例の霜取り制御の一例を示す図であり、詳細には、ステップS32のチェックで「E≧3℃」が検出された場合における、霜取り制御の一例を示す図である。図14では、一例として、保存室2の設定温度を7℃とし、保存室内温度が上昇して8℃に達した時点で冷却サイクルを起動(コンプレッサー31ON)し、保存室内温度が下降して7℃に達した時点で冷却サイクルを終了(コンプレッサー31OFF)することにより、安定的に略7℃を維持している(定常状態)。この状態で、Z1が6hの倍数に達した場合、制御回路11は、霜取りモードに移行し、コンプレッサー31を停止するとともにファン26の風量を大きくして、冷却器36の周辺温度Eをチェックする。この時点で、Eは4℃(「E≧3℃」)であるため(図14参照)、制御回路11は、加温ヒーター25を起動することなくカウンターを監視し、Z1が6hの倍数に達した時点から5分が経過した時点で、冷却器36の周辺温度Eの値によらずコンプレッサー31を再起動し、風量を元に戻して通常モードに移行する。
このように、本実施例のワインセラーは、冷却方式としてコンプレッサー方式を採用し、たとえば、冷却器36の近傍に配置され冷却器36の周辺温度Eを検知する霜取り温度センサー24と、冷却器36に付着した霜を溶かすために周辺温度Eを上昇させる加温ヒーター25と、所定のタイミングに達した場合にコンプレッサー31を停止するとともにファン26の風量を大きくして、霜取り温度センサー24により検知された周辺温度Eをチェックし、Eに基づいて加温ヒーター25を起動するか否かを判断する制御回路11と、を備える構成とした。これにより、冷却器に霜が付着しない程度の保存室内温度設定で動作可能なワインセラーにおいて、冷却器に霜が付着しているかどうかが判断されるため、無駄な霜取り運転動作を回避することが可能となる。すなわち、利用環境に応じた最適な霜取り運転が可能となる。また、霜取りモード時にファン26の風量を大きくし、冷却器36を通る風を増やすことにより、風量が小さい場合よりも効果的に霜を取り除くことができ、さらに、霜取り時間を短縮することもできる。また、霜取り時間の短縮により、加温ヒーター25のON時間の短縮が可能となるため消費電力を大幅に削減することが可能となり、さらには、保存室2内の温度の安定性を実現することもできる。
また、本実施例においては、上記ステップS37において加温ヒーター25を停止した後、冷却器36の周辺温度Eが2℃から3℃に達するまでの時間を、露として冷却器36に残存する水滴を落とすための時間として使用することとした。これにより、冷却器36に残存する水滴(露)を減らすことができるので、冷却器36を再起動したときの霜の増殖を抑制することができ、ひいては長時間運転における霜の増殖を最小限に抑えることが可能となる。